説明

ディスク再生装置

【課題】 著作権保護情報が物理的に記録されているディスクを再生する、ドライブ部とデコード部とが分離されているような構成であっても、設計を容易として、上記著作権保護情報を秘匿性を確保したままデコード部に伝送することができるディスク再生装置を提供する。
【解決手段】 フロントエンドプロセッサ6は、RFアンプ4で生成された再生アナログEFM信号5等をセクタ単位の暗号化データのままデコードすると共にEFMクロック7を生成する。A/D変換器8は、RFアンプ4で生成された再生アナログEFM信号5をEFMクロック7に同期して、デコーダ部13の指示する通りの多ビットデジタルデータへ変換する。I/Fコントローラ11は、フロントエンドプロセッサ6からのデコード出力と、多値デジタル化された再生アナログEFM信号10をデコーダ部18に伝送するためにデジタルインターフェース12を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、著作権保護処理が施されたコンテンツと、そのコンテンツを復号化するために用いられる著作権保護情報が記録されてなる光ディスクを再生するディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光ディスク等のデジタル記録媒体の大容量化と普及により、記録されている信号の著作権を保護するために、不法なコピーの防止が重要とされている。これは、デジタルオーディオデータやデジタルビデオデータの場合には、コピー或いはダビングにより劣化の無い複製物を容易に生成でき、またコンピュータデータの場合には、元のデータと同一のデータが容易にコピーできるため、既に不法コピーによる著作権の侵害等の弊害が生じてきているためである。
【0003】
このようなことから、デジタル記録媒体に記録されている信号を再生したデジタル信号を再びデジタル記録媒体に記録するいわゆるデジタルダビングにおける上記不法コピーの防止を目的として、オリジナルのデジタル記録媒体に暗号化されたデータを記録する対策が採られるようになった。
【0004】
本件出願人による、特許文献1には、エッジの位置情報に影響を与えないタイミングで、ピット又はマークの幅を変化させることにより、ピット列、マーク列による主のデータ列の再生には何ら影響を与えないで、この主のデータ列を再生するピックアップにより再生可能に、副のデータ列を記録する技術が記載されている。また、ピット及びランドにより暗号化したデジタルオーディオ信号を記録し、この暗号化の解除に必要なキー情報をピット幅に記録してもよいと記載されている。
【0005】
ところで、サンプリング周波数fsを約44.1kHzとし、PCM方式により1サンプルを各チャンネル16ビットのデジタルオーティオとして記録しているコンパクトディスク(CD)に対して、DSD(Direct Stream Digital)方式により生成された、サンプリング周波数が非常に高い周波数(例えば通常のCDのサンプリング周波数fsの64倍の周波数)で1ビット方式のオーディオストリームデータを記録しているスーパーオーディオコンパクトディスク(Super Audio CD)が知られるようになった。
【0006】
入力信号に対して64fsのオーバーサンプリング・ΔΣ変調を施すと1ビットオーディオデジタル信号が得られる。CD方式のシステムでは、その直後に1ビットの信号からマルチビットのPCM符号へのデシメーションが行われるが、DSD方式を採用したスーパーオーディオCDでは1ビットオーディオ信号を直接記録している。スーパーオーディオCDに記録される1ビットオーディオ信号の周波数帯域はおよそ100kHzであり、CDで採用されているPCM方式における信号の周波数帯域と比べて非常に広い。
【0007】
スーパーオーディオCDにおいても、複製等によって音質が劣化せず、海賊版販売などの不法な商売の対象になるのを防止すべく、著作権保護のための情報を付加している。このスーパーオーディオCDの再生においても、暗号化されたデータを記録しており、それを再生時に復号するための暗号化鍵を著作権保護のための情報として記録している。この著作権保護のための情報は、再生EFM信号のアナログ領域に埋め込まれている。著作権保護のための情報としては、上記暗号化鍵の他に、著作権の追跡のためのデータ、或いは複製防止のためのプロテクト信号等がある。著作権保護情報は、スーパーオーディオCDの著作権を保護するために、個々のディスク上のある特定のエリアに再生アナログEFM信号という形で物理的に記録されている。
