ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法
【課題】可撓性を有するディスクを10000rpmを超える高速で回転した場合においても、ディスク内周部に歪みが蓄積することなく、長期間にわたって面振れを起こさず正常に回転駆動できる、ディスク回転機構の提供。
【解決手段】可撓性を有し情報を記録可能なディスク1と、前記ディスク1を保持するターンテーブル5と、前記ディスク1を前記ターンテーブル5と共に回転させるスピンドル3と、前記ディスク1を安定して回転させる安定化部材30を具備したディスク回転機構であって、前記スピンドル3の回転を、前記ターンテーブル5を介して前記ディスク1に伝達する回転伝達機構と、前記ディスク1を回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構とを備えたことを特徴とするディスク回転機構。
【解決手段】可撓性を有し情報を記録可能なディスク1と、前記ディスク1を保持するターンテーブル5と、前記ディスク1を前記ターンテーブル5と共に回転させるスピンドル3と、前記ディスク1を安定して回転させる安定化部材30を具備したディスク回転機構であって、前記スピンドル3の回転を、前記ターンテーブル5を介して前記ディスク1に伝達する回転伝達機構と、前記ディスク1を回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構とを備えたことを特徴とするディスク回転機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が始まるなど、大容量のデジタルデータを記録することが情報記録媒体に求められている。例えば、光ディスクの分野においては、情報の記録再生のために光ディスクに集光される光スポット径を小さくすることが、高密度化のための基本的な方法の一つに挙げられる。なお、以下において光ディスクを代表として説明するが、本発明が対象とする記録再生装置に用いられるディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録媒体すべてを対象にし、特に光ディスクに限定するものではない。
【0003】
レーザーを絞り込んで高密度の記録再生を行う上では、ディスク回転時のディスク面の振れ、すなわち面振れが小さいことが重要である。記録情報の大容量化に伴いデータ転送レートの高速化が求められているが、例えば、放送用HDTVの映像録画における転送レートは、250Mbps以上が一つの目安と言われている。この転送レートをディスクの記録面全面での実現する場合、内周部での転送レートを確保するために、ディスクは15000rpm以上の高速回転が必要となる。このような高速回転においても、記録再生時のディスク面へのフォーカスサーボ追従の観点から、高速回転に伴うディスクの面振れを小さくすることが必要である。
【0004】
剛体のディスクの振動による面振れ対策としては、従来から、弾性体によりディスクをターンテーブル上に保持して回転させる方法が知られている。例えば、特許文献1〜3に開示されたディスクの振動防止装置がある。これらの振動防止装置では、通常用いられている剛体材料製のハードディスクを、弾性材料を介してターンテーブル(スピンドル)に固定している。そして、弾性材料により、ハードディスクを回転させた場合の振動(共振)の抑制や、ディスク保持部のゴミの挟み込みによる結合不良による振動を防止している。しかし、剛体材料製のハードディスクでは、10000RPMを超えるような高速回転の記録再生には不向きである。
【0005】
高速回転に適するディスクとして可撓性を有するディスクがある。可撓性を有するディスクの高速回転に伴う面振れ対策としては、ディスクを高速回転させたときの空気力学的な安定化手段を用いる方法が提案されている。可撓性を有するディスクにおいては、高速回転させると、剛体材料製のディスクのような共振による面振れではなく、可撓性でシート状のディスクの高速回転にともなう波打ち現象のような面振れが起こり易い。この面振れに対しては、空気力学的な安定化手段を用いる方法が知られている。例えば、特許文献4〜6に開示された安定化部材(スタビライザー)がある。特許文献4〜6に開示された記録再生装置によれば、可撓性のディスクに対し、ディスク面周辺に配置する安定化部材(スタビライザー)の形態を工夫することにより、ディスクと安定化部材との空気力学的な作用を利用してディスク面を安定化させ、安定したディスク面上の位置での情報の記録再生を実現可能としている。
【0006】
具体的に、特許文献4、5に開示されている情報の記録再生装置においては、平面状の安定化部材を可撓性を有する記録ディスク面に作用させる形態、あるいは凹状に湾曲した安定化部材をディスク面に作用させる形態としている。そして、安定化部材と記録ディスク面との間の距離を例えば0.05〜0.30mmに調整することにより、10000rpmを超える高速回転時においてもディスクの回転駆動を安定化することができるとしている。また、特許文献6に開示されている情報の記録再生装置おいては、ハードディスクと安定化板の間に任意の厚みのスペーサーを挿入し、内周に形成した空気導入孔から流れ込む空気流によりディスクの振動を抑制する方法がとられている。これらの方法においては、記録ディスクが可撓性を有し、かつ安定化部材によるディスク振動の抑制効果が得られることから、これまでの剛体を用いたCD,DVD,BD,HD−DVD等の記録ディスクでは実用化が困難であった10000rpm以上の高速回転域で駆動できるポテンシャルを有する。実際に、特許文献4〜5では15000rpm付近までの高速駆動についての記述がなされている。
【特許文献1】特開平6−28752号公報
【特許文献2】特許第2882379号公報
【特許文献3】特開平5−54502号公報
【特許文献4】特開2006−107699号公報
【特許文献5】特開2007−149311号公報
【特許文献6】特開2006−344291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実用的には、可撓性を有する記録ディスクを、10000rpmを越える高速で回転させて記録再生をする記録再生システムは、これまでに前例がなく、実用上の課題は未知の領域にあった。発明者らは、特許文献5に開示された記録再生システムを参考にして図18に示すようなディスク回転機構を構成し、高速駆動における可撓性を有するディスクの実用化の課題について検討した。その結果、可撓性を有するディスク1を、スピンドル3に接続しているターンテーブル5とこれと対向するクランパ6により挟み込んで固定した状態で、10000rpmを越える高速回転で駆動すると、高速回転時においてディスク1の内周部のターンテーブル5による保持部付近に歪みが発生し、ディスク回転数の上昇と下降、あるいは安定化部材30の近接と離脱(安定化部材30は、ディスク回転数の変化に伴って近接、離脱させている。)の繰り返しにより、その歪みが蓄積しかつ増大するという問題が発生した。蓄積されたディスク1の歪みにより、低速回転域での駆動時に、ディスク1と安定化部材30が摺動することがある。そして、ディスク1と安定化部材30が接触・摺動すると、大きなディスクの面振れが発生し、記録ヘッドによる記録再生の信号品質を劣化させる。さらに、回転・停止の動作の繰り返すことにより、ディスク1が安定化部材30に接触し、ディスク1の回転が停止してしまう、といった致命的な問題を引き起こす原因ともなる。
【0008】
そこで、特許文献1あるいは2に開示されているように、ターンテーブルとディスクの間に弾性体を介在させて、面ぶれを抑えることを検討した。しかし、特許文献1、2のようにディスクのいずれか片面のみを弾性材により固定しても、高速回転におけるディスクの歪みを効率よく低減するには至らなかった。また、特許文献3に示すように、円環状の弾性材により両面からディスクを固定しても、弾性体とディスクの接触面が円環の細い線状となり、表裏における弾性体とディスクの接触位置がわずかずれただけでも、かえってディスクの歪みを大きくしてしまった。このように剛性材料製のハードディスクの回転時の共振を抑制するための構成を、高速回転、停止の繰り返しを想定した構成である可撓性を有する(剛性のない)ディスク回転機構に採用しても、可撓性を有するディスクの課題である、高速回転時のディスク内周部の歪みを低減することはできなかった。
【0009】
本発明の目的は、前記課題を踏まえ、可撓性を有するディスクを10000rpmを超える高速で回転した場合においても、ディスク内周部に歪みが蓄積することなく、長期間にわたって面振れを起こさず正常に回転駆動できる、ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明者等は、以下の発明を完成した。
本発明は、可撓性を有し情報を記録可能なディスクと、前記ディスクを保持するターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させる安定化部材を具備したディスク回転機構であって、前記スピンドルの回転を、前記ターンテーブルを介して前記ディスクに伝達する回転伝達機構と、前記ディスクを回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構とを備えたことを特徴とするディスク回転機構である。
【0011】
好ましい本発明は、前記ディスクの前記ターンテーブルとの接触面には、弾性体が配置されていることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0012】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルは、前記ディスクを保持するディスク保持部に複数の突起を備え、前記ディスクは、前記突起に嵌合する開口を有することを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0013】
好ましい本発明は、前記ディスクを介して前記ターンテーブルと対向してディスクを挟持するクランパを備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0014】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルは、ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0015】
好ましい本発明は、前記ディスクは、ターンテーブルとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0016】
好ましい本発明は、前記クランパは、ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0017】
好ましい本発明は、前記ディスクは、クランパとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0018】
本発明は、可撓性を有し情報を記録可能なディスクであって、ターンテーブルに保持される保持部の両方の面のうち少なくとも一方の面に弾性体を備えることを特徴とするディスクである。
【0019】
好ましい本発明は、前記弾性体は、ゴム又は接着剤の硬化物からなることを特徴とする前記ディスクである。
【0020】
本発明は、可撓性を有し情報を記録可能なディスクであって、ターンテーブルに保持される保持部に複数の開口を有することを特徴とするディスクである。
【0021】
好ましい本発明は、前記保持部に、ハブを備えることを特徴とする前記ディスクである。
【0022】
本発明は、可撓性を有するディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ターンテーブルに保持したディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置であって、前記スピンドルの回転を、前記ターンテーブルを介して前記ディスクに伝達する回転伝達機構と、前記ディスクを回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構を備えることを特徴とする記録再生装置である。
【0023】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルは、前記ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記記録再生装置である。
【0024】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルと共に前記ディスクを保持するクランパを備え、前記クランパは前記ディスクとの接触面に弾性体を備えていることを特徴とする前記記録再生装置である。
【0025】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルは、前記ディスクを保持するディスク保持部に複数の突起を備えていることを特徴とする前記記録再生装置である。
【0026】
本発明は、記録媒体であるディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置の前記ターンテーブル上に、可撓性を有するディスクを、弾性体を介して配置するディスク配置工程と、前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクを前記スピンドルにより回転させるディスク回転工程と、回転している前記可撓性を有するディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生行程とを備えることを特徴とする記録再生方法である。
