説明

テレビジョン受信用機器

【課題】 直流電源を電通させる際に電圧降下が極力生じないようにする。
【解決手段】 第2出力端子OUT2に直流電源が下流側から供給されている場合は、直流電源がチョークコイルCH3と抵抗Rを介してリレーコイルに印加されて、リレーRYが駆動される。これにより、第2出力端子OUT2からの直流電源は、CH3−RYのc−RYのa−CH1の経路で入力端子INから出力される。また、第1出力端子OUT1にだけ直流電源が下流側から供給されている場合は、直流電源がCH2−RYのb−RYのa−CH1の経路で入力端子INから出力される。このようにリレーを用いたので、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナに直流電源を電圧降下を生じることなく供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受信信号を分配する分配器やテレビジョン受信信号を増幅するブースター等のアンテナとテレビジョン等の受信装置との間に設けられるテレビジョン受信用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送用アンテナと地上デジタル放送用アンテナとを備えるテレビジョンの受信システムにおいては、従来、衛星放送用アンテナの受信信号と地上デジタル放送用アンテナの受信信号とを混合器で混合し、次いで、ブースターにより混合した受信信号を増幅し、さらに、増幅した受信信号を分配器で分配してテレビジョンやレコーダあるいはTVチューナ等の受信装置へ受信信号を供給するようにしている。この場合、衛星放送用アンテナではコンバータを動作させる直流電源(一般的には、DC15V)が必要とされることから、テレビジョンやレコーダあるいはTVチューナ等の受信装置から直流電源を、受信信号を伝達する同軸ケーブルに重畳して衛星放送用アンテナに供給している。このように、衛星放送用アンテナに直流電源を供給するために、衛星放送用アンテナと受信装置との間に設けられる分配器、ブースターおよび混合器においては出力端子に供給された直流電源を入力端子から出力することのできる電通型の受信機用機器とされている。
【0003】
従来の電通型の混合器の回路構成を図4に示す。この混合器100は、衛星放送用アンテナの受信信号と地上デジタル放送用アンテナの受信信号とを混合することができる。
図4に示す混合器100において、入力端子IN101には、衛星放送用アンテナの受信信号が入力され、入力端子IN102には、地上デジタル放送用アンテナの受信信号が入力される。第1入力端子IN101に入力された受信信号はコンデンサC101を介して混合回路101に入力され、第2入力端子IN102に入力された受信信号はコンデンサC102を介して混合回路101に入力される。混合回路101で混合された受信信号はコンデンサC103を介して出力端子OUTから出力される。
下流側の伝送線を介して出力端子OUTに供給された直流電源はチョークコイルCH101を介して第1入力端子IN101から出力される。これにより、第1入力端子IN101から衛星放送用アンテナに直流電源がコンバータ電源として供給されるようになる。なお、コンデンサC101〜C103は直流阻止用として機能することから、直流電源が混合回路101に印加されるおそれはなく、チョークコイルCH101は受信信号阻止用として機能することから、チョークコイルCH101を介して受信信号が漏洩するおそれはない。
【0004】
次に、従来の電通型の4分配器の回路構成を図5に示す。この4分配器110は、混合等された受信信号を4分配することができ、分配出力をそれぞれ出力する4つの出力端子の少なくとも1つに供給された直流電源を入力端子から出力することができる。
図5に示す4分配器110において、入力端子INに入力された受信信号は直流阻止用のコンデンサC111を介して4分配回路111に入力されて4分配される。4分配回路111からの4分配された第1の分配出力は直流阻止用のコンデンサC112を介して第1出力端子OUT111から出力され、4分配回路111からの第2の分配出力は直流阻止用のコンデンサC113を介して第2出力端子OUT112から出力され、4分配回路111からの第3の分配出力は直流阻止用のコンデンサC114を介して第3出力端子OUT113から出力され、4分配回路111からの第4の分配出力は直流阻止用のコンデンサC115を介して第4出力端子OUT114から出力される。
【0005】
入力端子INにはチョークコイルCH111の一端が接続されており、チョークコイルCH111の他端は4つのダイオードD112,D113,D114,D115のカソードに接続されている。そして、ダイオードD112のアノードはチョークコイルCH112を介して経路A−Aにより第1出力端子OUT111に接続され、ダイオードD113のアノードはチョークコイルCH113を介して経路B−Bにより第2出力端子OUT112に接続され、ダイオードD114のアノードはチョークコイルCH114を介して経路C−Cにより第3出力端子OUT113に接続され、ダイオードD115のアノードはチョークコイルCH115を介して経路D−Dにより第4出力端子OUT114に接続される。
