説明

ディスク駆動装置及び電子機器

【課題】ディスクがスロットから傾いて挿入されても、ピックアップ機構の対物レンズやその他の構成部品との衝突を回避することにより、信頼性の高いディスク駆動装置及びそのようなディスク駆動装置を有する電子機器を提供すること。
【解決手段】ディスク駆動装置内のピックアップユニット22の上面を覆うカバープレート150上であって、ディスクが挿入及び排出されるスロット側の端部に、突出面150aをカバープレート150から一体的に形成する。更に、当該突出面150a上に、例えば人工皮革等のシート部材151を貼付する。当該突出面150aを設けたことでディスクが斜めに挿入されても突出面150aが挿入角度を規制してディスクをディスク装着部23方向へスムーズにガイドするため、ピックアップ機構25の対物レンズ25aにディスクが衝突してディスクや対物レンズ25aに傷が付くのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光ディスク等のディスク状記録媒体に対する信号の記録や再生を行なうことが可能なディスク駆動装置及び電子機器に関し、特にディスク状記録媒体をスロットを介して直接挿入し、また排出することが可能ないわゆるスロットイン型のディスク駆動装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディスク状の記録媒体としては、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)といった光ディスクや、MD(Mini Disk)等の光磁気ディスクが知られており、これらのディスクに対応した各種のディスク駆動装置が提供されている。
【0003】
ディスク駆動装置には、筐体に設けられた蓋や扉を開放し、そこから臨むターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ、装置本体の内外に亘って水平方向に搬送されるディスクトレイにディスクを載置することで、ディスクトレイが装置本体内へ引き込まれた際にディスクが装置本体内に設けられたターンテーブルに自動的に装着されるタイプ、或いはこのディスクトレイにターンテーブルが一体的に設けられ、ディスクトレイが装置本体外へ搬送された際にターンテーブルへディスクを直接装着するタイプ等がある。しかし何れのタイプも、操作者にとって、蓋や扉を開閉したり、ディスクトレイを出し入れしたり、あるいはターンテーブルにディスクを装着したりといった操作を必要としている。
【0004】
これらに対して、筐体の前面に設けられたスロットからディスクを挿入するだけでディスクが自動的に装置本体内へ引き込まれ、ターンテーブルに装着される、いわゆるスロットイン型のディスク駆動装置がある。このディスク駆動装置では、スロットからディスクが挿入されると、互いに対向する一対のガイドローラの間にディスクを挟み込みながら、これら一対のガイドローラを互いに逆向きに回転させることによって、スロットから挿入されたディスクを筐体の内部へと引き込むローディング動作と、このスロットからディスクを筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行う。
【0005】
ところで、ディスク駆動装置が搭載される、例えばノート型パーソナルコンピュータ等のモバイル機器やDVDレコーダ等のAV機器においては、更なる小型軽量薄型化が求められており、それに伴うディスクドライブ装置の小型軽量薄型化の要求も高まっている。また、近年では、パーソナルコンピュータ等で主流であったトレイ型のディスクドライブ装置よりも、操作感のよいスロットイン型のディスクドライブ装置の需要が高まっている。
【0006】
しかしながら、スロットイン型のディスク駆動装置では、上述した一対のガイドローラの長さがディスクの直径よりも長くなることから、装置全体の幅方向の寸法が長くなる。また、一対のガイドローラの間にディスクを挟み込むことから、厚み方向の寸法も長くなる。このため、従来のスロットイン型のディスク駆動装置では、小型化や薄型化に非常に不利であった。
【0007】
そこで、スロットイン型のディスク駆動装置では、小型化や薄型化の要求に応えるため、スロットから挿入されたディスクと、このディスクが装着されるターンテーブルが取り付けられたベースとの間に複数の回動アームを配置し、これら回動アームを当該ディスクと平行な面内で回動させながら、ディスクをスロットから筐体の内部へと引き込むローディング動作と、ディスクをスロットから筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行うディスク駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2002−117604号公報(段落[0029]、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたディスク駆動装置では、標準サイズである直径12cmのディスクにのみ対応可能なため、標準サイズと外径が異なるディスク、例えばシングルCDやカムコーダ等で使用される記録用DVDといった直径8cmの小径ディスクがスロットから挿入された際に、これら小径ディスクをスロットから強制的に排出する機構となっている。すなわち、上記特許文献1に記載されたディスク駆動装置では、複数の回動アームによって外径の異なるディスクをディスク装着位置に位置決めするセンタリング動作を行うことはできない。
【0009】
また、特許文献1に記載のようなスロットイン型のディスク駆動装置では、操作者がある程度ディスクをスロットからある程度筐体内の奥まで挿入し、ディスクの挿入方向に対してディスクの後端部を押し入れる機構となっているため、ディスクがスロットから筐体内へ傾いて(斜めに)挿入されることが考えられる。この場合、ディスクと筐体内の構成部材とが接触し、ディスク表面を傷つける可能性が高い。更に、筐体内の光ピックアップ機構(Optical Pickup、以下、「OP」と言う。)とディスクが直接衝突し、OPの対物レンズを損傷させる可能性も高い。
【0010】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ディスクがスロットから傾いて挿入されても、ピックアップ機構の対物レンズやその他の構成部品との衝突を回避することにより、信頼性の高いディスク駆動装置及びそのようなディスク駆動装置を有する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明の主たる観点に係るディスク駆動装置は、ディスク状の記録媒体が挿入及び排出されるスロットを前面に有する筐体と、前記スロットから前記筐体内に挿入された前記記録媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記記録媒体を回転駆動する回転駆動機構と、前記回転駆動機構により回転駆動された前記記録媒体に記録された信号を再生可能なピックアップ機構と、前記ピックアップ機構を前記記録媒体の径方向へ移動させるピックアップ移動機構と、前記ピックアップ移動機構により前記ピックアップ機構が前記スロット側へ移動されたときに当該ピックアップ機構の一部を覆い、かつ、前記記録媒体を前記装着部側へガイドすることが可能な突出面を前記スロット側に有し、前記装着部、前記回転駆動機構、前記ピックアップ機構及び前記ピックアップ移動機構が一体的に搭載されたベースプレートとを有するピックアップユニットと、前記筐体内の前記ピックアップユニット上方に設けられ、前記スロット側と前記装着部側との間で前記記録媒体を搬送する搬送機構とを具備する。
【0012】
ここで上記ディスク状の記録媒体とはCD、DVD等の光ディスクやMD等の光磁気ディスクである。また上記突出面は、記録媒体が上記装着部へ装着された場合に当該記録媒体の直径よりも外側の位置に設けられる。なお、「ピックアップ機構の一部を覆う」とは、例えば、当該ピックアップ機構のうち対物レンズ近傍のアクチュエータを支持するアクチュエータカバーの表面の一部等、対物レンズ以外の部分を覆うことをいい、対物レンズ部分を覆うことはない。また上記搬送機構は例えば挿入された記録媒体を抱え込みながら記録媒体と平行な面内で回動可能な回動アームにより実現することができるが、その他にも、例えば記録媒体を挟み込みながら互いに逆向きに回転可能な一対のガイドローラ等によって実現しても構わない。また当該ディスク駆動装置は、スタンドアローンで存在するものであってもよいし、例えばPCやAV機器等の電子機器に搭載されるものであっても構わない。
【0013】
この構成により、上記突出面を設けたことで、上記記録媒体がスロットから斜め下方に傾いて挿入された場合でも当該突出面により上記装着部側へ案内されるため、筐体内の内部部品に接触して傷が付くことを防止することができる。また同時にピックアップ機構の対物レンズ部分に記録媒体が接触して当該対物レンズに傷が付くのも防止することができる。更に、上記突出面により、記録媒体の挿入角度が規制され、筐体内で待機している上記搬送機構へスムーズに導くことができる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、上記ディスク駆動装置において、前記突出面は、前記ベースプレート上に一体的に形成されるようにしてもよい。これにより、突出面とベースプレートとを一の部品とすることで、突出面を設けても部品点数を増やすことがないため、製造が容易になるとともにコストも削減することができ、更に軽量化も図ることができる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、上記ディスク駆動装置において、前記ピックアップユニットは、前記突出面を覆うように貼付された繊維製又は皮革製のシート部材を有していてもよい。当該繊維性又は皮革製のシートは、摩擦係数が低く記録媒体に傷を付けにくい素材でできており、例えば不織布にウレタン樹脂を含浸させる等した人工皮革の他、織物に樹脂を含浸させた合成皮革やその他の合成繊維、天然皮革等である。これにより、スロットから挿入された記録媒体が上記突出面に接触した場合でも、上記シート部材により記録媒体に傷が付くことを防止することができる。
【0016】
本発明の一の形態によれば、上記ディスク駆動装置において、前記ベースプレートは、前記記録媒体の排出時に当該記録媒体を前記シート部材の表面へ導く凸部を有していてもよい。当該凸部は、ベースプレート上に一体的に突出させて形成してもよいし、別部材で設置するようにしてもよい。これにより、記録媒体を排出する際に、当該記録媒体の端部がシート部材に衝突して(引っかかって)記録媒体の排出が妨げられるのを防ぎ、記録媒体をスロット方向へスムーズに導くことができる。
【0017】
上記ディスク駆動装置において、前記シート部材は前記記録媒体の挿入方向へ向く端面を有し、前記凸部は前記端面を覆うように設けられるようにしてもよい。この場合凸部は、上記シート部材の端面全体を覆うように、斜面上のシート部材との境界全体に亘って形成してもよいし、端面の一部を覆う凸部を例えば所定の間隔で複数個設けるようにしてもよい。これにより、記録媒体の排出時に、シート部材の端面に上記記録媒体が衝突することがないため、記録媒体をより確実にシート部材表面へ導くことができる。
【0018】
上記ディスク駆動装置において、前記ベースプレートは前記凸部よりも前記スロット側にスリットを有し、前記シート部材は前記スリットを介して前記ベースプレートの裏側へ折り曲げられていてもよい。これにより、上記端面がベースプレート裏側へ折り曲げられていることで、上記記録媒体の排出時に当該記録媒体とシート部材の端面とが衝突しないため、上記凸部の効果と併せて、記録媒体を更に確実にシート部材表面へ導くことができる。
【0019】
本発明の一の形態によれば、上記ディスク駆動装置において、前記突出面は絞り部を有していてもよい。これにより、上記記録媒体が突出面に接触した場合に、当該突出面の強度を確保して、突出面が撓んだり、変形したりすることを防ぐことができる。特に、ディスク駆動装置の薄型化のために突出面が例えば金属の薄板等で形成されている場合には効果的である。
【0020】
