説明

テレビジョン受像機及びコンテンツ記録システム

【課題】記録機器側に新たな機能を追加することなく、記録開始の指示を行ってから記録開始までに遅延が発生した場合であっても、所望のコンテンツデータを記録機器に記録させることができるテレビジョン受像機を提供する。
【解決手段】テレビジョン受像機10は、記録開始の指示が入力された場合に、HDDレコーダ20(記録機器)に対して記録開始を指示する第1指示信号を送信するとともにFIFOメモリに記録を開始させ、HDDレコーダから第1通知信号を受信した場合に、FIFOメモリに記録されたコンテンツデータのHDDレコーダへの送信を開始する。また、記録停止の指示が入力された場合に、記録停止の指示が入力された時点から遅延時間の経過後にHDDレコーダに対して記録停止を指示する第2指示信号を送信し、コンテンツデータのHDDレコーダへの送信を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像機及びコンテンツ記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非圧縮のデジタル映像・音声信号を、1本のケーブルで伝送することができるHDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格が普及している。HDMI規格では、CEC(Consumer Electronics Control)と呼ばれる機器間制御機能が規定されており、HDMIケーブルにより接続された機器間でCECコマンドを双方向に送受信し合うことで、1台のリモコンの操作で、HDMIケーブルで接続された機器の連携動作が実現されている。
【0003】
CECで実現可能な機能の一つに、ワンタッチレコード(One Touch Record)と呼ばれる機能がある。この機能は、例えば、テレビジョン受像機と録画機器とがHDMIケーブルにより接続されている場合に、ワンタッチレコード(One Touch Record)を指示する釦を操作するだけで、テレビジョン受像機で視聴中の番組を録画機器に録画させることができるというものである。
【0004】
ところが、一般に、録画機器は完全スタンバイ状態から録画開始可能なレディー状態に移行するまで、数十秒〜1分間程度の時間を要する。したがって、ワンタッチレコード(One Touch Record)の実行に際して、録画機器が完全スタンバイ状態にある場合には、ワンタッチレコードを指示してから実際に録画を開始するまで遅延が発生し、遅延分のコンテンツデータを録画できないという問題が発生してしまう。
【0005】
こうした録画開始時における遅延の問題を解決するため、例えば、録画を指示してから、テレビジョン受像機に接続された録画機器が録画可能な状態となるまでの間、録画番組をテレビジョン受像機側の一時記憶メモリに蓄積する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、ディスク記録装置において、パワーオン信号が入力されると、符号化部やキャッシュメモリ部、ディスク記録部に記録準備の動作を開始させ、ディスク記録部に先駆けてキャッシュメモリ部が記録可能な状態になると、ディスク記録部が記録可能な状態になるまで、キャッシュメモリ部にデータを記録する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
また、録画機器において、本記録を行う記録部が録画可能な状態となるまでの間、フレームメモリに映像信号を静止画で蓄積し、録画可能な状態となると、フレームメモリに蓄積した静止画の映像信号を、書き込み時よりも短い時間間隔で読み出して記録部に記録させ、フレームメモリに記録される映像信号と記憶部に記録される映像信号が一致すると、通常録画に移行する技術が開示されている(例えば特許文献3参照)。
さらに、受信したコンテンツデータを、常時記録用RAMに記録させ、録画開始が指示されると、常時記録用RAMへの記録を一時停止するとともに、本記録を行う記録部にコンテンツデータを記録させる。さらに、常時記録用RAMに記録されたコンテンツデータを、記録部に転送し、録画終了後に、記録部に直接記録されたコンテンツデータと、常時記録用RAMから転送されたコンテンツデータとを結合する技術が提案されている(例えば特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−227938号公報
【特許文献2】特開2004−147200号公報
【特許文献3】特開平6−105281号公報
【特許文献4】国際公開番号 WO2006/095867
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1では、録画番組がテレビジョン受像機と録画機器との両方に分離された状態で蓄積されることとなる。そのため、再生時に、一時記憶メモリからの出力を、途中で録画機器からの出力に切り替える必要があり、適切なタイミングで出力を行ってスムーズな再生を実現するための制御が必要となる。また、特許文献1では、録画可能な状態に移行するまで遅延した分のコンテンツデータは録画機器側に記録されないため、例えば、録画機器に記録されたコンテンツデータだけを他の機器で再生する場合には、遅延分のコンテンツデータが欠けてしまうという問題があった。
また、特許文献2のディスク記録装置であっても、キャッシュメモリ部の準備動作が完了して記録可能な状態になるまでは記録を開始することができないため、依然として、録画開始時に遅延が発生して、遅延分のコンテンツデータが欠けるという問題を解決することはできない。
また、特許文献3の技術や特許文献4の技術では、記録装置に、フレームメモリに蓄積した画像データを高速で読み出して記録するための新たな機能や、記録部に直接記録されたコンテンツデータと、常時記録用RAMから転送されたコンテンツデータとを結合するための新たな機能を追加する必要があるため、コストの高騰を招くという問題があった。
【0009】
本発明の課題は、記録機器側に新たな機能を追加することなく、記録開始の指示を行ってから記録開始までに遅延が発生した場合であっても、遅延分のコンテンツデータを含む所望のコンテンツデータを記録機器に記録させることができるテレビジョン受像機及びコンテンツ記録システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
コンテンツデータを受信する受信手段を備え、HDMIケーブルを介して記録機器と接続されたテレビジョン受像機において、
