説明

ディスク駆動装置

【課題】
特にスリムドライブのような薄型の駆動装置において、既存の部品を応用することで振動を低減できるディスク駆動装置を提供することにある。
【解決手段】
ユニットメカ1は、スピンドルモータ4と、ユニットメカシャシ2を備える。ユニットメカシャシ2は、ディスクの情報を再生あるいはディスクに情報を記録する光学ヘッド5を備えている。ユニットメカ1は、複数の防振脚10で装置筐体部に弾性支持されている。スピンドルモータ回路基板4は、ユニットメカシャシ2に固定される固定部4Aと、固定部4Aに接続されるとともに可動な可動部4Bで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD,DVD装置などの可換媒体型ディスク駆動装置に係り、特に、薄型の装置に用いる好適なディスク回転に起因する振動の低減可能なディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可換媒体となるディスクを装着し、ディスクの情報を再生、あるいは新たな情報を記録するディスク駆動装置において、ディスクの回転に起因する振動の低減構造としては、例えば、特開2001−355670号公報に記載されているように、ユニットメカシャシの下部に弾性部材を介したバランス板を吊設した動吸振器を備えたものが知られている。
【0003】
また、例えば、特開平9−44950号公報に開示されているように、ディスクを保持するクランパー上部に弾性部材で支持した押さえ板を備え、押さえ板をクランパー部に当接する構造として弾性部材で振動を吸収するものが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−355670号
【特許文献2】特開平9−44950号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2001−355670号公報では、弾性部材とバランス板からなる動吸振器構造を新に設けているため、ユニットメカ部の重量が重くなり、装置の落下試験などによる衝撃加速度が加わると、ユニットメカ部と他の部品との接触の問題が生じる恐れがある。接触状態によっては部品破損を生じさせる。さらに、装置仕様により総重量が規定されているため、付加質量となる新規部品を備えることは困難である。
【0006】
また、特開平9−44950号公報では、ディスクを保持するクランパー部に押さえ板が直接接触しているため、押さえ板を支持している弾性部材の剛性(押し付け力)がクランパーからディスクを介してスピンドルモータのシャフトにスラスト力として作用する。このため、スピンドルモータの回転負荷抵抗が増し、安定な回転制御が難しくなることや、モータの消費電力の増加するという問題が生じる。
【0007】
最近では、ノートPCなどに組み込まれている装置厚12.7mmのディスク駆動装置(以下、「スリムドライブ」と称する)が実用化されている。これらの駆動されるディスクも、CD−ROMやCD/Rだけでなく、DVD−ROMやDVD−Rと多岐に亘っている。このようなスリムドライブにおいて、DVD−Rの記録速度は、現時点では、4倍速が最速である。しかしながら、最近ではさらに高速の記録速度(例えば、8倍速)が求められているが、ディスクの回転速度が高速化するほど、ディスクの振動による書き込みエラーが増加するため、特に、スリムドライブにおいて、振動の低減が求められつつある。しかしながら、一方では、スリムドライブでは、その薄さが故に、新規の振動対策部品を追加するスペースがなく、適切な振動低減策を取り得ないのが現状である。
【0008】
本発明の目的は、特にスリムドライブのような薄型の駆動装置において、既存の部品を応用することで振動を低減できるディスク駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体となるディスクを回転させるスピンドルモータと、前記ディスクの情報を再生あるいはディスクに情報を記録する光学ヘッドを備えたユニットメカシャシとからなるユニットメカを、複数の防振脚で装置筐体部に弾性支持したディスク駆動装置において、前記スピンドルモータの回路部品を備えたスピンドルモータ回路基板を、前記ユニットメカシャシに固定される固定部と、この固定部に接続されるとともに可動な可動部で構成したものである。
かかる構成により、特にスリムドライブのような薄型の駆動装置において、既存の部品を応用することで振動を低減できるものとなる。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記可動部の一次の固有振動数(f2)を、「f(Hz)=ディスクの周速×ディスクの再生・記録速度(CDではn倍速,DVDでは、n×約1/3倍速)/データ最外円周の長さ」の式で求められる振動数(f)より、数Hzから20Hz程度大きな固有振動数としたものである。