本発明の一の形態によれば、上記ディスク駆動装置において、前記突出面は樹脂によりコーティングされていてもよい。これにより、突出面を記録媒体に傷を付けにくい例えばウレタン等の樹脂によりコーティングすることで、上記シート部材によらなくとも、記録媒体挿入時に突出面に記録媒体が接触した際に記録媒体に傷が付くのを防止することができる。なお当該コーティングは、突出面のみではなくベースプレート全体に施されるようにしても勿論構わない。
【0021】
本発明の一の形態によれば、上記ディスク駆動装置において、前記記録媒体として、第1の直径でなる第1のディスク及び前記第1の直径とは異なる第2の直径を有する第2のディスクに対応可能であってもよい。当該第1のディスクは、例えば一般的なCDプレーヤやDVDプレーヤ等で用いられる直径12cmの大径ディスクであり、第2のディスクは、カムコーダ等で用いられる直径8cmの小径ディスクである。勿論、第1の直径が8cmで第2の直径が8cmでもよい。これにより径の異なる複数の記録媒体に対応しながら、各記録媒体やピックアップ機構の対物レンズ部分に傷が付くのを防止することができる。
【0022】
本発明の他の観点に係る電子機器は、ディスク状の記録媒体が挿入及び排出されるスロットを前面に有する筐体と、前記スロットから前記筐体内に挿入された前記記録媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記記録媒体を回転駆動する回転駆動機構と、前記回転駆動機構により回転駆動された前記記録媒体に記録された信号を再生可能なピックアップ機構と、前記ピックアップ機構を前記記録媒体の径方向へ移動させるピックアップ移動機構と、前記ピックアップ移動機構により前記ピックアップ機構が前記スロット側へ移動されたときに当該ピックアップ機構の一部を覆い、かつ、前記記録媒体を前記装着部側へガイドすることが可能な突出面を前記スロット側に有し、前記装着部、前記回転駆動機構、前記ピックアップ機構及び前記ピックアップ移動機構が一体的に搭載されたベースプレートとを有するピックアップユニットと、前記筐体内の前記ピックアップユニット上方に設けられ、前記スロット側と前記装着部側との間で前記記録媒体を搬送する搬送機構とを有するディスク駆動装置と、前記ディスク駆動装置の駆動を制御する制御部とを具備する。
【0023】
電子機器としては、コンピュータ(PCの場合、ラップトップ型であっても、デスクトップ型であってもよい。)、PDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、カメラ、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、携帯電話、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。制御部とは、ユーザからの操作入力等に基づいて少なくとも上記ディスク駆動装置に対して信号を生成して送るものであり、例えばCPUである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ディスクがスロットから傾いて挿入されても、ピックアップ機構の対物レンズやその他の構成部品との衝突を回避することにより、信頼性の高いディスク駆動装置及びそのようなディスク駆動装置を有する電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0026】
図1は本実施形態に係るディスク駆動装置1の外観斜視図、図2はディスク駆動装置1のトップカバーを内面側から見た斜視図、図3はディスク駆動装置1の内部構造を示す平面図である。
【0027】
このディスク駆動装置1は、図1に示すように、外筐となる筐体3を備え、この筐体3は、下部筐体である略扁平箱状のボトムケース4と、このボトムケース4の上部開口部を覆う天板であるトップカバー5とから構成されている。
【0028】
なお、当該ディスク駆動装置1は、図1に示すような例えば直径12cmの大径ディスク2Aのみならず、図3に示すように、例えば直径8cmの小径ディスクの両ディスク2を挿入して信号の記録及び再生を行なうことが可能となっている。
【0029】
トップカバー5は、図1及び図2に示すように、薄い板金からなり、ボトムケース4の上部開口部を閉塞する天板部5aと、この天板部5aの周囲がボトムケース4の両側面に沿って僅かに折り曲げられた一対の側板部5bとを有している。天板部5aの略中央部には、略円形状の開口部6が形成されている。この開口部6は、後述するチャッキング動作時にディスク2の中心孔2aに係合されるターンテーブル23aの係合突部28aを外部に臨ませるためのものである。また、天板部5aの開口部6の周囲には、ターンテーブル23a上に保持されたディスク2の中心孔2aの周囲と当接されるように、筐体3の内側に向かって僅かに突出した当接突部7が設けられている。
【0030】
天板部5aの内側の主面には、図2に示すように後述する第1の回動アーム35の先端部と第2の回動アーム36の先端部とを高さ方向に規制しながら、互いに近接又は離間する方向に案内するガイド部材8が設けられている。このガイド部材8は、天板部5aの両側板部5bの間に亘って略円弧状をなす板金からなり、天板部5a内側の前面側にスポット溶接やかしめ等により取り付けられている。また、このガイド部材8は、背面側が前面側の取付面よりも一段高くなされた係止部8aを有している。これにより、ガイド部材8の背面側の係止部8aと天板部5aとの間には、第1の回動アーム35の先端部及び第2の回動アーム36の先端部が係合されるガイド溝9が形成されている。また、天板部5aには、このガイド溝9に第1の回動アーム35の先端部と第2の回動アーム36の先端部とを係合させるための作業用の窓部10がそれぞれ設けられている。
【0031】
更に、天板部5aの主面の略中央には、菱形状の絞り部5cが設けられている。当該絞り部5cは、筐体3の内部で上記第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が設置されたエリア及びそれらが回動しないエリアに沿って筐体3の底面方向へ絞られている。当該絞り部5cは、天板部5aの強度を上げるとともに、スロット19から挿入されるディスク2の傾きを規制するとともに、後述するディスク2のチャッキング時にディスク2を上方から抑えてチャッキング動作をスムーズに行なわせる役割を果たす。
【0032】
ボトムケース4は、図3に示すように、略扁平箱状に形成された板金からなり、その底面部は、略矩形状であり、一方の側面部には、この底面部よりも底上げされて外側へと張り出したウィング部4aが設けられている。
【0033】
ボトムケース4の底面部には、ディスク駆動装置1の駆動を制御する図示を省略した駆動制御回路を構成するICチップ等の電子部品や、各部の電気的な接続を図るためのコネクタ、各部の動作を検出するための後述する検出スイッチ等が配置された回路基板がネジ止め等により取り付けられている。また、ボトムケース4の底面部には、シャーシ11がネジ止めにより取り付けられている。このシャーシ11は、回路基板の上方において、ボトムケース4の内部を上記ウィング部4aと略同等の高さで上下に仕切るように配置されている。
【0034】
そして、このボトムケース4には、図1に示すように、上記トップカバー5がネジ止めにより取り付けられている。具体的には、図2に示すように、天板部5aの外周縁部には、図1に示すネジ12を貫通させる複数の貫通孔13が形成されている。また、両側の側板部5bには、内側に略直角に折り曲げられた複数のガイド片14が設けられている。一方、ボトムケース4の外周縁部には、図3に示すように、内側に略直角に折り曲げられた固定片15が設けられており、これら固定片15には、トップカバー5の貫通孔13に対応したネジ孔16が形成されている。また、ボトムケース4の両側面部には、トップカバー5の複数のガイド片14の抜け止めとなる複数のガイドスリット17が形成されている。
【0035】
そして、ボトムケース4にトップカバー5を取り付ける際は、ボトムケース4の複数のガイドスリット17にトップカバー5の複数のガイド片14を係合させた状態で、トップカバー5を前面側から背面側へとスライドさせる。これにより、トップカバー5の天板部5aがボトムケース4の上部開口部を閉塞した状態となる。そして、この状態でトップカバー5の複数の貫通孔13を通してボトムケース4のネジ孔16にネジ12を螺合する。以上のようにして、図1に示す筐体3が構成されている。
【0036】
なお、トップカバー5の天板部5aには、組付後に、上述した開口部6や作業用の窓部10を覆うラベルシール(図示せず。)が貼り付けられる。これにより、筐体3の内部への塵埃等の侵入や外部へのレーザの漏れ等を防止する。
【0037】
筐体3の前面には、図1に示すように、略矩形平板状のフロントパネル18が取り付けられている。このフロントパネル18には、ディスク2が水平方向に挿入及び排出されるスロット19が設けられている。すなわち、ディスク2は、このスロット19から筐体3の内部へと挿入したり、或いはこのスロット19から筐体3の外部へと排出したりすることが可能となっている。また、フロントパネル18の前面には、ディスク2に対するアクセス状態を点灯表示する表示部20や、ディスク2を排出する際に押圧されるイジェクトボタン21、及び塵埃の進入を防止すると共に排出後のディスク2を摩擦力により保持するカーテン32とが設けられている。
【0038】
図4はディスク駆動装置1のピックアップユニット22の斜視図であり、図5は当該ピックアップユニット22からカバープレート150を取り外した状態の斜視図であり、図6はカバープレート150の分解斜視図である。
【0039】
このディスク駆動装置1は、図3乃至図5に示すように、ボトムケース4の底面部にディスク駆動装置1本体を構成するピックアップユニット22を備えている。
【0040】
このピックアップユニット22は、スロット19から筐体3の内部に挿入されたディスク2が装着されるディスク装着部23と、このディスク装着部23に装着されたディスク2を回転駆動するディスク回転駆動機構24と、このディスク回転駆動機構24により回転駆動されるディスク2に対して信号の書き込み又は読み出しを行うピックアップ機構25と、このピックアップ機構25をディスク2の半径方向に送り動作させるピックアップ送り機構26とを有し、これらがベースプレート27に一体に設けられた超薄型構造を有している。
【0041】
このピックアップユニット22は、ボトムケース4の底面部においてディスク装着部23が略中央に位置するように、シャーシ11よりも前面側に配置されている。また、このピックアップユニット22は、後述するベース昇降機構55によって昇降可能とされており、初期状態において、スロット19から筐体3の内部に挿入されるディスク2よりも下方に位置している。
【0042】
図6に示すように、ベースプレート27は、板金を所定の形状に打ち抜き、その周囲を僅かに下方に折り曲げて形成されている。当該ベースプレート27はカバープレート150を有し、当該カバープレート150により上方から覆われている。当該カバープレート150の主面には、ディスク装着部23のターンテーブル23aを上方へと臨ませる略半円状のテーブル用開口部150gと、ピックアップ機構25の対物レンズ25aを上方へと臨ませる略矩形状のピックアップ用開口部150hとが連続形成されている。
【0043】
ベースプレート27は、図4及び図5に示すように、後述する駆動レバー52と対向する側面のディスク装着部23側に突設された第1の支軸59と、図11に示す後述するカムレバー56と対向する側面のディスク装着部23側に突設された第2の支軸60と、駆動レバー52と対向する側面とは反対側の側面の前面側に突設された第3の支軸62と、カムレバー56と対向する側面とは反対側の側面の前面側に設けられた固定支持部65とを備えている。
【0044】
ディスク装着部23は、ディスク回転駆動機構24により回転駆動されるターンテーブル23aを有し、このターンテーブル23aの中心部には、ディスク2を装着するためのチャッキング機構28が設けられている。このチャッキング機構28は、ディスク2の中心孔2aに係合される係合突部28aと、この係合突部28aに係合されたディスク2の中心孔2aの周囲を係止する複数の係止爪28bとを有し、ディスク2をターンテーブル23a上に保持する。
【0045】
