説明

ディスクドライブのモータ回転制御方法、モータ回転制御装置、ディスクドライブ及び記録媒体

【課題】ディスクドライブの回転制御方法を提供すること。
【解決手段】ディスクドライブの駆動時にスピンアップを行い、ディスクの回転速度が目標回転速度未満であるか否かを判断するステップと、ディスクの回転速度が目標回転速度未満であれば、ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換してディスクを所定の低速回転速度で回転させるステップと、低速回転速度で回転中にディスク回転駆動電流が所定の電流基準値以下に低下した場合、ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換してディスクを目標回転速度までスピンアップするステップと、を含むディスクドライブのモータ回転制御方法である。これにより、ディスクドライブが極低温状態にある場合でも、段階的なスピンアップ過程を通じて正常なスピンアップを実行でき、ディスクドライブの正常動作及び信頼性を保証できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)に係り、特にディスクドライブのモータ回転制御方法、モータ回転制御装置、ディスクドライブ及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明と関連して公知された技術文献としては、特許文献1がある。特許文献1には、磁気ディスク装置において温度を検出して、低温ではユニポーラ方式でモータを駆動し、高温ではバイポーラ方式でモータを駆動する技術が提示されている。
【0003】
最近、HDDは、自動車ナビゲーション、自動車用PC(Personal Computer)、PMP(Portable Media Player)、PMC(Portable Media Center)、携帯電話のようなモバイル環境で多様な形態により使われている。
【0004】
HDDにおいて、スピンドルモータは、ディスクを一定な角速度に回転させてその流動圧力によりヘッドを浮上させ、ヘッドが回転するディスクの表面に磁気記録を行えるようにする。最近、スピンドルモータは、ノイズ、振動、性能及び信頼性の向上のために流体動圧軸受(Fluid Dynamic Bearing:FDB)を採用している。
【0005】
かかるFDBは、温度が低くなるにつれて流体の粘度が急激に上昇し、粘性摩擦による軸受損失を大きく発生させる。これにより、特定の温度以下では、ドライブの設計当時に設定された目標回転速度までスピンドルモータが正常にスピンアップを行えなくなる。
【0006】
特に、自動車ナビゲーションのような応用製品は、動作温度条件が−30℃〜80℃のような苛酷な温度/湿度条件の下に露出される可能性がある。一般的に、−30℃のような極低温状態では、モータの流体軸受の粘性力が急激に上昇するので、スピンドルモータを正格回転速度まで回転させるためには、トルク定数を低めて設計しなければならない。これは、結果的に、ドライブに高い駆動電流を要求して消費電力を増加させることとなる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−015893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、従来のディスクドライブの回転制御方法及びその装置によれば、極低温状態では正常にスピンアップを行えずに正常動作が不可能になり、装置の信頼性が低下する。さらに、正常動作のためには、過度な駆動電流を必要とするという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ディスクドライブの大幅な設計変更なしに、極低温状態であっても、正常動作及び信頼性を保証することが可能な、新規かつ改良された、ディスクドライブのモータ回転制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ディスクドライブの駆動時にスピンアップを行い、ディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であるか否かを判断するステップと;ディスクの回転速度が、目標回転速度未満であれば、ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換してディスクを所定の低速回転速度で回転させるステップと;低速回転速度で回転中に、ディスク回転駆動電流が所定の電流基準値以下に低下した場合、ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換してディスクを目標回転速度までスピンアップするステップと;を含むことを特徴とする、ディスクドライブのモータ回転制御方法が提供される。
【0011】
また、ディスクの回転速度が目標回転速度未満であるか否かを判断するステップは、ディスクドライブの駆動開始時に、スピンアップを行い、ディスクの回転速度が目標回転速度未満であるか否かを判断する過程を、所定の反復回数反復するようにしてもよい。
【0012】
また、上記反復回数は、3回以上であってもよい。
【0013】
また、低速回転速度は、ディスクドライブのヘッドがディスクの表面から正常に浮上していると判断されるのに必要な最低回転速度である第1低速回転速度であって、ディスクの回転速度が目標回転速度未満であるか否かを判断するステップは、ディスクの回転速度が、第1低速回転速度未満であれば、ディスクドライブが動作不能であると判断し、ディスクドライブの駆動を中止するステップをさらに含んでもよい。
【0014】
また、低速回転速度で回転させるステップは、低速回転速度を、第1低速回転速度と、第1低速回転速度よりも速い第2低速回転速度とに区分し、ディスクの回転速度が目標回転速度未満であり、かつ、第2低速回転速度以上であれば、第2低速回転モードに転換してディスクを第2低速回転速度で回転させるステップと、ディスクの回転速度が、第2低速回転速度未満であり、かつ、第1低速回転速度以上であれば、第1低速回転モードに転換してディスクを第1低速回転速度で回転させるステップと、を含んでもよい。
