テレビおよび電子機器
【課題】筐体の帯電防止性の向上できるテレビおよび電子機器を提供する。
【解決手段】本実施例において、筐体の帯電防止性の向上できるテレビおよび電子機器は、表示画面を有する表示装置2と、前記表示装置2が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体21と、前記筐体21内に収容されたチューナと、前記筐体が支持された支持部5と、を有する。
【解決手段】本実施例において、筐体の帯電防止性の向上できるテレビおよび電子機器は、表示画面を有する表示装置2と、前記表示装置2が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体21と、前記筐体21内に収容されたチューナと、前記筐体が支持された支持部5と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テレビおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電抑制構造を有した電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-287595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の電子機器では、筐体の帯電抑制性の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態は、表示画面を有する表示装置と、前記表示装置が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体と、前記筐体内に収容されたチューナと、前記筐体が支持された支持部と、を有する。
【0006】
1つの実施形態は、表示画面を有する表示装置と、前記表示装置が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を前面から見た図である。
【図2】本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を後面から見た図である。
【図3】本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を側面から見た図である。
【図4】本実施例の筐体の金型成形時における構成を示した図である。
【図5】本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た図である。
【図6】本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た状態で一部を拡大した図である。
【図7】本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た状態で一部を拡大した断面図である。
【図8】本実施例における溶融材料の流れる構成を示した概念図である。
【図9】本実施例の突出部の第1の変形例である。
【図10】本実施例の突出部の第2の変形例である。
【図11】本実施例の突出部の第3の変形例である。
【図12】本実施例の突出部の第4の変形例である。
【図13】本実施例の突出部の第5の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、方向が規定されている。図1は、表示装置(テレビ、放送波受信装置、電子機器)1における表示部(ディスプレイ、表示パネル)2の表示画面側(前面、正面)からみた状態を示した図である。図2は、本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を表示画面とは反対側(後面、背面)から見た図である。図3は、本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を側方から見た図である。
【0009】
ここでは、一例として、当該表示部2の前面視(正面視)で右方向(後面視(背面視)では左方向)をX方向、上方向をY方向、奥行き方向(前方向)をZ方向とする。各図には、表示装置1に組み付けられた状態での方向を示す矢印が記載される。
【0010】
図1に示すように、本実施形態にかかる表示装置1は、机上等に載置される台座部(基部、板部、支持部、支持部材)3と、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイユニット4を内蔵した表示部2と、表示部2に接続されて台座部3に支持された接続部5(連結部、支持部、首部、支持部材)と、を備えている。
【0011】
図1に示すように、台座部3は、机の天板等に当接される面が平面(天板と面一となる)形状で、表示装置1の上下方向に比較的薄い扁平な形状を有している。台座部3は、上面3aと、下面3bと、接続部5に連続した部分3cと、表示画面側に位置された第1面部3dと、表示画面側とは反対側に位置された第2面部3eと、を有する。
【0012】
図1および図2に示すように、表示部2は、前面(表示面、第1面、正面)2aと、その反対側に位置する後面(非表示面、第2面、背面)2bと、前面2aと後面2bとに亘る周面(側面、覆部の縁部、覆部の端)2cとを有し、前後方向に薄く前面視では横長の長方形状の外観を呈する扁平な直方体状に構成されている。周面2cは、上面(側面、上壁)2dと、下面(側面、下壁、底壁)2eと、右面(側面、側壁)2fと、左面(側面、側壁)2gと、を含む大きく4分割された面部を有する。後面2bは、中央領域2bc、及び周辺領域2bhを有する。中央領域2bcは、表示画面の中心に対向する位置近傍の領域であり、周辺領域2bhは、中央領域2bcを囲むとともに周面2cに沿った(重なった)領域である。
【0013】
筐体21は、フロントマスク(筐体21の前面、筐体21の表示面、筐体21の第1面、筐体21の正面、マスク部、フロントカバー、覆部)21aとバックカバー(筐体21の後面、筐体21の非表示面、筐体21の第2面、筐体21の背面、バックカバー、覆部)21cと含む。ディスプレイユニット4の前面4a周囲の一部を覆う筐体21の一部としてのフロントマスク21aには、矩形状の開口部21bが設けられている。この開口部21bからは、ディスプレイユニット4の前面4aが露出している。本実施形態では、ディスプレイユニット4の前面4aのうち、開口部2eから露出した部分が、表示画面4bである。図1および図2から明らかとなるように、表示画面4bは起立している(支持部の載置面に対して垂直・略垂直/直交・略直交している)。