【0027】
好ましい本発明は、前記ディスク配置工程は、前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクの上に、前記ターンテーブルとともにディスクを保持するクランパを、弾性体を介して配置する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の記録再生方法である。
【0028】
本発明は、記録媒体であるディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置の前記ターンテーブル上に、可撓性を有するディスクを配置するディスク配置工程と、前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクを前記スピンドルにより回転させるディスク回転工程と、回転している前記可撓性を有するディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生行程とを備える記録再生方法であって、前記ディスク配置工程において、前記可撓性を有するディスクに形成された開口に前記ターンテーブル上の突起を嵌合して、前記可撓性を有するディスクをターンテーブル上に保持する工程を含むことを特徴とする記録再生方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、可撓性を有するディスクを10000rpmを超える高速で回転した場合においても、ディスク内周部に歪みが蓄積することなく、長期間にわたって面振れを起こさず正常に回転駆動できる、ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施するための最良の形態を必要に応じて図面を参照にして説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明の好ましい形態における例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0031】
図1は、本発明のディスク回転機構を表す平面図である。図2は、図1におけるC−C'断面の断面図である。図1及び図2において、1は可撓性を有する記録媒体であるディスク(本発明において、ディスクは、光ディスクを想定して説明するが、光ディスクに限らないで、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録媒体すべてを対象にしている。)であり、1aはディスク1を後述のターンテーブル5に保持する保持部である。2はハブ、3はスピンドル(スピンドルモータを含んでもよい。)である。4は、ディスク1の半径方向に移動してディスク1に対して光ビームを集光させ、情報の記録再生処理を行うためディスク1に対し動線Rに沿って光走査を行う記録再生手段である再生処理ヘッド(ピックアップ)である。5は、スピンドル3の回転軸に固定されたディスク1を保持してスピンドル3の回転をディスク1に伝達するターンテーブル、5aはターンテーブルのディスク保持部、6はディスク1をターンテーブル5上に保持させるためのクランパ(ディスククランパ)である。7は円環状の厚みを規定したゴム状の弾性体でありディスク1の保持部1aの両側にある。このディスク回転機構においては、ターンテーブル5と弾性体7とクランパ6とが回転伝達機構兼ディスク保持機構にあたる。
【0032】
安定化部材30の形態としては、図3に示すC−C'断面図のように、ディスク1に対向する面がC−C'方向(図の横方向)にのみ湾曲した円筒状凹面や、この逆の円筒状凸面としてもよい。また、安定化部材30のディスク1に対向する面は、すり鉢状の凹面や、これを逆転させたすり鉢状の凸面といった様々な形態が考えられる。
【0033】
図4に示すC−C'断面図のように、可撓性安定化部材31とディスク1を連結させた構成とし、共に回転させた状態で、ディスク1を安定駆動させる形態も本発明の対象とするところである。この形態においては、上述の安定化部材30の他に、第2の可撓性安定化部材31を備えている。第2の可撓性安定化部材31は、内周部の任意円周上に孔部32を複数個形成している。第2の可撓性安定化部材31はディスク1と連結されており、ディスク1と共に回転する状態で、孔部32から流入する空気流がディスク1の安定化に有効に作用する。
【0034】
さらには、図5に示すC−C'断面図のように、安定化部材30をディスク状の剛体により形成し、この安定化部材30とディスク1を共に回転させる形態としてもよい。この形態においても、安定化部材30とディスク1を連結して共に回転させた状態で、内周部の任意円周上に複数個形成した孔部32から導入される空気流がディスク1の安定化に有効である。なお、安定化部材は上述の形態に限るものではない。
【0035】
図1,2に示した形態のディスク回転機構を例に、ディスク1を安定して回転駆動させる動作について説明する。図2に示すように、ディスク1は、弾性体7を介してターンテーブル5とクランパ6によって、ディスク内周部を保持され、ターンテーブル5と同軸で結合しているスピンドル3の駆動力によって回転する。ディスク1は、回転中は安定化部材30の対向する表面に沿ってほぼ水平に、面振れしないで安定して回転する。例えば、図2に示す形態において、所定の安定化状態が得られる条件は、ディスク1の中央部である保持部1aの下面と、安定化部材30の中央部付近の表面との間に設定するディスク回転軸方向の距離の設定値Cbdを0.1〜0.2mmとすることである。なお、この設定値Cbdの設定条件はディスク1の構造により異なり、これに限るものではない。
【0036】
なお、このディスク回転機構においてはスピンドル3の回転を確実にディスク1に伝達(弾性体によりターンテーブル5とディスク1を適切に連結)する必要があり、この回転伝達機構を実現しつつ、ディスク1の保持部1aにおける伸縮を可能に保持するディスク保持機構の一つの形態が、ディスク1の上下の弾性体によりディスクを挟持する図1〜5の構成である。
【0037】
弾性体とは、ディスクとターンテーブルとをせん断方向に変位させた場合に弾性を発揮して変形し、その弾性により可逆的に元の状態に戻ることのできる弾性体であればよい。弾性体を形成する弾性材料の例としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系ゴム(テフロン(登録商標)ゴムなど)、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)等のゴム、及びシリコーン変性ポリマーなどをベースとした接着剤の硬化物等の弾性材料が挙げられる。せん断弾性率で表すと、およそ10〜100MPa程度の弾性材料が適している。
【0038】
この弾性材料を実際に弾性体7として用いる構成においては、前記せん断応力に対して変形量を確保する必要があり、弾性体7の厚さが必要になる。弾性体の厚さは、5〜300μm、好ましくは10〜100μmとすることが望ましく、例えば、20000rpmを超える高速回転での駆動においては、ディスク内周部の保持部1aの外周端(保持部1aの外周径に相当)におけるディスクの伸び変形が、およそ20μm(PCを基材とした場合)になることから、弾性体の厚さは、少なくともその2倍の40μmの厚さとすることが好適である。なお、この弾性体の厚さは、例えば図2におけるディスクと安定化部材30との設定値Cbdに影響するため、その厚さ管理が重要であることは言うまでもない。また、ディスクの表裏に配置するゴム状弾性体の厚さは同一とすることが好ましい。
【0039】
以下に、上記の構成のディスク回転機構を含む記録再生装置による記録再生を想定した回転駆動動作の代表的な手順を図1,2を参照にしながら説明する。
(1)ディスク1と安定化部材30の設定値Cbdを予備の設定値(例えば2mm)に設定して、ディスク1の回転を予備回転数(例えば4000rpm)まで加速する。
(2)ディスク1の回転数が予備回転数に達した時点で、設定値Cbdを所定の設定値(例えば0.1mm)に調整する。
(3)ディスク1の回転を所定の回転数(例えば15000rpm)まで加速する。
(4)ディスク1から図示していないピックアップヘッドにより記録又は再生を行う。
(5)記録又は再生が終了したら、ディスク1の回転数を予備の設定値(例えば4000rpm)まで減速する。
(6)安定化部材30をディスク1から遠ざけ、予備の設定値(例えば2mm)とする。
(7)スピンドル3を停止させる。
【0040】
図1,2に示した本発明のディスク回転機構は、ディスク1の内周部である保持部1aの両側を弾性体7を介してターンテーブル5とクランプ6でディスク1を挟持している。この為、ディスク1を高速回転させたときに、ディスク1の保持部1aには遠心力による応力が発生する。また、ディスク1の回転数の変化によってディスク1の保持部1aの外周部付近にはねじれによる応力も発生する。しかし、ディスク1の両側を弾性体7により保持しているので、遠心力やねじれによる応力は、弾性体7及び保持部1a全体に分散される。この応力分散により、ディスク1の保持部1aの外周部付近に歪みが発生しにくくなり、本発明のディスク回転機構においては、ディスク1の高速回転、停止を繰り返すことができる。
【0041】
一方、図18に示すような、従来のディスク回転機構においては、ディスク1の保持部1aを剛体のターンテーブル5とクランプ6でディスク1を固定するように挟持している。この状態で、本発明のディスク回転機構と同様にディスク1の高速回転、停止を繰り返すと、ディスク1の保持部1aの外周部に応力が集中し、保持部1aの外周部のみが上述の遠心力やねじれを引き起こす応力に対応することになる。そうすると、ディスク1の保持部1aの外周部付近には、遠心力やねじれ応力による歪みが発生しやすく、駆動停止の繰り返しによってディスク1は、保持部1aの外周部付近の物性や形状が変化してしまうことになる。そして、ディスク1は回転に伴って異常な面振れを起こしやすくなる。安定化部材30は、このような歪みによるディスクの面振れも抑制する機能を持っているが、回転数が10000rpmを超えるような高速回転の繰り返しを続けると、ディスク1は安定化部材30の効果だけでは使用に耐えなくなる。
【0042】
この現象を実験的に確かめた結果を図19、20に示す。図19は、図18に示した従来のディスク回転機構によるディスクの高速回転停止の繰り返し実験における、4000rpm時のディスク半径方向の各位置に対する、ディスクと安定化部材との間のギャップの変化を示す。図19から判るように、ギャップは、ディスクの半径方向25〜58mmにわたって、繰り返し回数1回目にはディスク1の保持部1aにおける設定値0.1mmに近い値(40〜120μm)である。なお、設定値Cbdは、ディスク1のターンテーブル5による保持部1aの位置であるディスク半径方向15mmの位置で設定している。これに対し、高速回転停止を繰り返した後は、ディスク1の保持部1aにおける設定値Cbdは0.1mmとしているが、ディスク半径方向25mmの位置で、すでにギャップが0μmとなり、ディスク1と安定化部材30とが接触してしまった。
【0043】
一方、図1、2に示す本発明のディスク回転機構によるディスクの高速回転停止の繰り返し実験においては、高速回転停止を100回、1000回繰り返した後にも、図20に示すように、ディスクの半径方向のどの位置においても、第1回の高速回転停止時のギャップとほとんど差がなかった。
【0044】
この結果から分かるように、従来のディスク回転機構によるディスクの保持では、高速回転停止の繰り返しにより、可撓性のディスクのターンテーブル5による保持部1aの外周部であるディスク半径方向15mm位置と、ディスク半径方向25mmの間で回転時のディスク形状に大きな変化が起こっている。これに対し、本発明のディスク回転機構は、同じ動作を繰り返しても、ほとんど回転時のディスク形状が変化していない。なお、図示はしなかったが、ディスク1の片面に弾性部材を配置して剛体であるターンテーブル5とクランプ6によりディスク1を保持して、同様の検討を行ったが、この場合も、高速回転停止の繰り返しにより10%程度の明らかなギャップ減少が見られた。
【0045】
本発明のディスク回転機構の図1,2に示した形態以外の形態例を示す。図3〜5は、図1におけるC−C'断面の、図2とは異なった形態の断面図である。図3に示すディスク回転機構の安定化部材30の円筒状湾曲面の形態は、例えば図6に示すように、中央部に幅Wcfの平坦部30aを有し、左右に円筒状の湾曲凹面30bを形成している。なお、この安定化部材30は、図6(b)の正面図から判るように、図6(a)の正面図における図面の上下方向に対しては同じ高さである。この場合には、この中心母線よりもディスク回転方向の少し上流側に記録再生ヘッド4(ピックアップヘッド)を走査させることが好ましい。また、記録再生ヘッド4の位置は、ディスク回転中心を基準とした点対称の位置(180度逆側)にとることもでき、1枚のディスクに対して2つの記録再生ヘッド4を使用して転送速度の高速化を図ることも可能である。
【0046】
