説明

ディスペンサおよび液体添加物容器を充填する方法

ディスペンサ(100)は、液体添加物容器(2)と係合可能である基部(1)を含み、液体添加物容器(2)が基部(1)に向かって係合軸(E)に沿って相対運動することにより係合する。液体添加物容器(2)は流入ポート(12)と、流出ポート(21)とを有する。ディスペンサ(100)には、メインフロー通路(18)とメインフロー制限手段(19)とが設けられる。基部(1)には、流入ポート(12)と連通する流出手段(11)と、メインフロー通路(18)を流出手段(11)と接続する流入管(20)とが設けられる。基部(1)には、流出ポート(21)と連通する流入手段(22A)と、メインフロー通路(18)を流入手段(22A)と接続する流出管(22)とが設けられる。基部(1)の流入手段(22A)および流出手段(11)の少なくとも一方は、係合軸(E)に対して実質的に平行である基部(1)の面(9A)に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体添加物を液体の流れに注入するための方法および装置に関し、より詳しくは、石鹸、スキンコンディショナ等を、シャワーヘッドに供給される水流に加えるための方法および装置に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、シャワーヘッドに供給される水流に石鹸を加えるための装置の例は多数存在する。
【0003】
あるシステムでは、シャワーの主給水路で圧力落差を生じさせる。高圧側の水が添加物を含む容器へ供給され、水と添加物の混合液が、圧力落差の低圧側に戻される。米国特許4,121,773では、ベンチュリによって圧力落差が生じ、米国特許5,333,789ではバッフルによって生じる。米国特許5,333,789では、キャニスタにおいて水と添加物はほとんど混ざらないとしているが、水と添加物を意図的に分離することについては何ら記載がない。
【0004】
この種のシステムにおける問題は、添加物を保持する容器内を水流が流れることである。これにより水流に加えられる添加物の量が変動し、また、容器内の添加物の残量も判断できない。
【0005】
他のシステムでは、添加物の残量の減少に伴い変形し得る可撓性の容器に添加物を保存する。この可撓性容器によって、添加物と水がユニット内で混合しないようになっている。米国特許3,166,096および米国特許3,974,847がこの種のシステムの例である。
【0006】
これらのシステムは上記の問題を幾分か克服してはいるが、可撓性の容器に添加物を収容することは不便で、このような可撓性の容器を交換するのも困難で時間を要することがある。
【0007】
水流に注入される添加物の量が一定、好ましくは制御可能であり、添加物を含む容器の交換または取替えを迅速に行える便利なシステムを提供できれば有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の好適な実施形態の目的は、既存のディスペンサにおける問題を克服または改善するような、または少なくとも一般の人々に有用な選択肢を提供するような、液体の流れに液体添加物を注入するためのディスペンサを提供することである。
【0009】
また、別の目的は、既存の方法における問題を克服または改善するような、または少なくとも一般の人々に有用な選択肢を提供するような、液体添加物容器を充填する方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は以下の説明より明らかになる場合がある。ただし、以下の説明は単なる例示に過ぎない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によって、液体の流れに液体添加物を注入するためのディスペンサが提供される。前記ディスペンサは、使用時に液体添加物容器と係合可能な基部を含み、液体添加物容器が基部に向かって係合軸に沿って相対運動することにより係合する。前記液体添加物容器は、流入ポートと流出ポートを含む。前記ディスペンサは、液体が流れるためのメインフロー通路を備え、該メインフロー通路は、メインフロー流入口とメインフロー流出口とを有し、メインフロー流入口とメインフロー流出口との間にメインフロー制限手段を有する。前記基部は、流出手段を備えるとともに、メインフロー流入口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を該流出手段と接続する流入管を備える。前記基部はさらに、流入手段を備えるとともに、メインフロー流出口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を該流入手段と接続する流出管を備える。基部と液体添加物容器が係合した際に、前記流入ポートは前記流出手段と、前記流出ポートは前記流入手段と連通するように構成され、前記基部の流入手段と流出手段の少なくとも一方が係合軸と実質的に平行である基部の面に設けられる。
