説明

ディスクプレイヤ

【課題】ディスク状記録媒体の挿入及び排出に支障をきたすことなくドライブユニットの動きを規制した状態でラットルノイズのレベルを低減させることのできる構造のディスクプレイヤを提供することである。
【解決手段】外部筐体200内に弾性支持されるドライブユニット100と、ディスクの挿入及び排出を可能とする際に外部筐体200内の所定位置にてドライブユニット100の動きを規制するロック機構とを有し、前記ロック機構は、ドライブユニット100の前方所定部位の両側部のそれぞれを、上下方向の動きをほぼなくして幅方向に延びる軸202a、202bを中心に回動自在となるように支持し、ドライブユニット100の軸202a、202bを中心とした揺動を許容した状態でドライブユニット100の前記前方所定部位の動きを規制する前部ロック機構(151、202a、202b)を有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等のディスク状記録媒体から情報を再生するディスクプレイヤに係り、詳しくは、外部筐体内に弾性支持され、ディスク状記録媒体からの情報の読み出しに際して該ディスク状記録媒体を回転駆動するドライブユニットの前記外部筐体内での動きを前記ディスク状記録媒体の挿入及び排出を可能にするに際して規制するロック機構を備えたディスクプレイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるオーディオ装置やナビゲーション装置等に適用されるディスクプレイヤでは、ディスク状記録媒体(以下、単にディスクという)を回転駆動するターンテーブルやディスクから情報の読み出しを行なうピックアップ等を備えたドライブユニットが外部筐体内において弾性支持された構造となっている。これにより、走行時の車両の振動が外部筐体に伝達しても、その振動がドライブユニットに直接伝達することがなく(防振構造)、ディスクから情報を安定的に再生することができるようになる。
【0003】
このようにドライブユニットが外部筐体内に弾性支持される構造となるディスクプレイヤでは、ディスクが支障なくドライブユニットに挿入され、また、そのディスクが支障なくドライブユニットから排出されるようにするため、ディスクの挿入及び排出を可能とする際に外部筐体内の所定位置にて前記ドライブユニットの動きを規制するロック機構が設けられている。従来のディスクプレイヤにおけるロック機構は、例えば、ドライブユニットの前方所定部位の両側部及び該前方所定部位より後方に位置する後方所定部位の両側部のディスクの挿入及び排出方向の動きと、挿入及び排出されるディスクの面に直交する方向の動きの双方をほぼなくすように当該ドライブユニットの動きを規制するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなロック機構を有するディスクプレイヤでは、ディスクの挿入及び排出時に、ドライブユニットがディスクの挿入及び排出方向の動きとディスクの面に直交する方向の動きの双方がほぼなくされているので、ディスクの挿入及び排出が支障なくなされるようになる。
【特許文献1】特開2000−48445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したようなロック機構を有する従来のディスクプレイヤでは、ディスクの挿入及び排出が可能となる状態において、外部筐体に伝達した振動がロック機構を介してドライブユニットに伝達するため、ロック機構を構成する部品間でのガタツキ等によってドライブユニットが共振し、ラットルノイズのレベルが大きくなる傾向にあった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、ディスク状記録媒体の挿入及び排出に支障をきたすことなくドライブユニットの動きを規制した状態でラットルノイズのレベルを低減させることのできる構造のディスクプレイヤを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るディスクプレイヤは、外部筐体と、該外部筐体内に弾性支持され、ディスク状記録媒体からの情報の読み出しに際して該ディスク状記録媒体を回転駆動するドライブユニットと、該ドライブユニットの前方からの前記ディスク状記録媒体の挿入及び排出を可能とする際に前記外部筐体内の所定位置にて前記ドライブユニットの動きを規制するロック機構とを有し、前記ロック機構は、前記ドライブユニットの前方所定部位の両側部のそれぞれを、挿入及び排出される前記ディスク状記録媒体の面に直交する方向の動きをほぼなくして該ディスク状記録媒体の面に平行な方向に延びる軸を中心に回動自在となるように支持し、前記ドライブユニットの前記軸を中心とした揺動を許容した状態で当該ドライブユニットの前記前方所定部位の動きを規制する前部ロック機構を有する構成となる。
