説明

テンション装置

【課題】巻き取り側から引っ張られる線材の速度に追従させることなく、線材のテンションを一定に保つ。
【解決手段】テンション装置1は、ロープ2が巻回されたボビン3が嵌挿されたボビン軸3aを回転駆動するサーボモータ4と、ロープ2のテンションを測定するテンション測定機6と、サーボモータ4に供給される電流を制御するコントローラ10とを有している。テンション装置1では、テンション測定機6によって実テンション値を測定し、トルク制限制御にフィードバックして、ロープ2にかかるテンション値が目的のテンション値になるように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材が巻き付けられたボビンから送り出された線材を一定のテンションで巻き取る際に用いられるテンション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
糸ハンダが巻回されたハンダスプールから送り出された糸ハンダを一定のテンションで巻き取る巻取装置には、テンション調節手段を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。この巻取装置では、糸ハンダが巻き取られるボビンがスピンドルモータで回転することで、ハンダスプールから糸ハンダが送り出される。そして、ハンダスプールから送り出された糸ハンダはアームの両端に取り付けられた回動自在な一対のプーリに掛け回されており、そのアームの変位がアーム位置検出装置で検出される。糸ハンダの巻き取りが開始され、アームに掛け回された糸ハンダのテンションが変動すると、アーム位置検出装置で検出されたアームの変位量がテンション制御装置にフィードバックされる。その後、テンション制御装置からアームの変位量が出力された巻取制御装置は、アームの変位が元に戻るように、ハンダスプールに装着された繰出モータの回転速度を変更する。このようにして、糸ハンダの繰出テンションが変更されることで、アームの位置が正規の位置に戻り、糸ハンダのテンションが常に一定に保たれる。
【特許文献1】特開平9−192733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この巻取装置では、巻き取り側から引っ張られる糸ハンダの速度に追従させるように、糸ハンダを繰り出す制御を行いながら糸ハンダのテンションが一定に保たれるので、巻き取り側から引っ張られる糸ハンダの速度に追従させる制御機構が必要になる。
【0004】
そこで、本発明の主な目的は、巻き取り側から引っ張られる線材の速度に追従させることなく、線材のテンションを一定に保つことができるテンション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0005】
本発明のテンション装置は、巻取手段によって巻き取られる線材を巻き付けたボビンを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータに供給される電流を変更することで、前記ボビンに加わるトルクを制御するトルク制御手段とを備えている。
【0006】
本発明のテンション装置では、前記ボビンから送り出された線材のテンションを測定するテンション測定手段をさらに備えており、前記トルク制御手段は、前記テンション測定手段での測定結果に基づいて、前記サーボモータに供給される電流を変更してもよい。
【0007】
この構成によると、テンション測定手段で線材のテンションの変動を測定し、サーボモータのトルク制限制御にフィードバックすることでボビンに加わるトルクが制御され、線材のテンションが一定に保たれる。従って、巻取手段で引っ張られる線材の速度に追従させる制御機構が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るテンション装置の概略図である。
【0009】
図1に示すテンション装置1は、ロープ2が巻回されたボビン3が嵌挿されたボビン軸3aを回転駆動するサーボモータ4と、複数のガイドローラ5と、ロープ2のテンションを測定するテンション測定機(ロードセル)6と、サーボモータ4に供給される電流を制御するコントローラ10とを有している。
【0010】
コントローラ10は、ボビン軸3aに直結したサーボモータ4のトルク制御を用いてロープ2のテンション制御を行う。つまり、コントローラ10は、ロープ2が引っ張られるときの引っ張られる力を制御する。そのため、ロープ2がどのような速度で引っ張られても、トルクのみを制御するトルク制限制御であり、速度に関する制御を行う必要がない。また、トルク制限制御には各種信号を高速に処理するコントローラが用いられる。
【0011】
また、ロープ2を巻き取っていくと、ボビン3に巻かれているロープ2の状態が変化し、ロープ2の巻き径が変化することによるテンション値の変化が現れる。テンション装置1では、これをテンション測定機6によって実テンション値を測定し、トルク制限制御にフィードバックして、ロープ2にかかるテンション値が目的のテンション値になるように制御される。
【0012】
サーボモータ4には、サーボ内部的な制限値である速度制限値が設定される。サーボモータ4のトルク制御では、トルク制御信号と速度制御信号を入力し、速度制御信号によって速度制限値を決める。速度制限値を設定するだけで、速度制限値を変更することなく、速度に関する制御を行う必要がなく、外部の影響により速度制限値を超える回転数で回された場合であっても、影響なくロープ2が引き出される。そのため、ロープ2がどのような速度で引き出されても、ロープ2の速度を考慮することなく(速度制御をすることなく)、サーボ1軸でロープ2のテンション値を一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るテンション装置の概略図である。
【符号の説明】
【0014】
1 テンション装置
2 ロープ
3 ボビン
4 サーボモータ
5 ガイドローラ
6 テンション測定機(ロードセル)
10 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取手段によって巻き取られる線材を巻き付けたボビンを回転駆動するサーボモータと、
前記サーボモータに供給される電流を変更することで、前記ボビンに加わるトルクを制御するトルク制御手段とを備えていることを特徴とするテンション装置。
【請求項2】
前記ボビンから送り出された線材のテンションを測定するテンション測定手段をさらに備えており、
前記トルク制御手段は、前記テンション測定手段での測定結果に基づいて、前記サーボモータに供給される電流を変更することを特徴とする請求項1に記載のテンション装置。





【図1】
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【公開番号】特開2007−331862(P2007−331862A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163784(P2006−163784)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】