説明

ディスプレイ・モニタを備えたシステム

【課題】DVDの再生において、ユーザが好みに応じてコンテンツを表示できるようにする。
【解決手段】コンピュータ・サブシステム315は、記憶ユニットと処理ユニットとを備え、ディスプレイ・モニタ上のプログラム・シーケンスの再生を管理する。記憶ユニットは、識別タグと関連付けされたレコードを備えたデータベース構造を有し、識別タグは、プログラム・シーケンスのパラメータのそれぞれを表し、かつユーザによって特定される値を識別する。処理ユニットは、識別タグのユーザにより特定された値に応じて、プログラム・シーケンスのプレゼンテーションをカスタマイズすることができる。処理ユニットは、再生の中断が生じたときに、再生が中断された位置を示す自動再開ブックマークを記憶し、かつ、後に該自動再開ブックマーク値が示す位置から再生の再開始をするよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願では、発明者が、Mark P. Vaughan, Thomas J. Brase, Drew S. Johnson, Kevin J. Brusky, Brian V. Belmontであり、1997年3月31日に米国出願された"Device with Converged Fuctionality"と称する、本出願人に譲渡された特許出願を援用する。本発明は、統合された複数の機能的機能モジュールを備えており、例えばビデオ・ソースのホストと共に動作することができるデバイスにおいて用いることができるコンテンツ・カスタマイゼーション(即ち、オーダーメード又は特別注文)方式に関する。更に詳しくは、本発明は、個別化されたコンテンツ検閲を行い、様々なユーザ・プリファレンス(嗜好)を設定して、デジタル・バーサタイル/ビデオ・ディスク(DVD)ソースを有するコンバージェンス・デバイス・システムにおけるコンテンツ表現をカスタマイズする方式に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な情報、エンターテイメント及び通信技術を1つにまとめること(コンバージェンス、収束)が、強く求められている。この傾向が非常に可視化している例として、(例えば、パーソナル・コンピュータ技術などの)コンピュータ技術を、(例えば、テレビジョン技術、ビデオ・ゲーム技術、ビデオ・テレフォニ、ビデオ/レーザ・ディスク技術などの)コンシューマ/ホーム(消費者及び家庭用)エレクトロニクス技術と統合しようとする試みである。このような一体化すなわちコンバージェンスによる製品の1つとして、情報、エンターテイメント及び通信のための一体型のデバイスがあり、このデバイスは、少なくとも部分的には、パーソナル・コンピュータ(PC)の利用可能な通信帯域幅と、大容量記憶装置と、グラフィクス処理能力とを用いて、種々のアプリケーションを記憶して表示し、それによって、消費者にシームレスな統合されたオーディオ・ビジュアル環境を与えることができる。
【0003】
この分野では、多くの進歩が最近もたらされてはいるが、いくつかの課題も残っている。重要な問題の1つとして、消費者(すなわち、ユーザ又は視聴者)に対して、オールインワン型のマシンにおいて対話型の操作が可能であり、コンテンツ(内容)を選択可能にして特別注文できるオプションが備わっている有効なコンテンツ・コントロール手段を提供することが、困難であった。当業者であれば容易に理解できることであるが、この問題を解決する必要性は、例えば、DVD技術などの現在利用可能な進歩した記憶技術が複数の機能モードを提供する高度に一体化したデバイスと統合されている場合に、特に明らかである。簡単に言えば、あまりに多くのファクタが関係しているので、高度に一体化された(コンバージェンスのなされた)デバイスでは、容易ではあるが有効なコントロールを実行することが困難であるということである。1997年3月31日に出願された出願手続中の米国特許出願"Device with Converged Functionality"(ドケット番号27757−00098、発明者: Mark P. Vaughan, Thomas J. Brase,Drew S. Johnson, Kevin J. Brusky, Brian V. Belmont)には、そのような高度に一体化されたデバイスに関する題材がより詳細に記載されている。この出願の内容は、本出願において援用する。
【0004】
