説明

ディスク装置

【課題】異形のディスクの挿入や異物の挿入、あるいは搬送途中でのディスクのスタック等を確実に検知することができ、しかも小型化及び低コスト化が可能なディスク検知機構を提供する。
【解決手段】ディスクの挿入口の近傍に、ディスクの挿入方向と垂直方向に、該挿入口の全幅にわたって光学的なディスク検知手段を配置し、該挿入口からの物体の挿入によって生ずる受光量の変化パターンを検知し、その受光量変化パターンと、予め記憶しておいた正規ディスクが正常に挿入された際の受光量変化パターンとを比較することで、正規ディスクの正常な挿入であるか否かを検知するディスク検知機構を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用オーディオ等におけるCDやDVDなどのディスクをローディングするスロットインタイプのディスク装置に関し、特に異形のディスクの挿入を検知する手段を備えたディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、挿入口から挿入されたCDやDVDといったディスクを内部にローディングして再生するディスク装置が知られている。このようなディスク装置は、一般に、ディスクの挿入を検知するディスク検知機構を備えており、このディスク検知機構によりディスクの挿入が検知され、ディスクが内部にローディングされると記録や再生を開始する。
【0003】
ところで、ディスク装置の挿入口には、正規の形状以外の異形のディスク、あるいはディスクであっても一度に複数枚のディスクが挿入される場合や、ディスク以外の異物、例えばカードや駐車券などが挿入される場合がある。このような場合、挿入された物がディスク装置の内部にローディングされてしまうと、取り出しが困難になったり、ピックアップやモータの故障の原因になったりすることがある。
【0004】
そこで、挿入口から挿入された物が異物であるかどうかを判別し、異物である場合はローディングを中止してその異物を排出するローディング機構が開発されている。これまで、このような場合の異物の検知は、ディスクの搬送路の複数箇所に該搬送路を挟む形で発光素子と受光素子を対向配置し、発光素子から射出された光が搬送路を搬送される物体によって遮られたかどうかを対向する受光素子で検出し、この複数箇所の受光素子からの受光信号からなるビットパターンに基づいて異物か否かを判別することで行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−251329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述したディスク検知機構では、光検知素子をディスクの搬送路の所定箇所に点配置する構成であるため、正規の形状以外の、例えば星形や方形のディスクを挿入した場合や複数のディスクを挿入した場合、あるいは形状の小さな異物を挿入した場合などでは、その挿入の仕方や方向によっては、生成するビットパターンが正常な検知パターンとなってしまったり、あるいはビットパターン信号がまったく発生しなかったりして、異常を正確に判定することができなかった。また、正規の形状のディスクが搬送途中で何らかの原因で停止した場合でも、正常な検知パターン信号が発生してしまうことがあり、そのような挿入搬送の途中での停止を確実に検知することができなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、正規の形状以外の異形のディスクや異物の挿入、さらには正規の形状のディスクでも複数枚の挿入やディスクが挿入搬送の途中で停止した場合などでも、それを確実に検知することができ、しかも小型化及び低コスト化が可能なディスク検知機構を備えたディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、ディスク挿入口の近傍に、ディスクの挿入方向と垂直方向に、該挿入口の略全幅にわたって光学的なディスク検知手段を配置して、該挿入口からの物体の挿入によって生ずる受光量の変化パターンを検知し、その受光量変化パターンと、予め求めておいた正規ディスクが正常に挿入された際の受光量変化パターンとを比較することで、正常な挿入であるか否かを検知する構成とした。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るディスク装置によれば、挿入物の挿入に伴う受光量変化パターンを正規ディスクの正常な挿入に伴う受光量変化パターンと比較することで、正常な挿入であるか否かを判別することができるので、正規の形状以外の例えば星形や方形のディスクを挿入した場合や複数のディスクを挿入した場合、あるいは異物を挿入した場合などでも確実に異常挿入と判定することができる。また、正規の形状のディスクが搬送途中で何らかの原因で停止した場合でも、それを確実に検知することができる。
