ディスク装置
【課題】光ヘッド等に対する塵埃の付着を防止しつつ通気性に優れ、過熱を防止するディスク装置を提供すること。
【解決手段】光ヘッド等の塵埃の影響を受ける部品をメカベース23内に納めて塵埃の付着を防止するとともに基板に取り付けられた回路素子の過熱を防止するために基板31に穴をあけ、フロントパネル48の通風口56から取り込んだ空気の通り道とする。メカベース23はファン28付近での流路を確保するために底に段差を設ける。
【解決手段】光ヘッド等の塵埃の影響を受ける部品をメカベース23内に納めて塵埃の付着を防止するとともに基板に取り付けられた回路素子の過熱を防止するために基板31に穴をあけ、フロントパネル48の通風口56から取り込んだ空気の通り道とする。メカベース23はファン28付近での流路を確保するために底に段差を設ける。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク等のディスクに対し情報を記録あるいは再生可能なディスク装置に関し、特にディスク単体(カートリッジ内に入っていないディスクの意)、カートリッジの別に拘わらず装着可能で、情報を記録あるいは再生するのに好適なディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、情報を記録、あるいは再生可能な情報記録媒体として円盤状のディスクが存在し、このディスクは、ディスク単体、カートリッジに収納されているディスクなど、ディスクの種類、利用形態に応じて様々な状態で存在する。
【0003】そして、ディスク単体であってもカートリッジであってもこれらの様々なディスクを装着可能で情報を記録あるいは再生するディスク装置についても、例えば特開平8−77668号公報、特開平8−45160号公報に開示されているように、従来より広く知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来例においては、ディスク単体、カートリッジの種別に拘わらずディスクをディスク装置に装着できる点について開示されているが、このようなディスク装置における過熱対策、防振対策、静電対策等の問題点については何等開示されていない。
【0005】本発明の目的の一つは、これらの問題点のうち特に過熱による故障を低減することのできるディスク装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の一つでは、情報記録媒体たるディスクに光照射手段から光を照射し、反射光を光検出器により電気信号に変換して信号処理回路により信号処理を行うディスク装置において、前記光照射手段及び前記光検出器が設けられる第1のシャーシと、前記信号処理回路及び通気口が形成されている基板が設けられる第2のシャーシとを有し、組立の際には、前記第2のシャーシ、前記基板、前記第1のシャーシの順に組み立てることを特徴とするディスク装置とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0008】図1は、本発明の一実施形態たるディスク装置の分解図である。図1において、1は電源が付いた状態のディスク装置(以下「電源付ディスク装置」と称する。)、2はディスクに対して情報を記録あるいは再生するディスク装置、3は外部電源から供給される交流電源を直流電源に変換してディスク装置2に供給する電源ボックス、4は電源スイッチ等を備えた(図5の説明にて詳述する)リヤパネル、5はシャシー、6はトップカバーである。図1に示すとおり、ディスク装置2、電源ボックス3およびリヤパネル4はシャシー5に取り付けられる。シャシー5は、ディスク装置2および電源ボックス3を取り付け可能にするためにディスク装置2および電源ボックス3よりもその幅が大きくなっている。トップカバー6についてはディスク装置2等を上部から覆う形でシャシー5に取り付ける。
【0009】なお、これ以降の説明において、幅、奥行き、高さ、正面、右側面、左側面、背面、下面および上面とは、図1に示す方向を示すものとして説明する。
【0010】次に、図2から図4を用いて、電源付ディスク装置1の主要な構成について説明する。
【0011】図2は、電源付ディスク装置1を下面から透視した概略図である。なお、本図においては、ディスク装置2、電源ボックス3、リヤパネル4の間の配線は省略している。本図より明らかなように、電源付ディスク装置1は幅寸法が奥行き寸法より狭いほぼ長方体をなしている。ディスク装置2、電源ボックス3、リヤパネル4はシャシー5に取り付けられており、また、シャシー5の下面にはクッション7が電源付ディスク装置1の奥行き方向、背面方向の中心軸線に対して各々対称に合計4箇所設けられている。このクッション7により、電源付ディスク装置1の振動が抑えられるため、ディスク装置2に伝わる振動を軽減でき、ディスク装置2によるディスクへの情報の記録または再生の信頼性を確保することができる。また、クッション7は、電源付ディスク装置1の下面に傷が付くことを防止することもできる。特に、クッション7を奥行き方向、背面方向の中心軸線に対して各々対称に合計4箇所設けることで、いかなる方向から衝撃を加えられても電源付ディスク装置1全体としては均等に振動を吸収できる。
【0012】図3(a)は、電源付ディスク装置1を右側面から見た図であり、図3(b)は、電源付ディスク装置1を上面から見た透視図である。なお、電源付ディスク装置1を左正面から見た図は図3(a)と同様の構成であるため、省略する。
【0013】図3(a)より明らかなように、ネジ穴8が2箇所設けられており、ネジ止めすることによってネジの頭がトップケース6からはみ出さないように、ネジ穴8の周囲にくぼみが設けられている。このくぼみは、電源付ディスク装置1を右側面あるいは左側面を下面として設置するとき(以下「縦置き」という)のアダプタの位置決め穴としての役割も兼ねている。
【0014】図3(b)において、9はリヤパネル4に設けられているI/Fコネクタ16とディスク装置2のI/Fコネクタを結ぶI/Fケーブル、10はリヤパネル4に設けられているAUDIO OUT端子17とディスク装置2のAUDIOコネクタとを結ぶAUDIOケーブル、11はSCSI(Small Computer SystemInterface)の識別番号等を設定できるモードセレクトスイッチ21(本図には図示せず)とディスク装置2のリモートコネクタとを結ぶリモートケーブル、そして12はリヤパネル4に設けられたファン18と電源ユニット3のファンコネクタとを結ぶファンケーブルである。本図より明らかなように、このI/Fケーブル9、AUDIOケーブル10、リモートケーブル11およびファンケーブル12は全て電源ボックス3の下を通すように構成されている。一方で、リヤパネル4に設けられているパワースイッチ19と電源ボックスとを結ぶ配線15はシャシー5と電源ボックス3との間を通さずに配線することとする。
【0015】このようにディスク装置2とリヤパネル4との配線(I/Fケーブル9、AUDIOケーブル10、リモートケーブル11)を電源ボックス3の下を通すことにより、ディスク装置2とリヤパネル4との配線が容易になり、電源付ディスク装置1の組立を容易に行うことができる。また、配線の長さを短縮でき、信号伝達効率を向上させることにもなる。さらに、これらのケーブルによって電源ボックス3を覆うことがなくなるため、通気性が向上し、電源ボックス3の過熱を防止することもできる。さらに、電源付ディスク装置1を縦置きにした場合でも配線がずれることがなくなるため、配線が外れることがなくなる。この構成は、特に、ディスク装置2に設けられている信号処理回路の基板がシャシー側(下面)に設けられている場合に有効である。
【0016】ここで、ただディスク装置2とリヤパネル4の配線を電源ボックス3の下を通すだけでは、電源ボックス3をシャシー5に取り付けたときにこの配線が電源ボックス3とシャシー5との間で挟まってしまい、シャシー5の取り付け面に段差ができてしまうため、電源ボックス3をシャシー5に確実に取り付けることができなくなるばかりか、場合によっては配線が切断してしまうおそれがある。したがって、好ましくは、配線が通過する部分のみシャシー5にくぼみを設けるように構成すればよい。このように構成することにより、電源ボックス3を確実にシャシー5に設置することができ、かつ配線の切断を防止することができる。
【0017】図4は、シャシー5に電源ボックス3を取り付けたときの電源付ディスク装置1の幅方向中心での断面図である。本図は左側面からみた図であり、本図より、シャシー5のくぼみに配線を通していることがわかる。なお、図示はしないが、シャシー5のくぼみを配線が電源ボックス3の下を通過する部分に対応して設け、電源ボックス3はシャシー5の下面の右側面および左側面側に設けられたネジ穴(図1および図2に示すとおり)がある部分にはくぼみを形成しないようにすることで、確実に電源ボックス3をシャシー5に取り付けることができる。なお、くぼみの奥行き方向の寸法としては、配線が折り曲がらずに耐久性を低下させないことを考慮してα、βともに5mm〜20mm程度とすることが望ましい。
【0018】本実施形態では電源ボックス3をシャシー5にネジ止めする例について示しているが、これに限られることなく、設置部分にくぼみを設けないような構成にすればその取り付け方法は如何なるものでもよいことはいうまでもない。
【0019】図5はケーブル9、10、11および12の接続関係が明確に分かるように、図3(b)の電源ボックス3が配置されている部分を下面から見た模式図である。本図によりケーブル9、10、11および12の接続関係が明確に分かる。本図において、14はケーブル9、10、11および12がずれないように固定したテープである。このテープの存在により、電源ボックス3をシャシー5に取り付ける際には、確実にケーブル9、10、11および12をシャシー5に設けたくぼみへ導くことが可能となる。
【0020】図6は、電源付ディスク装置1を背面から見た図である。電源付ディスク装置1の背面はトップカバー6で覆われておらず、リヤパネル4がそのまま電源付ディスク装置1の背面を形成している。16はI/Fコネクタであり、このコネクタを介してディスク装置2とパーソナルコンピュータ(PC)等の外部機器とを接続でき、互いにデータの送信、受信が可能になる。17はAUDIO端子であり、この端子から音声信号が出力される。18はファンであり、ディスク装置2内の空気を強制的に排出することで熱を逃がすために設けられているものである。19はパワースイッチであり、このスイッチの切り替えによりディスク装置2に供給する電源のONあるいはOFFを制御できる。20はACインレットであり、このインレットから交流電源を電源ボックスに取り込むことができる。21は電源付ディスク装置1の識別番号等の電源付ディスク装置1の属性を入力するモードセレクトスイッチ21である。このモードセレクトスイッチ21は、例えば、I/FがSCSIであるときには、SCSIでの識別番号をこのモードセレクトスイッチ21を用いて入力することになる。
【0021】以上説明したリヤパネル4の配置で重要なのは、I/Fコネクタ16を中央に設けている点である。I/Fコネクタ16を中央に設けることにより、上述したシャシー5のくぼみを中央付近に設けたことと整合性が保て、ケーブル9、10、11、12のうち最も自由度のないI/Fケーブル9の配線を容易にすることができ、かつ電源ボックス3をシャシー5に確実に設置することができる。