ディスク回転駆動機構24は、ディスク2をターンテーブル23aと一体に回転駆動する扁平状のスピンドルモータ24aを有し、このスピンドルモータ24aは、上面部に設けられたターンテーブル23aがカバープレート150のテーブル用開口部150gから僅かに突出するように、支持板24bを介してベースプレート27の下面にネジ止めにより取り付けられている。
【0046】
ピックアップ機構25は、光源となる半導体レーザ(図示せず)から出射された光ビームを対物レンズ25aにより集光させてディスク2の信号記録面に照射し、当該信号記録面で反射された戻りの光ビームを受光素子等からなる光検出器により検出する光学ブロックを有し、ディスク2に対する信号の書き込み又は読み出しを行うようになされている。
【0047】
また、このピックアップ機構25は、対物レンズ25aを光軸方向(フォーカシング方向という。)と、ディスク2の記録トラックと直交する方向(トラッキング方向という。)とに変位駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構を有し、上述した光検出器により検出されたディスク2からの検出信号に基づいて、この2軸アクチュエータにより対物レンズ25aをフォーカシング方向及びトラッキング方向に変位させながら、ディスク2の信号記録面上に対物レンズ25aの焦点を合わせるフォーカスサーボや、対物レンズ25aにより集光される光ビームのスポットを記録トラックに追従させるトラッキングサーボ等の駆動制御を行うようになされている。当該アクチュエータはアクチュエータカバー25bにより支持されている。なお、対物レンズ駆動機構としては、このようなフォーカシング制御及びトラッキング制御に加えて、対物レンズ25aにより集光された光ビームをディスク2の信号記録面に垂直に照射させるように、ディスク2の信号記録面に対する対物レンズ25aの傾き(スキュー)を調整可能とする3軸アクチュエータを用いてもよい。
【0048】
ピックアップ送り機構26は、図5に示すように、ピックアップ機構25が搭載されたピックアップベース29と、このピックアップベース29をディスク2の半径方向にスライド可能に支持する一対のガイド軸30a及び30bと、これら一対のガイド軸30a及び30bに支持されたピックアップベース29をディスク2の半径方向に変位駆動する変位駆動機構31とを有している。
【0049】
ピックアップベース29には、一対のガイド軸30a,30bのうち、一方のガイド軸30aを挿通するガイド孔が形成された一対のガイド片32a,32bと、他方のガイド軸30bを挟み込むガイド溝が形成されたガイド片33とが互いに対向する側面から突出形成されている。これにより、ピックアップベース29は、一対のガイド軸30a,30bにスライド可能に支持されている。
【0050】
一対のガイド軸30a,30bは、ベースプレート27の下面にディスク2の半径方向と互いに平行となるように配置されており、カバープレート150のピックアップ用開口部150hから臨むピックアップ機構25のピックアップベース29をディスク2の内外周に亘って案内する。
【0051】
変位駆動機構31は、ベースプレート27に取り付けられた駆動モータ31aの回転駆動をギヤやラック(図示せず。)を介して直線駆動に変換し、ピックアップベース29を一対のガイド軸30a,30bに沿った方向、すなわちディスク2の半径方向に変位駆動させる。
【0052】
次に、上記カバープレートについて詳細に説明する。上記図4及び図6に示すように、カバープレート150上の、上記スロット19側端部には、カバープレート表面150fから略垂直方向に張り出した突出面150aが設けられている。当該突出面150aは、12cmの大径ディスク2Aがディスク装着部23へ装着された場合に、当該大径ディスク2Aの外径よりも外側に位置するように、カバープレート150上に一体的に形成されている。また、当該突出面150aは、ピックアップ機構25が上記ピックアップ送り機構26により大径ディスク2Aの外周側、すなわち上記スロット19側へ移動した場合に、当該ピックアップ機構25のアクチュエータカバー25bを上方から覆うように形成されている。通常、ディスク2を挿入する際には、ピックアップ機構25はスロット19側へ寄っている必要があり、ディスク2が斜めに挿入された場合には対物レンズ25aとディスク2とが衝突してしまう可能性があったが、本実施形態においては、対物レンズ25aに極力近い位置まで突出面150aが覆うことで、ディスク2がスロット19から斜めに挿入された場合でも、ディスク2が対物レンズ25aに衝突しないような配置となっている。また、当該突出面150aを設けたことで、挿入されたディスク2が後述する上記第1及び第2の回動アーム35,36の各フランジ138,140方向へスムーズに導かれることとなる。
【0053】
更に、当該突出面150aから、突出面150aとカバープレート150の表面150fとの間に設けられた斜面150bに亘っては、シート部材151が例えば粘着剤により貼り付けられている。当該シート部材151は例えば人工皮革等、摩擦係数が低くディスク2の記録面を傷付けにくい材料でできており、ディスク2の挿入時に突出面150aにディスク2が接触しても当該ディスク2の記録面を傷から保護することが可能となっている。当該シート部材151は、図6に示すように、突出面150aから、突出面150aとカバープレート表面150fとの間の斜面150bにかけて、当該突出面150a及び斜面150bの形状に合わせて成形されており、斜面150b部分で斜めに折り曲げられて貼り付けられている。
【0054】
また、上記カバープレート表面150fから斜面150bにかけては、上記シート部材151の、上記ディスク挿入方向へ向く端面を覆うように、微小な凸部152が複数(例えば3つ)設けられている。当該凸部152は、ディスク2を排出する際に、上記シート部材151の端面にディスク2の外周のエッジが引っかかって、ディスク2が排出できなくなることを防止するために設けられたものである。当該凸部152の詳細については後述する。
【0055】
またカバープレート表面150fであって、上記凸部152の近傍の、上記ピックアップ用開口部150hとの境界付近には、当該ピックアップ用開口部150hへ向かって斜めにくぼんだ凹部150cが設けられている。当該凹部150cは、図3に示すように、8cmの小径ディスク2Bが挿入されて後述する第1及び第2の回動アーム35,36が当該小径ディスク2Bを挟み込みながら内側へ回動する際に、回動アーム35が上記ピックアップ用開口部150hからカバープレート150の裏側へ潜り込まないよう、当該回動アーム35をカバープレート表面150f上へスムーズに乗り上げさせるためのものである。
【0056】
更に、図6の分解斜視図に示すように、カバープレート150の突出面150a上であって、シート部材151の下方には、ディスク2がスロット19から傾いて挿入されて当該突出面150aに接触しても当該突出面150aが撓まないよう、ある程度の強度を確保するための溝状の絞り部150dが複数箇所(例えば2箇所)設けられている。また同じく突出面150aには、当該絞り部150dとは別に、上記ボトムケース4の底面と接触するまでの深い絞り部150eが設けられている。これにより、ディスク2の挿入時の大きな荷重に対しても当該突出面150aの変形を抑えることが可能となっている。
【0057】
なお、後述するディスク昇降機構によりピックアップユニット22が上昇した場合に、当該ピックアップユニット22上のカバープレート150と上記回動アーム35とが干渉しないように、所定形状の切り欠き150jをカバープレート150上に設けるようにしても構わない。
【0058】
次に、ディスク搬送機構34について説明する。このディスク駆動装置1は、図3に示すように、スロット19からディスク2が挿入排出されるディスクの挿入排出位置と、ディスク装着部23のターンテーブル23aにディスク2が装着されるディスク装着位置との間でディスク2の搬送を行うディスク搬送機構34を備えている。
【0059】
このディスク搬送機構34は、ディスク2の記録面とほぼ平行な面内で広がるように、かつ、狭まるように移動することで、ディスク2の周縁部を挟持しながら、スロット19側とディスク装着部23側との間でディスク2を搬送させるためのアーム機構135と、後述するようにこれらのアーム機構135の移動を途中で規制する規制機構120とを備えている。
【0060】
アーム機構135は、ディスク2の周縁部の両側を挟むように回動可能に設けられた第1の回動アーム35、第2の回動アーム36、ディスク2の挿入を補助する第3の回動アーム46及びディスク2の排出を補助する第4の回動アーム49などを備えている。
【0061】
第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、長尺状の板金からなり、ディスク装着部23を挟んだ左右の両側に各々配置されており、それぞれディスク装着部23よりも背面側に位置する基端部が、シャーシ11上に設けられた第1の支軸37を軸として支持されると共に、ディスク装着部23よりも前面側に位置する先端部がスロット19から挿入されたディスク2の記録面とほぼ平行な面内で互いに近接又は離間する、図3に示す矢印a1、a2、b2、b2方向に回動可能となっている。
【0062】
第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、ディスク2がスロット19に挿入される前の初期状態(HOME状態)において、それぞれの先端部が所定の広がり角で開いた状態で保持されている。
【0063】
第1の回動アーム35は、図3に示すように、ボトムケース4の前面側(フロントパネル18側)であって当該第1の回動アーム35の先端部に設けられた第1の前面側当接部材38と、ディスク2の高さ方向の移動を規制するために設けられたフランジ138とを備えている。第1の前面側当接部材38は、回転可能に設けられた前後一対の回転ローラ73a,73bを備えている。
【0064】
上記第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36の所定の広がり角は、直径が8cmの小径ディスク2Bをスロット19に挿入したときに、小径ディスク2Bを保持できるようにするため、少なくともフランジ138、140の間の距離L1が小径ディスク2Bの直径よりも小さくなるように設計されており、好ましくは第1の前面側当接部材38の回転ローラ73aと第2の前面側当接部材40の回転ローラ73c間の最短距離L2が小径ディスク2Bの直径よりも小さくなるように設計されている。
【0065】
またボトムケース4の背面側の、第1の回動アーム35の基端部近傍には、ディスク2をディスク装着位置に位置決めする際に、第1の前面側当接部材38と共にディスク2の外周部に当接される第1の背面側当接部材39が下方に向かって突出して設けられている。
なお、第1の前面側当接部材38、フランジ138及び第1の背面側当接部材39は、ディスク2よりも柔らかい樹脂を用いて製造されている。
【0066】
第1の回動アーム35には、図3に示すように、捻じりコイルバネ71dが設けられており、当該捻りコイルバネ71dは、回動部材71のギヤ部71aと内歯ギヤ94とを介して、第1の回動アーム35と第2の回動アームをと互いに近接する方向に付勢している。回動部材71は、図3に示すように、その外周部の所定の領域に亘って形成されたギヤ部71aを有し、このギヤ部71aがシャーシ11上に配置された内歯ギヤ94と噛合されることによって、第1の回動アーム35の回動動作に連動しながら回動操作される。
【0067】
第2の回動アーム36の先端部には、スロット19から挿入されたディスク2の外周部に当接される第2の前面側当接部材40と、ディスク2の高さ方向の移動を規制するために設けられたフランジ140とが設けられている。第2の前面側当接部材40は、回転ローラ73c、73dを備えており、第2の前面側当接部材40、フランジ140も、ディスク2よりも柔らかい樹脂を用いて製造されている。
【0068】
このように、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とは、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んで略対称となる位置に配置されており、互いの回動中心がディスク装着部23よりも背面側の略中央部において一致している。また、第1の回動アーム35の先端部及び第2の回動アーム36の先端部は、天板部5aのガイド溝9に係合された状態で回動方向に沿ってスライド可能に支持されている。
