説明

デジタルテレビ用アプリケーション実行システム、デジタルテレビ用アプリケーション実行装置、および該システムの実装方法

【課題】
一態様として、デジタルテレビ用に創出されたアプリケーションおよびターゲットプラットフォームを実行し、そのアプリケーションを表示することができるシステム、及びそのアプリケーションを実行する技術を提供する。
【解決手段】
本発明の一態様は、アプリケーションを実行するシステムに関する。本発明の1つのシステムは、階層で編成され、テレビ放送オープンシステム(地上または衛星)で使用されるように設計される。このシステムにより、テレビ放送局によって生成されたアプリケーションを、視聴者宅にあるセットトップボックスおよび/またはテレビ内のさまざまなハードウェアで実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションを実行するシステムに関する。上記システムは、階層で編成され、デジタルテレビ放送オープンシステム(地上または衛星)で使用されるように設計され、上記システムにより、テレビ放送局によって生成されたアプリケーションを、視聴者宅にあるセットトップボックスおよび/またはテレビ内のさまざまなハードウェアで別々に実行することができる。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビ
デジタルテレビは、デジタル放送、受信、処理を行うテレビシステムであり、エンドユーザの受信器に、完全なデジタル機器によって、またはコンバータユニット(IRD‐インテグレーテッド・レシーバ・デコーダおよびセットトップボックス‐STBとして既知)に連結する類似の装置によって番組を表示することができる。
【0003】
デジタルテレビは、デジタル形式の放送であると再定義することができる。このシステムは、視聴者に対してより高品質な画像および音声の確度を高める。さらに、その画像は、現在のフォーマット(4:3フォーマット)の幅を拡げることができ(ワイドスクリーン‐16:9フォーマット)、マルチチャンネル、例えば、5.1チャンネル(8チャンネルまで可能)で、より高解像度な画質とサラウンド・ステレオ・サウンドを備え得る。
【0004】
デジタルテレビは、双方向性を提供する。また、デジタル技術は、多種多様の新しい可能性を広げる。具体的には、
i)オーディオ信号およびビデオ信号のデジタル化は、ノイズおよび歪みに対する耐性の向上によって画質を改善する。
ii)オーディオ処理によるより優れた音質により、低音部と高音部とが強化される。
iii)ラジオ電気周波数帯(radioelectric spectrum)の上手な活用により、干渉に対する信頼性(robustness)性が向上し、より低い電界強度値で、同じ周波数帯域内で送信されるより多くの情報量の受信が可能となる。
iv)その処理の取扱い及び改良、並びに信号の編集に対する融通性。
v)ビデオ、複数のオーディオ、テキスト、データおよびアプリケーションを有する複数のプログラムを移送する能力。
vi)双方向サービス。
【0005】
デジタルテレビシステムのアーキテクチャ
コンピュータネットワークのOSIモデルと同様に、デジタルテレビシステムのアーキテクチャモデルは複数の階層に分割される。階層は自律性を有し、隣接層からサービスを提供し、または受領する。従来のテレビで既知の変調/伝送および復調/受信機能以外に、圧縮/解凍およびミドルウェア機能が導入される。ミドルウェアは、トランスポート層と対話型アプリケーションとの間に位置する。
【0006】
ミドルウェア
ミドルウェアは、通常、アプリケーションの接続方法を指す総称であり、2つの既存の独立したプログラム間の仲介者(mediator)として機能する。ミドルウェアの目的は、放送システムからアプリケーションを独立させることである。ミドルウェアにより、種々のアプリケーションコードが異なる受信設備(URD)で動作できるようになる。受信機内に仮想マシンを作成することによって、アプリケーションコードは、各オペレーティングシステムにとって適切なフォーマットにコンパイルされる。要するに、ミドルウェアにより、異なるタイプの受信プラットフォーム(URD)に対してコードの実行が可能になるといえ、その逆もまた同様のことがいえる。
【0007】
接続アプリケーションは、デジタルテレビによって導入される新しいパラダイム、つまり、従来のテレビ(放送)を双方向性、テキスト、図形と組み合わせることを解決する必要があった。この双方向性には、インターネット環境に見られるさまざまな特性や機能、特に、図形表示、ユーザ識別、わかりやすいナビゲーションおよび使いやすさが求められる。
【0008】
したがって、アプリケーション開発者は、伝送システムの下位層の既存のプロトコルにとらわれるのを止めて、プロトコルの機能を開発するための標準インタフェースに焦点を合わせた。HTMLおよびJava(登録商標)は、使用されているほとんどのアプリケーション接続方法の一般的なフォーマットである。さらに、Webプレゼンテーションフォーマットは、ユーザに対して高い親密度を与え、リターンチャンネルを介して受信者との対話環境を可能にし、ひいては、テレビシステムの大変革をもたらすことができる。基本的には、情報を普及させたシステムにより、ただちに受信者は放送局と対話することができる。