【0022】次に、ディスク装置2の詳細な構造について説明する。図7はディスク装置2を右側面から見たときの分解図である。図7において、22はメインフレームであり、直接シャシー5に取り付けられる部分であるとともに信号処理回路の基板31がこのメインフレームに設置される。また、メインフレーム22には、背面側に、ディスク装置2内の熱を逃がすためのファン28が設けられている。23はメカベースであり、ダンパー29によってメカベース23の振動を抑え、さらにダンパー30によってもメカベース23の振動を抑える構成となっている。このメカベース23にディスクの着脱機構、情報を記録あるいは再生する光学系の駆動機構などが搭載される。24はユニットメカであり、光ヘッドやスライドモータを有する部分である。25はカートリッジ、ディスク単体の別を問わず装着可能で、奥行き方向に移動可能なトレイである。26はトッププレートであり、カートリッジやディスク単体そのものが装着されたときにこれを上方から挟むクランパ、カートリッジのシャッタ開閉手段を有する。27はディスク装置2の上面、側面を覆うトップカバーである。
【0023】以下、ディスク装置2を図7で示すところの(ア)〜(カ)の部分まで組み立てたときのそれぞれの構成について説明する。図8はディスク装置2を図7における(ア)まで組み立てたときの上面図である。ディスクから読みとった信号を処理する信号処理回路の基板31はメカベース23ではなくメインフレーム22に取り付ける。あえてメインフレーム22に取り付けることで、基板31とメカベース23との間にある程度の空間を設ける。この空間を設けることで、後述するように通気性を確保し、基板31の過熱を防止することができる。なお、この基板31には、両面に信号処理回路を形成する。四角で表した部分が回路素子であり、点線で示した部分が下面側に設けられているIC、LSI等の素子を、実線で示した部分が上面側に設けられているIC、LSI等の素子を表している。また、基板31に、通気口50を設ける。
【0024】図9はディスク装置2を図7における(イ)まで組み立てたときの上面図である。図9において、32は、装着されたディスクを回転させるスピンドルであり、ユニットメカ24に取り付ける。このスピンドル32は非常に高速に回転するため、偏心しているディスクや重心が偏っているディスクを回転させたときなどには振動が発生する。このような振動は、ディスク上の所望の位置に光や磁気を照射することの妨げになり、正確な情報の記録あるいは再生の妨げとなる。この偏心に伴う振動を防止するために、板バネ33を設けている。この板バネ33は、ユニットメカ24ではなく、メカベース23に取り付ける。従って、ディスクの偏心等に伴うユニットメカ24の振動は、板バネ33を介してメカベース23に伝わり、メカベース23に取り付けられたダンパー29、30によって振動が伝わるため、ディスク装置2全体で振動を吸収することになり、情報の記録あるいは再生を正確に行うことができる。また、ユニットメカ24の振動を完全に吸収できなくても、この振動はメカベース23に伝わり、メカベース23に設けたダンパー29、30によって結果的にディスク装置2、電源付ディスク装置1の振動を低減することができる。この意味でダンパー29、30はメカベース23自体の振動の他に、スピンドル32の振動をも防止する機能を有している。
【0025】また、図9の34はユニットメカ24に取り付けられているスライドモータであり、情報を記録あるいは再生するための光を発射する半導体レーザやディスクからの反射光を検出する光検出器が備わっている光ヘッド35を、スライドモータ34の回転移動を直線移動に変換する駆動機構を介して、奥行き方向(ディスク径方向)に駆動する。36、37は光ヘッド35が移動可能に支持するスライドバーである。光ヘッド35は、駆動機構が設けられている側のスライドバー36に対しては2箇所(35−A、35−B)で支持し、スライドバー37に対しては1箇所(35−C)で支持し、合計3箇所で支持する。3箇所で支持することにより、光ヘッド35は安定してスライドモータによって駆動される。逆に4箇所以上で光ヘッド35を支持することとすると、3点支持に比べて不安定になる。また、3点支持とすることにより、部品点数が削減し、組立加工が容易になる。なお、スライドバー36に対して2箇所で支持することとしているのは、光ヘッド35が駆動機構を介して駆動力を受ける側であり、確実に駆動力を受ける必要があるからである。これに対し、スライドバー37側では駆動力を受けないので、1箇所で支持することとすればよい。また、スライドバー37の長さはスライドバー36の長さに比べて短くなっているが、これは、図9を見れば明らかなように2点支持する必要のあるスライドバー36と同等の長さは必要ないこと、後述する光ヘッド35の光軸調整のためのスペースを確保する必要があることによる。
【0026】ここで、スライドバー36、37はユニットメカ24に対して取り付け治具を用いることなく、ネジの頭で固定している。円筒状のスライドバーをネジの頭で固定することは通常行わないが、本実施形態では、限られたスペースのなかでスライドバー36、37を取り付けることを検討した結果、取り付け治具を用いなくても光ヘッド35の移動に支障がないことが分かったので、ネジの頭でスライドバー34、35を固定することとしている。このような構成により、組立加工が容易になり、部品点数を削減することができる。
【0027】また、38は摺動板である。摺動板36は、ユニットメカ24とともに平行カム機構を形成しており、幅方向に移動可能で矢印C方向に移動することによってユニットメカ24を下降させ、その逆方向に移動することでユニットメカ24を上昇させるように構成されている。図9では、ユニットメカ24が上昇している状態を示している。なお、ユニットメカ24は、背面側を中心として上面方向あるいは下面方向に回転可能に支持されている。
【0028】次に図10について説明する。図10は、ディスク装置2を図7における(ウ)まで組み立てたときの上面図であり、トレイ25がディスク装置2内に引き込まれ、ユニットメカ24が上昇する途中の状態を表す図である。ディスク単体あるいはカートリッジをディスク装置2に装着するときには、トレイ25はディスク装置2の外に位置する。この時の摺動板38は図9に示す位置よりも左側面側にある。つまり、ディスクあるいはカートリッジをトレイ25に載せて、図示しない引き込み開始スイッチを押すと、ローディングモータ40が回転し、駆動機構を介してトレイ25をディスク装置2内に引き込み始める。このとき、摺動板38上のピンLはトレイ25の裏面に設けられた案内溝41によって案内されているため、まだ摺動板38は図9あるいは図10R>0に示す位置よりも左側面側に位置している。このときユニットメカ24は下面側に位置している。そして、トレイ25の移動に伴って、ピンLおよびピンKがそれぞれ案内溝41、42により右側面側に導かれるため、摺動板38も右側面側に移動する。従って摺動板38とともに平行カム機構をなすユニットメカ24は摺動板38の移動に伴って上昇し、トレイ25の引き込み動作が完了すると、ディスクに対し情報が記録あるいは再生可能な状態になる。つまり、ローディングモータ40は、駆動機構を介してトレイを動かし、かつ摺動板38を介してユニットメカ24も動かす役割を果たす。なお、トレイ25の排出動作は、上述の引き込み動作と逆の動作を経て行われることはいうまでもない。
【0029】図11は、ディスク装置2を図7における(エ)まで組み立てたときの上面図である。図11において43はクランパであり、トレイ25がディスク装置2内に引き込まれることによって43−1の部分がトレイ25と接触し、下面方向に回動してディスクあるいはカートリッジ内のディスクをスピンドルと共に挟み込むものである。44、45は板バネであり、トレイ25にカートリッジが載せられた場合には、カートリッジが動かないように押さえつけるものである。46は、シャッタ開閉具であり、軸47によって軸支する。また、軸47にねじりコイルバネなどの付勢手段を設け、カートリッジが装着されるとき以外には常に図11に示す位置にいるように付勢する。シャッタ開閉具46は、トレイ25の引き込み移動に伴い、カートリッジのシャッタに接し、そのまま矢印方向に回動する。これにより、トレイ25が完全に引き込まれたときにはディスクカートリッジのシャッタが開いた状態でディスク装置2内に装着されることになり、カートリッジ内のディスクに対して情報の記録あるいは再生が可能になる。なお、実際にディスク装置2に組み込まれるときには、塵埃が付着するのを防止するため、トッププレート26に設けられている貫通部分(図11においてユニットメカ24の部品が見えている部分)を覆うようにシートがかぶせられる。
【0030】図12のうち図12(a)は、ディスク装置2を図7における(オ)まで、すなわち全て組み立てたときの上面図であり、ディスク装置2の外観を示す図である。図12(a)に示す48はフロントパネルであり、正面から取り付けることにより、ディスク装置2、すなわち電源付ディスク装置1の正面をなす。図12(b)はトレイ25がディスク装置2内に引き込まれる途中、あるいはディスク装置2の外に排出されている途中の状態を示す図であり、右側面側から見た図である。このとき、フロントパネルに取り付けられたシャッタ49はトレイ25によって開かれ、図12(b)に示すような位置に位置している。なお、図示はしないが、シャッタ49はトレイ25より下面側で軸支され、かつバネなどの付勢手段によりシャッタが閉じる状態に付勢されているため、図10および図11に示すような位置にあるときは、シャッタ49は閉じた状態に位置する。このようにシャッタ49はトレイ25より下面側で軸支されているため、トレイ25上に載せられているディスクあるいはカートリッジを取り出すときに簡単に取り出すことができ、かつディスクあるいはカートリッジを傷つけることもなくなる。
【0031】図13はディスク装置2の正面図である。本図より明らかなように、ディスク装置2の正面はフロントパネル48が形成している。49はシャッタであり、上述の通り、トレイ25の移動に伴って開閉する。84はイヤホーンジャックであり、51はヘッドホン調整つまみである。52はディスク装置2に装着されたディスクの種類を示すために少なくとも2種類の色を発光する第1の表示器、53はディスク装置2の動作状態を示すために少なくとも2種類の色を発光する第2の表示器である。例えば、表1のような組み合わせで第1の表示器、第2の表示器を発光させることにより、多種多様な状態を限られた数の表示器によって表示することができる。特に、本実施形態におけるディスク装置2のように、正面の大半をシャッタで構成せざるを得ず、表示器を3個以上取り付けることができない場合に有効である。
【0032】
【表1】
【0033】54は、非常イジェクト穴であり、何らかの原因でローディングモータの駆動力によって電気的にトレイ25を排出できなくなったときには、この穴にピンを差し込むことでトレイ25を手動で機械的に排出することができる。55はトレイスイッチであり、このボタンを押すことにより、ローディングモータ40を駆動させ、トレイ25を電気的に動かすことができる。56は、通風口であり、ディスク装置2内に空気を通すために開口が設けられている。
