説明

ディスクケース

【課題】磁石による盗難防止解除を円滑に行い得るようにすること、ヒンジ部分の耐久性を向上させること、及びディスク収納前のケースの梱包・搬送を円滑にし、さらに、新たな盗難防止手段を提供する。
【解決手段】一方のケース片10bにキー20を差込むことによるロック機構を設け、そのキーと蓋側フック爪22を係止することによって、両ケース片の開放を阻止する。また、ロック機構は、弾性爪片31の長さ方向に沿って移動可能な磁性体製コロ32を有する。両爪20a,31aが係止した両ケース片のロック状態では、コロは、弾性爪片の弾性力でもって移動方向の一方端に位置され、ロック状態となる。ケース1を帯状磁石42に沿って動かすと、その移動に伴い磁力でもってコロは移動方向の他端に移動し、その移動に伴って弾性爪片が反ってその爪31aとキー爪20aとの係止が解除される。すなわちロックが解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンピュータソフト、CD、DVD等の記録媒体として用いられるディスクを保管するためのケース、特に、それらのディスクをレンタルするためのケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のディスクケースは、通常、扁平四角状体をして、その厚み方向の中程で2分割し、その一方のケース片を蓋、他方を収納用ケース片とし、その両ケース片を一側縁で屈曲可能に連結し、他方側の縁を重ねて適宜な手段によって開閉可能に係止したものが一般的である(特許文献1図1、図5 特許文献2図参照)。
【特許文献1】特開2002−150444号公報
【0003】
この一般的なディスクケースによって、その収納したディスクを貸し出す(レンタルする)場合、その収納したディスクをケースから抜き出して盗難されることを防止する必要がある。
このため、従来から、その盗難防止手段がそのケースに施されており、その手段は、2分した両ケース片の重ね合い縁(自由端縁)にキーを抜き差し可能に設け、そのキーは、貸し出しカウンターでのみ抜けるようにしたものが一般的である(特許文献1図1符号10、図6符号30等参照)。
【0004】
そのキーによる盗難防止手段は、そのキーをケースに差込むと、キーにケースの一部が係止し、キーを引抜かないと、ケースを開放できないようにする(ロックする)とともに、キーの爪片とケースの爪を係止するようにしたものである(特許文献1段落0019〜0021参照)。
この盗難防止手段は、ケースを磁石上に載置することにより、その磁力でもって、キーの爪片を反らせてケース側爪との係止を解除する(特許文献1段落0028、図7参照)。
【0005】
また、従来のケースは樹脂成形品が主であり、その樹脂成形品における2分した両ケース片一側縁の屈曲可能にした連結構造は、その成形時、両ケース片の間にその一側縁全長に亘る薄肉部を形成し、その薄肉部でもって蓋の開閉を行なうようにしたり(特許文献1図1、図4参照)、ピンヒンジでもって蓋の開閉を行うようにしたりしている(特許文献2図5符号5参照)。
【特許文献2】特開2007−297104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の盗難防止手段は、磁石の吸引力によって、キー側の爪片を直接に反らせてケース側爪との係止を解除するものであるため、爪片を確実に反らせて係止を解除するには、強い吸引力、爪片の弾性度、反り方向と吸引力方向の関係等が適切である必要がある。このため、従来では、その解除が円滑に行われない場合が多かった。
【0007】
また、この種のケースは、主に樹脂成形品であり、ケース製造者からディスク販売業者又はレンタル業者へは、蓋を閉じた状態(本願図1(b)参照)で搬送したり、蓋側ケース片と収納側ケース片をフラット状(本願図4参照)にして搬送したりする。
その搬送時、通常、積み重ねた状態で梱包するが、その際、各ケースを傾くことなく積む必要があるとともに、各ケースが相互に動かないようにする必要がある。
【0008】
この発明は、磁石による盗難防止解除を円滑に行い得るようにすることを第1の課題、ヒンジ部分の耐久性を向上させることを第2の課題、ディスク収納前のケースの梱包・搬送を円滑にすることを第3の課題、さらに、新たな盗難防止手段を提供することを第4の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の課題を達成するために、この発明は、磁力による爪片の反りを、磁力によって移動するコロにより間接的に行うようにしたのである。
