説明

ディスク記録媒体および情報記録装置

【課題】高精度かつデータトラックそのものに対する位置決め誤差を検出できるディスク記録媒体および情報記録装置を提供する。
【解決手段】磁気ヘッドが記録トラックを左から右へトレースする場合、サーボセクタS1(31)を通過することで得られた位置復調信号が、補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43)と順次通過することで得られる位相シフト量から換算された位置補正信号で微補正されて位置信号となり、続いてトレースされるサーボセクタS2(32)でも同様に位置復調信号が得られ、補正エリアPA21(44),・・・を通過して得られた位置補正信号でさらに微補正される。このような微補正動作をトラック一周分について行ない、それを継続することで目標トラックへの正確な位置決めの追従を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録再生に用いるディスク記録媒体および情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置は、小型化の流れが顕著であり、これに伴い高密度記録が可能なディスク媒体の開発が求められている。しかし磁気ディスク装置の記録密度を向上させていく上で、隣接する記録ビットからの干渉を如何に防ぐかが課題となっている。
【0003】
そのような課題の認識のもとで、従来、磁気ディスク媒体の径方向の干渉に対して、磁気ディスク媒体を記録トラック毎に物理的に分断して、隣接するトラックからの干渉を低減させるディスクリートトラック記録という技術が提案されている。
【0004】
さらに上記課題の認識のもとで、従来、磁気ディスク媒体の周方向に対しても、媒体の物理的な分断を行なう、すなわち、記録ビット単位のパターニングを行なうことで、隣接ビットからの干渉を低減させる“パターンドメディア”という技術も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
この“パターンドメディア”に関しては、従来、隣接するトラック間でランド部を交互に配列して、隣接ビットからの干渉をさらに低減させる技術も提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
隣接する記録ビットからの干渉を防がなくてはならないという課題と、細密化された媒体に対して磁気ヘッドの位置決めを正確に行なわなくてはならないという課題の両方を克服することは難しい課題である。
【0007】
このような状況下にあって、従来、上記パターンドメディアのように物理的に分断された記録膜を有する磁気ディスク媒体にあっても連続的な記録膜を有する磁気ディスク媒体と同様に、記録膜上の所定の領域に設けられているサーボセクタ領域に記録されたサーボ情報を手がかりに記録膜上の所定位置に対して磁気ヘッドを位置決め制御するセクタサーボ方式の磁気記録装置が提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−297918号公報
【特許文献2】特開2002−109712号公報
【特許文献3】特開2006−31848号公報(図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したセクタサーボ方式による磁気ヘッドの位置決め制御は、サーボセクタ領域に記録されたサーボパタンを手がかりに磁気ヘッドを位置決めするもので、特に、物理的に分断された記録膜上に磁気ヘッドを正確に位置決め制御するには、高精度かつデータトラックそのものに対する位置決め誤差を検出できるようにすることが必要となる。
【0009】
しかしながら上記特許文献2および3には、高精度かつデータトラックそのものに対する位置決め誤差検出方法についての具体的な開示は何処にもなされていない。
そこで本発明は、高精度かつデータトラックそのものに対する位置決め誤差を検出できるディスク記録媒体および情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のディスク記録媒体は、データが記録されるトラックを有し、ヘッドの位置決めのアドレス情報が記録されるサーボセクタが前記トラック方向に間欠的に配置されるサーボセクタを備えたディスク記録媒体において、前記トラック方向の前記サーボセクタ間に前記ヘッドの位置補正に利用可能な補正エリアを少なくとも一つ備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の情報記録装置は、情報を記録可能なディスク記録媒体に対して前記ディスク記録媒体のトラック方向に移動するヘッドによって前記情報を再生もしくは記録する情報記録装置において、前記ディスク記録媒体は、前記トラックとセクタによって記憶領域を分割かつ管理し、前記ヘッドの位置決めのアドレス情報を記録し、トラックを分割するようにサーボセクタと、トラック方向のサーボセクタ間に補正エリアを少なくとも一つ備え、前記ヘッドの位置補正に前記補正エリアを利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のディスク記録媒体によれば、ヘッドの位置決め制御を高精度に行なうことができるという効果がある。