【0012】
好ましくは、流出手段は、係合軸に対して実質的に平行である基部の面に設けられる。
【0013】
好ましくは、流入手段および流出手段はいずれも、係合軸に対して実質的に平行である基部の面に設けられる。
【0014】
好ましくは、液体容器および基部の一方はソケットを備え、他方はソケットに係合するよう構成された係合部分を備え、係合部分がソケットに向かって係合軸に沿って相対運動することにより係合する。
【0015】
好ましくは、メインフロー制限手段による制限は調節可能である。
【0016】
好ましくは、メインフロー制限手段は回転可能である羽根を含む。
【0017】
好ましくは、フロー制限手段はメインフロー経路から実質的に移動可能である。
【0018】
本発明の第2の態様によって、第1の態様のディスペンサと共に使用するのに適した液体容器が提供される。
【0019】
液体容器には好ましくは、スライド自在に液体容器の内面と密封係合する分割部材が流入ポートと流出ポートの間に設けられている。
【0020】
好ましくは、液体容器には複数の流入ポートが設けられる。
【0021】
本発明の第3の態様によって、液体添加物を液体の流れに注入するためのディスペンサが提供される。前記ディスペンサは、液体が流れるためのメインフロー通路を備え、該メインフロー通路は、メインフロー流入口とメインフロー流出口とを有し、メインフロー流入口とメインフロー流出口との間にメインフロー制限手段を有する。前記ディスペンサは、第1容積を有する、液体添加物を含むための第1室と、第1容積より大きい第2容積を有する、メインフロー流入口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を第1室と接続する流入管と、メインフロー流出口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を第1室と接続する流出管とを備える。使用時にはメインフロー通路から流入管へ入る液体が、流入管内の空気を第1室へ押し出すことにより液体添加物が流出管を通って放出される。
【0022】
好ましくは、第1管がメインフロー通路からの液体で完全に満たされる前に、第1室に含まれる実質的に全ての液体添加物が第1室から放出される。
【0023】
好ましくは、ディスペンサは液体添加物容器と係合可能である基部を含み、第1室は液体添加物容器内に設けられ、メインフロー通路は基部内に設けられる。
【0024】
好ましくは、メインフロー制限手段による制限は調節可能である。
【0025】
好ましくは、フロー制限手段はメインフロー経路から移動可能である。
【0026】
本発明の第4の態様によって、液体添加物を液体の流れに注入するためのディスペンサが提供される。前記ディスペンサは、使用時に液体添加物容器と係合可能な基部を含み、液体添加物容器が基部に向かって係合軸に沿って相対運動することにより係合する。前記液体添加物容器は、液体添加物を含むための第1室を備える。前記ディスペンサは、液体が流れるためのメインフロー通路を備え、該メインフロー通路は、メインフロー流入口とメインフロー流出口とを有し、メインフロー流入口とメインフロー流出口との間にメインフロー制限手段を有する。前記基部は、流出手段を備えるとともに、メインフロー流入口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を該流出手段と接続する流入管を備える。前記基部はさらに、流入手段を備えるとともに、メインフロー流出口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を該流入手段と接続する流出管を備える。前記液体容器は、基部と液体容器とが係合した際に前記流出手段と連通するよう構成されている流入ポートと、基部と液体容器とが係合した際に前記流入手段と連通するよう構成されている流出ポートとを含み、前記基部の流入手段および流出手段の少なくとも一方が、係合軸に対して実質的に平行である基部の面に設けられる。前記流入管の容積は第1室の容積より大きい。
【0027】
好ましくは、使用時には、流入管がメインフロー通路からの液体で完全に満たされる前に、第1室に含まれる実質的に全ての液体添加物が第1室から放出される。
【0028】
好ましくは、メインフロー制限手段による制限は調節可能である。
【0029】
好ましくは、フロー制限手段はメインフロー経路から移動可能である。
【0030】
本発明の第5の態様によって、室と、室に接続する流入ポートと流出ポートとを有し、流入ポートと流出ポートとの間に、スライド自在に液体容器の内面と密封係合する分割部材を有する液体添加物容器を充填するための方法が提供される。この方法は以下のステップを含む。
i.流出ポートに真空を負荷するステップと、