本発明の内容は、特にコンバージェンス・デバイスと一体化されたDVD技術の様々な側面との関係で例示されているので、DVDに関してある程度の説明を行うことが適切であると考えられる。従って、以下で、簡単な説明を行うこととする。DVD技術は、ビデオ、オーディオ、データ及びそれらの任意の組合せのための進歩したデジタル記憶技術であり、最大で約17ギガバイトの情報を記憶する能力を有する新たな媒体(レーザ読み取り可能ディスク)をその中心としている。この技術分野で知られているように、膨大な量のデジタル情報が、標準化されたフォーマットに従って、ディスク上に供給される。現在のコンシューマ・エレクトロニクスのフォーマットとのアナロジを用いると、DVDフォーマット技術を、マスタリング装置と、物理的記憶/配分媒体(ディスク自体)と、プレーヤとから構成されるシステム全体として見るのが好適である。マスタリング・プロセスは、ビデオ/オーディオ情報(コンテンツと称される)の表現(リプレゼンテーション:presentation)をコントロールする種々なコードを挿入するステップと、生のビデオ情報を、可変ビット速度エンコーディング(符号化)と称される手法を用いて、(例えば、MPEG−2フォーマットなどの)既知のフォーマットに圧縮するステップと、オーディオ情報もまた、例えば、ドルビAC3サラウンド・サウンド・フォーマットなどの既知のフォーマットに圧縮するステップと、圧縮されたオーディオ及びビデオ情報を、「マスタ」を生じそれから(レーザ・リーダブル・ディスクなどの)コピーを発生する1つのエンコードされたデータ・ストリームに合成するステップと、を含む複数のステップから構成されるのが通常である。
【0005】
図1は、上述のステップのいくつかを実現する一般的なDVDマスタリング・システム100のブロック図を示している。マスタ・ビデオ・テープ102とマスタ・オーディオ・テープ104とが、可変ビット速度(VBR)ビデオ・エンコーダ106と適当なオーディオ・エンコーダ108とに、それぞれ、供給される。エンコーダ106及び108は、次に、コンテンツ/品質コントロール・ブロック110を介して管理され、圧縮されエンコードされたビデオ及びオーディオが、合成されたオーディオ/ビデオ・データ・ストリームを発生するマルチプレクサ/フォーマッタ112に供給される。データ・ストリームの再生をシミュレートするために、エミュレータ114が、設けられる。次に、マスタ・ディスク116が、先にデータ・テープに書き込まれていたDVDデータ・ストリームの「イメージ」を用いて、作成される。レプリケータを用いることにより、コンテンツ・プロバイダは、マスタ116を「プレスする」ことによって、消費者市場のためにDVDディスクを大量生産することができる。
【0006】
DVDディスク上のデジタル情報は、プログラム・チェーン(PGC)、チャプタ、ピクチャ・グループ(group of pictures = GOP)などのレベルからなる周知の階層ファイル構造に構成されている。これによって、例えば、複数のアスペクト・レシオ、複数の言語トラック及びサブタイトル(字幕)、複数のカメラ・アングル、基本的な形式のパレンタル・コントロール(親によるコントロール)などの多くの望ましい特徴が与えられるだけでなく、オン・スクリーン・ディスプレイ(OSD)と称されるオーバレイされたグラフィクス・ツールを介して、ユーザとの対話性が容易に可能となる。
【0007】
図2は、DVDディスク202を再生する一般的なDVDプレーヤ200のブロック図を示している。ディスク・リーダ機構がプレーヤ200に備えられており、この機構には、ディスク202を回転させるモータ204と、ディスクからデジタル情報を読み出すレーザ206とが備わっている。通常は、レーザ206は、可視光スペクトルの「赤」部分において動作可能である。DVD互換のデジタル信号プロセッサ(DVDDSP)208が、ディスク・リーダ機構のフィードバック部分に設置され、レーザ206から発生されたレーザ・パルスを、電気的な形式に変換する。
【0008】
プレーヤ200の中心部分には、デジタル・オーディオ/ビデオ(AV)デコーダ210が設けられ、DSP208からの電気信号を受け取り更なる処理を施す。AVデコーダ210は、受け取られた電気信号に対して行う種々の処理段階で作用するいくつかの重要な機能ブロックから構成されている。コンポジット信号情報は、まず、デマルチプレクサ212によって分離されて、ビデオ・コンテンツ・ストリームがビデオ・デコーダ214に供給され、圧縮されたビットマップがサブピクチャ・プロセッサ216に供給され、そしてオーディオ・コンテンツ・ストリームがオーディオ・デコーダ218に供給される。サブピクチャ・プロセッサ216は、処理されたサブピクチャ情報をOSDグラフィクス・ツール220に供給する。ビデオ・マルチプレクサ222は、コントロール可能な態様で、ビデオ・デコーダ214からのデコードされたビデオ情報とOSDグラフィクス・ツール220からの出力とを、(例えば、NTSC信号フォーマット又はPAL信号フォーマットと適合性のある)TV信号エンコーダ224に与え、このエンコーダ224が、適切なTV信号を再生のためにTV(図示せず)に供給する。オーディオ・デコーダ218からのデコードされたオーディオ情報は、TVと一体型、又は非一体型のオーディオ・システムに供給される。マイクロコントローラ226が、DVDプレーヤ200の一部として備えられており、その動作を監視する。容易に理解できるように、マイクロコントローラ226は、ユーザ入力をプレーヤ200のオーディオ/ビデオ・デコーダ210及び/又はディスク読み出し機構に対するコマンドに変換するためのリモコン又はフロント・パネル228を介して、ユーザによって操作される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
