テープカセット及び印字装置
【課題】構造が簡単でかつ粘着剤の付着を防ぐことのできる印字面を保護するラミネートタイプの印字テープを作成することが可能なテープカセット及び印字装置を提供する。
【解決手段】インク層が形成されたインクリボン19と、一面に粘着剤層が形成されている透明フィルム25と備えたフィルムテープ17とが印字位置において、フィルムテープ17の粘着剤層とインクリボン19のインク層側とが当接し、粘着剤層がサーマルヘッドにより加熱され、粘着性が発生することに基づきインク層が粘着剤層に接着され、フィルムテープ17上に文字等が印字される。さらに、テープカセットが装着されたテープ印字装置では、カッタユニットをサーマルヘッドの直ぐ下流側に配置されることにより、印字直後に印字済みフィルムテープ17が切断される。また、インクリボンの幅方向の寸法は、対向するフィルムテープの幅方向寸法よりも小さい。
【解決手段】インク層が形成されたインクリボン19と、一面に粘着剤層が形成されている透明フィルム25と備えたフィルムテープ17とが印字位置において、フィルムテープ17の粘着剤層とインクリボン19のインク層側とが当接し、粘着剤層がサーマルヘッドにより加熱され、粘着性が発生することに基づきインク層が粘着剤層に接着され、フィルムテープ17上に文字等が印字される。さらに、テープカセットが装着されたテープ印字装置では、カッタユニットをサーマルヘッドの直ぐ下流側に配置されることにより、印字直後に印字済みフィルムテープ17が切断される。また、インクリボンの幅方向の寸法は、対向するフィルムテープの幅方向寸法よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセットケース内に、一面にインク層が形成されたインクリボン及び一面に粘着剤層が形成されている透明フィルムからなる印字テープを有するテープカセットに関し、特に、印字位置にて、印字テープの粘着剤層とインクリボンのインク層とが当接するテープカセット及びそのテープカセットを使用する印字装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より文字付テープを作成するための各種テープ印字装置が提案されている。かかるテープ印字装置に使用されるテープカセットにおいては、一般に、インクリボンを巻回したリボンスプール、印字媒体としてのフィルムテープを巻回したフィルムテープスプール、及び、粘着テープを巻回した粘着テープスプールをカセットケース内に備えており、文字付テープの作成時には、各インクリボン及びフィルムテープを搬送しつつ、テープ印字装置に付設されたサーマルヘッドによりインクリボンを介してフィルムテープ上に文字等の印字を行って作成されるものである。
【0003】
前記テープ印字装置では、印字後におけるフィルムテープ上に形成された文字等の耐擦過性を向上するために、貼り合わせローラ等で印字後のフィルムテープにおける文字印字面に粘着テープを貼り合わせた後に、テープを切断するのが一般的である。
【特許文献1】特開平7−314831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のテープ印字装置に使用されるテープカセットでは、文字等の印字後におけるフィルムテープの文字印字面に粘着テープを貼り合わせる必要があることから、テープカセットにおいて、粘着テープを巻回した粘着テープスプール及び貼り合わせローラを内蔵させなければならない。
【0005】
これに起因して、テープカセットのサイズが大きくなり、また、カセット装着部を確保するために印字装置全体を必然的に大型化しなければならないという問題がある。更に、テープカセット内に配設されている貼り合わせローラは、テープ印字装置に設けられたサーマルヘッドと切断機構との間に配置されるように構成されていることから、サーマルヘッドを切断機構から遠く離れて配置せざるを得ず、この結果、作成された印字テープの前余白(印字テープの切断位置とテープ印字装置のサーマルヘッドとの間の距離に相当する余白部分)が長くなり、印字テープの消費量が多くなってランニングコストが高騰するという問題が発生する。
【0006】
これより、前記各問題点を解消すべく、フィルムテープの文字印字面に粘着テープを貼り合わせて文字等の耐擦過性を向上可能な、所謂、ラミネートタイプの印字テープを作成するにつき、粘着テープを巻回した粘着テープスプール及び粘着テープをフィルムテープの文字印字面に貼り合わせる貼り合わせローラを省略したコンパクトなテープカセット、及び、サーマルヘッドと切断機構を近接可能とすることにより、印字テープの前余白を短くして印字テープのランニングコストを低減することができるテープ印字装置の出現が望まれている。
【0007】
また、印字テープ側からサーマルヘッドによる加熱印字を行う際に、インクリボン上のインクとしてトナーインク等を採用した場合、インクリボンとサーマルヘッドとが接触するとインクがサーマルヘッドに付着して印字不良を起こすおそれがある。特に、印字テープとインクリボンとが幅方向にずれた場合に、インクリボンのインクが、サーマルヘッドに付着するおそれがある。
【0008】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、フィルムテープの文字印字面に貼り合わせられる粘着テープを巻回した粘着テープスプール及び粘着テープをフィルムテープの文字印字面に貼り合わせる貼り合わせローラを省略しつつラミネートタイプの印字テープを作成することが可能なテープカセットを提供することを目的とする。
【0009】
また、粘着テープスプール及び貼り合わせローラを省略したテープカセットを使用することにより、切断機構をサーマルヘッドの直ぐ下流側に配置可能とするとともに、フィルムテープへの文字等の印字直後にフィルムテープを切断可能とし、フィルムテープのランニングコストを低減することが可能な印字装置を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、インクがサーマルヘッドに転写されることを防ぐことができる印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため請求項1に係るテープカセットは、一面にインク層が形成されたインクリボンと、加熱することにより粘着性が発生する粘着剤層が一面に形成されている透明フィルムからなる印字テープと、前記インクリボンと印字テープとを収納するカセットケースとを備え、前記印字テープの粘着剤層と前記インクリボンのインク層とが印字位置にて当接し、サーマルヘッド及びプラテンを備えるテープ印字装置のカセット装着部に着脱可能であり、前記テープ印字装置のカセット装着部に装着された状態において、(a)前記粘着剤層とインク層とが当接する当接部は、前記サーマルヘッドとプラテンとに挟まれ、サーマルヘッドは当接部分にて印字テープの粘着層が形成されていない側の面に当接し、(b)前記インクリボンのインク層は、サーマルヘッドによって選択的に加熱されることにより粘着性を発生した粘着剤層の被加熱部分に接着され、前記印字テープの幅方向寸法が、前記インクリボン幅寸法よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係るテープカセットは、請求項1のテープカセットにおいて、前記印字テープの粘着剤層の幅方向寸法は、前記インクリボンの幅方向寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係るテープカセットは、請求項1又は請求項2のテープカセットにおいて、印字テープの粘着層が形成されていない側の面に離型剤層が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係るテープカセットは、請求項1乃至請求項3のいずれかのテープカセットにおいて、インクリボンを巻き取るインクリボン巻取スプールと、前記印字位置のテープ搬送方向下流側で、前記インクリボンと前記印字テープとを分離する分離部とを備え、前記インクリボンが前記分離部を経た後、前記印字テープの粘着剤層に接着したインク層は印字テープに移行するとともに、インクリボンは前記インクリボン巻取スプールによって巻き取られることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る印字装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかのテープカセットのテープ排出部から排出された前記印字テープを搬送する搬送ローラ対を備え、前記搬送ローラ対は前記排出された印字テープを加熱するヒートローラを含んで構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る印字装置は、請求項5の印字装置において、サーマルヘッド、及び、前記サーマルヘッドの発熱部の駆動制御をする駆動制御機構を備え、前記サーマルヘッドと当接する前記印字テープには透明フィルムの層を備えており、前記サーマルヘッドの発熱部は、その発熱部を介して前記印字テープの粘着剤層に移行されたインク層が、前記印字テープの透明フィルム側から印字テープを見るときに、正像として視認できるように駆動制御機構により制御されていることを特徴とする。
【0017】
請求項7に係る印字装置は、請求項5又は請求項6の印字装置において、前記テープ排出部と前記搬送ローラ対との間に印字テープを切断するテープ切断手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項8に係る印字装置は、請求項5乃至請求項7のいずれかの印字装置において、前記ヒートローラに当接する前記印字テープは透明フィルムの層を備えており、前記ヒートローラは、前記印字テープの透明フィルム側から当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係るテープカセットでは、印字テープの粘着剤層とインクリボンのインク層とが当接される印字位置における当接部はサーマルヘッドとプラテンとに挟まれるとともに、サーマルヘッドは当接部にて印字テープの透明フィルムの他面に当接し、インクリボンのインク層は、サーマルヘッドによって選択的に加熱されることにより粘着性を発生した粘着剤層の被加熱部分に接着される。ここに、インクリボンのインク層は、透明フィルムの一面に形成された粘着剤層に接着されており、透明フィルムの他面側からすれば、インク層は透明フィルムを介して保護されており、これより所謂ラミネートタイプの印字テープが作成されることとなる。これにより、印字テープの文字印字面に貼り合わせられる粘着テープを巻回した粘着テープスプール及び粘着テープを印字テープの文字印字面に貼り合わせる貼り合わせローラを省略しつつ、インクリボンと印字テープとからラミネートタイプの印字テープを作成することが可能となる。また、印字テープの幅方向寸法が、前記インクリボン幅寸法よりも大きいことから、印字テープとインクリボンとが幅方向でずれたとしても、インクリボンがサーマルヘッドに接触することがない。これにより、インクリボンのインクがサーマルヘッドに付着するという不具合を防止することができる。
【0020】
請求項2に係るテープカセットでは、さらに、印字テープの粘着剤層の幅方向寸法がインクリボンの幅方向寸法よりも小さいため、プラテン等に粘着剤が付着する不具合を防止することができる。
【0021】
請求項3に係るテープカセットでは、さらに、印字テープの透明フィルムの他面に離型剤層が設けられていることから、印字テープがテープスプールに巻回される際、粘着剤層は透明フィルムの離型剤層を介して巻回されることになり、粘着剤層が透明フィルムに付着する不具合を回避できる。
【0022】
請求項4に係るテープカセットでは、さらに、インクリボンが分離部を経た後、印字テープの粘着剤層に接着したインク層は印字テープに移行するとともに、インクリボンはインクリボン巻取スプールによって巻き取られるので、印字テープへのインク転写を良好に行うことができる。
【0023】
請求項5に係る印字装置では、粘着テープスプール及び貼り合わせローラを省略したテープカセットを使用することにより、切断機構をサーマルヘッドの直ぐ下流側に配置することが可能となるとともに、印字テープへの文字等の印字直後に印字テープを切断可能となり、印字テープのランニングコストを低減することができる。
【0024】
また、テープ排出部から排出された印字テープは、搬送ローラ対を介して搬送されるとともに、印字テープの粘着剤層は搬送ローラ対のヒートローラにより加熱されて粘着性が発生する。これにより、粘着剤層が表面に露出した状態で印字テープが排出されることから、使用者は剥離紙を剥がすことなく、そのまま印字ラベルとして被着体に貼り付けることができる。また、剥離紙が使われていないため、ごみの発生を抑えることができる。
【0025】
