説明

ディスポーザ

【課題】破砕機で破砕した破砕ごみと水との混合水を貯留する貯留槽中の破砕ごみが外部へ搬出される確率を高くして、貯留槽に残留する破砕ごみを大幅に減少させ、悪臭の発生を防止及び衛生面を改善し、厨房に設置することができる使い勝手の良いディスポーザを提供する。
【解決手段】破砕ごみと水との混合水20を貯留する貯留槽2内の底面に、混合水20を攪拌する攪拌装置31を設置する。攪拌装置31の攪拌翼31aが回転することにより、混合水20に水流が発生する。発生した水流により、混合水20中に偏在していた破砕ごみが循環して破砕ごみが均等に分布するようになる。これにより、搬出ポンプ23によって破砕ごみが外部に搬出される確率が高くなり、破砕ごみが貯留槽2に残留することが大幅に減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と共に投入される生ごみを破砕する破砕機と、破砕した破砕ごみと水との混合水を貯留する貯留槽と、前記混合水を例えば有機物を分解処理する処理槽へ搬出する搬出ポンプとを備えるディスポーザに関し、特に、前記貯留槽に前記混合水を攪拌する手段を備えるディスポーザに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭、飲食店等の厨房に発生する生ごみの減量処理を目的とした生ごみ処理機が種々提案されている。この種の生ごみ処理機の一つとして、生ごみを破砕する破砕機を利用し、例えば有機物を分解処理する処理槽に前記破砕機で破砕した破砕ごみを導入するように構成した生ごみ処理機がある(特許文献1)。該生ごみ処理機は、破砕機により粒状に破砕された破砕ごみを処理対象としており、学校若しくは会社の食堂、又は大規模飲食店等の生ごみの減量処理の処理要求量が多い業務用の生ごみ処理機として有用である。
【0003】
破砕機は、破砕室の底部に設けられて回転する破砕刃によって投入される生ごみを破砕し、共に投入される水と混合して外部に送出管を介して送り出す公知の装置である。特許文献1では、破砕機に送出管を介して連設された貯留槽を備え、破砕機にて破砕された破砕ごみと水との混合水を貯留槽に一旦貯留しておき、該貯留槽内に設けた搬出ポンプにより、離れた位置に設けられた処理槽の内部に前記混合水を搬出するようにしてあるディスポーザを利用した生ごみ処理機が開示されている。
【特許文献1】特開2002−336830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、破砕された生ごみと水との混合水を貯留する貯留槽では、混合水中の生ごみは、浮力の差により混合水の底に沈むもの若しくは混合水の水面に浮くもの、又は搬出ポンプの吸込口近くに留まるもの若しくは遠くに留まるもの等に分かれて滞留する。搬出ポンプによって外部に混合水を搬出する場合、搬出ポンプの吸込み経路にある破砕ごみは吸引されて搬出されるが、搬出ポンプにより搬出されずに残留した破砕ごみはやがて腐敗し、悪臭の発生による周辺環境の悪化及び衛生上の悪化等の問題が発生する。
【0005】
したがって、ディスポーザは厨房に設置されることが本来望ましいが、前記周辺環境及び衛生面の問題から、屋外に設置せざるを得ない状況である。
【0006】
本発明は斯かる事情を鑑みてなされたものであり、混合水を攪拌して破砕ごみが外部に搬出される確率を高くして混合水を貯留する貯留槽に残留する破砕ごみを大幅に減少させ、悪臭の発生を防止及び衛生面を改善し、厨房に設置することができる使い勝手の良いディスポーザを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の他の目的は、混合水を攪拌翼によって攪拌して破砕ごみが外部に搬出される確率を高くして貯留槽に残留する破砕ごみを大幅に減少させ、悪臭の発生の防止及び衛生面を改善して厨房に設置することができるディスポーザを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、貯留槽中に設置する攪拌翼を簡易な防水構造の動力によって駆動することができるディスポーザを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、貯留槽中に設置する攪拌翼を貯留槽外に設置する動力によって駆動することができるディスポーザを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、混合水を搬出するポンプと混合水を攪拌する攪拌翼の動力を共通化した簡素な構造によるディスポーザを提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