説明

デジタルペンアセンブリのための方法およびシステム

【課題】非限定的に、音響信号発信ペン入力装置を使用するデータ入力のための方法及び装置を提供する。
【解決手段】骨格と、除去可能な外皮を備えたデジタルペンであって、前記骨格が、電気回路と、前記電気回路から分離され、音響信号を発信するように構成された音響信号発信器とを固定された関係で一緒に保持し、前記除去可能な外皮が、前記骨格にわたって嵌合する筐体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音響位置決め方法に関し、さらに詳しくは、非限定的に、音響信号発信ペン入力装置を使用するデータ入力のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本書では互換的にデジタルペンと呼ばれるデジタル筆記器具は、それらが実際に紙に書くかどうかに関係なく、紙上のペンストロークを取り込み、それらをデジタル化するために使用することができる。
【0003】
例えばデジタルペンでは、ペンストロークを手書き認識ソフトウェアによって、筆記のデジタル記憶レコードに変換することができる。この方法では、現代の文書による通信における面倒で退屈なステップ、すなわちコンピュータ化されたワードプロセッサへの手書きの手動転記が排除され、生産性が大幅に増大する。
【0004】
ペンの時間依存位置の感知および該位置のペンストロークへの変換は、ペンストロークのデジタル表現を手書き認識装置に入力するために使用することができる。
【0005】
当業界で周知の通り、ペンが1枚の紙上を移動するにつれて特殊なペンが超音波信号を発生または変化させる、超音波システムを使用することができる。
【0006】
超音波信号は受信器によって感知されて、各受信器に相対する位置に関連付けられ、受信器の出力は三角測量されて、絶対ペン位置に関連付けられる。次いで一連のペン位置を、手書き認識エンジンに入力するためにデジタル化することができる。
【0007】
超音波システムの利点は、超音波信号発信装置のユーザが装置を使用して、超音波信号を受信して信号を英数字に変換するベースステーションまたはその付近に配置された通常の紙片に、書くことができることである。
【0008】
当業界で現在公知の、音響インパルス発信ペン入力装置を使用するデータ入力のための方法は、多数存在する。
【0009】
1987年12月2日に出願された「Ultrasonic position input device」と称するStefikへの米国特許第4814552号は、筆記器具と、該器具が筆記表面と接触しているか否かを決定するための圧力スイッチと、表面におけるスタイラスの位置を三角測量するための音響発信器と、データおよびタイミング情報をコンピュータに送信するためのワイヤレス送信器とを含むコンピュータに手書きフォームを入力するための入力装置またはスタイラスについて記載している。
【0010】
動作中、Stefikによって記載されたスタイラスは、システムが即座に受信する赤外信号と、音の速度および各マイクロフォンからのスタイラスの距離の関数である遅延後に2つのマイクロフォンが受信する超音波パルスとを発信する。
【0011】
2001年11月27日に出願された「Electronic whiteboard and penholder used for the same」と称するIkedaへの米国特許第6654008号は、数色のマーカペンおよび電子ホワイトボード用の1つのペンホルダを使用して書くことのできる電子ホワイトボードについて記載している。
【0012】
Ikedaの特許では、赤外光放射ユニットはマーカペンの色情報を含む赤外光を放射し、超音波放射ユニットは超音波を放射し、色情報切替え手段はマーカペンの色に応じて色情報を切り替える。電子ホワイトボード本体は、ペンホルダから放射された赤外光および超音波を受信し、赤外光および超音波の受信タイミングに応じてペンホルダの位置に関する情報を発行する。
【0013】
2002年3月18日に出願された「Digitizer pen」と称するZloterへの米国特許第6876356号は、指がベースユニットとの通信を遮断するのを防止するために、ペンのペン先から突出する手段を有するペンを含むディジタイザペンシステムについて記載している。
【0014】
1998年1月20日に出願された「Pen positioning system」と称するWardへの米国特許第6184873号は、ペンを含むペン位置決めシステムについて記載している。ペンは複数の出力要素を有し、電子タブレットに関連してペンの先端の位置を正確に決定するように適応される。
【0015】
出力要素、好ましくは相異なる周波数を有する超音波発信器は、相互に一定の距離に配置され、空間的にペンの先端にも関連付けられる。
【0016】
検出システムは、出力要素からの出力信号を受信し、出力信号を相互に分離し、それらを独立して処理して、出力要素およびペンの先端の位置を決定するために使用される。
【0017】
2000年5月10日に出願された「Digital Pen using ultrasonic tracking」と称するRusselへの米国特許第6703570号は、デジタルペンシステムについて記載している。Russelのシステムは、ペン先を画定する長尺ペンと、超音波エネルギのフレームをペンから外方に向けさせるようにペン上に配向された超音波トランスデューサとを含み、各フレームは複数の受信パルスを含む。
【0018】
Russelの特許のデジタルペンシステムは、ラップトップコンピュータのようなベースに配置された、パルスを受信するための2つ以上の検出器をさらに含み、各パルスは少なくとも1つの検出器に対する少なくとも1つのパルス到達時間(TOA)に関係する。Russelのシステムは、ベースに配置されて検出器からの信号を受信し、受信した信号に基づいてペンの位置を表わす位置信号を出力する、プロセッサをさらに含む。
【0019】
しかし、現在の音響技術、および上述した特許に記載されたデジタルペンのようなデジタルペンにおける現在の音響技術の実現には、固有の問題が存在する。
【0020】
現在の音響技術の不利点の中には、精度の欠如、マルチデバイスサポートの欠如、高い電力消費等がある。該問題は、音響インパルス発信装置を使用する既存のデータ入力の機械的設計に関係する。
【0021】
それとは別に、音響発信器の組立ておよびデジタルペンまたは類似物へのその組込みに関連する製造上の問題が存在する。例えばそのような問題は、音響発信器を可撓性プリント回路基板(PCB)に接続する際に発生するかもしれない。また、基本的部品は同一のままで製品の外観を変えることによって製品間を差別化するようなマーケティング上の問題もある。
【0022】
したがって、上記限界の無い装置または方法の必要性が幅広く認識されており、それを持つことは非常に有利であろう。
【発明の概要】
【0023】
本発明の1態様では、
電気回路と、
前記電気回路から分離され、音響信号を発信するように構成された音響発信器と、
前記電気回路と前記発信器を電気的に接続させるために、前記電気回路を機械的に押圧して前記発信器と電気的に接触させるように構成された弾性保持器と、
を備えたデジタルペンを提供する。
【0024】
本発明の第2の態様では、筐体の閉鎖境界内にベースと、そこから垂直に起立してその上に第1電気回路および第2電気回路を配置して、前記筐体内の前記閉鎖境界のため前記第1と第2電気回路の間の電気的接触が生じるように構成された延長部とを備えた、弾性保持器を提供する。
【0025】
本発明の第3の態様では、
音響信号を発信するように構成された音響発信器と、
第1および第2切替えモードをそれぞれ達成するようにアセンブリを押圧するための2つのスイッチ点を有するスイッチアセンブリであって、前記2つのスイッチ点が略同時に押圧されることにより選択可能な第3モードをさらに有するアセンブリと、
を備えたデジタルペンを提供する。
【0026】
デジタルペンは、
ペン先と、
音響信号を発信するように構成され、前記ペン先に近接して配置される音響発信器と、
前記ペン先から筆圧が伝達されるとデジタルペンを平滑に作動させるように構成された平滑接触スイッチと、
を備える。
【0027】
本発明の第4の態様では、
ペン先で終端する長尺体と、
前記ペン先から突出する筆記要素と、
前記ペン先に隣接して配置され、音響信号を発信するように構成された音響発信器と、
前記ペン先に隣接して装着され、1方向に回転すると前記筆記要素を被覆し、前記1方向と反対の方向に回転すると前記筆記要素を露出させる回転カバーと、
を備えたデジタルペンを提供する。
【0028】
本発明の第5の態様では、
ペン先で終端する長尺体と、
前記ペン先から突出する筆記要素と、
前記ペン先に隣接して配置され、音響信号を発信するように構成された音響発信器と、
前記長尺体を被覆する長尺筐体であって、前記筆記要素を露出および被覆させるために前記長尺体が前記長尺筐体の内部で移動可能であるように構成された長尺筐体と、
を備えたデジタルペンを提供する。
【0029】