請求項6に係る印字装置では、印字テープの粘着剤層に移行されたインク層が、印字テープの透明フィルム側から印字テープを見るときに、正像として視認できるように、サーマルヘッドの発熱部が駆動制御機構を介して駆動制御されているので、使用者は透明フィルムを通して正確に文字を視認することができる。また、印字テープが被着体に貼り付けられる際、印字された文字等が表面に露出することなく透明フィルムの裏面側にあり、所謂ラミネートされた印字テープとしての構成を有しているため、印字テープ表面が擦られたり、印字テープの表面に水や薬品等が付着した場合においても、文字等が滲んだり消えることは無い。
【0026】
請求項7に係る印字装置では、切断手段がテープ排出部と搬送ローラ対との間に配置されていることになり、印字直後に印字テープの切断を実現することができ、これにより従来のラミネートテープ作成装置に比べ印字テープの前余白を短くすることができ、印字テープのランニングコストを低減することができる。
【0027】
請求項8に係る印字装置では、ヒートローラは、印字テープの透明フィルム側から当接することになり、粘着剤が直接ヒートローラに付着することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るテープカセット及び印字装置について、本発明を具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1実施形態に係るテープカセット及びテープ印字装置について図1及び図2に基づき説明する。図1はテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図、図2はテープカセットの内部構成を模式的に示す平面図である。
【0029】
図1において、テープカセット1は、テープ印字装置10に設けられたカセット収納部6に脱着可能となっており、かかるテープカセット1は、上ケース2と下ケース3とを有する。上ケース2は下ケース3の上面を被覆する蓋部材であり、また、下ケース3には、図2で示すように、その中央部より若干上方位置にフィルムテープ17を巻回したテープスプール18が配置されている。また、下ケース3においてテープスプール18の右下方位置には、インクリボン19を巻回したリボンスプール20が配置され、更に、リボンスプール20からインクリボン19を引き出すとともに、文字等の印字にて消費されたインクリボン19を巻き取るリボン巻取スプール21が配置されている。
【0030】
テープカセット1には、上ケース2及び下ケース3を貫通するようにヘッド挿通開口40が形成されており、かかるヘッド挿通開口40には、テープカセット1をカセット収納部6に収納した際に、後述するサーマルヘッド7が挿通される。ヘッド挿通開口40にて、サーマルヘッド7の下流側(図2中左側)には、分離部材4が形成されている。かかる分離部材4は、後述するように、サーマルヘッド7による文字等の印字時に、プラテンローラ8とサーマルヘッド7とに挟まれてフィルムテープ17に圧接されたインクリボン19の送り方向の転換を行うとともに、インクリボン19をフィルムテープ17から分離する作用を行うものである。
【0031】
また、テープカセット1には、分離部材4を介してインクリボン19が分離された後、文字等が印字されたフィルムテープ17をカセットケース1の外部に排出する排出口13が形成されている。
【0032】
続いて、テープ印字装置10におけるテープ収納部6の構成について説明する。図1及び図2に示すように、テープ印字装置10のカセット収納部6には、サーマルヘッド7が固設されている。かかるサーマルヘッド7は、図2における正面視略縦長四角形の平板状で、前面の左端縁部には、所定個数の各発熱素子が、該左端縁部の辺に沿って一列に配列されて形成されている。また、カセット収納部6には、プラテンホルダ46がホルダ軸47の回りに回動可能に支持されており、かかるプラテンホルダ46にはプラテンローラ8が回転可能に支持されている。プラテンホルダ46は、図示しない弾性部材によりホルダ軸47の回りに反時計方向に付勢されており、フィルムテープ17への印字時には、モータ等により時計方向に駆動され、これによりプラテンローラ8はサーマルヘッド7に対して接離可能にされている。
【0033】
また、カセット収納部6には、テープカセット1のリボン巻取スプール21に連結されるリボン巻取軸9が配設されている。かかるリボン巻取軸9は、図示しないモータ等の駆動機構に連結されており、前記のように分離部材4を介して分離されたインクリボン19を巻き取るべくリボン巻取スプールの回転駆動を行うものである。
【0034】
更に、カセット収納部6には、テープカセット1のテープ排出口13に隣接してはさみ式のカッタユニット14が配設されており、このカッタユニット14は、固定刃14Aと、固定刃14Aに対して作動して印字済みフィルムテープ17を切断する可動刃14Bとから構成されている。
【0035】
また、カッタユニット14の下流側には、フィルムテープ17に形成された粘着剤層(後述する)を加熱するヒートローラ15と、このヒートローラ15に対向してヒートローラ15との協働により印字済みフィルムテープ17をテープ印字装置10の外部に送り出すテープ送りローラ16とから構成される搬送ローラ対48が配設されている。
【0036】
前記のように構成されたテープカセット1をテープ印字装置10のカセット収納部6に収納してフィルムテープ17に文字等の印字を行う際、テープスプール18に巻回されたフィルムテープ17は、下ケース3の角部に設けられたテープ案内コロ30、下ケース3の内壁、アーム部41に形成された案内ピン42からアーム部41の開口43を経てサーマルヘッド7及びプラテンローラ8に向かって案内される。また、インクリボン19は、アーム部41の規制突起部44、45にて案内規制されつつ開口43を経てサーマルヘッド7及びプラテンローラ8に向かって案内される。
【0037】
前記のように案内されたフィルムテープ17及びインクリボン19は、サーマルヘッド7とプラテンローラ8との間で重ね合わされ、この状態でサーマルヘッド7の発熱素子群が発熱駆動される。これにより、フィルムテープ17には、インクリボン19を介して文字等の印字が行われる。この後、インクリボン19は、サーマルヘッド7の下流側に送り出され、分離部材4を介してフィルムテープ17から分離された後、リボン巻取スプール21により巻き取られる。
【0038】
また、インクリボン19及びサーマルヘッド7を介して文字等が印字されるとともに、分離部材4を介してインクリボン19が分離された後、フィルムテープ17はテープ排出口13からテープカセット1の外部に排出され、更に、搬送ローラ対48を介してテープ印字装置10の外部に排出される。このとき、フィルムテープ17の粘着剤層は、搬送ローラ対48のヒートローラ15により加熱され、この結果、粘着剤層には、後述するように粘着性が発生する。
【0039】
そして、フィルムテープ17が所望の長さになった時点で、カッタユニット14が駆動され、これによりフィルムテープ17は、カッタユニット14の固定刃14Aと可動刃14Bとの協働により、所望の長さで切断される。
【0040】
次に、第1実施形態に係るインクリボンと印字テープの構成を図3に基づき説明する。図3は文字等の印字過程におけるインクリボンとフィルムテープとの関係を模式的に示す説明図である。図3で示すように、インクリボン19はベースフィルム22とインク層23から構成されている。印字テープとしてのフィルムテープ17は、透明フィルムテープ25の一面(図3中透明フィルムの上側)に粘着剤層24が形成され、その他面(図3中透明フィルムの下側)に離型剤層26が形成されている。
【0041】
前記粘着剤層24は常温では粘着性を帯びておらず、加熱されてはじめて粘着性を帯びるようになり、そして一旦加熱された後温度が下がっても、粘着性を有する特殊な性質を持つ材質で構成されている。かかる粘着剤としては、例えば、特許第3394572号公報に記載されたヒートシールラベルに使用される粘着剤を使用することができる。この種の粘着剤はヒートローラ等により80℃〜100℃に加熱されると溶融され、粘着性を発生する特性を有する。第1実施形態においては、ヒートローラによる加熱は80℃以上90℃未満で行われる。
【0042】
また、前記フィルムテープ17は、透明フィルムテープ25の片面に粘着剤層24を重ね合わされた状態で、粘着剤層24を内側にし、透明フィルム25の離型剤層26を外側にし、テープスプール18に巻回されて収納されている。粘着剤層24は離型剤層26を介して巻回されることから、粘着剤層24が直接透明フィルム25に付着する不具合を回避できる。
【0043】
また、このテープスプール18から引き出されたフィルムテープ17は、前記したように、テープ案内コロ30等により、テープ印字装置10のサーマルヘッド7とプラテンローラ8の間にある印字位置まで送り出される。フィルムテープ17は、かかる印字位置にて、インクリボン19と重ね合わされ、前記フィルムテープ17の粘着剤層24とインクリボン19のインク層23とが当接するようになる。
【0044】
このように、フィルムテープ17の粘着剤層24とインクリボン19のインク層23と当接する際、粘着剤層24とインク層23とが当接する当接箇所は、サーマルヘッド7とプラテンローラ8とに挟まれ、サーマルヘッド7は、図3で示すように、ベースフィルム22の他面(インク層23の裏面側)に当接し、インクリボン19のインク層23はサーマルヘッド7の加熱により溶融するとともに、粘着剤層24はサーマルヘッド7の加熱により、粘着性を帯びることになる。溶融されたインク層23が粘着剤層24に接着されることにより、文字等がフィルムテープ17に転写される。
【0045】
また、テープ印字装置10において、サーマルヘッド7の発熱部の駆動制御をする駆動制御装置(図示せず)を備えており、転写されたインク層23はフィルムテープ17に対して鏡像印刷されるように制御していることから、フィルムテープ17の透明フィルムテープ25側から見て、正像印刷された文字等が視認できる。
【0046】
次に、サーマルヘッド7を介して加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムについて、図4に基づき説明する。図4は、サーマルヘッドにより加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。図4で示すように、フィルムテープ17は、サーマルヘッド7とプラテンローラ8との間の印字位置にて、インクリボン19と重ね合わされた際、フィルムテープ17の粘着剤層24とインクリボン19のインク層23とが当接する。該当接部において、サーマルヘッドの加熱により、インク層23と粘着剤層24とは共に加熱されるが、インク層23から粘着剤層24への熱の伝達は、境界部分での伝達損失が発生することにより、インク層23と粘着剤層24の境界部で温度差が発生する。また、第1実施形態のテープカセット1に使用されるインクリボン19のインク層23には、90℃以上で溶融する高融点タイプのインクが使用されており、また、フィルムテープ17の粘着剤層24には、80℃以上で粘着性が発生する粘着剤が使用されていることから、図4で示すように、加熱部のインク層23Aの温度が90℃以上になると粘着剤層24Aの温度も80℃以上となり、この結果、加熱部におけるインク層23Aと粘着剤層24Aとが接着することになる。
【0047】
一方、サーマルヘッド7による加熱の無い粘着剤層24Bの温度は、80℃未満であり、粘着性は帯びておらず、また、それに対応する部分のインク層23Bの温度も90℃未満であることから、サーマルヘッド7を通過し、サーマルヘッドの下流側に配置されている分離部4を経た後、図4で示すように、加熱されて粘着剤層24Aに接着されたインク層23Aのみが印字テープ17に移行される。残りの部分のインクリボンは、消費されたインクリボン19として、リボン巻取スプール21により巻き取られる。
【0048】
図4に示すように、サーマルヘッドは熱集中タイプのグレーズ構造となっており、インク層23と粘着剤層24に対してピンポイントに集中して加熱される。従って、加熱部のインク層23A及び粘着剤層24Aは、非加熱部のインク層23B及び粘着剤層24Bとの温度差が大きくなることから、インク層の加熱部23Aと非加熱部23B、及び粘着剤層の加熱部24Aと非加熱部24Bとの境界を明確に保ちながら接着することができる。
【0049】
また、前記インク層23はワックス系インクであり、加熱後に冷却しても切れよく転写される。従って、加熱されたインク23が冷却されても、加熱部の粘着剤24Aと確実に接着でき、文字等が印字済みのフィルムテープ17に確実に転写される。
【0050】
また、文字等が印字されたフィルムテープ17は、前記したようにテープ送りローラ16とヒートローラ15との協働により、切断装置としてのはさみ式カッタユニット14まで引き出される。カッタユニット14の固定刃14Aと可動刃14Bの協働により、印字済みフィルムテープ17は所望の長さに切断できる。切断されたフィルムテープ17は、テープ送りローラ16とヒートローラ15の間を通過し、インク層23が接着された部分以外の粘着剤層24Bにて、ヒートローラ15の加熱により粘着性を帯びることになる。その後、粘着性の帯びた印字済みフィルムテープ17は切断されたままのライナーレステープとしてテープ印字装置10の外方へ排出される。
