説明

テレフタル酸ジ−n−ブチルへのテレフタル酸の転化

分留塔を使用しながら、強酸の存在下での、テレフタル酸のn−ブタノールとのエステル化によるテレフタル酸ジ−n−ブチルの製造方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願に対するクロスリファレンス
本件特許出願は、2007年1月30日に出願された米国特許出願番号第11/699,652号(この開示を、その全部を参照して、本明細書に含める)の一部係属出願である。
【0002】
本発明はテレフタル酸(TPA)からのテレフタル酸ジ−n−ブチル(DBT)の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
テレフタル酸ジエステル、例えばDBTとしても知られている、テレフタル酸ジ−n−ブチルは、種々のポリマー材料、例えばポリ塩化ビニル中の可塑剤として使用することができる。イーストマン・ケミカル社は、テレフタル酸ジメチル(DMT)の2−エチルヘキサノールとのチタネート触媒作用エステル交換反応によって、DOTP又は168plasticizerとしても知られている、テレフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)を生産している。この製品への更に直接的な経路は、親特許出願である特許文献1に記載されており、テレフタル酸(TPA)が、分留塔の使用により、加圧又は環境圧力を含む反応条件で、チタネート触媒を使用して、2−エチルヘキサノールと反応されている。しかしながら、チタネート触媒は、テレフタル酸ジ−n−ブチル(DBT)を製造するために直接的に使用することはできない。本発明者らは、過剰の強酸、例えばメタンスルホン酸及び硫酸が、分留塔との組合せで、この問題点を克服することを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第11/699,652号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様はテレフタル酸ジ−n−ブチルの製造方法に関する。この方法は、テレフタル酸(TPA)を、反応器内で触媒の存在下に、n−ブタノールと接触させることを含んでなり、この方法に於いては、全圧がほぼ大気圧に維持されており、温度が約110℃〜220℃に維持されており、そして、水を除去するための分留塔が反応器に取り付けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明に従った方法は、感知できる発泡の問題を伴わないで、TPA反応剤の高い転化率で、所望のテレフタル酸ジ−n−ブチル生成物を良好な反応速度で提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明に従った方法で有用な反応器及び塔を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に従えば、通常の圧力及び温度での、TPAのテレフタル酸ジ−n−ブチル(DBT)への直接転化のために、回分式又は連続式反応器を使用することができる。この反応器は、水除去のための分留塔が取り付けられた、簡単な撹拌式装置であってよく(従って、水を除去するための不活性ガスの使用を必要としないであろう)又は反応剤導入及び生成物除去のための複数のポートを含有していてよい。
【0009】
例えば、この反応器には、分留塔並びにTPA、アルコール(n−ブタノール)及び触媒を挿入するためのアクセスポートを取り付けることができる。この分留塔の効率は、35段のように多くから、2段のように僅かまでの範囲であってよいが、より少ない段は、方法の運転が困難になる程度までの発泡になる。実施に於いて、この反応器には、テレフタル酸、過剰のアルコール及び触媒量の触媒を装入する。この混合物を還流まで加熱し、撹拌すると、水の有効な除去及びTPAのDBTへのエステル化を生じる。揮発性成分は、主として、反応の水及び未反応のn−ブタノールを含む。水はデカンターを経て分離することができ、アルコールは塔を通して還流させることができる。DBTへの転化は、4〜5時間以内に本質的に完結し、非常に不溶性のTPAの消失によって明白である。次いで、粗製生成物を、2.5%NaOHによって中和し、デカントする。過剰のn−ブタノールを減圧で分離除去する。この生成物は減圧での蒸留によって精製する。2回目の2.5%NaOHでの洗浄を実施し、続いて相分離し、減圧で乾燥させる。
【0010】
この態様の実施例に於いて、分留段の数は3高効率理論段(HETS)〜6HETSの範囲内であり、発泡を最小にするための代表的な数は4〜5HETSの範囲内である。過剰のn−ブタノールの量は25モル%〜400モル%の範囲内であり、例えば100モル%の量がジエステルへの転化を容易にする。未反応のアルコールはプロセスに容易にリサイクルすることができる。適切な触媒には、これらに限定されないが、メタンスルホン酸、硫酸、メタンジスルホン酸、ブタンスルホン酸及びペルフルオロブタンスルホン酸が含まれる。これらの触媒は、個々に又はそれらの2種又はそれ以上の組合せで、使用することができる。触媒濃度の範囲は、TPA及びブタノールの全装入量基準で、約1%〜約15%、約3%〜約10%又は更に約5%であってよい。この方法は、TPAを適切な反応器にスクリューフィーダーの手段によって添加し、ブタノール/触媒をポンプ供給混合物として、分留塔/デカンター組合せを取り付けた撹拌した反応器に添加することにより、反応の水を除去することができ、未反応のアルコールを反応器に戻すことができるようにして、連続方式で実施することができる。この反応器からの排出物は、一連の1個又はそれ以上の仕上げ反応器(ここで、水の除去を伴うテレフタル酸ジエステルへの転化が続けられる)に通過させることができる。この反応の生成物は、回分式実施例について挙げたものと互換性のある工程によって、更に処理し、精製することができる。