【0034】図14はトレイ25の構成を示す図である。本図において、ハッチで示した部分はチャック部57である。チャック部57はばねによって通常は本図に示す位置に付勢されている。ただし、カートリッジを挿入する場合には、矢印A方向に移動し、カートリッジもトレイ25に装着できるように構成されている。チャック部57に設けられた爪58は、電源付ディスク装置1を縦置きにした状態でディスクを装着するときにディスクがトレイ25から外れないようにディスクを支えるものである。本実施形態では爪58を設けた構成について示しているが、この構成に限られることなく、59、60のような突起部分のみでディスクを支えるように構成しても良い。なお、電源付ディスク装置1を縦置きにしたときにトレイ25にカートリッジを載せた場合には、上述した板バネ44、45によってカートリッジを支えていることはいうまでもない。61で示した部分は、トレイ25の引き込みに伴い、クランパ43と接触する部分であり、この部分でクランパ48を下面方向に回動させる。62で示した部分は切り欠きであり、この切り欠きを設けることで、ディスクあるいはカートリッジの着脱を容易にしている。
【0035】以上、電源付ディスク装置1及びディスク装置2の主要な構成について説明したが、本実施形態では、ディスク装置2に対し塵埃の付着を防止するとともに通気性の確保を行っている。以下、その構成について説明する。
【0036】図15は、ディスク装置2の通気性確保のための構成を示した概念図であり、ディスク装置2を右側面から見たときの断面図である。図中矢印は空気の流路を表している。フロントパネル48の通風口56から空気が入り込み、基板31に設けられた通気口50を通って基板上部を通過する。このとき、塵埃の影響を受けやすい光ヘッド35等が取り付けられているユニットメカ24は、メカベース23内に取り付けられているため、この流路から塵埃がユニットメカ24に流れ込むことはない。また、メカベース23の形状を、本図に示したように、ファン28に付近で流路が拡大するように構成する。従って、基板上部を通過した空気をファン28によって確実に空気をディスク装置2の外へ導くことができる。このように、通気性を確保することによって、ユニットメカ24への塵埃の付着を防ぎつつ基板上部に設けられた回路素子の発熱による温度上昇を低減し、信号処理回路の故障の危険性を低減することができる。
【0037】なお、基板下部に設けられた回路素子に対しては、メインフレーム22と基板31との間にゴムシート等の熱伝導シートを挟むことで、熱伝導を利用してメインフレーム22に熱を逃がすようにする。
【0038】ここで、メカベース23の形状は、本図に示すような形状に限られず、例えば、フロントパネル側を長辺、ファン側を短辺とする台形のような形状、あるいはファン側の底をフロントパネル側の底よりも浅くした2段構造のような形状みたいに、ファン28に空気が流れ込むように構成されており、かつユニットメカ24を取り付け可能に構成されていればいかなる形状であっても良いことはいうまでもない。また、ファン28により強制的に空気を排出する構成に限られず、ファン28の代わりに排気口を設け、通気が可能な構成であれば、基板31の温度上昇を低減し、信号処理回路の故障の危険性を低減できることはいうまでもない。
【0039】次に、図16について説明する。図16は、電源ボックス3の通気性を確保した構成を示す概念図である。図15の場合と同様、矢印は、空気の流れを示している。ディスク装置2に取り付けられたファン28からの空気は、直接電源ボックス3にあたり、電源ボックス3から発生した熱をリヤパネルに取り付けられたファン18によって逃がすように構成する。ここで、上述の通り、ケーブル10、11、12を電源ボックス3の下を通すように配線しているため、これらのケーブルが電源ボックス3から発生する熱の拡散の妨げにならず、電源ボックス3の故障の危険性を低減できる。
【0040】また、本実施形態では、ローディングモータ40を駆動するときに電圧を印加することに伴ういわゆるラッシュ電流の影響によりローディングモータ40のブラシ摩耗は避けられない。このローディングモータ40のブラシ摩耗による寿命低下の対策として、ローディングモータ40のラッシュ電流そのものを抑圧するような構成をとっている。また、ローディングモータ40に静電気が飛んだ場合に、直接基板に静電気が流れると、誤動作及び破損の可能性があるため、静電対策の構成をとっている。以下、その構成について説明する。
【0041】図17は、トレイ25のローディング(引き込み)動作時にかかる電流の変化を示す図である。図1717(a)は、ローディングモータ40に一定の電圧V1(本図においては8V)を印加したときの電流の変化を示す図であり、従来より行われてきたものである。本図中、横軸はトレイ25の引き込み位置を、縦軸は電流の値を表している。なお、縦軸の1目盛は200mAに相当する。また、電圧V1は、本実施形態では8Vとしているが、トレイ25をディスク装置2内に引き込み、ユニットメカ24を上昇させるのに必要な電圧であれば8Vに限る必要がないことはいうまでもない。一方、図1717(b)は、本実施形態において行う電圧の印加パターンであり、ローディングモータ40に始めは電圧V1よりも低い電圧V2(本図においては5V)を印加し、その後電圧V1を印加したときの電流の変化を示す図である。なお、縦軸と横軸の関係は上述の図17(a)と同じである。
【0042】両図を比較すれば分かるように、ともにローディング開始時に発生する電流が最も大きな値となっている。これは、静止しているトレイ25を動かすためには静摩擦力に抗する必要があり、電流の値も大きくなるものである。なお、その後の電流の値は小さくなっているが、これは、トレイ25が動いているため、静摩擦力より小さい動摩擦力に抗しさえすればよいからである。
【0043】両図を比較して異なるのは、ローディング開始時の電流の最大値とその値の変化の仕方である(破線で囲んだ部分)。つまり、図17(a)のように最初から電圧V1を印加したものは、最大電流値が580mAにもなるが、図17(b)のように始めに電圧V2を印加した後に電圧V1を印加した場合には、電圧V2印加直後に1回電流の値は最大になり、その後電圧V1を印加直後に再度電流の値は最大となる。ただし、その最大値は360mAである。従って、本実施形態の方法で電圧をローディングモータ40に加えれば、ラッシュ電流を抑圧することができることが分かる。
【0044】ここで、電圧V2から電圧V1へ切り替える時間については、図17(b)に示した例では、100msとしたが、これに限られるものではなく、ユニットメカを上昇させるときに電圧V1が印加されるようにすればよい。この要件さえ満たせば、いつ電圧V1を印加するかは、トレイ25のローディングスピードの設定によって適宜設定すればよい。早く電圧V1を印加すればローディングスピードは速くなるし、遅く電圧V1を印加すればローディングスピードは遅くなる。
【0045】次に、ローディングモータ40の静電対策の構成について説明する。図18は、図7における(イ)まで組み立てたときの正面図である。図中、黒く塗りつぶした部分がメインフレーム22であり、ハッチ部分が導電体63であり、板バネとしている。この導電体63は、導電性の材料からなり、一端がローディングモータ40と、他端が金属製であるメインフレーム22と接するようにしてメカベース23に取り付ける。このような構成により、メインフレーム22が接地面の役割を果たすことになるため、前面パネル方向からローディングモータ40に静電が飛んでも、メインフレーム22に電気が流れるため、基板に流れる静電気を低減することができ、基板の誤動作及び破損の危険性を低減することができる。
【0046】なお、ここで、導電体63を板バネとしたのは、メカベース23は、上述の通り、ダンパー29、30を有し、耐振構造となっていることに起因する。すなわち、導電体63を板バネとせず、剛性体としたのでは、ディスク装置2の振動を吸収することができなくなる。そこで、振動を吸収できるように弾性体たる板バネによりローディングモータ40に帯電する静電気をメインフレーム22に伝達するように構成する。この例では、導電体63を板バネとしたが、弾性体であって、かつ導電性を有するものであれば如何なるものであってもよいことはいうまでもない。
【0047】他にも、静電対策として、基板31の全体に電気的な接地面(GND)を設けておらす、正面側から奥行き方向に向かって5mm程度はGNDを設けないように構成している。これは、基板31の全体にGNDを設けることとすると、図8あるいは図13に示したイヤホーンジャック84に静電気が帯電する影響から直接基板31に静電気が流れてしまい、信号処理回路の動作を妨げてしまうからである。そこで、図示はしないが、電気的に直接基板31から信号を送るような構成とせず、イヤホーンジャック84と基板31との間に信号線と接地線を設け、この信号線を介して信号を送るように構成している。
【0048】次に、本実施形態におけるディスク装置2に搭載される光ヘッド35の構成について説明する。図1919は、光ヘッド35を上面から見た拡大図である。本図において、64は高密度に情報が記録でき、情報を再生できるディスクに対して情報を記録あるいは再生するための光を発する半導体レーザである。本実施形態ではこの光の波長は650nmであり、DVD等の高密度光ディスクへの情報の記録あるいは再生に対応する。65は半導体レーザ64の光をディスクに照射したときの反射光を検出する光検出器、66は半導体レーザ64より長い波長の光を発し、かつこの光をディスクに照射したときの反射光を検出するホログラムである。本実施形態ではこの光の波長は780nmであり、CD等の光ディスクへの情報の再生に対応する。67は、半導体レーザ64あるいはホログラム66から発した光を紙面垂直方向へ導く立ち上げミラー、ディスク上に照射する光の照射位置を調整する対物レンズ等を備えたレンズアクチュエータである。なお、本図は、FPC実装部品を装着した状態を表した図であり、FPC実装部品には、光検出器65あるいはホログラム66で検出した光を電気信号に変換する回路等が実装されている。
【0049】図20は図19に示した光ヘッド35からFPC実装部品を取り除いた状態での概念図である。図2020(a)は上面から見た図、(b)は背面から見た図である。68はヘッドシャシーであり、光ヘッド35を構成する部品がこのヘッドシャシー35に取り付けられる。69は偏光ビームスプリッタ(PBS)であり、70はダイクロミラーである。半導体レーザ64から発した光はPBS69を通過し、ダイクロミラー70によって反射されて、レンズアクチュエータ67内の立ち上げミラーにより紙面垂直方向にむかい、対物レンズによってディスク上に集光する。一方で、この光の反射光は立ち上げミラー、ダイクロミラー70によって反射され、さらにPBS69によっても反射されて光検出器65によって検出される。また、ホログラム66から発した光はダイクロミラー70を通過し、レンズアクチュエータ67内の立ち上げミラーにより紙面垂直方向にむかい、対物レンズによってディスク上に集光する。一方で、この光の反射光は立ち上げミラーで反射し、ダイクロミラー70を通過してホログラム66によって検出される。なお、半導体レーザ64をホログラムとしなかったのは、半導体レーザ64の光は再生だけでなく、情報の記録にも利用するものであり、ホログラムとすることにより必然的に生じる光の利用効率の低下を避けるためである。また、半導体レーザ64をスライドバー36、37の延在方向に対して斜めに配置したのは、PBS69によってビーム整形を行うためである。この意味で、PBS69は、ビーム整形プリズムとしての役割も果たす。
