説明

デジタルカメラ

【課題】光学部材へ付着した異物を効率的に除去できるデジタルカメラを提供する。
【解決手段】デジタルスチルカメラCAの不図示の電源スイッチがオンされて、デジタルスチルカメラCAの電源が投入されると、異物検出用画像を得る。そして、異物検出用画像の撮像データに基づいて第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着状況を算出し、算出した異物の付着状況に応じて振動条件を決定するように構成した。したがって、異物の付着状況に応じて第1複屈折板201の前側表面201aの振動状態を変更できるので、効率的に付着異物を除去できるとともに、付着異物の除去に効果的ではない振動条件による振動板261,262の加振を回避できる。これにより、付着異物除去による消費電力を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材を振動させることで光学部材に付着した異物を除去するデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
光学部材を振動させることで光学部材に付着した異物を除去するデジタルカメラが知られている。このデジタルカメラでは、振動させる光学部材(防塵フィルタ)の振動周波数を変更することで、防塵フィルタの振動状態を変更して異物を除去している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−333391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のデジタルカメラでは、異物の付着状態に関わらず防塵フィルタの振動周波数を変更して防塵フィルタの振動状態を変更しているので効率的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明によるデジタルカメラは、被写体像を撮像する撮像素子と、撮像素子の被写体側の前面に配設された光学部材と、光学部材を振動させる振動部材と、光学部材への異物の付着状態を検出する異物付着状態検出手段と、異物付着状態検出手段で検出した異物の付着状態に応じた振動を光学部材に与えるように振動部材を制御する振動部材制御手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、振動部材制御手段は、振動部材の振動周波数を変更することで、異物付着状態検出手段で検出した異物の付着状態に応じた振動を光学部材に与えることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項2に記載のデジタルカメラにおいて、異物付着状態検出手段は、少なくとも、光学部材へ付着する異物の付着位置を検出し、振動部材制御手段は、振動部材の振動周波数を変更することで、異物付着状態検出手段で検出した異物の付着位置近傍の光学部材の振幅が大きくなるように、振動部材を制御することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、振動部材は、圧電効果を利用して光学部材を振動させる部材であり、振動部材制御手段は、振動部材に印加する交流電圧の周波数を変更することで、振動部材の振動周波数を変更することを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、振動部材は、光学部材を振動させるように複数配設されており、振動部材制御手段は、複数の振動部材の振動の位相が同相となるように振動部材を制御することを特徴とする。
(6) 請求項6の発明は、請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、振動部材は、光学部材を振動させるように少なくとも1対配設されており、振動部材制御手段は、対となる振動部材のうちの一方の振動部材の振動の位相と他方の振動部材の振動の位相とが逆相となるように振動部材を制御することを特徴とする。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデジタルカメラにおいて、振動部材制御手段は、異物付着状態検出手段で検出した異物の付着状態に応じて光学部材の振動の振幅を変更するように振動部材を制御することを特徴とする。
(8) 請求項8の発明は、請求項4〜6のいずれか一項に記載のデジタルカメラにおいて、振動部材制御手段は、振動部材に印加する交流電圧の電圧を変更することで光学部材の振動の振幅を変更するように、振動部材を制御することを特徴とする。
(9) 請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のデジタルカメラにおいて、振動部材制御手段は、光学部材で発生する振動の波形が定常波となるように振動部材を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光学部材へ付着した異物を効率的に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−−−第1の実施の形態−−−
図1〜7を参照して、本発明によるデジタルカメラの第1の実施の形態を説明する。図1は本実施形態におけるデジタルスチルカメラを側面から見た断面図である。なお、説明の便宜上、各図に示すように前後左右および上下方向を規定する。左右方向については、デジタルスチルカメラを正面から見たときの左右方向と一致するように規定する。このデジタルスチルカメラCAはレンズ交換式の一眼レフタイプであり、撮影レンズLを有する交換レンズLBがレンズマウント21を介してカメラ本体CBに装着される。撮影レンズLを透過した撮影光束は、レンズマウント21の開口21aを通ってカメラ本体CB内に導かれ、ミラー22で反射されてファインダスクリーン23上に結像され、ペンタプリズム24,接眼レンズ25を介して観察される。
【0008】
