ディスクドライブ装置及び電子機器
【課題】最適な排出量にてディスク排出を行う。
【解決手段】大径ディスク3aを排出する大径ディスク3a排出位置と、小径ディスク3bを排出する小径ディスク3b排出位置とに亘って回動され、大径ディスク3a及び小径ディスク3bの外周に当接されるアーム12,13と、アーム12,13に回動自在に取り付けられた係止部材14と、係止部材14の移動領域に進退可能に設けられ、係止部材14と係脱可能に形成されたストッパ15とを備え、係止部材14がストッパ15に係止されることによりアーム12,13が大径ディスク3a排出位置まで回動可能となり、係止部材14がストッパ15に係止されないことによりアーム12,13が小径ディスク3b排出位置まで回動可能とされる。
【解決手段】大径ディスク3aを排出する大径ディスク3a排出位置と、小径ディスク3bを排出する小径ディスク3b排出位置とに亘って回動され、大径ディスク3a及び小径ディスク3bの外周に当接されるアーム12,13と、アーム12,13に回動自在に取り付けられた係止部材14と、係止部材14の移動領域に進退可能に設けられ、係止部材14と係脱可能に形成されたストッパ15とを備え、係止部材14がストッパ15に係止されることによりアーム12,13が大径ディスク3a排出位置まで回動可能となり、係止部材14がストッパ15に係止されないことによりアーム12,13が小径ディスク3b排出位置まで回動可能とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを駆動するディスクドライブ装置に関し、特に、径の異なるディスクを、それぞれ最適な排出位置に搬送するディスクドライブ装置及びこれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学ディスクとしては、従来よりCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc)といった光ディスク、MO(Magneto optical)やMD(Mini Disk)等の光磁気ディスクが広く知られており、これらディスクやディスクカートリッジ等に対応した各種のディスクドライブ装置が登場している。
【0003】
ディスクドライブ装置には、筐体に設けられた蓋や扉を開放し、そこから臨むターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ、筐体から水平方向に出し入れされるディスクトレイにディスクを載置することで、ディスクトレイが引き込まれた際にディスクが内部のターンテーブルに自動的に装着されるタイプ、或いはこのディスクトレイに設けられたターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ等がある。しかしながら、何れのタイプも操作者にとって、蓋や扉を開閉したり、ディスクトレイを出し入れしたり、ターンテーブルにディスクを装着したりといった操作を必要とする。
【0004】
これに対して、筐体の前面に設けられたディスク挿脱口からディスクを挿入するだけでディスクが自動的にターンテーブルに装着される、いわゆるスロットイン型のディスクドライブ装置がある。このディスクドライブ装置では、ディスク挿脱口からディスクが挿入されると、互いに対向する一対のガイドローラの間にディスクを挟み込みながら、これら一対のガイドローラを互いに逆向きに回転させることによって、ディスク挿脱口から挿入されたディスクを筐体の内部へと引き込むローディング動作と、このディスク挿脱口からディスクを筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行うものがある。
【0005】
また、スロットイン型のディスクドライブ装置には、ディスク挿脱口から挿入されたディスクと、このディスクが装着されるターンテーブルが取り付けられたベースとの間に複数の回動アームを配置し、これら回動アームをコイルバネ等の付勢部材を用いて当該ディスクと平行な面内で回動させながら、ディスクをディスク挿脱口から筐体の内部へと引き込むローディング動作と、ディスクをディスク挿脱口から筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行うディスクドライブ装置も提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0006】
ところで、この種のディスクドライブ装置においては、例えば直径12cmの大径ディスクと直径8cmの小径ディスクとでは、装置本体のディスク挿脱口からの排出量が異なっており、何れのディスクを排出する場合にも、ディスクの中心孔がディスク挿脱口より外方に排出され、かつディスク自体はディスク挿脱口より脱落しないことが求められる。
【0007】
しかし、このディスクドライブ装置は、ディスクの排出を回動アームを回動付勢するコイルバネ等の付勢部材によるバネ力のみを用いて行うため、大径ディスクと小径ディスクとで、付勢部材のバネ力を制御することができず、各ディスクにおいて最適な排出量とすることが困難であった。
【0008】
また、ディスクの排出位置のばらつきを解消するため、ディスク挿脱口の内周面等に不織布を貼着し、ディスクと不織布との摺動摩擦を利用して所望の排出位置に保持する方法も提案されている。
【0009】
しかし、不織布はディスクドライブ装置の置かれる環境、例えば温度や湿度等によって摩擦力にばらつきが生じ、また経年劣化によっても摩擦力が変化するため、安定してディスクを所望の位置に排出させることが困難となる。
【0010】
【特許文献1】特開2007−335065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は外径の異なる複数種類の光ディスクに対応したディスクドライブ装置において、ディスク外径に応じた最適な排出量にてディスク排出を行うことができるディスクドライブ装置及びこのディスクドライブ装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明に係るディスクドライブ装置は、大径ディスクを排出する大径ディスク排出位置と、小径ディスクを排出する小径ディスク排出位置とに亘って回動され、上記大径ディスク及び小径ディスクの外周に当接されるアームと、上記アームに回動自在に取り付けられた係止部材と、上記係止部材の移動領域に進退可能に設けられ、上記係止部材と係脱可能に形成されたストッパとを備え、上記係止部材が上記ストッパに係止されることにより上記アームが上記大径ディスク排出位置まで回動可能となり、上記係止部材が上記ストッパに係止されないことにより上記アームが上記小径ディスク排出位置まで回動可能とされるものである。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、大径ディスクを排出する大径ディスク排出位置と、小径ディスクを排出する小径ディスク排出位置とに亘って回動され、上記大径ディスク及び小径ディスクの外周に当接されるアームと、上記アームに回動自在に取り付けられた係止部材と、上記係止部材の移動領域に進退可能に設けられ、上記係止部材と係脱可能に形成されたストッパとを備え、上記係止部材が上記ストッパに係止されることにより上記アームが上記大径ディスク排出位置まで回動可能となり、上記係止部材が上記ストッパに係止されないことにより上記アームが上記小径ディスク排出位置まで回動可能とされるディスクドライブ装置が内蔵されたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大径ディスク及び小径ディスクの排出を行うアームの回動領域を、アームに回動自在に取り付けられた係止部材とストッパとの係脱によって規制することにより、ディスクの径に応じた最適な排出位置まで回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明が適用されたディスクドライブ装置及び電子機器について、図面を参照しながら詳細に説明する。このディスクドライブ装置1は、音楽データ、映像データ等の各種データが記録されたCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc)といった光ディスク3の記録再生装置である。ディスクドライブ装置1は、テレビと接続され光ディスクを記録媒体として用いるディスク記録再生機、ゲーム機、コンピュータ、車載用カーオーディオ/ナビゲーションシステム等のあらゆる電子機器に用いられるものである。ディスクドライブ装置1は、例えば直径約12cmの大径ディスクと、直径約8cmの小径ディスクに対応可能とされ、これら大小のディスクを装置本体2の正面2aに設けられたディスク挿脱口8から挿入するだけでディスクが自動的にローディングされる、いわゆるスロットイン型のディスクドライブ装置である。
【0016】
図1に示すように、装置本体2は、略矩形状に形成され上方が開放されたた下部ケース4と、下部ケース4を閉塞する上部カバー5とが突き合わされることにより形成される。装置本体2は、光ディスク3を装置本体2の内外に亘って搬送するディスク搬送機構6と、光ディスク3に対して情報信号の書き込みや読み出しを行う光ピックアップ機構7とが配設されている。
【0017】
また装置本体2は、正面2aに光ディスク3が挿脱されるディスク挿脱口8が形成されている。ディスク挿脱口8は、大径ディスク3aが挿入可能な幅で形成されている。ディスクドライブ装置1は、ユーザによってディスク挿脱口8より光ディスク3が挿入されると、ディスク搬送機構6によって光ディスク3を引き込み、光ピックアップ機構7に装着する。また、ディスクドライブ装置1は、ユーザによってディスクの排出操作がなされると、ディスク搬送機構6によって光ディスク3がディスク挿脱口8より排出される。
【0018】
このとき、ディスクドライブ装置1は、大径ディスク3a又は小径ディスク3bに応じて排出位置を変え、何れの光ディスク3が搬送する場合にも、光ディスク3の中心孔がディスク挿脱口8より外部に臨まされる最適位置まで搬送し、保持する。したがって、ユーザは、光ディスク3の中心孔と外周部を摘むことで把持することができ、信号記録面に触れることなく光ディスクを扱うことができる。
【0019】
次いで、かかる光ディスク3の挿排出を行うディスク搬送機構6について説明する。ディスク搬送機構6は、光ディスク3を引き込み及び排出を行うディスク挿排出ユニット10と、ディスク挿排出ユニット10によって引き込まれた光ディスクを光ピックアップ機構7のターンテーブル113に装着させるディスクチャッキングユニット80と、ディスクチャッキングユニット80の各種アームを稼働させるとともに光ピックアップ機構7を昇降させるスライダーユニット100と、これら各ユニットに駆動力を伝達するギヤユニット60を備える。
【0020】
図2、図3及び図4に示すように、ディスク挿排出ユニット10は、ディスク挿脱口8より光ディスク3が挿入されると、装置本体2の内部に光ディスク3を引き込み、また光ディスク3をディスク挿脱口8より中心孔が臨まされる最適位置まで排出するものである。ディスク挿排出ユニット10は、装置本体2の正面2a側に設けられ、ディスク挿脱口8の下面と略面一に支持されるベース板11と、ベース板11に回動自在に設けられた左右一対の搬送アーム12,13と、搬送アーム12,13にそれぞれ回動自在に支持された係止部材14,14と、各係止部材14,14を係止することにより搬送アーム12,13の回動を規制するストッパ15,15と、搬送アーム12,13の先端に設けられた搬送ローラ16,16と、搬送アーム12,13を一体に回動させるタイミング部材17,18とを備える。
【0021】
ベース板11は、装置本体2の幅と略同一幅を有する矩形状をなし、装置本体2の下部ケース4に取り付けられている。ベース板11は、装置本体2の背面2b側の後側縁に、搬送ローラ16,16の回動領域に沿って湾曲するローラガイド部19と、後述するタイミング部材17,18を支持するギヤ支持部20とが形成されている。ローラガイド部19は、左右一対の搬送アーム12,13に対応して、ベース板11の後側縁に左右両側から中央にかけて形成されている。ギヤ支持部20は、両ローラガイド部19,19間に張り出し形成されている。
【0022】
ローラガイド部19は、後述する搬送アーム12,13をベース板11に対して回動可能に支持するものであり、搬送アーム12,13の回動領域に応じてベース板11の両側から略中央部にかけて円弧状に張り出し形成された第1のガイド片19aが形成されている。第1のガイド片19aは、搬送アーム12,13に突接された第1の摺動片35aが摺動可能に係止されている。
【0023】
また第1のガイド片19aは、ベース板11の中央側端部に、第1の摺動片35aが当接することにより、搬送アーム12,13の排出方向への回動範囲を規制する回動規制壁19bが形成されている。搬送アーム12,13は、第1の摺動壁35aが回動規制壁19bに当接するまで回動することにより、搬送アーム12,13に設けられた搬送ローラ16,16によって、小径ディスク3bを所定の排出位置まで搬送する。
【0024】
また、第1のガイド片19aは、ベース板11の左右両側面側の端部に、搬送アーム12,13が最もディスク挿入方向へ回動された回動位置において、第1の摺動片35aが当接する壁部19cが形成されている。搬送アーム12,13は、第1の摺動片35aが壁部19cに当接するまで回動されると、搬送ローラ16,16が光ディスク3の外周面から離間し、回転自在とする。
【0025】
一対のローラガイド部19,19間に設けられたギヤ支持部20は、ベース板11の下面側に支持されている左右一対の搬送アーム12,13を同期して回動させる一対のタイミング部材17,18が取り付けられている。ギヤ支持部20は、タイミング部材17,18にそれぞれ設けられるタイミングギヤ41が回転可能に支持されている。
【0026】
また、ベース板11は、ローラガイド部19に隣接して、係止部材14の係止ピン51が挿通する挿通口21が形成されている。挿通口21は、ベース板11の左右両側面側に向かって形成されたガイド溝部22と、ガイド溝部22と連続され係止部材14の移動軌跡をストッパ15と係止可能な領域から逸らす退避部23とを有する。ガイド溝部22は、搬送アーム12,13のディスク挿入方向への回動にともなって回動する係止ピン51の回動領域に亘って、ベース板11の略中央から両側面側に向かって円弧状に形成されている。退避部23は、搬送アーム12,13に突設された第2の摺動片35bが摺動する第2のガイド片23aが形成されている。第2のガイド片23aは、上記第1のガイド片19aとともに、搬送アーム12,13を支持するものであり、第2の摺動片35bの回動領域に亘って形成されている。
【0027】
また、ベース板11は、ガイド溝部22に沿って、ストッパ15を回動可能に支持する凹面部26が形成されている。凹面部26は、ベース板11の中央部よりにガイド溝部22に沿って形成されている。凹面部26は、ストッパ15が係合可能とされ、これによりストッパ15をガイド溝部22から退避させる。また、凹面部26は、ストッパ15のガイド溝部22側への回動範囲を規制する係止凹部26aが形成されている。
【0028】
凹面部26に進退可能に支持されるストッパ15は、係止部材14の係止ピン51を係止することにより、搬送アーム12,13の回動領域を大径ディスク3aの排出位置までに規制するものである。ストッパ15は、断面コ字状に形成され、開放端面よりガイド溝部22に沿って形成された凹面部26に係合されている。ストッパ15は、ベース板11の中央部側の基端が凹面部26に回動可能に支持されるとともに捩りコイルバネ27が係止されることにより、ベース板11の両側面側の先端が凹面部26よりガイド溝部22に突出する図5矢印A方向へ回動付勢されている。ストッパ15は、一端側に設けられた鉤部28が凹面部26に設けられた係止凹部26aに係止されることにより回動領域が規制される。
【0029】
かかるストッパ15は、捩りコイルバネ27に回動付勢されるとともに、係止凹部26aによって回動位置が規制されることにより、常時、先端がガイド溝部22側に突出し、係止ピン51と係止可能とされている。このとき、ストッパ15と退避部23との間には、係止ピン51が挿通可能なクリアランスCが設けられる。
【0030】
そしてストッパ15は、大径ディスク3aが挿入される際には、大径ディスク3aの外周に押圧された係止ピン51が基端側から摺接することにより、反矢印A方向へ回動され凹面部26に係合し、ガイド溝部22から退避する。
【0031】
ストッパ15は、大径ディスク3aが排出されると、図5に示すように、大径ディスク3aの外周面に当接することによりクリアランスC側への回動が規制された係止ピン51が先端に係止する。これにより搬送アーム12,13の回動を規制し、大径ディスク3aの排出位置に搬送アーム12,13を保持する。一方、ストッパ15は、小径ディスク3bが排出されると、図19に示すように、小径ディスク3bの外周面に係止ピン51が当接せず、クリアランスCを通過してガイド溝部22から退避部23へと移動することから、係止ピン51が先端に係止されず、搬送アーム12,13の回動を規制することなく、小径ディスク3bの排出位置まで回動させる。
【0032】
かかるベース板11には、下面側に、左右一対の搬送アーム12,13と、左右一対のタイミング部材17,18とが回動自在に支持されている。各搬送アーム12,13は、アーム本体30を有し、このアーム本体30に、搬送ローラ16と、タイミング部材17又はタイミング部材18と、ギヤユニット60からの駆動力を伝達する伝達ギヤ列31とが配設されている。アーム本体30は、一端に下部ケース4に配設されたシャフトギヤ68が挿通するギヤ孔32が形成されている。またアーム本体30は、ギヤ孔32近傍に、ギヤ孔32に挿通されたシャフトギヤ68と咬合する伝達ギヤ列31が支持される複数の支持凸部33が突設されている。支持凸部33の一には、後述する係止部材14に係止するフック部33aが形成されている。さらにアーム本体30は、ベース板11に形成された第1のガイド片19a及び第2のガイド片23aに摺動可能に係止する第1、第2の摺動片35a,35bが突設されている。
【0033】
そしてアーム本体30は、ギヤ孔32がベース板11の下面に突設された円弧状の回転支持壁39に挿通されるとともに、第1、第2の摺動片35a,35bがベース板11の第1のガイド片19a及び第2のガイド片23aにそれぞれ係止することにより、ベース板11に回動可能に係止される。アーム本体30の回動領域は、上述したローラガイド部19によって、ディスク挿入方向及び排出方向とも規制されている。
【0034】
アーム本体30は、他端側に搬送ローラ16を回転自在に支持するローラ支持部34が形成されている。ローラ支持部34は、搬送ローラ16を支持する上下一対の支持片34a,34bと、アーム本体30の上方に立設された側壁34cとを有する。
【0035】
上側の支持片34aは、光ディスク3の上面をガイドするガイドリブ36が形成されている。ガイドリブ36は、アーム本体30が排出方向に回動されたとき、ディスク挿脱口10に向けられ、搬送ローラ16の高さ方向の略中央に光ディスク3の外周が当接するように、光ディスク3の上面をガイドする。これによりガイドリブ36は、光ディスク3が傾いて挿入され上部カバー5に衝突することを防止する。
【0036】
