説明

ディスプレイパネルの欠陥低減

【課題】
ディスプレイパネルの画素欠陥を低減させる方法を提供し、歩留まりを向上させ、ひいては低価格化を実現する。
【解決手段】
パネルにおける画素欠陥をマッピングし、このマッピングにより得られた欠陥の情報をパネルと関連付け、パネル操作でこの欠陥の情報を利用して、隣接する画素の輝度を変化させて、欠陥画素を観察者に対して目立たなくさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネル、より詳細にはディスプレイパネルの欠陥の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイは、ディスプレイ技術の中で急速に主要なものとなりつつある。フラットパネルディスプレイは、液晶(LCD)RGBディスプレイから、プラズマディスプレイ、発光ダイオード(LED)および有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、単一もしくは複数のLCDエレメントならびに単一もしくは複数のマイクロミラーエレメントを利用した投写型ディスプレイを含む。
【0003】
上記技術における共通の課題は、歩留まりの向上である。完璧なパネルを製造することは極めて困難であり、また極めて高価となる。LCDパネルの画素欠陥には、白欠陥(stuck-on pixels、常時ON)および黒欠陥(stuck-off pixels、常時OFF)がある。通常、ディスプレイパネル上でのいくつかの欠陥画素は許容される。画素欠陥に関するISO標準、ISO13406−2は、フラットパネルディスプレイにおいて画素欠陥を評価するための規格の3つのクラスを規定している。最も規定の緩いクラスでも、15〜17インチのパネルに対して5つの完全に明るい画素、15の完全に暗い画素および50のサブ画素欠陥を許容しているだけである。大抵のデータディスプレイにおいては、クラス2標準以上を満足するように努力がなされている。このことは、1画素あたり極めて低い欠陥率をもたらすプロセスを利用しても、クラス3を有する解像度1024×768のパネルが得られる確率は極めて低いことを意味する。高画質テレビ(HDTV、1920×1080)の解像度を要求した場合には、画素欠陥は、歩留まりを著しく制限しうるものであり、これにより、良質のパネルのコストは上昇する。
【0004】
画素欠陥を低減させる手段は、全体としての歩留まりを向上させ、それを価格に反映させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ディスプレイパネルの画素欠陥を低減させる新規の手段を提供し、パネルの歩留まりを向上させ、低価格化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ディスプレイの欠陥を、パネルにおける画素欠陥をマッピングし、このマッピングにより得られた欠陥の情報をパネルと関連付け、パネル操作でこの欠陥の情報を利用して、隣接する画素の値を変化させて、欠陥画素を観察者に対して目立たなくさせることによって、低減させる。
【発明の効果】
【0007】
ディスプレイパネルにおける欠陥の低減が得られる。ディスプレイパネルにおける欠陥をマッピングし、これにより得られた欠陥の情報を、ディスプレイシステムまたはパネルと関連付ける。パネル操作中、欠陥画素に隣接する画素の画素値を変化させて、欠陥が観察者に対して最小限に目立たないようにする。第1のモデルでは、欠陥によって生じた輝度エラーを、隣接する画素を調節することによって補償する。第2のモデルでは、輝度のエラーと2色チャネルの一方のエラーとを、隣接する画素を調節することによって補償する。この欠陥の低減方法は、欠陥画素によって導入されたエラーを、人の目に感知されにくい高空間周波数の要素および色的な要素にシフトする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によれば、図1のフローチャートに示すように、まずディスプレイパネルを欠陥に関してマッピングする100。このマッピングは、例えば画素の有無を検出する画像センシングと結合されたテストパターン生成を利用して、完全に自動化された方法により行うことができる。また、マッピングは、欠陥をマッピングするプロセスを人間の操作者が補助する半自動化された方法で行うこともできる。欠陥のマッピングの結果は、欠陥画素を特定するデータの一群である。画素は、場所および欠点の種類、つまり最低でも白欠陥か黒欠陥かによって特定される。場合によっては、画素の輝度、画素の色度やディスプレイガンマのような情報も記録することができ、これにより、部分的にONまたはOFFとなる欠陥画素が特定される。RGBパネルのようなカラーパネルの場合は、パネル原色の輝度および色度を記録して、欠陥補正モデルで使用する。
【0009】
パネルでの欠陥画素を特定する蓄積されたデータの一群を、パネルと関連付ける110。これは、パネルと関連する記憶装置、例えばパネルもしくはその制御回路内に取り付けられた記憶装置に、欠陥情報を保存することによって行うことができる。この欠陥情報は、シリアル番号、バーコードもしくはこれらに類するものを使用することによってパネルと関連付けることもでき、この欠陥情報を、パネルの操作中に、補正回路もしくはソフトウェアに提供することができる。
【0010】
RGBディスプレイに関しては、欠陥情報の一群を、赤、緑および青の各色に対して関連付ける。この態様は、RGB液晶ディスプレイ(LCD)、またはLCD投写型ディスプレイで赤、緑および青に対して使用される別個のパネルを含む。単一のディスプレイパネルを、例えば赤、緑および青の一連の画像を間断なく生成する、回転するカラーホイールと結合しているマイクロミラーディスプレイで使用する場合には、欠陥値の1つの群のみを保存すればよく、それというのは、マイクロミラーディスプレイでの各欠陥画素は、赤、緑および青の各画像で現れるからである。
【0011】