【0011】
この態様に於いて、圧力はほぼ大気圧に維持することができる。更に、反応ゾーン内の温度は、約110℃〜220℃の範囲、約115℃〜140℃の代表的な温度範囲で維持することができる。その代わりに、反応速度を加速する目的のために、加圧した反応器システム及びより高い反応温度を使用することもできる。
【実施例】
【0012】
上記の態様に従った方法を、下記の実施例によって更に例示する。実施例に於いて、示された全てのパーセントは、他の方法で特定しない限り、重量基準である。
【0013】
実施例1
装置は加熱マントル、磁気攪拌棒、温度センサー、デカンター及び蒸留カラムを取り付けた2リットルのベース(base)からなっていた。取り付けたカラム(塔)は、典型的に、ほぼ5つの高効率の分離理論段をもたらす、10インチの充填物を有するペン−ステート−パックドカラム(Penn-State-packed column)からなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0014】
ベースに、370.6g(5モル;25モル%過剰)のn−ブタノール、332.3g(2モル)のTPA及び0.15g(213ppm)のTIPT触媒を装入し、この混合物を加熱した。4.5時間還流(117℃)した後、水は生成しなかった(72g理論量)。
【0015】
4.5時間後に、n−ブタノールをデカンターからデカントし始め、ベース温度を上昇させることを試みた。次の1.5時間に亘って177gのn−ブタノールを除去し、撹拌を止めた。撹拌を再開したとき、2滴の硫酸を装入し、更に1.5時間保持し、1mLよりも少ない水が生成し、バッチを廃棄した。
【0016】
実施例2
装置は加熱マントル、磁気攪拌棒、温度センサー、デカンター及び蒸留カラムを取り付けた2リットルのベースからなっていた。取り付けたカラムは、10インチの充填物を有するペン−ステート−パックドカラムからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0017】
ベースに、300gのDBT、370.6g(5モル;25%モル過剰)のn−ブタノール、332.3g(2モル)のTPA及び0.2g(199ppm)のTIPT触媒を装入し、この混合物を加熱した。この反応物を122℃で還流で保持し、ベース温度を上昇させるための試みに於いて、デカンターからn−ブタノールを除去し始めた(約50g/30分間)。この反応物を水生成なしに6.0時間保持し(72g理論量)、バッチを廃棄した。
【0018】
反応に入って30分で出発して、反応に入って4.5時間で、合計329.2gのn−ブタノールを除去した。最後の57.2gのn−ブタノールが除去されるまで、ベース温度は122℃から138℃まで上昇した。ベース温度を187℃の最終温度まで上昇させながら、追加の1.5時間撹拌した。反応を通じて、取出し(take-off)温度は117℃のままであった。
【0019】
実施例3
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、蒸留カラム、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。取り付けたカラムは、10インチの充填物を有するペン−ステート−パックドカラムからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0020】
ベースに、150.0gのDBT、166.2g(1モル)のTPA及び0.1g(318ppm)のTIPT触媒を装入し、この混合物を加熱した。200℃のポット温度を維持しながら、n−ブタノールの液面下添加を始めた。ベースに供給した合計75mLのn−ブタノールで、合計供給時間は8時間であった。この反応の間に水は生成しなかった(36g理論量)。バッチを廃棄した。
【0021】
実施例4
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0022】
ベースに、150.0gのDBT、166.2g(1モル)のTPA及び17.6g(5重量%)のp−TSA触媒を装入し、この混合物を加熱した。150℃のポット温度を維持し、n−ブタノールの液面下添加を開始した。反応に入って3時間で、0.8gのみの水が捕獲され、反応時間の残りの間、ポット温度を160℃まで上昇させた。ベースに供給した合計163mLのn−ブタノールで、合計供給時間は14時間であった。液面下添加の間に、合計17.3gの水が除去された(36g理論量)。ポットには、なお大量の固体が含有されていた。バッチを廃棄した。