ユーザによる記録開始の指示および記録停止の指示の入力を受け付ける入力部と、
コンテンツデータを一時的に記録する一時記録部と、
前記入力部において記録開始の指示が入力された場合に、前記記録機器に対して記録開始を指示する第1指示信号を送信するとともに、前記一時記録部に前記受信手段により受信されたコンテンツデータの記録を開始させる第1制御手段と、
前記第1指示信号を送信してから、前記記録機器から記録開始可能な状態に移行した旨の第1通知信号を受信するまでの遅延時間を計測する計測手段と、
前記記録機器から前記第1通知信号を受信した場合に、前記一時記録部に記録されたコンテンツデータの前記記録機器への送信を開始する第2制御手段と、
前記入力部において記録停止の指示が入力された場合に、当該記録停止の指示が入力された時点から前記計測手段により計測された前記遅延時間の経過後に、前記記録機器に対して記録停止を指示する第2指示信号を送信する第3制御手段と、
前記第3制御手段により前記記録機器に対して前記第2指示信号を送信した場合、または、前記記録機器から記録停止を行った旨の第2通知信号を受信した場合に、前記一時記録部に記録されたコンテンツデータの前記記録機器への送信を停止する第4制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のテレビジョン受像機において、
少なくとも、前記入力部において記録開始の指示が入力された時点から前記入力部において記録停止の指示が入力される時点まで、前記受信手段により受信されるコンテンツデータに基づくコンテンツの出力を行う出力手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
コンテンツデータを受信する受信手段を備えるテレビジョン受像機と、HDMIケーブルを介して当該テレビジョン受像機と接続された記録機器と、を備えるコンテンツ記録システムにおいて、
前記テレビジョン受像機は、
ユーザによる記録開始の指示および記録停止の指示の入力を受け付ける入力部と、
コンテンツデータを一時的に記録する一時記録部と、
前記入力部において記録開始の指示が入力された場合に、前記記録機器に対して記録開始を指示する第1指示信号を送信するとともに、前記一時記録部に前記受信手段により受信されたコンテンツデータの記録を開始させる第1制御手段と、
前記第1指示信号を送信してから、前記記録機器から記録開始可能な状態に移行した旨の第1通知信号を受信するまでの遅延時間を計測する計測手段と、
前記記録機器から前記第1通知信号を受信した場合に、前記一時記録部に記録されたコンテンツデータの前記記録機器への送信を開始する第2制御手段と、
前記入力部において記録停止の指示が入力された場合に、当該記録停止の指示が入力された時点から前記計測手段により計測された前記遅延時間の経過後に、前記記録機器に対して記録停止を指示する第2指示信号を送信する第3制御手段と、
前記第3制御手段により前記記録機器に対して前記第2指示信号を送信した場合、または、前記記録機器から記録停止を行った旨の第2通知信号を受信した場合に、前記一時記録部に記録されたコンテンツデータの前記記録機器への送信を停止する第4制御手段と、
少なくとも、前記入力部において記録開始の指示が入力された時点から前記入力部において記録停止の指示が入力される時点まで、前記受信手段により受信されるコンテンツデータに基づくコンテンツの出力を行う出力手段と、
を備え、
前記記録機器は、
前記テレビジョン受像機から前記第1指示信号を受信した場合に、記録開始可能な状態に移行するとともに、記録開始可能な状態に移行した後に、前記第1通知信号を前記テレビジョン受像機に送信する第1通知手段と、
前記テレビジョン受像機から送信されるコンテンツデータの記録を行う記録手段と、
前記テレビジョン受像機から前記第2指示信号を受信した場合に、前記記録手段によるコンテンツデータの記録を停止するとともに、前記第2通知信号を前記テレビジョン受像機に送信する第2通知手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、テレビジョン受像機及びコンテンツ記録システムにおいて、記録開始の指示を行ってから記録機器における記録開始までに遅延が発生した場合であっても、記録機器側に新たな機能を追加することなく、遅延分のコンテンツデータを含む所望のコンテンツデータを記録機器に記録させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した本実施形態のコンテンツ記録システムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態のコンテンツ記録システムを構成するテレビジョン受像機およびHDDレコーダの要部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のコンテンツ記録システムにおいて実行されるコンテンツ記録処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施例及び図示例に限定されるものではない。
【0016】
本実施形態のコンテンツ記録システム100は、図1に示すように、テレビジョン受像機10と、記録機器としてのHDD(Hard Disk Drive)レコーダ20とが、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格のHDMIケーブルC1を介して接続されてなる。テレビジョン受像機10およびHDDレコーダ20は、共に、HDMI規格のCEC(Consumer Electronics Control)機能を備えている。
なお、記録機器はHDDレコーダ20に限られること無く、HDMI規格のCECに準拠したものである限り、任意の記録機器を用いることができる。例えば、BD(Blue-ray Disc)レコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、D−VHS(Data Video Home System)レコーダ等を記録機器として用いても良い。
【0017】
HDMIケーブルC1には、映像データや音声データ等のコンテンツデータを伝送するためのTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)ラインが含まれ、HDDレコーダ20から読み出されたコンテンツデータは、TMDSライン経由でテレビジョン受像機10に送信される。