【0008】
このような構成により、外部筐体内において弾性支持されたドライブユニットの前方所定部の両側部が、挿入及び排出されるディスク状記録媒体の面に平行な方向に延びる軸を中心に回動自在となるように支持されて当該ドライブユニットの前記軸を中心とした揺動が許容された状態で前記前方所定部位の動きが規制されるので、外部筐体に与えられた振動が前記軸を介してドライブユニットの前記前方所定部位に伝達しても、当該ドライブユニットの前記前方所定部位よりディスク状記録媒体の挿入方向下流側(後方側)部分の振動が弾性部材によって緩和され得るようになる。また、ドライブユニットの前記前方所定部位がディスク状記録媒体に直交する方向の動きがほぼなくなった状態になるので、前方からディスク状記録媒体を支障なく挿入及び排出することができるようになる。
【0009】
また、本発明に係るディスクプレイヤにおいて、前記前部ロック機構は、前記ドライブユニットの前記前方所定部位の両側部のそれぞれに形成された軸受け部と、前記外部筐体の側方内壁から前記ディスク状記録媒体の面に平行な方向に突出し、前記軸受け部に回動自在に係合する軸体とを有する構成とすることができる。
【0010】
このような構成により、ドライブユニットの前方所定部位の両側部のそれぞれに形成された軸受け部に外部筐体の側方内壁から突出する軸体が回転自在に係合するので、前記ドライブユニットの前記軸体を中心とした揺動が許容された状態で前記ドライブユニットの前方所定部位の動きが規制され得るようになる。
【0011】
また、本発明に係るディスクプレイヤにおいて、前記ロック機構は、更に、前記ドライブユニットの前記前方所定部位より前記ディスク状記録媒体の挿入方向下流側となる後方所定部位の前記ディスク状記録媒体の面に直交する方向の動きを当該ロック機構による規制が解除された状態での動きより小さい範囲に規制する後部ロック機構を有する構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、前記前部ロック機構により前記軸を中心とした揺動が許容された状態で前方所定部位の動きが規制されるドライブユニットの更に後方所定部位のディスク状記録媒体の面に直交する方向の動きが当該ロック機構による規制が解除された状態での動きより小さい範囲に規制されるので、比較的大きい振動が外部筐体に与えられた際でも、ドライブユニット全体の振動を比較的小さく抑制することができる。その結果、ディスク状記録媒体の挿入及び排出を可能にした際にそのような大きい振動が外部筐体に与えられたとしても、その挿入及び排出に支障をきたすことを極力防止することができる。
【0013】
また、本発明に係るディスクプレイヤにおいて、前記後部ロック機構は、前記ドライブユニットの前記後方所定部位の下方に対向して配置されるブラケット部材を有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、ドライブユニットが振動した際にその後方所定部位の下部がブラケット部材に突き当たるようになるので、前記ドライブユニットの後方所定部位の下方への動きを規制することができるようになる。
【0015】
更に、本発明に係るディスクプレイヤにおいて、前記ブラケット部材は、前記外部筐体の側方内壁から突出するように形成された構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、ブラケット部材を比較的容易に外部筐体内に配置することができるようになる。
【0017】
また、本発明に係るディスクプレイヤにおいて、前記軸受け部は、前記ドライブユニットの前方に開放する凹部となる構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、ドライブユニットの前方に開放する凹部に外部筐体の側方内壁から突出する軸体が係合するようになるので、前記ドライブユニットをディスク状記録媒体の排出方向及び挿入方向(前後方向)に移動させることにより、前記軸体の前記凹部に対する係脱(ドライブユニットの動きの規制及びその規制の解除)を行い得るようになる。
【0019】
