ディスクプレーヤ
【課題】コンパクトディスクプレーヤの蓋体31の運動に連動して、コンパクトディスク40に対するチャッキング動作およびチャッキング解除動作を自動的に行ない得るようにする。
【解決手段】キャビネット30の上部開口を閉じている蓋体31をキャビネット30に対して前方と背面方向とにそれぞれ摺動可能に取付け、蓋体31を背面側に移動させると、この蓋体31の支点板48に連結されている連結板60のピン69がカム70に作用し、カム70を取付けているベース板73上のメカデッキ36が下降し、これによってチャッキングの解除動作が行なわれるようにし、これに対して蓋体31を前方へ移動させると、連結板60のピン69がカム70の下面側に作用し、メカデッキ36を上昇させてターンテーブル37のセンタチャック38をコンパクトディスク40の中心孔41に係合させる。
【解決手段】キャビネット30の上部開口を閉じている蓋体31をキャビネット30に対して前方と背面方向とにそれぞれ摺動可能に取付け、蓋体31を背面側に移動させると、この蓋体31の支点板48に連結されている連結板60のピン69がカム70に作用し、カム70を取付けているベース板73上のメカデッキ36が下降し、これによってチャッキングの解除動作が行なわれるようにし、これに対して蓋体31を前方へ移動させると、連結板60のピン69がカム70の下面側に作用し、メカデッキ36を上昇させてターンテーブル37のセンタチャック38をコンパクトディスク40の中心孔41に係合させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクプレーヤに係り、とくにディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば図1に示すようなポータブル型のディスクプレーヤが広く用いられている。この種のディスクプレーヤは、コンパクトディスク(CD)を内部に装着して回転駆動させ、光ピックアップによってコンパクトディスクに記録されているデジタル信号を読出すとともに、このデジタル信号をアナログ変換して再生出力するようになっている。従ってポータブル式のディスクプレーヤを携行しながら、ヘッドホン等によって音楽を楽しむことが可能になる。
【0003】
ポータブル式のディスクプレーヤは、キャビネット5と、その上部に取付けられる開閉自在な蓋体6とを備えている。また、音楽や音声を聴くためにヘッドホン7が用いられる。ヘッドホン7は左右の駆動部をヘッドバンド8によって連結した構造になっており、頭部に装着して音楽を聴くことができる。そしてヘッドホン7はコード9の先端部に取付けられたプラグ10を、キャビネット5の側面に取付けられているコネクタジャック11に接続し、ディスクプレーヤが出力する音声信号をヘッドホン7に導くようにしている。
【0004】
ディスクプレーヤに装着されるコンパクトディスクの取外し作業は、例えば図2〜図4に示すようにして行なわれる。すなわちキャビネット5の側面に設けられている操作ボタン12を円周方向であって、例えば右方に指で押す。するとこの操作ボタン12の操作によって蓋体6の爪のロックが解除され、この上蓋6を付勢しているばねの力によって上蓋6が図3に示すように開放される。従って使用者は、図4Aに示すように、コンパクトディスク15を手で持って、ターンテーブル16の中心部のセンタチャック17からこのコンパクトディスク15を取外すことができる。ここでセンタチャック17は、図4Bに示すようにその外周側に3個のボール18を備えるとともに、これらのボール18がばね19によって外周側に付勢された構造になっており、ボール18が上記コンパクトディスク15の中心孔に係合されるようになっている。従ってボール18の係合力に打勝って、コンパクトディスク15をセンタチャック17から取外すことになる。
【0005】
次にコンパクトディスク15の装着は、コンパクトディスクの取外しとは逆の手順で行なわれる。すなわち、コンパクトディスク15をターンテーブル16上のセンタチャック17に係合させ、蓋体6を手で閉じる。
【0006】
このような構成は、ポータブル式のディスクプレーヤに多く採用されており、必要最小限の部品で構成され、コスト的にも安価になる利点がある。またディスクの取外し動作および装着動作の何れにおいても、蓋体6の開閉と、コンパクトディスク15の挿抜の2段階の操作を必要とする。またコンパクトディスクの装着および取外しの場合には、使用者の手をこのディスクプレーヤのほぼ中央部まで入れてコンパクトディスク15とセンタチャック17との間での挿抜動作を行なわなければならない。従ってこのような操作の容易性を確保するために、蓋体6の開放角度を45度以上に設定する必要がある。蓋体6の開放状態においては、蓋体6の開放角度が大きいために、不用意に引張られたり、使用者がひっかけて機器を落とす危険性が増加する。従ってこのような危険性を回避するために、プレーヤの機器全体の機械的強度を確保する必要がある。
【0007】
特開2006−73139号公報には、蓋体に解放釦を取付けるようにし、この解放釦に連設されたロックレバーを支軸によって回動自在に支持し、しかも支軸に装着された圧縮コイルばねによって蓋体の側壁との間に摩擦係合力を発生させ、この摩擦係合力によってロックレバーを解放釦が押された状態で維持するとともに、蓋体の解放動作の際に所定の角度まで蓋体が解放されると、この後装着面の切欠きの当接部にロックレバーの山形突部が当接し、これによってロックレバーが元の状態に復帰するようにしたディスクプレーヤが開示されている。
【0008】
このようなディスクプレーヤによると、キャビネットの上部をキャビネットとほぼ同じ大きさの蓋材で開閉自在に覆うようにしたポータブルCDプレーヤにおいて、蓋体に設けられた解放釦によって片手操作で蓋体を解放できるようになる。
【0009】
しかるにこのような構成によっても、操作釦による蓋体の開閉操作と、コンパクトディスクのセンタチャックに対する挿抜の2段階の操作を必要とする点では、改善が見られない。またコンパクトディスクのセンタチャックに対する挿抜のために、キャビネット内に手を入れなければならず、蓋体の開放角度が大きくなるという問題の解消もなされない。
【0010】
これを解決するためには、モータを使用してコンパクトディスクを着脱、取込み排出させる自動ローディング機構を設けるか、モータを使用してコンパクトディスクの配置部を作動させる自動トレイ機構を組込むことが挙げられる。このような構成によると、使用者に便利であって異なる使い勝手が提供される。しかしながら、機構が複雑化し、大型化し、重量が増加し、余分な電力を必要とする欠点がある。従ってポータブル型のディスクプレーヤに採用するには困難である。またコスト上昇も著しい。
【0011】
そこで例えば特開2000−182307号公報には、ポータブル式のミニディスク(MD)プレーヤにおける記録媒体の交換動作の機構が開示されている。これを図5および図6に示す。この機構は、キャビネット22の上部を覆う蓋体23を開閉させる操作釦24がキャビネット22に取付けられている。従ってこの操作釦24を図5に示すように矢印方向であって右方へ押すと、蓋体23のロックが解除され、蓋体23の内側に内蔵されているばねの付勢力によって蓋体23が図6に示すように開放される。そして蓋体23の下側に設けられているホルダに保持されているディスクカートリッジ25を付勢するばねの拘束が蓋体23の開放と同時に解放される。従って蓋体23の開放に連動して、ディスクカートリッジ25がばねによって図6に示すように前方に押出される。すなわちこの機構は、操作釦24の操作のみで蓋体23の開放とディスクカートリッジ25の挿抜とがほぼ同時に完了する。従って使用者に対して使い勝手に優れたディスクプレーヤが提供される。
【0012】
しかしながら、この種の機構は、ディスクカートリッジ25を内蔵されるばねの弾性復元力によって押出す特性があるために、光ディスクの信号面をカートリッジケースで保護しているディスクカートリッジのような構造においてのみ用いることができる。すなわちコンパクトディスクやDVD等のように信号面が露出しているディスク状記録媒体に適用すると、ディスク状記録媒体の信号面が損傷を受け易くなる。従って信号面が露出しているディスク状記録媒体に適用することは不適当である。
【特許文献1】特開2006−73139号公報
【特許文献2】特開2006−65980号公報
【特許文献3】特開2000−182307号公報
【特許文献4】特開平11−4607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明の課題は、ディスク状記録媒体の交換の操作性に優れたディスクプレーヤを提供することである。
【0014】
本願発明の別の課題は、ディスク状記録媒体に対するチャッキング動作およびチャッキングの解除動作を使用者が手で行なわなくても自動的にできるようにしたディスクプレーヤを提供することである。
【0015】
本願発明のさらに別の課題は、蓋体を摺動可能に支持するとともに、この蓋体の摺動動作に連動してコンパクトディスクのチャッキング動作およびチャッキングの解除動作が自動的に行ない得るようにしたディスクプレーヤを提供することである。
【0016】
本願発明のさらに別の課題は、モータやこのモータに連動する機構を用いることなく、メカニカルな構成のみによって、ディスク状記録媒体に対するチャッキング動作およびチャッキングの解除動作を自動的に行ない得るようにしたディスクプレーヤを提供することである。
【0017】
本願発明のさらに別の課題は、蓋体の開閉と、ディスク状記録媒体の着脱の2段階の操作を一連の操作によってほぼ同時に完了させることが可能なディスクプレーヤを提供することである。
【0018】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願の主要な発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤにおいて、
第1の位置と第2の位置との間で摺動可能な蓋体と、
再生位置に対して下降および上昇可能な前記ディスク状記録媒体の載置部と、
前記蓋体の摺動動作に応じて前記載置部を下降および上昇させる昇降機構と、
前記載置部を前記再生位置に付勢する付勢部材と、
前記載置部に装着されるディスク状記録媒体に書込まれた信号を再生する再生部と、
を具備し、前記昇降機構は、前記蓋体が前記第1の位置にあるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力によって前記再生位置に保持し、前記蓋体を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力に抗して下降させ、前記蓋体が前記第2の位置にあるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力によって前記再生位置に保持し、前記蓋体を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力に抗して上昇させることを特徴とするディスクプレーヤに関するものである。
【0020】
ここで、前記蓋体の摺動動作に連動する連結板を有し、前記昇降機構が前記連結板の突起と、前記載置部を有するメカデッキ側のカムとによって構成されてよい。また前記メカデッキ側のカムが前記蓋体の摺動方向に沿って形成されたほぼ平行4辺形のカムであって、前記摺動方向の両端が互いにほぼ平行な傾斜部になっており、前記連結板の突起が前記傾斜部に作用すると前記メカデッキが昇降動作を行なってよい。また前記蓋体が摺動可能な支点構造によって摺動可能であって回動可能に支持され、しかも前記蓋体に固着された支点部材に前記連結板が連結されてよい。また前記付勢部材は、側面から見るとほぼV字状をなし、一端で前記メカデッキを下方に付勢するとともに、他端で前記メカデッキを上方に付勢してよい。また前記メカデッキにターンテーブルが取付けられるとともに、該ターンテーブルの中心部にセンタチャックが設けられてよい。また前記センタチャックの上端側の外周部が傾斜面から構成されてよい。
【0021】
本願の別の発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、
前記蓋体側または前記キャビネット側に設けられており、前記蓋体を前記キャビネット側に対して回動可能であって摺動可能に支持する支点手段と、
前記支点手段が前記蓋体を回動可能に支持する状態と摺動可能に支持する状態とに切換える切換え手段と、
前記蓋体側と前記キャビネット側との間に介装されたばねと、