本発明の第5の態様では、
音響信号を発信するように構成された音響信号発信器と、
前記音響発信器に隣接して配置された音響導波路であって、前記音響信号発信器から離れる方向に放射状に外方に広がる複数のフィンを含む音響導波路と、
を備えたデジタルペンを提供する。
【0030】
本発明の第6の態様では、
デジタルペンからの超音波信号を受信するための少なくとも2つの超音波受信器と、
前記超音波受信器に接続され、前記超音波受信器によって受信された超音波信号を抽出するように構成された電気回路であって、前記抽出が予想基準信号に関するデータを含む基準モデルを参照することを含んで成る電気回路と、
を備えた、デジタルペンから音響信号を受信するための受信ユニットを提供する。
【0031】
本発明の第7の態様では、
ペン先で終端する長尺体と、前記ペン先から突出する筆記要素と、前記ペン先に隣接して配置されて音響信号を発信するように構成された音響信号発信器とを有するデジタルペンと、
前記デジタルペンから前記音響信号を受信するための少なくとも1つの受信ユニットと、
前記少なくとも1つの受信ユニットに関連付けられ、予め定められた領域における前記デジタルペンの存在を決定するために、前記受信音響信号を処理し、かつ前記存在の決定により予め定められた機能をトリガするように構成されたプロセッサと、
ユーザが前記予め定められた領域でデジタルペンの位置決めを行なうのを助けるために、前記予め定められた領域を図形的にマッピングするように構成されたマップと、
を備えたデジタルペンシステムを提供する。
【0032】
本発明の第8の態様では、
電気回路を有するデジタルペンと、
音響信号を発信するように構成され、前記電気回路から分離された音響発信器と、
前記電気回路および前記発信器を電気的に接続させるために、弾性保持器に機械的圧力を加えることにより前記電気回路を押圧して前記発信器と接触させるように構成された弾性保持器と、
前記デジタルペンから前記音響信号を受信するための少なくとも1つの受信ユニットと、
前記少なくとも1つの受信ユニットに関連付けられ、前記デジタルペンの位置を決定するために前記受信した音響信号を処理するように構成されたプロセッサと、
を備えたデジタルペンシステムを提供する。
【0033】
本発明の第9の態様では、
音響信号を発信するように構成された音響発信器と、第1および第2切替えモードをそれぞれ達成するようにアセンブリを押圧するための2つのスイッチ点を有するスイッチアセンブリであって、前記2つのスイッチ点が略同時に押圧されることにより選択可能な第3モードをさらに有するアセンブリとを有するデジタルペンと、
前記デジタルペンから前記音響信号を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニットと、
前記少なくとも1つの受信ユニットに関連付けられ、前記デジタルペンの位置を決定するために前記受信した音響信号を処理するように構成されたプロセッサと、
を備えたデジタルペンシステムを提供する。
【0034】
本発明の第10の態様では、
音響信号を発信するように構成された音響発信器と、平滑接触スイッチに圧力を加えることによりデジタルペンが作動するように構成された平滑接触スイッチとを有するデジタルペンと、
前記デジタルペンから前記音響信号を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニットと、
前記少なくとも1つの受信ユニットに関連付けられ、前記デジタルペンの位置を決定するために前記受信した音響信号を処理するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記平滑接触スイッチは、開放電気回路の第1側に装着されかつ前記電気回路の第2側から切り離された弾性要素を含み、前記弾性要素は、前記弾性要素が前記電気回路の前記第2側と接触し、それによって前記電気回路を閉じる位置まで圧縮可能であり、筆圧を加えることにより前記弾性要素が前記位置に圧縮されるように構成された、
デジタルペンシステムを提供する。
【0035】
本発明の第11の態様では、
音響信号を発信するように構成された音響発信器を有するデジタルペンと、
前記デジタルペンから超音波信号を受信するように構成された少なくとも2つの超音波受信器を有する少なくとも1つの受信ユニットと、
前記少なくとも1つの受信ユニットに関連付けられ、前記デジタルペンの位置を抽出するために前記超音波信号を処理するように構成されたプロセッサであって、前記抽出が予想基準信号に関するデータを含む基準モデルを参照することを含んで成るプロセッサと、備えたデジタルペンシステムを提供する。
【0036】
本発明の第12の態様では、
音響信号を発信するように構成された音響発信器を有するデジタルペンと、
筐体と、相互に65mm未満の間隔を置いて前記筐体内部に配置され、前記デジタルペンから音響信号を受信するように構成された少なくとも2つの音響信号受信器とを有する少なくとも1つの受信ユニットと、
前記少なくとも1つの受信ユニットに関連付けられ、前記デジタルペンの位置を決定するために前記音響信号を処理するように構成されたプロセッサと、
を備えたデジタルペンシステムを提供する。
【0037】
本発明の第13の態様では、
開放電気回路の第1側に装着されかつ前記電気回路の第2側から切り離された弾性要素であって、前記弾性要素が前記電気回路の前記第2側と接触し、それによって前記電気回路を閉じる位置まで圧縮可能であり、圧力を加えることにより前記位置まで圧縮されるように構成された弾性要素、
を備えた平滑接触スイッチを提供する。
【0038】
本発明の第14の態様では、
音響信号を発信するように構成された音響信号発信器と、
前記音響発信器に接続され、デジタルスリーブに関して筆記器具の予め定められた移動を検出し、かつ前記検出により前記音響信号発信器を作動させるように構成された筆記センサと、
を備えた、筆記器具に装着可能なデジタルスリーブを提供する。
好適な実施形態の説明
【0039】
特に異なる定義を示さない限り、本書で使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の熟練者が一般的に理解しているのと同じ意味を持つ。本書に提示する材料、方法、および例は、単なる例証であって、限定する意図は無い。
【0040】
本発明の方法およびシステムの実現は、ある選択されたタスクまたはステップを手動的に、自動的に、またはそれらの組合せにより、実行または完遂することを含む。さらに、本発明の方法およびシステムの好適な実施形態の実際の計装および設備によって、幾つかの選択されたステップはハードウェアによって、またはいずれかのファームウェアのいずれかのオペレーティングシステム上のソフトウェアによって、またはそれらの組合せによって、実現することができる。例えば、ハードウェアとしては、本発明の選択されたステップは、チップまたは回路として実現することができる。ソフトウェアとしては、本発明の選択されたステップは、いずれかの適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実現することができる。いずれの場合も、本発明の方法およびシステムの選択されたステップは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームのようなデータプロセッサによって実行されると記述することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明をここで、単なる例として添付の図面を参照しながら説明する。今、図面の詳細について具体的に言及すると、図示する細部は例示であり、本発明の好適な実施形態の図解による議論を目的とするものであって、本発明の原理および概念的側面の最も有用かつ容易に理解される説明であると信じられるものを提供するために提示することを強調しておく。これに関連して、発明の基本的理解に必要である以上に詳しく本発明の構造上の詳細を示そうとは試みず、図面に即した記述は、本発明の幾つかの形態をいかにして実際に具現することができるかを当業熟練者に明らかにする。
【0042】
【図1】図1は、本発明の好適な実施形態に係る、デジタルペンを示す簡易ブロック図である。
【図2a】図2aは、本発明の好適な実施形態に係る、デジタルペンの内部に配置された弾性保持器の例示的描写図である。
【図2b】図2bは、本発明の好適な実施形態に係る、デジタルペンの内部に配置された弾性保持器の例示的描写図である。
【図3】図3は、本発明の好適な実施形態に係る、2つのスイッチを備えたスイッチアセンブリを有するデジタルペンの例示的描写図である。
【図4a】図4aは、本発明の好適な実施形態に係る、例示的スイッチアセンブリの機械的設計を概略的に示す簡易ブロック図である。
【図4b】図4bは、本発明の好適な実施形態に係る、スイッチアセンブリのための第1の例示的カバー要素を示す図である。
【図4c】図4cは、本発明の好適な実施形態に係る、スイッチアセンブリのための第2の例示的カバー要素を示す図である。