【0015】
また、第1低速回転速度で回転させるステップは、第1低速回転速度でディスクを回転させた後、ディスク回転駆動電流が所定の第2電流基準値以下に低下した場合、ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、第2低速回転モードに転換してディスクを第2低速回転速度までスピンアップするようにしてもよい。
【0016】
また、低速回転速度は、ディスクドライブのヘッドがディスクの表面から正常に浮上していると判断されるのに必要な最低回転速度であってもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ディスクを回転させるスピンドルモータと、スピンドルモータを所定の回転速度で動作させるモータ駆動部と、を備えるディスクドライブの制御装置において:スピンドルモータにより回転されるディスクの回転速度を検出する回転速度検出部と;スピンドルモータに印加される駆動電流を検出する駆動電流検出部と;ディスクドライブの所定の目標回転速度、所定の低速回転速度及び所定の電流基準値を保存する基準値保存部と;モータ駆動部へ目標回転速度までスピンアップする信号を伝送し、回転速度検出部から検出されたディスクの回転速度が、目標回転速度未満であれば、ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換してモータ駆動部へ低速回転速度で回転させる信号を伝送し、低速回転速度で回転中に駆動電流検出部で検出された駆動電流が電流基準値以下に低下した場合、ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換してモータ駆動部へ目標回転速度までスピンアップする信号を伝送するスピンアップ制御部と;を備えることを特徴とする、ディスクドライブのモータ回転制御装置が提供される。
【0018】
また、スピンアップ制御部は、ディスクドライブの駆動開始時に、モータ駆動部へ目標回転速度までスピンアップする信号を伝送し、回転速度検出部から検出されたディスクの回転速度が、目標回転速度未満であるか否かを判断する過程を、所定の反復回数反復するようにしてもよい。
【0019】
また、上記反復回数は、3回以上であってもよい。
【0020】
また、基準値保存部は、ディスクドライブのヘッドがディスクの表面から正常に浮上していると判断されるのに必要な最低回転速度である第1低速回転速度を保存し、スピンアップ制御部は、回転速度検出部から検出されたディスクの回転速度が、第1低速回転速度未満であれば、ディスクドライブが動作不能であると判断し、モータ駆動部へスピンドルモータの動作を中止させる信号を伝送するようにしてもよい。
【0021】
また、基準値保存部は、低速回転速度の値として、第1低速回転速度と、第1低速回転速度より速い第2低速回転速度とを保存し、スピンアップ制御部は、回転速度検出部から検出されたディスクの回転速度が、目標回転速度未満であり、かつ第2低速回転速度以上であれば、第2低速回転モードに転換して前記モータ駆動部へ前記第2低速回転速度で回転させる信号を伝送し、回転速度検出部から検出されたディスクの回転速度が、第2低速回転速度未満であり、かつ第1低速回転速度以上であれば、第1低速回転モードに転換してモータ駆動部へ第1低速回転速度で回転させる信号を伝送するようにしてもよい。
【0022】
また、スピンアップ制御部は、第1低速回転速度でディスクを回転させた後、駆動電流検出部から検出された駆動電流が所定の第2電流基準値以下に低下した場合、ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、第2低速回転モードに転換して、モータ駆動部へ第2低速回転速度までスピンアップさせる信号を伝送するようにしてもよい。
【0023】
また、低速回転速度は、ディスクドライブのヘッドがディスクの表面から正常に浮上していると判断されるのに必要な最低回転速度であってもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ディスクドライブに用いられる流体動圧軸受において使用される流体の粘度である流体動圧軸受粘度が、正常な動作温度に基づいた臨界レベルを超えるか否かを判断するステップと;流体動圧軸受粘度が臨界レベルを超える場合に、低速モードによって低い回転速度でディスクを回転させ、ディスクドライブを予熱させるステップと;ディスクドライブを予熱させる間に、ディスクを回転させるスピンドルモータに印加される駆動電流が基準電流値より小さいか否かを判断するステップと;駆動電流が基準電流値より小さい場合に、高速モードに変更して目標回転速度に達するまでディスクの回転速度を上昇させるステップと;を含むことを特徴とする、ディスクドライブのモータ回転制御方法が提供される。
【0025】
また、流体動圧軸受粘度が臨界レベルを超えるか否かを判断するステップは、ディスクをスピンアップさせてスピンドルモータの回転速度を目標回転速度まで上昇させるステップと;スピンドルモータの回転速度が、目標回転速度に達するか否かを判断するステップと;スピンドルモータの回転速度が、目標回転速度に達しない場合に、流体動圧軸受粘度が臨界レベルを超えると判定するステップと;を含むようにしてもよい。
【0026】
また、流体動圧軸受粘度が臨界レベルを超えるか否かを判断するステップは、ディスクドライブが初期化されるか、またはディスクドライブの動作中に周囲の温度が変化するときに実行されるようにしてもよい。