レリーズ操作がなされると、ミラー22が跳ね上げられて撮影光路から退避し、続いてシャッタ装置であるフォーカルプレーンシャッタ100が駆動され、撮影レンズLの透過光束は、光学フィルタ200の後方に設けられたCCDなどの撮像素子250に入射する。撮像素子250の光電変換出力は、後述する画像処理部にて種々の処理が施され、デジタル画像データが生成される。なお、撮像素子250には、CCD以外の撮像素子(例えば、CMOS)を用いてもよい。
【0009】
図2は、デジタルスチルカメラCAの構成を説明するブロック図である。演算回路101は、マイクロコンピュータなどによって構成される。演算回路101は、後述する各部から出力される信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づく制御信号を各部へ出力する。演算回路101と後述する各部とは互いに接続されている。
【0010】
撮像素子250は、撮影レンズLを通過した被写体光による像を撮像し、撮像信号を画像処理部123へ出力する。画像処理部123は、A/D変換回路やASICなどによって構成される。画像処理部123は、アナログ撮像信号をデジタル信号に変換して、デジタル変換後の画像データにホワイトバランス処理などの画像処理を行う。また画像処理部123は、画像処理後の画像データを所定の形式で圧縮する圧縮処理、圧縮された画像データを伸長する伸長処理などを行う。
【0011】
レリーズスイッチ141は、不図示のレリーズボタンに連動してレリーズ操作信号を演算回路101に出力する。レリーズ操作信号には、レリーズボタンの半押し操作に対応する半押し操作信号と、半押し操作より深く押下される全押し操作に対応する全押し操作信号とがある。操作スイッチ143は、カメラ本体CBに設けられて不図示の各操作ボタンが操作されると、それぞれ操作信号を演算回路101に出力するスイッチ群である。
【0012】
振動板制御装置151は、演算回路101から出力される信号に基づいて後述する振動板261,262を駆動する装置である。異物検出光源152は、光学フィルタ200の前方に設けられた光源であり、演算回路101によって点灯および消灯が制御される。異物検出光源152は、後述するように、光学フィルタ200の被写体側の前面に付着した異物の検出の際に点灯される。なお、異物検出光源152は、フォーカルプレーンシャッタ100が駆動されて撮影開口が開放されると光学フィルタ200の後述する前側表面201aの全体に光を照射できるように、その配設位置、配光が設定されている。
【0013】
表示制御部161は、演算回路101から出力される信号に基づいて、たとえばカメラ本体CBの背面に設けられた表示装置7aの表示制御を行う制御部である。レンズ駆動制御部163は、演算回路101から出力される信号に基づいて、合焦動作や焦点距離変更動作を行うように交換レンズLBのレンズ群(撮影レンズL)を駆動する。シーケンスモータ駆動部164は、演算回路101から出力される信号に基づいてシーケンスモータ164aを駆動する。シーケンスモータ164aは、ミラー22の回動や、フォーカルプレーンシャッタ100のチャージ動作などを行うためのモータである。
【0014】
記憶媒体装着部165は、不図示の記憶媒体を着脱可能に保持し、装着された記憶媒体に記録されたデータの読み込みや消去、記憶媒体へのデータの書き込みを行う。記憶媒体には、画像処理後の画像データが記録される。なお、フォーカルプレーンシャッタ100の動作を開始させるためのマグネットや露光制御のための測光センサなどについては本願発明に直接関係しないため記載を省略する。
【0015】
−−−光学フィルタ200−−−
図3(a)は、光学フィルタ200を前面から見た図であり、図3(b)は、光学フィルタ200を右側から見たときの図である。図4は、光学フィルタ200と撮像素子250を右側から見たときの図である。光学フィルタ200は、光学ローパス特性および赤外カット特性を併せ持つもので、撮影レンズL側から第1複屈折板201、波長板202、赤外カットガラス203、第2複屈折板204を順に貼り合わせて構成される。被写体光束は、これらの光学部材201〜204を順に透過した後、撮像素子250の不図示のカバーガラス(保護カバー)を透過して撮像面に入射する。この種の光学フィルタ200を介すことで、撮像結果に悪影響を与える要因を除去できる。なお、第2複屈折板204の前面の上下端近傍には後述する振動板261,262が接着されて固定されている。
【0016】
撮像素子250は、上述したように、CCDなどの固体撮像素子である。図4に示すように、撮像素子250は、前面が、たとえばゴムなどの弾性体で形成された枠状の部材211を介して第2複屈折板204の後面と対向している。したがって、第2複屈折板204と撮像素子250との間の空間には異物が侵入できない。
【0017】
しかし、符号201aで示した第1複屈折板201の前側表面はカメラ本体CB内の空間に露出しているため、異物が付着することがある。そこで、本実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、振動板261,262を振動させることによって光学フィルタ200を振動させて、第1複屈折板201の前側表面201aに付着した異物を払い落とす。
【0018】
−−−振動板261,262−−−
振動板261,262は圧電素子であり、第2複屈折板204の前側表面の上下端近傍で、第2複屈折板204の左右方向に延在する辺(長辺)に沿って延在する。振動板261,262は、上述したように第2複屈折板204の前面に接着されて固定されている。振動板261,262は、光学フィルタ200を振動させる振動部材である。振動板261,262は、それぞれ可撓性を有するフレキシブルプリント基板263,264によって振動板制御装置151と電気的に接続されている。振動板261,262は、振動板制御装置151から出力される所定周波数の駆動信号によって駆動されると振動する。この振動が第2複屈折板204に伝達されると、光学フィルタ200自体が振動して第1複屈折板201の前側表面201aに付着した異物を払い落とす。
【0019】
