説明

ディスク積載体およびディスクカートリッジならびにディスク駆動装置

【課題】ディスクの薄さ、可撓性を有することを生かし、より小型軽量で扱いやすい構成になるディスク積載体を提供する。
【解決手段】最も上にあるフレキシブルディスク1aにおける中心のハブ2aを中実体にし、次層のフレキシブルディスク1b〜1eのハブ2b〜2eを、中空筒状にして中心のハブ2aの外側に順次同心円状に、互いに摺動可能に配設する。ハブ2a〜2dには、それぞれ隣接するハブ2b〜2eの上壁部7b〜7eと係合して、上下の抜けを防止する突起8a〜8dを設け、さらに、この突起8a〜8dに対向するハブの内周壁に凹溝10b〜10eを設け、突起8a〜8dを上下に摺動可能に、かつ回転トルクを各ハブ2a〜2eに伝達可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状のフレキシブルディスクを複数枚重ねてなるディスク積載体、該ディスク積載体を収納するディスクカートリッジ、該ディスクカートリッジに収納されたフレキシブルディスクを回転駆動するディスク駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が始まるなど、大容量のデジタルデータを記録することが光ディスクに求められている。光ディスクの高密度化のための手法のうち、基本的な方法は記録/再生のための光のスポット径を小さくすることである。
【0003】
このため、記録/再生のために用いられる光の波長を短く、かつ対物レンズの開口数NAを大きくすることが有効である。光の波長についてはCD(compact disk)では近赤外光の780nm、DVD(digital versatile disk)では赤色光の650nm近傍の波長が用いられている。最近、青紫光の半導体レーザが開発され、今後は400nm近傍のレーザ光が使用されると予想される。
【0004】
また、対物レンズについては、CD用はNA0.5未満であったが、DVD用はNA0.6程度である。今後、さらに開口数(NA)を大きくしてNA0.7以上とすることが求められる。しかし、対物レンズのNAを大きくすること、および光の波長を短くすることは、光を絞るときに収差の影響が大きくなることでもある。したがって、光ディスクのチルトに対するマージンが減ることになる。また、NAを大きくすることによって焦点深度が小さくなるため、フォーカスサーボ精度を上げなくてはならない。
【0005】
さらに、高NAの対物レンズを使用することによって、対物レンズと光ディスクの記録面との距離が小さくなってしまうため、光ディスクの面振れを小さくしておかないと、始動時のフォーカスサーボを引き込む直前、対物レンズと光ディスクとが衝突することがあり、ピックアップの故障の原因となる。
【0006】
短波長,高NAの大容量光ディスクとして、例えば非特許文献1に示されているように、CDと同程度に厚く剛性の大きい基板に記録膜を成膜し、記録/再生用の光を基板を通さずに、薄いカバー層内を通して記録膜に対して記録/再生する構成のシステムが提案されている。
【0007】
また、例えば特許文献1,2に記載されているように、平面をもつ安定化板上で可撓性を有する光ディスクを回転させて、光ディスクにおける面ぶれを安定化させる方法が知られている。
【0008】
また、本発明者らは特許文献3などにおいて、可撓性を有するシート状の光ディスクを用いて記録/再生を行う際に、空気力によって光ディスクの面ぶれを確実に抑制し、高密度の記録を可能にし、しかも対物レンズとの摺接などの不具合の発生を防ぐことができる光ディスク駆動装置,光学的情報記録装置、および光学的情報再生装置、ならびにそれらに用いられるディスクカートリッジを提供した。
【0009】
特許文献3に記載の発明によって、高NAレンズを用いる際の衝突などの問題を回避できた。またディスクが薄いことを利用し、多数枚のチェンジャを用いることで、きわめて簡便に100GB以上の大容量を実現できた。
【非特許文献1】「O PLUS E」(vol.20,No.2,183頁)
【特許文献1】特開平7−105657号公報
【特許文献2】特開平10−308059号公報
【特許文献3】特開2003−115108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3に記載の発明では、ディスクを多数枚用いるチェンジャは、ディスク1枚ごとにパレットに載せてハンドリングをしていた。パレットは機械的に出し入れしやすいように剛体で形成されており、したがって、厚さがフレキシブルディスクの数倍あった。