コロであれば、転動等してその移動は円滑であり、その移動に伴って爪片を反らせることができる。このコロによる爪片を間接的に反らせる作用は、磁力でもって爪片を直接的に反らせる作用に比べれば円滑である。このとき、弾性爪片が磁性体の場合、磁力線方向に弾性爪片のフラットな面が沿っていれば、その弾性爪片はその磁着の影響が少なく、円滑に反る。
【0010】
この発明の構成としては、扁平四角状ケースを、その厚み方向の中程で2分割し、その一方のケース片を蓋、他方を収納用ケース片とし、その両ケース片を一側縁で屈曲可能に連結し、他方側の縁を重ねて開閉可能とし、その両ケース片他方縁の一方に他方に向かうフック爪を設け、その両ケース片他方縁の他方には抜き差し自在のキーを設け、その差し込まれたキーに前記フック爪が係止され、そのキーを抜いてフック爪との係止を解除しない限り、両ケース片を開放できないディスクケースにおいて、前記両ケース片の他方縁の他方にその縁に沿ってキーが抜き差しされる収納部を形成し、その収納部には、収納部に差し込まれたキーの爪に係止してそのキーの引抜きを阻止する弾性爪片を設けるとともに、前記縁に沿って移動可能な磁性体製コロを設け、前記弾性爪片は、その長さ方向がケース片他方縁に沿ってその一端が固定され、その他端の爪が前記キー爪に向かって接離可能となっており、前記両爪が係止した両ケース片のロック状態では、その係止でもってキーが引抜き不能となっているとともに、前記コロは、前記爪片の弾性力でもって移動方向の一方端に位置され、ケース外部からの磁力でもって上記コロを移動方向の他の端に移動させ、そのコロの移動に伴って弾性爪片をキー爪との係止が解除される方向に反らせてその係止を解除するようにした構成とすることができる。
【0011】
この構成において、上記キーの爪とその爪に係止する爪を有する弾性爪片は、一対あれば、上記ロック機能を発揮するが、複数の対を設ければ、そのロック機能は向上する。その対を2つ設けた場合、すなわち、キーの爪と弾性爪片の爪の対を二つ設けた場合には、その両爪の係止を解除するコロも2つ設け、その両コロの上記磁力による移動方向を逆方向とすれば、その対のロック機能を左右対称にすることができ、両弾性爪片を一枚の弾性片によって構成できる等の利点がある(本願図4、図7参照)。
また、上記コロは原則移動可能な形状であれば、いずれでもよいが、移動方向に転動すれば、その移動がスムースであり、その形状として円柱、球等が考え得る。
【0012】
上記第2の課題を達成するために、この発明は、両ケース片のヒンジ部分をピンヒンジと薄肉ヒンジで構成し、両ケース片の開閉はピンヒンジでもって行うようにしたのである。
薄肉ヒンジはコスト的に有利であるが、耐久性に問題があり、一方、ピンヒンジはコスト的に不利であるが、耐久性において薄肉ヒンジに比べて優れている。このため、レンタル用ディスクケースとしてはピンヒンジのものが好ましい。
【0013】
この発明の構成としては、樹脂成形製扁平四角状ケースを、その厚み方向の中程で2分割し、その一方のケース片を蓋、他方を収納用ケース片とし、その両ケース片を一側縁で屈曲可能に連結し、他方側の縁を重ねて開閉可能とし、その両ケース片他方縁の一方に他方に向かうフック爪を設け、その両ケース片他方縁の他方には抜き差し自在のキーを設け、その差し込まれたキーに前記フック爪が係止され、そのキーを抜いてフック爪との係止を解除しない限り、両ケース片を開放できないディスクケースにおいて、前記両ケース片の一側縁側の側壁を、一方のケース片にその一側縁全長に亘る薄肉部でもって屈曲自在に連結した側壁片で構成し、他方のケース片をその側壁片にピンによるヒンジでもって屈曲自在に連結し、前記側壁片には前記一方のケース片の係止孔に係止してその側壁片を一方のケース片に固定する爪を設けた構成を採用することができる。
【0014】
この構成においては、両ケース片でもってケースが構成された際(組立てられた際)、上記側壁の爪が一方のケース片の係止孔に係止して、その側壁を一方のケース片に固定したものとなるため、その側壁の強度を高めることができる。このようにすれば、薄肉ヒンジは組立て時のみに使用し、組立て後には、その爪の係止によって、そのヒンジ作用がロックされる。このため、薄肉であっても、その損傷は少なく、ヒンジ部の耐久性を向上させることができる。
【0015】
上記第3の課題を達成するために、この発明は、両ケース片の連結側の側壁をなす片に立片を設け、両ケース片を開放して面一(蓋側ケース片と収納側ケース片がフラット状)として積み重ねる際、その立片を側壁における支えとするようにしたのである。