【0069】
第1の回動アーム35と、第2の回動アーム36とは連動機構41を介して互いに逆向きに回動可能となっている。
具体的には、この連動機構41は、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを連結する第1の連結アーム42及び第2の連結アーム43を有している。これら第1の連結アーム42及び第2の連結アーム43は、長尺状の板金からなり、それぞれの長手方向の一端部が第1の回動アーム35の基端部と第2の回動アーム36の基端部とに回動可能に支持され、それぞれの長手方向の他端部が第2の支軸44を介して回動可能に支持された、いわゆるパンタグラフ構造を有している。また、第2の支軸44は、シャーシ11の第1の支軸37よりも前面側に設けられたガイドスリット45に係合されており、このガイドスリット45は、ディスク2の挿入方向に亘って直線状に形成されている。
【0070】
第1の支軸37には、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接する方向に付勢するための第1の捻じりコイルバネ75が設けられている。第1の捻じりコイルバネ75は、その巻回部分に第1の支軸37が挿通された状態で、その一端部が第1の回動アーム35の基端部に掛止され、その他端部が第2の回動アーム36に掛止され設けられている。
【0071】
したがって、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とは、第2の支軸44がガイドスリット45内をスライドすることで、第1の連結アーム42及び第2の連結アーム43を介して互いに逆向きに回動可能となっている。すなわち、第1の回動アーム35の先端部と第2の回動アーム36の先端部とは、このような連動機構41によって、互いに近接又は離間する方向に揺動可能となっている。
【0072】
第3の回動アーム46は、ディスク2をスロット19から筐体3の内部へと引き込むローディング動作を補助するために、スロット19から挿入されるディスク2の記録面とほぼ平行な面内で回動可能に設けられている。当該第3の回動アーム46は、長尺状の板金からなり、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んだ左右の一方側(例えば図3中左側)であって、第2の回動アーム36の前面側に位置して、ウィング部4a上に設けられた支軸47を介して矢印c1方向及び矢印c2方向に回動可能に支持されている。
【0073】
図7は、ディスク駆動装置1の、第1及び第2の回動アーム35,36、カバープレート150等の一部の部品を取り外した状態を示す平面図である。第3の回動アーム46は、支軸47が挿通される挿通される図7に示す略L字状の軸孔46aと、図10に示す駆動レバー52の上面部に形成されたカム溝80に係合されるカムピン46bと、第3の回動アーム46の先端部に設けられた第3の当接部材48とを備えている。
【0074】
第3の回動アーム46は、図3及び図7に示すように、ウィング部4a上に配置された捻りコイルバネ79によって付勢されている。この捻りコイルバネ79は、その一端部がウィング部4aの掛止ピン79aに掛止され、その他端部が第3の回動アーム46の下面に設けられた掛止ピン79bに掛止されている。
【0075】
第3の回動アーム46は、駆動レバー52のスライド動作に連動して、カムピン46bが図5に示す駆動レバー52に形成されたカム溝80内をスライドすることによって回動操作される。また、第3の回動アーム46は、軸孔46a内における支軸47の位置によって、この第3の回動アーム46の回動中心を切り替えることが可能となっている。
【0076】
第3の当接部材48は、スロット19から挿入された大径ディスク2Aの外周部に当接されるように、第3の回動アーム46の先端部に上方に向かって突出して設けられている。第3の当接部材48は、第3の回動アーム46の天板部5aと対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラであり、ディスク2よりも柔らかい樹脂からなる。
【0077】
図8はディスク駆動装置1の更に一部の部品を取り外した状態を示す平面図、図9はディスク駆動装置1の駆動レバーと検出スイッチとの位置関係を示す平面図である。
【0078】
アーム機構135は、各回動アーム35,36,46,49等を協働させるための駆動レバー52を備えている。この駆動レバー52は、全体が略直方体状に形成された樹脂部材からなり、ボトムケース4の底面部において、このボトムケース4の一方の側面部とピックアップユニット22との間に配置されている。また、この駆動レバー52は、スロット19から筐体3の内部に挿入されるディスク2よりも下方に位置しており、その上面部がウィング部4aの底面部と略一致した高さにされている。
【0079】
図10(a)は、駆動レバー52を一方側から見た側面図であり、図10(b)は、駆動レバー52を上方側から見た平面図であり、図10(c)は、駆動レバー52を他方側から見た側面図であり、図10(d)は、駆動レバー52を下方側から見た平面図である。
【0080】
駆動レバー52は、図10(c)に示すように、ピックアップユニット22を昇降操作するため、ベースプレート27と対向する側面に形成された第1のカムスリット95を有しており、この第1のカムスリット95は、ベースプレート27をチャッキング解除位置に位置させるための第1の水平面部95aと、ベースプレート27をチャッキング位置に位置させるための頂上面部95bと、ベースプレート27を上記中間位置に位置させるための第2の水平面部95cとを有している。図10(d)に示すように、駆動レバー52の底面部には、ガイドスリット100が形成されている。
【0081】
駆動レバー52の前面側には、図12及び図13に示すように、この駆動レバー52に対して所定のストロークだけ前後方向にスライド可能とされたラック部材101が取り付けられている。そして、このラック部材101には、前後方向に亘ってラックギヤ101aが形成されている。一方、ボトムケース4の底面部には、図8に示すように、変位駆動機構を構成する駆動モータ102と、この駆動モータ102の回転軸に取り付けられたウォームギヤ103と、このウォームギヤ103からラックギヤ101aへと駆動モータ102の動力を伝達するギヤ列104とが配置されている。
【0082】
したがって、この変位駆動機構は、図12に示すように、駆動モータ102を一の方向に回動駆動することによって、ウォームギヤ103、ギヤ列104及びラックギヤ101a介してラック部材101が駆動レバー52の背面側に引き込まれた状態で、駆動レバー52をラック部材101と一体に背面側へと変位駆動する。一方、この変位駆動機構は、図13に示すように、駆動モータ102を他の方向に回動駆動することによって、ウォームギヤ103、ギヤ列104及びラックギヤ101a介してラック部材101が駆動レバー52の前面側に引き出された状態で、駆動レバー52をラック部材101と一体に前面側へと変位駆動する。
【0083】
第4の回動アーム49は、長尺状の板金からなり、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んだ左右の一方側(例えば図3中左側)の第2の回動アーム36の中間部において、イジェクト動作を補助するためにディスク2の記録面とほぼ平行な面内で矢印d1方向及び矢印d2方向に回動可能に支持されている。また、第4の回動アーム49の先端部には、スロット19から挿入されたディスク2の外周部の背面側に当接される第4の当接部材50が上方に向かって突出して設けられている。第4の当接部材50は、ディスク2よりも柔らかい樹脂からなり、第4の回動アーム49の天板部5aと対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラである。
【0084】
また、第2の回動アーム36には、この第4の回動アーム49が背面側、すなわち矢印d1方向に回動された際に、第4の回動アーム49の背面側への回動を規制する図示を省略した規制片が設けられている。規制片は、例えば、第2の回動アーム36の側縁がコ字状に折り曲げられて形成されている。
【0085】
第4の回動アーム49は、図3に示す連結機構81を介して図7に示す駆動レバー52のスライド動作に連動して回動操作される。
具体的に、この連結機構81は、第1の支軸37を介して回動可能に支持されたクランクアーム82aと、このクランクアーム82aと第4の回動アーム49との間を連接する連接アーム82bとからなるクランク機構を有している。また、連接アーム82bには、第2の回動アーム36に設けられたガイドピン83aを挿通させる長孔83bが形成されている。したがって、このクランク機構は、第4の回動アーム49の回動動作に連動して、クランクアーム82aを回動させることが可能となっている。
【0086】
また、この連結機構81は、図8に示すように、ボトムケース4の底面部に、上述したクランクアーム82aを介して回動される第1のギヤ84と、この第1のギヤ84と噛み合わされる第2のギヤ85と、この第2のギヤ85と噛み合わされる第3のギヤ86が形成された回動操作部材87とを有している。
【0087】
この回動操作部材87は、駆動レバー52のスライド動作に連動して、第4の回動アーム49を回動操作するためのものであり、駆動レバー52に対して前後方向にスライド可能とされたスライド部材92と係合される係合ピン88と、記録再生時に駆動レバー52の背面側の端部に当接されて駆動レバー52を位置決め固定する位置決めピン89とを有している。
【0088】
そして、この回動操作部材87は、引張りコイルバネ90によって回動方向の一方側(ここでは、図8中時計回りの方向)に付勢されている。この引張りコイルバネ90は、その一端部がボトムケース4の底面部に設けられた掛止ピン90aに掛止され、その他端部が回動操作部材87に設けられた掛止ピン90bに掛止されることによって、この回動操作部材87を回動方向の一方側に付勢している。なお、回動操作部材87には、掛止ピン90aを逃がすための略円弧状のスリット91が形成されている。
【0089】
駆動レバー52の背面側には、この駆動レバー52に対して前後方向にスライド可能とされたスライド部材92が取り付けられている。そして、このスライド部材92は、第1の及び第2の引張りコイルバネ93a,93bにより前面側へと付勢されており、背面側の端部に回動操作部材87の係合ピン88が係合されることによって、駆動レバー52のスライド動作に連動して、この回動操作部材87を回動操作する。
【0090】
第1及び第2の引張りコイルバネ93a,93bは、それぞれ前面側の端部が駆動レバー52に掛止され、背面側の端部がスライド部材92に掛止されることによって、スライド部材92を駆動レバー52に対して前面側へと付勢している。このうち、第1の引張りコイルバネ93aは、通常の駆動レバー52及びスライド部材92を一体で動作させるためのものであり、そのバネ力は、200〜300gf程度である。一方、第2の引張りコイルバネ93bは、ディスク2の正常な排出ができない場合に機構を保護するためのものであり、そのバネ力は、400〜600gf程度である。
【0091】
また、ボトムケース4の底面部には、図9に示すように、各部の駆動制御を行う駆動制御回路が構成された回路基板105が配置されている。この回路基板105は、ボトムケース4の背面側の底面部にネジ止めにより取り付けられている。また、このボトムケース4の底面部及び回路基板105上には、上記駆動制御回路を構成するICチップ等の電子部品(図示せず。)や、各部の電気的な接続を図るためのコネクタ106、各部の動作を検出するための検出スイッチSW1,SW2,SW3,SW4等が配置されている。
【0092】
そして、駆動制御回路は、これら検出スイッチSW1,SW2,SW3,SW4からの検出信号に基づいて、上述した変位駆動機構により駆動される駆動レバー52の位置を検出しながら、この変位駆動機構による駆動レバー52の駆動制御を行っている。
【0093】