第1複屈折板201の前側表面201aは、振動板261,262によって加振されると、たとえば、図5に示すように前後方向に振動する。第1複屈折板201の前側表面201aにおける振動の腹の発生位置、腹の数、腹の上下方向への移動の有無などは、振動板261,262の振動のさせ方、すなわち、振動板制御装置151から出力される駆動信号によって変化する。また、第1複屈折板201の前側表面201aにおける振動の振幅は、振動板制御装置151から出力される駆動信号の電圧が高ければ大きくなる傾向にある。演算回路101および振動板制御装置151は、振動板261,262を制御する振動部材制御手段である。
【0020】
したがって、振動板制御装置151から出力される駆動信号を種々変化させることで、第1複屈折板201の前側表面201aを様々な状態で振動させることができる。しかし、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着状態、すなわち、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着位置や異物の大きさ、数などにかかわらず振動板制御装置151から出力される駆動信号を種々変化させるのは非効率である。たとえば、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着状態が分かっていれば、前側表面201aうち、異物の付着位置近傍の振幅が大きくなるように前側表面201aを振動させることで、異物を確実にかつ効率的に除去できる。
【0021】
−−−異物除去について−−−
そこで、本実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、以下に詳述するように、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着状態を検出して、異物の付着状態に応じて第1複屈折板201の前側表面201aを振動させることで、異物を効率的に除去する。不図示のメインスイッチが操作されてデジタルスチルカメラCAの電源がオンされると、演算回路101は付着異物除去モードに移行するよう各部を制御する。すなわち、演算回路101は異物検出光源152を点灯させる。そして、演算回路101は、フォーカルプレーンシャッタ100を動作させて、撮像素子250で撮像させる。第1複屈折板201の前側表面201aへ異物が付着している場合には、異物によって異物検出光源152からの光が遮られるため、異物が影となって撮像される。
【0022】
その後、演算回路101は、動作させたフォーカルプレーンシャッタ100をチャージするように各部を制御するとともに、先ほどの撮像によって得られた画像(異物検出用画像)について、異物の付着状態を検出するための画像処理を行う。ここで行われる画像処理について、図6を参照して説明する。図6(a)は、第1複屈折板201の前側表面201aへ異物が付着している状態を示す図である。図6(a)において、301は前側表面201aへ付着した異物であり、302は、異物301の付着位置の略中心を通り、前側表面201aで左右方向に延在する直線を示す。図6(b)は、図6(a)における直線302に対応する撮像素子250の各画素の並び(左右方向の配設位置)を横軸とし、異物検出用画像の撮像の際に、各画素が受光する受光量(明るさ)を縦軸としたグラフである。
【0023】
図6(a)に示すように、第1複屈折板201の前側表面201aへ異物301が付着している場合、この異物301の影によって、異物301の付着位置に対応する撮像素子250の画素における受光量は、他の画素と比べて少なくなる。そこで、演算回路101は、異物検出用画像の撮像データから、たとえば、周囲の画素の受光量と比べて受光量の減少度合いが所定割合a(たとえば10%)以上である画素がたとえば連続して所定数n(たとえば10ピクセル)以上存在しているか否かを判断する。この判断(付着異物有無判断)が肯定判断された場合には、演算回路101は、当該画素に対応する第1複屈折板201の前側表面201aへ異物301が付着しているものと判定する。異物の付着があるものと判定されると、演算回路101は、異物の付着位置を、撮像素子250を構成する各画素のアドレス(位置)として記憶する。
【0024】
その後、演算回路101は、上述したように記憶した各画素のアドレスから、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着状況(異物の付着位置、異物の大きさ、異物の数など)を算出する。そして、演算回路101は、算出した異物の付着状況に応じて、振動板261,262の振動条件(振動モードや、振動の強さ、振動継続時間など)を決定する。具体的には、演算回路101は、次のようにして振動板261,262の振動条件を決定する。ここで、振動板261,262の振動モードには、たとえばAモードからCモードまでの振動モードがあらかじめ決められているものとする。
【0025】
たとえばAモードでは、振動板261,262の振動周波数をaとし、振動が逆相となるように振動させる。たとえば、Bモードでは、振動板261,262の振動周波数をbとし、振動が同相となるように振動させる。たとえば、Cモードでは、振動板261,262の振動周波数をcとし、振動が同相となるように振動させる。また、各振動モードにおいて、振動の強さ(すなわち振幅の大きさ)をたとえば3段階(強、中、弱)設定可能である。なお、上述した各振動モードにおける同相/逆相の別や振動周波数は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。同様に、振動モードの数も3つに限定されるものではない。また、少なくとも、各振動モードのいずれかによって振動板261,262を加振すれば、第1複屈折板201の前側表面201aの任意の場所が必ず振動するように、各振動モードの条件(同相/逆相の別や振動周波数など)が設定されている。
【0026】
上述した各振動モードでは、第1複屈折板201の前側表面201aで発生する振動の波形が定常波(定在波)となるように、振動板261,262が加振される。また、上述した各振動モードでは、第1複屈折板201の前側表面201aで発生する振動の腹および節の発生位置や、腹(節)の数がそれぞれ異なる。各振動モードにおける、第1複屈折板201の前側表面201aで発生する振動の腹および節の発生位置や、腹(節)の数の情報(振動情報)は不図示の記憶部に記憶されている。演算回路101は、記憶部に記憶された振動情報と、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物(付着異物)の付着状況に基づいて、たとえば次のように振動条件を決定する。