この立片があれば、両ケース片を開放して面一にした時、そのケース全体両端に位置する突出部分とその立片とを同一高さとすれば、各ケースを傾くことなく積み重ねて梱包することができる(本願図11参照)。
【0016】
この発明の構成としては、樹脂成形製扁平四角状ケースを、その厚み方向の中程で2分割し、その一方のケース片を蓋、他方を収納用ケース片とし、その両ケース片を一側縁で屈曲可能に連結し、他方側の縁を重ねて開閉可能とし、その両ケース片他方縁の一方に他方に向かうフック爪を設け、その両ケース片他方縁の他方には抜き差し自在のキーを設け、その差し込まれたキーに前記フック爪が係止され、そのキーを抜いてフック爪との係止を解除しない限り、両ケース片を開放できないディスクケースにおいて、前記両ケース片の連結側の側壁を、その両ケース片にヒンジを介して屈曲自在に連結し、その側壁に前記立片を設けて、前記両ケース片が面一にされた状態において、前記立片の高さは、前記面一となった両ケース片の両端の高さと同じとなるように設定された構成を採用することができる。
【0017】
上記立片は、その先端縁に立片底縁の係止孔に嵌る突起を設けたものとすれば、両ケース片を開放した面一の状態で積み重ねた際、その突起と係止孔の係止(嵌合)により、重なった上下のケース相互の移動を阻止する(本願図11参照)。
【0018】
上記第4の課題を達成するために、この発明は、上記扁平四角状ケースの両ケース片の少なくとも一方の内面の連結した一側縁又は他側縁側の両側に、側面視、前記ケース内のディスクに重なる突起をそれぞれ設けることとしたのである。
近年、上記両ケース片を重ねたディスクの収納状態において、その重なった両ケース片の側面の隙間(両ケース片の界面)にドライバーを差込み、その隙間を拡げて、中のディスクを引き出す盗難が生じている。このため、両ケース片の少なくとも一方の内面の他方側縁側両側に、側面視、前記ケース内のディスクに重なる突起をそれぞれ設ければ、その隙間からディスクを引き出そうとしても、その突起にディスクが閊えて引き出すことができない。すなわち、盗難を防止し得る。
【0019】
この発明の構成としては、扁平四角状ケースを、その厚み方向の中程で2分割し、その一方のケース片を蓋、他方を収納用ケース片とし、その両ケース片を一側縁で屈曲可能に連結し、他方側の縁を重ねて開閉可能とし、その両ケース片他方縁の一方に他方に向かうフック爪を設け、その両ケース片他方縁の他方には抜き差し自在のキーを設け、その差し込まれたキーに前記フック爪が係止され、そのキーを抜いてフック爪との係止を解除しない限り、両ケース片を開放できないディスクケースにおいて、前記扁平四角状ケースの両ケース片の少なくとも一方の内面の連結した一側縁又は他側縁側の両側に、側面視、前記ケース内のディスクに重なる突起をそれぞれ設けた構成を採用することができる。
【0020】
上記突起の高さは、その盗難を防止し得る限りにおいて適宜に設定すれば良いが、両ケース片にそれぞれ突起を設け、その両ケース片の突起が相互に嵌り合うようにすれば、両ケース片の内面間に亘る柱が形成されることとなって、その閊えによる盗難防止作用が確実となる。
因みに、側縁の両側に突起を設けたのは、両ケース片の両側面のいずれの隙間からの引き出しも防止するためである。また、突起は、連結した一側縁又は自由端である他側縁のいずれに設けても良いが、一側縁側は、ヒンジがあるため、相互に嵌り合う場合には、その嵌り合いが斜め方向になって円滑な嵌り合いがなされ難いため、他側縁側が好ましい。他側縁側は、その嵌り合いが直線方向に近づくからである。
【0021】
上記ケース外部から磁力を付与する手段は、手にもった種々の磁石でもって行なっても良いが、例えば、上記ディスクケースの他方側の縁が摺動される面を有し、その面には、そのディスクケースの移動を一定の方向に規制するガイドと、その一定の方向に向かって上記弾性爪片を反らせる方向に上記コロを導く帯状の磁石とを設けた係止解除具でもって行なうことができる。
この係止解除具は、その摺動面を、ガイドに倣ってディスクケースの他方側の縁を摺動させれば、その摺動(移動)に伴い磁石によってコロが上記弾性爪片を反らせる方向に移動し、その移動に伴う弾性爪片の反りによって、両爪の係止が解除される。
このとき、上記磁石の帯状は間欠的でも、連続したものでも良い。要は、コロを弾性爪片を反らせる方向に導く態様であれば、何れでも良い。
【0022】
この構成の係止解除具において、そのディスクケースの他方側の縁が摺動される面には、上記キーが係止してディスクケースの一定方向への移動につれて、そのキーを引抜く方向に移動させるガイドを設ければ、両爪の係止解除とともに、キーを引き出すことができる。