このうち、検出スイッチSW1は、ボトムケース4の前面側の端部に配置されている。そして、この検出スイッチSW1は、駆動レバー52の前端部によってオン/オフが切り替わる。一方、検出スイッチSW2,SW3,SW4は、回路基板105の駆動レバー52と対向する端縁部に所定の間隔で前後に並んで配置されている。そして、これら検出スイッチSW2,SW3,SW4は、図10(b),(c)に示す駆動レバー52の側面部に設けられたカム部107によってオン/オフが切り替わる。
【0094】
規制機構120は、スロット19からディスク2が排出されるときに、アーム機構135の移動を途中で規制するために用いられている。規制機構120は、図3に示すように、押圧レバー76と、光ディスクの排出の途中で押圧レバー76に係合するストッパー110と、押圧レバー76を押圧可能な第2の捻じりコイルバネ77とを備えている。ストッパー110は、例えば第2の回動アーム36に設けられており、スロット19からディスク2が排出される途中で当接ピン76aに当接する部分がステップ状とされている。ストッパー110は、押圧レバー76が回動する方向で当接ピン76aと対面して当接する当接面を備えている。
【0095】
第2の捻じりコイルバネ77は、図7に示すように、その巻回部分がシャーシ11に軸支された状態で、その一端部が同じくシャーシ11に掛止され、その他端部が押圧レバー76の当接ピン76cに掛止されことによって、当接ピン76aがストッパー110に当接する方向に付勢している。当接ピン76は、図7に示す点Pを軸として回動可能に設けられている。ディスク2の排出の途中で、当接ピン76aがストッパー110に係合されたときに、アーム機構135がディスク2を押し出す力は、スロット19を介してディスク2に働く摩擦力より小さく設定されている。例えば第1の捻じりコイルバネ75は、スロット19からディスク2が引き抜かれると、押圧レバー76の当接ピン76aとストッパー110との係合が解除されるように第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36に回動力を付与している。
【0096】
したがって、規制機構120では、押圧レバー76が第2の回動アーム36を押圧することによって、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが互いに近接する方向に付勢された状態から、駆動レバー52の背面側へのスライド動作に連動して、押圧レバー76のカムピン76bが駆動レバー52のカム溝78内をスライドしながら、駆動レバー52が背面側の端部までスライドされたとき、第2の捻じりコイルバネ77の付勢に抗して回動されることによって、非付勢状態に切り替えることが可能である。
【0097】
アーム機構135では、これら第1の回動アーム35、第2の回動アーム36、第3の回動アーム46及び第4の回動アーム49等が互いに協働しながら、ディスク2をスロット19から筐体3の内部へと引き込むローディング動作と、ディスク2をディスク装着位置に位置決めするセンタリング動作と、ディスク2をスロット19から筐体3の外部へと排出するイジェクト動作とを行う。
【0098】
このディスク駆動装置1は、図3に示すように、駆動レバー52のスライドに連動して、ベースプレート27を昇降操作するベース昇降機構55を備えている。
【0099】
このベース昇降機構55は、ベースプレート27を上昇させて、ディスク装着位置に位置決めされたディスク2をディスク装着部23のターンテーブル23aに装着する図15に示すチャッキング位置と、ベースプレート27を下降させて、ディスク装着部23のターンテーブル23aからディスク2を離脱する図14に示すチャッキング解除位置と、ベースプレート27をチャッキング位置とチャッキング解除位置との間に位置させて、ディスク2に対する信号の記録又は再生を行う図16に示す中間位置との間でベースプレート27を昇降操作する。なお図14乃至図16においては、上記カバープレート150は図示を省略している。
【0100】
具体的に、駆動レバー52のベースプレート27と対向する側面には、図10に示すようにチャッキング位置、チャッキング解除位置及び中間位置に対応した第1のカムスリット95が長手方向に亘って形成されている。
【0101】
また、ボトムケース4の底面部には、図7に示すようにベースプレート27の背面側の側面に沿ってカムレバー56が配置されている。このカムレバー56は、図11に示すように、長尺状の平板部材からなり、駆動レバー52の前後方向のスライドに連動して、駆動レバー52のスライド方向と略直交する方向にスライド操作される。このカムレバー56の中間部には、ベースプレート27と対向する端縁部から上方に向かって折り曲げられたカム片57が設けられている。カム片57の水平面部57aには、図7に示すように直径が12cmの大径ディスク2Aに対応した第1のカム部74aと、この第1のカム部74aよりも前面側をスリット状に切り欠くことによって、小径ディスク2Bに対応した第2のカム部74bとが形成されている。このカム片57には、図11示すようにチャッキング位置、チャッキング解除位置及び中間位置に対応した第2のカムスリット96が長手方向に亘って形成されている。
【0102】
第2のカムスリット96は、ベースプレート27をチャッキング解除位置に位置させるための第1の水平面部96aと、ベースプレート27をチャッキング位置に位置させるための頂上面部96bと、ベースプレート27を中間位置に位置させるための第2の水平面部96cとを有している。
【0103】
ここで、カムレバー56は、その主面に形成された前後一対のガイドスリット97a,97bを有しており、これらガイドスリット97a,97bに、図8に示すボトムケース4の底面部から突出された一対の頭付ガイドピン98a,98bが係合されることによって、ベースプレート27の背面側の側面に沿って、駆動レバー52のスライド方向と略直交する、すなわち左右方向にスライド可能に支持されている。
【0104】
また、カムレバー56の駆動レバー52と交差する位置には、図8に示すガイドピン99が上方に向かって突出形成されている。カムレバー56は、図8に示すように、駆動レバー52の前後方向のスライドに連動して、ガイドピン99がガイドスリット100内をスライドすることによって、駆動レバー52のスライド方向と直交する方向にスライド操作される。
【0105】
連動機構41では、筐体3のスロット19から大径ディスク2Aが挿入された場合と小径ディスク2Bが挿入された場合との第1の回動アーム35と第2の回動アーム36との開き具合の違いによって、上記第2の支軸44の第1のカム部74aと第2のカム部74bとに対する係合状態が切り替わる。
【0106】
具体的には、大径ディスク2Aが挿入された場合には、第2の支軸44が第1のカム部74aに係合されて、上述したカムレバー56の左右方向のスライド動作に連動しながら、この第2の支軸44がガイドスリット45内をスライドすることになる。これにより、大径ディスク2Aの外径に対応して、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接又は離間する方向に回動操作することができる。
【0107】
一方、小径ディスク2Bが挿入された場合には、第2の支軸44が第2のカム部74bに係合されて、上述したカムレバー56の左右方向のスライド動作に連動しながら、この第2の支軸44がガイドスリット45内をスライドすることになる。これにより、小径ディスク2Bの外径に対応して、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接又は離間する方向に回動操作することができる。
【0108】
また、ボトムケース4の底面部には、図8に示すように折曲げ片58がベースプレート27の背面側の側面に沿って折り曲げ形成されている。この折曲げ片58には、ベースプレート27を昇降させるための鉛直スリット(図示せず。)が上下方向に亘って形成されている。
【0109】
ベースプレート27の第1の支軸59は、図4及び図5に示すように、駆動レバー52の図10に示す第1のカムスリット95に係合されて支持され、第2の支軸60はカム片57の第2のカムスリット96及び折曲げ片58の鉛直スリットに係合されて支持され、第3の支軸62はボトムケース4の他方側の側面に設けられた軸孔61に回動可能に支持され、固定支持部65はゴム等の粘弾性部材からなるインシュレータ63を介してボトムケース4の底面部にネジ64により固定支持されている。
【0110】
したがって、このベース昇降機構55では、駆動レバー52及びカムレバー56のスライドに連動して、第1の支軸59が駆動レバー52の第1のカムスリット95内をスライドすると共に、第2の支軸60がカムレバー56の第2のカムスリット96及び折曲げ片58の鉛直スリット内をスライドすることによって、ベースプレート27のディスク装着部23側が前面側に対して、チャッキング位置とチャッキング解除位置と中間位置との間で昇降操作される。
【0111】
また、ボトムケース4の底面部には、図3に示すように、このベース昇降機構55がベースプレート27を下降させたとき、ディスク装着部23のターンテーブル23a上に装着されたディスク2をターンテーブル23aから離脱させるための押上ピン66が設けられている。この押上ピン66は、ピックアップユニット22のディスク装着部23近傍、具体的にはディスク装着部23に最も近接したベースプレート27の背面側に位置して、ボトムケース4の底面部から上方に向かって突出して設けられている。
【0112】
次に、以上のように構成されるディスク駆動装置1の具体的な動作について説明する。まず、ディスク2の挿入時におけるアーム機構135等によるディスク搬送動作について説明する。
【0113】
このディスク駆動装置1では、図17に示すように、ディスク2が挿入される前の初期状態(HOME状態)において、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、それぞれの先端部が所定の広がり角で開いた状態である。すなわち、図3に示すように、初期状態(HOME状態)において、第1の前面側当接部材38の回転ローラ73aと第2の前面側当接部材40の回転ローラ73c間の最短距離L2が小径ディスク2Bの直径よりも小さくなっている。
【0114】
また、HOME状態では、第3の回動アーム46は、先端部が基端部よりも外側に位置しかつ先端部が基端部よりも前面側に位置し、第4の回動アーム49は先端部が基端部よりも内側に位置しかつ先端部が基端部よりも前面側に位置した状態でボトムケース4の前面側に位置している。
【0115】
このディスク駆動装置1では、筐体3のスロット19から外径の異なる大径ディスク2A,2Bが挿入された場合であっても、これら大径ディスク2A,2Bをディスク装着位置まで引き込むローディング動作を行うことが可能である。
【0116】
具体的には、筐体3のスロット19から大径ディスク2Aが挿入された場合には、先ず、図17に示すように、スロット19から筐体3の内部に挿入された大径ディスク2Aの外周部の背面側が第1の回動アーム35の第1の前面側当接部材38及び第2の回動アーム36の第2の前面側当接部材40に当接された状態となる。
【0117】
次に、この状態から更に、図18に示すように、大径ディスク2Aがスロット19から筐体3の内部に押し込まれると、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40との間で大径ディスク2Aの外周部を挟み込む。このとき、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが大径ディスク2Aの外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻じりコイルバネ71d、第2の捻じりコイルバネ77の付勢に抗して互いに離間する方向、すなわち図18に示す矢印a2,b2の方向に回動する。
【0118】
そして、図18に示した位置まで第3の回動アーム46が所定量だけ回動したとき、回路基板105に設けられた検出スイッチSW2等が押圧されることによって、変位駆動機構による駆動レバー52の背面側へのスライドが開始される。
【0119】
