説明

ディスク再生装置

【課題】ディスクトレイの移動動作における異常の発生をユーザが容易に認識可能となり、ディスクトレイやモータの破損や故障をより確実に回避可能なディスク再生装置を提供する。
【解決手段】本体2と、本体2に設けられ、本体2から前進方向および後退方向に移動可能に設けられたディスクトレイ3と、を備えるDVD再生装置1において、ディスクトレイ3の移動動作に係る検知情報を取得する検知部(センサ部5およびフラグ部6)と、検知部(センサ部5およびフラグ部6)によって取得された検知情報に基づいて、ディスクトレイ3の移動動作が、予め設定された移動動作基準条件を満たすか否かにより、ディスクトレイ3の移動動作が異常であるか否かを判断する判断手段(CPU81)と、判断手段(CPU81)によってディスクトレイ3の移動動作が異常であると判断された場合に、所定の報知を行う報知手段(CPU81)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc)やVCD(Video Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、DV(Digital Video)などのディスクをディスク再生装置(以下、「ドライブ」という。)に挿入する方式として、例えば、ドライブに直接ディスクを押し込むタイプのスロット式や、ドライブに内蔵されているディスクトレイを、モータによって引き出してディスクを直接載置するタイプのトレイ式などが広く知られている。
【0003】
トレイ式のドライブにおいて、ディスクトレイが引き出される途中で障害物に接触して停止しているにも係らず、モータが停止するよう制御されていないと、ディスクトレイやモータに過負荷がかかり、破損や故障を引き起こしてしまう。そこで、当該過負荷を回避するために、ディスクトレイの停止と、モータの制御とを適切なタイミングで実行する必要があり、これまでに、ディスクトレイの位置や移動状況を正確に判断することを目的とした装置や方法が複数開示されている。
【0004】
例えば、ドライブが、ディスクトレイの位置を検知可能な光センサおよび多数の貫通ホールが形成されたシャッタを具備することにより、モータを多数のモードで適切にかつ正確に制御することができるローディングモータ制御装置(例えば、特許文献1参照。)や、キャリー体(ディスクトレイ)の移動方向に対して複数のセンサを設け、当該センサからの出力信号に応じてモータの回転を制御するキャリー体位置制御装置(例えば、特許文献2参照。)、そして、トレイを一定距離移動する毎に検出信号を出力するセンサの出力を有し、ディスクの重量による速度変化の影響を回避するために定められた所定の監視時間帯にセンサの検出信号が得られない場合に、トレイの動作に異常が発生したと判定する光ディスクライブラリ装置(例えば、特許文献3参照。)などが知られている。
【0005】
これらの文献には、ディスクトレイが障害物などに接触して停止すると、センサによって移動動作の異常が検知され、ディスクトレイやモータへの過負荷を回避することができる装置が記載されている。
【特許文献1】特開2004−95153号公報
【特許文献2】実開平1−85948号
【特許文献3】特開平8−329586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ディスクトレイが障害物などに接触して停止した場合、このことに気付かずに、離れた場所からリモコンなどで繰り返しディスクトレイを引き出す操作(指示)を何度も実行(入力)すると、指示が入力されるたびに繰り返しモータが駆動することとなり、ディスクトレイやモータに過負荷がかかって、破損や故障を引き起こす可能性があった。そして、上記各引用文献に記載された方法によってはこれを回避することができなかった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、ディスクトレイの移動動作における異常の発生をユーザが容易に認識可能となり、ディスクトレイやモータの破損や故障をより確実に回避可能なディスク再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、装置本体と、前記装置本体に設け
られ、前記装置本体から前進方向および後退方向に移動可能に設けられたディスクトレイと、を備えるディスク再生装置において、前記ディスクトレイの移動方向に沿って設けられた複数のフラグ部と、前記フラグ部の通過を検知情報として検知するセンサ部と、前記センサ部によって検知された前記フラグ部の通過数を計数し、計数した前記フラグ部の通過数が予め設定された基準通過数よりも少ない場合に、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断する第1の判断手段と、前記センサ部によって検知された前記フラグ部の通過の所要時間を算出し、算出した通過所要時間が予め設定された基準通過所要時間を超えた場合に、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断する第2の判断手段と、前記第1の判断手段または前記第2の判断手段によって、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に、所定の報知を行う報知手段と、前記第1の判