【0023】
また、上記帯状の磁石を設けた部分を上下動自在とすると共に、その可動部材を常時上記ディスクケースの固定摺動面より上方に突出するように付勢する弾性体を設けて、ディスクケースをガイドに沿って移動する際、前記弾性体に抗して可動部材を押し下げ、その弾性体でもって磁石をディスクケースに圧接するようにすれば、磁石とケースが確実に接して摺動するため、コロを円滑に移動させることができて、解錠作用が確実となる。
【0024】
なお、第1〜4の手段はそれぞれを選択的に組み合わせることができる。例えば、第1の手段に第2、3の手段を組み合わせたり、第2の手段に第3、4の手段を組み合わせたりすることができる。
【発明の効果】
【0025】
第1の課題を達成するこの発明は、コロの移動による解除のため、その作用が円滑である。
また、第2の課題を達成するこの発明は、ヒンジ部の耐久性が向上するため、ケースの開閉頻度の多い、例えば、レンタル用としてすぐれたものとなる。
さらに、第3の課題を達成するこの発明は、ディスク収納前の両ケース片を開放した面一の状態でのケースの梱包・搬送を円滑にすることができる。
第4の課題を達成するこの発明は、新規な盗難防止手段であって、この手段によって、ディスクの盗難をより確実に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
一実施形態のケース本体10は、透明なプラスチックによって樹脂成形され、図1に示すように、蓋部分(蓋用ケース片)10aと底部分(収納用ケース片)10bとから成る。その蓋部分10aと底部分10bの一側縁側の側壁11はその一の縁(図5(b)において下側縁)が薄肉ヒンジ12、他方の縁がピンヒンジ13となっており、この両ヒンジ12、13でもって、蓋部分10aと底部分10bは屈曲自在に連結されて開閉自在となっている。
【0027】
その薄肉ヒンジ12は、図5、図6に示すように、底部分10bの底板の一側縁全長に亘る薄肉部12aでもって屈曲自在に連結した側壁片12bで構成され、ピンヒンジ13は、その側壁片12bの一側のヒンジ(軸受)筒13aと蓋部分10aの底板のヒンジ筒13bとにピン13cを貫通して構成されている。
【0028】
また、上記側壁片12bには底部分(収納用ケース片)10bの係止孔14に係止してその側壁片12bを底部分(収納用ケース片)10bに固定する爪15が設けられており、図5(b)に示すように、この爪15を係止孔14に係止すると、側壁片12bは底部分(収納用ケース片)10bに一体となって薄肉ヒンジ12はその作用を果たさなくなる。このため、蓋部分10aの開放は、耐久性のあるピンヒンジ13でもって行なうこととなる。
【0029】
上記側壁11(側壁片12b)の両端には、底部分(一方のケース片)10b側に延びる立片16が設けられ、図11に示すように、蓋部分10aと底部分10bが面一にされた(ケース1が開かれて平板状(フラット状)にされた)状態において、その立片16の高さLは、後記収納部30及び蓋部分10aの一側両端の突片17の高さL、Lと同じとなるように設定されている。また、この立片16の先端縁には、立片16の底縁の係止孔16bに嵌る突起16aが設けられている。
このため、図11に示すように、このケース1を開放して面一(蓋部分10aと底部分10bがフラット状)として積み重ねた際、その立片16、突片17及び収納部30が同一高さ(L=L=L)でもって上側のケース1を支える。このとき、突起16aが係止孔16bに嵌って、上下のケース1、1の相互の移動を阻止する。
【0030】
この所要高さ積み重ねられたケース1を梱包して、ディスクの収納業者、例えば、レンタル業者に搬送する。
業者は、梱包を解き、図1に示すように、底部分(収納ケース片)10bにディスクDを収納するとともに、後記のロック機構の解除手段によってキー20を引抜いた後、蓋部分(蓋ケース片)10aを閉じ、キー20を差込むことによってロックが掛けられる。
【0031】
蓋部分10aと底部分10bの他側縁には、棒状キー20等によるロック機構が設けられている。このロック機構は、底部分10bにその縁に沿ってキー20が抜き差しされる収納部30を形成し、その収納部30には、収納部30に差し込まれたキー20の爪20aに係止してそのキー20の引抜きを阻止する樹脂製弾性爪片31を設けるとともに、前記縁に沿って移動可能な磁性体製コロ32、32を設けている。
その弾性爪片31は、その長さ方向が底部分10b他方縁に沿って設けられ、その両端に爪31aを有し、その中程に対の突片(支持片)31b、31bを有する。その突片31bを後述の収納部30の底部分30bの隔壁30hの間に嵌め込むことによってその底部分30bに取り付けられる。