ii.分割手段が、分割手段と流出ポートとで挟まれる室の容積が最小となる位置へ移動するまで、真空負荷を維持するステップと、
iii.流出ポートを通して室に必要な量の液体添加物を注入するステップ。
【0031】
好ましくは、この方法は、必要な量の液体添加物を注入するステップが完了した後に流入および流出ポートを密封するステップを含む。
【0032】
好ましくは、流入および流出ポートを密封するステップは、単一の密封手段により密封することにより行われる。
【0033】
本発明の別の態様によって、図1、図2または図7から図10を参照して実質的に本明細書に記載されたディスペンサが提供される。
【0034】
本発明のさらに別の態様によって、図3から図6を参照して実質的に本明細書に記載された液体添加物容器の充填方法が提供される。
【0035】
本発明のさらなる態様も、新規の態様と考えられるものであり、それらは以下の説明により明らかになる。ただし、以下の説明は、例示を目的として本発明の可能な実施形態を示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の可能な一実施形態に係るディスペンサの断面の概略図である。
【図2】本発明の第2の可能な実施形態に係るディスペンサの断面の概略図である。
【図3】液体容器と係合した液体添加物充填装置の断面の概略図である。
【図4】図3の液体添加物充填装置において最小容積の位置まで液体容器のピストンを引いた際の図である。
【図5】図3および図4の液体添加物充填装置を使用して液体容器を液体添加物で満たす際の図である。
【図6】液体添加物カートリッジの図である。
【図7】図1に示したディスペンサの別の実施形態の側面斜視図である。
【図8】図7に示したディスペンサにおいて、明確にする目的で、外側ハウジングおよびカートリッジを取り外した側面斜視図である。
【図9】図7に示した実施形態のソケットおよびフロー制限手段の拡大断面図である。
【図10】フロー制限手段および作動機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
まず図1を参照すると、ディスペンサは全体として矢印100で示されている。ディスペンサは、基部1と、以後カートリッジと称する液体添加物容器2とを含む。
【0038】
カートリッジ2は、注入可能液体4が含まれる室3を含む。この実施形態では、室3は外室5内に設けられているが、他の実施形態(図示せず)では、外室5の代わりに簡単な管で代替することも可能である。
【0039】
内室3は外室5と1つまたは複数のポート6を介して流体連通している。分割部材は、一般的にはピストン7の形をしており、スライド自在に内室3の内壁と密封係合している。ピストン7は、ポート6と注入可能液体4との間に設けられており、注入可能液体4を、ポート6を通って流入する他の液体から隔離している。
【0040】
カートリッジ2の下方部分はソケット8を示す。ここに基部1の突出する係合部分、たとえば略円筒形の隆起部9が、カートリッジ2と基部1とを共に係合軸Eに沿って動かすことにより挿入され、これによりカートリッジ2が基部1と係合する。
【0041】
基部1の係合部分9には流出手段11が設けられており、これはソケット8の内壁13に設けられる1つまたは複数の流入ポート12と流体連通している。流出手段11は、1つまたは複数のポートとすることが可能であるが、この好適な実施形態では流出手段11は環状の溝である。環状溝11の使用は、流出手段11に流入ポート12を合わせる手段を設ける必要がないことを意味し、これによりディスペンサ100はカートリッジ2の基部1に対する角度位置とは無関係に作動する。
【0042】
流出手段11と流入ポート12との境界部分を密封するために、Oリングシール14のような適切な密封手段が隆起部分9の周囲に設けられる。好適な実施形態では、カートリッジ2が基部1と係合した際に、上方のOリングシール14とカートリッジ2との間に閉じ込められた空気および/または液体を排出するために出口15が隆起部9の上面に設けられている。
【0043】
使用時には、注入可能液体4が加えられる水流が、主流入口16から主流出口17へメインフロー経路18を流れる。フロー制限器19はメインフロー経路18内に設けられる。フロー制限器19は、制限器19と主流入口16との間を流れる上流フローの圧力を上昇させ、フロー制限器19と主流出口17との間を流れる下流フローの圧力を低下させる。流入管20は、フロー制限器19の上流のメインフロー経路18から流出手段11へ延びている。フロー制限器19の上流の液体の圧力は、流入管20と、流出手段11と、流入ポート12と、外室5と、ポート6とを介してピストン7の上面に作用する。ピストン7が基部1方向へ移動することにより、注入可能液体4が内室3のオリフィス21を通して放出される。注入可能液体4はオリフィス21から流入手段22Aを介して流出管22を流れ、低圧であるフロー制限器19の下流フローでメインフロー経路18に入る。