【0051】
このように、テープカセット1内に、粘着テープスプール及び貼り合わせローラを内蔵することなく、テープ送りローラ16及びヒートローラ15をカッタユニット14の下流側に配置することにより、カッタユニット14をサーマルヘッド7の直ぐ下流側に配置してフィルムテープ17への文字等の印字直後に、印字済みフィルムテープ17を切断可能としたので、印字後におけるフィルムテープ17の前余白を短くしてフィルムテープ17のランニングコストを低減することが可能となる。
【0052】
さらに、ヒートローラ15による加熱は80℃以上90℃未満で行うが、一方使用されているインクは高融点タイプ(インクの融点は90℃以上になっている)なので、ヒートローラにおいて、粘着剤層24に接着されているインクは溶融することなく、インクの溶融等による印字不良を起こすおそれは無い。
【0053】
また、ヒートローラ15は、印字済みフィルムテープ17の離型剤層26側(粘着剤層24の裏面側)から当接することから、粘着剤層との直接接触を避けることができ、加熱後の粘着剤層24がヒートローラ15に付着することが無い。一方、粘着剤層24との直接接触のあるテープ送りローラ16は離型処理(シリコン処理等)が施されていることから、粘着剤層24はテープ送りローラ16に接着するおそれは無い。
【0054】
また、加熱された粘着剤層24はその後温度が下がっても、粘着性を保持していることから、前記のように作成されたライナーレステープは、粘着剤層24を介してそのまま被着体に貼り付けられる。これにより、使用者が従来のラミネートテープを使用するときのように、剥離紙をはがす手間は無くなる。さらに、前述のように、転写されたインク層23はフィルムテープ17に対して文字等が鏡像印刷されるため、使用者は透明なフィルムを通して、正像印刷された文字等として認識できる。尚、離型剤層も透明である。また、透明なフィルムを通してインク層を視認させるために、フィルム層とインク層の間に存在する粘着剤層が透明または半透明であることはいうまでもない。
【0055】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るテープカセット及びテープ印字装置について図5及び図6に基づき説明する。図5は第2実施形態に係るテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図、図6はテープカセットの内部構成を模式的に示す平面図である。
【0056】
尚、第2実施形態に係るテープカセット及びテープ印字装置の構成は、前記した第1実施形態に係るテープカセット1及びテープ印字装置10の構成と、基本的に同一の構成を有しており、従って、以下の説明においては、第1実施形態に係るテープカセット1、テープ印字装置10と同一の構成要素については同一の番号を付して説明し、また、第1実施形態のテープカセット1、テープ印字装置10と異なる構成に主眼をおいて説明する。
【0057】
図5において、テープカセット301は、テープ印字装置310に設けられたカセット収納部6に脱着可能となっており、かかるテープカセット301は、上ケース2と下ケース3とを有する。上ケース2は下ケース3の上面を被覆する蓋部材であり、また、下ケース3には、図6で示すように、その中央部より若干上方位置にフィルムテープ17を巻回したテープスプール18が配置されている。また、下ケース3においてテープスプール18の右下方位置には、インクリボン19を巻回したリボンスプール20が配置され、更に、リボンスプール20からインクリボン19を引き出すとともに、文字等の印字にて消費されたインクリボン19を巻き取るリボン巻取スプール21が配置されている。
【0058】
テープカセット301には、上ケース2及び下ケース3を貫通するようにローラ配置部50が形成されており、かかるローラ配置部50には、テープカセット301をカセット収納部6に収納した際に、後述するプラテンローラ58が配置される。ローラ配置部50にて、サーマルヘッド57の下流側(図6中左側)には、分離部材4が形成されている。かかる分離部材4は、後述するように、サーマルヘッド57による文字等の印字時に、プラテンローラ58とサーマルヘッド57とに挟まれてフィルムテープ17に圧接されたインクリボン19の送り方向の転換を行うとともに、インクリボン19をフィルムテープ17から分離する作用を行うものである。
【0059】
また、テープカセット301には、分離部材4を介してインクリボン19が分離された後、文字等が印字されたフィルムテープ17をテープカセット301の外部に排出する排出口13が形成されている。
【0060】
続いて、テープ印字装置310におけるテープ収納部6の構成について説明する。図5及び図6に示すように、テープ印字装置310のカセット収納部6には、ヘッド支持軸51の回りに回動可能に配設されたヘッド支持部材52に搭載されたサーマルヘッド57が設けられている。かかるサーマルヘッド57は、図6において正面視略縦長四角形の平板状で、前面の左端縁部には、所定個数の各発熱素子が、該左端縁部の辺に沿って一列に配列されて形成されている。また、カセット収納部6には、プラテンローラ58が回転可能に支持されている。
【0061】
ここに、ヘッド支持部材52は、図示しない弾性部材によりヘッド支持軸51の回りに反時計方向に付勢されており、フィルムテープ17への印字時には、モータ等により時計方向に駆動され、これによりサーマルヘッド57はプラテンローラ58に対して接離可能にされている。
【0062】
また、カセット収納部6には、テープカセット301のリボン巻取スプール21に連結されるリボン巻取軸9が配設されている。かかるリボン巻取軸9は、図示しないモータ等の駆動機構に連結されており、前記のように分離部材4を介して分離されたインクリボン19を巻き取るべくリボン巻取スプールの回転駆動を行うものである。
【0063】
更に、カセット収納部6には、テープカセット301のテープ排出口13に隣接してはさみ式のカッタユニット14が配設されており、このカッタユニット14は、固定刃14Aと、固定刃14Aに対して作動して印字済みフィルムテープ17を切断する可動刃14Bとから構成されている。
【0064】
また、カッタユニット14の下流側には、フィルムテープ17に形成された粘着剤層(後述する)を加熱するヒートローラ15と、このヒートローラ15に対向してヒートローラ15との協働により印字済みフィルムテープ17をテープ印字装置310の外部に送り出すテープ送りローラ16とから構成される搬送ローラ対49が配設されている。
【0065】
前記のように構成されたテープカセット301を印字装置310のカセット収納部6に収納してフィルムテープ17に文字等の印字を行う際、テープスプール18に巻回されたフィルムテープ17は、下ケース3の角部に設けられたテープ案内コロ30、下ケース3の内壁に形成された案内支持部53を経てサーマルヘッド57及びプラテンローラ58に向かって案内される。また、インクリボン19は、ローラ配置部50の端部に形成された案内支持部54にて案内支持されつつサーマルヘッド57及びプラテンローラ58に向かって案内される。
【0066】
前記のように案内されたフィルムテープ17及びインクリボン19は、サーマルヘッド57とプラテンローラ58との間で重ね合わされ、この状態でサーマルヘッド57の発熱素子群が発熱駆動される。これにより、フィルムテープ17には、インクリボン19を介して文字等の印字が行われる。この後、インクリボン19は、サーマルヘッド57の下流側に送り出され、分離部材4を介してフィルムテープ17から分離された後、リボン巻取スプール21により巻き取られる。
【0067】
また、インクリボン19及びサーマルヘッド57を介して文字等が印字されるとともに、分離部材4を介してインクリボン19が分離された後、フィルムテープ17はテープ排出口13からテープカセット301の外部に排出され、更に、搬送ローラ対49を介してテープ印字装置310の外部に排出される。このとき、フィルムテープ17の粘着剤層は、搬送ローラ対49のヒートローラ15により加熱され、この結果、粘着剤層には、後述するように粘着性が発生する。
【0068】
そして、フィルムテープ17が所望の長さになった時点で、カッタユニット14が駆動され、これによりフィルムテープ17は、カッタユニット14の固定刃14Aと可動刃14Bとの協働により、所望の長さで切断される。
【0069】
続いて、第2実施形態に係るインクリボンと印字テープの構成を図7に基づき説明する。図7は文字等の印字過程におけるインクリボンとフィルムテープとの関係を模式的に示す説明図である。図7で示すように、インクリボン19はベースフィルム35とインク層34から構成されている。印字テープとしてのフィルムテープ17は、透明フィルムテープ32の一面(図7中透明フィルムの下側)に粘着剤層33が形成され、その他面(図7中透明フィルムの上側)に離型剤層31が形成されている。
【0070】
前記粘着剤層33は常温では粘着性を帯びておらず、加熱されてはじめて粘着性を帯びるようになり、そして一旦加熱された後温度が下がっても、粘着性を有する特殊な性質を持つ材質で構成されている。かかる粘着剤としては、前記第1実施形態の場合と同様、例えば、特許第3394572号公報に記載されたヒートシールラベルに使用される粘着剤を使用することができる。この種の粘着剤はヒートローラ等により80℃〜100℃に加熱されると溶融され、粘着性を発生する特性を有する。第2実施形態においては、ヒートローラによる加熱は第1実施形態と同様80℃以上90℃未満で行われる。
【0071】
また、前記フィルムテープ17は、片面に粘着剤層33を重ね合わされた状態で、粘着剤層33を内側にしてテープスプール18に巻回されて収納されている。透明フィルムテープ32の粘着剤層33の裏面側に離型剤層31が形成されているため、仮に、テープスプール18に巻回されている状態で粘着剤層の一部が粘着性を帯びてしまっても、粘着剤層33が透明フィルム17、テープカセットの内部、印字装置の各部に接着する不具合を起こすことを低減できる。
【0072】
また、このテープスプール18から引き出されたフィルムテープ17は、前記したように、テープ案内コロ30等により、テープ印字装置310のサーマルヘッド57とプラテンローラ58の間にある印字位置まで送り出される。フィルムテープ17は、かかる印字位置にて、インクリボン19と重ね合わされ、前記フィルムテープ17の粘着剤層33とインクリボン19のインク層34とが当接するようになる。
【0073】
このように、フィルムテープ17の粘着剤層33とインクリボン19のインク層34と当接する際、粘着剤層33とインク層34とが当接する当接箇所は、サーマルヘッド57とプラテンローラ58とに挟まれ、サーマルヘッド57は、図7で示すように、フィルムテープ17の離型剤層31側に当接し、粘着剤層33はサーマルヘッド57の加熱により、粘着性を帯びることになると共に、インクリボン19のインク層34はサーマルヘッド57の加熱により溶融する。溶融されたインク層34が粘着剤層33に接着されることにより、文字等がフィルムテープ17に転写される。
【0074】
また、テープ印字装置310において、サーマルヘッド57の発熱部の駆動制御をする駆動制御装置(図示せず)を備えており、転写されたインク層34はフィルムテープ17に対して鏡像印刷されるように制御していることから、フィルムテープ17の透明フィルムテープ32側から見て、正像印刷された文字等が視認できる。
【0075】
次に、サーマルヘッド57を介して加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムについて、図8に基づき説明する。図8は、サーマルヘッド57により加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。図8で示すように、フィルムテープ17は、サーマルヘッド57とプラテンローラ58との間の印字位置にて、インクリボン19と重ね合わされた際、フィルムテープ17の粘着剤層33とインクリボン19のインク層34とが当接する。該当接部において、サーマルヘッドの加熱により、粘着剤層33はインク層34と共に加熱されるが、粘着剤層33からインク層34への熱の伝達は、境界部分での伝達損失が発生することにより、粘着剤層33とインク層34の境界部で温度差が発生する。また、第2実施形態のテープカセット301に使用されるフィルムテープ17の粘着剤層33には、80℃以上で粘着性が発生する粘着剤が使用されており、また、インクリボン19のインク層34には、60℃以上で溶融する低融点タイプのインクが使用されていることから、図7で示すように、加熱部の粘着剤層33Aの温度が80℃以上になるとインク層34Aの温度も60℃以上となり、この結果、加熱部における粘着剤層33Aとインク層34Aとが接着することになる。