【0032】
このように、この実施形態の弾性爪片31は、上記解決手段で言う「弾性爪片の爪31a」を二つ有して、その両爪31a、31aを一片の弾性片(弾性爪片31)で構成しており、収納部30の底部分30bに取り付けると、その中程の固定端(突片31bを隔壁30hに嵌めた点)が上記解決手段で言う「固定された一端」であり、両端が同「接離可能な他端」となる。
【0033】
収納部30は、図4に示すように、ケース本体10(収納用ケース片10b)に連続して形成された底部分30bとその底部分30bに薄肉ヒンジを介して連結された蓋部分30aとからなり、その蓋部分30aを薄肉ヒンジを介し底部分30bに係止することによって構成される。その両部分30a、30bは爪30cと孔30dの係止によって一体となる。
【0034】
この収納部30への弾性爪片31及びコロ32の組み込みは、図4に示す両部分30a、30bが開いた状態でそれら31、32を組み込み、その組み込んだ状態で、蓋部分30aを底部分30bに被せて両者30a、30bを一体化する。
このとき、底部分30bと蓋部分30aの一方の両側壁片30e、30eが一枚板片状となり、蓋部分30aの立片30fと底部分30bの中間壁片30gが一枚板片状となって、その両板片によって、弾性爪片31及びコロ32の位置決めとガイドがなされる。そのガイド空間は適宜に隔壁30hにより区画されてコロ32の移動範囲は規制される(図8a〜図8c参照)。
【0035】
また、蓋部分10aと底部分10bが一体化された状態において、上記収納部30にキー20を差し込むと(図2(a)の矢印方向)、図7(a)〜(d)に示すように、そのキー20の爪20aが弾性爪片31を反らせながら移動し、その爪31aを越えて係止するとともに、図2(b)、図3、図7に示すように、ロック爪21に蓋部分10b他側縁のフック爪22が係止されて、蓋部分10aの開放が阻止される。また、キー20の爪20aが弾性爪片31の爪31aを越えて係止すると、弾性爪片31はその弾性でもってコロ32を弾性爪片31の中央側に位置(移動)させる(図7(d)、図8a(b))。このため、キー20を引く抜くことができず、蓋部分10aは開放できない。
【0036】
なお、フック爪22の形状・弾性度等を考慮することによって、キー20を収納部30に差込んだ状態で、フック爪22を係止できるようにすることができる。しかし、この場合、キー20が差込まれた状態において、蓋部分10aを強引に開くと、フック爪22等が撓んで、ロック爪21とフック爪22の係止が外れる恐れがある。このため、図2(b)に示すように、フック爪22が撓んでもロック爪21から外れないように、係止した状態では、フック爪22とキー20の側壁23との間隙tをフック爪22の爪部22aの突出長さ以下とするとよい。このようにすると、フック爪22が後方に撓んでも、その爪部22aがロック爪21から外れる恐れは殆どない。
【0037】
上記両爪20a、31aの係止解除具40は、図8各図に示すように、平板材からなって、その表面に、そのディスクケース1の移動を一定の方向に規制するガイド41と、その一定の方向に向かって上記弾性爪片30を反らせる方向に導く帯状に並べた磁石42・・と、ディスクケース1の前記一定方向への移動につれて、そのキー20を引抜く方向に移動させるガイド43を設けたものである。
【0038】
また、この実施形態では、収納部30の部分が途中で切り欠かれた形状とされており、その切り欠き凹部33にキー20の凸状把部24が嵌り、この把部24がガイド43に係止する。そのガイド43をなす凸部の他面は前記切り欠き凹部33の側面が摺動するガイド41となって、上記のガイド41と同一の作用を行う。このため、このガイド41、41は一方のみでもよい。
【0039】
この係止解除具40の表面上に、図8aから同図bさらに同図cに示すように、ディスクケース1を矢印のように移動させると、その移動につれて、帯状に並んだ磁石42によってコロ32が外側に移動し、その移動に伴って、弾性爪片31が反ってその爪31aとキー20の爪20aの係止が解除される(図9参照)。また、その移動とともに、ガイド43によって、キー20が引き出される(図8a(b)→図8b(b)→図8c(b))。
【0040】
このとき、弾性爪片31が磁性体でできておれば、磁石42の磁力線方向に弾性爪片31のフラットな面が沿っているため(図8各(a)、(b)に示すように、係止解除具40に対してこのディスクケース1を立てた時、弾性爪片31はそのフラット面は上下方向となるため)、弾性爪片31はその磁石42による吸着の影響が少なく、円滑に反る。