【0009】
国際公開第WO00/72583号は、オペレーティングシステムの抽象化層などのコンポーネントと、特に、音声、ビデオ、図形に関するサービスとを備えるケーブルテレビ加入者の端末用ソフトウェアアーキテクチャを記載している。本発明は、いくつかある態様の中で、テレビ放送オープンシステムの視聴者用に設計されたアーキテクチャを有するという点で、この特許文献とは異なる。
【0010】
国際公開第WO99/35569号は、今までは別々のシステムに見られる機能を提供し、ユーザが1つの機器内でテレビの機能とコンピュータの機能とを有することができるような統合システムのみを記載している。本発明は、いくつかある態様の中で、2つの別々のシステムとは対照的に、データ/画像/音声/ビデオを放送することが可能な独自のシステム用に設計されたアーキテクチャを有するという点で、この特許文献とは異なる。
【0011】
したがって、現況技術には、本発明に記載されている対象を予測または提案する開示内容がないことがわかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一態様では、デジタルテレビ用に創出されたアプリケーションおよびターゲットプラットフォームを実行し、そのアプリケーションを表示することができるシステムに加え、そのアプリケーションを実行する装置を提供する。装置の例として、テレビ内に実装できるデコーダが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の1つの目的は、階層編成システムであるアプリケーション実行システムであって、
‐標準言語コンポーネントの層と、
‐確立された標準言語に必要なそのコンポーネントを備える共通コアと、
‐異なるプラットフォームで容易にアプリケーションを実行することができるコンポーネントを備えるポータビリティ層と、
‐ターゲットプラットフォームコンポーネントを備える層と、
を備えるシステムを提供することである。
【0014】
さらに、本発明の更なる1つの目的は、
‐プログラミングコード手段を含むコンピュータ可読手段と、
‐階層編成システムを実装するためにそのプログラミングコードを実行する手段とを備え、この階層編成システムが、
‐標準言語コンポーネントの層、
‐確立された標準言語に必要なそのコンポーネントを備える共通コア、
‐異なるプラットフォームで容易にアプリケーションを実行することができるコンポーネントを備えるポータビリティ層、および
‐ターゲットプラットフォームコンポーネントを備える層
を備えるアプリケーション実行装置を提供することである。
【0015】
本発明の別の態様では、アプリケーション実行システムを実装する方法が提供される。
【0016】
したがって、本発明の更なる1つの目的は、階層編成アプリケーション実行システムを実装する方法であって、
a)プログラムコード手段を含むコンピュータ可読手段を提供するステップと、
b)階層編成システムを実装するためにそのプログラムコード手段を実行するステップとを備え、この階層編成システムが、
‐標準言語コンポーネントの層、
‐確立された標準言語に必要なそのコンポーネントを備える共通コア、
‐異なるプラットフォームで容易にアプリケーションを実行することができるコンポーネントを備えるポータビリティ層、および
‐ターゲットプラットフォームコンポーネントを備える層
を備える方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明による階層編成システムのある1つのスキームを示す図であり、Ginga−J(1)、ARIB B23(2)、Java(登録商標)TV(3)、Java(登録商標)DTV(4)、LWUIT(5)、ISDB−TB(6)、イベントバス(7)、ブリッジ(8)、Lua−Java(登録商標)(9)、Ginga−NCL(10)、Lua(11)、XHTML環境(12)、AstroNAV(13)、Astro Face(14)、OS抽象化層(15)、ポータビリティ層グラフィックマネージャ(16)、ポータビリティ層入力マネージャ(17)、ポータビリティ層スクリーンマネージャ(18)、チューナ(19)、ビデオデコーダ(20)、オーディオデコーダ(21)、ビデオ出力(22)、オーディオ出力(23)、DEMUX/セクションフィルタ(24)、Java(登録商標)仮想マシン‐JVM(25)、共通コア(26)、アプリケーションマネージャ(27)、サービスセレクタ(28)、コンポーネントマネージャ(29)、リソースマネージャ(30)、セキュリティマネージャ(31)、リターン・チャンネル・マネージャ(32)、汎用サービス(33)、グラフィックマネージャ(34)、入力マネージャ(35)、スクリーンマネージャ(36)、ネットワークマネージャ(37)、メディアマネージャ(38)、ストリームイベント(39)、オブジェクトカルーセル(40)、データカルーセル(41)、DSM−CC(42)、サービスインフォメーション(43)、セクションフィルタ(44)、汎用サポートライブラリ(XML、セキュリティなど)(45)、グラフィックライブラリ/IU(46)、DTV APIおよびコントローラ(47)、オペレーティングシステム(48)、ハードウェア(49)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の例は、本発明の特定の態様を単に例として示すためのものであって、その態様に限定されない。