更に、本発明に係るディスクプレイヤにおいて、前記ロック機構は、更に、前記ディスク状記録媒体の挿入方向となる後方への動きをほぼなくすように前記ドライブユニットの動きを規制する後方動規制機構を有する構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、ドライブユニットの前方に開放する凹部に外部筐体の側方内壁から突出する軸体が係合する状態で、当該ドライブユニットのディスク状記録媒体の挿入方向となる後方への動きを確実に規制することができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るディスクプレイヤによれば、ディスク状記録媒体の挿入及び排出を可能とする際に、外部筐体において弾性支持されたドライブユニットの前方所定部位の両側部のそれぞれが、前記ディスク状記録媒体の面に直交する方向の動きをほぼなくして該ディスク状記録媒体の面に平行な方向に延びる軸を中心に回動自在となるように支持され、前記ドライブユニットの前記軸を中心とした揺動を許容した状態で当該ドライブユニットの前記前方所定部位の動きが規制されることから、そのドライブユニットの動きが規制された状態で外部筐体に与えられた振動が前記軸を介してドライブユニットの前記前方所定部位に伝達しても、当該ドライブユニットの前記前方所定部位よりディスク状記録媒体の挿入方向下流側(後方側)部分の振動が弾性部材によって緩和され得るようになり、前方からのディスク状記録媒体の挿入及び排出に支障をきたすことなくラットルノイズのレベルを低減させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
本発明の実施の形態に係るディスクプレイヤは、図1乃至図8に示すように構成されている。なお、図1乃至図8は、ディスクの挿入及び排出を可能とする際にロック機構によってドライブユニットの動きが規制された状態のディスクプレイヤを示し、図1はディスクプレイヤの全体を示す斜視図、図2はドライブユニットを示す斜視図、図3はリンク機構により連結される左右のスライダを示す斜視図、図4はリンク機構により連結される左右のスライダを示す平面図、図5は前部ロック機構を前方側から見た正面図、図6は図5におけるB部の拡大図、図7はディスクプレイヤのロック機構を外部筐体の内側から見た側面図、及び図8はディスクプレイヤを外方から見た側面図である。
【0024】
図1において、このディスクプレイヤは、外部筐体200内にドライブユニット100が収容された構造となっている。図示されてはいないが、ドライブユニット100は、例えばその3つのコーナ部において外部筐体200内に設けられたダンパやスプリング等の弾性部材により支持されている。外部筐体200の前面にディスクの挿入(A1)及び排出(A2)の方向(前後方向A2−A1)に直交する幅方向A3−A4に延びる開口210が形成されており、この開口210を介してディスクのドライブユニット100への挿入及びディスクのドライブユニット100からの排出がなされる。なお、以下、ディスクの挿入方向A1を後方(後方向)、ディスクの排出方向A2を前方(前方向)という。
【0025】
ドライブユニット100は、図2に示すように構成されている。このドライブユニット100は本体シャーシ10を有し、本体シャーシ10の略中央部にスピンドルモータにて回転されるターンテーブル11が設けられている。本体シャーシ10の後方端部にクランプアーム12の端部が固定されており、クランプアーム12の前方端部の略中央にクランパの取り付け部12aが設けられ、その取付け部12aの先端部にターンテーブル11に対向するようにクランパ(図示略)が取付けられている。また、本体シャーシ10の前方部上面にシャーシトップ13が設けられ、図示しないローラとシャーシトップ13とによってディスクを挟持した状態で前記ローラの回転によりディスクが搬送(挿入及び排出)されるようになっている。なお、図示されてはいないが、本体シャーシ10の所定位置には、ターンテーブル11上にセットされて回転駆動されるディスクから情報の読み出しを行なうための光ピックアップが設けられている。
【0026】
