説明

ディスプレイ装置、及びプログラム

【課題】使用者に意識させることなく、複数のディスプレイ間で輝度やカラーバランスを容易に揃える。
【解決手段】処理部は、スタイル検出部により筐体が閉じられたことが検出されると、各バックライトのLED電流を最大にしてバックライト出力輝度を最大にし、それぞれの液晶ディスプレイ1、2における赤・緑・青の最大輝度をカラーフォトセンサ6、7で測定し、目標の輝度に合致するようにLED電流を低減することで、液晶ディスプレイ1、2の最大輝度を補正する。処理部は、調整用画像として赤・緑・青をそれぞれの最大〜中間〜最小と変化させながらカラーフォトセンサ6、7で輝度を測定し、目標のガンマカーブに合うようにガンマ補正テーブルを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のディスプレイを備える折畳型のディスプレイ装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディスプレイを備えるディスプレイ装置においては、経年変化によりディスプレイの輝度やカラーバランスが劣化してしまうため、ディスプレイの輝度やカラーバランスを測定して補正する技術が知られている。
【0003】
例えば、ディスプレイとキーボードを備えた折畳型のディスプレイ装置において、ディスプレイ側の表示パネルを閉じた状態で、電源スイッチを入れると、キーボード側に配備された輝度センサによりディスプレイの透過量を測定し、ディスプレイのコントラストが最大になるように自動調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、折り曲げ可能な表示装置においては、テストパターンを表示させ、それをカメラで撮影して色度や輝度を測定し、測定された値に基づいて、バックライトを含めた表示の補正を行う技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
ところで、近年、携帯性を損なうことなく、大量の情報を表示するため、複数のディスプレイを備える折畳型のマルチディスプレイ装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。該マルチディスプレイ装置は、角度調整機構により回動可能に取り付けられた第1のディスプレイ装置と第2のディスプレイ装置とを備え、それぞれに独立の画像を表示させることが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−333581号公報
【特許文献2】特開2001−350428号公報
【特許文献3】特開2005−037747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した複数のディスプレイを備える折畳型のマルチディスプレイ装置では、特に、複数のディスプレイで使用頻度が異なる場合には、経年変化によりディスプレイの輝度やカラーバランスがディスプレイ間で異なってしまったり、異なる特性のディスプレイを用いた場合や、ディスプレイを交換した場合などには、ディスプレイの輝度やカラーバランスがディスプレイ間で異なるという問題があった。このように、ディスプレイ間で輝度やカラーバランスが異なると、使用者に不快感を与えるという問題がある。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1、2による従来技術では、単一のディスプレイのコントラストや、色度、輝度を補正することは考慮されているものの、複数のディスプレイ間で輝度やカラーバランスを調整するものはなかった。
【0009】
特に、特許文献2による従来技術では、表示装置にテストパターンを表示させ、それをカメラで撮影して色度や輝度を測定する必要があり、補正のための準備や測定に手間がかかるとともに、使用者に目障りな調整用の画面を見せるなど、調整中であることを意識させてしまうという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、使用者に意識させることなく、複数のディスプレイ間で輝度やカラーバランスを容易に揃えることができるディスプレイ装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明は、第1のディスプレイが配設された第1の筐体と第2のディスプレイが配設された第2の筐体とを回動可能にヒンジで接続した折畳型のディスプレイ装置であって、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれた否かを検出するスタイル検出手段と、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて折り畳んだ状態で、前記第2のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第2のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方を測定する第1の検出手段と、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて折り畳んだ状態で、前記第1のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第1のディスプレイの輝度ととカラーバランスとのいずれか一方または双方を測定する第2の検出手段と、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方と前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方とが合致するように、前記第1のディスプレイの最大輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方と前記第2のディスプレイの最大輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方とを補正する補正手段とを備えることを特徴とするディスプレイ装置である。
【0012】
また、好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記補正手段は、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを最大輝度にした状態で、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度が目標の輝度に合致するように前記第1のディスプレイの最大輝度を低減し、前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度が前記目標の輝度に合致するように前記第2のディスプレイの最大輝度を低減するようにしてもよい。
【0013】
また、好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記補正手段は、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを最大輝度にした状態で、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度と前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とを比較し、より低輝度のディスプレイの輝度に合致するように、より高輝度のディスプレイの最大輝度を低減するようにしてもよい。