また、HDMIケーブルC1には、双方向通信が可能なCECラインが設けられており、このCECラインを介してCECコマンドを相互に送受信することで、テレビジョン受像機10とHDDレコーダ20との間で、後述するワンタッチレコード(One Touch Record)を始めとする各種の連携動作を行うことができる。
【0018】
さらに、テレビジョン受像機10とHDDレコーダ20とは、IEEE1394ケーブル等のA/VケーブルC2と接続されている。このA/VケーブルC2は、後述するワンタッチレコード(One Touch Record)の実行に際して、テレビジョン受像機10において受信した映像データや音声データ等のコンテンツデータを、テレビジョン受像機10からHDDレコーダ20に送信するためのものである。
なお、A/VケーブルC2は、IEEE1394ケーブルに限られることなく、その他任意のケーブルを用いることができる。例えば、HDDレコーダ20にアナログ入力端子のみが備わる場合等には、アナログケーブルをA/VケーブルC2として使用しても良い。
【0019】
(テレビジョン受像機)
まず、本実施形態のコンテンツ記録システム100を構成するテレビジョン受像機10について説明する。
本実施形態のテレビジョン受像機10は、例えば、デジタルテレビジョン放送信号の受信を行うテレビジョン受像機10であり、図1に示すように、ユーザが各種指示を入力するリモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する)1と、リモコン1により遠隔操作される装置本体2と、を備えて構成される。
【0020】
リモコン1は、ユーザが装置本体2に対して各種指示を入力するための複数の釦を備える。例えば、リモコン1には、ワンタッチレコード(One Touch Record)の開始を指示するためのワンタッチレコード釦と、ワンタッチレコード(One Touch Record)等の記録の停止を指示するための記録停止釦と、が設けられており、本発明の入力部を構成する。
また、リモコン1には、その他、電源釦、番組表表示釦、数字釦、入力切換釦、音声切換釦、戻る釦、上下左右の釦から成るカーソル釦、決定釦、チャンネルアップ/ダウン釦、ボリュームアップ/ダウン釦(何れも図示せず)等が備わる。
これらの釦の各々には予め識別情報が割り当てられ、所定の記憶領域に記憶されている。そして、ユーザにより釦の操作が行われると、操作された釦の識別情報が読み出されて、読み出された識別情報に対応するリモコン信号が生成され、生成されたリモコン信号が図示しない送信部から送信されるようになっている。
【0021】
装置本体2は、図2に示すように、リモコン信号受光部3、HDMIインターフェース4、アンテナ5、受信手段としてのチューナ6、復調部7、出力手段としてのデコーダ部8・映像処理部9・音声処理部11・表示部12・音声出力部13、一時記録部としてのFIFOメモリ14、A/Vインターフェース15、制御部16等を備えている。
【0022】
リモコン信号受光部3は、フォトダイオード、SUBCPU、増幅部、復調部、デコーダ(いずれも図示せず)等を備えて構成されている。SUBCPUは、リモコン1から送信されたリモコン信号を、装置本体2の前面パネルに設けられたフォトダイオードにおいて受信すると、受信したリモコン信号を増幅部により増幅させ、復調部において復調させ、デコーダにより波形整形、誤り訂正等の各種処理を行わせた後に、制御部16に出力する。制御部16では、入力されたリモコン信号から識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいて操作された釦の判別を行う。
【0023】
HDMIインターフェース4は、HDMI規格に準拠したインターフェースであり、HDMIケーブルC1により接続されたHDDレコーダ20との間で、映像・音声データ等のコンテンツデータや、CECコマンド等の制御信号の送受信を行う。
【0024】
アンテナ5は、屋外において所定の方角に向けて配置され、放送局側から発信される高周波のデジタル放送信号を受信する。
【0025】
チューナ6は、制御部16からの選局指示にしたがって、アンテナ5等により入力された高周波信号のデジタル放送信号の中から特定周波数帯の信号を抽出し、中間周波信号(IF信号)に変換した後、AD変換等を行い、復調部7に出力する。
【0026】
復調部7は、例えば、制御部16からの制御に基づいて、チューナ6において選局されたチャンネルの信号に対してデジタル復調や誤り訂正等の処理を実行し、トランスポートストリーム(TS:Transport Stream)を生成して、デコーダ部8又はFIFOメモリ14に出力する。
具体的には、通常のテレビジョン放送の視聴中に、復調部7から出力されたコンテンツデータ(TS)は、デコーダ部8に供給される。一方、テレビジョン放送の視聴中にワンタッチレコード(One Touch Record)が実行される場合、復調部7から出力されたコンテンツデータ(TS)は、デコーダ部8とFIFOメモリ14との両方にそれぞれ供給される。
【0027】
デコーダ部8は、分離部(Demultiplexer)81、ビデオデコーダ82、オーディオデコーダ83、データデコーダ84等を備えて構成されている。
【0028】
分離部81は、復調部7から入力されるTSを、ビデオストリーム、オーディオストリーム、PSI/SI等の複数のストリームに分離する。そして、PSIに基づいて必要なTSパケットを取得し、MPEG2(Moving Picture Experts Group 2)規格下のビデオストリームをビデオデコーダ82に、オーディオストリームをオーディオデコーダ83に出力する。さらに、分離部81は、番組情報(SI)等のデータをデータデコーダ84に出力する。
【0029】
ビデオデコーダ82は、分離部81から入力されるビデオストリームに可変長復号化、逆量子化、逆DCT(Discrete Cosine Transform)、動き補正等の各種処理を行うことで、ビデオストリームをDTS(Decoding Time Stamp)に応じたタイミングで復号し、映像データを生成して映像処理部9に出力する。
オーディオデコーダ83は、分離部81から入力されるオーディオストリームを復号し、音声データを生成して音声処理部11に出力する。
データデコーダ84は、分離部81から入力されるデータを復号し、必要な情報を取得して制御部16や図示しないOSD回路に供給する。
【0030】
映像処理部9は、ビデオデコーダ82から入力された映像データに対して各種映像処理を施して映像信号を生成し、表示部12に出力する。