断手段または前記第2の判断手段によって、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に、前記ディスクトレイを後退方向に移動させる制御を行う移動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記装置本体から前進方向および後退方向に移動可能に設けられたディスクトレイと、を備えるディスク再生装置において、前記ディスクトレイの移動動作に係る検知情報を取得する検知部と、前記検知部によって取得された検知情報に基づいて、前記ディスクトレイの移動動作が、予め設定された移動動作基準条件を満たすか否かにより、前記ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に、所定の報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のディスク再生装置において、前記検知部は、前記ディスクトレイの移動方向に沿って設けられた複数のフラグ部と、前記フラグ部の通過を検知情報として検知するセンサ部と、を備え、前記判断手段は、前記センサ部によって検知された前記フラグ部の通過数を計数し、計数した前記フラグ部の通過数が前記移動動作基準条件における基準通過数よりも少ない場合に、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のディスク再生装置において、前記検知部は、前記ディスクトレイの移動方向に沿って設けられた複数のフラグ部と、前記フラグ部の通過を検知情報として検知するセンサ部と、を備え、前記判断手段は、前記センサ部によって検知された前記フラグ部の通過の所要時間を算出し、算出した通過所要時間が前記移動動作基準条件における基準通過所要時間を超えた場合に、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか一項に記載のディスク再生装置において、前記判断手段により、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に、前記ディスクトレイを後退方向に移動させる制御を行う移動制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によると、第1の判断手段もしくは第2の判断手段によって、デ
ィスクトレイの移動動作が異常だと判断されると、報知手段により報知がなされることとなる。これにより、ディスクトレイの移動動作における異常の発生をユーザが容易に認識することができ、移動動作に係る指示を繰り返し入力することがなくなるため、ディスクトレイやモータに過剰な負荷がかかることなく、より確実にディスクトレイやモータの破損や故障を防止することができる。
【0014】
また、センサ部が検知したフラグ部の通過数に基づいて、ディスクトレイの移動動作が
異常であるか否かが判断されることとなる。これにより、例えばモータにかかる過負荷を測定するといった煩雑な測定機構を用いることなく、フラグ部の通過数から、ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かを判断することができとともに、ディスクトレイがどの位置で移動動作に異常をきたしているのかを認識することができる。
【0015】
さらに、センサ部が検知したフラグ部の通過所要時間に基づいて、ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かが判断されることとなる。これにより、ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かを判断する移動動作基準条件として用いられる基準通過所要時間を、フラグ部の配置に対応させて任意の数値に設定することができるため、基準通過所要時間を短く設定することが可能となり、異常の発生をより迅速に認識し、報知することができる。
【0016】
そして、移動制御手段は、第1の判断手段または第2の判断手段によりディスクトレイ
の移動動作が異常であると判断された場合に、ディスクトレイを後退方向に移動させる制御を行うので、より迅速にディスクトレイの後退動作を行うことができることとなって、さらに効果的にディスクトレイやモータの破損や故障を回避することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によると、判断手段によって、ディスクトレイの移動動作が異常だと判断されると、報知手段により報知がなされることとなる。
【0018】
これにより、ディスクトレイの移動動作における異常の発生をユーザが容易に認識することができ、移動動作に係る指示を繰り返し入力することがなくなるため、ディスクトレイやモータに過剰な負荷がかかることなく、より確実にディスクトレイやモータの破損や故障を防止することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によると、請求項2に記載の発明の効果が得られるのは無論のこと、特に、センサ部が検知したフラグ部の通過数に基づいて、ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かが判断されることとなる。
【0020】