、混合水を攪拌するポンプによって混合水を攪拌し破砕ごみが外部に搬出される確率を更に高くして貯留槽に残留する破砕ごみを大幅に減少させ、悪臭の発生の防止及び衛生面を改善したディスポーザを提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、混合水の一部を貯留槽に戻して水流を発生させ、簡素な機構により貯留槽に残留する破砕ごみを大幅に減少させることのできるディスポーザを提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、貯留槽に一部戻す混合水中の破砕ごみを捕集して、混合水と共に破砕ごみの一部が貯留槽へ戻ることを防ぎ、混合水中の破砕ごみの濃度を確実に減少させ、簡素な機構により貯留槽に残留する破砕ごみを大幅に減少させることのできるディスポーザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るディスポーザは、水と共に投入される生ごみを破砕する破砕機と、該破砕機で破砕した破砕ごみと水との混合水を送出する送出管と、該送出管を介して前記破砕機と連通し前記混合水を貯留する貯留槽と、該貯留槽の内部に配され前記貯留槽に貯留された混合水を外部に搬出する搬出ポンプとを備えるディスポーザにおいて、前記貯留槽に貯留された混合水を攪拌する攪拌手段を備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、混合水の攪拌によって起こる水流で破砕ごみは循環し、破砕ごみの混合水中での分布が均等となる。
【0016】
本発明に係るディスポーザは、前記攪拌手段は、前記混合水を攪拌する攪拌翼を備えることを特徴とする。
【0017】
これにより、攪拌翼の回転によって混合水に水流が発生し、貯留槽に貯留された混合水中の破砕ごみは、混合水の渦動により循環し、混合水中での分布が均等となる。
【0018】
本発明に係るディスポーザは、前記攪拌手段は、前記攪拌翼を動作させる動力部を前記混合水の水面より上部に設けてあることを特徴とする。
【0019】
これにより、前記攪拌翼を動作させる動力部は混合水に浸ることがない。
【0020】
本発明に係るディスポーザは、前記攪拌手段は、前記攪拌翼を動作させる動力部を前記貯留槽の外部に設けてあることを特徴とする。
【0021】
これにより、前記攪拌翼を動作させる動力部は混合水に浸ることがない。
【0022】
本発明に係るディスポーザは、前記攪拌手段は、前記搬出ポンプの回転軸に攪拌翼を設けてあることを特徴とする。
【0023】
これにより、攪拌翼の回転によって混合水に水流が発生し、貯留槽に貯留された混合水中の破砕ごみは混合水の渦動により循環し、混合水中での分布が均等となる。
【0024】
本発明に係るディスポーザは、前記混合水に水流を生成する攪拌ポンプを備えることを特徴とする。
【0025】
これにより、攪拌ポンプから吐出される混合水によって水流が発生し、貯留槽に貯留された混合水中の破砕ごみは、発生した水流により循環し混合水中での分布が均等となる。
【0026】
本発明に係るディスポーザは、前記搬出ポンプの吐出口側に環流管を備え、該環流管は、前記搬出ポンプで吸い上げた前記混合水の一部を前記貯留槽に戻すようにしてあることを特徴とする。
【0027】
これにより、環流管から搬出ポンプで吸上げた混合水の一部が吐出されることにより水流が発生し、貯留槽中の混合水中の破砕ごみが循環し、混合水中での分布が均等となる。
【0028】
本発明に係るディスポーザは、前記環流管は、前記混合水中の破砕ごみを取り除くフィルターを備えることを特徴とする。
【0029】
これにより、搬出ポンプにより吸い上げられて環流管を介して一部貯留槽へ戻る混合水中の破砕ごみはフィルターにより捕集され、貯留槽中に戻らない。
【発明の効果】
【0030】
本発明による場合、混合水中で偏在していた破砕ごみが混合水の攪拌によって発生する水流により破砕ごみの分布が均等となるため、搬出ポンプで搬出される確率が高くなり貯留槽中に残留する破砕ごみは大幅に減少する。これにより、ディスポーザは、破砕ごみが残留して腐敗して悪臭が発生することを防ぎ、且つ衛生面が改善されるため厨房に設置することができ、使い勝手が改善される。
【0031】
本発明による場合、混合水中で偏在していた破砕ごみが攪拌翼の回転による混合水の渦流により分布が均等となるため、搬出ポンプで搬出される確率が高くなり貯留槽中に残留する破砕ごみは大幅に減少する。これにより、ディスポーザは、破砕ごみが残留して腐敗して悪臭が発生することを防ぎ、且つ衛生面が改善されるため厨房に設置することができ、使い勝手が改善される。