本発明による操作では、欠陥の情報を利用して、欠陥画素に隣接する画素を変化させ、欠陥画素が観察者に対してより目立たなくさせる。このような補償のステップは、ディスプレイパネル上に画素を表示する前の予処理ステップである。複数のパネルを使用する場合には、上記ステップを、ディスプレイパネルもしくはディスプレイパネルセットに含まれる画像処理ハードウェアとして提供することができ、これにより、欠陥情報が保存され入力画像が処理されて、補正画像が形成される。また、上記ステップをソフトウェアの形態で提供することもでき、欠陥情報を利用して低減法を画像、例えばフレームバッファ内の画像へ適用し120、欠陥低減された画像を表示する130。このプロセスを、フレームごとに繰り返す。
【0012】
この低減プロセスでは、多くの異なるモデルを使用して、周囲の隣接する画素を補正することによって、欠陥画素の作用を取り除くまたは拡散させることができる。適応的な方法、例えば、領域内の実際の画像内容を考慮することによって周囲の画素値を判断する方法を用いることもできる。欠陥の各種類に適応可能なハーフトーンマスクに類似の一定の欠陥拡散パターンは、より少ないプロセスしか必要としない。
【0013】
第1の欠陥拡散法では、欠陥画素によって導入される輝度エラー、つまり、簡単な例では白欠陥または黒欠陥であり、より複雑な例では誤った輝度値を生成するエラーを、隣接する画素値を減少させたり増大させたりすることによって補償する。これにより、エラーの低周波数の要素が効果的に減少し、エラーの高周波数の要素が増大する。人間の視覚系のローパス特性によって、補償されたパターンはより目立たなくなる。図2に、画像中の8列3行の緑のサブ画素に黒欠陥がある例を示す。組み込まれたRGBディスプレイでは、各画素は、赤、緑および青のサブ画素からなっている。図3に、画像に適用された欠陥補償パターンの例を示す。周囲の赤、緑および青のサブ画像の強度が変更されていて、その場所での平均の輝度は、画像の所望の輝度レベルをより良好に表していることに留意されたい。周囲の画素値は、使用される補償パターンに基づいて増大させるかまたは減少させるかすることができる。図3に示すように、黒欠陥となっている緑のサブ画素の左隣(7列3行)の赤のサブ画素の強度は大きくなっている。8行の緑のサブ画素に近接している、3列の6行および9行の隣接する青色の画素の強度も大きくなっている。12行3列の青のサブ画素、6行および7行2列ならびに6行および7行4列の赤および青のサブ画素が示すように、補償パターンの効果が欠陥から離れる方向に伝搬するようにサブ画素の強度を減少させることができる。この方法により、認識される輝度エラーは減少するが、色度エラーが導入されることになる。しかし、この色度エラーは、人の目にはより感知されにくい。別の補正方法では、欠陥画素と同じ色の隣接する画素のみのレベルを変化させることに留めることもできる。ここに示す拡大解像された状態では図3の画像が図2の画像よりも良好に見えなかったとしても、通常の視覚距離および画素寸法では、結果として、欠陥画素が人の目により見えにくくなっているパターンが得られる。通常、これらの方法では、明るい欠陥の周囲の画素値を下げ、暗い欠陥の周囲の画素値を上げる。
【0014】
基本的な補正モデルは、欠陥画素によって導入された輝度エラーに対してのみ補償を試みる一方で、色度エラーは放置される。これは、小さな領域での色度エラーは、輝度エラーよりも目立たないからである。変更が可能な2色チャネルの場合、輝度エラーの最小限化を行う上でのフレキシビリティを最大にすることが可能となる。より進んだモデルは、輝度エラーを補償しながら、2色チャネル(通常、赤−緑チャネル)のうち一方のエラーの最小限化を試みることができる。通常、局所的なエラーを最小限にする試みを全ての色チャネルについて行うと、より目に見えやすい空間的なエラーが生じ易くなり、望ましくない。
【0015】
欠陥拡散法は、大抵の画像内容に対して、欠陥を見えにくくする上で極めて効果的である。しかし、完全に暗い背景上に白欠陥がある場合、拡散法を利用してその補正を行うのは極めて難しい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】欠陥低減のフローチャートである。
【図2】画素欠陥のある画像を示す。
【図3】図2の画像に対して画素の補正を行ったものを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルの欠陥を低減させる方法であって、
前記ディスプレイパネルにおける欠陥をマッピングし、
前記マッピングされた欠陥を、前記ディスプレイパネルと関連付け、
補正モデルに基づいて、前記マッピングされた欠陥の周りの画素上に表示される画像を変更する、方法。
【請求項2】
前記画素欠陥が、常時OFFの画素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画素欠陥が、常時ONの画素である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
周囲の画素の画素値の変更を利用して輝度エラーを補償することによって、前記画素欠陥を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
周囲の画素の画素値の変更を利用して、輝度エラーと色度エラーの2色のチャネルの1つとを補償することによって、前記画素欠陥を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記欠陥の情報が、画素の位置および欠陥の種類を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
記録される前記欠陥の情報が、少なくとも画素の位置、ディスプレイガンマおよび原色の色度を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
記録される前記欠陥の情報が、少なくとも画素の位置、画素の輝度および画素の色度を含む、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−309244(P2006−309244A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123931(P2006−123931)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】