【0023】
実施例5
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0024】
ベースに、150.0gのDBT、166.2g(1モル)のTPA及び35.2g(触媒及び共溶媒として初期装入量の11重量%)のリン酸触媒を装入し、この混合物を加熱した。DBTへのリン酸の添加の際に、この混合物は白色スラリーに変わった。TPAを装入したとき、このスラリーは一時的に固まり、次いで熱を加えた際に分散した。200℃のポット温度を維持し、n−ブタノールの液面下添加を始めた。液面下に供給した合計305mLのn−ブタノールで、供給時間は9時間であった。除去された水の全量は、70.4g(理論量36g)であった。
【0025】
この混合物を2リットルのドロップボトムフラスコ(drop bottom flask)に装入し、80℃に保持した。この温度で、この混合物を5%水酸化ナトリウム洗液で中和し、この温度で30分間攪拌した。次いで撹拌を停止し、反応器内容物を沈降させた。この混合物は、3個の層を形成した。下層は固体であり、次いで水層であり、上層は小さい有機物であった。バッチを廃棄した。
【0026】
実施例6
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0027】
ベースに、150.0gのDBT、166.2g(1モル)のTPA、31.4g(共溶媒として初期装入量の10重量%)のDMSO及び3.1g(触媒として1重量%)のMSAを装入し、この混合物を200℃に加熱した。この温度で、n−ブタノールの液面下添加を始めた。n−ブタノールの添加の際に、ポット温度は低下し、16mLのn−ブタノールがポット温度を187℃まで低下させたことが見出された。この反応を4.5時間試みた。除去された水の合計は9.6g(理論量36g)であり、171℃までのポット温度低下を伴って1.5時間以内に1.4gを除去した。反応器液面下に供給されたn−ブタノールの合計量は86mLであった。大量の固体がポット内に残留した。バッチを廃棄した。
【0028】
実施例7
装置は、加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー及びデカンターを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0029】
ベースに、185.3g(25%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA、35.2g(共溶媒として初期装入量の10重量%)のDMSO及び3.5g(触媒として1重量%)のMSAを装入し、この混合物を還流(115℃)まで加熱した。この反応物を還流で4時間保持し、反応工程の間に水除去はなかった(理論量36g)。このバッチを廃棄した。
【0030】
実施例8
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、ディーン・シュタルク(Dean-Stark)トラップ及び液面下窒素供給のためのスパージラインを取り付けた1リットルのベースからなっていた。フラスコの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0031】
ベースに、89.0g(1.2モル;反応温度を上昇させるために通常使用される50%過剰の半分)のn−ブタノール、133.0g(0.80モル)のTPA及び9.3g(3重量%)のMSA触媒を装入した。この混合物を、窒素を液面下でスパージさせながら、還流まで加熱した。11.5時間の反応の後、反応物中に固体が未だ存在していた。反応の初めの4時間の間、ポットの温度は120℃以下のままであった。この温度をゆっくり上昇させたが、これは、反応速度を改良するようには思われなかった。より多くのブタノールを添加したとき、ベース温度は120℃よりも高く上昇しなかった。除去された水の合計は10.6g(理論量36g)であった。このバッチを廃棄した。固体が未だ存在している。
【0032】
実施例9
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0033】
ベースに、150gのDBT、166.2g(1モル)のTPA及び17.6g(初期装入量の5重量%)のMSA触媒を装入し、この混合物を加熱した。n−ブタノールを液面下で供給しながら、この反応物を150℃で保持した。
【0034】
合計325mLのn−ブタノールを、16時間に亘って液面下で供給した。合計48.2gの水を除去した、理論量36g。16時間後に、ポットは透明であり、反応が完結した。生成物を精製して、毛管ガスクロマトグラフィー(面積%)により下記の組成を得た。
【0035】
ブチルメタンスルホネート 0.07%
テレフタル酸ジイソブチル 0.01%
テレフタル酸n−ブチル−イソブチル 0.05%
テレフタル酸ジブチル 99.82%
【0036】
実施例10
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0037】