これにより、例えばモータにかかる過負荷を測定するといった煩雑な測定機構を用いることなく、フラグ部の通過数から、ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かを判断することができとともに、ディスクトレイがどの位置で移動動作に異常をきたしているのかを認識することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によると、請求項2に記載の発明の効果が得られるのは無論のこと、特に、センサ部が検知したフラグ部の通過所要時間に基づいて、ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かが判断されることとなる。
【0022】
これにより、ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かを判断する移動動作基準条件として用いられる基準通過所要時間を、フラグ部の配置に対応させて任意の数値に設定することができるため、基準通過所要時間を短く設定することによって、異常の発生をより迅速に認識し、報知することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によると、請求項2〜4の何れか一項に記載の発明の効果が得られるのは無論のこと、特に、移動制御手段は、判断手段によりディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に、ディスクトレイを後退方向に移動させる制御を行うので、より迅速にディスクトレイの後退動作を行うことができることとなって、さらに効果的にディスクトレイやモータの破損や故障を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の最良の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限られない。
【0025】
図1は、本発明を適用した好適な実施の形態として例示するディスク再生装置としての、DVD(Digital Versatile Disk )再生装置1の概略外観図であって、図2は、図1
の概略右側面図である。
【0026】
図1、2に示すように、DVD再生装置1は、装置本体(以下、「本体」という。)2と、当該本体2に設けられ、本体2内部と外部との間を進退移動可能に設けられたディスクトレイ3と、などを備えてなる。
【0027】
本体2は、例えば、本体2内部の両側面2a、2aに設けられた、ディスクトレイ3を摺動させるためのガイドレール21と、本体2内部のディスクトレイ3の下方に設けられ、本体2内部にセットされたディスクを回転するためのスピンドルモータ(図示省略)と、スピンドルモータの近傍に設けられ、レーザー光を照射することによりディスクに記録された情報を読み出すための光ピックアップ(図示省略)と、スピンドルモータや光ピックアップ、またその他本体2内部に設けられた各機器を電気的に接続された状態とするフレキシブルケーブル(図示省略)と、スピンドルモータや光ピックアップ、フレキシブルケーブルなどが配置された筐体(図示省略)の隅部に設けられ、各部品や機器を振動から保護するための制震ゴム(図示省略)と、これらの部品や機器を内部に設けてなる化粧筐体22と、などを備えて構成される。
【0028】
化粧筐体22は、シャーシ23と、シャーシ23の上方を覆ってなる蓋体(図示省略)からなり、その化粧筐体22の前面2bには、ディスクトレイ3の出し入れが行われる開口部4が設けられている。したがって、ディスクトレイ3は、開口部4を通過しながら本体2の外部方向(図1のA方向)に前進移動し、また、開口部4を通過しながら本体2の内部方向(図1のB方向)に後退移動する。
【0029】
ディスクトレイ3には、ディスクに記録された記録情報を読み取るための読み取り孔34が設けられ、ディスクトレイ3の上面31には、径の異なる2種類のディスク(図示省略)をセットするための2種のディスク載置部32、33が設けられている。
【0030】
ディスク載置部32、33にセットされたディスクは、ディスクトレイ3がディスク装着位置に位置決めされたときに、読み取り孔34の下方からこの読み取り孔34を通って上昇してくるスピンドルモータ(図示省略)によりディスクトレイ3の上方に持ち上げられて回転されるとともに、読み取り孔34に沿って移動する光ピックアップ(図示省略)により、読み取り孔34を介してディスクの記録情報が光学的に読み取られる。
【0031】
化粧筐体22の前面2bに設けられた開口部4の近傍であって、シャーシ23内部の側面には、フラグ部6(後述する)を検知可能な位置にセンサ部5が設けられている。
【0032】
センサ部5は、フラグ部6を検知し、フラグ部6に関する情報をCPU(後述する)へ伝送可能な信号や符号に変換する機能を備え、具体的には、例えば、赤外線を照射する赤外線発光ランプを備える投光器51と、投光器51により照射された赤外線を受光して受光結果によりCPUへの出力を変化させる受光器52を備える非接触型の赤外線センサである。投光器51と受光器52は、シャーシ23の側面2a、2aの内面に対向する位置に配置される。
【0033】
また、ディスクトレイ3の側面3aから下方に櫛歯状に突出して、ディスクトレイ3の移動方向に沿って複数のフラグ部6、6、・・・が設けられている。