【0014】
図3に示すように、これらの面は、後面2bから前面2aに向かって拡開する方向に延びる。即ち、後面2bは、前面2aよりも小さい面積を有するとともに、表示画面の前後の方向から平面視した状態で、前面2aの外縁内に収まった位置に設けられる。上面2dと、下面2eと、右面2fと、左面2gとはいずれも前面2a(後面2b)に対して傾斜したスロープの形状である。
【0015】
図3に示すように、上面2dと、下面2eと表示装置1の背面に向かって傾斜した形状を有する。このような構成を有することで、電子機器の外観をより薄く見せられる効果がある。また、この形状を構成するため、本実施例における電子機器では、表示部2の背面に収容された基板などの電子部品を表示部2の周縁から離して位置させている。
【0016】
図3に示すように、上面2d及び下面2eは、其々に筐体21中央部が最も厚く、筐体21縁部に近づくに連れて薄くなるような段差、スロープ部(斜面、傾き部)などが設けられる。このような形状を有することで、上面2dの傾斜と同様の効果、即ち電子機器の外観をより薄く見せられる効果がある。
【0017】
表示部2の筐体21内には、ディスプレイユニット4の他、CPU(Central Processing Unit)等の電子部品が実装された基板40や、その他の電子部品等(図示せず)が内蔵されている。ディスプレイユニット4は、基板に実装された電子部品等で構成された制御回路に含まれる映像信号処理回路(いずれも図示せず)から映像信号を受け取り、表示画面4bに、静止画や動画等の映像を表示させる。表示装置1がテレビジョン装置として構成される場合、表示装置1の制御回路は、例えば、映像信号処理回路の他、いずれも図示しないチューナ部や、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)信号処理部、AV(Audio Video)入力端子、リモコン信号受信部、制御部、セレクタ、オンスクリーンディスプレイインタフェース、記憶部(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等)、音声信号処理回路等を有する。基板は、筐体21内のディスプレイユニット4の後方(背面側)に収容される。また、表示装置1がコンピュータとして構成される場合、表示装置1の制御回路は、例えば、制御部(例えば、CPU等)や、記憶部(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等)、ディスプレイドライバ、通信インタフェース等を有する。また、表示装置1は、音声出力用のアンプ(図示せず)やスピーカ111等も備えている。
【0018】
図1乃至図3に示すように、接続部5は、筐体21の背面2bの長手方向における中心(中央部分)に位置されて接続されている、即ち、筐体21の左右で支持される重量が対象・ほぼ対称となるように位置される。例えば、テレビなどの電子機器では、接続部5との接続部分の一点で自身を支えるため前後に倒れないための安定性が求められるだけではなく、左右での揺れ・転倒を抑制するための安定化した構造設計も求められる。本実施例の構成を採用することで、表示装置1は、筐体21の長手方向(左右方向)に対する揺れに対して耐性を有する。
【0019】
ここで、本実施例の表示装置1は、筐体21、台座部3、および接続部5に帯電防止処理が施されている。以下、本実施例における帯電防止処理された表示装置1の構成について説明する。
【0020】
本実施例の表示装置1は、例えば界面活性材料やゴム材料などの帯電防止・帯電抑制効果がある材料が混入された(含まれた)合成樹脂材料(プラスチック)で構成されている。本実施例の教示装置1では、筐体21に上記帯電防止処理を施すことにより、例えば塵・埃が覆い場所に該表示装置1が設置された場合であっても、これらの塵・埃等が筐体21表面に吸着・付着されることを低減させることができる。
【0021】
例えば、表示装置1の電源オン・オフ時や摩擦された場合等に表示装置1の表面に静電気が発生することがある。この静電気の発生により筐体21表面に高電位が残る状態では、塵・埃等が吸着・付着され易く、美観が低減されてしまう可能性がある。また、表示画面近傍に高電位が残り、汚れる場合は、表示画面からの光に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、本実施例の表示装置1では、筐体21に帯電防止処理を施すことにより、表示装置1の表面が静電気を帯びることを抑制し、表示装置1の美観低下や表示画面の画質低下を抑制させることができる。
【0022】
本実施例の筐体21には、フロントマスク21aとバックカバー21cがそれぞれ含まれる。上記した通り、一般的に表示画面周辺は電源のオン・オフ時に発生する電位の変化に伴い、帯電現象が生じ易いが、本実施例のようにフロントマスク21aに帯電防止処理が施されることで、表示画面や、該表示画面の周りの領域に埃・塵などが集まり・吸着されることを抑制できる。表示装置1の正面は、商品展示の際や部屋の内装を飾る家具の一部として美観が重要視され、ユーザの購買意欲を掻き立てる機能を有する。本実施例では、表示装置1を正面から見た状態で機器の美観を維持させることができる。また、汚れがつきにくいためユーザの掃除の手間を省かせることが出来る。
【0023】
図1に示すように、フロントマスク21a側にはスピーカ111が設けられている。スピーカ111には音声を効率良く放出するための孔部等で形成される凹凸表面が設けられる。例えばこれらの凹凸表面には、埃塵等が溜まり易いが、本実施例の表示装置1では、スピーカ111を構成する筐体21の部分も帯電防止処理が施されているため、表示装置1を正面から見た状態でスピーカ111周辺の美観を維持させることができる。またユーザの掃除の手間を省かせることが出来る。
【0024】
図1に示すように、フロントマスク21a側には電源がオンされているか否かを示すLED111aが設けられている。例えばLED111aは、表示画面からの光(画像)に影響を与えないように、表示画面からの光量と比較して強力な光量とならないように調整される。ここで帯電防止処理が施されない場合、表示画面の周りの領域に埃・塵などが集まり堆積された結果、汚れの層が形成されて光量が更に低下される可能性がある。しかしながら、本実施例の表示装置1では、LED111aを構成する筐体21の部分も帯電防止処理が施されているため、LED111aの光量低下を抑制できる。