これにより、第3の回動アーム46は、図18に示す矢印c1の方向に更に回動する。また、第3の回動アーム46は、第3の当接部材48が大径ディスク2Aの外周部の前面側に当接された状態となることで、この大径ディスク2Aの外周部の前面側を押圧しながら、大径ディスク2Aを筐体3の内部へと引き込むことになる。
【0120】
そして、図19に示すように、大径ディスク2Aの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも背面側に位置するまで、大径ディスク2Aが筐体3の内部に引き込まれると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが大径ディスク2Aの外周部に沿って背面側から前面側へと回り込む。すると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが大径ディスク2Aの外周部の前面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻じりコイルバネ71d、第2の捻じりコイルバネ77に付勢されて互いに近接する方向、すなわち図10に示す矢印a1,b1の方向に回動される。
【0121】
また、第4の回動アーム49は、第4の当接部材50が大径ディスク2Aの外周部の背面側に当接された状態で押圧されることによって、図20に示す矢印d1の方向に回動される。そして、第4の回動アーム49は、大径ディスク2Aが図20に示すディスク装着位置で引き込まれた際に、第2の回動アーム36の図示を省略した規制片に当接され、その回動が規制された状態となる。
【0122】
これにより、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、大径ディスク2Aの外周部の前面側を押圧しながら、大径ディスク2Aを図20に示すディスク装着位置まで引き込むことになる。
【0123】
一方、筐体3のスロット19から小径ディスク2Bが挿入された場合には、先ず、図24に示すように、スロット19から筐体3の内部に挿入された小径ディスク2Bの外周部の背面側が第1の回動アーム35の第1の前面側当接部材38及び第2の回動アーム36の第2の前面側当接部材40に当接される状態となる。
【0124】
次に、この状態から更に、図25に示すように、小径ディスク2Bがスロット19から筐体3の内部に押し込まれると、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40との間で小径ディスク2Bの外周部を挟み込む。このとき、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが小径ディスク2Bの外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻じりコイルバネ71d、第2の捻じりコイルバネ77の付勢に抗して互いに離間する方向、すなわち図25に示す矢印a2,b2の方向に回動される。
【0125】
そして、図25に示した位置まで第4の回動アーム49が所定量だけ回動したとき、回路基板105に設けられた検出スイッチSW2等が押圧されることによって、変位駆動機構による駆動レバー52の背面側へのスライドが開始される。
【0126】
これにより、第3の回動アーム46は、図25に示す矢印c1の方向に回動する。また、第3の回動アーム46は、第3の当接部材48が小径ディスク2Bの外周部の前面側に当接された状態となることで、この小径ディスク2Bの外周部の前面側を押圧しながら、小径ディスク2Bをスロット19から筐体3の内部へと引き込むことになる。
【0127】
そして、図26に示すように、小径ディスク2Bの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも背面側にまで位置するまで、小径ディスク2Bが筐体3の内部に引き込まれると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが小径ディスク2Bの外周部に沿って背面側から前面側へと回り込む。すると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが小径ディスク2Bの外周部の前面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻じりコイルバネ71d、第2の捻じりコイルバネ77に付勢されて互いに近接する方向、すなわち図27に示す矢印a1,b1の方向に回動される。
【0128】
また、第4の回動アーム49は、第4の当接部材50が小径ディスク2Bの外周部の背面側に当接された状態で押圧されることによって、図27に示す矢印d1の方向に回動される。そして、第4の回動アーム49は、小径ディスク2Bが図26に示すディスク装着位置で引き込まれた際に、第2の回動アーム36の図示を省略した規制片に当接され、その回動が規制された状態となる。
【0129】
これにより、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、小径ディスク2Bの外周部の前面側を押圧しながら、小径ディスク2Bを図28に示すディスク装着位置(チャッキング位置)まで引き込むことになる。
【0130】
次に、ディスク2のセンタリング及びチャッキング動作について説明する。このディスク駆動装置1では、図20及び図28に示すように、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が、これら外径の異なる大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bをディスク装着位置まで引き込んだ際に、第1の前面側当接部材38、第1の背面側当接部材39、第2の前面側当接部材40、第4の当接部材50の内側に大径ディスク2A,2Bを挟み込むことによって、大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bをディスク装着位置に位置決めするセンタリング動作を行う。すなわち、大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bの中心孔2aと、ターンテーブル23aの係合突部28aとを大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bの記録面と直交する方向において一致させる。
【0131】
次に、このディスク駆動装置1では、大径ディスク2A、小径ディスク2Bのセンタリング動作の後に、ベース昇降機構55がベースプレート27を上昇させることによって、ディスク装着位置に位置決めされた大径ディスク2A、小径ディスク2Bをディスク装着部23のターンテーブル23aに装着するチャッキング動作を行う。
【0132】
具体的には、図14に示すチャッキング解除位置からベース昇降機構55によりベースプレート27が図15に示すチャッキング位置まで上昇すると、ディスク装着位置に位置決めされた大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bの中心孔2aに係合突部28aが入り込みながら、天板部5aの当接突部7に大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bの中心孔2aの周囲が押し付けられることによって、係合突部28aが大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bの中心孔2aに係合されると共に、複数の係止爪28bが大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bの中心孔2aの周囲を係止した状態で、大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bがターンテーブル23a上に保持される。そして、大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bがターンテーブル23a上に保持された状態で、ベース昇降機構55によりベースプレート27が図16に示す中間位置まで下降する。
【0133】
また、ディスク駆動装置1では、チャッキング動作の後に、図21及び図29に示すように、駆動レバー52の背面側へのスライドに連動して、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が互いに離間する方向、すなわち図21及び図29に示す矢印a2,b2の方向に僅かに回動される。このとき、第4の回動アーム49は、図示を省略した規制片に当接されたまま、第2の回動アーム36と一体に回動されることになる。また、第3の回動アーム46は、駆動レバー52の背面側へのスライドに連動して、図21及び図29に示す矢印c2の方向に僅かに回動される。
【0134】
これにより、ターンテーブル23aに保持された大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bの外周部からは、第1の前面側当接部材38、第1の背面側当接部材39、第2の前面側当接部材40、第3の当接部材48、第4の当接部材50が離間した状態となる。
【0135】
このディスク駆動装置1では、図21、図29に示す状態から、駆動制御回路から記録又は再生の指令が送られると、この指令に基づいて、大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bに対して信号の記録又は再生が行われる。具体的には、スピンドルモータ24aが大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bをターンテーブル23aと一体に回転駆動すると共に、ピックアップ送り機構26によってピックアップ機構25が外周側から内周側へ移動し、フォーカスサーボ制御とトラッキングサーボ制御がかかると、この大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bのリードイン領域に記録されているTOCデータの読み出しを行う。この後、信号を記録する場合にあっては、読み出したTOCデータに基づいて、大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bのプログラム領域内の所定のアドレスに、ピックアップ機構25が移動する。また、信号の再生時にあっては、指定されたデータが記録されたプログラム領域内のアドレスに、ピックアップ機構25が移動する。そして、このピックアップ機構25が大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bの所望の記録トラックに対して信号の書き込み又は読み出し動作を行う。
【0136】
次に、ディスク2の排出時におけるチャッキング解除動作及び搬送動作について説明する。このディスク駆動装置1では、表示部20に設けられたイジェクトボタン21が押圧される、或いはパーソナルコンピュータからディスク駆動装置1に対してイジェクトの指令が送られると、この指令に基づいて、先ず、変位駆動機構による駆動レバー52の前面側へのスライドが開始される。
【0137】
そして、図20及び図28に示すように、この駆動レバー52の前面側へのスライドに連動して、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が互いに近接する方向、すなわち図20及び図28に示す矢印a1,b1の方向に僅かに回動される。このとき、第4の回動アーム49は、規制片に当接されたまま、第2の回動アーム36と一体に回動されることになる。
【0138】
これにより、ターンテーブル23aに保持された大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bの外周部に、第1の前面側当接部材38、第1の背面側当接部材39、第2の前面側当接部材40、第4の当接部材50が当接された状態となる。
【0139】
次に、このディスク駆動装置1では、ベース昇降機構55がベースプレート27をチャッキング解除位置まで下降させることによって、ディスク装着部23のターンテーブル23aから大径ディスク2Aを離脱するチャッキング解除動作を行う。
【0140】