【図5a】図5aは、本発明の好適な実施形態に係る、接触スイッチを示す簡易ブロック図である。
【図5b】図5bは、本発明の好適な実施形態に係る、ベントを有する接着剤を示す簡易図である。
【図6a】図6aは、本発明の好適な実施形態に係る、交換可能なカバー要素を有する第1デジタルペンを示す簡易図である。
【図6b】図6bは、本発明の好適な実施形態に係る、交換可能なカバー要素を有する第2デジタルペンを示す簡易図である。
【図6c】図6cは、本発明の好適な実施形態に係る、交換可能なカバー要素を有する第3デジタルペンを示す簡易図である。
【図6d】図6dは、本発明の好適な実施形態に係る、交換可能なカバー要素を有する第4デジタルペンを示す簡易図である。
【図7a】図7aは、本発明の好適な実施形態に係る、第1の引込み可能なデジタルペンを示す簡易ブロック図である。
【図7b】図7bは、本発明の好適な実施形態に係る、第2の引込み可能なデジタルペンを示す簡易図である。
【図8a】図8aは、本発明の好適な実施形態に係る、第3の引込み可能なデジタルペンを示す簡易ブロック図である。
【図8b】図8bは、本発明の好適な実施形態に係る、第4の引込み可能なデジタルペンを示す簡易図である。
【図9】図9は、本発明の好適な実施形態に係る、2つの音響発信器を有するデジタルペンを概略的に示す簡易ブロック図である。
【図10】図10は、本発明の好適な実施形態に係る、筆記器具用のデジタルスリーブを概略的に示す図である。
【図11a】図11aは、本発明の好適な実施形態に係る、筆記器具用のデジタルペンのグレーチングの略図である。
【図11b】図11bは、本発明の好適な実施形態に係る、筆記器具用のデジタルペンのグレーチングの略図である。
【図11c】図11cは、本発明の好適な実施形態に係る、筆記器具用のデジタルペンのグレーチングの略図である。
【図11d】図11dは、本発明の好適な実施形態に係る、筆記器具用のデジタルペンのグレーチングの略図である。
【図11e】図11eは、本発明の好適な実施形態に係る、筆記器具用のデジタルペンのグレーチングの略図である。
【図12】図12は、本発明の好適な実施形態に係る、デジタルペンからの音響信号を受信するための第1受信ユニットの略図である。
【図13】図13は、本発明の好適な実施形態に係る、デジタルペンからの音響信号を受信するための第2受信ユニットの略図である。
【図14】図14は、本発明の好適な実施形態に係る、デジタルペンシステムを示す簡易ブロック図である。
【図15】図15は、本発明の好適な実施形態に係る、復号ユニットを示す簡易ブロック図である。
【図16】図16は、本発明の好適な実施形態に係る、最尤検出器に組み込むための数学モデルの例示的構成要素を示す簡易ブロック図である。
【図17】図17は、本発明の好適な実施形態に係る、例示的相関関数を示す2部グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施形態は、デジタルペン、デジタルスリーブ、受信ユニット、およびデジタルペンシステムを含む。
【0044】
本発明に係る測位システムおよび方法の原理および動作は、図面および随伴する説明を参照することにより、いっそうよく理解することができる。
【0045】
本発明は、発明の背景技術および技術分野の節で幾つかについて上述した、従来の技術の欠点を克服しようとするものである。本発明は、それがデジタルペンであれ、デジタルスリーブであれ、デジタルペンから発信される音響信号用の受信器であれ、あるいはデジタルペンシステムであれ、有望な製品の設計に新しい着想を導入しかつ実現することによって、現在の技術を改善することを試みる。
【0046】
本発明の少なくとも一つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその適用を、以下の記述で記載し、あるいは図面に示す構成要素の構成および配列の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは様々な仕方で実施または実行することができる。また、本書で使用する語法および専門用語は説明を目的とするものであって、限定とみなすべきではないことも理解されたい。
【0047】
図1を参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係るデジタルペンを示す簡易ブロック図である。
【0048】
本発明の好適な実施形態に係るデジタルペン1000は、ペン先に隣接して配置されることが好ましい少なくとも1つの音響発信器100と、小型電池のような電力源への接続を含む可撓性プリント電気回路基板(PCB)120のような電気回路110とを含む。
【0049】
好ましくは、音響発信器100は超音波トランスデューサである。
【0050】
任意選択的に、超音波トランスデューサは、電気エネルギを超音波信号に変換する圧電トランスデューサである。圧電結晶は、それらに電圧が印加されたときに、大きさが変化する特性を有する。圧電結晶に交流電圧(AC)を印加することによって、結晶は超高周波数で振動を引き起こし、超高周波音波から構成される超音波信号を発生する。
【0051】
好ましくは、超音波トランスデューサは、圧電特性を持つ可撓性プラスチックポリマーであるフッ化ポリビニリデン(PVDF)から作られる。
【0052】
音響発信器100は回路110に電気的に接続され、それは、例えばペン内部にインクリフィルを組み立てることを可能にするために、発信器110から分離することができる。
【0053】
しかし、音響発信器100は、発信器100を電気回路110に電気的に接続するためのはんだ付けのために加熱するには、あるいはプラスチックを発信器100に取り付けるために加熱するには傷つき易い。発信器を螺着することも選択肢であるが、高速大量生産には適さない。
【0054】
本発明の好適な実施形態は、弾性保持器120を使用して、発信器100および電気回路110を電気的に接続する難しさを克服しようとするものである。
【0055】
弾性保持器120は、弾性保持器120に機械的圧力を加えることにより、電気回路110を押圧して音響発信器100と接触させて、電気回路110と音響発信器100を電気的に接続させる。
【0056】
任意選択的に、弾性保持器120はさらに、IR発信器のような構成部品を特定の位置に配置することを可能にするために、可撓性PCBを所定の位置に押し込むように構成される。
【0057】
好ましくは、弾性保持器120は、当業界で公知のデジタルペンより小さいデジタルペン1000を容易にする。
【0058】
図2aを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係るデジタルペン内部に配置された弾性保持器の例示的描写図である。
【0059】
本発明の好適な実施形態に係るデジタルペン2000は、ペン先で終端する長尺体と、ペン先から突出する筆記要素220と、ペン先に隣接して配置される音響発信器210と、可撓性PCB240(可撓性プリント回路基板)または導体のような電気回路240とを有する。
【0060】
デジタルペンの筆記要素は、インクリフィル、鉛筆の先、マーカ等とすることができるが、それらに限定されない。デジタルペンは消しゴムも含むことができる。デジタルペンは、例えば本書で詳細に後述するスイッチアセンブリを使用して、筆記の色を変更することも可能である。任意選択的に、筆記要素は、物理的には筆記しない尖鋭な先端である。
【0061】
好ましくは、デジタルペン2000は、可撓性PCB240と音響発信器210(ならびにペン本体)を電気的に接続するために、可撓性PCB240(または導体)を押圧して音響発信器210と接触させる弾性保持器250をさらに含む。
【0062】
弾性保持器250は、可撓性PCB240と音響発信器210との間の導電性を高めるために、導電性材料から作ることが好ましい。
【0063】
任意選択的に、可撓性PCB240と音響発信器210との間の導電性は、弾性保持器250上に金接点を配置することによって高めることができる。
【0064】
弾性保持器250は、任意選択的に、例えばペンの筐体から弾性保持器250に加えられる機械的圧力の結果、可撓性PCB240と音響発信器210との間の電気的接触を確実にする。
【0065】
好適な実施形態では、弾性保持器250は、ペン本体が弾性保持器250の底部によってしっかりと固定されるように、上部が連続し下部が開口した「U字」状である。「U」字状の弾性保持器250はベースと、ベースから垂直に起立する延長部とを含み、可撓性PCB240またはいずれかの他の第1電気回路と第2電気回路とを筐体の閉鎖境界内に配置するように構成される。弾性保持器250は、筐体内の閉鎖境界のため、2つの電気回路の間に電気的接触をもたらし、それによって2つの回路を接続する。2つの回路を接続することにより、弾性保持器250は可撓性PCB240と音響発信器210を電気的に接続する。
【0066】