これにより、第1出力端子OUT111ないし第4出力端子OUT114の少なくとも1つに下流側の伝送線から供給された直流電源はCH112−D112の経路、CH113−D113の経路、CH114−D114の経路、CH115−D115の経路の少なくとも1つを介し、さらに、チョークコイルCH111を介して入力端子INから出力される。これにより、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナに直流電源をコンバータ電源として供給することが可能となる。なお、チョークコイルCH111〜CH115は受信信号阻止用として機能することから、チョークコイルCH111〜CH115を介して受信信号が漏洩するおそれはない。
【0006】
次に、従来の2分配器を備える電通型ブースター200の回路構成を図6に示す。この電通型ブースター200は、分配器で分配等された受信信号を所定レベルに増幅して2分配して出力することができ、増幅してそれぞれ出力する2つの出力端子の少なくとも1つに供給された直流電源を入力端子から出力することができる。
図6に示す電通型ブースター200はブースター部200aと2分配回路206とを含んでいる。入力端子INに入力された受信信号は直流阻止用のコンデンサC201を介してブースター部200aに供給され、地上デジタル放送帯域を抽出するローパスフィルタ(以下、「LPF」という)201と、衛星放送のIF帯域を抽出するハイパスフィルタ(以下、「HPF」という)207に供給される。
【0007】
LPF201で抽出された地上デジタル放送の受信信号は、アンプ(以下、「AMP」という)202に供給されて所定レベルに増幅され、LPF203で不要成分が除去される。LPF203からは、所定レベルに増幅された地上デジタル放送の受信信号が出力される。
また、HPF207で抽出された衛星放送の受信信号は、AMP208で所定レベルに増幅されHPF209で不要成分が除去されて出力される。LPF203とHPF209との出力信号は混合されてブースター部200aから出力され、2分配回路206に供給されて2分配される。2分配回路206で分配された第1分配出力は直流阻止用のコンデンサC204を介して第1出力端子OUT201から出力され、第2分配出力は直流阻止用のコンデンサC205を介して第2出力端子OUT202から出力される。
なお、AMP202およびAMP208には電源部210から電源が供給されている。
【0008】
入力端子INにはチョークコイルCH201の一端が接続されており、チョークコイルCH201の他端は2つのダイオードD202,D203のカソードに接続されている。そして、ダイオードD202のアノードはチョークコイルCH202を介して第1出力端子OUT201に接続され、ダイオードD203のアノードはチョークコイルCH203を介して第2出力端子OUT202に接続される。
これにより、第1出力端子OUT201と第2出力端子OUT202の少なくとも1つに下流側の伝送線から供給された直流電源はCH202−D202の経路、CH203−D203の経路の経路の少なくとも1つを介し、さらに、チョークコイルCH201を介して入力端子INから出力される。これにより、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナに直流電源をコンバータ電源として供給することが可能となる。なお、チョークコイルCH201〜CH203は受信信号阻止用として機能することから、チョークコイルCH201〜CH203を介して受信信号が漏洩するおそれはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3577676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のテレビジョン受信システムにおいては、各アンテナと混合器100、混合器100と4分配器110、4分配器110と電通型ブースター200との間は同軸ケーブル等の伝送線により接続されることから、伝送線に直流電源を重畳した際には、伝送線の抵抗により若干の電圧降下が生じるようになる。また、4分配器110や電通型ブースター200においては、ダイオードを用いて直流電源が逆流することを防止しており、直流電源はダイオードの順方向電圧分だけ電圧降下することになる。このような整流用のダイオードして一般的に用いられているシリコンダイオードにおいては順方向電圧が約0.7Vとされていることから、4分配器110や電通型ブースター200を直流電源が通過する毎に約0.7Vずつ電圧降下してしまうことになる。
