説明

ディスクモータ及び電動作業機

【課題】コイル片の銅損を低減しつつコイル片での渦電流損を小さくする。
【解決手段】ディスクモータの回転子を構成するコイル基板40Aには、コイルを構成する複数のコイル片44が放射状に形成される。コイル片44は、回転軸に対して略垂直な直線状の直線部と、直線部の内周側および外周側に位置するインボリュート曲線状の曲線部と、を有する。コイル片44には、曲線部および直線部に沿ってコイル片44を分割するスリットを形成し、それぞれ二股に分割させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力軸に動力を出力するディスクモータ及びディスクモータを備える電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のディスクモータとして、コイルパターンが印刷された略円板状のコイル基板が複数積層された回転子と、回転子の回転面に垂直に磁束を発生させる磁石と、回転子に電流を供給する摺動子と、を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたディスクモータでは、回転子に印刷されたコイルパターンのうち、回転子の回転軸と垂直となるコイル片の直線状の部分を、幅を広くすると共に中心にスリットを入れて2つに分岐させることにより、コイル片における渦電流損を押さえつつコイル片の電気抵抗を低くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−99429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたディスクモータでは、ディスクモータの高出力化や低電力化を図るために、コイルパターンのコイル片の銅損を小さくすることが望まれる。コイル片の銅損を小さくするには、コイル片の厚みを大きくしたりコイル片の幅を広くすることが考えられる。しかし、コイル片の厚みを大きくすると、ディスクモータの厚みが大きくなると共に銅箔などの材料をエッチングしてコイルパターンを印刷するコストが大きくなってしまい、コイル片の幅を広くすると、ディスクモータを駆動するときにコイル片での渦電流損が大きくなって、かえってディスクモータの出力が低下してしまう。特許文献1で開示されたディスクモータでは、回転子の回転軸と垂直となるコイル片の直線状の部分にスリットを入れてコイル片における渦電流損を押さえているが、コイル片での渦電流損をさらに小さくすることが望まれる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、コイル片の銅損を低減しつつコイル片での渦電流損を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るディスクモータは、
出力軸に動力を出力するディスクモータであって、
前記出力軸に沿った磁束を発生する磁束発生部と、
前記磁束発生部に対向する第1のコイル部と前記第1のコイル部の内周側および外周側に位置する第2のコイル部とを有し前記第2のコイル部および前記第1のコイル部に沿って前記第2のコイル部の少なくとも一部および前記第1のコイル部を分割するスリット部が形成されるコイル片が周方向に複数形成されたコイル基板を備え、前記出力軸と一体に回転する回転子と、
前記コイル基板に電力を供給する電力供給部と、
を備えることを特徴とする。
つまり、回転子のコイル基板にはコイル片が周方向に複数形成され、コイル片は、磁束発生部に対向する第1のコイル部と、第1のコイル部の内周側および外周側に位置する第2のコイル部とを有し、さらにコイル片には、第2のコイル部および第1のコイル部に沿って、第2のコイル部の少なくとも一部および第1のコイル部を分割するスリット部が形成されるのである。
【0007】
また、前記コイル片は、複数が電気的に接続されることによりコイルを形成し、前記コイルの端部となるコイル片を除いて前記スリット部により2つ以上に分割されてもよい。
【0008】
さらに、前記回転子は、前記電力供給部から前記コイル基板への電力の供給に介在する整流子を更に備え、
複数の前記コイル片は、前記スリット部によりそれぞれ2つ以上に分割され、該スリット部によって分割されたそれぞれが前記整流子によって電気的に並列に接続されてもよい。
【0009】
加えて、前記第1のコイル部は、前記出力軸に略垂直な直線状に形成され、
前記第2のコイル部は、前記出力軸の周方向に延びる曲線状に形成されてもよい。
【0010】
あるいは、前記回転子は、複数の前記コイル基板が前記出力軸に沿って積層されて形成されてもよい。
【0011】
また、本発明の第2の観点に係る電動作業機は、
本発明の第1の観点に係るディスクモータを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コイル片の銅損を低減しつつコイル片での渦電流損を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る電動作業機の外観の一例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明のディスクモータの一例を示す構成概要図である。