弾性保持器250は、全ての部品を合わせ、弾性保持器250を所定の位置に滑動させることによって、容易に組み立てることができるように多少弾力性を有することが好ましい。機械的力は、上述のベースから構成される上部の弾性突耳によって維持される。弾性突耳は、上述の通り保持器を押し上げる(一方、底部は上述の通りペンの本体に固定される)。
【0067】
図2bを参照すると、本発明の好適な実施形態に係る、弾性保持器を有する例示的デジタルペンが示されている。
【0068】
デジタルペン2000は、上述の通り弾性保持器290を有する。弾性保持器290は板ばね292をさらに有する。板ばね292は、音響発信器のリボンに圧力を加え、それによって上述の通り音響発信器を可撓性PCB295に接続するように構成される。
【0069】
図3を参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、2つのスイッチを含むスイッチアセンブリを有するデジタルペンの例示的描写図である。
【0070】
本発明の好適な実施形態に係るデジタルペン3000は、少なくとも1つの音響発信器310、好ましくは超音波トランスデューサを含む。
【0071】
デジタルペン3000はさらに、少なくとも2つのスイッチを有するスイッチアセンブリ320を含む。デジタルペン3000は、ユーザがスイッチの少なくとも2つを略同時に押すことによって選択することのできる特定のモードを有する。
【0072】
任意選択的に、スイッチアセンブリ320は、当業界で公知の技術に従って、ある位置がペンの特定のモードに関連付けられるように機械的に設計される。ユーザがスイッチアセンブリ320の2つのスイッチを同時に、またはほぼ同時に押したときにだけ、該位置にアクセス可能であることが好ましい。
【0073】
図4aを参照すると、それは本発明の好適な実施形態に係る例示的スイッチアセンブリの機械的設計を概略的に示すブロック図である。
【0074】
本発明の好適な実施形態に係るスイッチアセンブリは、切替えロッド450に取り付けられた2つのスイッチ410、420を有する。切替えロッドは支点470を中心に均衡を保つ。支点470はばねによって押し上げられることが好ましい。
【0075】
ユーザは第1スイッチ410を押し、こうしてアセンブリを第1位置(a)に着け、あるいは第2スイッチ420を押し、こうしてアセンブリを第2位置(b)に着け、あるいは2つの位置(a、b)の間でトグルすることができる。
【0076】
ユーザが2つのスイッチ410、420を同時にまたはほぼ同時に押すと、2つのスイッチ410、420に加えられた圧力は支点470をばねに対して同時に押し付け、アセンブリを両方のスイッチが押される第3の位置(c)に着ける。第3の位置は、上述の通り特定のモードに関連付けることができる。
【0077】
任意選択的に、スイッチアセンブリ320は、当業界で公知の技術に従って、ある位置がペンの特定のモードに関連付けられるように電気的に設計される。該位置は、ユーザがスイッチアセンブリ320の2つのスイッチを略同時に押したときにだけ、アクセス可能である。
【0078】
図4bを参照すると、それは本発明の好適な実施形態に係るスイッチアセンブリのための第1の例示的カバー要素を示すブロック図である。
【0079】
スイッチアセンブリ320はさらに、カバー要素4000を持つことができる。カバー要素4000は左右の突起4100(またはリグレッション)を有し、上で詳述の通りユーザが2つのスイッチ410、420のうちの1つを押すように導く。カバー要素4000はさらに中央突起4200(またはリグレッション)を有し、ユーザが2つのスイッチ410、420に略同時に圧力を加え、かくしてスイッチアセンブリを上述した第3位置にするように導く。
【0080】
図4cを参照すると、それは本発明の好適な実施形態に係るスイッチアセンブリのための第2の例示的カバー要素を示すブロック図である。
【0081】
カバー要素4500は、突起(リグレッション)が上述したそれらの2つのスイッチ4520の上に配置されるように、スイッチアセンブリ上に装着される。
【0082】
図5aを参照すると、それは本発明の好適な実施形態に係る接触スイッチを示す簡易ブロック図である。
【0083】
本発明の好適な実施形態に係るデジタルペンは、平滑接触スイッチに機械的圧力を加えることによりデジタルペンを作動させるように構成された平滑接触スイッチを含む。
【0084】
平滑接触スイッチは、ペンが紙片のような表面に接触するときに、例えばユーザがデジタルペンを使用して筆記するときに、平滑接触スイッチに機械的圧力が加えられるように、デジタルペンの内部に組み立てられる。
【0085】
好ましくは、加えられる圧力は非常に小さくすることができ、好ましくは25グラム未満である。より好ましくは、スイッチ作動移動距離は非常に小さく(例えば0.1mm未満)、ペンを使用するユーザには感知されない。
【0086】
平滑接触スイッチは可撓性プリント回路基板(PCB)、通常の回路、または導電性材料の2つの切り離された回路のような開放電気回路等に取り付けることができ、その結果、スイッチを電気回路に接続するためにワイヤまたはリボンが不要になる。
【0087】
好適な実施形態では、開放電気回路の片側に電気的に接続された弾性要素530に、導電性を持つ同心円状接着剤510が塗布される。
【0088】
平滑接触スイッチの上部に、底面図(5a−1)のAA線に沿った断面図(5a−2)に示すように、接着剤510上に装着された導電性を有する平坦かつ圧縮可能な弾性要素530がある。任意選択的に、弾性要素は導電性材料から作られ、あるいは導電性インクまたは接着剤を弾性要素530のような添加剤を添加することによって、弾性要素530に導電性が付与される。
【0089】
平滑接触スイッチの弾性要素530の上部の中心部の圧力は、開放電気回路の第2側から弾性要素530を介し、同心円状接着剤510を介して、電気回路の第1側までの電気回路を形成する位置に、弾性要素530を押し付け、かくして電気回路を閉路し、それによってデジタルペンを作動させる。
【0090】
作動圧力は、同心円状接着剤510の厚さ、同心円状接着剤510の内径、および弾性要素530の厚さによって制御される。
【0091】
任意選択的に、弾性要素はポリエチレンテレフタレート(PET)材から作られ、導電性インクで被覆され、同心円状接着剤は0.1mm以下の非常に薄い層であり、3M(商標)Z−Axisまたは同様の製品から作られる。任意選択的に弾性要素530は導電性金属から作られる。
【0092】
図5bを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、ベントを有する接着剤を示す簡易ブロック図である。
【0093】
好ましくは、上述した平滑接触スイッチに使用される接着剤5100は、弾性要素530、接着剤、および弾性要素530を押し付けると平滑接触スイッチによって閉じる電気回路によって形成される、キャビティ内部に閉じ込められた空気圧を解放するための通気穴5150を含む。
【0094】
図6aを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、交換可能なカバー要素を有する第1デジタルペンを示す簡易図である。
【0095】
好ましくは、本発明の好適な実施形態に係るデジタルペンは、機能部品を一緒に保持する内部構造と、交換可能なカバー要素(外皮)を有する筐体とを有する。
【0096】
内部は音響トランスデューサ、IRエミッタ、可撓性PCBのような電気回路、スイッチ等を保持することができる。筐体は内部を被覆し、それを内部に接続することを可能にする何らかの機械的インタフェースを有する。筐体は、電池保持器のような追加的機能性を持つことができる。
【0097】
好適な実施形態では、多種多様な色彩および様式の交換可能なカバー要素が導入され、かくしてデジタルペン用の幅広いカバー(外皮)がもたらされる。
【0098】
任意選択的に、ペンの製造者はペンを多種多様なカバー要素のうちの1つのカバー要素と組み立て、エンドユーザはカバー要素を変更しない。エンドユーザが筐体のカバー要素を変更し、かくしてデジタルペンに異なる外観および異なる感触または質感を与えることができることが好ましい。
【0099】
例えば、デジタルペン6100は、片側で電池支持シャシ611に、反対側でペン先612に接続された中央の交換可能なカバー要素(外皮)610を含む筐体を有する。任意選択的に、中央の交換可能なカバー要素(外皮)610は、当業界で公知の通り、可視または隠蔽されたスナップロック615を利用して、電池支持シャシ611およびペン先612に接続される。
【0100】
図6bを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、交換可能なカバー要素を有する第2デジタルペンを示す簡易図である。
【0101】
デジタルペン6200は、ペン先6220に接続された交換可能なカバー要素(外皮)6210を含む筐体を有する。
【0102】
図6cを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、交換可能なカバー要素を有する第3デジタルペンを示す簡易図である。
