説明

テレビジョン受像機

【課題】 テレビジョン画像とともに電子メールの概要を表示することができるようにする。
【解決手段】 CPU1は、外部メールサーバに接続するためのモデム4を介して電子メール機能により受信し、その電子メールの概要を概要抽出機能により抽出して表示メモリ7に書き込み、テレビジョン受信部6のスーパーインポーズ機能により上記電子メールの概要をテレビジョン画像にスーパーインポーズして、表示部9にテレビジョン画像とともに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子メール機能を有するテレビジョン受像機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信ネットワークを介してメッセージを授受する電子メールが普及している。電子メールシステムは、ネットワーク上に分散するワークステーションやパーソナル・コンピュータ上で動作する。
【0003】また、一般家庭用テレビジョン受像機の高機能化に伴い、マルチメディアに対応した文字放送の受信機能や双方向通信機能等を搭載したテレビジョン受像機や、電子メールを送受信する電子メール機能を有するパーソナル・コンピュータを搭載したテレビジョン受像機が普及しつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、パーソナル・コンピュータを搭載したテレビジョン受像機では、電子メールのアクセスは電子メールの画面全体を表示して行われるようになっていたので、テレビジョン画像と電子メールの内容を同時に見ることはできず、また、テレビジョン画像を見ている途中で、電子メールの内容を確認しようとすると、電子メール画面に切り換えなければならなかった。したがって、例えばテレビジョン画像を複数の視聴者が同時に見ている場合に、一の視聴者が電子メールをアクセスすると、電子メール画面に切り換えられてしまい、他の視聴者の邪魔をすることになってしまう。
【0005】そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の実状に鑑み、テレビジョン画像とともに電子メールの概要を表示することができるようにしたテレビジョン受像機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るテレビジョン受像機は、外部メールサーバに接続するための接続インターフェースと、上記接続インターフェースを介して電子メールの授受を行う電子メール機能と、テレビジョン画像を表示する表示手段と、受信した電子メールの概要を抽出する概要抽出手段と、上記概要抽出手段により抽出された電子メールの概要をテレビジョン画像にスーパーインポーズして上記表示手段に上記テレビジョン画像とともに表示させるスーパーインポーズ手段と、上記電子メール機能やスーパーインポーズ手段の動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】本発明に係るテレビジョン受像機において、上記制御手段は、例えば、電子メールのチェックコマンドを受け付けることにより、上記電子メール機能により電子メールを受信して、その概要をテレビジョン画像とともに上記表示手段に表示させる制御を行う。また、上記制御手段は、例えば、上記電子メール機能により新たな電子メールを自動受信させ、その概要をテレビジョン画像とともに上記表示手段に表示させる制御を行う。また、上記制御手段は、例えば、上記概要抽出手段により抽出された電子メールの概要を上記表示手段にスクロール表示させるように、上記スーパーインポーズ手段の動作を制御する。さらに、上記制御手段は、例えば、電子メールの全画面表示コマンドを受け付けることにより、上記電子メール機能により受信された電子メールを上記表示手段に全画面表示させるように、上記スーパーインポーズ手段の動作を制御する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】本発明は、例えば図1に示すような構成のテレビジョン受像機に適用される。このテレビジョン受像機10は、セントラル・プロセッシング・ユニット(CPU:Central Processing Unit) 1にバスを介して接続されたリード・オンリー・メモリ(ROM: Read Only Memory) 2やランダム・アクセス・メモリ(RAM:Random Access Memory)3、モデム4、キーボード5、テレビジョン受信部6、表示メモリ7等を備えるとともに、上記テレビジョン受信部6に接続されたスピーカ8及び表示部9などを備える。
【0010】上記CPU1は、このテレビジョン受像機10のシステムコントローラとして全体を制御するもので、上記ROM2に格納されている制御プログラムに従って動作する。このCPU1は、上記RAM3をワークメモリとして用いる。また、このCPU1は、モデム4を介して電子メールデータの送受信する電子メール機能を有する。
【0011】上記キーボード5は、バスを介して上記CPU1へ制御コマンドを入力したり電子メールデータを入力するためのもので、ユーザによって操作される。
【0012】上記テレビジョン受信部6は、テレビジョン信号を受信してデコードする。このテレビジョン受信部6でデコードされたテレビジョン信号の音声は上記スピーカ8から出力され、またテレビジョン画像は表示部9の画面に表示される。