【0027】
(a) たとえば演算回路101は、第1複屈折板201の前側表面201aにおける異物の付着位置近傍の振幅が大きくなるように振動モードを選択する。なお、選択する振動モードの数は1つに限られず、振動モードを順次変更して振動板261,262を加振するように、複数の振動モードを選択するようにしてもよい。
(b) たとえば演算回路101は、異物が2つ以上付着していると判断されると、各異物について、第1複屈折板201の前側表面201aにおける異物の付着位置近傍の振幅が大きくなるように振動モードをそれぞれ選択する。一例を挙げると、演算回路101は、2つの付着異物がある場合に、ある1つの付着異物の付着位置近傍の振幅が大きくなるようにAモードを選択し、他の付着異物の付着位置近傍の振幅が大きくなるようにCモードを選択し、AモードとCモードで順次加振する。なお、この場合には、たとえば、第1複屈折板201の前側表面201aの中央寄りの付着異物を優先的に除去できるように振動モードを選択するようにしてもよい。また、たとえば、大きい付着異物を優先的に除去できるように振動モードを選択するようにしてもよい。
【0028】
(c) たとえば演算回路101は、付着異物の大きさに応じて振幅の大きさ(駆動信号の電圧)を変更する。この場合、たとえば、付着異物の大きさが大きいほど振幅を大きくするようにしてもよい。
(d) たとえば演算回路101は、付着異物の大きさに応じて振動の周波数(ここでは振動モード)を変更する。振動の周波数が高くなると、振幅が小さくなるが振動の加速度は大きくなるので、小さい付着異物を除去しやすくなる。したがって、たとえば、付着異物の大きさが小さいほど振動の周波数が高くなるように振動モードを選択してもよい。
(e) たとえば演算回路101は、付着異物の大きさに応じて振動板261,262を加振する時間(振動継続時間)を変更する。この場合、たとえば、付着異物が小さいほど振動によって前側表面201aから付着異物が離れにくくなる傾向があるので、振動継続時間を長くするようにしてもよい。
【0029】
演算回路101は、上述したように振動条件を決定すると、決定した振動条件に従って振動板261,262を加振するように振動板制御装置151を制御する。その結果、第1複屈折板201の前側表面201aが振動して付着異物が除去される(払い落とされる)。演算回路101は、振動板261,262の加振を終了すると、付着異物除去モードを解除して撮影待機状態となるようにデジタルスチルカメラCAの各部を制御する。これにより、デジタルスチルカメラCAは撮影待機状態となる。
【0030】
なお、上述した付着異物有無判断において否定判断された場合には、演算回路101は、第1複屈折板201の前側表面201aへ異物が付着していないものと判定して、振動板261,262を加振することなく付着異物除去モードを解除して撮影待機状態となるようにデジタルスチルカメラCAの各部を制御する。
【0031】
このように、本実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、付着異物の除去に効果的な振動条件で第1複屈折板201の前側表面201aさせることができる。換言すれば、本実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、付着異物の除去に効果的ではない振動条件による加振を回避できる。
【0032】
−−−フローチャート−−−
図7は、第1複屈折板201の前側表面201aへの付着異物を除去するための上述した処理を行うプログラムの処理内容を示すフローチャートである。不図示の電源スイッチがオンされて、デジタルスチルカメラCAの電源が投入されると、この処理を行うプログラムが起動されて、演算回路101で実行される。
【0033】
ステップS1において、異物検出光源152を点灯させてステップS3へ進む。ステップS3において、フォーカルプレーンシャッタ100を動作させて、撮像素子250で撮像させることで異物検出用画像を得てステップS5へ進む。ステップS5において、ステップS1で点灯させた異物検出光源152を消灯させるとともに、ステップS3で動作させたフォーカルプレーンシャッタ100をチャージするように各部を制御してステップS7へ進む。
【0034】
ステップS7において、ステップS3で取得した異物検出用画像の撮像データに基づいて、異物の付着状態を検出するための上述した画像処理を行ってステップS9へ進む。ステップS9において、ステップS7で行った画像処理の結果に基づいて、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物が付着しているか否かを判断する。ステップS9が肯定判断されるとステップS11へ進み、ステップS7で行った画像処理の結果に基づいて、異物の付着状況を算出してステップS13へ進む。ステップS13において、ステップS11で算出した異物の付着状況から、振動板261,262の振動条件を設定してステップS15へ進む。
【0035】
ステップS15において、ステップS13で設定した振動条件に従って振動板261,262を加振するように振動板制御装置151を制御してステップS17へ進む。ステップS17において、振動継続時間が経過するまで待機する。ステップS17が肯定判断されるとステップS19へ進み、ステップS13で設定した振動条件の全ての振動モードおよび振動の強さでの加振を終了したか否かを判断する。ステップS21が否定判断されるとステップS21へ進み、ステップS13で設定した振動条件の全ての振動モードおよび振動の強さのうち、まだ終了していない条件での加振を開始してステップS17へ戻る。
【0036】
ステップS19が肯定判断されるとステップS23へ進み、撮影待機状態となるようにデジタルスチルカメラCAの各部を制御する。ステップS23以降の動作については、従来のカメラと同様であるので説明を省略する。