DVDディスクと適切なプレーヤとから構成されるDVD技術が、従来の媒体と比較して視聴者へのコンテンツ(可視可聴内容)の提供という点で著しい進歩をもたらしたことは明らかである。しかし、同時に、DVDマスタ標準がある程度の時間行われている間に、DVD互換のコンテンツを「タイトル」の形式で供給するコンテンツ・プロバイダが、特定のタイトルのために、様々な利用可能な表現設定を実質的にコントロールしていることが知られている。視聴者が、コンテンツの表現をカスタマイズして自らの異なるニーズや好みに適合させるために、特定のタイトルで利用可能な設定の一部又は全部を変更することを望むならば、ユーザ・フレンドリな態様でそれを行うことができるメカニズムが与えられなければならない。更に、そのようなメカニズムの必要性は、コンバージェンス・デバイスにおいて、特に明らかである。
【0010】
また、DVD技術は、広範囲の選択肢やオプションを視聴者に提供してくれるが、未だに十分な提供がなされていない場合がある。例えば、現在のDVDプレーヤは、視聴者が、例えば、オーディオ言語、サブタイトル言語、ピクチャ・アスペクト・レシオ、スクリーン・セーバのオプション、OSDのオプションなどを含む視聴者のプリファレンスを特定することを許可する点が、制限されている。一般的な実現例では、DVDプレーヤによれば、ユーザのプリファレンスは、基本的には、全体としてのみ特定が可能である。従って、明らかな問題点として、ユーザがほとんどのディスクに対する一群のプリファレンスを好むとしても、特定のディスク又はタイトルに関しては、別の一群のプリファレンスを好む可能性がある。例えば、あるユーザが、通常は、「パン・アンド・スキャン」型のビデオ表現のスタイルを好む場合であっても、例えば、パノラマ型の戦場シーンのような映像を含む特定の映画では、「レター・ボックス」型のアスペクトの方を好むこともある。既存のDVDプレーヤを用いると、その特定のディスクを再生する際には、ユーザは、自分自身の全体としてのプリファレンス設定(値とも称される)を、無効化しなければならない。
【0011】
従来から知られている別の課題として、現在のDVDプレーヤでは、ユーザがディスク又はタイトルの再生を中断し、別のディスクを見た後で、最初のディスクを中断した時点に戻って、その時点から再び最初のディスクの視聴を再開することは極めて困難であることがある。同様に、既存のDVDでは、後に参照するために、あるプログラムの中の好みのシーンを見つけてタイミングを付け、それによって、そのタイトルを後で再生するときにその地点から再開できるようにすることも、そのシーンが、偶然、あるチャプタの初めに位置していない限り、非常に困難である。
【0012】
更に、現在のDVD技術におけるより困難な問題点として、コンテンツ表現の親による管理がある。DVDの仕様によれば、「親による管理を伴う再生」(Playback with Parental Management)と称されるパラメータの定義が与えられ、複数の管理レベル(例えば、子供でも安心(Kid Safe)、劇場レベル(Theatrical)、成人向け(Adult)など)が定義されている。更に、親による管理は、一般的に、ユーザが構成できるプレーヤの親ID値を、あるタイトルに含まれるそれぞれのプログラム・チェーンに通常存在する親IDフィールドに与えられている値と比較することによって、達成される。コンテンツ・プロバイダが親IDフィールドに値を全く供給しない場合や、ユーザが利用できる親レベルに満足できず自分自身の主観的な判断に従ってコンテンツの表現をカスタマイズしようと考える際に、問題が生じることは容易に理解できるであろう。
【0013】
従って、以上の説明に基づくと、当業者であれば、現在のDVD技術のレベルにおけるこれらの課題に向けられた簡単で効果的な解決策が必要であることが理解できるであろう。いくつかのDVDシステムが現時点では存在しているが、この出願において説明され特許請求の範囲に記載された本発明によって奏されるすべての効果と新規な特徴のすべてを有すると考えられるシステムは、存在しない。本発明は、上述の課題を克服するシステム及び方法を効果的に与えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの側面では、本発明は、ディスプレイ・モニタを含むタイプのシステムであって、(1)ディスプレイ・モニタ上で見ることが可能となるプログラム・シーケンスを供給するビデオ・ソースであって、このプログラム・シーケンスは、その表現に影響する少なくとも1つのパラメータによって特徴付けられ、識別タグによって識別可能である、ビデオ・ソースと、(2)ディスプレイ・モニタ上でのプログラム・シーケンスの表現を管理し、記憶ユニットと処理ユニットとを備えているコンピュータ・サブシステムと、(3)コンピュータ・サブシステムによってサポートされ、識別タグと関連付けされたレコードを備えたデータベース構造であって、このレコードは、ユーザによって特定された少なくとも1つの値を含んでおり、プログラム・シーケンスの表現をカスタマイズする、データベース構造と、を備えたシステムに関する。好適実施例では、ユーザによって特定されたこの値は、好みのセッティング、自動再開(auto-resume)ブックマーク又は特定位置ブックマークの中の少なくとも1つを含む。