図4に示したディスク回転機構は、2種類の安定化部材を備えている。このディスク回転機構は、通常の安定化部材30とディスク1との間に第2の安定化部材31を備えている。第2の安定化部材31は、可撓性であり、例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド他の高分子フィルムにより構成することが可能である。可撓性安定化部材として機能させるために必要な厚みは、ポリカーボネイトの場合でおおよそ75〜300μmの範囲、ポリエチレンテレフタレートの場合でおおよそ50〜200μmの範囲である。また、金属箔によって構成することも可能である。例えば、30〜100μm厚程度のステンレス箔、銅箔等が好適である。第2の安定化部材31は、ディスク1と一体化して、ディスクカートリッジに収めることもできる。
【0047】
図5に示す形態は、安定化部材30がディスク1と共に回転するように配置されている。このような安定化部材の構成とすることもできる。追って詳述するが、このような形態のディスク回転機構においては、ディスク1は安定化部材30と一体化して、ディスクカートリッジに収めることもできる。
【0048】
本発明のディスク回転機構の具体的な構成を、実施形態例として図7〜11に示す。図7に示す第一の実施形態は、ディスク1を中心として構成したディスク組立体8とディスクドライブ装置20とからなる。第一の実施形態は、ディスク1の保持部1aのターンテーブル5側の面と、クランパ6のディスク保持面に弾性体7を配置し、スピンドル3へのディスククランプ時にディスク1が弾性体7により両面から保持される構成とするものである。ここでは、ディスク1に具備させた弾性体7上にハブ2を形成する形態を示したが、例えば、弾性体7を硬化後に弾性体となる弾性接着剤としてハブ2を接着する方法が好適である。なお、ハブ2をなくして、弾性体7とターンテーブル5が直接接する形態とすることも可能である。
【0049】
なお、ディスクドライブ装置20に記録再生ヘッドを装備すれば、本発明の記録再生装置となる。また、記録再生とは、情報の記録若しくは再生、又は記録と再生のいずれでもよい。
【0050】
第二の実施形態を図8に示す。第二の実施形態は、ディスク1の保持部1aのクランパ6側の面と、ターンテーブル5のディスク保持面5aに、弾性体7を具備させスピンドル3へのディスククランプ時にディスク1が弾性体7により両面から保持される構成とするものである。ここでは、ディスク1に具備させた弾性体7上にハブ2を形成する形態を示したが、例えば、弾性体7を硬化後にゴム状弾性体となる弾性接着剤としてハブ2を接着する方法が好適である。なお、ハブ2をなくして、弾性体7とディスククランパ6が直接接する形態とすることも可能である。
【0051】
第三の実施形態を図9に示す。第三の実施形態は、ディスク1の保持部1aの両面に弾性体7を具備させ、スピンドル3へのディスククランプ時にディスク1が弾性体7により両面から保持される構成とするものである。ここでは、ディスク1に具備させた弾性体7上にハブ2を形成する形態を示したが、例えば、弾性体7を硬化後にゴム状弾性体となる弾性接着剤としてハブ2を接着する方法が好適である。なお、ハブ2をなくして、弾性体7と、ターンテーブル5及びディスククランパ6が直接接する形態とすることも可能である。
【0052】
第四の実施形態を図10に示す。第四の実施形態は、ディスククランパ6とターンテーブル5のディスク保持面にゴム状弾性体を具備させ、スピンドル3へのディスククランプ時にディスク1が弾性体7により両面から保持される構成とするものである。
【0053】
ここでは、ディスク1を単独でドライブ装置20にローディングし駆動する形態を基本として記述したが、例えば、図11、12に示すように、ディスクカートリッジ11内にディスク1と弾性体7とクランパ6とを含むディスク組立体8を収納した状態で、ディスクドライブ装置20にローディングして駆動する形態としてもよい。本発明のディスク回転機構においては、弾性体7によりディスク1を両面から保持することが肝要である。
【0054】
なお、図11、12において、12はスピンドル3とディスクカートリッジ11のZ軸方向の相対位置Cbdの調整値を設定するためのカートリッジZ軸位置の位置決め機構、13は記録再生(ピックアップヘッド)4をディスク1にアクセスさせるための記録再生ヘッドアクセス用開口、14はスピンドル3をディスク組立体8に連結させるためのスピンドルアクセス用開口である。
【0055】
また、これまで説明したディスク回転機構においては、安定化部材30がディスクの下部に配置されていたが、本発明のディスク回転機構における安定化部材30は、ディスク1の上部に配置しても同様の効果がある。また、安定化部材30をディスク1の両側に配置してもよい。
【0056】
また、クランプ6はディスク1をターンテーブル5上に保持して、スピンドル3の駆動力をディスク1に伝達するために配置していたが、ディスク1をスピンドル3の駆動力を伝達可能なようにターンテーブル5上に保持できれば、必要ではない。例えば、ディスク1の保持部1aの一部、及びターンテーブル5のディスク保持部5aの対向する部分に磁性体を配置して、ディスク1とターンテーブル5を磁力により結合して保持してもよい。
【0057】
次に、第五の実施形態として、ディスク1をターンテーブルとクランプの間に固定して挟持しない実施形態例を示す。図13に示すようにディスク1にハブ2を配置し、ディスク1の保持部1aに中心孔40と複数の開口41を形成する。回転中心の中心孔40はスピンドルとの嵌合用であり、他の開口41は少なくとも2つある。図14に示すディスク1の場合は、回転中心の中心孔40がない。図15に示すディスク1の場合は、ハブ2がなく、ディスク1の保持部に、ディスク1と同心円状に2列に、それぞれの列に6個の円形の開口41を配置する構成としている。このように、開口41の形状と配置を工夫すれば、ハブ2は必ずしも必須としなくてもよい。例えば、ディスク1の保持部に、ディスク1と同心円状に1〜3列に、それぞれの列に3〜12個の円形の開口41を配置する構成などが考えられる。
【0058】
ターンテーブル5上には、図16に示すように、スピンドル3に対応するセンターボス42と複数の突起43とが形成されている。ディスク1をターンテーブル5上に保持する場合は、中心孔40をセンターボス42に、複数の開口41を複数の突起43に嵌合する。図17は、ディスク1をターンテーブル5上に保持した状態を示している。図17においては、上部にクランプ6を配置しているが、このクランプ6は、ディスク1と密着していない。すなわち、ディスク1は、ターンテーブル5とクランプ6に挟まれているが、上下方向にわずかに(例えば0.1mm程度)移動可能である。また、磁力等によりディスク1をターンテーブル5上に吸引できればクランプ6はなくてもよい。なお、図14に示したディスクを用いる場合には、ターンテーブル5はセンターボス42のない形態のものを用いればよい。
【0059】
図17に示すディスク回転機構は、この状態でディスク1がクランパ6とターンテーブル5から上下の応力を受けずにターンテーブルに保持される。ターンテーブル5を回転させると、ターンテーブル5の突起43とディスク1の開口41を介して、ディスク1に回転駆動力が伝達され、ディスク1が回転する。
【0060】
この状態で高速回転させると可撓性のディスク1が、遠心力により放射方向に伸びるが、ディスク1には、従来のディスク回転機構のような剛体のターンテーブルとクランパでディスク1の保持部1aを固定して保持する場合に発生する挟持応力は作用しない。このため、ディスク1は変形が固定されることなく、高速回転後に低速回転に減速した場合においても、ディスク自体の弾性により、容易に元の状態にもどることができる。特に、回転速度を変化させたときに発生する、回転加速度に伴うディスク1の保持部1a外周部への応力集中がない。この為、ディスク1の保持部1a外周部近辺の歪みが発生し難い。
【0061】
この実施形態におけるディスク1の開口41は突起43よりも十分大きくしておく(少なくとも20μm以上のクリアランス)ことが好ましい。こうすると、高速回転時のディスクが放射方向に伸びた状態においても、これら形状の不適合により、ディスク内周部がひずむ不具合を解消できる。
【0062】
ハブ2の材質はディスク1と同じ材料あるいは、ヤング率が同等の材料で構成することが望ましい。例えば、ディスク1を0.1mm厚のポリカーボネイト樹脂で構成し、厚み1mmの同じポリカーボネイト樹脂製のハブ2をとりつけるなどの方法があげられる。また、ハブ2をステンレス等の剛体で構成し、これとディスク1の間に、前述の実施形態1〜4で採用したゴム状弾性体を活用するなどの方法によっても同様の効果が得られる。さらに、すでに説明したように、開口41の形状と配置を工夫すれば、ハブ2は必ずしも必須としない場合もある。
【0063】
以下、本発明のディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法について実施例に基づいてより具体的に説明する。
(実施例−1)
実施例−1は、図8に示した第二の実施形態に示す構成のディスク回転機構で、ディスク組立体8をディスクドライブ装置20にローディングし、表1に示すパターンでディスク回転数と設定値Cbdを7ステップで変化させる動作を1サイクルとして、繰り返し試験を行った。
【0064】
但し、ディスクドライブ装置20の安定化部材30は、ディスク1との対向面を図6に示す湾曲凹面とし、ステンレス材で形成した。安定化部材30の具体的形状は、外径φ130mm、内径φ35mm、中心母線付近の平坦部幅Wcf30mm、円筒状湾曲凹面の曲率半径R1000mmとした。ターンテーブル5上には、厚さ0.05mmのシリコーンからなる円環状の弾性体7を設置した。
【0065】
ディスク組立体8は、ディスク1の母材には直径120mm,厚さ80μmのポリカーボネイト製シートを用いた。まず、前記シートに、熱転写でスタンパのピッチ0.6μm、幅0.3μmのグルーブ(厚さ15μm)を転写し、その後、スパッタリングでシート/Si3N4 10nm/ZnS−SiO2 25nm/AgInSbTeGe 10nm/(ZrO2−Y2O3)−SiO2 7nm/Ag反射層 120nmの順番に成膜した。情報記録領域は内周直径50mmから外周直径116mmまで(半径25mm〜58mm)の範囲に設定した。その後、UV樹脂をスピンコートし、紫外線照射で硬化させて厚さ10μmの透明保護膜を形成した。また、逆側の面には10μm厚のハードコートを施した。こうして作製したディスク1の中心部の片面(情報記録層形成側と逆側)に、外径φ29mm,内径φ15mm、厚み0.1mmのステンレス箔製のハブ2を弾性接着剤(厚み0.05mm)により取り付けた。この組み付けは、各部材を同軸に合わせた上で行った。
【0066】
上述のディスクドライブ装置20にディスク組立体8を配置して、ディスク1をターンデーブル5に保持して繰り返し試験を行った。繰り返し試験においては、スピンドル3の回転数(ディスク1の回転数と同じ)と、ターンテーブル5上の弾性体7の表面(ディスク1の保持部1aのターンテーブル5側表面に相当する。)と、安定化部材30表面平坦部30a(Wcf部)の間のディスク回転軸方向の設定値Cbdを表1に従って管理している(図6参照)。100サイクル繰り返したときの回転数4000rpm、設定値Cbd0.1mmにおけるディスク1の半径方向36mm位置のギャップを、第1サイクルの回転数4000rpm、設定値Cbd0.1mmにおけるディスク1の半径方向36mm位置のギャップと較べて、その減少率を求めた。減少率が0%であれば、100サイクル繰り返し試験後にもディスク1は変形がなく、100%であれば、ディスク1は安定化部材30の表面に接触していることになる。結果を表2に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
(実施例−2)
実施例−2は、図9に示す第三の実施形態のディスク回転機構によって、ディスク組立体8をドライブ装置20にローディングし、実施例−1と同様に、表1に示すパターンでディスク回転数と設定値Cbdを変化させる動作を100サイクル繰り返し行った。安定化部材30には実施例−1と同様のものを用いた。
【0070】
ディスク組立体8は、以下の手順で準備した。ディスク1には、実施例−1と同じ構成のものを用いた。このディスク1の中心部の両面に、外径φ29mm,内径φ15mm、厚み0.1mmのステンレス箔製のハブ2を弾性体7となる弾性接着剤(厚み0.05mm)により取り付けた。この組み付けは、各部材を同軸に合わせた上で行った。なお、ディスクドライブ装置20は、ターンテーブル5上に弾性体7を配置していない。繰り返し回転試験は、実施例−1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0071】
(実施例−3)
実施例−3において、図10の第四の実施形態に示す構成で、ディスク組立体8をドライブ装置20にローディングした。安定化部材30には実施例−1と同様のものを用いた。ターンテーブル5の上面、及びディスククランパ6の下面には、厚さ0.20mmのシリコーンからなる円環状の弾性体7を設置した。また、ディスク組立体8には、実施例−1のディスク1を弾性体7を配置しないで用いた。繰り返し試験は、上述のディスク回転機構を用いて、実施例−1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0072】
(実施例−4)
実施例−4において、図9の第三の実施形態に示すディスクドライブ装置20をベースに、図16に示す形態のターンテーブル5を用いて、図13に示す形態のディスク1を、図17に示す保持状態で回転駆動し、実施例−1と同様に、表1に示すパターンでディスク回転数と設定値Cbdを変化させる動作を繰り返し行った。