本体シャーシ10の一方側面の外側にスライダ15aが前方及び後方にスライド移動可能に支持されており、本体シャーシ10の他方側面の外側にもスライダ15bが前方及び後方にスライド移動可能に支持されている。スライダ15aの前方端部(ドライブユニット100の前方部位)には前方に開放する軸受け凹部151が形成され、該前方端部より後方の所定部位(ドライブユニット100の後方部位)には下方に突出する突出部152が形成されている。スライダ15aと同様に、他方のスライダ15bの前方端部にも前方に開放する軸受け凹部151が形成され(図3、図4、図5参照)、その前方端部より後方の所定部位には下方に突出する突出部(図示略)が形成されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、一方のスライダ15aは、ロックアーム20aとリンク機構30とを介して他方のスライダ15bに連結されている。そして、スライダ15bに前後方向の駆動力が与えられるようになっており(図示略)、リンク機構30及びロックアーム20aによってスライダ15bの前後方向のスライド移動に同期して他方のスライダ15aが前後方向にスライド移動するようになっている。詳細には、リンク機構30に係合するロックアーム20aは、図7及び図8に示すように、本体シャーシ10の側面から突出する軸21に回動自在に支持されている。スライダ15aの軸受け凹部151と突出部152との間の所定位置にガイド孔153が形成されており、ロックアーム20aの周辺部位の所定位置に設けられたピン(図示略)がガイド孔153に嵌め込まれている。スライダ15bの後方A1へのスライド移動に伴うリンク機構30(図3及び図4参照)の動作によりロックアーム20aが後方A1に向けて(図7において反時計方向、図8において時計方向)回動される。そのロックアーム20aの回動に伴うガイド孔153にてガイドされた前記ピンの動きによってスライダ15aが後方A1にスライド移動する。一方、スライダ15bの前方A2へのスライド移動に伴うリンク機構30の動作によりロックアーム20aが前方A2に向けて(図7において時計方向、図8において反時計方向)回動される。そのロックアーム20aの回動に伴うガイド孔153にてガイドされた前記ピンの動きによってスライダ15bが前方A2にスライド移動する。このようにして、両スライダ15a、15bは同期して前後方向にスライド移動する。
【0028】
また、図3及び図4に示すように、スライダ15bの先端部より後方側にスライダ15bに係合するロックアーム20bが設けられており、ロックアーム20bは、前述したようにスライダ15aに係合するロックアーム20aと同様に、本体シャーシ10の側面から突出する軸に回動自在に支持されている。そして、ロックアーム20bは、スライダ15bの前方へのスライド移動に伴って前方に向けて回動し、スライダ15bの後方へのスライド移動に伴って後方に向けて回動する。
【0029】
図5乃至図8に示すように、外部筐体200の側面パネル201a、201bの内面(側方内壁)前端部の所定位置には、挿入及び排出されるディスクの面に平行な方向(図5における幅方向A3−A4)に突出するように軸体202a、202bが立設されている。これら軸体202a、202bの先端部は、対応する側のスライダ15a、15bの前端部に形成された軸受け凹部151に回動自在に係合している。また、各軸体202a、202bの先端部は、対応する軸受け凹部151にディスクの面に直交する方向(図5、図7及び図8における方向A5−A6であり、以下、上下方向という)に隙間なく係合している。これにより、スライダ15aの前端部及びスライダ15bの前端部のそれぞれ、即ち、ドライブユニット100の前方部位の両側部のそれぞれは、上下方向A5−A6の動きをほぼなくして外部筐体200の対応する側の側面パネル201a、201bから突出する軸体202a、202bを中心に回動自在となるように支持されることとなる。このようにして、ドライブユニット100の各軸体202a、202bを中心とした揺動が許容された状態でドライブユニット100の前方部位の動きが規制される。
【0030】
前述したように外部筐体200の側面パネル201a、201bの内面前端部に立設された軸体202a、202b及びそれら軸体202a、202bが係合するスライダ15a、15bの前端部に形成された軸受け凹部151により、ドライブユニット100の前方部位の動きを規制する前部ロック機構が構成される。
【0031】
外部筐体200の側面パネル201aの内面所定部位にはブラケット部材203が内方に突出するように立設されている。ブラケット部材203は、前方斜め上方を向いた面を有する後方動規制部203aと前後方向A2−A1(及び幅方向A3−A4)に平行となる面を有する下方動規制部203bとから構成されている。そして、前述したようにスライダ15a、15bの軸受け凹部151に軸体202a、202bが係合してドライブユニット100の前方部位の動きが規制された状態で、スライダ15aに形成された突出部152の先端とブラケット部材203の下方動規制部203bの面とが対向し、それらの間に隙間Δ10(例えば、1mm程度)が形成されるようになっている。この状態で、スライダ15aの上端面(ドライブユニット100の上面)と外部筐体200の上面との間に隙間Δ20(例えば、1mm程度)が形成される。これにより、スライダ15aの突出部152の形成された部位、即ち、ドライブユニット100の後方部位の上方向A5及び下方向A6の動きが外部筐体200の上面及びブラケット部材203の下方動規制部203b(後部ロック機構)によってΔ20及びΔ10の範囲に規制される。