【0037】
ステップS9が否定判断されるとステップS23へ進む。
【0038】
上述した第1の実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、次の作用効果を奏する。
(1) 異物検出用画像を得て、異物検出用画像の撮像データに基づいて第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着状況を算出し、算出した異物の付着状況に応じて振動条件を決定するように構成した。したがって、異物の付着状況に応じて第1複屈折板201の前側表面201aの振動状態を変更できるので、効率的に付着異物を除去できるとともに、付着異物の除去に効果的ではない振動条件による振動板261,262の加振を回避できる。これにより、付着異物除去による消費電力を抑制できる。
【0039】
(2) 振動板261,262の振動周波数を変更できるように構成した。したがって、付着異物の大きさに応じて振動板261,262の振動周波数を変更することで、付着異物の大きさに応じて効率よく除去できる。また、付着異物の付着位置に応じて振動板261,262の振動周波数を変更することで、振動の腹の位置を付着異物の付着位置近傍に設定できるので、付着異物を効率的に除去できる。
【0040】
(3) 対となる振動板261,262を、第2複屈折板204の前側表面の上下端近傍に配設し、同相または逆相で振動させるように構成した。これにより、第1複屈折板201の前側表面201aにおける振動の腹の位置を変更できるので、第1複屈折板201の前側表面201aに付着した異物を払い落とす能力が高い。
【0041】
(4) 振動板261,262の駆動信号の電圧を変更することで、付着異物の大きさに応じて、第1複屈折板201の前側表面201aにおける振動の振幅を変更するように構成した。これにより、短時間で効率的に付着異物を除去できる。
【0042】
(5) 第1複屈折板201の前側表面201aで発生する振動の波形が定常波となるように、振動板261,262を加振するように構成した。これにより、振動の腹の位置が移動しなくなるので、異物付着位置の近傍に振動の腹が位置するように前側表面201aを振動させれば、異物付着位置の近傍の前側表面201aを継続して大きな振幅で振動させることができるので、短時間で効率的に付着異物を除去できる。
【0043】
−−−第2の実施の形態−−−
図8,9を参照して、本発明によるデジタルカメラの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、デジタルカメラのユーザの指示によって付着異物の除去を開始する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0044】
たとえば、デジタルスチルカメラCAで被写体像を撮像した際に、ユーザが、表示装置7aに表示された画像を見て、付着異物の映り込みを発見することなどがある。本実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、このような場合には、次のようにして付着異物を除去できる。上述したように付着異物の映り込みを発見したユーザにより不図示の各操作ボタンが操作されることで付着異物除去モードに設定されると、演算回路101は、たとえば直近の撮像によって得られた被写体像の画像を表示装置7aに表示させる。また、演算回路101は、図8に示すように、除去すべき付着異物の位置を特定するようにユーザに促す表示71を行う。さらに、演算回路101は、付着異物の位置を特定するためのカーソル72を表示させる。
【0045】
ユーザは、不図示の操作ボタンを操作することで、表示装置7aに表示された被写体像の画像に写り込んだ付着異物の像(付着異物像73)に、上述したカーソル72を合わせることができる。図8では、付着異物像73にカーソル72を合わせた状態を示している。なお、本実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、表示装置7aに表示される被写体像の画像の表示倍率を任意に設定できるように構成されている。そのため、ユーザは、表示装置7aに表示される被写体像の画像の表示倍率を適宜設定することで、付着異物像73を容易に発見できる。
【0046】
図8に示すように付着異物像73にカーソル72が合わせられた状態で、ユーザによる操作ボタン(たとえばOKボタンや決定ボタン)の操作によって異物の位置を確定する操作が行われると、演算回路101は、カーソル72の表示位置に基づいて、表示装置7aに表示された被写体像の画像中の付着異物像73の位置を算出する。そして、演算回路101は、算出した付着異物像73の位置を、異物の付着位置として、撮像素子250を構成する画素の位置に対応させて、画素のアドレス(位置)として記憶する。
【0047】
その後、演算回路101は、記憶した画素のアドレスから、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着位置を算出する。そして、演算回路101は、算出した異物の付着位置に応じて、第1の実施の形態と同様に、振動板261,262の振動条件(振動モードや、振動の強さ、振動継続時間など)を決定する。
【0048】
演算回路101は、振動条件を決定すると、決定した振動条件に従って振動板261,262を加振するように振動板制御装置151を制御する。その結果、第1複屈折板201の前側表面201aが振動して付着異物が払い落とされる。演算回路101は、振動板261,262の加振を終了すると、付着異物除去モードを解除して撮影待機状態となるようにデジタルスチルカメラCAの各部を制御する。これにより、デジタルスチルカメラCAは撮影待機状態となる。
【0049】
−−−フローチャート−−−
図9は、第1複屈折板201の前側表面201aへの付着異物を除去するための上述した処理を行うプログラムの処理内容を示すフローチャートである。不図示の電源スイッチがオンされて、デジタルスチルカメラCAの電源が投入された後、不図示の各操作ボタンが操作されることで付着異物除去モードに設定されると、この処理を行うプログラムが起動されて、演算回路101で実行される。