【0014】
また、好ましい態様として、例えば請求項4記載のように、請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ装置において、前記補正手段によって、前記第1のディスプレイの輝度と前記第2のディスプレイの輝度とを補正した際に、輝度をより低減した側のディスプレイを使用ディスプレイに設定する使用ディスプレイ設定手段と、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが展開されたことが検出されると、前記使用ディスプレイ設定手段により使用ディスプレイに設定されたディスプレイを表示に使用し、前記使用ディスプレイに設定されなかったディスプレイを非使用とする制御手段とを更に備えるようにしてもよい。
【0015】
また、好ましい態様として、例えば請求項5記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載のディスプレイ装置において、前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイのカラーバランスと前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイのカラーバランスとを、目標のカラーバランスに合致するように補正するカラーバランス補正手段を更に備えるようにしてもよい。
【0016】
また、上記目的達成のため、請求項6記載の発明は、第1のバックライトを有する第1のディスプレイが配設された第1の筐体と第2のバックライトを有する第2のディスプレイが配設された第2の筐体とを回動可能にヒンジで接続した折畳型のディスプレイ装置であって、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれた否かを検出するスタイル検出手段と、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳んだ状態で、前記第2のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第2のディスプレイの輝度を測定する第1の検出手段と、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳んだ状態で、前記第1のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第1のディスプレイの輝度を測定する第2の検出手段と、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度と記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とが合致するように、前記第1のバックライトへの駆動電流と前記第2のバックライトへの駆動電流とを補正する補正手段とを備えることを特徴とするディスプレイ装置である。
【0017】
また、好ましい態様として、例えば請求項7記載のように、請求項6に記載のディスプレイ装置において、前記補正手段は、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第1のバックライトと前記第2のバックライトとを最大輝度にした状態で、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度が目標の輝度に合致するように前記第1のバックライトへの駆動電流を低減し、前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度が前記目標の輝度に合致するように前記第2のディスプレイの駆動電流を低減するようにしてもよい。
【0018】
また、好ましい態様として、例えば請求項8記載のように、請求項6に記載のディスプレイ装置において、前記補正手段は、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第1のバックライトと前記第2のバックライトとを最大輝度にした状態で、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度と前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とを比較し、より低輝度のディスプレイの輝度に合致するように、より高輝度のディスプレイに対応するバックライトへの駆動電流を低減するようにしてもよい。
【0019】
また、好ましい態様として、例えば請求項9記載のように、請求項6乃至8のいずれかに記載のディスプレイ装置において、前記補正手段によって、前記第1のバックライトの駆動電流と前記バックライトの駆動電流とを補正した際に、輝度をより低減するように駆動電流を補正した側のディスプレイを使用ディスプレイに設定する使用ディスプレイ設定手段と、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが展開されたことが検出されると、前記使用ディスプレイ設定手段により使用ディスプレイに設定されたディスプレイと対応するバックライトとを表示に使用し、前記使用ディスプレイに設定されなかったディスプレイと対応するバックライトとを非使用とする制御手段とを更に備えるようにしてもよい。
【0020】
また、好ましい態様として、例えば請求項10記載のように、請求項6乃至9のいずれかに記載のディスプレイ装置において、前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度から得られるカラーバランスと前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度から得られるカラーバランスとを、目標のカラーバランスに合致するように補正するカラーバランス補正手段を更に備えるようにしてもよい。
【0021】
また、上記目的達成のため、請求項11記載の発明は、第1のディスプレイが配設された第1の筐体と第2のディスプレイが配設された第2の筐体とを回動可能にヒンジで接続した折畳型のディスプレイ装置のコンピュータに、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれた否かを検出するスタイル検出手機能、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて折り畳んだ状態で、前記第2のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第2のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方を測定する第1の検出機能、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて折り畳んだ状態で、前記第1のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第1のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方を測定する第2の検出機能、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度或いはカラーバランスと前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方とが合致するように、前記第1のディスプレイの最大輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方と前記第2のディスプレイの最大輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方とを補正する補正機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0022】