【0013】上記テレビジョン受信部6は、チューナ回路や同期信号発生回路を含む。さらに、上記テレビジョン受信部6は、上記表示メモリ7から表示データを読み出し、テレビジョン画面の所定位置に、テレビジョン画像にスーパーインポーズして、スクロール表示したり、テレビジョン画像にオーパーラップして表示する回路を備えている。
【0014】上記表示メモリ7は、表示するためのデータを記憶するもので、上記CPU1からのアクセスによりデータの書き込み/読み出しを行うことができ、また、上記テレビジョン受信部6の表示回路からもデータの読み出しを行うことができるようになっている。
【0015】このような構成のテレビジョン受像機10において、上記CPU1は、上記ROM2に格納されている制御プログラムにより、図2のフローチャートに示す手順に従って、次のような電子メールの表示制御を行う。
【0016】すなわち、上記CPU1は、先ず、ステップS1において、キーボード5により電子メールのチェックコマンドが入力されたか否かを判定する。このステップS1における判定結果が「NO」すなわち電子メールのチェックコマンドが入力されていないときには、このステップS1を繰り返す。そして、このステップS1における判定結果が「YES」すなわち電子メールのチェックコマンドが入力されるとステップS2に進む。
【0017】ステップS2では、メールサーバに接続するためにアクセスポイントへのダイヤル発信指示をモデム4に対して行い、このダイヤル発信指示に従ってダイヤル発信させてモデム4をアクセスポイントに接続する。これにより、CPU1は、メールサーバ側のモデムと接続される。
【0018】次のステップS3では、所定のプロトコルに従い、メールサーバから自分宛のメールデータを全て読み出してワーク用のRAM3に書き込む。自分宛のメールデータを全てワーク用のRAM3に書き込み終わると、ステップS4に進む。
【0019】ステップS4では、モデム4に対して回線遮断を指示して、回線を解放する。
【0020】次のステップS5では、上記メールサーバから読み出した自分宛のメールデータが蓄積されている上記ワーク用のRAM3を検索し、メールデータ中の発信者の名前とSubject のみを読み出し、そのデータを電子メールの概要データとして上記表示メモリ7の所定の番地に書き込む。
【0021】次のステップS6では、上記テレビジョン受信部6にメールスクロール表示ONを指示する。これにより、上記テレビジョン受信部6は、上記表示メモリ7から発信者の名前とSubject を順番に読み出して、テレビジョン画像の所定位置、例えば図3に示すように最下部に、スーパーインポーズで表示する。ここで、上記テレビジョン受信部6は、垂直同期毎に、読み出し番地が1ドット後に進むような読み出し制御手段を内蔵しており、発信者の名前1+Subject1 ,発信者の名前2+Subject2 ・・・・発信者の名前N+SubjectN の順にスクロールしながら、テレビジョン画像の最下部にスーパーインポーズする。これにより、上記表示部9の表示画面には、電子メールの概要データがテレビジョン画像の最下部にスーパーインポーズされて、スクロール表示される。
【0022】したがって、テレビジョン放送の視聴者は、現在受信している電子メールの概要を、テレビジョン放送を視聴しながら知ることができる。
【0023】なお、上記テレビジョン受信部6に設けたハードウエアにより上記スクロール表示を行っているが、CPU1で表示メモリ7の内容を順次変えながらソフト的にスクロール表示を行うようにしてもよい。
【0024】さらに、次のステップS7では、上記キーボード5により電子メールのチェックの終了コマンドが入力されたか否かを判定する。このステップS1における判定結果が「YES」のときには、ステップS8に進んで上記テレビジョン受信部6にスクロール表示OFFを指示して、電子メールのチェックの処理を終了する。また、このステップS7における判定結果が「NO」すなわち電子メールのチェックの終了コマンドが入力されていないときにはステップS9に進む。
【0025】ステップS9では、上記キーボード5により電子メールの全画面表示コマンドが入力されたか否かを判定する。このステップS9における判定結果が「NO」のときには、上述のステップS6に戻って電子メールの概要データのスクロール表示を継続する。また、このステップS7における判定結果が「YES」すなわち電子メールの全画面表示コマンドが入力されたときにはステップS10に進む。
【0026】ステップS10では、全画面表示コマンドが入力された時点で、上記表示部9の表示画面に概要がスクロール表示されていた電子メール例えば発信者の名前N+SubjectN が表示されていたとすれば、その番号Nに相当する電子メールの本文を上記ワーク用のRAM3から読み出して、上記表示メモリ7に書き込む。
【0027】そして、次のステップS11では、上記テレビジョン受信部6に全画面メール表示ONを指示する。これにより、上記テレビジョン受信部6は、メールスクロール表示ONの状態から全画面メール表示ONに動作状態が切り替わり、図4に示すように、上記表示メモリ7に書き込まれた電子メール本文を先頭から読み出して発信者、Subject 、日付などとともに、上記表示部9の表示画面に全画面表示する。なお、表示内容は、テレビジョン画像にスーパーインポーズしないで完全に表示しても良いし、マルチ画面で表示しても良い。