【0032】
本発明による場合、攪拌翼を動作させる動力部を混合水に浸らない箇所に設置することができ、防水構造が簡易な動力部により攪拌翼を駆動することができる。
【0033】
本発明による場合、攪拌翼を動作させる動力部を貯留槽の外部に設置することにより、防水構造が簡易な機構により攪拌翼を駆動することができる。
【0034】
本発明による場合、搬出ポンプの回転軸に攪拌翼を設けることにより混合水を攪拌することができるため、搬出ポンプと攪拌翼の動力を共通化し簡素な構造による破砕ごみの残留の防止を実現することができる。
【0035】
本発明による場合、攪拌ポンプにより貯留槽中の混合水に水流を発生し、偏在していた破砕ごみの分布が水流により均等となる。また、破砕ごみは新たに送出管から流入する破砕ごみと入れ替わる。これにより、ディスポーザは、破砕ごみは残留することなく搬出されるため、破砕ごみが残留して腐敗することを防止し、悪臭の発生を防ぐことができ、且つ衛生面が改善される。また、攪拌ポンプの吸込口又は吐出口等に導入管を取り付け、該導入管を貯留槽中の任意の方向に向けることで、貯留槽中の混合水に発生する水流の向きを自在に変更し、混合水を満遍なく攪拌することができる。
【0036】
本発明による場合、搬出ポンプの環流管から貯留槽に一部戻る混合水によって水流が発生し、混合水が攪拌される。従って、別途攪拌用の攪拌翼,攪拌翼の動力,又は攪拌用ポンプ等を設ける必要が無い。
【0037】
本発明による場合、搬出ポンプの環流管から一部戻る混合水中の破砕ごみはフィルターによって捕集され、混合水と共に貯留槽に戻ることがないため、水流を発生する簡易な機構な上に、貯留槽に貯留されている混合水中の破砕ごみの濃度を減少させ破砕ごみが残留して腐敗することを防止し、悪臭の発生を防ぐことができ、且つ衛生面が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(実施の形態1)
以下本発明に係るディスポーザを、その実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、実施の形態1におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。
【0039】
本発明のディスポーザは、破砕機12を備える処理室1と、破砕機12で破砕された生ごみと水との混合水20を貯留する貯留槽2とを備える。処理室1及び貯留槽2は何れも略直方体の筐体であり、略等大である。ディスポーザは、可動なように車輪4,4,4,4を底面の四隅に配した略長方形の底板5上に処理室1と貯留槽2を並べて載置し構成される。
【0040】
処理室1には、内部の底面略中央に破砕機12が配されている。破砕機12は、投入された生ごみを破砕し同時に投入された水と混合し外部へ送出する、それ自体公知の装置である。破砕機12は、下部にモータ121を備え、該モータ121は処理室1の底板5に固定され鉛直方向を軸として上部に回転軸124を備える。モータ121の上部には略有底円筒状の送出室122が連設され、該送出室122は略同心円筒状の貫通孔を有し、該貫通孔を回転軸124が貫通している。送出室122の上部には略円筒状の破砕室123が更に連設され、該破砕室123は上部に開口部126を有する。破砕室123の内部底面には、モータ121に取り付けられた回転軸124に更に取り付けられて回転する破砕刃125が配されている。さらに、処理室1は、破砕機12の開口部126へ生ごみを導入するホッパー11を備える。ホッパー11は、下方に行くに従い縮径された略倒立角錐台形の筒体である。ホッパー11の下端の開口部は破砕機12の開口部126と接続される。
【0041】
処理室1には、生ごみと給水栓10から供給される水とが投入される。生ごみ及び水はホッパー11を経て自重で破砕室123へ落下し、破砕室123の底面に配された回転する破砕刃125により破砕され、水と共に破砕室123の内壁へ遠心力により飛散する。破砕ごみ及び水は自重により送出室122へ流下し、水と混合されて混合水20となる。混合水20は、破砕室123から回転しつつ流下することにより送出室122内で渦動し、送出室122の外周から接線方向に突出した送出口127を経て、混合水20の渦流の慣性により外部へ送出される。破砕機12の送出口127には、貯留槽2との仕切壁を略水平方向に貫通する送出管13が接続されており、破砕機12から送出口127を経て送出された混合水20は、送出管13を通り貯留槽2へ送出される。
【0042】