支持片34a,34bに支持される搬送ローラ16は、ゴム等の摩擦係数の大きい材料からなる略鼓形状をなし、上下方向に亘って支軸が挿通されている。そして搬送ローラ16は、支軸が支持片34a,34bに支持されることにより回転自在に支持される。また、搬送ローラ16は、下側に伝達ギヤ列31と咬合するローラギヤ37が一体に設けられ、伝達ギヤ列31を介してギヤユニット60の駆動力が伝達される。
【0037】
かかる搬送ローラ16は、搬送アーム12,13とともに回動されることにより、光ディスク3の外周を両側から挟持する。そして搬送ローラ16は、ギヤユニット60を介して駆動モータ61の駆動力が伝達されることにより一方又は他方に回転駆動され、回転方向に応じて光ディスク3を挿入方向あるいは排出方向へ搬送する。
【0038】
搬送ローラ16のローラギヤ37と咬合される伝達ギヤ列31は、アーム本体30に支持されることにより、ギヤ孔32に一端が臨まされ、ギヤ孔32に挿通されたシャフトギヤ68と咬合されている。
【0039】
第1、第2の摺動片35a,35bは、ベース板11に設けられた第1、第2のガイド片19a,23aに摺動可能に係止されることにより、搬送アーム12,13の安定した回動をサポートするものである。第1、第2の摺動片35a,35bは、第1、第2のガイド片19a,23aに対応する位置に立設され、先端が鉤状に形成されている。
【0040】
なお、アーム本体30には、タイミング部材17,18のタイミングアーム40に突設された支持凸部42が摺動するアーム溝38が形成されている。アーム溝38は、搬送アーム12,13の回動にともなってタイミングアーム40の支持凸部42が摺動する。
【0041】
また、搬送アーム12のアーム本体30は、後述するスライダーユニット100のメインスライダー101によって押圧されるリリースピン49が突設されている。搬送アーム12は、光ディスク3がチャッキングされた後、メインスライダー101によってリリースピン49が押圧されることにより、さらにディスク挿入方向へ回動され、搬送ローラ16が光ディスク3の外周面から離間する。また、搬送アーム12がメインスライダー101によって回動されることにより、搬送アーム13もタイミング部材17,18によってディスク挿入方向へ回動され、搬送ローラ16が光ディスク3の外周面から離間する。これにより搬送アーム12,13は、光ディスク3をリリースして回転可能とする。
【0042】
左右一対の搬送アーム12,13とベース板11との間には、左右一対の搬送アーム12,13が一体に同期して回動させるタイミング部材17,18が設けられている。タイミング部材17,18は、アーム本体30にそれぞれ支持されたタイミングアーム40と、タイミングアーム40の先端に回動自在に支持されたタイミングギヤ41とを備える。タイミング部材17,18は、アーム本体30にタイミングアーム40の一端が回転自在に取り付けられるとともに、他端にタイミングギヤ41が一体に取り付けられ、両タイミングギヤ41,41が咬合されている。またタイミング部材17は、ベース板11の左側面側に支持された搬送アーム12に設けられ、タイミング部材18は、ベース板11の右側面側に支持された搬送アーム13に設けられている。
【0043】
タイミングアーム40は、搬送アーム12,13とともに回動するときに、ベース板11より露出しない所定の折り曲げ形状を有する。タイミングアーム40は、一端にアーム本体30のアーム溝38に係合する支持凸部42が形成され、円盤状の他端にタイミングギヤ41が嵌合する嵌合孔43と支軸44が挿通する軸孔45とが形成されている。タイミングギヤ41は、外周部にギヤ歯が形成されるとともに、主面部にタイミングアーム40の他端に形成された嵌合孔43に嵌合する嵌合凸部46と、支軸44が挿通する軸孔47とが形成されている。
【0044】
そして、タイミング部材17,18は、タイミングアーム40の嵌合孔43にタイミングギヤ41の嵌合凸部46が嵌合することにより軸孔45,47が連続され、この軸孔45,47に支軸44が挿通されることにより、タイミングギヤ41が回転可能にベース板11のギヤ支持部20に取り付けられる。また、タイミング部材17,18は、タイミングアーム40の一端に突設された支持凸部42がそれぞれアーム本体30に形成されたアーム溝38に係合される。これによりタイミング部材17,18は、一端が搬送アーム12,13に回動自在に支持され、かつ他端がベース板11のギヤ支持部20に回転自在に取り付けられている。
【0045】
さらに、ベース板11の左側面側に取り付けられたタイミング部材17は、タイミングアーム40に捩りコイルバネ48が係止されている。捩りコイルバネ48は、アーム本体30をディスク排出方向へ回動付勢するものであり、一端をベース板11に固定され、他端をタイミング部材17のタイミングアーム40に係止されている。タイミング部材17は、捩りコイルバネ48によってタイミングアーム40がディスク排出方向へ付勢されることにより、搬送アーム12も同方向となる図5中矢印B方向へ回動される。タイミング部材17のタイミングギヤ41と咬合するタイミング部材18は、タイミング部材17のタイミングアーム40がディスク排出方向へ回動されると、同様にタイミングアーム40がディスク排出方向へ回動される。
【0046】
したがって、左右一対の搬送アーム12,13は、タイミング部材17,18によって常に一体に回動されることとなる。また搬送アーム12,13は、タイミング部材17に係止されている捩りコイルバネ48の付勢力によって常時ディスク排出方向へ付勢されているため、挿排出行程においては、搬送ローラ16,16が常に光ディスク3の外周に当接されている。なお、捩りコイルバネ48による付勢力は光ディスク3の外周部に搬送アーム12,13の搬送ローラ16,16を当接させるようにアーム本体30を回動させるのに十分な付勢力を有していればよく、ユーザによる光ディスク3の挿入を妨げるものではない。
【0047】
次いで、搬送アーム12,13の回動領域を規制する係止部材14について説明する。係止部材14は、上述したストッパ15に係止されることにより大径ディスク3aの排出位置に搬送アーム12,13の回動領域を規制するものであり、アーム本体30に支持された回動板50と、ストッパ15に係止される係止ピン51とを有する。
【0048】
回動板50は、略扇形状に形成され、角部に回動中心となる支持孔53が形成されている。回動板50は、支持孔53が、アーム本体30に立設された回動支軸54に挿通されることにより、アーム本体30に回動可能に支持される。また回動板50は、回動支軸54に環状部が挿通された捩りコイルバネ55の一端が係止することにより、図5中矢印D方向へ回動付勢されている。
【0049】
また係止部材14は、回動板50の円弧状の側面部より、係止ピン51が立設されている。係止ピン51は、回動板50がアーム本体30に支持されるとともにアーム本体30がベース板11の下面側に配設されることにより、挿通口21に挿通される。そして係止ピン51は、光ディスク3の挿排出行程において、搬送アーム12,13のベース板11に対する回動、及び回動板50のアーム本体30に対する回動に応じて、挿通口21のガイド溝部22と退避部23とに亘って移動する。
【0050】
具体的に、係止ピン51は、大径ディスク3aの排出時に、大径ディスク3aの外周に当接されることにより捩りコイルバネ55の付勢力による回動板50の矢印D方向への回動が規制され、ストッパ15の先端に係止される。一方、係止ピン51は、小径ディスク3bの排出時には小径ディスク3bの外周に当接しないため、捩りコイルバネ55の付勢力によって回動板50が回動されることにより、ストッパ15の先端と挿通口21とのクリアランスCを通過して退避部23に移動され、ストッパ15の先端に係止することがない。
【0051】
また、回動板50には、支持孔53を中心とした同心円状に、円弧状の長孔56が形成されている。長孔56は、搬送アーム12,13の回動を規制するものであり、図6に示すように、アーム本体30に立設された支持凸部33のフック部33aがスライド可能に係止されている。
【0052】
回動板50は、長孔56が回動板50の回動中心となる支持孔53を中心とした同心円状に形成されているため、フック部33aが摺動することでアーム本体30に対する回動には支障がない。また、回動板50は、フック部33aが長孔56に係止されることにより、光ディスク3の挿入力によって係止部材14がアーム本体30に対して傾くことを防止し、アーム本体30に回動の抑制力が働くことを防止することができる。
【0053】
そして回動板50は、フック部33aが長孔56の一端56aに当接することにより、搬送アーム12,13の回動を規制することができる。すなわち、大径ディスク3aの排出工程において、係止部材14は、係止ピン51がストッパ15の先端に当接されることにより図6中矢印D方向への回動が規制される。一方、搬送アーム12,13は、捩りコイルバネ48によって同図中矢印B方向へ回動されるため、フック部33aが長孔56の一端56aに当接する。これにより、搬送アーム12,13は、矢印B方向への回動が規制され、大径ディスク3a排出位置まで回動されることとなる。
【0054】
次いで、ディスク挿排出ユニット10に駆動力を伝達するギヤユニット60について説明する。図7に示すように、ギヤユニット60は、駆動モータ61の駆動力をディスク挿排出ユニット10、ディスクチャッキングユニット80及びスライダーユニット100に伝達するものである。ギヤユニット60は、駆動モータ61のウォームと咬合するヘリカルギヤ63と、ヘリカルギヤ63と咬合する減速ギヤ65と、減速ギヤ65と咬合するスイングギヤ66と、スイングギヤ66と咬合するアイドラギヤ67と、上述した搬送アーム12,13の各伝達ギヤ列31と咬合するシャフトギヤ68L,68Rと、シャフトギヤ68L,68R間を連結するプーリ69とを備える。
【0055】
シャフトギヤ68L,68Rは、搬送アーム12,13の各アーム本体30に形成されたギヤ孔32に挿通されることにより伝達ギヤ列31と咬合され、駆動モータ61の駆動力を搬送ローラ16に伝達するものである。シャフトギヤ68L,68Rは、搬送アーム12,13に対応して装置本体2の左右両側に配設されている。装置本体2の左側面側に設けられ搬送アーム12のアーム本体30に挿通するシャフトギヤ68Lは、アーム本体30の伝達ギヤ列31と咬合する上ギヤ部68Laと、アイドラギヤ67と咬合する下ギヤ部68Lbと、プーリ69の伝達ベルト70が巻回する巻回部68Lcとを有する。また、装置本体2の右側面側に設けられ搬送アーム13のアーム本体30に挿通するシャフトギヤ68Rは、アーム本体30の伝達ギヤ列31と咬合する上ギヤ部68Raと、プーリ69のプーリギヤ71と咬合する下ギヤ部68Rbとを有する。
【0056】
プーリ69は、駆動モータ61の駆動力を一対のシャフトギヤ68L,68R間で伝達するものであり、伝達ベルト70と、搬送アーム13側のシャフトギヤ68Rと咬合するプーリギヤ71とを有する。プーリギヤ71は、伝達ベルト70が巻回する巻回部71aと、シャフトギヤ68Rの下ギヤ部68Rbと咬合する咬合部71bとを有する。伝達ベルト70は、シャフトギヤ68Lの巻回部68Lcと、プーリギヤ71の巻回部71aとの間に巻回されている。
【0057】
かかるギヤユニット60は、駆動モータ61が駆動されると、ヘリカルギヤ63、減速ギヤ65、スイングギヤ66及びアイドラギヤ67を介してシャフトギヤ68Lが回転される。シャフトギヤ68Lが回転されると、搬送アーム12の伝達ギヤ列31が回転され、搬送アーム12側の搬送ローラ16が回転駆動される。同時に、シャフトギヤ68Lが回転されることにより、伝達ベルト70を介してプーリギヤ71が回転され、プーリギヤ71と咬合するシャフトギヤ68Rが回転される。シャフトギヤ68Rが回転されると、搬送アーム13の伝達ギヤ列31が回転され、搬送アーム13側の搬送ローラ16も回転駆動される。
【0058】
ここで、ギヤユニット60は、搬送アーム12側の搬送ローラ16と、搬送アーム13側の搬送ローラ16とで、回転方向を反対にする。したがって、搬送アーム12,13は、搬送ローラ16,16が互いに反対方向に回転されることで、光ディスク3の外周面を左右両側から当接する一対の搬送ローラ16,16によって、駆動モータ61の回転方向に応じ、装置本体2の挿入方向あるいは排出方向へ搬送することができる。
【0059】
なお、スイングギヤ66は、図8に示すように、下部ケース4の底面に回転可能に取り付けられたスイングプレート74上に支持されている。そしてスイングギヤ66は、スイングプレート74が後述するスライダーユニット100のメインスライダー101によって回転されることにより、アイドラギヤ67との咬合が外れる。これによりギヤユニット60は、光ディスク3の装置本体2内への搬送が終了すると、駆動モータ61と搬送ローラ16,16とを切り離す。
【0060】
次いで、ディスク挿排出ユニット10によって引き込まれた光ディスクを光ピックアップ機構7のターンテーブル113に装着させるディスクチャッキングユニット80について説明する。ディスクチャッキングユニット80は、装置本体2の上部カバー5に形成され、後述するスライダーユニット100と連動することにより、光ディスク3をターンテーブル113とクランププレート81とで回転自在に挟持させるものである。
【0061】
図9及び図10にディスクチャッキングユニット80を示す。図9は上部カバー5を下方から示す斜視図であり、上部カバー5上に配設されたディスクチャッキングユニット80を透過して示している。また、図10は、装置本体2を上方から示す斜視図であり、上部カバー5を省略し、ディスクチャッキングユニット80及び装置本体2内部を示す。
【0062】
図9及び図10に示すように、ディスクチャッキングユニット80は、ターンテーブル113とともに光ディスク3を挟持するクランププレート81と、クランププレート81をターンテーブル113から離間させる第1、第2のチャックアーム82,83と、光ディスク3の外周面を支持するサポートアーム84と、光ディスク3の搬送を検出しスライダーユニット100を駆動させるトリガーアーム85と、トリガーアーム85をガイドするガイドアーム86と、装置本体2内に挿入された光ディスク3が大径ディスク3aか小径ディスク3bか識別するディスク識別アーム87とを有する。そして、ディスクチャッキングユニット80は、これら各種アームが上部カバー5に回動可能に取り付けられている。
【0063】
クランププレート81は、ターンテーブル113とともに光ディスク3を挟持するクランプ部81aと、上部カバー5上に延在されたフランジ部81bとを有し、クランプ部81aが上部カバー5に形成された開口を介して下部ケース4側に臨まされ、ターンテーブル113と対向されている。クランプ部81aは、マグネットが内蔵され、ターンテーブル113に磁気吸着することにより光ディスク3の中心孔周縁を挟持する。フランジ部81bは、後述する第1、第2のチャックアーム82,83が上部カバー5との間に挿入あるいは退避することによりクランプ部81aを昇降させ、これによりターンテーブル113と近接離間させる。
【0064】
第1、第2のチャックアーム82,83は、クランププレート81を昇降させるものである。第1、第2のチャックアーム82,83は、上部カバー5の上面に回動可能に取り付けられ、クランププレート81を介して左右両側に配置されている。第1、第2のチャックアーム82,83は、クランププレート81のフランジ部81bを介して対向するように、円弧状のエッジ部82a,83aが形成されている。各エッジ部82a,83aは、第1、第2のチャックアーム82,83が回動されることにより、クランププレート81のフランジ部81bと上部カバー5の上面との間に挿入可能とされている。
【0065】
第1のチャックアーム82は、上部カバー5の上面に形成された図示しない貫通孔を介して下部ケース4側に垂下する回動ピン91が形成されている。回動ピン91は、後述するサブスライダー102のガイドカムに係合し、サブスライダー102のスライドによって回動される。また、第1のチャックアーム82は、一端部に係合ピン82bが立設されている。係合ピン82bは、第2のチャックアーム83に形成された係合溝83bに挿通されている。これにより第1、第2のチャックアーム82,83は、第1のチャックアーム82が回動されると、第2のチャックアーム83も連動して回動される。
【0066】
第1のチャックアーム82は、回動ピン91がサブスライダー102のスライドに応じて回動されることによりエッジ部82aがクランププレート81のフランジ部81bと上部カバー5との間に挿入あるいは退避されるとともに、係合ピン82bによって第2のチャックアーム83を回動させ、エッジ部83aをクランププレート81のフランジ部81bと上部カバー5との間に挿入あるいは退避させる。
【0067】
サポートアーム84は、ディスク挿脱口10より挿入された光ディスク3の挿入端を支持することにより光ディスク3の挿入をガイドするものであり、上部カバー5の内面に回動可能に支持されている。サポートアーム84は、一端に略鼓形状をなすディスク支持部93が形成され、他端を上部カバー5に支持されている。またサポートアーム84は、捩りコイルバネによって常時ディスク排出方向に回動付勢されている。さらにサポートアーム84は、後述するサブスライダー102に回動操作される操作ピン92が立設されている。
【0068】
かかるサポートアーム84は、ディスク支持部93の略中央で光ディスク3の外周面を支持することにより、光ディスク3の挿入をガイドし、クランププレート81のクランプ部81aやターンテーブル113との接触を防止する。またサポートアーム84は、光ディスク3がターンテーブル113上にチャッキングされると、サブスライダー102によって操作ピン92がガイドされ、光ディスク3の外周から離間する。
【0069】
トリガーアーム85は、ガイドアーム86とともに挿入された光ディスク3の種別に応じた適切なタイミングでスライダーユニット100を駆動させるものであり、長手方向の一端をガイドアーム86に回転自在に支持され、長手方向の他端に光ディスク3の外周面が当接されるディスク当接部94が形成されている。またトリガーアーム85は、メインスライダー101の上面に形成されたカム溝に係合する押圧ピン95が立設されている。押圧ピン95は、メインスライダー101を、ギヤユニット60と咬合する装置本体2の正面2a側に押圧するものである。
【0070】
ガイドアーム86は、上部カバー5の内面に回転自在に取り付けられた板状体をなし、上部カバー5に対する回転中心と偏倚した位置にトリガーアーム85を回転自在に支持している。またガイドアーム86は、メインスライダー101の上面に形成されたカム溝に係止される係止軸が立設されている。またガイドアーム86は、外周の一部にディスク識別アーム87の回転規制部98が係脱される切り欠き部が形成されている。
【0071】
ガイドアーム86は、ディスク識別アーム87によって回動が規制されており、大径ディスク3aが挿入された場合のみディスク識別アーム87の規制が解除され、トリガーアーム85の回動に連動して回転が可能となる。そしてガイドアーム86は、トリガーアーム85が大径ディスク3aの外周面に押圧されて回動されることにより係止軸がメインスライダー101のカム溝に当接するまでトリガーアーム85と一体に回転し、図11に示すように、係止軸がカム溝の壁部に当接することにより回転が規制される。トリガーアーム85は、ガイドアーム86が回転されることにより支点が移動しながら回転されるため、メインスライダー101のカム溝に係合している押圧ピン95を支点に回転される。ガイドアーム86がメインスライダー101のカム溝に係止されて回転が規制された後、さらにトリガーアーム85が光ディスク3に押圧されると、図12に示すように、ガイドアーム86に対する支点が固定されたトリガーアーム85は、押圧ピン95がメインスライダー101のカム溝を押圧し、ギヤユニット60と咬合する装置本体2の正面2a側へスライドさせる。なお、図12では、ガイドアーム86を省略している。