【0032】
また、ドライブユニット100の前方部位の動きが規制された状態で、ロックアーム20aの軸21を挟んでスライダ15aのガイド孔153に嵌め込まれたピンと逆側の面がブラケット部材203の後方動規制部203aの面に当接している(図7、図8参照)。このようにロックアーム20a及びそれが当接するブラケット部材203の後方動規制部203a(後方動規制機構)によって、ドライブユニット100の後方A1への動きが規制される。
【0033】
なお、スライダ15a、ロックアーム20a及びブラケット部材203の関係について述べたが、他方のスライダ15bとロックアーム20bとの関係もスライダ15aとロックアーム20aとの関係と同様であり、また、スライダ15a及びロックアーム20aに対するブラケット部材203の関係と同様の関係にてスライダ15b及びロックアーム20bに対してブラケット部材(図示略)が設けられている。
【0034】
前述したように、軸体202a、202bのそれぞれが対応する側のスライダ15a、15bの前端部に形成された軸受け凹部151に回動自在に係合し、ドライブユニット100の軸体202a、202bを中心とした揺動が許容された状態でドライブユニット100の前方部位の動きが規制されるようになるので、外部筐体100に与えられた振動が軸体202a、202bを介してドライブユニット100の前方部位(スライダ15a、15bの前端部)に伝達しても、弾性部材にて支持されるドライブユニット100の前記前方部位より後方側部位の振動が前記弾性部材によって緩和され得るようになる。従って、ディスクの挿入及び排出が可能となる際に、前記振動に起因したラットルノイズのレベルを低減させることができるようになる。
【0035】
また、ドライブユニット100の軸体202a、202bを中心とした揺動が許容されるものの、それら軸体202a、202bがスライダ15a、15bの軸受け凹部151にその上下方向に隙間なく係合してドライブユニット100の前方部位の上下方向の動きがほぼなくなるので、開口210を介してドライブユニット100の前方側から支障なくディスクの挿入及び排出が可能となる。
【0036】
更に、ドライブユニット100の前方部位より後方に位置する後方部位(スライダ15aの突出部152が形成された部位に対応)での上下方向の動きが後述する前記規制が解除された状態での動きの範囲(Δ11及びΔ21:図14参照)より小さいΔ10及びΔ20の範囲に規制されるので、比較的大きい振動が外部筐体200に与えられた際でも、ドライブユニット100全体の振動を比較的小さく抑制することができる。その結果、ディスクの挿入及び排出に際してそのような大きい振動が外部筐体200に与えられたとしても、その挿入及び排出に支障をきたすことを極力防止することができる。
【0037】
また、スライダ15a(15b)の前端部に形成された軸受け凹部151への軸体202a(202b)の係合により、ドライブユニット100の前方への動きがほぼなくなり、かつ、ロックアーム20a(20b)のブラケット部材203の後方動規制部203aへの当接によってドライブユニット100の後方への動きがほぼなくなるので、ディスクの挿入及び排出をより確実に支障なく行なうことができるようになる。
【0038】
次に、ディスクがドライブユニット100に挿入されて、前述したように動きの規制されたドライブユニット100の当該規制が解除されると、ディスクプレイヤは、図9乃至図15に示すような状態となる。なお、図9はドライブユニットを示す斜視図(対応する図2参照)、図10はリンク機構により連結される左右のスライダを示す斜視図(対応する図3参照)、図11はリンク機構により連結される左右のスライダを示す平面図(対応する図4参照)、図12は前部ロック機構を前方から見た正面図(対応する図5参照)、図13は図12におけるB部の拡大図(対応する図6参照)、図14はディスクプレイヤのロック機構を外部筐体の内側から見た側面図(対応する図7参照)、及び図15はディスクプレイヤを外方から見た側面図である(対応する図8参照)。
【0039】
