説明

ディスクローディング機構

【課題】引っ張りコイルバネによる他の部品との干渉を回避しながら必要なスペース(ストローク長)を確保し、薄型化の実現を図る。
【解決手段】ディスクローディング機構(10)においてディスク(1)を搬入またはディスク装填部(12)に装填するための付勢力を発揮する引っ張りコイルバネとして、
中間に直線部分(72a)を形成し、かつ、この直線部分(72a)を挟んでその両側にコイルバネ部分(72b1,72b2)を形成した引っ張りコイルバネ(72)を使用し、この引っ張りコイルバネ(72)近傍の直線部分(72a)に対応する位置に他の部材を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を記録、再生するディスクまたは前記ディスクが収納されたカートリッジを、引っ張りコイルバネの付勢力を用いて記録再生装置に搬入またはディスク装填部に装填するディスクローディング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のディスクローディング機構では、ディスクまたはカートリッジの搬入または装填には長いストロークが必要であり、これに必要なストローク長を引っ張りコイルバネにより達成するため、相当長い引っ張りコイルバネを使用していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−167208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来のディスクローディング機構には、次のような課題があった。
【0004】
すなわち、ディスクまたはカートリッジの搬入または装填に必要なストローク長をもつ相当長い引っ張りコイルバネを使用するには、その長い引っ張りコイルバネを配置するスペースを確保しなければならないが、他の部品との干渉を回避するため、必要なスペース(ストローク長)を確保できない場合がある。
【0005】
また、必要なストローク長をもつ相当長い引っ張りコイルバネを配置するのに充分なスペースを確保するには、ディスクローディング機構の大きさが大きくなり、小型化、薄型化を実現することが困難である。
【0006】
また、引っ張りコイルバネの長さが長いと、短い場合に比べて振動したときの振幅の大きさが大きくなるから、例えば、ローディング機構の動作時またはディスクの回転時の振動や装置外部からの振動により引っ張りコイルバネが振動し、その振幅の大きさにより他の部品と衝突して騒音を発生する虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、引っ張りコイルバネによる他の部品との干渉を回避しながら必要なスペース(ストローク長)を確保し、薄型化の実現を図ることのできるディスクローディング機構を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、引っ張りコイルバネの振動による他の部品との衝突騒音の発生を防止することのできるディスクローディング機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係るディスクローディング機構は、情報を記録、再生するディスクまたは前記ディスクが収納されたカートリッジを、引っ張りコイルバネの付勢力を用いて記録再生装置に搬入またはディスク装填部に装填するディスクローディング機構において、前記引っ張りコイルバネとして、中間に直線部分を形成し、かつ、この直線部分を挟んでその両側にコイルバネ部分を形成した引っ張りコイルバネを使用し、該引っ張りコイルバネ近傍の前記直線部分に対応する位置に他の部材を配置したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2に係るディスクローディング機構は、請求項1記載のディスクローディング機構において、前記引っ張りコイルバネの前記直線部分の一方側に配置された前記コイルバネ部分の巻数と、前記直線部分の他方側に配置された前記コイルバネ部分の巻数とを、互いに異なる巻数に形成したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項3に係るディスクローディング機構は、請求項1または請求項2記載のディスクローディング機構