このようにテレビジョン受信システムにおいて、アンテナとテレビジョン間にテレビジョン受信用機器が複数介在することにより、電圧降下が大きくなってしまい、衛星放送用アンテナへ十分な電源供給を行えず、衛星放送用アンテナでの受信に影響が出てしまう恐れがあると云う問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、直流電源の電圧降下が電通させた際に極力生じないテレビジョン受信用機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のテレビジョン受信用機器は、アンテナと受信装置との間に設けられるテレビジョン受信用機器であって、前記アンテナにより受信された受信信号が入力される入力端子と、該入力端子に入力された前記受信信号が直流阻止用のコンデンサを介して入力される機能部と、該機能部からの出力信号がそれぞれ直流阻止用のコンデンサを介して出力される複数の出力端子と、一の前記出力端子の下流側から当該出力端子に供給された直流電源が第1のチョークコイルを介してリレーコイルと常開接点に供給されると共に、他の前記出力端子に供給された他の直流電源が第2のチョークコイルを介して常閉接点に供給され、可動接点が第3のチョークコイルを介して前記入力端子に接続されているリレーとを備えることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一の前記出力端子の下流側から当該出力端子に供給された直流電源が第1のチョークコイルを介してリレーコイルと常開接点に供給されると共に、他の前記出力端子に供給された他の直流電源が第2のチョークコイルを介して常閉接点に供給され、可動接点が第3のチョークコイルを介して前記入力端子に接続されているリレーとを備えている。これにより、出力端子に供給された直流電源はリレーの接点を介して入力端子から出力されるので、直流電源に電圧降下が生じることなく入力端子から出力することができるので、衛星放送用アンテナでの受信に影響が出てしまう恐れを極力防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のテレビジョン受信用機器を用いるテレビジョン用の受信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例とされる電通型の4分配器の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施例とされる電通型ブースターの構成を示す回路図である。
【図4】従来のテレビジョンの受信システムに用いられる電通型の混合器の構成を示す回路図である。
【図5】従来のテレビジョンの受信システムに用いられる電通型の4分配器の構成を示す回路図である。
【図6】従来のテレビジョンの受信システムに用いられる電通型ブースターの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のテレビジョン受信用機器を用いるテレビジョン用の受信システムの構成を示すブロック図を図1に示す。
図1に示す受信システム1において、衛星放送用アンテナ10はBS放送およびCS放送受信用のアンテナであり、内蔵するコンバータにより中間周波数に変換されたBS−IF信号およびCS−IF信号を受信信号として出力する。この受信信号の周波数帯域は1032MHz〜2602MHzとされる。FMアンテナ11aは、FMラジオ放送を受信するアンテナであり、76MHz〜90MHzの周波数帯域の受信信号を出力する。UHFアンテナ11bは、地上デジタル放送を受信するアンテナであり、470MHz〜710MHzの周波数帯域の受信信号を出力する。FMアンテナ11aからの受信信号とUHFアンテナ11bからの受信信号は混合器12bに入力されて混合される。また、衛星放送用アンテナ10からの受信信号と、混合器12bから出力されるFMアンテナ11aおよびUHFアンテナ11bからの受信信号は混合器12aに入力されて混合される。衛星放送用アンテナ10からの受信信号が入力される混合器12aの入力端子は電通型とされ、図4に示す回路構成の混合器100と同様の回路構成とされている。混合器12aから出力される混合された受信信号は、4分配器13に供給されて4分配される。4分配された1つの出力信号は、建物の壁等に設けられたテレビコンセント14に導かれる。4分配された残る3つの出力信号の出力経路は省略して示されている。
【0016】
