説明

テーブルタップおよび消費電力量計測システム

【課題】テーブルタップが備える複数のコンセントそれぞれにおける消費電力を簡易に計測できる消費電力量計測システムを提供する。
【解決手段】本テーブルタップ1は、各コンセント9a−9dに流れる電流の検出手段7a−7dと、ユーザー側無線機2と通信を行うことができるタップ側無線機11と、上記タップ側無線機がユーザー側無線機からインクワイアリを受信したときは、この受信に応答して上記各検出手段の検出出力から各コンセントでの消費電力量の演算を行い、その演算データを上記タップ側無線機を制御して上記ユーザー側無線機に送信させるマイコン10と、を内蔵する。
本消費電力量計測システムはこのテーブルタップ1を用いてユーザー側無線機2と消費電力量のデータの送受信を行うシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンセントを備えたテーブルタップおよびこれを用いた消費電力量計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
消費電力量計測システムの一例として例えば特許文献1に開示のテーブルタップがある。このテーブルタップにおいては、電気機器を接続することができるコンセントを複数備えると共に各コンセントに接続してある電気機器の電力量を一括計測し、その一括計測した電力量を表示器に表示できるようにしている。また、このテーブルタップでは、コンセントごとに電気機器への電力の供給と遮断とをスイッチで行うことができるようにしている。また、特許文献2にはテーブルタップに接続した電気機器の電力を計測するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−98715号公報
【特許文献2】特開2006−087158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のテーブルタップを用いた消費電力量計測システムにあっては、テーブルタップ内の各コンセント個々における消費電力を計測するものではなかった。しかしながら、電力需要の多様化に伴い、各コンセントに接続される電気機器個々の消費電力を計測する必要性が高まってきている。そして、この必要性の一方で、各コンセント個々での消費電力を計測するにあたってはコストがかからずに簡易に計測ができる方策が望まれている。
【0005】
そこで本発明においては、テーブルタップが備える複数のコンセントそれぞれにおける消費電力を簡易に計測できる消費電力量計測システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるテーブルタップは、複数のコンセントを有するテーブルタップであって、上記各コンセントに流れる電流をそれぞれ検出する複数の検出手段と、ユーザーが携帯するユーザー側無線機と通信を行うことができるタップ側無線機と、上記タップ側無線機が上記ユーザー側無線機から電力計測要求信号を受信したときは、この受信に応答して上記各検出手段の検出出力から各コンセントでの消費電力量の演算を行い、その演算データを上記タップ側無線機を制御して上記ユーザー側無線機に送信させるマイコンと、を内蔵したことを特徴とする。
【0007】
本発明による消費電力量計測システムは、上記テーブルタップの複数と、ユーザー側無線機とを含み、各テーブルタップそれぞれの各コンセントにコンセントIDを設定し、テーブルタップはユーザー側無線機から電力計測要求信号を受信したときは各コンセントでの消費電力量を演算すると共に、その演算した消費電力量のデータをコンセントIDと共にユーザー側無線機に送信するようにしたことを特徴とする。
【0008】
タップ側無線機とユーザー側無線機との間の無線は例えばブルートゥース(商標)による無線が好ましい。この無線における上記電力計測要求信号は探索(インクワイアリ)信号である。また、この無線はブルートゥースに限定されず、例えば、ZigBee(ジグビー)無線、UWB(UltraWideBand)無線等による無線部を使用することもできる。これら近距離無線では通信距離が10mないし数十m程度である。2.4GHz帯を用いるZigBee無線は低消費電力を図る場合に好ましく、UWBは高速化を図る場合に好ましい。UWBは1G〜数GHzと広い周波数帯であり、他の通信との相互影響を抑制することができる。あるいは通信機能としてワイヤレスUSB(UniversalSerialBand)も使用することができる。さらに通信機能として、Wibree(ワイブリー)と称する10m程度の範囲内で1Mbpsのデータ転送速度を実現する近距離無線通信技術をもちいることもできる。これはWibreeスタンドアロンチップを各モジュールに搭載することで無線部を構成することができる。上記通信機能として特定小電力無線や無線LANを用いてもよい。