において、前記引っ張りコイルバネの前記直線部分に、弾性部材を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のように、情報を記録、再生するディスクまたは前記ディスクが収納されたカートリッジを、引っ張りコイルバネの付勢力を用いて記録再生装置に搬入またはディスク装填部に装填するディスクローディング機構において、前記引っ張りコイルバネとして、中間に直線部分を形成し、かつ、この直線部分を挟んでその両側にコイルバネ部分を形成した引っ張りコイルバネを使用し、該引っ張りコイルバネ近傍の前記直線部分に対応する位置に他の部材を配置した構成としたので、引っ張りコイルバネによる他の部品との干渉を回避しながら必要なスペース(ストローク長)を確保し、薄型化の実現を図ることができる効果がある。
【0013】
また、本発明は、前記引っ張りコイルバネの前記直線部分に、弾性部材を設けた構成としたので、引っ張りコイルバネの振動による他の部品との衝突騒音の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図29を参照して説明する。
図1〜図3は、本発明によるディスクローディング機構を備えた光ディスク記録再生装置の一実施形態を示し、図1は光ディスクの挿入を待つ位置にある状態を示す斜視図、図2は光ディスクの搬入方向終端位置にある状態を示す斜視図、図3は光ディスクの記録再生が行われる位置にある状態を示す斜視図である。
【0015】
このディスクローディング機構10は、ベース11に昇降可能に支持されたホルダ40と、光ディスクをホルダ40内部に引き込む左右一対の引き込みアーム50a,50bと、ホルダ40から光ディスクを外部に排出する排出アーム60と、引き込みアーム50a,50bをディスク引き込み方向に回動付勢するスライド部材70とを備えたものである。
【0016】
ベース11には、前後2個のアーム部材20,30が設けてあり、アーム部材20,30は、左右各一対のアーム部21a,21bおよび31a,31bを連結部22,32で連結してそれぞれ一体に構成したものである。
【0017】
アーム部材20,30は、左右のアーム部21a,21b,31a,31bが、ベース11の左右フランジ部に前後2箇所ずつ設けた支軸23a,23b,33a,33bに枢着されることで、支軸23a,23b,33a,33bのまわりに揺動可能に取り付けられている。
【0018】
アーム部材20,30の左右のアーム部21a,21b,31a,31bには、支軸23a,23b,33a,33bからベース11奥側へ等距離の位置に支持軸24a,24b,34a,34bが設けられ、この支持軸24a,24b,34a,34bによりホルダ40を支持している。
【0019】
また、アーム部材30のアーム部31bとベース11との間には、アーム部31bをベース11に対して斜め下方へ引っ張るバネ35が取り付けられている。
【0020】
これによりホルダ40は、アーム部材20,30を介してベース11に昇降可能に支持され、しかも、アーム部材20,30を揺動させることで水平を保って上下に昇降可能で、かつ、バネ35により下向きに付勢した状態で支持されている。
【0021】
そして、ホルダ40が上昇位置にあるとき、光ディスクの搬入・搬出が行われ、ホルダ40が下降位置にあるとき、光ディスクの記録または再生が行われるようになっている。
【0022】
また、図3に示すように、ホルダ40が下降位置にあるとき、前側のアーム部材20の連結部22は、光ディスクが搬入された状態で挿入口を塞ぐことにより、さらに光ディスクが挿入されることを防止している。
【0023】
図4に示すように、ホルダ40には、左右一対の引き込みアーム50a,50bが、支軸51a,51bのまわりに回動可能に取り付けられている。
【0024】
引き込みアーム50a,50bは、光ディスク搬入時に光ディスクをホルダ40内部に引き込むものであり、そのため、先端に光ディスクが当接するピン52a,52bを備えている。
【0025】
また、引き込みアーム50a,50bには、支軸51a,51bを中心とする円弧上にギヤ53a,53bが形成してあり、このギヤ53a,53bが、ホルダ40に取り付けられた2個の中継ギヤ54a,54bを介して伝動連結されることで、引き込みアーム50a,50bは連動して、左右のピン52a,52bを開閉するように構成してある。