【0050】光ヘッド35の構成で特徴とするところは、光ヘッド35に備えられた各部品の配置関係である。特に、スピンドル32、スライドバー36及びスライドバー37の配置を考慮して、ホログラム66が受光する光の光路と光検出器65が受光する光の光路とが平行になるように、光検出器65及びホログラム66を配置する。また、半導体レーザ64はスピンドル32、スライドバー36及びスライドバー37のいずれもが位置しない場所に配置する。このような配置とすることにより、スピンドル32、スライドバー36、37の干渉を受けることがないため、電源付ディスク装置1の製造時に光ヘッド35をスライドバー36、37に取り付けた後の最終的な光軸の調整が容易になる。なお、半導体レーザ64と光検出器65及びホログラム66の配置関係が逆になっても最終的な光軸の調整が容易となることはいうまでもない。
【0051】また、図20において、71は逃げスペースである。この逃げスペース71の役割について以下説明する。この逃げスペース71内には、FPC実装回路に設けられる回路素子が納まる。図19を見れば明らかなように、光ヘッド35の中心部付近には回路素子が表出しているが、スライドバー37側では回路素子が1つも表出していない。これは、スライドバー37側の回路素子が全て逃げスペース71内に納まるように構成しているためである。このような構成としたのは、スライドバー37側は、図10に示すようにトレイ25の干渉を受ける領域であり、ここに回路素子を表出させるとトレイ25と接触してしまうからである。本実施形態に示すようなディスク装置は、パーソナルコンピュータ(PC)の周辺機器としてPCに備えることも想定して製造する必要があり、PC業界の要請から、実質的に幅、高さ、奥行きの寸法の制約を受けている。従って、無制限に高さを変えることはできない。そこで、限られたスペースを効率よく使用すべく、図20に示すような構成を取っている。このような構成により、非常に薄型の光ヘッドとすることができる。
【0052】次に、半導体レーザ64の構成について説明する。図21は半導体レーザの詳細な構成を示す図であり、(a)は半導体レーザ64の斜視図、(b)は背面図、(c)は上面図である。半導体レーザ64は大別してレーザブロック72とコリメートブロック73に分けられる。図21(a)に示すように、レーザブロック72はコリメートブロック73にクリップ74にて仮止めしたうえでネジによって略対角線方向に2箇所止められている。略対角線方向に止めることで取り付け面内で2方向(図21(b)に図示する方向)に仮止めのときに出射光の光軸を調整してから最終的に取り付けることが可能になる。なお、半導体レーザ64自体は取り付け穴75、76を利用して光ヘッド35に取り付ける。この取り付けも略対角線方向に2箇所止めるように構成しているため、出射光の光強度分布の中心を対物レンズの中心に合わせるように調整することができる。77はコリメートレンズをコリメートブロック73に取り付ける取り付け具である。この取り付け具76は、紙面垂直方向にはコリメートレンズが動かないようにするが、図21R>1(c)に図示する方向には移動可能にコリメートレンズを取り付けているため、半導体レーザからの出射光をコリメートレンズを介して平行光にするように調整が可能になる。
【0053】なお、ディスクに対して情報を記録あるいは再生するために半導体レーザを用いる場合には、高周波の電気信号を重畳することは、広く一般的に行われていることであるが、高周波の電気信号を重畳することによって不要輻射が生じ、安定した半導体レーザの発振に影響を与えることが分かった。そこで、本実施形態では、この半導体レーザ64全体を金属製のシールドで覆うとともに、高周波信号の出力端子と接地(GND)端子との間にコンデンサを設けている。このコンデンサを追加することにより、不要輻射を抑圧することができる。
【0054】さらに、アクチュエータ67の詳細について説明する。図22は、アクチュエータ67の分解図である。このアクチュエータ67では、可動部78が固定部79に取り付けられ、対物レンズ80を切り替えたり、ディスク上に焦点を合わせるべく、電磁力により可動部が動くように構成されている。対物レンズ80を切り替えるときには、高速に可動部78をピン81を中心に回転させ、かつ切り替えた後に可動部が振動しないようにする必要がある。可動部の振動を防止しなければ、振動がなくなるまでディスク上に光の焦点を合わせることができないからである。
【0055】そこで、このアクチュエータ67では、可動部68にボス82を設け、固定部には、そのボスがあたる部分として樹脂製のストッパ83を設けることとする。このストッパ83を樹脂製とすることで、ボス82の破損を防ぎ、かつ確実に対物レンズを切り替えた後の振動を防止することができる。なお、固定部79自体は金属製であり、可動部78は樹脂製である。従って、ストッパ83を金属製として固定部79と一体成形した方が強度的にもコスト的にも樹脂製としたものより優れているが、ストッパ83を金属製とすると、樹脂製のボス82がストッパ83との衝突の際の衝撃により破損してしまう。一方で、ボス82を金属製とすることは、可動部の重量増につながり、対物レンズ駆動の追従性が劣化してしまうことからして不可能である。なお、ストッパ83を弾性体にしてしまうと、衝突の際に反発してしまい、結果として可動部78の振動を抑えることができなくなってしまうため、弾性体とすることも不可能である。すなわち、ストッパ83を樹脂製とすることは、上記欠点を解消する上で非常に有効な構成である。
【0056】また、可動部のピン81は、図19に示すようにアクチュエータ67のカバーのうち84の部分で保護されているが、この84は、ピン方向に傾いて延在している。このような構成とすることにより、カーバー取り付けの際に精度の問題でカバーにがたつきが生じても、確実に84の部分でピンを押さえることができる。従って、アクチュエータ67の紙面垂直方向のストロークの精度を向上させることができる。
【0057】
【発明の効果】情報記録媒体たるディスクに光照射手段から光を照射し、反射光を光検出器により電気信号に変換して信号処理回路により信号処理を行うディスク装置において、光照射手段及び光検出器が設けられる第1のシャーシと、信号処理回路及び通気口が形成されている基板が設けられる第2のシャーシとを有し、組立の際には、第2のシャーシ、基板、第1のシャーシの順に組み立てるディスク装置とすることにより、第1のシャーシに設けられた光照射手段、光検出器に塵埃が付着することを防止しつつ基板に設けられた信号処理回路の過熱を防止し、信号処理回路の故障の危険性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態たる電源付ディスク装置の分解図である。
【図2】図2は、電源付ディスク装置を下面から透視した概略図である。
【図3】図3は、電源付ディスク装置を右側面から見た図及び電源付ディスク装置を上面から見た透視図である。
【図4】図4は、シャシーに電源ボックスを取り付けたときの電源付ディスク装置の幅方向中心での断面図である。
【図5】図5はケーブルの接続関係を示す、下面から見た電源付ディスク装置の模式図である。
【図6】図6は、電源付ディスク装置1を背面から見た図である。
【図7】図7はディスク装置2を右側面から見たときの分解図である。
【図8】図8はディスク装置2を図7における(ア)まで組み立てたときの上面図である。
【図9】図9はディスク装置2を図7における(イ)まで組み立てたときの上面図である。
【図10】図10は、ディスク装置2を図7における(ウ)まで組み立てたときの上面図である。
【図11】図11は、ディスク装置2を図7における(エ)まで組み立てたときの上面図である。
【図12】図12は、ディスク装置2を図7における(オ)まで組み立てたときの上面図である。
【図13】図13はディスク装置2の正面図である。
【図14】図14はトレイ25の構成を示す図である。
【図15】図15は、ディスク装置の通気性確保のための構成を示した概念図である。
【図16】図16は、電源ボックスの通気性を確保した構成を示す概念図である。
【図17】図17は、トレイのローディング(引き込み)動作時にかかる電流の変化を示す図である。
【図18】図18は、図7における(イ)まで組み立てたときの正面図である。
【図19】図19は、光ヘッドの拡大図である。
【図20】図20は図19に示した光ヘッドからFPC実装部品を取り除いた状態での概念図である。
【図21】図21は半導体レーザの詳細な構成を示す図である。
【図22】図22は、アクチュエータ67の分解図である。
【符号の説明】
1…電源付ディスク装置、2…ディスク装置、3…電源ボックス、4…リヤパネル、22…メインフレーム、23…メカベース、24…ユニットメカ、25…トレイ、26…トッププレート、27…トップカバー、33…板バネ、35…光ヘッド、40…ローディングモータ、48…フロントパネル、49…シャッタ、56…通風口、63…導電体、71…逃げスペース、72…レーザブロック、73…コリメートブロック、77…取り付け具、82…ボス、83…ストッパ。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク等のディスクに対し情報を記録あるいは再生可能なディスク装置に関し、特にディスク単体(カートリッジ内に入っていないディスクの意)、カートリッジの別に拘わらず装着可能で、情報を記録あるいは再生するのに好適なディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、情報を記録、あるいは再生可能な情報記録媒体として円盤状のディスクが存在し、このディスクは、ディスク単体、カートリッジに収納されているディスクなど、ディスクの種類、利用形態に応じて様々な状態で存在する。
【0003】そして、ディスク単体であってもカートリッジであってもこれらの様々なディスクを装着可能で情報を記録あるいは再生するディスク装置についても、例えば特開平8−77668号公報、特開平8−45160号公報に開示されているように、従来より広く知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来例においては、ディスク単体、カートリッジの種別に拘わらずディスクをディスク装置に装着できる点について開示されているが、このようなディスク装置における過熱対策、防振対策、静電対策等の問題点については何等開示されていない。