さらに、ディスク検知手段を、ディスク挿入口に添ってディスク搬送方向を横断するように配置すればよいので、従来のようにディスクの搬送方向に添って配置する必要がなく、従ってディスク装置内部の設計の自由度が高くなるので、車載用ディスク再生装置等の小型化が可能となる。また、ディスク検知手段をディスク装置の搬送手段の前方部あるいはノーズピースに添って配置することができるので、従来のディスク搬送機構にそのまま採用することができ、低コスト化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ディスク挿入口と、前記ディスク挿入口から挿入される挿入物を検知するディスク検知手段と、挿入された挿入物を搬送するディスク搬送手段と、正規のディスクが正常に挿入されたか否かを判定するディスク判定手段と、前記ディスク判定手段の判定に基づき前記ディスク搬送手段を制御するメカニズム制御手段とを有するディスク装置において、前記ディスク検知手段は、前記ディスク挿入口からの挿入物の挿入に伴う受光量変化を検知するように、前記ディスク搬送手段よりも前記ディスク挿入口側に、前記ディスク挿入口の略全幅にわたりディスク搬送方向を横断するように配置されており、前記ディスク判定手段は、前記ディスク検知手段からの受光量変化に対応したディスクパターン信号を検知するディスク信号検知手段と、正規ディスクが正常に挿入された時の前記ディスク信号検知手段からの出力を予め記憶する正規ディスク信号パターン記憶手段と、前記ディスク信号検知手段からの受光量変化に対応したディスク信号パターンと前記正規ディスク信号パターン記憶手段に記憶されたディスク信号パターンとを比較して正規ディスクの正常な挿入であるか否かを判定するディスク信号パターン判定手段とを備えるように構成した。
【0011】
このように構成されたことにより、正規の形状以外のディスクや異物を挿入した場合、あるいは正規の形状のディスクが搬送途中で何らかの原因で停止した場合、それを確実に検知することができる。
さらに、ディスク検知手段を、ディスク挿入口に添ってディスク搬送方向を横断するように配置すればよいので、従来のようにディスクの搬送方向に添う奥行き方向にディスク検知素子を配置する必要がなく、搬送機構の設計自由度が確保できるので、特に車載用ディスク再生装置等のディスク装置の小型化、低コスト化が可能となる。
【実施例】
【0012】
以下、この発明の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施例に係るディスク装置の全体配置図である。図2、3は、ディスク検知手段について記載したものである。図4は、本発明に係るディスク装置のディスク判定手段の構成を電気的なブロック図で概略示したものである。図5は、本発明に係る正規のディスクが挿入された場合に得られる信号パターンを示している。図6は、異形のディスクが挿入された場合あるいはディスクが搬送途中で停止した場合に得られる信号パターンを示している。図7は、ディスク検知手段の別の実施例について記載したものである。
ディスク2は、ノーズピース3のディスク挿入口3Aからディスク装置1に挿入され、搬送ローラ4及びガイドトップ5からなるディスク搬送手段によりターンテーブル6の上方まで搬送され、次いで、図示しないチャッキング機構によりターンテーブル6上にチャッキングされた後、情報の再生あるいは記録に供される。7はターンテーブル回転用のスピンドルモータである。
【0013】
ディスク挿入口3Aから挿入されたディスク2等の挿入物を検知するため、前記ディスク搬送手段の前方に、発光素子8、受光素子9、及び1対のプリズム状の導光体10A、10Bからなるディスク検知手段が設けられている。