【0044】
また、オリフィス21と流入手段22Aとの間の境界部分から液体が漏れることを防ぐためOリングシール14が設けられる。
【0045】
内壁13および隆起部9の側面9Aは係合軸Eと実質的に平行であるため、流出手段11と流入ポート12との間を流れる液体の圧力は、オリフィス21から流入手段22Aへ流れる液体の圧力と同様に、係合軸Eに対して垂直の力を発生させる。このようにOリングシール14と内壁13との間に生じる摩擦力によって、その他の保持手段を必要とせずとも、カートリッジ2を基部1と係合させて保持することができる。これにより、カートリッジ2の交換が特に簡単かつ便利になる。
【0046】
メインフロー経路18への注入可能液体4の注入速度は、メインフロー経路内の液体の流速に応じて変化する。しかし、この注入速度は、フロー制限器19によって生じる圧力落差を変更すること、および/またはたとえば適切なニードルバルブ等(図示せず)を使用して流入管20および/または流出管22のフローを制限することで制御することも可能である。
【0047】
一実施形態では、フロー制限器19の直径は固定で、注入可能液体4の注入速度を、流入管または流出管の適切なバルブ構成により変化させることが可能である。しかし、別の実施形態ではフロー制限器19は、メインフロー経路18への出し入れが可能なスライド可能部材23を含んでもよい。スライド可能部材23がメインフロー経路18から完全に撤退した状態では、流入管20と流出管22との間の圧力差はほとんど、または全くなく、したがってディスペンサ100は作動停止する。これにより、スライド可能部材23は、ディスペンサの作動または停止のための手段および/または液体4の注入速度を変化させるための手段を提供する。
【0048】
注入可能液体4の注入速度は、オリフィス21の直径を変更することにより変化させることも可能である。しかし、オリフィス21の直径は一定であることが好ましく、液体4の表面張力によって、ピストン7に圧力がかかっていない場合には注入可能液体4の漏洩が実質的に起こらず、圧力がかかっている場合にはピストン7により注入可能液体4を放出できるよう、オリフィス21の直径は小さく選択されることが好ましい。これにより、カートリッジ2が基部1から一時的に取り外された際に、注入可能液体の漏れを防ぐためのキャップやストッパが不要になる。
【0049】
石鹸をベースとする注入液を家庭用のシャワーシステムに注入するための好適な実施形態では、ディスペンサの寸法は概ね以下の通りである。
メインフロー経路17の断面積=50mm
メインフロー制限器18におけるメインフロー経路の断面積(最小)=約25mm(制限されていない場合のフロー経路の約50%)
内室3の容積=40ml
ピストン7の直径=約20mm
オリフィス20の直径=1mm
【0050】
この実施形態では、注入可能液体4の粘度が約500cpsで、メインフロー経路18を流れる液体が水で、その最大流速が25mmの制限器により1分間に約13リットルであると仮定すると、注入可能液体4は、1分間に約1mlの速度でメインフロー経路18に注入される。
【0051】
次に図2を参照するが、図1と類似の参照符号は類似の機構を示している。本発明のディスペンサの別の実施形態が全体として101で示される。
【0052】
ディスペンサ100と同様に、ディスペンサ101は基部1とカートリッジ2とを含む。カートリッジ2は、外室5を含み、この中に内室3が設けられる。内室3は注入可能液体4を含む。
【0053】
内室3は、1つまたは複数のポート6を介して外室5と流体連通している。しかし、この実施形態では図1の実施形態に示すピストン7は必要でない。
【0054】
第2の実施形態101では、内室3の容積と少なくとも同じ容積となるように流入管20が拡張されている。この実施形態では、容積を増やすために、基部1内に空隙または室24を設けている。
【0055】
ディスペンサ101が所望の方向に保持される時、流入管20のメインフロー経路18への開口部25は、流入管20の最も低い位置にあるのが好ましい。これにより、ディスペンサを使用していない時に、室24を含む流入管20内の液体がメインフロー経路18へ流出するため、使用者がディスペンサ101を作動させる際には流入管に実質的に液体がないことが保証される。当然、内室3内の注入可能液体4が同様に流入管20を通って流出しないよう、基部および/またはカートリッジ内のフロー経路が構成されていることが好ましい。
【0056】
ディスペンサが作動すると、制限器19の上流のメインフロー経路18から流入管20への水の進入が開始する。流入管20への水の進入により管20内の空気圧が上昇する。上昇した圧力は、内室3内の注入可能液体4の上部に伝わり、この圧力によって、液体4がオリフィス21から押し出され、流出管22を通って制限器19の下流のメインフロー経路18へ送られる。この実施形態ではオリフィス21は、係合軸Eに対して垂直である面に設けられているが、別の実施形態ではオリフィス21を、図1との関連で上述した通り、内面13に設けてもよい。