【0005】本発明の目的の一つは、これらの問題点のうち特に過熱による故障を低減することのできるディスク装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の一つでは、情報記録媒体たるディスクに光照射手段から光を照射し、反射光を光検出器により電気信号に変換して信号処理回路により信号処理を行うディスク装置において、前記光照射手段及び前記光検出器が設けられる第1のシャーシと、前記信号処理回路及び通気口が形成されている基板が設けられる第2のシャーシとを有し、組立の際には、前記第2のシャーシ、前記基板、前記第1のシャーシの順に組み立てることを特徴とするディスク装置とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0008】図1は、本発明の一実施形態たるディスク装置の分解図である。図1において、1は電源が付いた状態のディスク装置(以下「電源付ディスク装置」と称する。)、2はディスクに対して情報を記録あるいは再生するディスク装置、3は外部電源から供給される交流電源を直流電源に変換してディスク装置2に供給する電源ボックス、4は電源スイッチ等を備えた(図5の説明にて詳述する)リヤパネル、5はシャシー、6はトップカバーである。図1に示すとおり、ディスク装置2、電源ボックス3およびリヤパネル4はシャシー5に取り付けられる。シャシー5は、ディスク装置2および電源ボックス3を取り付け可能にするためにディスク装置2および電源ボックス3よりもその幅が大きくなっている。トップカバー6についてはディスク装置2等を上部から覆う形でシャシー5に取り付ける。
【0009】なお、これ以降の説明において、幅、奥行き、高さ、正面、右側面、左側面、背面、下面および上面とは、図1に示す方向を示すものとして説明する。
【0010】次に、図2から図4を用いて、電源付ディスク装置1の主要な構成について説明する。
【0011】図2は、電源付ディスク装置1を下面から透視した概略図である。なお、本図においては、ディスク装置2、電源ボックス3、リヤパネル4の間の配線は省略している。本図より明らかなように、電源付ディスク装置1は幅寸法が奥行き寸法より狭いほぼ長方体をなしている。ディスク装置2、電源ボックス3、リヤパネル4はシャシー5に取り付けられており、また、シャシー5の下面にはクッション7が電源付ディスク装置1の奥行き方向、背面方向の中心軸線に対して各々対称に合計4箇所設けられている。このクッション7により、電源付ディスク装置1の振動が抑えられるため、ディスク装置2に伝わる振動を軽減でき、ディスク装置2によるディスクへの情報の記録または再生の信頼性を確保することができる。また、クッション7は、電源付ディスク装置1の下面に傷が付くことを防止することもできる。特に、クッション7を奥行き方向、背面方向の中心軸線に対して各々対称に合計4箇所設けることで、いかなる方向から衝撃を加えられても電源付ディスク装置1全体としては均等に振動を吸収できる。
【0012】図3(a)は、電源付ディスク装置1を右側面から見た図であり、図3(b)は、電源付ディスク装置1を上面から見た透視図である。なお、電源付ディスク装置1を左正面から見た図は図3(a)と同様の構成であるため、省略する。
【0013】図3(a)より明らかなように、ネジ穴8が2箇所設けられており、ネジ止めすることによってネジの頭がトップケース6からはみ出さないように、ネジ穴8の周囲にくぼみが設けられている。このくぼみは、電源付ディスク装置1を右側面あるいは左側面を下面として設置するとき(以下「縦置き」という)のアダプタの位置決め穴としての役割も兼ねている。
【0014】図3(b)において、9はリヤパネル4に設けられているI/Fコネクタ16とディスク装置2のI/Fコネクタを結ぶI/Fケーブル、10はリヤパネル4に設けられているAUDIO OUT端子17とディスク装置2のAUDIOコネクタとを結ぶAUDIOケーブル、11はSCSI(Small Computer SystemInterface)の識別番号等を設定できるモードセレクトスイッチ21(本図には図示せず)とディスク装置2のリモートコネクタとを結ぶリモートケーブル、そして12はリヤパネル4に設けられたファン18と電源ユニット3のファンコネクタとを結ぶファンケーブルである。本図より明らかなように、このI/Fケーブル9、AUDIOケーブル10、リモートケーブル11およびファンケーブル12は全て電源ボックス3の下を通すように構成されている。一方で、リヤパネル4に設けられているパワースイッチ19と電源ボックスとを結ぶ配線15はシャシー5と電源ボックス3との間を通さずに配線することとする。
【0015】このようにディスク装置2とリヤパネル4との配線(I/Fケーブル9、AUDIOケーブル10、リモートケーブル11)を電源ボックス3の下を通すことにより、ディスク装置2とリヤパネル4との配線が容易になり、電源付ディスク装置1の組立を容易に行うことができる。また、配線の長さを短縮でき、信号伝達効率を向上させることにもなる。さらに、これらのケーブルによって電源ボックス3を覆うことがなくなるため、通気性が向上し、電源ボックス3の過熱を防止することもできる。さらに、電源付ディスク装置1を縦置きにした場合でも配線がずれることがなくなるため、配線が外れることがなくなる。この構成は、特に、ディスク装置2に設けられている信号処理回路の基板がシャシー側(下面)に設けられている場合に有効である。
【0016】ここで、ただディスク装置2とリヤパネル4の配線を電源ボックス3の下を通すだけでは、電源ボックス3をシャシー5に取り付けたときにこの配線が電源ボックス3とシャシー5との間で挟まってしまい、シャシー5の取り付け面に段差ができてしまうため、電源ボックス3をシャシー5に確実に取り付けることができなくなるばかりか、場合によっては配線が切断してしまうおそれがある。したがって、好ましくは、配線が通過する部分のみシャシー5にくぼみを設けるように構成すればよい。このように構成することにより、電源ボックス3を確実にシャシー5に設置することができ、かつ配線の切断を防止することができる。
【0017】図4は、シャシー5に電源ボックス3を取り付けたときの電源付ディスク装置1の幅方向中心での断面図である。本図は左側面からみた図であり、本図より、シャシー5のくぼみに配線を通していることがわかる。なお、図示はしないが、シャシー5のくぼみを配線が電源ボックス3の下を通過する部分に対応して設け、電源ボックス3はシャシー5の下面の右側面および左側面側に設けられたネジ穴(図1および図2に示すとおり)がある部分にはくぼみを形成しないようにすることで、確実に電源ボックス3をシャシー5に取り付けることができる。なお、くぼみの奥行き方向の寸法としては、配線が折り曲がらずに耐久性を低下させないことを考慮してα、βともに5mm〜20mm程度とすることが望ましい。
【0018】本実施形態では電源ボックス3をシャシー5にネジ止めする例について示しているが、これに限られることなく、設置部分にくぼみを設けないような構成にすればその取り付け方法は如何なるものでもよいことはいうまでもない。
【0019】図5はケーブル9、10、11および12の接続関係が明確に分かるように、図3(b)の電源ボックス3が配置されている部分を下面から見た模式図である。本図によりケーブル9、10、11および12の接続関係が明確に分かる。本図において、14はケーブル9、10、11および12がずれないように固定したテープである。このテープの存在により、電源ボックス3をシャシー5に取り付ける際には、確実にケーブル9、10、11および12をシャシー5に設けたくぼみへ導くことが可能となる。
【0020】図6は、電源付ディスク装置1を背面から見た図である。電源付ディスク装置1の背面はトップカバー6で覆われておらず、リヤパネル4がそのまま電源付ディスク装置1の背面を形成している。16はI/Fコネクタであり、このコネクタを介してディスク装置2とパーソナルコンピュータ(PC)等の外部機器とを接続でき、互いにデータの送信、受信が可能になる。17はAUDIO端子であり、この端子から音声信号が出力される。18はファンであり、ディスク装置2内の空気を強制的に排出することで熱を逃がすために設けられているものである。19はパワースイッチであり、このスイッチの切り替えによりディスク装置2に供給する電源のONあるいはOFFを制御できる。20はACインレットであり、このインレットから交流電源を電源ボックスに取り込むことができる。21は電源付ディスク装置1の識別番号等の電源付ディスク装置1の属性を入力するモードセレクトスイッチ21である。このモードセレクトスイッチ21は、例えば、I/FがSCSIであるときには、SCSIでの識別番号をこのモードセレクトスイッチ21を用いて入力することになる。
【0021】以上説明したリヤパネル4の配置で重要なのは、I/Fコネクタ16を中央に設けている点である。I/Fコネクタ16を中央に設けることにより、上述したシャシー5のくぼみを中央付近に設けたことと整合性が保て、ケーブル9、10、11、12のうち最も自由度のないI/Fケーブル9の配線を容易にすることができ、かつ電源ボックス3をシャシー5に確実に設置することができる。
【0022】次に、ディスク装置2の詳細な構造について説明する。図7はディスク装置2を右側面から見たときの分解図である。図7において、22はメインフレームであり、直接シャシー5に取り付けられる部分であるとともに信号処理回路の基板31がこのメインフレームに設置される。また、メインフレーム22には、背面側に、ディスク装置2内の熱を逃がすためのファン28が設けられている。23はメカベースであり、ダンパー29によってメカベース23の振動を抑え、さらにダンパー30によってもメカベース23の振動を抑える構成となっている。このメカベース23にディスクの着脱機構、情報を記録あるいは再生する光学系の駆動機構などが搭載される。24はユニットメカであり、光ヘッドやスライドモータを有する部分である。25はカートリッジ、ディスク単体の別を問わず装着可能で、奥行き方向に移動可能なトレイである。26はトッププレートであり、カートリッジやディスク単体そのものが装着されたときにこれを上方から挟むクランパ、カートリッジのシャッタ開閉手段を有する。27はディスク装置2の上面、側面を覆うトップカバーである。
【0023】以下、ディスク装置2を図7で示すところの(ア)〜(カ)の部分まで組み立てたときのそれぞれの構成について説明する。図8はディスク装置2を図7における(ア)まで組み立てたときの上面図である。ディスクから読みとった信号を処理する信号処理回路の基板31はメカベース23ではなくメインフレーム22に取り付ける。あえてメインフレーム22に取り付けることで、基板31とメカベース23との間にある程度の空間を設ける。この空間を設けることで、後述するように通気性を確保し、基板31の過熱を防止することができる。なお、この基板31には、両面に信号処理回路を形成する。四角で表した部分が回路素子であり、点線で示した部分が下面側に設けられているIC、LSI等の素子を、実線で示した部分が上面側に設けられているIC、LSI等の素子を表している。また、基板31に、通気口50を設ける。