また、上記目的達成のため、請求項12記載の発明は、第1のバックライトを有する第1のディスプレイが配設された第1の筐体と第2のバックライトを有する第2のディスプレイが配設された第2の筐体とを回動可能にヒンジで接続した折畳型のディスプレイ装置のコンピュータに、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれた否かを検出するスタイル検出機能、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳んだ状態で、前記第2のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第2のディスプレイの輝度を測定する第1の検出機能、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳んだ状態で、前記第1のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第1のディスプレイの輝度を測定する第2の検出機能、前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度と記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とが合致するように、前記第1のバックライトへの駆動電流と前記第2のバックライトへの駆動電流とを補正する補正機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、使用者に意識させることなく、複数のディスプレイ間で輝度やカラーバランスを容易に揃えることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態によるディスプレイ装置の外観及び使用状態を示す模式図である。
【図2】本第1実施形態によるディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本第1実施形態によるディスプレイ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本第1実施形態によるディスプレイ装置の動作を説明するための概念図である。
【図5】本第2実施形態によるディスプレイ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明のディスプレイ装置の他の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
A.第1実施形態
A−1.第1実施形態の構成
図1(a)〜(d)は、本発明の第1実施形態によるディスプレイ装置の外観及び使用状態を示す模式図である。図において、ディスプレイ装置は、2つの液晶ディスプレイ1、2を備え、液晶ディスプレイ1、2は、ヒンジ3を介した第1の筐体4と第2の筐体5とにそれぞれ配置されている。ヒンジ3は、360°回転できるようになっており、図1(a)に示すように、液晶ディスプレイ1、2が内側になるように、ヒンジ3を0°に折り畳む「閉じた」状態が非使用時である。そして、使用時には、図1(b)に示すように、「閉じた」状態から、ヒンジ3を180°に「開いた」状態にして、両方の液晶ディスプレイ1、2を同時に使用したり、図1(c)に示すように、液晶ディスプレイ1が外側になるように、ヒンジ3を360°にさらに「開いた」状態として、一方の液晶ディスプレイ1だけを使用したりすることができるようになっている。
【0027】
また、液晶ディスプレイ1、2の横には、ヒンジ3を0°に折り畳む「閉じた」状態で、対向する液晶ディスプレイ1、2の一部に対向する位置にカラーフォトセンサ6、7が配設されている。つまり、図1(d)に示すように、ディスプレイ装置のヒンジ3が0°の「閉じた」状態において、液晶ディスプレイ1と液晶ディスプレイ2とは、横方向にずれた状態で対向する。第1の筐体4側のカラーフォトセンサ6は、液晶ディスプレイ2のずれた部分に対向し、第2の筐体5側のカラーフォトセンサ7は、液晶ディスプレイ1のずれた部分に対向するようになっている。言い換えると、液晶ディスプレイ1と液晶ディスプレイ2とは、それぞれの筐体4、5の中心から横方向に若干ずれて配設されている。なお、ディスプレイ装置を「閉じた」状態においては、液晶ディスプレイ1、2からの光が外部へ漏れず、カラーフォトセンサ6、7に外部からの光が入射しないような構造を採用する。
【0028】
図2は、本第1実施形態によるディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。図において、第1の筐体4には、液晶ディスプレイ1、バックライト8、ディスプレイ制御部9、メモリ10、スタイル検出部11、処理部12、カラーフォトセンサ6を備えている。また、第2の筐体5には、液晶ディスプレイ2、バックライト13、ディスプレイ制御部14、メモリ15、カラーフォトセンサ7を備えている。
【0029】
液晶ディスプレイ1、2は、各々、同一方式、あるいは異なる方式のディスプレイである。バックライト8、13は、各々、対応する液晶ディスプレイ1、2の裏側に配置されており、光源として、点灯用の回路も含めて簡易で小型にできるよう、白色LEDを用いている。ディスプレイ制御部9、14は、処理部12からの制御に従って、液晶ディスプレイ1、2、バックライト8、13を駆動する。
【0030】
ディスプレイ制御部9、14は、各々、メモリ10、15に格納されているガンマ補正テーブルの内容に従って、ガンマ補正を行い、液晶ディスプレイ1、2への表示制御を行う。また、ディスプレイ制御部9、14は、各々、バックライト8、13の輝度も制御しており、処理部12からバックライト輝度が指定されると、メモリ10、15に格納されているバックライト輝度−LED電流テーブルに従い、バックライト8、13へ供給するLED電流を調整する。
【0031】
メモリ10、15は、各々、上述したように、液晶ディスプレイ1、2の表示に対してガンマ補正を行うためのガンマ補正テーブル、及びバックライト8、13の輝度を制御するためのバックライト輝度−LED電流テーブルを記憶している。
【0032】