【0057】
流入管20の容積は内室3の容積より大きいため、流入管20が完全に水で満たされる前に、注入可能液体4の実質的に全量が内室3から押し出される。このように、水と注入可能液体が内室3で混合することなく、注入可能液体4がメインフロー経路18に注入される。
【0058】
別の実施形態(図示せず)では、流入管20の容積は内室3の容積より小さいが、外室5の容積が十分に大きく、水がポート6に達する前に、確実に注入可能液体の全量が内室3から押し出される。
【0059】
ディスペンサ101の別の変形例(図示せず)では、基部1およびカートリッジ2は、着脱可能に係合するのではなく一体的なユニットであってもよい。このような実施形態は使い捨ての製品を意図するものでもよく、またはさらに注入可能液体を室3に再充填するための手段を含んでもよい。
【0060】
図3から図6は、図1を参照して上述したようなピストン7などの分割手段を有するカートリッジ2の充填または再充填方法を示す。
【0061】
カートリッジ2は、オリフィス21と連通する第1ポート26と、流入ポート12と連通する第2ポート27とを備える隆起部9を有する充填装置200に係合可能である。隆起部9、第1ポート26、および第2ポート27の大きさおよび位置は、図1に示した基部1の対応する機構と実質的に同じあってよい。
【0062】
図3を参照すると、カートリッジ2の充填前に、第1ポート26を通じてオリフィス21に真空が負荷される。図4に示すように、真空の負荷はピストン7が可能な限りオリフィス21に接近するまで維持され、その際残りの注入可能液体が内室3から排出される。空気またはその他のあらゆる適切な気体が、第2ポート27および流入ポート12を通ってピストン7の上方の空間へ吸引される。
【0063】
ピストン7が可能な限りオリフィス21に接近すると、図5に示すように、必要な量の注入可能液体4を、第1ポート26およびオリフィス21を通して内室3へ注入することができる。外室5に残った液体は、ピストン7がオリフィス21から離れるにつれて第2ポート27を通って排出される。
【0064】
特に図6に示すように、カートリッジ2は充填された後、適切な密封手段、たとえばストッパまたは栓28により密封されることが好ましい。この密封手段は流入ポート12およびオリフィス21の両方を覆うため、カートリッジ4を使用していない際に、注入可能液体4が誤って漏れてしまうことを防ぐ。
【0065】
ある実施形態(図示せず)では、ディスペンサ100の基部1は、使用者によってカートリッジの再充填ができる構成であってもよい。
【0066】
図7から図10は、全体として102で示される本発明のディスペンサの別の実施形態を示し、ここでは図1と類似の機構は類似の符号が付けられている。主流入口16および主流出口17には好ましくは、標準的なシャワーホースへの取り付けが可能であるように、ねじ切りされた取付部が設けられる。しかし、ディスペンサを水の供給部へ接続するために他の手段を使用することも可能である。
【0067】
特に図9および図10を参照すると、好適な実施形態ではフロー制限器19を回転可能な羽根30とすることが可能である。この実施形態では、羽根30は回転部材31と一体に形成されている。回転部材31は、羽根を除いて、回転面である外観形状を有する。回転部材はブッシュ32と回転可能に係合する。羽根30は好ましくは回転部材31の回転軸からオフセットされている。
【0068】
流出管22の一部は、回転部材31内に設けられていてもよい。好適な実施形態では流出管22は、回転部材31の中心軸に沿って延設されていてもよく、流出管22の流出口33は羽根30の付近に設けられる。流出管22は、中心軸から径方向に延びる部分34を含んでもよい。径方向部分34は、回転部材31が回転して図9に示す「使用」位置にある時、ブッシュ32の開口部35と一致するような構成になっており、これにより注入可能液体が回転部材31内の流出管を流れる。回転部材31が回転して、「使用」位置から離れると、径方向部分34はブッシュ32の開口部35と一致しなくなる。径方向部分34の両側にOリングシール36が設けられる。
【0069】
水が流出管22を逆戻りすることを防ぐために、回転部材31内に一方向バルブ37を設けてもよい。
【0070】
流入管20は、ディスペンサ手段の本体39と回転部材31との間に設けられる流路38を含んでもよい。
【0071】
メインフロー経路18は、非使用時に羽根30が入る扇形部分(scalloped portion)40を含んでもよい。これによりディスペンサの非使用時に、羽根30によってメインフロー経路18の流れが妨げられることはない。
【0072】