音声処理部11は、オーディオデコーダ83から入力された音声データに対して各種音声処理を施して音声信号を生成し、音声出力部13に出力する。
【0031】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ(図示省略)を備えて構成され、映像処理部9から入力された映像信号に基づく映像をディスプレイに表示させる。
音声出力部13は、スピーカ(図示省略)等を備えて構成され、音声処理部11から入力された音声信号に基づく音声を増幅して、スピーカから出力する。
【0032】
FIFOメモリ14は、ワンタッチレコード(One Touch Record)の実行時に、復調部7から入力されるコンテンツデータを、FIFO(First In, First Out)形式で記録する。具体的には、FIFOメモリ14は、ユーザによりリモコン1のワンタッチレコード釦が操作されて、ワンタッチレコード(One Touch Record)の開始の指示が入力された場合に、制御部16による制御にしたがって、復調部7から入力されるコンテンツデータを一時的に記録する。FIFOメモリ14に記録されたコンテンツデータは、その後、HDDレコーダ20が記録開始可能な状態(レディー状態)に移行した後に順次読み出され、A/Vインターフェース15を介してHDDレコーダ20に出力されることとなる。
【0033】
また、このFIFOメモリ14は、リングバッファ構造を有しており、記録容量が最大に達すると、先頭に戻って上書き記録する。そして、FIFOメモリ14は、少なくとも、ワンタッチレコード(One Touch Record)の開始時に、テレビジョン受像機10からHDDレコーダ20に録画開始を指示する<Record On>コマンド(第1指示信号)を送信してから、このコマンドに応じてHDDレコーダ20から送信された<Record Status>コマンド(第1通知信号)を受信するまでの間に、テレビジョン受像機10において受信されるコンテンツデータを記録可能なだけの容量を有している。
【0034】
A/Vインターフェース15は、例えば、IEEE1394等に準拠したインターフェースであり、ワンタッチレコード(One Touch Record)の実行において、FIFOメモリ14から順次読み出されたコンテンツデータを、IEEE1394ケーブル等のA/VケーブルC2を介して、HDDレコーダ20に送信する。なお、A/VケーブルC2としてアナログケーブルを用いる場合、A/Vインターフェース15では、コンテンツデータをアナログ信号に変換する処理が必要となる。
【0035】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)161、RAM(Random Access Memory)162、計時部163、計測手段としての計測部164、ROM(Read Only Memory)165等を備えて構成され、テレビジョン受像機10の各部を制御する。
【0036】
CPU161は、各部から入力された入力信号に応じて、ROM165に格納された処理プログラム等を読み出してRAM162に展開して実行し、装置本体2の各部に出力信号を出力することにより、テレビジョン受像機10全体の制御を行う。
【0037】
RAM162は、CPU161により実行される各種プログラムを展開するプログラム格納領域や、入力データやこれらの処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等を格納するデータ格納領域を備え、CPU161のワークエリアとして用いられる。
【0038】
計時部163は、計時処理を行ってテレビジョン受像機10全体の基準時刻を発生する。
【0039】
計測部164は、ワンタッチレコード(One Touch Record)の実行に際して、テレビジョン受像機10からHDDレコーダ20に録画開始を指示する<Record On>コマンド(第1指示信号)を送信してから、このコマンドに応じてHDDレコーダ20から送信された<Record Status>コマンド(第1通知信号)を受信するまでの遅延時間T delayを計測する。計測部164において計測された遅延時間T delayは、RAM162等の所定の記憶領域に記憶される。
【0040】
ROM165は、処理プログラムやデータ等を予め記憶しており、例えば、第1制御プログラム165a、計測プログラム165b、第2制御プログラム165c、第3制御プログラム165d、第4制御プログラム165e、出力プログラム165f等が格納されている。
【0041】
第1制御プログラム165aは、リモコン1においてワンタッチレコード釦が操作されて、ワンタッチレコード(記録)開始の指示が入力された場合に、HDDレコーダ20に対して記録開始を指示する<Record On>コマンド(第1指示信号)を送信するとともに、FIFOメモリ14にチューナ6により受信されたコンテンツデータの記録を開始させる機能をCPU161に実現させるためのプログラムである。本実施形態では、かかる第1制御プログラム165a、CPU161により、本発明の第1制御手段が構成される。
なお、<Record On>コマンド(第1指示信号)には、HDDレコーダ20に対して、A/Vインターフェース22を介して入力されるコンテンツデータを記録するように指示するコマンドが含まれる。より具体的には、コンテンツデータの送信に使用するプラグ(Plug n、例えばn=1)を指定するコマンドが<Record On>コマンドに含まれる。
【0042】
計測プログラム165bは、HDDレコーダ20に対して<Record On>コマンド(第1指示信号)を送信してから、HDDレコーダ20から、記録開始可能な状態に移行した旨の<Record Status>コマンド(第1通知信号)を受信するまでの遅延時間T delayを計測する機能をCPU161に実現させるためのプログラムである。本実施形態では、かかる計測プログラム165b、CPU161、計測部164により、本発明の計測手段が構成される。
【0043】
第2制御プログラム165cは、HDDレコーダ20から<Record Status>コマンド(第1通知信号)を受信した場合に、FIFOメモリ14に記録されたコンテンツデータのHDDレコーダ20への送信を開始する機能をCPU161に実現させるためのプログラムである。本実施形態では、かかる第2制御プログラム165c、CPU161により、本発明の第2制御手段が構成される。
【0044】
