説明

ディスク装置

【課題】 位置決め部で位置決めされたディスクを回転駆動部に確実に保持させることができ、且つディスクの外周縁を位置決め部から十分に離して回転させることができる「ディスク装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 ディスクを回転駆動部に支持するときに、第1の規制部材170の押圧傾斜部176によって、ユニット支持ベース13がY2方向へ押され、ユニット支持ベース13を支持するダンパーの弾性変形の範囲内でユニット支持ベース13がY2方向へ移動させられる。よって、位置決め部に位置決めされているディスクの中心穴が回転駆動部で確実に保持される。ディスクを保持した後に、押圧傾斜部176によるユニット支持ベース13への押圧力が解除されると、ユニット支持ベース13が中立支持位置に戻る。よって、ディスクを位置決め部から離れた位置で回転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に設けられた位置決め部がディスクの周縁部に当たることでディスクが位置決めされて、ディスクの中心部が回転駆動部に保持されるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用などのCDやDVDが装填されるディスク装置は、筐体に開口する挿入口から挿入されたディスクが移送機構で筐体内に向けて移送される。筐体内に移送されたディスクは、その周縁部が、筐体内に設けられた位置決め部に突き当たることで位置決めされる。そして、位置決めされたディスクの中心穴が回転駆動部に嵌合し、ディスクが回転駆動部に保持されて回転駆動される。
【0003】
また、ディスク選択式のディスク装置では、筐体内に複数枚のディスク支持体が重ねられて設けられ、それぞれのディスク支持体にディスクが一枚ずつ支持されている。通常はディスク支持体に位置決め部が設けられ、ディスクの外周縁が位置決め部に突き当てられることで、ディスク支持体とディスクとが互いに位置決めされている。いずれかのディスク支持体が選択されると、そのディスク支持体に支持されているディスクの中心穴が回転駆動部に保持され、ディスクがディスク支持体から少しだけ離された位置で回転駆動される。
【特許文献1】特開平11−162079号公報
【特許文献2】特開2003−157607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ディスク装置は、いずれも位置決め部で位置決めされていたディスクの中心部を回転駆動部に保持した後に、このディスクを位置決め部から離した位置で回転させることが必要である。
【0005】
そのために、回転駆動部の中心を、位置決め部で位置決めされているディスクの中心部からディスクの面方向へずらして配置する構造が採用されている。この構造では、回転駆動部の凸部のテーパ面でディスクの中心穴をガイドし、回転駆動部でディスクをセンタリングして保持することで、ディスクの外周縁を位置決め部から離すことができる。しかし、この手段では、回転駆動部に保持されたディスクの外周縁と位置決め部との隙間がわずかとなり、ディスクが回転しているときに外部振動などが与えられると、回転中のディスクの外周縁が位置決め部に当たるおそれがある。
【0006】
また、規格よりも直径がやや大きいディスクが位置決め部で位置決めされていると、このディスクの中心穴を回転駆動部にセンタリングして保持させても、ディスクの外周縁を位置決め部からほとんど離すことができず、ディスク外周縁が位置決め部に当たりやすくなる。
【0007】
また、位置決め部で位置決めされているディスクを回転駆動部で保持させた後に、回転駆動部を位置決め部から離れる方向へ移動させる駆動機構を設けることも可能であるが、この種の駆動機構を設けると、筐体の内部の構造が複雑になる。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、筐体内に複雑な駆動機構を設けることなく、ディスクを回転駆動部に保持させた後に、ディスクの外周縁を位置決め部から十分に離すことができるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、筐体内に、ディスクを回転駆動する回転駆動部と、前記回転駆動部を支持する支持ベースと、前記支持ベースを弾性支持する弾性支持部材と、前記支持ベースの動きを規制する規制機構と、前記回転駆動部に向けてディスクを移送する移送機構とが設けられたディスク装置において、
前記筐体内に、前記移送機構で移送されたディスクの周縁部に当たってディスクを位置決めする位置決め部が設けられており、
前記移送機構でディスクが前記位置決め部に向けて移送されるときに、前記規制機構によって、前記支持ベースが前記弾性支持部材による支持位置よりも前記位置決め部に近寄る方向へ押されており、
ディスクの中心部が前記回転駆動部に保持されて、前記規制機構による前記支持ベースへの押圧力が解除されると、前記弾性支持部材の弾性復元力によって前記支持ベースが前記位置決め部から離れる側へ戻されることを特徴とするものである。
【0010】
上記第1の本発明のディスク装置は、筐体内に複数枚のディスクが収納され、筐体内で選択されたディスクが回転駆動部に保持されるディスク選択式のディスク装置において、挿入口から挿入されるそれぞれのディスクが位置決め部で位置決めされてから回転駆動部に保持されるものである。あるいは、筐体内にディスクが1枚だけ供給されて、この1枚のディスクが位置決め部に位置決めされて回転駆動部に保持されるものであってもよい。
【0011】
第2の本発明は、筐体内に、ディスクを回転駆動する回転駆動部と、前記回転駆動部を支持する支持ベースと、前記支持ベースを弾性支持する弾性支持部材と、前記支持ベースの動きを規制する規制機構と、ディスクを保持する複数の支持体と、いずれかの支持体を選択位置へ移動させる選択機構と、前記回転駆動部を前記支持ベース上で移動させて選択位置の前記支持体に支持されたディスクに対向させる動力伝達部とが設けられたディスク装置において、
それぞれの支持体に、ディスクの周縁部に当たってディスクを位置決めする位置決め部が設けられており、
選択位置の前記支持体に支持されているディスクの中心部を、ディスクに対向する前記回転駆動部で保持するときに、前記規制機構によって、前記支持ベースが前記弾性支持部材による支持位置よりも前記位置決め部に近寄る方向へ押されており、
ディスクの中心部が前記回転駆動部に保持されて、前記規制機構による前記支持ベースへの押圧力が解除されると、前記弾性支持部材の弾性復元力によって、前記支持ベースが前記位置決め部から離れる側へ戻されることを特徴とするものである。
【0012】
前記第1の本発明と第2の本発明は、いずれも弾性支持されている支持ベースが、弾性支持部材の変形範囲内で位置決め部に近寄る方向へ押され、その位置でディスクが保持される。支持ベースへの押圧力が解除されると、弾性支持部材の復元力でディスクが位置決め部から離される。よって、特別な駆動機構を設けることなく、単に支持ベースを位置決め部の方向へ押し付けるだけで、ディスクを位置決め部から十分に離した位置で回転させることができる。また、直径が大きめのディスクが位置決めされている場合であっても、回転駆動部に保持させたときにディスクの外周縁を位置決め部から離すことが可能となる。
【0013】
例えば、本発明は、前記規制機構には、前記支持ベースを前記位置決め部に近寄る方向へ押圧する第1の規制部材が設けられているものである。
【0014】
上記のように、規制機構に、支持ベースを単に一方向へ押圧する規制部材を設けるだけで、位置決め部から離れた位置でディスクを回転駆動できるようになる。
【0015】
また、本発明は、前記規制機構には、前記第1の規制部材とで前記支持ベースを互いに逆側から挟持する第2の規制部材が設けられているものが好ましい。
【0016】
第1の規制部材と第2の規制部材とで、支持ベースを両側から挟持することで、回転駆動部が位置決め部に近寄った位置で、支持ベースを動かないように設置することができる。
【0017】
また、本発明は、前記規制機構によって、前記支持ベースが前記位置決め部に近寄る方向へ押されるとともに、前記支持ベースが前記位置決め部に近寄る方向と交叉する他の方向にも規制されるものとして構成できる。