【0026】
また、ホルダ40には、排出アーム60が、支軸61のまわりに回動可能に取り付けられている。
【0027】
排出アーム60は、光ディスク搬出時にホルダ40から光ディスクを外部に排出するものであり、そのため、先端に光ディスクが当接するピン62を備えている。
【0028】
また、排出アーム60には、プレート65の一端部が支軸66により枢着され、プレート65の他端部は、ホルダ40に対してプレート65を所定方向に引っ張るバネ67を介してホルダ40に取り付けられている。
【0029】
プレート65とバネ67は、排出アーム60に作用するトグル機構を構成している。すなわち、プレート65の支軸66とバネ67を結ぶ仮想線が排出アーム60の支軸61より手前に位置するとき、排出アーム60は手前に向けて付勢され、また、プレート65の支軸66とバネ67を結ぶ仮想線が排出アーム60の支軸61より後方に位置するとき、排出アーム60は後方に向けて付勢される。
【0030】
これにより排出アーム60は、先端のピン62が回動領域中の所定位置より手前側にあるときは、バネ67の付勢力(トグル機構)によりピン62を手前側に回動させ、また、先端のピン62が回動領域中の所定位置より奥側(後方)にあるときは、バネ67の付勢力(トグル機構)によりピン62を奥側(後方)に回動させるようになっている。
【0031】
また、ホルダ40の右側部には、スライド部材70が、そのガイド孔71,71がホルダ40のガイドピン41,41に係合することで前後にスライド可能に、しかも、ホルダ40に対してスライド部材70を手前側に引っ張る引っ張りコイルバネ72により手前方向に付勢して取り付けられている。
【0032】
引っ張りコイルバネ72は、図1〜図4には概略的に図示してあるが、図5、図6に詳細に図示する。
【0033】
スライド部材70に形成した長孔73に、引き込みアーム50bのピン55が係合し、これにより、スライド部材70と引き込みアーム50bとが連結されている。そのため、スライド部材70は、引っ張りコイルバネ72の付勢力により手前方向にスライドすることで、引き込みアーム50a,50bに光ディスク引き込み方向の回動力を付与するようになっている。
【0034】
すなわち、スライド部材70が引っ張りコイルバネ72の付勢力により手前方向にスライドすると、それに連動して、引き込みアーム50a,50bを先端のピン52a,52bが閉じる方向に回動させるようになっている。
【0035】
図5、図6に示すように、ベース11の右フランジ部には、ロックアーム80が、支軸81のまわりに回動可能に取り付けられている。
【0036】
ロックアーム80は、ホルダ40と係合してホルダ40を上昇位置に保持(ロック)するものである。そのため、ロックアーム80には、ホルダ40の曲げ部42と係合する切欠き部82が形成され、切欠き部82が曲げ部42と係合することで、ホルダ40を上昇位置に保持するようになっている(図5参照)。
【0037】
そして、ロックアーム80を所定の保持位置に保つため、ロックアーム80とベース11との間には、ロックアーム80をベース11に対して起立した姿勢から、ロック解除方向(反時計方向)へ回動(傾倒)することを抑制するバネ83が取り付けられている。
【0038】
ロックアーム80のロックを解除する場合は、スライド部材70が引っ張りコイルバネ72の付勢力により手前方向にスライドすることで、スライド部材70に設けた凸部74がロックアーム80に当接し、ロックアーム80を起立した姿勢からロック解除方向(反時計方向)へ回動(傾倒)させる。
【0039】
これにより、ロックアーム80の切欠き部82が曲げ部42から抜けてロックが外れたホルダ40は、それまでロックされていた上昇位置から、バネ35の付勢力により、所定の下降位置へ下降する(図6参照)。
【0040】
また、ベース11の右フランジ部には、イジェクト部材85が、ベース11の右フランジ部に形成した長孔86,86(図1〜図3参照)に沿って前後にスライド可能に取り付けられている。
【0041】
イジェクト部材85は、スライド部材70と連動してホルダ40を上昇させるものである。そのため、イジェクト部材85には、スライド部材70の曲げ部75と係合する切欠き部87が形成され、また、アーム部材30のアーム部31bに設けた凸部36に当接するカム部88が形成されている。