本発明の情報記録装置によれば、高精度かつデータトラックそのものに対する位置決め誤差を検出することができ、それに基づいてヘッドの位置決め制御を高精度に行なうことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報記録装置の構成を示す図である。図1に示す本発明の実施形態に係る情報記録装置は、パターンドメディアで構成したセクタサーボ方式を採る磁気ディスク媒体200を備える情報記録装置であるとして説明するが、パターンドメディアで構成したものでなくても構わない。図1に示す情報記録装置は、サーボセクタ間のデータエリアにヘッド位置決めを補正する信号を得るための磁気パタンを補正エリアにそれぞれ備えるものである。図中下部には、磁気ディスク媒体200のエリアA(30)を拡大して示したもので、ディスク媒体200のトラック方向を横方向に、ディスク媒体200の径方向を縦方向に示している。そして、本発明の実施形態に係る情報記録装置は、サーボセクタS1(31)及びサーボセクタS2(32)の間にあるデータエリアに磁気パタン(後述する)をパターニングにより埋め込み、該磁気パタンが埋め込まれたそれぞれのエリアを補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43)とし、該補正エリアから得られる再生信号に基づいて位相ずれ量を検出する。そして補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43)によりサーボセクタS1(31)及びサーボセクタS2(32)の間にあるデータエリアは4つに分割され、DA11(51),DA12(52),DA13(53),DA14(54)として等間隔に配置される。
【0014】
図1下部において磁気ヘッドが記録トラックを左から右へトレースする場合、サーボセクタS1(31)を通過することで得られた位置復調信号(後述する)が、補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43)と順次通過することで得られる位相シフト量から換算された位置補正信号(後述する)で微補正されて位置信号(後述する)となり、続いてトレースされるサーボセクタS2(32)でも同様に位置復調信号が得られ、補正エリアPA21(44),・・・を通過して得られた位置補正信号でさらに微補正される。このような微補正動作をトラック一周分行ない、それを継続することで目標トラックへの正確な追従を行なうものである。
【0015】
上述した補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43),PA21(44),・・・は、一定の幅を持ち異なるトラックの記録ビットを連結するパタン(これについては後述する)により構成されるもので、補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43),PA21(44),・・・をサーボセクタS1(31),S2(32)内ではなくデータエリアに複数箇所(本実施形態では3箇所)に間欠的に設けるとともにサーボセクタS1(31),S2(32)内に配置されているサーボパタン情報も併せて利用するようにしている。なお、サーボセクタ方式を用いる磁気ディスク媒体では、サーボセクタを概ね円形状のトラックを等間隔に分割して配置しており、当該サーボセクタには、各々のセクタのシリンダ番号およびセクタ番号といったアドレス情報と、トラック内の位置決めに利用されるバースト情報を記録しているので、本発明の実施形態においてもサーボセクタ内の情報をも利用している。そして本発明の実施形態における磁気情報の記録は、上述したサーボセクタS1(31)及びサーボセクタS2(32)の間にある補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43)によって4つに等分割されたデータエリアDA11(51),DA12(52),DA13(53),DA14(54)上の記録ビットを磁化させて行なう。
【0016】
つぎに本発明の実施形態に係る情報記録装置の動作を図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態に係る情報記録装置のヘッド位置決め制御を行なう回路ブロック図である。図2において、磁気ヘッド101が回転する磁気ディスク媒体200上を走査して磁気ディスク媒体200上のセクタ化されたデータエリアからデータを再生しかつ記録する。磁気ヘッド101の移動は、パワーアンプ104から供給される電流をもとにVCM103を駆動することにより発生する軸まわりのモーメントにより行なわれ、これにより磁気ヘッド101は磁気ディスク媒体200の概半径方向に移動される。そして磁気ディスク媒体200に記録された磁化情報は、磁気ヘッド101によって電流として検出されて出力され、プリアンプ102で電圧変換された後、再生信号105として後段の回路に入力される。
