説明

ディスプレイのスタンド

【課題】複雑な機械的構成を採用することなく、ヒンジ部分を備えず、安価に提供することができて、フォトフレームやポータブル液晶テレビジョン受像機のようなパネル状の画像表示装置のスタンドとして好適に使用することのできるディスプレイのスタンドを提供する。
【解決手段】板面が異なる方向に向いた3つの板状部11,12,13を有する構体10と、各々の板状部11,12,13をディスプレイAの背面に個別に着脱するための着脱手段20とを備える。第1板状部11と第2板状部12との開き角度を90度とし、第1板状部11と第3板状部13との開き角度を135度とする。着脱手段20は、ディスプレイ側のねじ軸21と、3つの板状部のそれぞれの孔部22,23,24と、ナット体25とでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイのスタンド、詳しくは、フォトフレームやポータブル液晶テレビジョン受像機のようなパネル状の画像表示装置の設置角度を、使用環境などに応じて多段に変化させることのできるディスプレイのスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面型ディスプレイの側面に連結アームを揺動自在に取り付け、この連結アームの自由端に設けたボスを、基台の側板に具備させた複数の切欠き溝から選択した1つの切欠き溝に係合させることによって、上記平面型ディスプレイの設置角度を変化させるようにした支持装置が提案されていた(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、液晶テレビジョン受像機の小型物品を乗せ掛けて設置するための保持台として、薄肉ヒンジを介して連設した下板及び上板と、上板に薄肉ひんじを介して具備させた支持辺部と、を有するものが知られていた(たとえば、特許文献2参照)。さらに、折畳み式の掲示具(たとえば、特許文献3参照)や、手書き入力装置の装置本体のスタンドとして機能する折畳み式のカバー(たとえば、特許文献4参照)なども知られていた。さらに、薄紙片などの自立性を有しないシート状物に自立性を付与させる機能を備えたシート状物起立具についての提案もなされていた(たとえば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2552556号公報
【特許文献2】実用新案登録第2587474号公報
【特許文献3】特許第3241014号公報
【特許文献4】特開2006−155050号公報
【特許文献5】特開2000−71662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の支持装置は、その機械的構成が複雑で、価格が高くつくという問題があった。また、特許文献2や特許文献3、特許文献4のような折畳み式のものは、ヒンジ部分が破断しやすいという問題があった。さらに、特許文献5のものは、フォトフレームやポータブル液晶テレビジョン受像機のようなパネル状の画像表示装置のスタンドとして使用することが不可能である。
【0006】
本発明は、以上の問題点や状況に鑑みてなされたものであり、複雑な機械的構成を採用することなく、ヒンジ部分を備えず、安価に提供することができて、フォトフレームやポータブル液晶テレビジョン受像機のようなパネル状の画像表示装置のスタンドとして好適に使用することのできるディスプレイのスタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るディスプレイのスタンドは、ディスプレイの設置姿勢を変化させる機能を備えたディスプレイのスタンドにおいて、板面が異なる方向に向いた複数の板状部を有する構体と、各々の上記板状部を上記ディスプレイの背面に対して個別に着脱するための着脱手段と、を備えている。ここで、構体とは、それ事態の形状が一定に定まっていて、ユーザがその形状を変えることのできない構造体のことである。
【0008】
この発明によると、構体の複数の板状部を選択して、選択した板状部にディスプレイを着脱手段によって装着することができる。そして、特定の板状部に装着されたディスプレイ及び構体のいずれかの板状部、または、ディスプレイが装着された板状部及び他の板状部をテーブル面や棚面、床面などに立て掛けると、ディスプレイが一定の設置角度で支持される。ディスプレイを装着する板状部を変えることによってその設置角度も変わる。さらに、構体の複数の板状部のうち、ディスプレイが装着されていない板状部を壁面に取り付けることも可能であり、そのようにすると、ディスプレイを壁掛けタイプとして使用することも可能になる。
【0009】