【0025】
本実施例では、バックカバー21cに帯電防止処理が施される。
図3に示すように本実施例のバックカバー21cには、複数の段差113a,113b等による凹凸が設けられる。例えばこれらの凹凸部分には、埃塵等が溜まり易いが、本実施例の表示装置1では、バックカバー21cを構成する筐体21の部分も帯電防止処理が施されているため、表示装置1を背面から見た状態でバックカバー21cの美観を維持させることができる。
【0026】
本実施例における表示装置1のバックカバー21cには、例えば上部に排気口(図示していない)が設けられ、バックカバー21cの周辺領域2bhに吸気孔(図示していない)が設けられている。本実施例の表示装置1では、筐体21内にファン211が収容されている。このファン211は、筐体下側から吸気し、筐体上側に排気する。
【0027】
本実施例の表示装置1のように、熱移動経路を下から上へと構成にすることで筐体21内での放熱効率を向上させることができる。ここで、筐体21に帯電防止処理が施されていない場合、排気口112から排出された空気は筐体21内の埃・塵と一緒に表示装置1外部(表示装置1の上側)に放出される。即ち、ファン211からの排気により筐体21内から巻き上がった埃・塵は、表示筐体1の上部に落ちて、堆積してしまう可能性がある。しかしながら、本実施例のバックカバー21cには、帯電防止処理が施されているため、表示装置1を背面から見た状態でバックカバー21cの美観を維持させることができる。
【0028】
尚、本実施例の表示装置1では、台座部3および接続部5にも帯電防止処理が施されている。特に台座部3は、重量物である表示部2を支持するため広い面積/支持面を有する設計となる傾向がある。また、重力方向にたいして直交・略直交する面が多くなるため、埃・塵の堆積が目立つ。しかしながら本実施例では、台座部3および接続部5に帯電防止処理が施されている構成により、台座部3および接続部5が粉塵等で汚れる可能性を低減することができる。
【0029】
本実施例の表示装置1は、例えば界面活性材料やゴム材料などの帯電防止・帯電抑制効果がある材料が混入された(含まれた)合成樹脂材料(プラスチック)で構成されているが、表示装置1の表面抵抗値を高めることができる構成であればよく、例えば、帯電防止・帯電抑制効果がある塗料を表示装置1の表面に塗布して帯電防止処理をしても好適である。
【0030】
本実施例の表示装置1を構成する筐体21における表面抵抗値は、例えば、約1×10の13乗オームに設定される。旧労働省の産業安全研究所編の静電気安全指針(1988年改訂版)には、「帯電性不導体の指標」として表面抵抗置が1×10の10Ω以上の固体は帯電性不導体とされていると記載されているが、本実施例では、上記値を満たした値となっている。
【0031】
筐体21における表面抵抗値を上げる場合、単純に帯電防止材料を大量に使用することで達成される。しかしながら、帯電防止材料は、筐体21を本来構成する合成樹脂材料との親和性が低く、筐体21の成形時に帯電防止材料が表面に出易くなる傾向がある。この場合、成形時の溶融材料が流れた跡である、いわゆるゲートマークやフローマークが表示装置1の外観に現れてしまう。即ち、筐体21における表面抵抗値を向上させるために単に帯電防止材料を大量に使用しようとした場合、ゲートマークやフローマークが濃く表れて表示装置1の美観が低下されてしまう可能性がある。
【0032】
このため、本実施例の筐体21では、金型成形時のゲートマークやフローマークが残りにくい構成を有する。以下、図4乃至図7を参照しながら本実施例の筐体21の構成について説明する。
【0033】
図4は、本実施例の筐体の金型成形時における構成を示した図である。図5は、本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た図である。図6は、本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た状態で一部を拡大した図である。図7は、本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た状態で一部を拡大した断面図である。図8は、本実施例における溶融材料の流れる構成を示した概念図である。
【0034】
図4に示すように、筐体21を製造する際には、定型の凹部を有した金型を作成・用意し、該金型に融解させた、筐体21を構成する合成樹脂材料を流し込む。上述した帯電抑制材料は、このとき同時に又は既に合成樹脂材料に混入された状態である。
【0035】
図4に示すように、本実施例では、複数のホットランナー部(注ぎ部、口部)400から上記溶融材料を流し込む。この溶融材料はランナー部401を通り金型全域に広がり、ゲート部402を通して金型内に広がる。
【0036】
図5乃至図7に示すように、本実施例の筐体21では、ゲート部402と連続する部分(突出部、突部、連通部、タブ)500が周囲の壁よりも突出された形状を有する。また、突出部500は筐体21内に設けられた凹部(開口部)501内に位置される。
【0037】
例えば、ゲート部402を筐体21の内壁と面一の位置でつなぎ、溶融材料を注ぐ場合、帯電防止材料が合成樹脂材料と一部分離された状態となり、上述したゲートマークやフローマークが濃く表れて表示装置1の美観が低下されてしまう可能性がある。
【0038】
図5乃至図8に示すように、本実施例では、ゲート部402と筐体21の内壁とを離間させた構成を有する。このような構成にすることで、突出部500と筐体21の内壁との間に形成されたコーナ部ができ、溶融樹脂の流れの一部を乱流させることができる。即ち、ゲート部402と筐体21の内壁との間に一部流れを乱す機能を設けることで、帯電防止材料が合成樹脂材料と一部分離された状態から帯電防止材料が合成樹脂材料とを混ぜ込める可能性が高まる。
【0039】
例えば本実施例における凹部501は、筐体21の反対側(外側)との距離が最も近くなる部分、即ち薄くなる部分で筐体21の平均的厚さの半分ほどとなる。近年の薄型化に対応した電子機器では、極端に凹部501が設けられ部分の厚さを薄くすることで筐体21の強度が弱くなってしまうが、本実施例の表示装置は、筐体21の強度に影響が出ない範囲で最も深く掘れる位置まで凹部501を設計する。このように本実施例では、筐体21の強度を保てる範囲で、凹部501の絞りを大きく(強く、深く)し、より乱流を生じ易くさせることができる構成に設計しいている。