【0018】
また、本発明は、前記規制機構によって、前記支持ベースが前記位置決め部材に近寄る方向へ押されているときに、前記弾性支持部材による弾性支持範囲内で前記支持ベースをディスクに接近する方向へ移動させて、前記回転駆動部をディスクを保持できる位置へ移動させる案内部材が設けられているものである。
【0019】
この場合に、前記規制機構と前記案内部材は、同じ動力で動作させられることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のディスク装置では、ディスクを回転駆動部に保持させた後に、ディスクの外周縁を位置決め部から離した位置でディスクを回転させることができる。また、弾性支持部材の変形の範囲内で支持ベースを移動させる構造であるため、回転駆動部を位置決め部から離す方向に移動させるための特別な駆動機構などが不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す分解斜視図である。図2は筐体の底部に位置している第1の動力伝達部を示す平面図である。図3ないし図5は第1の規制機構を筐体の内方から動作別に示す斜視図、図6は第1の規制機構を筐体の前面側から示す透視正面図である。図7ないし図9は第2の規制機構を筐体の内方から動作別に示す斜視図、図10は第2の規制機構を筐体の背面側から示す透視正面図である。図11ないし図13は、ディスク装置の動作を示す平面図である。
【0022】
(全体構造)
図1に示すディスク装置1は箱型の筐体2を有している。図1において、筐体2の基準方向は、Z1側が下側、Z2側が上側、X1側が左側、X2側が右側、Y1側が前側または手前側、Y2側が後ろ側または奥側である。また、X1−X2方向が横方向、Y1−Y2方向が前後方向である。
【0023】
筐体2は、下側から上側に向けて、下部筐体3、中間筐体4および上部筐体5が順に重ねられて組み立てられている。下部筐体3は筐体2の底面6を有し、中間筐体4は、筐体2の前面7と右側面8を有している。上部筐体5は、筐体2の左側面9と後面10および天井面11を有している。
【0024】
下部筐体3の底面6の上面には第1の動力伝達部12が設けられている。第1の動力伝達部12の上にはユニット支持ベース13が支持され、ユニット支持ベース13の上に駆動ユニット14が搭載されている。中間筐体4の上部には、底面6と平行な機構ベース15が設けられ、機構ベース15の上に第2の動力伝達部16が設けられている。機構ベース15は駆動ユニット14よりも上方に位置している。中間筐体4では、機構ベース15の下側で且つ前面7の内側に移送ユニット17が設けられている。移送ユニット17のX1側の端部と下部筐体3の底面6との間に第3の動力伝達部19が設けられている。
【0025】
上部筐体5では、左側面9と後面10および天井面11で囲まれた領域がディスク収納領域20となっており、ディスク収納領域20には、それぞれがディスクDを支持可能な複数の支持体21が設けられている。この実施の形態では、支持体21が6枚設けられており、支持体21は厚み方向に重ねられて配置されている。上部筐体5には支持体選択機構22が設けられており、支持体選択機構22の動作により、6枚の支持体21のいずれかが選択されて選択位置に移動させられるとともに、選択された支持体21とその下に隣接する支持体21との間隔が広げられる。
【0026】
ディスクDは、直径が12cmであり、例えばCD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などである。
【0027】
筐体2の前面7には挿入口23が開口している。挿入口23はスリット状であり、上下方向の幅寸法がディスクDの厚み寸法よりもわずかに大きく、横方向の開口幅寸法WがディスクDの直径よりもわずかに広い。
【0028】
移送ユニット17は挿入口23と同じ高さ位置にあり、挿入口23から挿入されたディスクDが、移送ユニット17によってディスク収納領域20に向けて移送される。選択位置に至った支持体21は挿入口23と同じ高さ位置となり、挿入口23から挿入されたディスクDは、移送ユニット17で移送され、選択位置の支持体21に供給されて支持される。
【0029】
図1では、駆動ユニット14が退避位置にあり、このときの駆動ユニット14は右側面8のすぐ内側に位置している。また、駆動ユニット14は支持体21に支持されたディスクDの外周縁からわずかに離れたところに位置する。また、図1では、移送ユニット17が待機位置にあるが、このときの移送ユニット17は、前面7のすぐ内側で且つ支持体21に支持されたディスクDの外周縁からわずかに離れたところに位置する。
【0030】
(第1の動力伝達部)
次に、第1の動力伝達部12の構造を説明する。
【0031】
図1および図2に示すように、下部筐体3の前方には前方折曲げ片3aが底面6から垂直に折り曲げられている。同様に、後方には後方折曲げ片3bが、右側には右側折曲げ片3cが、底面6から垂直に折り曲げられている。
【0032】
図2に示すように、第1の動力伝達部12には、スライダ31と、ラック部材32と、スライダ31上に設けられた切換レバー38と、連結回動レバー44が設けられている。
【0033】
底面6上の手前側には第1のモータM1が固定されており、第1のモータM1の出力軸にはウォーム歯車33が固定されている。第1のモータM1の回転動力は、底面6上に回転自在に支持されている減速歯車34,35,36A,36Bを介してピニオン歯車37に伝達される。ピニオン歯車37はラック部材32の歯と噛み合っているため、第1のモータM1の動力によって、ラック部材32はY1−Y2方向へ直線的に移動可能となっている。
【0034】
スライダ31はY1−Y2方向へ直線軌跡に沿って摺動自在であり、スライダ31の上には切換レバー38が設けられている。スライダ31のY2側の端部には上向きの軸39が固定されており、切換レバー38のY2側の端部に設けられた軸穴が軸39に挿通され、切換レバー38は軸39を中心として回動自在に支持されている。また、切換レバー38とスライダ31との間にはコイルスプリングが掛けられており、このコイルスプリングの付勢力により、スライダ31上において切換レバー38が反時計方向へ常に付勢されている。
【0035】
底面6上には案内切換え部材42が設けられている。案内切換え部材42は、平面形状が円弧状の部分を有する金属板であり、2箇所に円弧状の摺動長穴42a,42aが形成されている。図1にも示すように、底面6上には案内ピン43,43が突出し、それぞれの案内ピン43が摺動長穴42a内に挿入されている。摺動長穴42a,42aが案内ピン43,43を摺動することにより、案内切換え部材42が、円弧軌跡に沿って筐体2の奥側(後方側)である(b)方向と、筐体2の手前側(前方側)である(c)方向とへ摺動できるようになっている。
【0036】
案内切換え部材42にはその幅方向に延びる連結長穴42bが形成されており、連結回動レバー44に設けられた下向きの連結ピン45が連結長穴42b内に挿入されている。連結回動レバー44の回動力によって、案内切換え部材42が(b)−(c)方向へ移動させられる。
【0037】
案内切換え部材42のY2側の端部には切換え長穴42cが形成されている。底面6の奥側には、軸51によって回動自在に支持された伝達部材52が設けられている。伝達部材52のY1側の端部には連結ピン53が固定され、連結ピン53が切換え長穴42c内に挿入されている。
【0038】
図1に示すように、後方折曲げ片3bの内側には、第2の案内機構を構成する案内部材54が設けられている。案内部材54は板状であり、図10に示すように、案内部材54にはY2方向へ延びる一対の摺動軸59,59が固定されている。図7ないし図9に示すように、後方折曲げ片3bにはX1−X2方向へ直線的に延びる案内長穴58が形成されている。一対の摺動軸59,59が案内長穴58内で摺動自在となっており、案内部材54はX1−X2方向へ直線的に移動できるように支持されている。
【0039】
図2に示すように、案内部材54には、その下縁から底面6に沿う方向へ折り曲げられた折曲げ片54aが設けられ、折曲げ片54aに長穴54bが形成されている。伝達部材52のY2側の端部には連結ピン55が固定されており、連結ピン55が長穴54b内に挿入されている。