【0076】
一方、サーマルヘッド57による加熱の無い粘着剤層部33Bの温度は、80℃未満であり、粘着性は帯びておらず、また、それに対応する部分のインク層34Bの温度も60℃未満であることから、サーマルヘッド57を通過し、サーマルヘッドの下流側に配置されている分離部4を経た後、図8で示すように、加熱されて粘着剤層33Aに接着されたインク層34Aのみが印字テープ17に移行される、残りの部分のインクリボンは消費されたインクリボン19として、インクリボン巻取スプール21により巻き取られる。
【0077】
図7で示すように、サーマルヘッドは熱集中タイプのグレーズ構造となっており、インク層34と粘着剤層33に対してピンポイントに集中して加熱される。従って、加熱部のインク層34A及び粘着剤層33Aは、非加熱部のインク層34B及び粘着剤層33Bとの温度差が大きくなることから、インク層の加熱部34Aと非加熱部34B、及び粘着剤層の加熱部33Aと非加熱部33Bとの境界を明確に保ちながら接着することができる。
【0078】
また、前記インク層34はワックス系インクであり、加熱後に冷却しても切れよく転写される。従って、加熱されたインク層34が冷却されても、加熱部の粘着剤33Aと確実に接着でき、文字等を印字済みのフィルムテープ17に確実に転写される。
【0079】
また、文字等が印字されたフィルムテープ17は、前記したようにテープ送りローラ16とヒートローラ15との協働により、切断装置としてのはさみ式カッタユニット14まで引き出される。カッタユニット14の固定刃14Aと可動刃14Bの協働により、印字済みフィルムテープ17は所望の長さに切断できる。切断されたフィルムテープ17は、テープ送りローラ16とヒートローラ15の間を通過し、インク層34が接着された部分以外の粘着剤層33Bにて、ヒートローラ15の加熱により粘着性を帯びることになる。その後、粘着性の帯びた印字済みフィルムテープ17は切断されたままのライナーレステープとして印字装置外へ排出される。
【0080】
このように、テープカセット1内に、粘着テープスプール及び貼り合わせローラを内蔵することなく、テープ送りローラ16及びヒートローラ15をカッタユニット14の下流側に配置することにより、カッタユニット14をサーマルヘッド57の直ぐ下流側に配置してフィルムテープ17への文字等の印字直後に、印字済みフィルムテープ17を切断可能としたので、印字後におけるフィルムテープ17の前余白を短くしてフィルムテープ17のランニングコストを低減することが可能となる。
【0081】
さらに、ヒートローラ15による加熱を80℃以上90℃未満で行うについて、インク層では60℃以上となり、インク層34として使用されているインクは低融点タイプ(インクの融点は60℃以上になっている)であるが、かかるインクは文字等の印字時に一旦粘度の高い粘着剤中に溶け込んでいることから、ヒートローラ15の加熱により溶融し難くなり、ヒートローラ15による加熱時にインクの再溶融等に起因して印字不良を起こす虞は殆ど無い。尚、離型剤層も透明である。また、透明なフィルムを通してインク層を視認させるために、フィルム層とインク層の間に存在する粘着剤層が透明または半透明であることはいうまでもない。
【0082】
また、ヒートローラ15は文字等の印字済みフィルムテープ17の離型剤層31側(粘着剤層33の裏面側)から当接することから、粘着剤層33との直接接触を避けることができ、加熱後の粘着剤層33がヒートローラ15に付着することは無い。一方、粘着剤層33との直接接触のあるテープ送りローラ16は離型処理(シリコン処理等)が施されていることから、粘着剤層33はテープ送りローラ16に接着することを低減できる。
【0083】
また、加熱された粘着剤層33はその後温度が下がっても、粘着性を持っていることから、このようにできたライナーレステープが使用者により被着体に貼り付けられる。今までのように、使用者がラミネートテープを使用するときに剥離紙をはがす手間は無くなる。さらに、前述のように、転写されたインク層34はフィルムテープ17に対して鏡像印刷されるため、使用者は透明なフィルムを通して、正像印刷された文字等が認識できる。
【0084】
ここで、フィルムテープ17とインクリボン19とが幅方向にずれて対向している場合、インクリボンのインクが、サーマルヘッド57に転写されてしまうおそれがある。図9(a)及び図9(b)は、フィルムテープ17とインクリボン19との位置関係を示す幅方向断面図である。図9(a)に示すように、インクリボン19の幅方向寸法と粘着剤層を有するフィルムテープ17の幅方向寸法とが同じ寸法の場合、図9(b)に示すように、幅方向にずれた場合に、インクリボン19の一部がサーマルヘッド57と対向する関係となり、サーマルヘッド57にインクが転写されるおそれがある。
【0085】
そこで、図10(a)に示すように、インクリボン19の幅方向寸法を、フィルムテープ17の幅方向寸法よりも小さくすることで、この問題を回避することができる。すなわち、図10(b)に示すように、フィルムテープ17とインクリボン19とが幅方向にずれたとしても、インクリボン19とサーマルヘッド57とが対向することがなく、サーマルヘッド57にインクリボン19のインクが転写されることを防ぐことができる。
【0086】
さらに、図11(a)に示すように、フィルムテープ17の粘着剤層の幅方向寸法が、フィルムテープ全体(すなわち、透明フィルム25及び離型剤層26)の幅方向寸法よりも小さい場合、粘着剤層の粘着剤が、フィルムテープ17の端からはみ出ることがないので、サーマルヘッド57に粘着剤が付着することを防ぐことができる。
【0087】
さらに、図12(a)に示すように、フィルムテープ17の粘着剤層の幅方向寸法が、インクリボン19の幅方向寸法よりも小さい場合においては、フィルムテープ17とインクリボン19とが幅方向にずれたとしても、プラテンローラ58と粘着剤層とが対向しないため、粘着剤がプラテンローラ58に付着することを防ぐことができる。
【0088】
尚、本発明は上記第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、第2の実施形態ではインクリボン19として熱溶融型のサーマルインクリボンを採用しているが、他の応用例として図13に示すようにベースフィルム36に弱粘着性のある粘着剤層37を介してトナーインクが一面に塗布されたトナーインク層38を備えたトナーインクリボン39を採用することもできる。
【0089】
サーマルヘッド57を介して加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムは、図8と同様サーマルヘッド57によって加熱されたフィルムテープ17の粘着剤層が溶融温度以上である80℃以上90℃未満に加熱され、粘着性を帯びる。そして、フィルムテープ17の粘着性を帯びた粘着剤層の部分に当接したトナーインクリボン39のトナーインク層38が粘着性を帯びた粘着剤層の部分に接着し、フィルムテープ17に転写される。この場合、トナーインクは90℃未満で溶融することがなく、粉体の状態でフィルムテープ17に転写されている。
【0090】
印字後のフィルムテープ17はテープ送りローラ16とヒートローラ15の間を通過し、ヒートローラ15にて80℃以上90℃未満に加熱されることによって粘着性を帯びていなかった粘着剤層の部分が粘着性を帯びると共に、トナーインクは溶融することがなくフィルムテープ17に転写された状態が保たれる。
【0091】
従って、印字後のフィルムテープ17を加熱することによってもインクは溶融することがないので、印字不良を起こすおそれは無い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1実施形態に係るテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図である。
【図2】第1実施形態におけるテープカセットの内部構成を模式的に示す平面図である。
【図3】第1実施形態の文字等の印字過程におけるインクリボンとフィルムテープとの関係を模式的に示す説明図である。
【図4】第1実施形態におけるサーマルヘッドにより加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。
【図5】第2実施形態に係るテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図である。
【図6】第2実施形態におけるテープカセットの内部構成を模式的に示す平面図である。
【図7】第2実施形態の文字等の印字過程におけるインクリボンとフィルムテープとの関係を模式的に示す説明図である。
【図8】第2実施形態におけるサーマルヘッドにより加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。
【図9】第2実施形態において、フィルムテープとインクリボンとが同じ幅寸法である場合における両者の位置関係を示す幅方向断面図である。
【図10】第2実施形態において、フィルムテープの幅方向寸法がインクリボンの幅方向寸法よりも大きい場合における両者の位置関係を示す幅方向断面図である。
【図11】第2実施形態において、フィルムテープの粘着剤の幅方向寸法のみがインクリボンの幅方向寸法と同じ大きさであり、かつ、フィルムテープ全体の幅方向寸法がインクリボンの幅方向寸法よりも大きい場合における両者の位置関係を示す幅方向断面図である。
【図12】第2実施形態において、フィルムテープの粘着剤の幅方向寸法のみがインクリボンの幅方向寸法よりも小さく、かつ、フィルムテープ全体の幅方向寸法がインクリボンの幅方向寸法よりも大きい場合における両者の位置関係を示す幅方向断面図である。
【図13】第2実施形態におけるサーマルヘッドにより加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0093】
1 テープカセット
2 上ケース
3 下ケース
7 サーマルヘッド
10 印字装置
17 フィルムテープ
18 テープスプール
19 インクリボン
23 インク層
24 粘着剤層
25 透明フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセットケース内に、一面にインク層が形成されたインクリボン及び一面に粘着剤層が形成されている透明フィルムからなる印字テープを有するテープカセットに関し、特に、印字位置にて、印字テープの粘着剤層とインクリボンのインク層とが当接するテープカセット及びそのテープカセットを使用する印字装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より文字付テープを作成するための各種テープ印字装置が提案されている。かかるテープ印字装置に使用されるテープカセットにおいては、一般に、インクリボンを巻回したリボンスプール、印字媒体としてのフィルムテープを巻回したフィルムテープスプール、及び、粘着テープを巻回した粘着テープスプールをカセットケース内に備えており、文字付テープの作成時には、各インクリボン及びフィルムテープを搬送しつつ、テープ印字装置に付設されたサーマルヘッドによりインクリボンを介してフィルムテープ上に文字等の印字を行って作成されるものである。
【0003】
前記テープ印字装置では、印字後におけるフィルムテープ上に形成された文字等の耐擦過性を向上するために、貼り合わせローラ等で印字後のフィルムテープにおける文字印字面に粘着テープを貼り合わせた後に、テープを切断するのが一般的である。
【特許文献1】特開平7−314831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のテープ印字装置に使用されるテープカセットでは、文字等の印字後におけるフィルムテープの文字印字面に粘着テープを貼り合わせる必要があることから、テープカセットにおいて、粘着テープを巻回した粘着テープスプール及び貼り合わせローラを内蔵させなければならない。
【0005】
これに起因して、テープカセットのサイズが大きくなり、また、カセット装着部を確保するために印字装置全体を必然的に大型化しなければならないという問題がある。更に、テープカセット内に配設されている貼り合わせローラは、テープ印字装置に設けられたサーマルヘッドと切断機構との間に配置されるように構成されていることから、サーマルヘッドを切断機構から遠く離れて配置せざるを得ず、この結果、作成された印字テープの前余白(印字テープの切断位置とテープ印字装置のサーマルヘッドとの間の距離に相当する余白部分)が長くなり、印字テープの消費量が多くなってランニングコストが高騰するという問題が発生する。
【0006】
