説明

デジタル放送送信装置及びデジタル放送受信装置

【課題】高階層のコンテンツ品質を低下させずに、付加的な情報の送受信を行うことができる、デジタル放送送信装置及びデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】高階層エンコーダ110は、放送対象となるコンテンツの映像データ及び音声データを、高解像度の品質でエンコードする。低階層エンコーダ130は、放送対象となるコンテンツの映像データ及び音声データを、低解像度の品質でエンコードする。埋め込み部140は、低階層エンコーダ130によってエンコードされたコンテンツとTMCC信号とを入力し、TMCC信号の拡張フィールドに当該コンテンツを埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送コンテンツである主信号と付加的情報である副信号とを同時に送受信するデジタル放送送信装置及びデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、デジタル放送コンテンツと付加的情報とを同時に伝送する場合、デジタル放送コンテンツに対応した高階層信号と付加的情報に対応した低階層信号との両方を、主信号に含ませることで実現していた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第99/008412号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載された技術では、本来なら高階層信号に用いられる主信号内の伝送領域の一部を、低階層信号によって削られてしまうことになる。この結果、高階層のコンテンツ品質を低下させてしまうという問題がある。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、高階層のコンテンツ品質を低下させずに、付加的な情報の送受信を行うことができる、デジタル放送送信装置及びデジタル放送受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、デジタル放送コンテンツである主信号と付加的情報である副信号とを同時に送信するデジタル放送送信装置に向けられている。そして、上記目的を達成するために、本発明のデジタル放送送信装置は、デジタル放送コンテンツの主信号に所定の符号化処理を行う主信号符号化部と、TMCC信号の拡張フィールドに副信号を埋め込む埋め込み部と、副信号が埋め込まれたTMCC信号に所定の符号化処理を行うTMCC信号符号化部と、主信号符号化部からの出力とTMCC信号符号化部からの出力とを時分割多重する時分割多重部とを備えている。
【0007】
また、本発明は、このデジタル放送送信装置から出力された信号、すなわち付加的情報である副信号がTMCC信号の拡張フィールドに埋め込まれてデジタル放送コンテンツである主信号と同時に送信された信号を、受信するデジタル放送受信装置にも向けられている。そして、上記目的を達成するために、本発明のデジタル放送受信装置は、受信信号の主信号部分に施された所定の符号化処理を復号する主信号復号化部と、受信信号のTMCC信号部分に施された所定の符号化処理を復号するTMCC信号復号化部と、復号されたTMCC信号の拡張フィールドから副信号を抽出する拡張フィールド分離部と、抽出された副信号に対して所定の処理を行う副信号処理部とを備えている。
【0008】
典型的な副信号としては、デジタル放送コンテンツの主信号と同一の内容でありかつ主信号よりも品質が低い信号や、放送している複数のチャンネルをザッピングするための信号や、文字情報の信号や、緊急レベル及び対象エリアに応じて多値化された緊急放送制御信号や、アップリンク回線情報の信号や、衛星中継器の非線形歪を補償するための信号等が考えられる。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明によれば、高階層信号のペイロードではなくTMCC信号の拡張フィールドを使用して、高階層信号に関連する情報等の付加的な情報の送受信を行う。これにより、高階層のコンテンツ品質を低下させずに、付加的な情報の送受信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11の構成を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12の構成を示す図
【図3】本発明の第2の実施形態に係るデジタル放送送信装置21の構成を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態に係るデジタル放送受信装置22の構成を示す図
【図5】本発明の第3の実施形態に係るデジタル放送送信装置31の構成を示す図
【図6】本発明の第3の実施形態に係るデジタル放送受信装置32の構成を示す図
【図7】本発明の第4の実施形態に係るデジタル放送送信装置41の構成を示す図
【図8】本発明の第4の実施形態に係るデジタル放送受信装置42の構成を示す図
【図9】本発明の第5の実施形態に係るデジタル放送送信装置51の構成を示す図
【図10】本発明の第5の実施形態に係るデジタル放送受信装置52の構成を示す図
【図11】本発明の第6の実施形態に係るデジタル放送送信装置61の構成を示す図
【図12】本発明の第6の実施形態に係るデジタル放送受信装置62の構成を示す図
【図13】非線形歪補償部216が行う非線形歪補償処理の概念を説明する図
【図14】本発明の第7の実施形態に係るデジタル放送送信装置71の構成を示す図