【0008】
図5には、スーパーオーディオCDプレーヤシステムの概略図を示す。再生時にスーパーオーディオCD51上のデータはピックアップ52を通じて再生アナログEFM信号に変換される。その信号をRFアンプ53で所望の電圧まで増幅した再生アナログEFM信号54がフロントエンドプロセッサ55でEFMデコードされ、そのEFMデコードされた信号57がデコーダ58に入力され音楽信号に復号される。
【0009】
著作権保護のためのアナログ領域に埋め込まれた再生アナログEFM信号54は、デジタル2値化信号に変換する際に失われてしまう。このため、スーパーオーディオCDを再生する際は、そのディスクが持つ著作権保護情報を反映させるために、再生アナログEFM信号54をアナログのままデコーダ58へそのEFMクロック56とともに入力する必要があった。デコーダ58は、入力された再生アナログEFM信号54を、フロントエンドプロセッサ55によって抽出されたEFMクロック56を基に解読する。
【0010】
EFM復調後のデータ(EFMデコード信号)57は通常、例えばATA/ATAPIなどの何らかの標準規格を満たしたデジタルデータ伝送インターフェースでデコーダ58に伝送される。
【0011】
図6は、スーパーオーディオCDプレーヤシステムにおけるデコーダ58での著作権保護情報解読と、音楽信号の生成という2つの機能の概略を示す。著作権保護情報は再生EFM信号のアナログ領域に埋め込んであり、このデジタル2値化される前の再生アナログEFM信号54とそのタイミングを表すEFMクロック56をデコーダ58内の著作権保護情報の解読機能部58aに入力することにより、著作権保護情報はデコーダ58内部で解読され保持される。この著作権保護情報の解読機能部58aでは、上記再生アナログEFM信号54を図示しないA/D変換器により、上記EFMクロック56を用いてデジタルデータに変換してから、デジタル処理により情報をEFMクロック56に同期しながら解読する。
【0012】
次に、音楽信号の生成部58bにおいて、フロントエンドプロセッサ55でEFM復調されたディスク上のセクタデータ57を入力することにより、上記著作権保護情報の解読部58aで解読された著作権保護情報を用いて音楽信号へと復号される。具体的には、暗号化鍵が著作権保護情報の解読部58aにより解読され、音楽信号の生成部58bにおいて、その暗号化鍵を用いて暗号化されているセクタデータ57が復号されて、音楽信号となる。
【0013】
以上説明したように、著作権保護情報を解読し、上記音楽信号をその著作権保護情報を用いて復号する機能は、スーパーオーディオCDデコーダ58内部で実現されており、著作権保護情報の安全性が十分保たれていた。
【0014】
【特許文献1】特開平11−185258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上記図5に示したスーパーオーディオCDプレーヤシステムが一つの閉じた構成とされていたのに対し、最近では、ピックアップ、RFアンプ、フロントエンドプロセッサをドライブメカと共にドライブ部として構成し、デコーダ部とは分けて実現し、ドライブ部とデコーダ部との間ではデジタルインターフェースを通してのみ、データが送受信されるようになった。例えばパーソナルコンピュータにあっては、図7に示すように、システムを分離し、ドライブ部61とデコーダ部62を切り離した状態に配置し、その間をデジタルインターフェースに従った通信線63で結んでいる。
【0016】
アナログ信号はその性格上、伝送時に非常にノイズの影響を強く受けてしまい、その品質低下に繋がる。また再生時のリアルタイムな信号であるため、非常に高周波である。以上から、スーパーオーディオCD再生用プレーヤの設計時に、上記通信線63にて再生アナログEFM信号を伝送させるのに多大な注意が必要となる。
【0017】
また、この再生アナログEFM信号を伝送のためにバッファリングする際も上述のような要因により、バッファリング素子には高価で高性能なものが要求される。このようにアナログ信号の接続が最も注意を必要とされて、プレーヤ設計上の問題となっている。
【0018】