【0103】
デジタルペン6300は、電池カバー6320に接続された交換可能なカバー要素(外皮)6310を含む筐体を有する。
【0104】
図6dを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、交換可能なカバー要素を有する第4デジタルペンを示す簡易図である。
【0105】
デジタルペン6400は、下部カバー6420に接続された上部の交換可能なカバー要素(外皮)6410を含む筐体を有する。
【0106】
好ましくは、デジタルペンは、筆記要素のペンの先端部、例えばペン(またはスタイラス、または鉛筆)の内部に配置されたインクカートリッジの先端部を被覆することが可能な、引込み可能なデジタルペンである。
【0107】
図7aを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る第1の引込み可能なデジタルペンを示す簡易ブロック図である。
【0108】
好適な実施形態では、デジタルペン700は回転部710を有し、ユーザが当該部710を回転するとそれは前進または後退する。
【0109】
回転部710は、ユーザが当該部710を一方向に回転すると前進し、デジタルペン700の先端715から突出して、筆記要素720を被覆する。回転部710は、ユーザが当該部710を反対方向に回転すると後退して、筆記要素720を露出させる。
【0110】
任意選択的に、回転部710の回転運動は直線運動に変換され、回転部710は筆記要素720を被覆するために前進するか、あるいは筆記要素720を露出させるために後退する。変換は、当業界で公知の通り、回転部710を誘導する螺旋軌道によって容易化することができる。
【0111】
図7bを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る第2の引込み可能なデジタルペンを示す簡易図である。
【0112】
デジタルペンの筐体は外皮7120および引込み可能な先端7110を含む。引込み可能な先端7110は螺旋機構7100によって外皮7120に接続される。螺旋機構7100は先端の直線的出入運動を引き起こす。回転運動は、先端7110と外皮7120との間でユーザによって加えられる。
【0113】
図8aを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る第3の引込み可能なデジタルペンを示す簡易ブロック図である。
【0114】
引込み可能なデジタルペン800は、ペン先で終端する長尺体820を被覆する長尺筐体805を含み、そこからインクリフィルの先端のような筆記要素810が突出する。
【0115】
長尺体820は前進して筆記要素810を露出させ、かつ後退して筆記要素をデジタルペン800の筐体805の内部に被覆することができる。
【0116】
任意選択的に、長尺体820はばね830によって後方に圧迫され、かくして長尺体820を、筆記要素810が筐体によって被覆される位置に押し込む。
【0117】
好ましくは、長尺体820は、固定手段850によって、筆記要素810が露出する位置に固定可能である。任意選択的に、長尺体を筐体805の縁部に固締するために、スナップ、ロック等を使用することができる。
【0118】
任意選択的に、好適な実施形態に係るデジタルペンは、リフィル、骨格、先端、電池筐体、いずれかの他の部品、またはそれらの組合せのような可動部を持つことができる。可動部間の移動は、図7〜8を用いて上述した設計と同様の設計を利用して容易化することができる。
【0119】
本発明の好適な実施形態では、頑健性を高めるためにデジタルペンの幾つかの箇所に幾つかの赤外(IR)エミッタが置かれる。
【0120】
その結果、デジタルペンを保持しているときに、例えばユーザの手によってIRエミッタの1つが覆われた場合、他の部分が受信器とのリンクを維持する。
【0121】
IRエミッタを配置することのできるデジタルペンの考えられる箇所の例として、デジタルペンの底部、上部、ペンの頂部、(上述の通り)デジタルペンに設置された可撓性PCB等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
好ましくは、デジタルペンを保持するユーザにとっての利便性を向上するように、デジタルペンの筐体はゴムのような軟質材料を含む。
【0123】
図8bを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る第4の引込み可能なデジタルペンを示す簡易ブロック図である。
【0124】
デジタルペンは、固締機構7200を利用してデジタルペンの頂部に取り付けられたボタン7270によって押される、引込み可能な骨格7250を持つことができる。
【0125】
図9を参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、2つの音響発信器を有するデジタルペンを概略的に示すブロック図である。
【0126】
デジタルペン900は2つの音響発信器930を持つことができる。デジタルペンに2つの音響発信器を設置することは幾つかの利点を有し、それは次のようなものを含むが、それらに限定されない。
1)受信器が、デジタルペンの3次元位置および傾斜角度を含むペンの5次元(5D)位置、または5次元(5D)位置のみならずデジタルペンの回転に関するデータをも含むペンの6次元(6D)位置を推定することが可能になる。
2)筆記要素の位置をより正確に推定し、トランスデューサと筆記要素の位置との間の距離差を補償する。
3)デジタルペンをジョイスティックとして使用し、ゲーム機能が可能になる。
【0127】
図10を参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、筆記器具用のデジタルスリーブを概略的に示す図である。
【0128】
デジタルスリーブ10000は、音響信号を発信するための音響信号発信器を含む。デジタルスリーブ10000はまた、デジタルペンについて上述したように、電気回路、電源、または他の要素をも含むことができる。
【0129】
好適な実施形態に係るデジタルスリーブ10000は、ペン、鉛筆、マーカ等のような通常の筆記器具1100に装着することができる。
【0130】
本発明の好適な実施形態では、デジタルスリーブ10000は指に装着することができる。例えばEpos Technologies(商標)は、指先装着用スタイラス(stylus−at−your−fingertip)製品を提供している。
【0131】
好ましくは、デジタルスリーブ10000はさらに、筆記センサ10200を含む。筆記センサ10200は、筆記装置に装着されたデジタルスリーブ10000に対する筆記装置10100の移動(または摩擦)を検出するように構成される。
【0132】
換言すると、スリーブ10000を装着したペンを保持するユーザが、ペンで筆記し始めると、紙に接触するペンとスリーブ10000との間で相対的移動(または摩擦)が発生する。相対的移動(または摩擦)は筆記センサ10200によって感知される。筆記センサ10200は次に、電気回路を介して音響発信器を作動させる。次いで、デジタルペンシステムについて以下でさらに詳述するように、音響発信器は音響信号を例えば受信ユニットに発信する。
【0133】
図11a〜eを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、筆記器具用のデジタルペンのグレーチングの略図である。
【0134】
一般的に、音響発信器、特に超音波トランスデューサは、多少の不規則性を有する。不規則性のため、トランスデューサは完全な全方向性にならない。
【0135】
不規則性は、トランスデューサが円筒形を形成するように積層された矩形の箔から作られるため、トランスデューサが固有の欠陥を有することから発生する。積層は、音響エネルギを放射しない受動部を形成する。固有の欠陥は、欠陥の前部の信号を超音波トランスデューサの他の部分の前部よりずっと弱くする。
【0136】
一般的に、デジタルペンの位置は、音響発信器からの音響信号のTOA(到達時間)の測定に基づくアルゴリズムを利用して決定される。通常、該アルゴリズムは、信号のTOAをデジタルペンから発信されるIR信号と比較する。
【0137】
固有の欠陥の結果、音響発信器の周囲の空間における所定の箇所で受信される信号の和は、音響発信器から同様の距離にある他の箇所に比較して、位相ずれを有する。
【0138】
好適な実施形態に係るデジタルペンは、デジタルペンの音響発信器に隣接して配置される音響導波路を含む。
【0139】
好ましくは、音響導波路は、音響信号発信器から離れる方向に外方に放射状に広がる複数のフィン1110を含む。
【0140】
より好ましくは、フィン1110は、音響発信器を包囲する空間を指向性セクタに空間分割するように配置される。
【0141】
フィン1110は、音響発信器によってセクタの1つを介して発信される音響信号を、音響発信器によって他のセクタを介して発信される音響信号から実質的に分離する。