【図3】ディスクモータの出力軸および回転子の一例を示す構成概要図である。
【図4】コイル基板の一方の面の一例を示す説明図である。
【図5】コイル基板の他方の面の一例を示す説明図である。
【図6】コイル基板のコイル片を拡大して示す拡大図である。
【図7】コイル基板に印刷された2つのコイルのうち一方を示す説明図である。
【図8】コイル基板の他方の面の第1の変形例を示す説明図である。
【図9】第1の変形例のコイル基板のコイル片を拡大して示す拡大図である。
【図10】コイル基板の他方の面の第2の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る電動作業機を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電動作業機10の外観の一例を示す外観図である。電動作業機10は、実施形態では刈刃16を回転させることにより刈払作業を行うことができる電動刈払機として構成され、図示するように、主棹部11と、電力を供給する電力源15と、作業具(刈刃16)を駆動する駆動部20と、を備える。
【0016】
主棹部11は、駆動部20と電力源15とを連結する操作棹12と、操作棹12に取付けられたハンドル13と、作業時に操作者側に異物が飛散するのを抑制する飛散防護カバー14と、を備える。操作棹12は、例えばアルミニウム合金や強化プラスチックなど、軽量で丈夫な素材によって中空の棒状に形成され、駆動部20と電力源15とを電気的に接続する電源線(図示せず)が挿通されている。操作棹12の真ん中よりやや後方にはハンドル13が取付けられられている。ハンドル13は、ハンドル13に対して回動可能にトリガーレバー13aが設けられ、トリガレバー13aが操作者によって操作されることで、電力源15から駆動部20に電力が供給され、電動作業機20が起動される。なお、実施形態では、図示するように、ハンドル13は、操作棹12から軸対象に円弧状に延出するU字状としたが、D字状やT字状のものとするなど如何なる形状としてもよい。
【0017】
電力源15は、主棹部11に後端に取付けられ、駆動部20に電力を供給する。電力源15は、電源ケーシングの後端に電池15aが取付けられて構成される。ここで、電池15aは、二次電池や燃料電池など如何なるものとしてもく、図示しない電源コードを介して充電可能なものとしたり、電源ケーシングから取り外して交換したり外部の充電装置で充電可能なものとしてもよい。
【0018】
図2に、駆動部20の構成の一例を示す。駆動部20は、操作棹12の前端に取付けられたモータケーシング21と、電力源15からの電力を受けて動力を出力するディスクモータ24と、を備え、ディスクモータ24の出力軸25に刈刃16(図2では省略)が取付けられる。モータケーシング21は、操作棹12と内部が連通するよう操作棹12の前端に取付けられ、ディスクモータ24を内部に収容する。
【0019】
ディスクモータ24は、電力を受けて出力軸25に動力を出力する整流子モータとして構成され、出力軸25と、この出力軸25と一体に回転する回転子30と、モータケーシング21に固定された固定子26および摺動子28と、を備える。
【0020】
出力軸25は、軸受22,23によってモータケーシング21に回転可能に軸支され、その一端が、モータケーシング21から突出し、刈刃16が取付けられる。固定子26は、図2に示すように、一対の上ヨーク26aおよび下ヨーク26bと、永久磁石であるマグネット26cと、から構成される。上ヨーク26aおよび下ヨーク26bは、鉄等の磁性体によって円環板状に形成されており、モータケーシング21にそれぞれ固定されている。上ヨーク26aは、回転子30の上面と対向するように配置され、下ヨーク26bは、回転子30の下面と対向するように配置されている。マグネット26cは、周方向に配列された複数の磁極を有して円環状に形成されており、下ヨーク26bの上面に固着されている。こうした構成により、固定子26は、マグネット26cが発生する磁束が回転子30を出力軸25の軸方向に通過するように、磁束を形成する。摺動子28は、回転子30の上面に摺接するように、(詳しくは、後述するコミュテータディスク36に摺接するように)モータケーシング21に固定されている。摺動子28は、モータケーシング21に設けられたブラシホルダ28b内にブラシ28aが配置され、バネ28cによってブラシ28aが回転子30の上面に付勢されるように構成されている。摺動子28には、操作棹12の内部に挿通された電源線(図示せず)を介して電力源15からの電力が供給される。
【0021】
図3に、ディスクモータ24の出力軸25と回転子30を拡大した様子の一例を示す。なお、図3では、右半分に出力軸25及び回転子30の外観を示し、左半分に出力軸25及び回転子30の断面を示している。出力軸25は、図示するように、回転子30を支持可能なフランジ部25aを有し、フランジ部25aの一端側に回転子30が取り付けられて出力軸25と回転子30とが一体に回転するように形成されている。
