説明

ディスク再生装置

【課題】再生部をロック状態にする際に生じる動作負荷を低減させる。
【解決手段】アームクランパ2背面にはアームクランパ曲げ部12が設けられ、第1スライダ4には、第1スライダ4が一方向にスライドし、かつ、アームクランパ2が開いた際に、アームクランパ曲げ部12が押圧するスライダ曲げ部13が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ディスク再生を行う際に再生部をフローティング状態にし、ディスク搬送を行う際に再生部をロック状態にするディスク再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車載用のディスク再生装置は、ディスクが載置されるターンテーブルが搭載されたベース部と、このディスクをターンテーブル側に付勢するクランパが前方側に設けられたアームクランパとからなる再生部を備えている。また、アームクランパの後方側は、ベース部と回動可能に連結されている。なお、再生部は振動吸収部材により保持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このディスク再生装置では、ディスク再生を行う際に、ディスクまたはディスクの信号を読取る光ピックアップ等に衝撃が加わらないようにするため、再生部をフローティング状態にして振動吸収部材によって外部からの振動を吸収させる必要がある。また、ディスク搬送を行う際には、安定したディスク搬送動作やクランプ解除動作を行うため、再生部をフローティング状態からロック状態にする必要がある。
【0004】
そのため従来のディスク再生装置では、ベース部背面に略L字型のベース曲げ部が設けられ、ベース部の一方の側面にはロックピンが設けられている。
また、再生部の背面側には左右にスライド可能な第1スライダが設けられ、再生部のロックピン側には、第1スライダと屈曲自在に連結されて、前後にスライド可能な第2スライダが設けられている。
【0005】
この第1スライダには、第1スライダが一方向にスライドした際に、ベース曲げ部と係合する略L字型のスライダ曲げ部が設けられている。また、第2スライダには、第1スライダの一方向へのスライドに伴って第2スライダがスライドされた際に、ロックピンと係合する溝部が形成されている。
【0006】
このように構成されたディスク再生装置において、再生部がフローティング状態の場合には、スライダ曲げ部はベース曲げ部から離れ、ロックピンは溝部から離れている。そのため再生部の前方向及び上下方向への移動に対するロックは解除されている。
【0007】
一方、再生部をフローティング状態からロック状態にする場合には、第1スライダを一方向にスライドさせてベース曲げ部にスライダ曲げ部を係合させる。これにより再生部の前方向への移動をロックすることができる。
また、第1スライダの一方向へのスライドに伴って第2スライダがスライドする。これにより、溝部にロックピンが係合して再生部の上下方向への移動をロックすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−272417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のディスク再生装置では、再生部をフローティング状態からロック状態にする際に、スライダ曲げ部をベース曲げ部に摺動させながら係合させているため、再生部と第1スライダ間に動作負荷が発生するという課題がある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、再生部をフローティング状態からロック状態にする際に生じる動作負荷を低減させることができるディスク再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るディスク再生装置は、アームクランパ背面にはアームクランパ曲げ部が設けられ、第1スライダには、第1スライダが一方向にスライドし、かつ、アームクランパが開いた際に、アームクランパ曲げ部が押圧するスライダ曲げ部が設けられるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、上記のように構成したので、アームクランパ背面にはアームクランパ曲げ部を設け、第1スライダには、第1スライダが一方向にスライドし、かつ、アームクランパが開いた際に、アームクランパ曲げ部が押圧するスライダ曲げ部を設けることで、第1スライダが一方向にスライドしてアームクランパが開いた場合にのみ、アームクランパ曲げ部がスライダ曲げ部を押圧して再生部の前方向への移動をロックすることができるため、再生部をフローティング状態からロック状態にする際に生じる動作負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1における再生部の前方向のロックを説明する(a)フローティング状態を示す斜視図であり、(b)第1スライダのスライド状態を示す斜視図であり、(c)ロック状態を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1における再生部の前方向のロックを説明する(a)図2(b)のA−A線断面図であり、(b)図2(c)のB−B線断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における再生部の上下方向のロックを説明する(a)フローティング状態を示す側面図であり、(b)ロック状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
ディスク装置は、図1に示すように、ベース部1とアームクランパ2とからなる再生部3、第1スライダ4、第2スライダ5及び連結部6から構成される。なお、再生部3は不図示の振動吸収部材に保持されている。
【0015】
ベース部1は、ディスクが載置されるターンテーブル7が搭載されたものである。このベース部1の第2スライダ5側側面にはロックピン8が設けられている。
アームクランパ2は、ターンテーブル7上に位置した際にディスクをターンテーブル7側に付勢して保持するクランパ9が前方側に設けられたものである。このアームクランパ2両側面の後方側には、ベース部1と回動可能に連結された連結軸10が設けられている。また、アームクランパ2の第2スライダ5側側面の前方側には回動ピン11が設けられている。
【0016】
また、図2に示すように、アームクランパ2背面の右端部には、略L字型のアームクランパ曲げ部12が下向きに設けられている。ここで、図3(a)に示すように、アームクランパ曲げ部12とアームクランパ2背面とのすき間部分の寸法は、第1スライダ4の後述するスライダ曲げ部13がアームクランパ曲げ部12と摺動することがないように、スライダ曲げ部13の厚みより大きな寸法に構成されている。