これより、前記各問題点を解消すべく、フィルムテープの文字印字面に粘着テープを貼り合わせて文字等の耐擦過性を向上可能な、所謂、ラミネートタイプの印字テープを作成するにつき、粘着テープを巻回した粘着テープスプール及び粘着テープをフィルムテープの文字印字面に貼り合わせる貼り合わせローラを省略したコンパクトなテープカセット、及び、サーマルヘッドと切断機構を近接可能とすることにより、印字テープの前余白を短くして印字テープのランニングコストを低減することができるテープ印字装置の出現が望まれている。
【0007】
また、印字テープ側からサーマルヘッドによる加熱印字を行う際に、インクリボン上のインクとしてトナーインク等を採用した場合、インクリボンとサーマルヘッドとが接触するとインクがサーマルヘッドに付着して印字不良を起こすおそれがある。特に、印字テープとインクリボンとが幅方向にずれた場合に、インクリボンのインクが、サーマルヘッドに付着するおそれがある。
【0008】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、フィルムテープの文字印字面に貼り合わせられる粘着テープを巻回した粘着テープスプール及び粘着テープをフィルムテープの文字印字面に貼り合わせる貼り合わせローラを省略しつつラミネートタイプの印字テープを作成することが可能なテープカセットを提供することを目的とする。
【0009】
また、粘着テープスプール及び貼り合わせローラを省略したテープカセットを使用することにより、切断機構をサーマルヘッドの直ぐ下流側に配置可能とするとともに、フィルムテープへの文字等の印字直後にフィルムテープを切断可能とし、フィルムテープのランニングコストを低減することが可能な印字装置を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、インクがサーマルヘッドに転写されることを防ぐことができる印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため請求項1に係るテープカセットは、一面にインク層が形成されたインクリボンと、加熱することにより粘着性が発生する粘着剤層が一面に形成されている透明フィルムからなる印字テープと、前記インクリボンと印字テープとを収納するカセットケースとを備え、前記印字テープの粘着剤層と前記インクリボンのインク層とが印字位置にて当接し、サーマルヘッド及びプラテンを備えるテープ印字装置のカセット装着部に着脱可能であり、前記テープ印字装置のカセット装着部に装着された状態において、(a)前記粘着剤層とインク層とが当接する当接部は、前記サーマルヘッドとプラテンとに挟まれ、サーマルヘッドは当接部分にて印字テープの粘着層が形成されていない側の面に当接し、(b)前記インクリボンのインク層は、サーマルヘッドによって選択的に加熱されることにより粘着性を発生した粘着剤層の被加熱部分に接着され、前記印字テープの幅方向寸法が、前記インクリボン幅寸法よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係るテープカセットは、請求項1のテープカセットにおいて、前記印字テープの粘着剤層の幅方向寸法は、前記インクリボンの幅方向寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係るテープカセットは、請求項1又は請求項2のテープカセットにおいて、印字テープの粘着層が形成されていない側の面に離型剤層が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係るテープカセットは、請求項1乃至請求項3のいずれかのテープカセットにおいて、インクリボンを巻き取るインクリボン巻取スプールと、前記印字位置のテープ搬送方向下流側で、前記インクリボンと前記印字テープとを分離する分離部とを備え、前記インクリボンが前記分離部を経た後、前記印字テープの粘着剤層に接着したインク層は印字テープに移行するとともに、インクリボンは前記インクリボン巻取スプールによって巻き取られることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る印字装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかのテープカセットのテープ排出部から排出された前記印字テープを搬送する搬送ローラ対を備え、前記搬送ローラ対は前記排出された印字テープを加熱するヒートローラを含んで構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る印字装置は、請求項5の印字装置において、サーマルヘッド、及び、前記サーマルヘッドの発熱部の駆動制御をする駆動制御機構を備え、前記サーマルヘッドと当接する前記印字テープには透明フィルムの層を備えており、前記サーマルヘッドの発熱部は、その発熱部を介して前記印字テープの粘着剤層に移行されたインク層が、前記印字テープの透明フィルム側から印字テープを見るときに、正像として視認できるように駆動制御機構により制御されていることを特徴とする。
【0017】
請求項7に係る印字装置は、請求項5又は請求項6の印字装置において、前記テープ排出部と前記搬送ローラ対との間に印字テープを切断するテープ切断手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項8に係る印字装置は、請求項5乃至請求項7のいずれかの印字装置において、前記ヒートローラに当接する前記印字テープは透明フィルムの層を備えており、前記ヒートローラは、前記印字テープの透明フィルム側から当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係るテープカセットでは、印字テープの粘着剤層とインクリボンのインク層とが当接される印字位置における当接部はサーマルヘッドとプラテンとに挟まれるとともに、サーマルヘッドは当接部にて印字テープの透明フィルムの他面に当接し、インクリボンのインク層は、サーマルヘッドによって選択的に加熱されることにより粘着性を発生した粘着剤層の被加熱部分に接着される。ここに、インクリボンのインク層は、透明フィルムの一面に形成された粘着剤層に接着されており、透明フィルムの他面側からすれば、インク層は透明フィルムを介して保護されており、これより所謂ラミネートタイプの印字テープが作成されることとなる。これにより、印字テープの文字印字面に貼り合わせられる粘着テープを巻回した粘着テープスプール及び粘着テープを印字テープの文字印字面に貼り合わせる貼り合わせローラを省略しつつ、インクリボンと印字テープとからラミネートタイプの印字テープを作成することが可能となる。また、印字テープの幅方向寸法が、前記インクリボン幅寸法よりも大きいことから、印字テープとインクリボンとが幅方向でずれたとしても、インクリボンがサーマルヘッドに接触することがない。これにより、インクリボンのインクがサーマルヘッドに付着するという不具合を防止することができる。
【0020】
請求項2に係るテープカセットでは、さらに、印字テープの粘着剤層の幅方向寸法がインクリボンの幅方向寸法よりも小さいため、プラテン等に粘着剤が付着する不具合を防止することができる。
【0021】
請求項3に係るテープカセットでは、さらに、印字テープの透明フィルムの他面に離型剤層が設けられていることから、印字テープがテープスプールに巻回される際、粘着剤層は透明フィルムの離型剤層を介して巻回されることになり、粘着剤層が透明フィルムに付着する不具合を回避できる。
【0022】
請求項4に係るテープカセットでは、さらに、インクリボンが分離部を経た後、印字テープの粘着剤層に接着したインク層は印字テープに移行するとともに、インクリボンはインクリボン巻取スプールによって巻き取られるので、印字テープへのインク転写を良好に行うことができる。
【0023】
請求項5に係る印字装置では、粘着テープスプール及び貼り合わせローラを省略したテープカセットを使用することにより、切断機構をサーマルヘッドの直ぐ下流側に配置することが可能となるとともに、印字テープへの文字等の印字直後に印字テープを切断可能となり、印字テープのランニングコストを低減することができる。
【0024】
また、テープ排出部から排出された印字テープは、搬送ローラ対を介して搬送されるとともに、印字テープの粘着剤層は搬送ローラ対のヒートローラにより加熱されて粘着性が発生する。これにより、粘着剤層が表面に露出した状態で印字テープが排出されることから、使用者は剥離紙を剥がすことなく、そのまま印字ラベルとして被着体に貼り付けることができる。また、剥離紙が使われていないため、ごみの発生を抑えることができる。
【0025】
請求項6に係る印字装置では、印字テープの粘着剤層に移行されたインク層が、印字テープの透明フィルム側から印字テープを見るときに、正像として視認できるように、サーマルヘッドの発熱部が駆動制御機構を介して駆動制御されているので、使用者は透明フィルムを通して正確に文字を視認することができる。また、印字テープが被着体に貼り付けられる際、印字された文字等が表面に露出することなく透明フィルムの裏面側にあり、所謂ラミネートされた印字テープとしての構成を有しているため、印字テープ表面が擦られたり、印字テープの表面に水や薬品等が付着した場合においても、文字等が滲んだり消えることは無い。
【0026】
請求項7に係る印字装置では、切断手段がテープ排出部と搬送ローラ対との間に配置されていることになり、印字直後に印字テープの切断を実現することができ、これにより従来のラミネートテープ作成装置に比べ印字テープの前余白を短くすることができ、印字テープのランニングコストを低減することができる。
【0027】
請求項8に係る印字装置では、ヒートローラは、印字テープの透明フィルム側から当接することになり、粘着剤が直接ヒートローラに付着することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るテープカセット及び印字装置について、本発明を具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1実施形態に係るテープカセット及びテープ印字装置について図1及び図2に基づき説明する。図1はテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図、図2はテープカセットの内部構成を模式的に示す平面図である。
【0029】
図1において、テープカセット1は、テープ印字装置10に設けられたカセット収納部6に脱着可能となっており、かかるテープカセット1は、上ケース2と下ケース3とを有する。上ケース2は下ケース3の上面を被覆する蓋部材であり、また、下ケース3には、図2で示すように、その中央部より若干上方位置にフィルムテープ17を巻回したテープスプール18が配置されている。また、下ケース3においてテープスプール18の右下方位置には、インクリボン19を巻回したリボンスプール20が配置され、更に、リボンスプール20からインクリボン19を引き出すとともに、文字等の印字にて消費されたインクリボン19を巻き取るリボン巻取スプール21が配置されている。
【0030】
テープカセット1には、上ケース2及び下ケース3を貫通するようにヘッド挿通開口40が形成されており、かかるヘッド挿通開口40には、テープカセット1をカセット収納部6に収納した際に、後述するサーマルヘッド7が挿通される。ヘッド挿通開口40にて、サーマルヘッド7の下流側(図2中左側)には、分離部材4が形成されている。かかる分離部材4は、後述するように、サーマルヘッド7による文字等の印字時に、プラテンローラ8とサーマルヘッド7とに挟まれてフィルムテープ17に圧接されたインクリボン19の送り方向の転換を行うとともに、インクリボン19をフィルムテープ17から分離する作用を行うものである。
【0031】
また、テープカセット1には、分離部材4を介してインクリボン19が分離された後、文字等が印字されたフィルムテープ17をカセットケース1の外部に排出する排出口13が形成されている。
【0032】
続いて、テープ印字装置10におけるテープ収納部6の構成について説明する。図1及び図2に示すように、テープ印字装置10のカセット収納部6には、サーマルヘッド7が固設されている。かかるサーマルヘッド7は、図2における正面視略縦長四角形の平板状で、前面の左端縁部には、所定個数の各発熱素子が、該左端縁部の辺に沿って一列に配列されて形成されている。また、カセット収納部6には、プラテンホルダ46がホルダ軸47の回りに回動可能に支持されており、かかるプラテンホルダ46にはプラテンローラ8が回転可能に支持されている。プラテンホルダ46は、図示しない弾性部材によりホルダ軸47の回りに反時計方向に付勢されており、フィルムテープ17への印字時には、モータ等により時計方向に駆動され、これによりプラテンローラ8はサーマルヘッド7に対して接離可能にされている。
【0033】
また、カセット収納部6には、テープカセット1のリボン巻取スプール21に連結されるリボン巻取軸9が配設されている。かかるリボン巻取軸9は、図示しないモータ等の駆動機構に連結されており、前記のように分離部材4を介して分離されたインクリボン19を巻き取るべくリボン巻取スプールの回転駆動を行うものである。