テレビコンセント14の端子には、伝送線とされる同軸ケーブルの一端が同軸端子を介して装着され、この同軸ケーブルの他端は電通型ブースター15に接続されている。電通型ブースター15では、入力された受信信号をFMラジオ放送および地上デジタル放送の周波数帯域の受信信号と、BS/CS−IF信号の周波数帯域の受信信号とに分離して、FMラジオ放送の受信信号を除いてそれぞれ所定レベルになるよう増幅する。そして、FMラジオ放送の受信信号と増幅された地上デジタル放送とBS/CS−IF信号との受信信号とを混合し、混合された受信信号を2分配して出力する。電通型ブースター15により増幅・分配されて出力された第1の受信信号は、第1のテレビジョン(TV1)16に供給され、第2の受信信号は第2のテレビジョン(TV2)17に供給される。また、電通型ブースター15から出力される受信信号はレコーダあるいはTVチューナ等の受信装置に供給されてもよい。
【0017】
電通型ブースター15から出力される受信信号が供給されるTV1(16)やTV2(17)等の受信装置においては、衛星放送用アンテナ10のコンバータを動作させる直流電源を、受信装置のアンテナ端子に接続されている同軸ケーブルに重畳して衛星放送用アンテナ10に供給することができる。この場合、同軸ケーブルに重畳されたコンバータ電源は、電通型ブースター15の出力端子に供給され、電通型とされていることからその入力端子から出力され、さらに、上流側の同軸ケーブルを介してテレビコンセント14に供給される。そして、コンバータ電源はテレビコンセント14に接続されている同軸ケーブルを介して4分配器13の出力端子に供給されるが、4分配器13も電通型とされていることから、その入力端子からコンバータ電源が出力される。さらに、4分配器13の入力端子から出力されたコンバータ電源は電通型の混合器12aの出力端子に供給されて、衛星放送用アンテナ10からの受信信号が入力される入力端子から出力される。次いで、混合器12aの入力端子に接続されている同軸ケーブルを介して、コンバータ電源が衛星放送用アンテナ10の出力端子に供給されることにより、コンバータ電源が衛星放送用アンテナ10に内蔵されているコンバータに供給されるようになる。
【0018】
次に、本発明のテレビジョン受信用機器の実施例である4分配器13の構成を示す回路図を図2に示す。この4分配器13は、混合等された受信信号を4分配することができ、分配出力をそれぞれ出力する4つの出力端子の少なくとも1つに供給された直流電源を入力端子から出力することができる。
図2に示す本発明の実施例にかかる4分配器13において、入力端子INに入力された受信信号は直流阻止用のコンデンサC31を介して4分配回路30に入力されて4分配される。4分配回路30からの4分配された第1の分配出力は直流阻止用のコンデンサC32を介して第1出力端子OUT1から出力され、4分配回路30からの第2の分配出力は直流阻止用のコンデンサC33を介して第2出力端子OUT2から出力され、4分配回路30からの第3の分配出力は直流阻止用のコンデンサC34を介して第3出力端子OUT3から出力され、4分配回路30からの第4の分配出力は直流阻止用のコンデンサC35を介して第4出力端子OUT4から出力される。
なお、本発明の実施例にかかる4分配器13ではリレーが用いられており、リレーにおいては、リレーコイルが駆動されていない状態で可動接点が接続される接点が常閉接点であり、リレーコイルが駆動されている状態で可動接点が接続される接点が常開接点である。
【0019】
入力端子INにはチョークコイルCH31の一端が接続されており、チョークコイルCH31の他端は第1のリレーRY1の可動接点a1に接続されている。この第1のリレーRY1の常閉接点b1は第2のリレーRY2の可動接点a2に接続され、第1のリレーRY1の常開接点c1は第3のリレーRY3の可動接点a3に接続されている。また、第1のリレーRY1の一端がアースされたリレーコイルの他端は抵抗R1を介して第1のリレーRY1の常開接点c1および第3のリレーRY3の可動接点a3に接続されている。さらに、第2のリレーRY2の常閉接点b2はチョークコイルCH32を介して経路A−Aにより第1の出力端子OUT1に接続され、第2のリレーRY2の常開接点c2はチョークコイルCH33を介して経路B−Bにより第2の出力端子OUT2に接続されている。また、第2のリレーRY2の一端がアースされたリレーコイルの他端は抵抗R2を介して第2のリレーRY2の常開接点c2に接続されている。さらにまた、第3のリレーRY3の常閉接点b3はチョークコイルCH34を介して経路C−Cにより第3の出力端子OUT3に接続され、第3のリレーRY3の常開接点c3はチョークコイルCH35を介して経路D−Dにより第4の出力端子OUT4に接続されている。また、第3のリレーRY3の一端がアースされたリレーコイルの他端は抵抗R3を介して第3のリレーRY3の常開接点c3に接続されている。
【0020】