【図15】本発明の第7の実施形態に係るデジタル放送受信装置72の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、一般的な伝送制御情報等の伝送に用いられる伝送多重制御信号(TMCC信号;Transmission and Multiplexing Configuration Control)の拡張フィールドを使用して、主信号である高階層信号に関連する情報等の付加的な情報を伝送することを特徴とする。
以下、この拡張フィールドを使用して伝送する付加的な情報を具体的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11の構成を示す図である。第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11は、高階層エンコーダ110と、主信号符号化部120と、低階層エンコーダ130と、埋め込み部140と、TMCC信号符号化部150と、同期パターン発生部161と、パイロット発生部162と、時分割多重部163と、マッピング部164と、周波数変換部165とを備える。主信号符号化部120は、第1の誤り訂正符号化部121と、エネルギー拡散部122と、第2の誤り訂正符号化部123と、インタリーブ部124とを備える。TMCC信号符号化部150は、第1の誤り訂正符号化部151と、エネルギー拡散部152と、第2の誤り訂正符号化部153とを備える。
【0013】
高階層エンコーダ110は、放送対象となるコンテンツの映像データ及び音声データを、高解像度の品質でエンコードする。この高階層エンコーダ110には、例えばMPEG−4_AVC/H.264の圧縮符号化方式が用いられる。第1の誤り訂正符号化部121は、高階層エンコーダ110によってエンコードされたコンテンツ(以下、主信号と称する)に、例えばBCH符号を用いて誤り訂正符号化を行う。エネルギー拡散部122は、第1の誤り訂正符号化部121によって誤り訂正符号化がされた主信号に、一定の規則に沿ったランダムデータを加えることでエネルギー拡散を行う。第2の誤り訂正符号化部123は、エネルギー拡散部122によってエネルギー拡散された主信号に、例えばLDPC符号を用いて誤り訂正符号化を行う。インタリーブ部124は、第2の誤り訂正符号化部123によって誤り訂正符号化がされた主信号に、インタリーブ処理を行う。
【0014】
低階層エンコーダ130は、放送対象となるコンテンツの映像データ及び音声データを、低解像度の品質でエンコードする。この低階層エンコーダ130には、例えばMPEG−4_AVC/H.264の圧縮符号化方式が用いられる。埋め込み部140は、低階層エンコーダ130によってエンコードされたコンテンツ(以下、副信号と称する)とTMCC信号とを入力し、TMCC信号の拡張フィールドに副信号を埋め込む。第1の誤り訂正符号化部151は、埋め込み部140によって副信号が埋め込まれたTMCC信号に、例えばBCH符号を用いて誤り訂正符号化を行う。エネルギー拡散部152は、第1の誤り訂正符号化部151によって誤り訂正符号化がされたTMCC信号に、一定の規則に沿ったランダムデータを加えることでエネルギー拡散を行う。第2の誤り訂正符号化部153は、エネルギー拡散部152によってエネルギー拡散されたTMCC信号に、例えばLDPC符号を用いて誤り訂正符号化を行う。
【0015】
同期パターン発生部161は、TMCC信号に基づいて同期パターン信号を生成する。パイロット発生部162は、TMCC信号に基づいてパイロット信号を生成する。時分割多重部163は、インタリーブ部124が出力する主信号、第2の誤り訂正符号化部153が出力するTMCC信号、同期パターン発生部161が出力する同期パターン信号、及びパイロット発生部162が出力するパイロット信号を入力し、それらの信号を所定の手順に従って時間軸方向に多重する。
【0016】
マッピング部164は、時分割多重部163で時分割多重された各々の信号を、キャリアの位相と振幅とで決定される信号点にマッピングする。このマッピング部164では、主信号及びパイロット信号には、32APSK(32 Amplitude Phase Shift Keying)、16APSK(16 Amplitude Phase Shift Keying)、8PSK(8 Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、π/2BPSK(Binary Phase Shift Keying)等の方式が用いられ、TMCC信号及び同期パターン信号には、π/2BPSK方式が用いられる。例えば、16APSK(符号化率3/4)でマッピングした高階層信号では所要C/Nが14.6dBとなり、BPSK(符号化率1/2)でマッピングした低階層信号では所要C/Nが−0.8dBとなる。周波数変換部165は、マッピング部164が出力する信号に周波数変換等の処理を行い、送信信号を生成する。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12の構成を示す図である。第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12は、チューナ211と、直交検波部212と、主信号復号化部220と、高階層デコーダ230と、TMCC信号復号化部240と、拡張フィールド分離部250と、低階層デコーダ260と、受信品質モニタ部213と、選択部214とを備える。主信号復号化部220は、デインタリーブ部221と、第1の誤り訂正復号化部222と、エネルギー逆拡散部223と、第2の誤り訂正復号化部224とを備える。TMCC信号復号化部240は、第1の誤り訂正復号化部241と、エネルギー逆拡散部242と、第2の誤り訂正復号化部243とを備える。