本願発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、著作権保護情報が物理的に記録されているディスクを再生する、ドライブ部とデコード部とが分離されているような構成であっても、設計を容易として、上記著作権保護情報を秘匿性を確保したままデコード部に伝送することのできるディスク再生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係るディスク再生装置は、上記課題を解決するために、著作権保護処理が施されたコンテンツと、そのコンテンツを復号化するために用いられる著作権保護情報が記録されてなる光ディスクを再生するディスク再生装置において、上記光ディスクから上記著作権保護情報を含むアナログ信号を読み出す読み出し手段と、上記読み出し手段にて読み出されたアナログ信号から上記光ディスクに記録された著作権保護処理が施されたコンテンツデータを取り出すと共にクロック信号を生成する信号処理手段と、上記読み出し手段にて読み出された上記アナログ信号を上記信号処理手段にて生成されたクロック信号を用いてデジタル信号に変換するデジタル信号変換手段とを有するドライブ部と、上記ドライブ部のコンテンツデータと、上記デジタル信号変換手段によって変換されたデジタル信号とを伝送する伝送手段と、上記伝送手段によって伝送された上記デジタル信号から上記クロック信号と同一のクロック信号を抽出するクロック抽出手段と、上記クロック抽出手段によって抽出されたクロック信号と上記デジタル信号から上記著作権保護情報を検出する著作権保護情報検出手段と、上記著作権保護情報検出手段によって検出された著作権保護情報を用いて上記著作権保護処理が施されたコンテンツデータを解読する解読手段とを有するデコーダ部とを備えている。
【0020】
上記デジタル信号変換手段は、上記ドライブ部内にあって上記信号処理手段によって生成されたクロック信号を用いて上記光ディスクから読み出された上記著作権保護情報を含むアナログ信号をデジタル信号に変換する。上記伝送手段は、上記著作権保護情報をデジタル信号のままで上記デコーダ部に伝送する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るディスク再生装置によれば、著作権保護情報が物理的に記録されているディスクを再生する、ドライブ部とデコード部とが分離されているような再生装置にあっても、設計を容易として、上記著作権保護情報を秘匿性を確保したままデコード部に伝送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。この実施の形態は、図1に示すように、ドライブ部1と、スーパーオーディオCDデコーダ部18とからなる、スーパーオーディオCDプレーヤシステムである。
【0023】
ドライブ部1は、後述するピックアップと、RFアンプと、フロントエンドプロセッサと、ドライブメカからなる。このドライブ部1は、デジタル伝送インターフェースに基づいた通信線30により、デコーダ部18と接続されている。ドライブ部1からデコーダ部18へのデータの伝送は、デジタルデータインターフェースを通してのみ行われる。
【0024】
ドライブ部1では、再生アナログEFM信号をフロントエンドプロセッサから得られるEFMクロックでなるべく信号源に近い位置でノイズなどの影響を最小限にした状態においてデコーダ側が指定している多ビットデジタル信号へと変換する。この多ビットデジタル信号は図1のようなシステムにおいて、ドライブ部1にA/D変換器8を追加することにより、生成が可能である。
【0025】
このドライブ部1のA/D変換器8によるデコーダ部18の指示する通りの多ビットデジタルデータへの変換によって、再生アナログEFM信号のアナログ領域に埋め込まれた著作権保護の情報が損なわれることはないし、その解読は伝送後のスーパーオーディオCDデコーダ内部で実施されるため安全性、つまり情報の秘匿性も保持される。
【0026】
このドライブ部1で生成された多ビットデジタル化された再生アナログEFM信号はデータインターフェースに基づいた通信線30を使ってデコーダ部18へその信号の品質を落とすことなく効率的に伝送することが可能になる。
【0027】
通常、スーパーオーディオCDデコーダは、この再生アナログEFM信号の品質を確保するために規定に基づいた多ビットデジタル化された再生アナログEFM信号の入力端子も備えている。このため、デコーダ部18にて直接、本発明によって生成される信号を供給することが可能になる。
【0028】