【0073】
安定化部材30には実施例−1と同様のものを用いた。ディスク1には、実施例−1と同じ材料構成のものを用いた。このディスク1の中心部の片面に、外径φ29mm,内径φ15mm、厚み1mmのポリカーボネイト製のハブ2を取り付け、中心には直径8mm中心孔40を、その周りに一辺8mmの正三角形の開口41を3個を中心から点対称となるように形成した。このディスク1の組み付けは、各部材を同軸に合わせた上で行った。回転駆動において、開口41に対応する回転伝達用の突起43の高さは1.15mmとし、これにクランパ6を突き当てた状態で、ディスク組立体8をターンテーブル5上にセットした。ターンテーブル5とクランパ6とで挟み込んだ1.15mmの間に、総厚1.10mmのディスク組立体8がセットされ、回転軸方向に0.05mmの隙間が形成される。繰り返し試験は、上述のディスク回転機構を用いて、実施例−1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0074】
(比較例−1)
比較例−1において、図18に示す構成で、表1に示すパターンでディスク回転数とCbd設定値を変化させる動作を繰り返し行った。
【0075】
安定化部材30には実施例−1と同様のものを用いた。ターンテーブル5とクランパ6はステンレス材により形成した。また、ディスク1には実施例−1と同様のものを用いた。繰り返し試験は、上述のディスク回転機構を用いて、実施例−1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0076】
(比較例−2)
比較例−2において、図18に示す構成で、安定化部材30には実施例−1と同様のものを用い、ターンテーブル5とクランパ6はステンレス材とした。また、ディスク1には実施例−1と同様のものを用いた。
【0077】
上述のディスク回転機構を用いて、表1に示すパターンのStep4の回転数を15000rpmから10000rpmに変更した以外は、実施例−1と同様の条件で、繰り返し試験を実施した。結果を表2に示した。
【0078】
(比較例−3)
比較例−3においては、実施例−1の構成から、ディスク組立体8に具備させたハブ2と弾性体7を除いて(ディスク1の下側の面にのみ弾性体7が配置される構成)、実施例−1と同様の条件で、繰り返し試験を実施した。結果を表2に示した。
【0079】
比較例−1においては、100回の繰り返し駆動を行った後に、ディスク1が安定化部材30と接触・摺動し、スピンドルが停止する不具合が発生した。この現象は、繰り返し動作を経るに従ってディスク1の内周部に蓄積・増大した歪みが原因となり、低速回転条件においてディスク1と安定化部材30が近接したために生じた。この近接状況を、図19に安定化部材とディスクのギャップとして表した。初期の駆動においては、一定のギャップを保って駆動していたディスクが、繰り返し動作後に安定化部材に近づきディスク半径25mm,52mm付近の2カ所において接触していることが明確に確認できる。これはディスク回転数4000rpmでの結果である。
【0080】
例えば、実施例−3においては、図20に示すような結果となった。繰り返し回数1000回においても、比較例−1で見られたような、繰り返し回数を経たディスクの安定化部材への近接は見られず、繰り返し動作を通して、終始安定した駆動が実現できた。
【0081】
図18,20において、ディスク半径位置36mでの、繰り返し動作100回後のギャップの減少率が表2に示してある。この指標は、繰り返し動作においてディスク1と安定化部材30が接触することなく安定駆動できることを示すもので、この値が小さいほど好ましい。
【0082】
本発明を適用した実施例1〜4においては、いずれの場合においても減少率5%未満の良好な結果が得られた。一方、比較例−1においては、減少率53%と飛び抜けて高く、図18に示すディスク回転機構の不具合を明確に示す結果となった。
【0083】
比較例−3においては、ディスクの片面にゴム状弾性体を配置することにより、前記比較例−1よりも改善(53%→21%)されることは明確であるものの、その減少率は無視できない大きさであった。この構成は、繰り返し動作が少ない場合の使用に限られ、実用性は低いものと判断された。
【0084】
比較例−2は、ディスク回転数を10000rpm以下に限定した場合の例であり、その減少率は10%と比較的低い値にとどまっている。しかし、実用に耐えるレベルではなかった。このことは、前記した不具合が、これまでのディスクにおいて対象としていなかった10000rpmを超える回転数における特有な現象であることを示しており、特許文献4,5に示すような発明を前提とした場合に新たに出現してきた、まったく新規の課題であることを示している。
【0085】
このように、本実施形態,本実施例では、可撓性を有するディスクを安定化部材により空気安定化させて回転駆動させるシステムにおいて、10000rpmを超える高速でディスクを回転駆動した場合においても、ディスク内周部に歪みが蓄積することなく、この歪みの発生によって情報を記録したディスクにダメージを与えることのない、ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、可撓性を有するディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、ディスク組立体、ディスクカートリッジに適用され、本発明が対象とするディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のディスク回転機構の平面図
【図2】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(1)
【図3】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(2)
【図4】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(3)
【図5】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(4)
【図6】本発明のディスク回転機構の平面図(a)及び正面図(b)
【図7】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の分解断面図(1)
【図8】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の分解断面図(2)
【図9】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の分解断面図(3)
【図10】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の分解断面図(4)
【図11】ディスクシステムの分解断面図
【図12】ディスクカートリッジ
【図13】本発明のディスクの平面図(1)
【図14】本発明のディスクの平面図(2)
【図15】本発明のディスクの平面図(3)
【図16】ターンテーブルのディスク保持部とディスクの保持部の関係図
【図17】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(5)
【図18】従来のディスク回転機構の断面図
【図19】ディスクの半径方向位置とギャップとの関係図(1)
【図20】ディスクの半径方向位置とギャップとの関係図(2)
【符号の説明】
【0088】
1:ディスク
1a:保持部
2:ハブ
3:スピンドル(スピンドル)
4:記録再生ヘッド
5:ターンテーブル
5a:ディスク保持部
6:クランパ(ディスククランパ)
7:弾性体
8:ディスク組立体
11:ディスクカートリッジ
12:ディスクカートリッジ位置決め機構
13:記録再生ヘッドアクセス用開口
14:スピンドルアクセス用開口
20:ディスクドライブ装置
30:安定化部材(スタビライザ)
30a:平坦部
30b:円筒状湾曲凹面
30c:中心母線
31:第2の安定化部材
31:孔部
40:中心孔
41:開口
42:センターボス
43:突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が始まるなど、大容量のデジタルデータを記録することが情報記録媒体に求められている。例えば、光ディスクの分野においては、情報の記録再生のために光ディスクに集光される光スポット径を小さくすることが、高密度化のための基本的な方法の一つに挙げられる。なお、以下において光ディスクを代表として説明するが、本発明が対象とする記録再生装置に用いられるディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録媒体すべてを対象にし、特に光ディスクに限定するものではない。
【0003】
レーザーを絞り込んで高密度の記録再生を行う上では、ディスク回転時のディスク面の振れ、すなわち面振れが小さいことが重要である。記録情報の大容量化に伴いデータ転送レートの高速化が求められているが、例えば、放送用HDTVの映像録画における転送レートは、250Mbps以上が一つの目安と言われている。この転送レートをディスクの記録面全面での実現する場合、内周部での転送レートを確保するために、ディスクは15000rpm以上の高速回転が必要となる。このような高速回転においても、記録再生時のディスク面へのフォーカスサーボ追従の観点から、高速回転に伴うディスクの面振れを小さくすることが必要である。
【0004】
剛体のディスクの振動による面振れ対策としては、従来から、弾性体によりディスクをターンテーブル上に保持して回転させる方法が知られている。例えば、特許文献1〜3に開示されたディスクの振動防止装置がある。これらの振動防止装置では、通常用いられている剛体材料製のハードディスクを、弾性材料を介してターンテーブル(スピンドル)に固定している。そして、弾性材料により、ハードディスクを回転させた場合の振動(共振)の抑制や、ディスク保持部のゴミの挟み込みによる結合不良による振動を防止している。しかし、剛体材料製のハードディスクでは、10000RPMを超えるような高速回転の記録再生には不向きである。
【0005】
高速回転に適するディスクとして可撓性を有するディスクがある。可撓性を有するディスクの高速回転に伴う面振れ対策としては、ディスクを高速回転させたときの空気力学的な安定化手段を用いる方法が提案されている。可撓性を有するディスクにおいては、高速回転させると、剛体材料製のディスクのような共振による面振れではなく、可撓性でシート状のディスクの高速回転にともなう波打ち現象のような面振れが起こり易い。この面振れに対しては、空気力学的な安定化手段を用いる方法が知られている。例えば、特許文献4〜6に開示された安定化部材(スタビライザー)がある。特許文献4〜6に開示された記録再生装置によれば、可撓性のディスクに対し、ディスク面周辺に配置する安定化部材(スタビライザー)の形態を工夫することにより、ディスクと安定化部材との空気力学的な作用を利用してディスク面を安定化させ、安定したディスク面上の位置での情報の記録再生を実現可能としている。
【0006】
具体的に、特許文献4、5に開示されている情報の記録再生装置においては、平面状の安定化部材を可撓性を有する記録ディスク面に作用させる形態、あるいは凹状に湾曲した安定化部材をディスク面に作用させる形態としている。そして、安定化部材と記録ディスク面との間の距離を例えば0.05〜0.30mmに調整することにより、10000rpmを超える高速回転時においてもディスクの回転駆動を安定化することができるとしている。また、特許文献6に開示されている情報の記録再生装置おいては、ハードディスクと安定化板の間に任意の厚みのスペーサーを挿入し、内周に形成した空気導入孔から流れ込む空気流によりディスクの振動を抑制する方法がとられている。これらの方法においては、記録ディスクが可撓性を有し、かつ安定化部材によるディスク振動の抑制効果が得られることから、これまでの剛体を用いたCD,DVD,BD,HD−DVD等の記録ディスクでは実用化が困難であった10000rpm以上の高速回転域で駆動できるポテンシャルを有する。実際に、特許文献4〜5では15000rpm付近までの高速駆動についての記述がなされている。
【特許文献1】特開平6−28752号公報
【特許文献2】特許第2882379号公報
【特許文献3】特開平5−54502号公報
【特許文献4】特開2006−107699号公報
【特許文献5】特開2007−149311号公報
【特許文献6】特開2006−344291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実用的には、可撓性を有する記録ディスクを、10000rpmを越える高速で回転させて記録再生をする記録再生システムは、これまでに前例がなく、実用上の課題は未知の領域にあった。発明者らは、特許文献5に開示された記録再生システムを参考にして図18に示すようなディスク回転機構を構成し、高速駆動における可撓性を有するディスクの実用化の課題について検討した。その結果、可撓性を有するディスク1を、スピンドル3に接続しているターンテーブル5とこれと対向するクランパ6により挟み込んで固定した状態で、10000rpmを越える高速回転で駆動すると、高速回転時においてディスク1の内周部のターンテーブル5による保持部付近に歪みが発生し、ディスク回転数の上昇と下降、あるいは安定化部材30の近接と離脱(安定化部材30は、ディスク回転数の変化に伴って近接、離脱させている。)の繰り返しにより、その歪みが蓄積しかつ増大するという問題が発生した。蓄積されたディスク1の歪みにより、低速回転域での駆動時に、ディスク1と安定化部材30が摺動することがある。そして、ディスク1と安定化部材30が接触・摺動すると、大きなディスクの面振れが発生し、記録ヘッドによる記録再生の信号品質を劣化させる。さらに、回転・停止の動作の繰り返すことにより、ディスク1が安定化部材30に接触し、ディスク1の回転が停止してしまう、といった致命的な問題を引き起こす原因ともなる。