ベースに、150gのDBT、166.2g(1モル)のTPA及び35.2g(初期装入量の10重量%)のMSA触媒を装入し、この混合物を加熱した。n−ブタノールを液面下で供給しながら、この反応物を150℃で保持した。
【0038】
合計425mLのn−ブタノールを、14時間に亘って液面下で供給した。合計59.3gの水が除去された(理論量36g)。14時間後に、ポットは透明であり、反応が完結した。
【0039】
この反応混合物についての面積パーセントガスクロマトグラフィー結果は、下記の値を示した。
【0040】
n−ブタノール 8.99%
ブチルエーテル 14.84%
ブチルメタンスルホネート 2.33%
DBT 73.39%
【0041】
実施例11
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0042】
ベースに、150gのDBT、166.2g(1モル)のTPA及び17.6g(初期装入量の5重量%)のMSA触媒及び1.0gの活性炭を装入し、この混合物を加熱した。n−ブタノールを液面下で供給しながら、この反応物を150℃で保持した。
【0043】
合計340mLのn−ブタノールを、15.5時間に亘って液面下で供給した。合計44.5gの水が除去された(理論量36g)。16時間後に、ポットは透明であり、反応が完結した。分析結果は下記の通りである。
【0044】
n−ブタノール 9.65%
ブチルエーテル 5.83%
ブチルメタンスルホネート 1.16%
DBT 83.13%
【0045】
実施例12
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー及びデカンターを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0046】
ベースに、150gのDBT、166.2g(1モル)のTPA及び17.6g(初期装入量の5重量%)のMSA触媒を装入し、この混合物を加熱した。この反応物を還流まで加熱した。
【0047】
この反応を、反応の間に20.0gの水を除去して、19時間運転した。1.5時間の反応の後、微量の水のみが発生し、次いで、ベースを60℃未満まで冷却した。デカンター内のブタノールを排出し(36mL)、次いで、ベースに51mLのトルエンを添加して、水との共沸混合物を生成させた。水が、ゆっくり排出し始めた。この反応の間に、ポット温度が上昇し、更なるトルエン及びブタノールを添加した。18.5時間後にポットは透明になり、これを更に30分間保持した。分析結果は下記の通りである。
【0048】
n−ブタノール 5.08%
トルエン 10.79%
ブチルエーテル 3.28%
ブチルメタンスルホネート 2.06%
DBT 78.46%
【0049】
実施例13
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0050】
ベースに、150gのDBT、166.2g(1モル)のTPA及び3.5g(初期装入量の1重量%)のMSA触媒を装入し、この混合物を加熱した。n−ブタノールを液面下で供給しながら、この反応物を150℃で保持した。合計335mLのn−ブタノールを、13.5時間に亘って液面下で供給した。合計44.4gの水を除去し、理論量38g、ポットは透明であり、反応が完結した。収集が終わるまで(1時間)、過剰のn−ブタノールを、150℃のポット温度及び15mmHgで分離した。除去された物質の全重量は67.4gであった。
【0051】
残留物の温度を80℃に調節し、2.5%の水酸化ナトリウムで処理し、続いて2回水洗浄を行った。次いで、有機層を濾過し、150℃で1mmHgで1時間乾燥させた。生成物を乾燥させた後、炭素を使用する色除去処理のために、温度を90℃に調節した。次いで、この物質を真空濾過し、濾液を生成物として残した。残した物質の重量は、341.7g(理論値428.3g、ポット内に最初に150gを含む)。この生成物は、面積パーセントによって99.81%のDBTと分析された。
【0052】
実施例14
装置は、加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、ディーン・シュタルクトラップ及び液面下窒素供給のためのスパージラインを取り付けた1リットルのベースからなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0053】
ベースに、222.4g(3.0モル;50%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び17.6g(5重量%)のMSA触媒を装入した。この混合物を、窒素を液面下でスパージさせながら、還流まで加熱した。10.1時間の反応の後、ポットは透明になり、反応が完結した。除去された全部の水は32.1g(理論量36g)であった。
【0054】
ポット内の物質を、158℃のポット温度及び17mmHgで1時間、過剰のn−ブタノールから分離した。乾燥後、この物質を冷却し、5%の水酸化ナトリウムで洗浄し、続いて2回水洗浄を行った。生成物を真空濾過し、次いで濾液を、150℃で1mmHgで1時間乾燥させた。この物質を90℃まで冷却し、炭素で処理して、色を除去した。次いで、この生成物を濾過し、濾液を生成物として残した。最終重量は、162.7g(理論値278.3g)であり、アッセイは、面積パーセントによって99.71%であった。