を具備し、前記切換え手段によって前記蓋体を回動可能に支持する状態に切換えた場合には前記ばねが前記蓋体を開く方向に付勢するとともに、前記切換え手段によって前記蓋体を摺動可能に支持する状態に切換えた場合には前記ばねが前記蓋体を摺動方向前方に付勢することを特徴とするディスクプレーヤに関するものである。
【0022】
ここで、前記支点手段が長孔を有する支点部材であって、前記支点部材が前記蓋体に固着されてよい。また前記切換え手段が前記支点手段に設けられた係合および離脱自在な係合手段であってよい。また前記キャビネット内のシャーシ上に取付けられたメカデッキにディスク状記録媒体を回転駆動するターンテーブルが設けられてよい。
【0023】
本願のさらに別の発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、
前記蓋体に固着されおり、かつ長孔によってキャビネット内のシャーシに回動可能であって摺動可能に連結されている支点板と、
前記支点板に形成されるとともに、該支点板の長孔とほぼ平行であってしかも前記端部が開放され、前記シャーシのピンを受入れる摺動溝と、
前記支点板と前記シャーシとの間に介装され、前記支点板を付勢するばねと、
を具備し、前記支点板の摺動溝に前記シャーシのピンが係合している状態では、前記蓋体に取付けられている支点板が前記シャーシに対して摺動可能に支持されるとともに、前記ばねによって前方に付勢され、
前記支点板の摺動溝から前記シャーシのピンが離脱すると、前記支点板を取付けている蓋体が回動可能になるとともに、前記ばねによって前記蓋体が開く方向に付勢されることを特徴とするディスクプレーヤに関するものである。
【0024】
ここで、前記支点板が前記蓋体の左右両側壁に固着され、該支点板が前記蓋体を開閉自在に取付ける取付け手段を構成してよい。また前記ばねが巻ばねから構成され、該巻ばねの一端が前記支点板の係合孔に係合されるとともに、前記ばねの他端が前記摺動溝と係合するピンの中心孔に係合されてよい。また前記ばねは前記シャーシのピンが前記支点板の摺動溝から離脱する位置の近傍で最大撓み状態であってよい。また前記支点板を取付けている蓋体が所定の角度開放されると、前記支点板の端部が前記シャーシのストッパに当接し、これによって前記蓋体の最大開放角度が規制されてよい。
【0025】
本願発明の好ましい態様は、ポータブル式のコンパクトディスク(CD)プレーヤ、DVDプレーヤ等のディスク状記録媒体の装着、取出し、交換を必要とする機器における蓋体の開閉機構と、ディスク状記録媒体の着脱、取出し機構に関する。一般にディスクの交換作業は、蓋体の開閉動作とディスク状記録媒体の着脱動作の2段階の動作を別々に作業することによって完了するが、本発明は、モータやバッテリを使用することなく、安価であって、しかもディスク状記録媒体の信号面に損傷を与えることなく、セット重量やサイズに著しい影響を与えることなく、上蓋の開閉とディスクの装着の2段階の動作を一連の操作によってほぼ同時に完了させることが可能であって、新しい使い勝手と容易な交換作業とを実現するディスクプレーヤを提供するものである。
【0026】
このような特徴ある構成は、使用者に対して新しい使い勝手と利便性とを提案できるようになる。またモータ等の電気部品を使用せずに実現可能であって、材料費が削減される。またモータ等の電気部品を使用しないために、設計期間の削減が可能になる。また電源条件等の考慮が不要であって、このために評価工数の削減が図られる。またばねの負荷に高精度な管理を必要としないために、安定した量産性の確保が可能になる。
【発明の効果】
【0027】
本願の主要な発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤにおいて、第1の位置と第2の位置との間で摺動可能な蓋体と、再生位置に対して下降および上昇可能なディスク状記録媒体の載置部と、蓋体の摺動動作に応じて載置部を下降および上昇させる昇降機構と、載置部を再生位置に付勢する付勢部材と、載置部に装着されるディスク状記録媒体に書込まれた信号を再生する再生部と、を具備し、昇降機構は、蓋体が第1の位置にあるときに載置部を付勢部材の付勢力によって再生位置に保持し、蓋体を第1の位置から第2の位置へ移動させるときに載置部を付勢部材の付勢力に抗して下降させ、蓋体が第2の位置にあるときに載置部を付勢部材の付勢力によって再生位置に保持し、蓋体を第2の位置から第1の位置へ移動させるときに載置部を付勢部材の付勢力に抗して上昇させるようにしたものである。
【0028】
従ってこのようなディスクプレーヤによると、蓋体が第1の位置から第2の位置に移動されると、載置部が下降し、これによってチャッキングの解除が行なわれる。また蓋体が第2の位置から第1の位置へ移動すると、載置部が上昇するために、これによってチャッキング動作が行なわれる。従って蓋体の移動動作に連動して、チャッキング解除動作およびチャッキング動作が自動的に行なわれる。
【0029】
本願の別の主要な発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、蓋体側またはキャビネット側に設けられており、蓋体をキャビネット側に対して回動可能であって摺動可能に支持する支点手段と、支点手段が蓋体を回動可能に支持する状態と摺動可能に支持する状態とに切換える切換え手段と、蓋体側とキャビネット側との間に介装されたばねと、を具備し、切換え手段によって蓋体を回動可能に支持する状態に切換えた場合にはばねが蓋体を開く方向に付勢するとともに、切換え手段によって蓋体を摺動可能に支持する状態に切換えた場合にはばねが蓋体を摺動方向前方に付勢するようにしたものである。
【0030】
従ってこのようなディスクプレーヤによると、切換え手段によって蓋体が回動可能な状態に切換えられた場合には、上記ばねによって蓋体が開く方向に付勢され、蓋体の自動開放動作が達成される。また切換え手段によって蓋体を摺動可能に支持する状態に切換えた場合には、ばねが蓋体を摺動方向前方に付勢することになり、これによって蓋体の閉鎖位置への移動が自動的に行なわれるようになる。
【0031】
本願のさらに別の発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、蓋体に固着されおり、かつ長孔によってキャビネット内のシャーシに回動可能であって摺動可能に連結されている支点板と、支点板に形成されるとともに、該支点板の長孔とほぼ平行であってしかも端部が開放され、シャーシのピンを受入れる摺動溝と、支点板とシャーシとの間に介装され、支点板を付勢するばねと、を具備し、支点板の摺動溝にシャーシのピンが係合している状態では、蓋体に取付けられている支点板がシャーシに対して摺動可能に支持されるとともに、ばねによって前方に付勢され、支点板の摺動溝からシャーシのピンが離脱すると、支点板を取付けている蓋体が回動可能になるとともに、ばねによって蓋体が開く方向に付勢されるようにしたものである。
【0032】
従ってこのような構成によると、摺動溝にピンが係合している状態においては、蓋体がシャーシに対して摺動可能に支持され、これに対してピンが摺動溝から離脱すると、蓋体が開閉自在になり、しかもばねによって蓋体が開く方向に付勢されることになる。従って共通の支点板から成る蓋体の支点構造によって、蓋体の摺動動作と開放動作の2つの動作を達成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図7は本実施の形態に係るコンパクトディスクプレーヤの外観を示しており、このコンパクトディスクプレーヤは、直径が12cmの、例えば音楽を記録したコンパクトディスク(CD)を再生するのに用いられる。そしてコンパクトディスクプレーヤは、コンパクトディスクとほぼ同じ直径かそれよりもやや大きな直径の偏平なトレー状のキャビネット30を備える。キャビネット30の上部開口が蓋体31によって開閉可能に閉じられるようになっている。上記キャビネット30の外側部の所定の位置には、操作釦32が円周方向に摺動可能に取付けられ、この操作釦32の摺動操作によって、上記蓋体31のロックを解除し、これによって蓋体31を開放するようにしている。
【0034】
図8は上記操作釦32を操作したときにおける、蓋体31の開放の状態を示している。蓋体31は、比較的小さな角度、例えば25度の角度で開放される。なおこのように小さな角度で蓋体31が開放される理由は、蓋体31の開放動作に連動して、コンパクトディスク40がセンタチャック38から自動的に取外されるようになっているからである。すなわち蓋体31を大きく開き、手をキャビネット30内に挿入してコンパクトディスク40をセンタチャック38から取外す必要がないようにしている。操作ボタン32の操作によって、蓋体31を開放させると、例えば25度の角度で蓋体31が開かれる。このときに中に収納されているコンパクトディスク40は、蓋体31の内側に取付けられているホルダ42の保持片43によって両側が保持された状態になっている。従って図9に示すように、比較的小さな角度で開かれた蓋体31とキャビネット30との間の隙間に手を挿入し、コンパクトディスク40を容易に取出すことができる。
【0035】
上述のような操作を可能にする具体的な構造を、図10によって説明する。図10は本実施の形態のコンパクトディスクプレーヤの内部構造を示しており、このコンパクトディスクプレーヤは、上述の如くキャビネット30と蓋体31とによって外筐が構成される。そしてキャビネット30内にはシャーシ35が固定して取付けられる。シャーシ35上には、メカデッキ36が組込まれるとともに、このメカデッキ36上に、ターンテーブル37が配されている。ターンテーブル37は、その下側に配されている偏平な直結のDCモータによって回転駆動される。またターンテーブル37の上面には、上方に突出するようにセンタチャック38が取付けられている。センタチャック38は、偏平な円板状の形状をなし、その上端側の外周面が傾斜面39になっている。これによってコンパクトディスク40の挿入の案内を行なうようにしている。
【0036】
コンパクトディスク40は、図8および図9に示すように、直径が12cmの円板状をなす合成樹脂製の媒体であって、その中心部には円形の中心孔41を備えている。センタチャック38から取外されたコンパクトディスク40を保持するために、蓋体31の下面にホルダ42が取付けられる(図13〜図15参照)。ホルダ42はその両側が下方に屈曲されるとともに、屈曲された先端部が半径方向中心側に折曲がって保持片43を形成している。なお保持片43は、その付根部分よりも先端側の方が低くなっている。このような保持片43の保持構造は、コンパクトディスク40の信号面を保護することにある。すなわち保持片43は先端側が低くなるように傾斜しているために、保持片43は、コンパクトディスク40の外周側のエッジの部分と接触した状態で保持する。また上記蓋体31の下面にはディスク押え44が取付けられている。ディスク押え44はゴムまたは柔軟な合成樹脂によって作られており、ほぼ楕円形のリング状をなしている。このディスク押え44がコンパクトディスク40の中心孔41の外周側であって上面を押えるようにし、これによってターンテーブル37上のセンタチャック38に対する装着を行なうようにしている。なおここでは、ディスク押え44はほぼ楕円形のリング状をなしている一例を示したが、ディスク押え44は略U字型や略V自型、ほぼ平行な2直線状のものでも構わず、特に図示の形状に限定されるものではない。
【0037】
次に上記蓋体31のヒンジの構造について説明する。蓋体31は、摺動動作と回動動作との2つの動作を行なう特徴あるヒンジ機構を備えている。このような特徴あるヒンジ機構は、主として支点板48によって達成される。支点板48は、図11Aに示されるように前後方向に延びる長孔49を備えている。長孔49は、シャーシ35の折曲げ片50に植設されている支点ピン51を受入れ、これによって支点板48がシャーシ35に対して摺動可能であって回動可能に取付けられる。また上記支点板48には、上記長孔49よりも上側の位置において長孔49とほぼ平行に摺動溝52が形成されている。摺動溝52は前方側が開放されている。そして摺動溝52は、シャーシ35の折曲げ片50に植設されている別のピン53を受入れている。
【0038】
上記支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に巻ばね56が介装される。巻ばね56の一端は、上記シャーシ35側のピン53の中心孔57に係合される。これに対して巻ばね56の反対側の端部は、支点板48の前端側に設けられている係合孔58に係合される。巻ばね56は、摺動溝52からピン53が離脱する近傍の位置であって、図15Cに示す位置の近傍において最も大きく撓むようになっており、摺動溝52からピン53が離脱した場合には、この巻ばね56が蓋体31を開放する方向に付勢する(図15C参照)。これに対して摺動溝52にピン53が係合している場合には、巻ばね56が蓋体31を前方側に付勢するようにしている(図15D参照)。