【0017】
つまり再生信号105は位置復調回路106に入力され、位置復調回路106はサーボゲート信号107(後述する)が位置復調回路106をアサートしている時間だけ再生信号105を位置復調信号108として出力する。サーボゲート信号107は、磁気ディスク媒体200の回転に同期し、さらに、磁気ディスク媒体200上に記録されているサーボセクタ内のサーボ情報が再生されるタイミングで位置復調回路106をアサートする信号である。すなわちサーボゲート信号107は、本発明に係る補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43),PA21(44),・・・を磁気ヘッド101が通過するタイミングでアサートされる信号とはならない。
【0018】
位置復調回路106から出力された位置復調信号108は位置補正信号109(後述する)と加算され、位置信号110となる。そして位置信号110は目標位置発生回路111の出力、すなわち目標位置信号112と減算処理され、位置誤差信号113となる。位置誤差信号113はゲイン補償回路114で増幅されたのち、位相補償回路115にてフィードバックループを安定化させるために位相補償が施され、VCM駆動信号116となる。パワーアンプ104はVCM駆動信号116に基づいてVCM103を駆動し、磁気ヘッド101を目標位置に安定に位置決めするための電流をVCM103に供給する。
【0019】
また再生信号105は、位相検出回路117に入力され、位相検出回路117は位相検出ゲート信号119(後述する)がアサートされている時間だけ再生信号105を取り込んで処理し、再生信号105に含まれる上述した補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43),PA21(44),・・・における位相シフト量から磁気ヘッド101が通過したトラック中心からのオフセット量に換算して、位置補正信号109を出力する。位相検出ゲート信号発生回路118は、サーボゲート信号107をトリガとしてタイマ(図示せず)あるいはカウンタ(図示せず)で計数されたタイミングで位相検出ゲート信号119を発生する。位相検出ゲート信号119は、サーボゲート信号107に同期してこれを数倍の周期に分割(図3参照)し、図1に示した補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43),PA21(44),・・・を磁気ヘッド101が通過するタイミングでアサートする信号として機能する。位置補正信号109は、上記したように位置復調回路106からの出力である位置復調信号108と加算処理して位置復調信号108を補正した位置信号110となる。位置信号110は目標位置発生回路111の出力である、目標位置信号112と減算処理され、位置誤差信号113となる。位置誤差信号113はゲイン補償回路114で増幅されたのち、位相補償回路115にてフィードバックループを安定化させるために位相補償が施され、VCM駆動信号116となる。パワーアンプ104はVCM駆動信号116に基づいてVCM103を駆動し、磁気ヘッド101を目標位置に安定に位置決めするための電流をVCM103に供給する。以上の動作によって、磁気ヘッド101は磁気ディスク媒体200の目標トラック上に安定に位置決めされる。
【0020】
図3は、図2に示した回路ブロックにおける信号波形を示す図である。図3に示す信号(a)は、図2には図示されていない情報記録装置の回転駆動系から得られる回転インデックス信号であり、磁気ディスク媒体200の一回転に1回出力される信号である。
【0021】
信号(b)は、図2に示したサーボゲート信号107であり、回転インデックス信号に同期して、磁気ディスク媒体200上に記録されているサーボセクタの情報が再生されるタイミングでアサートされる信号である。
【0022】
信号(c)は、図2に示した位相検出ゲート信号119であり、サーボゲート信号107の数倍の周期で等分割され、図1に示した補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43),PA21(44),・・・を磁気ヘッド101が通過するタイミングでアサートされる信号である。
【0023】
信号(d)は、上記した位相検出ゲート信号(c)がネゲートされるタイミングで図2に示した位相検出回路117から出力される位置補正信号109であり、図1に示した補正エリアPA11(41),PA12(42),PA13(43),PA21(44),・・・の位相シフト量から磁気ヘッド101が通過したトラック中心からのオフセット量に換算された信号である。