第3制御プログラム165dは、リモコン1において記録停止釦が操作されて、ワンタッチレコード(記録)停止の指示が入力された場合に、記録停止の指示が入力された時点から計測部164により計測された遅延時間T delayの経過後に、HDDレコーダ20に対して記録停止を指示する<Record Off>コマンド(第2指示信号)を送信する機能をCPU161に実現させるためのプログラムである。本実施形態では、かかる第3制御プログラム165d、CPU161により、本発明の第3制御手段が構成される。
【0045】
第4制御プログラム165eは、上記第3制御プログラム165dの実行によりHDDレコーダ20に対して<Record Off>コマンド(第2指示信号)を送信した場合、または、HDDレコーダ20から記録停止を行った旨の<Record Status>コマンド(第2通知信号)を受信した場合に、FIFOメモリ14に記録されたコンテンツデータのHDDレコーダ20への送信を停止する機能をCPU161に実現させるためのプログラムである。本実施形態では、かかる第4制御プログラム165e、CPU161により、本発明の第4制御手段が構成される。
【0046】
出力プログラム165fは、少なくともリモコン1において記録開始の指示が入力された時点から記録停止の指示が入力される時点まで、チューナ6により受信されるコンテンツデータのコンテンツの出力を行う機能をCPU161に実現させるためのプログラムである。本実施形態では、かかる出力プログラム165f、CPU161、デコーダ部8、映像処理部9、音声処理部11、表示部12、音声出力部13により、本発明の出力手段が構成される。
【0047】
(HDDレコーダ)
次に、本実施形態のコンテンツ記録システム100を構成するHDDレコーダ20について説明する。
HDDレコーダ20は、図2に示すように、HDMIインターフェース21、A/Vインターフェース22、受信部23、記録制御部24、記録部25、制御部26等を備えて構成され、HDMIケーブルC1及びA/VケーブルC2を介して、テレビジョン受像機10と接続されている。
【0048】
HDMIインターフェース21は、HDMI規格に準拠したインターフェースであり、テレビジョン受像機10との間で、HDMIケーブルC1を介して、映像・音声データ等のコンテンツデータや、CECコマンド等の制御信号の送受信を仲介する。
【0049】
A/Vインターフェース22は、例えば、IEEE1394等に準拠したインターフェースであり、ワンタッチレコード(One Touch Record)の実行において、テレビジョン受像機10から、IEEE1394ケーブル等のA/VケーブルC2を介して送信されるコンテンツデータを受信する。
【0050】
受信部23は、例えば、アンテナやチューナ等から構成され、放送局側から発信される高周波のデジタル放送信号の中から特定周波数帯の信号を抽出し、中間周波信号(IF信号)に変換した後、AD変換等を行って復調部7に出力する。
なお、HDDレコーダ20において受信部23は必ずしも必要ではなく、受信部23を備えない構成としても良い。
【0051】
記録制御部24は、入力されるコンテンツデータを記録部25において磁気ディスクに書き込み可能なファイル形式に変換するとともに、制御部26からの制御にしたがって、記録部25に対するデータの読み出し/書き込み等を制御する。
【0052】
記録部25は、図示は省略するが、内蔵された磁気ディスクと、磁気ディスクに対するデータの記録或いは磁気ディスクに記録されたデータの読み出しを行う磁気ヘッドと、磁気ディスクを回転駆動させるスピンドルモータと、磁気ヘッドを磁気ディスクの半径方向に移動させるためのアクチュエータと、等を備えて構成され、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間には、電流を供給することにより磁界を発生する微小な隙間が設けられている。そして、当該磁気ディスクを高速に回転させ、アクチュエータにより磁気ヘッドを磁気ディスク上に移動させてデータの読み書きを行う。
【0053】
制御部26は、CPU(Central Processing Unit)261、RAM(Random Access Memory)262、ROM(Read Only Memory)263(何れも図示せず)等を備えて構成され、HDDレコーダ20の各部を制御する。
【0054】
CPU261は、各部から入力された入力信号に応じて、ROM263に格納された処理プログラム等を読み出してRAM262に展開して実行し、装置本体2の各部に出力信号を出力することにより、HDDレコーダ20全体の制御を行う。
【0055】
RAM262は、CPU261により実行される各種プログラムを展開するプログラム格納領域や、入力データやこれらの処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等を格納するデータ格納領域を備え、CPU261のワークエリアとして用いられる。
【0056】
ROM263は、処理プログラムやデータ等を予め記憶しており、例えば、第1通知プログラム263a、記録プログラム263b、第2通知プログラム263c等が格納されている。
【0057】
第1通知プログラム263aは、CPU261に、テレビジョン受像機10から記録開始を指示する<Record On>コマンド(第1指示信号)を受信した場合に、記録開始可能な状態に移行するとともに、記録開始可能な状態に移行した後に、記録開始可能な状態に移行した旨の<Record Status>コマンド(第1通知信号)を、HDMIケーブルC1を介してテレビジョン受像機10に送信する。本実施形態では、かかる第1通知プログラム263a、CPU261により、本発明の第1通知手段が構成される。
【0058】
記録プログラム263bは、CPU261に、テレビジョン受像機10から送信されるコンテンツデータを記録部25に記録する機能を実現させるためのプログラムである。本実施形態では、かかる記録プログラム263b、CPU261、記録制御部24、記録部25により、本発明の記録手段が構成される。
【0059】
第2通知プログラム263cは、CPU261に、テレビジョン受像機10から記録停止を指示する<Record Off>コマンド(第2指示信号)を受信した場合に、記録部25によるコンテンツデータの記録を停止するとともに、記録停止を行った旨の<Record Status>コマンド(第2通知信号)を、HDMIケーブルC1を介してテレビジョン受像機10に送信する機能を実現させるためのプログラムである。本実施形態では、かかる第2通知プログラム263c、CPU261により、本発明の第2通知手段が構成される。
【0060】
(コンテンツ記録処理)