なお、図8cに示すように、両爪20a、31aの係止が解除されるとともに、磁力が解除されれば、弾性爪片31の弾性力でもって、コロ32は中程に移動させられる(図8a(b)のキー20がない状態)。
【0041】
両爪31a、20aの係止が解除されてキー20が引き出されれば、その把部24を掴んで、キー20をさらに引抜く。このとき、ガイド43によって、キー20が引き出されてしまう(収納部30から抜け出る)まで案内することもできる。
また、キー爪21とフック爪22の係止解除により、蓋部分10aの開放は可能となって、その蓋部分10aを開けることによって、収納したディスクDを取り出すことができる。そのとき、その蓋部分10aは、図1(a)に示すように、ピンヒンジ13による開放となり、薄肉ヒンジ12はその開放には参加しない。
【0042】
この両爪31a、20aの係止解除は、図10に示すように、複数のディスクケース1を重ねて係止解除具40上を移動させて行なうことができる。このため、レンタル店において、複数のディスクDを貸し出す時に有効である。
【0043】
図12〜図16にディスクケース1の他の実施形態を示し、上記と同一符号は同一物を示す。このディスクケース1は、盗難防止機構をさらに設けるとともに、立片16を別の位置に設けたものである。その盗難防止機構は、蓋部分10aに設けた平面視小判形筒体50と底部分10bに設けた円筒体51とから成り、底部分10bに蓋部分10aを被せると、図14に示すように、その筒体50が円筒体51に嵌って、前者50の突起50aが後者51の爪51aに係止する。
このとき、その嵌り合った筒体50と円筒体51(嵌り合った突起50a、50b)は、ケース1の側面視(図12(a)の側面視)、そのケース1内のディスクDに重なるように設定されており、両ケース片10a10bの側面の隙間(両ケース片10a、10の界面)にドライバーを差込んで、その隙間を拡げて、中のディスクDを引き出そうとしても、その突起(筒体50と円筒体51)にディスクDが閊えて引き出すことができない。
なお、突起50aと爪51aの係止は、少し、強引に両ケース片10a、10bを引き離すことによって解除する。図14中、53は型抜き孔である。
【0044】
また、キー20にも、盗難防止用バーコード片60を貼付する部分25を設け、このバーコード60から各種の信号を入手することによって、盗難及び各種の管理を行う。この部分25の形成に基づき、収納部30及びケース本体10にはその部分25の入る孔(開口)が形成されている。
【0045】
立片16は、図16(a)に示すように、ピンヒンジ部の中程の位置に左右対称に設けるとともに、蓋部分10a、及び底部分10bにはその立片16を納める箱状部18を設ける。このため、同図(b)に示すように、側壁片12bを立てると、立片16がその箱状部18に納まる。箱状部18は省略できる。
なお、立片16が箱状部18に嵌れば、上記爪15が係止孔14に係止した状態と同じになって、その機能、すなわち、側壁片12bを固定して薄肉ヒンジ12の作用をなくしてその補強を行うと共に、蓋部分10aの開放は、耐久性のあるピンヒンジ13でもって行なうようにする。
【0046】
以上の盗難防止機構、立片16等の構成は、適宜選択的に採用でき、また、上記の図1で示す実施形態においても、適宜選択的に採用できることは勿論である。さらに、ピンヒンジ13のピン13cも、図16(a)に示す割りピン13c’とすることもできる。
この実施形態のケース1は、図11に示す積み重ねをする際には、筒体50が突片17の機能を果たす。
【0047】
図17には、係止解除具40の他例を示し、この例は、磁石42を設けた部分45を上下動可能にしたものである。その可動部材45は、同図に示すように、両側縁に全長に亘るガイド46を有し、このガイド46が基材47の凹部48に上下動自在に嵌り、バネ49によって上方に付勢されたものである。バネ49に代えて、ゴム等の各種の弾性体を採用することができる。また、可動部材45の前部45aは円弧状に徐々に低くされており、同図(a)に示すように、常時は、可動部材45はディスクケース1の固定摺動面47aより上位にある。図中、49aは、バネ49を装填した後、その孔を塞ぐ、ねじ状ばね押えである。
このため、同図(b)、(c)に示すように、ディスクケース1をその前部45aから押しながら移動すると、その可動部材45が下動して、ガイド41によって確実に案内されるとともに、ガイド43によって、キー20が引き出される。これと共に、磁石42によって、解錠がなされる(図8各図参照)。このとき、ディスクケース1は、バネ49でもって磁石42に圧接させられた状態で、摺動するため、コロ32を円滑に移動させることができて(接点ズレが無く)、解錠作用が確実となる。