ハンドリングは従来からあったCDチェンジャなどと同様に簡便ではあるが、ディスクカートリッジの厚みがディスク10枚で2センチ程度とやや厚くなってしまうという課題があった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決し、ディスクの薄さ、可撓性を有することを生かし、より小型軽量で扱いやすい構成になるディスク積載体、それを用いたディスクカートリッジ,ディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数枚のフレキシブルディスクが重ねられた状態のディスク積載体であって、前記各フレキシブルディスクの中心部に内外径が異なるハブを、隣接するハブが相対的に摺動できるように設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のディスク積載体において、フレキシブルディスクのハブの内径をDi(n)、外径をDo(n)、また外側にて隣接するハブの内径をDi(n+1)、外径をDo(n+1)として(n≧1)、各ハブの関係を、Do(n+1)>Di(n+1)>Do(n)>Di(n)に設定したことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載のディスク積載体において、フレキシブルディスクにおいて、最も小径のハブを有するディスク番号を1、最大の直径のハブを有するディスク番号mとし、その間のディスク番号をn(m>n)として、各ディスク番号のハブ高さH1,Hn,Hmの関係を、H1>Hn>H(n+1)>Hmに設定したことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1項記載のディスク積載体において、フレキシブルディスクの各ハブの高さHn(nはディスク番号)を、Hn―H(n+1)>フレキシブルディスクにおける記録領域の厚さ、に設定したことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4いずれか1項記載のディスク積載体において、フレキシブルディスクのハブに、隣接するハブと係合して上下の抜けを防止する突起を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5いずれか1項記載のディスク積載体において、フレキシブルディスクのハブに、隣接するハブに対して摺動可能かつ回転トルクを伝達できるように嵌挿される凹凸部を設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6いずれか1項記載のディスク積載体において、フレキシブルディスクのハブに、チャッキング位置決め用の凹凸部を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載のディスクカートリッジに係る発明は、請求項1〜7いずれか1項記載のディスク積載体が収納され、各フレキシブルディスク間の間隔が広がり得る空間を有することを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項8記載のディスクカートリッジが装填され、該ディスクカートリッジが装填された状態でフレキシブルディスクをチャッキングして回転駆動するディスク駆動装置であって、フレキシブルディスクの各ハブを受ける部材を前記各ハブと嵌合する階段形状にし、チャッキング時に各フレキシブルディスク間の間隔を広げることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項9記載のディスク駆動装置において、請求項7に記載のディスク積載体を収納したディスクカートリッジが装填された場合に、フレキシブルディスクのハブに設けられたチャッキング位置決め用の凹凸部と嵌合する凹凸部が設けられたクランパを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るディスク積載体およびディスクカートリッジによれば、複数枚のフレキシブルディスクは重ねられた状態にてカートリッジに収納可能であり、かつフレキシブルディスクを重ねたときに、ハブがリング状に重なり合うことになり、複数のフレキシブルディスクにおける上下間隔が極めて狭く収納されることになり、薄いディスクスタックが実現する。
【0023】
また、本発明に係るディスク駆動装置によれば、本発明に係るディスク積載体,ディスクカートリッジを用いる際、フレキシブルディスクのハブを受ける部分を階段状にして、この階段部が個々のフレキシブルディスクのハブと嵌合するようになされているため、駆動装置にディスクスタックをチャッキングさせると、フレキシブルディスク間の間隔が広がって、例えば、この間隔間にピックアップおよび空気安定化スタビライザを挿入することができる。これにより、収納時における薄いディスクスタックが実現し、しかも、装置へ装填して記録または再生を行うときは、個々のフレキシブルディスクが分離して記録または再生を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明の実施形態を説明するためのディスク積載体の斜視図であり、以下の説明では、5枚のシート状のフレキシブルディスク1が積載された例について説明する。
【0026】