次に、本実施形態のコンテンツ記録システム100において、テレビジョン受像機10とHDDレコーダ20との間で実行されるコンテンツ記録処理について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0061】
まず、テレビジョン受像機10では、チューナ6により受信されたコンテンツデータに基づくテレビジョン放送の視聴が行われている。ユーザは、テレビジョン放送の視聴中に、HDDレコーダ20に記録を開始したい任意の箇所で、リモコン1のワンタッチレコード釦を操作し、ワンタッチレコードの開始を指示する。
【0062】
リモコン1のワンタッチレコード釦が操作されると(ステップS1)、テレビジョン受像機10のCPU161は、ワンタッチレコード(記録)開始の指示が入力されたと判断し、チューナ6により受信されたコンテンツデータをFIFOメモリ14に出力して記録を開始する(ステップS2)。また、テレビジョン受像機10のCPU161は、FIFOメモリ14への記録を開始する一方で、コンテンツデータの記録開始を指示する<Record On>コマンド(第1指示信号)を、HDMIケーブルC1を介してHDDレコーダ20に送信する(ステップS3)。このとき、コンテンツデータの送信に使用するプラグ(Plug n、例えばn=1)も併せて指定する。
【0063】
また、テレビジョン受像機10のCPU161は、<Record On>コマンド(第1指示信号)を送信した時刻を一時的に記憶し、計測部164において遅延時間T delayの計測を開始する。さらに、A/Vインターフェース15を出力停止(Pause)とした状態で、A/Vインターフェース15へのコンテンツデータの出力を開始する(ステップS4)。
なお、テレビジョン受像機10では、FIFOメモリ14への記録が行われる一方で、引き続き、テレビジョン放送の視聴(リアルタイム視聴)も行われている。
【0064】
一方、HDDレコーダ20のCPU261は、テレビジョン受像機10からHDMIケーブルC1を介して送信された<Record On>コマンド(第1指示信号)を、HDMIインターフェース21において受信すると、記録開始可能な状態(レディー状態)への移行を開始する。
ここで、<Record On>コマンド(第1指示信号)を受信したタイミングで、HDDレコーダ20が完全スタンバイ状態にある場合、HDDレコーダ20は、まず、完全スタンバイ状態から電源オン状態に遷移を開始する(ステップS5)。そして、電源オン状態に移行後、テレビジョン受像機10により指定されたプラグ(Plug n、例えばn=1)に入力切り換えを行い(ステップS6)、さらに、記録部25における記録準備等を行って、記録開始可能な状態への移行が完了する。
さらに、記録開始可能な状態(レディー状態)に移行した後に、HDDレコーダ20のCPU261は、記録開始可能な状態(レディー状態)に移行した旨の<Record Status>コマンド(第1通知信号)を、HDMIケーブルC1を介してテレビジョン受像機10に送信する(ステップS7)。
【0065】
そして、テレビジョン受像機10のCPU161は、HDDレコーダ20からHDMIケーブルC1を介して送信された<Record Status>コマンド(第1通知信号)を、HDMIインターフェース4において受信すると、計測部164の値を参照して、HDDレコーダ20に対して<Record On>コマンド(第1指示信号)を送信してから、HDDレコーダ20から<Record Status>コマンド(第1通知信号)を受信するまでの遅延時間T delayを算出する(ステップS8)。
さらに、テレビジョン受像機10のCPU161は、A/Vインターフェース15の出力停止(Pause)を解除し、A/VケーブルC2を介して、HDDレコーダ20に対するコンテンツデータの出力を開始する(ステップS9)。
すなわち、テレビジョン受像機10において受信したコンテンツデータは、テレビジョン受像機10におけるリアルタイムでの視聴時刻よりも、遅延時間T delay分だけ遅れてHDDレコーダ20に送信されることとなる。
【0066】
すると、HDDレコーダ20では、テレビジョン受像機10からA/VケーブルC2を介して受信したコンテンツデータを、記録制御部24を介して記録部25に出力し、記録部25においてコンテンツデータの磁気ディスクへの記録を開始する(ステップS10)。
【0067】
次に、ユーザは、HDDレコーダ20への記録を停止したい任意の箇所で、リモコン1の記録停止釦を操作し、ワンタッチレコードの停止の指示を入力する。
【0068】
リモコン1においてワンタッチレコード停止の操作が行われると(ステップS11)、テレビジョン受像機10のCPU161は、ワンタッチレコード停止の操作が行われた時刻である停止操作時刻を記憶し(ステップS12)、FIFOメモリ14へのコンテンツデータの記録を停止して、停止操作時刻から遅延時間T delayが経過するのを待つ。
そして、テレビジョン受像機10のCPU161は、停止操作時刻から遅延時間T delayが経過したと判断すると(ステップS13)、コンテンツデータの記録停止を指示する<Record Off>コマンド(第2指示信号)を、HDMIケーブルC1を介してHDDレコーダ20に送信する(ステップS14)とともに、HDDレコーダ20へのコンテンツデータの出力を停止し(ステップS15)、本処理を終了する。
すなわち、HDDレコーダ20へのコンテンツデータの送信停止は、ワンタッチレコードの停止の指示が入力された時点よりも遅延時間T delay分だけ遅れて実行されることとなる。
【0069】
一方、HDDレコーダ20のCPU261は、テレビジョン受像機10からHDMIケーブルC1を介して送信された<Record Off>コマンド(第2指示信号)を、HDMIインターフェース21において受信すると、記録部25におけるコンテンツデータの記録を停止する(ステップS16)。
そして、コンテンツデータの記録停止を行った旨の<Record Status>コマンド(第2通知信号)を、HDMIケーブルC1を介してテレビジョン受像機10に送信し(ステップS17)、自動的に電源オフ状態に遷移して(ステップS18)、本処理を終了する。
その後、テレビジョン受像機10では、引き続き、テレビジョン放送の視聴が行われることとなる。
【0070】
これにより、テレビジョン受像機10において、テレビジョン放送を視聴中のユーザが、画面を見ながら任意の箇所でワンタッチレコード釦の操作と記録停止釦の操作とを行うと、ワンタッチレコード釦が操作された時点から記録停止釦が操作される時点までの間に受信されたコンテンツデータが、テレビジョン受像機10から、リアルタイムでの視聴時刻よりも遅延時間T delay分だけ遅れてHDDレコーダ20に送信され、HDDレコーダ20において記録されることとなる。