【0011】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記スピンドルモータ回路基板のは、前記スピンドルモータを搭載したユニットメカシャシ部への固定部と可動部とを、弾性部材で結合したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既存の部品を応用することで、スリムドライブのような薄型の駆動装置における振動を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1〜図6を用いて、本発明の一実施形態によるディスク駆動装置の構成について説明する。なお、以下の説明では、CDやDVD装置等のディスク駆動装置を例にとって説明するが、他のディスク駆動装置にも適用できるものである。
最初に、図1を用いて、本実施形態によるディスク駆動装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるディスク駆動装置の全体構成を示す分解斜視図である。図1は、ノートパソコンなどに組み込まれているスリムドライブ(装置厚12.7mm)のCD/DVD装置を示している。
【0014】
本実施形態のディスク駆動装置は、直径120mm、板厚1.2mmの円板形状の情報記録、再生媒体を用いる装置であり、図1に示すように薄い箱型形状をしている。装置の幅,奥行き寸法は、約130mm程度、装置厚は12.7mmである。
【0015】
装置筐体は、アルミニウム等の薄板をプレス加工したボトムカバー12と、トップカバー11により構成されている。装置内部には、ディスク20を搬入・搬出するためのディスクトレー13がボトムカバー12の両側面に備えたガイド機構により支持されている。ディスクトレー13には、ディスク20搭載時の位置決め用として、ディスク外径よりも僅かに大きな円溝が設けられている。また、ディスクトレー13には、装置のフロントパネル14となる樹脂性の板が取付けられている。ディスク駆動装置の実際の動作時には、ディスクトレー13は、フロントパネル14に備えたディスクトレー搬出入操作ボタンによりディスク20の搬入・搬出を行う。ディスクトレー13の下部には、ディスク20を回転させるためのスピンドルモータ3と、ディスク20の情報を再生したり、新たな情報を記録する光学ヘッド5と、ユニットカバー15を備えたユニットメカ1が複数の防振脚10により弾性支持されている。ボトムカバー12の後部にはディスク駆動装置のメイン回路基板16が備えられている。メイン回路基板16は、ユニットメカ1部のスピンドルモータ回路基板部4よりフレキシブル・プリント・サーキット(FPC)17により結合されている。
【0016】
次に、ディスク駆動装置の動作について説明する。フロントパネル14に設けたディスク搬出入操作ボタンを操作すると、ディスクトレー13を搬出される。ディスクトレー13上にディスク20を載置後、装置内に搬入してディスク20をスピンドルモータ3に装着する。次に、ディスク20の有無状態を光学ヘッド5が確認し、ディスク20が挿入されているとスピンドルモータ3が定常回転数で駆動する。この後にユーザの要求に応じてディスク20の情報を再生したり、新たな情報を記録する動作を行う。
【0017】
ディスク駆動装置は、ディスク20の情報を再生したり、新たな情報を記録するため、安定に動作することが要求されている。一方、媒体となるディスク20はプレス成形で製作されており、板厚や、外形寸法など規格化されているが、ディスク固体のばらつきとして偏重心や、面のそりなどが存在する。これにより、ディスク20を高速回転させると、ディスク20の回転に起因する振動が生じる。このような振動により、ディスク20と光学ヘッド5間の相対的な挙動が生じ、安定な再生や記録が困難となる。また、ディスク20の回転振動が、ユニットメカ1から防振脚10を介してディスクトレー13や装置筐体に伝達し、ディスク駆動装置自体の性能劣化を引き起こす。一般的には、防振脚10の性能によりユニットメカ1部の振動とディスクトレー13や装置筐体部の振動比率を制御することで、記録再生性能を維持し、装置筐体部の振動値を装置仕様以下になるよう設定していたが、ディスク20の高速化に伴い、両者の性能を満たすことが困難になってきている。
【0018】
次に、図2を用いて、本実施形態によるディスク駆動装置の主幹部品であるユニットメカ1の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態によるディスク駆動装置に用いるユニットメカ1の構成を示す斜視図である。
【0019】
図2は、ユニットメカ1の外観を示しているが、ユニットメカ1に組み込まれた各部品を詳細に説明するため、ユニットメカ1の上面を覆っているユニットカバー15は外した状態を示している。
【0020】