【0019】
標準規格
標準規格は、各々の既存のデジタルテレビシステムのために選択された仕様である。特に、ブラジルでは、Gingaが使用されている。
【0020】
この実施形態では、共通コアは、ブラジル・デジタル・テレビ・システムをサポートするのに必要なコンポーネントを備える。このテレビシステムは、例えば、ARIB B23、Java(登録商標)TV、Java(登録商標)DTV、LWUIT、ISDB−TB、XHTML環境、宣言環境と命令環境とをリンクさせる「ブリッジ」などのさまざまなコンポーネントから成る、Ginga−NCL宣言環境、Luaスクリプト言語、Ginga−J命令環境を備える。
【0021】
ターゲットプラットフォーム
ターゲットプラットフォームは、プラットフォーム製造業者によって提供される特定のハードウェア構成、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、アプリケーション・プログラム・インタフェース(API)である。ターゲットプラットフォームは、テレビ、コンピュータ、携帯電話などのモバイル通信装置、セットトップボックスを含む群(これらに限定されない)から選択される。
【0022】
ほとんどの場合、ハードウェアは、特に、チューナ、MPEG−2分離器(demultiplexer)、オーディオおよびビデオデコーダ、ビデオ層およびグラフィック層のミキサ、オーディオおよびビデオ出力制御装置、リターンチャンネルを備える。
【0023】
製造業者のAPIは、多くは、例えば、CまたはC++のようなプログラミング言語で書かれたライブラリインタフェース、グラフィックインタフェース、ユーザインタフェース、汎用サポートインタフェース、あるいは、受信機に組み込まれたネイティブソフトウェアコンポーネント用インタフェースをも備え、特に、例えば、チューナ、MPEG−2分離器、デコーダ、ミキサ、オーディオおよびビデオ出力、グラフィック層、USBポート接続、イーサネット(登録商標)、シリアルポート接続(RS−232)、リモートコントロール用の赤外線を介した通信のようなさまざまな装置にアクセスおよび/またはさまざまな装置を制御する方法を提供するものである。また、APIは、特に、ハードウェアデバイスを起動するためのメカニズム、MPEG−2分離器のソフトウェアによってトランスポートストリームを送信するためのメカニズム、オーディオ/ビデオデコーダにソフトウェアによってオーディオ/ビデオトラックを送信するためのメカニズム、オーディオ/ビデオ復号化を作成/構成するためのメカニズム、トランスポートストリームMPEG−2をセクションフィルタリングするためのメカニズムをも提供するものである。APIの例として、AstroNAV(13)およびAstro Face(14)が挙げられる。
【0024】
オペレーティングシステムは、ユーザとハードウェア動作との間のインタフェースを可能にする任意のセットのプログラムである。オペレーティングシステムの例として、特に、Linuxおよびその変形システムまたはLinuxディストリビューション、Windows(登録商標)およびその各バージョン(例えば、Windows(登録商標) CE)、Symbianが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
共通コア
共通コアコンポーネントは、標準規格で定義された機能をサポートするのに必要な全てのコンポーネントを含む。他のターゲットプラットフォームと統合されるアプリケーション通信方法を適応させる労力を最小限に抑えるために、ターゲットプラットフォームの機能を抽象化するように設計されるこれらの共通コアコンポーネントが、ポータビリティ層に配置される。
a)コンポーネントマネージャ:このコンポーネントにより、共通コアのコンポーネントとポータビリティ層のコンポーネントとの動的ダウンロードおよび初期化が可能になる。
b)リソースマネージャ:このコンポーネントは、システムの乏しいリソース(チューナ、双方向性チャンネル、スクリーンレイアウト、セクションフィルタなど)を管理して、これらリソースへの排他的アクセスを保証することができる。
c)メモリマネージャ:このコンポーネントは、メモリ割り当てを管理し、このリソースの使用限度を制御して、システムを実行するのに利用可能なメモリ量を越えないようにする。
d)イベントバス:このコンポーネントは、実行システムの異なるコンポーネントによって生じるイベントの管理をつかさどり、通知されるように登録されたこれらの全てのコンポーネントまたはアプリケーションに通知する。