【0040】
案内切換え部材42が(c)方向へ移動するときに、切換え長穴42cによって伝達部材52が反時計方向へ回動させられ、これによって案内部材54がX1方向へ移動させられる。逆に、案内切換え部材42が(b)方向へ移動すると、伝達部材52が時計方向へ回動させられ、案内部材54がX2方向へ移動させられる。
【0041】
図1および図9に示すように、案内部材54には案内制御穴56が開口している。案内制御穴56は、X1側において底面6に接近する位置に形成されている拘束部56aと、拘束部56aよりも上側に位置している持ち上げ部56bと、拘束部56aと持ち上げ部56bとを連続させる傾斜部56cとを有している。さらに、持ち上げ部56bのX2側の端部には、比較的大きな円形の逃げ穴56dが形成されている。
【0042】
図2、図7ないし図9および図10に示すように、案内部材54のY1側には、第2の規制機構を構成する第2の規制部材160が設けられている。第2の規制部材160のX1側端部には支持穴161が形成されている。下部筐体3の後方折曲げ片3bには軸162が固定されており、支持穴161が軸162に挿通され、第2の規制部材160が軸162を支点として回動自在に支持されている。
【0043】
第2の規制部材160にはZ1方向に延びる規制溝167が形成されており、規制溝167の上方には、規制溝167の開口幅寸法よりも十分に広い直径を有する円径の逃げ穴164が開口している。第2の規制部材160のX2側の先部には、Y1側へ向けて折り曲げられた押圧部165が設けられている。押圧部165の上部には、Y1側に向く押圧傾斜部166が形成されている。押圧傾斜部166は、Z2方向に向かうにしたがって後方折曲げ片3bに徐々に接近する向きに傾斜している。
【0044】
図10に示すように、案内部材54のX1側には回動制御穴57が形成されている。回動制御穴57は、X1側からX2側へ向けて拘束部57aと持ち上げ部57bおよび下降部57cと連続して形成されている。持ち上げ部57bは、拘束部57aおよび下降部57cよりも上側(Z2側)に位置し、持ち上げ部57bは底面6とほぼ平行に延びている。
【0045】
第2の規制部材160にはY2方向へ突出する摺動凸部163が一体に形成されており、摺動凸部163が回動制御穴57内に摺動自在に挿入されている。案内部材54が、X1方向の終端またはX2方向の終端に移動していると、摺動凸部163が回動制御穴57の拘束部57aまたは下降部57c内に位置し、第2の規制部材160がα1方向へ回動させられる。また、摺動凸部163が回動制御穴57の持ち上げ部57b内に位置し、持ち上げ部57bの長さ範囲内で案内部材54がX1−X2方向へ移動しているときに、第2の規制部材160がα2方向へ回動した姿勢を維持する。
【0046】
図2および図3ないし図5に示すように、下部筐体3の前方折曲げ片3aの内側には、第1の案内機構を構成する案内部材61が設けられている。
【0047】
図6に示すように、案内部材61のY1側に向く面にはX1−X2方向に間隔を空けて一対の摺動軸69,69が固定されている。図5などに示されるように、前方折曲げ片3aにはX1−X2方向に延びる案内長穴68が開口している。摺動軸69,69が案内長穴68内に摺動自在に挿通されて、案内部材61はX1−X2方向へ移動自在に支持されている。
【0048】
図2に示すように、案内部材61のX1側の端部には、Y2方向に折り曲げられた折り曲げ片63が形成され、折り曲げ片63に連結長穴64が形成されている。案内切換え部材42のX1側の端部には、上方に突出した連結凸部42dが固定されており、連結凸部42dが連結長穴64内に挿入されて、案内部材61が案内切換え部材42に連結されている。
【0049】
案内切換え部材42が(b)方向へ移動すると、その移動力によって案内部材61がX2側に位置させられ、案内切換え部材42が(c)方向へ移動すると、その移動力によって案内部材61がX1方向へ移動させられる。
【0050】
案内部材61には、X1−X2方向に間隔を空けて一対の案内制御穴62が開口している。図6には、X2側に設けられた一方の案内制御穴62を示している。X1側に設けられた案内制御穴62の構造は、図6に示すものと同じである。
【0051】
図6に示すように、案内制御穴62は、X1側において底面6に接近する位置に形成されている拘束部62aと、拘束部62aよりも上側に位置している持ち上げ部62bと、拘束部62aと持ち上げ部62bとを連続させる傾斜部62cとを有している。持ち上げ部62bのX2側の端部には、比較的大きな円形の逃げ穴62dが連続して形成されている。
【0052】
図2、図3ないし図5および図6に示すように、案内部材61のY2側には、第1の規制機構を構成する第1の規制部材170が設けられている。
【0053】
図6に示すように、第1の規制部材170のX1側端部には支持穴171が形成されている。下部筐体3の前方折曲げ片3aにはY2方向へ突出する軸172が固定されている。図3に示すように、軸172は、案内部材61に形成された逃げ長穴67の内部を通過してY2方向へ延びており、支持穴171が軸172の先部に回動自在に挿通されている。その結果、第1の規制部材170は、案内部材61のY2側に重ねられた位置で軸172を支点として回動自在である。
【0054】
図3および図6に示すように、第1の規制部材170の上部には、Z1方向へ延びる規制溝177が形成されている。規制溝177はZ2方向に向けて開口しており、その開口部174は、Z2方向に向かって幅寸法が徐々に広くなるテーパ形状である。図3および図5に示すように、第1の規制部材170のX2側の端部には、Y2方向へ折り曲げられた押圧部175が形成されている。押圧部175にはY2方向へ向けられた押圧傾斜部176が形成されている。押圧傾斜部176は、上方(Z2方向)に向かうにしたがって徐々に前方折曲げ片3aに向かう向きに傾斜している。
【0055】
図6に示すように、第1の規制部材170の下部には、Y1方向へ突出する摺動凸部173が一体に形成されている。案内部材61には、逃げ長穴67の下側に開口する回動制御穴65が形成されており、摺動凸部173は回動制御穴65内に摺動自在に挿入されている。回動制御穴65は、X1側において底面6に接近する位置に形成されている拘束部65aと、拘束部65aよりも上側に位置している持ち上げ部65bと、持ち上げ部65bよりもX2側に位置する下降部65cとを有している。
【0056】
案内部材61がX1側の終端またはX2側の終端に移動していると、摺動凸部173が回動制御穴65の拘束部65a内または下降部65c内に位置し、第1の規制部材170がβ1方向へ回動させられる。また、摺動凸部173が回動制御穴65の持ち上げ部65b内に挿入されている状態で、案内部材61がX1−X2方向へ移動するときに、持ち上げ部65bによって、第1の規制部材170がβ2方向へ回動させられる。
【0057】
本実施の形態では、第2の規制部材160と第1の規制部材170が、ユニット支持ベース13のY1−Y2方向(前後方向)への移動を規制する規制機構として機能している。
【0058】
(ユニット支持ベース)
図1に示すユニット支持ベース13は金属板を折り曲げて形成したものである。図1および図3ないし図5に示すように、ユニット支持ベース13には前方折曲げ片13aが設けられ、前方折曲げ片13aは、下部筐体3の前方折曲げ片3aの内側に平行に設置される。図1および図7ないし図9に示すように、ユニット支持ベース13には後方折曲げ片13bが形成されており、後方折曲げ片13bが、下部筐体3の後方折曲げ片3bの内側に平行に設置される。また、ユニット支持ベース13の側部折曲げ片13cは、下部筐体3の右側折曲げ片3cの内側に平行に設置される。
【0059】
図1に示すように、ユニット支持ベース13の内縁13dは凹状の円弧形状であり、ディスク収納領域20の支持体21に支持されたディスクDの外周縁からわずかに離れた位置にある。支持体選択機構22によって各支持体21が上下に移動させられる間に、ユニット支持ベース13の内縁13dがディスクDの外周縁に当たらないようになっている。
【0060】