【0034】
投光器51と受光器52との間にフラグ部6が位置している状態で、投光器51より、受光器52に向かって赤外線が照射されると、赤外線はフラグ部6によって遮られ、受光器52によって赤外線の受光がされないようになっている。この状態をHigh状態(以下、「H状態」という。)という。
【0035】
一方で、投光器51と受光器52との間にフラグ部6が位置していない状態で、投光器51より受光器52に向かって赤外線が照射されると、赤外線は隣り合うフラグ部6の間の間隙を通過して、受光器52によって受光されるようになっている。この状態をLow状態(以下、「L状態」という。)という。
【0036】
つまり、ディスクトレイ3が、本体2の開口部4を通過して移動することにより、投光器51と受光器52からなるセンサ部5の光路をフラグ部6が通過することとなって、H
状態とL状態とが繰り返し検知されることとなる。
【0037】
さらに、センサ部5は、検知情報としての「H状態」をCPUに伝送可能な検知データ
としての「1」に変換し、同様に、検知情報としての「L状態」を検知データとしての「
0」に変換した上でCPUに出力する。
【0038】
即ち、センサ部5とフラグ部6によって、ディスクトレイ3の移動動作に係る検知情報(「H状態」および「L状態」)に基づいて作成される検知データ(「1」および「0」)を取得する検知部が構成される。
【0039】
図3は、DVD再生装置1の内部構造を説明するためのブロック図である。
【0040】
DVD再生装置1の本体2は、センサ部5、CPU(Central Processing Unit)8
1、RAM(Random Access Memory)82、ROM(Read Only Memory)83、トレイ駆動部84、表示部85、音声出力部86、などを備えて構成される。CPU81、RAM82、ROM83、トレイ駆動部84、表示部85、音声出力部86、はそれぞれバスBにより接続されている。
【0041】
CPU81は、所定のタイミング或いは図示しない入力部などを介して入力された操作信号に応じてROM83に格納されたプログラムを読み出してRAM82に展開し、当該プログラムに基づいてDVD再生装置1を構成する各部への指示やデータの転送等を行う。
【0042】
RAM82は、CPU81の作業領域として用いられ、ROM83から読み出されたプログラムやCPU81で処理されたデータ等を一時的に記憶する。
【0043】
ROM83は、DVD再生装置1にかかるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、本実施の形態を実現するためのプログラムやデータ等を格納する。具体的には、ROM83は、第1の判断プログラム831、第2の判断プログラム832、報知プログラム833、移動制御プログラム834、移動動作基準条件データ835、などを格納する。
【0044】
第1の判断プログラム831は、センサ部5によって取得された検知データに基づいて複数のフラグ部6の通過数を計数し、計数したフラグ部6の通過数が、予め設定された移動動作基準条件に規定される基準通過数よりも少ない場合に、ディスクトレイ3の移動動作が異常であると判断するためのプログラムであって、CPU81は当該第1の判断プログラム831を実行することによって、第1の判断手段として機能する。
【0045】
具体的には、CPU81は、当該第1の判断プログラム831を実行することによって、センサ部5から出力される「1」および「0」からなる検知データを取得し、センサ部5の光路にフラグ部6が位置する場合に作成される「1」からなる検知データを取得することにより、フラグ部6がセンサ部5の光路を通過したと判断し、この場合にフラグ部6のフレームのカウント数を追加することによりフラグ部6の通過数を計数する。
【0046】
そして、CPU81は、当該通過数と、ROM83に格納された移動動作基準条件データ835に規定される基準通過数を比較することによって、ディスクトレイ3の移動動作が異常であるか否かを判断する。
【0047】
第2の判断プログラム832は、センサ部5によって取得された検知データに基づいてフラグ部6の通過所要時間、即ち、フラグ部6が検知されてから、当該フラグ部6に隣り合うフラグ部6が検知されるまでに要する時間を算出し、算出した通過所要時間が、予め設定された移動動作基準条件に規定される基準通過所要時間を超えた場合に、ディスクトレイ3の移動動作が異常であると判断するためのプログラムであって、CPU81は当該第2の判断プログラム832を実行することによって、第2の判断手段として機能する。
【0048】
具体的には、CPU81は、当該第2の判断プログラム832を実行することによって、センサ部5より「1」および「0」からなる検知データを取得し、センサ部5の光路にフラグ部6が位置する場合に作成される検知データである「1」からなる検知データが入力されてから次の「1」からなる検知データが入力されるまでにかかる時間、即ち通過所
要時間を算出する。
【0049】
そして、当該通過所要時間と、ROM83に格納された移動動作基準条件データ835に規定される基準通過所要時間を比較することによって、ディスクトレイ3の移動動作が異常であるか否かを判断する。
【0050】