【0072】
一方、ガイドアーム86は、小径ディスク3bが挿入された場合にはディスク識別アーム87によって回転が規制されている。この場合、トリガーアーム85は、ガイドアーム86に対する支点が固定された状態で光ディスク3に押圧されて回動されるため、直ちにメインスライダー101を押圧ピン95によって押圧し、装置本体2の正面2a側にスライドさせる。
【0073】
ディスク識別アーム87は、大径ディスク3aが挿入された場合にガイドアーム86の回転を許可し、ガイドアーム86が所定量回転した後、トリガーアーム85によるメインスライダー101の押圧を可能とするものであり、上部カバー5の内面に回転自在に支持されている。ディスク識別アーム87は、上部カバー5との回転支点を介した一端側に大径ディスク3aと当接する被押圧部97が形成され、回転支点を介した他端側にガイドアーム86の切り欠き部に係脱する回転規制部98が形成されている。
【0074】
かかるディスク識別アーム87は、回転支点に係止された捩りコイルバネに付勢されることにより、常時、回転規制部98がガイドアーム86に係合して回転を規制している。そしてディスク識別アーム87は、大径ディスク3aが挿入されると、被押圧部97が大径ディスク3aの外周面に押圧され、捩りコイルバネの付勢力に対抗して回転される。これによりディスク識別アーム87は、回転規制部98がガイドアーム86から外れ、ガイドアーム86を回転自在とする。一方、ディスク識別アーム87は、小径ディスク3bが挿入されると、被押圧部97が小径ディスク3bの外周面と当接せず回転されない。したがってディスク識別アーム87は、回転規制部98がガイドアーム86に係合した状態が維持される。
【0075】
次いで、スライダーユニット100について説明する。スライダーユニット100は、光ディスク3が装置本体2の所定位置まで搬送されると、後述する光ピックアップ機構7を上昇させて、ディスクチャッキングを行わせ、光ディスク3の排出時には光ピックアップ機構7を下降させて光ディスク3のチャッキングを解除させるものである。スライダーユニット100は、下部ケース4の左側面に沿って前後にスライドするメインスライダー101と、下部ケース4の右側面に沿ってスライドされるサブスライダー102と、メインスライダー101とサブスライダー102とを連結するリンクアーム103とを備える。
【0076】
メインスライダー101は、上述したギヤユニット60と咬合することにより前後にスライドするものであり、前側側面にラック部104が形成されている。またメインスライダー101は、光ピックアップ機構7と対向する側面に上下方向に亘る昇降カム溝が形成され、この昇降カム溝に光ピックアップ機構7のベースシャーシ110に突設されたガイドピンが挿通されている。さらに、メインスライダー101は、上面に、上述したトリガーアーム85、ガイドアーム86及びディスク識別アーム87より垂下された係合ピンが係合する係合カム溝が複数形成されている。
【0077】
メインスライダー101の下面には、リンクアーム103の一端に突設された係合ピンが挿通されている。リンクアーム103は、メインスライダー101のスライドに応じてサブスライダー102をスライドさせるものである。リンクアーム103は、長尺な板状体をなし、下部ケース4の下面に略中間部が回動自在に支持され、一端に突設された係合ピンがメインスライダー101の後端部に係合され、他端に突設された係合ピンがサブスライダー102の後端部に係合されている。
【0078】
そしてリンクアーム103は、メインスライダー101が装置本体2の前面側にスライドされることにより一端が前面側に回動すると、他端が背面側に回動し、サブスライダー102を背面側にスライドさせる。反対に、リンクアーム103は、メインスライダー101が装置本体2の背面側にスライドされることにより一端が背面側に回動すると、他端が前面側に回動し、サブスライダー102を前面側にスライドさせる。
【0079】
サブスライダー102は、光ピックアップ機構7と対向する側面に上下方向に亘る昇降カム溝が形成され、この昇降カム溝に光ピックアップ機構7のベースシャーシ110に突設されたガイドピンが挿通されている。また、サブスライダー102は、上面に上述した第1のチャックアーム82に形成された回動ピン91が係合するガイドカムが形成されている。
【0080】
かかるスライダーユニット100は、光ディスク3が挿入されると、ディスクチャッキングユニット80のトリガーアーム85によって、メインスライダー101が正面2a側へ押圧される。これによりメインスライダー101は、ラック部104がギヤユニット60の減速ギヤ65と咬合する駆動ギヤ105と咬合され、正面2a側にスライドする。メインスライダー101が正面2a側にスライドすることにより、リンクアーム103を介して連結されているサブスライダー102は、背面2b側へスライドする。
【0081】
スライダーユニット100は、メインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすることにより、昇降カム溝に挿通されているガイドピンをガイドして、光ピックアップ機構7のベースシャーシ110を上昇させる。また、スライダーユニット100は、サブスライダー102が背面2b側へスライドすると、ガイドカムで回動ピン91をガイドし、第1のチャックアーム82を回動し、クランププレート81から第1、第2のチャックアーム82,83を離間させる。これにより、ディスクドライブ装置1は、ベースシャーシ110のターンテーブル113が光ディスク3の中心孔に挿通するとともに、クランププレート81のクランプ部81aがターンテーブル113に磁気吸着し、光ディスク3の中心孔周縁を挟持する。
【0082】
さらに、スライダーユニット100は、メインスライダー101及びサブスライダー102の上面に形成された係合カム溝によって、光ディスク3の外周面に当接するサポートアーム84やディスク識別アーム87を光ディスク3の外周面より離間させる。また、メインスライダー101は、搬送アーム12のアーム本体30に立設されているリリースピン49を押圧することにより、搬送アーム12,13をディスク挿入方向へ回動させ、各搬送ローラ16,16を光ディスク3の外周面から離間させる。これにより、光ディスク3は、各種アーム及びローラからリリースされ、回転可能となる。
【0083】
一方、スライダーユニット100は、駆動モータ61が逆転駆動されることにより、メインスライダー101が背面2b側へスライドされ、サブスライダー102が正面2a側へスライドされる。これにより、スライダーユニット100は、第1、第2のチャックアーム82,83の各エッジ部82a,83aをフランジ部81b下部に挿入させて、クランプ部81aとターンテーブル113とを離間させる。また、スライダーユニット100は、光ピックアップ機構7のベースシャーシ110を下降させ、光ディスク3のチャッキングを解除する。さらに、スライダーユニット100は、リリースピン49への付勢を解いて搬送アーム12,13をディスク排出方向へ回動可能とし、搬送ローラ16,16を光ディスク3の外周面に当接させる。これにより光ディスク3は、搬送可能となり、ディスク挿排出ユニット10によって装置本体2外へ搬送される。
【0084】
次いで、光ディスク3に対する情報信号の書き込み及び読み出しを行う光ピックアップ機構7について説明する。光ピックアップ機構7は、下部ケース4に昇降自在に支持されたベースシャーシ110を有し、このベースシャーシ110内にベースユニット111が搭載されている。ベースユニット111は、ベースシャーシ110内に支持されたベースフレーム112と、ベースフレーム112に取り付けられたターンテーブル113と、ベースフレーム111にスライド可能に支持された光ピックアップ114とを備える。
【0085】
ベースシャーシ110は、略矩形状に形成され、底部にベースユニット111のベースフレーム112が配設されるとともに、長手方向の一端側にターンテーブル113が設けられている。ベースシャーシ110は,一端側および他端側の双方が,下部ケース4に昇降方向に設定されたカム溝にガイドされることにより昇降が可能とされている。
【0086】
またベースシャーシ110は、メインスライダー101及びサブスライダー102と対向する側壁に、ガイドピンが突設されている。そしてベースシャーシ110は、ガイドピンがメインスライダー101及びサブスライダー102の側面に形成された昇降カム溝に挿通されることにより、メインスライダー101及びサブスライダー102のスライドに応じて、下部ケース4に対して昇降される。これにより、ベースフレーム112に取り付けられたターンテーブル113は、光ディスク3の搬送領域に進退可能とされている。
【0087】
ベースユニット111は、ベースシャーシ110の底部にダンパーを介してベースフレーム112が支持されている。ベースフレーム112は、略矩形状のフレーム本体を備え、フレーム本体の略中央に光ピックアップ114がスライドするピックアップ用開口部が形成されている。またベースフレーム112は、ピックアップ用開口部に、光ピックアップ114を支持する一対のガイド軸が架設されている。さらにベースフレーム112は、光ピックアップ114を搬送するリードスクリュー及びリードスクリューを回転させるピックアップ駆動モータがガイド軸と平行に配設されている。
【0088】
一対のガイド軸に支持されている光ピックアップ114は、ピックアップベース115を有し、このピックアップベース115内に、レーザ光を出射する発光素子と、発光素子から出射されたレーザ光を光ディスク3の信号記録面に照射するとともに光ディスク3からの反射光を集光する対物レンズ116と、集光された反射光を検出する光検出器とを備える光学ブロックが組み込まれている。
【0089】
また、光ピックアップ114は、対物レンズ116を光軸方向(フォーカシング方向という。)と、光ディスク3の記録トラックと直交する方向(トラッキング方向という。)とに変位駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構を有する。そして光ピックアップ114は、光検出器により検出された光ディスク3からの検出信号に基づいて、この2軸アクチュエータにより対物レンズ116をフォーカシング方向及びトラッキング方向に変位させながら、光ディスク3の信号記録面上に対物レンズ116の焦点を合わせるフォーカスサーボや、対物レンズ116により集光される光ビームのスポットを記録トラックに追従させるトラッキングサーボ等の駆動制御を行う。なお、対物レンズ駆動機構としては、このようなフォーカシング制御及びトラッキング制御に加えて、対物レンズ116により集光された光ビームを光ディスク3の信号記録面に垂直に照射させるように、光ディスク3の信号記録面に対する対物レンズ116の傾き(スキュー)を調整可能とする3軸アクチュエータを用いてもよい。
【0090】
かかる光ピックアップ114は、対物レンズ116がターンテーブル113上に装着された光ディスク3の径方向に亘ってベースフレーム112に設けられたピックアップ用開口部よりディスク搬送領域上に臨まされている。そしてピックアップベース115は、ターンテーブル113によって回転されている光ディスク3に対して発光素子から出射された光ビームを対物レンズ116で集光して照射し、光ディスク3で反射された戻りの光ビームを光検出器で検出することによって、トラッキングサーボ、フォーカシングサーボ等の制御を行いながら光ディスク3に対してデータを書き込み、また、光ディスク3に記録されているデータの読み出しを行う。
【0091】
光ピックアップ114は、一対のガイド軸によって挿通支持される一対の支持部が形成されている。支持部は、ピックアップベース115の両側に形成され、一方に略コ字状の係止片が、他方にガイド軸が挿通する挿通口が設けられてなる。
【0092】
さらに、ピックアップベース115は、リードスクリューに係合することによりピックアップベース115をトラッキング方向に移動させるラックが取り付けられている。ピックアップベース115は、このラックがピックアップ駆動モータによって送られることにより、ガイド軸に沿ってピックアップ用開口部内を送り操作される。これにより光ピックアップ114は、ターンテーブル113に回転可能に支持されている光ディスク3のトラッキング方向に亘って移動する。
【0093】
光ディスク3をクランププレート81とともにチャッキングするターンテーブル113は、光ディスク3の中心孔周縁が載置される載置部と、載置部の中心に突設され光ディスク3の中心孔に挿通されることによりディスクセンタリングを行うセンタリング部を備える。またターンテーブル113は、下部にスピンドルモータが配設され、スピンドルモータのスピンドルに挿通固定されている。そしてターンテーブル113は、スピンドルモータの駆動によって、例えば、光ディスク3を、CLV(Constant Linear Velocity)、CAV(Constant Angular Velocity)、ZCLV(Zone Constant Linear Velocity)、ZCAV(Zone Constant Angular Velocity)等となるようなサーボ制御を行いながら回転する。
【0094】
ターンテーブル113は、ベースシャーシ110がスライダーユニット100によって昇降されることにより、光ディスク3の搬送領域上に進退可能とされている。すなわちターンテーブル113は、光ディスク3の搬送工程においては、ベースシャーシ110が下降され、光ディスク3の搬送領域上から退避されている。これによりディスク搬送機構6は、光ディスク3をターンテーブル113と衝突することなく搬送することができる。
【0095】
また、ターンテーブル113は、光ディスク3が装置本体2の所定位置まで搬送されると、ベースシャーシ110が上昇され、光ディスク3の搬送領域上に上昇する。このとき、光ディスク3の中心孔がターンテーブル113の真上に位置されているため、ターンテーブル113は、センタリング部が光ディスク3の中心孔に挿通し、センタリングが図られる。またターンテーブル113は、載置部が、第1、第2のチャックアーム82,83による係合を解かれたクランププレート81のクランプ部81aと磁気吸着されることにより、光ディスク3の中心孔周縁を回転可能に挟持する。
【0096】
そして、ターンテーブル113は、光ディスク3の排出工程おいて、ベースシャーシ110が下降されるとともに、第1、第2のチャックアーム82,83がクランププレート81のフランジ部81bに係合することによりクランプ部81aが離間されるため、光ディスク3のチャッキングを解除する。その後、光ディスク3は、ディスク搬送機構6によって装置本体2外へ排出される。
【0097】
次いで、ディスクドライブ装置1による光ディスク3の挿排出工程について説明する。光ディスク3の挿入を待機している状態において、ディスクドライブ装置1のディスク挿排出ユニット10は、搬送アーム12,13が捩りコイルバネ48によりディスク排出方向となる図5中矢印B方向へ回動付勢されるとともに、係止部材14の係止ピン51がストッパ15の先端に係止され大径ディスク3aの排出位置に停止されている。あるいは、ディスク挿排出ユニット10は、係止ピン51がストッパ15に係止されることなく、搬送アーム12,13が、第1の摺動片35aがローラガイド部19の回動規制壁19bに当接する小径ディスク3bの排出位置まで回動されている(図19)。
【0098】
また、挿入待機状態においては、スライダーユニット100のメインスライダー101は装置本体2の背面2b側にスライドされ、サブスライダー102は装置本体2の正面2a側へスライドされている。メインスライダー101は、ラック部104と駆動ギヤ105とが離間されている。また、サブスライダー102に係合する第1のチャックアーム82は、第2のチャックアーム83とともに、各エッジ部82a,83aがクランププレート81のフランジ部81bと上部カバー5との間に挿入され、クランプ部81aをターンテーブル113から離間させている。またターンテーブル113は、ベースシャーシ110が下降されることにより、光ディスク3の搬送領域上から退避されている。
【0099】
さらに、ギヤユニット60は、スイングプレート74に支持されたスイングギヤ66がアイドラギヤ67と咬合されている。スイングプレート74は、図示しない捩りコイルバネが係止されており、常時、スイングギヤ66がアイドラギヤ67と咬合する方向に回動付勢されている。
【0100】
この挿入待機状態において、大径ディスク3aが挿入されると、搬送アーム12,13は、搬送ローラ16,16が大径ディスク3aの外周部に当接され、捩りコイルバネ48の付勢力に対抗してディスク挿入方向となる図5中反矢印B方向へ回動される。このとき、図13に示すように、係止部材14の係止ピン51は、ストッパ15の先端から離間され、あるいはストッパ15の基端側から摺動してストッパ15を凹面部26に係合させながら、挿通口21のガイド溝部22へ移動する。ストッパ15は、係止ピン51が摺動したのち、捩りコイルバネ27によってガイド溝部22側に回動される。
【0101】
また、ディスクドライブ装置1は、ディスク挿脱口8の上部近傍に設けたセンサによって大径ディスク3aの挿入を検知すると、駆動モータ61が駆動され、ギヤユニット60によってシャフトギヤ68L,68Rが回転され、搬送ローラ16,16がディスク挿入方向に回転される。大径ディスク3aは、装置本体2内に挿入されていくと、外周面に当接されている搬送ローラ16,16によって引き込まれて、サポートアーム84、トリガーアーム85及びディスク識別アーム87に当接される。ディスク識別アーム87は、被押圧部97が大径ディスク3aに押圧され、背面2b方向に回動されることにより、回転規制部98がガイドアーム86から外れ、回転可能とする。トリガーアーム85は、ディスク当接部94が大径ディスク3aに押圧され、背面2b側に回動されることにより、回動規制が解除されたガイドアーム86とともに回転され、ガイドアーム86の回転がメインスライダー101によって規制された後、押圧ピン95によってメインスライダー101を正面2a側に押圧する。
【0102】
大径ディスク3aは、一対の搬送ローラ16,16にディスク挿入方向に搬送されるとともに、サポートアーム84、トリガーアーム85及びディスク識別アーム87にガイドされることにより、ターンテーブル113及びクランププレート81のクランプ部81aとの間に中心孔が位置するチャッキング位置に搬送される。
【0103】