【0039】
上記支点板48の外側部には、連結板60が配されている。連結板60はその一端に係合孔61を備え、この係合孔61が支点板48に植設されているピン62と係合しており、これによって支点板48に連結される。また連結板60の他端には長さ方向に延びる長孔63が植設され、この長孔63がシャーシ35の両側部に形成された折曲げ片64のピン65と係合している。従って支点板48を固着している蓋体31が回動運動および摺動運動を行なうと、これに連動して連結板60がシャーシ35に対して前後方向に摺動することになる。
【0040】
上記連結板60の内側には、図11Bに示すように、ピン69が植設されている。このピン69は、メカデッキ36の下面に剛体的に固着されているベース板73の両側部に形成されているカム70に作用し、これによってカム70を介してベース板73を昇降動作させるようにしている。すなわちカム70はとくに図16に示すように、ほぼ平行四辺形の形状をなし、その前方側に第1の傾斜面71が形成され、背面側に第2の傾斜面72が形成されている。これらの傾斜面71、72によって、メカデッキ36と固着されたベース板73が昇降動作をし、これに連動してメカデッキ36とその上のターンテーブル37が上下動を行なうようになっている。
【0041】
ここでターンテーブル37は、図12Aに示すようにその中心部に上述の如く、センタチャック38を備え、しかもセンタチャック38は、図12Bに示すように外周部に120度間隔でボール76を保持している。ボール76は、内蔵されたばね77によって外周側に付勢されている。
【0042】
このようなセンタチャック38を有するターンテーブル37が取付けられたメカデッキ36には、図12Aに示すように、摺動溝78が背面方向に向かって形成されるとともに、この摺動溝78内にその長さ方向に配されている送りねじ79によって、光ピックアップ80がコンパクトディスク40に対して半径方向に移動するように取付けられている。
【0043】
上記メカデッキ36は、その両側部にそれぞれ支軸82を備えるとともに、支軸82がシャーシ35に折曲げて形成された支持片83の軸受孔84に受入れられ、これによってメカデッキ36は上記軸受孔84の軸線を中心として回動可能に支持されている。そしてメカデッキ36にはその背面側に案内用壁部85が形成されている。この案内用壁部85は、コンパクトディスク40を挿入するときの前後方向の挿入深さを規制するためのものである。またメカデッキ36にはその前端側にとくに図2および図15に示すように、前方に突出する突片86が形成され、この突片86を上下から挟着するように、板ばね87が配される。板ばね87は、とくに図15から明らかなように、側面から見るとV字状をなしている。
【0044】
また上記シャーシ35の上面には、図12Aに示すように突起状リブ89が形成されている。このリブ89は、メカデッキ36を下降させてセンタチャック38からコンパクトディスク40を離脱させる際に、コンパクトディスク40が一緒に下降するのを阻止する部材である。なお突起状リブ89は、コンパクトディスク40の中心孔41の周縁部であって、信号の記録面よりも中心側に形成されており、突起状リブ89によって信号の記録されている領域を傷付けないようにしている。
【0045】
図13は蓋体31の下面に取付けられているホルダ42とディスク押え44と支点板48を示している。ホルダ42は上述の如く、両端が下方に折曲げられるとともに、さらにその先端側の部分がほぼ水平であって先端部の方がやや下方に向くように傾斜して折曲げられて保持片43が連設されており、両側の保持片43によってコンパクトディスク40を保持するようにしている(図8参照)。またホルダ42の中心よりもやや前方よりの位置であって蓋体31の下面に、弾性部材から成る楕円形のディスク押え44が取付けられる。そして蓋体31の内側であってその背面側の両側の壁部に、上述の如く支点板48が取付けられる。
【0046】
図14A、Bは、とくに上記支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との連結構造、およびホルダ42の両側の保持片43の傾斜の構造とを前方側から見た状態を示している。
【0047】
次に上述のような構成に係るコンパクトディスクプレーヤの、とくに蓋体31の摺動動作および回動動作と、メカデッキ36によるチャッキング動作およびチャッキング解除動作の関連について、図15を参照して説明する。なお図15において、連結板60は、その背面側の部分を見易くするために、仮想線によって輪郭を示している。
【0048】
図15Aに示す状態は、総ての部品が初期状態であって、キャビネット10の上部開口が蓋体31によって完全に閉じられている状態を示している。このような状態において、使用者が指で蓋体31に対して、背面側に摺動動作させるような力F1を、図15Bに示すように加える。このときに蓋体31は支点板48を介して巻ばね56によって前方へ付勢する力を受けている。従って使用者が加える力F1が上記巻ばね56の付勢力に打勝つと、蓋体31を取付けている支点板48が図15Bに示すように左方へ摺動動作する。
【0049】
支点板48は上述の如く、長孔49がシャーシ35のピン51を受入れるとともに、摺動孔52がシャーシ35のピン53を受入れている。従って支点板48は回動動作することなく、図15Bに示すように左方に摺動される。従って支点板48を取付けている蓋体31も同方向に移動する。
【0050】
支点板48には、ピン62を介して連結板60が連結されている。従って蓋体31の摺動動作に連動して支点板48が左方へ移動すると、連結板60も同方向へ移動する。すると連結板60の裏側のピン69がベース板73の外側部に設けられているカム70の前方側の第1の傾斜面71を押すことになり、このために図16Bに示すように、カム70が下方に押されることになる。従ってカム70を備えるベース板73が下降する。ベース板73はメカデッキ36を固着しているとともに、メカデッキ36はその背面側の軸82がシャーシ35の支持片83の軸受孔84に回動可能に支持されているために、上記軸受孔84の軸線を中心としてメカデッキ36が図15Bに示すように時計方向に小さな角度を回動する。このような回動動作に連動して、メカデッキ36が下降動作する。同時にこのときに、シャーシ35に取付けられている板ばね87の下端側の部分が弾性変形することになる。
【0051】
図15Bに示す状態において、さらに蓋体31および支点板48に背面側に押す力が継続して加えられると、支点板48の摺動溝52の開放端からシャーシ35側のピン53が離脱する。するとシャーシ35と支点板48との連結は、長孔49と係合する支点ピン51のみになる。そして支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間には巻ばね56が介装されており、この巻ばね56が蓋体31を開く方向に付勢しているために、図15Cに示すように、支点板48の運動が、摺動運動から回動運動に変換される。なおこのときに、巻ばね56はその最大撓み位置を超えており、支点板48はその回動運動の際に巻ばね56によって図15Cに示す回転力R1を受ける。そして支点板48は、シャーシ35の折曲げ片50の下端に形成されたストッパ91に接触するようになり、この位置まで回動運動を継続する。またこの位置においては、連結板60の裏側のピン69は、ベース板73のカム70を乗越えた位置にあり、このためにカム70とピン69との相互の連動動作が解消される。従ってメカデッキ36はシャーシ35の先端部に取付けられているV字状板ばね87によって、図15Aに示す状態と同じ水平位置へ復帰する。
【0052】
次に上記の動作とは逆の動作であって、支点板48を時計方向に回転させる外力を与える場合について考える。支点板48が取付けられている蓋体31を閉じる方向に回動させるように力を加える。すると支点板48には、この支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に介装されている巻ばね56の蓋体31を開こうとする力に打勝つような力が与えられる。そして図15Cに示す位置まで支点板48を時計方向に回動させると、支点板48の摺動溝52の開放端にピン53が臨むようになる。このときに巻ばね56が支点板48に対して前方へ摺動するような力を与えるために、使用者が蓋体31に加える力と相俟って、ピン53が支点板48の摺動溝52内に侵入する。従ってこの後さらに使用者が、図15Bに示すF1とは逆方向であって右方への力F2を負荷すると(図15d参照)、巻ばね56は最大撓み位置を超え、このためにF2のばね力を発生する。
【0053】
使用者が図15Dに示す外力F2を継続して加えると、連結板60の裏側の突起69がカム70に作用する。ここで図15Dに示すF2方向の力が加えられる場合には、図15Bに示すF1方向の力を加える場合とは逆に作用する。すなわち、ピン69は図16Cに示すように、カム70の背面側の第2の傾斜面72に作用し、これによってカム70を介してベース板73を押上げるようになる。従ってベース板73に固着されているメカデッキ36が押上げられる。同時に、図15Dに示すように、シャーシ35の先端部に取付けられているV字状板ばね87が上方に弾性変形する。そして支点板48の前方への移動に伴って連結板60のピン69がカム70から離脱すると、V字状板ばね87によって、ベース板73上のメカデッキ36は図15Aに示す水平位置へ戻り、初期状態に復帰することになる。
【0054】
図16に示すように、連結板60のピン69と、ベース板73のカム70との動作関係は、連結板60の移動方向に応じて互いに逆の動作を示す。連結板60のピン69が背面側へ移動する場合には、ピン69はカム70の上面を通過し、ベース板73はダウン方向へ下降する。一方連結板60のピン69が右方であって前方側へ移動すると、ピン69がカム70の下面を通過し、ベース板73はアップ方向へ上昇する。従って、このディスクプレーヤにおいては、連結板60のピン69の往復動によって、ベース板73に固着されたメカデッキ36が交互に上昇と下降とを繰返すことになる。
【0055】
次に上述のような運動動作と、コンパクトディスクに対するチャッキングの解除動作およびチャッキング動作との関係を図17によって説明する。なお図17においては、上蓋31、ディスク押え44、およびホルダ42の3部品については、これらを断面によって示している。また下側のキャビネット30は、上記の動作には機能的には関与していないために、図示を省略している。
【0056】
図17Aは、コンパクトディスク40がターンテーブル37上に装着され、メカデッキ36に設けられている光ピックアップ80によって、所定の再生動作を行なっている状態を示している。再生動作を停止し、コンパクトディスク40を取出す場合には、図17Bに示すように、使用者が蓋体31に対して背面側に向かう外力F1を与える。なお、連結板60のピン69とベース板73のカム70との連動が開始される前に、上述のF1の力を除去すると、ディスクプレーヤは、蓋体31の内側において支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に介装されている巻ばね56の付勢力によって、元の状態に復帰される。
【0057】
使用者が図17Bに示すF1の力を継続して印加すると、連結板60に設けられているピン69がカム70に作用し、メカデッキ36が下降する。そしてコンパクトディスク40は、シャーシ35に設けられている突起状リブ89に当接する。このためにそれ以上コンパクトディスク40が下降できなくなる。従って、上記メカデッキ36の下降動作に連動して、コンパクトディスク40の中心孔41からターンテーブル37のセンタチャック38が離脱する。従って、このディスクプレーヤにおいては、蓋体31の開放動作に連動して、コンパクトディスク40のチャッキング解除動作が行なわれる。
【0058】
図17Bに示すF1がさらに継続して印加され、連結板60の最大終了位置まで到達する。ここで、図17Bにおける負荷開始状態から、図17Cに示す位置までは、使用者がこのディスクプレーヤの上蓋31を開放する意思を持って外力F1を印加することになる。従って、支点板48とシャーシ35との間に介装されている巻ばね56の戻し力、およびセンタチャック38からコンパクトディスク40の中心孔41を離脱させる力の和は、使用者の外力に対して非常に微少なものであって、このために上記コンパクトディスク40の保持と、上蓋31の姿勢保持性能を悪化させるような巻ばね56のばね力の微調整が必要でなくなる。