【0027】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、情報を保存するディスクと;ディスクを回転させるスピンドルモータと;スピンドルモータにより回転されるディスクの回転速度を検出する回転速度検出部と;スピンドルモータに印加される駆動電流を検出する駆動電流検出部と;ディスクドライブの所定の目標回転速度、所定の低速回転速度、及び所定の電流基準値を保存する基準値保存部と;モータ駆動部へ所定の目標回転速度までスピンアップする信号を伝送し、回転速度検出部から検出されたディスクの回転速度が目標回転速度未満であれば、ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換してモータ駆動部へ低速回転速度で回転させる信号を伝送し、低速回転速度で回転中に駆動電流検出部で検出された駆動電流が電流基準値以下に低下した場合、ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換してモータ駆動部へ目標回転速度までスピンアップする信号を伝送するスピンアップ制御部と;を備えることを特徴とする、ディスクドライブが提供される。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ディスクドライブの駆動時にスピンアップを行い、ディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であるか否かを判断するステップと;ディスクの回転速度が目標回転速度未満であれば、ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換してディスクを所定の低速回転速度で回転させるステップと;低速回転速度で回転中に、ディスク回転駆動電流が所定の電流基準値以下に低下した場合、ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換してディスクを目標回転速度までスピンアップするステップと;
を含むディスクドライブのモータ回転制御方法を実行させる命令を処理するようにコーディングされた情報が記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ディスクドライブに用いられる流体動圧軸受において使用される流体の粘度である流体動圧軸受粘度が、正常な動作温度に基づいた臨界レベルを超えるか否かを判断するステップと;流体動圧軸受粘度が臨界レベルを超える場合に、低速モードによって低い回転速度でディスクを回転させ、ディスクドライブを予熱させるステップと;ディスクドライブを予熱させる間に、ディスクを回転させるスピンドルモータに印加される駆動電流が基準電流値より小さいか否かを判断するステップと;駆動電流が基準電流値より小さい場合に、高速モードに変更して目標回転速度に達するまでディスクの回転速度を上昇させるステップと;を含むディスクドライブのモータ回転制御方法を実行させる命令を処理するようにコーディングされた情報が記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明によれば、ディスクドライブの大幅な設計変更なしに、極低温状態であっても正常動作及び信頼性を保証できるディスクドライブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態にかかるハードディスクドライブ(HDD)の構成について説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態にかかるHDD100の構成を示す図面である。
【0034】
HDD100は、スピンドルモータ110により回転される少なくとも一つの磁気ディスク120を備えている。HDD100は、ディスク120の表面に隣接して位置したヘッド130も備えている。
【0035】
ヘッド130は、それぞれのディスク120の磁界を感知して磁化させることによって、回転するディスク120から情報を読み取り、記録できる。一般的に、ヘッド130は、各ディスク120の表面に近接して設けられる。ここでは、ヘッド130を単一のヘッド130で図示して説明しているが、これは、ディスク120を磁化させるための記録用ヘッドと、ディスク120の磁界を感知するための分離された読み取り用ヘッドとから形成されると理解されることができる。読み取り用ヘッドは、磁気抵抗(Magneto−Resistive:MR)素子から構成される。
【0036】
ヘッド130は、スライダ131に統合される。スライダ131は、ヘッド130とディスク120の表面との間に空気軸受を生成させる構造になっている。スライダ131は、ヘッドジンバルアセンブリ(Head Gimbal Assembly:HGA)132に結合されている。HGA132は、ボイスコイル141を有するアクチュエータアーム140に付着されている。ボイスコイル141は、ボイスコイルモータ(Voice Coil Motor:VCM)142を特定するようにマグネチックアセンブリ150に隣接して位置している。ボイスコイル141に供給される電流は、軸受アセンブリ160に対してアクチュエータアーム140を回転させるトルクを発生させる。アクチュエータアーム140の回転は、ディスク120の表面を横切ってヘッド130を移動させる。
【0037】
情報は、一般的に、ディスク120の環状トラック内に保存される。各トラック170は、一般的に複数のセクタを備えている。各セクタは、データフィールドと識別フィールドとを備えている。識別フィールドは、セクタ及びトラック(シリンダ)を識別するグレーコードで構成されている。ヘッド130は、他のトラックにある情報を読み取り/記録するためにディスク120の表面を横切って移動する。
【0038】
図2は、低温状態でHDDが到達可能なディスク回転速度を示すグラフである。
【0039】
図2において、HDDが−30℃の低温状態にあるとき、ディスクをスピンアップさせてからの経過時間が4秒以上では、4400RPMより速い回転速度に達しないということを表す。
【0040】
図3は、常温状態のHDDで到達可能なディスク回転速度を示すグラフである。
【0041】
図3において、HDDが25℃の常温状態にあるとき、ディスクをスピンアップさせてからの経過時間が5秒以上では、9300RPMより速い回転速度に達しないということを表す。
【0042】
図4は、HDDの温度による到達可能な最高回転速度を示すグラフである。
【0043】