【0034】
更に、カセット収納部6には、テープカセット1のテープ排出口13に隣接してはさみ式のカッタユニット14が配設されており、このカッタユニット14は、固定刃14Aと、固定刃14Aに対して作動して印字済みフィルムテープ17を切断する可動刃14Bとから構成されている。
【0035】
また、カッタユニット14の下流側には、フィルムテープ17に形成された粘着剤層(後述する)を加熱するヒートローラ15と、このヒートローラ15に対向してヒートローラ15との協働により印字済みフィルムテープ17をテープ印字装置10の外部に送り出すテープ送りローラ16とから構成される搬送ローラ対48が配設されている。
【0036】
前記のように構成されたテープカセット1をテープ印字装置10のカセット収納部6に収納してフィルムテープ17に文字等の印字を行う際、テープスプール18に巻回されたフィルムテープ17は、下ケース3の角部に設けられたテープ案内コロ30、下ケース3の内壁、アーム部41に形成された案内ピン42からアーム部41の開口43を経てサーマルヘッド7及びプラテンローラ8に向かって案内される。また、インクリボン19は、アーム部41の規制突起部44、45にて案内規制されつつ開口43を経てサーマルヘッド7及びプラテンローラ8に向かって案内される。
【0037】
前記のように案内されたフィルムテープ17及びインクリボン19は、サーマルヘッド7とプラテンローラ8との間で重ね合わされ、この状態でサーマルヘッド7の発熱素子群が発熱駆動される。これにより、フィルムテープ17には、インクリボン19を介して文字等の印字が行われる。この後、インクリボン19は、サーマルヘッド7の下流側に送り出され、分離部材4を介してフィルムテープ17から分離された後、リボン巻取スプール21により巻き取られる。
【0038】
また、インクリボン19及びサーマルヘッド7を介して文字等が印字されるとともに、分離部材4を介してインクリボン19が分離された後、フィルムテープ17はテープ排出口13からテープカセット1の外部に排出され、更に、搬送ローラ対48を介してテープ印字装置10の外部に排出される。このとき、フィルムテープ17の粘着剤層は、搬送ローラ対48のヒートローラ15により加熱され、この結果、粘着剤層には、後述するように粘着性が発生する。
【0039】
そして、フィルムテープ17が所望の長さになった時点で、カッタユニット14が駆動され、これによりフィルムテープ17は、カッタユニット14の固定刃14Aと可動刃14Bとの協働により、所望の長さで切断される。
【0040】
次に、第1実施形態に係るインクリボンと印字テープの構成を図3に基づき説明する。図3は文字等の印字過程におけるインクリボンとフィルムテープとの関係を模式的に示す説明図である。図3で示すように、インクリボン19はベースフィルム22とインク層23から構成されている。印字テープとしてのフィルムテープ17は、透明フィルムテープ25の一面(図3中透明フィルムの上側)に粘着剤層24が形成され、その他面(図3中透明フィルムの下側)に離型剤層26が形成されている。
【0041】
前記粘着剤層24は常温では粘着性を帯びておらず、加熱されてはじめて粘着性を帯びるようになり、そして一旦加熱された後温度が下がっても、粘着性を有する特殊な性質を持つ材質で構成されている。かかる粘着剤としては、例えば、特許第3394572号公報に記載されたヒートシールラベルに使用される粘着剤を使用することができる。この種の粘着剤はヒートローラ等により80℃〜100℃に加熱されると溶融され、粘着性を発生する特性を有する。第1実施形態においては、ヒートローラによる加熱は80℃以上90℃未満で行われる。
【0042】
また、前記フィルムテープ17は、透明フィルムテープ25の片面に粘着剤層24を重ね合わされた状態で、粘着剤層24を内側にし、透明フィルム25の離型剤層26を外側にし、テープスプール18に巻回されて収納されている。粘着剤層24は離型剤層26を介して巻回されることから、粘着剤層24が直接透明フィルム25に付着する不具合を回避できる。
【0043】
また、このテープスプール18から引き出されたフィルムテープ17は、前記したように、テープ案内コロ30等により、テープ印字装置10のサーマルヘッド7とプラテンローラ8の間にある印字位置まで送り出される。フィルムテープ17は、かかる印字位置にて、インクリボン19と重ね合わされ、前記フィルムテープ17の粘着剤層24とインクリボン19のインク層23とが当接するようになる。
【0044】
このように、フィルムテープ17の粘着剤層24とインクリボン19のインク層23と当接する際、粘着剤層24とインク層23とが当接する当接箇所は、サーマルヘッド7とプラテンローラ8とに挟まれ、サーマルヘッド7は、図3で示すように、ベースフィルム22の他面(インク層23の裏面側)に当接し、インクリボン19のインク層23はサーマルヘッド7の加熱により溶融するとともに、粘着剤層24はサーマルヘッド7の加熱により、粘着性を帯びることになる。溶融されたインク層23が粘着剤層24に接着されることにより、文字等がフィルムテープ17に転写される。
【0045】
また、テープ印字装置10において、サーマルヘッド7の発熱部の駆動制御をする駆動制御装置(図示せず)を備えており、転写されたインク層23はフィルムテープ17に対して鏡像印刷されるように制御していることから、フィルムテープ17の透明フィルムテープ25側から見て、正像印刷された文字等が視認できる。
【0046】
次に、サーマルヘッド7を介して加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムについて、図4に基づき説明する。図4は、サーマルヘッドにより加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。図4で示すように、フィルムテープ17は、サーマルヘッド7とプラテンローラ8との間の印字位置にて、インクリボン19と重ね合わされた際、フィルムテープ17の粘着剤層24とインクリボン19のインク層23とが当接する。該当接部において、サーマルヘッドの加熱により、インク層23と粘着剤層24とは共に加熱されるが、インク層23から粘着剤層24への熱の伝達は、境界部分での伝達損失が発生することにより、インク層23と粘着剤層24の境界部で温度差が発生する。また、第1実施形態のテープカセット1に使用されるインクリボン19のインク層23には、90℃以上で溶融する高融点タイプのインクが使用されており、また、フィルムテープ17の粘着剤層24には、80℃以上で粘着性が発生する粘着剤が使用されていることから、図4で示すように、加熱部のインク層23Aの温度が90℃以上になると粘着剤層24Aの温度も80℃以上となり、この結果、加熱部におけるインク層23Aと粘着剤層24Aとが接着することになる。
【0047】
一方、サーマルヘッド7による加熱の無い粘着剤層24Bの温度は、80℃未満であり、粘着性は帯びておらず、また、それに対応する部分のインク層23Bの温度も90℃未満であることから、サーマルヘッド7を通過し、サーマルヘッドの下流側に配置されている分離部4を経た後、図4で示すように、加熱されて粘着剤層24Aに接着されたインク層23Aのみが印字テープ17に移行される。残りの部分のインクリボンは、消費されたインクリボン19として、リボン巻取スプール21により巻き取られる。
【0048】
図4に示すように、サーマルヘッドは熱集中タイプのグレーズ構造となっており、インク層23と粘着剤層24に対してピンポイントに集中して加熱される。従って、加熱部のインク層23A及び粘着剤層24Aは、非加熱部のインク層23B及び粘着剤層24Bとの温度差が大きくなることから、インク層の加熱部23Aと非加熱部23B、及び粘着剤層の加熱部24Aと非加熱部24Bとの境界を明確に保ちながら接着することができる。
【0049】
また、前記インク層23はワックス系インクであり、加熱後に冷却しても切れよく転写される。従って、加熱されたインク23が冷却されても、加熱部の粘着剤24Aと確実に接着でき、文字等が印字済みのフィルムテープ17に確実に転写される。
【0050】
また、文字等が印字されたフィルムテープ17は、前記したようにテープ送りローラ16とヒートローラ15との協働により、切断装置としてのはさみ式カッタユニット14まで引き出される。カッタユニット14の固定刃14Aと可動刃14Bの協働により、印字済みフィルムテープ17は所望の長さに切断できる。切断されたフィルムテープ17は、テープ送りローラ16とヒートローラ15の間を通過し、インク層23が接着された部分以外の粘着剤層24Bにて、ヒートローラ15の加熱により粘着性を帯びることになる。その後、粘着性の帯びた印字済みフィルムテープ17は切断されたままのライナーレステープとしてテープ印字装置10の外方へ排出される。
【0051】
このように、テープカセット1内に、粘着テープスプール及び貼り合わせローラを内蔵することなく、テープ送りローラ16及びヒートローラ15をカッタユニット14の下流側に配置することにより、カッタユニット14をサーマルヘッド7の直ぐ下流側に配置してフィルムテープ17への文字等の印字直後に、印字済みフィルムテープ17を切断可能としたので、印字後におけるフィルムテープ17の前余白を短くしてフィルムテープ17のランニングコストを低減することが可能となる。
【0052】
さらに、ヒートローラ15による加熱は80℃以上90℃未満で行うが、一方使用されているインクは高融点タイプ(インクの融点は90℃以上になっている)なので、ヒートローラにおいて、粘着剤層24に接着されているインクは溶融することなく、インクの溶融等による印字不良を起こすおそれは無い。
【0053】
また、ヒートローラ15は、印字済みフィルムテープ17の離型剤層26側(粘着剤層24の裏面側)から当接することから、粘着剤層との直接接触を避けることができ、加熱後の粘着剤層24がヒートローラ15に付着することが無い。一方、粘着剤層24との直接接触のあるテープ送りローラ16は離型処理(シリコン処理等)が施されていることから、粘着剤層24はテープ送りローラ16に接着するおそれは無い。
【0054】
また、加熱された粘着剤層24はその後温度が下がっても、粘着性を保持していることから、前記のように作成されたライナーレステープは、粘着剤層24を介してそのまま被着体に貼り付けられる。これにより、使用者が従来のラミネートテープを使用するときのように、剥離紙をはがす手間は無くなる。さらに、前述のように、転写されたインク層23はフィルムテープ17に対して文字等が鏡像印刷されるため、使用者は透明なフィルムを通して、正像印刷された文字等として認識できる。尚、離型剤層も透明である。また、透明なフィルムを通してインク層を視認させるために、フィルム層とインク層の間に存在する粘着剤層が透明または半透明であることはいうまでもない。
【0055】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るテープカセット及びテープ印字装置について図5及び図6に基づき説明する。図5は第2実施形態に係るテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図、図6はテープカセットの内部構成を模式的に示す平面図である。
【0056】
尚、第2実施形態に係るテープカセット及びテープ印字装置の構成は、前記した第1実施形態に係るテープカセット1及びテープ印字装置10の構成と、基本的に同一の構成を有しており、従って、以下の説明においては、第1実施形態に係るテープカセット1、テープ印字装置10と同一の構成要素については同一の番号を付して説明し、また、第1実施形態のテープカセット1、テープ印字装置10と異なる構成に主眼をおいて説明する。
【0057】
図5において、テープカセット301は、テープ印字装置310に設けられたカセット収納部6に脱着可能となっており、かかるテープカセット301は、上ケース2と下ケース3とを有する。上ケース2は下ケース3の上面を被覆する蓋部材であり、また、下ケース3には、図6で示すように、その中央部より若干上方位置にフィルムテープ17を巻回したテープスプール18が配置されている。また、下ケース3においてテープスプール18の右下方位置には、インクリボン19を巻回したリボンスプール20が配置され、更に、リボンスプール20からインクリボン19を引き出すとともに、文字等の印字にて消費されたインクリボン19を巻き取るリボン巻取スプール21が配置されている。
【0058】
テープカセット301には、上ケース2及び下ケース3を貫通するようにローラ配置部50が形成されており、かかるローラ配置部50には、テープカセット301をカセット収納部6に収納した際に、後述するプラテンローラ58が配置される。ローラ配置部50にて、サーマルヘッド57の下流側(図6中左側)には、分離部材4が形成されている。かかる分離部材4は、後述するように、サーマルヘッド57による文字等の印字時に、プラテンローラ58とサーマルヘッド57とに挟まれてフィルムテープ17に圧接されたインクリボン19の送り方向の転換を行うとともに、インクリボン19をフィルムテープ17から分離する作用を行うものである。