【0024】図9はディスク装置2を図7における(イ)まで組み立てたときの上面図である。図9において、32は、装着されたディスクを回転させるスピンドルであり、ユニットメカ24に取り付ける。このスピンドル32は非常に高速に回転するため、偏心しているディスクや重心が偏っているディスクを回転させたときなどには振動が発生する。このような振動は、ディスク上の所望の位置に光や磁気を照射することの妨げになり、正確な情報の記録あるいは再生の妨げとなる。この偏心に伴う振動を防止するために、板バネ33を設けている。この板バネ33は、ユニットメカ24ではなく、メカベース23に取り付ける。従って、ディスクの偏心等に伴うユニットメカ24の振動は、板バネ33を介してメカベース23に伝わり、メカベース23に取り付けられたダンパー29、30によって振動が伝わるため、ディスク装置2全体で振動を吸収することになり、情報の記録あるいは再生を正確に行うことができる。また、ユニットメカ24の振動を完全に吸収できなくても、この振動はメカベース23に伝わり、メカベース23に設けたダンパー29、30によって結果的にディスク装置2、電源付ディスク装置1の振動を低減することができる。この意味でダンパー29、30はメカベース23自体の振動の他に、スピンドル32の振動をも防止する機能を有している。
【0025】また、図9の34はユニットメカ24に取り付けられているスライドモータであり、情報を記録あるいは再生するための光を発射する半導体レーザやディスクからの反射光を検出する光検出器が備わっている光ヘッド35を、スライドモータ34の回転移動を直線移動に変換する駆動機構を介して、奥行き方向(ディスク径方向)に駆動する。36、37は光ヘッド35が移動可能に支持するスライドバーである。光ヘッド35は、駆動機構が設けられている側のスライドバー36に対しては2箇所(35−A、35−B)で支持し、スライドバー37に対しては1箇所(35−C)で支持し、合計3箇所で支持する。3箇所で支持することにより、光ヘッド35は安定してスライドモータによって駆動される。逆に4箇所以上で光ヘッド35を支持することとすると、3点支持に比べて不安定になる。また、3点支持とすることにより、部品点数が削減し、組立加工が容易になる。なお、スライドバー36に対して2箇所で支持することとしているのは、光ヘッド35が駆動機構を介して駆動力を受ける側であり、確実に駆動力を受ける必要があるからである。これに対し、スライドバー37側では駆動力を受けないので、1箇所で支持することとすればよい。また、スライドバー37の長さはスライドバー36の長さに比べて短くなっているが、これは、図9を見れば明らかなように2点支持する必要のあるスライドバー36と同等の長さは必要ないこと、後述する光ヘッド35の光軸調整のためのスペースを確保する必要があることによる。
【0026】ここで、スライドバー36、37はユニットメカ24に対して取り付け治具を用いることなく、ネジの頭で固定している。円筒状のスライドバーをネジの頭で固定することは通常行わないが、本実施形態では、限られたスペースのなかでスライドバー36、37を取り付けることを検討した結果、取り付け治具を用いなくても光ヘッド35の移動に支障がないことが分かったので、ネジの頭でスライドバー34、35を固定することとしている。このような構成により、組立加工が容易になり、部品点数を削減することができる。
【0027】また、38は摺動板である。摺動板36は、ユニットメカ24とともに平行カム機構を形成しており、幅方向に移動可能で矢印C方向に移動することによってユニットメカ24を下降させ、その逆方向に移動することでユニットメカ24を上昇させるように構成されている。図9では、ユニットメカ24が上昇している状態を示している。なお、ユニットメカ24は、背面側を中心として上面方向あるいは下面方向に回転可能に支持されている。
【0028】次に図10について説明する。図10は、ディスク装置2を図7における(ウ)まで組み立てたときの上面図であり、トレイ25がディスク装置2内に引き込まれ、ユニットメカ24が上昇する途中の状態を表す図である。ディスク単体あるいはカートリッジをディスク装置2に装着するときには、トレイ25はディスク装置2の外に位置する。この時の摺動板38は図9に示す位置よりも左側面側にある。つまり、ディスクあるいはカートリッジをトレイ25に載せて、図示しない引き込み開始スイッチを押すと、ローディングモータ40が回転し、駆動機構を介してトレイ25をディスク装置2内に引き込み始める。このとき、摺動板38上のピンLはトレイ25の裏面に設けられた案内溝41によって案内されているため、まだ摺動板38は図9あるいは図10R>0に示す位置よりも左側面側に位置している。このときユニットメカ24は下面側に位置している。そして、トレイ25の移動に伴って、ピンLおよびピンKがそれぞれ案内溝41、42により右側面側に導かれるため、摺動板38も右側面側に移動する。従って摺動板38とともに平行カム機構をなすユニットメカ24は摺動板38の移動に伴って上昇し、トレイ25の引き込み動作が完了すると、ディスクに対し情報が記録あるいは再生可能な状態になる。つまり、ローディングモータ40は、駆動機構を介してトレイを動かし、かつ摺動板38を介してユニットメカ24も動かす役割を果たす。なお、トレイ25の排出動作は、上述の引き込み動作と逆の動作を経て行われることはいうまでもない。
【0029】図11は、ディスク装置2を図7における(エ)まで組み立てたときの上面図である。図11において43はクランパであり、トレイ25がディスク装置2内に引き込まれることによって43−1の部分がトレイ25と接触し、下面方向に回動してディスクあるいはカートリッジ内のディスクをスピンドルと共に挟み込むものである。44、45は板バネであり、トレイ25にカートリッジが載せられた場合には、カートリッジが動かないように押さえつけるものである。46は、シャッタ開閉具であり、軸47によって軸支する。また、軸47にねじりコイルバネなどの付勢手段を設け、カートリッジが装着されるとき以外には常に図11に示す位置にいるように付勢する。シャッタ開閉具46は、トレイ25の引き込み移動に伴い、カートリッジのシャッタに接し、そのまま矢印方向に回動する。これにより、トレイ25が完全に引き込まれたときにはディスクカートリッジのシャッタが開いた状態でディスク装置2内に装着されることになり、カートリッジ内のディスクに対して情報の記録あるいは再生が可能になる。なお、実際にディスク装置2に組み込まれるときには、塵埃が付着するのを防止するため、トッププレート26に設けられている貫通部分(図11においてユニットメカ24の部品が見えている部分)を覆うようにシートがかぶせられる。
【0030】図12のうち図12(a)は、ディスク装置2を図7における(オ)まで、すなわち全て組み立てたときの上面図であり、ディスク装置2の外観を示す図である。図12(a)に示す48はフロントパネルであり、正面から取り付けることにより、ディスク装置2、すなわち電源付ディスク装置1の正面をなす。図12(b)はトレイ25がディスク装置2内に引き込まれる途中、あるいはディスク装置2の外に排出されている途中の状態を示す図であり、右側面側から見た図である。このとき、フロントパネルに取り付けられたシャッタ49はトレイ25によって開かれ、図12(b)に示すような位置に位置している。なお、図示はしないが、シャッタ49はトレイ25より下面側で軸支され、かつバネなどの付勢手段によりシャッタが閉じる状態に付勢されているため、図10および図11に示すような位置にあるときは、シャッタ49は閉じた状態に位置する。このようにシャッタ49はトレイ25より下面側で軸支されているため、トレイ25上に載せられているディスクあるいはカートリッジを取り出すときに簡単に取り出すことができ、かつディスクあるいはカートリッジを傷つけることもなくなる。
【0031】図13はディスク装置2の正面図である。本図より明らかなように、ディスク装置2の正面はフロントパネル48が形成している。49はシャッタであり、上述の通り、トレイ25の移動に伴って開閉する。84はイヤホーンジャックであり、51はヘッドホン調整つまみである。52はディスク装置2に装着されたディスクの種類を示すために少なくとも2種類の色を発光する第1の表示器、53はディスク装置2の動作状態を示すために少なくとも2種類の色を発光する第2の表示器である。例えば、表1のような組み合わせで第1の表示器、第2の表示器を発光させることにより、多種多様な状態を限られた数の表示器によって表示することができる。特に、本実施形態におけるディスク装置2のように、正面の大半をシャッタで構成せざるを得ず、表示器を3個以上取り付けることができない場合に有効である。
【0032】
【表1】
【0033】54は、非常イジェクト穴であり、何らかの原因でローディングモータの駆動力によって電気的にトレイ25を排出できなくなったときには、この穴にピンを差し込むことでトレイ25を手動で機械的に排出することができる。55はトレイスイッチであり、このボタンを押すことにより、ローディングモータ40を駆動させ、トレイ25を電気的に動かすことができる。56は、通風口であり、ディスク装置2内に空気を通すために開口が設けられている。
【0034】図14はトレイ25の構成を示す図である。本図において、ハッチで示した部分はチャック部57である。チャック部57はばねによって通常は本図に示す位置に付勢されている。ただし、カートリッジを挿入する場合には、矢印A方向に移動し、カートリッジもトレイ25に装着できるように構成されている。チャック部57に設けられた爪58は、電源付ディスク装置1を縦置きにした状態でディスクを装着するときにディスクがトレイ25から外れないようにディスクを支えるものである。本実施形態では爪58を設けた構成について示しているが、この構成に限られることなく、59、60のような突起部分のみでディスクを支えるように構成しても良い。なお、電源付ディスク装置1を縦置きにしたときにトレイ25にカートリッジを載せた場合には、上述した板バネ44、45によってカートリッジを支えていることはいうまでもない。61で示した部分は、トレイ25の引き込みに伴い、クランパ43と接触する部分であり、この部分でクランパ48を下面方向に回動させる。62で示した部分は切り欠きであり、この切り欠きを設けることで、ディスクあるいはカートリッジの着脱を容易にしている。
【0035】以上、電源付ディスク装置1及びディスク装置2の主要な構成について説明したが、本実施形態では、ディスク装置2に対し塵埃の付着を防止するとともに通気性の確保を行っている。以下、その構成について説明する。
【0036】図15は、ディスク装置2の通気性確保のための構成を示した概念図であり、ディスク装置2を右側面から見たときの断面図である。図中矢印は空気の流路を表している。フロントパネル48の通風口56から空気が入り込み、基板31に設けられた通気口50を通って基板上部を通過する。このとき、塵埃の影響を受けやすい光ヘッド35等が取り付けられているユニットメカ24は、メカベース23内に取り付けられているため、この流路から塵埃がユニットメカ24に流れ込むことはない。また、メカベース23の形状を、本図に示したように、ファン28に付近で流路が拡大するように構成する。従って、基板上部を通過した空気をファン28によって確実に空気をディスク装置2の外へ導くことができる。このように、通気性を確保することによって、ユニットメカ24への塵埃の付着を防ぎつつ基板上部に設けられた回路素子の発熱による温度上昇を低減し、信号処理回路の故障の危険性を低減することができる。