【0142】
換言すると、位置のずれを排除するために、フィン1110は、音響発信器の周囲の空間をセクタに分割し、各セクタが他のセクタから分断または分離されるように配置される。
【0143】
音響発信器の周囲の空間を明確に分離するセクタに分割する結果、位相ずれは著しく排除される。位相ずれの排除により、音響信号の相関に基づく位置復号技術の結果を改善することができる。しかし、他のセクタからの信号が当該セクタから明確に排除されるので、音響発信器の周囲のセクタの1つにおける各箇所を通して発信される信号の和の振幅は低減される。
【0144】
任意選択的に、音響発信器の周囲のグレーチングは、上述したフィン設計とは異なるように設計することができる。
【0145】
例えばグレーチングは、単一の開口を維持する螺旋開口、上行するグレーチングが下行するグレーチングと(それらの間の自由空気への開口を維持しながら)組み合わされたもの等を含むことができる。
【0146】
本発明の好適な実施形態では、デジタルペンの位置を決定するために、例えばデジタルペンを用いて実行される手書きを自動的にデジタル化するために使用される、デジタルペンから発信される音響信号を受信するように構成された受信器を提供する。
【0147】
図12を参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係るデジタルペンからの音響信号を受信するための第1受信ユニットの略図である。
【0148】
デジタルペンからの音響信号を受信するように構成された受信ユニット1200は、受信ユニット1200を1枚の紙に固定するために、受信ユニットの本体1220に装着された金属板1210を持つことができる。
【0149】
金属板の一端1210−aを押すと、他端1210−bが他端1210−bと受信ユニット1200の本体1220との間に間隙を開く。開かれた間隙を通して、1枚の紙を板の端部1210−bと受信ユニット1200の本体1220との間に挿入することができる。
【0150】
金属板の押圧端1210−aを解放すると、他端1210−bはその自然位置に戻り、板の端1210−bと受信ユニット1210の本体1220との間に押圧された紙片に対する力が固定される。
【0151】
金属板1210および受信ユニット1200の本体1220は、紙と受信ユニットの本体1220との間の摩擦を高めることを可能にする、(ゴムパッドのような)追加的非平坦面特性を持つことができる。
【0152】
好ましくは、金属板1210は、枚葉紙をよりよく把持させるために、紙をわずかに変形させるように形作ることができる。
【0153】
1つまたはそれ以上の受信ユニット1200を、枚葉紙の中心または枚葉紙の縁部に嵌合させることができる。
【0154】
好ましくは、受信ユニット本体1200および板は、枚葉紙の隅の90度と嵌合する(そして受信ユニットを45度に保持する)ストッパ1212を有する。
【0155】
枚葉紙の真ん中ではなく、枚葉紙の隅に受信ユニット1200を配置することは、再現性、精度(隅に配置された受信ユニットは見通しが優れ、その精度が改善される)、死角の低下(枚葉紙の隅に配置された受信ユニットの作動角は受信ユニットが紙の真ん中に配置された場合よりずっと小さい)等の幾つかの利点を有する。
【0156】
図13を参照すると、本発明の好適な実施形態に係るデジタルペンからの音響信号を受信するための第2受信ユニットの略図である。
【0157】
本発明の好適な実施形態に係る受信ユニット1300は、2つのマイクロフォン1330を含む。
【0158】
任意選択的に、2つのマイクロフォンは、当業界で周知の通り、超音波受信器である。
【0159】
好ましくは、2つのマイクロフォンはエレクトレットマイクロフォンまたは代替的にMEMSマイクロフォンである。エレクトレットマイクロフォンは、当業界で公知の通り、コンデンサマイクロフォンの原理で動作する小型マイクロフォンであるが、永久帯電した高分子振動板を持つことができる。エレクトレットマイクロフォンは小型前置増幅器を内蔵し、低電圧直流(DC)電源(通常、1.5ないし18ボルト電池)を必要とする。
【0160】
エレクトレットマイクロフォンは、モバイルコンピュータゲーム、携帯電話機等のようなハンドヘルド装置で幅広く使用されている。
【0161】
受信ユニット1300はさらに電気回路を含む。
【0162】
電気回路は、マイクロフォン1330によって受信された超音波信号を、例えば周波数ダウンコンバージョン、信号増幅技術、または他の方法を実現することによって抽出するように構成される。
【0163】
電気回路によって使用される方法の幾つかは、2003年4月14日に出願した「Method and system for obtaining positional data」と称する、出願人の国際出願第PCT/IL03/00309号に詳述されている。
【0164】
本発明の好適な実施形態では、2つのマイクロフォン1330は、相互に65mm未満の距離に配置される。
【0165】
相互に65mm未満の距離に配置された2つのマイクロフォン1330から受信した信号は、デジタルペンに関する位置データを生成するために処理することができる。
【0166】
処理は、復号方法を使用して、例えば以下で詳述するように送受信信号のモデルを利用して、実行することができる。
【0167】
本発明の好適な実施形態では、1つまたはそれ以上の受信ユニットと接続されたプロセッサは、予め定められた領域におけるデジタルペンの存在を決定するために、受信ユニットで受信された音響信号を処理するように構成される。
【0168】
好ましくは、プロセッサは、ユーザがデジタルペンを予め定められた領域に配置したときに、予め定められた機能をトリガするように構成することができる。
【0169】
任意選択的に、ユーザに印刷されたマップまたはメニュを提供し、マップまたはメニュ上に受信ユニットを配置することができる。ユーザが予め定められた領域を表わす紙に印刷されたアイコン上にデジタルペンを配置すると、デジタルペンは予め定められた領域に存在する。その結果、予め定められた機能がプロセッサによってトリガされる。
【0170】
例えばユーザに、消しゴム、マーカ等のようなアイコンが描かれた印刷されたメニュを提供することができる。ユーザは、印刷されたメニュ上に受信ユニットを配置することができる。ユーザが消しゴムアイコン上にデジタルペンを配置すると、プロセッサは消去モードに切り替わり、デジタルペンは消しゴムとして機能する。ユーザがデジタルペンをマーカアイコン上に配置すると、プロセッサはマーカモードに切り替わり、デジタルペンはマーカとして機能する。
【0171】
好ましくは、受信ユニット1300の筐体1320は、組立て治具として使用される。受信ユニット1300を組み立てる作業員は、本体1320内部のマイクロフォンの位置にマイクロフォン1330を挿置し、プリント電気回路基板(PCB)を本体1320内部の位置にはんだ付けすることができる。作業員は次いで、PCBをマイクロフォン1330に接続することができる。
【0172】
任意選択的に、受信ユニット1300は、学生等によって使用されるペーパクリップボードのような別の品目に着脱自在に取り付けることができる。
【0173】
好ましくは、受信ユニット1300の筐体1320は、交換可能なカバー要素を含む。
【0174】
交換可能な要素は、受信ユニット1300のユーザ、受信ユニット1300の製造者、または両方に、受信ユニット1300の色および外観を変更する選択肢を提供することができる。
【0175】
任意選択的に、受信ユニット1300の筐体1320はまた、筐体内に巻き込まれたりそこから巻き出されるシリアルインタフェースケーブルをも収容することができる。好ましくは、インタフェースケーブルの端部のコネクタは筐体1320にクリップ留めすることができる。収容されたインタフェースケーブルは、受信ユニットを小さくまとめることに役立つ。
【0176】
図14を参照すると、それは本発明の好適な実施形態に係るデジタルペンシステムを示す簡易ブロック図である。
【0177】
デジタルペンシステム1400は、上で詳述した通り、デジタルペン1410と、1つまたはそれ以上のデジタルペン受信器1420とを含む。
【0178】
システム1400はさらに、受信ユニット1420と通信するプロセッサ1450を含む。
【0179】
プロセッサ1450は、デジタルペン1410によって発信され、受信ユニット1420によって受信された音響信号を処理するように構成される。
【0180】
受信した音響信号の処理により、プロセッサ1420はデジタルペン1410の位置を決定する。
【0181】
任意選択的に、処理はさらに、上述の通り、予め定められた領域内のデジタルペン1410の存在を決定し、予め定められた領域における存在の決定により予め定められた機能をトリガすることを含む。
【0182】