e)アプリケーションマネージャ:このコンポーネントは、共通コアをベースにした全てのアプリケーションを管理するように設計される。アプリケーションは、
‐Ginga−NCL提示環境またはGinga−J実行環境で実行される双方向放送アプリケーション、
‐Ginga−NCL提示環境またはGinga−J実行環境で実行される外部アプリケーション、
‐Ginga−NCL提示環境またはGinga−J実行環境で実行される常駐または内蔵アプリケーション、
‐共通コアをベースにした常駐または内蔵のネイティブアプリケーション、
‐共通コアをベースにした外部ネイティブアプリケーション
を含む。
f)DSM−CC:このコンポーネントの目的は、DSM−CCプロトコルでコンテンツをトランスポートするMPEG2−TSセクションを解釈することである。このコンポーネントは、以下のプロトコルを解釈することができる。
‐DSMCCデータカルーセル
‐DSMCCオブジェクトカルーセル
‐DSMCCストリームイベント
‐DSMCC NPT
‐マルチプロトコルカプセル化(IP/TCP/UDP)
g)サービスインフォメーション:このコンポーネントが果たす役割は、サービスインフォメーションテーブルに対応するMPEG2−TSセクションを解釈し、共通コアの他のコンポーネントおよび共通コアベースのコンポーネントにこの情報を提供することである。
h)セキュリティマネージャ:このコンポーネントは、Ginga−JまたはGinga−NCL環境で実行されるアプリケーションを認証し、そのアプリケーションの許可を定義することに関与する。さらに、このコンポーネントは、証明書の管理にも関与する。
i)サービスセレクタ:このコンポーネントの目的は、デジタルテレビによって提供できるサービスの異なるコンポーネントの表示制御を集中させることである。
【0026】
共通コアは、例えば、リターン・チャンネル・マネージャ、グラフィックマネージャ、入力マネージャ、スクリーンマネージャ、ネットワークマネージャ、メディアマネージャなどの他のコンポーネントをさらに備える。
【0027】
ポータビリティ層
ポータビリティ層は、ターゲットプラットフォームによって提供された機能の抽象化を行って、異なるターゲットプラットフォームを持つ実行システムを容易にかつ迅速に統合することができる下位コンポーネントを備える層である。
【0028】
インタフェースは、共通コアコンポーネントとポータビリティ層コンポーネントとの間で、ターゲットプラットフォームの特性または固有の動作の詳細がわからなくても、以下のことが可能になるように定義される。
‐共通コアコンポーネントは、ターゲットプラットフォームの機能を要求することができる。
‐ポータビリティ層コンポーネントは、ターゲットプラットフォームで発生する非同期的イベントまたは警告を共通コアコンポーネントに通知することができる。
【0029】
実行システムの統合が望ましい各固有のターゲットプラットフォームに対して、上述のインタフェースと相互に作用するようにポータビリティ層コンポーネントの排他的実装が行われなければならない。
【0030】
ポータビリティ層は、異なる2つの大きなグループにさらに分割され、各々のグループは以下の部分を有する。
a)汎用抽象化コンポーネント
a.1)オペレーティングシステム抽象化層:このコンポーネント(種々のサブコンポーネントに分割され得る)は、オペレーティングシステムから独立したさまざまな機能、特に、スレッドの管理、同期化、プロセス間の通信、TCP/UDPソケット、ファイルシステムへのアクセスなどの機能の抽象化を行う。このコンポーネントの目的は、全ての共通コアコンポーネントおよび共通コアベースの他のコンポーネントが異なるターゲットプラットフォームで使用されるオペレーティングシステムのタイプから完全に独立できるようにすることである。
a.2)グラフィック抽象化層(グラフィック管理):このコンポーネントは、グラフィック機能および画像復号化へのアクセスインタフェースを提供し、ターゲットプラットフォーム上のグラフィックシステムおよびライブラリ、例えば、DirectFB、SDL、Windows(登録商標)’GDIの抽象化を行う。
【0031】
ターゲットプラットフォームのハードウェアがグラフィック層以外にも層を提供する場合には、層の1つは実行システム用に確保されるが、他の層はネイティブOSD内の常駐システムによって使用され、グラフィック層に対する競合を避ける。1つのグラフィック層のみがある場合には、競合は、ターゲットプラットフォームによって管理される。
a.3)データ入力装置:このコンポーネントは、共通コアおよび共通コアベースの他のコンポーネントが、種々の装置、例えば、キーボード、リモート制御装置、またはマウスなどのポインタ装置によるユーザからのデータ入力イベントを、受信できるようなインタフェースを提供する。
a.4)双方向(リターン)チャンネル:このコンポーネントにより、ターゲットプラットフォームにより双方向チャンネルとして使用できる異なる装置や技術の抽象化が可能になる。このコンポーネントの主な目的は、共通コアが上記双方向チャンネルの接続または切断を要求することができるようにすることである。