【0071】
以上説明した本実施形態のコンテンツ記録システム100によれば、テレビジョン受像機10において、ユーザによる記録開始の指示および記録停止の指示の入力を受け付けるリモコン1(入力部)と、コンテンツデータを一時的に記録するFIFOメモリ14(一時記録部)と、が備わり、第1制御手段(第1制御プログラム165a、CPU161)により、リモコン1(入力部)において記録開始の指示が入力された場合に、HDDレコーダ20(記録機器)に対して記録開始を指示する<Record On>コマンド(第1指示信号)が送信されるとともに、FIFOメモリ14(一時記録部)にチューナ6(受信手段)により受信されたコンテンツデータの記録が開始される。また、計測手段(計測プログラム165b、CPU161、計測部164)により、<Record On>コマンド(第1指示信号)を送信してから、HDDレコーダ20(記録機器)から記録開始可能な状態に移行した旨の<Record Status>コマンド(第1通知信号)を受信するまでの遅延時間T delayが計測され、第2制御手段(第2制御プログラム165c、CPU161)により、HDDレコーダ20(記録機器)から<Record Status>コマンド(第1通知信号)を受信した場合に、FIFOメモリ14(一時記録部)に記録されたコンテンツデータのHDDレコーダ20(記録機器)への送信が開始される。また、第3制御手段(第3制御プログラム165d、CPU161)により、リモコン1(入力部)において記録停止の指示が入力された場合に、当該記録停止の指示が入力された時点から計測手段(計測プログラム165b、CPU161、計測部164)により計測された遅延時間T delayの経過後に、HDDレコーダ20(記録機器)に対して記録停止を指示する<Record Off>コマンド(第2指示信号)が送信され、第4制御手段(第4制御プログラム165e、CPU161)により、第3制御手段によりHDDレコーダ20(記録機器)に対して<Record Off>コマンド(第2指示信号)を送信した場合、または、HDDレコーダ20(記録機器)から記録停止を行った旨の<Record Status>コマンド(第2通知信号)を受信した場合に、FIFOメモリ(一時記録部)に記録されたコンテンツデータのHDDレコーダ20(記録機器)への送信が停止される。さらに、出力手段(出力プログラム165f、CPU161、デコーダ部8、映像処理部9、音声処理部11、表示部12、音声出力部13)により、少なくとも、リモコン1(入力部)において記録開始の指示が入力された時点からリモコン1(入力部)において記録停止の指示が入力される時点まで、チューナ6(受信手段)により受信されるコンテンツデータに基づくコンテンツの出力が行われる。
また、HDDレコーダ20(記録機器)において、第1通知手段(第1通知プログラム263a、CPU261)により、テレビジョン受像機10から<Record On>コマンド(第1指示信号)を受信した場合に、記録開始可能な状態に移行されるとともに、記録開始可能な状態に移行した後に、記録開始可能な状態に移行した旨の<Record Status>コマンド(第1通知信号)がテレビジョン受像機10に送信され、記録手段(記録プログラム263b、CPU261、記録制御部24、記録部25)により、テレビジョン受像機10から送信されるコンテンツデータの記録が行われ、第2通知手段(第2通知プログラム263c、CPU261)により、テレビジョン受像機10から<Record Off>コマンド(第2指示信号)を受信した場合に、記録手段(記録プログラム263b、CPU261、記録制御部24、記録部25)によるコンテンツデータの記録を停止するとともに、記録停止を行った旨の<Record Status>コマンド(第2通知信号)がテレビジョン受像機10に送信される。
【0072】
すなわち、ユーザが、入力部を用いて、任意の箇所で記録開始の指示と記録停止の指示とを入力すると、記録開始の指示が入力された時点から記録停止の指示が入力される時点までの間にテレビジョン受像機の受信手段において受信されたコンテンツデータが、テレビジョン受像機におけるリアルタイムでの視聴時刻よりも遅延時間T delay分だけ遅れて記録機器に送信されることとなる。
したがって、ワンタッチレコード(One Touch Record)の開始を指示した時点で、記録機器が完全スタンバイ状態にあり、記録開始の指示を入力してから記録機器が記録可能な状態に移行するまで遅延が生じた場合であっても、記録開始の指示を入力した時点から記録停止の指示を入力する時点までのコンテンツデータを、記録機器に記録させることができる。これにより、記録機器においてコンテンツデータの高速読み出しやコンテンツデータの結合等の処理を行うための新たな構成を追加することなく、記録開始の指示を行ってから記録開始までに遅延が発生した場合であっても、記録開始の指示が入力された時点から記録停止の指示が入力される時点までの所望のコンテンツデータを記録機器に記録させることができる。
【0073】
また、記録機器には、テレビジョン受像機からAVケーブルを介して送信されるコンテンツデータが記録されるため、ワンタッチレコード(One Touch Record)の実行に際して、記録機器側のチューナ等でコンテンツデータを受信する必要がなく、記録機器やコンテンツ記録システム全体の省電力化を図ることができる。
【0074】
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限られることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
【0075】
例えば、記録機器が、記録停止を行った旨の<Record Status>コマンド(第2通知信号)をテレビジョン受像機に対して送信した後に、自動的に電源オフ状態に移行する処理の有無は任意であり、記録機器が記録停止後も電源オン状態のまま維持される構成としても良い。また、記録機器が、記録停止後に自動的に電源オフ状態に移行する処理は、記録開始の指示が入力された時に記録機器が完全スタンバイ状態にあった場合に限って実行されるように構成することが可能である。
【0076】