【0055】
実施例15
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、ディーン・シュタルクトラップ及び液面下窒素供給のためのスパージラインを取り付けた1リットルのベースからなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0056】
ベースに、222.4g(3.0モル;50%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び17.6g(5重量%)のMSA触媒を装入した。この混合物を、窒素を液面下でスパージさせながら、還流まで加熱した。13.25時間の反応の後、ポットは透明になり、反応が完結した。除去された全部の水は33.8g(理論量36g)であった。
【0057】
この反応混合物の面積パーセント分析によって下記の値が示された。
【0058】
ブタノール 14.03%
ブチルエーテル 2.18%
DBT 82.91%
【0059】
実施例16
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、デカンター及びn−ブタノール供給ポンプを取り付けた1リットルのベースからなっていた。デカンターの頂部には、水/n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0060】
ベースに、150gのDBT、166.2g(1モル)のTPA、17.6g(初期装入量の5重量%)のMSA触媒及び25gのn−ブタノールを装入し、この混合物を加熱した。n−ブタノールを液面下で供給しながら、この反応物を150℃で保持した。
【0061】
合計295mLのn−ブタノールを、14時間20分間に亘って、液面下に供給した。合計46.8gの水を除去した(理論量38g)。ポットは透明であり、反応が完結した。分析結果は下記の通りである。
【0062】
ブタノール 7.04%
ブチルエーテル 5.96%
ブチルメタンスルホネート 1.54%
DBT 85.28%
【0063】
実施例17
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、ディーン・シュタルクトラップ及び液面下窒素供給のためのスパージラインを取り付けた1リットルのベースからなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0064】
ベースに、296.5g(3.0モル;100%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び17.6g(5重量%)のMSA触媒を装入した。この混合物を、窒素を液面下でスパージさせながら、還流まで加熱した。10.9時間の反応の後、ポットは透明になり、反応が完結した。除去された全部の水は33.7g(理論量36g)であった。
【0065】
この反応混合物の面積パーセント分析によって下記の値が示された。
【0066】
DBT 68.58%
ブタノール 30.93%
【0067】
実施例18
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、ディーン・シュタルクトラップ及び液面下窒素供給のためのスパージラインを取り付けた1リットルのベースからなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0068】
ベースに、222.4g(3.0モル;50%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び触媒としての16.1g(4重量%)の95.7%硫酸を装入した。この混合物を、窒素を液面下でスパージさせながら、還流まで加熱した。16時間の反応の後、ポットは少量のみの固体を含有していた。除去された全部の水は46g(理論量36g)であった。この反応混合物は、ガスクロ面積パーセントによる分析のためのサンプルであった。
【0069】
ブタノール 3.92%
ブチルエーテル 7.63%
DBT 85.31%
【0070】
実施例19
装置は加熱マントル32、オーバーヘッド攪拌機33、温度センサー37、10”ペン−ステート−パックドカラム34及びディーン・シュタルクトラップを取り付けた1リットルのベース31からなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器36が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。(装置の詳細については図1を参照されたい)。
【0071】
ベースに、296.5g(4.0モル;100%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び触媒としての23.1g(5重量%)の硫酸を装入し、この混合物を、還流まで加熱した。4時間の反応の後、ポットは透明であり、固体は存在しなかった。除去された全部の水は49g(理論量36g)であった。
【0072】