貯留槽2の処理室1との仕切壁から送出管13が貯留槽2の内側に突出し、該送出管13を介して混合水20が貯留槽2内へ導入される。貯留槽2の内部底面には、水中ポンプである搬出ポンプ23が配されている。搬出ポンプ23は、下面に開口する吸込口24及び上面の吐出口25を備える。また、貯留槽2には、処理室1とは逆側の側面の、送出管13と略等しい高さに、該側面を内外に略水平に貫通する搬送管27が配されており、該搬送管27は、貯留槽2の外部に逆止弁28を備え連結端を構成する。さらに、搬出ポンプ23の吐出口25からは吐出管26が上方に延び、搬送管27と略等しい高さで曲げられ、搬出管27の貯留槽2内部側の一端に接続される。また、貯留槽2には、混合水20の上限水位21からの水位の上下を測定する水位センサ201、及び下限水位22からの水位の上下を測定する水位センサ202が設けられている。上限水位21は処理室1から混合水20を導入する送出管13及び搬送管27より下方であって、搬出ポンプ23の吐出口25の高さより上方に設定されており、下限水位22は搬出ポンプ23の吐出口25の高さより下方であって、吸込口24の高さより上方に設定されてある。水位センサ201は上限水位21の高さで、水位センサ202は下限水位22の高さで貯留槽2の側壁に設けられている。
【0043】
搬出ポンプ23は、貯留槽2内に貯留された破砕ごみを含む混合水20の水位が上限水位21以上の高さであることを水位センサ201により検知した場合に駆動され、混合水20を吸い込んで昇圧し、吐出管26及び搬出管27を経て外部に混合水20を吐出する。吐出管26と連結する搬送管27に取り付けられた逆止弁28は、吐出管26から外部へ向かう正流を通し、外部から吐出管26に向かう逆流を阻止する。混合水20の水位が下限水位22以下の高さであることを水位センサ202により検知した場合、搬出ポンプ23は停止する。
【0044】
貯留槽2の内部の底板5上には、貯留槽2中の混合水20を攪拌するための攪拌装置31が設置されている。攪拌装置31は、攪拌翼31aと該攪拌翼31aを回転させる動力部31bとを備える。攪拌装置31は、動力部31bが底板5上に設置され、攪拌翼31aが混合水20の下限水位22と略等しい高さになるように設置されている。図示しない電源から電力の供給を受けた動力部31bが備える図示しないモータが鉛直方向を軸として回転し、該モータの回転軸の上部に攪拌翼31aが取り付けられている。モータの回転により攪拌翼31aが水平面と平行面上で回転し、混合水20に渦流が発生し混合水20が攪拌される。
【0045】
攪拌装置31は、処理室1の破砕機12が作動中又は貯留槽2の搬出ポンプ23が作動中等の混合水20の水位が下限水位22より高い場合に作動する。破砕機12のモータ121又は搬出ポンプ23の動力部と、攪拌装置31の動力部31bとは継電器により接続されており、攪拌装置31の作動は、破砕機12又は搬出ポンプ23の作動と連動する。混合水20の水位が下限水位22より高いことを水位センサ202で検知して破砕機12又は搬出ポンプ23が作動したとき、継電器の動作により攪拌装置31の動力部31bが作動する。貯留槽2に貯留されて破砕ごみが各所に偏在している混合水20を攪拌することにより渦流が起こり、破砕ごみが留まらずに混合水20中を循環する。破砕ごみが混合水20中を循環することで、破砕ごみの混合水20中での分布が均等となる。従って、搬出ポンプ23により吸込まれる確率が高くなり、破砕ごみが貯留槽2に残留する確率が減少する。
【0046】
実施の形態1のディスポーザにより、貯留槽2に貯留された混合水20中の破砕ごみが搬出ポンプ23により搬出されずに貯留槽2に残留することを大幅に減少させ、残留した破砕ごみが腐敗して悪臭を発生し、衛生面が悪化することを防ぐことができる。
【0047】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。ディスポーザ全体の構造は実施の形態1と同様であり、差異点は攪拌装置の構成であるため、実施の形態2における攪拌装置について以下に説明する。
【0048】
攪拌装置32は、貯留槽2の内部に設置され、貯留槽2中の混合水20を攪拌する。攪拌装置32は、攪拌翼32aと該攪拌翼32aを動作させる動力部32bと駆動軸32cとを備える。攪拌装置32は、攪拌翼32aが混合水20の下限水位22と略等しい高さになるように、且つ動力部32bが混合水20の上限水位21より上方となるように設置されている。動力部32bは、貯留槽2の側壁又は天板に設置されている。攪拌翼32aと動力部32bとの間には駆動軸32cが設置されており、動力部32bの回転を攪拌翼32aに伝動する。図示しない電源から電力の供給を受けた動力部32bが備える図示しないモータが、鉛直方向を軸として回転し、モータの回転を駆動軸32cが攪拌翼32aに伝動して攪拌翼32aが回転することにより、混合水20に渦流が発生し混合水20を攪拌する。