【0042】
すなわち、ホルダ40が下降位置にある状態(図6参照)において、スライド部材70が引っ張りコイルバネ72の付勢力に抗して奥向き方向にスライドすると、スライド部材70の曲げ部75に切欠き部87が係合しているイジェクト部材85も同様にスライドする。
【0043】
イジェクト部材85のこのスライドにともない、カム部88がアーム部31bの凸部36に当接して上向きに作用させることで、アーム部材30がホルダ40を上昇させながら図5に示す姿勢となる。
【0044】
これにより、ホルダ40の曲げ部42がロックアーム80の切欠き部82に入り込んで、ホルダ40は、ロックアーム80により上昇位置に保持される(図5参照)。
【0045】
また、ベース11には、スライド部材70に設けたラック76と係合可能で、係合状態でスライド部材70を引っ張りコイルバネ72による付勢方向(手前方向)とは反対方向(奥向き方向)にスライド可能なモータ駆動機構90が設けてある。
【0046】
図7、図8に示すように、モータ駆動機構90は、モータ91、モータ91の出力軸に取り付けられた第1のウォーム92、第1のウォーム92と噛み合う第2のウォーム93、第2のウォーム93と噛み合うウォームホイール94、ウォームホイール94と噛み合う減速ギヤ95、減速ギヤ95と噛み合うアイドラギヤ96を備え、アイドラギヤ96はアイドラアーム97により、減速ギヤ95との軸間距離を保って揺動可能に取り付けられている。
【0047】
アイドラアーム97とモータ駆動機構90のフレームとは、板バネ98を介して連結され、図7に示すモータ91不作動時(正規の駆動方向に回転しないとき)は、板バネ98の付勢力により、アイドラアーム97は矢印C方向に揺動した図示の位置にあり、このとき、アイドラギヤ96とスライド部材70のラック76との噛み合いは外れた状態にある。
【0048】
また、アイドラギヤ96とアイドラアーム97の軸99との間には、スラスト方向に作用する図示しないバネが設けてあり、このスラストバネのバネ力により、アイドラギヤ96とアイドラアーム97の軸99との間に摩擦力が生じた状態にある。
【0049】
そして、図8に示すモータ91作動時(正規の駆動方向に回転するとき)は、減速ギヤ95が矢印D方向に回転する。このとき、アイドラギヤ96とアイドラアーム97の軸99との間に生じている摩擦力により、アイドラアーム97には、減速ギヤ95の回転方向と同一方向(矢印B方向)にモーメントが発生する。
【0050】
これにより、アイドラアーム97は板バネ98の付勢力に抗して矢印B方向に揺動し、アイドラギヤ96がスライド部材70のラック76と噛み合い、さらにモータ91が作動(正規の駆動方向に回転)することで、モータ駆動機構90は、スライド部材70を矢印E方向(引っ張りコイルバネ72の付勢力によるスライド方向とは反対方向)にスライドさせるようになっている。
【0051】
モータ91の作動(正規の駆動方向の回転)を停止し、わずかに逆回転させると、減速ギヤ95が矢印Dと逆方向に回転することで、アイドラアーム97は図7に示す矢印C方向に揺動し、これにより、アイドラギヤ96が再びスライド部材70のラック76との噛み合いが外れた状態に戻る。
【0052】
図9〜図26は、ディスクローディング機構10のローディング動作およびイジェクト動作について説明する動作説明図である。
【0053】
まず、図9〜図20を参照して、ディスクローディング機構10のローディング動作について説明する。
【0054】
図9、図10は光ディスク1の挿入を開始する状態の図であり、光ディスク1が左右一対の引き込みアーム50a,50bの先端のピン52a,52bに対して当接した状態を示す。
【0055】
このとき、ホルダ40は上昇位置にあってロックアーム80により保持されている。また、左右一対の引き込みアーム50a,50bは、スライド部材70の引っ張りコイルバネ72により先端が閉じる方向に付勢されているが、左側の引き込みアーム50aの凸部56と排出アーム60の先端63とが当接することで、左右一対の引き込みアーム50a,50b、排出アーム60およびスライド部材70のすべての位置決め(初期位置)が行われている。
【0056】