メインスライダー101は、ガイドアーム86によって正面2a側に押圧されることにより、ラック部104が駆動ギヤ105に咬合する。駆動ギヤ105はギヤユニット60の減速ギヤ65と咬合されているため、メインスライダー101が駆動モータ61の駆動力を受けて正面2a側にスライドするとともに、リンクアーム103を介してサブスライダー102が背面2b側にスライドする。メインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすることにより、ベースシャーシ110が上昇され、ターンテーブル113のセンタリング部が大径ディスク3aの中心孔に挿入される。同時に、第1、第2のチャックアーム82,83が回動され、エッジ部82a,83aがクランププレート81のフランジ部81bの下から退避され、クランプ部81aがターンテーブル113に近接する。これにより大径ディスク3aは、ターンテーブル113とクランププレート81とにチャッキングされる。
【0104】
さらにメインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすると、ディスクチャッキングユニット80を構成するサポートアーム84、トリガーアーム85及びディスク識別アーム87が大径ディスク3aの外周面から離間するようにガイドされ、また搬送アーム12,13も、リリースピン49が押圧されることにより、ディスク挿入方向に回動され、搬送ローラ16,16が大径ディスク3aの外周面から離間する。また、メインスライダー101によってスイングプレート74が押圧され、スイングギヤ66がアイドラギヤ67と離間する方向へ回動される。
【0105】
かかる大径ディスク3aのチャッキング、及びリリースが終了すると、ディスクドライブ装置1は、駆動モータ61が停止され、大径ディスク3aの記録又は再生の操作を待機する。
【0106】
大径ディスク3aに対する情報信号の書き込みあるいは読み出しが終了し、排出操作がなされると、駆動モータ61がディスク挿入時とは逆回転で駆動される。そして、メインスライダー101が背面2b側へスライドし、またサブスライダー102が正面2a側にスライドすると、スイングプレート74が回動復帰してスイングギヤ66とアイドラギヤ67とが咬合し、駆動モータの駆動力が搬送ローラ16,16に伝達する。また、ディスクチャッキングユニット80を構成する各種アームもメインスライダー101及びサブスライダー102によるガイドが解かれ、大径ディスク3aの排出に応じて初期位置に回動復帰する。さらに、ベースシャーシ110が下降するとともに、第1、第2のチャックアーム82,83が回動され、ターンテーブル113とクランププレート81のクランプ部81aとが離間し、大径ディスク3aのチャッキングが解除される。
【0107】
搬送ローラ16,16がディスク排出方向へ回転されることにより、大径ディスク3aはディスク挿脱口8に向かって搬送される。搬送アーム12,13は、タイミング部材17,18によって常時ディスク排出方向となる矢印B方向へ回動付勢されているため、大径ディスク3aの搬送にともなって回動され、常時搬送ローラ16,16が大径ディスク3aの外周面に当接されている。
【0108】
また、搬送アーム12,13に回動可能に支持されている係止部材14は、捩りコイルバネ55に回動付勢されることにより、係止ピン51がガイド溝部22から退避部23に向かって回動される。このとき、図14に示すように、係止部材14は、係止ピン51が大径ディスク3aの外周面に当接されることにより同図中矢印D方向への回動が規制されている。このため、係止部材14は、係止ピン51がストッパ15と退避部23との間に設けられているクリアランスCを通過することができず、図5に示すように、係止ピン51がストッパ15の先端に当接される。搬送アーム12,13は、係止ピン51がストッパ15の先端に当接することにより、矢印B方向への回動が規制される。ディスクドライブ装置1では、この係止ピン51がストッパ15の先端に当接し搬送アーム12,13の回動が規制された位置まで回動されることにより、大径ディスク3aの排出が停止される。かかる大径ディスク排出位置において、大径ディスク3aは、ディスク挿脱口8から中心孔が臨まされた状態で保持されている。したがって、ユーザは、大径ディスク3aの中心孔と外周部を摘むことで把持することができ、信号記録面に触れることなく大径ディスク3aを扱うことができる。
【0109】
ディスクドライブ装置1は、大径ディスク3aがディスク挿脱口8から排出されたことを検出すると、駆動モータ61が停止される。図15に示すように、大径ディスク3aがディスク挿脱口8から取り去られた後は、搬送アーム12,13は、係止ピン51がストッパ15の先端に係止された大径ディスク排出位置に支持された状態となる。
【0110】
上述した挿入待機状態において、小径ディスク3bが挿入されると、搬送アーム12,13は、搬送ローラ16,16が小径ディスク3bの外周部に当接され、捩りコイルバネ48の付勢力に対抗してディスク挿入方向となる図16中反矢印B方向へ回動される。このときも、図16に示すように、係止部材14の係止ピン51は、ストッパ15の先端から離間され、あるいはストッパ15の基端側から摺動してストッパ15を凹面部26に係合させながら、挿通口21のガイド溝部22へ移動する。ストッパ15は、係止ピン51が摺動したのち、捩りコイルバネ27によってガイド溝部22側に回動される。
【0111】
また、ディスクドライブ装置1は、ディスク挿脱口8の上部近傍に設けたセンサによって小径ディスク3bの挿入を検知すると、駆動モータ61が駆動され、ギヤユニット60によってシャフトギヤ68L,68Rが回転され、搬送ローラ16,16がディスク挿入方向に回転される。小径ディスク3bは、装置本体2内に挿入されていくと、外周面に当接されている搬送ローラ16,16によって引き込まれて、サポートアーム84及びトリガーアーム85に当接されるが、ディスク識別アーム87には当接されない。ディスク識別アーム87は、小径ディスク3bに押圧されることなく、回転規制部98がガイドアーム86に係止された状態が維持され、回転を規制している。トリガーアーム85は、ディスク当接部94が小径ディスク3bに押圧され、背面2b側に回動されることにより、回転が規制されたガイドアーム86と一体に回転されることなく、直ちに押圧ピン95によってメインスライダー101を正面2a側に押圧する。
【0112】
小径ディスク3bは、一対の搬送ローラ16,16にディスク挿入方向に搬送されるとともに、サポートアーム84及びトリガーアーム85にガイドされることにより、ターンテーブル113及びクランププレート81のクランプ部81aとの間に中心孔が位置するチャッキング位置に搬送される。
【0113】
メインスライダー101は、ガイドアーム86によって正面2a側に押圧されることにより、ラック部104が駆動ギヤ105に咬合する。駆動ギヤ105はギヤユニット60の減速ギヤ65と咬合されているため、メインスライダー101が駆動モータ61の駆動力を受けて正面2a側にスライドするとともに、リンクアーム103を介してサブスライダー102が背面2b側にスライドする。メインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすることにより、ベースシャーシ110が上昇され、ターンテーブル113のセンタリング部が小径ディスク3bの中心孔に挿入される。同時に、第1、第2のチャックアーム82,83が回動され、エッジ部82a,83aがクランププレート81のフランジ部81bの下から退避され、クランプ部81aがターンテーブル113に近接する。これにより小径ディスク3bは、ターンテーブル113とクランププレート81とにチャッキングされる。
【0114】
さらにメインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすると、ディスクチャッキングユニット80を構成するサポートアーム84、トリガーアーム85及びディスク識別アーム87が小径ディスク3bの外周面から離間するようにガイドされ、また搬送アーム12,13も、リリースピン49が押圧されることにより、ディスク挿入方向に回動され、搬送ローラ16,16が小径ディスク3bの外周面から離間する。また、メインスライダー101によってスイングプレート74が押圧され、スイングギヤ66がアイドラギヤ67と離間する方向へ回動される。
【0115】
かかる小径ディスク3bのチャッキング、及びリリースが終了すると、ディスクドライブ装置1は、駆動モータ61が停止され、小径ディスク3bの記録又は再生の操作を待機する。
【0116】
小径ディスク3bに対する情報信号の書き込みあるいは読み出しが終了し、排出操作がなされると、駆動モータ61がディスク挿入時とは逆回転で駆動される。そして、メインスライダー101が背面2b側へスライドし、またサブスライダー102が正面2a側にスライドすると、スイングプレート74が回動復帰してスイングギヤ66とアイドラギヤ67とが咬合し、駆動モータの駆動力が搬送ローラ16,16に伝達する。また、ディスクチャッキングユニット80を構成する各種アームもメインスライダー101及びサブスライダー102によるガイドが解かれ、小径ディスク3bの排出に応じて初期位置に回動復帰する。さらに、ベースシャーシ110が下降するとともに、第1、第2のチャックアーム82,83が回動され、ターンテーブル113とクランププレート81のクランプ部81aとが離間し、小径ディスク3bのチャッキングが解除される。
【0117】
搬送ローラ16,16がディスク排出方向へ回転されることにより、小径ディスク3bはディスク挿脱口8に向かって搬送される。図17に示すように、搬送アーム12,13は、タイミング部材17,18によって常時ディスク排出方向となる矢印B方向へ回動付勢されているため、小径ディスク3bの搬送にともなって回動され、常時搬送ローラ16,16が小径ディスク3bの外周面に当接されている。
【0118】
また、搬送アーム12,13に回動可能に支持されている係止部材14は、捩りコイルバネ55に回動付勢されることにより、係止ピン51がガイド溝部22から退避部23に向かって回動される。このとき、図18に示すように、係止部材14は、係止ピン51が小径ディスク3bの外周面に当接されることなく、同図中矢印D方向への回動可能とされている。このため、係止部材14は、係止ピン51がストッパ15と退避部23との間に設けられるクリアランスCを通過する。したがって、図19に示すように、搬送アーム12,13は、矢印B方向への回動が規制されることなく、第1の摺動片35aがローラガイド部19の回動規制壁19bに当接される小径ディスク排出位置まで回動される。ディスクドライブ装置1では、搬送アーム12,13が、かかる小径ディスク排出位置まで回動されることにより、小径ディスク3bの排出が停止され、ディスク挿脱口8から中心孔が臨まされた状態で保持する。したがって、ユーザは、小径ディスク3bの中心孔と外周部を摘むことで把持することができ、信号記録面に触れることなく小径ディスク3bを扱うことができる。
【0119】
以上のように、ディスクドライブ装置1は、大径ディスク3aと小径ディスク3bとでは、径の違いに応じてディスク挿脱口8からの最適な排出位置が異なることから、光ディスク3の挿排出を行う搬送アーム12,13の回動範囲を、小径ディスク3bの排出時よりも大径ディスク3aの排出時に、装置本体2の背面2b側に規制している。具体的に、ディスクドライブ装置1は、搬送アーム12,13に、ディスク排出方向に回動付勢された係止部材14を設けるとともに、搬送アーム12,13の回動にともなって回動する係止部材14の係止ピン51の移動領域上にストッパ15を進退可能に設ける。
【0120】
そして、大径ディスク3aの排出時には係止ピン51の移動軌跡を大径ディスク3aの外周面によって規制してストッパ15の先端に係止させ、これにより搬送アーム12,13を大径ディスク3aの排出に適した位置に回動させることができる。一方、小径ディスク3bの排出時には、係止ピン51の移動軌跡が小径ディスク3bによって規制されず、ストッパ15と退避部23との間に設けたクリアランスCを通過するため、搬送アーム12,13を小径ディスク3bの排出に適した位置まで回動させることができる。
【0121】
なお、ディスクドライブ装置1は、小径ディスク3bがディスク挿脱口8の略中央に挿入されず、左右の一方に偏倚して挿入された場合には、搬送アーム12,13の回動を規制して装置本体2内への挿入を不能とする挿入規制部120が設けられている。図16に示すように、挿入規制部120は、係止ピン51が挿通するベース板11の挿通口21に、退避部23と連続して形成されている。具体的に、挿入規制部120は、ガイド溝部22と並列して装置本体2の正面2a側に設けられ、退避部23の内側面がベース板11の左右両側に入り込む嵌合部120aと、ガイド溝部22の内側面から連続され嵌合部120a上を退避部23内に張り出すガイド辺120bとを有する。
【0122】
嵌合部120aは、小径ディスク3bがディスク挿脱口8に偏倚挿入された場合に、係止部材14の係止ピン51が嵌合し、搬送アーム12,13の回動を規制するものである。すなわち、係止ピン51は、小径ディスク3bが偏倚挿入されると、ディスク外周面に押圧され、挿通口21内の移動軌跡が通常の挿入時よりも左又は右に偏倚するため、退避部23の左右両側に形成された嵌合部120aのいずれか一方に嵌合する。係止ピン51が嵌合部120aに嵌合することにより、係止部材14及び搬送アーム12又は搬送アーム13の回動が規制され、さらなる偏倚挿入は不能となる。この状態で小径ディスク3bがさらに装置本体2内に挿入されると、回動が規制された搬送アーム12,13によって小径ディスク3bはディスク挿脱口8の中央側にガイドされ、通常の挿入動作に復帰する。
【0123】
なお、嵌合部120aに嵌合された係止ピン51は、嵌合部120a上に張り出し形成されているガイド辺120bにより、嵌合部120aとの嵌合が外れて偏倚挿入方向へ移動することはない。また、光ディスク3の排出工程において、係止ピン51がガイド溝部22から退避部23へ移動する際にも、ガイド辺120bが嵌合部120a上に張り出しているため、係止ピン51が嵌合部120a側に入り込むことはない。さらに、大径ディスク3aが挿入された場合は、ディスク挿脱口8の幅が大径ディスク3aの径よりも若干広く形成されているだけであるため、偏倚挿入がされたとしても、搬送アーム12,13は、ほぼ通常の軌跡で回動する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】ディスクドライブ装置の分解斜視図である。
【図2】ディスク挿排出ユニットを上側から示す斜視図である。
【図3】ディスク挿排出ユニットを下側から示す斜視図である。
【図4】ディスク挿排出ユニットを示す分解斜視図である。
【図5】大径ディスクが排出される状態を示す平面図である。
【図6】ディスク挿排出ユニットを一部透過して示す斜視図である。
【図7】下部ケースを示す斜視図である。
【図8】ディスクドライブ装置内部を下方から示す斜視図である。
【図9】ディスクチャッキングユニットを示す斜視図である。
【図10】チャッキングユニットを示す斜視図である。
【図11】ガイドアーム86の回転が規制された状態を示す斜視図である。
【図12】トリガーアームによってメインスライダーを押圧する状態を示す斜視図である。
【図13】大径ディスクが挿入された状態を示す平面図である。
【図14】大径ディスクの排出工程において、係止ピンが大径ディスクの外周に当接されて回動が規制されている状態を示す平面図である。
【図15】大径ディスクが排出された状態を示す平面図である。
【図16】小径ディスクが挿入された状態を示す平面図である。
【図17】小径ディスクが排出される状態を示す平面図である。
【図18】小径ディスクの排出工程において、係止ピンがストッパに係止されず退避領域へ回動する状態を示す平面図である。
【図19】小径ディスクが排出された状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0125】
1 ディスクドライブ装置、2 装置本体、3 光ディスク、4 下部ケース、5 上部カバー、6 ディスク搬送機構、7 光ピックアップ機構、8 ディスク挿脱口、10 ディスク挿排出ユニット、11 ベース板、12,13 搬送アーム、14 係止部材、15 ストッパ、16 搬送ローラ、17,18 タイミング部材、19 ローラガイド部、20 ギヤ支持部、21 挿通口、22 ガイド溝部、23 退避部、26 凹面部、27 捩りコイルバネ、28 鉤部、30 アーム本体、31 伝達ギヤ列、32 ギヤ孔、33 支持凸部、34 ローラ支持部、35 (第1、第2)摺動片、36 ガイドリブ、37 ローラギヤ、38 アーム溝、39 回転支持壁、40 タイミングアーム、41 タイミングギヤ、42 支持凸部、43 嵌合孔、44 支軸、45 軸孔、46 嵌合凸部、47 軸孔、48 捩りコイルバネ、49 リリースピン、50 回動板、 51 係止ピン、53 支持孔、54 回動支軸、55 捩りコイルバネ、56 長孔、60 ギヤユニット、61 駆動モータ、63 ヘリカルギヤ、65 減速ギヤ、66 スイングギヤ、67 アイドラギヤ、68 シャフトギヤ、69 プーリ、80 ディスクチャッキングユニット、81 クランププレート、82,83 チャックアーム、70 伝達ベルト、74 スイングプレート、84 サポートアーム、85 トリガーアーム、86 ガイドアーム、87 ディスク識別アーム、91 回動ピン、92 操作ピン、93 ディスク支持部、94 ディスク当接部、95 押圧ピン、97 被押圧部、98 回転規制部、100 スライダーユニット、101 メインスライダー、102 サブスライダー、103 リンクアーム、104 ラック部、105 駆動ギヤ、110 ベースシャーシ、111 ベースユニット、112 ベースフレーム、113 ターンテーブル、114 光ピックアップ、115 ピックアップベース、116対物レンズ、120 挿入規制部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを駆動するディスクドライブ装置に関し、特に、径の異なるディスクを、それぞれ最適な排出位置に搬送するディスクドライブ装置及びこれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学ディスクとしては、従来よりCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc)といった光ディスク、MO(Magneto optical)やMD(Mini Disk)等の光磁気ディスクが広く知られており、これらディスクやディスクカートリッジ等に対応した各種のディスクドライブ装置が登場している。
【0003】
ディスクドライブ装置には、筐体に設けられた蓋や扉を開放し、そこから臨むターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ、筐体から水平方向に出し入れされるディスクトレイにディスクを載置することで、ディスクトレイが引き込まれた際にディスクが内部のターンテーブルに自動的に装着されるタイプ、或いはこのディスクトレイに設けられたターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ等がある。しかしながら、何れのタイプも操作者にとって、蓋や扉を開閉したり、ディスクトレイを出し入れしたり、ターンテーブルにディスクを装着したりといった操作を必要とする。
【0004】