【0059】
また、テープカセット301には、分離部材4を介してインクリボン19が分離された後、文字等が印字されたフィルムテープ17をテープカセット301の外部に排出する排出口13が形成されている。
【0060】
続いて、テープ印字装置310におけるテープ収納部6の構成について説明する。図5及び図6に示すように、テープ印字装置310のカセット収納部6には、ヘッド支持軸51の回りに回動可能に配設されたヘッド支持部材52に搭載されたサーマルヘッド57が設けられている。かかるサーマルヘッド57は、図6において正面視略縦長四角形の平板状で、前面の左端縁部には、所定個数の各発熱素子が、該左端縁部の辺に沿って一列に配列されて形成されている。また、カセット収納部6には、プラテンローラ58が回転可能に支持されている。
【0061】
ここに、ヘッド支持部材52は、図示しない弾性部材によりヘッド支持軸51の回りに反時計方向に付勢されており、フィルムテープ17への印字時には、モータ等により時計方向に駆動され、これによりサーマルヘッド57はプラテンローラ58に対して接離可能にされている。
【0062】
また、カセット収納部6には、テープカセット301のリボン巻取スプール21に連結されるリボン巻取軸9が配設されている。かかるリボン巻取軸9は、図示しないモータ等の駆動機構に連結されており、前記のように分離部材4を介して分離されたインクリボン19を巻き取るべくリボン巻取スプールの回転駆動を行うものである。
【0063】
更に、カセット収納部6には、テープカセット301のテープ排出口13に隣接してはさみ式のカッタユニット14が配設されており、このカッタユニット14は、固定刃14Aと、固定刃14Aに対して作動して印字済みフィルムテープ17を切断する可動刃14Bとから構成されている。
【0064】
また、カッタユニット14の下流側には、フィルムテープ17に形成された粘着剤層(後述する)を加熱するヒートローラ15と、このヒートローラ15に対向してヒートローラ15との協働により印字済みフィルムテープ17をテープ印字装置310の外部に送り出すテープ送りローラ16とから構成される搬送ローラ対49が配設されている。
【0065】
前記のように構成されたテープカセット301を印字装置310のカセット収納部6に収納してフィルムテープ17に文字等の印字を行う際、テープスプール18に巻回されたフィルムテープ17は、下ケース3の角部に設けられたテープ案内コロ30、下ケース3の内壁に形成された案内支持部53を経てサーマルヘッド57及びプラテンローラ58に向かって案内される。また、インクリボン19は、ローラ配置部50の端部に形成された案内支持部54にて案内支持されつつサーマルヘッド57及びプラテンローラ58に向かって案内される。
【0066】
前記のように案内されたフィルムテープ17及びインクリボン19は、サーマルヘッド57とプラテンローラ58との間で重ね合わされ、この状態でサーマルヘッド57の発熱素子群が発熱駆動される。これにより、フィルムテープ17には、インクリボン19を介して文字等の印字が行われる。この後、インクリボン19は、サーマルヘッド57の下流側に送り出され、分離部材4を介してフィルムテープ17から分離された後、リボン巻取スプール21により巻き取られる。
【0067】
また、インクリボン19及びサーマルヘッド57を介して文字等が印字されるとともに、分離部材4を介してインクリボン19が分離された後、フィルムテープ17はテープ排出口13からテープカセット301の外部に排出され、更に、搬送ローラ対49を介してテープ印字装置310の外部に排出される。このとき、フィルムテープ17の粘着剤層は、搬送ローラ対49のヒートローラ15により加熱され、この結果、粘着剤層には、後述するように粘着性が発生する。
【0068】
そして、フィルムテープ17が所望の長さになった時点で、カッタユニット14が駆動され、これによりフィルムテープ17は、カッタユニット14の固定刃14Aと可動刃14Bとの協働により、所望の長さで切断される。
【0069】
続いて、第2実施形態に係るインクリボンと印字テープの構成を図7に基づき説明する。図7は文字等の印字過程におけるインクリボンとフィルムテープとの関係を模式的に示す説明図である。図7で示すように、インクリボン19はベースフィルム35とインク層34から構成されている。印字テープとしてのフィルムテープ17は、透明フィルムテープ32の一面(図7中透明フィルムの下側)に粘着剤層33が形成され、その他面(図7中透明フィルムの上側)に離型剤層31が形成されている。
【0070】
前記粘着剤層33は常温では粘着性を帯びておらず、加熱されてはじめて粘着性を帯びるようになり、そして一旦加熱された後温度が下がっても、粘着性を有する特殊な性質を持つ材質で構成されている。かかる粘着剤としては、前記第1実施形態の場合と同様、例えば、特許第3394572号公報に記載されたヒートシールラベルに使用される粘着剤を使用することができる。この種の粘着剤はヒートローラ等により80℃〜100℃に加熱されると溶融され、粘着性を発生する特性を有する。第2実施形態においては、ヒートローラによる加熱は第1実施形態と同様80℃以上90℃未満で行われる。
【0071】
また、前記フィルムテープ17は、片面に粘着剤層33を重ね合わされた状態で、粘着剤層33を内側にしてテープスプール18に巻回されて収納されている。透明フィルムテープ32の粘着剤層33の裏面側に離型剤層31が形成されているため、仮に、テープスプール18に巻回されている状態で粘着剤層の一部が粘着性を帯びてしまっても、粘着剤層33が透明フィルム17、テープカセットの内部、印字装置の各部に接着する不具合を起こすことを低減できる。
【0072】
また、このテープスプール18から引き出されたフィルムテープ17は、前記したように、テープ案内コロ30等により、テープ印字装置310のサーマルヘッド57とプラテンローラ58の間にある印字位置まで送り出される。フィルムテープ17は、かかる印字位置にて、インクリボン19と重ね合わされ、前記フィルムテープ17の粘着剤層33とインクリボン19のインク層34とが当接するようになる。
【0073】
このように、フィルムテープ17の粘着剤層33とインクリボン19のインク層34と当接する際、粘着剤層33とインク層34とが当接する当接箇所は、サーマルヘッド57とプラテンローラ58とに挟まれ、サーマルヘッド57は、図7で示すように、フィルムテープ17の離型剤層31側に当接し、粘着剤層33はサーマルヘッド57の加熱により、粘着性を帯びることになると共に、インクリボン19のインク層34はサーマルヘッド57の加熱により溶融する。溶融されたインク層34が粘着剤層33に接着されることにより、文字等がフィルムテープ17に転写される。
【0074】
また、テープ印字装置310において、サーマルヘッド57の発熱部の駆動制御をする駆動制御装置(図示せず)を備えており、転写されたインク層34はフィルムテープ17に対して鏡像印刷されるように制御していることから、フィルムテープ17の透明フィルムテープ32側から見て、正像印刷された文字等が視認できる。
【0075】
次に、サーマルヘッド57を介して加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムについて、図8に基づき説明する。図8は、サーマルヘッド57により加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。図8で示すように、フィルムテープ17は、サーマルヘッド57とプラテンローラ58との間の印字位置にて、インクリボン19と重ね合わされた際、フィルムテープ17の粘着剤層33とインクリボン19のインク層34とが当接する。該当接部において、サーマルヘッドの加熱により、粘着剤層33はインク層34と共に加熱されるが、粘着剤層33からインク層34への熱の伝達は、境界部分での伝達損失が発生することにより、粘着剤層33とインク層34の境界部で温度差が発生する。また、第2実施形態のテープカセット301に使用されるフィルムテープ17の粘着剤層33には、80℃以上で粘着性が発生する粘着剤が使用されており、また、インクリボン19のインク層34には、60℃以上で溶融する低融点タイプのインクが使用されていることから、図7で示すように、加熱部の粘着剤層33Aの温度が80℃以上になるとインク層34Aの温度も60℃以上となり、この結果、加熱部における粘着剤層33Aとインク層34Aとが接着することになる。
【0076】
一方、サーマルヘッド57による加熱の無い粘着剤層部33Bの温度は、80℃未満であり、粘着性は帯びておらず、また、それに対応する部分のインク層34Bの温度も60℃未満であることから、サーマルヘッド57を通過し、サーマルヘッドの下流側に配置されている分離部4を経た後、図8で示すように、加熱されて粘着剤層33Aに接着されたインク層34Aのみが印字テープ17に移行される、残りの部分のインクリボンは消費されたインクリボン19として、インクリボン巻取スプール21により巻き取られる。
【0077】
図7で示すように、サーマルヘッドは熱集中タイプのグレーズ構造となっており、インク層34と粘着剤層33に対してピンポイントに集中して加熱される。従って、加熱部のインク層34A及び粘着剤層33Aは、非加熱部のインク層34B及び粘着剤層33Bとの温度差が大きくなることから、インク層の加熱部34Aと非加熱部34B、及び粘着剤層の加熱部33Aと非加熱部33Bとの境界を明確に保ちながら接着することができる。
【0078】
また、前記インク層34はワックス系インクであり、加熱後に冷却しても切れよく転写される。従って、加熱されたインク層34が冷却されても、加熱部の粘着剤33Aと確実に接着でき、文字等を印字済みのフィルムテープ17に確実に転写される。
【0079】
また、文字等が印字されたフィルムテープ17は、前記したようにテープ送りローラ16とヒートローラ15との協働により、切断装置としてのはさみ式カッタユニット14まで引き出される。カッタユニット14の固定刃14Aと可動刃14Bの協働により、印字済みフィルムテープ17は所望の長さに切断できる。切断されたフィルムテープ17は、テープ送りローラ16とヒートローラ15の間を通過し、インク層34が接着された部分以外の粘着剤層33Bにて、ヒートローラ15の加熱により粘着性を帯びることになる。その後、粘着性の帯びた印字済みフィルムテープ17は切断されたままのライナーレステープとして印字装置外へ排出される。
【0080】
このように、テープカセット1内に、粘着テープスプール及び貼り合わせローラを内蔵することなく、テープ送りローラ16及びヒートローラ15をカッタユニット14の下流側に配置することにより、カッタユニット14をサーマルヘッド57の直ぐ下流側に配置してフィルムテープ17への文字等の印字直後に、印字済みフィルムテープ17を切断可能としたので、印字後におけるフィルムテープ17の前余白を短くしてフィルムテープ17のランニングコストを低減することが可能となる。
【0081】
さらに、ヒートローラ15による加熱を80℃以上90℃未満で行うについて、インク層では60℃以上となり、インク層34として使用されているインクは低融点タイプ(インクの融点は60℃以上になっている)であるが、かかるインクは文字等の印字時に一旦粘度の高い粘着剤中に溶け込んでいることから、ヒートローラ15の加熱により溶融し難くなり、ヒートローラ15による加熱時にインクの再溶融等に起因して印字不良を起こす虞は殆ど無い。尚、離型剤層も透明である。また、透明なフィルムを通してインク層を視認させるために、フィルム層とインク層の間に存在する粘着剤層が透明または半透明であることはいうまでもない。
【0082】
また、ヒートローラ15は文字等の印字済みフィルムテープ17の離型剤層31側(粘着剤層33の裏面側)から当接することから、粘着剤層33との直接接触を避けることができ、加熱後の粘着剤層33がヒートローラ15に付着することは無い。一方、粘着剤層33との直接接触のあるテープ送りローラ16は離型処理(シリコン処理等)が施されていることから、粘着剤層33はテープ送りローラ16に接着することを低減できる。
【0083】
また、加熱された粘着剤層33はその後温度が下がっても、粘着性を持っていることから、このようにできたライナーレステープが使用者により被着体に貼り付けられる。今までのように、使用者がラミネートテープを使用するときに剥離紙をはがす手間は無くなる。さらに、前述のように、転写されたインク層34はフィルムテープ17に対して鏡像印刷されるため、使用者は透明なフィルムを通して、正像印刷された文字等が認識できる。
【0084】