図4において、到達可能な最高回転速度は、HDDの温度が0℃である時点を基準として大きく変化している。これは、HDDの温度が0℃以下の低温に下降するほど流体軸受の粘性力が急激に上昇して、ディスクの回転を妨害するためである。図2及び図3のように、HDDに内蔵されたモータの電圧、トルク定数、抵抗、FDBオイルのような設計パラメータが既に決定された場合、ディスクは、25℃で最高9300RPMで回転されることができる。一方、−30℃では、最高4400RPMで回転される。
【0044】
このとき、HDDの設計ステップで既定の目標回転速度が5400RPMであると仮定すれば、−30℃では最高到達可能な回転速度が4400RPMであるので、正常にスピンアップ処理を行うことができない。
【0045】
図5は、スピンドルモータのFDB粘性の温度特性を示すグラフである。
【0046】
図5は、図2、図3、図4で表れる現象についての原因を示すグラフである。すなわち、HDDの温度が0℃以上であるときは、FDBの粘性がほとんど変化がない一方、HDDの温度が0℃以下に下降するにつれて、FDBの粘性が大きく上昇している。これにより、低温状態では、スピンドルモータにより到達されうる最高回転速度が制限される。
【0047】
図6は、スピンドルモータに印加される駆動電流と温度との関係を示すグラフである。
【0048】
HDDの温度下降によるFDBの粘性の向上により、スピンドルモータが常温でと同じ回転速度でディスクを回転させるためには、さらに多くの駆動電流を必要とする。図6において、一定の回転速度で回転させるために、−20℃では280mA程度の駆動電流が必要である一方、0℃では130mA程度の駆動電流が必要である。−20℃で4400RPMに回転させる途中で、駆動電流が280mAから130mAに低減すれば、HDDの温度が20℃ほど上昇したということを意味する。
【0049】
また、本実施形態にかかるHDDでは、HDDの温度センシングを、駆動電流の変化量が所定の変化量の基準値以上であるとき、HDDをスピンアップさせるか、またはスピンダウンさせることで構成することもできる。
【0050】
これを利用すれば、HDDの温度を直接測定してHDDが到達できる最高回転速度を推定する複雑な計算を行わなくても、簡単にHDDの温度変化が分かり、これによって、さらに高速の回転速度にスピンアップするか否かを判断できる。
【0051】
図7は、本発明の実施形態によるディスクドライブのモータ回転制御装置のブロック図である。
【0052】
スピンアップ制御部700は、ドライブの駆動開始時に、モータ駆動部へ所定の目標回転速度までスピンアップする信号を伝送する。
【0053】
また、スピンアップ制御部700は、回転速度検出部730から検出されたディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であれば、ドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換してモータ駆動部740へ所定の低速回転速度で回転させる信号を伝送する。
【0054】
また、スピンアップ制御部700は、所定の低速回転速度で回転中に、駆動電流検出部720の駆動電流が所定の電流基準値以下に低減すれば、ドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換してモータ駆動部740へ目標回転速度までスピンアップする信号を伝送する。
【0055】
基準値保存部710は、設計ステップで既定の目標回転速度、所定の低速回転速度、所定の電流基準値を保存し、スピンアップ制御部700へこれを伝送する。
【0056】
駆動電流検出部720は、スピンドルモータ750に印加される駆動電流を検出する。
【0057】
回転速度検出部730は、スピンドルモータ750により回転されるディスク760の回転速度を検出する。
【0058】
モータ駆動部740は、スピンアップ制御部700から特定の回転速度情報を含む信号を受信し、スピンドルモータ750に特定の回転速度に相応する駆動電流を印加してスピンドルモータを特定の回転速度に動作させる。
【0059】
スピンドルモータ750は、モータ駆動部740により印加される電流によってドライブのディスク軸と直接連結されて、ディスク760を特定の回転速度で回転させる。
【0060】
このとき、本実施形態によるモータ回転制御装置では、設計の単純化のために、ドライブの駆動中の回転速度の変化によるリード/ライトタイミング制御を含まないので、目標回転速度を転換するためには、一旦スピンダウンさせてあらゆる設定を初期化し、目標回転速度を他の値に変更させた後に、変更された回転速度にスピンアップする過程を経る。すなわち、本実施形態において、低速回転モードや高速回転モードに転換する過程は、スピンダウン、目標回転速度変更、及びスピンアップの過程を含む。
【0061】
図8は、本発明の実施形態によるディスクドライブのモータ回転制御方法を示すフローチャートである。
【0062】
まず、ドライブの駆動を開始する(ステップ800)。ここでは、一実施形態として、ドライブの駆動開始時にスピンアップ及び低速回転モード転換を記載しているが、実際の応用においては、ドライブの駆動中のいつでも、ドライブの周囲温度が急激に変わる場合に本発明が適用されうる。
【0063】
ドライブが駆動を開始すれば、スピンアップを試みる(ステップ810)。スピンアップは、一定の目標回転速度までディスクの回転速度を速めることを意味する。
【0064】
スピンアップ後には、現在のディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であるか否かを判断する(ステップ820)。このとき、所定の目標回転速度は、ドライブの設計者がドライブの正常動作時に維持されるように決めた回転速度である。
【0065】
このとき、現在のディスクの回転速度が所定の目標回転速度以上であれば、周囲温度が極低温状態ではない場合であり、ドライブが正常動作を始める場合であるので、以下の予熱過程は不要である。したがって、全ての処理を終了する。
【0066】
一方、現在のディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であれば、次のステップに進む。
【0067】