これに対して、筐体の前面に設けられたディスク挿脱口からディスクを挿入するだけでディスクが自動的にターンテーブルに装着される、いわゆるスロットイン型のディスクドライブ装置がある。このディスクドライブ装置では、ディスク挿脱口からディスクが挿入されると、互いに対向する一対のガイドローラの間にディスクを挟み込みながら、これら一対のガイドローラを互いに逆向きに回転させることによって、ディスク挿脱口から挿入されたディスクを筐体の内部へと引き込むローディング動作と、このディスク挿脱口からディスクを筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行うものがある。
【0005】
また、スロットイン型のディスクドライブ装置には、ディスク挿脱口から挿入されたディスクと、このディスクが装着されるターンテーブルが取り付けられたベースとの間に複数の回動アームを配置し、これら回動アームをコイルバネ等の付勢部材を用いて当該ディスクと平行な面内で回動させながら、ディスクをディスク挿脱口から筐体の内部へと引き込むローディング動作と、ディスクをディスク挿脱口から筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行うディスクドライブ装置も提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0006】
ところで、この種のディスクドライブ装置においては、例えば直径12cmの大径ディスクと直径8cmの小径ディスクとでは、装置本体のディスク挿脱口からの排出量が異なっており、何れのディスクを排出する場合にも、ディスクの中心孔がディスク挿脱口より外方に排出され、かつディスク自体はディスク挿脱口より脱落しないことが求められる。
【0007】
しかし、このディスクドライブ装置は、ディスクの排出を回動アームを回動付勢するコイルバネ等の付勢部材によるバネ力のみを用いて行うため、大径ディスクと小径ディスクとで、付勢部材のバネ力を制御することができず、各ディスクにおいて最適な排出量とすることが困難であった。
【0008】
また、ディスクの排出位置のばらつきを解消するため、ディスク挿脱口の内周面等に不織布を貼着し、ディスクと不織布との摺動摩擦を利用して所望の排出位置に保持する方法も提案されている。
【0009】
しかし、不織布はディスクドライブ装置の置かれる環境、例えば温度や湿度等によって摩擦力にばらつきが生じ、また経年劣化によっても摩擦力が変化するため、安定してディスクを所望の位置に排出させることが困難となる。
【0010】
【特許文献1】特開2007−335065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は外径の異なる複数種類の光ディスクに対応したディスクドライブ装置において、ディスク外径に応じた最適な排出量にてディスク排出を行うことができるディスクドライブ装置及びこのディスクドライブ装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明に係るディスクドライブ装置は、大径ディスクを排出する大径ディスク排出位置と、小径ディスクを排出する小径ディスク排出位置とに亘って回動され、上記大径ディスク及び小径ディスクの外周に当接されるアームと、上記アームに回動自在に取り付けられた係止部材と、上記係止部材の移動領域に進退可能に設けられ、上記係止部材と係脱可能に形成されたストッパとを備え、上記係止部材が上記ストッパに係止されることにより上記アームが上記大径ディスク排出位置まで回動可能となり、上記係止部材が上記ストッパに係止されないことにより上記アームが上記小径ディスク排出位置まで回動可能とされるものである。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、大径ディスクを排出する大径ディスク排出位置と、小径ディスクを排出する小径ディスク排出位置とに亘って回動され、上記大径ディスク及び小径ディスクの外周に当接されるアームと、上記アームに回動自在に取り付けられた係止部材と、上記係止部材の移動領域に進退可能に設けられ、上記係止部材と係脱可能に形成されたストッパとを備え、上記係止部材が上記ストッパに係止されることにより上記アームが上記大径ディスク排出位置まで回動可能となり、上記係止部材が上記ストッパに係止されないことにより上記アームが上記小径ディスク排出位置まで回動可能とされるディスクドライブ装置が内蔵されたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大径ディスク及び小径ディスクの排出を行うアームの回動領域を、アームに回動自在に取り付けられた係止部材とストッパとの係脱によって規制することにより、ディスクの径に応じた最適な排出位置まで回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明が適用されたディスクドライブ装置及び電子機器について、図面を参照しながら詳細に説明する。このディスクドライブ装置1は、音楽データ、映像データ等の各種データが記録されたCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc)といった光ディスク3の記録再生装置である。ディスクドライブ装置1は、テレビと接続され光ディスクを記録媒体として用いるディスク記録再生機、ゲーム機、コンピュータ、車載用カーオーディオ/ナビゲーションシステム等のあらゆる電子機器に用いられるものである。ディスクドライブ装置1は、例えば直径約12cmの大径ディスクと、直径約8cmの小径ディスクに対応可能とされ、これら大小のディスクを装置本体2の正面2aに設けられたディスク挿脱口8から挿入するだけでディスクが自動的にローディングされる、いわゆるスロットイン型のディスクドライブ装置である。
【0016】
図1に示すように、装置本体2は、略矩形状に形成され上方が開放されたた下部ケース4と、下部ケース4を閉塞する上部カバー5とが突き合わされることにより形成される。装置本体2は、光ディスク3を装置本体2の内外に亘って搬送するディスク搬送機構6と、光ディスク3に対して情報信号の書き込みや読み出しを行う光ピックアップ機構7とが配設されている。
【0017】
また装置本体2は、正面2aに光ディスク3が挿脱されるディスク挿脱口8が形成されている。ディスク挿脱口8は、大径ディスク3aが挿入可能な幅で形成されている。ディスクドライブ装置1は、ユーザによってディスク挿脱口8より光ディスク3が挿入されると、ディスク搬送機構6によって光ディスク3を引き込み、光ピックアップ機構7に装着する。また、ディスクドライブ装置1は、ユーザによってディスクの排出操作がなされると、ディスク搬送機構6によって光ディスク3がディスク挿脱口8より排出される。
【0018】
このとき、ディスクドライブ装置1は、大径ディスク3a又は小径ディスク3bに応じて排出位置を変え、何れの光ディスク3が搬送する場合にも、光ディスク3の中心孔がディスク挿脱口8より外部に臨まされる最適位置まで搬送し、保持する。したがって、ユーザは、光ディスク3の中心孔と外周部を摘むことで把持することができ、信号記録面に触れることなく光ディスクを扱うことができる。
【0019】
次いで、かかる光ディスク3の挿排出を行うディスク搬送機構6について説明する。ディスク搬送機構6は、光ディスク3を引き込み及び排出を行うディスク挿排出ユニット10と、ディスク挿排出ユニット10によって引き込まれた光ディスクを光ピックアップ機構7のターンテーブル113に装着させるディスクチャッキングユニット80と、ディスクチャッキングユニット80の各種アームを稼働させるとともに光ピックアップ機構7を昇降させるスライダーユニット100と、これら各ユニットに駆動力を伝達するギヤユニット60を備える。
【0020】
図2、図3及び図4に示すように、ディスク挿排出ユニット10は、ディスク挿脱口8より光ディスク3が挿入されると、装置本体2の内部に光ディスク3を引き込み、また光ディスク3をディスク挿脱口8より中心孔が臨まされる最適位置まで排出するものである。ディスク挿排出ユニット10は、装置本体2の正面2a側に設けられ、ディスク挿脱口8の下面と略面一に支持されるベース板11と、ベース板11に回動自在に設けられた左右一対の搬送アーム12,13と、搬送アーム12,13にそれぞれ回動自在に支持された係止部材14,14と、各係止部材14,14を係止することにより搬送アーム12,13の回動を規制するストッパ15,15と、搬送アーム12,13の先端に設けられた搬送ローラ16,16と、搬送アーム12,13を一体に回動させるタイミング部材17,18とを備える。
【0021】
ベース板11は、装置本体2の幅と略同一幅を有する矩形状をなし、装置本体2の下部ケース4に取り付けられている。ベース板11は、装置本体2の背面2b側の後側縁に、搬送ローラ16,16の回動領域に沿って湾曲するローラガイド部19と、後述するタイミング部材17,18を支持するギヤ支持部20とが形成されている。ローラガイド部19は、左右一対の搬送アーム12,13に対応して、ベース板11の後側縁に左右両側から中央にかけて形成されている。ギヤ支持部20は、両ローラガイド部19,19間に張り出し形成されている。
【0022】
ローラガイド部19は、後述する搬送アーム12,13をベース板11に対して回動可能に支持するものであり、搬送アーム12,13の回動領域に応じてベース板11の両側から略中央部にかけて円弧状に張り出し形成された第1のガイド片19aが形成されている。第1のガイド片19aは、搬送アーム12,13に突接された第1の摺動片35aが摺動可能に係止されている。
【0023】
また第1のガイド片19aは、ベース板11の中央側端部に、第1の摺動片35aが当接することにより、搬送アーム12,13の排出方向への回動範囲を規制する回動規制壁19bが形成されている。搬送アーム12,13は、第1の摺動壁35aが回動規制壁19bに当接するまで回動することにより、搬送アーム12,13に設けられた搬送ローラ16,16によって、小径ディスク3bを所定の排出位置まで搬送する。
【0024】
また、第1のガイド片19aは、ベース板11の左右両側面側の端部に、搬送アーム12,13が最もディスク挿入方向へ回動された回動位置において、第1の摺動片35aが当接する壁部19cが形成されている。搬送アーム12,13は、第1の摺動片35aが壁部19cに当接するまで回動されると、搬送ローラ16,16が光ディスク3の外周面から離間し、回転自在とする。
【0025】
一対のローラガイド部19,19間に設けられたギヤ支持部20は、ベース板11の下面側に支持されている左右一対の搬送アーム12,13を同期して回動させる一対のタイミング部材17,18が取り付けられている。ギヤ支持部20は、タイミング部材17,18にそれぞれ設けられるタイミングギヤ41が回転可能に支持されている。
【0026】
また、ベース板11は、ローラガイド部19に隣接して、係止部材14の係止ピン51が挿通する挿通口21が形成されている。挿通口21は、ベース板11の左右両側面側に向かって形成されたガイド溝部22と、ガイド溝部22と連続され係止部材14の移動軌跡をストッパ15と係止可能な領域から逸らす退避部23とを有する。ガイド溝部22は、搬送アーム12,13のディスク挿入方向への回動にともなって回動する係止ピン51の回動領域に亘って、ベース板11の略中央から両側面側に向かって円弧状に形成されている。退避部23は、搬送アーム12,13に突設された第2の摺動片35bが摺動する第2のガイド片23aが形成されている。第2のガイド片23aは、上記第1のガイド片19aとともに、搬送アーム12,13を支持するものであり、第2の摺動片35bの回動領域に亘って形成されている。
【0027】
また、ベース板11は、ガイド溝部22に沿って、ストッパ15を回動可能に支持する凹面部26が形成されている。凹面部26は、ベース板11の中央部よりにガイド溝部22に沿って形成されている。凹面部26は、ストッパ15が係合可能とされ、これによりストッパ15をガイド溝部22から退避させる。また、凹面部26は、ストッパ15のガイド溝部22側への回動範囲を規制する係止凹部26aが形成されている。
【0028】
凹面部26に進退可能に支持されるストッパ15は、係止部材14の係止ピン51を係止することにより、搬送アーム12,13の回動領域を大径ディスク3aの排出位置までに規制するものである。ストッパ15は、断面コ字状に形成され、開放端面よりガイド溝部22に沿って形成された凹面部26に係合されている。ストッパ15は、ベース板11の中央部側の基端が凹面部26に回動可能に支持されるとともに捩りコイルバネ27が係止されることにより、ベース板11の両側面側の先端が凹面部26よりガイド溝部22に突出する図5矢印A方向へ回動付勢されている。ストッパ15は、一端側に設けられた鉤部28が凹面部26に設けられた係止凹部26aに係止されることにより回動領域が規制される。
【0029】
かかるストッパ15は、捩りコイルバネ27に回動付勢されるとともに、係止凹部26aによって回動位置が規制されることにより、常時、先端がガイド溝部22側に突出し、係止ピン51と係止可能とされている。このとき、ストッパ15と退避部23との間には、係止ピン51が挿通可能なクリアランスCが設けられる。
【0030】
そしてストッパ15は、大径ディスク3aが挿入される際には、大径ディスク3aの外周に押圧された係止ピン51が基端側から摺接することにより、反矢印A方向へ回動され凹面部26に係合し、ガイド溝部22から退避する。
【0031】
ストッパ15は、大径ディスク3aが排出されると、図5に示すように、大径ディスク3aの外周面に当接することによりクリアランスC側への回動が規制された係止ピン51が先端に係止する。これにより搬送アーム12,13の回動を規制し、大径ディスク3aの排出位置に搬送アーム12,13を保持する。一方、ストッパ15は、小径ディスク3bが排出されると、図19に示すように、小径ディスク3bの外周面に係止ピン51が当接せず、クリアランスCを通過してガイド溝部22から退避部23へと移動することから、係止ピン51が先端に係止されず、搬送アーム12,13の回動を規制することなく、小径ディスク3bの排出位置まで回動させる。
【0032】
かかるベース板11には、下面側に、左右一対の搬送アーム12,13と、左右一対のタイミング部材17,18とが回動自在に支持されている。各搬送アーム12,13は、アーム本体30を有し、このアーム本体30に、搬送ローラ16と、タイミング部材17又はタイミング部材18と、ギヤユニット60からの駆動力を伝達する伝達ギヤ列31とが配設されている。アーム本体30は、一端に下部ケース4に配設されたシャフトギヤ68が挿通するギヤ孔32が形成されている。またアーム本体30は、ギヤ孔32近傍に、ギヤ孔32に挿通されたシャフトギヤ68と咬合する伝達ギヤ列31が支持される複数の支持凸部33が突設されている。支持凸部33の一には、後述する係止部材14に係止するフック部33aが形成されている。さらにアーム本体30は、ベース板11に形成された第1のガイド片19a及び第2のガイド片23aに摺動可能に係止する第1、第2の摺動片35a,35bが突設されている。
【0033】
そしてアーム本体30は、ギヤ孔32がベース板11の下面に突設された円弧状の回転支持壁39に挿通されるとともに、第1、第2の摺動片35a,35bがベース板11の第1のガイド片19a及び第2のガイド片23aにそれぞれ係止することにより、ベース板11に回動可能に係止される。アーム本体30の回動領域は、上述したローラガイド部19によって、ディスク挿入方向及び排出方向とも規制されている。
【0034】
アーム本体30は、他端側に搬送ローラ16を回転自在に支持するローラ支持部34が形成されている。ローラ支持部34は、搬送ローラ16を支持する上下一対の支持片34a,34bと、アーム本体30の上方に立設された側壁34cとを有する。
【0035】
上側の支持片34aは、光ディスク3の上面をガイドするガイドリブ36が形成されている。ガイドリブ36は、アーム本体30が排出方向に回動されたとき、ディスク挿脱口10に向けられ、搬送ローラ16の高さ方向の略中央に光ディスク3の外周が当接するように、光ディスク3の上面をガイドする。これによりガイドリブ36は、光ディスク3が傾いて挿入され上部カバー5に衝突することを防止する。
【0036】
支持片34a,34bに支持される搬送ローラ16は、ゴム等の摩擦係数の大きい材料からなる略鼓形状をなし、上下方向に亘って支軸が挿通されている。そして搬送ローラ16は、支軸が支持片34a,34bに支持されることにより回転自在に支持される。また、搬送ローラ16は、下側に伝達ギヤ列31と咬合するローラギヤ37が一体に設けられ、伝達ギヤ列31を介してギヤユニット60の駆動力が伝達される。
【0037】
かかる搬送ローラ16は、搬送アーム12,13とともに回動されることにより、光ディスク3の外周を両側から挟持する。そして搬送ローラ16は、ギヤユニット60を介して駆動モータ61の駆動力が伝達されることにより一方又は他方に回転駆動され、回転方向に応じて光ディスク3を挿入方向あるいは排出方向へ搬送する。
【0038】
搬送ローラ16のローラギヤ37と咬合される伝達ギヤ列31は、アーム本体30に支持されることにより、ギヤ孔32に一端が臨まされ、ギヤ孔32に挿通されたシャフトギヤ68と咬合されている。
【0039】
第1、第2の摺動片35a,35bは、ベース板11に設けられた第1、第2のガイド片19a,23aに摺動可能に係止されることにより、搬送アーム12,13の安定した回動をサポートするものである。第1、第2の摺動片35a,35bは、第1、第2のガイド片19a,23aに対応する位置に立設され、先端が鉤状に形成されている。
【0040】
なお、アーム本体30には、タイミング部材17,18のタイミングアーム40に突設された支持凸部42が摺動するアーム溝38が形成されている。アーム溝38は、搬送アーム12,13の回動にともなってタイミングアーム40の支持凸部42が摺動する。
【0041】
また、搬送アーム12のアーム本体30は、後述するスライダーユニット100のメインスライダー101によって押圧されるリリースピン49が突設されている。搬送アーム12は、光ディスク3がチャッキングされた後、メインスライダー101によってリリースピン49が押圧されることにより、さらにディスク挿入方向へ回動され、搬送ローラ16が光ディスク3の外周面から離間する。また、搬送アーム12がメインスライダー101によって回動されることにより、搬送アーム13もタイミング部材17,18によってディスク挿入方向へ回動され、搬送ローラ16が光ディスク3の外周面から離間する。これにより搬送アーム12,13は、光ディスク3をリリースして回転可能とする。
【0042】
左右一対の搬送アーム12,13とベース板11との間には、左右一対の搬送アーム12,13が一体に同期して回動させるタイミング部材17,18が設けられている。タイミング部材17,18は、アーム本体30にそれぞれ支持されたタイミングアーム40と、タイミングアーム40の先端に回動自在に支持されたタイミングギヤ41とを備える。タイミング部材17,18は、アーム本体30にタイミングアーム40の一端が回転自在に取り付けられるとともに、他端にタイミングギヤ41が一体に取り付けられ、両タイミングギヤ41,41が咬合されている。またタイミング部材17は、ベース板11の左側面側に支持された搬送アーム12に設けられ、タイミング部材18は、ベース板11の右側面側に支持された搬送アーム13に設けられている。
【0043】