【0049】
攪拌装置32は、処理室1の破砕機12が作動中又は貯留槽2の搬出ポンプ23が作動中等の混合水20の水位が下限水位22より高い場合に作動する。破砕機12のモータ121又は搬出ポンプ23の動力部と、攪拌装置32の動力部32bとは継電器により接続されており、攪拌装置32の作動は、破砕機12又は搬出ポンプ23の作動と連動する。混合水20の水位が下限水位22より高いことを水位センサ202で検知して破砕機12又は搬出ポンプ23が作動したとき、継電器の動作により攪拌装置32の動力部32bが作動する。貯留槽2に貯留されて破砕ごみが各所に偏在している混合水20を攪拌装置32が攪拌して起こる渦流により、破砕ごみが留まらずに混合水20中を循環する。破砕ごみが混合水20中を循環することで、破砕ごみの混合水20中での分布が均等となる。従って、搬出ポンプ23により吸込まれる確率が高くなり、破砕ごみが貯留槽2に残留する確率が減少する。
【0050】
実施の形態2のディスポーザにより、貯留槽2に貯留された混合水20中の破砕ごみが搬出ポンプ23により搬出されずに貯留槽2に残留することを大幅に減少し、残留した破砕ごみが腐敗して悪臭を発生し、衛生面が悪化することを防ぐことができる。
【0051】
攪拌装置32の動力部32bは混合水20の上限水位21より上方に設置されるため、混合水20の飛沫を受ける可能性があるとしても混合水20中に浸らない。従って、動力部32bの防水構造は簡易な構造でよい。
【0052】
実施の形態2は、以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、対応する部分は同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
(実施の形態3)
図3は、実施の形態3におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。ディスポーザ全体の構造は実施の形態1と同様であり、差異点は攪拌装置の構成であるため、実施の形態3における攪拌装置について以下に説明する。
【0054】
攪拌装置33は、貯留槽2の内部に設置されており、貯留槽2中の混合水20を攪拌する。攪拌装置33は、攪拌翼33aと、該攪拌翼33aを動作させる動力部33bと、駆動軸33cとを備える。攪拌装置33は、攪拌翼33aが混合水20の下限水位22と略等しい高さになるように設置されている。動力部33bは攪拌翼33aの下方で、且つ貯留槽2の底板5の外側に固定されている。攪拌翼33aと動力部33bとの間には底板5を貫通する駆動軸33cが設置されており、動力部33bの回転を攪拌翼33aに伝動する。図示しない電源から電力の供給を受けた動力部33bが備える図示しないモータが、鉛直方向を軸に回転し、モータの回転が駆動軸33cを介して攪拌翼33aに伝動して攪拌翼33aが回転することにより、混合水20に渦流が発生し混合水20を攪拌する。
【0055】
攪拌装置33は、処理室1の破砕機12が作動中又は貯留槽2の搬出ポンプ23が作動中等の混合水20の水位が下限水位22より高い場合に作動する。破砕機12のモータ121又は搬出ポンプ23の動力部と攪拌装置33の動力部33bとは継電器により接続され、攪拌装置33の作動は、破砕機12又は搬出ポンプ23の作動と連動する。混合水20の水位が下限水位22より高いことを水位センサ202で検知して破砕機12又は搬出ポンプ23が作動したとき、継電器の動作により攪拌装置33の動力部33bが作動する。貯留槽2に貯留されて破砕ごみが各所に偏在している混合水20を攪拌装置33が攪拌して起こる渦流により、破砕ごみが留まらずに混合水20中を循環する。破砕ごみが混合水20中を循環することで、破砕ごみの混合水20中での分布が均等となる。従って、搬出ポンプ23により吸込まれる確率が高くなり、破砕ごみが貯留槽2に残留する確率が減少する。
【0056】
実施の形態3のディスポーザにより、貯留槽2に貯留された混合水20中の破砕ごみが搬出ポンプ23により搬出されずに貯留槽2に残留することを大幅に減少し、残留した破砕ごみが腐敗して悪臭を発生し、衛生面が悪化することを防ぐことができる。
【0057】
攪拌装置33の動力部33bは貯留槽2の外部に設置されるため防水構造は簡易な構造でよい。駆動軸33cが底板5を内外に貫通する構造としているため、駆動軸33cは混合水20が貯留槽2の外部へ漏出しないように防水構造とする。攪拌装置33は、貯留槽2の底板5の外側に固定される構成としたが、これに限らず、動力部33bが貯留槽2の天板外側又は側面外側に設置される構成としてもよい。