【0040】
本実施例の凹部501は、突出部500の付け根である突出部500と筐体21との連続する領域の深さが最も深くなるように設計している。このように設計することで、突出部500から筐体21へ溶融材料が一気に広がるための出口でもっとも絞られる構成とさせることができ、より流体の流れが乱される。しかしながら、凹部501自体を設けることで既に効果を得ることができるため、凹部501の形状に関しては、流路断面を絞る効果を有する構成であれば、本実施例の形状以外でもよい。
【0041】
突出部500は、筐体21の縁(端)近傍に位置される。金型に流入された溶融材料は、冷却して凝固された後、金型から押し出しピンや押し出し枠などで押し出される。ここで、一般に筐体21の内部に近い場所では、起立された立壁などを設けるスペースが無く押し出しピンが使用され、筐体21の縁では、筐体21の周壁に対応された押し出し枠が用いされる。押し出し枠は、押し出しピンより押圧面(枠・ピンと筐体21との当接面)が広いため、その周囲で筐体21の変形が生じ難い。即ち本実施例の構成では、突出部500が筐体21の縁(端)近傍に位置されることで、金型からの分離作業時に突出部500の周囲が変形され難く、ゲートマークやフローマークが目立つことを抑制できる。
【0042】
図5乃至図8に示すように、本実施例では、突出部500を筐体21の内壁に設けられた凹部501内に位置させた構成を有する。このような構成にすることで、突出部500から流れる流路の断面の幅が絞られた状態となる。即ち流路断面が変化し、溶融樹脂の流れの一部を乱流させることができる。即ち、ゲート部402と筐体21の内壁とを離間させた構成と同様、ゲート部402と筐体21の内壁との間に一部流れを乱す機能を設けることで、帯電防止材料が合成樹脂材料と一部分離された状態から帯電防止材料が合成樹脂材料とを混ぜ込める可能性が高まる。
【0043】
本実施例の表示装置1では、表面にシボ加工などの凹凸を有する。本実施例の表示装置1では、このような表面形状を有することで、ゲートマークやフローマークが明確に表れることを低減できる。
【0044】
また、突出部500は、ゲート部402と筐体21の内壁とを離間させた構成であればよく、図5乃至図8の形状に限られない。図9乃至図13に突出部500の変形例を示す。図9は、本実施例の突出部の第1の変形例である。図10は、本実施例の突出部の第2の変形例である。図11は、本実施例の突出部の第3の変形例である。図12は、本実施例の突出部の第4の変形例である。図13は、本実施例の突出部の第5の変形例である。
【0045】
図9および図10に示すように、溶融材料の流れ方向や、筐体21の形状におうじて突出部の長手方向を変化させることで乱流がより効果的に生じる。例えば、流れ方向に交差するように突出部の長手方向を設けた場合、流れに沿った方向よりも溶融材料は乱れて流れ易い。また、ゲート部402周辺の筐体21に幅がある場合、その長手方向と溶融材料の流れ方向とは交差させることが、流れに沿った方向に流すよりも乱流を生じさせ易い。
【0046】
図11に示すように、突出部500の断面形状に変化を付けて流路幅をかえることで、突出部500を筐体21の内壁に設けられた凹部内に位置させた構成と同様の効果、即ち、流路の断面の幅が絞られた状態となる。即ち流路断面が変化し、溶融樹脂の流れの一部を乱流させることができる効果を得る。
【0047】
図12および図13に示すように、突出部500の断面形状に複数の角部を設けることで、突出部500内で乱流を生じ易くさせることも出来る。
以上、本実施形態に係る電子機器について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。複数の複数の変形例に係る構成要素は、適宜を組み合わせて実施することができる。
【0048】
本実施例の構成が適用可能な電子機器はテレビに限らず、例えばデジタルカメラやビデオカメラ、パーソナルデジタルアシスタント、テレビ、ハードディスクドライブなど種々の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…表示装置(電子機器)
2…表示部
2b1…収容部
3…台座部(基部)
3b…下面部
3b1…リブ
4b…表示画面
5…接続部
6…突出部(突部)
7…連結部
7a,7b…挿入開口
500…突出部
501…凹部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テレビおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電抑制構造を有した電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-287595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の電子機器では、筐体の帯電抑制性の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態は、表示画面を有する表示装置と、前記表示装置が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体と、前記筐体内に収容されたチューナと、前記筐体が支持された支持部と、を有する。
【0006】
1つの実施形態は、表示画面を有する表示装置と、前記表示装置が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を前面から見た図である。
【図2】本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を後面から見た図である。
【図3】本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を側面から見た図である。
【図4】本実施例の筐体の金型成形時における構成を示した図である。
【図5】本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た図である。