即ち、第1の判断手段および第2の判定手段によって、検知部(センサ部5およびフラグ部6)によって取得された検知データに基づいて、ディスクトレイ3の移動動作が異常であるか否かを判断する判断手段が構成される。
【0051】
報知プログラム833は、判断手段(第1の判断手段および第2の判断手段)によってディスクトレイ3の移動動作が異常であると判断された場合に、所定の報知を行うためのプログラムであって、CPU81は当該報知プログラム833を実行することによって、報知手段の一部として機能する。
【0052】
具体的には、CPU81は当該報知プログラム833を実行することによって、ユーザの注意を喚起可能な方法、例えば、表示部85に表示信号を指示することによって表示部85に注意表示を表示し、音声出力部86に発信信号を指示することによって音声出力部86からアラーム音を出力するなどして、ディスクトレイ3の移動動作が異常である旨をユーザに報知する。
【0053】
即ち、CPU81と、表示部85または音声出力部86などによって報知手段が構成される。
【0054】
移動制御プログラム834は、判断手段(第1の判断手段および第2の判断手段)によって、ディスクトレイ3の移動動作が異常であると判断された場合に、ディスクトレイ3を後退方向(図1のB方向)に移動させる制御を行うためのプログラムであって、CPU81は当該移動制御プログラム834を実行することによって、移動制御手段として機能する。
【0055】
具体的には、CPU81は当該移動制御プログラム834を実行することによって、トレイ駆動部84を、ディスクトレイ3を後退方向(図1におけるB方向)に移動させる方向に駆動する制御を行う。
【0056】
移動動作基準条件データ835には、基準通過数および基準通過所要時間などが規定される。
【0057】
基準通過数とは、ディスクトレイ3が、本体2内部に格納された状態(クローズ状態)から、ディスクがセットされる位置(ディスクセット位置)まで移動した場合に、センサ部5が検知するフラグ部6の個数である。即ち、ディスクトレイ3が、移動動作に異常をきたすことなく、正常に移動動作を行った場合に取得される、「1」からなる検知データの個数を意味する。本実施形態においては、フラグ部6はディスクトレイ3の側面3aに所定の間隔を空けて17個設けられている。従って、基準通過数は「17」である。
【0058】
基準通過所要時間とは、ディスクトレイ3が、移動動作に異常をきたすことなく、正常に移動動作を行った場合に、センサ部5が検知するフラグ部6の通過所要時間、即ち、フラグ部6が通過してから、当該フラグ部6に隣り合うフラグ部6が通過するまでにかかる時間である。本実施形態においては、0.3(sec)である。
【0059】
トレイ駆動部84は、小型モータ(図示省略)などを備えて構成され、I/F部(図示省略)を介してCPU81から入力される指示に従って、ディスクトレイ3を本体2から前進方向に移動させ、または後退方向に移動させる。
【0060】
表示部85は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などにより構成され、CPU81から入力される表示信号の指示に従って、所要の表示を行う。
【0061】
音声出力部86は、スピーカ(図示省略)等を備え、CPU81から入力される音声信号を音声に変換し、スピーカ等から出力する。
【0062】
次に、図4のフローチャートを用いてDVD再生装置1によるディスクトレイ3の移動動作検知処理を説明する。
【0063】
まず、DVD再生装置1のユーザによって、入力部(図示省略)を介して、ディスクトレイ3のオープン指示が入力されると、CPU81は、ディスクトレイ3の移動動作開始指示の入力であると判断し、ROM83に格納されている所定のプログラムを読み出してRAM82に展開し、当該所定のプログラムに従って、RAM82に記憶されているフラグ部6のフレームのカウント数を0(n=0)にリセットし、ディスクトレイ3の移動動作の開始指示をトレイ駆動部84に出力する(ステップS1)。
【0064】
すると、トレイ駆動部84が駆動を開始し、ディスクトレイ3のA方向への移動を開始する(ステップS2)。ディスクトレイ3の移動動作に併せて、センサ部5より検知データがCPU81に入力される。
【0065】
ディスクトレイ3の移動にかかる処理と並行して、CPU81は、ROM83に格納される第1の判断プログラム831を読み出してRAM82の所定の作業領域に展開し、当該第1の判断プログラム831を実行することにより、センサ部5から入力された検知データに基づいて、センサ部5の光路をフラグ部6が通過したか否かの判断を実行する(ステップS3)。
【0066】
CPU81が、フラグ部6が通過したと判断すると(ステップS3;Yes)、CPU81は、第1の判断プログラム831に従って、フラグ部6のフレームのカウント数をn(n=n+1)にすることにより、フラグ部6の通過数を計数する(ステップS4)。
【0067】
さらにCPU81は、ROM83に格納される移動動作基準条件データ835を読み出し、ステップS4で計数されたフラグ部6の通過数と、移動動作基準条件データ835に規定される基準通過数とを比較し、フラグ部6の通過数が基準通過数と一致するか否かを判断する(ステップS5)。
【0068】
CPU81が、フラグ部6の通過数と基準通過数が一致したと判断すると(ステップS5;Yes)、CPU81は、ディスクトレイ3が移動動作に異常をきたすことなくディスクセット位置まで移動したと判断し、本処理を終了する。