a.5)Java(登録商標)仮想マシン:このコンポーネントにより、Java(登録商標)仮想マシンの異なる実装による使用のための抽象化が可能になる。
b)デジタルテレビ機能の抽象化コンポーネント
b.1)オーディオ出力:このコンポーネントは、ミキサとオーディオ出力とを制御するためのインタフェースを提供する。例えば、オーディオ出力および音量制御チャンネルをチューニングする。
b.2)オーディオ再生:このコンポーネントは、オーディオデコーダを制御するためのインタフェースを提供する。その抽象化された機能の例として、TSまたはファイル内にあるオーディオトラックの復号化の開始および終了、オーディオファイルや合成音声の再生が挙げられる。
b.3)ビデオ出力:このコンポーネントは、層のコンポジションとビデオ出力とを管理するためにビデオミキサを制御するためのインタフェースを提供する。その抽象化された機能の例として、順序設定および組み合わせ、デジタルおよび/またはアナログ出力制御、ビデオ解像度選択が挙げられる。解像度の例として、480i、480p、576i、576p、720p、および/または1080iが挙げられるが、これらに限定されない。
b.4)ビデオ再生:このコンポーネントは、デコーダおよびターゲットプラットフォームのビデオ表示を制御するためのインタフェースを提供する。その抽象化された機能の例として、TSまたはファイル内のビデオトラックの復号化の開始および終了が挙げられるが、さらにこのコンポーネントはスクリーン上の映像の位置を制御する可能性も有する。
b.5)字幕再生(スクリーンマネージャ):このコンポーネントは、デコーダおよびターゲットプラットフォームの字幕表示を制御するためのインタフェースを提供する。その抽象化された機能の例として、TSまたはファイル内の字幕トラックの復号化の開始および終了が挙げられるが、さらにこのコンポーネントはスクリーン上の字幕の位置を制御する可能性も有する。
b.6)チューナ:このコンポーネントは、周波数の選択を可能にし、あるいは、ある周波数範囲で掃引し、またTSが受信された時に一定の周波数を遮断することができるインタフェースによって、ターゲットプラットフォーム上の異なるチューナのアクセスおよび制御を可能にする。
b.7)DEMUX/セクションフィルタ:セクションフィルタは、パケット識別子(PID)、テーブル識別子、セクションバージョン、セクションナンバー、またはポジティブ/ネガティブマスクのアイテムの使用/組み合わせによって、TSセクションフィルタリングのためのインタフェースを提供する。DEMUXは、適切なコンポーネントに向けるための異なる基本のデータストリームの選択(例えば、ビデオデコーダに対するビデオストリームディスパッチ)を可能にするインタフェースを提供する。
【0032】
ある好適な実施形態では、本発明の装置は、デジタルテレビのコンバータ装置である、または、例えば、テレビ、モバイル通信装置およびコンピュータのような種々のプラットフォームに組み込むこともできる。特に、上記装置は、
‐プログラミングコード手段を含むコンピュータ可読手段と、
‐階層編成システムを実装するために上記プログラミングコードを実行する手段とを備え、該システムが、
‐標準言語コンポーネントの層、
‐確立された標準言語に必要なそのコンポーネントを備えた共通コア、
‐異なるプラットフォームで容易にアプリケーションを実行することができるコンポーネントを備えたポータビリティ層、および
‐ターゲットプラットフォームコンポーネントを備えた層
を備える。この場合、各層の特性の定義は上述した通りであり、装置はデジタルテレビ用に作成されたアプリケーションを実行する能力を有する。
【0033】
本発明のシステムを実装する方法は、それらのコンポーネントの各々に関連する命令の実行を備える。ある好適な実施形態では、本発明の方法は、
a)プログラムコード手段を含むコンピュータ可読手段を提供するステップと、
b)階層編成システムを実装するために上記プログラムコード手段を実行するステップとを含み、該システムが、
‐標準言語コンポーネントの層、
‐確立された標準言語に必要なそのコンポーネントを備えた共通コア、
‐異なるプラットフォームで容易にアプリケーションを実行することができるコンポーネントを備えたポータビリティ層、および
‐ターゲットプラットフォームコンポーネントを備えた層
を備える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐標準言語コンポーネントの層と、
‐確立された標準言語に必要な前記コンポーネントを含む共通コアと、
‐異なるプラットフォームで容易にアプリケーションを実行することができるコンポーネントを含むポータビリティ層と、
‐ターゲットプラットフォームコンポーネントを含む層と、
を備えることを特徴とする、
デジタルテレビ用アプリケーションの実行システム。
【請求項2】
前記デジタルテレビは、テレビ放送オープンシステムであることを特徴とする、
請求項1に記載の実行システム。
【請求項3】
前記テレビシステムは、地上および/または衛星によって放送されることを特徴とする、