【0008】
そこで、特許文献1あるいは2に開示されているように、ターンテーブルとディスクの間に弾性体を介在させて、面ぶれを抑えることを検討した。しかし、特許文献1、2のようにディスクのいずれか片面のみを弾性材により固定しても、高速回転におけるディスクの歪みを効率よく低減するには至らなかった。また、特許文献3に示すように、円環状の弾性材により両面からディスクを固定しても、弾性体とディスクの接触面が円環の細い線状となり、表裏における弾性体とディスクの接触位置がわずかずれただけでも、かえってディスクの歪みを大きくしてしまった。このように剛性材料製のハードディスクの回転時の共振を抑制するための構成を、高速回転、停止の繰り返しを想定した構成である可撓性を有する(剛性のない)ディスク回転機構に採用しても、可撓性を有するディスクの課題である、高速回転時のディスク内周部の歪みを低減することはできなかった。
【0009】
本発明の目的は、前記課題を踏まえ、可撓性を有するディスクを10000rpmを超える高速で回転した場合においても、ディスク内周部に歪みが蓄積することなく、長期間にわたって面振れを起こさず正常に回転駆動できる、ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明者等は、以下の発明を完成した。
本発明は、可撓性を有し情報を記録可能なディスクと、前記ディスクを保持するターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させる安定化部材を具備したディスク回転機構であって、前記スピンドルの回転を、前記ターンテーブルを介して前記ディスクに伝達する回転伝達機構と、前記ディスクを回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構とを備えたことを特徴とするディスク回転機構である。
【0011】
好ましい本発明は、前記ディスクの前記ターンテーブルとの接触面には、弾性体が配置されていることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0012】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルは、前記ディスクを保持するディスク保持部に複数の突起を備え、前記ディスクは、前記突起に嵌合する開口を有することを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0013】
好ましい本発明は、前記ディスクを介して前記ターンテーブルと対向してディスクを挟持するクランパを備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0014】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルは、ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0015】
好ましい本発明は、前記ディスクは、ターンテーブルとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0016】
好ましい本発明は、前記クランパは、ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0017】
好ましい本発明は、前記ディスクは、クランパとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記ディスク回転機構である。
【0018】
本発明は、可撓性を有し情報を記録可能なディスクであって、ターンテーブルに保持される保持部の両方の面のうち少なくとも一方の面に弾性体を備えることを特徴とするディスクである。
【0019】
好ましい本発明は、前記弾性体は、ゴム又は接着剤の硬化物からなることを特徴とする前記ディスクである。
【0020】
本発明は、可撓性を有し情報を記録可能なディスクであって、ターンテーブルに保持される保持部に複数の開口を有することを特徴とするディスクである。
【0021】
好ましい本発明は、前記保持部に、ハブを備えることを特徴とする前記ディスクである。
【0022】
本発明は、可撓性を有するディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ターンテーブルに保持したディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置であって、前記スピンドルの回転を、前記ターンテーブルを介して前記ディスクに伝達する回転伝達機構と、前記ディスクを回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構を備えることを特徴とする記録再生装置である。
【0023】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルは、前記ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする前記記録再生装置である。
【0024】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルと共に前記ディスクを保持するクランパを備え、前記クランパは前記ディスクとの接触面に弾性体を備えていることを特徴とする前記記録再生装置である。
【0025】
好ましい本発明は、前記ターンテーブルは、前記ディスクを保持するディスク保持部に複数の突起を備えていることを特徴とする前記記録再生装置である。
【0026】
本発明は、記録媒体であるディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置の前記ターンテーブル上に、可撓性を有するディスクを、弾性体を介して配置するディスク配置工程と、前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクを前記スピンドルにより回転させるディスク回転工程と、回転している前記可撓性を有するディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生行程とを備えることを特徴とする記録再生方法である。
【0027】
好ましい本発明は、前記ディスク配置工程は、前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクの上に、前記ターンテーブルとともにディスクを保持するクランパを、弾性体を介して配置する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の記録再生方法である。
【0028】
本発明は、記録媒体であるディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置の前記ターンテーブル上に、可撓性を有するディスクを配置するディスク配置工程と、前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクを前記スピンドルにより回転させるディスク回転工程と、回転している前記可撓性を有するディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生行程とを備える記録再生方法であって、前記ディスク配置工程において、前記可撓性を有するディスクに形成された開口に前記ターンテーブル上の突起を嵌合して、前記可撓性を有するディスクをターンテーブル上に保持する工程を含むことを特徴とする記録再生方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、可撓性を有するディスクを10000rpmを超える高速で回転した場合においても、ディスク内周部に歪みが蓄積することなく、長期間にわたって面振れを起こさず正常に回転駆動できる、ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施するための最良の形態を必要に応じて図面を参照にして説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明の好ましい形態における例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0031】
図1は、本発明のディスク回転機構を表す平面図である。図2は、図1におけるC−C'断面の断面図である。図1及び図2において、1は可撓性を有する記録媒体であるディスク(本発明において、ディスクは、光ディスクを想定して説明するが、光ディスクに限らないで、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録媒体すべてを対象にしている。)であり、1aはディスク1を後述のターンテーブル5に保持する保持部である。2はハブ、3はスピンドル(スピンドルモータを含んでもよい。)である。4は、ディスク1の半径方向に移動してディスク1に対して光ビームを集光させ、情報の記録再生処理を行うためディスク1に対し動線Rに沿って光走査を行う記録再生手段である再生処理ヘッド(ピックアップ)である。5は、スピンドル3の回転軸に固定されたディスク1を保持してスピンドル3の回転をディスク1に伝達するターンテーブル、5aはターンテーブルのディスク保持部、6はディスク1をターンテーブル5上に保持させるためのクランパ(ディスククランパ)である。7は円環状の厚みを規定したゴム状の弾性体でありディスク1の保持部1aの両側にある。このディスク回転機構においては、ターンテーブル5と弾性体7とクランパ6とが回転伝達機構兼ディスク保持機構にあたる。
【0032】
安定化部材30の形態としては、図3に示すC−C'断面図のように、ディスク1に対向する面がC−C'方向(図の横方向)にのみ湾曲した円筒状凹面や、この逆の円筒状凸面としてもよい。また、安定化部材30のディスク1に対向する面は、すり鉢状の凹面や、これを逆転させたすり鉢状の凸面といった様々な形態が考えられる。
【0033】
図4に示すC−C'断面図のように、可撓性安定化部材31とディスク1を連結させた構成とし、共に回転させた状態で、ディスク1を安定駆動させる形態も本発明の対象とするところである。この形態においては、上述の安定化部材30の他に、第2の可撓性安定化部材31を備えている。第2の可撓性安定化部材31は、内周部の任意円周上に孔部32を複数個形成している。第2の可撓性安定化部材31はディスク1と連結されており、ディスク1と共に回転する状態で、孔部32から流入する空気流がディスク1の安定化に有効に作用する。
【0034】
さらには、図5に示すC−C'断面図のように、安定化部材30をディスク状の剛体により形成し、この安定化部材30とディスク1を共に回転させる形態としてもよい。この形態においても、安定化部材30とディスク1を連結して共に回転させた状態で、内周部の任意円周上に複数個形成した孔部32から導入される空気流がディスク1の安定化に有効である。なお、安定化部材は上述の形態に限るものではない。
【0035】
図1,2に示した形態のディスク回転機構を例に、ディスク1を安定して回転駆動させる動作について説明する。図2に示すように、ディスク1は、弾性体7を介してターンテーブル5とクランパ6によって、ディスク内周部を保持され、ターンテーブル5と同軸で結合しているスピンドル3の駆動力によって回転する。ディスク1は、回転中は安定化部材30の対向する表面に沿ってほぼ水平に、面振れしないで安定して回転する。例えば、図2に示す形態において、所定の安定化状態が得られる条件は、ディスク1の中央部である保持部1aの下面と、安定化部材30の中央部付近の表面との間に設定するディスク回転軸方向の距離の設定値Cbdを0.1〜0.2mmとすることである。なお、この設定値Cbdの設定条件はディスク1の構造により異なり、これに限るものではない。
【0036】
なお、このディスク回転機構においてはスピンドル3の回転を確実にディスク1に伝達(弾性体によりターンテーブル5とディスク1を適切に連結)する必要があり、この回転伝達機構を実現しつつ、ディスク1の保持部1aにおける伸縮を可能に保持するディスク保持機構の一つの形態が、ディスク1の上下の弾性体によりディスクを挟持する図1〜5の構成である。
【0037】
弾性体とは、ディスクとターンテーブルとをせん断方向に変位させた場合に弾性を発揮して変形し、その弾性により可逆的に元の状態に戻ることのできる弾性体であればよい。弾性体を形成する弾性材料の例としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系ゴム(テフロン(登録商標)ゴムなど)、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)等のゴム、及びシリコーン変性ポリマーなどをベースとした接着剤の硬化物等の弾性材料が挙げられる。せん断弾性率で表すと、およそ10〜100MPa程度の弾性材料が適している。