また、この多ビットデジタルEFMデータの伝送クロックから、そのデータに相当したEFMクロックを抽出することも容易に可能になる。さらに、デジタルインターフェースの規格に多ビットデジタル化された再生アナログEFMデータの伝送を合わせることにより、一般のディスクシステムが新たにスーパーオーディオCD再生をサポートする際も新たに専用のインターフェースを設けることなく、スーパーオーディオCDデコーダへのデジタル信号接続などの設計のみに注力すればよいことになる。
【0029】
以下、スーパーオーディオCDプレーヤシステムについて図2を参照して詳細に説明する。このスーパーオーディオCDプレーヤシステムは、汎用DVD再生対応ドライブを使用した構成例である。ここで、汎用DVD再生対応ドライブ部1は、スーパーオーディオCDディスク2にレーザ光を照射してディスク2の反射光からコンテンツデータに基づいた情報信号を読み出す光ピックアップ3と、光ピックアップ3が読み出した情報信号を所望の電圧まで増幅し再生アナログEFM信号5を生成するRFアンプ4と、RFアンプ4で生成された再生アナログEFM信号5等をセクタ単位の暗号化データのままデコードすると共にEFMクロック7を生成する信号処理手段としてのフロントエンドプロセッサ6と、RFアンプ4で生成された再生アナログEFM信号5をEFMクロック7に同期して、デコーダ部13の指示する通りの多ビットデジタルデータへ変換するA/D変換器8と、フロントエンドプロセッサ6からのデコード出力と、多値デジタル化された再生アナログEFM信号10をデコーダ部18に伝送するためにデジタルインターフェース12を制御するI/Fコントローラ11と、デジタルインターフェース(例えば、ATAPIインターフェース)12とを備えている。
【0030】
デコーダ部18は、汎用DVD再生対応ドライブ部1のデジタルI/F12と通信線30によって接続されるプレーヤ部分デジタル基板の一部13内に設けられる。つまり、プレーヤ部分デジタル基板の一部13は、デジタルI/F14と、I/Fコントローラ15と、I/Fコントローラ15によって受信されたセクタデータ(暗号化されたままのコンテンツデータ)16と多値デジタル化された再生アナログEFM信号17をデコードするデコーダ部18とを備えている。
【0031】
デコーダ部18は、I/Fコントローラ15によって受信された多値デジタル化された再生アナログEFM信号17の変化点からサンプリングクロックを抽出するクロック抽出部19と、クロック抽出部19にて抽出されたサンプリングクロック7’と、上記多値デジタル化された再生アナログEFM信号17から、暗号化されたセクタ単位データを復号化する際に必要な鍵データ21を検出して復号化部22に供給する鍵データ検出部20と、鍵データ検出部20から供給された鍵データ21を使って暗号化されたセクタ単位のデータ16を復号化して復号化されたデータ23を出力するコンテンツデータの解読を行う復号化部22とを備えている。
【0032】
このスーパーオーディオCDプレーヤシステムの動作を以下に説明する。鍵データ21は、スーパーオーディオCDの暗号化されたデータを復号化するための著作権保護情報信号として、ディスク2上のある特定のエリア上の再生アナログEFM信号5に記録されている。具体的には、音楽データに付加される微小信号としてアナログ的な電子透かしのように埋め込まれている。
【0033】
ドライブ部1では、ピックアップ3にて読み取った読み取り信号からRFアンプ4が生成した再生アナログEFM信号5をフロントエンドプロセッサ6にて抽出されるEFMクロック信号7のタイミングでA/D変換器8により多値にデジタル化された信号に変換する。
【0034】
フロントエンドプロセッサ6にてデコードされた上記セクタ単位の暗号化データと、A/D変換器8からの多値デジタル化された再生アナログEFM信号10は、プレーヤ部分デジタル基板の一部13に、上記デジタルI/F12及び14を接続する通信線30を介して伝送される。そして、I/Fコントローラ15によって取り出されたセクタデータ(暗号化されたまま)16と多値デジタル化された再生アナログEFM信号17は、デコーダ部18に入力される。
【0035】
デコーダ部18は、クロック抽出部19にて多値デジタル化された再生アナログEFM信号17から、EFMクロック信号7’自身を抽出する。また、デコーダ部18は、鍵データ検出部20にて上記クロック信号7’を用い、上記多値デジタル化された再生アナログEFM信号17から鍵データ21を検出する。この鍵データ21は、復号化部22に供給される。
【0036】
復号化部22は、鍵データ21を用いて上記セクタデータ(暗号化されたまま)16を復号化して復号化されたデータ23を出力する。