【0058】
実施の形態3は、以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、対応する部分は同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
(実施の形態4)
図4は、実施の形態4におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。ディスポーザ全体の構造は実施の形態1と同様であり、差異点は攪拌手段の構成であるため、実施の形態4における攪拌手段について以下に説明する。
【0060】
貯留槽2に配されている搬出ポンプ23は、図示しないモータにより図示しない羽根車を回転させることで混合水20を捕らえ揚水する。そこで実施の形態4では、搬出ポンプ23の回転軸の下部に駆動軸34cを介して攪拌翼34aを設けることで、該攪拌翼34aを回転させる。これにより、搬出ポンプ23が駆動する際に、搬出ポンプ23の回転軸と一体となり攪拌翼34aが回転する。攪拌翼34aの回転によって渦流が発生し、破砕ごみが留まらずに混合水20中を循環する。破砕ごみが混合水20中を循環することで、破砕ごみの混合水20中での分布が均等となる。従って、搬出ポンプ23により吸込まれる確率が高くなり、破砕ごみが貯留槽2に残留する確率が減少する。
【0061】
実施の形態4のディスポーザにより、貯留槽2に貯留された混合水20中の破砕ごみが搬出ポンプ23により搬出されずに貯留槽2に残留することを大幅に減少させ、残留した破砕ごみが腐敗して悪臭を発生し、衛生面が悪化することを防ぐことができる。
【0062】
実施の形態4においては、攪拌翼34aを動作させるための動力部を用意する必要が無く、簡易な構成で本発明のディスポーザを実現可能である。
【0063】
実施の形態4は、以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、対応する部分は同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0064】
(実施の形態5)
図5は、実施の形態5におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。図6は、実施の形態5におけるディスポーザを示す略示上面図である。ディスポーザ全体の構造は実施の形態1と同様であり、差異点は攪拌装置の構成であるため、実施の形態5における攪拌装置について以下に説明する。
【0065】
実施の形態5では、攪拌装置は貯留槽2内の底板5上に配されている攪拌ポンプ35である。混合水20を攪拌するための攪拌ポンプ35は、貯留槽2の内部の底板5上に、搬出ポンプ23とは貯留槽2の底面略正方形の対角線上に離隔して配置されている。また、攪拌ポンプ35は、下面の吸込口352が下限水面22以下の高さになるように、及び上面の吐出口351が上限水面21以下の高さになるように配置されている。
【0066】
攪拌ポンプ35は、処理室1の破砕機12が作動中又は貯留槽2の搬出ポンプ23が作動中等の混合水20の水位が下限水位22より高い場合に作動する。破砕機12のモータ121又は搬出ポンプ23の動力部と攪拌ポンプ35の動力部とは継電器を介して接続され、攪拌ポンプ35の作動は、破砕機12又は搬出ポンプ23の作動と連動する。混合水20の水位が下限水位22より高いことを水位センサ202で検知して破砕機12又は搬出ポンプ23が作動したとき、継電器の動作により攪拌ポンプ35が作動する。攪拌ポンプ35は、混合水20を吸い込んで昇圧し、吐出口351から混合水20を吐出する。これにより、混合水20に水流が発生し破砕ごみが留まらずに混合水20中を循環する。破砕ごみが混合水20中を循環することで、破砕ごみの混合水20中での分布が均等となる。従って、搬出ポンプ23により吸込まれる確率が高くなり、破砕ごみが貯留槽2に残留する確率が減少する。
【0067】
実施の形態5のディスポーザにより、貯留槽2に貯留された混合水20中の破砕ごみが搬出ポンプ23により搬出されずに貯留槽2に残留することを大幅に減少させ、残留した破砕ごみが腐敗して悪臭を発生し、衛生面が悪化することを防ぐことができる。
【0068】
また、実施の形態5では、攪拌ポンプ35の吸込口352若しくは吐出口351、又は両者に混合水20の流路を誘導する導入管を取り付け、該導入管を貯留槽2中の任意の方向に向け、攪拌ポンプ35の作動により発生する混合水20の水流の向きを自在に変更することができる。これにより、混合水20を満遍なく攪拌することができ、搬出ポンプ23により混合水20中の破砕ごみが吸込まれる確率を更に高くすることができる。