各フレキシブルディスク1は、厚さ95μmのポリカーボネートフィルムに溝を熱転写成形し、スパッタリングで相変化型記録層を形成したものであって、フィルムにグルーブ幅0.36μm、グルーブピッチ0.60μm、グルーブ深さ45nmのトラッキング用溝を熱転写で成形した。このフィルムにスパッタリングにて記録層を形成した。すなわち、ポリカーボネートフィルム上に、銀 120nm,ZrO−TiO 10nm,BiGe 1.5nm,SbTe 12nm,ZnS−SiO 135nmを形成し、その後、紫外線硬化樹脂を10μm塗布,硬化させた。また、スパッタ面と逆側にも紫外線硬化樹脂を9μm塗布,硬化させた。BiGeの使用により、SbTe相変化記録層は、成膜直後から結晶状態であり、すぐに記録/再生可能な状態にある。
【0027】
成膜後、フィルムを外径120mmに打ち抜いて中央孔を有するフレキシブルディスクとした。内径は、後述するように、ディスク毎に異なる孔径で打ち抜いた。中心孔に設けられるハブ2は、フィルム同様にポリカーボネート樹脂を射出成形で製作し、ディスクのグルーブと同心円の中心が一致するように貼り合わせた。接着には紫外線硬化樹脂を用いた。
【0028】
図1に示すディスク積載体3はフレキシブルディスク1が密着して重なって、ディスクカートリッジ4に収納されているときの状態を示している。
【0029】
図2はディスク積載体3のディスク間隔が広がった状態を示しており、ディスクカートリッジ4は、各フレキシブルディスク1間が必要な間隔に広がるのに十分な空間を具備しているか、ディスクカートリッジ1自体を可撓性を有する材質のものから形成する。
【0030】
図3はディスク積載体における各ハブを拡大して示す断面図であり、5枚のフレキシブルディスク1a〜1eが密着して重なっている状態を例示している。
【0031】
最も上にあるフレキシブルディスク1aの中心のハブ2aは中実体であり、次層のフレキシブルディスク1b〜1eのハブ2b〜2eは、中空筒状をなしており、中心のハブ2aの外側に順次同心円状に、互いに摺動可能に配設されている。また本例では、中心のハブ2aの上部には、ディスク駆動装置のクランパ(後述する)に設けられた位置決め用凸部と嵌合する位置決め用凹部5が設けられており、中心のハブ2aの下部には、ディスク駆動装置のチャッキング(後述する)に設けられた位置決め用凸部と嵌合する位置決め用凹部6が設けられている。
【0032】
前記ハブ2a〜2dには、それぞれ隣接するハブ2b〜2eの上壁部7b〜7eと係合して、上下の抜けを防止する突起8a〜8dが設けられ、さらに、この突部8a〜8dに対向するハブの内周壁の上下方向に凹溝10b〜10eが設けられ、突起8a〜8dを上下に摺動可能にし、かつ回転トルクが各ハブ2a〜2eに伝達されるようにしている。なお、突部8a〜8dと凹溝10b〜10eとの凹凸関係を逆にすることも考えられる。
【0033】
このように、各ハブ2a〜2eは、嵌め合いで同軸に重ねられるような寸法関係になっおり、ハブの内径をDi(n)、外径をDo(n)、また外側にて隣接するハブの内径をDi(n+1)、外径をDo(n+1)とすると(n≧1、ただし、本例では5つのハブであるのでnは1〜5の整数)、各ハブ2a〜2eの径の大小関係は、Do(n+1)>Di(n+1)>Do(n)>Di(n)になる。
【0034】
また、本実施形態において、フレキシブルディスク1a〜1eが重ねられたときに,各ハブ2a〜2eの下面が平らになるために、各ディスクの厚さ分、各ハブの高さを変える必要がある。
【0035】
このため、フレキシブルディスク1a〜1eにおいて、最も小径のハブ(本例ではフレキシブルディスク1aのハブ2a)を有するディスク番号を1、最大の直径のハブ(本例ではフレキシブルディスク1eのハブ2e)を有するディスク番号をmとし、その間のディスク番号をn(m>n、本例ではm=5,n=2〜4)とすると、各ディスク番号のフレキシブルディスクのハブ高さH1,Hn,Hmの関係は、H1>Hn>H(n+1)>Hmにする必要がある。
【0036】
さらに、各ハブ2a〜2eの高さHn(nはディスク番号、本例ではn=5)を、Hn―H(n+1)>(フレキシブルディスクにおける記録領域の厚さ)に設定する必要がある。
【0037】
これらの関係を満たすと、重ねられたフレキシブルディスク1a〜1eにおいて図3に示すようにハブ2a〜2eの下面の高さが揃うことになる。本例の場合では、フレキシブルディスク1a〜1eを5枚重ねたときの全体の高さは7.5mmとなった。
【0038】
図4は前記ディスクカートリッジに収納されたディスク積載体がディスク駆動装置に装着されて、記録/再生が行われる状態を示す説明図であり、
図4において、11はフレキシブルディスク1a〜1eをチャッキングして回転駆動するスピンドルシャフト、12はスピンドルシャフト11を駆動するスピンドルモータ、13は、フレキシブルディスク1a〜1eに対して情報の書き込みを行う記録手段かつ書き込まれた情報の読み取りを行う再生手段としての光ピックアップ、14は光ピックアップ13をフレキシブルディスク1a〜1eの半径方向へ移動させるピックアップ用位置決め機構、15は、フレキシブルディスク1a〜1eを介して光ピックアップ13に対向設置され、フレキシブルディスク1a〜1eの面振れを防止するための安定化部材、16は安定化部材15を光ピックアップ13と連動してフレキシブルディスク1a〜1eの半径方向へ移動させる安定化部材用位置決め機構である。