スタイル検出部11は、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態、あるいはヒンジ3が0°の「閉じた」状態を検出する。カラーフォトセンサ6、7は、各々、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態からヒンジ3が0°の「閉じた」とき、すなわち、液晶ディスプレイ1、2が対面する状態になると、対向する液晶ディスプレイ1、2の赤・緑・青の輝度を測定する。すなわち、ヒンジ3が0°の「閉じた」状態になったとき、カラーフォトセンサ6は、第2の筐体5側に配置されている液晶ディスプレイ2の赤・緑・青の輝度を測定し、カラーフォトセンサ7は、第1の筐体4側に配置されている液晶ディスプレイ1の赤・緑・青の輝度を測定する。このとき、バックライト8、13は点灯され、液晶ディスプレイ1、2の透過率は最大となっている。
【0033】
処理部12は、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態においては、液晶ディスプレイ1、2に表示すべきデータを、それぞれのディスプレイ制御部9、14に供給する。このとき、ディスプレイ制御部9、14は、各々、メモリ10、15に格納されているバックライト輝度−LED電流テーブルに従って、バックライト8、13にLED電流を供給するとともに、メモリ10、15に格納されているガンマ補正テーブルの内容に従って、ガンマ補正を行い、ガンマ補正を行った表示データを液晶ディスプレイ1、2に送信する。
【0034】
また、処理部12は、ヒンジ3が0°の「閉じた」状態になったとき、バックライト8、13を点灯し、かつ液晶ディスプレイ1、2の透過率を最大とした補正用画像を、それぞれのディスプレイ制御部9、14に供給し、ディスプレイ制御部9、14により液晶ディスプレイ1、2に表示される補正用画像に基づいてカラーフォトセンサ6、7で測定される液晶ディスプレイ1、2の赤・緑・青の輝度に従って、2つのバックライト8、13の輝度(LED電流)を調整して上記バックライト輝度−LED電流テーブルを作成する。また、処理部12は、上記バックライト輝度−LED電流テーブルの作成後、液晶ディスプレイ1、2の赤・緑・青をそれぞれの最大〜中間〜最小(255〜0)と変化させる調整用画像を、それぞれのディスプレイ制御部9、14に供給し、ディスプレイ制御部9、14により液晶ディスプレイ1、2に表示される補正用画像に基づいてカラーフォトセンサ6、7で測定される液晶ディスプレイ1、2の赤・緑・青の輝度に従って、ガンマ補正を行うためのガンマ補正テーブルを作成する。
【0035】
バックライト8、13に用いる白色LEDは、経年変化が大きく、使用時間とともに、輝度/カラーバランスが変化してしまう。どちらか一方の液晶ディスプレイだけを使用する頻度が多いと、2つの液晶ディスプレイ1、2の使用時間の違いが大きくなり、結果として、2つの液晶ディスプレイ1、2間の輝度の違いやカラーバランスの違いも大きくなる。
【0036】
そこで、本第1実施形態では、液晶ディスプレイ1、2を備えるディスプレイ装置において、筐体を折り畳んだときに、各々の液晶ディスプレイ1、2と対向するようにカラーフォトセンサ6、7を配置しておき、折り畳まれた際に、液晶ディスプレイ1、2毎に補正用画像を表示し、対向するカラーフォトセンサ6、7で赤・緑・青の輝度を測定し、液晶ディスプレイ1、2間の輝度、カラーバランスを揃えるように、互いのメモリ10、15に記憶されているバックライト輝度−LED電流テーブルとガンマ補正のテーブルとを更新する。
【0037】
このように、折り畳まれた際に補正を行うことで、使用者に補正用画像を見せることなく、常時、気づかれることなく、液晶ディスプレイ1、2の輝度、カラーバランスを揃えることができる。また、液晶ディスプレイ1、2に跨って1つの連続した表示データを表示する場合にも、ほぼ同一の輝度、カラーバランスで表示することができる。さらに、バックライト8、13の輝度だけでなく、液晶ディスプレイ1、2のパネル透過率、カラーフィルタ等の特性も合わせて補正するため、異なる方式のディスプレイであっても補正可能としている。
【0038】
なお、上述した本発明の構成では、バックライト8、13を必要とする液晶ディスプレイ1、2を用いたが、これに限らず、例えば、有機ELディスプレイのように、ディスプレイ自体が発光するディスプレイであってもよい。この場合、バックライトの駆動電流を補正するのではなく、ディスプレイ自体の輝度を制御するための制御信号を補正すればよい。
【0039】
A−2.第1実施形態の動作
次に、上述した第1実施形態の動作について説明する。
図3は、本第1実施形態によるディスプレイ装置の動作を説明するためのフローチャートである。まず、スタイル検出部11は、ヒンジ3の状態(角度)からディスプレイ装置のスタイルを検出し(ステップS10)、処理部12は、スタイル検出部11による検出結果に基づいて、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態から0°の「閉じた」状態になったか否か、すなわち、筐体が折り畳まれたか否かを判断する(ステップS12)。
【0040】
そして、筐体が折り畳まれていない場合には(ステップS12でNO)、スタイル検出部11による検出結果に基づいて、ヒンジ3が0°の「閉じた」状態であるか否か、すなわち折り畳まれた状態であるか否かを判断する(ステップS14)。ここで、ヒンジ3が0°の「閉じた」状態でない場合、すなわち筐体が展開された場合には(ステップS14でNO)、ディスプレイ制御部9、14は、各々、メモリ10、15に格納されているバックライト輝度−LED電流テーブルの内容に従って、バックライト8にLED電流を供給して点灯し(ステップS16)、ガンマ補正テーブルの内容に従ってガンマ補正を行い(ステップS18)、表示データを液晶ディスプレイ1、2に表示する(ステップS20)。以降、筐体が「開いた」状態においては、上述したステップS10〜S20を繰り返し実行する。
【0041】
一方、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態から0°の「閉じた」状態になった場合、すなわち、筐体が折り畳まれた場合には(ステップS12のYES)、ディスプレイ制御部9、14によるガンマ補正を停止し、処理部12は、各バックライト8、13のLED電流を最大にしてバックライト出力輝度を最大にし(ステップS22)、それぞれの液晶ディスプレイ1、2における赤・緑・青の最大輝度をカラーフォトセンサ6、7で測定する(ステップS24)。そして、測定結果のうち、目標のカラーバランスと比較して最も輝度の低い(最も目標値に近い)色が目標のカラーバランスの対応する色に合致するように、LED電流を低減することで液晶ディスプレイ1、2の最大輝度を補正する(ステップS26)。
【0042】
例えば、液晶ディスプレイ1側においては、赤(R)、緑(G)、青(B)、それぞれの測定値のうち、図4(a)の左側に示すように、緑(G)の輝度が他の色(赤:R、青:B)に比べて低い(最も目標値に近い)ので、図4(b)の左側に示すように、最も輝度の低い緑(G)が目標の輝度に合致するように、LED電流を低減してバックライト8の輝度を補正する。
【0043】