本発明では、構体に具備された複数の上記板状部が、第1、第2及び第3の3つの矩形の板状部でなり、第1板状部を挟む両側に第2及び第3の板状部が位置し、第1板状部の一端側辺に第2板状部が連設され、その反対側の他端側辺に第3板状部が連設されていて、第2及び第3の各板状部の両方が第1板状部の背面方向へ延び出ている、という構成を採用することが可能である。また、第1板状部と第2板状部との開き角度が90度であり、第1板状部と第3板状部との開き角度が135度である、という構成を採用することも可能である。
【0010】
さらに、上記着脱手段が、ディスプレイ側に設けられたねじ軸と、複数の上記板状部のそれぞれに開設されて上記ねじ軸が挿通される孔部と、この孔部に挿通された上記ねじ軸にねじ込まれて上記板体をディスプレイに固定するナット体、とを備える、という構成を採用することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るディスプレイのスタンドは、板面が異なる方向に向いた複数の板状部を有する構体と、各々の上記板状部を上記ディスプレイの背面に対して個別に着脱するための着脱手段と、を備えているだけであって、特許文献1に見られるような複雑な機械的構成を採用する必要がなく、また、特許文献2や特許文献3、特許文献4に見られるようなヒンジ部分を備えていないので、耐久性に優れ、しかも、安価に提供することができる。そして、1つのスタンドでディスプレイを複数の角度に支持させることができ、また、テーブルなどの上に置いたり壁掛け式にしたりすることも可能であるので、ユーザにとっては、様々な使用環境に対応することが可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るスタンドとディスプレイとを示した分解斜視図である。
【図2】構体の側面図である。
【図3】使用状態の説明図である。
【図4】他の使用状態の説明図である。
【図5】さらに他の使用状態の説明図である。
【図6】さらに他の使用状態の説明図である。
【図7】さらに他の使用状態の説明図である。
【図8】さらに他の使用状態の説明図である。
【図9】着脱手段の変形例を示した説明図である。
【図10】着脱手段の他の変形例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施形態に係るスタンドSとディスプレイとを示した分解斜視図、図2は構体の側面図である。
【0014】
この実施形態において、スタンドSは、樹脂成形体又は板金で製作された構体10と、この構体10にディスプレイAを着脱するための着脱手段20とを備えている。構体10は、板面が異なる方向に向いた第1、第2及び第3の3つの板状部11,12,13を有していて、各々の板状部11,12,13はいずれも矩形に形成されている。これらの板状部11,12,13のうち、第2及び第3の板状部12,13は、第1板状部11を挟む両側に位置している。具体的には、第1板状部11の一端側辺11aに第2板状部12が連設され、その反対側の他端側辺11bに第3板状部13が連設されている。
【0015】
このような構体10は、複雑な機械的構成を有さず、ヒンジ部分も備えていないので、耐久性に優れ、安価に提供することができる。
【0016】
図2に示したように、構体10の第2及び第3の各板状部12,13は、いずれも、第1板状部11の背面方向(矢印X)へ延び出ている。また、この実施形態では、第1板状部11と第2板状部12との開き角度θ1が90度、第1板状部11と第3板状部13との開き角度θ2が135度に定められている。
【0017】
図1のように、図例の着脱手段20は、ディスプレイの背面の中央部又は略中央部に後向きに突出状態で設けられたねじ軸21と、構体10を形成している第1、第2及び第3の各板状部11,12,13のそれぞれの中央部又は略中央部に開設された孔部22,23,24と、3つの孔部22,23,24のいずれかに挿通された上記ねじ軸21にねじ込まれるナット体25と、を備えている。
【0018】
図2に示したディスプレイAは、表示画面を横長又は縦長に姿勢変更して使用することのできるフォトフレームでなる。
【0019】
次に、スタンドSの様々な使用状態を図3〜図8を参照して説明する。
【0020】
図3は使用状態の説明図である。同図の事例では、着脱手段20を用いて構体10の第1板状部11にディスプレイAが縦長姿勢で装着されている。ディスプレイAを第1板状部11に装着するには、たとえば、図1によって判るように、ディスプレイA側に設けられているねじ軸21を、構体10の第1板状部11の孔部22に挿通させた後、ディスプレイAを縦長姿勢にすることと、ナット体25をそのねじ軸21にねじ込んで締め付けること、とを行えばよい。この取付け作業を行うと、第1板状部11にディスプレイAの背面が重なり合って固定される。