【0048】
上記各実施形態では、対のコロ32及び弾性爪片31を2対設けたが、一方のコロ32及び弾性爪片31の片方のみでも,この発明を構成でき、また、3個以上のコロ32等でもっても、同様な構成でもってキー20のロック機構を構成できる。このとき、係止解除具40の磁石42の帯状配置はそのコロ32の数に応じたものとする。
また、各磁石42の間隔は、コロ32を移動させ得る限りにおいて任意である。さらに、磁石42は間欠的でなくても、図18に示すように、連続する帯状のもの(帯磁石)としたり、その帯状磁石42は一条としたりすることができる。さらに、磁石42の帯状長さは、図17に示すように、解錠し得た時点で終了するようにしても良い。
【0049】
因みに、上記各実施形態のディスクケース1は、レンタル展示用であって、貸し出す際には、貸し出し用ケースにディスクDを入れ直して貸し出す。このため、各盗難防止機構の解除は店側で行うこととなる。但し、この各実施形態のディスクケース1を貸し出し用とすることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)はディスクケースの一実施形態の蓋開放状態斜視図、同(b)は同蓋を閉じた状態斜視図
【図2】(a)は同実施形態の蓋を除去した平面図、同(b)は一部省略切断正面図
【図3】同実施形態の一部切断要部斜視図
【図4】同実施形態の要部分解斜視図
【図5】同実施形態の要部斜視図
【図6】同実施形態のヒンジ部の作用図、一部切断図
【図7】同実施形態のロック作用図
【図8a】同実施形態のロック解除作用図であり、(a)は斜視図、(b)は要部作用断面図
【図8b】同実施形態のロック解除作用図であり、(a)は斜視図、(b)は要部作用断面図
【図8c】同実施形態のロック解除作用図であり、(a)は斜視図、(b)は要部作用断面図
【図9】同実施形態のロック解除作用図
【図10】同実施形態の他の解除作用図
【図11】同実施形態の積み重ね・梱包状態図
【図12】(a)はディスクケースの他の実施形態の蓋開放状態斜視図、同(b)は同蓋を閉じた状態斜視図
【図13】同実施形態の蓋を除去した平面図
【図14】同実施形態の要部断面図
【図15】同実施形態の要部分解斜視図
【図16】同実施形態の要部斜視図
【図17】ロック解除具の他例の斜視図
【図18】ロック解除具の他例の斜視図
【符号の説明】
【0051】
1 ディスクケース
10 ケース本体
10a 蓋部分(蓋側ケース片)
10b 底部分(収納側ケース片)
11 側壁
11a 側壁片
12 薄肉ヒンジ
13 ピンヒンジ
14 底部分(収納側ケース)の係止孔
15 蓋部分(蓋側ケース)の係止片
16 立片
16a 立片の突起
16b 突起嵌合用係止孔
17 蓋部分の突片
20 キー
20a 弾性爪片の爪と係止するキーの爪
21 フック爪と係止するキー爪
22 フック爪
30 収納部
31 弾性爪片
31a 弾性爪片の爪
32 コロ
40 係止解除具
41 ディスクケース案内用ガイド
42 磁石
43 キー引き出し用ガイド
45 可動部材
49 バネ(弾性体)
D ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平四角状ケース(1)を、その厚み方向の中程で2分割し、その一方のケース片(10a)を蓋、他方を収納用ケース片(10b)とし、その両ケース片(10a、10b)を、その一側縁で屈曲可能に連結するとともに、他方側の縁を重ねて開閉可能とし、その両ケース片他方縁の一方に他方に向かうフック爪(22)を設け、その両ケース片他方縁の他方には抜き差し自在のキー(20)を設け、その差し込まれたキー(20)に前記フック爪(22)が係止され、そのキー(20)を抜いて前記フック爪(22)との係止を解除しない限り、両ケース片(10a、10b)を開放できないディスクケースであって、
上記両ケース片(10a、10b)他方縁の他方にその縁に沿って上記キー(20)が抜き差しされる収納部(30)を形成し、その収納部(30)に、収納部(30)に差し込まれたキー(20)に係止してそのキー(20)の引抜きを阻止する弾性爪片(31)を設けるとともに、前記他方縁に沿って移動可能な磁性体製コロ(32)を設け、前記弾性爪片(31)は、その長さ方向がケース片他方縁に沿ってその一端が固定されて、その他端の爪(31a)が前記キー(20)の爪(20a)に向かって接離可能となって、その両爪(20a、31a)が係止することによって、前記キー(20)に弾性爪片(31)が係止するようになっており、