【0015】
別の側面では、本発明は、不揮発性等の持続性(persistent)を有する記憶ユニットを有するデバイス・システムにおけるプログラム・シーケンスの表現をカスタマイズする方法であって、このプログラム・シーケンスは、その表現に影響する少なくとも1つのパラメータによって特徴付けられる、方法において、(1)識別タグを用いてプログラム・シーケンスを識別するステップと、(2)不揮発性記憶ユニットにおいて、選択された値を含んでおり識別タグと関連付けされたレコードを作成するステップと、を含む方法に関係する。
【0016】
更に別の側面では、本発明は、DVDソースによって供給されるプログラム・シーケンスを検閲する方法であって、(1)ユーザによる第1の入力に応答して、プログラム・シーケンスにおいて第1の位置をマークするステップであって、この第1の位置は、プログラム・シーケンスと関連付けされた開始時間に対して位置決めされる、ステップと、(2)プログラム・シーケンスと関連付けされたプログラム時間をインクリメントするステップと、(3)ユーザによる第2の入力に応答して、プログラム・シーケンスにおいて第2の位置をマークするステップと、(4)第1の位置と第2の位置とに関係付けされた時間値を、記憶媒体によってサポートされておりユーザに対してインデクス付けされたレコードに記憶するステップと、を含む方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術によるDVDマスタリング・システムのブロック図である。
【図2】DVDタイトルを再生する従来技術によるDVDプレーヤのブロック図である。
【図3】本発明に係る、DVDソースを含む例示的なコンバージェンス・デバイス・システムのブロック図である。
【図4】本発明に従ってコンテンツの表現をカスタマイズする方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る、コンテンツの表現をカスタマイズするために用いられるデータベース構造の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る、プログラム・シーケンス又はタイトルのコンテンツを検閲する方式のフローチャートである。
【図7】図6におけるステップ610の詳細な処理のフローチャートである。
【図8】本発明に係る、プログラム・シーケンスにおける複数視聴シーケンスを作成する検閲タイム・データに関係するデータベース構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して本発明を説明するが、同じ又は類似の要素は、複数の図面に亘って、同じ参照番号を用いて指示されている。また、それぞれの要素は、必ずしも寸法通りに描かれてはいない。特に図3において、例示的なコンバージェンス・デバイス・システム(又は、電子コンバージェンス・デバイス)300のブロック図が示されており、そこで、本発明の内容が効果的に実現されている。この技術分野における当業者であれば理解することであるが、このブロック図は、必ずしも、特定のハードウェア・モジュール、特定のデータ、それらの間のコントロール経路などを実際に表してはいない。
【0019】
コンバージェンス・デバイス・システム300は、コンピュータ・サブシステム(第2のサブシステム)315から受け取ったディスプレイ信号(又は、その指示)を受け取り、その上に表示するディスプレイ・モニタ・サブシステム(第1のサブシステム)310を含む。示されてはいないが、サブシステム315は、記憶ユニットに結合されたプロセッサ・ユニットを備えており、更に、好ましくは、コンバージェンス・デバイス・システム300とネットワーク320との間の通信をイネーブルする通信ポートを含む。
【0020】
更に続けて図3を参照すると、ネットワーク320は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、メトロポリタン・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、インターネットなどの任意のネットワークである。コンピュータ・サブシステム315は、様々な組合せのコンポジット、RF、ビデオ、オーディオ、グラフィクス、及び/又はデータ信号を受け取り及び/又は供給するように構成された少なくとも1つのコンバージェンス機能モジュール330に接続されている。例えば、モジュール330は、ケーブル・システム、デジタル衛星システム、ネットワーク・ブロードキャスト媒体などのデジタル又はアナログの任意の媒体を介して、NTSC形式又はPAL形式など任意の形式のTV信号を受信する受信機を備えている。別の実施例では、モジュール330は、TV受信機だけでなくコンピュータ・サブシステム315とも統合されるように構成されたコンシューマ/ホーム・エレクトロニクス・ユニットから構成されている。例えば、ビデオ・ゲーム・ユニットやDVDユニットが、それらのユニットの出力(ビデオ、オーディオ、又はその両方)がコンピュータ・サブシステム315によってコントロールされ変調されるように、供給されている。サブシステム315におけるビデオ・コントローラ・サービスが、これらの出力を管理する役割を果たしており、それによって、適切に変調された(又は、復号化された又は処理された)ディスプレイ信号(又は、その指示)が、例えば、ディスプレイ・モニタ・サブシステム310やオーディオ出力デバイス(図示せず)などの適切な出力デバイスを駆動するように選択され提供される。