この混合物を冷却させ、次いでドロップボトムフラスコに装入した。次いで、混合物を、5%水酸化ナトリウムで洗浄した。80℃で30分間洗浄した後、撹拌を停止し、沈降させた。この層内で僅かな量のみの色を有する下の水層(pH13)をデカントした。有機層をD.I.水で、苛性洗浄と同じ条件で洗浄し、下の水層をデカントし、pH(2)を試験した。酸含有物のために、この層に10gの水酸化ナトリウム(約10%溶液)を装入し、入れ戻し、他の苛性洗浄を実施した。沈降させて、下の水層(pH14)をデカントし、水洗浄のために有機層にD.I.水を装入した。沈降させて、下の水層(pH3)をデカントし、有機層で、他のD.I.水洗浄を実施した。沈降させて、なお3のpHを有する下の水層をデカントした。
【0073】
この有機層を、Dicaliteフィルター助剤によってカバーされたガラス繊維フィルターサークル(filter circle)に通して、攪拌棒の入った丸底フラスコの中に真空濾過した。濾液を、温度センサー、攪拌棒、3”Vigreuxカラム、凝縮器及び受器によって乾燥させた。乾燥条件は、10mmHgで177℃の温度で1時間であった。除去された物質の量は80mLであった。
【0074】
この材料を90℃にまで冷却し、色について処理するために炭素を装入した。これを1時間保持し、次いでDicaliteフィルター助剤によってカバーされたガラス繊維フィルターサークルに通して真空濾過した。濾液を生成物として残した。この物質は、冷却すると濁ってきて、ガラス繊維フィルターサークルに通して再濾過した。これは大部分の濁りを除去すると思われた。
【0075】
最終製品についての分析結果は下記の通りであった。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例20
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、10”ペン−ステート−パックドカラム及びディーン・シュタルクトラップを取り付けた1リットルのベースからなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0078】
ベースに、296.5g(4.0モル;100%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び触媒としての23.1g(5重量%)のMSAを装入し、この混合物を、還流まで加熱した。4時間30分間の反応の後、ポットは透明であり、固体は存在しなかった。除去された全部の水は37.3g(理論量36g)であった。
【0079】
過剰のn−ブタノールを分離するために、10”ペン−ステート−パックドカラムを、3”Vigreuxカラムで置き換えた。分離は、45分間で、8mmHgで145℃のポット温度にまで進んだ。分離は、物質が黒くなり始めたので停止した。
【0080】
ポット内容物をドロップボトムフラスコに装入し、80℃で苛性洗浄のために、5%水酸化ナトリウムと共に30分間撹拌した。この撹拌時間の後、この物質を沈降させ、次いで下の水層(pH14)をデカントした。有機層をD.I.水で、上記の撹拌時間及び温度に従って、更に2回洗浄した。洗浄工程が完結した後、有機層を、Dicaliteフィルター助剤によってカバーされたガラス繊維フィルターサークルに通して、真空濾過した。
【0081】
次いで、濾液を、0.2mmHgで140℃のポット温度で1時間乾燥させた。次いで、ポット内容物を90℃にまで冷却し、炭素を装入し、この温度で1時間攪拌した。撹拌時間が完了した後、この物質を、Dicaliteフィルター助剤によってカバーされたガラス繊維フィルターサークルに通して、真空濾過し、濾液を生成物として残した。残った生成物の量は204.1g(理論量278.3g)であり、外観は薄琥珀色であった。ガスクロマトグラフィー面積パーセントは下記の通りであった。
【0082】
DBT異性体 0.20%
DBT 99.64%
【0083】
実施例21
(実施例19の繰り返し)
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、10”ペン−ステート−パックドカラム及びディーン・シュタルクトラップを取り付けた1リットルのベースからなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0084】
ベースに、296.5g(4.0モル;100%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び触媒としての23.1g(5重量%)の硫酸を装入し、この混合物を、還流まで加熱した。4時間の反応の後、ポットは透明であり、固体は存在しなかった。除去された全部の水は48.4g(理論量36g)であった。
【0085】
この混合物を冷却させ、次いでドロップボトムフラスコに装入した。次いで、混合物を、5%水酸化ナトリウムで洗浄した。80℃で45分間洗浄した後、撹拌を停止し、沈降させた。下の水層をデカントし、そのpHを測定した(12)。ポットに追加の5%水酸化ナトリウムを装入した。この混合物を80℃で30分間撹拌し、沈降させ、下の水層(pH14)をデカントした。有機層を、同じ条件下でDI水で洗浄し、下の水層(pH2)をデカントした。pHを測定しながら(2−3)DI水洗浄を繰り返した。この有機層を、Dicaliteフィルター助剤によって被覆されたガラス繊維フィルターサークルに通して真空濾過した。