【0017】
第1スライダ4は、再生部3の背面側に設けられるものであり、左右にスライド可能に構成されている。この第1スライダ4は不図示の駆動部により左右にスライドされる。また、図2に示すように、第1スライダ4の右端部には、第1スライダ4が一方向へスライドした際にアームクランパ曲げ部12とアームクランパ2背面とのすき間部分に入り込む略L字型のスライダ曲げ部13が横向きに設けられている。
【0018】
このスライダ曲げ部13は、図2,3に示すように、アームクランパ曲げ部12とアームクランパ2背面とのすき間部分に入り込み、かつ、アームクランパ2が上向きに回動した際にアームクランパ曲げ部12により押圧されることによって、再生部3の前方向への移動をロックするものである。
また、第1スライダ4の右端部下端は、連結部6と回動可能に連結されている。
【0019】
第2スライダ5は、再生部3の回動ピン11側に設けられるものであり、前後にスライド可能に構成されている。この第2スライダ5の後端部下端は、連結部6と回動可能に連結されている。また、第2スライダ5の前方側には、コの字型溝部14と傾斜部15が形成されている。
【0020】
コの字型溝部14は、第1スライダ4の一方向へのスライドに伴って第2スライダ5がスライドされた際に、ロックピン8と係合することによって再生部3の上下方向への移動をロックするものである。
また、傾斜部15は、第1スライダ4の一方向へのスライドに伴って第2スライダ5がスライドされた際に、回動ピン11と係合して持ち上げることによってアームクランパ2を連結軸10を支点に上向きに回動させるものである。
【0021】
次に、上記のように構成されたディスク再生装置の動作について図1〜4を参照しながら説明する。
まず、ターンテーブル7に載置されたディスクを再生するために再生部3をフローティング状態にする場合には、不図示の駆動部により第1スライダ4を右方向にスライドさせる。これにより、図2(a)に示すように、スライダ曲げ部13はアームクランパ曲げ部12とアームクランパ2背面とのすき間部分から離れて、再生部3の前方向への移動に対するロックが解除される。
【0022】
また、第1スライドの右方向へのスライドに伴って、連結部6に連結された第2スライダ5が前方向にスライドされる。これにより、図4(a)に示すように、ロックピン8はコの字型溝部14から離れて、再生部3の上下方向への移動に対するロックが解除される。
また、回動ピン11も傾斜部15から離れて、アームクランパ2が連結軸10を支点に下向きに回動して、クランパ9はディスクをターンテーブル7側に付勢する。
【0023】
このようにして再生部3をフローティング状態にすることで、外部からの振動が振動吸収部材によって吸収され、ターンテーブル7に載置されたディスクやディスクの信号を読取る不図示の光ピックアップ等に衝撃が加わることはなく、ディスク再生に影響が及ぼされることはない。
【0024】
次いで、ディスク搬送のために再生部3をロック状態にする場合には、不図示の駆動部により第1スライダ4を左方向にスライドさせる。これにより、図2(b)に示すように、スライダ曲げ部13はアームクランパ曲げ部12とアームクランパ2背面とのすき間部分に入り込む。この際、図3(a)に示すように、スライダ曲げ部13はアームクランパ曲げ部12と摺動することはない。
【0025】
また、第1スライダ4の左方向へのスライドに伴って、連結部6に連結された第2スライダ5が後方向にスライドされる。これにより、図4(b)に示すように、ロックピン8がコの字型溝部14に係合されることによって、再生部3の上下方向への移動がロックされる。
【0026】
また、傾斜部15により回動ピン11が持ち上げられることによって、アームクランパ2が連結軸10を支点に上向きに回動する。これにより、図2(c),図3(b)に示すように、アームクランパ曲げ部12がスライダ曲げ部13を押圧することによって、再生部3の前方向への移動がロックされる。
このようにして再生部3をロック状態にすることで、再生部3を前方向及び上下方向でロックすることができ、安定したディスク搬送を行うことができる。
【0027】
以上のように、この実施の形態1によれば、アームクランパ2背面にはアームクランパ曲げ部12を設け、第1スライダ4には、第1スライダ4が一方向にスライドし、かつ、アームクランパ2が開いた際に、アームクランパ曲げ部12が押圧するスライダ曲げ部13を設けるように構成したので、第1スライダ4が一方向にスライドしてスライダ曲げ部13がアームクランパ曲げ部12とアームクランパ2背面とのすき間部分に入り込む際には摺動することがなく、アームクランパ2が開いた場合にのみアームクランパ曲げ部12がスライダ曲げ部13を押圧して再生部3の前方向への移動をロックすることができるため、再生部3をロック状態にする際に生じる動作負荷を低減させることができる。
【0028】
また、この実施の形態1に係るディスク再生装置では、アームクランパ2に回動ピン11を設け、第2スライダ5に傾斜部15を形成するように構成したが、これとは反対に、アームクランパ2に傾斜部15を形成し、第2スライダ5に回動ピン11を設ける構成としても、同一の作用効果を得られる。
【符号の説明】
【0029】
1 ベース部、2 アームクランパ、3 再生部、4 第1スライダ、5 第2スライダ、6 連結部、7 ターンテーブル、8 ロックピン、9 クランパ、10 連結軸、11 回動ピン、12 アームクランパ曲げ部、13 スライダ曲げ部、14 コの字型溝部、15 傾斜部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが載置されるターンテーブルが搭載されたベース部と、前方側に前記ディスクを前記ターンテーブル側に付勢するクランパが設けられ、後方側が前記ベース部と回動可能に連結されたアームクランパと、前記アームクランパの背面側に、左右にスライド可能に設けられた第1スライダと、前記第1スライダに屈曲自在に連結されて前後にスライド可能に設けられた第2スライダと、前記アームクランパと前記第2スライダとに相対的に設けられ、当該第2スライダのスライドによって当該アームクランパを回動させて開閉するピンと傾斜部とを備えたディスク再生装置において、
前記アームクランパ背面にはアームクランパ曲げ部が設けられ、
前記第1スライダには、前記第1スライダが一方向にスライドし、かつ、前記アームクランパが開いた際に、前記アームクランパ曲げ部が押圧するスライダ曲げ部が設けられる
ことを特徴とするディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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