駆動力が作用する一方のスライダ15bが後方A1にスライド移動すると、図10及び図11に示すようにリンク機構30が動作して(図3及び図4に示す状態を比較参照)、ロックアーム20aが後方に向けて回動し、他方のスライダ15aもスライダ15bの動きに同期して後方A1にスライド移動する。その結果、図9に示すように、スライダ15a、15bが本体シャーシ10に対して後方に移動する(図2に示す状態を比較参照)。
【0040】
このようにスライダ15a、15bが後方A1にスライド移動すると、図12乃至図15に示すように、外部筐体200の側面パネル201a、201bの内面前端部から突出する軸体202a、202bの先端部がスライダ15a、15bの前端部に形成された軸受け凹部151から外れる。そして、ロックアーム20aの回動によって、そのロックアーム20aがブラケット部材203の後方動規制部203aから離れると共に(図14、図15参照)、スライダ15aの突出部152がブラケット部材203の下方動規制部203bに対向しない位置までずれる(図14、図15参照)。なお、他方のロックアーム20b及びスライダ15bの突出部も同様となる。その結果、弾性部材にて支持されるドライブユニット100は、前後方向及び上下方向にフリーな状態となって、前述したような動きの規制が解除される。
【0041】
このように動きの規制が解除されたドライブユニット100は、その重みによって外部筐体200内において下方に移動して弾性部材によって支持された状態となる。この状態では、外部筐体200に振動が加わっても、その振動は弾性部材にて緩和されてドライブユニット100に直接伝達することがなく(防振)、ドライブユニット100ではディスクからの情報の読み出し(再生)が安定的になされる。
【0042】
なお、ドライブユニット100の動きの規制が解除された状態で、図14に示すように、スライダ15a(15b)の下端部(ドライブユニット100の下面)とブラケット部材203の下方動規制部203bとの間に隙間Δ11(例えば、4mm)が形成されると共に、スライダ15a(15b)の上端部(ドライブユニット100の上面)と外部筐体200の上面との間に隙間Δ21(例えば、4mm)が形成される。これらの隙間Δ11及び隙間Δ21は、ドライブユニット100の動きが規制された状態での隙間Δ10及び隙間Δ20(図7参照)より大きく、通常の振動に対するドライブユニット100の弾性支持を阻害するものとはならない。
【0043】
また、ディスクの排出を可能にするに際して、スライダ15a、15bが前方A2にスライド移動されると、各スライダ15a、15b(ドライブユニット100)は下方に下がった位置にあるものの(図14、図15参照)、各スライダ15a、15bの先端部に形成された軸受け凹部151が前方に徐々に拡開するように形成されているので、軸受け凹部151の内面が軸体202a、202bにスムーズに沿いつつ各スライダ15a、15bがスライド移動できる。そして、軸体202a、202bが軸受け凹部151に完全に係合する状態に至る過程で、スライダ15a、15bと共に本体シャーシ10が上方に引き上げられる。これにより、ドライブユニット100は、図7、図8に示すように外部筐体200内の上方位置にて前述したような動きの規制された状態となる(図14、図15の状態を比較参照)。
【0044】
なお、前述した例では、各スライダ15a、15bの前端部に軸受け凹部151が形成され、外部筐体200の側面パネル201a、201bから軸受け凹部151に係合すべき軸体202a、202bが突出するものとなっていたが、各スライダ15a、15bの前端部に軸体を設け、外部筐体200の側面パネル201a、201bに前記軸体が係合すべき軸受け部を設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上、説明したように、本発明に係るディスクプレイヤは、ディスク状記録媒体の挿入及び排出に支障をきたすことなくドライブユニットの動きを規制した状態でラットルノイズのレベルを低減させることのできるという効果を有し、外部筐体内に弾性支持され、ディスク状記録媒体からの情報の読み出しに際して該ディスク状記録媒体を回転駆動するドライブユニットの前記外部筐体内での動きを前記ディスク状記録媒体の挿入及び排出に際して規制するロック機構を備えたディスクプレイヤとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ドライブユニットの動きが規制された状態の本発明の実施の一形態に係るディスクプレイヤを示す斜視図である。
【図2】外部筐体内において動きが規制された状態でのドライブユニットの構造を示す斜視図である。