スピンドルモータ3(スピンドルモータ回路基板4を含む)は、ステンレス鋼材等でできたユニットメカシャシ部2に、ねじにより締結固定されている。スピンドルモータ3の上部に、ディスクが支持される。光学ヘッド5は、主軸ガイドバー6と、副軸ガイドバー7に支持されている。光学ヘッド5は、モータ8とギアによる可動手段により、ディスクの半径方向に移動可能である。ユニットメカシャシ部2には、3箇所の防振脚取付け部9が設けられている。ユニットメカ1は、図1に示したように、取付け部9に取り付けられた防振脚10を介して、ディスクトレー13(あるいは、筐体部)に弾性支持されている。
【0021】
ディスクの回転に伴う振動を低減するためには、ディスクと一体となるユニットメカ1の質量を大きくすることが必要であるが、一方では、ディスク駆動装置の軽量化が要求されているため、新たな構造部品などの付加質量の増加は困難ある。また、防振脚特性によるユニットメカ振動(内部振動)と、装置筐体部振動(外部振動)の適正化も困難となるため、ディスク回転振動自体を低減させるか、発生する振動エネルギーを吸収することが必要である。
【0022】
低振動を図る構造として実機に搭載するためには、スリムドライブのような薄型のドライブの場合、限られた空間に設置しなければならないが、ユニットメカ1の上面とディスクの隙間は、0.3mm〜0.5mm程度しかない。また、ユニットメカ1の下面とボトムカバー12の隙間も0.3mm程度しかなく、新たな部品の搭載は困難であり、既存部品の設置空間を兼用する,すなわち、既存部品の利用が必要である。
【0023】
そこで、本実施形態では、ユニットメカ構成部品となるスピンドルモータ3に、ディスク20の回転振動を吸収する動吸振器の機能を備えるようにしている。
【0024】
次に、図3を用いて、本実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振器の動作原理について説明する。
図3は、本発明の一実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振器の動作原理を説明するモデル図である。
【0025】
筐体内部に、質量体(M1)が弾性部材(剛性K1)で支持されている。ここで、質量体(M1)はユニットメカ1を、弾性部材(K1)は防振脚10を想定している。また、質量体(M1)1には、ディスク20を想定した回転体が備えられている。さらに、質量体(M1)1には、動吸振器構造21を構成する他の質量体(M2)22と、質量体(M2)22を支持する弾性部材(K2)23を備えた。回転体が回転すると、そのアンバランス(以下、「偏重心量」と称す)m・εにより、以下の式(1)に示すように、回転周波数(f=ω/2π)の二乗の遠心力(F)が生じる。

F=m・ε・ω …(1)

この遠心力(F)により、質量体(M1)1には、回転の1次の振れ回り振動が生じる。ここで、質量体(M1)1と弾性部材(K1)10による固有振動数を(f1)とする。また、動吸振器構造21を構成する質量体(M2)22と弾性部材(K2)23による固有振動数を(f2)とする。動吸振器では、f1<f2の場合に、周波数f1からf2の帯域で振動を低減することが可能である。すなわち、ディスク20の回転一次振動を低減する場合には、このディスク回転振動数(f)を、f1<f<f2の条件に設定すればよいものである。
【0026】
次に、図4を用いて、本実施形態によるディスク駆動装置のユニットメカ1の振動特性について説明する。
図4は、本発明の一実施形態によるディスク駆動装置のユニットメカの振動特性の説明図である。
【0027】
図4は、動吸振器構造21を備えたユニットメカ1の振動特性を示している。図2に示すユニットメカ1を用い、動吸振器構造21として図1に示したユニットカバー15を質量体とし、ユニットメカシャシ2に弾性部材でユニットカバー15を支持した。ユニットメカ1は、図2に示した三つの防振脚取付け部9に防振脚10で評価用固定台に固定した。振動特性試験は、固定台にランダム波形の振動加速度を与え、この入力加速度に対する防振脚10を介したユニットメカ1部の振動加速度を応答倍率として測定した。
【0028】
図4(a)において、実線Aは、従来(動吸振器構造なし)の振動特性を示し、実線Bは、動吸振器構造21を備えたユニットメカ1の振動特性を示している。図4(b)は、動吸振器構造21となるユニットカバー15と弾性部材による支持での振動特性を、図4(a)と同様に、振動加速度応答倍率で評価したものである。
【0029】
図4(a)の実線Aに示す従来の振動特性より、ユニットメカ1と防振脚10による固有振動数(f1)は、約40Hzである。また、図4(b)の動吸振器構造21の振動特性より、ユニットカバー15と弾性支持部材による固有振動数(f2)は、約110Hzである。これは、後述するように、再生倍速24倍速相当のディスク駆動装置を想定し、ディスクの回転周波数を90Hzとして設定した場合である。
【0030】
図4(a)の実線Bで示す動吸振器構造21を備えた振動特性では、固有振動数(f1)から固有振動数(f2)の周波数帯域において、図中に斜線で示すように、6dBから10dB程度、振動応答倍率が低減していることが分かる。すなわち、ディスク駆動装置として最も振動が大きな周波数帯域はディスク20の回転周波数(f)と考えると、先に説明したように、f1<f<f2となるようユニットメカ1と防振脚10による固有振動数(f1)と動吸振器構造21による固有振動数(f2)を設定することで、振動を低減できるものである。