【0009】
上記ユーザー側無線機は、受信した消費電力量データを表示部に表示処理できることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザーが例えばブルートゥース型のユーザー側無線機を携帯して例えば多数のテーブルタップが配置された工場内にインクワイアリすると、各テーブルタップからそれぞれのコンセントでの消費電力のデータが送信されるので、ユーザーは各テーブルタップでの消費電力量を簡易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の実施形態にかかるテーブルタップを用いた消費電力量計測システムの構成を示す図である。
【図2】図2はテーブルタップ内部の回路ブロックを示す図である。
【図3】図3はユーザー側無線機内部の回路ブロックを示す図である。
【図4】図4は図1のシステムで用いるユーザー側無線機の表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るテーブルタップとそれを用いた消費電力量計測システムを説明する。このシステムは、テーブルタップ1と、ユーザーにより携帯されるユーザー側無線機2とを含む。
【0013】
テーブルタップ1は、タップ本体3と、電源プラグ4とを具備する。
【0014】
タップ本体3内には、電源プラグ4から延びる一対の電源線5a,5bに並列接続された回路6a−6dが設けられている。この回路6a−6dは、それぞれ、電流検出器7a−7dと、スイッチ8a−8dと、コンセント9a−9dとの直列回路により構成されている。
【0015】
これらコンセント9a−9dにはコンセントIDがA,B,C,Dとして付けられる。タップ本体3内にはさらに、マイコン10と、タップ側無線機11とが内蔵されると共にアンテナ12が外付けされている。
【0016】
これらユーザー側無線機2とタップ側無線機11は、共にブルートゥース(商標)対応のものであり、自機アドレス(BluetoothDeviceアドレス)や自機識別情報や識別名、その他のデータ等を有しており、相手無線機2,11からのサーチに応答して自己のアドレス等を返信する。ブルートゥースは、近距離無線通信規格であるBluetooth(規格名)に基づいて接続相手をインクワイアリ(探索)する。
【0017】
図2を参照して、テーブルタップ1内のマイコン10を説明すると、このマイコン10は、テーブルタップ1内各部を制御するCPU(中央制御部)10aと、CPU10aの動作プログラムの格納や、データ格納、あるいはワークのためのメモリ10bと、テーブルタップ1内各コンセントにおける消費電力量を演算する電力量演算部10cと、各コンセントそれぞれに電力を供給遮断するスイッチ8a−8dの駆動信号を入/出力処理するスイッチインターフェース10dと、タップ側無線機11との間の送受信信号を入/出力処理する無線機インターフェース10eと、を有する。
【0018】
図3を参照して、ユーザー側無線機2は、内部に無線動作を制御するCPU(中央制御部)11aと、CPU11aの動作プログラムの格納や、データ格納、あるいはワークのためのメモリ11bと、テーブルタップ1内の各コンセントにおける消費電力量を表示する表示部11cと、テーブルタップ1のタップ側無線機11との間で無線アンテナ2aを介しての通信処理を行う通信処理部11dと、消費電力量の計測を開始させる場合にユーザーにより操作される計測開始操作部11eと、他の操作部11fと、を有する。
【0019】