【0037】
ここで、鍵データ検出部20と復号化部22は、やり取りされる鍵データ21の秘匿性を確保するために1つのブラックボックスとして提供される。
【0038】
次に、上記スーパーオーディオCDプレーヤにおけるシステム制御の処理手順について図3のフローチャートを用いて説明する。ここで、本システムでは、ドライブ部1は汎用DVDドライブであるとして、スーパーオーディオCD再生に関わる一切の制御についてはスーパーオーディオCDデコーダ部18が搭載されている側(プレーヤ部分デジタル基板の一部13)の指示に従って動作するものとする。プレーヤ部分デジタル基板の一部13は、システムコントローラである。
【0039】
先ず、システム制御が開始されると(ステップS1)、上記デジタル基板の一部13であるシステムコントローラは、ドライブ部1からの様々な情報を基に上記光ディスク2はスーパーオーディオCDであるか否かをチェックする(ステップS2)。ステップS2にてSACDではないと判断するとステップS3に進み、システム制御処理を終了する。ステップS2にてSACDであると判断する(YES)と、ステップS4に進む。
【0040】
ステップS4にてシステムコントローラは、ドライブ部1を制御し、スーパーオーディオCDフォーマットで規定されている鍵データが再生アナログEFM信号5に付加されているディスク2の領域へピックアップ3をアクセスさせる。そして、システムコントローラは、ピックアップ3により上記領域を再生させ、再生アナログEFM信号5をDVDフロントエンドプロセッサ6で抽出したEFMクロック信号7のタイミングでA/D変換器8により多値デジタルデータ10へ変換し、デジタルI/F12によりそのコントローラ11の制御のもと出力する。
【0041】
上記多値デジタルデータ10は、システムコントローラが設けられるプレーヤ部分デジタル基板の一部13によって、I/Fコントローラ15の制御の基にデジタルI/F14にて受信される。I/Fコントローラ15によって取り出された多値デジタル化された再生アナログEFM信号17は、クロック抽出回路19に供給される。
【0042】
クロック抽出回路19は、図4に示すようなタイミングで上記多値デジタル化された再生アナログEFM信号17(図4の(a)の入力信号)から、サンプリングクロック(図4の(b))を抽出し、データ(上記多値デジタル化された再生アナログEFM信号17)と共にスーパーオーディオCDデコーダ18の鍵データ検出部20へ入力する(以上、ステップS5)。
【0043】
プレーヤ部分デジタル基板の一部13側のシステムコントローラは、スーパーオーディオCDデコーダ18がステップS6の分岐にて鍵データ21の検出が成功した(YES)としらせてくるまで、ステップS4乃至ステップS6までの処理を繰り返す。
【0044】
鍵データ検出部20にて鍵データ21の検出が終ったら、多値デジタル化された再生アナログEFM信号17はスーパーオーディオCDデコーダ18にはもはや必要なくなる。システムコントローラは、ドライブ部1へその旨を通知し、デジタルインターフェース12のコントローラ11はこれより後はDVDフロントエンドプロセッサ6からDVDデコードされた暗号化されたセクタデータ9を出力し、後段13はデジタルI/F14からコントローラ15の制御の基に受け取ったセクタデータ16をスーパーオーディオCDデコーダ18の復号化部22へ入力する(ステップS7)。
【0045】
スーパーオーディオCDデコーダ18の復号化部22では、暗号化されたDVDデコード済セクタデータ16を、鍵データ検出部20にて検出した鍵データ21を基に復号化し、平文のスーパーオーディオCDセクタデータ23を得る(ステップS8)。そして、ステップS9にて上記一連のシステム制御処理は終了する。
【0046】
上述したように、スーパーオーディオCDのデータ復号化のための鍵データは再生アナログEFM信号に微小な信号を付加することにより格納している。このため、ノイズの影響を非常に受けやすく、従来は、配線長やパターンの引き回しなど設計上、多大な注意を必要としていた。
【0047】
そこで、本発明を適用した上記スーパーオーディオCDプレーヤにて上記構成を採用することにより、必要なアナログ信号処理は、その発生源であるRFアンプのすぐそばで実行され、ノイズの影響は最小限に押さえられることになる。また、この多値デジタル化された信号そのものには鍵データを導くための情報はごく僅かしか含まれず、その秘匿性も十分確保されたままである。さらに、上述したようなシステムを構築すれば、既存の汎用DVDドライブに最小限の変更を加えることによって、後段との配線を増加させることなく、またノイズの影響を受けやすい動作クロックの転送を必要としないでスーパーオーディオCD再生機能を実現することが可能になる。