【0021】
ディスプレイAに構体10を上記のように装着した後、図3のように、テーブル面などの載置面100の上に、構体10の第3板状部13の下側の端縁とディスプレイAの下側の端縁とを立て掛けると、ディスプレイAが載置面100の上で、起立姿勢に近い縦長傾斜状態に設置される。
【0022】
図4は他の使用状態の説明図である。同図の事例では、着脱手段20を用いて構体10の第3板状部13にディスプレイAが縦長姿勢で装着されている。ディスプレイAを第3板状部13に装着するには、ディスプレイA側に設けられているねじ軸21を、第3板状部13の孔部24に挿通させた後、ディスプレイAを縦長姿勢にすることと、ナット体25をそのねじ軸21にねじ込んで締め付けること、とを行えばよい。この取付け作業を行うと、第3板状部13にディスプレイAの背面が重なり合って固定される。
【0023】
ディスプレイAに構体10を上記のように装着した後、図4のように、テーブル面などの載置面100の上に、構体10の第2板状部12を載置して着座させると、ディスプレイAが構体10により支持されて倒伏姿勢に近い縦長傾斜状態に設置される。
【0024】
図5はさらに他の使用状態の説明図である。同図はディスプレイを壁掛け式として使用した事例を示している。この事例では、着脱手段20を用いて構体10の第3板状部13にディスプレイAが縦長姿勢で装着されている。ディスプレイAを第3板状部13に装着するには、上記したところと同様に、ディスプレイA側に設けられているねじ軸21を、第3板状部13の孔部24に挿通させた後、ディスプレイAを縦長姿勢にすることと、ナット体25をそのねじ軸21にねじ込んで締め付けること、とを行えばよい。この取付け作業を行うと、第3板状部13にディスプレイAの背面が重なり合って固定される。
【0025】
ディスプレイAに構体10を上記のように装着した後、図5のように、壁面200に、構体10の第2板状部12を固定すると、ディスプレイAが構体10により壁掛け状態で支持されて縦長下向き傾斜姿勢に設置される。なお、第2板状部12を壁面200に固定するには、第2板状部12の孔部23に挿通させた止具(ドリルねじなど)を壁面200に打ち込むといった手段を採用することが可能である。また、第2板状部12を壁面200に接着剤で接合したり、面状ファスナーを用いて装着することも可能である。
【0026】
図6はさらに他の使用状態の説明図である。同図の事例では、着脱手段20を用いて構体10の第3板状部13にディスプレイAが横長姿勢で装着されている。ディスプレイAを第3板状部13に装着するには、上記したところと同様に、ディスプレイA側に設けられているねじ軸21を、第3板状部13の孔部24に挿通させた後、ディスプレイAを横長姿勢にすることと、ナット体25をそのねじ軸21にねじ込んで締め付けること、とを行えばよい。この取付け作業を行うと、第3板状部13にディスプレイAの背面が重なり合って固定される。
【0027】
ディスプレイAに構体10を上記のように装着した後、図6のように、テーブル面などの載置面100の上に、構体10の第2板状部12の下側の端縁とディスプレイAの下側の端縁とを立て掛けると、ディスプレイAが載置面100の上で、横長傾斜状態に設置される。
【0028】
図7はさらに他の使用状態の説明図である。同図の事例では、着脱手段20を用いて構体10の第2板状部12にディスプレイAが横長姿勢で装着されている。ディスプレイAを第2板状部12に装着するには、上記したところと同様に、ディスプレイA側に設けられているねじ軸21を、第2板状部12の孔部23に挿通させた後、ディスプレイAを横長姿勢にすることと、ナット体25をそのねじ軸21にねじ込んで締め付けること、とを行えばよい。この取付け作業を行うと、第3板状部13にディスプレイAの背面が重なり合って固定される。
【0029】
ディスプレイAに構体10を上記のように装着した後、図7のように、テーブル面などの載置面100の上に、構体10の第3板状部13の下側の端縁とディスプレイAの下側の端縁とを立て掛けると、ディスプレイAが載置面100の上で、横長傾斜状態に設置される。
【0030】
図8はさらに他の使用状態の説明図である。同図の事例では、着脱手段20を用いて構体10の第1板状部11にディスプレイAが横長姿勢で装着されている。ディスプレイAを第1板状部11に装着するには、上記したところと同様に、ディスプレイA側に設けられているねじ軸21を、第1板状部11の孔部22に挿通させた後、ディスプレイAを横長姿勢にすることと、ナット体25をそのねじ軸21にねじ込んで締め付けること、とを行えばよい。この取付け作業を行うと、第1板状部11にディスプレイAの背面が重なり合って固定される。