図2及び図3は、それぞれ、前記ディスク検知手段の正面図及び動作説明図である。図2に記載したように、前記一対のプリズム状の導光体10A、10Bがディスク等の搬送方向を横断するようにディスク挿入口3Aの全幅に亘る幅に配置されている。また、前記一対のプリズム状導光体10A、10Bの長辺部の内の一方の平面10A1、10B1はディスクの搬送路を挟むように互いに平行に向かい合わせになっており、長辺部のうち他方の平面10A2、10B2はディスク挿入口3Aの幅方向に斜面した光反射面となり、ディスクの搬送路と逆側に面している。プリズム状導光体10A、10Bの短辺部のうち、上下方向の厚みの大きい平面10A3、10B3は、ディスク搬送路に対し点対称となるように左右逆に配置されている。そして、当該平面10A3、10B3にそれぞれ対向して、前記発光素子8及び前記受光素子9が配置されている。このように前記プリズム状導光体10A、10B、発光素子8及び受光素子9を配置したので、図3に記載したように、それぞれ1つの発光素子8と受発光素子9を設けるだけで、ディスク挿入口3Aの全幅にわたり挿入物の検知を行うことができる。なお、前記ディスク検知手段は、ディスク挿入口3Aの全幅に亘って配置されるが、必ずしもディスク挿入口3Aの幅に等しく配置する必要はなく、正規のディスク2の直径と同程度の幅に配置すればよい。また、前記プリズム状の導光体10A、10Bはその短辺部のうち厚みの大きい平面10A3、10B3がディスク搬送路に対し線対称になるように配置しても良いが、上述したような点対称の配置とすることで、発光素子8と受光素子9をディスク挿入口3Aの幅方向の逆側に配置でき、発光素子8からの光が受光素子9に直接入射するのを防止できる。
【0014】
図4に記載したように、この発明のディスク判定手段は、受光素子9からの信号を受けてディスクの挿入状態を検知するディスク信号検知手段21と、前記ディスク信号検知手段21からの入力を受光量変化パターンとして記憶するディスク信号パターン記憶手段23と、正規のディスクが正常に挿入された時の受光量パターンを予め記憶する正規ディスク信号パターン記憶手段24と、前記ディスク信号パターン記憶手段23に記憶されたディスク信号パターンと前記正規ディスク信号パターン記憶手段24に記録された基準となるディスク信号パターンとを比較し、正常挿入であるか否かを判定してメカニズム制御手段22に信号を出力するディスク信号パターン判定手段25とを有している。
【0015】
次に、上記構成の動作を説明する。まず、正規の形状のディスクが1枚だけ正常に挿入される場合、一方のプリズム状の導光体10Aの平面10A1から他方の導光体10B1に至る光路を一部遮断する程度の深さまでディスクがディスク挿入口3Aから挿入されると、受光素子9は、光量変化を検知し、ディスク挿入の検出信号をディスク信号検知手段21に出力する。この検出信号はメカニズム制御手段22に入力され、メカニズム制御手段22は、ディスクが挿入されたとして、搬送ローラ4の駆動モータMに起動の制御信号を送る。搬送ローラ4は、この起動の制御信号により、挿入されたディスクを再生位置に搬送する方向(ローディング方向)に一定の速度で回転を開始する。
【0016】
搬送ローラ4のローディング方向への駆動により、ディスクは再生位置の方向に一定の速度で搬送されるので、それに伴い発光素子8から受光素子に至る光路が遮断される量が多くなり、受光素子9の受光量は搬送時間の経過と共に低下していく。そして、ディスクのセンターホールがディスク検知手段を通過する付近で、センターホールの影響を受けて多少変動するものの、受光量が最小になり、その後、再び受光量は増加していく。
このような受光量の変化に伴う信号パターンを図5に示す。正規の形状のディスクが正常に挿入された場合、この受光量の変化に伴う信号パターンは、ディスクの搬送速度が一定であるため、ディスクの挿入の仕方に拘わらず、常に同一の形状の信号パターンとなる。
【0017】
ディスク信号検知手段21は、そのような前記受光量変化パターンに対応する信号をディスク信号パターン記憶手段23に継続的に出力する。ディスク信号パターン記憶手段23は、ディスク信号検知手段21からの該出力を継続的に記憶し、ディスクの挿入に伴う受光量の変化に対応したディスク信号パターンを記憶する。したがって、ディスク信号パターン記憶手段23には、挿入されたディスクの形状に対応した特有の信号パターンが記憶される。
一方、正規ディスク信号パターン記憶手段24には、正規のディスクが当該ディスク装置に正常に挿入された場合に対応したディスク信号パターンを予め記憶させておく。
【0018】
搬送ローラ4の駆動により挿入されたディスクの後端がライン状に設けられたディスク検知手段を通過し、ディスク信号検知手段21の出力信号が最大値を示した時点で、ディスク信号パターン判定手段25は、ディスク信号パターン記憶手段23に継続的に記憶されていくディスク信号パターンと予め正規ディスク信号パターン記憶手段24に記憶されているディスク信号パターンとを比較する。