【0018】
チューナ211は、所定のチャンネルを選局し、デジタル放送送信装置11からの送信信号を衛星で中継しアンテナ(図示せず)を介して受信する。直交検波部212は、チューナ211から出力される受信信号を直交検波処理してデジタル信号に復調する。この復調されたデジタル信号は、主信号復号化部220及びTMCC信号復号化部240に、それぞれ出力される。
【0019】
デインタリーブ部221は、直交検波部212から出力されるデジタル信号の主信号が多重されている部分に、デインタリーブ処理を行う。第1の誤り訂正復号化部222は、デインタリーブ部221で処理された主信号に、デジタル放送送信装置11で行われたLDPC符号による誤り訂正の復号を行う。エネルギー逆拡散部223は、第1の誤り訂正復号化部222が出力する主信号にエネルギー逆拡散を行う。第2の誤り訂正復号化部224は、エネルギー逆拡散部223が出力する主信号に、デジタル放送送信装置11で行われたBCH符号による誤り訂正の復号を行う。
【0020】
第1の誤り訂正復号化部241は、直交検波部212から出力されるデジタル信号のTMCC信号が多重されている部分に、デジタル放送送信装置11で行われたLDPC符号による誤り訂正の復号を行う。エネルギー逆拡散部242は、第1の誤り訂正復号化部241が出力するTMCC信号にエネルギー逆拡散を行う。第2の誤り訂正復号化部243は、エネルギー逆拡散部242が出力するTMCC信号に、デジタル放送送信装置11で行われたBCH符号による誤り訂正の復号を行う。拡張フィールド分離部250は、第2の誤り訂正復号化部243で復号されたTMCC信号から拡張フィールドに埋め込まれている副信号を抽出する。そして、拡張フィールド分離部250は、TMCC信号から得られる各種伝送パラメータの情報等を直交検波部212及び主信号復号化部220に与えると共に、抽出した副信号を低階層デコーダ260に出力する。
【0021】
高階層デコーダ230は、第2の誤り訂正復号化部224から出力される主信号をデコードし、高解像度品質によるコンテンツの映像データ及び音声データを取得する。低階層デコーダ260は、拡張フィールド分離部250において拡張フィールドから抽出された副信号をデコードし、低解像度品質による映像データ及び音声データを取得する。選択部214は、高階層デコーダ230が出力するコンテンツと低階層デコーダ260が出力するコンテンツとを入力し、受信品質モニタ部213からの指示に従ったコンテンツを選択し、表示部やスピーカに出力する。受信品質モニタ部213は、第1及び第2の誤り訂正復号化部222及び224における誤り訂正量や誤り訂正可否情報、すなわち受信品質に基づいて、選択部214で選択するコンテンツの解像度品質を決定する。
【0022】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11及びデジタル放送受信装置12によれば、高階層信号のペイロードではなくTMCC信号の拡張フィールドを使用して、高階層信号のコンテンツに対応した低階層信号の送受信を行う。これにより、高階層信号の品質を低下させずに、低階層信号の送受信を行うことができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るデジタル放送送信装置21の構成を示す図である。この第2の実施形態に係るデジタル放送送信装置21は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11の低階層エンコーダ130をザッピングストリーム用エンコーダ170に代えた構成である。デジタル放送送信装置21におけるその他の構成は、デジタル放送送信装置11と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0024】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るデジタル放送受信装置22の構成を示す図である。第2の実施形態に係るデジタル放送受信装置22は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12の低階層デコーダ260をザッピングストリーム用デコーダ270に代え、受信品質モニタ部213を省いた構成である。デジタル放送受信装置22におけるその他の構成は、デジタル放送受信装置12と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0025】
ザッピングストリーム用エンコーダ170は、高階層エンコーダ110に入力されるコンテンツデータと、少なくとも1つの他チャンネルのコンテンツデータとを入力し、ザッピングの品質でエンコードする。埋め込み部140は、ザッピングストリーム用エンコーダ170によってエンコードされたザッピング用ストリーム信号とTMCC信号とを入力し、TMCC信号の拡張フィールドにザッピング用ストリーム信号を埋め込む。
【0026】
拡張フィールド分離部250は、第2の誤り訂正復号化部243で復号されたTMCC信号から拡張フィールドに埋め込まれているザッピング用ストリーム信号を抽出する。ザッピングストリーム用デコーダ270は、拡張フィールド分離部250において拡張フィールドから抽出されたザッピング用ストリーム信号をデコードし、ザッピング用の映像データ及び音声データを取得する。