図1に示すように、下部筐体3の底面6上の3箇所には、弾性支持部材であるダンパー71,72,73が固定されている。ダンパー71,72,73は、ゴムなどの可撓性の袋体の内部に、オイルなどの液体または気体が封入されているものである。あるいは、前記袋体と共に圧縮コイルスプリングが組み合わされているものである。
【0061】
ユニット支持ベース13の底面の3箇所には支持軸が下方に向けて垂直に固定されており、各支持軸がダンパー71,72,73に支持されている。ユニット支持ベース13は、ダンパー71,72,73によって、底面6上で弾性支持されている。図7ないし図9には、Y2側に位置するダンパー71と、ユニット支持ベース13のY2側の端部に固定されてダンパー71に支持されている支持軸74が図示されている。
【0062】
図1に示すように、ユニット支持ベース13の後方折曲げ片13bにはY2方向へ突出する1本の拘束軸77が固定されており、ユニット支持ベース13の前方折曲げ片13aには、Y1方向へ突出する一対の拘束軸78,78がX1−X2方向に間隔を空けて固定されている。
【0063】
図3ないし図5および図6に示すように、一対の拘束軸78,78は、それぞれ案内部材61に形成された案内制御穴62内に挿入され、さらに図1に示すように、下部筐体3の前方折曲げ片3aに形成された逃げ穴3f,3f内に挿入されている。逃げ穴3f,3fは拘束軸78,78の直径よりも十分に大きな開口直径を有している。また、図3および図4に示すように、X2側に位置している拘束軸78は、第1の規制部材170に形成された規制溝177に嵌合可能な位置に設けられている。
【0064】
図7ないし図9および図10に示すように、拘束軸77は、第2の規制部材160に形成された規制溝167または逃げ穴164内を通過して、案内部材54に形成された案内制御穴56内に挿入されている。さらに、下部筐体3の後方折曲げ片3bに形成された逃げ穴(図示せず)内に挿入されている。
【0065】
図3および図4に示すように、ユニット支持ベース13の前方折曲げ片13aの一部は第1の被押圧部13eとなっており、第2の規制部材170に形成された押圧傾斜部176によって第1の被押圧部13eをY2方向へ押圧することが可能となっている。図7および図8に示すように、ユニット支持ベース13の後方折曲げ片13bの一部が第2の被押圧部13fとなっており、第2の規制部材160に設けられた押圧傾斜部166が第2の被押圧部13fに当接することが可能となっている。
【0066】
図2に示すように、第1の規制部材170に設けられた押圧部175のY2方向への突出幅寸法W1は、第2の規制部材160に設けられた押圧部165のY1方向への突出幅寸法W2よりも大きくなっている。
【0067】
図5および図9に示すように、第1の規制部材170の押圧傾斜部176によって第1の被押圧部13eが押圧されておらず、且つ第2の規制部材160の押圧傾斜部166によって第2の被押圧部13fが押圧されていないとき、ユニット支持ベース13は、3個のダンパー71,72,73のそれぞれの弾性力によって中立位置に支持されている。
【0068】
一方、図3、図4および図7、図8に示すように、第1の規制部材170の押圧傾斜部176によって第1の被押圧部13eが押圧され、且つ第2の規制部材160の押圧傾斜部166が第2の被押圧部13fに当接しているときは、押圧部175と押圧部165の突出幅寸法W1、W2の違いにより、ユニット支持ベース13にY2方向への押圧力が作用する。このとき、ユニット支持ベース13は、図7と図8に示すように、支持軸74がY2方向へ倒れて、ユニット支持ベース13が中立位置よりもY2方向へ移動し、その位置でユニット支持ベース13は、押圧部175と押圧部165とに挟まれて動かないように保持される。
【0069】
(駆動ユニット)
図1に示すように、ユニット支持ベース13の上には駆動ユニット14が設置されている。駆動ユニット14は細長い駆動ベース81を有している。ユニット支持ベース13のY2側には、支持軸84が上向きに垂直に突出しており、駆動ベース81が支持軸84によってX−Y平面に沿って回動自在に支持されている。
【0070】
駆動ユニット14の回動範囲は、図1に示す退避位置から、図11と図12に示す介入位置および図13に示す駆動位置までである。駆動ベース81には回転駆動部82が搭載されている。駆動ユニット14が図1に示す退避位置にあるとき、回転駆動部82は筐体2の前面7側に位置し、駆動ベース81の側面が、筐体2の右側面8の直近で右側面8と平行に位置している。退避位置にある駆動ユニット14は、ディスク収納領域20の支持体21に支持されるディスクDの外周縁からわずかに離れて位置する。
【0071】
駆動ユニット14が図11と図12に示す介入位置まで回動すると、回転駆動部82がディスク収納領域20の内部へ移行する。
【0072】
図1に示すように、回転駆動部82は、ディスクDの下面が設置されるテーブル部82bと、テーブル部82bの中心部において上方へ突出する凸部82cを有している。駆動ベース81にはスピンドルモータが固定されている。テーブル部82bと凸部82cは合成樹脂材料で一体に形成されて、スピンドルモータの回転軸82aに固定されている。
【0073】
凸部82cの周面には、下方に向かうにしたがって直径が徐々に大きくなるテーパ面82dが形成されている。凸部82cの下端部の直径は、ディスクDの中心穴Daの内径とほぼ一致し、あるいは中心穴Daの内径よりもわずかに小さく設定されている。
【0074】
前記凸部82cの内部には、ディスクDの中心穴Daをテーブル部82bの上で保持するためのセルフクランプ機構が設けられている。前記セルフクランプ機構は、凸部82cの周囲から突出する複数の保持爪を有している。ディスクDの中心穴Da内に凸部82cが入り込むと、前記保持爪が凸部82cの周囲に突出し、複数の保持爪によって、ディスクDがテーブル部82bに押し付けられて保持される。
【0075】
(移送ユニットと第2の動力伝達部)
図1に示すように、中間筐体4に設けられた機構ベース15の下に、移送ユニット17が設けられている。図11ないし図13に示すように、移送ユニット17にはローラ軸111が設けられており、ローラ軸111の外周に、合成ゴムや天然ゴムなどの摩擦係数の高い材料で形成された第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113が設けられている。第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113は、軸方向に間隔を空けて配置されている。
【0076】
移送ユニット17内には、第1の移送ローラ112および第2の移送ローラ113が対向する、低摩擦係数の合成樹脂で形成された挟持部が設けられている。移送ローラ112,113と挟持部の少なくとも一方がばねで付勢されており、移送ローラ112,113と挟持部とでディスクDを挟持できるようになっている。
【0077】
図1に示すように、下部筐体3の底面6には支点軸131が垂直に延びており、移送ユニット17のX1側の端部が支持軸131に回動自在に支持されている。
【0078】
第2の動力伝達部16では、機構ベース15の上に円弧形状の切換え部材91が設けられている。切換え部材91には、円弧軌跡に沿って延びる一対の案内長穴91a,91aが形成されている。機構ベース15上には一対の案内軸92,92が上向きに突出して固定されており、それぞれの案内軸92が案内長穴91a内に挿入されている。この支持機構により、切換え部材91は、円弧軌跡に沿って(d)方向および(e)方向へ摺動自在に案内されている。切換え部材91の外周側の縁部には円弧軌跡に沿ってラック歯(図示せず)が形成されており、機構ベース15上には前記ラック歯と噛み合うピニオン歯車97が設けられている。機構ベース15上に設けられた第2のモータ(図示せず)でピニオン歯車97が駆動されると、切換え部材91が(d)−(e)方向へ移動させられる。
【0079】
機構ベース15上には駆動アーム95が設けられている。駆動アーム95は機構ベース15に設けられた軸96を支点として回動自在に支持されている。駆動アーム95は、切換え部材91の移動力によって回動させられる。図11ないし図13に示すように、移送ユニット17のX2側の端部にはZ2方向へ延びる駆動軸97が固定されており、図1に示すように、駆動軸97は機構ベース15に形成された円弧状の長穴を通過して機構ベース15の上方へ突出している。そして、駆動軸97は駆動アーム95に形成された長穴内に摺動自在に挿通されている。