【0050】
ステップS31において、直近の撮像によって得られた被写体像の画像を表示装置7aに表示させるように各部を制御してステップS33へ進む。ステップS33において、除去すべき付着異物の位置を特定するようにユーザに促す表示71、および、付着異物の位置を特定するためのカーソル72を表示装置7aに表示させるように各部を制御してステップS35へ進む。ステップS35において、ユーザによって異物の位置が特定されるまで(たとえば不図示のOKボタンが押圧されるまで)待機する。
【0051】
ステップS35が肯定判断されるとステップS37へ進み、ステップS35で特定された異物の位置に基づいて、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着位置を上述したように算出して、ステップS13へ進む。ステップS13以降の動作については、第1の実施の形態における図7のステップS13以降と同じであるので説明を省略する。
【0052】
第2の実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、第1の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) ユーザが異物の付着位置を特定できるように構成したので、ユーザが気になる異物の映り込みを効果的に解消できる。
【0053】
−−−第3の実施の形態−−−
図10を参照して、本発明によるデジタルカメラの第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1および第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1および第2の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、デジタルカメラのユーザの操作によって付着異物を検出するための撮像を行い、その後、付着異物の検出と付着異物の除去を開始する点で、第1および第2の実施の形態と異なる。
【0054】
第3の実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、異物検出光源152が設けられていない。ユーザにより不図示の各操作ボタンが操作されることで付着異物除去モードに設定されると、演算回路101は、付着異物を検出するための画像(異物検出用画像)を得るための待機状態に移行するよう各部を制御する。具体的には、演算回路101は、撮影レンズLの制御絞り値を最大絞り値に設定するとともに、撮影レンズLのフォーカスを無限遠に設定し、レリーズスイッチ141から全押し操作信号が入力されるまで待機する。
【0055】
ユーザによって、デジタルスチルカメラCAの交換レンズLBがたとえばライトボックスのように一様に明るい無地の被写体に向けられて、不図示のレリーズボタンが全押し操作されると、演算回路101は、被写体像の明るさに応じたシャッタ速度で被写体像を撮像するように各部を制御する。これにより、異物検出用画像が得られる。その後、演算回路101は、動作させたフォーカルプレーンシャッタ100をチャージするように各部を制御するとともに、先ほどの撮像によって得られた異物検出用画像について、第1の実施の形態と同様に異物の付着状態を検出するための画像処理を行う。なお、以降の演算回路101の制御内容は、第1の実施の形態における制御内容と同じである。
【0056】
すなわち、演算回路101は、異物検出用画像の撮像データに基づいて、付着異物有無判断を行い、異物の付着位置を、撮像素子250を構成する各画素のアドレス(位置)として記憶する。その後、演算回路101は、上述したように記憶した各画素のアドレスから、第1複屈折板201の前側表面201aへの異物の付着状況を算出する。そして、演算回路101は、算出した異物の付着状況に応じて、振動板261,262の振動条件を決定する。
【0057】
演算回路101は、振動条件を決定すると、決定した振動条件に従って振動板261,262を加振するように振動板制御装置151を制御する。その結果、第1複屈折板201の前側表面201aが振動して付着異物が払い落とされる。演算回路101は、振動板261,262の加振を終了すると、付着異物除去モードを解除して撮影待機状態となるようにデジタルスチルカメラCAの各部を制御する。これにより、デジタルスチルカメラCAは撮影待機状態となる。
【0058】
なお、上述した付着異物有無判断において否定判断された場合には、演算回路101は、第1複屈折板201の前側表面201aへ異物が付着していないものと判定して、付着異物除去モードを解除して撮影待機状態となるようにデジタルスチルカメラCAの各部を制御する。
【0059】
−−−フローチャート−−−
図10は、第1複屈折板201の前側表面201aへの付着異物を除去するための上述した処理を行うプログラムの処理内容を示すフローチャートである。不図示の電源スイッチがオンされて、デジタルスチルカメラCAの電源が投入された後、不図示の各操作ボタンが操作されることで付着異物除去モードに設定されると、この処理を行うプログラムが起動されて、演算回路101で実行される。
【0060】
ステップS41において、撮影レンズLの制御絞り値を最大絞り値に設定するとともに、撮影レンズLのフォーカスを無限遠に設定してステップS43へ進む。ステップS43において、レリーズスイッチ141から全押し操作信号が入力されるまで待機する。ステップS43が肯定判断されるとステップS45へ進み、被写体像の明るさに応じたシャッタ速度で被写体像を撮像するように各部を制御する。これにより、異物検出用画像が得られる。ステップS45が実行されるとステップS47へ進み、動作させたフォーカルプレーンシャッタ100をチャージするように各部を制御してステップS7へ進む。ステップS7以降の動作については、第1の実施の形態における図7のステップS7以降と同じであるので説明を省略する。
【0061】