ここで、フィルムテープ17とインクリボン19とが幅方向にずれて対向している場合、インクリボンのインクが、サーマルヘッド57に転写されてしまうおそれがある。図9(a)及び図9(b)は、フィルムテープ17とインクリボン19との位置関係を示す幅方向断面図である。図9(a)に示すように、インクリボン19の幅方向寸法と粘着剤層を有するフィルムテープ17の幅方向寸法とが同じ寸法の場合、図9(b)に示すように、幅方向にずれた場合に、インクリボン19の一部がサーマルヘッド57と対向する関係となり、サーマルヘッド57にインクが転写されるおそれがある。
【0085】
そこで、図10(a)に示すように、インクリボン19の幅方向寸法を、フィルムテープ17の幅方向寸法よりも小さくすることで、この問題を回避することができる。すなわち、図10(b)に示すように、フィルムテープ17とインクリボン19とが幅方向にずれたとしても、インクリボン19とサーマルヘッド57とが対向することがなく、サーマルヘッド57にインクリボン19のインクが転写されることを防ぐことができる。
【0086】
さらに、図11(a)に示すように、フィルムテープ17の粘着剤層の幅方向寸法が、フィルムテープ全体(すなわち、透明フィルム25及び離型剤層26)の幅方向寸法よりも小さい場合、粘着剤層の粘着剤が、フィルムテープ17の端からはみ出ることがないので、サーマルヘッド57に粘着剤が付着することを防ぐことができる。
【0087】
さらに、図12(a)に示すように、フィルムテープ17の粘着剤層の幅方向寸法が、インクリボン19の幅方向寸法よりも小さい場合においては、フィルムテープ17とインクリボン19とが幅方向にずれたとしても、プラテンローラ58と粘着剤層とが対向しないため、粘着剤がプラテンローラ58に付着することを防ぐことができる。
【0088】
尚、本発明は上記第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、第2の実施形態ではインクリボン19として熱溶融型のサーマルインクリボンを採用しているが、他の応用例として図13に示すようにベースフィルム36に弱粘着性のある粘着剤層37を介してトナーインクが一面に塗布されたトナーインク層38を備えたトナーインクリボン39を採用することもできる。
【0089】
サーマルヘッド57を介して加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムは、図8と同様サーマルヘッド57によって加熱されたフィルムテープ17の粘着剤層が溶融温度以上である80℃以上90℃未満に加熱され、粘着性を帯びる。そして、フィルムテープ17の粘着性を帯びた粘着剤層の部分に当接したトナーインクリボン39のトナーインク層38が粘着性を帯びた粘着剤層の部分に接着し、フィルムテープ17に転写される。この場合、トナーインクは90℃未満で溶融することがなく、粉体の状態でフィルムテープ17に転写されている。
【0090】
印字後のフィルムテープ17はテープ送りローラ16とヒートローラ15の間を通過し、ヒートローラ15にて80℃以上90℃未満に加熱されることによって粘着性を帯びていなかった粘着剤層の部分が粘着性を帯びると共に、トナーインクは溶融することがなくフィルムテープ17に転写された状態が保たれる。
【0091】
従って、印字後のフィルムテープ17を加熱することによってもインクは溶融することがないので、印字不良を起こすおそれは無い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1実施形態に係るテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図である。
【図2】第1実施形態におけるテープカセットの内部構成を模式的に示す平面図である。
【図3】第1実施形態の文字等の印字過程におけるインクリボンとフィルムテープとの関係を模式的に示す説明図である。
【図4】第1実施形態におけるサーマルヘッドにより加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。
【図5】第2実施形態に係るテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図である。
【図6】第2実施形態におけるテープカセットの内部構成を模式的に示す平面図である。
【図7】第2実施形態の文字等の印字過程におけるインクリボンとフィルムテープとの関係を模式的に示す説明図である。
【図8】第2実施形態におけるサーマルヘッドにより加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。
【図9】第2実施形態において、フィルムテープとインクリボンとが同じ幅寸法である場合における両者の位置関係を示す幅方向断面図である。
【図10】第2実施形態において、フィルムテープの幅方向寸法がインクリボンの幅方向寸法よりも大きい場合における両者の位置関係を示す幅方向断面図である。
【図11】第2実施形態において、フィルムテープの粘着剤の幅方向寸法のみがインクリボンの幅方向寸法と同じ大きさであり、かつ、フィルムテープ全体の幅方向寸法がインクリボンの幅方向寸法よりも大きい場合における両者の位置関係を示す幅方向断面図である。
【図12】第2実施形態において、フィルムテープの粘着剤の幅方向寸法のみがインクリボンの幅方向寸法よりも小さく、かつ、フィルムテープ全体の幅方向寸法がインクリボンの幅方向寸法よりも大きい場合における両者の位置関係を示す幅方向断面図である。
【図13】第2実施形態におけるサーマルヘッドにより加熱される際にインク層が粘着剤層に転写される転写メカニズムを模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0093】
1 テープカセット
2 上ケース
3 下ケース
7 サーマルヘッド
10 印字装置
17 フィルムテープ
18 テープスプール
19 インクリボン
23 インク層
24 粘着剤層
25 透明フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面にインク層が形成されたインクリボンと、
加熱することにより粘着性が発生する粘着剤層が一面に形成されている透明フィルムからなる印字テープと、
前記インクリボンと印字テープとを収納するカセットケースとを備え、
前記印字テープの粘着剤層と前記インクリボンのインク層とが印字位置にて当接し、
サーマルヘッド及びプラテンを備えるテープ印字装置のカセット装着部に着脱可能であり、
前記テープ印字装置のカセット装着部に装着された状態において、
(a)前記粘着剤層とインク層とが当接する当接部は、前記サーマルヘッドとプラテンとに挟まれ、サーマルヘッドは当接部分にて印字テープの粘着層が形成されていない側の面に当接し、
(b)前記インクリボンのインク層は、サーマルヘッドによって選択的に加熱されることにより粘着性を発生した粘着剤層の被加熱部分に接着され、
前記印字テープの幅方向寸法が、前記インクリボン幅寸法よりも大きい、
テープカセット。
【請求項2】
前記印字テープの粘着剤層の幅方向寸法は、前記インクリボンの幅方向寸法よりも小さい、
請求項1に記載のテープカセット。
【請求項3】
前記印字テープの粘着層が形成されていない側の面に離型剤層が設けられている、
請求項1又は請求項2に記載のテープカセット。
【請求項4】
インクリボンを巻き取るインクリボン巻取スプールと、
前記印字位置のテープ搬送方向下流側で、前記インクリボンと前記印字テープとを分離する分離部とを備え、
前記インクリボンが前記分離部を経た後、前記印字テープの粘着剤層に接着したインク層は印字テープに移行するとともに、インクリボンは前記インクリボン巻取スプールによって巻き取られる、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のテープカセット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のテープカセットのテープ排出部から排出された前記印字テープを搬送する搬送ローラ対を備え、
前記搬送ローラ対は前記排出された印字テープを加熱するヒートローラを含んで構成されている、
印字装置。
【請求項6】
サーマルヘッド、及び、前記サーマルヘッドの発熱部の駆動制御をする駆動制御機構を備え、
前記サーマルヘッドと当接する前記印字テープには透明フィルムの層を備えており、
前記サーマルヘッドの発熱部は、その発熱部を介して前記印字テープの粘着剤層に移行されたインク層が、前記印字テープの透明フィルム側から印字テープを見るときに、正像として視認できるように駆動制御機構により制御されている、
請求項5に記載の印字装置。
【請求項7】
前記テープ排出部と前記搬送ローラ対との間に印字テープを切断するテープ切断手段を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の印字装置。
【請求項8】
前記ヒートローラに当接する前記印字テープは透明フィルムの層を備えており、
前記ヒートローラは、前記印字テープの透明フィルム側から当接する、
請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の印字装置。
【請求項1】
一面にインク層が形成されたインクリボンと、
加熱することにより粘着性が発生する粘着剤層が一面に形成されている透明フィルムからなる印字テープと、
前記インクリボンと印字テープとを収納するカセットケースとを備え、
前記印字テープの粘着剤層と前記インクリボンのインク層とが印字位置にて当接し、
サーマルヘッド及びプラテンを備えるテープ印字装置のカセット装着部に着脱可能であり、
前記テープ印字装置のカセット装着部に装着された状態において、
(a)前記粘着剤層とインク層とが当接する当接部は、前記サーマルヘッドとプラテンとに挟まれ、サーマルヘッドは当接部分にて印字テープの粘着層が形成されていない側の面に当接し、
(b)前記インクリボンのインク層は、サーマルヘッドによって選択的に加熱されることにより粘着性を発生した粘着剤層の被加熱部分に接着され、
前記印字テープの幅方向寸法が、前記インクリボン幅寸法よりも大きい、
テープカセット。
【請求項2】
前記印字テープの粘着剤層の幅方向寸法は、前記インクリボンの幅方向寸法よりも小さい、
請求項1に記載のテープカセット。
【請求項3】
前記印字テープの粘着層が形成されていない側の面に離型剤層が設けられている、
請求項1又は請求項2に記載のテープカセット。
【請求項4】
インクリボンを巻き取るインクリボン巻取スプールと、
前記印字位置のテープ搬送方向下流側で、前記インクリボンと前記印字テープとを分離する分離部とを備え、
前記インクリボンが前記分離部を経た後、前記印字テープの粘着剤層に接着したインク層は印字テープに移行するとともに、インクリボンは前記インクリボン巻取スプールによって巻き取られる、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のテープカセット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のテープカセットのテープ排出部から排出された前記印字テープを搬送する搬送ローラ対を備え、
前記搬送ローラ対は前記排出された印字テープを加熱するヒートローラを含んで構成されている、
印字装置。
【請求項6】
サーマルヘッド、及び、前記サーマルヘッドの発熱部の駆動制御をする駆動制御機構を備え、
前記サーマルヘッドと当接する前記印字テープには透明フィルムの層を備えており、
前記サーマルヘッドの発熱部は、その発熱部を介して前記印字テープの粘着剤層に移行されたインク層が、前記印字テープの透明フィルム側から印字テープを見るときに、正像として視認できるように駆動制御機構により制御されている、
請求項5に記載の印字装置。
【請求項7】
前記テープ排出部と前記搬送ローラ対との間に印字テープを切断するテープ切断手段を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の印字装置。
【請求項8】
前記ヒートローラに当接する前記印字テープは透明フィルムの層を備えており、
前記ヒートローラは、前記印字テープの透明フィルム側から当接する、
請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の印字装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−302680(P2008−302680A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154439(P2007−154439)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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