【0086】
次いで、濾液を、3”Vigreuxカラム及び真空を使用して乾燥させた。この物質を、9mmHgで170℃のポット温度で1時間乾燥させた。次いで、温度を90℃に調節し、炭素を装入し、1時間攪拌した。撹拌時間の後、次いで、この物質を、Dicaliteフィルター助剤によって被覆されたガラス繊維フィルターサークルに通して真空濾過した。濁りが濾液中に存在していた。従って、この物質を、2個のガラス繊維フィルターサークルに通して再濾過した。この濾液を生成物として残した。分析データは下記の通りである。
【0087】
【表2】

【0088】
実施例22
装置は加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、10”ペン−ステート−パックドカラム及びディーン・シュタルクトラップを取り付けた1リットルのベースからなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0089】
ベースに、296.5g(4.0モル;100%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び触媒としての23.1g(5重量%)の硫酸を装入し、この混合物を、還流まで加熱した。4.5時間の反応時間の後、ポットは透明であり、固体は存在しなかった。除去された全部の水は47.8g(理論量36g)であった。
【0090】
この物質を、ドロップボトムフラスコに装入し、熱を80℃に調節した。この温度で、5%水酸化ナトリウムを装入し、30分間撹拌した。この時間後に、撹拌を停止し、沈降させ、次いで、下の水層をデカントした(pH14)。次いで、DI水を有機層に装入し、洗浄のために同じ条件下で撹拌した。この時間後に、沈降させ、次いで、下の水層をデカントした、pH(2−3)。前記のようにしてもう1回DI水洗浄を繰り返した。
【0091】
デカントした後、有機層を、Dicaliteフィルター助剤によって被覆されたガラス繊維フィルターサークルに通して真空濾過し、丸底フラスコの中に入れた。次いで、濾液を、過剰のアルコールを分離し、洗液から乾燥するように設定した。分離及び乾燥は、1mmHgで198℃のポット温度まで1時間行い、全ての低沸点物の分離を決定するためにカットを取った。下記のものは、分離方法及びデータである。
【0092】
【表3】

【0093】
次いで、カット3及び4を、ポット内の物質に添加した。次いで、この物質を、Dicaliteフィルター助剤によって被覆されたガラス繊維フィルターサークルに通して真空濾過した。この物質を分析のためにサンプリングした。結果は下記の通りである。
【0094】
【表4】

【0095】
次いで、この物質を、ドロップボトムフラスコに装入し、25%水酸化ナトリウムによって80℃で1時間洗浄した。この時間後に、物質を沈降させ、下の水層をデカントした(pH14)。次いで、有機層を、DI水によって80℃で1時間洗浄した。この時間後に、物質を沈降させ、下の水層をデカントした(pH12)。このデカントは、水との類似の密度のために、分離することが困難であった。有機層を丸底フラスコに装入し、真空及び3”Vigreuxカラムで乾燥するように設定した。この物質を、1mmHgで100℃のポット温度にまで1時間乾燥させた。この物質を、Dicaliteフィルター助剤によって被覆されたガラス繊維フィルターサークルに通して真空濾過した。濾液を、濁度及び酸価について分析に送った。下記のような結果である。
【0096】
【表5】

【0097】
研究室観察によって、この物質は、無色透明及びヘイズ無しとして示された。
【0098】
実施例23
装置は、加熱マントル、オーバーヘッド攪拌機、温度センサー、10”ペン−ステート−パックドカラム及びディーン・シュタルクトラップを取り付けた1リットルのベースからなっていた。ディーン・シュタルクトラップの頂部には、水−n−ブタノール共沸混合物を凝縮させ、デカンターの中に集めるための凝縮器が取り付けられていた。頂部のn−ブタノール層を、オーバーフローチューブを経てカラムに戻し、水を秤量するために集めた。
【0099】
ベースに、296.5g(4.0モル;100%過剰)のn−ブタノール、166.2g(1モル)のTPA及び触媒としての13.9g(3重量%)の硫酸を装入し、この混合物を、還流まで加熱した。4.5時間の反応時間の後、ポットは透明であり、固体は存在しなかった。除去された全部の水は51.5g(理論量36g)であった。
【0100】
次いで、ポット内容物を、ドロップボトムフラスコに装入し、5%水酸化ナトリウムによって80℃で30分間洗浄した。この時間後に、沈降させ、下の水層をデカントした(pH12)。有機層に、2回の水洗浄を80℃で実施し、それぞれの洗浄の後で、水層をデカントした。第一水洗浄のためのpHは3であり、第二水洗浄のためのpHは2であった。最終デカントの後で、有機物質を、Dicaliteフィルター助剤によって被覆されたガラス繊維フィルターサークルに通して真空濾過した。
【0101】