【0037】なお、基板下部に設けられた回路素子に対しては、メインフレーム22と基板31との間にゴムシート等の熱伝導シートを挟むことで、熱伝導を利用してメインフレーム22に熱を逃がすようにする。
【0038】ここで、メカベース23の形状は、本図に示すような形状に限られず、例えば、フロントパネル側を長辺、ファン側を短辺とする台形のような形状、あるいはファン側の底をフロントパネル側の底よりも浅くした2段構造のような形状みたいに、ファン28に空気が流れ込むように構成されており、かつユニットメカ24を取り付け可能に構成されていればいかなる形状であっても良いことはいうまでもない。また、ファン28により強制的に空気を排出する構成に限られず、ファン28の代わりに排気口を設け、通気が可能な構成であれば、基板31の温度上昇を低減し、信号処理回路の故障の危険性を低減できることはいうまでもない。
【0039】次に、図16について説明する。図16は、電源ボックス3の通気性を確保した構成を示す概念図である。図15の場合と同様、矢印は、空気の流れを示している。ディスク装置2に取り付けられたファン28からの空気は、直接電源ボックス3にあたり、電源ボックス3から発生した熱をリヤパネルに取り付けられたファン18によって逃がすように構成する。ここで、上述の通り、ケーブル10、11、12を電源ボックス3の下を通すように配線しているため、これらのケーブルが電源ボックス3から発生する熱の拡散の妨げにならず、電源ボックス3の故障の危険性を低減できる。
【0040】また、本実施形態では、ローディングモータ40を駆動するときに電圧を印加することに伴ういわゆるラッシュ電流の影響によりローディングモータ40のブラシ摩耗は避けられない。このローディングモータ40のブラシ摩耗による寿命低下の対策として、ローディングモータ40のラッシュ電流そのものを抑圧するような構成をとっている。また、ローディングモータ40に静電気が飛んだ場合に、直接基板に静電気が流れると、誤動作及び破損の可能性があるため、静電対策の構成をとっている。以下、その構成について説明する。
【0041】図17は、トレイ25のローディング(引き込み)動作時にかかる電流の変化を示す図である。図1717(a)は、ローディングモータ40に一定の電圧V1(本図においては8V)を印加したときの電流の変化を示す図であり、従来より行われてきたものである。本図中、横軸はトレイ25の引き込み位置を、縦軸は電流の値を表している。なお、縦軸の1目盛は200mAに相当する。また、電圧V1は、本実施形態では8Vとしているが、トレイ25をディスク装置2内に引き込み、ユニットメカ24を上昇させるのに必要な電圧であれば8Vに限る必要がないことはいうまでもない。一方、図1717(b)は、本実施形態において行う電圧の印加パターンであり、ローディングモータ40に始めは電圧V1よりも低い電圧V2(本図においては5V)を印加し、その後電圧V1を印加したときの電流の変化を示す図である。なお、縦軸と横軸の関係は上述の図17(a)と同じである。
【0042】両図を比較すれば分かるように、ともにローディング開始時に発生する電流が最も大きな値となっている。これは、静止しているトレイ25を動かすためには静摩擦力に抗する必要があり、電流の値も大きくなるものである。なお、その後の電流の値は小さくなっているが、これは、トレイ25が動いているため、静摩擦力より小さい動摩擦力に抗しさえすればよいからである。
【0043】両図を比較して異なるのは、ローディング開始時の電流の最大値とその値の変化の仕方である(破線で囲んだ部分)。つまり、図17(a)のように最初から電圧V1を印加したものは、最大電流値が580mAにもなるが、図17(b)のように始めに電圧V2を印加した後に電圧V1を印加した場合には、電圧V2印加直後に1回電流の値は最大になり、その後電圧V1を印加直後に再度電流の値は最大となる。ただし、その最大値は360mAである。従って、本実施形態の方法で電圧をローディングモータ40に加えれば、ラッシュ電流を抑圧することができることが分かる。
【0044】ここで、電圧V2から電圧V1へ切り替える時間については、図17(b)に示した例では、100msとしたが、これに限られるものではなく、ユニットメカを上昇させるときに電圧V1が印加されるようにすればよい。この要件さえ満たせば、いつ電圧V1を印加するかは、トレイ25のローディングスピードの設定によって適宜設定すればよい。早く電圧V1を印加すればローディングスピードは速くなるし、遅く電圧V1を印加すればローディングスピードは遅くなる。
【0045】次に、ローディングモータ40の静電対策の構成について説明する。図18は、図7における(イ)まで組み立てたときの正面図である。図中、黒く塗りつぶした部分がメインフレーム22であり、ハッチ部分が導電体63であり、板バネとしている。この導電体63は、導電性の材料からなり、一端がローディングモータ40と、他端が金属製であるメインフレーム22と接するようにしてメカベース23に取り付ける。このような構成により、メインフレーム22が接地面の役割を果たすことになるため、前面パネル方向からローディングモータ40に静電が飛んでも、メインフレーム22に電気が流れるため、基板に流れる静電気を低減することができ、基板の誤動作及び破損の危険性を低減することができる。
【0046】なお、ここで、導電体63を板バネとしたのは、メカベース23は、上述の通り、ダンパー29、30を有し、耐振構造となっていることに起因する。すなわち、導電体63を板バネとせず、剛性体としたのでは、ディスク装置2の振動を吸収することができなくなる。そこで、振動を吸収できるように弾性体たる板バネによりローディングモータ40に帯電する静電気をメインフレーム22に伝達するように構成する。この例では、導電体63を板バネとしたが、弾性体であって、かつ導電性を有するものであれば如何なるものであってもよいことはいうまでもない。
【0047】他にも、静電対策として、基板31の全体に電気的な接地面(GND)を設けておらす、正面側から奥行き方向に向かって5mm程度はGNDを設けないように構成している。これは、基板31の全体にGNDを設けることとすると、図8あるいは図13に示したイヤホーンジャック84に静電気が帯電する影響から直接基板31に静電気が流れてしまい、信号処理回路の動作を妨げてしまうからである。そこで、図示はしないが、電気的に直接基板31から信号を送るような構成とせず、イヤホーンジャック84と基板31との間に信号線と接地線を設け、この信号線を介して信号を送るように構成している。
【0048】次に、本実施形態におけるディスク装置2に搭載される光ヘッド35の構成について説明する。図1919は、光ヘッド35を上面から見た拡大図である。本図において、64は高密度に情報が記録でき、情報を再生できるディスクに対して情報を記録あるいは再生するための光を発する半導体レーザである。本実施形態ではこの光の波長は650nmであり、DVD等の高密度光ディスクへの情報の記録あるいは再生に対応する。65は半導体レーザ64の光をディスクに照射したときの反射光を検出する光検出器、66は半導体レーザ64より長い波長の光を発し、かつこの光をディスクに照射したときの反射光を検出するホログラムである。本実施形態ではこの光の波長は780nmであり、CD等の光ディスクへの情報の再生に対応する。67は、半導体レーザ64あるいはホログラム66から発した光を紙面垂直方向へ導く立ち上げミラー、ディスク上に照射する光の照射位置を調整する対物レンズ等を備えたレンズアクチュエータである。なお、本図は、FPC実装部品を装着した状態を表した図であり、FPC実装部品には、光検出器65あるいはホログラム66で検出した光を電気信号に変換する回路等が実装されている。
【0049】図20は図19に示した光ヘッド35からFPC実装部品を取り除いた状態での概念図である。図2020(a)は上面から見た図、(b)は背面から見た図である。68はヘッドシャシーであり、光ヘッド35を構成する部品がこのヘッドシャシー35に取り付けられる。69は偏光ビームスプリッタ(PBS)であり、70はダイクロミラーである。半導体レーザ64から発した光はPBS69を通過し、ダイクロミラー70によって反射されて、レンズアクチュエータ67内の立ち上げミラーにより紙面垂直方向にむかい、対物レンズによってディスク上に集光する。一方で、この光の反射光は立ち上げミラー、ダイクロミラー70によって反射され、さらにPBS69によっても反射されて光検出器65によって検出される。また、ホログラム66から発した光はダイクロミラー70を通過し、レンズアクチュエータ67内の立ち上げミラーにより紙面垂直方向にむかい、対物レンズによってディスク上に集光する。一方で、この光の反射光は立ち上げミラーで反射し、ダイクロミラー70を通過してホログラム66によって検出される。なお、半導体レーザ64をホログラムとしなかったのは、半導体レーザ64の光は再生だけでなく、情報の記録にも利用するものであり、ホログラムとすることにより必然的に生じる光の利用効率の低下を避けるためである。また、半導体レーザ64をスライドバー36、37の延在方向に対して斜めに配置したのは、PBS69によってビーム整形を行うためである。この意味で、PBS69は、ビーム整形プリズムとしての役割も果たす。
【0050】光ヘッド35の構成で特徴とするところは、光ヘッド35に備えられた各部品の配置関係である。特に、スピンドル32、スライドバー36及びスライドバー37の配置を考慮して、ホログラム66が受光する光の光路と光検出器65が受光する光の光路とが平行になるように、光検出器65及びホログラム66を配置する。また、半導体レーザ64はスピンドル32、スライドバー36及びスライドバー37のいずれもが位置しない場所に配置する。このような配置とすることにより、スピンドル32、スライドバー36、37の干渉を受けることがないため、電源付ディスク装置1の製造時に光ヘッド35をスライドバー36、37に取り付けた後の最終的な光軸の調整が容易になる。なお、半導体レーザ64と光検出器65及びホログラム66の配置関係が逆になっても最終的な光軸の調整が容易となることはいうまでもない。
【0051】また、図20において、71は逃げスペースである。この逃げスペース71の役割について以下説明する。この逃げスペース71内には、FPC実装回路に設けられる回路素子が納まる。図19を見れば明らかなように、光ヘッド35の中心部付近には回路素子が表出しているが、スライドバー37側では回路素子が1つも表出していない。これは、スライドバー37側の回路素子が全て逃げスペース71内に納まるように構成しているためである。このような構成としたのは、スライドバー37側は、図10に示すようにトレイ25の干渉を受ける領域であり、ここに回路素子を表出させるとトレイ25と接触してしまうからである。本実施形態に示すようなディスク装置は、パーソナルコンピュータ(PC)の周辺機器としてPCに備えることも想定して製造する必要があり、PC業界の要請から、実質的に幅、高さ、奥行きの寸法の制約を受けている。従って、無制限に高さを変えることはできない。そこで、限られたスペースを効率よく使用すべく、図20に示すような構成を取っている。このような構成により、非常に薄型の光ヘッドとすることができる。