タイミングアーム40は、搬送アーム12,13とともに回動するときに、ベース板11より露出しない所定の折り曲げ形状を有する。タイミングアーム40は、一端にアーム本体30のアーム溝38に係合する支持凸部42が形成され、円盤状の他端にタイミングギヤ41が嵌合する嵌合孔43と支軸44が挿通する軸孔45とが形成されている。タイミングギヤ41は、外周部にギヤ歯が形成されるとともに、主面部にタイミングアーム40の他端に形成された嵌合孔43に嵌合する嵌合凸部46と、支軸44が挿通する軸孔47とが形成されている。
【0044】
そして、タイミング部材17,18は、タイミングアーム40の嵌合孔43にタイミングギヤ41の嵌合凸部46が嵌合することにより軸孔45,47が連続され、この軸孔45,47に支軸44が挿通されることにより、タイミングギヤ41が回転可能にベース板11のギヤ支持部20に取り付けられる。また、タイミング部材17,18は、タイミングアーム40の一端に突設された支持凸部42がそれぞれアーム本体30に形成されたアーム溝38に係合される。これによりタイミング部材17,18は、一端が搬送アーム12,13に回動自在に支持され、かつ他端がベース板11のギヤ支持部20に回転自在に取り付けられている。
【0045】
さらに、ベース板11の左側面側に取り付けられたタイミング部材17は、タイミングアーム40に捩りコイルバネ48が係止されている。捩りコイルバネ48は、アーム本体30をディスク排出方向へ回動付勢するものであり、一端をベース板11に固定され、他端をタイミング部材17のタイミングアーム40に係止されている。タイミング部材17は、捩りコイルバネ48によってタイミングアーム40がディスク排出方向へ付勢されることにより、搬送アーム12も同方向となる図5中矢印B方向へ回動される。タイミング部材17のタイミングギヤ41と咬合するタイミング部材18は、タイミング部材17のタイミングアーム40がディスク排出方向へ回動されると、同様にタイミングアーム40がディスク排出方向へ回動される。
【0046】
したがって、左右一対の搬送アーム12,13は、タイミング部材17,18によって常に一体に回動されることとなる。また搬送アーム12,13は、タイミング部材17に係止されている捩りコイルバネ48の付勢力によって常時ディスク排出方向へ付勢されているため、挿排出行程においては、搬送ローラ16,16が常に光ディスク3の外周に当接されている。なお、捩りコイルバネ48による付勢力は光ディスク3の外周部に搬送アーム12,13の搬送ローラ16,16を当接させるようにアーム本体30を回動させるのに十分な付勢力を有していればよく、ユーザによる光ディスク3の挿入を妨げるものではない。
【0047】
次いで、搬送アーム12,13の回動領域を規制する係止部材14について説明する。係止部材14は、上述したストッパ15に係止されることにより大径ディスク3aの排出位置に搬送アーム12,13の回動領域を規制するものであり、アーム本体30に支持された回動板50と、ストッパ15に係止される係止ピン51とを有する。
【0048】
回動板50は、略扇形状に形成され、角部に回動中心となる支持孔53が形成されている。回動板50は、支持孔53が、アーム本体30に立設された回動支軸54に挿通されることにより、アーム本体30に回動可能に支持される。また回動板50は、回動支軸54に環状部が挿通された捩りコイルバネ55の一端が係止することにより、図5中矢印D方向へ回動付勢されている。
【0049】
また係止部材14は、回動板50の円弧状の側面部より、係止ピン51が立設されている。係止ピン51は、回動板50がアーム本体30に支持されるとともにアーム本体30がベース板11の下面側に配設されることにより、挿通口21に挿通される。そして係止ピン51は、光ディスク3の挿排出行程において、搬送アーム12,13のベース板11に対する回動、及び回動板50のアーム本体30に対する回動に応じて、挿通口21のガイド溝部22と退避部23とに亘って移動する。
【0050】
具体的に、係止ピン51は、大径ディスク3aの排出時に、大径ディスク3aの外周に当接されることにより捩りコイルバネ55の付勢力による回動板50の矢印D方向への回動が規制され、ストッパ15の先端に係止される。一方、係止ピン51は、小径ディスク3bの排出時には小径ディスク3bの外周に当接しないため、捩りコイルバネ55の付勢力によって回動板50が回動されることにより、ストッパ15の先端と挿通口21とのクリアランスCを通過して退避部23に移動され、ストッパ15の先端に係止することがない。
【0051】
また、回動板50には、支持孔53を中心とした同心円状に、円弧状の長孔56が形成されている。長孔56は、搬送アーム12,13の回動を規制するものであり、図6に示すように、アーム本体30に立設された支持凸部33のフック部33aがスライド可能に係止されている。
【0052】
回動板50は、長孔56が回動板50の回動中心となる支持孔53を中心とした同心円状に形成されているため、フック部33aが摺動することでアーム本体30に対する回動には支障がない。また、回動板50は、フック部33aが長孔56に係止されることにより、光ディスク3の挿入力によって係止部材14がアーム本体30に対して傾くことを防止し、アーム本体30に回動の抑制力が働くことを防止することができる。
【0053】
そして回動板50は、フック部33aが長孔56の一端56aに当接することにより、搬送アーム12,13の回動を規制することができる。すなわち、大径ディスク3aの排出工程において、係止部材14は、係止ピン51がストッパ15の先端に当接されることにより図6中矢印D方向への回動が規制される。一方、搬送アーム12,13は、捩りコイルバネ48によって同図中矢印B方向へ回動されるため、フック部33aが長孔56の一端56aに当接する。これにより、搬送アーム12,13は、矢印B方向への回動が規制され、大径ディスク3a排出位置まで回動されることとなる。
【0054】
次いで、ディスク挿排出ユニット10に駆動力を伝達するギヤユニット60について説明する。図7に示すように、ギヤユニット60は、駆動モータ61の駆動力をディスク挿排出ユニット10、ディスクチャッキングユニット80及びスライダーユニット100に伝達するものである。ギヤユニット60は、駆動モータ61のウォームと咬合するヘリカルギヤ63と、ヘリカルギヤ63と咬合する減速ギヤ65と、減速ギヤ65と咬合するスイングギヤ66と、スイングギヤ66と咬合するアイドラギヤ67と、上述した搬送アーム12,13の各伝達ギヤ列31と咬合するシャフトギヤ68L,68Rと、シャフトギヤ68L,68R間を連結するプーリ69とを備える。
【0055】
シャフトギヤ68L,68Rは、搬送アーム12,13の各アーム本体30に形成されたギヤ孔32に挿通されることにより伝達ギヤ列31と咬合され、駆動モータ61の駆動力を搬送ローラ16に伝達するものである。シャフトギヤ68L,68Rは、搬送アーム12,13に対応して装置本体2の左右両側に配設されている。装置本体2の左側面側に設けられ搬送アーム12のアーム本体30に挿通するシャフトギヤ68Lは、アーム本体30の伝達ギヤ列31と咬合する上ギヤ部68Laと、アイドラギヤ67と咬合する下ギヤ部68Lbと、プーリ69の伝達ベルト70が巻回する巻回部68Lcとを有する。また、装置本体2の右側面側に設けられ搬送アーム13のアーム本体30に挿通するシャフトギヤ68Rは、アーム本体30の伝達ギヤ列31と咬合する上ギヤ部68Raと、プーリ69のプーリギヤ71と咬合する下ギヤ部68Rbとを有する。
【0056】
プーリ69は、駆動モータ61の駆動力を一対のシャフトギヤ68L,68R間で伝達するものであり、伝達ベルト70と、搬送アーム13側のシャフトギヤ68Rと咬合するプーリギヤ71とを有する。プーリギヤ71は、伝達ベルト70が巻回する巻回部71aと、シャフトギヤ68Rの下ギヤ部68Rbと咬合する咬合部71bとを有する。伝達ベルト70は、シャフトギヤ68Lの巻回部68Lcと、プーリギヤ71の巻回部71aとの間に巻回されている。
【0057】
かかるギヤユニット60は、駆動モータ61が駆動されると、ヘリカルギヤ63、減速ギヤ65、スイングギヤ66及びアイドラギヤ67を介してシャフトギヤ68Lが回転される。シャフトギヤ68Lが回転されると、搬送アーム12の伝達ギヤ列31が回転され、搬送アーム12側の搬送ローラ16が回転駆動される。同時に、シャフトギヤ68Lが回転されることにより、伝達ベルト70を介してプーリギヤ71が回転され、プーリギヤ71と咬合するシャフトギヤ68Rが回転される。シャフトギヤ68Rが回転されると、搬送アーム13の伝達ギヤ列31が回転され、搬送アーム13側の搬送ローラ16も回転駆動される。
【0058】
ここで、ギヤユニット60は、搬送アーム12側の搬送ローラ16と、搬送アーム13側の搬送ローラ16とで、回転方向を反対にする。したがって、搬送アーム12,13は、搬送ローラ16,16が互いに反対方向に回転されることで、光ディスク3の外周面を左右両側から当接する一対の搬送ローラ16,16によって、駆動モータ61の回転方向に応じ、装置本体2の挿入方向あるいは排出方向へ搬送することができる。
【0059】
なお、スイングギヤ66は、図8に示すように、下部ケース4の底面に回転可能に取り付けられたスイングプレート74上に支持されている。そしてスイングギヤ66は、スイングプレート74が後述するスライダーユニット100のメインスライダー101によって回転されることにより、アイドラギヤ67との咬合が外れる。これによりギヤユニット60は、光ディスク3の装置本体2内への搬送が終了すると、駆動モータ61と搬送ローラ16,16とを切り離す。
【0060】
次いで、ディスク挿排出ユニット10によって引き込まれた光ディスクを光ピックアップ機構7のターンテーブル113に装着させるディスクチャッキングユニット80について説明する。ディスクチャッキングユニット80は、装置本体2の上部カバー5に形成され、後述するスライダーユニット100と連動することにより、光ディスク3をターンテーブル113とクランププレート81とで回転自在に挟持させるものである。
【0061】
図9及び図10にディスクチャッキングユニット80を示す。図9は上部カバー5を下方から示す斜視図であり、上部カバー5上に配設されたディスクチャッキングユニット80を透過して示している。また、図10は、装置本体2を上方から示す斜視図であり、上部カバー5を省略し、ディスクチャッキングユニット80及び装置本体2内部を示す。
【0062】
図9及び図10に示すように、ディスクチャッキングユニット80は、ターンテーブル113とともに光ディスク3を挟持するクランププレート81と、クランププレート81をターンテーブル113から離間させる第1、第2のチャックアーム82,83と、光ディスク3の外周面を支持するサポートアーム84と、光ディスク3の搬送を検出しスライダーユニット100を駆動させるトリガーアーム85と、トリガーアーム85をガイドするガイドアーム86と、装置本体2内に挿入された光ディスク3が大径ディスク3aか小径ディスク3bか識別するディスク識別アーム87とを有する。そして、ディスクチャッキングユニット80は、これら各種アームが上部カバー5に回動可能に取り付けられている。
【0063】
クランププレート81は、ターンテーブル113とともに光ディスク3を挟持するクランプ部81aと、上部カバー5上に延在されたフランジ部81bとを有し、クランプ部81aが上部カバー5に形成された開口を介して下部ケース4側に臨まされ、ターンテーブル113と対向されている。クランプ部81aは、マグネットが内蔵され、ターンテーブル113に磁気吸着することにより光ディスク3の中心孔周縁を挟持する。フランジ部81bは、後述する第1、第2のチャックアーム82,83が上部カバー5との間に挿入あるいは退避することによりクランプ部81aを昇降させ、これによりターンテーブル113と近接離間させる。
【0064】
第1、第2のチャックアーム82,83は、クランププレート81を昇降させるものである。第1、第2のチャックアーム82,83は、上部カバー5の上面に回動可能に取り付けられ、クランププレート81を介して左右両側に配置されている。第1、第2のチャックアーム82,83は、クランププレート81のフランジ部81bを介して対向するように、円弧状のエッジ部82a,83aが形成されている。各エッジ部82a,83aは、第1、第2のチャックアーム82,83が回動されることにより、クランププレート81のフランジ部81bと上部カバー5の上面との間に挿入可能とされている。
【0065】
第1のチャックアーム82は、上部カバー5の上面に形成された図示しない貫通孔を介して下部ケース4側に垂下する回動ピン91が形成されている。回動ピン91は、後述するサブスライダー102のガイドカムに係合し、サブスライダー102のスライドによって回動される。また、第1のチャックアーム82は、一端部に係合ピン82bが立設されている。係合ピン82bは、第2のチャックアーム83に形成された係合溝83bに挿通されている。これにより第1、第2のチャックアーム82,83は、第1のチャックアーム82が回動されると、第2のチャックアーム83も連動して回動される。
【0066】
第1のチャックアーム82は、回動ピン91がサブスライダー102のスライドに応じて回動されることによりエッジ部82aがクランププレート81のフランジ部81bと上部カバー5との間に挿入あるいは退避されるとともに、係合ピン82bによって第2のチャックアーム83を回動させ、エッジ部83aをクランププレート81のフランジ部81bと上部カバー5との間に挿入あるいは退避させる。
【0067】
サポートアーム84は、ディスク挿脱口10より挿入された光ディスク3の挿入端を支持することにより光ディスク3の挿入をガイドするものであり、上部カバー5の内面に回動可能に支持されている。サポートアーム84は、一端に略鼓形状をなすディスク支持部93が形成され、他端を上部カバー5に支持されている。またサポートアーム84は、捩りコイルバネによって常時ディスク排出方向に回動付勢されている。さらにサポートアーム84は、後述するサブスライダー102に回動操作される操作ピン92が立設されている。
【0068】
かかるサポートアーム84は、ディスク支持部93の略中央で光ディスク3の外周面を支持することにより、光ディスク3の挿入をガイドし、クランププレート81のクランプ部81aやターンテーブル113との接触を防止する。またサポートアーム84は、光ディスク3がターンテーブル113上にチャッキングされると、サブスライダー102によって操作ピン92がガイドされ、光ディスク3の外周から離間する。
【0069】
トリガーアーム85は、ガイドアーム86とともに挿入された光ディスク3の種別に応じた適切なタイミングでスライダーユニット100を駆動させるものであり、長手方向の一端をガイドアーム86に回転自在に支持され、長手方向の他端に光ディスク3の外周面が当接されるディスク当接部94が形成されている。またトリガーアーム85は、メインスライダー101の上面に形成されたカム溝に係合する押圧ピン95が立設されている。押圧ピン95は、メインスライダー101を、ギヤユニット60と咬合する装置本体2の正面2a側に押圧するものである。
【0070】
ガイドアーム86は、上部カバー5の内面に回転自在に取り付けられた板状体をなし、上部カバー5に対する回転中心と偏倚した位置にトリガーアーム85を回転自在に支持している。またガイドアーム86は、メインスライダー101の上面に形成されたカム溝に係止される係止軸が立設されている。またガイドアーム86は、外周の一部にディスク識別アーム87の回転規制部98が係脱される切り欠き部が形成されている。
【0071】
ガイドアーム86は、ディスク識別アーム87によって回動が規制されており、大径ディスク3aが挿入された場合のみディスク識別アーム87の規制が解除され、トリガーアーム85の回動に連動して回転が可能となる。そしてガイドアーム86は、トリガーアーム85が大径ディスク3aの外周面に押圧されて回動されることにより係止軸がメインスライダー101のカム溝に当接するまでトリガーアーム85と一体に回転し、図11に示すように、係止軸がカム溝の壁部に当接することにより回転が規制される。トリガーアーム85は、ガイドアーム86が回転されることにより支点が移動しながら回転されるため、メインスライダー101のカム溝に係合している押圧ピン95を支点に回転される。ガイドアーム86がメインスライダー101のカム溝に係止されて回転が規制された後、さらにトリガーアーム85が光ディスク3に押圧されると、図12に示すように、ガイドアーム86に対する支点が固定されたトリガーアーム85は、押圧ピン95がメインスライダー101のカム溝を押圧し、ギヤユニット60と咬合する装置本体2の正面2a側へスライドさせる。なお、図12では、ガイドアーム86を省略している。
【0072】
一方、ガイドアーム86は、小径ディスク3bが挿入された場合にはディスク識別アーム87によって回転が規制されている。この場合、トリガーアーム85は、ガイドアーム86に対する支点が固定された状態で光ディスク3に押圧されて回動されるため、直ちにメインスライダー101を押圧ピン95によって押圧し、装置本体2の正面2a側にスライドさせる。
【0073】
ディスク識別アーム87は、大径ディスク3aが挿入された場合にガイドアーム86の回転を許可し、ガイドアーム86が所定量回転した後、トリガーアーム85によるメインスライダー101の押圧を可能とするものであり、上部カバー5の内面に回転自在に支持されている。ディスク識別アーム87は、上部カバー5との回転支点を介した一端側に大径ディスク3aと当接する被押圧部97が形成され、回転支点を介した他端側にガイドアーム86の切り欠き部に係脱する回転規制部98が形成されている。
【0074】
かかるディスク識別アーム87は、回転支点に係止された捩りコイルバネに付勢されることにより、常時、回転規制部98がガイドアーム86に係合して回転を規制している。そしてディスク識別アーム87は、大径ディスク3aが挿入されると、被押圧部97が大径ディスク3aの外周面に押圧され、捩りコイルバネの付勢力に対抗して回転される。これによりディスク識別アーム87は、回転規制部98がガイドアーム86から外れ、ガイドアーム86を回転自在とする。一方、ディスク識別アーム87は、小径ディスク3bが挿入されると、被押圧部97が小径ディスク3bの外周面と当接せず回転されない。したがってディスク識別アーム87は、回転規制部98がガイドアーム86に係合した状態が維持される。
【0075】
次いで、スライダーユニット100について説明する。スライダーユニット100は、光ディスク3が装置本体2の所定位置まで搬送されると、後述する光ピックアップ機構7を上昇させて、ディスクチャッキングを行わせ、光ディスク3の排出時には光ピックアップ機構7を下降させて光ディスク3のチャッキングを解除させるものである。スライダーユニット100は、下部ケース4の左側面に沿って前後にスライドするメインスライダー101と、下部ケース4の右側面に沿ってスライドされるサブスライダー102と、メインスライダー101とサブスライダー102とを連結するリンクアーム103とを備える。
【0076】
メインスライダー101は、上述したギヤユニット60と咬合することにより前後にスライドするものであり、前側側面にラック部104が形成されている。またメインスライダー101は、光ピックアップ機構7と対向する側面に上下方向に亘る昇降カム溝が形成され、この昇降カム溝に光ピックアップ機構7のベースシャーシ110に突設されたガイドピンが挿通されている。さらに、メインスライダー101は、上面に、上述したトリガーアーム85、ガイドアーム86及びディスク識別アーム87より垂下された係合ピンが係合する係合カム溝が複数形成されている。