同様に、液晶ディスプレイ2側においては、赤(R)、緑(G)、青(B)、それぞれの測定値のうち、図4(a)の右側に示すように、青(B)の輝度が他の色(赤:R、緑:G)に比べて低い(最も目標の輝度に近い)ので、図4(b)の右側に示すように、最も輝度の低い青(B)が目標の輝度に合致するように、LED電流を低減してバックライト13の輝度を補正する。
【0044】
なお、目標のカラーバランスにおける各色の最大輝度は、カラーフォトセンサ6、7で測定した液晶ディスプレイ1、2の各色の輝度より、常時、低くなければならないため、使用時間の経過に応じて徐々に低くなるように変更することが好ましい。
【0045】
そして、ディスプレイ制御部9、14は、ステップS24で補正したそれぞれのLED電流を、バックライト輝度−電流テーブルとして、それぞれのメモリ10、15に保存する(ステップS28)。
【0046】
バックライト8、13のLED電流を調整しただけでは、液晶ディスプレイ1、2のカラーバランスは補正できないので、次に、調整用画像として赤・緑・青をそれぞれの最大〜中間〜最小(255〜0)と変化させながらカラーフォトセンサ6、7で輝度を測定し、目標のガンマカーブに合うように(カラーバランスを保持しながら)、ガンマ補正テーブルを作成する(ステップS30)。調整用画像は、処理部12で扱っている色空間に従うが、典型的な例として、RGB24ビット色空間の場合、赤(R,0,0)、緑(0,G,0)、青(0,0,B)となる。
【0047】
例えば、液晶ディスプレイ1の場合には、図4(c)の左側に示すように、LED輝度補正後のLCD特性を、最も輝度の低い色(図示の例では、緑(G))のLCD特性を基準に目標のガンマカーブに補正することで、目標のカラーバランスが保持された、液晶ディスプレイ1に対するガンマ補正テーブルを作成する。同様に、液晶ディスプレイ2の場合には、図4(c)の右側に示すように、LED輝度補正後のLCD特性を、最も輝度の低い色(図示の例では、青(B))のLCD特性を基準に目標のガンマカーブに補正することで、目標のカラーバランスが保持された、液晶ディスプレイ2に対するガンマ補正テーブルを作成する。
【0048】
このように、目標のカラーバランスと比較して最も輝度の低い色に合わせてLED電流を低減することによってバックライト8、13の白色LEDの輝度を補正し、該LED輝度補正後のLCD特性を、最も輝度の低い色のLCD特性を基準に目標のガンマカーブに補正することで、液晶ディスプレイ1、2間の輝度、カラーバランスを揃えることができる。
【0049】
そして、ステップS28で作成した各ガンマ補正テーブルをそれぞれのメモリ10、15に保存する(ステップS32)。なお、目標のカラーバランス、ガンマカーブは、バックライト8、13の輝度の所定の分解能(例えば、5段階)毎に、補正は、2つの液晶ディスプレイ1、2で別々に行う。上述した一連の補正処理により、最終的にバックライト輝度−LED電流テーブルとガンマ補正テーブルとが更新されることになる。補正が終了すると、処理部12、及びディスプレイ制御部9、14は、低消費電力モードに移行する(ステップS34)。つまり、液晶ディスプレイ1、2を消灯する。
【0050】
また、ヒンジ3が0°の「閉じた」状態、すなわち折り畳まれた状態が続いている場合には(ステップS14でYESの場合)、ステップS34に進み、液晶ディスプレイ1、2を消灯する低消費電力モードへ移行する。
【0051】
次に、スタイル検出部11が、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態、すなわち筐体が展開された状態を再び検出すると(ステップS14のNO)、ディスプレイ制御部9、14は、各々、上述したステップS16〜S20で、メモリ10、15に格納されている更新されたバックライト輝度−LED電流テーブルの内容に従って、バックライト8にLED電流を供給して点灯し、ガンマ補正テーブルの内容に従ってガンマ補正を行うので、上記補正が反映される。
【0052】
なお、筐体が展開された状態でも、操作されない場合などが所定時間以上継続すると、自動的にステップS34の低消費電力モードへ移行するようにしてもよい。そして、低消費電力モードで、何らから操作が行われると、上述したステップS16〜S20へ進むことになる。
【0053】
上述した第1実施形態によれば、使用者に補正用画像を見せることなく、常時、気づかれることなく、液晶ディスプレイ1、2間の輝度、カラーバランスを揃えることができる。これにより、液晶ディスプレイ1、2に跨って1つの連続した表示データを表示する場合にも、輝度、カラーバランスが連続するように表示することができる。さらに、バックライト8、13の白色LEDだけでなく、パネル透過率、カラーフィルタ等の特性も合わせて補正するため、異なる方式のディスプレイであっても補正することができる。
【0054】
なお、上述した第1実施形態では、バックライト8、13のLED電流を最大にしてバックライト出力輝度を最大にし、赤・緑・青の最大輝度をカラーフォトセンサ6、7で測定し、測定結果において、目標のカラーバランスと比較して最も輝度の低い色に合わせてLED電流を低減することで液晶ディスプレイ1、2の最大輝度を補正したが、これ以外に、カラーフォトセンサ6により測定された液晶ディスプレイ2の輝度と、カラーフォトセンサ7により測定された液晶ディスプレイ1の輝度とを比較し、低輝度側の液晶ディスプレイの輝度に高輝度側の液晶ディスプレイの輝度が合致するように、高輝度側の液晶ディスプレイに対応するバックライトへのLED電流を低減することで、液晶ディスプレイ1、2の最大輝度を補正してもよい。
【0055】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、ディスプレイ装置の構成、構造は、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。本第2実施形態では、2つの液晶ディスプレイ1、2を備えるディスプレイ装置において、筐体や、部品配置を左右上下で対称にし、液晶ディスプレイ1、2のどちらを使用しても操作感が変わらないようにする。また、液晶ディスプレイ1、2の表示データを入り替えて逆さにすることもでき、筐体を逆さにして使用しても操作感が変わらないようになっている。
【0056】
前述した第1実施形態と同様に、筐体が折り畳まれたときに、2つの液晶ディスプレイ1、2の最大バックライト輝度を測定し、どちらのバックライトの劣化が少ないかを判定する。筐体が折り畳まれているなどの低消費電力モードから、展開されたなどの起動要因が発生したとき、起動時の表示データは、バックライトの劣化が少ない側の液晶ディスプレイだけを使用して表示し、他方を消灯することで、2つのバックライト8、13の劣化のバラツキを抑えることができる。
【0057】
B−1.第2実施形態の動作
次に、上述した第2実施形態の動作について説明する。
図5は、本第2実施形態によるディスプレイ装置の動作を説明するためのフローチャートである。まず、スタイル検出部11は、ヒンジ3の状態(角度)からディスプレイ装置のスタイルを検出し(ステップS40)、処理部12は、スタイル検出部11による検出結果に基づいて、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態から0°の「閉じた」状態になったか否か、すなわち、筐体が折り畳まれたか否かを判断する(ステップS42)。