【0021】
モジュール330とサブシステム315とは、別個で相互に接続された構成要素として示されているが、本発明の実施例によっては、モジュール330は、サブシステム315の中に統合されている場合もある。そのような統合型のサブシステムは、1つのハウジングの中に、1又は複数のビデオ・ソース(又は、TV信号用受信機、ゲーム・ユニット、VCR、ビデオ/レーザ・ユニット、ビデオ・テレフォニ・ユニットなどを含むコンシューマ/ホーム・エレクトロニクス・ユニット)と、これらのソースの間での管理及び選択を行い適切な出力デバイスに供給される適切なディスプレイ信号(又は、その指示)を発生するビデオ・コントロール・サービスと、プロセッサ及び記憶ユニットとを備えている。
【0022】
更に図3を参照すると、コンバージェンス・デバイス・システム300は、任意の入力デバイス325と共に動作可能である。入力デバイス325は、遠隔コントロール(リモコン)ユニット、遠隔トラックボール/マウス・デバイス、遠隔ポインティング・デバイス、ワイアレス又はワイアード・キーボード、ポインティング・デバイス統合型のキーボード、トラックボールなどを含むことができる。更に、この図には示されていないが、コンバージェンス・デバイス・システム300は、電力を供給する1又は複数のパワー・ユニット、TVチューナ・ボード、CD−ROMプレーヤ、フロッピ・ディスク、プリンタ・ポート、ビデオ・ポートなどのハードウェア・モジュールを含むことができる。
【0023】
図4には、DVD互換なコンテンツの表現をカスタマイズする本発明の内容に従って与えられる方式の好適実施例のフローチャートが示されている。従来技術の項目で説明したように、現在のDVD実現例では、1又は複数のパラメータに関係する修正可能なプリファレンス(preferences)を設定することによって、ユーザがコンテンツをカスタマイズすることは、許容されていない。この技術分野において公知であるように、DVDタイトルの表現又は再生に影響するこれらのパラメータには、オーディオ言語、サブタイトル言語、ピクチャ・アスペクト(例えば、4X3、レター・ボックス、パン及びスキャンなど)、スクリーン・セーバのオプション、OSDのオプションなどが含まれる。本発明の内容によると、例えば図3に示されているコンピュータ・サブシステム315である処理ユニットに関連付けされた持続性すなわち不揮発性の記憶ユニットを用いて、それぞれのDVDディスク又はボリューム(又は、タイトル又はプログラム・シーケンス)に対するユーザによる修正が可能なプリファレンス設定を記憶するデータベース構造を作成することができ、それによって、ディスクが次回にDVDプレーヤに挿入されたときには、そのユーザ・プリファレンスが、DVD互換なコンテンツの表現を変調するように自動的に適用される。DVDプレーヤは、既に図3との関係で述べたように、例えばシステム300などのコンバージェンス・デバイス・システムと一体化することもできる。
【0024】
ステップ402に示したように、DVDタイトル、ボリューム、プログラム・シーケンスは、IDタグを用いて識別されるのが好ましい。IDタグは、少なくとも部分的にはコンテンツ自体に基づく、計算によって発生された値である。好ましくはIDタグに対してインデクス付けされている(ステップ404)1又は複数のレコードが作成され、それによって、その1又は複数のレコードは、コンテンツの表現に影響を与える1又は複数のパラメータに関して、ユーザによって選択される値に対応するようになっている。グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)が、ユーザからのインタラクティブ性を容易にするために与えられ、それによって、1又は複数のユーザ・プリファレンスを、ボリューム又はプログラム・シーケンスの再生の間の任意の時点で、選択的に変更することができる(ステップ406)。これらの修正は、ステップ406で与えられているように、好ましくは、不揮発性(持続性)記憶ユニットの中のボリュームIDタグに関係するレコードに再び書き込まれる。
【0025】