濾液を、最初に10”ペン−ステート−パックドカラムを使用し、次いで3”Vigreuxカラムに進めて、蒸留を行った。蒸留データは下記の通りである。
【0102】
【表6】

【0103】
一夜で、103−03は、僅かに濁ってきて、底に少量の固体が存在した。これを、室温でガラス繊維濾紙に通して濾過した。この濁りは除去された。この物質の酸価は0.003であった。仕様限界は0.020未満である。
【0104】
本発明を、その好ましい態様を特に参照して詳細に記載したが、本発明の精神及び範囲内で変形及び修正を実施できることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸を、反応器内で触媒の存在下に、ブタノールと接触させることを含んでなるテレフタル酸ジ−n−ブチルの製造方法であって、全圧がほぼ大気圧に維持されており、温度が約110℃〜220℃に維持されており、そして水を除去するための分留塔が反応器に取り付けられている方法。
【請求項2】
前記分留塔が約2〜35個の段を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分留塔が3〜6個の段を有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒がメタンスルホン酸、硫酸、メタンジスルホン酸、ブタンスルホン酸及びペルフルオロブタンスルホン酸からなる群から選択された少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が約1〜約15重量%の量で存在する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が約3〜約10重量%の量で存在する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が約5重量%の量で存在する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
テレフタル酸(TPA)を、反応器内で触媒の存在下に、ブタノールと接触させることを含んでなるテレフタル酸ジ−n−ブチルの製造方法であって、全圧がほぼ大気圧に維持されており、温度が約110〜220℃に維持されており、そして水を除去するための分留塔が反応器に取り付けられている方法。
【請求項9】
前記分留塔が約2〜35個の段を有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分留塔が3〜6個の段を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒がメタンスルホン酸、硫酸、メタンジスルホン酸、ブタンスルホン酸及びペルフルオロブタンスルホン酸からなる群から選択された少なくとも1種である請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒が約1〜約15重量%の量で存在する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒が約3〜約10重量%の量で存在する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒が約5重量%の量で存在する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
テレフタル酸を、反応器内で触媒の存在下に、ブタノールと接触させることを含んでなるテレフタル酸ジ−n−ブチルの製造方法であって、前記触媒がメタンスルホン酸、硫酸、メタンジスルホン酸、ブタンスルホン酸及びペルフルオロブタンスルホン酸からなる群から選択された少なくとも1種である方法。
【請求項16】
水を除去するための分留塔が前記反応器に取り付けられている請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分留塔が約2〜35個の段を有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記分留塔が3〜6個の段を有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記触媒が約1〜約15重量%の量で存在する請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記触媒が約3〜約10重量%の量で存在する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒が約5重量%の量で存在する請求項20に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−523560(P2010−523560A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502085(P2010−502085)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/003855
【国際公開番号】WO2008/123928
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】