【0080】
機構ベース15上の切換え部材91が(d)方向へ移動していると、駆動アーム95が時計方向へ回動させられ、移送ユニット17は、図12および図13に示す待機位置となる。切換え部材91が(e)方向へ移動すると、駆動アーム95が反時計方向へ回動させられ、移送ユニット17が支持軸131を支点として反時計方向へ回動させられて、図11に示す移送動作位置に至る。
【0081】
図1に示すように、下部筐体3の底面6に設けられた第3の動力伝達部19では、前記支点軸131の下方に一体ギヤ141が回転自在に支持されている。一体ギヤ141は、上方部分が垂直ウォーム歯車141aであり、下方部分が下部歯車141bである。筐体2の底面6には中間歯車142が回転自在に設けられ、下部歯車141bに噛み合っている。底面6には第3のモータ(図示せず)が設けられており、その回転力が中間歯車142に伝達される。
【0082】
中間歯車142の回転力は一体ギヤ141に伝達される。移送ユニット17には、一体ギヤ141の垂直ウォーム歯車141aによって回転させられるギヤ機構が設けられており、このギヤ機構によって、ローラ軸111が正逆両方向に自由に切換えて回転駆動される。
【0083】
(ディスク収納領域と支持体選択機構)
図1に示すように、上部筐体5の天井面11には、互いに平行で下方へ延びる3本の選択軸151A,151B,151Cが回転自在に支持されている。それぞれの選択軸151A,151B,151Cの外周には螺旋溝である選択溝152が形成されている。選択軸151A,151B,151Cの上方は、螺旋ピッチが軸方向に狭い密ピッチ部であり、この密ピッチ部で、選択溝152が少なくとも5周(5ピッチ)以上形成されている。選択軸151A,151B,151Cの下方にも同様に密ピッチ部が設けられており、この密ピッチ部でも選択溝152が5ピッチ以上形成されている。選択軸151A,151B,151Cの中間部は、上方の密ピッチ部と下方の密ピッチ部の間に設けられた疎ピッチ部である。この疎ピッチ部は、両密ピッチ部の間で、選択溝152が1ピッチ分だけ形成されている。
【0084】
図1に示すように、ディスク収納領域20には、支持体21が上下方向に重ねられて6枚設けられている。ディスクDはそれぞれの支持体21の下面に1枚ずつ保持される。また、それぞれの支持体21は、選択軸151A,151B,151Cの軸方向へ移動できるように支持されているとともに、選択溝152の螺旋軌跡にしたがってZ1−Z2方向へ移動させられる。
【0085】
図11ないし図13に示すように、それぞれの支持体21の下面には、3個の軸受25A,25B,25Cおよび3個の保持部材26,27,28が設けられている。図11ないし図13では、図示の都合上、支持体21を透視してその下に位置している保持部材26,27,28を実線で図示している。
【0086】
それぞれの支持体21は、比較的薄い金属板で形成されており、金属板製の支持体21の3箇所に合成樹脂製の軸受25A,25B,25Cが固定されている。軸受25Aは、選択軸151Aに摺動自在に挿通されるとともに、軸受25Aに形成されている摺動凸部が、選択軸151Aの外周部に形成された選択溝152に摺動自在に係合されている。軸受25Bは選択軸151Bに摺動自在に挿通されるとともに選択軸151Bに形成された選択溝152に摺動自在に係合している。同様に、軸受25Cは選択軸151Cに摺動自在に挿通されるとともに選択軸151Cに形成された選択溝152に摺動自在に係合している。
【0087】
図11ないし図13に示すように、保持部材26は、軸受25Aの外周を回動できるように支持されている。保持部材27は軸受25Bの外周を回動できるように支持され、保持部材28は軸受25Cの外周を回動できるように支持されている。
【0088】
保持部材26と支持体21との間には引っ張りコイルばね29aが掛けられており、保持部材26が反時計方向(γ2方向)へ回動付勢されている。支持体21にはストッパ(図示せず)が設けられ、保持部材26は、図12に示す姿勢よりもやや反時計方向へ回動した角度でそれ以上は回動しないように規制されている。保持部材27は引っ張りコイルばね29bによって時計方向(γ4方向)へ付勢されており、支持体21に設けられたストッパ(図示せず)によって、図11に示す姿勢よりも時計方向へ回動しないように規制されている。同様に、保持部材28は、引っ張りコイルばね29cによって時計方向(γ4方向)へ付勢されており、支持体21に設けられたストッパ(図示せず)によって、図11に示す姿勢よりも時計方向へ回動しないように規制されている。
【0089】
図11ないし図13に示すように、保持部材27には、Y1方向に延びる腕部27aが一体に形成されており、腕部27aの先部に保持爪27bが形成されている。保持爪27bは、支持体21の下面との間に間隔を空けて対向している。その間隔は、ディスクDの厚み寸法と同じかまたはわずかに大きい。
【0090】
保持部材27の基部は薄い円柱形状であり、その外周面が位置決め部27cとなっている。支持体21の下面と保持爪27bとの間に供給されたディスクDの周縁部が位置決め部27cに必ず当たるように、位置決め部27cのディスク厚み方向の寸法、および支持体21の下面と保持爪27bとの間隔が決められている。
【0091】
保持部材28は、腕部28aの先部に保持爪28bを有しており、支持体21の下面と保持爪28bとの間隔が、保持爪27bと支持体21の下面との対向間隔と同じに設定されている。また、保持部材28の基部には位置決め部28cが形成されている。保持部材26は、腕部26aの先部に保持爪26bが形成され、支持体21の下面と保持爪26bとの間隔が保持爪27bと支持体21の下面との対向間隔と同じに設定されている。また、保持部材26の基部には位置決め部26cが形成されている。
【0092】
保持部材27にはY2方向に向く駆動凹部27gが形成され、保持部材28にはY2方向に向く駆動凹部28gが形成されている。また、保持部材26にはX1方向に向く駆動凹部26gが形成されている。図11に示すように、ディスクDが支持体21の下面に供給されていないとき、および図12に示すように支持体21の下面にディスクDが保持されているときは、保持部材27と保持部材28が、引っ張りコイルばね29b,29cの弾性力によって、共にγ4方向へ付勢されており、保持部材26も引っ張りコイルばね29aによってγ2方向へ付勢されている。よって、ディスクDは、保持爪27bと支持体21との間、および保持爪28bと支持体21との間、ならびに保持爪26bと支持体21との間に保持することが可能である。
【0093】
図11と図12に示すように、支持体21が選択位置に至ると、保持部材27に形成された駆動凹部27gと保持部材28に形成された駆動凹部28gが、筐体2内に設けられた保持解除部材121に対向する。また、保持部材26に形成された駆動凹部26gが保持解除部材122に対向する。このとき、保持解除部材121がX1方向へ駆動されると、保持解除部材121によって駆動凹部27g,28gがX1方向へ押され、保持部材27と保持部材28がγ3方向へ回動させられて、保持爪26b,28bがディスクDから外れる。また、保持解除部材122がY2方向へ駆動されると、保持解除部材122によって駆動凹部16gがY2方向へ押され、保持部材26がγ1方向へ回動させられてて、保持爪26bがディスクDから外れる。
【0094】
その結果、図13に示すように、選択位置にある支持体21からディスクDを外すことが可能になる。
【0095】
(動作)
次に、ディスク装置1の全体動作について説明する。
【0096】
図11は、挿入口23に挿入されたディスクDが移送ユニット17によって筐体2内へ移送されている動作を示す平面図、図12は、移送されたディスクDが位置決めされ、ディスクDの中心穴Daが回転駆動部82にクランプされる動作を示す平面図、図13はユニット支持ベース13が弾性支持状態となって、ディスクが回転駆動される駆動動作を示す平面図である。
【0097】
(初期モードの設定)
ディスク装置1が初期モードに設定されているときに、ディスク収納領域20内のいずれかの支持体21を選択する動作を行なうことができる。