前記したように、正規のディスクが当該ディスク装置に正常に挿入された場合に対応したディスク信号パターンは常に同一の形状なので、このようにディスク信号パターンを比較することにより、正規のディスクが正常に挿入されたか否かを判定することができる。
ディスク信号パターン判定手段25におけるディスク信号パターンの比較は、通常のよく知られたパターン認識手段を用いて行うことができる。
【0019】
今回の挿入は正規のディスクが1枚だけ正常に挿入された場合なので、ディスク信号パターン記憶手段23に記憶されたディスク信号パターンは、予め正規ディスク信号パターン記憶手段24に記憶されているディスク信号パターンと同一である。したがって、ディスク信号パターン判定手段25は、この信号パターンの比較の結果、同一のディスク信号パターンと判断し、メカニズム制御手段22に対し、引き続きディスク搬送手段の駆動を制御する信号を出力する。
メカニズム制御手段22は、前記ディスク信号パターン判定手段25からの出力に対応してディスク搬送手段の駆動を継続し、最終的にディスクがターンテーブル6上にチャッキングされ、情報の再生あるいは記録に供される。
【0020】
挿入されたディスクのパターン信号は、ディスク先端部がディスク検知手段により検知されてからディスク後端部が該ディスク検知手段を通過するまで得られるが、ディスク検知手段が搬送ローラ4よりもディスク挿入口側に位置するため、ディスクの先端部が該ディスク検知手段により検知されてから搬送ローラ4によって定速の搬送が開始されるまでの挿入初期は、操作者による挿入操作の影響により、得られる信号パターンは、挿入されるディスク固有の信号パターンとは必ずしも一致しない。したがって、このような挿入初期の不安定な信号パターンを排除するため、ディスク信号検知手段21から出力されてディスク信号パターン記憶手段23へ記憶されるディスクパターン信号は、ディスク信号検知手段21からの出力が開始されてからディスクの先端部が搬送ローラ4により定速駆動されるまでの期間のディスクパターン信号を排除したものとし、ディスクの先端部が搬送ローラ4によって定速のローディングが開始された以降に得られるディスクパターン信号とする。
【0021】
このため、ディスクが挿入される時点においては、ディスク信号検知手段21から出力されるディスクパターン信号に一定の閾値を設けるか、あるいはディスク信号パターン記憶手段23に記憶される信号に一定に閾値を設けるかにより、ディスク信号パターン記憶手段23は該閾値の信号レベル以下になった時点からのディスク信号パターンを記憶することとし、該閾値は、正規ディスクの先端部が搬送ローラ4によって定速駆動が開始される時点での、ディスク信号検知手段21が出力する信号レベルに相当するものとする。
したがって、同様に、正規ディスク信号パターン記憶手段24に予め記憶されるディスク信号パターンも、該閾値に対応したディスク信号パターンとする。
【0022】
次に、ディスクが正規のディスクとは異なる形状の、例えば方形形状のディスクがディスク挿入口3Aから挿入された場合、受光素子9がそのディスクの挿入を検知し、搬送ローラ4が駆動を開始する。方形形状のディスクがなおも挿入されるに伴い、ディスク信号検知手段21は挿入されたディスクの形状に対応したディスク信号パターンをディスク信号パターン記憶手段23に継続的に出力し、ディスク信号パターンがディスク信号パターン記憶手段23に記憶される。そして、搬送ローラの駆動により搬送されつつある方形形状のディスクの後端がディスク検知手段を通過し、ディスク信号検知手段21の出力信号が最大値を示した時点で、ディスク信号パターン判定手段25は、正規ディスク信号パターン記憶手段24から正規ディスクの挿入に対応したディスク信号パターンを読み出し、ディスク信号パターン記憶手段23に記憶されたディスク信号パターンと比較する。
【0023】
当該ディスク装置が、例えば12センチサイズの円形ディスクを正規の対応可能なディスクとしており、今回挿入された方形形状のディスクは対応できないものである場合、正規ディスク信号パターン記憶手段24には、該12センチサイズの円形ディスクに相当する信号パターンは予め記憶されているが、今回挿入された方形形状のディスクに相当する信号パターンは記憶されていない。
したがって、ディスク信号パターン記憶手段23に記憶されたディスク信号パターンが正規ディスク信号パターン記憶手段24に記憶されたディスク信号パターンと一致しないと認識され、ディスク信号パターン判定手段25は、方形ディスクの挿入は正規のディスクの挿入ではないと判断し、メカニズム制御手段22に対し方形形状のディスクのディスク挿入口方向への搬送(アンローディング)を指示し、メカニズム制御手段22は、ディスク搬送装置のモータ等を制御し、ディスク装置1に挿入された方形形状のディスクはディスク挿入口3Aから排出される。