本発明の好適な実施形態では、デジタルペンから発信される音響信号によるデジタルペンの位置決めは、復号アルゴリズムを利用して実行される。復号アルゴリズムは、復号ユニット1470で実現することができる。復号ユニット1470は、プロセッサ1450の一部として、プロセッサ1450と通信する装置の一部として、受信ユニット1420の一部等として、実現することができる。
【0183】
図15を参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る復号ユニットを示す簡易ブロック図である。
【0184】
復号ユニット70は、チャネル数学信号モデル77、相関器71、最尤検出器、経路推定器、および発信器タイミング推定器を使用する最尤検出器72を含む。
【0185】
最尤検出器72は、デジタルペンから受信した音響信号に基づいて、受信ユニットからのデジタルペンの距離に関し最も有望な距離データを生成し、経路推定器73に最も有望な距離データを供給する。
【0186】
最尤検出器72は発信器の位置を推定し、発信器の位置について幾つかの選択肢を経路推定器73に供給し、各選択肢はそれらに関連付けられる確率を有する。経路推定器73はさらに、発信器の位置の正しい推定座標74を選択するために、発信器タイミング推定器76によって提供される、サンプリングバンク75から以前に算出された考えられる位置(およびそれらの確率)を使用する。
【0187】
復号アルゴリズムは、ローカルコンピュータオペレーティングシステム、コンピュータアプリケーション、または類似物に渡すために、デジタルペンの音響信号のデジタル化バージョンを位置座標に変換するために使用される。
【0188】
復号アルゴリズムは、周波数ダウンコンバージョンを実行することによって、利用可能となりそうな比較的低いサンプリング周波数能力を考慮に入れることが好ましい。好ましくは、経路推定器73は、比較的低いサンプリングレートを補償するために、当業界で公知の補間法を使用する。
【0189】
加えて、アルゴリズムはノイズを処理する能力を含むことが好ましい。
【0190】
アルゴリズムは、デジタルペンから発信される音響信号の処理に関係する他の特定の問題に対応することが好ましい。
【0191】
従来の位置決め方法は、非常に短い強力な音響信号を位置決め信号として使用することに重点を置いている。優れた解像度を達成するためには、従来の方法は、そのような短い位置決め信号を見つけ、かつそれらを全く逸失しないために、一般的に400KHzより高いサンプリング周波数が必須である。
【0192】
対照的に、44.1KHzより高い周波数はエレクトレットマイクロフォンのような音響処理装置の設置されたベースと相容れないので、本実施形態は44.1KHzより高いサンプリングレートを使用しないことが好ましい。
【0193】
さらに、ビーコン信号音響周波数は、それがユーザに聞こえないように、超音波の範囲内である20KHzより高く維持することが推奨される。
【0194】
本発明の別の好適な実施形態では、サンプリングレートは44.1KHzより高く、例えば100KHzにすることができる。これは、高サンプリングレート用に構成された受信ユニットによって可能になる。サンプリングレートが高ければ高いほど、発信信号の音響帯域およびそれ以上の高帯域の適正なノイズ除去が可能になる。
【0195】
本発明の好適な実施形態は、データを超音波搬送信号または波形に対して変調させる解決策を使用する。データは、超音波信号を含む搬送波上で周波数変調(FM)または位相変調(PM)することができる。任意選択的に、他の公知の方法を使用することができる。
【0196】
復号アルゴリズムは、変調信号を復号し、原位置情報を載せた信号をそれらのサンプリングの結果から再現することが好ましい。好適な実施形態では、所望の解像度レベルを達成するために、帯域制限信号を使用することが好ましい。
【0197】
残響およびマルチパス効果を克服するために、スペクトラム拡散および周波数ホッピングのような連続波(CW)変調を音響位置決定に使用することが好ましい。
【0198】
本発明の好適な実施形態は、受信ユニットから受信した信号を復号して、個々の受信ユニットからのデジタルペンの距離を決定するために、最尤検出器72を使用する。
【0199】
最尤検出器72で、受信ユニットから受け取った音響信号は、ルックアップテーブル(LUT)68の基準信号と比較される。
【0200】
比較は最も有望な信号を指示し、最も有望な信号から、ある距離が、信号がそこから発信された可能性が最も高い距離として決定される。
【0201】
最尤検出器72は、最良適合距離を見出すことができるように、受信信号を比較する対照としてチャネルの全数学信号モデル77を使用することが好ましい。
【0202】
代替的に、予想される波形をナイキストレートでサンプリングすることができ、サンプリング点間のタイミングミスマッチを外挿関数によって克服して、距離を明らかにすることができる。
【0203】
図16を参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、最尤検出器に組み込むための数学モデルの例示的構成要素を示す簡易ブロック図である。
【0204】
モデル20は信号発生器で生成された初期信号シーケンスS(t)を含み、それはフィルタ25付き音響発信器26の伝達関数に送られる。デジタルペン14の後にチャネル27が続く。次いで結果は、超音波受信器のための伝達関数29、およびフィルタリング30を含む受信器の受信経路に送られる。
【0205】
チャネルの完全モデリングは、受信する音響信号と理想的には位相だけが異なる正確な予想信号を構築することができるという点で、最尤検出器72の設計で有用である。
【0206】
検出器(推定器)70は次いで、最も有望な信号を比較的容易に弁別することができ、それは次に、受信ユニットからのデジタルペンの最も有望な距離に対応する。
【0207】
好ましくは、デジタルペンの面上に分散されたIR発信器から発信される赤外(IR)信号は、遅延の開始を設定するため、かつデジタルペンと受信器との間のクロックを同期化するためにも使用される。
【0208】
図15では、モデルに同期化経路76も示されている。
【0209】
音響信号が異なる角度伝達関数を有することを、当業者であれば理解されるであろう。この事実を補償するために、イコライザを使用することができる。
【0210】
モデルの代わりに、ルックアップテーブルを使用することができることを、当業者は理解されるであろう。さらに他の検出器を使用することができ、PLL(位相検出器、低域フィルタ、および電圧制御発振器から構成される電子回路)、I/Q復調、多相化等のようなFM信号の幾つかの公知の復号器が存在する。
【0211】
図17を手短に参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る例示的相関関数を示す2部グラフである。
【0212】
グラフの上部1710は関数を示し、グラフの下部1720はグラフの上部中心部分の拡張または拡大表示図である。
【0213】
この特許の有効期間中、多くの関連装置およびシステムが開発されることが予想され、本書で使用する用語の範囲、特に「デジタルペン」、「音響発信器」、「超音波トランスデューサ」、「マイクロフォン」および「プロセッサ」という用語の範囲は、先験的にそのような新しい技術の全てを含むつもりである。
【0214】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【0215】
わかりやすいように個別の態様として説明した本発明のいくつかの特徴を1つの態様に組み合わせて提供できることは理解されるだろう。逆に、簡潔に説明するために1つの態様として説明した本発明の様々な特徴を個別に提供するか、一部を適当に組み合わせて提供することもできる。
【0216】
以上、本発明をその特定態様に関して説明したが、多くの代替、変更および変形態様が当業者にとって明白であることは明らかである。したがって、特許請求の範囲の精神およびその広い範囲に包含されるそれらの代替、変更および変形態様は、全て本発明に包含されるものとする。本明細書で言及した刊行物、特許および特許出願は全て、具体的かつ個別的な表示の有無にかかわらず、参照により完全な形で本明細書に組み込まれるものとする。また、本願で行う参考文献の引用および記載は、当該参考文献を本発明に対する先行技術として利用できるとの自認ではないと解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格と、除去可能な外皮を備えたデジタルペンであって、前記骨格が、電気回路と、前記電気回路から分離され、音響信号を発信するように構成された音響信号発信器とを固定された関係で一緒に保持し、前記除去可能な外皮が、前記骨格にわたって嵌合する筐体を含む、デジタルペン。
【請求項2】
前記骨格は、筆記要素をさらに保持する、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項3】
前記除去可能な外皮は、前記骨格によって規定される内部を被覆する、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項4】