これにより、第4出力端子OUT4に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給された場合は、第1出力端子OUT1および第2出力端子OUT2、第3出力端子OUT3に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されるか否かにかかわらず、第4出力端子OUT4に供給された直流電源がチョークコイルCH35と抵抗R3を介して第3のリレーRY3のリレーコイルに印加されることから、第3のリレーRY3が駆動されて常開接点c3側に可動接点a3が切り換わる。次いで、CH35−RY3のc3−RY3のa3の経路を介して、第1のリレーRY1のリレーコイルに抵抗R1を介して直流電源が印加されて第1のリレーRY1が駆動されて常開接点c1側に可動接点a1が切り換わる。これにより、第4出力端子OUT4に供給された直流電源が、CH35−RY3のc3−RY3のa3−RY1のc1−RY1のa1の経路を介し、さらに、チョークコイルCH31を介して入力端子INから出力される。この結果、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナ10に直流電源(コンバータ電源)を供給することが可能となる。
【0021】
また、第3出力端子OUT3に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給され、第4出力端子OUT4に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されない場合は、第1出力端子OUT1および第2出力端子OUT2に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されるか否かにかかわらず、第3出力端子OUT3に供給された直流電源が、CH34−RY3のb3−RY3のa3−R1の経路を介して第1のリレーRY1のリレーコイルに印加されることから、第1のリレーRY1が駆動されて常開接点c1側に可動接点a1が切り換わる。これにより、CH34−RY3のb3−RY3のa3−RY1のc1−RY1のa1の経路を介し、さらに、チョークコイルCH31を介して入力端子INから出力される。この結果、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナ10に直流電源(コンバータ電源)を供給することが可能となる。
【0022】
さらにまた、第3出力端子OUT3および第4出力端子OUT4に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されず、第2出力端子OUT2に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給された場合は、第1出力端子OUT1に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されるか否かにかかわらず、第2出力端子OUT2に供給された直流電源がチョークコイルCH33と抵抗R2を介して第2のリレーRY2のリレーコイルに印加されて第2のリレーRY2が駆動されて常開接点c2側に可動接点a2が切り換わる。これにより、CH33−RY2のc2−RY2のa2−RY1のb1−RY1のa1の経路を介し、さらに、チョークコイルCH31を介して入力端子INから出力される。これにより、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナ10に直流電源(コンバータ電源)を供給することが可能となる。
さらにまた、第2出力端子OUT2、第3出力端子OUT3および第4出力端子OUT4に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されず、第1出力端子OUT1に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給された場合は、第1出力端子OUT1に供給された直流電源が、CH32−RY2のb2−RY2のa2−RY1のb1−RY1のa1の経路を介し、さらに、チョークコイルCH31を介して入力端子INから出力される。これにより、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナ10に直流電源(コンバータ電源)を供給することが可能となる。
【0023】
上記したように、本発明にかかる4分配器13においては、第1出力端子OUT1ないし第4出力端子OUT4の少なくとも1つに下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されることにより、供給された直流電源が入力端子INから出力される。この場合、リレーRY1〜RY3では電圧降下が生じないことから、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナ10に電圧降下が生じていない直流電源(コンバータ電源)が供給されるようになる。
なお、チョークコイルCH31〜CH35は受信信号阻止用として機能することから、チョークコイルCH31〜CH35を介して受信信号が漏洩するおそれはない。