【0059】
次に図17Dによって、蓋体31の開放動作を説明する。支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に介装される巻ばね56がその弾性復元力によって支点板48に加える力が、蓋体31の重量とコンパクトディスク40の重量に打勝てば、蓋体31は開放可能である。すなわちターンテーブル37のセンタチャック38から中心孔41が離脱しているコンパクトディスク40は、蓋体31側に取付けられているホルダ42の両側の保持片43によって互いに対向する外周部を支えられた状態で、図17Dに示す位置まで浮上運動を行なう。このときのコンパクトディスク40の浮上運動がR2で示される。
【0060】
次に使用者がコンパクトディスク40をターンテーブル37に装着し、蓋体31を閉じる動作について説明する。この動作は蓋体31の開放動作とは逆の動作になる。図17Dに示す位置までコンパクトディスク40を挿入し、このコンパクトディスク40を、蓋体31の内側のホルダによって仮に保持しておく。このような状態において、蓋体31にR1と逆方向の力を加えて蓋体31を閉じる。次に蓋体31に対して図17Eに示すように、前方への力F2を加える。この力F2によって、蓋体31および支点板48が前方へ移動する。この前方への移動動作に連動して、連結板60の裏側のピン69がベース板73のカム70に作用し、これによってベース板73が上昇するとともに、メカデッキ36に支持されているターンテーブル37が上昇する。従って、ターンテーブル37の中心部に設けられているセンタチャック38がコンパクトディスク40の中心孔41に係合される。なおこのときに、コンパクトディスク40は、その上面が、蓋体31の下面に取付けられているディスク押え44によって押付けられ、このためにコンパクトディスク40のセンタチャック38に対するチャッキング動作が確実に達成される。またこのときに、センタチャック38の上端側の傾斜面39が、センタチャック38をコンパクトディスク40の中心孔41に確実に導く。
【0061】
このように本実施の形態に係るコンパクトディスクプレーヤは、使用者自身がこのディスクプレーヤに負荷する外力F1、F2によって、支点板48を内側に取付けている蓋体31の摺動運動と回動運動の両方を可能にした支点機構を利用して、蓋体31の摺動動作中にコンパクトディスク40の挿抜をメカデッキ36の上下運動によって達成する。さらに回動運動中には、支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に介装された巻ばね56の力によって蓋体31の開放とコンパクトディスク40の保持および浮上の動作を行なう。従って、とくに人間による外力と、巻ばね56のばね力による仕事を分散させることによって、このディスクプレーヤ内に著しいばねの負荷を無くすことが可能となる。モータやバッテリ、プランジャ等の電気部品が必要でなくなる。また信号記録面が露出しているコンパクトディスクの表面に安易に傷を付けることがなく、セットの重量や大きさに対して著しい悪影響を与えることもない。またコンパクトディスク40の挿抜や、蓋体31の開放の2段の操作を、一連の操作で完了させる極めて使い勝手に優れるとともに、高い利便性を有するディスクプレーヤを提供することが可能になる。
【0062】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内で、各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態は、ポータブル式のコンパクトディスクプレーヤに関するものであるが、本願発明は、各種の光ディスクを再生するためのCDプレーヤやDVDプレーヤ、あるいはBD(Blue−ray Disc)プレーヤ等に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本願発明は、コンパクトディスク、DVD等の各種の光ディスク再生のためのディスクプレーヤに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来のポータブル型のコンパクトディスクプレーヤの外観斜視図である。
【図2】同コンパクトディスクプレーヤの蓋体の開放動作を示す斜視図である。
【図3】蓋体が開放されたコンパクトディスクプレーヤの斜視図である。
【図4】コンパクトディスクプレーヤからのコンパクトディスクの取出しおよびセンタチャックを示す斜視図である。
【図5】ディスクカートリッジを用いるディスクプレーヤの蓋体の開放動作を示す斜視図である。
【図6】同ディスクカートリッジがエジェクトされた状態の斜視図である。
【図7】本願発明の一実施の形態のコンパクトディスクプレーヤの外観斜視図である。
【図8】同ディスクプレーヤの蓋体の開放動作を示す斜視図である。
【図9】同コンパクトディスクプレーヤからのコンパクトディスクの取出し動作を示す斜視図である。
【図10】内部構造の全体を示す分解斜視図である。
【図11】蓋体の支点機構を示す要部分解斜視図である。
【図12】メカデッキの取付け構造を示す分解斜視図、およびセンタチャックの外観斜視図である。
【図13】蓋体の内側の構造を示す外観斜視図である。
【図14】蓋体を開いた状態の正面図およびホルダの部分の要部拡大正面図である。
【図15】支点板の摺動動作および回動動作と、センタチャックのチャッキング解除動作およびチャッキング動作との関係を示す要部側面図である。
【図16】連結板のピンとカムの作用によるメカデッキの下降動作と上昇動作とを示す正面図である。
【図17】蓋体の開閉動作とコンパクトディスクのチャッキング解除動作およびチャッキング動作との関係を示す要部側面図である。
【符号の説明】
【0065】
5…キャビネット、6…蓋体、7…ヘッドホン、8…ヘッドバンド、9…コード、10…プラグ、11…コネクタジャック、12…操作釦、15…コンパクトディスク(CD)、16…ターンテーブル、17…センタチャック、18…ボール、19…ばね、22…キャビネット、23…蓋体、24…操作釦、25…ディスクカートリッジ、30…キャビネット、31…蓋体、32…操作釦、35…シャーシ、36…メカデッキ、37…ターンテーブル、38…センタチャック、39…傾斜面、40…コンパクトディスク(CD)、41…中心孔、42…ホルダ、43…保持片、44…ディスク押え、48…支点板、49…長孔、50…折曲げ片、51…支点ピン、52…摺動溝、53…ピン、56…巻ばね、57…中心孔、58…係合孔、60…連結板、61…係合孔、62…ピン、63…長孔、64…折曲げ片、65…ピン、69…ピン、70…カム、71…第1の傾斜面(前方側)、72…第2の傾斜面(背面側)、73…ベース板、76…ボール、77…ばね、78…摺動溝、79…送りねじ、80…光ピックアップ、82…支軸、83…支持片、84…軸受孔、85…案区用壁部、86…突片、87…V字状板ばね、89…突起状リブ、91…ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクプレーヤに係り、とくにディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば図1に示すようなポータブル型のディスクプレーヤが広く用いられている。この種のディスクプレーヤは、コンパクトディスク(CD)を内部に装着して回転駆動させ、光ピックアップによってコンパクトディスクに記録されているデジタル信号を読出すとともに、このデジタル信号をアナログ変換して再生出力するようになっている。従ってポータブル式のディスクプレーヤを携行しながら、ヘッドホン等によって音楽を楽しむことが可能になる。
【0003】
ポータブル式のディスクプレーヤは、キャビネット5と、その上部に取付けられる開閉自在な蓋体6とを備えている。また、音楽や音声を聴くためにヘッドホン7が用いられる。ヘッドホン7は左右の駆動部をヘッドバンド8によって連結した構造になっており、頭部に装着して音楽を聴くことができる。そしてヘッドホン7はコード9の先端部に取付けられたプラグ10を、キャビネット5の側面に取付けられているコネクタジャック11に接続し、ディスクプレーヤが出力する音声信号をヘッドホン7に導くようにしている。
【0004】
ディスクプレーヤに装着されるコンパクトディスクの取外し作業は、例えば図2〜図4に示すようにして行なわれる。すなわちキャビネット5の側面に設けられている操作ボタン12を円周方向であって、例えば右方に指で押す。するとこの操作ボタン12の操作によって蓋体6の爪のロックが解除され、この上蓋6を付勢しているばねの力によって上蓋6が図3に示すように開放される。従って使用者は、図4Aに示すように、コンパクトディスク15を手で持って、ターンテーブル16の中心部のセンタチャック17からこのコンパクトディスク15を取外すことができる。ここでセンタチャック17は、図4Bに示すようにその外周側に3個のボール18を備えるとともに、これらのボール18がばね19によって外周側に付勢された構造になっており、ボール18が上記コンパクトディスク15の中心孔に係合されるようになっている。従ってボール18の係合力に打勝って、コンパクトディスク15をセンタチャック17から取外すことになる。
【0005】
次にコンパクトディスク15の装着は、コンパクトディスクの取外しとは逆の手順で行なわれる。すなわち、コンパクトディスク15をターンテーブル16上のセンタチャック17に係合させ、蓋体6を手で閉じる。
【0006】
このような構成は、ポータブル式のディスクプレーヤに多く採用されており、必要最小限の部品で構成され、コスト的にも安価になる利点がある。またディスクの取外し動作および装着動作の何れにおいても、蓋体6の開閉と、コンパクトディスク15の挿抜の2段階の操作を必要とする。またコンパクトディスクの装着および取外しの場合には、使用者の手をこのディスクプレーヤのほぼ中央部まで入れてコンパクトディスク15とセンタチャック17との間での挿抜動作を行なわなければならない。従ってこのような操作の容易性を確保するために、蓋体6の開放角度を45度以上に設定する必要がある。蓋体6の開放状態においては、蓋体6の開放角度が大きいために、不用意に引張られたり、使用者がひっかけて機器を落とす危険性が増加する。従ってこのような危険性を回避するために、プレーヤの機器全体の機械的強度を確保する必要がある。
【0007】
特開2006−73139号公報には、蓋体に解放釦を取付けるようにし、この解放釦に連設されたロックレバーを支軸によって回動自在に支持し、しかも支軸に装着された圧縮コイルばねによって蓋体の側壁との間に摩擦係合力を発生させ、この摩擦係合力によってロックレバーを解放釦が押された状態で維持するとともに、蓋体の解放動作の際に所定の角度まで蓋体が解放されると、この後装着面の切欠きの当接部にロックレバーの山形突部が当接し、これによってロックレバーが元の状態に復帰するようにしたディスクプレーヤが開示されている。
【0008】
このようなディスクプレーヤによると、キャビネットの上部をキャビネットとほぼ同じ大きさの蓋材で開閉自在に覆うようにしたポータブルCDプレーヤにおいて、蓋体に設けられた解放釦によって片手操作で蓋体を解放できるようになる。
【0009】
しかるにこのような構成によっても、操作釦による蓋体の開閉操作と、コンパクトディスクのセンタチャックに対する挿抜の2段階の操作を必要とする点では、改善が見られない。またコンパクトディスクのセンタチャックに対する挿抜のために、キャビネット内に手を入れなければならず、蓋体の開放角度が大きくなるという問題の解消もなされない。
【0010】
これを解決するためには、モータを使用してコンパクトディスクを着脱、取込み排出させる自動ローディング機構を設けるか、モータを使用してコンパクトディスクの配置部を作動させる自動トレイ機構を組込むことが挙げられる。このような構成によると、使用者に便利であって異なる使い勝手が提供される。しかしながら、機構が複雑化し、大型化し、重量が増加し、余分な電力を必要とする欠点がある。従ってポータブル型のディスクプレーヤに採用するには困難である。またコスト上昇も著しい。
【0011】