【0069】
実施の形態5は、以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、対応する部分は同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0070】
(実施の形態6)
図7は、実施の形態6におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。ディスポーザ全体の構造は実施の形態1と同様であり、差異点は攪拌手段の構成であるため、実施の形態6における攪拌手段について以下に説明する。
【0071】
実施の形態6においては、貯留槽2に貯留された混合水20を攪拌する攪拌手段は、搬出ポンプ23の吐出口25と連結する吐出管26に環流管36を設けることにより実現する。環流管36は、吐出管26を流れる混合水20の一部が通るように吐出管26の側面の一部から突出した管である。環流管36の吐出管26とは反対側の一端は貯留槽2の底面に向けられており、搬出ポンプ23で吸い上げられた混合水20の一部が環流管36を通過して貯留槽2中へ戻る。
【0072】
環流管36を通過して戻る混合水20により、混合水20に水流が発生し、混合水20中の破砕ごみが留まらずに混合水20中を循環する。破砕ごみが混合水20中を循環することで、破砕ごみの混合水20中での分布が均等となる。従って、搬出ポンプ23により吸込まれる確率が高くなり、破砕ごみが貯留槽2に残留する確率が減少する。
【0073】
実施の形態6のディスポーザにより、貯留槽2に貯留された混合水20中の破砕ごみが搬出ポンプ23により搬出されずに貯留槽2に残留することを大幅に減少させ、残留した破砕ごみが腐敗して悪臭を発生し、衛生面が悪化することを防ぐことができる。
【0074】
また、実施の形態6では、搬出ポンプ23の吐出管26から混合水20の一部が戻るように環流管36を設けるのみの簡易な構成により、貯留槽2に貯留された混合水20に水流を発生することができる。従って、別途攪拌用の装置を設ける必要が無い。
【0075】
また、実施の形態6では、環流管36を任意の方向に向け、環流管36から混合水20が戻ることによって発生する水流の向きを自在に変更することができる。これにより、混合水20を満遍なく攪拌することができ、搬出ポンプ23により混合水20中の破砕ごみが吸込まれる確率を更に高くすることができる。
【0076】
実施の形態6は、以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、対応する部分は同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0077】
(実施の形態7)
図8は、実施の形態7におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。ディスポーザ全体の構造は実施の形態1と同様であるため説明を省き、同一の符号を用いて貯留槽2の内部に設置される攪拌手段について以下に説明する。
【0078】
実施の形態7においては、貯留槽2に貯留された混合水20を攪拌する攪拌手段は、実施の形態6同様搬出ポンプ23から延びる吐出管26に環流管36を設けることにより実現する。環流管36については、実施の形態6と同様であるため、説明を省く。実施の形態7では、搬出ポンプ23の吐出口25と連結する吐出管26と環流管36との境界面にフィルター37を設ける。吐出管26から環流管36へ混合水20が通過する際、混合水20中の破砕ごみはフィルター37で捕集され、環流管36を通過して貯留槽2中に戻ることがなく、吐出管26及び搬出管27を通過して流れる水流に乗って貯留槽2の外部へ吐出される。
【0079】
環流管36を通過して戻る混合水20により、混合水20に水流が発生し、混合水20中の破砕ごみが留まらずに混合水20中を循環する。破砕ごみが混合水20中を循環することで、破砕ごみの混合水20中での分布が均等となる。従って、搬出ポンプ23により吸込まれる確率が高くなる。また、搬出ポンプ23で吸い上げた破砕ごみは、環流管36に設けられたフィルター37により捕集されて、貯留槽2へ一部戻る混合水20と共には戻らないため、混合水20中の破砕ごみの濃度は確実に減少する。従って、破砕ごみが貯留槽2に残留する確率は大幅に減少する。
【0080】