【0039】
17はスピンドルシャフト11の上端部に固定されたチャッキングであって、外周形状が各ハブ2a〜2eの下端部に当接し、かつ各ハブ2b〜2eの中空部と嵌合する階段形状であり、図4に2点鎖線にて示すように、チャッキング時に各ハブ2a〜2eを押し上げて各フレキシブルディスク1a〜1e間の間隔を広げるようになっている。チャッキング17の上端部には、中央のハブ2aの下部に位置決め用凹部6と嵌合する位置決め用凸部18が突設されている。
【0040】
19は、チャッキング17とによりフレキシブルディスク1a〜1eを挟持保持するクランパであって、中央のハブ2aの上部に設けられた位置決め用凹部5と嵌合する位置決め用凸部20が突設されている。
【0041】
なお、前記位置決め用凹部5,6と、それに嵌合する前記位置決め用凸部18,20とは、凹凸関係が逆であってもよい。
【0042】
図4において、フレキシブルディスク1a〜1eは等間隔に広がっており、本例ではディスク間隔は5mmにしてある。ハブの下面と最上のフレキシブルディスク1a上面との距離は約25mmである。
【0043】
隣接ハブにおける上壁部7b〜7eと突起8a〜8dとが係合して高さが決まり、外れを防止している。さらに隣接ハブにおける突起8a〜8dと凹溝10b〜10eが嵌合して、上下方向にはほとんど摩擦なく移動し、周方向の回転方向には自由回転せずに、回転トルクが伝達されるようになっている。
【0044】
中央のハブ2aの下面には鉄板(図示せず)が埋め込まれ、一方、チャッキング17の最上部には磁石が埋め込まれており、チャッキング時、互いの磁力でディスク積載体3がチャッキング17を介してスピンドルシャフト11に対して固定関係になる。
【0045】
したがって、前記状態でスピンドルモータ12のスピンドルシャフト11が回転すると、ハブ2aがマグネットチャックされているため、各ハブ2a〜2eへのトルク伝達がなされ、各フレキシブルディスク1a〜1eが共に回転する。
【0046】
光ピックアップ13として、波長405nm,NA0.85の表面記録仕様のものを用いた。また、光ピックアップ13は高さが3mmの薄型のものを用いた。この光ピックアップ13をディスク枚数と同じ5個(図には1個のみを例示してある)設置した。
【0047】
このように、複数のディスクを用いることで、容量が増えると共に、データ転送レートも大きくすることができる。
【0048】
図4では、各フレキシブルディスク1a〜1eの間隔が広がり、記録/再生の選択されたフレキシブルディスク1cを挟むようにして、光ピックアップ13と安定化部材15が挿入された状態を例示している。
【0049】
スピンドルシャフト11の回転により、フレキシブルディスク1cは光ピックアップ13と安定化部材15間で回転する。回転しているフレキシブルディスク1cは、それ自体、小さいながら剛性を持ち、また遠心力の作用により真っ直ぐな状態になろうとする力を持つ。したがって、フレキシブルディスク1cに対して安定化部材15を近づけて、ベルヌーイの法則に基づく空気流の圧力差による作用力を生成してフレキシブルディスク1cに与えることにより、フレキシブルディスク1cが真っ直ぐになろうとする力と、安定化部材15からの空気力学的な作用力の釣り合いによって、大きな面振れ(ディスク回転軸方向の振れ)を減少させることができる。
【0050】
このようにしたことによって、空気力によるディスク面振れが安定化することになる。そして、面振れを安定化させた部位Aにおいて、フレキシブルディスク1cの記録層に対して、光ピックアップ13により記録/再生用の光を集光することにより、記録/再生が行われる。
【0051】
なお、全てのハブ2a〜2eの下面に鉄板を埋め込み、かつチャッキング17の階段形状部分の上部に磁石を埋め込むことにより、ハブ2b〜2eの内側壁に形成した前記凹溝10b〜10eを不要にすることができる。このようにすることにより、組み立て時の嵌挿作業がなくなり、組み立てが容易になり、また、全てのハブが磁力チャックによりトルク伝達されることになるため、安定してディスク積載体3が回転することになる。
【0052】
また、ディスクカートリッジ4を可撓性を有する材料で形成することによって、単体で存在するときは、カートリッジ内のディスク積載体3が密着して、カートリッジの厚みを薄くすることができ、また、当該可撓性を有するディスクカートリッジ4を駆動装置に装填して前記のようにチャッキング,ローディング状態にすると、ディスク間隔が広がるに伴ってディスクカートリッジ4が弾性変形して厚さが大きくなり、各フレキシブルディスクに対する記録/再生が可能な状態にすることができる。このようにすることにより、薄いディスクのチェンジャ動作と薄型カートリッジを用いることが可能になり、大容量かつ高速転送レートの光ディスクシステムが実現する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、各種光学的情報記録/再生方式のシート状でかつフレキシブルな記録ディスクからなるディスク積載体に適用される。特に、ディスクに対する安全なハンドリング、および高速に記録/再生することが可能で、簡便な構成が要求されるディスク駆動装置、およびディスクカートリッジに実施して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態を説明するためのディスク積載体の斜視図