具体的には、ベースプレート27がチャッキング解除位置まで下降すると、押上ピン66の先端部がターンテーブル23aに装着された大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bの内周側の非信号記録領域に当接することによって、大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bを押し上げながら、大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bをターンテーブル23a上から離脱する。
【0141】
次に、このディスク駆動装置1では、ディスク装着部23にある大径ディスク2A,又は小径ディスク2Bをスロット19から筐体3の外部へと排出するイジェクト動作を行う。
【0142】
具体的には、筐体3のスロット19から大径ディスク2Aを排出する場合には、先ず、図22に示すように、駆動レバー52の前面側へのスライドに連動して、第4の回動アーム49が図22に示す矢印d2の方向に回動される。また、第4の回動アーム49は、第4の当接部材50が大径ディスク2Aの外周部の背面側に当接された状態となることで、この大径ディスク2Aの外周部の背面側を押圧しながら、大径ディスク2Aを筐体3の外部へと押し出すことになる。
【0143】
そして、図23に示すように、大径ディスク2Aの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも前面側に位置するまで、大径ディスク2Aが筐体3の外部へと排出されると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが大径ディスク2Aの外周部に沿って前面側から背面側へと回り込む。すると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが大径ディスク2Aの外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻じりコイルバネ71d、第2の捻じりコイルバネ77に付勢されて互いに近接する方向、すなわち図23に示す矢印a1,b1の方向に回動される。
【0144】
大径ディスク2Aの排出の途中において、第1の回動アーム35、第2の回動アーム36が閉じるときに、押圧レバー76の当接ピン76aは図22に示す位置から矢印e1方向に移動し、図23に示すようにストッパー110のステップ状の部分に係合する。これにより、当接ピン76aがストッパー110を押圧する力を伝達できなくなり、第1の回動アーム35、第2の回動アーム36が閉じようとするトルクは、ストッパー110が設けられてない場合に比べて大きく減少する。
【0145】
大径ディスク2Aと、カーテン32と間の摩擦力よりも、第1の回動アーム35、第2の回動アーム36が大径ディスク2Aを押し出そうとする力の方が十分小さく設定されている。このため、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、大径ディスク2Aの外周部の背面側を押圧しながら、大径ディスク2Aをディスク挿入排出位置、すなわち大径ディスク2Aの中心孔2aがスロット19から筐体3の外部に露出する位置まで押し出すことになる。
【0146】
使用者が、大径ディスク2Aをスロット19から取り出すと、第1の回動アーム35、第2の回動アーム36の回動を規制する力がなくなり、捻じりコイルバネ71d、第2の捻じりコイルバネ77の力によって第1の回動アーム35、第2の回動アーム36は閉じ、HOME位置に移動し、一連の動作が終了する。
【0147】
一方、筐体3のスロット19から小径ディスク2Bを排出する場合には、先ず、図30に示すように、駆動レバー52の前面側へのスライドに連動して、第4の回動アーム49が図28に示す矢印d2の方向に回動される。また、第4の回動アーム49は、第4の当接部材50が小径ディスク2Bの外周部の背面側に当接された状態となることで、この小径ディスク2Bの外周部の背面側を押圧しながら、小径ディスク2Bを筐体3の外部へと押し出すことになる。
【0148】
そして、図25に示すように、小径ディスク2Bの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも前面側に位置するまで、小径ディスク2Bが筐体3の外部へと排出されると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが小径ディスク2Bの外周部に沿って前面側から背面側へと回り込む。すると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが小径ディスク2Bの外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻じりコイルバネ71d、第2の捻じりコイルバネ77に付勢されて互いに近接する方向、すなわち図25に示す矢印a1,b1の方向に回動される。
【0149】
そして、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、小径ディスク2Bの外周部の背面側を押圧しながら、小径ディスク2Bをディスク挿入排出位置まで押し出すことになる。小径ディスク2Bのディスク挿入排出位置は、大径ディスク2Aの場合と同様に、小径ディスク2Bの中心孔2aがスロット19から排出された位置に設定することができる。
【0150】
なお、大径ディスク2A、又は小径ディスク2Bに摩擦負荷を与えるためカーテン32を転用したが、専用の摩擦部材を例えばスロット19に近接して設けるようにしてもよい。
【0151】
以上のように、本実施の形態に係るディスク駆動装置1は、ディスク搬送機構34がアーム機構135の移動を途中で規制する規制機構120を備えているので、例えばスロット19からの大径ディスク2Aの排出時にアーム機構135の移動を途中で規制しアーム機構135が大径ディスク2Aを押し出す力を調整(低減)でき、大径ディスク2Aがスロット19から排出される量を調整することができる。従って、大径ディスク2Aがスロット19から排出される量を、例えば大径ディスク2Aの半径の長さ程度にすることで、大径ディスク2Aをスロット19から容易に取り出すことができるようにすることができると共に、スロット19から大径ディスク2Aが脱落することを防止することができる。特に、大径ディスク2A,及び小径ディスク2Bの中心孔2aがスロット19から完全に排出された位置で、排出が終了するように調整することで、使用者が大径ディスク2A,及び小径ディスク2Bをスロット19から取り出し易くなるようにすることができる。
【0152】
また、アーム機構135は、大径ディスク2Aの周縁部の両側を挟むように回動可能に設けられた第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36と、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36を互いに近接するように押圧する押圧レバー76とを備え、規制機構120は、大径ディスク2Aの排出の途中で押圧レバー76に係合するストッパー110を備えているので、大径ディスク2Aの排出の途中で押圧レバー76がストッパー110に係合したときに、押圧レバー76により押圧される第2の回動アーム36が大径ディスク2Aを押し出す力を減少させ、大径ディスク2Aがスロット19から排出される量を調整することができる。
【0153】
更に、アーム機構135の移動が規制機構120により規制されたときにアーム機構135が大径ディスク2Aを押し出す力は、スロット19(のカーテン32)と大径ディスク2Aとの摩擦力より小さいので、アーム機構135の移動が規制機構120により規制されたときに、スロット19(のカーテン32)と大径ディスク2Aとの摩擦力により、排出中の大径ディスク2Aをスロット19内に保持することができる。
【0154】
また、押圧レバー76は、スロット19から大径ディスク2Aが引き抜かれるとストッパー110との係合が解除されるように第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36を押圧しているので、スロット19から大径ディスク2Aが引き抜かれると、例えばスロット19(のカーテン32)と大径ディスク2Aとの摩擦力がなくなり、押圧レバー76とストッパー110との係合が解除される。したがって、係合を解除するための機構を設けることなく第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36を例えばHOME状態に戻すことができる。
【0155】
次に、ディスク2が挿入される際のスロット19付近でのディスクの様子について説明する。図31及び図32は、ディスク2がスロット19から挿入される際のスロット19近辺の様子を従来のディスク駆動装置と比較して側面方向から示した断面図である。図31(a)及び図32(a)は、本実施形態におけるディスク挿入時のディスク駆動装置1の側面の概略断面図であり、図31(b)及び図32(b)は、従来のディスク駆動装置1のディスク2挿入時の側面の概略断面図である。
【0156】
図31(b)及び図32(b)に示すように、従来のディスク駆動装置においては、ピックアップユニット22上に上記シート部材151は貼付されているものの、本実施形態のように突出面150aを設けていないため、ディスク2が斜めに挿入された場合に、ディスク2がピックアップ機構25の対物レンズ25aやその他の内部部品に衝突し、ディスク2や対物レンズ25aを傷つけてしまい、信号の記録や再生に支障をきたすおそれがあった。
【0157】
しかし、本実施形態においては、図31(a)及び図32(a)に示すように、ディスク2はスロット19から斜めに挿入されても、上記突出面150aにガイドされて上記ピックアップ機構25の上方を通り、上記回動アーム35のフランジ138方向へ導かれる。すなわち、当該突出面 を設けたことで、ディスクが傾いて挿入されてもピックアップ機構25の上記対物レンズ25aにディスクが接触しない構造となっている。従って、ディスクやレンズに対する傷や損傷を防ぐことができる。また、突出面150aにシート部材151を貼付したことで、ディスク挿入時に突出面150aにディスク2が接触しても当該ディスク2に傷が付くのを防ぐことができる。
【0158】
次に、ディスク2が排出される際のスロット19付近でのディスクの様子について説明する。図33は、本実施形態においてディスク2が排出される際の上記突出面150a付近の様子を側面側から概略的に示した断面図であり、図34は、ディスク2の排出動作に不利となるシート部材151の貼り付け例を側面側から示した断面図である。
【0159】
図34(a)及び(b)に示すように、シート部材151の端面151aが突出面150aから斜面150bにかけてむき出しになっている場合には、ディスク2の排出時にディスク2の外周のエッジ部分が当該端面151aに衝突し、ディスク2が当該端面151aに引っかかってそれ以上排出動作ができなくなってしまうおそれがある。
【0160】
しかし、本実施形態においては、図33に示すように、上記チャッキングを解除されたディスク2は、第1及び第2の回動アーム35,36等の排出動作により突出面150aへ近づくと、上記斜面150bに設けられた凸部152にまず接触し、当該凸部152にガイドされてシート部材151の端面151aに接触することなく斜面150bを乗り越えて、シート部材151の表面上を通過する。すなわち、上記凸部152を設けたことで、ディスク2が上記シート部材151の端面151aに引っかかることなくスムーズにシート部材151の表面に乗り移り、スロット19を介して排出される。これにより信頼性の高いディスク排出動作を行なうことができる。
【0161】
なお、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0162】
上述の実施形態においては、上記カバープレート表面150fから斜面150bにかけて凸部152をカバープレート150とは別部材として複数個設けたが、例えば図35に示すように、凸部152を斜面150bにそってカバープレート150からN字(Z字)状に一体的に形成して、凸部152と斜面150bとの間の窪み部分にシート部材151の端面151aが収まるようにしてもよい。この構成によってもディスク2の引っかかりを十分に防止してディスク2をシート部材151の表面上へガイドすることができる。