請求項1に記載の実行システム。
【請求項4】
前記ターゲットプラットフォームは、テレビ、コンピュータ、モバイル通信装置、セットトップボックス、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項1に記載の実行システム。
【請求項5】
前記ターゲットプラットフォームは、チューナ、MPEG−2デマルチプレクサ、オーディオおよびビデオデコーダ、ビデオ層およびグラフィック層のミキサ、オーディオおよびビデオ出力制御装置、リターンチャンネル、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されたハードウェアを備えることを特徴とする、
請求項1に記載の実行システム。
【請求項6】
前記標準言語コンポーネントは、Ginga−NCL宣言環境、Luaスクリプト言語、Ginga−J命令環境、XHTMLナビゲータ、宣言環境と命令環境とをリンクさせるブリッジを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項1に記載の実行システム。
【請求項7】
前記共通コアコンポーネントは、コンポーネントマネージャ、リソースマネージャ、メモリマネージャ、イベントバス、アプリケーションマネージャ、DSM−CC、サービスインフォメーション、セキュリティマネージャ、サービスセレクタ、リターン・チャンネル・マネージャ、グラフィックマネージャ、入力マネージャ、スクリーンマネージャ、ネットワークマネージャ、メディアマネージャ、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項1に記載の実行システム。
【請求項8】
前記ポータビリティ層コンポーネントは、オペレーティングシステム抽象化層、少なくとも1つのグラフィック抽象化層、データ入力装置、双方向チャンネル、Java(登録商標)仮想マシン、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項1に記載の実行システム。
【請求項9】
前記ポータビリティ層のコンポーネントは、オーディオ出力および/またはオーディオ再生コンポーネント、ビデオ出力および/またはビデオ再生コンポーネント、字幕再生、チューナ、DEMUX、セクションフィルタ、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項1に記載の実行システム。
【請求項10】
a)プログラミングコード手段を含むコンピュータ可読手段と、
b)階層編成システムを実装するために前記プログラミングコードを実行する手段とを備え、
前記階層編成システムが、
‐標準言語コンポーネントの層、
‐確立された標準言語に必要な前記コンポーネントを含む共通コア、
‐異なるプラットフォームで容易にアプリケーションを実行することができるコンポーネントを含むポータビリティ層、および
‐ターゲットプラットフォームコンポーネントを含む層
を備えることを特徴とする、
デジタルテレビ用アプリケーションを実行する装置。
【請求項11】
前記デジタルテレビは、テレビ放送オープンシステムであることを特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記テレビシステムは、地上および/または衛星によって放送されることを特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記ターゲットプラットフォームは、テレビ、コンピュータ、モバイル通信装置、セットトップボックス、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記ターゲットプラットフォームは、チューナ、MPEG−2デマルチプレクサ、オーディオおよびビデオデコーダ、ビデオ層およびグラフィック層のミキサ、オーディオおよびビデオ出力制御装置、リターンチャンネル、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されたハードウェアを備えることを特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記標準言語コンポーネントは、Ginga−NCL宣言環境、Luaスクリプト言語、Ginga−J命令環境、XHTMLナビゲータ、宣言環境と命令環境とをリンクさせるブリッジを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記共通コアコンポーネントは、コンポーネントマネージャ、リソースマネージャ、メモリマネージャ、イベントバス、アプリケーションマネージャ、DSM−CC、サービスインフォメーション、セキュリティマネージャ、サービスセレクタ、リターン・チャンネル・マネージャ、グラフィックマネージャ、入力マネージャ、スクリーンマネージャ、ネットワークマネージャ、メディアマネージャ、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記ポータビリティ層コンポーネントは、オペレーティングシステム抽象化層、少なくとも1つのグラフィック抽象化層、データ入力装置、双方向チャンネル、Java(登録商標)仮想マシン、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記ポータビリティ層コンポーネントは、オーディオ出力および/またはオーディオ再生コンポーネント、ビデオ出力および/またはビデオ再生コンポーネント、字幕再生、チューナ、DEMUX、セクションフィルタ、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項19】