図11、図12は光ディスク1の挿入過程の図であり、光ディスク1により左右一対の引き込みアーム50a,50bの先端のピン52a,52bがスライド部材70の引っ張りコイルバネ72の付勢力に抗して押し開かれ、引き込みアーム50a,50bが外側へ開いていく途中の状態を示す。
【0057】
引き込みアーム50a,50bにはギヤ53a,53bが形成してあり、2個の中継ギヤ54a,54bで連結され、左右の引き込みアーム50a,50bの回動角度が同一になるようにしてある。
【0058】
このとき、スライド部材70は引っ張りコイルバネ72に逆らって矢印A方向にスライドするが、排出アーム60は、先端63が引き込みアーム50aに当接しているためその位置を変えない。
【0059】
図13、図14も光ディスク1の挿入過程の図であり、左右一対の引き込みアーム50a,50bの先端のピン52a,52bの間隔が光ディスク1の外径(直径)と同一となった状態を示す。
【0060】
この状態以前では、引き込みアーム50a,50bは光ディスク1に対してホルダ40内部に搬入させる引き込み作用を及ぼすことはない。
【0061】
これに対し、この状態を越えて光ディスク1がさらに挿入されると、引き込みアーム50a,50bはスライド部材70の引っ張りコイルバネ72により先端が閉じる方向に付勢されているため、先端のピン52a,52bが光ディスク1に対してホルダ40内部に搬入させる引き込み作用を及ぼすことになる。
【0062】
また、排出アーム60は、先端のピン62が光ディスク1に押されることで、プレート65のバネ67の付勢力に抗して支軸61のまわりに時計方向に回動する。
【0063】
図15、図16も光ディスク1の挿入過程の図であり、スライド部材70の引っ張りコイルバネ72により先端が閉じる方向に付勢されている引き込みアーム50a,50bの作用によって、先端のピン52a,52bが光ディスク1をホルダ40の内部に搬入させる。
【0064】
また、排出アーム60に取り付けられたプレート65のバネ67はトグル機構になっているため、プレート65のバネ67の力は排出アーム60の回動にともなって弱くなり、この状態ではプレート65のバネ67の力が排出アーム60に回動力を生じさせない状態となる。すなわち、トグル機構が中立位置となる。
【0065】
この状態からさらに光ディスク1により排出アーム60が支軸61のまわりに時計方向に回動すると、プレート65のバネ67の力は排出アーム60を時計方向に回動する力に切り替わり、排出アーム60のピン62は光ディスク1から離れることになる。
【0066】
図17、図18は光ディスク1の挿入が終了する状態の図であり、図9、図10に示す挿入開始からこの状態まで、ホルダ40は上昇位置にあってロックアーム80により保持されている。
【0067】
この挿入終了状態において、引き込みアーム50a,50bの先端はスライド部材70の引っ張りコイルバネ72の力により実質的に閉じた状態となる。
【0068】
また、排出アーム60は、プレート65のバネ67のトグル機構により、ピン62が光ディスク1から離れて最も奥側に位置している。
【0069】
図19、図20は、図17、図18の状態からスライド部材70が引っ張りコイルバネ72の力により最終端までスライドすることで、凸部74がロックアーム80に当接してロックを解除し、ホルダ40がバネ35の力で所定の下降位置まで下降し、光ディスク1がスピンドルモータ(ディスク装填部)12に装着された状態を示す。
【0070】
次に、図19〜図26を参照して、ディスクローディング機構10のイジェクト動作について説明する。
【0071】
図19、図20に示す光ディスク1がスピンドルモータ(ディスク装填部)12に装着された状態から、図21、図22に示すように、モータ91を作動させてモータ駆動機構90により、スライド部材70を引っ張りコイルバネ72の付勢力に抗して矢印A方向に駆動させると、イジェクト部材85がホルダ40を上昇位置にもたらす。
【0072】
すなわち、スライド部材70が引っ張りコイルバネ72の付勢力に抗してスライドすると、イジェクト部材85も同様にスライドし、カム部88がアーム部31bの凸部36に当接して上向きに作用させることで、アーム部材30がホルダ40を上昇させ、ホルダ40の曲げ部42がロックアーム80の切欠き部82に入り込んで、ホルダ40は、ロックアーム80により上昇位置に保持される(図5参照)。
【0073】