続いて図7および図10を参照すると、回転部材31および羽根30は任意の適切な手段により動かすことができるが、好適な実施形態では回転部材31にクランクアーム41が設けられる。連接棒42が、ディスペンサ本体の外装に設けられるスライダ43とクランクアーム41とを接続しているため、使用者がスライダ43を動かすと、回転部材30および羽根31が回転して、図9に示す「使用」位置と「非使用」位置(図示せず)との間を移動する。「非使用」位置では、羽根30は、実質的にメインフロー経路18を流れる液体の流路(通り道)から外れる。
上述した複数の実施形態では、突出する係合部分9が基部1に設けられ、ソケットがカートリッジ2に設けられているが、当業者であればその他の実施形態(図示せず)において突出する係合部分をカートリッジに設け、ソケットを基部1に設けることが可能であることが理解できるであろう。
【0073】
注入可能液体をシャワーに加えるための使用を意図した好適な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、当業者であればこの発明が液体を他の液体の流れに加えるためにも有用であることが理解できるであろう。
【0074】
先の説明では、周知の同等物を含め本発明の具体的な構成部品または数値について述べたが、このような同等物も個々に説明したものとして本明細書に含まれる。
【0075】
例を挙げて可能な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、添付の請求項の精神と範囲から逸脱することなく修正または改良を行うことも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体添加物を液体の流れに注入するためのディスペンサであって、
前記ディスペンサは、使用時に液体添加物容器と係合可能な基部を含み、液体添加物容器が基部に向かって係合軸に沿って相対運動することにより係合し、
前記液体添加物容器は、流入ポートと流出ポートを含み、
前記ディスペンサは、液体が流れるためのメインフロー通路を備え、該メインフロー通路は、メインフロー流入口とメインフロー流出口とを有するとともに、メインフロー流入口とメインフロー流出口との間にメインフロー制限手段を有し、
前記基部は、流出手段を備えるとともに、メインフロー流入口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を該流出手段と接続する流入管を備え、前記基部はさらに、流入手段を備えるとともに、メインフロー流出口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を該流入手段と接続する流出管を備え、
基部と液体添加物容器が係合した際に、前記流入ポートは前記流出手段と、前記流出ポートは前記流入手段と連通するように構成され、
前記基部の流入手段と流出手段の少なくとも一方が係合軸と実質的に平行である基部の面に設けられる、ディスペンサ。
【請求項2】
流出手段が、係合軸に対して実質的に平行である基部の面に設けられる、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
流入手段および流出手段がいずれも、係合軸に対して実質的に平行である基部の面に設けられる、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項4】
液体容器および基部の一方がソケットを備え、他方がソケットに係合するよう構成された係合部分を備え、係合部分がソケットに向かって係合軸に沿って相対運動することにより係合する、請求項1、2または3に記載のディスペンサ。
【請求項5】
メインフロー制限手段による制限が調節可能である、先行する請求項のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項6】
メインフロー制限手段が回転可能である羽根を含む、請求項5に記載のディスペンサ。
【請求項7】
フロー制限手段がメインフロー経路から実質的に移動可能である、請求項5または6に記載のディスペンサ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項のディスペンサと共に使用するための液体容器。
【請求項9】
スライド自在に液体容器の内面と密封係合する分割部材が流入ポートと流出ポートとの間に設けられる、請求項8に記載の液体容器。
【請求項10】
複数の流入ポートが設けられる、請求項8または9に記載の液体容器。
【請求項11】
液体添加物を液体の流れに注入するためのディスペンサであって、
前記ディスペンサは、液体が流れるためのメインフロー通路を備え、該メインフロー通路は、メインフロー流入口とメインフロー流出口とを有するとともに、メインフロー流入口とメインフロー流出口との間にメインフロー制限手段を有し、