【0022】
回転子30は、出力軸25と嵌合するフランジ32と、整流子であるコミュテータディスク36と、4枚のコイル基板40Aが積層されて形成されたコイルディスク40と、複数の絶縁板34と、から構成されている。フランジ32は、例えばアルミニウム合金などにより形成され、中空円筒状の軸部32aと、軸部32aから延出する円板状のフランジ部32bと、を有する。フランジ32は、軸部32aの内周面が出力軸25の外周面と嵌合して互いに回り止め固定され、軸部32aの外周面には、フランジ部32bの一端側に絶縁板34を介してコミュテータディスク36が取り付けられ、フランジ部32bの他端側に絶縁板34を介してコイルディスク40が取り付けられている。
【0023】
コミュテータディスク36と4枚のコイル基板40Aとは、絶縁体基板と導体パターンとから構成されたプリント配線板により形成される。コミュテータディスク36は、コミュテータ(整流子)の導体パターンが放射状に形成され、コイル基板40Aの上面及び下面には、コイルの導体パターンがそれぞれ放射状に形成されている。なお、実施形態では、4枚のコイル基板40Aは、全て同一の構成のものとした。
【0024】
図4に、コイル基板40Aを図2及び図3中上から見た様子の一例を示し、図5に、コイル基板40Aを図2及び図3中下から見た様子の一例を示す。なお、図4及び図5には、固定子26のマグネット26cの位置を2点鎖線で示している(符号は示さず)。コイル基板40Aには、内周側にコイル基板40Aを軸方向に貫通するスルーホール41が設けられ、このスルーホール41には銅メッキが施されており、ピン35を挿入し半田付けすることにより他のコイル基板40Aやコミュテータディスク36に形成された導体パターンと電気的に接続される。また、コイル基板40Aに印刷された導体パターンの内周側と外周側との端部に当たる位置には、スルーホール42,43が設けられ、このスルーホール42,43には銅メッキが施されておりコイル基板40Aの上面に形成された導体パターンと下面に形成された導体パターンとが電気的に接続される。
【0025】
コイル基板40Aに形成されたコイルパターンのうちの1つを部分コイル44Aと定義し(例えば、図4及び図5中、斜線部)、隣接する2つの部分コイル44Aを合わせた部分をコイル片44と定義する(例えば、図4及び図5中、網線部)。図6に、コイル片44の拡大図を示す。ここで、コイル片44は、コイル片44に沿ったスリット48によって、2つの部分コイル44Aに分割されているとも言える。実施形態では、コイル基板40Aの上面と下面には、それぞれ20個のコイル片44、つまり40個の部分コイル44Aが設けられている。コイル片44(部分コイル44A)は、図4から図6に示すように、固定子26から発生される磁束が通過する位置に形成され出力軸25(軸中心)に対して略垂直な直線状の直線部(第1のコイル部)45を有すると共に、この直線部45から内周側と外周側とでインボリュート曲線状に折れ曲がる曲線状の曲線部(第2のコイル部)46,47を有し、全体的にはクランク状に形成されている。内周側の曲線部46は、一端が直線部45に他端が内周側のスルーホール41,42に接続され、外周側の曲線部47は、一端が直線部45に他端が外周側のスルーホール43に接続される。図4に示すように、コイル基板40Aの上面に印刷されたコイル片44のうち2つのコイル片44a(4つの部分コイル44A)は、内周側で接続されている。また、図5に示すように、下面に形成されたコイル片44のうち4個のコイル片44bは、内周側でスルーホール41に接続され、このスルーホール41を介してコミュテータディスク36や他のコイルディスク40Aと電気的に接続される。スルーホール41に接続されるコイル片44bは、スルーホール41付近で2つの部分コイル44Aが電気的に接続される。言い換えれば、コイル片44bは、スルーホール41の付近を除いて、コイル片44の直線部45および曲線部46,47に沿ったスリット48によって、2つの部分コイル44Aに分割されている。こうしたコイル片44(部分コイル44A)が、コイル基板40Aの内周側端および外周側端でスルーホール42,43によって上面と下面とで電気的に接続され、コイル基板40Aに2本のコイルが形成される。図7に、コイル基板40Aに形成される2本のコイルのうちの一方のみを示す。なお、図7では、コイル片44を1つの部材として示し、スリット48の図示を省略している。また、図7では、1本のコイルのうち、上面に印刷されたコイル片44については実線で示し、下面に印刷されたコイル片44については破線で示している。図示するように、上面に印刷されたコイル片44と下面に印刷されたコイル片44とは、スルーホール42,43の位置で重なり、この地点で電気的に接続される。コイル基板40Aに形成されたコイルは、コミュテータディスク36や他のコイル基板40Aとの接続点であるスルーホール41を端部として、上面と下面とを交互に行き来し、上面の部分コイル44a同士の接続点で折り返して、コイル基板40Aを円周方向に2周する。