【0069】
一方、CPU81が、フラグ板6の通過数が基準通過数と一致しないと判断すると(ステップS5;No)、CPU81は、再びステップS3に戻って、フラグ部6が通過したか否かを判断する。
【0070】
ステップS3において、CPU81が、フラグ部6が通過しないと判断すると(ステップS3;No)、CPU81は、ROM83に格納される第2の判断プログラム832を読み出し、RAM82の所定の作業領域に展開し、当該第2の判断プログラム832に従って、センサ部5より出力される検知データに基づいて、フラグ部6の通過所要時間を算出する。
【0071】
さらにCPU81は、ROM83から移動動作基準条件データ835を読み出し、算出した通過所要時間と、当該移動動作基準条件データ835に規定される基準通過所要時間を比較し、通過所要時間が基準通過所要時間を超えたか否かを判断する(ステップS6)。
【0072】
CPU81が、通過所要時間が基準通過所要時間を超えていないと判断すると(ステップS6;No)、CPU81は再びステップS3に戻ってフラグ部6が通過したか否かを判断する。
【0073】
一方、CPU81が、通過所要時間が基準通過所要時間を超えたと判断すると(ステップS6;Yes)、CPU81は、ROM83に格納される報知プログラム833を読み出し、RAM82の所定の作業領域に展開して、当該報知プログラム833に従って、所
定の通知信号を表示部85に出力し、または/および、所定の音声信号を音声出力部86に出力することによりユーザに報知を行う(ステップS7)。
【0074】
さらにCPU81は、当該報知処理と並行して、ROM83に格納される移動制御プログラム834を読み出してRAM82の所定の作業領域に展開し、当該移動制御プログラム834に従って、トレイ駆動部84にディスクトレイ3の後退方向(B方向)への移動に係る指示を入力することにより、ディスクトレイ3を後退方向に移動させて(ステップS8)、本処理を終了する。
【0075】
以上に説明したDVD再生装置1によると、判断手段(CPU81および第1の判断プログラム831、第2の判断プログラム832)によって、ディスクトレイ3の移動動作が異常だと判断されると、報知手段(CPU81および報知プログラム833)により報知がなされることとなる。これにより、ディスクトレイ3の移動動作における異常の発生をユーザが容易に認識することができ、移動動作に係る指示を繰り返し入力することがなくなるため、ディスクトレイ3やトレイ駆動部84に設けられたモータに過剰な負荷がかかることなく、より確実にディスクトレイ3やモータの破損や故障を防止することができる。
【0076】
また、センサ部5が検知したフラグ部6の通過数に基づいて、ディスクトレイ3の移動動作が異常であるか否かが判断されることとなり、例えばトレイ駆動部84に設けられたモータにかかる過負荷を測定するといった煩雑な測定機構を用いることなく、フラグ部6の通過数から、ディスクトレイ3の移動動作が異常であるか否かを判断することができとともに、ディスクトレイ3がどの位置で移動動作に異常をきたしているのかを認識することができる。
【0077】
さらに、センサ部5が検知したフラグ部6の通過所要時間に基づいて、ディスクトレイ3の移動動作が異常であるか否かが判断されることとなり、ディスクトレイ3の移動動作が異常であるか否かを判断する移動動作基準条件として用いられる基準通過所要時間を、フラグ部6の配置に対応させて任意の数値に設定することができるため、基準通過所要時間を短く設定することによって、異常の発生をより迅速に認識し、報知することができる。
【0078】
その上、移動制御手段(CPU81および移動制御プログラム834)は、判断手段(CPU81および第1の判断プログラム831、第2の判断プログラム832)によりディスクトレイ3の移動動作が異常であると判断された場合に、ディスクトレイ3を後退方向に移動させる制御を行うので、より迅速にディスクトレイ3の後退動作を行うことができることとなって、さらに効果的にディスクトレイ3やトレイ駆動部84が備えるモータの破損や故障を回避することができる。
【0079】
尚、本実施形態においては、「フラグ部の通過の所要時間」を、「センサ部5によってフラグ部6が検知されてから、当該フラグ部6に隣り合うフラグ部6検知されるまでに要する時間」として用いたが、「フラグ部の通過の所要時間」はこれに限られるものではない。「フラグ部の通過の所要時間」の他の例としては、例えば、「ディスクトレイ3が、本体2内部にセットされた状態(クローズ状態)からディスクセット位置まで、移動動作に異常をきたすことなく移動する場合に要する時間」として用いることもできる。この場合、CPU81は、ディスクトレイ3が動き出してから通過所要時間内にセンサ部5から検知情報(検知データ)が入力されることによって、ディスクトレイ3が正常に移動動作を行ったと判断し、検知データが入力されないことによって移動動作に異常が発生したと判断する。
【0080】
また、センサ部5は本実施形態で示したセンサに限られることはなく、赤外線センサ以外にも、例えば磁気センサなど、好適なセンサを適宜用いることができる。
【0081】