スライド部材70のこのスライドにより、引き込みアーム50a,50bの先端はわずかに開いた状態となる。
【0074】
また、スライド部材70の凸部78が排出アーム60の凸部64に当接してスライドすることで、排出アーム60は、プレート65のバネ67の付勢力に抗して、反時計方向に回動を始める。
【0075】
図23、図24は、モータ駆動機構90により、スライド部材70が矢印A方向にさらにスライドした状態の図である。スライド部材70は引き込みアーム50a,50bと連動しており、スライド部材70により引き込みアーム50a,50bが開き、光ディスク1が排出可能な状態となる。
【0076】
また、スライド部材70の凸部78が凸部64を押して排出アーム60をさらに回動させることで、この状態ではプレート65のバネ67のトグル機構が反転し、バネ67の力は光ディスク1を排出する方向に切り替わり、光ディスク1は排出アーム60の先端のピン62により排出される。
【0077】
図25、図26は、排出アーム60により光ディスク1が排出された状態の図である。この状態では、モータ駆動機構90のアイドラギヤ96とスライド部材70のラック76はまだ噛み合っているが、モータ91をわずかに逆転することにより、アイドラギヤ96とスライド部材70のラック76との噛み合いは外れて初期状態に戻る。
【0078】
次に、図5、図6とともに図27〜図29を参照して、引っ張りコイルバネ72について説明する。
【0079】
前述したように、引っ張りコイルバネ72の付勢力によりスライド部材70が手前方向にスライドすると、それに連動して、引き込みアーム50a,50bを先端のピン52a,52bが閉じる方向に回動させ、この回動力により光ディスク1を引き込む(搬入する)ようになっている。
【0080】
そのため、スライド部材70のスライドストロークは相当大きく、それに応じて引っ張りコイルバネ72の長さも相当長くしなければならない。
【0081】
引っ張りコイルバネ72がこのように相当長いことから、図5、図6に示すように、アーム部材30の連結部32の下方にこれと交差させて引っ張りコイルバネ72を配置する必要がある。
【0082】
この場合、通常の引っ張りコイルバネ172を使用すると、図27(b)に示すように、アーム部材30の連結部32と引っ張りコイルバネ172との干渉を避けるため、引っ張りコイルバネ172の下面から連結部32の下面までの高さH2は高くなり、これにともなって装置自体の高さも高くなってしまう。
【0083】
これに対し、本発明の実施形態では、図27(a)に示すように、引っ張りコイルバネとして、中間に直線部分72aを形成し、かつ、この直線部分72aを挟んでその両側にコイルバネ部分72b(72b1,72b2)を形成した引っ張りコイルバネ72を使用する。
【0084】
そして、アーム部材30の連結部32の下方にこれと交差させて引っ張りコイルバネ72を配置する際、連結部32と交差する位置に直線部分72aが来るように、直線部分72aおよびコイルバネ部分72b(72b1,72b2)の長さ配分を決定する。
【0085】
これにより、アーム部材30の連結部32とコイルバネ部分72b(72b1,72b2)とは交差する位置にないため干渉する危険性が初めからなく、アーム部材30の連結部32と交差するのは直線部分72aであるため、アーム部材30の連結部32と引っ張りコイルバネ72との干渉を回避しながら、引っ張りコイルバネ72の下面から連結部32の下面までの高さH1を低くし、装置自体の高さを低くすることが可能である。
【0086】
さらに、コイルバネ部分72b(72b1,72b2)のコイルの半径をR、コイルの中心に相当する位置にある直線部分72aから連結部32の下面までの高さをhとすると、R≧hにできる。したがって、コイルバネ部分72b(72b1,72b2)の外形に相当する位置よりも内側に、連結部32等の装置側の部材を配置することができる。
【0087】
しかも、引っ張りコイルバネ72に必要な相当長い長さも、直線部分72aの両側に分割された2つのコイルバネ部分72b1,72b2の各長さを足した長さによって達成すればよいから、充分な長さに形成することができる。
【0088】
また、相当長い通常の引っ張りコイルバネ172を使用すると、図28(b)に示すように、短い場合に比べて、両端支持部から遠い中央部分の質量が重く、振動しやすく、振動したときの振幅の大きさが大きくなる傾向にある。