【0024】
信号(e)は、上記したサーボゲート信号(b)がネゲートされるタイミングで図2に示した位置復調回路106から出力される位置復調信号108である。信号(f)は、図2に示した位置信号110であり、上記した位置復調信号(e)と位置補正信号(d)とを加算した信号である。
【0025】
このように本実施形態によれば、データクロック(記録ビットに同期した再生クロック発生回路(不図示)から供給される)に同期して位置誤差を検出する方式であるため、データエリアをほとんど消費することなく位置決め情報を得ることができ、サーボパタンの配置によるフォーマット効率損失はほとんど無視することができる。またデータエリア内(サーボセクタ間)に細かく位置決め情報(補正エリアPA11〜13)を挿入することができるため、位置決め制御のサンプリング周波数を向上させることができ、制御系の高帯域化が容易になる。
【0026】
図4は、本発明の実施形態に係る情報記録装置における磁気パタンの第1の原理構成を示す図である。図4における磁気パタンは、上記特許文献2に記載されたパターンドメディアにおける記録ビット(磁気記録膜ランド部)において、隣接する記録ビットを一方向に記録ビットと同一の磁性体膜で連結する連結部を備えて構成されているものである。
【0027】
図4に示すパターンドメディアにおいて、奇数番号のトラックと偶数番号のトラックのそれぞれに所定のトラック幅63を有する磁気記録膜ランド部(記録ビット)61が設けられている。そして隣接する奇数番号及び偶数番号のトラック間で記録ビット61を一方向に記録ビット61と同一の磁性体膜で連結する連結部62を持つ構成としている。なお、図4に示すように奇数番号トラックのビット中心64と偶数番号トラックのビット中心65とは、最短ビット長dの半分である1/2dだけずれた配置になっている。そして図4に示すようなパターンドメディアは、一般的なパターンドメディアの製造プロセス(必要ならば、特開2001−110050号公報(図4)参照)により簡単に実現可能である。
【0028】
図5は、図4に示した磁気パタンの第1の原理構成において、記録トラックの中心から磁気ヘッドをオフセットさせてトレースしたときの再生信号波形を示す図である。具体的には図4に示した連結部62を有するパターンドメディアにおいて、記録トラックの中心66,67から磁気ヘッド60をオフセットさせてトレースしたときの再生信号波形を示している。図5において、磁気ヘッド60が記録トラックの中心(これを図4に示すトラック中心66と仮定する)の軌跡1a(71)としてトレースした場合、波形2aに示すすべての記録ビット(磁気記録膜ランド部)61上で振幅が等しく且つ一定の位相を持つ再生波形74が得られる。
【0029】
ここで磁気ヘッド60を隣接トラック側に少しだけオフセットさせて軌跡1b(72)としてトレースさせた場合、隣接記録ビットとの間に連結部62を有する記録ビット部位では波形2bに示されるように位相のシフトした再生波形75が得られる。
【0030】
さらに磁気ヘッド71を隣接トラック側に大きくオフセットさせて軌跡1c(73)としてトレースさせた場合、隣接記録ビットとの間に連結部62を有する記録ビット部位では波形2cに示されるように位相シフト量が増大した再生波形76が得られる。
【0031】
このように隣接記録ビットとの間に連結部62を有する記録ビットにおける再生信号の位相シフト量は、トラック中心に対する磁気ヘッド60の位置決めのオフセット量に比例する関係にあるので、この位相ずれ量を検出することでヘッドの位置決め制御を行なうことが可能となる。なお上記した位相シフト量はデータクロック77に対する位相ずれ量として把握されもので、データクロック77は、記録ビットに同期した再生クロックを発生する再生クロック発生回路(図示せず)から容易に得られる。
【0032】
なおデータクロック77を生成するために必要な長さの記録データ列は、予めデータエリアDA11(51)、DA12(52)、DA13(53)、DA14(54)を規定のパタン(たとえば最短ビット長の等倍ないし数倍の繰り返しパタン)でイレーズしておくことで得ることができる。データエリアにユーザデータを記録した後は、そのユーザデータを用いてデータクロック77を生成すれば良い。
【0033】
なお図5に示す例では全ての記録ビットが一定方向に磁化されていることを前提としたものであるが、少なくとも隣接記録ビットとの間に連結部を有する記録ビットの記録ビット列および連結部が一定方向に磁化されていれば、本発明の効果は得られる。
【0034】
図6は、本発明の実施形態に係る情報記録装置における磁気パタンの第2の原理構成を示す図である。図6における磁気パタンは、上記特許文献2に記載されたパターンドメディアにおいて、トラック間を一方向に横断し記録ビットと同一の磁性体膜で連結する直線状パタンKを備えているものである。
【0035】