そこで例えば特開2000−182307号公報には、ポータブル式のミニディスク(MD)プレーヤにおける記録媒体の交換動作の機構が開示されている。これを図5および図6に示す。この機構は、キャビネット22の上部を覆う蓋体23を開閉させる操作釦24がキャビネット22に取付けられている。従ってこの操作釦24を図5に示すように矢印方向であって右方へ押すと、蓋体23のロックが解除され、蓋体23の内側に内蔵されているばねの付勢力によって蓋体23が図6に示すように開放される。そして蓋体23の下側に設けられているホルダに保持されているディスクカートリッジ25を付勢するばねの拘束が蓋体23の開放と同時に解放される。従って蓋体23の開放に連動して、ディスクカートリッジ25がばねによって図6に示すように前方に押出される。すなわちこの機構は、操作釦24の操作のみで蓋体23の開放とディスクカートリッジ25の挿抜とがほぼ同時に完了する。従って使用者に対して使い勝手に優れたディスクプレーヤが提供される。
【0012】
しかしながら、この種の機構は、ディスクカートリッジ25を内蔵されるばねの弾性復元力によって押出す特性があるために、光ディスクの信号面をカートリッジケースで保護しているディスクカートリッジのような構造においてのみ用いることができる。すなわちコンパクトディスクやDVD等のように信号面が露出しているディスク状記録媒体に適用すると、ディスク状記録媒体の信号面が損傷を受け易くなる。従って信号面が露出しているディスク状記録媒体に適用することは不適当である。
【特許文献1】特開2006−73139号公報
【特許文献2】特開2006−65980号公報
【特許文献3】特開2000−182307号公報
【特許文献4】特開平11−4607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明の課題は、ディスク状記録媒体の交換の操作性に優れたディスクプレーヤを提供することである。
【0014】
本願発明の別の課題は、ディスク状記録媒体に対するチャッキング動作およびチャッキングの解除動作を使用者が手で行なわなくても自動的にできるようにしたディスクプレーヤを提供することである。
【0015】
本願発明のさらに別の課題は、蓋体を摺動可能に支持するとともに、この蓋体の摺動動作に連動してコンパクトディスクのチャッキング動作およびチャッキングの解除動作が自動的に行ない得るようにしたディスクプレーヤを提供することである。
【0016】
本願発明のさらに別の課題は、モータやこのモータに連動する機構を用いることなく、メカニカルな構成のみによって、ディスク状記録媒体に対するチャッキング動作およびチャッキングの解除動作を自動的に行ない得るようにしたディスクプレーヤを提供することである。
【0017】
本願発明のさらに別の課題は、蓋体の開閉と、ディスク状記録媒体の着脱の2段階の操作を一連の操作によってほぼ同時に完了させることが可能なディスクプレーヤを提供することである。
【0018】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願の主要な発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤにおいて、
第1の位置と第2の位置との間で摺動可能な蓋体と、
再生位置に対して下降および上昇可能な前記ディスク状記録媒体の載置部と、
前記蓋体の摺動動作に応じて前記載置部を下降および上昇させる昇降機構と、
前記載置部を前記再生位置に付勢する付勢部材と、
前記載置部に装着されるディスク状記録媒体に書込まれた信号を再生する再生部と、
を具備し、前記昇降機構は、前記蓋体が前記第1の位置にあるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力によって前記再生位置に保持し、前記蓋体を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力に抗して下降させ、前記蓋体が前記第2の位置にあるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力によって前記再生位置に保持し、前記蓋体を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力に抗して上昇させることを特徴とするディスクプレーヤに関するものである。
【0020】
ここで、前記蓋体の摺動動作に連動する連結板を有し、前記昇降機構が前記連結板の突起と、前記載置部を有するメカデッキ側のカムとによって構成されてよい。また前記メカデッキ側のカムが前記蓋体の摺動方向に沿って形成されたほぼ平行4辺形のカムであって、前記摺動方向の両端が互いにほぼ平行な傾斜部になっており、前記連結板の突起が前記傾斜部に作用すると前記メカデッキが昇降動作を行なってよい。また前記蓋体が摺動可能な支点構造によって摺動可能であって回動可能に支持され、しかも前記蓋体に固着された支点部材に前記連結板が連結されてよい。また前記付勢部材は、側面から見るとほぼV字状をなし、一端で前記メカデッキを下方に付勢するとともに、他端で前記メカデッキを上方に付勢してよい。また前記メカデッキにターンテーブルが取付けられるとともに、該ターンテーブルの中心部にセンタチャックが設けられてよい。また前記センタチャックの上端側の外周部が傾斜面から構成されてよい。
【0021】
本願の別の発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、
前記蓋体側または前記キャビネット側に設けられており、前記蓋体を前記キャビネット側に対して回動可能であって摺動可能に支持する支点手段と、
前記支点手段が前記蓋体を回動可能に支持する状態と摺動可能に支持する状態とに切換える切換え手段と、
前記蓋体側と前記キャビネット側との間に介装されたばねと、
を具備し、前記切換え手段によって前記蓋体を回動可能に支持する状態に切換えた場合には前記ばねが前記蓋体を開く方向に付勢するとともに、前記切換え手段によって前記蓋体を摺動可能に支持する状態に切換えた場合には前記ばねが前記蓋体を摺動方向前方に付勢することを特徴とするディスクプレーヤに関するものである。
【0022】
ここで、前記支点手段が長孔を有する支点部材であって、前記支点部材が前記蓋体に固着されてよい。また前記切換え手段が前記支点手段に設けられた係合および離脱自在な係合手段であってよい。また前記キャビネット内のシャーシ上に取付けられたメカデッキにディスク状記録媒体を回転駆動するターンテーブルが設けられてよい。
【0023】
本願のさらに別の発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、
前記蓋体に固着されおり、かつ長孔によってキャビネット内のシャーシに回動可能であって摺動可能に連結されている支点板と、
前記支点板に形成されるとともに、該支点板の長孔とほぼ平行であってしかも前記端部が開放され、前記シャーシのピンを受入れる摺動溝と、
前記支点板と前記シャーシとの間に介装され、前記支点板を付勢するばねと、
を具備し、前記支点板の摺動溝に前記シャーシのピンが係合している状態では、前記蓋体に取付けられている支点板が前記シャーシに対して摺動可能に支持されるとともに、前記ばねによって前方に付勢され、
前記支点板の摺動溝から前記シャーシのピンが離脱すると、前記支点板を取付けている蓋体が回動可能になるとともに、前記ばねによって前記蓋体が開く方向に付勢されることを特徴とするディスクプレーヤに関するものである。
【0024】
ここで、前記支点板が前記蓋体の左右両側壁に固着され、該支点板が前記蓋体を開閉自在に取付ける取付け手段を構成してよい。また前記ばねが巻ばねから構成され、該巻ばねの一端が前記支点板の係合孔に係合されるとともに、前記ばねの他端が前記摺動溝と係合するピンの中心孔に係合されてよい。また前記ばねは前記シャーシのピンが前記支点板の摺動溝から離脱する位置の近傍で最大撓み状態であってよい。また前記支点板を取付けている蓋体が所定の角度開放されると、前記支点板の端部が前記シャーシのストッパに当接し、これによって前記蓋体の最大開放角度が規制されてよい。
【0025】
本願発明の好ましい態様は、ポータブル式のコンパクトディスク(CD)プレーヤ、DVDプレーヤ等のディスク状記録媒体の装着、取出し、交換を必要とする機器における蓋体の開閉機構と、ディスク状記録媒体の着脱、取出し機構に関する。一般にディスクの交換作業は、蓋体の開閉動作とディスク状記録媒体の着脱動作の2段階の動作を別々に作業することによって完了するが、本発明は、モータやバッテリを使用することなく、安価であって、しかもディスク状記録媒体の信号面に損傷を与えることなく、セット重量やサイズに著しい影響を与えることなく、上蓋の開閉とディスクの装着の2段階の動作を一連の操作によってほぼ同時に完了させることが可能であって、新しい使い勝手と容易な交換作業とを実現するディスクプレーヤを提供するものである。
【0026】
このような特徴ある構成は、使用者に対して新しい使い勝手と利便性とを提案できるようになる。またモータ等の電気部品を使用せずに実現可能であって、材料費が削減される。またモータ等の電気部品を使用しないために、設計期間の削減が可能になる。また電源条件等の考慮が不要であって、このために評価工数の削減が図られる。またばねの負荷に高精度な管理を必要としないために、安定した量産性の確保が可能になる。
【発明の効果】
【0027】
本願の主要な発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤにおいて、第1の位置と第2の位置との間で摺動可能な蓋体と、再生位置に対して下降および上昇可能なディスク状記録媒体の載置部と、蓋体の摺動動作に応じて載置部を下降および上昇させる昇降機構と、載置部を再生位置に付勢する付勢部材と、載置部に装着されるディスク状記録媒体に書込まれた信号を再生する再生部と、を具備し、昇降機構は、蓋体が第1の位置にあるときに載置部を付勢部材の付勢力によって再生位置に保持し、蓋体を第1の位置から第2の位置へ移動させるときに載置部を付勢部材の付勢力に抗して下降させ、蓋体が第2の位置にあるときに載置部を付勢部材の付勢力によって再生位置に保持し、蓋体を第2の位置から第1の位置へ移動させるときに載置部を付勢部材の付勢力に抗して上昇させるようにしたものである。
【0028】
従ってこのようなディスクプレーヤによると、蓋体が第1の位置から第2の位置に移動されると、載置部が下降し、これによってチャッキングの解除が行なわれる。また蓋体が第2の位置から第1の位置へ移動すると、載置部が上昇するために、これによってチャッキング動作が行なわれる。従って蓋体の移動動作に連動して、チャッキング解除動作およびチャッキング動作が自動的に行なわれる。
【0029】
本願の別の主要な発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、蓋体側またはキャビネット側に設けられており、蓋体をキャビネット側に対して回動可能であって摺動可能に支持する支点手段と、支点手段が蓋体を回動可能に支持する状態と摺動可能に支持する状態とに切換える切換え手段と、蓋体側とキャビネット側との間に介装されたばねと、を具備し、切換え手段によって蓋体を回動可能に支持する状態に切換えた場合にはばねが蓋体を開く方向に付勢するとともに、切換え手段によって蓋体を摺動可能に支持する状態に切換えた場合にはばねが蓋体を摺動方向前方に付勢するようにしたものである。
【0030】
従ってこのようなディスクプレーヤによると、切換え手段によって蓋体が回動可能な状態に切換えられた場合には、上記ばねによって蓋体が開く方向に付勢され、蓋体の自動開放動作が達成される。また切換え手段によって蓋体を摺動可能に支持する状態に切換えた場合には、ばねが蓋体を摺動方向前方に付勢することになり、これによって蓋体の閉鎖位置への移動が自動的に行なわれるようになる。
【0031】
本願のさらに別の発明は、ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、蓋体に固着されおり、かつ長孔によってキャビネット内のシャーシに回動可能であって摺動可能に連結されている支点板と、支点板に形成されるとともに、該支点板の長孔とほぼ平行であってしかも端部が開放され、シャーシのピンを受入れる摺動溝と、支点板とシャーシとの間に介装され、支点板を付勢するばねと、を具備し、支点板の摺動溝にシャーシのピンが係合している状態では、蓋体に取付けられている支点板がシャーシに対して摺動可能に支持されるとともに、ばねによって前方に付勢され、支点板の摺動溝からシャーシのピンが離脱すると、支点板を取付けている蓋体が回動可能になるとともに、ばねによって蓋体が開く方向に付勢されるようにしたものである。
【0032】