【0038】
この弾性材料を実際に弾性体7として用いる構成においては、前記せん断応力に対して変形量を確保する必要があり、弾性体7の厚さが必要になる。弾性体の厚さは、5〜300μm、好ましくは10〜100μmとすることが望ましく、例えば、20000rpmを超える高速回転での駆動においては、ディスク内周部の保持部1aの外周端(保持部1aの外周径に相当)におけるディスクの伸び変形が、およそ20μm(PCを基材とした場合)になることから、弾性体の厚さは、少なくともその2倍の40μmの厚さとすることが好適である。なお、この弾性体の厚さは、例えば図2におけるディスクと安定化部材30との設定値Cbdに影響するため、その厚さ管理が重要であることは言うまでもない。また、ディスクの表裏に配置するゴム状弾性体の厚さは同一とすることが好ましい。
【0039】
以下に、上記の構成のディスク回転機構を含む記録再生装置による記録再生を想定した回転駆動動作の代表的な手順を図1,2を参照にしながら説明する。
(1)ディスク1と安定化部材30の設定値Cbdを予備の設定値(例えば2mm)に設定して、ディスク1の回転を予備回転数(例えば4000rpm)まで加速する。
(2)ディスク1の回転数が予備回転数に達した時点で、設定値Cbdを所定の設定値(例えば0.1mm)に調整する。
(3)ディスク1の回転を所定の回転数(例えば15000rpm)まで加速する。
(4)ディスク1から図示していないピックアップヘッドにより記録又は再生を行う。
(5)記録又は再生が終了したら、ディスク1の回転数を予備の設定値(例えば4000rpm)まで減速する。
(6)安定化部材30をディスク1から遠ざけ、予備の設定値(例えば2mm)とする。
(7)スピンドル3を停止させる。
【0040】
図1,2に示した本発明のディスク回転機構は、ディスク1の内周部である保持部1aの両側を弾性体7を介してターンテーブル5とクランプ6でディスク1を挟持している。この為、ディスク1を高速回転させたときに、ディスク1の保持部1aには遠心力による応力が発生する。また、ディスク1の回転数の変化によってディスク1の保持部1aの外周部付近にはねじれによる応力も発生する。しかし、ディスク1の両側を弾性体7により保持しているので、遠心力やねじれによる応力は、弾性体7及び保持部1a全体に分散される。この応力分散により、ディスク1の保持部1aの外周部付近に歪みが発生しにくくなり、本発明のディスク回転機構においては、ディスク1の高速回転、停止を繰り返すことができる。
【0041】
一方、図18に示すような、従来のディスク回転機構においては、ディスク1の保持部1aを剛体のターンテーブル5とクランプ6でディスク1を固定するように挟持している。この状態で、本発明のディスク回転機構と同様にディスク1の高速回転、停止を繰り返すと、ディスク1の保持部1aの外周部に応力が集中し、保持部1aの外周部のみが上述の遠心力やねじれを引き起こす応力に対応することになる。そうすると、ディスク1の保持部1aの外周部付近には、遠心力やねじれ応力による歪みが発生しやすく、駆動停止の繰り返しによってディスク1は、保持部1aの外周部付近の物性や形状が変化してしまうことになる。そして、ディスク1は回転に伴って異常な面振れを起こしやすくなる。安定化部材30は、このような歪みによるディスクの面振れも抑制する機能を持っているが、回転数が10000rpmを超えるような高速回転の繰り返しを続けると、ディスク1は安定化部材30の効果だけでは使用に耐えなくなる。
【0042】
この現象を実験的に確かめた結果を図19、20に示す。図19は、図18に示した従来のディスク回転機構によるディスクの高速回転停止の繰り返し実験における、4000rpm時のディスク半径方向の各位置に対する、ディスクと安定化部材との間のギャップの変化を示す。図19から判るように、ギャップは、ディスクの半径方向25〜58mmにわたって、繰り返し回数1回目にはディスク1の保持部1aにおける設定値0.1mmに近い値(40〜120μm)である。なお、設定値Cbdは、ディスク1のターンテーブル5による保持部1aの位置であるディスク半径方向15mmの位置で設定している。これに対し、高速回転停止を繰り返した後は、ディスク1の保持部1aにおける設定値Cbdは0.1mmとしているが、ディスク半径方向25mmの位置で、すでにギャップが0μmとなり、ディスク1と安定化部材30とが接触してしまった。
【0043】
一方、図1、2に示す本発明のディスク回転機構によるディスクの高速回転停止の繰り返し実験においては、高速回転停止を100回、1000回繰り返した後にも、図20に示すように、ディスクの半径方向のどの位置においても、第1回の高速回転停止時のギャップとほとんど差がなかった。
【0044】
この結果から分かるように、従来のディスク回転機構によるディスクの保持では、高速回転停止の繰り返しにより、可撓性のディスクのターンテーブル5による保持部1aの外周部であるディスク半径方向15mm位置と、ディスク半径方向25mmの間で回転時のディスク形状に大きな変化が起こっている。これに対し、本発明のディスク回転機構は、同じ動作を繰り返しても、ほとんど回転時のディスク形状が変化していない。なお、図示はしなかったが、ディスク1の片面に弾性部材を配置して剛体であるターンテーブル5とクランプ6によりディスク1を保持して、同様の検討を行ったが、この場合も、高速回転停止の繰り返しにより10%程度の明らかなギャップ減少が見られた。
【0045】
本発明のディスク回転機構の図1,2に示した形態以外の形態例を示す。図3〜5は、図1におけるC−C'断面の、図2とは異なった形態の断面図である。図3に示すディスク回転機構の安定化部材30の円筒状湾曲面の形態は、例えば図6に示すように、中央部に幅Wcfの平坦部30aを有し、左右に円筒状の湾曲凹面30bを形成している。なお、この安定化部材30は、図6(b)の正面図から判るように、図6(a)の正面図における図面の上下方向に対しては同じ高さである。この場合には、この中心母線よりもディスク回転方向の少し上流側に記録再生ヘッド4(ピックアップヘッド)を走査させることが好ましい。また、記録再生ヘッド4の位置は、ディスク回転中心を基準とした点対称の位置(180度逆側)にとることもでき、1枚のディスクに対して2つの記録再生ヘッド4を使用して転送速度の高速化を図ることも可能である。
【0046】
図4に示したディスク回転機構は、2種類の安定化部材を備えている。このディスク回転機構は、通常の安定化部材30とディスク1との間に第2の安定化部材31を備えている。第2の安定化部材31は、可撓性であり、例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド他の高分子フィルムにより構成することが可能である。可撓性安定化部材として機能させるために必要な厚みは、ポリカーボネイトの場合でおおよそ75〜300μmの範囲、ポリエチレンテレフタレートの場合でおおよそ50〜200μmの範囲である。また、金属箔によって構成することも可能である。例えば、30〜100μm厚程度のステンレス箔、銅箔等が好適である。第2の安定化部材31は、ディスク1と一体化して、ディスクカートリッジに収めることもできる。
【0047】
図5に示す形態は、安定化部材30がディスク1と共に回転するように配置されている。このような安定化部材の構成とすることもできる。追って詳述するが、このような形態のディスク回転機構においては、ディスク1は安定化部材30と一体化して、ディスクカートリッジに収めることもできる。
【0048】
本発明のディスク回転機構の具体的な構成を、実施形態例として図7〜11に示す。図7に示す第一の実施形態は、ディスク1を中心として構成したディスク組立体8とディスクドライブ装置20とからなる。第一の実施形態は、ディスク1の保持部1aのターンテーブル5側の面と、クランパ6のディスク保持面に弾性体7を配置し、スピンドル3へのディスククランプ時にディスク1が弾性体7により両面から保持される構成とするものである。ここでは、ディスク1に具備させた弾性体7上にハブ2を形成する形態を示したが、例えば、弾性体7を硬化後に弾性体となる弾性接着剤としてハブ2を接着する方法が好適である。なお、ハブ2をなくして、弾性体7とターンテーブル5が直接接する形態とすることも可能である。
【0049】
なお、ディスクドライブ装置20に記録再生ヘッドを装備すれば、本発明の記録再生装置となる。また、記録再生とは、情報の記録若しくは再生、又は記録と再生のいずれでもよい。
【0050】
第二の実施形態を図8に示す。第二の実施形態は、ディスク1の保持部1aのクランパ6側の面と、ターンテーブル5のディスク保持面5aに、弾性体7を具備させスピンドル3へのディスククランプ時にディスク1が弾性体7により両面から保持される構成とするものである。ここでは、ディスク1に具備させた弾性体7上にハブ2を形成する形態を示したが、例えば、弾性体7を硬化後にゴム状弾性体となる弾性接着剤としてハブ2を接着する方法が好適である。なお、ハブ2をなくして、弾性体7とディスククランパ6が直接接する形態とすることも可能である。
【0051】
第三の実施形態を図9に示す。第三の実施形態は、ディスク1の保持部1aの両面に弾性体7を具備させ、スピンドル3へのディスククランプ時にディスク1が弾性体7により両面から保持される構成とするものである。ここでは、ディスク1に具備させた弾性体7上にハブ2を形成する形態を示したが、例えば、弾性体7を硬化後にゴム状弾性体となる弾性接着剤としてハブ2を接着する方法が好適である。なお、ハブ2をなくして、弾性体7と、ターンテーブル5及びディスククランパ6が直接接する形態とすることも可能である。
【0052】
第四の実施形態を図10に示す。第四の実施形態は、ディスククランパ6とターンテーブル5のディスク保持面にゴム状弾性体を具備させ、スピンドル3へのディスククランプ時にディスク1が弾性体7により両面から保持される構成とするものである。
【0053】
ここでは、ディスク1を単独でドライブ装置20にローディングし駆動する形態を基本として記述したが、例えば、図11、12に示すように、ディスクカートリッジ11内にディスク1と弾性体7とクランパ6とを含むディスク組立体8を収納した状態で、ディスクドライブ装置20にローディングして駆動する形態としてもよい。本発明のディスク回転機構においては、弾性体7によりディスク1を両面から保持することが肝要である。
【0054】
なお、図11、12において、12はスピンドル3とディスクカートリッジ11のZ軸方向の相対位置Cbdの調整値を設定するためのカートリッジZ軸位置の位置決め機構、13は記録再生(ピックアップヘッド)4をディスク1にアクセスさせるための記録再生ヘッドアクセス用開口、14はスピンドル3をディスク組立体8に連結させるためのスピンドルアクセス用開口である。
【0055】
また、これまで説明したディスク回転機構においては、安定化部材30がディスクの下部に配置されていたが、本発明のディスク回転機構における安定化部材30は、ディスク1の上部に配置しても同様の効果がある。また、安定化部材30をディスク1の両側に配置してもよい。
【0056】
また、クランプ6はディスク1をターンテーブル5上に保持して、スピンドル3の駆動力をディスク1に伝達するために配置していたが、ディスク1をスピンドル3の駆動力を伝達可能なようにターンテーブル5上に保持できれば、必要ではない。例えば、ディスク1の保持部1aの一部、及びターンテーブル5のディスク保持部5aの対向する部分に磁性体を配置して、ディスク1とターンテーブル5を磁力により結合して保持してもよい。
【0057】
次に、第五の実施形態として、ディスク1をターンテーブルとクランプの間に固定して挟持しない実施形態例を示す。図13に示すようにディスク1にハブ2を配置し、ディスク1の保持部1aに中心孔40と複数の開口41を形成する。回転中心の中心孔40はスピンドルとの嵌合用であり、他の開口41は少なくとも2つある。図14に示すディスク1の場合は、回転中心の中心孔40がない。図15に示すディスク1の場合は、ハブ2がなく、ディスク1の保持部に、ディスク1と同心円状に2列に、それぞれの列に6個の円形の開口41を配置する構成としている。このように、開口41の形状と配置を工夫すれば、ハブ2は必ずしも必須としなくてもよい。例えば、ディスク1の保持部に、ディスク1と同心円状に1〜3列に、それぞれの列に3〜12個の円形の開口41を配置する構成などが考えられる。
【0058】
ターンテーブル5上には、図16に示すように、スピンドル3に対応するセンターボス42と複数の突起43とが形成されている。ディスク1をターンテーブル5上に保持する場合は、中心孔40をセンターボス42に、複数の開口41を複数の突起43に嵌合する。図17は、ディスク1をターンテーブル5上に保持した状態を示している。図17においては、上部にクランプ6を配置しているが、このクランプ6は、ディスク1と密着していない。すなわち、ディスク1は、ターンテーブル5とクランプ6に挟まれているが、上下方向にわずかに(例えば0.1mm程度)移動可能である。また、磁力等によりディスク1をターンテーブル5上に吸引できればクランプ6はなくてもよい。なお、図14に示したディスクを用いる場合には、ターンテーブル5はセンターボス42のない形態のものを用いればよい。
【0059】
図17に示すディスク回転機構は、この状態でディスク1がクランパ6とターンテーブル5から上下の応力を受けずにターンテーブルに保持される。ターンテーブル5を回転させると、ターンテーブル5の突起43とディスク1の開口41を介して、ディスク1に回転駆動力が伝達され、ディスク1が回転する。
