説明

ディスク管理システム

【課題】ディスクに配置されたRFIDタグとリーダ・ライタを使って、複数枚のディスクの管理が良好にできるようにする。
【解決手段】ディスクケース10は、ケース内のディスク1に配置された非接触ICタグ2bの近傍とケースの端面とを中継するブースタアンテナ3を備える。複数のディスクケースを収納する収納棚20は、複数のディスクケースを1つずつ個別に配置するディスクケース配置部22と、ディスクケース配置部の1つのディスクケース配置箇所ごとに設けられ、端面と接する位置に配置された複数のリーダ・ライタ用アンテナ21a〜21nとを備える。さらに、複数のリーダ・ライタ用アンテナは、スイッチを介して選択的にリーダ・ライタ部と接続する。そのリーダ・ライタ部での非接触ICタグとの通信に基づいて、ディスクケース配置部のそれぞれの配置箇所に配置されたディスクケース10内のディスク1を認識して、認識したディスクの収納位置をデータベースとして管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに収納されたディスクを管理するディスク管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD((Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc)などのディスクメディアを管理する手法として、ディスクの一部にRFID((Radio Frequency IDentification)タグを貼付けて、必要な際にそのRFIDタグの情報を読み書きするものがある。例えば、図書館などの多くのディスクメディアを保管する場所において、保管する1枚1枚のディスクの表面に、それぞれの識別コードなどを書き込んだRFIDタグを貼付けておく。そして、ディスクの貸し出しや返却などの受付け時に、ディスクRFIDタグをリーダ・ライタで読み取って、貸し出しの管理を行う。このようにすることで、貸し出し中のディスクなどが判り、ディスクの管理が容易に行えるようになる。
【0003】
このように1枚ずつのディスクにRFIDタグを貼付けて、ディスクの貸し出しや返却時に、リーダ・ライタでRFIDタグを読み取らせることで、ディスク管理が行えるが、あくまでもリーダ・ライタに1枚ずつ近接させて、読み取らせる必要がある。
【0004】
これに対して、収納棚にディスクを収納させた状態で、各ディスクに貼付けたRFIDタグを読み取らせることについて提案されている(特許文献1参照)。
図7〜図9は、この先に提案されているシステムの例を示したものである。
まず図7(a)に示すようにDVDなどの管理したいディスク1を用意し、RFIDタグ2bとコイルアンテナ2cとが貼られたタグシート2を用意する。そして、図7(b)に示すように、ディスク1の信号記録面とは反対側の面(いわゆるレーベル面)に、そのタグシート2を貼付ける。図7の例では、ディスク1の中心の孔1aの周囲に、タグシート2を貼付けるようにしてある。タグシート2には、ディスク1の孔1aよりも若干大きな孔2aを有する。
【0005】
図7(b)に示すように、ディスク1にタグシート2を貼付けることで、このディスク1の中心付近(即ちタグシート2の箇所)を図示しないリーダ・ライタに近接させることで、リーダ・ライタからの電磁誘導による近距離無線通信で、RFIDタグ2b内のメモリからデータが読み出されると共に、必要によりデータがRFIDタグ2b内のメモリに書き込まれる。ここでのリーダ・ライタとRFIDタグ2bとの近距離無線通信とは、例えば数センチ程度の近距離を想定している。
【0006】
しかしながら、この図7に示したようにディスク1に直接タグシート2を貼付けた場合、合成樹脂で成形されたディスクケースにディスク1を収納させて、複数のディスクケースを並べて収納棚に収めた状態では、リーダ・ライタによる読み取りは困難である。
【0007】
特許文献1に記載の技術は、この問題を解決するものであり、合成樹脂で成形されたディスクケース10として、収納されたディスクの中心近傍と、ケース10の端面17とを結ぶブースタアンテナ3を設けたものである。
ディスクケース10は、下ケース11と、その下ケース11の上に配置されるディスクトレイ13と、蓋上の上ケース12との3分割構造としてあり、下ケース11にディスクトレイ13が接合される。
ディスクトレイ13の載置面14の中心のディスク保持機構15には、ディスク1の孔1a(図7)が嵌められて、ディスク1が保持される。上ケース12は、2つの支点部18が、下ケース11側の孔16に挿入されて、開閉自在に取付けられる。
【0008】