【0024】
ディスク検知手段は搬送ローラ4よりもディスク挿入口3A側に位置しているので、搬送ローラ4の駆動により搬送されつつある方形形状のディスクの後端がディスク検知手段を通過し、ディスク信号検知手段21の出力信号が最大値を示した時点では、挿入物が正規のディスクサイズよりも小さなものであっても、該挿入物の後端は搬送ローラ4によりまだ挟持されている。したがって、この時点でディスク判定手段を動作させて異常挿入を検出し、搬送ローラ4をアンローディングのために逆回転することで、挿入物をディスク挿入口3Aから容易に取り出すことができる。したがって、クレジットカードなどの小さい挿入物の場合などには、異物が搬送途中にメカ内部でスタックするなどの致命的なトラブルを未然に防ぐことができ、効果的である。
【0025】
次に、正規のサイズのディスクが挿入されたが、ディスクの上面に貼付されたラベルが剥離された等の理由により挿入途中でディスクが停止した場合には、ディスク信号検知手段21から得られるディスク信号パターンは、図6に記載したように、搬送開始から一定時間後に受光量が一定になるディスク信号パターンとなる。このような場合、そのディスク信号パターンをディスク信号パターン判定手段25によって正規挿入のディスク信号パターンと比較することで、その挿入を異常挿入と判定することができる。
【0026】
正規のサイズのディスクが複数枚同時に挿入された場合、ディスク信号検知手段から得られる信号パターンは、複数枚が完全に重ねられて挿入された場合を除き、異形のディスクが挿入された場合と同様な信号パターンが得られるので、そのディスク信号パターンをディスク信号パターン判定手段25によって正規挿入のディスク信号パターンと比較することで、その挿入を異常挿入と判定することができる。
【0027】
正規ディスク信号パターン記憶手段24には、当該ディスク再生装置が再生可能な複数のサイズのディスク信号パターンを記憶させておくことで、挿入されたディスクがそれら正規のディスクであるかを簡便に判定することができる。
【0028】
上記実施例では、ディスク信号パターン判定手段25による判定の時期を、挿入物の後端がディスク検知手段を通過してディスク信号検知手段からの出力が最大になった時点に設定しているが、これに換えて、ディスク信号パターン判定手段25は、正規ディスク信号パターン記憶手段24に記憶されているディスク信号パターンと、ディスク信号検知手段によって得られる一定の閾値以下のディスク信号パターンとをリアルタイムで比較し、それらのディスク信号パターンが異なることが判定できた時点で不正挿入と判定するように構成することもできる。このように構成すると、前記したディスク信号検知手段が最大値を検出した時点で行うよりも信号パターンの比較判断の信頼性は劣るが、異物挿入をより早期に判断し、早期に排出することが可能となるので、挿入物がディスク装置内部でスタックすることを未然に防止することができる。
【0029】
また、上記実施例では、ディスクの挿入に伴う搬送ローラ4の始動をディスクパターン信号検知手段21からの出力に基づいて行っているが、ディスクパターン信号検知手段21からの出力に一定の閾値を設けておき、その閾値以下の出力になった時点で搬送ローラ4を駆動させるように構成することもできる。この場合の閾値は、正規サイズのディスクがディスク挿入口3Aから挿入され、そのディスクの先端部が搬送ローラ4の位置に到達した状態でのディスク信号検知手段からの出力に相当する閾値とすることが望ましい。この場合、正規ディスク信号パターン記憶手段に記憶するディスク信号パターンは、この閾値に対応して、正規サイズのディスクの先端部が搬送ローラ4に到達した時点以降のディスクが正常に搬送された時に得られる信号パターンとする。
【0030】
このように構成すると、正規サイズ以下の小さな異物を挿入しようとしても、ディスク信号検知手段からの出力が該閾値以下にならなければディスク搬送ローラ4は駆動を開始せず、ディスク装置内への取り込を事前に拒否することができる。また、ディスク信号パターン記憶手段23に記憶されるパターン信号を該閾値以下の信号とすることで、上記実施例と同様に、信号パターンへの操作者による挿入初期の影響を排除することができる。さらに、ディスク信号パターン記憶手段23へのディスク信号パターンの取り込みを搬送ローラ4の始動と同期することができるので、信号制御系をより簡潔に構成することもできる。