第3の実施の形態のデジタルスチルカメラCAでは、第1および第2の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) ユーザの操作によって付着異物除去モードに設定されて、レリーズボタンが全押し操作されると、撮像により異物検出用画像を得た後、付着異物の検出を行って、付着異物の付着状態に応じた除去動作を行うように構成した。これにより、ユーザの都合に合わせて、必要に応じて付着異物の除去動作を行うようにできるので、利便性が高い。すなわち、たとえば、交換レンズLBの交換を伴わずにデジタルスチルカメラCAを起動するときには、付着異物の除去動作を行わせないようにすることで、デジタルスチルカメラCAの起動レスポンスを向上できる。また、たとえば、交換レンズLBの交換後にデジタルスチルカメラCAを起動するときには、ユーザの操作によって付着異物の除去動作を行わせるようにすることで、交換レンズLBの交換時に外部から侵入する異物の付着による画質劣化を予防できる。
【0062】
−−−変形例−−−
(1) 上述した第1の実施の形態や第3の実施の形態では、付着異物の検出のために、被写体像の画像の記録のための撮像(通常の撮影)とは別に、異物検出用画像を撮像しているが、本発明は、これに限定されない。たとえば、記録のためにすでに撮像して得られた複数の画像に基づいて、異なる複数の画像で同じ位置に同じような像が映り込んでいるか否かを判断することで、付着異物の検出を行うようにしてもよい。そして、付着異物が検出されると、たとえば、次回のデジタルスチルカメラCAを起動する際に、上述したように付着異物の除去を開始するようにしてもよい。また、付着異物が検出された旨をユーザに報知して、手動による付着異物の除去の開始操作を行うようにユーザに促すようにしてもよい。このようにして、付着異物を除去する際には、演算回路101は、付着異物の検出結果に基づいて、振動板261,262の振動条件を決定すればよい。
【0063】
(2) 上述した第1の実施の形態では、付着異物有無判断において否定判断された場合には、演算回路101が付着異物除去モードを解除して撮影待機状態となるようにデジタルスチルカメラCAの各部を制御するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、付着異物有無判断において否定判断された場合には、演算回路101がAモード〜Cモードで順次振動板261,262を加振するように構成してもよい。
【0064】
(3) 上述した第1の実施の形態では、付着異物有無判断において、周囲の画素の受光量と比べて受光量の減少度合いが所定割合a以上である画素が連続して所定数n以上存在しているか否かを判断するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、周囲の画素の受光量と比べた受光量の減少度合いではなく、受光量のしきい値を超えるか否かによって判断するようにしてもよい。すなわち、たとえば、受光量が所定量b以下である画素がたとえば連続して所定数n以上存在しているか否かを判断することによって、当該画素に対応する第1複屈折板201の前側表面201aへ異物301が付着しているものと判定するように構成してもよい。
【0065】
(4) 上述の説明では、第1複屈折板201の前側表面201aで発生する振動の波形が定常波となるように、振動板261,262が加振されるように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1複屈折板201の前側表面201aで発生する振動の波形が進行波となるように、振動板261,262が加振されるように構成してもよい。
【0066】
(5) 上述の説明では、振動板261,262の加振中に、付着異物を除去している旨の報知を特に行ってはいないが、本発明はこれに限定されない。たとえば、振動板261,262の加振中には、付着異物の除去動作中である旨のメッセージを表示装置7aに表示するようにしてもよく、音声案内を行うようにしてもよい。また、振動板261,262の加振中にレリーズボタンが押圧操作された場合に、付着異物の除去動作中である旨のメッセージを表示装置7aに表示するようにしてもよく、音声案内を行う(または撮影不可である旨を報知する警報音を発する)ようにしてもよい。
【0067】
(6) 上述した第2の実施の形態では、不図示の操作ボタンを操作することで、表示装置7aに表示された付着異物像73にカーソル72を合わせるように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、表示装置7aにタッチパネルスイッチを設け、ユーザがタッチペンなどで付着異物像73の表示部分を直接押圧することで、付着異物の位置を特定するようにしてもよい。
【0068】
(7) 上述した第2の実施の形態では、ユーザの操作によってカーソル72で特定された画像上の位置から異物の付着位置のみを算出するように構成しているが本発明はこれに限定されない。たとえば、画素のアドレス(位置)として異物の付着位置を記憶した後、当該異物の付着位置近傍の画素で捉えられた画像を適宜画像処理することで付着異物の大きさを算出し、第1の実施の形態と同様に振動板261,262の振動条件を決定するようにしてもよい。
【0069】
(8) 上述の説明では、デジタルスチルカメラCAはレンズ交換式の一眼レフタイプのカメラであるが、本発明はこれに限定されない。たとえば、一眼レフタイプのカメラに限らず、いわゆるコンパクトタイプのカメラであってもよい。また、ビデオカメラであってもよく、撮像素子を使って被写体像の撮像を行う機器であって、当該撮像素子の被写体側に光学部材が配設され、この光学部材を振動させることで光学部材に付着した異物を除去するものであれば、機器の種類や、振動を与えるための方式・構造・構成、振動源の配置、振動源の種類などは特に問わない。
【0070】
(9) 上述の説明では、振動板261,262は2つ設けられているが、振動板の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、2つで1対となる振動板を2対以上配設してもよい。なお、振動板が1つの場合には、1つの振動板で発生させた振動の反射波を利用することで、第1複屈折板201の前側表面201aで発生する振動の波形が定常波となるようにしてもよい。