実施の形態7のディスポーザにより、貯留槽2に貯留された混合水20中の破砕ごみが搬出ポンプ23により搬出されずに貯留槽2に残留することを大幅に減少させ、残留した破砕ごみが腐敗して悪臭を発生し、衛生面が悪化することを防ぐことができる。
【0081】
実施の形態7は、以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、対応する部分は同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0082】
なお、実施の形態1乃至7では、処理室1の破砕機12は、処理室1の底面に配され固定される構成としたが、破砕機12は、ホッパー11を介して吊持される構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施の形態1におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。
【図2】実施の形態2におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。
【図3】実施の形態3におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。
【図4】実施の形態4におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。
【図5】実施の形態5におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。
【図6】実施の形態5におけるディスポーザを示す略示上面図である。
【図7】実施の形態6におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。
【図8】実施の形態7におけるディスポーザを示す略示正面断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 処理室
12 破砕機
125 破砕刃
13 送出管
2 貯留槽
23 搬出ポンプ
26 吐出管
31,32,33 攪拌装置
31a,32a,33a,34a 攪拌翼
31b,32b,33b 動力部
32c,33c,34c 駆動軸
35 攪拌ポンプ
36 環流管
37 フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と共に投入される生ごみを破砕する破砕機と、該破砕機で破砕した破砕ごみと水との混合水を送出する送出管と、該送出管を介して前記破砕機と連通し前記混合水を貯留する貯留槽と、該貯留槽の内部に配され前記貯留槽に貯留された混合水を外部に搬出する搬出ポンプとを備えるディスポーザにおいて、
前記貯留槽に貯留された混合水を攪拌する攪拌手段
を備えることを特徴とするディスポーザ。
【請求項2】
前記攪拌手段は、
前記混合水を攪拌する攪拌翼を備えること
を特徴とする請求項1に記載のディスポーザ。
【請求項3】
前記攪拌手段は、
前記攪拌翼を動作させる動力部を前記混合水の水面より上部に設けてあること
を特徴とする請求項2に記載のディスポーザ。
【請求項4】
前記攪拌手段は、
前記攪拌翼を動作させる動力部を前記貯留槽の外部に設けてあること
を特徴とする請求項2に記載のディスポーザ。
【請求項5】
前記攪拌手段は、
前記搬出ポンプの回転軸に攪拌翼を設けてあること
を特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載のディスポーザ。
【請求項6】
前記混合水に水流を生成する攪拌ポンプを備えること
を特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載のディスポーザ。
【請求項7】
前記搬出ポンプの吐出口側に環流管を備え、
該環流管は、前記搬出ポンプで吸い上げた前記混合水の一部を前記貯留槽に戻すようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載のディスポーザ。
【請求項8】
前記環流管は、
前記混合水中の破砕ごみを取り除くフィルターを備えること
を特徴とする請求項7に記載のディスポーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−283215(P2007−283215A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113574(P2006−113574)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】