【図6】本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た状態で一部を拡大した図である。
【図7】本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た状態で一部を拡大した断面図である。
【図8】本実施例における溶融材料の流れる構成を示した概念図である。
【図9】本実施例の突出部の第1の変形例である。
【図10】本実施例の突出部の第2の変形例である。
【図11】本実施例の突出部の第3の変形例である。
【図12】本実施例の突出部の第4の変形例である。
【図13】本実施例の突出部の第5の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、方向が規定されている。図1は、表示装置(テレビ、放送波受信装置、電子機器)1における表示部(ディスプレイ、表示パネル)2の表示画面側(前面、正面)からみた状態を示した図である。図2は、本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を表示画面とは反対側(後面、背面)から見た図である。図3は、本実施形態にかかる電子機器としての表示装置を側方から見た図である。
【0009】
ここでは、一例として、当該表示部2の前面視(正面視)で右方向(後面視(背面視)では左方向)をX方向、上方向をY方向、奥行き方向(前方向)をZ方向とする。各図には、表示装置1に組み付けられた状態での方向を示す矢印が記載される。
【0010】
図1に示すように、本実施形態にかかる表示装置1は、机上等に載置される台座部(基部、板部、支持部、支持部材)3と、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイユニット4を内蔵した表示部2と、表示部2に接続されて台座部3に支持された接続部5(連結部、支持部、首部、支持部材)と、を備えている。
【0011】
図1に示すように、台座部3は、机の天板等に当接される面が平面(天板と面一となる)形状で、表示装置1の上下方向に比較的薄い扁平な形状を有している。台座部3は、上面3aと、下面3bと、接続部5に連続した部分3cと、表示画面側に位置された第1面部3dと、表示画面側とは反対側に位置された第2面部3eと、を有する。
【0012】
図1および図2に示すように、表示部2は、前面(表示面、第1面、正面)2aと、その反対側に位置する後面(非表示面、第2面、背面)2bと、前面2aと後面2bとに亘る周面(側面、覆部の縁部、覆部の端)2cとを有し、前後方向に薄く前面視では横長の長方形状の外観を呈する扁平な直方体状に構成されている。周面2cは、上面(側面、上壁)2dと、下面(側面、下壁、底壁)2eと、右面(側面、側壁)2fと、左面(側面、側壁)2gと、を含む大きく4分割された面部を有する。後面2bは、中央領域2bc、及び周辺領域2bhを有する。中央領域2bcは、表示画面の中心に対向する位置近傍の領域であり、周辺領域2bhは、中央領域2bcを囲むとともに周面2cに沿った(重なった)領域である。
【0013】
筐体21は、フロントマスク(筐体21の前面、筐体21の表示面、筐体21の第1面、筐体21の正面、マスク部、フロントカバー、覆部)21aとバックカバー(筐体21の後面、筐体21の非表示面、筐体21の第2面、筐体21の背面、バックカバー、覆部)21cと含む。ディスプレイユニット4の前面4a周囲の一部を覆う筐体21の一部としてのフロントマスク21aには、矩形状の開口部21bが設けられている。この開口部21bからは、ディスプレイユニット4の前面4aが露出している。本実施形態では、ディスプレイユニット4の前面4aのうち、開口部2eから露出した部分が、表示画面4bである。図1および図2から明らかとなるように、表示画面4bは起立している(支持部の載置面に対して垂直・略垂直/直交・略直交している)。
【0014】
図3に示すように、これらの面は、後面2bから前面2aに向かって拡開する方向に延びる。即ち、後面2bは、前面2aよりも小さい面積を有するとともに、表示画面の前後の方向から平面視した状態で、前面2aの外縁内に収まった位置に設けられる。上面2dと、下面2eと、右面2fと、左面2gとはいずれも前面2a(後面2b)に対して傾斜したスロープの形状である。
【0015】
図3に示すように、上面2dと、下面2eと表示装置1の背面に向かって傾斜した形状を有する。このような構成を有することで、電子機器の外観をより薄く見せられる効果がある。また、この形状を構成するため、本実施例における電子機器では、表示部2の背面に収容された基板などの電子部品を表示部2の周縁から離して位置させている。
【0016】
図3に示すように、上面2d及び下面2eは、其々に筐体21中央部が最も厚く、筐体21縁部に近づくに連れて薄くなるような段差、スロープ部(斜面、傾き部)などが設けられる。このような形状を有することで、上面2dの傾斜と同様の効果、即ち電子機器の外観をより薄く見せられる効果がある。
【0017】
表示部2の筐体21内には、ディスプレイユニット4の他、CPU(Central Processing Unit)等の電子部品が実装された基板40や、その他の電子部品等(図示せず)が内蔵されている。ディスプレイユニット4は、基板に実装された電子部品等で構成された制御回路に含まれる映像信号処理回路(いずれも図示せず)から映像信号を受け取り、表示画面4bに、静止画や動画等の映像を表示させる。表示装置1がテレビジョン装置として構成される場合、表示装置1の制御回路は、例えば、映像信号処理回路の他、いずれも図示しないチューナ部や、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)信号処理部、AV(Audio Video)入力端子、リモコン信号受信部、制御部、セレクタ、オンスクリーンディスプレイインタフェース、記憶部(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等)、音声信号処理回路等を有する。基板は、筐体21内のディスプレイユニット4の後方(背面側)に収容される。また、表示装置1がコンピュータとして構成される場合、表示装置1の制御回路は、例えば、制御部(例えば、CPU等)や、記憶部(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等)、ディスプレイドライバ、通信インタフェース等を有する。また、表示装置1は、音声出力用のアンプ(図示せず)やスピーカ111等も備えている。