図1に戻って実施形態の消費電力量計測システムにおける消費電力量の計測を説明する。ここで、図1のテーブルタップ1は説明の一例として例えば工場内に複数配置されていると考える。ユーザーはユーザー側無線機2を所持して工場内に入る。ユーザーは各テーブルタップ1ごとに各コンセント9a−9dそれぞれでの消費電力量を計測しようとする場合、ユーザー側無線機2の計測開始操作部11eを操作する。そうすると、ユーザー側無線機2のCPU11aには計測開始操作部11eから操作信号が入力され、CPU11aはこの操作信号の入力に応答して通信処理部11dを制御して無線アンテナ2aからインクワイアリ(探索信号)を送信制御する。インクワイアリは、テーブルタップ1の無線アンテナ12で受信されると共にタップ側無線機11で受信処理されてマイコン10に入力される。マイコン10においては、そのCPU11aによりスイッチインターフェース10dを介してスイッチ8a−8dをオン側に指令制御しており、またCPU11aは上記インクワイアリの受信に応答して、電力量演算部10cに対して演算指令を出して各電流検出器7a−7dからの検出値に基づいて各コンセント9a−9dでの消費電力量を演算させる。そして、この演算が完了すると、CPU11aは各コンセント9a−9dにおける消費電力量のデータをそのコンセントIDと共に無線機インターフェース10eを介してタップ側無線機11に出力制御する。タップ側無線機11ではその演算データを無線アンテナ12を介してユーザー側無線機2に送信する。一方、マイコン10においてはさらに、メモリ10bに各コンセント9a−9dでの消費電力量の規定上限値が記憶されており、演算した消費電力量が上記規定上限値を超えるような場合、各コンセント9a−9dのうち規定上限値を超えるコンセントに対してスイッチインターフェース10dを介してそれに対応するスイッチ8a−8dをオフ側に制御する。
【0020】
ユーザー側無線機2側では、テーブルタップ1側から送信されてきたテーブルタップ1内の各コンセント別の消費電力量データを各コンセント対応のコンセントIDと共に受信すると、表示部11cにおいてその消費電力量データを表示する。この表示を図4を参照して説明する。図4はユーザー側無線機2の表示部2bの表示画面の一例を示す。この表示画面では、テーブルタップ1の各コンセント9a−9dそれぞれにのコンセントID対応するコンセント名が例えばA,B,C,Dと表記されている。一方、ユーザー側無線機2の表示部2bの表示画面にはそのコンセント名「A」,「B」,「C」,「D」とそれに対応する消費電力量が例えば「1.2kwh」「0kwh」「0kwh」「3.0kwh」と表示されている。
【0021】
以上説明したように本実施形態では、ユーザーがユーザー側無線機2を携帯して例えば多数のテーブルタップ1が配置された工場内に入って当該ユーザー側無線機2の計測開始操作部11eを操作すると、各テーブルタップ1からそれぞれのコンセント9a−9dでの消費電力のデータがコンセントIDと共に送信されるので、ユーザーは各テーブルタップ1における各コンセントごとの消費電力量を簡易に知ることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 テーブルタップ
2 ユーザー側無線機
3 タップ本体
4 電源プラグ
5a,5b 電源線
7a−7d 電流検出器
9a−9d コンセント
10 マイコン
11 タップ側無線機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンセントを有するテーブルタップであって、
上記各コンセントに流れる電流をそれぞれ検出する複数の検出手段と、
ユーザーが携帯するユーザー側無線機と通信を行うことができるタップ側無線機と、
上記タップ側無線機が上記ユーザー側無線機から電力計測要求信号を受信したときは、この受信に応答して上記各検出手段の検出出力から各コンセントでの消費電力量の演算を行い、その演算データを上記タップ側無線機を制御して上記ユーザー側無線機に送信させるマイコンと、
を内蔵したことを特徴とするテーブルタップ。
【請求項2】
上記電力計測要求信号はブルートゥースによるインクワイアリである、請求項1に記載のテーブルタップ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のテーブルタップの複数と、ユーザー側無線機とを含み、各テーブルタップそれぞれの各コンセントにコンセントIDを設定し、テーブルタップはユーザー側無線機から電力計測要求信号を受信したときは各コンセントでの消費電力量を演算すると共に、その演算した消費電力量のデータをコンセントIDと共にユーザー側無線機に送信するようにしたことを特徴とする、消費電力量計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−63265(P2012−63265A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208100(P2010−208100)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】