【0077】
メインスライダー101の下面には、リンクアーム103の一端に突設された係合ピンが挿通されている。リンクアーム103は、メインスライダー101のスライドに応じてサブスライダー102をスライドさせるものである。リンクアーム103は、長尺な板状体をなし、下部ケース4の下面に略中間部が回動自在に支持され、一端に突設された係合ピンがメインスライダー101の後端部に係合され、他端に突設された係合ピンがサブスライダー102の後端部に係合されている。
【0078】
そしてリンクアーム103は、メインスライダー101が装置本体2の前面側にスライドされることにより一端が前面側に回動すると、他端が背面側に回動し、サブスライダー102を背面側にスライドさせる。反対に、リンクアーム103は、メインスライダー101が装置本体2の背面側にスライドされることにより一端が背面側に回動すると、他端が前面側に回動し、サブスライダー102を前面側にスライドさせる。
【0079】
サブスライダー102は、光ピックアップ機構7と対向する側面に上下方向に亘る昇降カム溝が形成され、この昇降カム溝に光ピックアップ機構7のベースシャーシ110に突設されたガイドピンが挿通されている。また、サブスライダー102は、上面に上述した第1のチャックアーム82に形成された回動ピン91が係合するガイドカムが形成されている。
【0080】
かかるスライダーユニット100は、光ディスク3が挿入されると、ディスクチャッキングユニット80のトリガーアーム85によって、メインスライダー101が正面2a側へ押圧される。これによりメインスライダー101は、ラック部104がギヤユニット60の減速ギヤ65と咬合する駆動ギヤ105と咬合され、正面2a側にスライドする。メインスライダー101が正面2a側にスライドすることにより、リンクアーム103を介して連結されているサブスライダー102は、背面2b側へスライドする。
【0081】
スライダーユニット100は、メインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすることにより、昇降カム溝に挿通されているガイドピンをガイドして、光ピックアップ機構7のベースシャーシ110を上昇させる。また、スライダーユニット100は、サブスライダー102が背面2b側へスライドすると、ガイドカムで回動ピン91をガイドし、第1のチャックアーム82を回動し、クランププレート81から第1、第2のチャックアーム82,83を離間させる。これにより、ディスクドライブ装置1は、ベースシャーシ110のターンテーブル113が光ディスク3の中心孔に挿通するとともに、クランププレート81のクランプ部81aがターンテーブル113に磁気吸着し、光ディスク3の中心孔周縁を挟持する。
【0082】
さらに、スライダーユニット100は、メインスライダー101及びサブスライダー102の上面に形成された係合カム溝によって、光ディスク3の外周面に当接するサポートアーム84やディスク識別アーム87を光ディスク3の外周面より離間させる。また、メインスライダー101は、搬送アーム12のアーム本体30に立設されているリリースピン49を押圧することにより、搬送アーム12,13をディスク挿入方向へ回動させ、各搬送ローラ16,16を光ディスク3の外周面から離間させる。これにより、光ディスク3は、各種アーム及びローラからリリースされ、回転可能となる。
【0083】
一方、スライダーユニット100は、駆動モータ61が逆転駆動されることにより、メインスライダー101が背面2b側へスライドされ、サブスライダー102が正面2a側へスライドされる。これにより、スライダーユニット100は、第1、第2のチャックアーム82,83の各エッジ部82a,83aをフランジ部81b下部に挿入させて、クランプ部81aとターンテーブル113とを離間させる。また、スライダーユニット100は、光ピックアップ機構7のベースシャーシ110を下降させ、光ディスク3のチャッキングを解除する。さらに、スライダーユニット100は、リリースピン49への付勢を解いて搬送アーム12,13をディスク排出方向へ回動可能とし、搬送ローラ16,16を光ディスク3の外周面に当接させる。これにより光ディスク3は、搬送可能となり、ディスク挿排出ユニット10によって装置本体2外へ搬送される。
【0084】
次いで、光ディスク3に対する情報信号の書き込み及び読み出しを行う光ピックアップ機構7について説明する。光ピックアップ機構7は、下部ケース4に昇降自在に支持されたベースシャーシ110を有し、このベースシャーシ110内にベースユニット111が搭載されている。ベースユニット111は、ベースシャーシ110内に支持されたベースフレーム112と、ベースフレーム112に取り付けられたターンテーブル113と、ベースフレーム111にスライド可能に支持された光ピックアップ114とを備える。
【0085】
ベースシャーシ110は、略矩形状に形成され、底部にベースユニット111のベースフレーム112が配設されるとともに、長手方向の一端側にターンテーブル113が設けられている。ベースシャーシ110は,一端側および他端側の双方が,下部ケース4に昇降方向に設定されたカム溝にガイドされることにより昇降が可能とされている。
【0086】
またベースシャーシ110は、メインスライダー101及びサブスライダー102と対向する側壁に、ガイドピンが突設されている。そしてベースシャーシ110は、ガイドピンがメインスライダー101及びサブスライダー102の側面に形成された昇降カム溝に挿通されることにより、メインスライダー101及びサブスライダー102のスライドに応じて、下部ケース4に対して昇降される。これにより、ベースフレーム112に取り付けられたターンテーブル113は、光ディスク3の搬送領域に進退可能とされている。
【0087】
ベースユニット111は、ベースシャーシ110の底部にダンパーを介してベースフレーム112が支持されている。ベースフレーム112は、略矩形状のフレーム本体を備え、フレーム本体の略中央に光ピックアップ114がスライドするピックアップ用開口部が形成されている。またベースフレーム112は、ピックアップ用開口部に、光ピックアップ114を支持する一対のガイド軸が架設されている。さらにベースフレーム112は、光ピックアップ114を搬送するリードスクリュー及びリードスクリューを回転させるピックアップ駆動モータがガイド軸と平行に配設されている。
【0088】
一対のガイド軸に支持されている光ピックアップ114は、ピックアップベース115を有し、このピックアップベース115内に、レーザ光を出射する発光素子と、発光素子から出射されたレーザ光を光ディスク3の信号記録面に照射するとともに光ディスク3からの反射光を集光する対物レンズ116と、集光された反射光を検出する光検出器とを備える光学ブロックが組み込まれている。
【0089】
また、光ピックアップ114は、対物レンズ116を光軸方向(フォーカシング方向という。)と、光ディスク3の記録トラックと直交する方向(トラッキング方向という。)とに変位駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構を有する。そして光ピックアップ114は、光検出器により検出された光ディスク3からの検出信号に基づいて、この2軸アクチュエータにより対物レンズ116をフォーカシング方向及びトラッキング方向に変位させながら、光ディスク3の信号記録面上に対物レンズ116の焦点を合わせるフォーカスサーボや、対物レンズ116により集光される光ビームのスポットを記録トラックに追従させるトラッキングサーボ等の駆動制御を行う。なお、対物レンズ駆動機構としては、このようなフォーカシング制御及びトラッキング制御に加えて、対物レンズ116により集光された光ビームを光ディスク3の信号記録面に垂直に照射させるように、光ディスク3の信号記録面に対する対物レンズ116の傾き(スキュー)を調整可能とする3軸アクチュエータを用いてもよい。
【0090】
かかる光ピックアップ114は、対物レンズ116がターンテーブル113上に装着された光ディスク3の径方向に亘ってベースフレーム112に設けられたピックアップ用開口部よりディスク搬送領域上に臨まされている。そしてピックアップベース115は、ターンテーブル113によって回転されている光ディスク3に対して発光素子から出射された光ビームを対物レンズ116で集光して照射し、光ディスク3で反射された戻りの光ビームを光検出器で検出することによって、トラッキングサーボ、フォーカシングサーボ等の制御を行いながら光ディスク3に対してデータを書き込み、また、光ディスク3に記録されているデータの読み出しを行う。
【0091】
光ピックアップ114は、一対のガイド軸によって挿通支持される一対の支持部が形成されている。支持部は、ピックアップベース115の両側に形成され、一方に略コ字状の係止片が、他方にガイド軸が挿通する挿通口が設けられてなる。
【0092】
さらに、ピックアップベース115は、リードスクリューに係合することによりピックアップベース115をトラッキング方向に移動させるラックが取り付けられている。ピックアップベース115は、このラックがピックアップ駆動モータによって送られることにより、ガイド軸に沿ってピックアップ用開口部内を送り操作される。これにより光ピックアップ114は、ターンテーブル113に回転可能に支持されている光ディスク3のトラッキング方向に亘って移動する。
【0093】
光ディスク3をクランププレート81とともにチャッキングするターンテーブル113は、光ディスク3の中心孔周縁が載置される載置部と、載置部の中心に突設され光ディスク3の中心孔に挿通されることによりディスクセンタリングを行うセンタリング部を備える。またターンテーブル113は、下部にスピンドルモータが配設され、スピンドルモータのスピンドルに挿通固定されている。そしてターンテーブル113は、スピンドルモータの駆動によって、例えば、光ディスク3を、CLV(Constant Linear Velocity)、CAV(Constant Angular Velocity)、ZCLV(Zone Constant Linear Velocity)、ZCAV(Zone Constant Angular Velocity)等となるようなサーボ制御を行いながら回転する。
【0094】
ターンテーブル113は、ベースシャーシ110がスライダーユニット100によって昇降されることにより、光ディスク3の搬送領域上に進退可能とされている。すなわちターンテーブル113は、光ディスク3の搬送工程においては、ベースシャーシ110が下降され、光ディスク3の搬送領域上から退避されている。これによりディスク搬送機構6は、光ディスク3をターンテーブル113と衝突することなく搬送することができる。
【0095】
また、ターンテーブル113は、光ディスク3が装置本体2の所定位置まで搬送されると、ベースシャーシ110が上昇され、光ディスク3の搬送領域上に上昇する。このとき、光ディスク3の中心孔がターンテーブル113の真上に位置されているため、ターンテーブル113は、センタリング部が光ディスク3の中心孔に挿通し、センタリングが図られる。またターンテーブル113は、載置部が、第1、第2のチャックアーム82,83による係合を解かれたクランププレート81のクランプ部81aと磁気吸着されることにより、光ディスク3の中心孔周縁を回転可能に挟持する。
【0096】
そして、ターンテーブル113は、光ディスク3の排出工程おいて、ベースシャーシ110が下降されるとともに、第1、第2のチャックアーム82,83がクランププレート81のフランジ部81bに係合することによりクランプ部81aが離間されるため、光ディスク3のチャッキングを解除する。その後、光ディスク3は、ディスク搬送機構6によって装置本体2外へ排出される。
【0097】
次いで、ディスクドライブ装置1による光ディスク3の挿排出工程について説明する。光ディスク3の挿入を待機している状態において、ディスクドライブ装置1のディスク挿排出ユニット10は、搬送アーム12,13が捩りコイルバネ48によりディスク排出方向となる図5中矢印B方向へ回動付勢されるとともに、係止部材14の係止ピン51がストッパ15の先端に係止され大径ディスク3aの排出位置に停止されている。あるいは、ディスク挿排出ユニット10は、係止ピン51がストッパ15に係止されることなく、搬送アーム12,13が、第1の摺動片35aがローラガイド部19の回動規制壁19bに当接する小径ディスク3bの排出位置まで回動されている(図19)。
【0098】
また、挿入待機状態においては、スライダーユニット100のメインスライダー101は装置本体2の背面2b側にスライドされ、サブスライダー102は装置本体2の正面2a側へスライドされている。メインスライダー101は、ラック部104と駆動ギヤ105とが離間されている。また、サブスライダー102に係合する第1のチャックアーム82は、第2のチャックアーム83とともに、各エッジ部82a,83aがクランププレート81のフランジ部81bと上部カバー5との間に挿入され、クランプ部81aをターンテーブル113から離間させている。またターンテーブル113は、ベースシャーシ110が下降されることにより、光ディスク3の搬送領域上から退避されている。
【0099】
さらに、ギヤユニット60は、スイングプレート74に支持されたスイングギヤ66がアイドラギヤ67と咬合されている。スイングプレート74は、図示しない捩りコイルバネが係止されており、常時、スイングギヤ66がアイドラギヤ67と咬合する方向に回動付勢されている。
【0100】
この挿入待機状態において、大径ディスク3aが挿入されると、搬送アーム12,13は、搬送ローラ16,16が大径ディスク3aの外周部に当接され、捩りコイルバネ48の付勢力に対抗してディスク挿入方向となる図5中反矢印B方向へ回動される。このとき、図13に示すように、係止部材14の係止ピン51は、ストッパ15の先端から離間され、あるいはストッパ15の基端側から摺動してストッパ15を凹面部26に係合させながら、挿通口21のガイド溝部22へ移動する。ストッパ15は、係止ピン51が摺動したのち、捩りコイルバネ27によってガイド溝部22側に回動される。
【0101】
また、ディスクドライブ装置1は、ディスク挿脱口8の上部近傍に設けたセンサによって大径ディスク3aの挿入を検知すると、駆動モータ61が駆動され、ギヤユニット60によってシャフトギヤ68L,68Rが回転され、搬送ローラ16,16がディスク挿入方向に回転される。大径ディスク3aは、装置本体2内に挿入されていくと、外周面に当接されている搬送ローラ16,16によって引き込まれて、サポートアーム84、トリガーアーム85及びディスク識別アーム87に当接される。ディスク識別アーム87は、被押圧部97が大径ディスク3aに押圧され、背面2b方向に回動されることにより、回転規制部98がガイドアーム86から外れ、回転可能とする。トリガーアーム85は、ディスク当接部94が大径ディスク3aに押圧され、背面2b側に回動されることにより、回動規制が解除されたガイドアーム86とともに回転され、ガイドアーム86の回転がメインスライダー101によって規制された後、押圧ピン95によってメインスライダー101を正面2a側に押圧する。
【0102】
大径ディスク3aは、一対の搬送ローラ16,16にディスク挿入方向に搬送されるとともに、サポートアーム84、トリガーアーム85及びディスク識別アーム87にガイドされることにより、ターンテーブル113及びクランププレート81のクランプ部81aとの間に中心孔が位置するチャッキング位置に搬送される。
【0103】
メインスライダー101は、ガイドアーム86によって正面2a側に押圧されることにより、ラック部104が駆動ギヤ105に咬合する。駆動ギヤ105はギヤユニット60の減速ギヤ65と咬合されているため、メインスライダー101が駆動モータ61の駆動力を受けて正面2a側にスライドするとともに、リンクアーム103を介してサブスライダー102が背面2b側にスライドする。メインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすることにより、ベースシャーシ110が上昇され、ターンテーブル113のセンタリング部が大径ディスク3aの中心孔に挿入される。同時に、第1、第2のチャックアーム82,83が回動され、エッジ部82a,83aがクランププレート81のフランジ部81bの下から退避され、クランプ部81aがターンテーブル113に近接する。これにより大径ディスク3aは、ターンテーブル113とクランププレート81とにチャッキングされる。
【0104】
さらにメインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすると、ディスクチャッキングユニット80を構成するサポートアーム84、トリガーアーム85及びディスク識別アーム87が大径ディスク3aの外周面から離間するようにガイドされ、また搬送アーム12,13も、リリースピン49が押圧されることにより、ディスク挿入方向に回動され、搬送ローラ16,16が大径ディスク3aの外周面から離間する。また、メインスライダー101によってスイングプレート74が押圧され、スイングギヤ66がアイドラギヤ67と離間する方向へ回動される。
【0105】
かかる大径ディスク3aのチャッキング、及びリリースが終了すると、ディスクドライブ装置1は、駆動モータ61が停止され、大径ディスク3aの記録又は再生の操作を待機する。
【0106】
大径ディスク3aに対する情報信号の書き込みあるいは読み出しが終了し、排出操作がなされると、駆動モータ61がディスク挿入時とは逆回転で駆動される。そして、メインスライダー101が背面2b側へスライドし、またサブスライダー102が正面2a側にスライドすると、スイングプレート74が回動復帰してスイングギヤ66とアイドラギヤ67とが咬合し、駆動モータの駆動力が搬送ローラ16,16に伝達する。また、ディスクチャッキングユニット80を構成する各種アームもメインスライダー101及びサブスライダー102によるガイドが解かれ、大径ディスク3aの排出に応じて初期位置に回動復帰する。さらに、ベースシャーシ110が下降するとともに、第1、第2のチャックアーム82,83が回動され、ターンテーブル113とクランププレート81のクランプ部81aとが離間し、大径ディスク3aのチャッキングが解除される。
【0107】
搬送ローラ16,16がディスク排出方向へ回転されることにより、大径ディスク3aはディスク挿脱口8に向かって搬送される。搬送アーム12,13は、タイミング部材17,18によって常時ディスク排出方向となる矢印B方向へ回動付勢されているため、大径ディスク3aの搬送にともなって回動され、常時搬送ローラ16,16が大径ディスク3aの外周面に当接されている。
【0108】
また、搬送アーム12,13に回動可能に支持されている係止部材14は、捩りコイルバネ55に回動付勢されることにより、係止ピン51がガイド溝部22から退避部23に向かって回動される。このとき、図14に示すように、係止部材14は、係止ピン51が大径ディスク3aの外周面に当接されることにより同図中矢印D方向への回動が規制されている。このため、係止部材14は、係止ピン51がストッパ15と退避部23との間に設けられているクリアランスCを通過することができず、図5に示すように、係止ピン51がストッパ15の先端に当接される。搬送アーム12,13は、係止ピン51がストッパ15の先端に当接することにより、矢印B方向への回動が規制される。ディスクドライブ装置1では、この係止ピン51がストッパ15の先端に当接し搬送アーム12,13の回動が規制された位置まで回動されることにより、大径ディスク3aの排出が停止される。かかる大径ディスク排出位置において、大径ディスク3aは、ディスク挿脱口8から中心孔が臨まされた状態で保持されている。したがって、ユーザは、大径ディスク3aの中心孔と外周部を摘むことで把持することができ、信号記録面に触れることなく大径ディスク3aを扱うことができる。