ステップ820で、現在の回転速度が所定の目標回転速度未満と判断された場合、ドライブが低温状態にあると判断する(ステップ830)。すなわち、FDBの粘性が常温より大きく向上したと判断する。
【0068】
ドライブが低温状態にあると判断されれば、低速回転モードに転換してディスクを所定の低速回転速度で回転させる(ステップ840)。このとき、所定の低速回転速度は、例えば、ドライブのヘッドがディスクの表面から正常的に浮き上がる最低回転速度に設定されてもよい。現在、当業界の技術レベルでは、ディスクが最小3600RPMに回転して初めてヘッドの正常的な浮上が可能である。
【0069】
低速回転速度で回転中に、ディスク回転駆動電流が所定の電流基準値以下であるか否かを判断する(ステップ850)。このとき、所定の電流基準値とは、所定の電流基準値と相応する温度においてドライブが到達できる最大回転速度が目標回転速度を超えるほどの電流量であって、既定のパラメータで定義できる。
【0070】
このとき、ディスク回転駆動電流が依然として所定の電流基準値以上であれば、ステップ830に戻ってドライブが依然として低温状態にあると判断する。
【0071】
一方、ディスク回転駆動電流が所定の電流基準値以下であれば、ドライブの温度が上昇したと判断する(ステップ860)。
【0072】
ドライブの温度が上昇したと判断されれば、高速回転モードに転換してディスクを目標回転速度までスピンアップする(ステップ870)。
【0073】
図9は、本発明の望ましい実施形態によるディスクドライブのモータ回転制御方法を示すフローチャートである。
【0074】
まず、ドライブの駆動を開始する(ステップ900)。ここでは、一実施形態としてドライブの駆動開始時にスピンアップ及び低速回転モード転換を記載しているが、実際の応用においては、ドライブの駆動中いつでも、ドライブの周囲温度が急激に変わる場合に本発明が適用されうる。
【0075】
ドライブが駆動を開始すれば、スピンアップを試みる(ステップ910)。スピンアップは、一定の目標回転速度までディスクの回転速度を速めることを意味する。
【0076】
スピンアップ後には、現在のディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であるか否かを判断する(ステップ920)。このとき、所定の目標回転速度は、ドライブの設計者がドライブの正常動作時に維持されるように決めた回転速度である。
【0077】
このとき、現在のディスクの回転速度が所定の目標回転速度以上であれば、周囲温度が極低温状態ではない場合であり、ドライブが正常動作を始める場合であるので、以下の予熱過程は不要である。したがって、全ての処理を終了する。
【0078】
一方、現在のディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であれば、次のステップ(ステップ925)に進む。
【0079】
ステップ920で現在の回転速度が所定の目標回転速度未満と判断された場合、スピンアップの試行回数が所定の回数以上であるか否かを判断する(ステップ925)。
【0080】
ここで、所定の回数は、当業者の必要に応じて決めるものであって、所定の回数が大きすぎれば、極低温状態でドライブの正常動作が難しくなりうる。逆に、所定の回数が小さすぎれば、周囲温度が一時的に下降する場合にも、ディスクを低速回転速度で動作させてドライブの性能を保証できなくなる。所定の回数は、例えば、3回に設定されてもよい。
【0081】
数回(所定の回数以内)のスピンアップ過程中に現在の回転速度が所定の目標回転速度に到達できるならば、以下の予熱過程は不要である。したがって、スピンアップの試行回数が所定の回数未満であれば、再びステップ910に戻ってスピンアップを試みる。
【0082】
このとき、スピンアップの試行回数が所定の回数以上であれば、現在の回転速度が第2低速回転速度以上であるか否かを判断する(ステップ930)。このとき、現在の回転速度が第2低速回転速度以上であれば、次のステップ(ステップ935)に進む。
【0083】
現在の回転速度が第2低速回転速度以上である場合、第2低速回転モードに転換してディスクを第2低速回転速度で回転させる(ステップ935)。
【0084】
一方、現在の回転速度が第2低速回転速度未満である場合、現在の回転速度が第1低速回転速度以上であるか否かを判断する(ステップ940)。このとき、現在の回転速度が第1低速回転速度未満であれば、ドライブの駆動を中止し(ステップ970)、全ての処理を終了する。このとき、現在の回転速度が第1低速回転速度以上であれば、第1低速回転モードに転換してディスクを第1低速回転速度で回転させる(ステップ945)。ディスクを第1低速回転速度で回転させる過程で、スピンドルモータに印加されるディスク回転駆動電流が第2電流基準値以下であるか否かを判断する(ステップ947)。第2電流基準値は、スピンドルモータが第2低速回転速度を維持できる臨界温度に相応する電流量である。すなわち、ドライブの温度が上昇してスピンドルモータの駆動電流が第2電流基準値以下となれば、このときのスピンドルモータの最大回転速度は、第2低速回転速度を超える。
【0085】
回転駆動電流が第2電流基準値以下であるか否かを判断するステップ(ステップ947)で、ディスク回転駆動電流が第2電流基準値を超えれば、再びステップ945に戻ってディスクの回転速度を第1低速回転速度に維持する。このとき、ディスク回転駆動電流が第2電流基準値以下となれば、第2低速回転モードに転換してディスクを第2低速回転速度までスピンアップさせる(ステップ949)。
【0086】
はじめから第2低速回転速度で回転した場合でも、または第1低速回転速度から第2低速回転速度にスピンアップさせた場合でも、ディスクが一旦第2低速回転速度で回転し始めれば、スピンドルモータの回転駆動電流が所定の電流基準値以下であるか否かを判断する(ステップ950)。このとき、回転駆動電流が所定の電流基準値を超えれば、再びステップ935に戻ってディスクの回転速度を第2低速回転速度に維持する。
【0087】
このとき、回転駆動電流が所定の電流基準値以下となれば、ドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換してディスクを目標回転速度までスピンアップさせる。