図6に示すパターンドメディアにおいて、直線状パタンKの中心線Lとn番目トラックのトラック中心線Tn−Tn’との交点Cと、隣接ビット中心M2,M3との距離P、Pは、P=P=d(ただしdは点M1とM2との距離で最短記録ビット長を表す)という関係となっている。なお、図6に示すようにn番目トラックのビット中心とn+1番目又はn−1番目トラックのビット中心とは、最短ビット長dの半分である1/2dだけずれた配置になっているのは図4に示した第1の原理構成と同様である。また図6に示すようなパターンドメディアは、一般的なパターンドメディアの製造プロセス(必要ならば、特開2001−110050号公報(図4)参照)により簡単に実現可能である。なお上記例では、パタンKとして直線状のものを提示したが、これに限らず、トラック間を一方向に横断し記録ビットと同一の磁性体膜で連結する曲線状パタンであっても良い。
【0036】
このように本発明の第2の原理構成においても、図5で説明したのと同様に、トラック中心からのオフセットに応じて再生信号の位相シフトが発生するので、この位相シフト量を検出することで、ヘッドの位置決め制御を行なうことが可能となる。
【0037】
なお上記図4ないし図6に示した構成はあくまで磁気パタンの原理構成を示したものであって、実際には、磁気ヘッドが各トラックを走査するときに複数条斜め(図1の補正エリアにおける斜線部参照)の磁気パタンから信号を得られるようにしている。条数はその数が多いほど位置決め補正信号を確実に得られることになるが、その分、データエリアとして使用する領域を狭めることにもなるので、各磁気ディスク媒体の特性によって決定すべきである。
【0038】
また本実施形態によれば、パターンドメディア構成の磁気ディスク装置において、そのプロセスを大きく変えることなく、磁気パタンを構成することができ、当該磁気パタンから位置決め情報を得ることができるとともに、パターンドメディアにおける位置決め精度を向上させることが出来るので、データの記録再生における信頼性を高めることができる。
【0039】
以上説明したことを概観すれば本発明は以下のような構成を備えるものである。
(付記1)サーボセクタを有する情報記録装置において、
前記サーボセクタ内に記録されたサーボパタンと、
前記サーボセクタ間のデータ領域の所定位置にデータクロックに対する位相ずれ量を検出するためにパターンニングにより埋め込まれた磁気パタンと、
前記サーボパタンから位置決め制御に用いる位置復調信号を得る手段と、
前記磁気パタンから位相ずれ量を検出する手段と、
検出された前記位相ずれ量から位置決め補正信号を得る手段と、
前記位置復調信号を前記位置決め補正信号で補正して磁気ヘッドを所定位置に安定させる手段と、
を備えることを特徴とする情報記録装置。
【0040】
(付記2)前記磁気パタンは、前記データ領域の複数の所定位置にパターンニングにより埋め込まれたものであることを特徴とする付記1記載の情報記録装置。
(付記3)前記位相ずれ量を検出する手段は、媒体の回転速度に同期し且つ前記サーボパタンが再生されるタイミングで発生される信号によりトリガされるタイミング信号発生回路の出力によりアサートされて前記磁気パタンの再生信号を取得することを特徴とする付記1記載の情報記録装置。
【0041】
(付記4)前記タイミング信号発生回路は、タイマにより構成されていることを特徴とする付記3記載の情報記録装置。
(付記5)前記タイミング信号発生回路は、カウンタにより構成されていることを特徴とする付記3記載の情報記録装置。
【0042】
(付記6)前記位相ずれ量から位置決め補正信号を得る手段は、前記位相ずれ量をもとに磁気ヘッドが通過したトラック中心からのオフセット量に換算することを特徴とする付記1記載の情報記録装置。
【0043】
(付記7)前記磁気パタンがパターンドメディアで構成された磁気ディスク媒体上に生成され、該磁気ディスク媒体において、隣接するトラック間でランド部が一定のずれ量を伴うように配置され、前記磁気パタンは隣接する前記ランド部間を磁気記録膜で連結して構成されることを特徴とする付記1記載の情報記録装置。
【0044】
(付記8)前記磁気パタンがパターンドメディアで構成された磁気ディスク媒体上に生成され、該磁気ディスク媒体において、隣接するトラック間でランド部が一定のずれ量を伴うように配置され、前記磁気パタンは隣接する前記ランド部間を直線状パタンで連結して構成されることを特徴とする付記1記載の情報記録装置。
【0045】
(付記9)前記磁気パタンがパターンドメディアで構成された磁気ディスク媒体上に生成され、該磁気ディスク媒体において、隣接するトラック間でランド部が一定のずれ量を伴うように配置され、前記磁気パタンは隣接する前記ランド部間を曲線状パタンで連結して構成されることを特徴とする付記1記載の情報記録装置。
【0046】
(付記10)前記磁気パタンは、前記データ領域の所定位置にトラックあたり複数条斜め配置されることを特徴とする付記7ないし9のいずれかに記載の情報記録装置。
(付記11)サーボセクタを有する情報記録装置におけるヘッド位置決め制御方法において、