【0098】
初期モードでは、図1と図2に示す第1の動力伝達部12に設けられた第1のモータM1によって、ラック部材32がY2側へ移動させられており、スライダ31が切換レバー38と共にY2側の始端に移動している。切換レバー38のY2方向への移動力により、ユニット支持ベース13上の駆動ユニット14が、支持軸84を支点として反時計方向へ回動させられており、駆動ベース81は、筐体2の右側面8の内側に平行に沿う退避位置に設定されている。このとき、回転駆動部82に設けられたセルフクランプ機構では、保持爪が凸部82cの内部に退行したクランプ解除状態である。
【0099】
初期モードでは、図2に示すスライダ31のY2方向への移動力によって連結回動レバー44が時計方向へ回動させられており、連結回動レバー44によって、案内切換え部材42が(b)方向へ移動させられて停止している。このときの案内切換え部材42によって、図2に示す伝達部材52が時計方向へ回動させられて、筐体2のY2側に設けられた案内部材54がX2方向へ移動させられている。これとともに、案内切換え部材42のY1側の端部によって、案内部材61もX2方向へ移動させられている。
【0100】
このとき、図7に示すように、ユニット支持ベース13の後方に設けられた拘束軸77は、X2方向へ移動している案内部材54に形成された案内制御穴56の拘束部56a内に保持されている。一方、図3に示すように、ユニット支持ベース13の前方に設けられた拘束軸78,78も、X2方向へ移動している案内部材61に形成された案内制御穴62,62の拘束部62a,62a内に保持されている。拘束部56aと拘束部62a,62aは、筐体2の底面6に近い側に位置しているため、ユニット支持ベース13は底面6に接近する位置で押し下げられ、ダンパー71,72,73は、ユニット支持ベース13によって、底面6に向けて押しつぶされるように変形させられている。
【0101】
図7に示すように、案内部材54がX2方向へ移動していると、第2の規制部材160の摺動凸部163が、図10に示す案内部材54の回動制御穴57の拘束部57a内に保持されているため、第2の規制部材160はα1方向に回動された初期位置となっている。
【0102】
すなわち、初期モードでは、案内制御穴56の拘束部56aによって、拘束軸77がZ1方向へ下降されているが、これに伴なって第2の規制部材160もα1方向へ回動している。そのため、拘束軸77は、案内制御穴56の拘束部56aによって押し下げられているとともに、第2の規制部材160に形成されている規制溝167内に入り込んでX1−X2方向への移動が規制されている。
【0103】
さらに、図7の初期モードでは、ユニット支持ベース13が下降させられているとともに、第2の規制部材160がα1方向へ回動しているため、第2の規制部材160に形成されている押圧傾斜部166が、ユニット支持ベース13のY2側に向く第2の被押圧部13fに当接している。
【0104】
同様に、図3に示すように、案内部材61がX2方向へ移動させられていると、第1の規制部材170の摺動凸部173が、図6に示す案内部材61に形成された回動制御穴65の拘束部65a内に保持されているため、第1の規制部材170がβ1方向へ回動している。
【0105】
ユニット支持ベース13の下降に伴って第1の規制部材170がβ1方向へ回動しているため、拘束軸78は、案内制御穴62の拘束部62aによって押し下げられているとともに、第1の規制部材170に形成された規制溝177によって拘束軸78がX1−X2方向へ移動しないように規制されている。また、第1の規制部材170に形成された押圧傾斜部176が、ユニット支持ベース13の第1の被押圧部13eに圧接されている。
【0106】
押圧傾斜部176からユニット支持ベース13へ、Y2方向への押圧力Fが作用し、ユニット支持ベース13は、図3に示す押圧傾斜部176と図7に示す押圧傾斜部166とで挟まれた状態で、弾性中立位置よりもY2方向へ移動させられている。
【0107】
すなわち、ユニット支持ベース13が押圧傾斜部166と押圧傾斜部176とで挟持されていないときは、ユニット支持ベース13はダンパー71,72,73で弾性支持された中立位置であるが、図3と図7に示す初期モードでは、ユニット支持ベース13が前記中立位置よりもY2方向へ移動させられた状態で保持されている。その結果、図7に示すようにユニット支持ベース13に固定された支持軸74はY2方向へ傾いている。
【0108】
(支持体選択動作)
初期モードが設定されている状態で、筐体2の前面7の前方に設けられた操作部またはリモートコントローラで6枚設けられた支持体21のいずれかを選択する指示を入力すると支持体選択動作に移行する。
【0109】
支持体選択動作は、図1に示すように、駆動ユニット14が退避位置にあり、且つ移送ユニット17が待機位置にある状態で行われる。支持体21を選択する操作が行われると、、図示しない動力伝達経路によってモータの動力が3本の選択軸151A,151B,151Cに与えられ、3本の選択軸151A,151B,151Cが同期して回転する。
【0110】
選択軸151A,151B,151Cが反時計方向へ回転すると、支持体21は、選択溝152によって1枚ずつ下方へ送られ、選択軸151A,151B,151Cが時計方向へ回転すると、支持体21が1枚ずつ上方へ送られる。選択すべき支持体21が、選択溝152の疎ピッチ部のほぼ中間部である選択位置に至ると、モータが停止し、各選択軸151A,151B,151Cの回転が停止する。このとき、選択溝152の疎ピッチ部によって、選択位置で停止している支持体21と、その下に隣接する支持体21との間隔が大きく空けられる。
【0111】
(駆動ユニット14の介入位置への回動動作)
選択された支持体21が選択位置に移行して停止すると、図1と図2に示す第1の動力伝達部12に設けられた第1のモータM1が始動し、ピニオン歯車37によって、ラック部材32がY1方向へ移動させられ、これに伴なってスライダ31と切換レバー38がY1方向へ移動する。ユニット支持ベース13上の駆動ユニット14は、切換レバー38のY1方向への移動力によって時計方向へ回動させられ、図11に示す介入位置へ回動して停止する。
【0112】
前記のように、ユニット支持ベース13は、図3に示す案内部材61と図7に示す案内部部材54とで押し下げられるため、駆動ユニット14が介入位置へ回動するときに、駆動ユニット14に設けられた回転駆動部82は、選択位置にある支持体21よりも下側に位置している。
【0113】
(ディスク搬入動作)
図11に示すように、駆動ユニット14が介入位置に設定されている状態で、挿入口23からディスクDが挿入されたことが、図示しない検出部材で検出されると、ローラ駆動用のモータが始動し、このモータの動力が図1に示す中間歯車142に伝達される。その動力は、一体ギヤ141に伝達され、移送ユニット17内の移送ローラ112,113が搬入方向へ回転させられる。
【0114】
ディスクDは、移送ユニット17内の移送ローラ112,113と挟持部との間で挟持され、移送ローラ112,113の回転力によって、筐体2の内部に向けて移送される。ディスクDが筐体2内に所定距離(例えば、ディスクDの半径のほぼ1/2程度)搬入されたことが図示しない検出手段で検出されると、図1に示す第2の動力伝達部16の第2のモータが始動し、ピニオン歯車97によって切換え部材91が(e)方向へ移動させられ、駆動アーム95が反時計方向へ回動し、移送ユニット17が、支点軸131を中心として反時計方向へ回動して図11に示す移送動作位置に至る。
【0115】
この間、ディスクDは、移送ローラ112,113の搬入方向への回転力と、移送ユニット17の回動動作の双方によって筐体2内に搬入される。
【0116】
(ディスクの位置決め動作)
図12に示すように、移送ユニット17で移送されるディスクDは、選択位置にある支持体21の下面に供給される。ディスクDは、保持部材28の保持爪28bと支持体21の下面との間に入り込むとともに、ディスクDの外周縁が、保持部材28の基部の位置決め部28cに当たる。また、ディスクDが保持部材27の保持爪27bと支持体21の下面との間に入り、ディスクDの外周縁が保持部材27の基部の位置決め部27cに当たる。さらに、ディスクDが保持部材26の保持爪26bと支持体21の下面との間に入り込み、ディスクDの外周縁が、保持部材26の基部の位置決め部26cに当たる。