【0089】
そのため、例えば、ローディング機構の動作時または光ディスク1の回転時の振動や装置外部からの振動により引っ張りコイルバネ172が振動し、その振幅の大きさにより、アーム部材30の連結部32など他の部品と衝突して騒音を発生する危険性がある。
【0090】
これに対し、本発明の実施形態では、図28(a)に示すように、引っ張りコイルバネ72の中間に直線部分72aを形成してあるため、中央部分の質量が比較的軽く、振動しにくいことに加えて、コイルバネ部分72b1,72b2が各振動成分をもつから、1本の引っ張りコイルバネ72としての振動成分は一様でなく、振動しにくい。
【0091】
そのため、例えば、ローディング機構の動作時または光ディスク1の回転時の振動や装置外部からの振動が引っ張りコイルバネ72に伝わっても、引っ張りコイルバネ72は容易に振動せず、振動によるアーム部材30の連結部32など他の部品との衝突や、それによる騒音の発生を防止することができる。
【0092】
また、本発明の実施形態では、図28(a)に示すように、引っ張りコイルバネ72の直線部分72aの一方側に配置されたコイルバネ部分72b1の巻数と、直線部分72aの他方側に配置されたコイルバネ部分72b2の巻数とを、互いに異なる巻数に形成してある。
【0093】
仮に、コイルバネ部分72b1の巻数と、コイルバネ部分72b2の巻数とが同一の巻数である場合、コイルバネ部分72b1の固有振動数とコイルバネ部分72b2の固有振動数とが一致するため、共振を起こして、予期しない振動による他の部品との衝突や騒音が発生する危険がある。
【0094】
しかし、引っ張りコイルバネ72のコイルバネ部分72b1の巻数と、コイルバネ部分72b2の巻数とは互いに異なる巻数に形成してあるため、コイルバネ部分72b1の固有振動数とコイルバネ部分72b2の固有振動数とは一致せず、共振が生起することを回避することができる。
【0095】
また、本発明の実施形態では、図29に示すように、引っ張りコイルバネ72の直線部分72aに、ゴムまたは樹脂製の弾性部材72cを取り付けてある。これにより、例えば、外部からの強い振動で引っ張りコイルバネ72が振動し、アーム部材30の連結部32など他の部品と衝突したとしても、弾性部材72cにより騒音の発生を防止することができる。
【0096】
なお、上記の実施形態では、引っ張りコイルバネ72について、直線部分72aの両側にコイルバネ部分72b(72b1,72b2)を形成した構成のものとしたが、これに限定することなく、例えば、バネ35など他の同様の引っ張りコイルバネについても、コイルバネ部分を直線部分により2分割したものとすることも可能である。
【0097】
また、上記の実施形態では、ディスクローディング機構10のイジェクト動作を、モータ駆動機構90による駆動動作により行ったが、これに限定することなく、例えば、適宜の手動操作によりイジェクト動作を行うようにすることも可能である。
【0098】
さらに、光ディスク1に代えて、光ディスク1が収納された適宜のカートリッジを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明によるディスクローディング機構を備えた光ディスク記録再生装置の一実施形態を示し、光ディスクの挿入を待つ位置にある状態を示す斜視図である。
【図2】光ディスクの搬入方向終端位置にある状態を示す斜視図である。
【図3】光ディスクの記録再生が行われる位置にある状態を示す斜視図である。
【図4】ホルダとホルダに取り付けられた各部材を示す斜視図である。
【図5】ホルダが上昇位置にあるときのロック機構およびイジェクト機構を示す斜視図である。
【図6】ホルダが下降位置にあるときのロック機構およびイジェクト機構を示す斜視図である。
【図7】スライド部材のラックと係合していない状態のモータ駆動機構を示す平面図である。
【図8】スライド部材のラックと係合している状態のモータ駆動機構を示す平面図である。
【図9】ディスクローディング機構のローディング動作(その1)を示す平面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】ディスクローディング機構のローディング動作(その2)を示す平面図である。