【0031】
例えば、CD装置ではディスク情報の再生倍速として24倍速、32倍速、40倍速、48倍速などがある。それぞれディスク20の回転数が異なり24倍速では毎分5400回転、48倍速では毎分10500回転にも達する。これらを回転周波数としてみると24倍速では約90Hz、48倍速では175Hzとなる。
【0032】
そこで、ディスク駆動装置に備える動吸振器構造21においては、最大倍速時のディスク回転振動を低減する固有振動数(f2)が望まれる。CDやDVD装置に使用される外径120mmディスク20の場合、ディスク20のデータ領域は最大で直径116mmの領域である。また、データの再生速度が1倍速で光学ヘッド5とディスク20の再生部との周速はディスクの仕様により1.3±0.1m/秒と規定されており、最速条件では1.4m/秒となる。そこで、動吸振器構造における固有振動数(f2)を定式化すると、以下の式(2)

f(Hz)=周速(1400mm/秒)×n倍速/データ最外円周(直径116mmの場合、約364mm)…(2)

で求めた固有振動数(f)より数Hzから20Hz程度大きな固有振動数とすると、最大ディスク回転数における回転振動を低減することできる。
【0033】
なお、式(2)は、CD装置の固有振動数(f)を示しており、DVD装置では、式(2)を3倍する必要がある。すなわち、8倍速のDVD装置では、固有振動数(f)は、92Hz(=1400×8×3/(3.14×116))となる。したがって、8倍速のDVD装置においては、動吸振器構造における固有振動数(f2)を、f=92Hzよりも数Hzから20Hz程度大きな固有振動数,すなわち、100〜120Hzとする。なお、CD装置に対して、DVD装置では、3倍する必要があると説明したが、正確には、約3倍である。なぜならば、DVD装置では、周速は、3.49m/秒と規定されているからである。
【0034】
次に、図5及び図6を用いて、本実施形態によるディスク駆動装置のユニットメカ1に備えた動吸振器構造について説明する。
図5は、本発明の一実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたユニットメカの構成を示す平面図である。図6は、本発明の一実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたユニットメカの構成を示す正面図である。なお、図1,図2と同一符号は、同一部分を示している。
【0035】
図5及び図6に示すように、スピンドルモータ3は、ディスク20を保持し回転するロータ部18と、回路基板4ととから構成されている。回路基板4は、一般的に薄板金属材表面にICチップ35や、抵抗,パターン配線などの各種回路部品が備えられ、これらの配線は、回路基板4側面に設けたコネクタ部からFPCにより各制御の信号入出力を行っている。スピンドルモータ3は、ユニットメカシャシ2部にロータ部18をほぼ中心とした三ヶ所の固定ねじ36a、b、cにより締結結合されている。
【0036】
動吸振器構造では、外部からの励振力により自励振動する可動部が必要である。そこで、本実施形態によるスピンドルモータ3では、この可動部をスピンドルモータ回路基板4に備えている。すなわち、スピンドルモータ回路基板4は、ディスク20を保持し回転するロータ部18を備え、かつ、ユニットメカシャシ2に固定された固定部4Aと、動吸振器構造として振動エネルギーを吸収する可動部4Bに分割し、それぞれの固定部4Aと可動部4Bを第一の弾性部材41で結合した構造としている。なお、従来の動吸振器構造を備えていないスピンドルモータ回路基板は、図5に示す例において、固定部4Aと可動部4Bに相当する部分を一体化し、全体として固定部とした構成となる。それに対して、本実施形態では、従来の既存部品であるスピンドルモータ回路基板を利用して、その一部を可動部とすることにより、動吸振器構造を備えるようにしたものであり、既存部品の設置空間を兼用する構造となっている。
【0037】
ディスクの回転による振動は、スピンドルモータ3のロータ部18やユニットメカシャシ2からスピンドルモータ回路基板4の固定部4Aを伝播し、第一の弾性部材41を介して可動部4Bに伝わり、可動部4Bが自励振動することでユニットメカシャシ2などの振動エネルギーを吸収し、振動を低減する。ここで、スピンドルモータ回路基板4の可動部4Bが完全な片持ち構造の場合、可動部4Bの振動振幅により他の構造物、例えば回路基板4の上部にあるユニットメカシャシ2や、スピンドルモータ回路基板4の下部に配置された部品と接触することによる性能劣化を考慮して、図6に示すように、スピンドルモータ回路基板4の可動部4Bは、ユニットメカシャシ2に第二の弾性部材42を介して、ねじ43などにより固定している。なお、以上の例では、ユニットメカシャシ2に弾性支持したが、スピンドルモータ回路基板4の下部に備えた筐体部や、他の部品に弾性支持してもよいものである。