従ってこのような構成によると、摺動溝にピンが係合している状態においては、蓋体がシャーシに対して摺動可能に支持され、これに対してピンが摺動溝から離脱すると、蓋体が開閉自在になり、しかもばねによって蓋体が開く方向に付勢されることになる。従って共通の支点板から成る蓋体の支点構造によって、蓋体の摺動動作と開放動作の2つの動作を達成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図7は本実施の形態に係るコンパクトディスクプレーヤの外観を示しており、このコンパクトディスクプレーヤは、直径が12cmの、例えば音楽を記録したコンパクトディスク(CD)を再生するのに用いられる。そしてコンパクトディスクプレーヤは、コンパクトディスクとほぼ同じ直径かそれよりもやや大きな直径の偏平なトレー状のキャビネット30を備える。キャビネット30の上部開口が蓋体31によって開閉可能に閉じられるようになっている。上記キャビネット30の外側部の所定の位置には、操作釦32が円周方向に摺動可能に取付けられ、この操作釦32の摺動操作によって、上記蓋体31のロックを解除し、これによって蓋体31を開放するようにしている。
【0034】
図8は上記操作釦32を操作したときにおける、蓋体31の開放の状態を示している。蓋体31は、比較的小さな角度、例えば25度の角度で開放される。なおこのように小さな角度で蓋体31が開放される理由は、蓋体31の開放動作に連動して、コンパクトディスク40がセンタチャック38から自動的に取外されるようになっているからである。すなわち蓋体31を大きく開き、手をキャビネット30内に挿入してコンパクトディスク40をセンタチャック38から取外す必要がないようにしている。操作ボタン32の操作によって、蓋体31を開放させると、例えば25度の角度で蓋体31が開かれる。このときに中に収納されているコンパクトディスク40は、蓋体31の内側に取付けられているホルダ42の保持片43によって両側が保持された状態になっている。従って図9に示すように、比較的小さな角度で開かれた蓋体31とキャビネット30との間の隙間に手を挿入し、コンパクトディスク40を容易に取出すことができる。
【0035】
上述のような操作を可能にする具体的な構造を、図10によって説明する。図10は本実施の形態のコンパクトディスクプレーヤの内部構造を示しており、このコンパクトディスクプレーヤは、上述の如くキャビネット30と蓋体31とによって外筐が構成される。そしてキャビネット30内にはシャーシ35が固定して取付けられる。シャーシ35上には、メカデッキ36が組込まれるとともに、このメカデッキ36上に、ターンテーブル37が配されている。ターンテーブル37は、その下側に配されている偏平な直結のDCモータによって回転駆動される。またターンテーブル37の上面には、上方に突出するようにセンタチャック38が取付けられている。センタチャック38は、偏平な円板状の形状をなし、その上端側の外周面が傾斜面39になっている。これによってコンパクトディスク40の挿入の案内を行なうようにしている。
【0036】
コンパクトディスク40は、図8および図9に示すように、直径が12cmの円板状をなす合成樹脂製の媒体であって、その中心部には円形の中心孔41を備えている。センタチャック38から取外されたコンパクトディスク40を保持するために、蓋体31の下面にホルダ42が取付けられる(図13〜図15参照)。ホルダ42はその両側が下方に屈曲されるとともに、屈曲された先端部が半径方向中心側に折曲がって保持片43を形成している。なお保持片43は、その付根部分よりも先端側の方が低くなっている。このような保持片43の保持構造は、コンパクトディスク40の信号面を保護することにある。すなわち保持片43は先端側が低くなるように傾斜しているために、保持片43は、コンパクトディスク40の外周側のエッジの部分と接触した状態で保持する。また上記蓋体31の下面にはディスク押え44が取付けられている。ディスク押え44はゴムまたは柔軟な合成樹脂によって作られており、ほぼ楕円形のリング状をなしている。このディスク押え44がコンパクトディスク40の中心孔41の外周側であって上面を押えるようにし、これによってターンテーブル37上のセンタチャック38に対する装着を行なうようにしている。なおここでは、ディスク押え44はほぼ楕円形のリング状をなしている一例を示したが、ディスク押え44は略U字型や略V自型、ほぼ平行な2直線状のものでも構わず、特に図示の形状に限定されるものではない。
【0037】
次に上記蓋体31のヒンジの構造について説明する。蓋体31は、摺動動作と回動動作との2つの動作を行なう特徴あるヒンジ機構を備えている。このような特徴あるヒンジ機構は、主として支点板48によって達成される。支点板48は、図11Aに示されるように前後方向に延びる長孔49を備えている。長孔49は、シャーシ35の折曲げ片50に植設されている支点ピン51を受入れ、これによって支点板48がシャーシ35に対して摺動可能であって回動可能に取付けられる。また上記支点板48には、上記長孔49よりも上側の位置において長孔49とほぼ平行に摺動溝52が形成されている。摺動溝52は前方側が開放されている。そして摺動溝52は、シャーシ35の折曲げ片50に植設されている別のピン53を受入れている。
【0038】
上記支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に巻ばね56が介装される。巻ばね56の一端は、上記シャーシ35側のピン53の中心孔57に係合される。これに対して巻ばね56の反対側の端部は、支点板48の前端側に設けられている係合孔58に係合される。巻ばね56は、摺動溝52からピン53が離脱する近傍の位置であって、図15Cに示す位置の近傍において最も大きく撓むようになっており、摺動溝52からピン53が離脱した場合には、この巻ばね56が蓋体31を開放する方向に付勢する(図15C参照)。これに対して摺動溝52にピン53が係合している場合には、巻ばね56が蓋体31を前方側に付勢するようにしている(図15D参照)。
【0039】
上記支点板48の外側部には、連結板60が配されている。連結板60はその一端に係合孔61を備え、この係合孔61が支点板48に植設されているピン62と係合しており、これによって支点板48に連結される。また連結板60の他端には長さ方向に延びる長孔63が植設され、この長孔63がシャーシ35の両側部に形成された折曲げ片64のピン65と係合している。従って支点板48を固着している蓋体31が回動運動および摺動運動を行なうと、これに連動して連結板60がシャーシ35に対して前後方向に摺動することになる。
【0040】
上記連結板60の内側には、図11Bに示すように、ピン69が植設されている。このピン69は、メカデッキ36の下面に剛体的に固着されているベース板73の両側部に形成されているカム70に作用し、これによってカム70を介してベース板73を昇降動作させるようにしている。すなわちカム70はとくに図16に示すように、ほぼ平行四辺形の形状をなし、その前方側に第1の傾斜面71が形成され、背面側に第2の傾斜面72が形成されている。これらの傾斜面71、72によって、メカデッキ36と固着されたベース板73が昇降動作をし、これに連動してメカデッキ36とその上のターンテーブル37が上下動を行なうようになっている。
【0041】
ここでターンテーブル37は、図12Aに示すようにその中心部に上述の如く、センタチャック38を備え、しかもセンタチャック38は、図12Bに示すように外周部に120度間隔でボール76を保持している。ボール76は、内蔵されたばね77によって外周側に付勢されている。
【0042】
このようなセンタチャック38を有するターンテーブル37が取付けられたメカデッキ36には、図12Aに示すように、摺動溝78が背面方向に向かって形成されるとともに、この摺動溝78内にその長さ方向に配されている送りねじ79によって、光ピックアップ80がコンパクトディスク40に対して半径方向に移動するように取付けられている。
【0043】
上記メカデッキ36は、その両側部にそれぞれ支軸82を備えるとともに、支軸82がシャーシ35に折曲げて形成された支持片83の軸受孔84に受入れられ、これによってメカデッキ36は上記軸受孔84の軸線を中心として回動可能に支持されている。そしてメカデッキ36にはその背面側に案内用壁部85が形成されている。この案内用壁部85は、コンパクトディスク40を挿入するときの前後方向の挿入深さを規制するためのものである。またメカデッキ36にはその前端側にとくに図2および図15に示すように、前方に突出する突片86が形成され、この突片86を上下から挟着するように、板ばね87が配される。板ばね87は、とくに図15から明らかなように、側面から見るとV字状をなしている。
【0044】
また上記シャーシ35の上面には、図12Aに示すように突起状リブ89が形成されている。このリブ89は、メカデッキ36を下降させてセンタチャック38からコンパクトディスク40を離脱させる際に、コンパクトディスク40が一緒に下降するのを阻止する部材である。なお突起状リブ89は、コンパクトディスク40の中心孔41の周縁部であって、信号の記録面よりも中心側に形成されており、突起状リブ89によって信号の記録されている領域を傷付けないようにしている。
【0045】
図13は蓋体31の下面に取付けられているホルダ42とディスク押え44と支点板48を示している。ホルダ42は上述の如く、両端が下方に折曲げられるとともに、さらにその先端側の部分がほぼ水平であって先端部の方がやや下方に向くように傾斜して折曲げられて保持片43が連設されており、両側の保持片43によってコンパクトディスク40を保持するようにしている(図8参照)。またホルダ42の中心よりもやや前方よりの位置であって蓋体31の下面に、弾性部材から成る楕円形のディスク押え44が取付けられる。そして蓋体31の内側であってその背面側の両側の壁部に、上述の如く支点板48が取付けられる。
【0046】
図14A、Bは、とくに上記支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との連結構造、およびホルダ42の両側の保持片43の傾斜の構造とを前方側から見た状態を示している。
【0047】
次に上述のような構成に係るコンパクトディスクプレーヤの、とくに蓋体31の摺動動作および回動動作と、メカデッキ36によるチャッキング動作およびチャッキング解除動作の関連について、図15を参照して説明する。なお図15において、連結板60は、その背面側の部分を見易くするために、仮想線によって輪郭を示している。
【0048】
図15Aに示す状態は、総ての部品が初期状態であって、キャビネット10の上部開口が蓋体31によって完全に閉じられている状態を示している。このような状態において、使用者が指で蓋体31に対して、背面側に摺動動作させるような力F1を、図15Bに示すように加える。このときに蓋体31は支点板48を介して巻ばね56によって前方へ付勢する力を受けている。従って使用者が加える力F1が上記巻ばね56の付勢力に打勝つと、蓋体31を取付けている支点板48が図15Bに示すように左方へ摺動動作する。
【0049】
支点板48は上述の如く、長孔49がシャーシ35のピン51を受入れるとともに、摺動孔52がシャーシ35のピン53を受入れている。従って支点板48は回動動作することなく、図15Bに示すように左方に摺動される。従って支点板48を取付けている蓋体31も同方向に移動する。
【0050】
支点板48には、ピン62を介して連結板60が連結されている。従って蓋体31の摺動動作に連動して支点板48が左方へ移動すると、連結板60も同方向へ移動する。すると連結板60の裏側のピン69がベース板73の外側部に設けられているカム70の前方側の第1の傾斜面71を押すことになり、このために図16Bに示すように、カム70が下方に押されることになる。従ってカム70を備えるベース板73が下降する。ベース板73はメカデッキ36を固着しているとともに、メカデッキ36はその背面側の軸82がシャーシ35の支持片83の軸受孔84に回動可能に支持されているために、上記軸受孔84の軸線を中心としてメカデッキ36が図15Bに示すように時計方向に小さな角度を回動する。このような回動動作に連動して、メカデッキ36が下降動作する。同時にこのときに、シャーシ35に取付けられている板ばね87の下端側の部分が弾性変形することになる。
【0051】