図5は、本発明の内容に従って与えられるデータベース構造の中のレコードの実現例である。この技術分野の当業者であれば理解するように、この一例であるデータベース構造は、任意の既知の態様で実現されており、1又は複数のレコードを含む。更に、複数のレコードを同じディスク・ボリュームIDタグ502にインデクス付けすることもできる。この実施例では、デフォルト設定部分504が、好ましくは与えられており、それによって、ユーザは、GUIにおける適切なオプションを選択することによって、例えばコンバージェンス・デバイス・システム300であるDVDプレーヤ・システムを、ユーザ自身の包括的なプリファレンス(すなわち、すべてのDVDボリュームに適用可能な設定)に戻るように強制することができる。この図から明らかなように、デフォルト設定部分504には、図示されていない既知及び未知の様々なパラメータに加え、例えば、親レベル部分510、言語部分512、アスペクト・レシオ部分514、アングル部分516、サブタイトル言語部分518などが含まれる。更に、種々のプリファレンス値と共に、ユーザは、このデータベースにおいて、位置エントリ(positional entries)を設定することもできる。これらの位置エントリは、ブックマークとも称され、書籍の場合の通常のブックマーク(しおり)と同じ機能をDVDディスクに対して果たす。DVDブックマークは、本発明の内容によれば、好ましくは、特定のディスク又はボリューム上の先にマークされている位置において視聴を再開するのに必要な情報を含む。
【0026】
例えば、ディスク・ボリュームID502に対してインデクス付けされたレコードは、先に設定されたユーザ・プリファレンス部分506と、現在設定されるユーザ・プリファレンス部分508とを有しており、これらは共に、本発明においては、「自動再開ブックマーク」(ARB)520と、「特定位置ブックマーク」(SPB)522とから構成される。ARB520は、ユーザがDVDボリューム又はプログラム・シーケンスを視聴している間に停止(stop)又は取り出し(eject)コマンドを発して、ディスクが取り出されたり再生が停止されたりする前のディスク・ボリュームにおける現在の位置に関して、自動的に設定される位置エントリに関係する。従って、ARB520は、既に視聴したディスク・ボリュームに対してだけ存在する。ユーザが見るのを停止した地点でディスク又はボリュームの視聴を再開することができるようにするという課題は、本発明によるARBを用いることによって、効果的に解決される。ディスク・ボリュームにおいて適切なARBを設定した後で、ユーザは、ディスクをシステムに挿入し、GUIから「再生を再開」(resume play)オプションを単に選択することができる。
【0027】
更に図5を参照すると、この図にはただ1つのSPB522しか図解されていないが、その中に含まれる複数の特定のシーン(または、好きなシーン)をマークするために、1つのディスク・ボリュームに複数のブックマークを設定することができる。これらのシーンは、ディスク・ボリュームのプログラム・シーケンスにおけるチャプタの境界にあるものに限定される必要はない。SPB522は、従って、ユーザが、GUIにおいて、「ブックマーク設定」オプションを発することにより選択される。更に、オプションであるが、ユーザは、選択されたSPBに対する記述的なコマンドを入力することもできる。その後、ブックマークが設定されているディスクを再生する際に、ユーザは、既に設定されているGUIの内部のSPBをブラウズすることができる。特定のSPBが選択されると、それによって指示される位置(アングルなどのパラメータを含み、そのチャプタ、チャプタ内の時刻などに関しての位置)での視聴が再開される。
【0028】
図6及び図7は、本発明の内容に従って、プログラム・シーケンス又はタイトル内で複数の視聴シーケンスを提供することによって、コンテンツの検閲(content censoring)を行う方法の実施例に関するフローチャートを示している。ここに記載された方式は、図3に示されたコンバージェンス・デバイス・システム300などのコンバージェンス型の(converged)プラットフォーム上で実現することができる。
【0029】
タイトル又はボリュームが不適切な親管理情報(parental management information)を含むか、又は、そのような情報を全く含まないと判断した(判断ブロック602、604)後で、必要に応じてコンテンツのいくつかを検閲することを望む、主たるユーザ(通常は、優先的なアクセス特権を有している親)は、プログラム・シーケンス(1又は複数のプログラム・チェーン又はPGCを含む)の最初からスタートする(ステップ608)。リモコン、ポインティング・デバイス、遠隔キーボード、GUIなどを含む様々な機構の組合せを介してのコンバージェンス・デバイス・システム300との対話によって、このユーザは、タイトルのどの部分が、1又は複数の従たるユーザ(例えば、子供たち)による、主たるユーザの承認を受けていないアクセスから制限されるべきであるかを特定する。ステップ610に示されているように、プログラム・シーケンスの開始時間から参照又はインデクス付けされる時間ベースのブックマークのリストを用いて、それぞれの従たるユーザに対する別個の視聴(可視画像)シーケンスが作成される。
【0030】