【0038】
動吸振器構造21となるスピンドルモータ回路基板4の可動部4Bの固有振動数は、図3,図4で説明したように、ディスク駆動装置の最大再生倍速(ディスクの最大回転周波数)により設定する。
【0039】
スピンドルモータ回路基板4は、第1のコネクタ31と、第2のコネクタ37と、第3のコネクタ38を備えている。第1のコネクタ31は、第1のFPC32を介して光学ヘッド5へ接続されている。第2のコネクタ37は、スピンドルモータ3への信号の入出力用であり、第3のコネクタ38は光学ヘッド5への入出力用である。この第2のコネクタ37、第3のコネクタ38は、第2のFPC39を介してディスク装置のメイン回路基板16に接続されている。スピンドルモータ回路基板4の可動部4Bの配線は、第1のコネクタ31と第3のコネクタ38はストレートに配線されている。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、ディスク20の回転に伴う回転振動をスピンドルモータ回路基板4に備えた動吸振器構造(可動部4B)により吸収し、既存の部品を応用することで、ユニットメカ1の振動を低減することができる。
【0041】
次に、図7〜図9を用いて、本発明の他の実施形態によるディスク駆動装置の構成について説明する。なお、本実施形態によるディスク駆動装置の構成は、図1,図2に示したものと同様である。
【0042】
図7は、本発明の他の実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたスピンドルモータの構成を示す平面図である。図8は、本発明の他の実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたスピンドルモータの構成を示す正面図である。図9は、図7のA−A断面図である。なお、図5,図6と同一符号は、同一部分を示している。
【0043】
図7及び図8に示すように、スピンドルモータ回路基板4は、ディスク20を保持し回転するロータ部18を備えユニットメカシャシ2に固定する固定部4Aと、動吸振器構造として振動エネルギーを吸収する可動部4Bとを備え、固定部4Aと可動部4Bとの間は切り欠き部45により接続されている。外力がスピンドルモータ3に加わると、可動部4Bが上下方向に自励振動する構造となっている。切り欠き部45は、図9に示すように、スピンドルモータ回路基板4の両面に形成しているが、上面或いは下面のみに設けてもよいものである。また、切り欠き部45には、第3の弾性部材44を設けることで、振動振幅に減衰効果を与え、他の構造物と接触干渉を防止している。動吸振器構造となるスピンドルモータ回路基板4の可動部4Bの固有振動数は、図3で説明したように、ディスク駆動装置の最大再生倍速により設定する。
【0044】
スピンドルモータ回路基板4は、第1のコネクタ31と、第2のコネクタ33を備えている。第1のコネクタ31は、第1のFPC32を介して光学ヘッド5へ接続されている。第2のコネクタ33は、第2のFPC34を介してディスク装置のメイン回路基板16に接続されている。
【0045】
スピンドルモータ回路基板4の可動部4Bの上下の隙間が問題になる場合は、図6で示したように、ユニットメカシャシ2や、他の部品などに弾性部材を介して固定してもよいものである。
【0046】
なお、上述の説明では、スピンドルモータ回路基板4の固定部4Aと可動部4B間に切り欠き45を設けて弾性構造を構成したが、固定部4Aと可動部4Bの間の基板断面積を小さくすることで、同様の効果を得ることも可能である。すなわち、切り欠き45の代わりに基板の幅寸法を小さくしてもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によっても、既存の部品を応用することで、ユニットメカ1の振動を低減することができる。
【0048】
次に、図10を用いて、本発明のその他の実施形態によるディスク駆動装置の構成について説明する。なお、本実施形態によるディスク駆動装置の構成は、図1,図2に示したものと同様である。
【0049】
図10は、本発明のその他の実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたユニットメカの構成を示す平面図である。なお、図1,図2と同一符号は、同一部分を示している。
【0050】
図10では、スリムドライブなどのディスク駆動装置の内部構造を示すため、図1に示したトップカバー11,ディスクトレー12,ユニットカバー15を外した状態を示したものである。
【0051】
図10(a)は、図5〜図9に示した実施形態によるスピンドルモータ3の配置を示している。ディスク装置のメイン回路基板16は、図示するように、ユニットメカ1の上部に配置され他の構造部品を配置する空間はない。そのため、本実施形態では、従来のスピンドルモータ回路基板4の一部を利用した構造をとった。