【0027】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係るデジタル放送送信装置21及びデジタル放送受信装置22によれば、高階層信号のペイロードではなくTMCC信号の拡張フィールドを使用して、ザッピング用ストリーム信号の送受信を行う。これにより、高階層信号の品質を低下させずに、ザッピング用ストリーム信号の送受信を行うことができる。
【0028】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係るデジタル放送送信装置31の構成を示す図である。この第3の実施形態に係るデジタル放送送信装置31は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11の低階層エンコーダ130を文字情報エンコーダ171に代え、拡張フィールドに文字情報を埋め込むようにした構成である。デジタル放送送信装置31におけるその他の構成は、デジタル放送送信装置11と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0029】
図6は、本発明の第3の実施形態に係るデジタル放送受信装置32の構成を示す図である。この第3の実施形態に係るデジタル放送受信装置32は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12の低階層デコーダ260及び選択部214を文字情報デコーダ280及び表示多重部215に代え、受信品質モニタ部213を省いた構成である。デジタル放送受信装置32におけるその他の構成は、デジタル放送受信装置12と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0030】
緊急放送やニュース等の文字情報は、文字情報エンコーダ171においてエンコードされた後、埋め込み部140に入力される。埋め込み部140は、TMCC信号とエンコードされた文字情報とを入力し、TMCC信号の拡張フィールドに文字情報信号を埋め込む。
【0031】
拡張フィールド分離部250は、第2の誤り訂正復号化部243で復号されたTMCC信号から拡張フィールドに埋め込まれている文字情報信号を抽出する。文字情報デコーダ280は、拡張フィールド分離部250において拡張フィールドから抽出された文字情報信号をデコードし、文字情報(メッセージ等)を取得する。表示多重部215は、高階層デコーダ230が出力するコンテンツに、文字情報デコーダ280で取得された文字情報を多重する。
【0032】
以上のように、本発明の第3の実施形態に係るデジタル放送送信装置31及びデジタル放送受信装置32によれば、高階層信号のペイロードではなくTMCC信号の拡張フィールドを使用して、文字情報の送受信を行う。これにより、高階層信号の品質を低下させずに、文字情報の送受信を行うことができる。また、最強階層であり、かつ、インタリーブ処理を使用しないTMCC信号を使用するため、高耐性かつ低遅延で緊急放送等の文字情報を伝送することができる。
【0033】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係るデジタル放送送信装置41の構成を示す図である。この第4の実施形態に係るデジタル放送送信装置41は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11の低階層エンコーダ130を緊急放送制御情報エンコーダ172に代え、拡張フィールドに緊急放送制御情報を埋め込むようにした構成である。デジタル放送送信装置41におけるその他の構成は、デジタル放送送信装置11と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0034】
図8は、本発明の第4の実施形態に係るデジタル放送受信装置42の構成を示す図である。この第4の実施形態に係るデジタル放送受信装置42は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12の低階層デコーダ260及び選択部214を緊急放送制御情報デコーダ290に代え、受信品質モニタ部213を省いた構成である。デジタル放送受信装置42におけるその他の構成は、デジタル放送受信装置12と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0035】
緊急度合いや対象エリア(例えば、郵便番号やGPSの情報で指定)等に基づいて多値化されている緊急放送制御情報は、緊急放送制御情報エンコーダ172においてエンコードされた後、埋め込み部140に入力される。埋め込み部140は、TMCC信号とエンコードされた緊急放送制御情報とを入力し、TMCC信号の拡張フィールドに緊急放送制御情報信号を埋め込む。
【0036】
拡張フィールド分離部250は、第2の誤り訂正復号化部243で復号されたTMCC信号から拡張フィールドに埋め込まれている緊急放送制御情報信号を抽出する。緊急放送制御情報デコーダ290は、拡張フィールド分離部250において拡張フィールドから抽出された緊急放送制御情報信号をデコードし、緊急放送制御情報を取得する。この緊急放送制御情報は、デジタル放送受信装置42の制御に用いられる。例えば、視聴チャンネルを強制的に変更したり、対象エリアである場合のみに緊急放送に切り替えたり等の制御である。
【0037】
以上のように、本発明の第4の実施形態に係るデジタル放送送信装置41及びデジタル放送受信装置42によれば、高階層信号のペイロードではなくTMCC信号の拡張フィールドを使用して、緊急放送制御情報の送受信を行う。これにより、高階層信号の品質を低下させずに、緊急放送制御情報の送受信を行うことができる。また、最強階層であり、かつ、インタリーブ処理を使用しないTMCC信号を使用するため、高耐性かつ低遅延で緊急放送制御情報を伝送することができる。