ブースタアンテナ3は、下ケース11とディスクトレイ13との間に配置される。ブースタアンテナ3は、第1コイル部3aと第2コイル部3cとを有し、両コイル部3a,3cを図示しない同調回路で接続してある。第1コイル部3aは、円形に線材を巻回させてあり、ディスクトレイ13のディスク保持機構15の裏側に配置してある。第2コイル部3cは、横長の四角形に線材を巻回させてあり、下ケース11の端面(側面)17に配置してある。
【0009】
この図8に示したディスクケース10に、タグシート2を貼付けたディスク1を入れることで、このディスクケース10の端面17に近接したリーダ・ライタが、ブースタアンテナ3を経由して、タグシート2のRFIDタグ2bと通信を行うことになる。
【0010】
即ち、無線通信状態を図9に示すと、ディスク1のRFIDチップ2bに同調回路2dを介して接続されたコイルアンテナ2cは、ブースタアンテナ3の第1コイル部3aと近接し、信号の送受信が行われる。
ブースタアンテナ3の第1コイル部3aは、同調回路3bを介して第2コイル部3bと接続してあり、この第2コイル部3bが、リーダ・ライタ4のコイルアンテナ4aと近接することで、リーダ・ライタ4側と送受信が可能となる。コイルアンテナ4aは、同調回路4bを介してリーダ・ライタ4の主回路4cと接続してあり、主回路4cからコイルアンテナ4a側に磁束を出力する。
【0011】
このように図8に示したブースタアンテナ3をディスクケース1に取付けて、図9に示したようにこのブースタアンテナ3で中継させ、ディスクケース1の端面17にリーダ・ライタを近接させることで、ディスク1に貼付けたRFIDタグ2bの読み書きが可能となる。
【0012】
非特許文献1には、図書館における蔵書や貸出しの在出庫管理において、RFIDタグを該当品に貼付けて、シェルフアンテナと高出力型リーダ・ライタを用い、10〜20枚単位でRFIDタグの情報を一括で読み取りを行うことについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−207875号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】IT図書館システム 株式会社内田洋行http://www.uchida.co.jp/ulius/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の非特許文献1に記載された如き構成の図書館用の管理システムは、例えば4W程度の高出力のリーダ・ライタを用い、シェルフアンテナ上のRFIDタグを複数枚一括読みする方式であり、1枚を特定して読む方式では無い。従って、1枚1枚のディスクの正確な収納位置を判断して管理することは、従来のシステムでは困難である。またデータベース側からの逆引きで管理ディスクの置き場所を探す際も、アンテナは特定するもののアンテナ上に複数枚あるタグから特定した1枚を瞬時に報知できるものでは無い。
【0016】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ディスクに配置されたRFIDタグとリーダ・ライタを使って、多数収納されたディスクの1枚ずつの確実な管理が良好にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、複数のディスクケースを収納して管理するディスク管理システムに適用される。
収納されるディスクケースは、ケース内のディスクに配置された非接触無線を行うタグの近傍とケースの端面とを中継するブースタアンテナを備える。
複数のディスクケースを収納する収納棚は、複数のディスクケースを1つ配置するディスクケース配置部と、ディスクケース配置部の1つのディスクケース配置箇所ごとに設けられ、端面と接する位置に配置された複数のリーダ・ライタ用アンテナを備える。
複数のリーダ・ライタ用アンテナは、スイッチを介して選択的にリーダ・ライタと接続する。そのリーダ・ライタ部でのタグとの通信に基づいて、ディスクケース配置部のそれぞれの配置箇所に配置されたディスクケース内のディスクを認識して、認識したディスクの収納位置をデータベースとして管理する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、収納棚に配置された複数のリーダ・ライタ用アンテナが、ディスクケースに内蔵されたブースタアンテナを介して、ディスクケース内のディスクのタグと通信を行い、タグのデータの読み出し及び書き込みが行える。この場合、リーダ・ライタ用アンテナが複数配置されて、それぞれの配置位置が、1つ1つのディスクケース収納場所に対応していることで、どのアンテナを介して通信が行えたかで、ディスクケース及びディスクの棚上の収納位置が判り、ディスクの収納棚への収納の有無の管理が良好に行える効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態の例による装置の一部を破断して示す斜視図である。
【図2】図1例の装置でディスクケースを収納した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるシステム構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるアンテナ切り替えとLEDの点灯制御例を示す回路図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるディスク管理処理例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態によるディスク検索処理例を示すフローチャートである。
【図7】ディスクにタグシートを貼り付けた状態の例を示す説明図である。
【図8】ブースタアンテナ付きのディスクケースの構成例を示す説明図である。
【図9】ディスクとリーダ・ライタとの通信状態の例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図6を参照して説明する。
本実施の形態においては、背景技術の欄で図7〜図9を用いて説明した、ディスク1の中心部の近傍に、RFIDチップ2b及びコイルアンテナ2cを配置したタグシート2を貼り付けたものを使用する。そのディスク1を収納するディスクケース10についても、図8に示したようにブースタアンテナ3を備えて、ケースの端面17に近接させたリーダ・ライタ用のアンテナで通信できる構成としたものを用意する。なお、本実施の形態においては、RFIDチップ2bがブースタアンテナ3を介してリーダ・ライタとの間で近距離無線通信を行う通信方式については特に説明をしないが、RFID用として既に実用化されている各種方式が適用可能であり、例えば13.56MHzを共振周波数として、リーダ・ライタとRFIDとの間で通信を行う。
【0021】
図1及び図2は、本実施の形態の収納棚20の構成例を示した図である。
収納棚20は、底板22の上に仕切り板23が一定の間隔で配置してあり、この仕切り板23で仕切られる位置に、1つのディスクケース10を置くことができる。ディスクケース10を置く際には、各ディスクケース10の端面17(図8参照)を下側にしておく。この端面17は、ブースタアンテナ3の第2コイル部3cが配置された面である。
【0022】
仕切り板23で仕切られた各ディスクケースの収納場所の底板22には、コイルアンテナ21a,21b,・・・,21m,21n(nは任意の整数)が内蔵させてある。この複数のコイルアンテナ21a〜21nは、リーダ・ライタ用のアンテナとして機能するものであり、ディスクケースの収納場所に沿って細長い形状に導体を所定の複数回巻回させたアンテナである。各コイルアンテナ21a〜21nとリーダ・ライタとの接続状態については後述する。
【0023】
また、図1に示すように、底板22の前端部には、各ディスクケースの収納位置に対応して、発光手段であるLED(発光ダイオード)31a,31b,・・・,31m,31nが配置してある。このLED31a〜31nの点灯は、ディスクケースの収納状態に応じて制御される。点灯制御の詳細については後述するが、例えば、図2に示すようにディスクケースが正しい位置に収納された場合に、その収納位置の下のLEDを点灯させる。
【0024】
なお、図1及び図2では数個のディスクケース10が収納される構成を示してあるが、実際には数十個あるいは百個以上のディスクケース10を収納できる棚として構成される。また、図1では右端のディスクケース10だけ内部にディスクが収納されている状態を示しているが、その他のディスクケース10についても内部にディスクが収納されている。
【0025】
次に、図1及び図2の構成の収納棚20に接続されるリーダ・ライタなどの構成を、図3を参照して説明する。
収納棚20の底板22に配置した各コイルアンテナ21a〜21nは、図3に示すように、切り替えスイッチ44に接続してあり、そのスイッチ44を介してリーダ・ライタ42と接続される。切り替えスイッチ44は、管理部41からの指令に基づいて、アンテナ制御部43が切り替え制御する。例えばアンテナ制御部43の制御で、切り替えスイッチ44は、複数のコイルアンテナ21a〜21nを所定時間ごとに順に選択して接続させる切り替え処理を行う。例えばコイルアンテナ21a〜21nが100個である場合、その100個のコイルアンテナ21a,21b,・・・を順に選択して、リーダ・ライタ42に接続させて、その接続されたコイルアンテナで通信を行う。
【0026】
各コイルアンテナ21a〜21nが接続されるリーダ・ライタ42は、接続されたコイルアンテナから磁束を出力させて、ブースタアンテナ3を介して近接したRFIDチップと無線通信を行って、そのRFIDチップからデータを読み出すと共にデータを書き込ませる処理が行われる。このリーダ・ライタ42による読み出し及び書き込みについては、近距離無線通信により読み書きを行うリーダ・ライタとして一般的なものが適用可能である。
【0027】
リーダ・ライタ42は、ディスクの管理を行う管理部41に接続してある。この管理部41とその周辺の処理部は、例えばパーソナルコンピュータ装置とその周辺機器で構成される。
リーダ・ライタ42は、タグシート2側のRFIDチップから通信で得たデータを管理部41に送ると共に、管理部41から供給された書き込ませる必要のあるデータを、タグシート2側のRFIDチップに送信させる。
管理部41には、収納棚20で保管するディスクについてのデータを、データベース42として保持する。このデータベース42は、ディスクのコード番号や、ディスクに記録されたコンテンツに関するディスクなどの他に、どの収納棚20のどの位置に配置されるのかのデータや、貸し出し中か否かなどのデータが保存される。
【0028】
管理部41には、ディスプレイ45が接続してあり、ディスプレイ45で管理状態を表示させることができる。また、キーボードなどの入力部46を備えて、各種データの入力が行える構成としてある。
さらに、収納棚20に配置したLED31a〜31nの点灯を制御する点灯制御部47を備え、管理部41からの指令で、各LED31a〜31nを個別に点灯させることができる。例えば図2に示すように、ディスクケース10が置かれた位置に対応した特定のLED例えば31bのみを点灯させることも可能である。
【0029】
図4は、切り替えスイッチ44とLED31a〜31nの点灯を制御する具体的な回路構成を示した図である。図4では、1組のコイルアンテナとLEDに接続される構成を示した図である。RF入力端子51に送信信号が供給され、アンテナ切り替え信号入力端子52にアンテナ制御部43からの切り替え信号が供給され、点灯制御信号入力端子53に点灯制御部47からの点灯制御信号が供給される。
【0030】
点灯制御信号入力端子53に得られる点灯制御信号は、抵抗器R1を介してトランジスタQのベースに供給し、トランジスタQのコレクタ・エミッタ間に接続された発光ダイオードDの点灯を制御する。発光ダイオードDが、図1〜図3に示したLED31a〜31nに相当する。発光ダイオードDには並列にコンデンサC1が接続してあり、発光ダイオードDのカソードを接地させてあり、トランジスタQのベースとエミッタとの間に抵抗器R2が接続してある。
【0031】
RF入力端子51は、コンデンサC,PINダイオードD,コイルLの直列回路を介して、発光ダイオードDのアノードに接続してある。コイルLはコンデンサC,Cと共にアンテナを構成する素子であり、コイルLとコンデンサC,Cの定数でアンテナとしての共振周波数が決まる。
また、所定の電源電圧Vcc(例えば9V)が得られる電源ラインを、フォトカプラIcの発光ダイオード側と抵抗器Rを介してトランジスタQのコレクタに接続してある。トランジスタQのベースには、アンテナ切り替え信号入力端子52に得られる切り替え信号が抵抗器Rを介して供給され、トランジスタQのエミッタは接地させてあり、トランジスタQのベースと接地側との間に抵抗器R6を接続してある。
【0032】
また、電源電圧Vccが得られる電源ラインを、フォトカプラIcの受光素子と抵抗器RとコイルLとの直列回路を介して、コンデンサCとPINダイオードDとの接続点に接続する構成としてある。さらに、PINダイオードDとコイルLとの接続点を、コンデンサCを介して接地側と接続させてあり、抵抗器RとコイルLとの接続点を、コンデンサCを介して接地側と接続させてある。
【0033】
この図4に示す回路構成としてあることで、アンテナ切り替え信号入力端子52にローレベル“L”の信号が得られる状態では、トランジスタQがオフ状態でRF入力端子51からの信号がアンテナであるコイルL側には供給されない。これに対して、アンテナ切り替え信号入力端子52にハイレベル“H”の信号が得られることで、トランジスタQがオン状態となり、PINダイオードDに電流が流れて、アンテナであるコイルL側に信号が流れて、無線送信が行われる。
【0034】
また、点灯制御信号入力端子53に得られる信号がハイレベル“H”であるときには、トランジスタQがオン状態となり、発光ダイオードD1が非発光状態となり、点灯制御信号入力端子53に得られる信号がローレベル“L”であるときには、トランジスタQがオフ状態となり、発光ダイオードDが発光状態となる。
【0035】
次に、図3に示した管理部41でのディスクの管理処理例を、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。
まず管理部41はアンテナ切り替えコマンドを送出し(ステップS11)、アンテナ制御部43から図4に示した各トランジスタQのオン・オフ制御を順に行って各収納位置のスキャンを行い、それぞれの位置のアンテナ21a〜21nを使って通信した結果から、ディスクケース内のディスクの位置を判別する(ステップS12)。
【0036】
そして、データベース42に記憶されたディスクの位置と、ステップS12でのスキャンで得た結果とを照合し(ステップS13)、一致する場合には、ステップS12のスキャンを定期的に随時行う。
ステップS13で、データベースと一致しない場合には、データベースに記憶されたディスクが別の収納位置にあるか否か判断する(ステップS14)。ここで、別の収納位置にある場合には、ディスクケースの置き間違いであると判断して(ステップS15)、注意を促すアラーム処理を実行させる(ステップS16)。この注意を促すアラーム処理としては、例えば置き間違いであると判別されたディスクの下側のLEDを点滅させる。或いは、図3に示したディスプレイ45での表示で警告させるようにしてもよい。
【0037】
また、ステップS14でデータベース上のディスクが、別の収納位置にもないと判断した場合、該当するディスクの貸し出し処理が行われているか否か判断し、貸し出し処理が行われていない場合には盗難された可能性があるとして、その旨をディスプレイ45での表示などで警告させる。
貸し出し処理が行われている場合には、返却予定期間を過ぎて返却済みか否か判断し(ステップS18)、返却予定期間を過ぎて返却されていない場合に、警報としてのアラーム処理を実行させる(ステップS19)。この警報のアラーム処理については、例えば該当する収納位置の下側のLEDを点滅させるか、図3に示したディスプレイ45での表示で警告させる。
ステップS18で返却済みである場合には、ステップS12のアンテナスキャンに戻る。
【0038】
図6は、収納棚20にディスクケースが収納された状態で、必要なディスクが納められたディスクケースを探し出す処理例を示したものである。
まず、操作を行うユーザは、図3に示した入力部46などによりディスク名(タイトル、曲名、演奏者名など)を入力させる(ステップS21)。この入力されたディスクのデータをデータベース42から探しだし、収納位置を特定する(ステップS22)。その後、特定した収納位置の真下のアンテナを選択して、該当する収納位置に収納されたディスクケース内のディスクのRFDIチップとリーダ・ライタで通信させて、データベースと収納されたディスクとを照合させる(ステップS23)。この照合で一致するか否か判断し(ステップS24)、一致した場合には、該当する収納位置のLEDを点灯させる(ステップS25)。
【0039】
また、ステップS24で一致しない場合には、置き間違いであると判断して(ステップS26)、注意を促すアラーム処理を実行させる。このアラーム処理としては、例えばステップS21で指示されたディスクが間違って置かれた位置のLEDを点滅させると共に、本来の収納位置のLEDについても点滅させる。或いは、図3に示したディスプレイ45での表示でアラーム処理を行う。
【0040】
以上説明したように本実施の形態のシステム構成とすることで、ディスクに取付けたRFIDを読み出して、そのディスクの収納位置を判別することができ、ディスクの管理が良好に行える効果を有する。即ち、収納棚に置かれた全てのディスクについて、データベースに登録されたディスクと一致するか否かの管理が行え、また、それぞれのディスクの収納位置が正しいかについても判るようになる。
従って、ディスクを実際にディスク再生装置を使って再生させる作業をしないで、多数のディスクについてのデータを取得でき、効率のよい管理が行える。
【0041】
また、例えば周期的に収納棚上のディスクの存在を管理部が確認することで、ディスクの抜き取りなどの盗難の監視についても行える。本実施の形態の場合には、ケースそのものにRFIDが貼られたものを検出するのではなく、ケース内部のディスクに取付けられたRFIDと通信するので、ディスクだけがケースから抜き取られた場合でも、そのことを検出でき、確実な盗難監視が行える。
【0042】
さらに、収納されたディスクの中から必要なディスクを探す際にも、LEDの点灯などで判り、必要なディスクを簡単に探せるようになる。
また、ディスクを販売する商店の陳列棚に適用した場合には、ディスクの販売や盗難の管理ができるだけでなく、顧客の嗜好の調査も可能になる。即ち、例えばそれぞれのディスクケースが陳列棚(収納棚)から一時的に抜かれることを、管理部側でカウントすることで、顧客が興味をもっているディスクを調査でき、ディスクの販売などを行う上で有益な嗜好データが得られるようになる。
【0043】
なお、上述した実施の形態で各図に示した構成や処理は、好適な一例を示したものであり、本発明は、これらの構成や処理に限定されるものではない。例えば、収納棚を図1に示したものとは異なる形状にしてもよい。図1の例では、仕切り板23で収納位置を仕切る構成としたが、仕切り板23がない構成としてもよい。発光手段としてもLEDについても、図示のものとは異なる位置に配置してもよい。また、LEDについては、例えば複数の色で発光する構成として、正しい位置に配置されたものを第1の色(青色など)で点灯させ、盗難などを警告する際に第2の色(赤色など)で点灯させるようにしてもよい。
【0044】
また、本実施の形態においては、図7に示すようにRFIDタグが取付けられたシートをディスクの中心近傍に貼付けたものを使用したが、その他の構成でディスクにRFIDタグが取付けたれたものに適用してもよい。例えば、ディスクにRFIDタグが埋め込まれたものに適用してもよい。或いは、ディスクケースにRFIDタグが貼付けられたものにも適用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…ディスク、1a…孔、2…タグシート、2a…孔、2b…RFIDチップ、2c…コイルアンテナ、2d…同調回路、3…ブースタアンテナ、3a…第1コイルアンテナ、3b…同調回路、3c…第2コイルアンテナ、4…リーダ・ライタ、4a…コイルアンテナ、4b…同調回路、4c…主回路、10…ディスクケース、11…下ケース、12…上ケース、13…ディスクトレイ、14…ディスク載置部、15…ディスク保持機構、16…孔、17…端面、18…支点部、20…収納棚、21a〜21n…コイルアンテナ、22…底板、23…仕切り板、31a〜31n…LED、41…管理部、42…データベース、43…アンテナ制御部、44…切り替えスイッチ、45…ディスプレイ、46…入力部、47…点灯制御部、51…RF入出力端子、52…アンテナ切り替え信号入力端子、53…点灯制御信号入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスクケースを収納して管理するディスク管理システムにおいて、
収納される前記ディスクケースとして、
ケース内のディスクに配置された非接触無線を行うタグの近傍とケースの端面とを中継するブースタアンテナを備え、
前記複数のディスクケースを収納する収納棚として、
前記複数のディスクケースを1つずつ個別に配置するディスクケース配置部と、
前記ディスクケース配置部の1つのディスクケース配置箇所ごとに設けられ、前記端面と接する位置に配置された複数のリーダ・ライタ用アンテナとを備え、
前記収納棚の複数のリーダ・ライタ用アンテナは、スイッチを介して選択的にリーダ・ライタ部と接続し、
前記リーダ・ライタ部での前記リーダ・ライタ用アンテナ及び前記ブースタアンテナを介した前記非接触無線を行うタグとの通信に基づいて、前記ディスクケース配置部のそれぞれの配置箇所に配置されたディスクケース内のディスクを認識して、認識したディスクの収納位置をデータベースとして管理する管理部を備えたことを特徴とするディスク管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のディスク管理システムにおいて、
前記管理部は、前記データベースと一致しない位置にディスクが配置された場合に警告動作を行うことを特徴とするディスク管理システム。
【請求項3】
請求項2記載のディスク管理システムにおいて、
前記警告動作は、前記ディスクケース配置部の1つずつのディスクケース配置箇所ごとに設けた点灯手段で行うことを特徴とするディスク管理システム。
【請求項4】
請求項1記載のディスク管理システムにおいて、
前記管理部は、前記データベースで管理しているディスクが前記ディスクケース配置部に収納されていないことを検出した場合に警告動作を行うことを特徴とするディスク管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−205345(P2010−205345A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50238(P2009−50238)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(506150146)ビフレステック株式会社 (16)
【Fターム(参考)】