【0058】
そして、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態から0°の「閉じた」状態になった場合、すなわち、筐体が折り畳まれた場合には(ステップS42でYES)、前述した第1実施形態のステップS22〜S34と同様に、ステップS52〜S66を実行する。すなわち、ディスプレイ制御部9、14によるガンマ補正を停止し、処理部12は、各バックライト8、13のLED電流を最大にしてバックライト出力輝度を最大にし(ステップS52)、それぞれの液晶ディスプレイ1、2における赤・緑・青の最大輝度をカラーフォトセンサ6、7で測定する(ステップS54)。
【0059】
そして、測定結果のうち、目標のカラーバランスと比較して最も輝度の低い色(最も目標値に近い)が目標のカラーバランスの対応する色に合致するように、各バックライト8、13のLED電流を低減することで液晶ディスプレイ1、2の最大輝度を補正する(ステップS56)。
【0060】
なお、目標のカラーバランスにおける各色の最大輝度は、上述した第1実施形態と同様に、カラーフォトセンサ6、7で測定した液晶ディスプレイ1、2の各色の輝度より、常時、低くなければならないため、使用時間の経過に応じて徐々に低くなるように変更することが好ましい。
【0061】
そして、ディスプレイ制御部9、14は、ステップS56で補正したそれぞれのLED電流を、バックライト輝度−電流テーブルとして、それぞれのメモリ10、15に保存する(ステップS58)。
【0062】
バックライト8、13のLED電流を調整しただけでは、液晶ディスプレイ1、2のカラーバランスは補正できないので、次に、調整用画像として赤・緑・青をそれぞれの最大〜中間〜最小(255〜0)と変化させながらカラーフォトセンサ6、7で輝度を測定し、目標のガンマカーブに合うように(カラーバランスを保持しながら)、ガンマ補正テーブルを作成する(ステップS60)。調整用画像は、処理部12で扱っている色空間に従うが、典型的な例として、RGB24ビット色空間の場合、赤(R,0,0)、緑(0,G,0)、青(0,0,B)となる。
【0063】
そして、ステップS60で作成した各ガンマ補正テーブルをそれぞれのメモリ10、15に保存する(ステップS62)。なお、目標のカラーバランス、ガンマカーブは、バックライト8、13の輝度の所定の分解能(例えば、5段階)毎に、補正は、2つの液晶ディスプレイ1、2で別々に行う。上述した一連の補正処理により、最終的にバックライト輝度−LED電流テーブルとガンマ補正テーブルとが更新されることになる。
【0064】
さらに、本第2実施形態では、上記バックライト8、13のLED電流を調整する際に、LED電流をより低減した方の液晶ディスプレイを表示ディスプレイに設定する(ステップS64)。以下、液晶ディスプレイ1が表示ディスプレイに設定されたものとして説明する。そして、補正が終了すると、処理部12、及びディスプレイ制御部9、14は、液晶ディスプレイ1、2を消灯し、低消費電力モードに移行する(ステップS66)。
【0065】
一方、筐体が折り畳まれていない場合には(ステップS42のNO)、スタイル検出部11による検出結果に基づいて、ヒンジ3が0°の「閉じた」状態であるか否か、すなわち折り畳まれた状態であるか否かを判断する(ステップS44)。そして、ヒンジ3が0°の「閉じた」状態、すなわち折り畳まれた状態が続いている場合には(ステップS44でYES)、ステップS66に進み、液晶ディスプレイ1、2を消灯する低消費電力モードへ移行する。
【0066】
一方、スタイル検出部11が、ヒンジ3が0°以外の「開いた」状態、すなわち筐体が展開された状態を検出すると(ステップS44のNO)、表示ディスプレイに設定された液晶ディスプレイ1に対応するディスプレイ制御部9が、メモリ10に格納されているバックライト輝度−LED電流テーブルの内容に従って、対応するバックライト8にLED電流を供給して点灯する(ステップS46)。
【0067】
次に、表示ディスプレイに対応するディスプレイ制御部9は、メモリ10に格納されているガンマ補正テーブルの内容に従ってガンマ補正を行い(ステップS48)、表示データを表示ディスプレイに設定された液晶ディスプレイ1に表示する(ステップS50)。
【0068】
ディスプレイ装置は、「閉じている」ときや、「開いている」ときも、長時間使用されなかったときは、低消費電力モードになっており、2つの液晶ディスプレイ1、2を消灯している。そして、スタイル検出部11が「開いた」ことを検出すると、低消費電力モードから起動して液晶ディスプレイにメニューなどの起動時の表示データを表示する。このとき、起動時の表示データは、バックライトの劣化が少ないと判定された側の液晶ディスプレイだけに表示され、他方の液晶ディスプレイは消灯のままとしておく。なお、以降の操作などで、使用ディスプレイに設定された液晶ディスプレイに表示する表示データを変更することもあるが、明示的に他方の液晶ディスプレイへの表示変更が要求されない限り、起動時に表示データを表示した、使用ディスプレイに設定された液晶ディスプレイの方だけに表示データを表示する。
【0069】
上述した第2実施形態によれば、バックライトの劣化が少ない方の液晶ディスプレイを優先的に使用し、劣化が大きい方のバックライト、液晶ディスプレイを使用しないため、2つの液晶ディスプレイ1、2のバックライト8、13の劣化のバラツキを抑えることができる。また、バックライト(の白色LED)の劣化が少ないと判定された一方の液晶ディスプレイだけを優先的に使用することで、表示データの向きに応じて筐体の向きを変える必要があった場合としても、筐体や、ディスプレイ等の部品配置を対称にしているため、使用者の操作感が変わらない。また、明示的に他方の液晶ディスプレイへの表示変更が要求された際に、表示する液晶ディスプレイを変更する場合でも、2つの液晶ディスプレイ1、2間で輝度、カラーバランスを揃えているので、使用者に不快感を与えることがない。
【0070】
なお、上述した第1、第2実施形態においては、カラーフォトセンサ6、7により対向する液晶ディスプレイ1、2の輝度を測定するために、液晶ディスプレイ1、2をそれぞれの筐体に対して横方向にずらして配設したが、これに限らず、以下に説明するような構成であってもよい。
【0071】
図6(a)〜(d)は、本発明のディスプレイ装置の他の構成例を示す模式図である。ディスプレイ装置は、2つの液晶ディスプレイ1、2を備え、液晶ディスプレイ1、2は、ヒンジ3を介した第1の筐体4との第2の筐体5とにそれぞれ配置されている。ヒンジ3は、360°回転できるようになっている。また、一方の筐体(図示の例では、第2の筐体5)は、ヒンジ3に沿って矢印方向にスライドさせることが可能となっている。
【0072】
図6(a)に示すように、液晶ディスプレイ1、2が内側になるように、ヒンジ3を0°に「閉じた」、折り畳んだ状態で、第2の筐体5を矢印方向にスライドさせた状態が非使用時である。使用時には、図6(b)に示すように、折り畳んだ状態から、ヒンジ3を180°に「開いた」状態にして、図6(c)に示すように、第2の筐体5を矢印方向にスライドさせて、両方の液晶ディスプレイ1、2を同時に使用したり、前述した図1(c)に示したように、液晶ディスプレイ1が外側になるように、ヒンジ3を360°にさらに展開した状態として、一方の液晶ディスプレイ1だけを使用したりする。