図7は、この特定のステップ610を、より詳細に拡大したフローチャートである。検閲されるべき材料即ち題材(material)が出てくると(判断ブロック704)、インタラクティブなOSD(IOSD)を用いることにより、検閲モードがオンになる。例えば、リモコン又はキーボード上のキーを押すなど、それ以外のユーザ入力メカニズムを用いることもできる。検閲の開始時間は、オンになっている検閲モードに応答して、ブックマークされる(ステップ706)。主たるユーザが検閲されるべき材料即ち題材が終了したと判断すると(判断ブロック708及びステップ710)、検閲モードはオフになり、これにより、検閲停止時間が、ステップ712に示されているように、ブックマークされる。図には1つの検閲ブロックしか図解されていないが、プログラム・シーケンスの全体を見渡し、検閲モードをオン・オフし、検閲開始時間及び停止時間のブックマークを設定することによって、一人のユーザが複数の検閲ブロックを作成することもできる。そのユーザに対する必要な検閲ブックマークを作成し適切に記憶した後、図6の判断ブロック612に戻り(ステップ714)、更なるユーザに対する検閲プロセスを反復することになる。この実施例では、検閲された領域は、特定のタイトルの開始時間に対して開始及び停止時間値として記録され、そのタイトルの中の検閲された時間周期に対するすべてのアングルに適用される。GUIを用いることにより、ユーザは、検閲されたタイトル部分のリストを、オプションで、検討及び編集することができる。
【0031】
図8を参照すると、コンバージェンス・デバイス・システム300によってサポートされ、特定のディスク・ボリューム(タイトル又はプログラム・シーケンス)802に対してユーザID804にインデクス付けされた検閲タイム・データ・レコード806を記憶するデータ構造に一例が示されている。主たるユーザを含むユーザの数に応じて、複数のユーザIDを、ディスク・ボリューム802に対して作成することができ、それぞれのIDは、特定の検閲タイム・データ・レコード806にインデクス付けされている。図示されているように、検閲体ム・データ・レコード806は、それぞれが検閲開始時間及び検閲停止時間の値を含む、例えば、検閲ブロック808及び810などの1又は複数の検閲ブロックから構成される。
【0032】
ディスク・ボリューム802の検閲済みの再生は、タイトル内の時間をモニタしそれを検閲されたリスト、すなわち、検閲タイム・データ・レコード806と比較することによって、達成される。検閲されたブロックの開始点に達すると、システムは、そのブロックの終点までスキップして、再生を再開する。特権を有している主たるユーザは、GUIを介して、1回の視聴セッションのために、又は、恒久的に、特定のディスクに対する検閲された再生を解除することができる。例えば個人識別番号(PIN)などのアクセス・コントロール方式を、そのような能力を有する特権を有するアクセスをコントロールするのに用いることができる。更に、ユーザは、オプションで、検閲されたブロックの間に、より穏やかである程度同意できるコンテンツを他のソースからもってきて挿入することもできる。
【0033】
以上のように、本発明は、持続性記憶ユニットに記憶されるプリファレンス又は設定データベース構造を効果的に提供することができ、この構造は、その中に含まれるユーザのプリファレンス値に関するレコードが特定のディスク・ボリュームにインデクス付けされているように、自動的にメンテナンスできることがわかる。ユーザがそれまでに設定したプリファレンス値を変更したり無効化したりすることを選択する度に、その変更又は無効化は、データベース構造に記録され、現在のディスク・ボリュームIDタグにインデクス付けされる。従って、そのディスク・ボリュームが次回に挿入されると、1又は複数の新たな値が自動的に適用される。また、位置エントリが、本発明の内容に従って与えられ、前回視聴を停止した時点からの自動的な再開を容易にし、プログラム・シーケンス又はタイトルにおける特定の又は好みの位置からの再生を選択することができる。本発明は、また、コンテンツ表現のより個別化された親による管理を容易にするために、(成人を含む)異なるユーザに対する様々な視聴シーケンス即ち可視画像(viewing)シーケンスから構成される検閲タイム・データベースを与えることがわかる。この可視画像シーケンスは、制限されるべき材料にタグを付ける時間指定されたブックマークに基づき、このブックマークは、プログラム・シーケンスの任意の場所に配置することができる。従って、検閲ブロック又はセグメントは、PGCの終了又は開始と時間的に一致する必要はない。
【0034】