【0018】
図1乃至図3に示すように、接続部5は、筐体21の背面2bの長手方向における中心(中央部分)に位置されて接続されている、即ち、筐体21の左右で支持される重量が対象・ほぼ対称となるように位置される。例えば、テレビなどの電子機器では、接続部5との接続部分の一点で自身を支えるため前後に倒れないための安定性が求められるだけではなく、左右での揺れ・転倒を抑制するための安定化した構造設計も求められる。本実施例の構成を採用することで、表示装置1は、筐体21の長手方向(左右方向)に対する揺れに対して耐性を有する。
【0019】
ここで、本実施例の表示装置1は、筐体21、台座部3、および接続部5に帯電防止処理が施されている。以下、本実施例における帯電防止処理された表示装置1の構成について説明する。
【0020】
本実施例の表示装置1は、例えば界面活性材料やゴム材料などの帯電防止・帯電抑制効果がある材料が混入された(含まれた)合成樹脂材料(プラスチック)で構成されている。本実施例の教示装置1では、筐体21に上記帯電防止処理を施すことにより、例えば塵・埃が覆い場所に該表示装置1が設置された場合であっても、これらの塵・埃等が筐体21表面に吸着・付着されることを低減させることができる。
【0021】
例えば、表示装置1の電源オン・オフ時や摩擦された場合等に表示装置1の表面に静電気が発生することがある。この静電気の発生により筐体21表面に高電位が残る状態では、塵・埃等が吸着・付着され易く、美観が低減されてしまう可能性がある。また、表示画面近傍に高電位が残り、汚れる場合は、表示画面からの光に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、本実施例の表示装置1では、筐体21に帯電防止処理を施すことにより、表示装置1の表面が静電気を帯びることを抑制し、表示装置1の美観低下や表示画面の画質低下を抑制させることができる。
【0022】
本実施例の筐体21には、フロントマスク21aとバックカバー21cがそれぞれ含まれる。上記した通り、一般的に表示画面周辺は電源のオン・オフ時に発生する電位の変化に伴い、帯電現象が生じ易いが、本実施例のようにフロントマスク21aに帯電防止処理が施されることで、表示画面や、該表示画面の周りの領域に埃・塵などが集まり・吸着されることを抑制できる。表示装置1の正面は、商品展示の際や部屋の内装を飾る家具の一部として美観が重要視され、ユーザの購買意欲を掻き立てる機能を有する。本実施例では、表示装置1を正面から見た状態で機器の美観を維持させることができる。また、汚れがつきにくいためユーザの掃除の手間を省かせることが出来る。
【0023】
図1に示すように、フロントマスク21a側にはスピーカ111が設けられている。スピーカ111には音声を効率良く放出するための孔部等で形成される凹凸表面が設けられる。例えばこれらの凹凸表面には、埃塵等が溜まり易いが、本実施例の表示装置1では、スピーカ111を構成する筐体21の部分も帯電防止処理が施されているため、表示装置1を正面から見た状態でスピーカ111周辺の美観を維持させることができる。またユーザの掃除の手間を省かせることが出来る。
【0024】
図1に示すように、フロントマスク21a側には電源がオンされているか否かを示すLED111aが設けられている。例えばLED111aは、表示画面からの光(画像)に影響を与えないように、表示画面からの光量と比較して強力な光量とならないように調整される。ここで帯電防止処理が施されない場合、表示画面の周りの領域に埃・塵などが集まり堆積された結果、汚れの層が形成されて光量が更に低下される可能性がある。しかしながら、本実施例の表示装置1では、LED111aを構成する筐体21の部分も帯電防止処理が施されているため、LED111aの光量低下を抑制できる。
【0025】
本実施例では、バックカバー21cに帯電防止処理が施される。
図3に示すように本実施例のバックカバー21cには、複数の段差113a,113b等による凹凸が設けられる。例えばこれらの凹凸部分には、埃塵等が溜まり易いが、本実施例の表示装置1では、バックカバー21cを構成する筐体21の部分も帯電防止処理が施されているため、表示装置1を背面から見た状態でバックカバー21cの美観を維持させることができる。
【0026】
本実施例における表示装置1のバックカバー21cには、例えば上部に排気口(図示していない)が設けられ、バックカバー21cの周辺領域2bhに吸気孔(図示していない)が設けられている。本実施例の表示装置1では、筐体21内にファン211が収容されている。このファン211は、筐体下側から吸気し、筐体上側に排気する。
【0027】
本実施例の表示装置1のように、熱移動経路を下から上へと構成にすることで筐体21内での放熱効率を向上させることができる。ここで、筐体21に帯電防止処理が施されていない場合、排気口112から排出された空気は筐体21内の埃・塵と一緒に表示装置1外部(表示装置1の上側)に放出される。即ち、ファン211からの排気により筐体21内から巻き上がった埃・塵は、表示筐体1の上部に落ちて、堆積してしまう可能性がある。しかしながら、本実施例のバックカバー21cには、帯電防止処理が施されているため、表示装置1を背面から見た状態でバックカバー21cの美観を維持させることができる。
【0028】
尚、本実施例の表示装置1では、台座部3および接続部5にも帯電防止処理が施されている。特に台座部3は、重量物である表示部2を支持するため広い面積/支持面を有する設計となる傾向がある。また、重力方向にたいして直交・略直交する面が多くなるため、埃・塵の堆積が目立つ。しかしながら本実施例では、台座部3および接続部5に帯電防止処理が施されている構成により、台座部3および接続部5が粉塵等で汚れる可能性を低減することができる。
【0029】
本実施例の表示装置1は、例えば界面活性材料やゴム材料などの帯電防止・帯電抑制効果がある材料が混入された(含まれた)合成樹脂材料(プラスチック)で構成されているが、表示装置1の表面抵抗値を高めることができる構成であればよく、例えば、帯電防止・帯電抑制効果がある塗料を表示装置1の表面に塗布して帯電防止処理をしても好適である。
【0030】