【図12】図11の側面図である。
【図13】ディスクローディング機構のローディング動作(その3)を示す平面図である。
【図14】図13の側面図である。
【図15】ディスクローディング機構のローディング動作(その4)を示す平面図である。
【図16】図15の側面図である。
【図17】ディスクローディング機構のローディング動作(その5)を示す平面図である。
【図18】図17の側面図である。
【図19】ディスクローディング機構のローディング動作(その6)を示す平面図である。
【図20】図19の側面図である。
【図21】ディスクローディング機構のイジェクト動作(その1)を示す平面図である。
【図22】図21の側面図である。
【図23】ディスクローディング機構のイジェクト動作(その2)を示す平面図である。
【図24】図23の側面図である。
【図25】ディスクローディング機構のイジェクト動作(その3)を示す平面図である。
【図26】図25の側面図である。
【図27】(a)本発明の一実施形態による引っ張りコイルバネ、および(b)従来の引っ張りコイルバネを示す側面図である。
【図28】(a)本発明の一実施形態による引っ張りコイルバネの振動状態、および(b)従来の引っ張りコイルバネの振動状態を示す側面図である。
【図29】本発明の他の実施形態による引っ張りコイルバネを示す側面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 ディスク(光ディスク)
10 ディスクローディング機構
11 ベース
12 スピンドルモータ(ディスク装填部)
20,30 アーム部材
21a,21b,31a,31b アーム部
22,32 連結部
23a,23b,33a,33b 支軸
24a,24b,34a,34b 支持軸
35 バネ
36 凸部
40 ホルダ
41 ガイドピン
42 曲げ部
50a,50b 引き込みアーム
51a,51b 支軸
52a,52b ピン
53a,53b ギヤ
54a,54b 中継ギヤ
55 ピン
56 凸部
60 排出アーム
61 支軸
62 ピン
63 先端
64 凸部
65 プレート
66 支軸
67 バネ
70 スライド部材
71 ガイド孔
72 引っ張りコイルバネ
72a 直線部分
72b(72b1,72b2) コイルバネ部分
72c 弾性部材
73 長孔
74 凸部
75 曲げ部
76 ラック
78 凸部
80 ロックアーム(保持部材)
81 支軸
82 切欠き部
83 バネ
85 イジェクト部材
86 長孔
87 切欠き部
88 カム部
90 モータ駆動機構
91 モータ
92 第1のウォーム
93 第2のウォーム
94 ウォームホイール
95 減速ギヤ
96 アイドラギヤ
97 アイドラアーム
98 板バネ
99 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記録、再生するディスクまたは前記ディスクが収納されたカートリッジを、引っ張りコイルバネの付勢力を用いて記録再生装置に搬入またはディスク装填部に装填するディスクローディング機構において、
前記引っ張りコイルバネとして、中間に直線部分を形成し、かつ、この直線部分を挟んでその両側にコイルバネ部分を形成した引っ張りコイルバネを使用し、該引っ張りコイルバネ近傍の前記直線部分に対応する位置に他の部材を配置したことを特徴とするディスクローディング機構。
【請求項2】
前記引っ張りコイルバネの前記直線部分の一方側に配置された前記コイルバネ部分の巻数と、前記直線部分の他方側に配置された前記コイルバネ部分の巻数とを、互いに異なる巻数に形成したことを特徴とする請求項1記載のディスクローディング機構。
【請求項3】
前記引っ張りコイルバネの前記直線部分に、弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のディスクローディング機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2006−302431(P2006−302431A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123961(P2005−123961)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】