以上では、本発明の実施例を添付の図面において図解し詳細な説明において説明しただけであるから、本発明は、ここで開示された実施例には限定されず、冒頭の特許請求の範囲によって画定され定義される本発明の技術思想から離れることなく、多数の再構成、修正、代替が可能である。例えば、詳細な説明ではコンバージェンス・デバイス・システムに関して述べたが、本発明の内容は、適切なアダプタ又は拡張カードを備えたコンピュータ・システムにおいても実現できることを理解すべきである。更に、本発明によるデータベース構造をサポートするのに用いられる不揮発性即ち持続性記憶装置は、磁気的、光学的、光エレクトロニクス、電子的なメモリ素子を含む。プリファレンス・データと検閲タイム・データとは、様々なレコード及びデータ・タイプで構成できる。検閲開始及び停止時間ブックマークは、1つのプログラム・シーケンスに対して、又は相互に関連付けされた開始時間からずれていてもよい。従って、これらの及びそれ以外の変更点も、本発明の範囲内に属すると考えられ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ・モニタを含むシステムであって、
前記ディスプレイ・モニタ上で見ることが可能となるプログラム・シーケンスであって、該プログラム・シーケンスのプレゼンテーションのユーザによるカスタマイズのための識別タグに関連付けられた少なくとも1つのパラメータを含んでいるプログラム・シーケンスを供給するビデオ・ソースと、
記憶ユニットと処理ユニットとを備え、前記ディスプレイ・モニタ上の前記プログラム・シーケンスのプレゼンテーションの再生を管理するコンピュータ・サブシステムと
を備え、
前記記憶ユニットは、前記コンピュータ・サブシステムによってサポートされ、前記識別タグと関連付けされたレコードを備えたデータベース構造を格納しており、前記識別タグは、前記記憶ユニットに記憶された1又は複数の値であって、前記プログラム・シーケンスの前記パラメータのそれぞれを表しかつユーザによって特定される値を識別するものであり、前記パラメータは、言語、アングル、及びペアレンタル制御レベルの少なくとも1つを含んでおり、
前記処理ユニットは、前記識別タグのユーザにより特定された値に応じて、前記プログラム・シーケンスのプレゼンテーションをカスタマイズするよう構成されており、
前記レコードは、少なくとも1つの自動再開ブックマーク値を含んでおり、
前記処理ユニットは、前記プログラム・シーケンスの再生の中断が生じたときに、再生が中断された位置を示すために前記自動再開ブックマークを記憶し、かつ、後に該自動再開ブックマーク値が示す位置から再生の再開始をするよう制御するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記ビデオ・ソースは、デジタル・バーサタイル/ビデオ・ディスク(DVD)とそのための再生ユニットとを備えており、ユーザによって特定された前記プログラム・シーケンスは、オーディオ言語、サブタイトル言語、及び画像アスペクト・レシオの少なくとも1つのパラメータに関係することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のシステムにおいて、前記コンピュータ・サブシステムは、ユーザ入力デバイスとグラフィック・ユーザ・インターフェースとを用いて動作可能であり、それにより、前記レコードの少なくとも一部分が、ユーザによって修正可能であることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載のシステムにおいて、
前記レコードは、前記プログラム・シーケンスの第1の位置及び該第1の位置よりも後ろの第2の位置にマークを付与するための第1及び第2の検閲ブックマークを含み、該第1及び第2の検閲ブックマークは、アクセス権限を有するユーザによって指定及び修正が可能であり、
前記処理ユニットは、前記アクセス権限を有するユーザ以外のユーザが前記プログラム・シーケンスの再生中に、前記第1の検閲ブックマークを検出した場合、前記第1の位置から第2の位置までの再生を阻止するよう構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1〜3いずれかに記載のシステムにおいて、
前記レコードの前記ユーザによって特定される値は、前記プログラム・シーケンスにおいて所定の位置をマークする特定位置ブックマークであって、前記プログラム・シーケンスの再生が、後の時点において前記所定の位置から再開されるようにするための特定位置ブックマークであることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項4記載のシステムにおいて、前記第1及び第2の検閲ブックマークは、時間及びユーザ索引値に関連付けて記憶されることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−117033(P2009−117033A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45121(P2009−45121)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【分割の表示】特願平10−277893の分割
【原出願日】平成10年9月30日(1998.9.30)
【出願人】(508276936)ヒューレット−パッカード・ディベロップメント・カンパニー・エルピー (1)
【Fターム(参考)】