また、本実施の形態のスーパーオーディオCDプレーヤによれば、再生アナログEFM信号のアナログ領域に埋め込まれた著作権保護の情報が損なわれることはないし、その解読は伝送後のスーパーオーディオCDデコーダ内部で実施されるため安全性も保持される。
【0048】
なお、上記実施の形態では、著作権保護情報の具体例として、暗号化コンテンツデータを復号化するための暗号化鍵を挙げたが、上記暗号化鍵の他に、著作権の追跡のためのデータ、或いは複製防止のためのプロテクト信号等を用いてもよい。この場合、図2のデコーダ部18の鍵データ検出部20は、各著作権保護情報検出部となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態である、スーパーオーディオCDプレーヤのブロック図である。
【図2】汎用DVD再生対応ドライブを使用したスーパーオーディオCDプレーヤシステムのブロック図である。
【図3】スーパーオーディオCDプレーヤにおけるシステム制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】クロック抽出回路におけるクロック抽出のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】従来のスーパーオーディオCDプレーヤシステムのブロック図である。
【図6】従来のスーパーオーディオCDデコーダの機能ブロック図である。
【図7】従来の一般的ディスクシステムプレーヤのブロック概略図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ドライブ部、2 スーパーオーディオCD、3 ピックアップ、4 RFアンプ、6 フロントエンドプロセッサ、8 A/D変換器、18 デコーダ部、19 クロック抽出部、20 鍵データ検出部、22 復号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
著作権保護処理が施されたコンテンツと、そのコンテンツを復号化するために用いられる著作権保護情報が記録されてなる光ディスクを再生するディスク再生装置において、
上記光ディスクから上記著作権保護情報を含むアナログ信号を読み出す読み出し手段と、上記読み出し手段にて読み出されたアナログ信号から上記光ディスクに記録された著作権保護処理が施されたコンテンツデータを取り出すと共にクロック信号を生成する信号処理手段と、上記読み出し手段にて読み出された上記アナログ信号を上記信号処理手段にて生成されたクロック信号を用いてデジタル信号に変換するデジタル信号変換手段とを有するドライブ部と、
上記ドライブ部のコンテンツデータと、上記デジタル信号変換手段によって変換されたデジタル信号とを伝送する伝送手段と、
上記伝送手段によって伝送された上記デジタル信号から上記クロック信号と同一のクロック信号を抽出するクロック抽出手段と、上記クロック抽出手段によって抽出されたクロック信号と上記デジタル信号から上記著作権保護情報を検出する著作権保護情報検出手段と、上記著作権保護情報検出手段によって検出された著作権保護情報を用いて上記著作権保護処理が施されたコンテンツデータを解読する解読手段とを有するデコーダ部と
を備えていることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
上記著作権保護処理は上記コンテンツに施される暗号化処理であり、上記著作権保護情報は上記暗号化処理に用いられた暗号化鍵であることを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項3】
上記著作権保護情報は、上記光ディスクの所定の領域に物理的に記録されてなることを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−24293(P2006−24293A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202321(P2004−202321)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】