【0028】次のステップS11では、上記キーボード5により電子メールの全画面表示の終了コマンドが入力されたか否かを判定する。このステップS7における判定結果が「NO」すなわち電子メールの全画面表示の終了コマンドが入力されていないときにはステップS11に戻って電子メールの全画面表示を継続する。また、このステップS11における判定結果が「YES」のときには、ステップS6に戻り、上記テレビジョン受信部6にスクロール表示ONを指示して、電子メールの概要データのスクロール表示を行う。
【0029】すなわち、上記CPU1は、電子メールのチェックコマンドを受け付けることにより、外部メールサーバに接続するためのモデム4を介して電子メール機能により受信し、その電子メールの概要を概要抽出機能により抽出して表示メモリ7に書き込み、テレビジョン受信部6のスーパーインポーズ機能により上記電子メールの概要をテレビジョン画像にスーパーインポーズして、表示部9にテレビジョン画像とともに表示させる。また、上記CPU1は、電子メールの全画面表示コマンドを受け付けることにより、上記電子メール機能により受信された電子メールを上記表示部9に全画面表示させるように、上記テレビジョン受信部6のスーパーインポーズ機能を制御する。
【0030】したがって、このような構成のテレビジョン受像機では、テレビジョン放送の視聴者は、テレビジョン画像を見ながら電子メールの概要を知ることができ、読みたいときにだけ、その全文を見ることができる。
【0031】なお、電子メールのアクセスについては、視聴者がキーボード5により電子メールのチェックコマンドを入力しなくても、予め自動アクセスの設定をしておくこともできる。自動アクセスの設定をしておくことにより、一般のニュース速報のように、そのメール内容を知ることができる。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るテレビジョン受像機では、外部メールサーバに接続するための接続インターフェースを介して電子メールの授受を行う電子メール機能により受信し、その電子メールの概要を概要抽出手段により抽出し、スーパーインポーズ手段により上記電子メールの概要をテレビジョン画像にスーパーインポーズして、表示手段にテレビジョン画像とともに表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したテレビジョン受像機の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】上記テレビジョン受像機における電子メールの表示制御の手順を示すフローチャートである。
【図3】上記テレビジョン受像機における電子メールの概要の表示状態を模式的に示す図である。
【図4】上記テレビジョン受像機における電子メールの全画面表示状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 テレビジョン受像機、1 CPU、2 ROM、3 RAM、4 モデム、5 キーボード、6 テレビジョン受信部、7 表示メモリ、8 スピーカ、9 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部メールサーバに接続するための接続インターフェースと、上記接続インターフェースを介して電子メールの授受を行う電子メール機能と、テレビジョン画像を表示する表示手段と、受信した電子メールの概要を抽出する概要抽出手段と、上記概要抽出手段により抽出された電子メールの概要をテレビジョン画像にスーパーインポーズして上記表示手段に上記テレビジョン画像とともに表示させるスーパーインポーズ手段と、上記電子メール機能やスーパーインポーズ手段の動作を制御する制御手段とを備えるテレビジョン受像機。
【請求項2】 上記制御手段は、電子メールのチェックコマンドを受け付けることにより、上記電子メール機能により電子メールを受信して、その概要をテレビジョン画像とともに上記表示手段に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1記載のテレビジョン受像機。
【請求項3】 上記制御手段は、上記電子メール機能により新たな電子メールを自動受信させ、その概要をテレビジョン画像とともに上記表示手段に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1記載のテレビジョン受像機。
【請求項4】 上記制御手段は、上記概要抽出手段により抽出された電子メールの概要を上記表示手段にスクロール表示させるように、上記スーパーインポーズ手段の動作を制御することを特徴とする請求項1記載のテレビジョン受像機。
【請求項5】 上記制御手段は、電子メールの全画面表示コマンドを受け付けることにより、上記電子メール機能により受信された電子メールを上記表示手段に全画面表示させるように、上記スーパーインポーズ手段の動作を制御することを特徴とする請求項1記載のテレビジョン受像機。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【公開番号】特開2000−165772(P2000−165772A)
【公開日】平成12年6月16日(2000.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−340710
【出願日】平成10年11月30日(1998.11.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】