【0052】次に、半導体レーザ64の構成について説明する。図21は半導体レーザの詳細な構成を示す図であり、(a)は半導体レーザ64の斜視図、(b)は背面図、(c)は上面図である。半導体レーザ64は大別してレーザブロック72とコリメートブロック73に分けられる。図21(a)に示すように、レーザブロック72はコリメートブロック73にクリップ74にて仮止めしたうえでネジによって略対角線方向に2箇所止められている。略対角線方向に止めることで取り付け面内で2方向(図21(b)に図示する方向)に仮止めのときに出射光の光軸を調整してから最終的に取り付けることが可能になる。なお、半導体レーザ64自体は取り付け穴75、76を利用して光ヘッド35に取り付ける。この取り付けも略対角線方向に2箇所止めるように構成しているため、出射光の光強度分布の中心を対物レンズの中心に合わせるように調整することができる。77はコリメートレンズをコリメートブロック73に取り付ける取り付け具である。この取り付け具76は、紙面垂直方向にはコリメートレンズが動かないようにするが、図21R>1(c)に図示する方向には移動可能にコリメートレンズを取り付けているため、半導体レーザからの出射光をコリメートレンズを介して平行光にするように調整が可能になる。
【0053】なお、ディスクに対して情報を記録あるいは再生するために半導体レーザを用いる場合には、高周波の電気信号を重畳することは、広く一般的に行われていることであるが、高周波の電気信号を重畳することによって不要輻射が生じ、安定した半導体レーザの発振に影響を与えることが分かった。そこで、本実施形態では、この半導体レーザ64全体を金属製のシールドで覆うとともに、高周波信号の出力端子と接地(GND)端子との間にコンデンサを設けている。このコンデンサを追加することにより、不要輻射を抑圧することができる。
【0054】さらに、アクチュエータ67の詳細について説明する。図22は、アクチュエータ67の分解図である。このアクチュエータ67では、可動部78が固定部79に取り付けられ、対物レンズ80を切り替えたり、ディスク上に焦点を合わせるべく、電磁力により可動部が動くように構成されている。対物レンズ80を切り替えるときには、高速に可動部78をピン81を中心に回転させ、かつ切り替えた後に可動部が振動しないようにする必要がある。可動部の振動を防止しなければ、振動がなくなるまでディスク上に光の焦点を合わせることができないからである。
【0055】そこで、このアクチュエータ67では、可動部68にボス82を設け、固定部には、そのボスがあたる部分として樹脂製のストッパ83を設けることとする。このストッパ83を樹脂製とすることで、ボス82の破損を防ぎ、かつ確実に対物レンズを切り替えた後の振動を防止することができる。なお、固定部79自体は金属製であり、可動部78は樹脂製である。従って、ストッパ83を金属製として固定部79と一体成形した方が強度的にもコスト的にも樹脂製としたものより優れているが、ストッパ83を金属製とすると、樹脂製のボス82がストッパ83との衝突の際の衝撃により破損してしまう。一方で、ボス82を金属製とすることは、可動部の重量増につながり、対物レンズ駆動の追従性が劣化してしまうことからして不可能である。なお、ストッパ83を弾性体にしてしまうと、衝突の際に反発してしまい、結果として可動部78の振動を抑えることができなくなってしまうため、弾性体とすることも不可能である。すなわち、ストッパ83を樹脂製とすることは、上記欠点を解消する上で非常に有効な構成である。
【0056】また、可動部のピン81は、図19に示すようにアクチュエータ67のカバーのうち84の部分で保護されているが、この84は、ピン方向に傾いて延在している。このような構成とすることにより、カーバー取り付けの際に精度の問題でカバーにがたつきが生じても、確実に84の部分でピンを押さえることができる。従って、アクチュエータ67の紙面垂直方向のストロークの精度を向上させることができる。
【0057】
【発明の効果】情報記録媒体たるディスクに光照射手段から光を照射し、反射光を光検出器により電気信号に変換して信号処理回路により信号処理を行うディスク装置において、光照射手段及び光検出器が設けられる第1のシャーシと、信号処理回路及び通気口が形成されている基板が設けられる第2のシャーシとを有し、組立の際には、第2のシャーシ、基板、第1のシャーシの順に組み立てるディスク装置とすることにより、第1のシャーシに設けられた光照射手段、光検出器に塵埃が付着することを防止しつつ基板に設けられた信号処理回路の過熱を防止し、信号処理回路の故障の危険性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態たる電源付ディスク装置の分解図である。
【図2】図2は、電源付ディスク装置を下面から透視した概略図である。
【図3】図3は、電源付ディスク装置を右側面から見た図及び電源付ディスク装置を上面から見た透視図である。
【図4】図4は、シャシーに電源ボックスを取り付けたときの電源付ディスク装置の幅方向中心での断面図である。
【図5】図5はケーブルの接続関係を示す、下面から見た電源付ディスク装置の模式図である。
【図6】図6は、電源付ディスク装置1を背面から見た図である。
【図7】図7はディスク装置2を右側面から見たときの分解図である。
【図8】図8はディスク装置2を図7における(ア)まで組み立てたときの上面図である。
【図9】図9はディスク装置2を図7における(イ)まで組み立てたときの上面図である。
【図10】図10は、ディスク装置2を図7における(ウ)まで組み立てたときの上面図である。
【図11】図11は、ディスク装置2を図7における(エ)まで組み立てたときの上面図である。
【図12】図12は、ディスク装置2を図7における(オ)まで組み立てたときの上面図である。
【図13】図13はディスク装置2の正面図である。
【図14】図14はトレイ25の構成を示す図である。
【図15】図15は、ディスク装置の通気性確保のための構成を示した概念図である。
【図16】図16は、電源ボックスの通気性を確保した構成を示す概念図である。
【図17】図17は、トレイのローディング(引き込み)動作時にかかる電流の変化を示す図である。
【図18】図18は、図7における(イ)まで組み立てたときの正面図である。
【図19】図19は、光ヘッドの拡大図である。
【図20】図20は図19に示した光ヘッドからFPC実装部品を取り除いた状態での概念図である。
【図21】図21は半導体レーザの詳細な構成を示す図である。
【図22】図22は、アクチュエータ67の分解図である。
【符号の説明】
1…電源付ディスク装置、2…ディスク装置、3…電源ボックス、4…リヤパネル、22…メインフレーム、23…メカベース、24…ユニットメカ、25…トレイ、26…トッププレート、27…トップカバー、33…板バネ、35…光ヘッド、40…ローディングモータ、48…フロントパネル、49…シャッタ、56…通風口、63…導電体、71…逃げスペース、72…レーザブロック、73…コリメートブロック、77…取り付け具、82…ボス、83…ストッパ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】情報記録媒体たるディスクに光照射手段から光を照射し、反射光を光検出器により電気信号に変換して信号処理回路により信号処理を行うディスク装置において、前記光照射手段及び前記光検出器が設けられる第1のシャーシと、前記信号処理回路及び通気口が形成されている基板が設けられる第2のシャーシとを有し、組立の際には、前記第2のシャーシ、前記基板、前記第1のシャーシの順に組み立てることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】ディスクを装置内外に搬送するディスク搬送機構と、該ディスク搬送機構を動作させるローディングモータとを有し、該ローディングモータに第1の電圧より低い第2の電圧を印加した後に、該第1の電圧を印加することを特徴とするディスク装置。
【請求項3】情報記録媒体たるディスクに光ヘッドから光を照射し、反射光を該光ヘッドにより電気信号に変換して、基板に設けられた信号処理回路により信号処理を行うディスク装置において、開口部を有するフロントパネルと、前記基板を取付け可能な外装ケースと、前記光ヘッド及び前記光ヘッドを移動させる光ヘッド送り機構と基板とを隔てる部材とを備え、装置の後部に設けられたファンにより、外気を前記開口部から前記基板に導くように構成することを特徴とするディスク装置。
【請求項1】情報記録媒体たるディスクに光照射手段から光を照射し、反射光を光検出器により電気信号に変換して信号処理回路により信号処理を行うディスク装置において、前記光照射手段及び前記光検出器が設けられる第1のシャーシと、前記信号処理回路及び通気口が形成されている基板が設けられる第2のシャーシとを有し、組立の際には、前記第2のシャーシ、前記基板、前記第1のシャーシの順に組み立てることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】ディスクを装置内外に搬送するディスク搬送機構と、該ディスク搬送機構を動作させるローディングモータとを有し、該ローディングモータに第1の電圧より低い第2の電圧を印加した後に、該第1の電圧を印加することを特徴とするディスク装置。
【請求項3】情報記録媒体たるディスクに光ヘッドから光を照射し、反射光を該光ヘッドにより電気信号に変換して、基板に設けられた信号処理回路により信号処理を行うディスク装置において、開口部を有するフロントパネルと、前記基板を取付け可能な外装ケースと、前記光ヘッド及び前記光ヘッドを移動させる光ヘッド送り機構と基板とを隔てる部材とを備え、装置の後部に設けられたファンにより、外気を前記開口部から前記基板に導くように構成することを特徴とするディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
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【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2000−3586(P2000−3586A)
【公開日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−104880
【出願日】平成11年4月13日(1999.4.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233136)株式会社日立画像情報システム (76)
【出願人】(000233033)日立コンピュータ機器株式会社 (253)
【公開日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年4月13日(1999.4.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233136)株式会社日立画像情報システム (76)
【出願人】(000233033)日立コンピュータ機器株式会社 (253)
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