デジタルテレビ用に作成されたアプリケーションを実行する能力を特徴とする、
請求項10に記載の装置。
【請求項20】
a)プログラムコード手段を含むコンピュータ可読手段を提供するステップと、
b)階層編成システムを実装するために前記プログラミングコード手段を実行するステップと、
を含み、該システムが、
‐標準言語コンポーネントの層、
‐確立された標準言語に必要な前記コンポーネントを含む共通コア、
‐異なるプラットフォームで容易にアプリケーションを実行することができるコンポーネントを含むポータビリティ層、および
‐ターゲットプラットフォームコンポーネントを含む層
を備えることを特徴とする、
実行システムの実装方法。
【請求項21】
前記デジタルテレビは、テレビ放送オープンシステムであることを特徴とする、
請求項20に記載の実装方法。
【請求項22】
前記テレビシステムは、地上および/または衛星によって放送されることを特徴とする、
請求項20に記載の実装方法。
【請求項23】
前記ターゲットプラットフォームは、テレビ、コンピュータ、モバイル通信装置、セットトップボックス、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項20に記載の実装方法。
【請求項24】
前記ターゲットプラットフォームは、チューナ、MPEG−2デマルチプレクサ、オーディオおよびビデオデコーダ、ビデオ層およびグラフィック層のミキサ、オーディオおよびビデオ出力制御装置、リターンチャンネル、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されたハードウェアを備えることを特徴とする、
請求項20に記載の実装方法。
【請求項25】
前記標準言語コンポーネントは、Ginga−NCL宣言環境、Luaスクリプト言語、Ginga−J命令環境、XHTMLナビゲータ、宣言環境と命令環境とをリンクさせるブリッジを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項20に記載の実装方法。
【請求項26】
前記共通コアコンポーネントは、コンポーネントマネージャ、リソースマネージャ、メモリマネージャ、イベントバス、アプリケーションマネージャ、DSM−CC、サービスインフォメーション、セキュリティマネージャ、サービスセレクタ、リターン・チャンネル・マネージャ、グラフィックマネージャ、入力マネージャ、スクリーンマネージャ、ネットワークマネージャ、メディアマネージャ、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項20に記載の実装方法。
【請求項27】
前記ポータビリティ層コンポーネントは、オペレーティングシステム抽象化層、少なくとも1つのグラフィック抽象化層、データ入力装置、双方向チャンネル、Java(登録商標)仮想マシン、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項20に記載の実装方法。
【請求項28】
前記ポータビリティ層コンポーネントは、オーディオ出力および/またはオーディオ再生コンポーネント、ビデオ出力および/またはビデオ再生コンポーネント、字幕再生、チューナ、DEMUX、セクションフィルタ、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、
請求項20に記載の実装方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−506168(P2012−506168A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525376(P2011−525376)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/BR2009/000258
【国際公開番号】WO2010/025531
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(511057755)ティーキューティーブイディー ソフトウェア エルティーディーエー (4)
【氏名又は名称原語表記】TQTVD SOFTWARE LTDA
【住所又は居所原語表記】Rua da Assembleia, 66 − 20 andar, Centro, 20011−000 Rio de Janeiro RJ Brazil
【Fターム(参考)】