【図3】ドライブユニットの動きが規制された状態でのリンク機構にて連結された左右のスライダを示す斜視図である。
【図4】ドライブユニットの動きが規制された状態でのリンク機構にて連結された左右のスライダを示す斜視図である。
【図5】ドライブユニットの動きが規制された状態での前部ロック機構を前方側から見た正面図である。
【図6】図5におけるB部の拡大図である。
【図7】ドライブユニットの動きが規制された状態でのロック機構を外部筐体の内側から見た側面図である。
【図8】ドライブユニットの動きが規制された状態でのディスクプレイヤを外方から見た側面図である。
【図9】ドライブユニットの動きの規制が解除された状態でのドライブユニットの構造を示す斜視図である。
【図10】ドライブユニットの動きの規制が解除された状態でのリンク機構にて連結された左右のスライダを示す斜視図である。
【図11】ドライブユニットの動きの規制が解除された状態でのリンク機構にて連結された左右のスライダを示す斜視図である。
【図12】ドライブユニットの動きの規制が解除された状態での前部ロック機構を前方側から見た正面図である。
【図13】図12におけるB部の拡大図である。
【図14】ドライブユニットの動きの規制が解除された状態でのロック機構を外部筐体の内側から見た側面図である。
【図15】ドライブユニットの動きの規制が解除された状態でのディスクプレイヤを外方から見た側面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 本体シャーシ
11 ターンテーブル
12 クランプアーム
12a 取り付け部
13 シャーシトップ
15a,15b スライダ
151 軸受け凹部
152 突出部
153 係合孔
20a,20b ロックアーム
21 軸
30 リンク機構
100 ドライブユニット
200 外部筐体
201a,201b 側面パネル
202a,202b 軸体
203 ブラケット部材
203a 後方動規制ブラケット
203b 下方動規制ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部筐体と、
該外部筐体内に弾性支持され、ディスク状記録媒体からの情報の読み出しに際して該ディスク状記録媒体を回転駆動するドライブユニットと、
該ドライブユニットの前方からの前記ディスク状記録媒体の挿入及び排出を可能とする際に前記外部筐体内の所定位置にて前記ドライブユニットの動きを規制するロック機構とを有し、
前記ロック機構は、
前記ドライブユニットの前方所定部位の両側部のそれぞれを、挿入及び排出される前記ディスク状記録媒体の面に直交する方向の動きをほぼなくして該ディスク状記録媒体の面に平行な方向に延びる軸を中心に回動自在となるように支持し、前記ドライブユニットの前記軸を中心とした揺動を許容した状態で当該ドライブユニットの前記前方所定部位の動きを規制する前部ロック機構を有することを特徴とするディスクプレイヤ。
【請求項2】
前記前部ロック機構は、前記ドライブユニットの前記前方所定部位の両側部のそれぞれに形成された軸受け部と、前記外部筐体の側方内壁から前記ディスク状記録媒体の面に平行な方向に突出し、前記軸受け部に回動自在に係合する軸体とを有することを特徴とする請求項1記載のディスクプレイヤ。
【請求項3】
前記ロック機構は、更に、前記ドライブユニットの前記前方所定部位より前記ディスク状記録媒体の挿入方向下流側となる後方所定部位の前記ディスク状記録媒体の面に直交する方向の動きを当該ロック機構による規制が解除された状態での動きより小さい範囲に規制する後部ロック機構を有することを特徴とする請求項1または2記載のディスクプレイヤ。
【請求項4】
前記後部ロック機構は、前記ドライブユニットの前記後方所定部位の下方に対向して配置されるブラケット部材を有することを特徴とする請求項3記載のディスクプレイヤ。
【請求項5】
前記ブラケット部材は、前記外部筐体の側方内壁から突出するように形成されたことを特徴とする請求項4記載のディスクプレイヤ。
【請求項6】
前記軸受け部は、前記ドライブユニットの前方に開放する凹部となることを特徴とする請求項2記載のディスクプレイヤ。
【請求項7】
前記ロック機構は、更に、前記ディスク状記録媒体の挿入方向となる後方への動きをほぼなくすように前記ドライブユニットの動きを規制する後方動規制機構を有することを特徴とする請求項6記載のディスクプレイヤ



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate