ディスク被覆システム
【課題】多数のステーションを有する磁気ディスク等の基板を処理するフートプリントの小さいシステムを提供する。
【解決手段】それぞれの上部に処理チャンバが積層され、さまざまなサイズのディスクを取るように調節可能なディスクキャリア上でディスクがシステムを通じて移動するところのディスク処理及び製造装置が記述されている。ディスクはロードゾーンを通じてシステムに進入し、その後ディスクキャリア内に装着される。ディスクはキャリア内にあって、ひとつのレベルで、処理チャンバを通じて連続的に移動し、その後、リフトまたはエレベータにより他のレベルへ移動する。他のレベルにおいて、再びディスクはシステムを通じて連続的に移動し、その後アンロードゾーンで出力される。
【解決手段】それぞれの上部に処理チャンバが積層され、さまざまなサイズのディスクを取るように調節可能なディスクキャリア上でディスクがシステムを通じて移動するところのディスク処理及び製造装置が記述されている。ディスクはロードゾーンを通じてシステムに進入し、その後ディスクキャリア内に装着される。ディスクはキャリア内にあって、ひとつのレベルで、処理チャンバを通じて連続的に移動し、その後、リフトまたはエレベータにより他のレベルへ移動する。他のレベルにおいて、再びディスクはシステムを通じて連続的に移動し、その後アンロードゾーンで出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクを作成する際に使用される基板のような薄い基板を扱いかつ処理するためのシステム及び処理方法に関する。特に、本発明は、いくつかの処理ステーションにおいて、さまざまな被覆技術を使用する際に、両面同時に基板処理するための改良されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2002年7月1日付けニューヨークタイムズでディスク生産者が説明するように、家庭に持ち帰るためのプラスチックトレイは、現在のコンピュータハードディスクよりも粗利益が高い。しかし、我々は、今日、複雑なコンピュータチップと同じくらい多くの技術を含むディスクを要求する。本発明はこのようなディスク製造の改良に関し、より高度なディスク技術の創造及びコスト低減を可能にする。
【0003】
米国特許第5,215,420号及び第5,425,611号は、ディスク製造に使用される基本的な装置を説明する。この装置は、MPD250と称し、カリフォルニア州サンタクララのインテバック・インコーポレイテッドより購入することができる。装置は、メインチャンバ、搬入出ロードロック、基板ロード及びアンロードステージ、及び複数の処理ステーションを含む。ディスクはシステム内に送り込まれ、処理ステーション内で処理され、その後コンピュータのハードディスクのような使用に適したディスクとしてシステムから送り出される。MPD250の開発以前には、米国特許第4,981,408号に記載されるようなカリフォルニア州パロアルトのバリアン・アソシエイツから入手可能であった装置が存在した。他に、日本のアネルバ・コーポレイションのC-3040がある。装置の目的のひとつは、基板上により厚い膜を蒸着することである。このシステムを記載する特許は、米国特許第6,027,618号、第6,228,439B1号及び第6,251,232B1号である。これらの特許文献はここに参考文献として組み込まれる。
【0004】
これらの従来技術のひとつの欠点は、かなり大きなフットプリントを占めることである。そのいくつかは非常に長い。他にも概して長方形の面積を占め、一部屋全部である。ディスク製造用のこれらの装置は典型的に大きいサイズのクリーンルーム内で実行されるため、装置は過剰に大きくなりかつ非常に高価なクリーンルームを必要とする。
【0005】
近年、技術に進歩に従い、オリジナルのシステムにアドオンを追加することが必要になってきた。例えば、このようなアドオンのひとつが、ツールから除去される前に、ディスクを潤滑させるための潤滑油ステーションである。これは、米国特許第6,183,831B1号及び2000年5月1日出願の米国特許出願第09/562,039号に記載されている。他は、プラズマ強化CVDを使ってダイヤモンド状被覆を形成するために炭素の蒸着を扱わなければならない。これは、例えば、米国特許第6,101,972号、6,203,862号及び6,368,678B1号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,215,420号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
放射状システムにおいて、装置の一部として機能することができる処理ステーションの数に関して限界が存在する。典型的に、既存のシステムは約12個のステーションに制限される。ステーションを付加するには、装置の大幅な設計変更が必要となり、工場は、より多くのステーションを有するシステムがそのフットプリントをかなり増加させることを容易に予想できる。これらのシステムにおいて、概して、装置のさまざまなステーションへ基板を運ぶのに同じ基板ホルダが使用される。基板ホルダを変えることが必要または所望されるなら、システムの動作停止及び生産停止が必要になる。また、基板が動いている間にこれらのシステム内で処理を行うことは不可能であり、これによりパスバイモードで蒸着が実行される際に非常に薄い層の蒸着が禁止される。
【0008】
線形機械は放射状システムが経験したのと同じ種類の問題を有する。それは大きなフットプリントを有し、基板ホルダを変更するにはシステム及び生産を停止する必要がある。任意のアドオンはフットプリントを拡張し、ステーション数が設備の空間的制約により制限される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好適実施例は、比較的小さいフットプリントを有する構造において高いスループットで、両面同時に、垂直位置で、基板を処理するシステムである。システムはフレキシビリティを有し、処理ステーションの付加を許す。システムは、基板キャリアがある処理ステーションに制限され、その後クリーンキャリアが他のステーションで使用されるべく交換されるように分割されている。これは、従来の装置では不可能であり、この特性により通常キャリア上に蒸着し後続の処理ステーションを汚染する処理を使って、基板を被覆することが可能になる。当該システムはスタンドアロンタイプであるか、または他のシステムの能力を拡張するために他のシステムに接続されてもよい。システムアーキテクチャーは、基板が処理中に固定されているところの静的処理及び基板が処理中に移動するところのパスバイ処理の両方を可能にする。本発明のアーキテクチャーは、装置のスツープットを増加させる技術的要求の変更に従い、付加的処理が基板上で実行されるよう、フットプリントを実質的に変更することなく付加的ステーションを追加することを可能にする。他の修正により、装置のフットプリントを変更することなく、生産力を二倍またはそれ以上にするよう、それぞれの処理ステーション内で一枚以上の基板を保持するホルダに基板ホルダを交換することが可能になる。これら及び他の利益及び改良は以下の詳細な説明で議論される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、従来の基板処理システムの平面図である。
【図2】図2は、本発明に従う23個ステーションシステムの略示図である。
【図3】図3は、本発明に使用するためのひとつの処理モジュールの略示図である。
【図4A】図4Aは、本発明の異なる処理モジュールへディスクを移送するために使用されるディスクキャリアの略示図である。
【図4B】図4Bは、ディスク移送機構の正面図である。
【図4C】図4Cは、ディスク移送機構の側面図である。
【図5A】図5Aは、処理ステーションの支持構造体の略示図である。
【図5B】図5Bは、処理ステーションの水平断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明のマルチステーション小フットプリントシステムが円形システムと結合されるところのシステムの略示図である。
【図6B】図6Bは、同じ装置の側面略示図である。
【図7】図7A、B、C、D及びEは、基板及び関連するディスクキャリアが移動するプログラムされた経路を示す移送図である。
【図8A】図8Aは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図8B】図8Bは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図8C】図8Cは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図8D】図8Dは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図8E】図8Eは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図9】図9は、キャリア交換モジュールの略示図である。
【図10】図10A、B、C及びDは、キャリア交換シーケンスを示す。
【図11】図11は、2枚ディスク用のホルダを有する処理ステーションの略示図である。
【図12】図12は、システム動作サイクルを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来の基板処理システムが図1に示されている。ここで、同じ構成要素は同じ符号で示される。図1に示されるように、システムは処理装置10及び基板ハンドリングシステム20を有する。処理装置10は、メイン真空チャンバ40上に設置された複数の処理ステーション30、32、34等を含む。処理ステーション30、32、34等はメイン真空チャンバ40の円中心に関して円形配列で設置されている。さらに、処理装置10は、処理用システム内に基板を搬入するためのロードステーション42及び処理済のシステムから基板を搬出するためのアンロードステーション44を含む。典型的に、基板は磁気ハードディスクを作成するためのまたは磁気光学ディスクを作成するための基板である。基板及び最終的なディスクは中央開口部を有する。さらに、基板処理システムは、真空ポンプ、電源及び制御器(図示せず)を含む。
【0012】
処理は、システム要求に応じて、同じかまたは異なる処理ステーション30、32、34等内で実行される。図1の例において、システムは等角間隔に配置された12個の処理ステーション、ロードステーション42及びアンロードステーション44を有する。処理ステーションは、磁気ディスクを製造する際に従来技術で採用されるような、ひとつまたはそれ以上の加熱ステーション、スパッタステーション、冷却ステーション、化学気相成長ステーション等から成る。基板は、一枚ずつ各ステーションで同じ時間の間連続して移送され、処理ステーションにより処理されるようにシステムを通じて移動される。基板ホルダは、処理ステーション及び中央チャンバ内の汚染を避けるように、処理動作中、メイン真空チャンバから処理ステーションをシールする。
【0013】
メイン真空チャンバ40内には、複数の基板グリッパまたはディスクグリッパが、それぞれの処理ステーション内で持ち上がるように各処理ステーションに関して配置されている。基板ハンドリングシステム20は、バッファ真空チャンバ90、ロードロック92、入口コンベア94、アンロードロック96及び出口コンベア98を含む。処理用基板を運ぶカセット100a、100b、100c、100dはロードロック92を通じてバッファ真空チャンバ90内に入り、アンロードロック96を通じてバッファ真空チャンバ90から出る。この構成において、ロードアーム102はカセット100bからロードステーション42内のディスクグリッパまたはリフタ70へ基板を移送する。アンロードアーム104はアンロードステーション44内のディスクグリッパまたはディスクリフタ70からカセット100cへ基板を移送する。基板ハンドリングシステム20は、ここに参考文献として組み込む上記米国特許第5,215,420号に詳細に説明されている。
【0014】
図2において、本発明に従うシステムの好適実施例が示されている。このシステムは、処理ステーションの第2レイヤーが処理ステーションのベースレイヤーの上に配置された状態で、積層関係の多くの処理ステーションから成る。これには、図1に示されるような従来技術に見られる大きな中央真空メインチャンバが存在しない。それにより、システムを通じて被処理基板を移動するための制御された循環が可能になる。それは、従来のシステムにより占有されていたフットプリントをかなり減少させ、より多くの処理ステーションを稼働させることが可能である。それにより、大きなフットプリントを有する従来技術で実行されていた作業と同じ数の作業を、非常に小さいフットプリントで実行でき、またはより多くの数の処理作業を、システムを通過する基板上に施すことが可能となる。さらに、以下の図面に関して説明されるように、各ステーションで実行される処理用の個別雰囲気を形成するよう、ターボ分子またはクライオポンプのような真空ポンプにより、各処理ステーションは別々に排気される。
【0015】
図2を参照して、23個のステーション処理システムが図示されている。実際に、ステーションの数はより多くも少なくもできる。ステーションは101〜123で示される。125で示されるシステムをロードするために、基板のカセットがロード/アンロード孔126に送り込まれる。カセットは、経路に沿って、ロード/アンロードステーション129でのポジションへ移動する。ディスクキャリア(図4A参照)はロード/アンロードチャンバ129内に移動し、そこでアンロード側の移送機構は、処理サイクルを通過したディスクキャリア内のディスクを内側ホールによりグリップする。その後、ディスクキャリアのジョーが開放され、処理済の基板がディスクキャリアから除去され、図1の従来技術で説明されたものと類似のリフトブレードへ移送される。その後、リフトブレードは基板またはディスクをカセット内に配置する。ロード側からこの同じロード/アンロードステーション129において、従来技術と同様のリフトブレードがカセットから基板またはディスクを持上げ、ロードチャンバ内に上げる。搬送機構はリフトブレードからディスクをディスクキャリアへ移送し、そこで、ジョー134及び136はディスクキャリア内でディスクをグリップするよう閉じる。その後、ディスクキャリアはエレベータ128へ移動し、処理ステーションの上部セット近くであってステーション101のすぐ隣りのレベルまで持上げられる。その後、基板及びキャリアは一単位として移動し、ステーション101内へ移送され、そこでディスクの処理が開始される。その後、基板130及びディスクキャリアの単位は処理ステーション102の隣りに移動する。ステーション102での処理の後、基板及びディスクキャリアはステーション103の隣りへ移動し、そこでディスクは付加的な処理作業を実行される。ディスクキャリア上の基板は、101から単位がエレベータ131に入るところの112まで上部レベルに沿って、ひとつの処理チャンバから次へと直列に移動する。その後、単位は下部レベルまで下げられ、ステーション123から113へ戻る。それに沿って、ディスクは、製造要求に従って処理される。例えば、基板搬入システムはディスクが晒される処理を考慮する際ある意味で浸水しているので、エレベータチャンバはディスク及び真空システムから水分を除去するための水ポンプまたはマイスナートラップのような冷却トラップを含む。第1ステーション101において、ディスクは被覆処理を実行する前にプレコンディショニングを続けるべく加熱される。
【0016】
電力制御器132が処理ステーションの上下に配置されている。しかし、それらはシステムの端部に配置される。システムが電力集中処理用に多数の制御器を要求する場合、制御器は別々のキャビネット内に配置される。図2に示されるように、システムは、システム125の左側のオペレータステーション133でのエントリーにより駆動され、プログラムされる。ステーション127はロード/アンロードステーションとして記述されているが、実際には、ステーション123の隣りの他端で実行されるアンロード動作を有するシステム内に基板をロードするよう作用するのみである。アンロードステーションはロードステーションと対向する位置にユニットの裏側に見られる。これは、以下の図面においてよりはっきりと示される。基本的に、それはロードステーションに見えるが、システムをアンロードするよう機能する。ディスクまたは基板を保持するディスクキャリアはアンロードステーションに移動する。ジョー134、139が開いてディスクを移送機構へ開放し、移送機構はジョーからディスクを取る。移送機構は図1の構造で使用されるようなシステムかまたは以下で議論されるようなシステムである。移送機構は、ロードステーションで使用されるようなロードブレードまたは図1で使用されるロードブレードと一致するアンロードブレードへディスクを移送し、そこでディスクはカセットのロード側へ下げられる。
【0017】
図2は23個のステーションを有するシステム125を示す。しかし、特定の磁気ディスクの製造が処理済ディスクに実行された処理より少ない処理を要求するならば、23個またはそれ以上のステーションのシステム全部が要求されないか、または基板が制限された集合のアクティブな処理ステーションのみを通過するよう制御されるか、あるいはすべての処理ステーションが動作状態ではなくなる。変形的に、より小さいシステムが使用されてもよい。このようなシステムは例えばより少ない処理ステーションを含む。中央真空チャンバに依存しかつ円形構成を有するシステムと積層システムを合体させることも可能である。このような構造の利点は、制限された付加的面積またはフットプリントで磁気ディスクを形成する際に実行されるべき付加的または新しい処理が可能になるよう、製造者が本発明のシステムへ既存の装置を結合することが可能になるという点である。この点は以下の図6との関連でさらに議論される。
【0018】
図3には単一の処理モジュール135が示されており、図4Aにはディスクキャリア136が基板130とともに示されている。図4Bには、ロードステーションにおいてキャリア内にディスクを移送するための及びアンロードステーションにおいてキャリア外にディスクを移送するための機構が示されている。図4Cには機構の他の図面が示され、図4Bにはディスクキャリアとキャリア上のディスク配置の関係がより詳細に示されている。
【0019】
図3には、ディスクキャリア136が処理モジュール135内に配置されて示されている。分離バルブ144及び分離バルブドライバ145はチャンバ135の開口部129を開閉するよう動作する。基板130はディスクキャリア内に配置され、移動中ディスクキャリア内の定位置に保持される。基板は、内側ホール及びグリッパーアクチュエータ、並びにアンロードするためにディスクがグリップされた後またはロードするためにグリップが解かれる前にキャリアジョーを開くグリッパーアクチュエータ機構によってディスクをグリップする移送機構により、さまざまな処理チャンバ内での処理に従ってリリースされる。これらの動作は図4B及び4Cに示される。
【0020】
図4Bでは、基板のカセット202がロードドア204を通じて移送区画201内に送り込まれている。この位置で、基板は真空環境にある。処理済基板がアンロードゾーン207でアンロードされて移送ステーション201を離れてカセットに戻り、アンロードドア208を通じて移送ステーション及びカセットホルダ内の器具から除去されるまで、基板はこの位置ですべての操作中に真空環境のままである。ディスクのカセット202はこのサブシステムのロード区画の位置で示されている。カセットホルダは、カセットホルダ202の外部の上部移送ゾーン203を通じて、基板がディスクキャリア内にロードされるところのディスクロードゾーン205へ持上げられるような位置へ基板を配置するようカセットホルダを移送するホイール206上に乗っている。上記したようにディスクは、図1に示される従来のシステムで使用されるリフタと類似のディスクリフタによりカセット外部に持上げられる。この場合、リフタは開口部222を通じて上に移動し、カセットを通じて基板と係合し、その後、移送ゾーン203を通じて基板を持上げてディスクロードゾーン205内へ移送する。基板を受け取るカセット224へ被覆済み基板を戻すのに同様のリフタが使用され、カセットは基板のロードが完全に終了した後移送ステーション201を出る。リフタは基板をアンロードゾーンから取り出し、アンロード側の経路を通じて下へ移動し、その後基板をカセットに残し、リフタアームは開口部223を通じて移動する。
【0021】
基板は、最初に、移送ゾーン203の上のロードゾーン内に到達する。その位置で、ピックアップアーム210が外側に基板中央の穴の中に移動する。このアーム210は基板の中央区画に挿入されたクリップにより基板と結合し、基板中央の穴または開口部の内側エッジをつかむ。その後、アーム210は図に示される位置まで戻り、そこでディスクキャリアのジョーを順に開放する機構211を作動させる。その後、ディスクキャリアジョーはディスクまたは基板の周りに配置され、ピックアップアームからディスクを除去し、ディスクをつかんでさまざまな処理装置を通じてディスクを運ぶ。
【0022】
図4Cは図4Bに示されるディスクロード/アンロード区画の側面図である。図において、ディスクキャリア136は側面図で示されている。この図において、移送ドライブ区画212内に配置されたホイール137が見える。ホイールはシステムを通じてディスクキャリアを移送するのに使用される。ディスクキャリアは、一部が各チャンバのベースに配置され、一部が嵌合構造体として各ディスクキャリア216のベースに配置された磁気ドライブシステム212により処理チャンバから処理チャンバへ移動される。各ディスクキャリア及び各チャンバは、磁気ドライブシステム212による動作用の個別移送エレメントを有する。このシステムのホイールはロータリー真空フィードスルーを利用した通常のモーターにより駆動されるが、リニアモーターと置換されてもよい。ディスクキャリアは、キャリアベース216内に設置された400シリーズのステンレススチールのような軟質磁性材料により移動される。図4Cの下側区画に示されるのは、下部チャンバ内のカセット202の側面図である。
【0023】
基板130の挿入を可能にし、アンロードゾーン207内に処理済基板を解放するように、ディスクキャリア136を開放するべく作動される磁気作動システム211が示されている。このような磁気システムが4つ示されている。しかし、基板ホルダのジョーを開閉する目的を達成するために、これ以上または以下の磁気システムが使用されても良い。
【0024】
基板の周囲にはハロー構造体213がある。この構造体はディスクキャリア136に取り付けられ、直径が異なる基板の処理を可能にする。例えば、ハロー構造体は、サイズの異なる処理用基板がホルダ内に配置可能となるように、広げられまたは狭められ、あるいはディスクキャリアから除去される。ディスクキャリア内のディスクまたは基板は、ハロー構造体213のエッジで保持されるか、もしそれが使用されない場合にはディスクキャリア136自身により保持される。
【0025】
図5Aは、処理動作がシステム125内で実行されるところの典型的な処理チャンバ135の構造を示す。ディスクホルダは上部開口内にディスクを配置する。完全に組み立てられた状態で側面140は、隣りのチャンバ及びシステムの残りの部分から当該チャンバを分離するための分離シールを含む。冷却トラップ、真空ポンプまたは機器が頂部開口142に配置される。チャンバ用の主要真空ポンプは分離バルブボディ上でチャンバに隣接して配置され、開口140を通じて排気が行われる。好適実施例において、各チャンバは、各チャンバ内に均一かつ制御された真空環境を維持するためのクライオ、ターボまたは他の適当なポンプを有する。背面開口部及び正面開口部は、被覆または処理すべき基板の両側にターゲットとしてのソースを配置するために、スパッタ蒸着を実行するチャンバと関連して使用される。他の処理装置が、処理チャンバを包囲するチャンバ壁となるように、これらの開口部に配置されてもよい。ベースでの開口部には、ホイール及びディスクキャリアの下部領域、開口部を閉じるためのシール及び移送用のドライブモーター163が配置されている。
【0026】
図5Bは処理ステーションの各部のエレメントを示す。チャンバフレーム135に設置された2つのスパッタリングソースとともに、頂上にはターボポンプ149が示されている。図面にはまた、右側でこのチャンバをシールする分離バルブ144が見える。左側には、このチャンバを他のチャンバまたはエレベータに取り付けるための開口部129が示されている。通常隣りのチャンバは、チャンバが互いに分離されるように、このチャンバに取り付けられる側に分離バルブを有する。
【0027】
図6Aを参照して、円形システム147に接続された積層システム146が示されている。この結合装置は完全な処理システムであるか、または従来商業的に使用されている既存のシステムと連絡する積層型処理ステーションを与えることにより、既存の円形装置により多くの処理能力を付加することが可能である。この装置において、処理ステーション151を有する円形部分147は、レール144により支持され、チャンバ151から次のチャンバへ基板を移動することにより連続的に基板を処理する。装置146の第1区画は線形処理ステーションを示す。これらは、処理チャンバの上部に取り付けられた真空ポンプ149により識別される。上部処理チャンバが示されているが、システムはユーザーの要求及び/または所望に応じてこれ以上または以下のこのようなステーションを構成することが可能である。図6Aに示されていないが、この区画146は真空ポンプ149に結合されたステーションの下の下層処理ステーションを含む。これは図6Bに示されている。真空ポンプは各処理チャンバごとに存在する。同様の真空ポンプが積層146の下側部分の処理チャンバ用に下側に伸びる。これもまた図6Bに示されている。スクリーン148及びキーボード150は装置の動作を制御するためのオペレータステーション133を構成する。円形システム147は真空ポンプが取り付けられた単一の処理チャンバを含む。図1に示されるようなシステムに積層型フロントエンド区画146が結合されると、区画146のディスクキャリア内の基板は、基板ハンドリングシステム内にディスクを移送するか、またはロードステーション42でディスクグリッパ70へ移送しその後システム内に送られる。
【0028】
図7A〜Eは、図2に示される積層システムを通じてどのようにディスクが移動するかを示す一組の図である。図7は5つの異なる図から成る。ここでは、処理チャンバ内でディスクがどのように配置されるか、及びステーション間でディスクがどのように移送されるかが示されている。図中、ディスクは転々と移動するため、ディスクには1〜5及び18〜25の符号が付されている。図7Aにおいて、ディスク1は下部またはエレベータ128の入口にあり、ディスク2はエントリーステーションにある。基板3、4及び5は装置へのエントリーを待っており、ディスクキャリア内への移送を待っているカセット内に通常配置される。図7Bにおいて、エレベータは処理チャンバに搬入する位置のトップレベルまでディスク1を移動し、ディスク18は図4A〜Cとの関連で説明されたようなディスクキャリアから分離されている。その後、それはアンロードカセット内にアンロードされる。この図でディスク2は図4A〜Cとの関連で説明されたロードステーション内のディスクキャリアにロードされている。図7Cにおいて、ディスクキャリア内に載置されたディスク2がエレベータ内に移動する間、ディスク1はディスクキャリアにより第1処理ステーションに移動され、被覆処理が完了した基板18はシステムの外へ送り出される。ディスク3はシステムにエントリーするために配置され、ディスク19は出る準備ができており、ディスクキャリアから分離されている。図7Cに示された他のディスクは、システムを通じて移動する。処理ステーションの上層において、ディスク25、24及び23はひとつ右のステーションに移動し(図7Bの位置と比較して)、ディスク1は処置ステーション内に移動する。上層の最も右位置にあるディスク22が下方に移動し、その結果ディスク22は下層の最も右側の位置を占め、下層の他のディスクはひとつ左のステーションに移動する。図7Dにおいて、新しいディスク4がシステムに入る準備ができ、一方ディスク20はシステムを出るところである。上層のディスクがすべてひとつ右のステーションに移動し、最終ディスク23が下層ステーションに下降する。図7Eにおいて、ディスク5がシステムに入るところであり、ディスクキャリアに載置されたディスク4がエレベータ上にあり、ディスク3により占有されたエントリーステーションまで移動する準備ができた。ディスクは上記図面に示されたルートに従い上下移動し、ディスク20はシステムから出る。この構造及びプログラムに対するサイクルのこの時点で、図7Aでシステムへのエントリーを待っていたすべてのオリジナルディスク3、4及び5は搬入され、3つの新しい基板6、7及び8がエントリーを待っている。またこの時点で、ディスク18、19及び20の処理が完了し、システムから除去されている。システムは左右両側にエレベータを有する。左側のエレベータは処理チャンバの上層レベルまでディスクを移動し、右側のエレベータは処理用のディスクを下層レベルまで下げ、ディスクは下層処理レベルに沿ってエントリーポイントまで戻りその後システムから出る。
【0029】
図8A〜Eを参照して、システムは、ひとつの装置から他の装置へ基板を移動するためのスイングアームを有する2つの装置として示されている。基板はそれが従う経路及び移動を単純化するために符号が付されている。図8Aにおいて、基板6、7及び8はシステムに入るのを待つ位置にある。基板10及び11は処理され、装置から取り出されている。基板12は図8Bで処理済基板と一緒にされ、基板25が、スイングアーム153により左側の積層処理ステーションから右側の他の積層処理ステーションへ移動される。図8Eにおいて、基板6、7及び8がシステム内にあって処理されており、基板12及び13がシステムから出され、処理済ディスクと一緒にされ、それらはカセットホルダ内に再配置される。図8AからEに示されるように、ディスクはステーションからステーションへ移動する。
【0030】
図9において、キャリア交換モジュール156が示されている。さまざまな処理ステーションにおいて基板処理中に存在するキャリアは、処理ステーションで蒸着される材料により被覆される。例えば、典型的な製造プロセスにおいて、磁気ハードディスクを作成するために、アルミニウム基板に、スパッタ技術を使ってまずクロム層が被覆され、次にコバルト合金が蒸着され、次に磁気ディスクを製造するために製造プロセスに従いユーザーにより決定される他の層が蒸着される。蒸着の最終段階は、例えば米国特許第6,368,678号に記載されるようなプラズマ強化化学気相成長を使って、ダイヤモンド状の被覆を形成することに基づくものである。クロム、コバルト及び炭素がすべて同じ基板上に蒸着されるシステムにおいて、各処理に同じキャリアが使用されれば、キャリア上に不所望な材料の付着が生じる。これはそれ自身問題ではないかもしれない。しかし、キャリア上に蒸着された材料が後の処理工程の間に剥がれ落ち、その結果、信頼できないかまたは他の製品と同一でない製品を作るように、部分的に被覆された基板への新しい蒸着が妨げられまたは損なわれれば、問題である。この問題が発生するのを避けるために、本発明のシステムは基板の処理が実行される前にキャリアを新しくきれいなものに交換することができるよう戦略的に配置されたステーションを含む。図9はこのような交換モジュールを示し、図10A〜Dはキャリア交換シーケンスを示す。始めに、きれいなキャリア155が交換モジュール156内にロードされる。処理ステーション内でのキャリアの設定使用回数または特定の処理工程及び/または蒸着にキャリアを晒す設定回数の後に生じるようシステムにプログラムされた手動または自動送りによって、新しいキャリアがロードされる。後の作業及び被覆基板自身に有害な効果が生じる前に不純物が除去されるように、まず、キャリア交換モジュール内できれいなキャリアが予め調整される。キャリア交換モジュールは線形構造体の一方の端部または両端の同等な位置に配置される。例えば、それは、図8Aにステーション156及び159として示されるように、エレベータの向う側に存在する。同様のステーションが図8A〜Eに示されるスイングアームの位置に配置されてもよい。この構造により、ディスクが処理チャンバの第1セクションから第2セクションへ移動する際に、ディスクキャリアの変更が可能になり、その結果、ディスクが第2セクションに入るとき、ディスクは予めきれいにされたディスクキャリアにより装置の第1セクション内での処理から効果的に分離される。図8Aに示されるように配置される際、ディスクキャリアは、ディスクキャリアからディスクを移送した後にクリーニング用モジュールを入れることにより、運転停止して移送される。図9には、真空ポンプ149及び分離バルブ144が示されている。これらにより、汚染が生じることなく、キャリア交換モジュール156をシステムへ直接接続することが可能になる。この構造は、図8Aの156または159に示される位置に配置されるか、またはキャリアが交換されなければ汚染が生じるような他の任意の位置に配置される。既存の装置に結合する図6Aに示される装置は、線形装置146からディスクが移動する際にディスクキャリアから離れたディスクの手渡しを要求し、ディスクキャリア内のディスクは円形装置147へ移送され、ディスクはディスクキャリアまたは円形システム内にエントリーする際にディスクが配置されるカセットから持上げられる。ディスクがリフタ上に配置されると、その後ディスクはペデスタル方式の従来のキャリアへ手渡され、カセットへディスクを戻すためにまたは線形システム146内でさらに処理するようディスクキャリアへディスクを渡すために、リフタへ戻されるまでキャリアはシステムを通じてディスクとともに移動する。図9に示されるようなステーション156は、セクション146を通じたディスクの移動が完了しセクション147へ入る際に、キャリアからディスクを分離するためにこの位置に設けられる。同様に、ディスクのセクション147を通じた移動が完了しセクション146へ入る際、ディスクは図9と同じステーションできれいなディスクキャリアへ装填される。
【0031】
図10において、キャリア交換モジュールがエレベータ128の向う側に配置されている。図10のシステムは、新しいキャリアが準備されるとキャリアをスキップロードするようプログラムされる。新しいキャリア155はスキップロードされたキャリア157と置換するために使用される。これは最初のチャンバ内の空キャリア157により示される。空キャリアはエレベータ128により上方に移動する通常のシーケンスに従う。これは図10Bに示される。図10Cにおいて、キャリアの交換が示されている。きれいなキャリア155が交換されたキャリア157と置換され、図10Dに示されるようにきれいなキャリアが通常のフローサイクルで移動し、クリーニングが必要なキャリア157がクリーニングされ、その後交換が必要な次のキャリアと置換するのに使用するべく交換モジュール内へ挿入される。
【0032】
図11を参照して、2枚のディスクを同時に保持するディスクキャリアが示されている。これはグリップ機構を使って達成され、それはディスクキャリアがシステムを通じて移動する際にさまざまな処理チャンバ内で処理位置に2枚のディスクを保持する。ディスクキャリア内に存在するディスクが2枚でも1枚でも各処理チャンバ内で消費される時間は同じであるため、この設計はシステムのスループットを2倍にする。
【0033】
図12は図2に示されるシステム125により使用可能なサイクルを示す。このサイクルは1動作あたり5.1秒である。移送に1秒かかり、処理に4.1秒かかる。これらの時間は変化するが、システム125はこの時間制約に従い動作可能である。この速度での動作は1時間に700枚の被覆基板を生成し、通常の1日8時間作業では月に150万枚以上のディスクを製造できる。
【0034】
処理ステーション内での処理は詳細に説明されなかったが、この装置はこの点で真の利点を与えることが理解されよう。例えば、ディスクキャリアは処理ステーション内に進入し、処理中に多くの処理ステーションを通じて連続的に移動する。これは、パスバイ処理として知られている。これはある種の蒸着に対して有効である。2つまたはそれ以上の処理ステーションを結合することも可能であり、同じプロセスにおいてより多くの時間基板を処理することも可能である。したがって、ひとつの基板をある温度に上昇させるために2つまたはそれ以上の処理ステーションを使用する代わりに、同じ結果に対して多くの移動及び複数のステーションを通常必要とする単一ステーションまたはそれと同等なステーション内で所望の機能を実行するように、2つまたはそれ以上の処理ステーションがひとつの大きな処理ステーションに組み合わされる。処理時間はひとつのサイクルあたり通常約5秒かかるが、これはある処理動作に対しては非常に短い時間であるが他の処理動作に対しては長い時間である。したがって装置は動作を変更するようにプログラムされ得る。これは、本発明の装置において、ディスクキャリアをステーション内により長く置きことができるようかつ他の処理に要求される時間の2から3倍を必要とする処理を可能にするように、処理チャンバをより大きなステーションに結合することにより扱われるか、または適当に調節されたより少ない時間を要する作業に与えられるサイクルを遅らせることに
より達成される。
【0035】
本発明の好適実施例が説明されてきたが、特許請求の範囲に記載された発明の態様から離れることなく、さまざまな修正及び変更が可能であることは、当業者の知るところである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクを作成する際に使用される基板のような薄い基板を扱いかつ処理するためのシステム及び処理方法に関する。特に、本発明は、いくつかの処理ステーションにおいて、さまざまな被覆技術を使用する際に、両面同時に基板処理するための改良されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2002年7月1日付けニューヨークタイムズでディスク生産者が説明するように、家庭に持ち帰るためのプラスチックトレイは、現在のコンピュータハードディスクよりも粗利益が高い。しかし、我々は、今日、複雑なコンピュータチップと同じくらい多くの技術を含むディスクを要求する。本発明はこのようなディスク製造の改良に関し、より高度なディスク技術の創造及びコスト低減を可能にする。
【0003】
米国特許第5,215,420号及び第5,425,611号は、ディスク製造に使用される基本的な装置を説明する。この装置は、MPD250と称し、カリフォルニア州サンタクララのインテバック・インコーポレイテッドより購入することができる。装置は、メインチャンバ、搬入出ロードロック、基板ロード及びアンロードステージ、及び複数の処理ステーションを含む。ディスクはシステム内に送り込まれ、処理ステーション内で処理され、その後コンピュータのハードディスクのような使用に適したディスクとしてシステムから送り出される。MPD250の開発以前には、米国特許第4,981,408号に記載されるようなカリフォルニア州パロアルトのバリアン・アソシエイツから入手可能であった装置が存在した。他に、日本のアネルバ・コーポレイションのC-3040がある。装置の目的のひとつは、基板上により厚い膜を蒸着することである。このシステムを記載する特許は、米国特許第6,027,618号、第6,228,439B1号及び第6,251,232B1号である。これらの特許文献はここに参考文献として組み込まれる。
【0004】
これらの従来技術のひとつの欠点は、かなり大きなフットプリントを占めることである。そのいくつかは非常に長い。他にも概して長方形の面積を占め、一部屋全部である。ディスク製造用のこれらの装置は典型的に大きいサイズのクリーンルーム内で実行されるため、装置は過剰に大きくなりかつ非常に高価なクリーンルームを必要とする。
【0005】
近年、技術に進歩に従い、オリジナルのシステムにアドオンを追加することが必要になってきた。例えば、このようなアドオンのひとつが、ツールから除去される前に、ディスクを潤滑させるための潤滑油ステーションである。これは、米国特許第6,183,831B1号及び2000年5月1日出願の米国特許出願第09/562,039号に記載されている。他は、プラズマ強化CVDを使ってダイヤモンド状被覆を形成するために炭素の蒸着を扱わなければならない。これは、例えば、米国特許第6,101,972号、6,203,862号及び6,368,678B1号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,215,420号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
放射状システムにおいて、装置の一部として機能することができる処理ステーションの数に関して限界が存在する。典型的に、既存のシステムは約12個のステーションに制限される。ステーションを付加するには、装置の大幅な設計変更が必要となり、工場は、より多くのステーションを有するシステムがそのフットプリントをかなり増加させることを容易に予想できる。これらのシステムにおいて、概して、装置のさまざまなステーションへ基板を運ぶのに同じ基板ホルダが使用される。基板ホルダを変えることが必要または所望されるなら、システムの動作停止及び生産停止が必要になる。また、基板が動いている間にこれらのシステム内で処理を行うことは不可能であり、これによりパスバイモードで蒸着が実行される際に非常に薄い層の蒸着が禁止される。
【0008】
線形機械は放射状システムが経験したのと同じ種類の問題を有する。それは大きなフットプリントを有し、基板ホルダを変更するにはシステム及び生産を停止する必要がある。任意のアドオンはフットプリントを拡張し、ステーション数が設備の空間的制約により制限される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好適実施例は、比較的小さいフットプリントを有する構造において高いスループットで、両面同時に、垂直位置で、基板を処理するシステムである。システムはフレキシビリティを有し、処理ステーションの付加を許す。システムは、基板キャリアがある処理ステーションに制限され、その後クリーンキャリアが他のステーションで使用されるべく交換されるように分割されている。これは、従来の装置では不可能であり、この特性により通常キャリア上に蒸着し後続の処理ステーションを汚染する処理を使って、基板を被覆することが可能になる。当該システムはスタンドアロンタイプであるか、または他のシステムの能力を拡張するために他のシステムに接続されてもよい。システムアーキテクチャーは、基板が処理中に固定されているところの静的処理及び基板が処理中に移動するところのパスバイ処理の両方を可能にする。本発明のアーキテクチャーは、装置のスツープットを増加させる技術的要求の変更に従い、付加的処理が基板上で実行されるよう、フットプリントを実質的に変更することなく付加的ステーションを追加することを可能にする。他の修正により、装置のフットプリントを変更することなく、生産力を二倍またはそれ以上にするよう、それぞれの処理ステーション内で一枚以上の基板を保持するホルダに基板ホルダを交換することが可能になる。これら及び他の利益及び改良は以下の詳細な説明で議論される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、従来の基板処理システムの平面図である。
【図2】図2は、本発明に従う23個ステーションシステムの略示図である。
【図3】図3は、本発明に使用するためのひとつの処理モジュールの略示図である。
【図4A】図4Aは、本発明の異なる処理モジュールへディスクを移送するために使用されるディスクキャリアの略示図である。
【図4B】図4Bは、ディスク移送機構の正面図である。
【図4C】図4Cは、ディスク移送機構の側面図である。
【図5A】図5Aは、処理ステーションの支持構造体の略示図である。
【図5B】図5Bは、処理ステーションの水平断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明のマルチステーション小フットプリントシステムが円形システムと結合されるところのシステムの略示図である。
【図6B】図6Bは、同じ装置の側面略示図である。
【図7】図7A、B、C、D及びEは、基板及び関連するディスクキャリアが移動するプログラムされた経路を示す移送図である。
【図8A】図8Aは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図8B】図8Bは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図8C】図8Cは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図8D】図8Dは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図8E】図8Eは、磁気被覆基板を形成する際に基板及び関連ディスクキャリアが移動する他のプログラムされた経路を示すディスク移送図である。
【図9】図9は、キャリア交換モジュールの略示図である。
【図10】図10A、B、C及びDは、キャリア交換シーケンスを示す。
【図11】図11は、2枚ディスク用のホルダを有する処理ステーションの略示図である。
【図12】図12は、システム動作サイクルを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来の基板処理システムが図1に示されている。ここで、同じ構成要素は同じ符号で示される。図1に示されるように、システムは処理装置10及び基板ハンドリングシステム20を有する。処理装置10は、メイン真空チャンバ40上に設置された複数の処理ステーション30、32、34等を含む。処理ステーション30、32、34等はメイン真空チャンバ40の円中心に関して円形配列で設置されている。さらに、処理装置10は、処理用システム内に基板を搬入するためのロードステーション42及び処理済のシステムから基板を搬出するためのアンロードステーション44を含む。典型的に、基板は磁気ハードディスクを作成するためのまたは磁気光学ディスクを作成するための基板である。基板及び最終的なディスクは中央開口部を有する。さらに、基板処理システムは、真空ポンプ、電源及び制御器(図示せず)を含む。
【0012】
処理は、システム要求に応じて、同じかまたは異なる処理ステーション30、32、34等内で実行される。図1の例において、システムは等角間隔に配置された12個の処理ステーション、ロードステーション42及びアンロードステーション44を有する。処理ステーションは、磁気ディスクを製造する際に従来技術で採用されるような、ひとつまたはそれ以上の加熱ステーション、スパッタステーション、冷却ステーション、化学気相成長ステーション等から成る。基板は、一枚ずつ各ステーションで同じ時間の間連続して移送され、処理ステーションにより処理されるようにシステムを通じて移動される。基板ホルダは、処理ステーション及び中央チャンバ内の汚染を避けるように、処理動作中、メイン真空チャンバから処理ステーションをシールする。
【0013】
メイン真空チャンバ40内には、複数の基板グリッパまたはディスクグリッパが、それぞれの処理ステーション内で持ち上がるように各処理ステーションに関して配置されている。基板ハンドリングシステム20は、バッファ真空チャンバ90、ロードロック92、入口コンベア94、アンロードロック96及び出口コンベア98を含む。処理用基板を運ぶカセット100a、100b、100c、100dはロードロック92を通じてバッファ真空チャンバ90内に入り、アンロードロック96を通じてバッファ真空チャンバ90から出る。この構成において、ロードアーム102はカセット100bからロードステーション42内のディスクグリッパまたはリフタ70へ基板を移送する。アンロードアーム104はアンロードステーション44内のディスクグリッパまたはディスクリフタ70からカセット100cへ基板を移送する。基板ハンドリングシステム20は、ここに参考文献として組み込む上記米国特許第5,215,420号に詳細に説明されている。
【0014】
図2において、本発明に従うシステムの好適実施例が示されている。このシステムは、処理ステーションの第2レイヤーが処理ステーションのベースレイヤーの上に配置された状態で、積層関係の多くの処理ステーションから成る。これには、図1に示されるような従来技術に見られる大きな中央真空メインチャンバが存在しない。それにより、システムを通じて被処理基板を移動するための制御された循環が可能になる。それは、従来のシステムにより占有されていたフットプリントをかなり減少させ、より多くの処理ステーションを稼働させることが可能である。それにより、大きなフットプリントを有する従来技術で実行されていた作業と同じ数の作業を、非常に小さいフットプリントで実行でき、またはより多くの数の処理作業を、システムを通過する基板上に施すことが可能となる。さらに、以下の図面に関して説明されるように、各ステーションで実行される処理用の個別雰囲気を形成するよう、ターボ分子またはクライオポンプのような真空ポンプにより、各処理ステーションは別々に排気される。
【0015】
図2を参照して、23個のステーション処理システムが図示されている。実際に、ステーションの数はより多くも少なくもできる。ステーションは101〜123で示される。125で示されるシステムをロードするために、基板のカセットがロード/アンロード孔126に送り込まれる。カセットは、経路に沿って、ロード/アンロードステーション129でのポジションへ移動する。ディスクキャリア(図4A参照)はロード/アンロードチャンバ129内に移動し、そこでアンロード側の移送機構は、処理サイクルを通過したディスクキャリア内のディスクを内側ホールによりグリップする。その後、ディスクキャリアのジョーが開放され、処理済の基板がディスクキャリアから除去され、図1の従来技術で説明されたものと類似のリフトブレードへ移送される。その後、リフトブレードは基板またはディスクをカセット内に配置する。ロード側からこの同じロード/アンロードステーション129において、従来技術と同様のリフトブレードがカセットから基板またはディスクを持上げ、ロードチャンバ内に上げる。搬送機構はリフトブレードからディスクをディスクキャリアへ移送し、そこで、ジョー134及び136はディスクキャリア内でディスクをグリップするよう閉じる。その後、ディスクキャリアはエレベータ128へ移動し、処理ステーションの上部セット近くであってステーション101のすぐ隣りのレベルまで持上げられる。その後、基板及びキャリアは一単位として移動し、ステーション101内へ移送され、そこでディスクの処理が開始される。その後、基板130及びディスクキャリアの単位は処理ステーション102の隣りに移動する。ステーション102での処理の後、基板及びディスクキャリアはステーション103の隣りへ移動し、そこでディスクは付加的な処理作業を実行される。ディスクキャリア上の基板は、101から単位がエレベータ131に入るところの112まで上部レベルに沿って、ひとつの処理チャンバから次へと直列に移動する。その後、単位は下部レベルまで下げられ、ステーション123から113へ戻る。それに沿って、ディスクは、製造要求に従って処理される。例えば、基板搬入システムはディスクが晒される処理を考慮する際ある意味で浸水しているので、エレベータチャンバはディスク及び真空システムから水分を除去するための水ポンプまたはマイスナートラップのような冷却トラップを含む。第1ステーション101において、ディスクは被覆処理を実行する前にプレコンディショニングを続けるべく加熱される。
【0016】
電力制御器132が処理ステーションの上下に配置されている。しかし、それらはシステムの端部に配置される。システムが電力集中処理用に多数の制御器を要求する場合、制御器は別々のキャビネット内に配置される。図2に示されるように、システムは、システム125の左側のオペレータステーション133でのエントリーにより駆動され、プログラムされる。ステーション127はロード/アンロードステーションとして記述されているが、実際には、ステーション123の隣りの他端で実行されるアンロード動作を有するシステム内に基板をロードするよう作用するのみである。アンロードステーションはロードステーションと対向する位置にユニットの裏側に見られる。これは、以下の図面においてよりはっきりと示される。基本的に、それはロードステーションに見えるが、システムをアンロードするよう機能する。ディスクまたは基板を保持するディスクキャリアはアンロードステーションに移動する。ジョー134、139が開いてディスクを移送機構へ開放し、移送機構はジョーからディスクを取る。移送機構は図1の構造で使用されるようなシステムかまたは以下で議論されるようなシステムである。移送機構は、ロードステーションで使用されるようなロードブレードまたは図1で使用されるロードブレードと一致するアンロードブレードへディスクを移送し、そこでディスクはカセットのロード側へ下げられる。
【0017】
図2は23個のステーションを有するシステム125を示す。しかし、特定の磁気ディスクの製造が処理済ディスクに実行された処理より少ない処理を要求するならば、23個またはそれ以上のステーションのシステム全部が要求されないか、または基板が制限された集合のアクティブな処理ステーションのみを通過するよう制御されるか、あるいはすべての処理ステーションが動作状態ではなくなる。変形的に、より小さいシステムが使用されてもよい。このようなシステムは例えばより少ない処理ステーションを含む。中央真空チャンバに依存しかつ円形構成を有するシステムと積層システムを合体させることも可能である。このような構造の利点は、制限された付加的面積またはフットプリントで磁気ディスクを形成する際に実行されるべき付加的または新しい処理が可能になるよう、製造者が本発明のシステムへ既存の装置を結合することが可能になるという点である。この点は以下の図6との関連でさらに議論される。
【0018】
図3には単一の処理モジュール135が示されており、図4Aにはディスクキャリア136が基板130とともに示されている。図4Bには、ロードステーションにおいてキャリア内にディスクを移送するための及びアンロードステーションにおいてキャリア外にディスクを移送するための機構が示されている。図4Cには機構の他の図面が示され、図4Bにはディスクキャリアとキャリア上のディスク配置の関係がより詳細に示されている。
【0019】
図3には、ディスクキャリア136が処理モジュール135内に配置されて示されている。分離バルブ144及び分離バルブドライバ145はチャンバ135の開口部129を開閉するよう動作する。基板130はディスクキャリア内に配置され、移動中ディスクキャリア内の定位置に保持される。基板は、内側ホール及びグリッパーアクチュエータ、並びにアンロードするためにディスクがグリップされた後またはロードするためにグリップが解かれる前にキャリアジョーを開くグリッパーアクチュエータ機構によってディスクをグリップする移送機構により、さまざまな処理チャンバ内での処理に従ってリリースされる。これらの動作は図4B及び4Cに示される。
【0020】
図4Bでは、基板のカセット202がロードドア204を通じて移送区画201内に送り込まれている。この位置で、基板は真空環境にある。処理済基板がアンロードゾーン207でアンロードされて移送ステーション201を離れてカセットに戻り、アンロードドア208を通じて移送ステーション及びカセットホルダ内の器具から除去されるまで、基板はこの位置ですべての操作中に真空環境のままである。ディスクのカセット202はこのサブシステムのロード区画の位置で示されている。カセットホルダは、カセットホルダ202の外部の上部移送ゾーン203を通じて、基板がディスクキャリア内にロードされるところのディスクロードゾーン205へ持上げられるような位置へ基板を配置するようカセットホルダを移送するホイール206上に乗っている。上記したようにディスクは、図1に示される従来のシステムで使用されるリフタと類似のディスクリフタによりカセット外部に持上げられる。この場合、リフタは開口部222を通じて上に移動し、カセットを通じて基板と係合し、その後、移送ゾーン203を通じて基板を持上げてディスクロードゾーン205内へ移送する。基板を受け取るカセット224へ被覆済み基板を戻すのに同様のリフタが使用され、カセットは基板のロードが完全に終了した後移送ステーション201を出る。リフタは基板をアンロードゾーンから取り出し、アンロード側の経路を通じて下へ移動し、その後基板をカセットに残し、リフタアームは開口部223を通じて移動する。
【0021】
基板は、最初に、移送ゾーン203の上のロードゾーン内に到達する。その位置で、ピックアップアーム210が外側に基板中央の穴の中に移動する。このアーム210は基板の中央区画に挿入されたクリップにより基板と結合し、基板中央の穴または開口部の内側エッジをつかむ。その後、アーム210は図に示される位置まで戻り、そこでディスクキャリアのジョーを順に開放する機構211を作動させる。その後、ディスクキャリアジョーはディスクまたは基板の周りに配置され、ピックアップアームからディスクを除去し、ディスクをつかんでさまざまな処理装置を通じてディスクを運ぶ。
【0022】
図4Cは図4Bに示されるディスクロード/アンロード区画の側面図である。図において、ディスクキャリア136は側面図で示されている。この図において、移送ドライブ区画212内に配置されたホイール137が見える。ホイールはシステムを通じてディスクキャリアを移送するのに使用される。ディスクキャリアは、一部が各チャンバのベースに配置され、一部が嵌合構造体として各ディスクキャリア216のベースに配置された磁気ドライブシステム212により処理チャンバから処理チャンバへ移動される。各ディスクキャリア及び各チャンバは、磁気ドライブシステム212による動作用の個別移送エレメントを有する。このシステムのホイールはロータリー真空フィードスルーを利用した通常のモーターにより駆動されるが、リニアモーターと置換されてもよい。ディスクキャリアは、キャリアベース216内に設置された400シリーズのステンレススチールのような軟質磁性材料により移動される。図4Cの下側区画に示されるのは、下部チャンバ内のカセット202の側面図である。
【0023】
基板130の挿入を可能にし、アンロードゾーン207内に処理済基板を解放するように、ディスクキャリア136を開放するべく作動される磁気作動システム211が示されている。このような磁気システムが4つ示されている。しかし、基板ホルダのジョーを開閉する目的を達成するために、これ以上または以下の磁気システムが使用されても良い。
【0024】
基板の周囲にはハロー構造体213がある。この構造体はディスクキャリア136に取り付けられ、直径が異なる基板の処理を可能にする。例えば、ハロー構造体は、サイズの異なる処理用基板がホルダ内に配置可能となるように、広げられまたは狭められ、あるいはディスクキャリアから除去される。ディスクキャリア内のディスクまたは基板は、ハロー構造体213のエッジで保持されるか、もしそれが使用されない場合にはディスクキャリア136自身により保持される。
【0025】
図5Aは、処理動作がシステム125内で実行されるところの典型的な処理チャンバ135の構造を示す。ディスクホルダは上部開口内にディスクを配置する。完全に組み立てられた状態で側面140は、隣りのチャンバ及びシステムの残りの部分から当該チャンバを分離するための分離シールを含む。冷却トラップ、真空ポンプまたは機器が頂部開口142に配置される。チャンバ用の主要真空ポンプは分離バルブボディ上でチャンバに隣接して配置され、開口140を通じて排気が行われる。好適実施例において、各チャンバは、各チャンバ内に均一かつ制御された真空環境を維持するためのクライオ、ターボまたは他の適当なポンプを有する。背面開口部及び正面開口部は、被覆または処理すべき基板の両側にターゲットとしてのソースを配置するために、スパッタ蒸着を実行するチャンバと関連して使用される。他の処理装置が、処理チャンバを包囲するチャンバ壁となるように、これらの開口部に配置されてもよい。ベースでの開口部には、ホイール及びディスクキャリアの下部領域、開口部を閉じるためのシール及び移送用のドライブモーター163が配置されている。
【0026】
図5Bは処理ステーションの各部のエレメントを示す。チャンバフレーム135に設置された2つのスパッタリングソースとともに、頂上にはターボポンプ149が示されている。図面にはまた、右側でこのチャンバをシールする分離バルブ144が見える。左側には、このチャンバを他のチャンバまたはエレベータに取り付けるための開口部129が示されている。通常隣りのチャンバは、チャンバが互いに分離されるように、このチャンバに取り付けられる側に分離バルブを有する。
【0027】
図6Aを参照して、円形システム147に接続された積層システム146が示されている。この結合装置は完全な処理システムであるか、または従来商業的に使用されている既存のシステムと連絡する積層型処理ステーションを与えることにより、既存の円形装置により多くの処理能力を付加することが可能である。この装置において、処理ステーション151を有する円形部分147は、レール144により支持され、チャンバ151から次のチャンバへ基板を移動することにより連続的に基板を処理する。装置146の第1区画は線形処理ステーションを示す。これらは、処理チャンバの上部に取り付けられた真空ポンプ149により識別される。上部処理チャンバが示されているが、システムはユーザーの要求及び/または所望に応じてこれ以上または以下のこのようなステーションを構成することが可能である。図6Aに示されていないが、この区画146は真空ポンプ149に結合されたステーションの下の下層処理ステーションを含む。これは図6Bに示されている。真空ポンプは各処理チャンバごとに存在する。同様の真空ポンプが積層146の下側部分の処理チャンバ用に下側に伸びる。これもまた図6Bに示されている。スクリーン148及びキーボード150は装置の動作を制御するためのオペレータステーション133を構成する。円形システム147は真空ポンプが取り付けられた単一の処理チャンバを含む。図1に示されるようなシステムに積層型フロントエンド区画146が結合されると、区画146のディスクキャリア内の基板は、基板ハンドリングシステム内にディスクを移送するか、またはロードステーション42でディスクグリッパ70へ移送しその後システム内に送られる。
【0028】
図7A〜Eは、図2に示される積層システムを通じてどのようにディスクが移動するかを示す一組の図である。図7は5つの異なる図から成る。ここでは、処理チャンバ内でディスクがどのように配置されるか、及びステーション間でディスクがどのように移送されるかが示されている。図中、ディスクは転々と移動するため、ディスクには1〜5及び18〜25の符号が付されている。図7Aにおいて、ディスク1は下部またはエレベータ128の入口にあり、ディスク2はエントリーステーションにある。基板3、4及び5は装置へのエントリーを待っており、ディスクキャリア内への移送を待っているカセット内に通常配置される。図7Bにおいて、エレベータは処理チャンバに搬入する位置のトップレベルまでディスク1を移動し、ディスク18は図4A〜Cとの関連で説明されたようなディスクキャリアから分離されている。その後、それはアンロードカセット内にアンロードされる。この図でディスク2は図4A〜Cとの関連で説明されたロードステーション内のディスクキャリアにロードされている。図7Cにおいて、ディスクキャリア内に載置されたディスク2がエレベータ内に移動する間、ディスク1はディスクキャリアにより第1処理ステーションに移動され、被覆処理が完了した基板18はシステムの外へ送り出される。ディスク3はシステムにエントリーするために配置され、ディスク19は出る準備ができており、ディスクキャリアから分離されている。図7Cに示された他のディスクは、システムを通じて移動する。処理ステーションの上層において、ディスク25、24及び23はひとつ右のステーションに移動し(図7Bの位置と比較して)、ディスク1は処置ステーション内に移動する。上層の最も右位置にあるディスク22が下方に移動し、その結果ディスク22は下層の最も右側の位置を占め、下層の他のディスクはひとつ左のステーションに移動する。図7Dにおいて、新しいディスク4がシステムに入る準備ができ、一方ディスク20はシステムを出るところである。上層のディスクがすべてひとつ右のステーションに移動し、最終ディスク23が下層ステーションに下降する。図7Eにおいて、ディスク5がシステムに入るところであり、ディスクキャリアに載置されたディスク4がエレベータ上にあり、ディスク3により占有されたエントリーステーションまで移動する準備ができた。ディスクは上記図面に示されたルートに従い上下移動し、ディスク20はシステムから出る。この構造及びプログラムに対するサイクルのこの時点で、図7Aでシステムへのエントリーを待っていたすべてのオリジナルディスク3、4及び5は搬入され、3つの新しい基板6、7及び8がエントリーを待っている。またこの時点で、ディスク18、19及び20の処理が完了し、システムから除去されている。システムは左右両側にエレベータを有する。左側のエレベータは処理チャンバの上層レベルまでディスクを移動し、右側のエレベータは処理用のディスクを下層レベルまで下げ、ディスクは下層処理レベルに沿ってエントリーポイントまで戻りその後システムから出る。
【0029】
図8A〜Eを参照して、システムは、ひとつの装置から他の装置へ基板を移動するためのスイングアームを有する2つの装置として示されている。基板はそれが従う経路及び移動を単純化するために符号が付されている。図8Aにおいて、基板6、7及び8はシステムに入るのを待つ位置にある。基板10及び11は処理され、装置から取り出されている。基板12は図8Bで処理済基板と一緒にされ、基板25が、スイングアーム153により左側の積層処理ステーションから右側の他の積層処理ステーションへ移動される。図8Eにおいて、基板6、7及び8がシステム内にあって処理されており、基板12及び13がシステムから出され、処理済ディスクと一緒にされ、それらはカセットホルダ内に再配置される。図8AからEに示されるように、ディスクはステーションからステーションへ移動する。
【0030】
図9において、キャリア交換モジュール156が示されている。さまざまな処理ステーションにおいて基板処理中に存在するキャリアは、処理ステーションで蒸着される材料により被覆される。例えば、典型的な製造プロセスにおいて、磁気ハードディスクを作成するために、アルミニウム基板に、スパッタ技術を使ってまずクロム層が被覆され、次にコバルト合金が蒸着され、次に磁気ディスクを製造するために製造プロセスに従いユーザーにより決定される他の層が蒸着される。蒸着の最終段階は、例えば米国特許第6,368,678号に記載されるようなプラズマ強化化学気相成長を使って、ダイヤモンド状の被覆を形成することに基づくものである。クロム、コバルト及び炭素がすべて同じ基板上に蒸着されるシステムにおいて、各処理に同じキャリアが使用されれば、キャリア上に不所望な材料の付着が生じる。これはそれ自身問題ではないかもしれない。しかし、キャリア上に蒸着された材料が後の処理工程の間に剥がれ落ち、その結果、信頼できないかまたは他の製品と同一でない製品を作るように、部分的に被覆された基板への新しい蒸着が妨げられまたは損なわれれば、問題である。この問題が発生するのを避けるために、本発明のシステムは基板の処理が実行される前にキャリアを新しくきれいなものに交換することができるよう戦略的に配置されたステーションを含む。図9はこのような交換モジュールを示し、図10A〜Dはキャリア交換シーケンスを示す。始めに、きれいなキャリア155が交換モジュール156内にロードされる。処理ステーション内でのキャリアの設定使用回数または特定の処理工程及び/または蒸着にキャリアを晒す設定回数の後に生じるようシステムにプログラムされた手動または自動送りによって、新しいキャリアがロードされる。後の作業及び被覆基板自身に有害な効果が生じる前に不純物が除去されるように、まず、キャリア交換モジュール内できれいなキャリアが予め調整される。キャリア交換モジュールは線形構造体の一方の端部または両端の同等な位置に配置される。例えば、それは、図8Aにステーション156及び159として示されるように、エレベータの向う側に存在する。同様のステーションが図8A〜Eに示されるスイングアームの位置に配置されてもよい。この構造により、ディスクが処理チャンバの第1セクションから第2セクションへ移動する際に、ディスクキャリアの変更が可能になり、その結果、ディスクが第2セクションに入るとき、ディスクは予めきれいにされたディスクキャリアにより装置の第1セクション内での処理から効果的に分離される。図8Aに示されるように配置される際、ディスクキャリアは、ディスクキャリアからディスクを移送した後にクリーニング用モジュールを入れることにより、運転停止して移送される。図9には、真空ポンプ149及び分離バルブ144が示されている。これらにより、汚染が生じることなく、キャリア交換モジュール156をシステムへ直接接続することが可能になる。この構造は、図8Aの156または159に示される位置に配置されるか、またはキャリアが交換されなければ汚染が生じるような他の任意の位置に配置される。既存の装置に結合する図6Aに示される装置は、線形装置146からディスクが移動する際にディスクキャリアから離れたディスクの手渡しを要求し、ディスクキャリア内のディスクは円形装置147へ移送され、ディスクはディスクキャリアまたは円形システム内にエントリーする際にディスクが配置されるカセットから持上げられる。ディスクがリフタ上に配置されると、その後ディスクはペデスタル方式の従来のキャリアへ手渡され、カセットへディスクを戻すためにまたは線形システム146内でさらに処理するようディスクキャリアへディスクを渡すために、リフタへ戻されるまでキャリアはシステムを通じてディスクとともに移動する。図9に示されるようなステーション156は、セクション146を通じたディスクの移動が完了しセクション147へ入る際に、キャリアからディスクを分離するためにこの位置に設けられる。同様に、ディスクのセクション147を通じた移動が完了しセクション146へ入る際、ディスクは図9と同じステーションできれいなディスクキャリアへ装填される。
【0031】
図10において、キャリア交換モジュールがエレベータ128の向う側に配置されている。図10のシステムは、新しいキャリアが準備されるとキャリアをスキップロードするようプログラムされる。新しいキャリア155はスキップロードされたキャリア157と置換するために使用される。これは最初のチャンバ内の空キャリア157により示される。空キャリアはエレベータ128により上方に移動する通常のシーケンスに従う。これは図10Bに示される。図10Cにおいて、キャリアの交換が示されている。きれいなキャリア155が交換されたキャリア157と置換され、図10Dに示されるようにきれいなキャリアが通常のフローサイクルで移動し、クリーニングが必要なキャリア157がクリーニングされ、その後交換が必要な次のキャリアと置換するのに使用するべく交換モジュール内へ挿入される。
【0032】
図11を参照して、2枚のディスクを同時に保持するディスクキャリアが示されている。これはグリップ機構を使って達成され、それはディスクキャリアがシステムを通じて移動する際にさまざまな処理チャンバ内で処理位置に2枚のディスクを保持する。ディスクキャリア内に存在するディスクが2枚でも1枚でも各処理チャンバ内で消費される時間は同じであるため、この設計はシステムのスループットを2倍にする。
【0033】
図12は図2に示されるシステム125により使用可能なサイクルを示す。このサイクルは1動作あたり5.1秒である。移送に1秒かかり、処理に4.1秒かかる。これらの時間は変化するが、システム125はこの時間制約に従い動作可能である。この速度での動作は1時間に700枚の被覆基板を生成し、通常の1日8時間作業では月に150万枚以上のディスクを製造できる。
【0034】
処理ステーション内での処理は詳細に説明されなかったが、この装置はこの点で真の利点を与えることが理解されよう。例えば、ディスクキャリアは処理ステーション内に進入し、処理中に多くの処理ステーションを通じて連続的に移動する。これは、パスバイ処理として知られている。これはある種の蒸着に対して有効である。2つまたはそれ以上の処理ステーションを結合することも可能であり、同じプロセスにおいてより多くの時間基板を処理することも可能である。したがって、ひとつの基板をある温度に上昇させるために2つまたはそれ以上の処理ステーションを使用する代わりに、同じ結果に対して多くの移動及び複数のステーションを通常必要とする単一ステーションまたはそれと同等なステーション内で所望の機能を実行するように、2つまたはそれ以上の処理ステーションがひとつの大きな処理ステーションに組み合わされる。処理時間はひとつのサイクルあたり通常約5秒かかるが、これはある処理動作に対しては非常に短い時間であるが他の処理動作に対しては長い時間である。したがって装置は動作を変更するようにプログラムされ得る。これは、本発明の装置において、ディスクキャリアをステーション内により長く置きことができるようかつ他の処理に要求される時間の2から3倍を必要とする処理を可能にするように、処理チャンバをより大きなステーションに結合することにより扱われるか、または適当に調節されたより少ない時間を要する作業に与えられるサイクルを遅らせることに
より達成される。
【0035】
本発明の好適実施例が説明されてきたが、特許請求の範囲に記載された発明の態様から離れることなく、さまざまな修正及び変更が可能であることは、当業者の知るところである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理システムであって、
前記基板処理システムは、
ライン状に配置された第1のセットの処理ステーションであって、前記第1のセットの処理ステーションのそれぞれは、前記基板が、1つの処理ステーションから、隣接する処理ステーションへと、効率良く、かつ、迅速に直接搬送され得るように、前記第1のセットの処理ステーションのうちの隣接する処理ステーションと直列に接続されている、第1のセットの処理ステーションと、
第2のセットの処理ステーションであって、前記第2のセットの処理ステーションは、前記第2のセットの処理ステーションの取り付け領域が前記第1のセットの処理ステーションの取り付け領域内に存在するように、前記ライン状に配置されており、かつ、前記第1のセットの処理ステーションと積層された関係で配置されており、前記第2のセットの処理ステーションのそれぞれは、前記基板が、1つの処理ステーションから、隣接する処理ステーションへと効率良く、かつ、迅速に直接搬送され得るように、前記第2のセットの処理ステーションのうちの隣接する処理ステーションと直列に接続されている、第2のセットの処理ステーションと
を備え、
前記処理ステーションの各1つの処理ステーションは、前記1つの処理ステーションを隣接する処理ステーションとフィットさせるように、一方の側に分離バルブを備え、かつ、他方の側に開口部を備え、前記隣接する処理ステーションは、前記1つの処理ステーションと前記隣接する処理ステーションとを相互に分離させるように前記開口部に適合された分離バルブを備え、
前記基板処理システムは、
複数の基板を支持する複数のキャリアと、
前記システムの左側および右側にエレベータを備えるエレベータシステムであって、前記左側のエレベータは、処理のためにディスクをチャンバの上位レベルへと移動させ、前記右側のエレベータは、処理のためにディスクを下位レベルへと下げる、エレベータシステムと、
複数のホイールおよびリニアモーターを一部に備える磁気ドライブシステムであって、前記磁気ドライブシステムは、各チャンバのベースに配置され、部分的に、各ディスクキャリアのベースに配置された嵌合構造体として、前記キャリアにより支持された基板を搬送する、磁気ドライブシステムと
を備える、システム。
【請求項2】
各処理ステーションは、各処理ステーションにおいて実行される処理のための独立した雰囲気を生成するように、取り付けられた真空ポンプにより別々にポンピングされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
真空ポンプは、前記第2のセットの処理ステーションの上部分に取り付けられ、真空ポンプは、前記第1のセットの処理ステーションの下方に延びる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
各エレベータは、前記基板から水分を除去するための冷却トラップを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の処理ステーションにおいて、ディスクは、前記処理ステーション中で搬送される前に、プレコンディションへと加熱される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理ステーションの上方および下方に配置された電力制御器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
明細書に記載のシステム。
【請求項1】
基板を処理する基板処理システムであって、
前記基板処理システムは、
ライン状に配置された第1のセットの処理ステーションであって、前記第1のセットの処理ステーションのそれぞれは、前記基板が、1つの処理ステーションから、隣接する処理ステーションへと、効率良く、かつ、迅速に直接搬送され得るように、前記第1のセットの処理ステーションのうちの隣接する処理ステーションと直列に接続されている、第1のセットの処理ステーションと、
第2のセットの処理ステーションであって、前記第2のセットの処理ステーションは、前記第2のセットの処理ステーションの取り付け領域が前記第1のセットの処理ステーションの取り付け領域内に存在するように、前記ライン状に配置されており、かつ、前記第1のセットの処理ステーションと積層された関係で配置されており、前記第2のセットの処理ステーションのそれぞれは、前記基板が、1つの処理ステーションから、隣接する処理ステーションへと効率良く、かつ、迅速に直接搬送され得るように、前記第2のセットの処理ステーションのうちの隣接する処理ステーションと直列に接続されている、第2のセットの処理ステーションと
を備え、
前記処理ステーションの各1つの処理ステーションは、前記1つの処理ステーションを隣接する処理ステーションとフィットさせるように、一方の側に分離バルブを備え、かつ、他方の側に開口部を備え、前記隣接する処理ステーションは、前記1つの処理ステーションと前記隣接する処理ステーションとを相互に分離させるように前記開口部に適合された分離バルブを備え、
前記基板処理システムは、
複数の基板を支持する複数のキャリアと、
前記システムの左側および右側にエレベータを備えるエレベータシステムであって、前記左側のエレベータは、処理のためにディスクをチャンバの上位レベルへと移動させ、前記右側のエレベータは、処理のためにディスクを下位レベルへと下げる、エレベータシステムと、
複数のホイールおよびリニアモーターを一部に備える磁気ドライブシステムであって、前記磁気ドライブシステムは、各チャンバのベースに配置され、部分的に、各ディスクキャリアのベースに配置された嵌合構造体として、前記キャリアにより支持された基板を搬送する、磁気ドライブシステムと
を備える、システム。
【請求項2】
各処理ステーションは、各処理ステーションにおいて実行される処理のための独立した雰囲気を生成するように、取り付けられた真空ポンプにより別々にポンピングされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
真空ポンプは、前記第2のセットの処理ステーションの上部分に取り付けられ、真空ポンプは、前記第1のセットの処理ステーションの下方に延びる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
各エレベータは、前記基板から水分を除去するための冷却トラップを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の処理ステーションにおいて、ディスクは、前記処理ステーション中で搬送される前に、プレコンディションへと加熱される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理ステーションの上方および下方に配置された電力制御器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
明細書に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−79407(P2012−79407A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273403(P2011−273403)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【分割の表示】特願2007−207150(P2007−207150)の分割
【原出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(592014034)インテバック・インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】INTEVAC INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【分割の表示】特願2007−207150(P2007−207150)の分割
【原出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(592014034)インテバック・インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】INTEVAC INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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