【0117】
このように、移送ユニット17で移送されるディスクDは、その外周縁が3箇所の位置決め部26c,27c,28cに当たることで位置決めされる。このとき、図3に示すように、ユニット支持ベース13は、第1の規制部材170の押圧傾斜部176によってY2方向へ押されており、ユニット支持ベース13は、ダンパー71,72,73による支持中立位置よりもY2側へ移動している。そのため、支持体21に位置決めされているディスクDが規格に合う寸法である場合には、回転駆動部82の中心が、ディスクDの中心D0のほぼ真下に対向する。
【0118】
(ディスククランプ動作)
図12に示すように、移送ユニット17に保持されているディスクDが、選択位置にある支持体21の下面に位置決めされると、ディスククランプ動作に移行する。
【0119】
ディスククランプ動作では、図1と図2に示す第1の動力伝達部12の第1のモータM1によって、ラック部材32がさらにY1方向へ移動させられ、連結回動レバー44が反時計方向へ回動させられる。この連結回動レバー44の回動力によって、案内切換え部材42が(c)方向へ移動させられる。
【0120】
案内切換え部材42が(c)方向へ移動すると、筐体2のY2側では、伝達部材52が反時計方向へ回動させられて、案内部材54がX1方向へ移動させられ、筐体2のY1側では、案内部材61がX1方向へ移動させられる。
【0121】
このとき、図8に示すように、案内部材54はX1方向の全移動行程のほぼ半分だけ移動して停止する。よって、図10に示すように、ユニット支持ベース13に設けられた拘束軸77は、案内部材54に形成された案内制御穴56の持ち上げ部56bに導かれる。また、図4に示すように、案内部材61もX1方向の全移動行程のほぼ半分だけ移動して停止し、図6に示すように、拘束軸78,78が、案内部材61に形成された案内制御穴62,62の持ち上げ部62b,62bに導かれる。
【0122】
図10に示すように、案内部材54の持ち上げ部56bは筐体2の底面6から離れた位置にあり、図6に示すように、案内部材61の持ち上げ部62bも底面6から離れた位置ある。よって、ユニット支持ベース13が底面6から離れるように持ち上げられ、ユニット支持ベース13に支持されている駆動ユニット14も持ち上げられる。
【0123】
案内部材61がX1方向の途中まで移動すると、図6に示すように、第1の規制部材170の摺動凸部173が、回動制御穴65の持ち上げ部65bに導かれ、第1の規制部材170は、初期位置から、軸172を回動中心としてβ2方向に回動する。図4の状態では、ユニット支持ベース13が持ち上げられるとともに、第1の規制部材170がβ2方向へ回動するため、ユニット支持ベース13に固定された拘束軸78は、第1の規制部材170の規制溝177に保持されたままであり、また、第1の規制部材170の押圧傾斜部176によって第1の被押圧部13eがY2方向へ押圧された状態を継続している。
【0124】
また、案内部材54がX1方向の途中まで移動すると、図10に示すように、第2の規制部材160の摺動凸部163が、案内部材54に形成された回動制御穴57の持ち上げ部57bに導かれ、第2の規制部材160が、初期位置から、軸162を回動中心としてα2方向に回動する。図8の状態では、ユニット支持ベース13が持ち上げられると同時に、第2の規制部材160がα2方向へ回動するため、ユニット支持ベース13に設けられた拘束軸77は、第2の規制部材160の規制溝167に保持されたままであり、第2の規制部材160に設けられらた押圧傾斜部166は、ユニット支持ベース13の第2の被押圧部13fに当接したままである。
【0125】
このように、クランプ動作では、図3から図4に示すように、また図7から図8に示すように、ユニット支持ベース13が、第1の規制部材170の規制溝177と第2の規制部材160の規制溝167によって、X1−X2方向へ規制されたままの状態で持ち上げられる。また、第1の規制部材170の押圧傾斜部176と第2の規制部材160の押圧傾斜部166とで挟持されたままで、且つY2方向へ押されたままの状態で持ち上げられる。
【0126】
案内部材61と第1の規制部材170とで、また案内部材54と第2の規制部材160とで、ユニット支持ベース13がX、Y、Zの各方向へ規制されたまま、またユニット支持ベース13がダンパー71,72,73による支持中立位置よりもY2方向へ移動したままの状態で、ユニット支持ベース13が持ち上げられるため、図12に示すように、ユニット支持ベース13に支持されている駆動ユニット14の回転駆動部82は、その中心が支持体21に位置決めされているディスクDの中心D0とほぼ一致した状態で上昇する。よって、回転駆動部82の凸部82cがディスクDの中心穴Da内に確実に入り込むようになる。
【0127】
凸部82cが中心穴Da内に入るとセルフクランプ機構が動作し、凸部82cから周囲に保持爪が突出して、保持爪によりディスクDがテーブル部82bに押し付けられ、回転駆動部82にディスクDがクランプされる。
【0128】
(ユニット支持ベースの規制解除動作およびディスク駆動動作)
ディスククランプ動作が完了すると、図1に示す第2の動力伝達部16の第2のモータが始動し、切換え部材91が(d)方向へ移動させられ、駆動アーム95が時計方向へ回動させられて、移送ユニット17が図12に示す移送動作位置から図13に示す待機位置へ復帰させられる。このとき、移送ユニット17内の移送ローラ112,113がディスク搬入方向へ回転しながら、移送ユニット17が時計方向へ回動する。これにより、図13に示すように、ディスクDが回転駆動部82に保持されたまま、移送ユニット17を待機位置へ復帰させることができる。
【0129】
また、図12に示す保持解除部材121がX1方向へ移動し、保持解除部材121によって保持部材27と保持部材28がγ3方向へ回動させられ、保持爪27bと保持爪28bが、ディスクDの外周縁よりも外側へ退避させられる。同時に、保持解除部材122がY2方向へ移動し、保持部材26がγ1方向へ回動させられて、保持爪26bがディスクDの外周縁よりも外側へ退避させられる。
【0130】
次に、図1と図2に示す第1の動力伝達部12の第1のモータM1が再び始動し、ラック部材32がさらにY1方向の可動範囲の終端まで移動させられる。このとき、連結回動レバー44が反時計方向へ回動させられ、案内切換え部材42が(c)方向の可動範囲の終端まで移動する。
【0131】
案内切換え部材42が(c)方向へ移動すると、筐体2内のY2側に位置する伝達部材52が反時計方向へ回動し、図9に示すように、案内部材54がX1方向の可動範囲の終端まで移動する。このとき、ユニット支持ベース13に固定されている拘束軸77が、案内部材54の案内制御穴56の逃げ穴56d内へ移動する。案内部材54がX1方向へ移動すると、第2の規制部材160の摺動凸部163が、案内部材54に形成された回動制御穴57の下降部57cに導かれる。よって、第2の規制部材160がα1方向へ回動し、第2の規制部材160の規制溝167が拘束軸77から外れ、拘束軸77が第2の規制部材160に形成された逃げ穴164内に位置する。
【0132】
さらに、第2の規制部材160がα1方向へ回動すると、押圧傾斜部166が、ユニット支持ベース13の第2の被押圧部13fから外れて下側へ移動する。よって、図9の状態では、ユニット支持ベース13のY2側の端部および拘束軸77に対する拘束が全て解除される。
【0133】
図2に示す案内切換え部材42が(c)方向の終端まで移動すると、図5に示すように、Y1側に設けられた案内部材61がX1方向の可動範囲の終端まで移動させられる。このとき、ユニット支持ベース13のY1側に設けられた拘束軸78,78が、案内部材61の案内制御穴62の逃げ穴62d内に位置する。
【0134】
図5に示す状態では、第1の規制部材170の摺動凸部173が、案内部材61の回動制御穴65の下降部65cに導かれるため、第1の規制部材170がβ1方向へ回動させられ、第1の規制部材170に設けられた規制溝177が拘束溝78から外れて下方へ移動する。同時に、第1の規制部材170に設けられた押圧傾斜部176が、ユニット支持ベース13の第1の被押圧部13eから外れた下へ移動する。