本実施例の表示装置1を構成する筐体21における表面抵抗値は、例えば、約1×10の13乗オームに設定される。旧労働省の産業安全研究所編の静電気安全指針(1988年改訂版)には、「帯電性不導体の指標」として表面抵抗置が1×10の10Ω以上の固体は帯電性不導体とされていると記載されているが、本実施例では、上記値を満たした値となっている。
【0031】
筐体21における表面抵抗値を上げる場合、単純に帯電防止材料を大量に使用することで達成される。しかしながら、帯電防止材料は、筐体21を本来構成する合成樹脂材料との親和性が低く、筐体21の成形時に帯電防止材料が表面に出易くなる傾向がある。この場合、成形時の溶融材料が流れた跡である、いわゆるゲートマークやフローマークが表示装置1の外観に現れてしまう。即ち、筐体21における表面抵抗値を向上させるために単に帯電防止材料を大量に使用しようとした場合、ゲートマークやフローマークが濃く表れて表示装置1の美観が低下されてしまう可能性がある。
【0032】
このため、本実施例の筐体21では、金型成形時のゲートマークやフローマークが残りにくい構成を有する。以下、図4乃至図7を参照しながら本実施例の筐体21の構成について説明する。
【0033】
図4は、本実施例の筐体の金型成形時における構成を示した図である。図5は、本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た図である。図6は、本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た状態で一部を拡大した図である。図7は、本実施例におけるフロントカバーを筐体内部側から見た状態で一部を拡大した断面図である。図8は、本実施例における溶融材料の流れる構成を示した概念図である。
【0034】
図4に示すように、筐体21を製造する際には、定型の凹部を有した金型を作成・用意し、該金型に融解させた、筐体21を構成する合成樹脂材料を流し込む。上述した帯電抑制材料は、このとき同時に又は既に合成樹脂材料に混入された状態である。
【0035】
図4に示すように、本実施例では、複数のホットランナー部(注ぎ部、口部)400から上記溶融材料を流し込む。この溶融材料はランナー部401を通り金型全域に広がり、ゲート部402を通して金型内に広がる。
【0036】
図5乃至図7に示すように、本実施例の筐体21では、ゲート部402と連続する部分(突出部、突部、連通部、タブ)500が周囲の壁よりも突出された形状を有する。また、突出部500は筐体21内に設けられた凹部(開口部)501内に位置される。
【0037】
例えば、ゲート部402を筐体21の内壁と面一の位置でつなぎ、溶融材料を注ぐ場合、帯電防止材料が合成樹脂材料と一部分離された状態となり、上述したゲートマークやフローマークが濃く表れて表示装置1の美観が低下されてしまう可能性がある。
【0038】
図5乃至図8に示すように、本実施例では、ゲート部402と筐体21の内壁とを離間させた構成を有する。このような構成にすることで、突出部500と筐体21の内壁との間に形成されたコーナ部ができ、溶融樹脂の流れの一部を乱流させることができる。即ち、ゲート部402と筐体21の内壁との間に一部流れを乱す機能を設けることで、帯電防止材料が合成樹脂材料と一部分離された状態から帯電防止材料が合成樹脂材料とを混ぜ込める可能性が高まる。
【0039】
例えば本実施例における凹部501は、筐体21の反対側(外側)との距離が最も近くなる部分、即ち薄くなる部分で筐体21の平均的厚さの半分ほどとなる。近年の薄型化に対応した電子機器では、極端に凹部501が設けられ部分の厚さを薄くすることで筐体21の強度が弱くなってしまうが、本実施例の表示装置は、筐体21の強度に影響が出ない範囲で最も深く掘れる位置まで凹部501を設計する。このように本実施例では、筐体21の強度を保てる範囲で、凹部501の絞りを大きく(強く、深く)し、より乱流を生じ易くさせることができる構成に設計しいている。
【0040】
本実施例の凹部501は、突出部500の付け根である突出部500と筐体21との連続する領域の深さが最も深くなるように設計している。このように設計することで、突出部500から筐体21へ溶融材料が一気に広がるための出口でもっとも絞られる構成とさせることができ、より流体の流れが乱される。しかしながら、凹部501自体を設けることで既に効果を得ることができるため、凹部501の形状に関しては、流路断面を絞る効果を有する構成であれば、本実施例の形状以外でもよい。
【0041】
突出部500は、筐体21の縁(端)近傍に位置される。金型に流入された溶融材料は、冷却して凝固された後、金型から押し出しピンや押し出し枠などで押し出される。ここで、一般に筐体21の内部に近い場所では、起立された立壁などを設けるスペースが無く押し出しピンが使用され、筐体21の縁では、筐体21の周壁に対応された押し出し枠が用いされる。押し出し枠は、押し出しピンより押圧面(枠・ピンと筐体21との当接面)が広いため、その周囲で筐体21の変形が生じ難い。即ち本実施例の構成では、突出部500が筐体21の縁(端)近傍に位置されることで、金型からの分離作業時に突出部500の周囲が変形され難く、ゲートマークやフローマークが目立つことを抑制できる。
【0042】
図5乃至図8に示すように、本実施例では、突出部500を筐体21の内壁に設けられた凹部501内に位置させた構成を有する。このような構成にすることで、突出部500から流れる流路の断面の幅が絞られた状態となる。即ち流路断面が変化し、溶融樹脂の流れの一部を乱流させることができる。即ち、ゲート部402と筐体21の内壁とを離間させた構成と同様、ゲート部402と筐体21の内壁との間に一部流れを乱す機能を設けることで、帯電防止材料が合成樹脂材料と一部分離された状態から帯電防止材料が合成樹脂材料とを混ぜ込める可能性が高まる。
【0043】
本実施例の表示装置1では、表面にシボ加工などの凹凸を有する。本実施例の表示装置1では、このような表面形状を有することで、ゲートマークやフローマークが明確に表れることを低減できる。
【0044】
また、突出部500は、ゲート部402と筐体21の内壁とを離間させた構成であればよく、図5乃至図8の形状に限られない。図9乃至図13に突出部500の変形例を示す。図9は、本実施例の突出部の第1の変形例である。図10は、本実施例の突出部の第2の変形例である。図11は、本実施例の突出部の第3の変形例である。図12は、本実施例の突出部の第4の変形例である。図13は、本実施例の突出部の第5の変形例である。