【図2】本実施形態におけるディスク積載体のディスク間隔が広がった状態を示す斜視図
【図3】本実施形態におけるハブの積層状態を示す拡大断面図
【図4】本実施形態においてディスクカートリッジに収納されたディスク積載体がディスク駆動装置に装着されて、記録/再生が行われる状態を示す説明図
【符号の説明】
【0055】
1,1a〜1e フレキシブルディスク
2a〜2e ハブ
3 ディスク積載体
4 ディスクカートリッジ
5,6 位置決め用凹部
7b〜7e ハブの上壁部
8a〜8d ハブの突起
10b〜10e ハブの凹溝
11 スピンドルシャフト
12 スピンドルモータ
13 光ピックアップ
15 安定化部材
17 チャッキング
18,20 位置決め用凸部
19 クランパ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のフレキシブルディスクが重ねられた状態のディスク積載体であって、
前記各フレキシブルディスクの中心部に内外径が異なるハブを、隣接するハブが相対的に摺動できるように設けたことを特徴とするディスク積載体。
【請求項2】
前記フレキシブルディスクのハブの内径をDi(n)、外径をDo(n)、また外側にて隣接するハブの内径をDi(n+1)、外径をDo(n+1)として(n≧1)、各ハブの関係を、
Do(n+1)>Di(n+1)>Do(n)>Di(n)
に設定したことを特徴とする請求項1記載のディスク積載体。
【請求項3】
前記フレキシブルディスクにおいて、最も小径のハブを有するディスク番号を1、最大の直径のハブを有するディスク番号mとし、その間のディスク番号をn(m>n)として、各ディスク番号のハブ高さH1,Hn,Hmの関係を、
H1>Hn>H(n+1)>Hm
に設定したことを特徴とする請求項1または2記載のディスク積載体。
【請求項4】
前記フレキシブルディスクの各ハブの高さHn(nはディスク番号)を、
Hn―H(n+1)>フレキシブルディスクにおける記録領域の厚さ
に設定したことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のディスク積載体。
【請求項5】
前記フレキシブルディスクのハブに、隣接するハブと係合して上下の抜けを防止する突起を設けたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のディスク積載体。
【請求項6】
前記フレキシブルディスクのハブに、隣接するハブに対して摺動可能かつ回転トルクを伝達できるように嵌挿される凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のディスク積載体。
【請求項7】
前記フレキシブルディスクのハブに、チャッキング位置決め用の凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のディスク積載体。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項記載のディスク積載体が収納され、各フレキシブルディスク間の間隔が広がり得る空間を有することを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項9】
請求項8記載のディスクカートリッジが装填され、該ディスクカートリッジが装填された状態でフレキシブルディスクをチャッキングして回転駆動するディスク駆動装置であって、
フレキシブルディスクの各ハブを受ける部材を前記各ハブと嵌合する階段形状にし、チャッキング時に各フレキシブルディスク間の間隔を広げることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項10】
請求項7に記載のディスク積載体を収納したディスクカートリッジが装填された場合に、フレキシブルディスクのハブに設けられたチャッキング位置決め用の凹凸部と嵌合する凹凸部が設けられたクランパを備えたことを特徴とする請求項9記載のディスク駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−252596(P2006−252596A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63859(P2005−63859)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】