【0024】
次に、本発明のテレビジョン受信用機器の実施例である電通型ブースター15の構成を示す回路図を図3に示す。この電通型ブースター15は、上流側の分配器で分配等された受信信号を所定レベルに増幅して2分配して出力することができ、増幅してそれぞれ出力する2つの出力端子の少なくとも1つに供給された直流電源を入力端子から出力することができる。
図3に示す本発明にかかる電通型ブースター15はブースター部15aと2分配回路25とを含んでいる。入力端子INに入力された受信信号は直流阻止用のコンデンサC1を介してブースター部15aに供給され、FMラジオ放送と地上デジタル放送との周波数帯域を抽出するローパスフィルタ(以下、「LPF」という)20と、衛星放送のBS/CS−IF帯域を抽出するハイパスフィルタ(以下、「HPF」という)26に供給される。LPF20で抽出されたFMラジオ放送と地上デジタル放送の受信信号は、2段縦続接続されたT型のLPFによりFMラジオ放送の受信信号が抽出されてLPF24に入力される。このT型のLPFは、直列接続された3つのコイルL1,L2,L3と、これらのコイル間とアース間に接続されたコンデンサC2,C3とから構成されている。
【0025】
また、LPF20の出力からHPF21により抽出された地上デジタル放送の受信信号は、アンプ(以下、「AMP」という)22に供給されて所定レベルに増幅され、不要成分を除去するHPF23を介してLPF24に供給される。LPF24は不要成分を除去するフィルタであり、FMラジオ放送の受信信号と所定レベルに増幅された地上デジタル放送の受信信号とが混合されて出力される。さらに、HPF26で抽出された衛星放送の受信信号は、AMP27で所定レベルに増幅され不要成分を除去するHPF28を介して出力される。LPF24とHPF28との出力信号は混合されてブースター部15aから出力され、2分配回路25に供給されて2分配される。2分配回路25で分配された第1分配出力は直流阻止用のコンデンサC4を介して第1出力端子OUT1から出力され、第2分配出力は直流阻止用のコンデンサC5を介して第2出力端子OUT2から出力される。AMP22およびAMP27には、電源部29から電源が供給されている。
【0026】
入力端子INにはチョークコイルCH1の一端が接続されており、チョークコイルCH1の他端はリレーRYの可動接点aに接続されている。そして、リレーRYの常閉接点bはチョークコイルCH2を介して第1出力端子OUT1に接続され、リレーRYの常開接点cはチョークコイルCH3を介して第2出力端子OUT2に接続されている。
これにより、第2出力端子OUT2に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給された場合は、第1出力端子OUT1に下流側の伝送線から直流電源が供給されているか否かに関わらず、第2出力端子OUT2に供給された直流電源がチョークコイルCH3と抵抗Rを介してリレーRYのリレーコイルに印加されることから、リレーRYが駆動されて常開接点c側に可動接点aが切り換わる。これにより、第2出力端子OUT2に供給された直流電源が、CH3−RYのc−RYのaの経路を介し、さらに、チョークコイルCH1を介して入力端子INから出力される。この結果、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナ10に直流電源(コンバータ電源)を供給することが可能となる。
【0027】
また、第2出力端子OUT2に下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されず、第1出力端子OUT1に下流側の伝送線から直流電源が供給された場合は、第1出力端子OUT1に供給された直流電源がチョークコイルCH2を介してリレーRYの常閉接点bに印加されて、リレーRYの可動接点aから直流電源が出力されるようになる。これにより、第1出力端子OUT1に供給された直流電源が、CH2−RYのb−RYのaの経路を介し、さらに、チョークコイルCH1を介して入力端子INから出力される。この結果、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナ10に直流電源(コンバータ電源)を供給することが可能となる。
上記したように、本発明にかかる電通型ブースター15においては、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2の少なくとも1つに下流側の伝送線から直流電源(コンバータ電源)が供給されることにより、直流電源が入力端子INから出力される。この場合、リレーRYでは電圧降下が生じないことから、入力端子INの上流側に接続されている衛星放送用アンテナ10に電圧降下が生じていない直流電源(コンバータ電源)が供給されるようになる。なお、チョークコイルCH1〜CH3は受信信号阻止用として機能することから、チョークコイルCH1〜CH3を介して受信信号が漏洩するおそれはない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上記説明した本発明のテレビジョン受信用機器は、分配器やブースターに限らずアンテナと受信装置との間に設けられる受信用機器に適用することができる。