【0073】
この場合、図6(b)〜(c)に示すように、カラーフォトセンサ6、7は、液晶ディスプレイ1、2の上下に配設されている。図6(a)に示すように、ヒンジ3を0°に「閉じた」、折り畳んだ状態で、かつ第2の筐体5をスライドさせた状態、すなわち非使用時には、図6(d)に示すように、液晶ディスプレイ1と液晶ディスプレイ2とは、縦方向にずれた状態で対向する。第1の筐体4側のカラーフォトセンサ6は、液晶ディスプレイ2のずれた部分に対向し、第2の筐体5側のカラーフォトセンサ7は、液晶ディスプレイ1のずれた部分に対向するようになっている。このような構造にすることで、使用時には、液晶ディスプレイ1と液晶ディスプレイ2とが、それぞれの筐体4、5のほぼ中心に位置するので、使用者に画面がずれていることによる不快感を与えることがない。
【0074】
なお、上述した第1、第2実施形態では、筐体を折り畳んだときに、液晶ディスプレイ1、2の輝度や、カラーバランスを補正するようにしたが、折り畳む度に補正するのではなく、例えば、折り畳み回数が所定の回数に達した場合や、前回の補正処理から所定の時間経過した時点で折り畳まれた場合、あるいは、起動時間を計時し、該起動時間が所定の時間に達した直後に折り畳まれた場合などに、液晶ディスプレイ1、2の輝度や、カラーバランスを補正するようにしてもよい。また、バックライト8、13や、液晶ディスプレイ1、2が故障等で交換された直後の折り畳み時には、無条件で液晶ディスプレイ1、2の輝度や、カラーバランスを補正するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1、2 液晶ディスプレイ
3 ヒンジ
4 第1の筐体
5 第2の筐体
6、7 カラーフォトセンサ
8、13 バックライト
9、14 ディスプレイ制御部
10、15 メモリ
11 スタイル検出部
12 処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のディスプレイが配設された第1の筐体と第2のディスプレイが配設された第2の筐体とを回動可能にヒンジで接続した折畳型のディスプレイ装置であって、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれた否かを検出するスタイル検出手段と、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて折り畳んだ状態で、前記第2のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第2のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方を測定する第1の検出手段と、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて折り畳んだ状態で、前記第1のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第1のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方をカラーバランスを測定する第2の検出手段と、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方と前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方とが合致するように、前記第1のディスプレイの最大輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方と前記第2のディスプレイの最大輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方とを補正する補正手段と
を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記補正手段は、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを最大輝度にした状態で、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度が目標の輝度に合致するように前記第1のディスプレイの最大輝度を低減し、前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度が前記目標の輝度に合致するように前記第2のディスプレイの最大輝度を低減する
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記補正手段は、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを最大輝度にした状態で、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度と前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とを比較し、より低輝度のディスプレイの輝度に合致するように、より高輝度のディスプレイの最大輝度を低減する
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記補正手段によって、前記第1のディスプレイの輝度と前記第2のディスプレイの輝度とを補正した際に、輝度をより低減した側のディスプレイを使用ディスプレイに設定する使用ディスプレイ設定手段と、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが展開されたことが検出されると、前記使用ディスプレイ設定手段により使用ディスプレイに設定されたディスプレイを表示に使用し、前記使用ディスプレイに設定されなかったディスプレイを非使用とする制御手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイのカラーバランスと前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイのカラーバランスとを、目標のカラーバランスに合致するように補正するカラーバランス補正手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
第1のバックライトを有する第1のディスプレイが配設された第1の筐体と第2のバックライトを有する第2のディスプレイが配設された第2の筐体とを回動可能にヒンジで接続した折畳型のディスプレイ装置であって、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれた否かを検出するスタイル検出手段と、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳んだ状態で、前記第2のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第2のディスプレイの輝度を測定する第1の検出手段と、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳んだ状態で、前記第1のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第1のディスプレイの輝度を測定する第2の検出手段と、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度と記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とが合致するように、前記第1のバックライトへの駆動電流と前記第2のバックライトへの駆動電流とを補正する補正手段と