【0088】
かかる過程を通じて、ドライブの設計者が目標とした回転速度でディスクを回転させて、ドライブの正常動作及びドライブの性能を保証することができる。
【0089】
図10は、本発明を目標回転速度が5400RPMである場合に適用した例を示すグラフである。
【0090】
図10は、時間によるディスク回転速度(RPM)の変化を示す。最初のスピンアップ時に回転速度が目標回転速度である5400RPMに達するが、−30℃のような極低温では、最大4400RPMまでしか達しない。また、ディスクが4400RPMで回転すれば、ヘッドがディスクの表面から十分に浮き上がる。したがって、ドライブは、ディスクを4400RPMで回転させ続け、5400RPMまでのスピンアップは保留する。時間が経過して、ディスクを4400RPMで回転させた時点から1時間40分となる時点でスピンドルモータの駆動電流が基準値以下となれば、目標回転速度である5400RPMまでスピンアップを試みる(1000)。しかし、かえってドライブの温度がさらに下降して、維持していた4400RPMまでも維持し難くなれば、ドライブの駆動を中止する(1010)。
【0091】
このとき、本実施形態では、設計の単純化のために、ドライブの駆動中の回転速度の変化によるリード/ライトタイミング制御を含まないので、目標回転速度を転換するためには、一旦スピンダウンさせてあらゆる設定を初期化し、目標回転速度を他の値に変更させた後、変更された回転速度にスピンアップする過程を経る。図10には、このように回転速度変更時に急激に回転速度が減速する過程が示されている。
【0092】
以上説明したように本発明によれば、ディスクドライブが極低温状態にあるか否かを、温度センサを利用せずに駆動電流により容易に感知することができる。また、ディスクドライブが極低温状態にある場合であっても、段階的なスピンアップ過程を通じて正常なスピンアップを実行できる。具体的には、ドライブが極低温状態にあるときは低い回転速度でドライブを動作させ、動作中の熱発生などその他の原因によりドライブの温度が上昇すれば、設計時に目標とした回転速度にスピンアップさせる。これにより、ディスクドライブの正常動作及び信頼性を保証することができ、極低温状態でのディスクドライブの正常動作のために、過度な駆動電流を必要としない。さらに、ドライブを大幅に設計変更することなく、低コストで周囲温度の変化によるディスク回転速度の転換が可能である。
【0093】
ディスクドライブの回転制御方法をコンピュータで実行させるためのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0094】
本発明は、ソフトウェアを通じて実行されてもよい。ソフトウェアで実行されるとき、本発明の構成手段は、必要な作業を実行するコードセグメントである。プログラムまたはコードセグメントは、プロセッサで読み取り可能な媒体に保存されるか、または伝送媒体または通信網で搬送波と結合されたコンピュータデータ信号により伝送されてもよい。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、HDDを含む多様なディスクドライブ関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態にかかるHDDの構成を示す図面である。
【図2】低温状態のドライブで到達可能な回転速度を示すグラフである。
【図3】常温状態のドライブで到達可能な回転速度を示すグラフである。
【図4】ドライブの温度による到達可能な最高回転速度を示すグラフである。
【図5】スピンドルモータのFDB粘性の温度特性を示すグラフである。
【図6】スピンドルモータに印加される駆動電流と温度との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態によるディスクドライブのモータ回転制御装置のブロック図である。
【図8】本発明の実施形態によるディスクドライブのモータ回転制御方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の望ましい実施形態によるディスクドライブのモータ回転制御方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明を目標回転速度が5400RPMである場合に適用した例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
100 HDD
110 スピンドルモータ
120 ディスク
130 ヘッド
131 スライダ
132 HGA
140 アクチュエータアーム
141 ボイスコイル
142 VCM
150 マグネチックアセンブリ
160 軸受アセンブリ
170 トラック
700 スピンアップ制御部
710 基準値保存部
720 駆動電流検出部
730 回転速度検出部
740 モータ駆動部
750 スピンドルモータ
760 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクドライブの駆動時にスピンアップを行い、ディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であるか否かを判断するステップと;
前記ディスクの回転速度が、前記目標回転速度未満であれば、前記ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換して前記ディスクを所定の低速回転速度で回転させるステップと;
前記低速回転速度で回転中に、ディスク回転駆動電流が所定の電流基準値以下に低下した場合、前記ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換して前記ディスクを前記目標回転速度までスピンアップするステップと;
を含むことを特徴とする、ディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項2】