図15Bに示す状態において、さらに蓋体31および支点板48に背面側に押す力が継続して加えられると、支点板48の摺動溝52の開放端からシャーシ35側のピン53が離脱する。するとシャーシ35と支点板48との連結は、長孔49と係合する支点ピン51のみになる。そして支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間には巻ばね56が介装されており、この巻ばね56が蓋体31を開く方向に付勢しているために、図15Cに示すように、支点板48の運動が、摺動運動から回動運動に変換される。なおこのときに、巻ばね56はその最大撓み位置を超えており、支点板48はその回動運動の際に巻ばね56によって図15Cに示す回転力R1を受ける。そして支点板48は、シャーシ35の折曲げ片50の下端に形成されたストッパ91に接触するようになり、この位置まで回動運動を継続する。またこの位置においては、連結板60の裏側のピン69は、ベース板73のカム70を乗越えた位置にあり、このためにカム70とピン69との相互の連動動作が解消される。従ってメカデッキ36はシャーシ35の先端部に取付けられているV字状板ばね87によって、図15Aに示す状態と同じ水平位置へ復帰する。
【0052】
次に上記の動作とは逆の動作であって、支点板48を時計方向に回転させる外力を与える場合について考える。支点板48が取付けられている蓋体31を閉じる方向に回動させるように力を加える。すると支点板48には、この支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に介装されている巻ばね56の蓋体31を開こうとする力に打勝つような力が与えられる。そして図15Cに示す位置まで支点板48を時計方向に回動させると、支点板48の摺動溝52の開放端にピン53が臨むようになる。このときに巻ばね56が支点板48に対して前方へ摺動するような力を与えるために、使用者が蓋体31に加える力と相俟って、ピン53が支点板48の摺動溝52内に侵入する。従ってこの後さらに使用者が、図15Bに示すF1とは逆方向であって右方への力F2を負荷すると(図15d参照)、巻ばね56は最大撓み位置を超え、このためにF2のばね力を発生する。
【0053】
使用者が図15Dに示す外力F2を継続して加えると、連結板60の裏側の突起69がカム70に作用する。ここで図15Dに示すF2方向の力が加えられる場合には、図15Bに示すF1方向の力を加える場合とは逆に作用する。すなわち、ピン69は図16Cに示すように、カム70の背面側の第2の傾斜面72に作用し、これによってカム70を介してベース板73を押上げるようになる。従ってベース板73に固着されているメカデッキ36が押上げられる。同時に、図15Dに示すように、シャーシ35の先端部に取付けられているV字状板ばね87が上方に弾性変形する。そして支点板48の前方への移動に伴って連結板60のピン69がカム70から離脱すると、V字状板ばね87によって、ベース板73上のメカデッキ36は図15Aに示す水平位置へ戻り、初期状態に復帰することになる。
【0054】
図16に示すように、連結板60のピン69と、ベース板73のカム70との動作関係は、連結板60の移動方向に応じて互いに逆の動作を示す。連結板60のピン69が背面側へ移動する場合には、ピン69はカム70の上面を通過し、ベース板73はダウン方向へ下降する。一方連結板60のピン69が右方であって前方側へ移動すると、ピン69がカム70の下面を通過し、ベース板73はアップ方向へ上昇する。従って、このディスクプレーヤにおいては、連結板60のピン69の往復動によって、ベース板73に固着されたメカデッキ36が交互に上昇と下降とを繰返すことになる。
【0055】
次に上述のような運動動作と、コンパクトディスクに対するチャッキングの解除動作およびチャッキング動作との関係を図17によって説明する。なお図17においては、上蓋31、ディスク押え44、およびホルダ42の3部品については、これらを断面によって示している。また下側のキャビネット30は、上記の動作には機能的には関与していないために、図示を省略している。
【0056】
図17Aは、コンパクトディスク40がターンテーブル37上に装着され、メカデッキ36に設けられている光ピックアップ80によって、所定の再生動作を行なっている状態を示している。再生動作を停止し、コンパクトディスク40を取出す場合には、図17Bに示すように、使用者が蓋体31に対して背面側に向かう外力F1を与える。なお、連結板60のピン69とベース板73のカム70との連動が開始される前に、上述のF1の力を除去すると、ディスクプレーヤは、蓋体31の内側において支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に介装されている巻ばね56の付勢力によって、元の状態に復帰される。
【0057】
使用者が図17Bに示すF1の力を継続して印加すると、連結板60に設けられているピン69がカム70に作用し、メカデッキ36が下降する。そしてコンパクトディスク40は、シャーシ35に設けられている突起状リブ89に当接する。このためにそれ以上コンパクトディスク40が下降できなくなる。従って、上記メカデッキ36の下降動作に連動して、コンパクトディスク40の中心孔41からターンテーブル37のセンタチャック38が離脱する。従って、このディスクプレーヤにおいては、蓋体31の開放動作に連動して、コンパクトディスク40のチャッキング解除動作が行なわれる。
【0058】
図17Bに示すF1がさらに継続して印加され、連結板60の最大終了位置まで到達する。ここで、図17Bにおける負荷開始状態から、図17Cに示す位置までは、使用者がこのディスクプレーヤの上蓋31を開放する意思を持って外力F1を印加することになる。従って、支点板48とシャーシ35との間に介装されている巻ばね56の戻し力、およびセンタチャック38からコンパクトディスク40の中心孔41を離脱させる力の和は、使用者の外力に対して非常に微少なものであって、このために上記コンパクトディスク40の保持と、上蓋31の姿勢保持性能を悪化させるような巻ばね56のばね力の微調整が必要でなくなる。
【0059】
次に図17Dによって、蓋体31の開放動作を説明する。支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に介装される巻ばね56がその弾性復元力によって支点板48に加える力が、蓋体31の重量とコンパクトディスク40の重量に打勝てば、蓋体31は開放可能である。すなわちターンテーブル37のセンタチャック38から中心孔41が離脱しているコンパクトディスク40は、蓋体31側に取付けられているホルダ42の両側の保持片43によって互いに対向する外周部を支えられた状態で、図17Dに示す位置まで浮上運動を行なう。このときのコンパクトディスク40の浮上運動がR2で示される。
【0060】
次に使用者がコンパクトディスク40をターンテーブル37に装着し、蓋体31を閉じる動作について説明する。この動作は蓋体31の開放動作とは逆の動作になる。図17Dに示す位置までコンパクトディスク40を挿入し、このコンパクトディスク40を、蓋体31の内側のホルダによって仮に保持しておく。このような状態において、蓋体31にR1と逆方向の力を加えて蓋体31を閉じる。次に蓋体31に対して図17Eに示すように、前方への力F2を加える。この力F2によって、蓋体31および支点板48が前方へ移動する。この前方への移動動作に連動して、連結板60の裏側のピン69がベース板73のカム70に作用し、これによってベース板73が上昇するとともに、メカデッキ36に支持されているターンテーブル37が上昇する。従って、ターンテーブル37の中心部に設けられているセンタチャック38がコンパクトディスク40の中心孔41に係合される。なおこのときに、コンパクトディスク40は、その上面が、蓋体31の下面に取付けられているディスク押え44によって押付けられ、このためにコンパクトディスク40のセンタチャック38に対するチャッキング動作が確実に達成される。またこのときに、センタチャック38の上端側の傾斜面39が、センタチャック38をコンパクトディスク40の中心孔41に確実に導く。
【0061】
このように本実施の形態に係るコンパクトディスクプレーヤは、使用者自身がこのディスクプレーヤに負荷する外力F1、F2によって、支点板48を内側に取付けている蓋体31の摺動運動と回動運動の両方を可能にした支点機構を利用して、蓋体31の摺動動作中にコンパクトディスク40の挿抜をメカデッキ36の上下運動によって達成する。さらに回動運動中には、支点板48とシャーシ35の折曲げ片50との間に介装された巻ばね56の力によって蓋体31の開放とコンパクトディスク40の保持および浮上の動作を行なう。従って、とくに人間による外力と、巻ばね56のばね力による仕事を分散させることによって、このディスクプレーヤ内に著しいばねの負荷を無くすことが可能となる。モータやバッテリ、プランジャ等の電気部品が必要でなくなる。また信号記録面が露出しているコンパクトディスクの表面に安易に傷を付けることがなく、セットの重量や大きさに対して著しい悪影響を与えることもない。またコンパクトディスク40の挿抜や、蓋体31の開放の2段の操作を、一連の操作で完了させる極めて使い勝手に優れるとともに、高い利便性を有するディスクプレーヤを提供することが可能になる。
【0062】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内で、各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態は、ポータブル式のコンパクトディスクプレーヤに関するものであるが、本願発明は、各種の光ディスクを再生するためのCDプレーヤやDVDプレーヤ、あるいはBD(Blue−ray Disc)プレーヤ等に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本願発明は、コンパクトディスク、DVD等の各種の光ディスク再生のためのディスクプレーヤに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来のポータブル型のコンパクトディスクプレーヤの外観斜視図である。
【図2】同コンパクトディスクプレーヤの蓋体の開放動作を示す斜視図である。
【図3】蓋体が開放されたコンパクトディスクプレーヤの斜視図である。
【図4】コンパクトディスクプレーヤからのコンパクトディスクの取出しおよびセンタチャックを示す斜視図である。
【図5】ディスクカートリッジを用いるディスクプレーヤの蓋体の開放動作を示す斜視図である。
【図6】同ディスクカートリッジがエジェクトされた状態の斜視図である。
【図7】本願発明の一実施の形態のコンパクトディスクプレーヤの外観斜視図である。
【図8】同ディスクプレーヤの蓋体の開放動作を示す斜視図である。
【図9】同コンパクトディスクプレーヤからのコンパクトディスクの取出し動作を示す斜視図である。
【図10】内部構造の全体を示す分解斜視図である。
【図11】蓋体の支点機構を示す要部分解斜視図である。
【図12】メカデッキの取付け構造を示す分解斜視図、およびセンタチャックの外観斜視図である。
【図13】蓋体の内側の構造を示す外観斜視図である。
【図14】蓋体を開いた状態の正面図およびホルダの部分の要部拡大正面図である。
【図15】支点板の摺動動作および回動動作と、センタチャックのチャッキング解除動作およびチャッキング動作との関係を示す要部側面図である。
【図16】連結板のピンとカムの作用によるメカデッキの下降動作と上昇動作とを示す正面図である。
【図17】蓋体の開閉動作とコンパクトディスクのチャッキング解除動作およびチャッキング動作との関係を示す要部側面図である。
【符号の説明】
【0065】
5…キャビネット、6…蓋体、7…ヘッドホン、8…ヘッドバンド、9…コード、10…プラグ、11…コネクタジャック、12…操作釦、15…コンパクトディスク(CD)、16…ターンテーブル、17…センタチャック、18…ボール、19…ばね、22…キャビネット、23…蓋体、24…操作釦、25…ディスクカートリッジ、30…キャビネット、31…蓋体、32…操作釦、35…シャーシ、36…メカデッキ、37…ターンテーブル、38…センタチャック、39…傾斜面、40…コンパクトディスク(CD)、41…中心孔、42…ホルダ、43…保持片、44…ディスク押え、48…支点板、49…長孔、50…折曲げ片、51…支点ピン、52…摺動溝、53…ピン、56…巻ばね、57…中心孔、58…係合孔、60…連結板、61…係合孔、62…ピン、63…長孔、64…折曲げ片、65…ピン、69…ピン、70…カム、71…第1の傾斜面(前方側)、72…第2の傾斜面(背面側)、73…ベース板、76…ボール、77…ばね、78…摺動溝、79…送りねじ、80…光ピックアップ、82…支軸、83…支持片、84…軸受孔、85…案区用壁部、86…突片、87…V字状板ばね、89…突起状リブ、91…ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤにおいて、