実施形態では、コイルは、図4および図5に示すように、コミュテータディスク36や他のコイル基板40Aとの接続点であるスルーホール41から、スリット48によって二股(2つの部分回路44A)に分割され、再びスルーホール41付近で統合される。これにより、コイルでは、スルーホール41に接続される一端から他端まで、並列する2つの部分コイル44Aによって電気的に並列回路が形成される。このようにコイル片44にスリット48を設けることにより、ディスクモータ24が駆動されるときに、スリット48がないものに比してコイル片44に渦電流が生じるのを抑制することができる。また、コイル片44の直線部45にだけ直線部45に沿ったスリットを設け、直線部45だけが二股に分割されるものに比しても、コイル片44に渦電流が生じるのを効果的に抑制することができる。したがって、コイル片44の幅を大きくすることができ、コイル片44での銅損を小さくすることができる。
【0026】
そして、このように構成されるコイル基板40Aが軸方向(積層方向)に4枚積層されてコイルディスク40が構成される。コイルディスク40は、例えば、4枚のコイル基板40Aが、軸方向視においてそれぞれに形成されたコイルパターンが一致するように、または、それぞれ予め定められた角度ずつズレるように積層されて構成される。
【0027】
こうして構成された実施形態の電動作業機10では、操作者がハンドル13を持ってトリガーレバー13aを操作することで、電力源15からディスクモータ24の摺動子28に所定の電圧が印加され、この所定の電圧が、コミュテータディスク36を介して回転子30のコイルディスク40に印加される。回転子30には、固定子26が発生する磁束が軸方向に通過しており、コイルディスク40に流れる電流は、この磁束と垂直方向かつ出力軸25の中心軸と直交するように流れるため、出力軸25を中心とする回転力が発生し、回転子30や出力軸25,出力軸25に取付けられた刈刃16が一体に回転する。こうして刈刃16が回転することで、操作者は刈払作業を行うことができる。
【0028】
以上説明した本実施形態の電動作業機10では、コイル基板40Aのコイルを形成するコイル片44に、曲線部46,47および直線部45に沿って曲線部46,47および直線部45を分割するスリット48を設けて、コイルの一端から他端までの間に並列回路を形成するから、こうしたスリット48を設けないものや直線部45だけにスリットを設けるものに比して、コイルで渦電流が生じるのを抑制することができ、コイルの幅を大きくして銅損を小さくすることができる。したがって、小型で出力の大きなディスクモータ24を製造することができる。また、コイルを構成するコイル片44の厚みを変更することなく銅損を小さくすることができるから、例えば銅箔をエッチングするなどのコイル基板40Aへのコイルパターンの印刷を容易に行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0029】
上述したコイル基板44では、コミュテータディスク36や他のコイル基板44に接続されるスルーホール41への接続部を除いて、コイル片44がスリット48によって2つの部分コイル44Aに分割されるものとしたが、コイル片44における曲線部46,47の少なくとも一部および直線部45に、曲線部46,47および直線部45に沿ったスリット48を設けて、曲線部46,47の少なくとも一部および直線部45が分割されれば他の構成としてもよい。図8に、変形例のコイル基板140Aの下面の様子を示し、図9に、変形例のコイル基板140Aに形成されるコイル片144の様子を示す、例えば、図8および図9に示すように、コイル基板140Aの上面と下面とを接続するスルーホール42,43の付近で部分コイル144Aが電気的に接続されてもよい。なお、コイル基板140Aの上面についても同様にスルーホール42,43の付近で部分コイル144Aが電気的に接続されてもよい。また、スルーホール42,43の一方だけの付近で部分コイル144Aが電気的に接続されるものとしてもよいし、上面や下面に形成された複数のコイル片44のうちの一部だけ、スルーホール42,43の近傍で部分コイル144Aが電気的に接続されるものとしてもよい。
【0030】
上述したコイル基板44では、コミュテータディスク36や他のコイル基板44に接続されるスルーホール41の近傍で2つの部分コイル44Aが電気的に接続されるものとしたが、図10の変形例のコイル基板240Aに示すように、コイル基板240A上の全ての部分において、コイル片244が2つの部分コイル244Aに分割されてもよい。この場合、コイル片244を構成する2つの部分コイル244Aがコミュテータディスク36によって電気的に並列となるように接続されればよい。この場合においても、コイル片244(部分コイル244A)で渦電流が生じるのを抑制することができ、実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0031】