【0031】
上記実施例では、前記ディスク検知手段は、前記一対のプリズム状の導光体10A、10Bと、一対の発光素子8・受光素子9により構成しているが、図7に記載したように、ディスク挿入口3Aの略全幅に対応して、ディスクの搬送路を挟んで上下に、多数の発光素子8をライン状に並べた発光部と、同様に多数の受光素子9をライン状に並べた受光部とを向かい合わせて配置しても良い。

【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るディスク装置の全体配置図である。
【図2】本発明に係るディスク検知手段をディスク挿入方向から見た正面図である。
【図3】本発明に係るディスク検知手段の動作説明図である。
【図4】本発明に係る判定手段の電気的な構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】本発明に係る正規のディスクが挿入された時に得られる信号パターンを示す図である。
【図6】本発明に係る異形ディスクの挿入あるいはディスクが搬送途中で停止された時に得られる信号パターンを示す図である。
【図7】本発明に係るディスク検知手段の別の実施例に係る動作説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1ディスク装置、2ディスク、3ノーズピース、4搬送ローラ、5ガイドトップ、6ターンテーブル、7スピンドルモータ、8発光素子、9受光素子、10A,B導光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入口と、前記ディスク挿入口から挿入される挿入物を検知するディスク検知手段と、挿入された挿入物を搬送するディスク搬送手段と、正規のディスクが正常に挿入されたか否かを判定するディスク判定手段と、前記ディスク判定手段の判定に基づき前記ディスク搬送手段を制御するメカニズム制御手段とを有するディスク装置において、
前記ディスク検知手段は、前記ディスク挿入口からの挿入物の挿入に伴う受光量変化を検知するように、前記ディスク搬送手段よりも前記ディスク挿入口側に、前記ディスク挿入口の略全幅にわたりディスク搬送方向を横断するように配置されており、
前記ディスク判定手段は、前記ディスク検知手段からの受光量変化に対応したディスクパターン信号を検知するディスク信号検知手段と、正規ディスクが正常に挿入された時の前記ディスク信号検知手段からの出力を予め記憶する正規ディスク信号パターン記憶手段と、前記ディスク信号検知手段からの受光量変化に対応したディスク信号パターンと前記正規ディスク信号パターン記憶手段に記憶されたディスク信号パターンとを比較して正規ディスクの正常な挿入であるか否かを判定するディスク信号パターン判定手段とを備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置において、前記ディスク検知手段は1対のプリズム状導光体と発光素子及び受光素子とから構成され、前記プリズム状導光体は、前記プリズム状導光体の長辺部をディスクの搬送路を挟むよう向かい合わせ、且つ前記プリズム状導光体の短辺部をディスク搬送路に対し点対称となるように左右逆に配置し、前記1対のプリズム状導光体の前記短辺部に前記発光素子及び前記受光素子を配置することを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載のディスク装置において、前記ディスク検知手段は、ディスクの搬送路を挟んで、多数の発光素子をライン状に並べた発光部と、多数の受光素子をライン状に並べた受光部とを向かい合わせて配置したことを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のディスク装置において、前記ディスク信号検知手段から出力される信号に閾値を設定するとともに、前記閾値を正規ディスクの先端部が前記ディスク搬送手段により搬送を開始される時点での前記ディスク信号検知手段の出力に対応した値とし、挿入物の挿入に伴い前記ディスク信号検知手段から前記閾値以下の信号が出力されることに同期して前記ディスク搬送手段を始動させることを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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