前記サーボパタンから位置決め制御に用いる位置復調信号を得る過程と、
前記サーボセクタ間のデータ領域の所定位置にデータクロックに対する位相ずれ量を検出するためにパターンニングされた磁気パタンから位相ずれ量を検出する過程と、
検出された前記位相ずれ量から位置決め補正信号を得る過程と、
前記位置復調信号を前記位置決め補正信号で補正して磁気ヘッドを所定位置に安定させる過程と、
を含むことを特徴とするヘッド位置決め制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る情報記録装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報記録装置のヘッド位置決め制御を行なう回路ブロック図である。
【図3】図2に示した回路ブロックにおける信号波形を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る情報記録装置における磁気パタンの第1の原理構成を示す図である。である。
【図5】図4に示した磁気パタンの第1の原理構成において、記録トラックの中心から磁気ヘッドをオフセットさせてトレースしたときの再生信号波形を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る情報記録装置における磁気パタンの第2の原理構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
31、32 サーボセクタ
41〜44 補正エリア
51〜54 データエリア
60、101 磁気ヘッド
61 記録ビット(磁気記録膜ランド部)
62 連結部
102 プリアンプ
103 VCM
104 パワーアンプ
106 位置復調回路
111 目標位置発生回路
114 ゲイン補償回路
115 位相補償回路
117 位相検出回路
118 位相検出ゲート信号発生回路
200 磁気ディスク媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが記録されるトラックを有し、ヘッドの位置決めのアドレス情報が記録されるサーボセクタが前記トラック方向に間欠的に配置されるサーボセクタを備えたディスク記録媒体において、
前記トラック方向の前記サーボセクタ間に前記ヘッドの位置補正に利用可能な補正エリアを少なくとも一つ備えることを特徴とするディスク記録媒体。
【請求項2】
ランド部に前記トラックが割り当てられ、前記ランド部間を磁気記録膜で連結することで前記補正エリアを形成することを特徴とする請求項1記載のディスク記録媒体。
【請求項3】
前記補正エリアは、曲線状もしくは直線状のパターンによって形成されていることを特徴とする請求項1記載のディスク記録媒体。
【請求項4】
前記サーボセクタは少なくとも前記アドレス情報とバースト情報を記録し、前記補正エリアはバースト情報が記録されることを特徴とする請求項1記載のディスク記録媒体。
【請求項5】
情報を記録可能なディスク記録媒体に対して前記ディスク記録媒体のトラック方向に移動するヘッドによって前記情報を再生もしくは記録する情報記録装置において、
前記ディスク記録媒体は、前記トラックとセクタによって記憶領域を分割かつ管理し、前記ヘッドの位置決めのアドレス情報を記録し、トラックを分割するようにサーボセクタと、トラック方向のサーボセクタ間に補正エリアを少なくとも一つ備え、
前記ヘッドの位置補正に前記補正エリアを利用することを特徴とする情報記録装置。
【請求項6】
前記ディスク記録媒体は多数のランド部において情報を記録され、前記ランド部間を磁気記録膜で連結することで、前記補正エリアを形成することを特徴とする請求項5記載の情報記録装置。
【請求項7】
前記サーボセクタは少なくとも前記アドレス情報とバースト情報を記録し、前記補正エリアはバースト情報を記録することを特徴とする請求項5記載の情報記録装置。
【請求項8】
前記ヘッドの読み出した前記ディスク記録媒体のデータから、前記補正エリアを検出する位相検出部を備えることを特徴とする請求項5記載の情報記録装置。
【請求項9】
前記サーボセクタを検出した後、前記位相検出部を駆動させる位相検出ゲート信号を発生する位相検出ゲート発生部を備えることを特徴とする請求項8記載の情報記録装置。
【請求項10】
周方向に沿ってランドが形成され、前記ランドに記録トラックが割り当てられてなるディスク記録媒体において、
半径方向において間欠的に前記ランドが連続する領域を有することを特徴とするディスク記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−65935(P2008−65935A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244348(P2006−244348)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】