【0052】
しかしながら、ディスクの高速回転化が進み、さらにディスク20の回転振動が大きくなると、図10(a)に示したスピンドルモータ3に備えた動吸振器構造では振動を吸収することが困難になる。
【0053】
そこで、図10(b)に示すようにディスク駆動装置のメイン回路基板16を例えば、集積化することで図中左側に配置し、スピンドルモータ回路基板4’を大型化するとともに、基板の幅寸法を小さくするための切り欠き部47を設けることで、メイン回路基板16の右側の空間に、動吸振器構造となる可動部4Bを備えている。これにより、スピンドルモータ回路基板4’の可動部4Bの体積を大きくすることができ、ディスク回転振動の吸収効果を大きくすることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によっても、既存の部品を応用することで、ディスクがさらに高速化した時にも、ユニットメカの振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態によるディスク駆動装置の全体構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるディスク駆動装置に用いるユニットメカ1の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振器の動作原理を説明するモデル図である。
【図4】本発明の一実施形態によるディスク駆動装置のユニットメカの振動特性の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたユニットメカの構成を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたユニットメカの構成を示す正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたスピンドルモータの構成を示す平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたスピンドルモータの構成を示す正面図である。
【図9】図7のA−A断面図である。
【図10】本発明のその他の実施形態によるディスク駆動装置に用いる動吸振構造を備えたユニットメカの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…ユニットメカ
2…ユニットメカシャシ
3…スピンドルモータ
4…スピンドルモータ回路基板
4A…固定部
4B…可動部
5…光学ヘッド
6…主軸ガイド軸
7…副軸ガイド軸
8…光学ヘッド駆動モータ
9…防振脚取付け部
10…防振脚
11…トップカバー
12…ボトムカバー
13…ディスクトレー
14…フロントパネル
15…ユニットカバー
16…メイン回路基板
17…フレキシブル・プリント・サーキット(FPC)
18…ロータ部
20…ディスク
21…動吸振器構造
22…弾性部材
23…質量体
31,33,37,38…コネクタ
32,34,39…FPC
35…ICチップ
36a,36b,36c…固定ねじ
4B…可動部
41,42,44…弾性部材
45,47…切り欠き部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体となるディスクを回転させるスピンドルモータと、前記ディスクの情報を再生あるいはディスクに情報を記録する光学ヘッドを備えたユニットメカシャシとからなるユニットメカを、複数の防振脚で装置筐体部に弾性支持したディスク駆動装置において、
前記スピンドルモータの回路部品を備えたスピンドルモータ回路基板を、前記ユニットメカシャシに固定される固定部と、この固定部に接続されるとともに可動な可動部で構成したことを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載のディスク駆動装置において、
前記可動部の一次の固有振動数(f2)を、「f(Hz)=ディスクの周速×ディスクの再生・記録速度(CDではn倍速,DVDでは、n×約1/3倍速)/データ最外円周の長さ」の式で求められる振動数(f)より、数Hzから20Hz程度大きな固有振動数としたことを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項3】
請求項2記載のディスク駆動装置において、
前記スピンドルモータ回路基板のは、前記スピンドルモータを搭載したユニットメカシャシ部への固定部と可動部とを、弾性部材で結合したことを特徴とするディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−12292(P2006−12292A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188043(P2004−188043)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)