【0031】
ディスプレイAに構体10を上記のように装着した後、図8のように、テーブル面などの載置面100の上に、構体10の第2板状部12の下側の端縁とディスプレイAの下側の端縁とを立て掛けると、ディスプレイAが載置面100の上で、横長傾斜状態に設置される。
【0032】
以上説明した実施形態では、構体10が第1、第2及び第3の3つの板状部11,12,13を備えているけれども、この点は、構体が3つより多い板状部を備えていてもよく、そのような構体であると、ディスプレイの姿勢をさらに多様に変えることが可能になる。また、着脱手段20は図例に限定されない。たとえば、ディスプレイ側のフックとそのフックが係合される板状部側の孔部によって構成することも可能である。さらに、ディスプレイ側と板状部側とに貼り付けた互いに着脱される面状ファスナによって構成することも可能である。
【0033】
図9は着脱手段20の変形例を示した説明図である。この着脱手段20は、図1に示した円形の孔部22,23,24のそれぞれを、長円形の孔部22,23,24に置き換えたものである。この変形例によると、長円形の孔部22,23,24の長手方向にねじ軸21の位置を変更することができる。そのため、各板状部11,12,13に対してディスプレイの装着位置を孔部22,23,24の長手方向に変更することが可能になる。したがって、ディスプレイの下側の端縁をテーブル面などの上に立て掛けたときのディスプレイの傾斜角度も変わるようになる。
【0034】
図10は着脱手段20の他の変形例を示した説明図である。この着脱手段20は、図1に示した円形の孔部22,23,24のそれぞれを、長四角形状の孔部22,23,24に置き換え、かつ、ねじ軸21の根元に、上記長四角形状の孔部22,23,24に回転不能に嵌合される四角形の座部25を設けたものである。この変形例によると、長四角形状の孔部22,23,24の長手方向にねじ軸21の位置を変更することができるため、各板状部11,12,13に対してディスプレイの装着位置を孔部22,23,24の長手方向に変更することが可能になる。また、四角形状の座部25と孔部22,23,24のそれぞれとの嵌合構造によって、ディスプレイが板状部11,12,13に対して回転しなくなるので、ディスプレイの姿勢が垂直縦長又は水平横長に正確に定まる。
【符号の説明】
【0035】
A ディスプレイ
S スタンド
10 構体
11 第1板状部
11a 第1板状部の一端側辺
11b 第1板状部の他端側辺
12 第2板状部
13 第3板状部
20 着脱手段
21 ねじ軸
22,23,24 孔部
25 ナット
θ1,θ2 開き角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの設置姿勢を変化させる機能を備えたディスプレイのスタンドにおいて、
板面が異なる方向に向いた複数の板状部を有する構体と、各々の上記板状部を上記ディスプレイの背面に対して個別に着脱するための着脱手段と、を備えていることを特徴とするディスプレイのスタンド。
【請求項2】
構体に具備された複数の上記板状部が、第1、第2及び第3の3つの矩形の板状部でなり、第1板状部を挟む両側に第2及び第3の板状部が位置し、第1板状部の一端側辺に第2板状部が連設され、その反対側の他端側辺に第3板状部が連設されていて、第2及び第3の各板状部の両方が第1板状部の背面方向へ延び出ている請求項1に記載したディスプレイのスタンド。
【請求項3】
第1板状部と第2板状部との開き角度が90度であり、第1板状部と第3板状部との開き角度が135度である請求項2に記載したディスプレイのスタンド。
【請求項4】
上記着脱手段が、ディスプレイ側に設けられたねじ軸と、複数の上記板状部のそれぞれに開設されて上記ねじ軸が挿通される孔部と、この孔部に挿通された上記ねじ軸にねじ込まれて上記板体をディスプレイに固定するナット体、とを備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載したディスプレイのスタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−191528(P2012−191528A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54790(P2011−54790)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】