前記除去可能な外皮は、前記内部への接続のための機械的インタフェースをさらに備えた、請求項3に記載のデジタルペン。
【請求項5】
前記機械的インタフェースは、少なくとも1つのスナップロックを備えた、請求項4に記載のデジタルペン。
【請求項6】
前記除去可能な外皮は、電池保持器を備えた、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項7】
前記除去可能な外皮は、前記ペンの第1端の電池支持シャシと、前記ペンの第2端のペン先との間で前記骨格を越えて接続されている、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項8】
前記除去可能な外皮は、スナップロックを使用して、電池支持シャシ及びペン先に接続されている、請求項7に記載のデジタルペン。
【請求項9】
前記デジタルペンは、上端及び下端を有し、前記下端がペン先を含み、前記除去可能な外皮が、前記上端に交換可能な上部カバー要素を含み、前記交換可能な上部カバー要素が、前記下端の除去可能でないカバー要素に接続されている、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項10】
前記デジタルペンは、引込み可能なペンであり、前記除去可能な外皮が、前記ペンの先端で筆記要素を被覆及び露出させるように作動可能である、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項11】
前記デジタルペンは、前記電気回路と前記音響信号発信器を電気的に接続させるために、前記電気回路を機械的に押圧して前記音響信号発信器と電気的に接触させるように構成された弾性保持器をさらに備え、前記弾性保持器は、筐体の閉鎖境界内に、ベースと、そこから垂直に起立してその上に第1電気回路および第2電気回路を配置して、前記筐体内の前記閉鎖境界のため前記第1と第2電気回路の間の電気的接触が生じるように構成された延長部とをさらに備えた、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項12】
前記発信器は超音波トランスデューサである、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項13】
前記弾性保持器は導電性である、請求項11に記載のデジタルペン。
【請求項14】
前記延長部は前記弾性保持器にU字形状を与える、請求項11に記載のデジタルペン。
【請求項15】
前記除去可能な外皮は、前記弾性保持器に機械的に押圧を適用し、それによって前記電気的接触を生じるように構成されている、請求項11に記載のデジタルペン。
【請求項16】
赤外光を放射するために、前記骨格の複数の位置に置かれる複数の赤外エミッタをさらに備えた、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項17】
第1および第2切替えモードをそれぞれ達成するようにアセンブリを押圧するための2つのスイッチ点を有するスイッチアセンブリであって、前記2つのスイッチ点が略同時に押圧されることにより選択可能な第3モードをさらに有するアセンブリと、
をさらに備え、前記スイッチアセンブリは前記骨格に設けられており、前記2つのスイッチ点は前記除去可能な外皮を通してアクセス可能である、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項18】
前記スイッチアセンブリは、支点を中心に均衡を保つ切替えロッドを備え、前記支点は前記切替えロッドを高い方のてこで動かされる位置と低い方の受け止められた位置のいずれか1つに保持するために弾力的に構成されており、前記略同時に押圧される2つのスイッチ点は前記てこを前記受け止められた位置に下げる効果を有する、請求項17に記載のデジタルペン。
【請求項19】
前記弾性要素は、前記電気回路に接着されている、請求項11に記載のデジタルペン。
【請求項20】
第1端でペン先を支持する長尺骨格体と、
前記ペン先から突出する筆記要素と、
前記ペン先に隣接して配置され、音響信号を発信するように構成されかつ前記骨格によって保持された音響信号発信器と、
前記長尺骨格体を被覆する除去可能な長尺筐体であって、前記筆記要素を露出および被覆させるために前記長尺骨格体が前記除去可能な長尺筐体の内部で移動可能であるように構成された除去可能な長尺筐体と、
を備えたデジタルペン。
【請求項21】
前記筆記要素が前記除去可能な長尺筐体によって被覆される位置に前記長尺骨格体を促すばねと、前記筆記要素が露出される位置に前記長尺骨格体を固定するための手段とをさらに備えた、請求項20に記載のデジタルペン。
【請求項22】
前記デジタルペンは、前記骨格の内部に位置された第2の音響信号発信器をさらに備え、各音響信号発信器は、音響信号を発信するように構成され、デジタルペン上にそれぞれ離れて配置された、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項23】
前記デジタルペンは、前記骨格の内部に位置された前記音響信号発信器に隣接して配置された音響導波路をさらに備え、前記音響信号発信器から離れる方向に放射状に外方に広がる複数のフィンを含む、請求項1に記載のデジタルペン。
【請求項24】
請求項1に記載のデジタルペンと、
前記デジタルペンから前記音響信号を受信するための少なくとも1つの受信ユニットと、
前記少なくとも1つの受信ユニットに関連付けられ、予め定められた領域における前記デジタルペンの存在を決定するために、前記受信音響信号を処理し、かつ前記存在の決定により予め定められた機能をトリガするように構成されたプロセッサと、
ユーザが前記予め定められた領域でデジタルペンの位置決めを行なうのを助けるために、前記予め定められた領域を図形的にマッピングするように構成されたマップと、
を備えたデジタルペンシステム。
【請求項25】
前記受信ユニットは受信ユニット筐体を含み、前記受信ユニット筐体は、交換可能なカバー要素を含む、請求項24に記載のデジタルペンシステム。
【請求項26】
以下の工程を含む、区別されたデジタルペンの製造方法:
同一の長尺骨格を準備する工程;
複数の前記長尺骨格の内部に、電気回路と、前記電気回路から分離され、音響信号を発信するように構成された音響信号発信器とを挿入する工程;
前記長尺骨格について一連の区別された筐体を準備する工程;
前記複数の長尺骨格のそれぞれについて前記一連の区別された筐体から前記筐体の1つを選択する工程;及び
前記選択された筐体を前記それぞれの長尺骨格に固定し、それにより前記同一の骨格から一連の区別されたデジタルペンを与える工程。
【請求項27】
デジタルペンからの超音波信号を受信するための少なくとも2つの超音波受信器と、
前記超音波受信器に接続され、前記超音波受信器によって受信された超音波信号を抽出するように構成された電気回路であって、前記抽出が予想基準信号に関するデータを含む基準モデルを参照することを含んで成る電気回路と、
を備えた、デジタルペンから音響信号を受信するための受信ユニット。
【請求項28】
前記超音波受信器は、エレクトレットマイクロフォンおよびMEMSマイクロフォンからなる群からの少なくとも一つである、請求項27に記載の受信ユニット。
【請求項29】
受信ユニットを別の品目に着脱自在に取り付けるための少なくとも1つの取り付け装置をさらに備えた、請求項27に記載の受信ユニット。
【請求項30】
前記少なくとも2つの超音波受信器は、互いに65mm未満離れて配置される、請求項27に記載の受信ユニット。
【請求項31】
前記受信ユニットは、前記超音波受信器を収容するように構成され、かつ交換可能なカバー要素を有する筐体をさらに備えた、請求項27に記載の受信ユニット。
【請求項32】
音響信号を発信するように構成された音響信号発信器と、
前記音響信号発信器に接続され、デジタルスリーブに関して筆記器具の予め定められた移動を検出し、かつ前記検出により前記音響信号発信器を作動させるように構成された筆記センサと、
を備えた、筆記器具に装着可能なデジタルスリーブ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【図11e】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−94173(P2012−94173A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25(P2012−25)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2008−502561(P2008−502561)の分割
【原出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(509257329)エポス ディベロップメント リミテッド (5)
【Fターム(参考)】