【0135】
よって、図5の状態では、ユニット支持ベース13のY1側の端部および拘束溝78,78に対する拘束が全て解除される。
【0136】
ユニット支持ベース13に対する拘束が解除されると、ユニット支持ベース13は、ダンパー71,72,73によって弾性支持される。図5に示すように、第1の規制部材170に設けられた押圧傾斜部176によるY2方向への押圧力が解除されるため、ユニット支持ベース13は、ダンパー71,72,73により中立支持位置へ戻る。
【0137】
ユニット支持ベース13が支持中立位置に戻ると、ユニット支持ベース13と駆動ユニット14がY1方向へ移動する。よって、図13に示すように、回転駆動部82にクランプされたディスクDの外周縁は、保持部材27の基部の位置決め部27cから距離h1だけ離れ、保持部材28の基部の位置決め部28cから距離h2だけ離される。また、ユニット支持ベース13と駆動ユニット14は、クランプ動作位置よりも下側へ移動させられる。
【0138】
よって、ディスクDが保持部材27,28に当たらない位置で、また選択位置の支持体21の下面に当たらない位置で回転駆動でき、光ヘッド83によって記録情報の再生動作または記録動作が行われる。また、ディスクDが回転駆動されているときに、外部振動により、弾性支持されているユニット支持ベース13が振動しても、ディスクDを保持部材27,28との距離を常に確保することができる。
【0139】
(ディスク収納領域20内のディスクの駆動)
ディスク収納領域20内に収納されているいずれかのディスクを選択して駆動するときは、図1に示すように、駆動ユニット14が退避位置にあり移送ユニット17が待機位置にある状態で、支持体選択機構22が動作し、選択したディスクDを保持した支持体21が選択位置へ移動する。
【0140】
このとき、ユニット支持ベース13は、図3と図7に示すように下降させられ、さらに中立支持位置よりもY2方向へ押された状態で拘束されている。その状態で、駆動ユニット14が時計方向へ回動して介入位置に至る。その後、図4と図8に示すように、ユニット支持ベース13は拘束状態を維持したまま持ち上げられ、回転駆動部82の凸部82cが選択位置にあるディスクDの中心穴Da内に入り込んで、ディスクDが保持される。
【0141】
その後、図6および図9に示すように、ユニット支持ベース13に対する拘束が解除され、図13に示す状態で、ディスクDが回転駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す分解斜視図、
【図2】筐体の底部に位置している第1の動力伝達部を示す平面図、
【図3】ユニット支持ベースが下降して第1の規制部材で規制されている状態を示す部分斜視図、
【図4】ユニット支持ベースが上昇して第1の規制部材で規制されている状態を示す部分斜視図、
【図5】ユニット支持ベースへの第1の規制部材の規制が解除された状態を示す部分斜視図、
【図6】案内部材と第1の規制部材を外部から透視して見た正面図、
【図7】ユニット支持ベースが下降して第2の規制部材で規制されている状態を示す部分斜視図、
【図8】ユニット支持ベースが上昇して第2の規制部材で規制されている状態を示す部分斜視図、
【図9】ユニット支持ベースへの第2の規制部材の規制が解除された状態を示す部分斜視図、
【図10】案内部材と第2の規制部材を外部から透視して見た正面図、
【図11】ディスクの搬入動作を示すディスク装置の平面図、
【図12】ディスクのクランプ動作を示すディスク装置の平面図、
【図13】ディスク駆動動作を示すディスク装置の平面図、
【符号の説明】
【0143】
1 ディスク装置
2 筐体
13 ユニット支持ベース
13e 第1の被押圧部
13f 第2の被押圧部
14 駆動ユニット
17 移送ユニット
21 支持体26,27,28 保持部材
26c,27c,28c 位置決め部
54,61 案内部材
56,62 案内制御穴
56a,62a 拘束部
56b,62b 持ち上げ部
56d,62d 逃げ部
57,65 回動制御穴
57a,65a 拘束部
57b,65b 持ち上げ部
57c,65c 下降部
71,72,73 ダンパー
82 回転駆動部
160 第2の規制部材
166 押圧傾斜部
167 規制溝
170 第1の規制部材
176 押圧傾斜部
177 規制溝
D ディスク
Da 中心穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、ディスクを回転駆動する回転駆動部と、前記回転駆動部を支持する支持ベースと、前記支持ベースを弾性支持する弾性支持部材と、前記支持ベースの動きを規制する規制機構と、前記回転駆動部に向けてディスクを移送する移送機構とが設けられたディスク装置において、
前記筐体内に、前記移送機構で移送されたディスクの周縁部に当たってディスクを位置決めする位置決め部が設けられており、
前記移送機構でディスクが前記位置決め部に向けて移送されるときに、前記規制機構によって、前記支持ベースが前記弾性支持部材による支持位置よりも前記位置決め部に近寄る方向へ押されており、
ディスクの中心部が前記回転駆動部に保持されて、前記規制機構による前記支持ベースへの押圧力が解除されると、前記弾性支持部材の弾性復元力によって前記支持ベースが前記位置決め部から離れる側へ戻されることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
筐体内に、ディスクを回転駆動する回転駆動部と、前記回転駆動部を支持する支持ベースと、前記支持ベースを弾性支持する弾性支持部材と、前記支持ベースの動きを規制する規制機構と、ディスクを保持する複数の支持体と、いずれかの支持体を選択位置へ移動させる選択機構と、前記回転駆動部を前記支持ベース上で移動させて選択位置の前記支持体に支持されたディスクに対向させる動力伝達部とが設けられたディスク装置において、
それぞれの支持体に、ディスクの周縁部に当たってディスクを位置決めする位置決め部が設けられており、
選択位置の支持体に支持されているディスクの中心部を、ディスクに対向する前記回転駆動部で保持するときに、前記規制機構によって、前記支持ベースが前記弾性支持部材による支持位置よりも前記位置決め部に近寄る方向へ押されており、
ディスクの中心部が前記回転駆動部に保持されて、前記規制機構による前記支持ベースへの押圧力が解除されると、前記弾性支持部材の弾性復元力によって、前記支持ベースが前記位置決め部から離れる側へ戻されることを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
前記規制機構には、前記支持ベースを前記位置決め部に近寄る方向へ押圧する第1の規制部材が設けられている請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記規制機構には、前記第1の規制部材とで前記支持ベースを互いに逆側から挟持する第2の規制部材が設けられている請求項3記載のディスク装置。
【請求項5】
前記規制機構によって、前記支持ベースが前記位置決め部に近寄る方向へ押されるとともに、前記支持ベースが前記位置決め部に近寄る方向と交叉する他の方向にも規制される請求項1ないし4のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項6】
前記規制機構によって、前記支持ベースが前記位置決め部に近寄る方向へ押されているときに、前記弾性支持部材による弾性支持範囲内で前記支持ベースをディスクに接近する方向へ移動させて、前記回転駆動部をディスクを保持できる位置へ移動させる案内部材が設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項7】
前記規制機構と前記案内部材は、同じ動力で動作させられる請求項6記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−199681(P2009−199681A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41486(P2008−41486)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】