【0163】
また、図36に示すように、カバープレート150にスリット150iを設けて、当該スリット150iを介してシート部材151をベースプレート150の裏側へ折り曲げて巻き込むように貼り付けても構わない。これによりシート部材151の端面151aが露出しないため、凸部152のガイド効果とあいまってディスク2の引っかかりを更に確実に防止することができる。
【0164】
上述の実施形態においては、突出面150aにシート部材151を貼付していたが、当該シート部材151を添付する代わりに、突出面150a全体を、例えばウレタン等の、ディスク2の記録面を傷つけにくい樹脂でコーティングするようにしても構わない。また突出面150aだけでなくカバープレート150全体をコーティングしても構わない。
【0165】
上述の実施形態においては、ディスクの搬送機構として回動アームを用いていたが、例えば一対のガイドローラ等、他の構成によってディスクを搬送しても構わない。
【0166】
また上記実施形態におけるディスク駆動装置1は例えばPCやAV機器、車載機器に内蔵されるものであってもよいし、スタンドアローンで存在していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の一実施形態におけるディスク駆動装置の斜視図である。
【図2】ディスク駆動装置のトップカバーを内面側から見た斜視図である。
【図3】ディスク駆動装置の内部構造を示す平面図である。
【図4】ディスク駆動装置のピックアップユニット22の斜視図である。
【図5】ピックアップユニット22からカバープレート150を取り外した様子を示す斜視図である。
【図6】カバープレート150の分解斜視図である。
【図7】ディスク駆動装置の一部の部品を取り外した状態を示す平面図である。
【図8】ディスク駆動装置の更に一部の部品を取り外した状態を示す平面図である。
【図9】ディスク駆動装置の駆動レバーと検出スイッチとの位置関係を示す平面図である。
【図10】(a)は、駆動レバーを一方側から見た側面図であり、(b)は、駆動レバーを上方側から見た平面図であり、(c)は、駆動レバーを他方側から見た側面図であり、(d)は、駆動レバーを下方側から見た平面図である。
【図11】(a)は、カムレバーの構成を示す平面図であり、(b)は、カムレバーの構成を示す側面図である。
【図12】(a)は、ローディング動作時の駆動レバーを下方側から見た平面図であり、(b)は、駆動レバーを上方側から見た平面図である。
【図13】(a)は、イジェクト動作時の駆動レバーを下方側から見た平面図であり、(b)は、駆動レバーを上方側から見た平面図である。
【図14】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、ピックアップユニットがチャッキング解除位置にある状態を示す側面図である。
【図15】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、ピックアップユニットがチャッキング位置にある状態を示す側面図である。
【図16】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、ピックアップユニットが中間位置にある状態を示す側面図である。
【図17】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、大径ディスクの挿入開始状態を示す平面図である。
【図18】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、大径ディスクの引き込み開始状態を示す平面図である。
【図19】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、大径ディスクの引き込み途中の状態を示す平面図である。
【図20】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、大径ディスクのセンタリングの状態を示す平面図である。
【図21】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、大径ディスクのチャッキングの完了(記録再生)の状態を示す平面図である。
【図22】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、大径ディスクのイジェクト途中の状態を示す平面図である。
【図23】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、大径ディスクのイジェクト途中でストッパーに当接ピンが係合した状態を示す平面図である。
【図24】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、小径ディスクの挿入開始状態を示す平面図である。
【図25】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、小径ディスクの引き込み検出スイッチの押圧時の状態を示す平面図である。
【図26】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、小径ディスクの引き込み開始状態を示す平面図である。
【図27】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、小径ディスクの引き込み途中の状態を示す平面図である。
【図28】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、小径ディスクのセンタリングの状態、及びイジェクト開始の状態を示す平面図である。
【図29】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、小径ディスクのチャッキングの完了(記録再生)の状態を示す平面図である。
【図30】ディスク駆動装置の動作を説明するための図であり、小径ディスクのイジェクト途中の状態を示す平面図である。
【図31】ディスク2が挿入される際のスロット19近辺の様子を従来のディスク駆動装置と比較して側面方向から示した断面図である。
【図32】図31の一部拡大図である。
【図33】ディスク2の排出時の上記突出面150a付近の様子を側面側から概略的に示した断面図である。
【図34】ディスク2の排出動作に不利となるシート部材151の貼り付け例を側面側から示した断面図である。
【図35】本発明の他の実施形態における凸部152の例を示した図である。
【図36】本発明の更に別の実施形態における凸部152の例を示した図である。
【符号の説明】
【0168】
1…ディスク駆動装置
2…ディスク
2A…大径ディスク
2B…小径ディスク
3…筐体
4…ボトムケース
5…トップカバー
5c…絞り部
19…スロット
22…ピックアップユニット
23…ディスク装着部
24…ディスク回転駆動機構
25a…対物レンズ
25b…アクチュエータカバー
25…ピックアップ機構
26…ピックアップ送り機構
27…ベースプレート
28…チャッキング機構
29…ピックアップベース
135…アーム機構
138.140…フランジ
150…カバープレート
150a…突出面
150b…斜面
150d、150e…絞り部
150i…スリット
151…シート部材
151a…端面
152…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の記録媒体が挿入及び排出されるスロットを前面に有する筐体と、
前記スロットから前記筐体内に挿入された前記記録媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記記録媒体を回転駆動する回転駆動機構と、前記回転駆動機構により回転駆動された前記記録媒体に記録された信号を再生可能なピックアップ機構と、前記ピックアップ機構を前記記録媒体の径方向へ移動させるピックアップ移動機構と、前記ピックアップ移動機構により前記ピックアップ機構が前記スロット側へ移動されたときに当該ピックアップ機構の一部を覆い、かつ、前記記録媒体を前記装着部側へガイドすることが可能な突出面を前記スロット側に有し、前記装着部、前記回転駆動機構、前記ピックアップ機構及び前記ピックアップ移動機構が一体的に搭載されたベースプレートとを有するピックアップユニットと、
前記筐体内の前記ピックアップユニット上方に設けられ、前記スロット側と前記装着部側との間で前記記録媒体を搬送する搬送機構と
を具備することを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディクス駆動装置であって、
前記突出面は、前記ベースプレート上に一体的に形成されることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載のディスク駆動装置であって、
前記ピックアップユニットは、前記突出面を覆うように貼付された繊維製又は皮革製のシート部材を有することを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載のディスク駆動装置であって、
前記ベースプレートは、前記記録媒体の排出時に当該記録媒体を前記シート部材の表面へ導く凸部を有することを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載のディスク駆動装置であって、
前記シート部材は前記記録媒体の挿入方向へ向く端面を有し、
前記凸部は前記端面を覆うように設けられる
ことを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項6】
請求項4に記載のディスク駆動装置であって、
前記ベースプレートは前記凸部よりも前記スロット側にスリットを有し、
前記シート部材は前記スリットを介して前記ベースプレートの裏側へ折り曲げられている
ことを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項7】
請求項1に記載のディスク駆動装置であって、
前記突出面は絞り部を有することを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項8】
請求項1に記載のディスク駆動装置であって、
前記突出面は樹脂によりコーティングされていることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項9】
請求項1に記載のディスク駆動装置であって、
前記記録媒体として、第1の直径でなる第1のディスク及び前記第1の直径とは異なる第2の直径を有する第2のディスクに対応可能であることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項10】
ディスク状の記録媒体が挿入及び排出されるスロットを前面に有する筐体と、
前記スロットから前記筐体内に挿入された前記記録媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された前記記録媒体を回転駆動する回転駆動機構と、前記回転駆動機構により回転駆動された前記記録媒体に記録された信号を再生可能なピックアップ機構と、前記ピックアップ機構を前記記録媒体の径方向へ移動させるピックアップ移動機構と、前記ピックアップ移動機構により前記ピックアップ機構が前記スロット側へ移動されたときに当該ピックアップ機構の一部を覆い、かつ、前記記録媒体を前記装着部側へガイドすることが可能な突出面を前記スロット側に有し、前記装着部、前記回転駆動機構、前記ピックアップ機構及び前記ピックアップ移動機構が一体的に搭載されたベースプレートとを有するピックアップユニットと、
前記筐体内の前記ピックアップユニット上方に設けられ、前記スロット側と前記装着部側との間で前記記録媒体を搬送する搬送機構と
を有するディスク駆動装置と、
前記ディスク駆動装置の駆動を制御する制御部と
を具備することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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