【0060】
この状態で高速回転させると可撓性のディスク1が、遠心力により放射方向に伸びるが、ディスク1には、従来のディスク回転機構のような剛体のターンテーブルとクランパでディスク1の保持部1aを固定して保持する場合に発生する挟持応力は作用しない。このため、ディスク1は変形が固定されることなく、高速回転後に低速回転に減速した場合においても、ディスク自体の弾性により、容易に元の状態にもどることができる。特に、回転速度を変化させたときに発生する、回転加速度に伴うディスク1の保持部1a外周部への応力集中がない。この為、ディスク1の保持部1a外周部近辺の歪みが発生し難い。
【0061】
この実施形態におけるディスク1の開口41は突起43よりも十分大きくしておく(少なくとも20μm以上のクリアランス)ことが好ましい。こうすると、高速回転時のディスクが放射方向に伸びた状態においても、これら形状の不適合により、ディスク内周部がひずむ不具合を解消できる。
【0062】
ハブ2の材質はディスク1と同じ材料あるいは、ヤング率が同等の材料で構成することが望ましい。例えば、ディスク1を0.1mm厚のポリカーボネイト樹脂で構成し、厚み1mmの同じポリカーボネイト樹脂製のハブ2をとりつけるなどの方法があげられる。また、ハブ2をステンレス等の剛体で構成し、これとディスク1の間に、前述の実施形態1〜4で採用したゴム状弾性体を活用するなどの方法によっても同様の効果が得られる。さらに、すでに説明したように、開口41の形状と配置を工夫すれば、ハブ2は必ずしも必須としない場合もある。
【0063】
以下、本発明のディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法について実施例に基づいてより具体的に説明する。
(実施例−1)
実施例−1は、図8に示した第二の実施形態に示す構成のディスク回転機構で、ディスク組立体8をディスクドライブ装置20にローディングし、表1に示すパターンでディスク回転数と設定値Cbdを7ステップで変化させる動作を1サイクルとして、繰り返し試験を行った。
【0064】
但し、ディスクドライブ装置20の安定化部材30は、ディスク1との対向面を図6に示す湾曲凹面とし、ステンレス材で形成した。安定化部材30の具体的形状は、外径φ130mm、内径φ35mm、中心母線付近の平坦部幅Wcf30mm、円筒状湾曲凹面の曲率半径R1000mmとした。ターンテーブル5上には、厚さ0.05mmのシリコーンからなる円環状の弾性体7を設置した。
【0065】
ディスク組立体8は、ディスク1の母材には直径120mm,厚さ80μmのポリカーボネイト製シートを用いた。まず、前記シートに、熱転写でスタンパのピッチ0.6μm、幅0.3μmのグルーブ(厚さ15μm)を転写し、その後、スパッタリングでシート/Si3N4 10nm/ZnS−SiO2 25nm/AgInSbTeGe 10nm/(ZrO2−Y2O3)−SiO2 7nm/Ag反射層 120nmの順番に成膜した。情報記録領域は内周直径50mmから外周直径116mmまで(半径25mm〜58mm)の範囲に設定した。その後、UV樹脂をスピンコートし、紫外線照射で硬化させて厚さ10μmの透明保護膜を形成した。また、逆側の面には10μm厚のハードコートを施した。こうして作製したディスク1の中心部の片面(情報記録層形成側と逆側)に、外径φ29mm,内径φ15mm、厚み0.1mmのステンレス箔製のハブ2を弾性接着剤(厚み0.05mm)により取り付けた。この組み付けは、各部材を同軸に合わせた上で行った。
【0066】
上述のディスクドライブ装置20にディスク組立体8を配置して、ディスク1をターンデーブル5に保持して繰り返し試験を行った。繰り返し試験においては、スピンドル3の回転数(ディスク1の回転数と同じ)と、ターンテーブル5上の弾性体7の表面(ディスク1の保持部1aのターンテーブル5側表面に相当する。)と、安定化部材30表面平坦部30a(Wcf部)の間のディスク回転軸方向の設定値Cbdを表1に従って管理している(図6参照)。100サイクル繰り返したときの回転数4000rpm、設定値Cbd0.1mmにおけるディスク1の半径方向36mm位置のギャップを、第1サイクルの回転数4000rpm、設定値Cbd0.1mmにおけるディスク1の半径方向36mm位置のギャップと較べて、その減少率を求めた。減少率が0%であれば、100サイクル繰り返し試験後にもディスク1は変形がなく、100%であれば、ディスク1は安定化部材30の表面に接触していることになる。結果を表2に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
(実施例−2)
実施例−2は、図9に示す第三の実施形態のディスク回転機構によって、ディスク組立体8をドライブ装置20にローディングし、実施例−1と同様に、表1に示すパターンでディスク回転数と設定値Cbdを変化させる動作を100サイクル繰り返し行った。安定化部材30には実施例−1と同様のものを用いた。
【0070】
ディスク組立体8は、以下の手順で準備した。ディスク1には、実施例−1と同じ構成のものを用いた。このディスク1の中心部の両面に、外径φ29mm,内径φ15mm、厚み0.1mmのステンレス箔製のハブ2を弾性体7となる弾性接着剤(厚み0.05mm)により取り付けた。この組み付けは、各部材を同軸に合わせた上で行った。なお、ディスクドライブ装置20は、ターンテーブル5上に弾性体7を配置していない。繰り返し回転試験は、実施例−1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0071】
(実施例−3)
実施例−3において、図10の第四の実施形態に示す構成で、ディスク組立体8をドライブ装置20にローディングした。安定化部材30には実施例−1と同様のものを用いた。ターンテーブル5の上面、及びディスククランパ6の下面には、厚さ0.20mmのシリコーンからなる円環状の弾性体7を設置した。また、ディスク組立体8には、実施例−1のディスク1を弾性体7を配置しないで用いた。繰り返し試験は、上述のディスク回転機構を用いて、実施例−1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0072】
(実施例−4)
実施例−4において、図9の第三の実施形態に示すディスクドライブ装置20をベースに、図16に示す形態のターンテーブル5を用いて、図13に示す形態のディスク1を、図17に示す保持状態で回転駆動し、実施例−1と同様に、表1に示すパターンでディスク回転数と設定値Cbdを変化させる動作を繰り返し行った。
【0073】
安定化部材30には実施例−1と同様のものを用いた。ディスク1には、実施例−1と同じ材料構成のものを用いた。このディスク1の中心部の片面に、外径φ29mm,内径φ15mm、厚み1mmのポリカーボネイト製のハブ2を取り付け、中心には直径8mm中心孔40を、その周りに一辺8mmの正三角形の開口41を3個を中心から点対称となるように形成した。このディスク1の組み付けは、各部材を同軸に合わせた上で行った。回転駆動において、開口41に対応する回転伝達用の突起43の高さは1.15mmとし、これにクランパ6を突き当てた状態で、ディスク組立体8をターンテーブル5上にセットした。ターンテーブル5とクランパ6とで挟み込んだ1.15mmの間に、総厚1.10mmのディスク組立体8がセットされ、回転軸方向に0.05mmの隙間が形成される。繰り返し試験は、上述のディスク回転機構を用いて、実施例−1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0074】
(比較例−1)
比較例−1において、図18に示す構成で、表1に示すパターンでディスク回転数とCbd設定値を変化させる動作を繰り返し行った。
【0075】
安定化部材30には実施例−1と同様のものを用いた。ターンテーブル5とクランパ6はステンレス材により形成した。また、ディスク1には実施例−1と同様のものを用いた。繰り返し試験は、上述のディスク回転機構を用いて、実施例−1と同様に実施した。結果を表2に示した。
【0076】
(比較例−2)
比較例−2において、図18に示す構成で、安定化部材30には実施例−1と同様のものを用い、ターンテーブル5とクランパ6はステンレス材とした。また、ディスク1には実施例−1と同様のものを用いた。
【0077】
上述のディスク回転機構を用いて、表1に示すパターンのStep4の回転数を15000rpmから10000rpmに変更した以外は、実施例−1と同様の条件で、繰り返し試験を実施した。結果を表2に示した。
【0078】
(比較例−3)
比較例−3においては、実施例−1の構成から、ディスク組立体8に具備させたハブ2と弾性体7を除いて(ディスク1の下側の面にのみ弾性体7が配置される構成)、実施例−1と同様の条件で、繰り返し試験を実施した。結果を表2に示した。
【0079】
比較例−1においては、100回の繰り返し駆動を行った後に、ディスク1が安定化部材30と接触・摺動し、スピンドルが停止する不具合が発生した。この現象は、繰り返し動作を経るに従ってディスク1の内周部に蓄積・増大した歪みが原因となり、低速回転条件においてディスク1と安定化部材30が近接したために生じた。この近接状況を、図19に安定化部材とディスクのギャップとして表した。初期の駆動においては、一定のギャップを保って駆動していたディスクが、繰り返し動作後に安定化部材に近づきディスク半径25mm,52mm付近の2カ所において接触していることが明確に確認できる。これはディスク回転数4000rpmでの結果である。
【0080】
例えば、実施例−3においては、図20に示すような結果となった。繰り返し回数1000回においても、比較例−1で見られたような、繰り返し回数を経たディスクの安定化部材への近接は見られず、繰り返し動作を通して、終始安定した駆動が実現できた。
【0081】
図18,20において、ディスク半径位置36mでの、繰り返し動作100回後のギャップの減少率が表2に示してある。この指標は、繰り返し動作においてディスク1と安定化部材30が接触することなく安定駆動できることを示すもので、この値が小さいほど好ましい。
【0082】
本発明を適用した実施例1〜4においては、いずれの場合においても減少率5%未満の良好な結果が得られた。一方、比較例−1においては、減少率53%と飛び抜けて高く、図18に示すディスク回転機構の不具合を明確に示す結果となった。
【0083】
比較例−3においては、ディスクの片面にゴム状弾性体を配置することにより、前記比較例−1よりも改善(53%→21%)されることは明確であるものの、その減少率は無視できない大きさであった。この構成は、繰り返し動作が少ない場合の使用に限られ、実用性は低いものと判断された。
【0084】
比較例−2は、ディスク回転数を10000rpm以下に限定した場合の例であり、その減少率は10%と比較的低い値にとどまっている。しかし、実用に耐えるレベルではなかった。このことは、前記した不具合が、これまでのディスクにおいて対象としていなかった10000rpmを超える回転数における特有な現象であることを示しており、特許文献4,5に示すような発明を前提とした場合に新たに出現してきた、まったく新規の課題であることを示している。
【0085】
このように、本実施形態,本実施例では、可撓性を有するディスクを安定化部材により空気安定化させて回転駆動させるシステムにおいて、10000rpmを超える高速でディスクを回転駆動した場合においても、ディスク内周部に歪みが蓄積することなく、この歪みの発生によって情報を記録したディスクにダメージを与えることのない、ディスク回転機構、ディスク、記録再生装置、及び記録再生方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、可撓性を有するディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、ディスク組立体、ディスクカートリッジに適用され、本発明が対象とするディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のディスク回転機構の平面図
【図2】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(1)
【図3】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(2)
【図4】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(3)
【図5】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(4)
【図6】本発明のディスク回転機構の平面図(a)及び正面図(b)
【図7】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の分解断面図(1)
【図8】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の分解断面図(2)
【図9】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の分解断面図(3)
【図10】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の分解断面図(4)
【図11】ディスクシステムの分解断面図