を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項7】
前記補正手段は、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第1のバックライトと前記第2のバックライトとを最大輝度にした状態で、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度が目標の輝度に合致するように前記第1のバックライトへの駆動電流を低減し、前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度が前記目標の輝度に合致するように前記第2のディスプレイの駆動電流を低減する
ことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記補正手段は、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第1のバックライトと前記第2のバックライトとを最大輝度にした状態で、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度と前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とを比較し、より低輝度のディスプレイの輝度に合致するように、より高輝度のディスプレイに対応するバックライトへの駆動電流を低減する
ことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記補正手段によって、前記第1のバックライトの駆動電流と前記バックライトの駆動電流とを補正した際に、輝度をより低減するように駆動電流を補正した側のディスプレイを使用ディスプレイに設定する使用ディスプレイ設定手段と、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが展開されたことが検出されると、前記使用ディスプレイ設定手段により使用ディスプレイに設定されたディスプレイと対応するバックライトとを表示に使用し、前記使用ディスプレイに設定されなかったディスプレイと対応するバックライトとを非使用とする制御手段と
を更に備えることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度から得られるカラーバランスと前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度から得られるカラーバランスとを、目標のカラーバランスに合致するように補正するカラーバランス補正手段を更に備えることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
第1のディスプレイが配設された第1の筐体と第2のディスプレイが配設された第2の筐体とを回動可能にヒンジで接続した折畳型のディスプレイ装置のコンピュータに、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれた否かを検出するスタイル検出手機能、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて折り畳んだ状態で、前記第2のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第2のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方を測定する第1の検出機能、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて折り畳んだ状態で、前記第1のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第1のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方を測定する第2の検出機能、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方と前記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方とが合致するように、前記第1のディスプレイの最大輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方と前記第2のディスプレイの最大輝度とカラーバランスとのいずれか一方または双方とを補正する補正機能
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
第1のバックライトを有する第1のディスプレイが配設された第1の筐体と第2のバックライトを有する第2のディスプレイが配設された第2の筐体とを回動可能にヒンジで接続した折畳型のディスプレイ装置のコンピュータに、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれた否かを検出するスタイル検出機能、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳んだ状態で、前記第2のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第2のディスプレイの輝度を測定する第1の検出機能、
前記第1のディスプレイと前記第2のディスプレイとを対向させて前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳んだ状態で、前記第1のディスプレイの少なくとも一部に対向するよう配置され、前記第1のディスプレイの輝度を測定する第2の検出機能、
前記スタイル検出手段により前記第1の筐体と前記第2の筐体とが折り畳まれたことが検出されると、前記第2の検出手段により測定された前記第1のディスプレイの輝度と記第1の検出手段により測定された前記第2のディスプレイの輝度とが合致するように、前記第1のバックライトへの駆動電流と前記第2のバックライトへの駆動電流とを補正する補正機能
を実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−242587(P2011−242587A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114239(P2010−114239)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】