【0109】
ディスクドライブ装置1は、大径ディスク3aがディスク挿脱口8から排出されたことを検出すると、駆動モータ61が停止される。図15に示すように、大径ディスク3aがディスク挿脱口8から取り去られた後は、搬送アーム12,13は、係止ピン51がストッパ15の先端に係止された大径ディスク排出位置に支持された状態となる。
【0110】
上述した挿入待機状態において、小径ディスク3bが挿入されると、搬送アーム12,13は、搬送ローラ16,16が小径ディスク3bの外周部に当接され、捩りコイルバネ48の付勢力に対抗してディスク挿入方向となる図16中反矢印B方向へ回動される。このときも、図16に示すように、係止部材14の係止ピン51は、ストッパ15の先端から離間され、あるいはストッパ15の基端側から摺動してストッパ15を凹面部26に係合させながら、挿通口21のガイド溝部22へ移動する。ストッパ15は、係止ピン51が摺動したのち、捩りコイルバネ27によってガイド溝部22側に回動される。
【0111】
また、ディスクドライブ装置1は、ディスク挿脱口8の上部近傍に設けたセンサによって小径ディスク3bの挿入を検知すると、駆動モータ61が駆動され、ギヤユニット60によってシャフトギヤ68L,68Rが回転され、搬送ローラ16,16がディスク挿入方向に回転される。小径ディスク3bは、装置本体2内に挿入されていくと、外周面に当接されている搬送ローラ16,16によって引き込まれて、サポートアーム84及びトリガーアーム85に当接されるが、ディスク識別アーム87には当接されない。ディスク識別アーム87は、小径ディスク3bに押圧されることなく、回転規制部98がガイドアーム86に係止された状態が維持され、回転を規制している。トリガーアーム85は、ディスク当接部94が小径ディスク3bに押圧され、背面2b側に回動されることにより、回転が規制されたガイドアーム86と一体に回転されることなく、直ちに押圧ピン95によってメインスライダー101を正面2a側に押圧する。
【0112】
小径ディスク3bは、一対の搬送ローラ16,16にディスク挿入方向に搬送されるとともに、サポートアーム84及びトリガーアーム85にガイドされることにより、ターンテーブル113及びクランププレート81のクランプ部81aとの間に中心孔が位置するチャッキング位置に搬送される。
【0113】
メインスライダー101は、ガイドアーム86によって正面2a側に押圧されることにより、ラック部104が駆動ギヤ105に咬合する。駆動ギヤ105はギヤユニット60の減速ギヤ65と咬合されているため、メインスライダー101が駆動モータ61の駆動力を受けて正面2a側にスライドするとともに、リンクアーム103を介してサブスライダー102が背面2b側にスライドする。メインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすることにより、ベースシャーシ110が上昇され、ターンテーブル113のセンタリング部が小径ディスク3bの中心孔に挿入される。同時に、第1、第2のチャックアーム82,83が回動され、エッジ部82a,83aがクランププレート81のフランジ部81bの下から退避され、クランプ部81aがターンテーブル113に近接する。これにより小径ディスク3bは、ターンテーブル113とクランププレート81とにチャッキングされる。
【0114】
さらにメインスライダー101及びサブスライダー102がスライドすると、ディスクチャッキングユニット80を構成するサポートアーム84、トリガーアーム85及びディスク識別アーム87が小径ディスク3bの外周面から離間するようにガイドされ、また搬送アーム12,13も、リリースピン49が押圧されることにより、ディスク挿入方向に回動され、搬送ローラ16,16が小径ディスク3bの外周面から離間する。また、メインスライダー101によってスイングプレート74が押圧され、スイングギヤ66がアイドラギヤ67と離間する方向へ回動される。
【0115】
かかる小径ディスク3bのチャッキング、及びリリースが終了すると、ディスクドライブ装置1は、駆動モータ61が停止され、小径ディスク3bの記録又は再生の操作を待機する。
【0116】
小径ディスク3bに対する情報信号の書き込みあるいは読み出しが終了し、排出操作がなされると、駆動モータ61がディスク挿入時とは逆回転で駆動される。そして、メインスライダー101が背面2b側へスライドし、またサブスライダー102が正面2a側にスライドすると、スイングプレート74が回動復帰してスイングギヤ66とアイドラギヤ67とが咬合し、駆動モータの駆動力が搬送ローラ16,16に伝達する。また、ディスクチャッキングユニット80を構成する各種アームもメインスライダー101及びサブスライダー102によるガイドが解かれ、小径ディスク3bの排出に応じて初期位置に回動復帰する。さらに、ベースシャーシ110が下降するとともに、第1、第2のチャックアーム82,83が回動され、ターンテーブル113とクランププレート81のクランプ部81aとが離間し、小径ディスク3bのチャッキングが解除される。
【0117】
搬送ローラ16,16がディスク排出方向へ回転されることにより、小径ディスク3bはディスク挿脱口8に向かって搬送される。図17に示すように、搬送アーム12,13は、タイミング部材17,18によって常時ディスク排出方向となる矢印B方向へ回動付勢されているため、小径ディスク3bの搬送にともなって回動され、常時搬送ローラ16,16が小径ディスク3bの外周面に当接されている。
【0118】
また、搬送アーム12,13に回動可能に支持されている係止部材14は、捩りコイルバネ55に回動付勢されることにより、係止ピン51がガイド溝部22から退避部23に向かって回動される。このとき、図18に示すように、係止部材14は、係止ピン51が小径ディスク3bの外周面に当接されることなく、同図中矢印D方向への回動可能とされている。このため、係止部材14は、係止ピン51がストッパ15と退避部23との間に設けられるクリアランスCを通過する。したがって、図19に示すように、搬送アーム12,13は、矢印B方向への回動が規制されることなく、第1の摺動片35aがローラガイド部19の回動規制壁19bに当接される小径ディスク排出位置まで回動される。ディスクドライブ装置1では、搬送アーム12,13が、かかる小径ディスク排出位置まで回動されることにより、小径ディスク3bの排出が停止され、ディスク挿脱口8から中心孔が臨まされた状態で保持する。したがって、ユーザは、小径ディスク3bの中心孔と外周部を摘むことで把持することができ、信号記録面に触れることなく小径ディスク3bを扱うことができる。
【0119】
以上のように、ディスクドライブ装置1は、大径ディスク3aと小径ディスク3bとでは、径の違いに応じてディスク挿脱口8からの最適な排出位置が異なることから、光ディスク3の挿排出を行う搬送アーム12,13の回動範囲を、小径ディスク3bの排出時よりも大径ディスク3aの排出時に、装置本体2の背面2b側に規制している。具体的に、ディスクドライブ装置1は、搬送アーム12,13に、ディスク排出方向に回動付勢された係止部材14を設けるとともに、搬送アーム12,13の回動にともなって回動する係止部材14の係止ピン51の移動領域上にストッパ15を進退可能に設ける。
【0120】
そして、大径ディスク3aの排出時には係止ピン51の移動軌跡を大径ディスク3aの外周面によって規制してストッパ15の先端に係止させ、これにより搬送アーム12,13を大径ディスク3aの排出に適した位置に回動させることができる。一方、小径ディスク3bの排出時には、係止ピン51の移動軌跡が小径ディスク3bによって規制されず、ストッパ15と退避部23との間に設けたクリアランスCを通過するため、搬送アーム12,13を小径ディスク3bの排出に適した位置まで回動させることができる。
【0121】
なお、ディスクドライブ装置1は、小径ディスク3bがディスク挿脱口8の略中央に挿入されず、左右の一方に偏倚して挿入された場合には、搬送アーム12,13の回動を規制して装置本体2内への挿入を不能とする挿入規制部120が設けられている。図16に示すように、挿入規制部120は、係止ピン51が挿通するベース板11の挿通口21に、退避部23と連続して形成されている。具体的に、挿入規制部120は、ガイド溝部22と並列して装置本体2の正面2a側に設けられ、退避部23の内側面がベース板11の左右両側に入り込む嵌合部120aと、ガイド溝部22の内側面から連続され嵌合部120a上を退避部23内に張り出すガイド辺120bとを有する。
【0122】
嵌合部120aは、小径ディスク3bがディスク挿脱口8に偏倚挿入された場合に、係止部材14の係止ピン51が嵌合し、搬送アーム12,13の回動を規制するものである。すなわち、係止ピン51は、小径ディスク3bが偏倚挿入されると、ディスク外周面に押圧され、挿通口21内の移動軌跡が通常の挿入時よりも左又は右に偏倚するため、退避部23の左右両側に形成された嵌合部120aのいずれか一方に嵌合する。係止ピン51が嵌合部120aに嵌合することにより、係止部材14及び搬送アーム12又は搬送アーム13の回動が規制され、さらなる偏倚挿入は不能となる。この状態で小径ディスク3bがさらに装置本体2内に挿入されると、回動が規制された搬送アーム12,13によって小径ディスク3bはディスク挿脱口8の中央側にガイドされ、通常の挿入動作に復帰する。
【0123】
なお、嵌合部120aに嵌合された係止ピン51は、嵌合部120a上に張り出し形成されているガイド辺120bにより、嵌合部120aとの嵌合が外れて偏倚挿入方向へ移動することはない。また、光ディスク3の排出工程において、係止ピン51がガイド溝部22から退避部23へ移動する際にも、ガイド辺120bが嵌合部120a上に張り出しているため、係止ピン51が嵌合部120a側に入り込むことはない。さらに、大径ディスク3aが挿入された場合は、ディスク挿脱口8の幅が大径ディスク3aの径よりも若干広く形成されているだけであるため、偏倚挿入がされたとしても、搬送アーム12,13は、ほぼ通常の軌跡で回動する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】ディスクドライブ装置の分解斜視図である。
【図2】ディスク挿排出ユニットを上側から示す斜視図である。
【図3】ディスク挿排出ユニットを下側から示す斜視図である。
【図4】ディスク挿排出ユニットを示す分解斜視図である。
【図5】大径ディスクが排出される状態を示す平面図である。
【図6】ディスク挿排出ユニットを一部透過して示す斜視図である。
【図7】下部ケースを示す斜視図である。
【図8】ディスクドライブ装置内部を下方から示す斜視図である。
【図9】ディスクチャッキングユニットを示す斜視図である。
【図10】チャッキングユニットを示す斜視図である。
【図11】ガイドアーム86の回転が規制された状態を示す斜視図である。
【図12】トリガーアームによってメインスライダーを押圧する状態を示す斜視図である。
【図13】大径ディスクが挿入された状態を示す平面図である。
【図14】大径ディスクの排出工程において、係止ピンが大径ディスクの外周に当接されて回動が規制されている状態を示す平面図である。
【図15】大径ディスクが排出された状態を示す平面図である。
【図16】小径ディスクが挿入された状態を示す平面図である。
【図17】小径ディスクが排出される状態を示す平面図である。
【図18】小径ディスクの排出工程において、係止ピンがストッパに係止されず退避領域へ回動する状態を示す平面図である。
【図19】小径ディスクが排出された状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0125】
1 ディスクドライブ装置、2 装置本体、3 光ディスク、4 下部ケース、5 上部カバー、6 ディスク搬送機構、7 光ピックアップ機構、8 ディスク挿脱口、10 ディスク挿排出ユニット、11 ベース板、12,13 搬送アーム、14 係止部材、15 ストッパ、16 搬送ローラ、17,18 タイミング部材、19 ローラガイド部、20 ギヤ支持部、21 挿通口、22 ガイド溝部、23 退避部、26 凹面部、27 捩りコイルバネ、28 鉤部、30 アーム本体、31 伝達ギヤ列、32 ギヤ孔、33 支持凸部、34 ローラ支持部、35 (第1、第2)摺動片、36 ガイドリブ、37 ローラギヤ、38 アーム溝、39 回転支持壁、40 タイミングアーム、41 タイミングギヤ、42 支持凸部、43 嵌合孔、44 支軸、45 軸孔、46 嵌合凸部、47 軸孔、48 捩りコイルバネ、49 リリースピン、50 回動板、 51 係止ピン、53 支持孔、54 回動支軸、55 捩りコイルバネ、56 長孔、60 ギヤユニット、61 駆動モータ、63 ヘリカルギヤ、65 減速ギヤ、66 スイングギヤ、67 アイドラギヤ、68 シャフトギヤ、69 プーリ、80 ディスクチャッキングユニット、81 クランププレート、82,83 チャックアーム、70 伝達ベルト、74 スイングプレート、84 サポートアーム、85 トリガーアーム、86 ガイドアーム、87 ディスク識別アーム、91 回動ピン、92 操作ピン、93 ディスク支持部、94 ディスク当接部、95 押圧ピン、97 被押圧部、98 回転規制部、100 スライダーユニット、101 メインスライダー、102 サブスライダー、103 リンクアーム、104 ラック部、105 駆動ギヤ、110 ベースシャーシ、111 ベースユニット、112 ベースフレーム、113 ターンテーブル、114 光ピックアップ、115 ピックアップベース、116対物レンズ、120 挿入規制部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径ディスクを排出する大径ディスク排出位置と、小径ディスクを排出する小径ディスク排出位置とに亘って回動され、上記大径ディスク及び小径ディスクの外周に当接されるアームと、
上記アームに回動自在に取り付けられた係止部材と、
上記係止部材の移動領域に進退可能に設けられ、上記係止部材と係脱可能に形成されたストッパとを備え、
上記係止部材が上記ストッパに係止されることにより上記アームが上記大径ディスク排出位置まで回動可能となり、上記係止部材が上記ストッパに係止されないことにより上記アームが上記小径ディスク排出位置まで回動可能とされるディスクドライブ装置。
【請求項2】
上記アームには、上記大径ディスク及び小径ディスクを搬送するローラ部材が形成されている請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項3】
上記係止部材は、上記大径ディスクの外周に当接することによって回動が規制されることにより上記ストッパに係止される請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項4】
上記係止部材は、上記小径ディスクに当接することなく回動されることにより上記ストッパに係止されない請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項5】
上記大径ディスク又は小径ディスクが偏倚して挿入されると、上記係止部材と係止することにより上記アームの回動を規制する規制部材が設けられている請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項6】
大径ディスクを排出する大径ディスク排出位置と、小径ディスクを排出する小径ディスク排出位置とに亘って回動され、上記大径ディスク及び小径ディスクの外周に当接されるアームと、
上記アームに回動自在に取り付けられた係止部材と、
上記係止部材の移動領域に進退可能に設けられ、上記係止部材と係脱可能に形成されたストッパとを備え、
上記係止部材が上記ストッパに係止されることにより上記アームが上記大径ディスク排出位置まで回動可能となり、上記係止部材が上記ストッパに係止されないことにより上記アームが上記小径ディスク排出位置まで回動可能とされるディスクドライブ装置が内蔵された電子機器。
【請求項1】
大径ディスクを排出する大径ディスク排出位置と、小径ディスクを排出する小径ディスク排出位置とに亘って回動され、上記大径ディスク及び小径ディスクの外周に当接されるアームと、
上記アームに回動自在に取り付けられた係止部材と、
上記係止部材の移動領域に進退可能に設けられ、上記係止部材と係脱可能に形成されたストッパとを備え、
上記係止部材が上記ストッパに係止されることにより上記アームが上記大径ディスク排出位置まで回動可能となり、上記係止部材が上記ストッパに係止されないことにより上記アームが上記小径ディスク排出位置まで回動可能とされるディスクドライブ装置。
【請求項2】
上記アームには、上記大径ディスク及び小径ディスクを搬送するローラ部材が形成されている請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項3】
上記係止部材は、上記大径ディスクの外周に当接することによって回動が規制されることにより上記ストッパに係止される請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項4】
上記係止部材は、上記小径ディスクに当接することなく回動されることにより上記ストッパに係止されない請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項5】
上記大径ディスク又は小径ディスクが偏倚して挿入されると、上記係止部材と係止することにより上記アームの回動を規制する規制部材が設けられている請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項6】
大径ディスクを排出する大径ディスク排出位置と、小径ディスクを排出する小径ディスク排出位置とに亘って回動され、上記大径ディスク及び小径ディスクの外周に当接されるアームと、
上記アームに回動自在に取り付けられた係止部材と、
上記係止部材の移動領域に進退可能に設けられ、上記係止部材と係脱可能に形成されたストッパとを備え、
上記係止部材が上記ストッパに係止されることにより上記アームが上記大径ディスク排出位置まで回動可能となり、上記係止部材が上記ストッパに係止されないことにより上記アームが上記小径ディスク排出位置まで回動可能とされるディスクドライブ装置が内蔵された電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−259358(P2009−259358A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109332(P2008−109332)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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