前記ディスクの回転速度が前記目標回転速度未満であるか否かを判断するステップは、
前記ディスクドライブの駆動開始時に、スピンアップを行い、前記ディスクの回転速度が前記目標回転速度未満であるか否かを判断する過程を、所定の反復回数反復することを特徴とする、請求項1に記載のディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項3】
前記反復回数は、3回以上であることを特徴とする、請求項2に記載のディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項4】
前記低速回転速度は、前記ディスクドライブのヘッドが前記ディスクの表面から正常に浮上していると判断されるのに必要な最低回転速度である第1低速回転速度であって、
前記ディスクの回転速度が前記目標回転速度未満であるか否かを判断するステップは、
前記ディスクの回転速度が、前記第1低速回転速度未満であれば、前記ディスクドライブが動作不能であると判断し、前記ディスクドライブの駆動を中止するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3に記載のディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項5】
前記低速回転速度で回転させるステップは、
前記低速回転速度を、前記第1低速回転速度と、前記第1低速回転速度よりも速い第2低速回転速度とに区分し、前記ディスクの回転速度が、前記目標回転速度未満であり、かつ、前記第2低速回転速度以上であれば、第2低速回転モードに転換して前記ディスクを前記第2低速回転速度で回転させるステップと、
前記ディスクの回転速度が、前記第2低速回転速度未満であり、かつ、前記第1低速回転速度以上であれば、第1低速回転モードに転換して前記ディスクを前記第1低速回転速度で回転させるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載のディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項6】
前記第1低速回転速度で回転させるステップは、
前記第1低速回転速度で前記ディスクを回転させた後、ディスク回転駆動電流が所定の第2電流基準値以下に低下した場合、前記ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、前記第2低速回転モードに転換して前記ディスクを前記第2低速回転速度までスピンアップすることを特徴とする、請求項5に記載のディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項7】
前記低速回転速度は、前記ディスクドライブのヘッドが前記ディスクの表面から正常に浮上していると判断されるのに必要な最低回転速度であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項8】
ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記スピンドルモータを所定の回転速度で動作させるモータ駆動部と、を備えるディスクドライブの制御装置において:
前記スピンドルモータにより回転される前記ディスクの回転速度を検出する回転速度検出部と;
前記スピンドルモータに印加される駆動電流を検出する駆動電流検出部と;
前記ディスクドライブの所定の目標回転速度、所定の低速回転速度及び所定の電流基準値を保存する基準値保存部と;
前記モータ駆動部へ前記目標回転速度までスピンアップする信号を伝送し、前記回転速度検出部から検出された前記ディスクの回転速度が、前記目標回転速度未満であれば、前記ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換して前記モータ駆動部へ前記低速回転速度で回転させる信号を伝送し、前記低速回転速度で回転中に前記駆動電流検出部で検出された駆動電流が前記電流基準値以下に低下した場合、前記ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換して前記モータ駆動部へ前記目標回転速度までスピンアップする信号を伝送するスピンアップ制御部と;
を備えることを特徴とする、ディスクドライブのモータ回転制御装置。
【請求項9】
前記スピンアップ制御部は、
前記ディスクドライブの駆動開始時に、前記モータ駆動部へ前記目標回転速度までスピンアップする信号を伝送し、前記回転速度検出部から検出された前記ディスクの回転速度が、前記目標回転速度未満であるか否かを判断する過程を、所定の反復回数反復することを特徴とする、請求項8に記載のディスクドライブのモータ回転制御装置。
【請求項10】
前記反復回数は、3回以上であることを特徴とする、請求項9に記載のディスクドライブのモータ回転制御装置。
【請求項11】
前記基準値保存部は、
前記ディスクドライブのヘッドが前記ディスクの表面から正常に浮上していると判断されるのに必要な最低回転速度である第1低速回転速度を保存し、
前記スピンアップ制御部は、
前記回転速度検出部から検出された前記ディスクの回転速度が、前記第1低速回転速度未満であれば、前記ディスクドライブが動作不能であると判断し、前記モータ駆動部へ前記スピンドルモータの動作を中止させる信号を伝送することを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載のディスクドライブのモータ回転制御装置。
【請求項12】
前記基準値保存部は、
前記低速回転速度の値として、前記第1低速回転速度と、前記第1低速回転速度より速い第2低速回転速度とを保存し、
前記スピンアップ制御部は、
前記回転速度検出部から検出された前記ディスクの回転速度が、前記目標回転速度未満であり、かつ前記第2低速回転速度以上であれば、第2低速回転モードに転換して前記モータ駆動部へ前記第2低速回転速度で回転させる信号を伝送し、
前記回転速度検出部から検出された前記ディスクの回転速度が、前記第2低速回転速度未満であり、かつ前記第1低速回転速度以上であれば、第1低速回転モードに転換して前記モータ駆動部へ前記第1低速回転速度で回転させる信号を伝送することを特徴とする、請求項11に記載のディスクドライブのモータ回転制御装置。