また、上記実施形態では、テレビジョン受像機が、記録機器に対して記録停止を指示する<Record Off>コマンド(第2指示信号)を送信したタイミングで、記録機器へのコンテンツデータの出力を停止する場合について説明したが、記録機器から記録停止を行った旨の<Record Status>コマンド(第2通知信号)を受信したタイミングで、コンテンツデータの出力を停止することとしても良い。
また、記録機器が、記録停止を行った旨の<Record Status>コマンド(第2通知信号)をテレビジョン受像機に対して送信する処理の有無も任意であり、<Record Status>コマンド(第2通知信号)の送信を行わないように構成することも可能である。
【0077】
さらに、上記実施形態では、記録開始の指示が入力された時に、記録機器が完全スタンバイ状態にある場合について説明したが、本発明は、記録開始の指示が入力された時に記録機器が電源オン状態にある場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 コンテンツ記録システム
10 テレビジョン受像機
1 リモコン(入力部)
6 チューナ(受信手段)
8 デコーダ部(出力手段)
9 映像処理部(出力手段)
11 音声処理部(出力手段)
12 表示部(出力手段)
13 音声出力部(出力手段)
14 FIFOメモリ(一時記録部)
161 CPU(第1制御手段、計測手段、第2制御手段、第3制御手段、第4制御手段、出力手段)
164 計測部
165a 第1制御プログラム(第1制御手段)
165b 計測プログラム(計測手段)
165c 第2制御プログラム(第2制御手段)
165d 第3制御プログラム(第3制御手段)
165e 第4制御プログラム(第4制御手段)
165f 出力プログラム(出力手段)
20 HDDレコーダ(記録機器)
25 記録部(記録手段)
261 CPU(第1通知手段、記録手段、第2通知手段)
263a 第1通知プログラム(第1通知手段)
263b 記録プログラム(記録手段)
263c 第2通知プログラム(第2通知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを受信する受信手段を備え、HDMIケーブルを介して記録機器と接続されたテレビジョン受像機において、
ユーザによる記録開始の指示の入力および記録停止の指示の入力を受け付ける入力部と、
コンテンツデータを一時的に記録する一時記録部と、
前記入力部において記録開始の指示が入力された場合に、前記記録機器に対して記録開始を指示する第1指示信号を送信するとともに、前記一時記録部に前記受信手段により受信されたコンテンツデータの記録を開始させる第1制御手段と、
前記第1指示信号を送信してから、前記記録機器から記録開始可能な状態に移行した旨の第1通知信号を受信するまでの遅延時間を計測する計測手段と、
前記記録機器から前記第1通知信号を受信した場合に、前記一時記録部に記録されたコンテンツデータの前記記録機器への送信を開始する第2制御手段と、
前記入力部において記録停止の指示が入力された場合に、当該記録停止の指示が入力された時点から前記計測手段により計測された前記遅延時間の経過後に、前記記録機器に対して記録停止を指示する第2指示信号を送信する第3制御手段と、
前記第3制御手段により前記記録機器に対して前記第2指示信号を送信した場合、または、前記記録機器から記録停止を行った旨の第2通知信号を受信した場合に、前記一時記録部に記録されたコンテンツデータの前記記録機器への送信を停止する第4制御手段と、
を備えることを特徴とするテレビジョン受像機。
【請求項2】
少なくとも、前記入力部において記録開始の指示が入力された時点から前記入力部において記録停止の指示が入力される時点まで、前記受信手段により受信されるコンテンツデータに基づくコンテンツの出力を行う出力手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のテレビジョン受像機。
【請求項3】
コンテンツデータを受信する受信手段を備えるテレビジョン受像機と、HDMIケーブルを介して当該テレビジョン受像機と接続された記録機器と、を備えるコンテンツ記録システムにおいて、
前記テレビジョン受像機は、
ユーザによる記録開始の指示の入力および記録停止の指示の入力を受け付ける入力部と、
コンテンツデータを一時的に記録する一時記録部と、
前記入力部において記録開始の指示が入力された場合に、前記記録機器に対して記録開始を指示する第1指示信号を送信するとともに、前記一時記録部に前記受信手段により受信されたコンテンツデータの記録を開始させる第1制御手段と、
前記第1指示信号を送信してから、前記記録機器から記録開始可能な状態に移行した旨の第1通知信号を受信するまでの遅延時間を計測する計測手段と、
前記記録機器から前記第1通知信号を受信した場合に、前記一時記録部に記録されたコンテンツデータの前記記録機器への送信を開始する第2制御手段と、
前記入力部において記録停止の指示が入力された場合に、当該記録停止の指示が入力された時点から前記計測手段により計測された前記遅延時間の経過後に、前記記録機器に対して記録停止を指示する第2指示信号を送信する第3制御手段と、
前記第3制御手段により前記記録機器に対して前記第2指示信号を送信した場合、または、前記記録機器から記録停止を行った旨の第2通知信号を受信した場合に、前記一時記録部に記録されたコンテンツデータの前記記録機器への送信を停止する第4制御手段と、
少なくとも、前記入力部において記録開始の指示が入力された時点から前記入力部において記録停止の指示が入力される時点まで、前記受信手段により受信されるコンテンツデータに基づくコンテンツの出力を行う出力手段と、
を備え、
前記記録機器は、
前記テレビジョン受像機から前記第1指示信号を受信した場合に、記録開始可能な状態に移行するとともに、記録開始可能な状態に移行した後に、前記第1通知信号を前記テレビジョン受像機に送信する第1通知手段と、
前記テレビジョン受像機から送信されるコンテンツデータの記録を行う記録手段と、
前記テレビジョン受像機から前記第2指示信号を受信した場合に、前記記録手段によるコンテンツデータの記録を停止するとともに、前記第2通知信号を前記テレビジョン受像機に送信する第2通知手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−288197(P2010−288197A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142279(P2009−142279)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】