第1の位置と第2の位置との間で摺動可能な蓋体と、
再生位置に対して下降および上昇可能な前記ディスク状記録媒体の載置部と、
前記蓋体の摺動動作に応じて前記載置部を下降および上昇させる昇降機構と、
前記載置部を前記再生位置に付勢する付勢部材と、
前記載置部に装着されるディスク状記録媒体に書込まれた信号を再生する再生部と、
を具備し、前記昇降機構は、前記蓋体が前記第1の位置にあるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力によって前記再生位置に保持し、前記蓋体を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力に抗して下降させ、前記蓋体が前記第2の位置にあるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力によって前記再生位置に保持し、前記蓋体を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力に抗して上昇させることを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項2】
前記蓋体の摺動動作に連動する連結板を有し、前記昇降機構が前記連結板の突起と、前記載置部を有するメカデッキ側のカムとによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のディスクプレーヤ。
【請求項3】
前記メカデッキ側のカムが前記蓋体の摺動方向に沿って形成されたほぼ平行4辺形のカムであって、前記摺動方向の両端が互いにほぼ平行な傾斜部になっており、前記連結板の突起が前記傾斜部に作用すると前記メカデッキが昇降動作を行なうことを特徴とする請求項2に記載のディスクプレーヤ。
【請求項4】
前記蓋体が摺動可能な支点構造によって摺動可能であって回動可能に支持され、しかも前記蓋体に固着された支点部材に前記連結板が連結されることを特徴とする請求項2に記載のディスクプレーヤ。
【請求項5】
前記付勢部材は、側面から見るとほぼV字状をなし、一端で前記メカデッキを下方に付勢するとともに、他端で前記メカデッキを上方に付勢することを特徴とする請求項1に記載のディスクプレーヤ。
【請求項6】
前記メカデッキにターンテーブルが取付けられるとともに、該ターンテーブルの中心部にセンタチャックが設けられることを特徴とする請求項1に記載のディスクプレーヤ。
【請求項7】
前記センタチャックの上端側の外周部が傾斜面から構成されることを特徴とする請求項6に記載のディスクプレーヤ。
【請求項8】
ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、
前記蓋体側または前記キャビネット側に設けられており、前記蓋体を前記キャビネット側に対して回動可能であって摺動可能に支持する支点手段と、
前記支点手段が前記蓋体を回動可能に支持する状態と摺動可能に支持する状態とに切換える切換え手段と、
前記蓋体側と前記キャビネット側との間に介装されたばねと、
を具備し、前記切換え手段によって前記蓋体を回動可能に支持する状態に切換えた場合には前記ばねが前記蓋体を開く方向に付勢するとともに、前記切換え手段によって前記蓋体を摺動可能に支持する状態に切換えた場合には前記ばねが前記蓋体を摺動方向前方に付勢することを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項9】
前記支点手段が長孔を有する支点部材であって、前記支点部材が前記蓋体に固着されることを特徴とする請求項8に記載のディスクプレーヤ。
【請求項10】
前記切換え手段が前記支点手段に設けられた係合および離脱自在な係合手段であることを特徴とする請求項8に記載のディスクプレーヤ。
【請求項11】
前記キャビネット内のシャーシ上に取付けられたメカデッキにディスク状記録媒体を回転駆動するターンテーブルが設けられていることを特徴とする請求項8に記載のディスクプレーヤ。
【請求項12】
ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、
前記蓋体に固着されおり、かつ長孔によってキャビネット内のシャーシに回動可能であって摺動可能に連結されている支点板と、
前記支点板に形成されるとともに、該支点板の長孔とほぼ平行であってしかも前記端部が開放され、前記シャーシのピンを受入れる摺動溝と、
前記支点板と前記シャーシとの間に介装され、前記支点板を付勢するばねと、
を具備し、前記支点板の摺動溝に前記シャーシのピンが係合している状態では、前記蓋体に取付けられている支点板が前記シャーシに対して摺動可能に支持されるとともに、前記ばねによって前方に付勢され、
前記支点板の摺動溝から前記シャーシのピンが離脱すると、前記支点板を取付けている蓋体が回動可能になるとともに、前記ばねによって前記蓋体が開く方向に付勢されることを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項13】
前記支点板が前記蓋体の左右両側壁に固着され、該支点板が前記蓋体を開閉自在に取付ける取付け手段を構成することを特徴とする請求項12に記載のディスクプレーヤ。
【請求項14】
前記ばねが巻ばねから構成され、該巻ばねの一端が前記支点板の係合孔に係合されるとともに、前記ばねの他端が前記摺動溝と係合するピンの中心孔に係合されることを特徴とする請求項12に記載のディスクプレーヤ。
【請求項15】
前記ばねは前記シャーシのピンが前記支点板の摺動溝から離脱する位置の近傍で最大撓み状態であることを特徴とする請求項14に記載のディスクプレーヤ。
【請求項16】
前記支点板を取付けている蓋体が所定の角度開放されると、前記支点板の端部が前記シャーシのストッパに当接し、これによって前記蓋体の最大開放角度が規制されることを特徴とする請求項12に記載のディスクプレーヤ。
【請求項1】
ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤにおいて、
第1の位置と第2の位置との間で摺動可能な蓋体と、
再生位置に対して下降および上昇可能な前記ディスク状記録媒体の載置部と、
前記蓋体の摺動動作に応じて前記載置部を下降および上昇させる昇降機構と、
前記載置部を前記再生位置に付勢する付勢部材と、
前記載置部に装着されるディスク状記録媒体に書込まれた信号を再生する再生部と、
を具備し、前記昇降機構は、前記蓋体が前記第1の位置にあるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力によって前記再生位置に保持し、前記蓋体を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力に抗して下降させ、前記蓋体が前記第2の位置にあるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力によって前記再生位置に保持し、前記蓋体を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させるときに前記載置部を前記付勢部材の付勢力に抗して上昇させることを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項2】
前記蓋体の摺動動作に連動する連結板を有し、前記昇降機構が前記連結板の突起と、前記載置部を有するメカデッキ側のカムとによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のディスクプレーヤ。
【請求項3】
前記メカデッキ側のカムが前記蓋体の摺動方向に沿って形成されたほぼ平行4辺形のカムであって、前記摺動方向の両端が互いにほぼ平行な傾斜部になっており、前記連結板の突起が前記傾斜部に作用すると前記メカデッキが昇降動作を行なうことを特徴とする請求項2に記載のディスクプレーヤ。
【請求項4】
前記蓋体が摺動可能な支点構造によって摺動可能であって回動可能に支持され、しかも前記蓋体に固着された支点部材に前記連結板が連結されることを特徴とする請求項2に記載のディスクプレーヤ。
【請求項5】
前記付勢部材は、側面から見るとほぼV字状をなし、一端で前記メカデッキを下方に付勢するとともに、他端で前記メカデッキを上方に付勢することを特徴とする請求項1に記載のディスクプレーヤ。
【請求項6】
前記メカデッキにターンテーブルが取付けられるとともに、該ターンテーブルの中心部にセンタチャックが設けられることを特徴とする請求項1に記載のディスクプレーヤ。
【請求項7】
前記センタチャックの上端側の外周部が傾斜面から構成されることを特徴とする請求項6に記載のディスクプレーヤ。
【請求項8】
ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、
前記蓋体側または前記キャビネット側に設けられており、前記蓋体を前記キャビネット側に対して回動可能であって摺動可能に支持する支点手段と、
前記支点手段が前記蓋体を回動可能に支持する状態と摺動可能に支持する状態とに切換える切換え手段と、
前記蓋体側と前記キャビネット側との間に介装されたばねと、
を具備し、前記切換え手段によって前記蓋体を回動可能に支持する状態に切換えた場合には前記ばねが前記蓋体を開く方向に付勢するとともに、前記切換え手段によって前記蓋体を摺動可能に支持する状態に切換えた場合には前記ばねが前記蓋体を摺動方向前方に付勢することを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項9】
前記支点手段が長孔を有する支点部材であって、前記支点部材が前記蓋体に固着されることを特徴とする請求項8に記載のディスクプレーヤ。
【請求項10】
前記切換え手段が前記支点手段に設けられた係合および離脱自在な係合手段であることを特徴とする請求項8に記載のディスクプレーヤ。
【請求項11】
前記キャビネット内のシャーシ上に取付けられたメカデッキにディスク状記録媒体を回転駆動するターンテーブルが設けられていることを特徴とする請求項8に記載のディスクプレーヤ。
【請求項12】
ディスク状記録媒体を所定の位置に装着して再生を行なうディスクプレーヤであって、蓋体がキャビネットの上部開口を開閉自在に閉じるように取付けられているディスクプレーヤにおいて、
前記蓋体に固着されおり、かつ長孔によってキャビネット内のシャーシに回動可能であって摺動可能に連結されている支点板と、
前記支点板に形成されるとともに、該支点板の長孔とほぼ平行であってしかも前記端部が開放され、前記シャーシのピンを受入れる摺動溝と、
前記支点板と前記シャーシとの間に介装され、前記支点板を付勢するばねと、
を具備し、前記支点板の摺動溝に前記シャーシのピンが係合している状態では、前記蓋体に取付けられている支点板が前記シャーシに対して摺動可能に支持されるとともに、前記ばねによって前方に付勢され、
前記支点板の摺動溝から前記シャーシのピンが離脱すると、前記支点板を取付けている蓋体が回動可能になるとともに、前記ばねによって前記蓋体が開く方向に付勢されることを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項13】
前記支点板が前記蓋体の左右両側壁に固着され、該支点板が前記蓋体を開閉自在に取付ける取付け手段を構成することを特徴とする請求項12に記載のディスクプレーヤ。
【請求項14】
前記ばねが巻ばねから構成され、該巻ばねの一端が前記支点板の係合孔に係合されるとともに、前記ばねの他端が前記摺動溝と係合するピンの中心孔に係合されることを特徴とする請求項12に記載のディスクプレーヤ。
【請求項15】
前記ばねは前記シャーシのピンが前記支点板の摺動溝から離脱する位置の近傍で最大撓み状態であることを特徴とする請求項14に記載のディスクプレーヤ。
【請求項16】
前記支点板を取付けている蓋体が所定の角度開放されると、前記支点板の端部が前記シャーシのストッパに当接し、これによって前記蓋体の最大開放角度が規制されることを特徴とする請求項12に記載のディスクプレーヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−276814(P2008−276814A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115463(P2007−115463)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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