【図12】ディスクカートリッジ
【図13】本発明のディスクの平面図(1)
【図14】本発明のディスクの平面図(2)
【図15】本発明のディスクの平面図(3)
【図16】ターンテーブルのディスク保持部とディスクの保持部の関係図
【図17】図1におけるディスク回転機構のC−C'断面の断面図(5)
【図18】従来のディスク回転機構の断面図
【図19】ディスクの半径方向位置とギャップとの関係図(1)
【図20】ディスクの半径方向位置とギャップとの関係図(2)
【符号の説明】
【0088】
1:ディスク
1a:保持部
2:ハブ
3:スピンドル(スピンドル)
4:記録再生ヘッド
5:ターンテーブル
5a:ディスク保持部
6:クランパ(ディスククランパ)
7:弾性体
8:ディスク組立体
11:ディスクカートリッジ
12:ディスクカートリッジ位置決め機構
13:記録再生ヘッドアクセス用開口
14:スピンドルアクセス用開口
20:ディスクドライブ装置
30:安定化部材(スタビライザ)
30a:平坦部
30b:円筒状湾曲凹面
30c:中心母線
31:第2の安定化部材
31:孔部
40:中心孔
41:開口
42:センターボス
43:突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し情報を記録可能なディスクと、
前記ディスクを保持するターンテーブルと、
前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、
前記ディスクを安定して回転させる安定化部材を具備したディスク回転機構であって、
前記スピンドルの回転を、前記ターンテーブルを介して前記ディスクに伝達する回転伝達機構と、
前記ディスクを回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構とを備えたことを特徴とするディスク回転機構。
【請求項2】
前記ディスクの前記ターンテーブルとの接触面には、弾性体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク回転機構。
【請求項3】
前記ターンテーブルは、前記ディスクを保持するディスク保持部に複数の突起を備え、前記ディスクは、前記突起に嵌合する開口を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク回転機構。
【請求項4】
前記ディスクを介して前記ターンテーブルと対向してディスクを挟持するクランパを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項5】
前記ターンテーブルは、ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項6】
前記ディスクは、ターンテーブルとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項7】
前記クランパは、ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項8】
前記ディスクは、クランパとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項9】
可撓性を有し情報を記録可能なディスクであって、ターンテーブルに保持される保持部の両方の面のうち少なくとも一方の面に弾性体を備えることを特徴とするディスク。
【請求項10】
前記弾性体は、ゴム又は接着剤の硬化物からなることを特徴とする請求項9に記載のディスク。
【請求項11】
可撓性を有し情報を記録可能なディスクであって、ターンテーブルに保持される保持部に複数の開口を有することを特徴とするディスク。
【請求項12】
前記保持部に、ハブを備えることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のディスク。
【請求項13】
可撓性を有するディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ターンテーブルに保持したディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置であって、
前記スピンドルの回転を、前記ターンテーブルを介して前記ディスクに伝達する回転伝達機構と、前記ディスクを回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項14】
前記ターンテーブルは、前記ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項13に記載の記録再生装置。
【請求項15】
前記ターンテーブルと共に前記ディスクを保持するクランパを備え、前記クランパは前記ディスクとの接触面に弾性体を備えていることを特徴とする請求項13又は14に記載の記録再生装置。
【請求項16】
前記ターンテーブルは、前記ディスクを保持するディスク保持部に複数の突起を備えていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の記録再生装置。
【請求項17】
記録媒体であるディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置の前記ターンテーブル上に、可撓性を有するディスクを、弾性体を介して配置するディスク配置工程と、
前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクを前記スピンドルにより回転させるディスク回転工程と、
回転している前記可撓性を有するディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生行程とを備えることを特徴とする記録再生方法。
【請求項18】
前記ディスク配置工程は、前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクの上に、前記ターンテーブルとともにディスクを保持するクランパを、弾性体を介して配置する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の記録再生方法。
【請求項19】
記録媒体であるディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置の前記ターンテーブル上に、可撓性を有するディスクを配置するディスク配置工程と、
前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクを前記スピンドルにより回転させるディスク回転工程と、
回転している前記可撓性を有するディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生行程とを備える記録再生方法であって、
前記ディスク配置工程において、前記可撓性を有するディスクに形成された開口に前記ターンテーブル上の突起を嵌合して、前記可撓性を有するディスクをターンテーブル上に保持する工程を含むことを特徴とする記録再生方法。
【請求項1】
可撓性を有し情報を記録可能なディスクと、
前記ディスクを保持するターンテーブルと、
前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、
前記ディスクを安定して回転させる安定化部材を具備したディスク回転機構であって、
前記スピンドルの回転を、前記ターンテーブルを介して前記ディスクに伝達する回転伝達機構と、
前記ディスクを回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構とを備えたことを特徴とするディスク回転機構。
【請求項2】
前記ディスクの前記ターンテーブルとの接触面には、弾性体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク回転機構。
【請求項3】
前記ターンテーブルは、前記ディスクを保持するディスク保持部に複数の突起を備え、前記ディスクは、前記突起に嵌合する開口を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク回転機構。
【請求項4】
前記ディスクを介して前記ターンテーブルと対向してディスクを挟持するクランパを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項5】
前記ターンテーブルは、ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項6】
前記ディスクは、ターンテーブルとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項7】
前記クランパは、ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項8】
前記ディスクは、クランパとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載のディスク回転機構。
【請求項9】
可撓性を有し情報を記録可能なディスクであって、ターンテーブルに保持される保持部の両方の面のうち少なくとも一方の面に弾性体を備えることを特徴とするディスク。
【請求項10】
前記弾性体は、ゴム又は接着剤の硬化物からなることを特徴とする請求項9に記載のディスク。
【請求項11】
可撓性を有し情報を記録可能なディスクであって、ターンテーブルに保持される保持部に複数の開口を有することを特徴とするディスク。
【請求項12】
前記保持部に、ハブを備えることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のディスク。
【請求項13】
可撓性を有するディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ターンテーブルに保持したディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置であって、
前記スピンドルの回転を、前記ターンテーブルを介して前記ディスクに伝達する回転伝達機構と、前記ディスクを回転中心から放射方向に伸縮可能に保持するディスク保持機構を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項14】
前記ターンテーブルは、前記ディスクとの接触面に弾性体を備えることを特徴とする請求項13に記載の記録再生装置。
【請求項15】
前記ターンテーブルと共に前記ディスクを保持するクランパを備え、前記クランパは前記ディスクとの接触面に弾性体を備えていることを特徴とする請求項13又は14に記載の記録再生装置。
【請求項16】
前記ターンテーブルは、前記ディスクを保持するディスク保持部に複数の突起を備えていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の記録再生装置。
【請求項17】
記録媒体であるディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置の前記ターンテーブル上に、可撓性を有するディスクを、弾性体を介して配置するディスク配置工程と、
前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクを前記スピンドルにより回転させるディスク回転工程と、
回転している前記可撓性を有するディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生行程とを備えることを特徴とする記録再生方法。
【請求項18】
前記ディスク配置工程は、前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクの上に、前記ターンテーブルとともにディスクを保持するクランパを、弾性体を介して配置する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の記録再生方法。
【請求項19】
記録媒体であるディスクを保持可能なターンテーブルと、前記ディスクを前記ターンテーブルと共に回転させるスピンドルと、前記ディスクを安定して回転させるための安定化部材と、前記ディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生ヘッドとを具備する記録再生装置の前記ターンテーブル上に、可撓性を有するディスクを配置するディスク配置工程と、
前記ターンテーブル上に配置された可撓性を有するディスクを前記スピンドルにより回転させるディスク回転工程と、
回転している前記可撓性を有するディスクに対し情報を記録又は再生する記録再生行程とを備える記録再生方法であって、
前記ディスク配置工程において、前記可撓性を有するディスクに形成された開口に前記ターンテーブル上の突起を嵌合して、前記可撓性を有するディスクをターンテーブル上に保持する工程を含むことを特徴とする記録再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−223932(P2009−223932A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64752(P2008−64752)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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