上述したコイル基板44では、スリット48によってコイル片44が2つの部分コイル44Aに分割されるものとしたが、曲線部46,47および直線部45に沿って曲線部46,47の少なくとも一部および直線部45を分割するスリット48を、コイル片44毎に2つ以上設けて、コイル片44の曲線部46,47の少なくとも一部および直線部45を3つ以上(三股以上)に分割してもよい。
【0032】
上述したコイル基板44では、コイル片44(部分コイル44A)は、出力軸25に略垂直な直線状の直線部45と、この直線部45から内周側と外周側とでインボリュート曲線状に折れ曲がる曲線状の曲線部46,47を有するものとしたが、固定子26に対向して出力軸25に略垂直な直線状の直線部と、直線部の内周側および外周側に位置する接続部とを有するものであればよく、接続部は、インボリュート曲線状以外の曲線状としたり、直線状などとしてもよい。
【0033】
上述したコイルディスク40では、4枚のコイル基板40Aが積層されるものしたが、1枚〜3枚のコイル基板によって形成されたり、5枚以上のコイル基板が積層されてもよい。また、上述したコイルディスク40では、単一のコイルパターンのコイル基板40Aが複数積層されるものとしたが、異なるコイルパターンのコイル基板が積層されてもよい。
【0034】
上述した実施形態の固定子16は、上ヨーク26aと下ヨーク26bとマグネット26cとを備えるものとしたが、コイルディスクをモータの出力軸の軸線方向に通過する磁束を発生することができるものであればよく、例えば、コイルを備えるものであっても良い。また、磁極の配置は、整流子モータを構成することができるならば、任意に変更可能である。
【0035】
上述した実施形態では、ディスクモータ24に刈刃16が取付けられた電動刈払機に適用して本発明を説明したが、如何なる電動作業機に適用しても構わない。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0037】
10 電動作業機
11 主棹部
12 操作棹
13 ハンドル
13a トリガレバー
14 飛散防護カバー
15 電力源
15a 電池
16 刈刃
20 駆動部
21 モータケーシング
22,23 軸受
24 ディスクモータ
25 出力軸
26 固定子
26a 上ヨーク
26b 下ヨーク
26c マグネット
28 摺動子
28a ブラシ
28b ブラシホルダ
28c バネ
30 回転子
32 フランジ
34 絶縁板
35 ピン
36 コミュテータディスク
40 コイルディスク
40A,140A,240A コイル基板
41〜43 スルーホール
44,144,244 コイル片
44A,144A,244A 部分コイル
45 直線部
46,47 曲線部
48 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸に動力を出力するディスクモータであって、
前記出力軸に沿った磁束を発生する磁束発生部と、
前記磁束発生部に対向する第1のコイル部と前記第1のコイル部の内周側および外周側に位置する第2のコイル部とを有し前記第2のコイル部および前記第1のコイル部に沿って前記第2のコイル部の少なくとも一部および前記第1のコイル部を分割するスリット部が形成されるコイル片が周方向に複数形成されたコイル基板を備え、前記出力軸と一体に回転する回転子と、
前記コイル基板に電力を供給する電力供給部と、
を備えることを特徴とするディスクモータ。
【請求項2】
前記コイル片は、複数が電気的に接続されることによりコイルを形成し、前記コイルの端部となるコイル片を除いて前記スリット部により2つ以上に分割される、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクモータ。
【請求項3】
前記回転子は、前記電力供給部から前記コイル基板への電力の供給に介在する整流子を更に備え、
複数の前記コイル片は、前記スリット部によりそれぞれ2つ以上に分割され、該スリット部によって分割されたそれぞれが前記整流子によって電気的に並列に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクモータ。
【請求項4】
前記第1のコイル部は、前記出力軸に略垂直な直線状に形成され、
前記第2のコイル部は、前記出力軸の周方向に延びる曲線状に形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のディスクモータ。
【請求項5】
前記回転子は、複数の前記コイル基板が前記出力軸に沿って積層されて形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のディスクモータ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のディスクモータを備えることを特徴とする電動作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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