前記ディスペンサは、第1容積を有する、液体添加物を含むための第1室と、第1容積より大きい第2容積を有する、メインフロー流入口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を第1室と接続する流入管と、メインフロー流出口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を第1室と接続する流出管とを備え、
使用時にはメインフロー通路から流入管へ入る液体が、流入管内の空気を第1室へ押し出すことにより液体添加物が流出管を通って放出される、ディスペンサ。
【請求項12】
第1管がメインフロー通路からの液体で完全に満たされる前に、第1室に含まれる実質的に全ての液体添加物が第1室から放出される、請求項11に記載のディスペンサ。
【請求項13】
液体添加物容器と係合可能である基部を含み、第1室が液体添加物容器内に設けられ、メインフロー通路が基部内に設けられる、請求項11または12に記載のディスペンサ。
【請求項14】
メインフロー制限手段による制限が調節可能である、請求項11、12または13に記載のディスペンサ。
【請求項15】
フロー制限手段がメインフロー経路から移動可能である、請求項14に記載のディスペンサ。
【請求項16】
液体添加物を液体の流れに注入するためのディスペンサであって、
前記ディスペンサは、使用時に液体添加物容器と係合可能な基部を含み、液体添加物容器が基部に向かって係合軸に沿って相対運動することにより係合し、
前記液体添加物容器は、液体添加物を含むための第1室を備え、
前記ディスペンサは、液体が流れるためのメインフロー通路を備え、該メインフロー通路は、メインフロー流入口とメインフロー流出口とを有するとともに、メインフロー流入口とメインフロー流出口との間にメインフロー制限手段を有し、
前記基部は、流出手段を備えるとともに、メインフロー流入口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を該流出手段と接続する流入管を備え、前記基部はさらに、流入手段を備えるとともに、メインフロー流出口とメインフロー制限手段との間のメインフロー通路を該流入手段と接続する流出管を備え、
前記液体容器は、基部と液体容器とが係合した際に前記流出手段と連通するよう構成されている流入ポートと、基部と液体容器とが係合した際に前記流入手段と連通するよう構成されている流出ポートとを含み、
前記基部の流入手段および流出手段の少なくとも一方が、係合軸に対して実質的に平行である基部の面に設けられ、
前記流入管の容積が第1室の容積より大きい、ディスペンサ。
【請求項17】
使用時には、流入管がメインフロー通路からの液体で完全に満たされる前に、第1室に含まれる実質的に全ての液体添加物が第1室から放出される、請求項16に記載のディスペンサ。
【請求項18】
メインフロー制限手段による制限が調節可能である、請求項16または17に記載のディスペンサ。
【請求項19】
フロー制限手段がメインフロー経路から移動可能である、請求項18に記載のディスペンサ。
【請求項20】
室と、室に接続する流入ポートと流出ポートとを有し、流入ポートと流出ポートとの間に、スライド自在に液体容器の内面と密封係合する分割部材を有する液体添加物容器を充填するための方法であって、
i.流出ポートに真空を負荷するステップと、
ii.分割手段が、分割手段と流出ポートとで挟まれる室の容積が最小となる位置へ移動するまで、真空負荷を維持するステップと、
iii.流出ポートを通して室に必要な量の液体添加物を注入するステップと
を含む方法。
【請求項21】
必要な量の液体添加物を注入するステップが完了した後に流入および流出ポートを密封するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
流入および流出ポートを密封するステップが、単一の密封手段により密封することにより行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
図1、図2または図7から図10を参照して実質的に本明細書に記載されたディスペンサ。
【請求項24】
図3から図6を参照して実質的に本明細書に記載された液体添加物容器を充填するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−501696(P2011−501696A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529891(P2010−529891)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/NZ2008/000273
【国際公開番号】WO2009/051501
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(505071491)メスベン リミテッド (2)
【Fターム(参考)】