【請求項13】
前記スピンアップ制御部は、
前記第1低速回転速度で前記ディスクを回転させた後、前記駆動電流検出部から検出された駆動電流が所定の第2電流基準値以下に低下した場合、前記ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、前記第2低速回転モードに転換して、前記モータ駆動部へ前記第2低速回転速度までスピンアップさせる信号を伝送することを特徴とする、請求項12に記載のディスクドライブのモータ回転制御装置。
【請求項14】
前記低速回転速度は、前記ディスクドライブのヘッドが前記ディスクの表面から正常に浮上していると判断されるのに必要な最低回転速度であることを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載のディスクドライブのモータ回転制御装置。
【請求項15】
ディスクドライブに用いられる流体動圧軸受において使用される流体の粘度である流体動圧軸受粘度が、正常な動作温度に基づいた臨界レベルを超えるか否かを判断するステップと;
前記流体動圧軸受粘度が前記臨界レベルを超える場合に、低速モードによって低い回転速度でディスクを回転させ、前記ディスクドライブを予熱させるステップと;
前記ディスクドライブを予熱させる間に、前記ディスクを回転させるスピンドルモータに印加される駆動電流が基準電流値より小さいか否かを判断するステップと;
前記駆動電流が基準電流値より小さい場合に、高速モードに変更して目標回転速度に達するまで前記ディスクの回転速度を上昇させるステップと;
を含むことを特徴とする、ディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項16】
前記流体動圧軸受粘度が前記臨界レベルを超えるか否かを判断するステップは、
前記ディスクをスピンアップさせて前記スピンドルモータの回転速度を前記目標回転速度まで上昇させるステップと;
前記スピンドルモータの回転速度が、前記目標回転速度に達するか否かを判断するステップと;
前記スピンドルモータの回転速度が、前記目標回転速度に達しない場合に、前記流体動圧軸受粘度が前記臨界レベルを超えると判定するステップと;
を含むことを特徴とする、請求項15に記載のディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項17】
前記流体動圧軸受粘度が前記臨界レベルを超えるか否かを判断するステップは、
前記ディスクドライブが初期化されるか、または前記ディスクドライブの動作中に周囲の温度が変化するときに実行されることを特徴とする、請求項15または16のいずれかに記載のディスクドライブのモータ回転制御方法。
【請求項18】
情報を保存するディスクと;
前記ディスクを回転させるスピンドルモータと;
前記スピンドルモータにより回転される前記ディスクの回転速度を検出する回転速度検出部と;
前記スピンドルモータに印加される駆動電流を検出する駆動電流検出部と;
ディスクドライブの所定の目標回転速度、所定の低速回転速度、及び所定の電流基準値を保存する基準値保存部と;
前記モータ駆動部へ所定の目標回転速度までスピンアップする信号を伝送し、前記回転速度検出部から検出された前記ディスクの回転速度が前記目標回転速度未満であれば、前記ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換して前記モータ駆動部へ前記低速回転速度で回転させる信号を伝送し、前記低速回転速度で回転中に前記駆動電流検出部で検出された駆動電流が前記電流基準値以下に低下した場合、前記ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換して前記モータ駆動部へ前記目標回転速度までスピンアップする信号を伝送するスピンアップ制御部と;
を備えることを特徴とする、ディスクドライブ。
【請求項19】
ディスクドライブの駆動時にスピンアップを行い、ディスクの回転速度が所定の目標回転速度未満であるか否かを判断するステップと;
前記ディスクの回転速度が前記目標回転速度未満であれば、前記ディスクドライブが低温状態にあると判断し、低速回転モードに転換して前記ディスクを所定の低速回転速度で回転させるステップと;
前記低速回転速度で回転中に、ディスク回転駆動電流が所定の電流基準値以下に低下した場合、前記ディスクドライブの温度が上昇したと判断し、高速回転モードに転換して前記ディスクを前記目標回転速度までスピンアップするステップと;
を含むディスクドライブのモータ回転制御方法を実行させる命令を処理するようにコーディングされた情報が記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
ディスクドライブに用いられる流体動圧軸受において使用される流体の粘度である流体動圧軸受粘度が、正常な動作温度に基づいた臨界レベルを超えるか否かを判断するステップと;
前記流体動圧軸受粘度が前記臨界レベルを超える場合に、低速モードによって低い回転速度でディスクを回転させ、前記ディスクドライブを予熱させるステップと;
前記ディスクドライブを予熱させる間に、前記ディスクを回転させるスピンドルモータに印加される駆動電流が基準電流値より小さいか否かを判断するステップと;
前記駆動電流が基準電流値より小さい場合に、高速モードに変更して目標回転速度に達するまで前記ディスクの回転速度を上昇させるステップと;
を含むディスクドライブのモータ回転制御方法を実行させる命令を処理するようにコーディングされた情報が記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−87576(P2007−87576A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257980(P2006−257980)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】