なお、本発明の実施例にかかる電通型ブースター15において、AMP22およびAMP27には電源部29から電源が供給されているが、入力端子INから出力される直流電源をAMP22およびAMP27の動作電源として用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 受信システム、10 衛星放送用アンテナ、11a FMアンテナ、11b UHFアンテナ、12a,12b 混合器、13 4分配器、14 テレビコンセント、15 電通型ブースター、15a ブースター部、15a ブースタ部、20 LPF、21 HPF、22 AMP、23 HPF、24 LPF、25 2分配回路、26 HPF、27 AMP、28 HPF、29 電源部、30 4分配回路、100 混合器、101 混合回路、110 4分配器、111 4分配回路、200 電通型ブースター、200a ブースター部、206 2分配回路、210 電源部、RY,RY1〜RY3 リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと受信装置との間に設けられるテレビジョン受信用機器であって、
前記アンテナにより受信された受信信号が入力される入力端子と、
該入力端子に入力された前記受信信号が直流阻止用のコンデンサを介して入力される機能部と、
該機能部からの出力信号がそれぞれ直流阻止用のコンデンサを介して出力される複数の出力端子と、
一の前記出力端子の下流側から当該出力端子に供給された直流電源が第1のチョークコイルを介してリレーコイルと常開接点に供給されると共に、他の前記出力端子に供給された他の直流電源が第2のチョークコイルを介して常閉接点に供給され、可動接点が第3のチョークコイルを介して前記入力端子に接続されているリレーと、
を備えることを特徴とするテレビジョン受信用機器。
【請求項2】
アンテナと受信装置との間に設けられるテレビジョン受信用機器であって、
前記アンテナにより受信された受信信号が入力される入力端子と、
該入力端子に入力された前記受信信号が直流阻止用のコンデンサを介して入力される4分配回路部と、
該4分配回路部で前記受信信号が4分配されて、それぞれ直流阻止用のコンデンサを介して出力される4つの出力端子と、
第1の前記出力端子の下流側から当該出力端子に供給された第1の直流電源が第1のチョークコイルを介して第1のリレーコイルと第1の常開接点に供給されると共に、第2の前記出力端子に供給された第2の直流電源が第2のチョークコイルを介して第1の常閉接点に供給されている第1のリレーと、
第3の前記出力端子の下流側から当該出力端子に供給された第3の直流電源が第3のチョークコイルを介して第2のリレーコイルと第2の常開接点に供給されると共に、第4の前記出力端子に供給された第4の直流電源が第2のチョークコイルを介して第2の常閉接点に供給されている第2のリレーと、
前記第1のリレーの前記第1の可動接点が第3の常閉接点に接続されると共に、前記第2のリレーの前記第2の可動接点が第3のリレーコイルと第3の常開接点に接続され、第3の可動接点が第5のチョークコイルを介して前記入力端子に接続されている第3のリレーと、
を備えることを特徴とするテレビジョン受信用機器。
【請求項3】
アンテナと受信装置との間に設けられるテレビジョン受信用機器であって、
前記アンテナにより受信された受信信号が入力される入力端子と、
該入力端子に入力された前記受信信号が直流阻止用のコンデンサを介して入力され、入力された前記受信信号を所定レベルに増幅するブースター部と、
該ブースター部からの出力信号がそれぞれ直流阻止用のコンデンサを介して出力される2つの出力端子と、
第1の前記出力端子の下流側から当該出力端子に供給された第1の直流電源が第1のチョークコイルを介してリレーコイルと常開接点に供給されると共に、第2の前記出力端子に供給された第2の直流電源が第2のチョークコイルを介して常閉接点に供給され、可動接点が第3のチョークコイルを介して前記入力端子に接続されているリレーと、
を備えることを特徴とするテレビジョン受信用機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77906(P2013−77906A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215370(P2011−215370)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】