さらに、フラグ部6の形状も、本実施形態で示した形状に限られることはなく、隣り合うフラグ部6の間隔や、フラグ部6の形状、個数などは適宜設定することができる。例え
ば、ディスクトレイ3の移動動作開始時にセンサ部5が検知可能な位置にフラグ部6を設け、さらに、ディスクトレイ3の移動動作終了時にセンサ部5が検知可能な位置にフラグ部6を設けることによって検知部を構成することとしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明のディスク再生装置を適用したDVD再生装置の斜視図である。
【図2】図1の概略右側面図である。
【図3】本発明のDVD再生装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】DVD再生装置によるディスクトレイの移動動作検知処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 DVD再生装置(ディスク再生装置)
2 本体(装置本体)
3 ディスクトレイ
4 開口部
5 センサ部(検知部)
51 投光器
52 受光器
6 フラグ部(検知部)
81 CPU(第1の判断手段、第2の判断手段、報知手段、移動制御手段)
82 RAM
83 ROM
831 第1の判断プログラム
832 第2の判断プログラム
833 報知プログラム
834 移動制御プログラム
835 移動動作基準条件データ
84 トレイ駆動部
85 表示部(報知手段)
86 音声出力部(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記装置本体から前進方向および後退方向に移動可能に設けられたディスクトレイと、を備えるディスク再生装置において、
前記ディスクトレイの移動方向に沿って設けられた複数のフラグ部と、
前記フラグ部の通過を検知情報として検知するセンサ部と、
前記センサ部によって検知された前記フラグ部の通過数を計数し、計数した前記フラグ部の通過数が予め設定された基準通過数よりも少ない場合に、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断する第1の判断手段と、
前記センサ部によって検知された前記フラグ部の通過の所要時間を算出し、算出した通過所要時間が予め設定された基準通過所要時間を超えた場合に、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断する第2の判断手段と、
前記第1の判断手段または前記第2の判断手段によって、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に、所定の報知を行う報知手段と、
前記第1の判断手段または前記第2の判断手段によって、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に、前記ディスクトレイを後退方向に移動させる制御を行う移動制御手段と、
を備えることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記装置本体から前進方向および後退方向に移動可能に設けられたディスクトレイと、を備えるディスク再生装置において、
前記ディスクトレイの移動動作に係る検知情報を取得する検知部と、
前記検知部によって取得された検知情報に基づいて、前記ディスクトレイの移動動作が、予め設定された移動動作基準条件を満たすか否かにより、前記ディスクトレイの移動動作が異常であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に、所定の報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディスク再生装置において、
前記検知部は、
前記ディスクトレイの移動方向に沿って設けられた複数のフラグ部と、
前記フラグ部の通過を検知情報として検知するセンサ部と、を備え、
前記判断手段は、
前記センサ部によって検知された前記フラグ部の通過数を計数し、計数した前記フラグ部の通過数が前記移動動作基準条件における基準通過数よりも少ない場合に、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断することを特徴とするディスク再生装置。
【請求項4】
請求項2に記載のディスク再生装置において、
前記検知部は、
前記ディスクトレイの移動方向に沿って設けられた複数のフラグ部と、
前記フラグ部の通過を検知情報として検知するセンサ部と、を備え、
前記判断手段は、
前記センサ部によって検知された前記フラグ部の通過の所要時間を算出し、算出した通過所要時間が前記移動動作基準条件における基準通過所要時間を超えた場合に、前記ディスクトレイの移動動作が異常であることを特徴とすることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載のディスク再生装置において、
前記判断手段により、前記ディスクトレイの移動動作が異常であると判断された場合に
、前記ディスクトレイを後退方向に移動させる制御を行う移動制御手段を備えることを特徴とするディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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