上記両爪(31a、20a)が係止した両ケース片(10a、10b)のロック状態では、その係止でもって上記キー(20)が引抜き不能となっているとともに、前記コロ(32)は、前記弾性爪片(31)の弾性力でもって上記移動方向の一方端に位置されており、
ケース外部からの磁力でもって上記コロ(32)を上記移動方向の他方端に移動させ、そのコロ(32)の移動に伴って上記弾性爪片(31)の爪(31a)をキー爪(20a)との係止が解除される方向に反らせてその係止を解除するようにしたことを特徴とするディスクケース。
【請求項2】
上記キー(20)の爪(20a)とその爪(20a)に係止する爪(31a)を有する弾性爪片(31)をそれぞれ二つ設けるとともに、その両爪(20a、31a)の係止を解除するコロ(32)も2つ設け、その両コロ(32、32)の上記磁力による移動方向を逆方向としたことを特徴とする請求項1に記載のディスクケース。
【請求項3】
上記両ケース片(10a、10b)の一側縁側の側壁(11)を、一方のケース片(10b)にその一側縁全長に亘る薄肉部(12a)でもって屈曲自在に連結した側壁片(12b)で構成し、他方のケース片(10a)をその側壁片(12b)にピン(13c)によるヒンジ(13)でもって屈曲自在に連結し、前記側壁片(12b)には前記一方のケース片(10b)の係止孔(14)に係止してその側壁片(12b)を一方のケース片(10b)に固定する爪(15)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形製ディスクケース。
【請求項4】
上記側壁片(12b)の端に一方のケース片(10b)側に延びる立片(16)を設け、上記両ケース片(10a、10b)が面一にされた状態において、前記立片(16)の高さ(L)は、前記面一となった両ケース片(10a、10b)の両端の高さ(L、L)と同じとなるように設定され、かつ、立片(16)の先端縁には、立片(16)の底縁の係止孔(16b)に嵌る突起(16a)が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形製ディスクケース。
【請求項5】
上記扁平四角状ケース(1)の両ケース片(10a、10b)の少なくとも一方の内面の上記連結した一側縁又は他側縁側の両側に、側面視、前記ケース(1)内のディスク(D)に重なる突起(50、51)をそれぞれ設けて、その突起(50、51)によって、前記重なった両ケース片(10a、10b)の側面の隙間から前記ディスク(D)が引き出されることを防止するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のディスクケース。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のディスクケース(1)の上記両爪(20a、31a)の係止解除具(40)であって、前記ディスクケース(1)の他方側の縁が摺動される面を有し、その面には、そのディスクケース(1)の移動を一定の方向に規制するガイド(41)と、その一定の方向に向かって弾性爪片(31)を反らせる方向に上記コロ(32)を導く帯状の磁石(42)とを設けた係止解除具。
【請求項7】
上記ディスクケース(1)の他方側の縁が摺動される面には、上記キー(20)が係止して前記ディスクケース(1)の一定方向への移動につれて、そのキー(20)を引抜く方向に移動させるガイド(43)を設けたことを特徴とする請求項6に記載の係止解除具。
【請求項8】
上記帯状の磁石(42)を設けた部分(45)を上下動自在とすると共に、その部材(45)を常時上記ディスクケース(1)の固定摺動面より上方に突出するように付勢する弾性体(49)を設けて、前記ディスクケース(1)をガイド(41)に沿って移動する際、前記弾性体(49)に抗して前記部材(45)を押し下げ、その弾性体(49)でもって前記磁石(42)を前記ディスクケース(1)に圧接するようにしたことを特徴とする請求項6又は7に記載の係止解除具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−196692(P2009−196692A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43027(P2008−43027)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(392006639)株式会社アイナック (7)
【Fターム(参考)】