(10) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、被写体像を撮像する撮像素子と、撮像素子の被写体側の前面に配設された光学部材と、光学部材を振動させる振動部材と、光学部材への異物の付着状態を検出する異物付着状態検出手段と、異物付着状態検出手段で検出した異物の付着状態に応じた振動を光学部材に与えるように振動部材を制御する振動部材制御手段とを備えることを特徴とする各種構造のデジタルカメラを含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】デジタルスチルカメラCAを側面から見た断面図である。
【図2】デジタルスチルカメラCAの構成を説明するブロック図である。
【図3】光学フィルタ200を示す図である。
【図4】光学フィルタ200と撮像素子250を示す図である。
【図5】第1複屈折板201の前側表面201aにおける振動を模式的に示す図である。
【図6】付着異物の付着位置と、画素の受光量との関係を示す図である。
【図7】付着異物を除去するための処理を行うプログラムの処理内容を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態における、表示装置7aの表示画面の一例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態における、付着異物を除去するための処理を行うプログラムの処理内容を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態における、付着異物を除去するための処理を行うプログラムの処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
7a 表示装置 101 演算回路
151 振動板制御装置 161 表示制御部
200 光学フィルタ 201 第1複屈折板
250 撮像素子 261,262 振動板
CA デジタルスチルカメラ CB カメラ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子の被写体側の前面に配設された光学部材と、
前記光学部材を振動させる振動部材と、
前記光学部材への異物の付着状態を検出する異物付着状態検出手段と、
前記異物付着状態検出手段で検出した前記異物の付着状態に応じた振動を前記光学部材に与えるように前記振動部材を制御する振動部材制御手段とを備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記振動部材制御手段は、前記振動部材の振動周波数を変更することで、前記異物付着状態検出手段で検出した前記異物の付着状態に応じた振動を前記光学部材に与えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のデジタルカメラにおいて、
前記異物付着状態検出手段は、少なくとも、前記光学部材へ付着する異物の付着位置を検出し、
前記振動部材制御手段は、前記振動部材の振動周波数を変更することで、前記異物付着状態検出手段で検出した前記異物の付着位置近傍の前記光学部材の振幅が大きくなるように、前記振動部材を制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、
前記振動部材は、圧電効果を利用して前記光学部材を振動させる部材であり、
前記振動部材制御手段は、前記振動部材に印加する交流電圧の周波数を変更することで、前記振動部材の振動周波数を変更することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】
請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、
前記振動部材は、前記光学部材を振動させるように複数配設されており、
前記振動部材制御手段は、複数の前記振動部材の振動の位相が同相となるように前記振動部材を制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項6】
請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、
前記振動部材は、前記光学部材を振動させるように少なくとも1対配設されており、
前記振動部材制御手段は、対となる前記振動部材のうちの一方の振動部材の振動の位相と他方の振動部材の振動の位相とが逆相となるように前記振動部材を制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のデジタルカメラにおいて、
前記振動部材制御手段は、前記異物付着状態検出手段で検出した前記異物の付着状態に応じて前記光学部材の振動の振幅を変更するように前記振動部材を制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項8】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のデジタルカメラにおいて、
前記振動部材制御手段は、前記振動部材に印加する交流電圧の電圧を変更することで前記光学部材の振動の振幅を変更するように、前記振動部材を制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のデジタルカメラにおいて、
前記振動部材制御手段は、前記光学部材で発生する振動の波形が定常波となるように前記振動部材を制御することを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−206582(P2009−206582A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44312(P2008−44312)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】