【0045】
図9および図10に示すように、溶融材料の流れ方向や、筐体21の形状におうじて突出部の長手方向を変化させることで乱流がより効果的に生じる。例えば、流れ方向に交差するように突出部の長手方向を設けた場合、流れに沿った方向よりも溶融材料は乱れて流れ易い。また、ゲート部402周辺の筐体21に幅がある場合、その長手方向と溶融材料の流れ方向とは交差させることが、流れに沿った方向に流すよりも乱流を生じさせ易い。
【0046】
図11に示すように、突出部500の断面形状に変化を付けて流路幅をかえることで、突出部500を筐体21の内壁に設けられた凹部内に位置させた構成と同様の効果、即ち、流路の断面の幅が絞られた状態となる。即ち流路断面が変化し、溶融樹脂の流れの一部を乱流させることができる効果を得る。
【0047】
図12および図13に示すように、突出部500の断面形状に複数の角部を設けることで、突出部500内で乱流を生じ易くさせることも出来る。
以上、本実施形態に係る電子機器について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。複数の複数の変形例に係る構成要素は、適宜を組み合わせて実施することができる。
【0048】
本実施例の構成が適用可能な電子機器はテレビに限らず、例えばデジタルカメラやビデオカメラ、パーソナルデジタルアシスタント、テレビ、ハードディスクドライブなど種々の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…表示装置(電子機器)
2…表示部
2b1…収容部
3…台座部(基部)
3b…下面部
3b1…リブ
4b…表示画面
5…接続部
6…突出部(突部)
7…連結部
7a,7b…挿入開口
500…突出部
501…凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有する表示装置と、
前記表示装置が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体と、
前記筐体内に収容されたチューナと、
前記筐体を支持し帯電抑制効果を有する支持部と、
を有することを特徴とするテレビ。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記筐体は、帯電防止材料が含まれた合成樹脂材で構成されたことを特徴とするテレビ。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記筐体は、表面固定抵抗値が10の13乗Ω以下であることを特徴とするテレビ。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記筐体は、内面に突出されたゲート部を有することを特徴とするテレビ。
【請求項5】
請求項4の記載において、
前記ゲート部は、前記筐体内面に設けられた凹部内に位置されたことを特徴とするテレビ。
【請求項6】
請求項4の記載において、
前記ゲート部は、前記筐体の前記第1面部の縁に位置されたことを特徴とするテレビ。
【請求項7】
請求項3の記載において、
前記筐体は、表面にシボ加工が施されたことを特徴とするテレビ。
【請求項8】
請求項1の記載において、
前記筐体は、表面に帯電防止材料が塗布されたことを特徴とするテレビ。
【請求項9】
表示画面を有する表示装置と、
前記表示装置が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
表示画面を有する表示装置と、
前記表示装置が収容された筐体と、
前記筐体を支持し、帯電抑制効果を有する支持部と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
表示画面を有する表示装置と、
前記表示装置が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体と、
前記筐体内に収容されたチューナと、
前記筐体を支持し帯電抑制効果を有する支持部と、
を有することを特徴とするテレビ。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記筐体は、帯電防止材料が含まれた合成樹脂材で構成されたことを特徴とするテレビ。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記筐体は、表面固定抵抗値が10の13乗Ω以下であることを特徴とするテレビ。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記筐体は、内面に突出されたゲート部を有することを特徴とするテレビ。
【請求項5】
請求項4の記載において、
前記ゲート部は、前記筐体内面に設けられた凹部内に位置されたことを特徴とするテレビ。
【請求項6】
請求項4の記載において、
前記ゲート部は、前記筐体の前記第1面部の縁に位置されたことを特徴とするテレビ。
【請求項7】
請求項3の記載において、
前記筐体は、表面にシボ加工が施されたことを特徴とするテレビ。
【請求項8】
請求項1の記載において、
前記筐体は、表面に帯電防止材料が塗布されたことを特徴とするテレビ。
【請求項9】
表示画面を有する表示装置と、
前記表示装置が収容され、表示画面が露出された開口部が設けられた第1面部と、この第1面とは反対側に位置された第2面部とを備え、帯電抑制効果を有する筐体と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
表示画面を有する表示装置と、
前記表示装置が収容された筐体と、
前記筐体を支持し、帯電抑制効果を有する支持部と、
を有することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−138854(P2012−138854A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291253(P2010−291253)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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