【0038】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態に係るデジタル放送送信装置51の構成を示す図である。この第5の実施形態に係るデジタル放送送信装置51は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11の低階層エンコーダ130を省き、拡張フィールドにアップリンク回線情報を埋め込むようにした構成である。デジタル放送送信装置51におけるその他の構成は、デジタル放送送信装置11と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0039】
図10は、本発明の第5の実施形態に係るデジタル放送受信装置52の構成を示す図である。この第5の実施形態に係るデジタル放送受信装置52は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12の低階層デコーダ260及び選択部214をアップリンク品質監視部300及び表示多重部215に代え、受信品質モニタ部213を省いた構成である。デジタル放送受信装置52におけるその他の構成は、デジタル放送受信装置12と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0040】
埋め込み部140は、TMCC信号とアップリンク回線情報とを入力し、TMCC信号の拡張フィールドにアップリンク回線情報を埋め込む。
【0041】
拡張フィールド分離部250は、第2の誤り訂正復号化部243で復号されたTMCC信号から拡張フィールドに埋め込まれているアップリンク回線情報を抽出する。アップリンク品質監視部300は、拡張フィールド分離部250において拡張フィールドから抽出されたアップリンク回線情報に従ってアップリンク回線の品質を解析し、必要に応じてアップリンク回線情報(メッセージ等)を生成する。表示多重部215は、高階層デコーダ230が出力するコンテンツに、アップリンク品質監視部300で生成されたアップリンク回線情報を多重する。
【0042】
以上のように、本発明の第5の実施形態に係るデジタル放送送信装置51及びデジタル放送受信装置52によれば、高階層信号のペイロードではなくTMCC信号の拡張フィールドを使用して、アップリンク回線情報の送受信を行う。これにより、高階層信号の品質を低下させずに、アップリンク回線情報の送受信を行うことができる。また、アップリンク回線品質が受信装置側で把握できるので、受信障害時における送信側/受信側の原因の切り分けが容易になる。
【0043】
(第6の実施形態)
図11は、本発明の第6の実施形態に係るデジタル放送送信装置61の構成を示す図である。この第6の実施形態に係るデジタル放送送信装置61は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11の低階層エンコーダ130を省き、衛星中継器の非線形特性情報を埋め込むようにした構成である。デジタル放送送信装置61におけるその他の構成は、デジタル放送送信装置11と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0044】
図12は、本発明の第6の実施形態に係るデジタル放送受信装置62の構成を示す図である。この第6の実施形態に係るデジタル放送受信装置62は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12の低階層デコーダ260、受信品質モニタ部213、及び選択部214を省き、チューナ211と直交検波部212との間に非線形歪補償部216を設けた構成である。デジタル放送受信装置62におけるその他の構成は、デジタル放送受信装置12と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0045】
埋め込み部140は、TMCC信号と衛星中継器の非線形特性情報とを入力し、TMCC信号の拡張フィールドに衛星中継器の非線形特性情報を埋め込む。この非線形特性情報としては、入力電力と出力電力及び出力位相との対応関係をテーブル化した情報が考えられる。
【0046】
拡張フィールド分離部250は、第2の誤り訂正復号化部243で復号されたTMCC信号から拡張フィールドに埋め込まれている衛星中継器の非線形特性情報を抽出する。そして、拡張フィールド分離部250は、抽出した非線形特性情報を非線形歪補償部216に出力する。非線形歪補償部216は、拡張フィールド分離部250から与えられる非線形特性情報に基づいて、チューナ211から出力される送信信号の線形歪を補償する。この補償は、例えば衛星中継器の出力電力及び出力位相が図13(a)で示す特性を有する場合には、非線形歪補償部216の出力電力及び出力位相の特性を図13(b)のように設定することで行われる。
【0047】
以上のように、本発明の第6の実施形態に係るデジタル放送送信装置61及びデジタル放送受信装置62によれば、高階層信号のペイロードではなくTMCC信号の拡張フィールドを使用して、衛星中継器の非線形特性情報の送受信を行う。これにより、高階層信号の品質を低下させずに、衛星中継器の非線形特性情報の送受信を行うことができる。また、パイロットキャリアの平均化による衛星中継器の非線形特性推定が不要になるので、同期引込を高速化することができる。
【0048】
(第7の実施形態)
図14は、本発明の第7の実施形態に係るデジタル放送送信装置71の構成を示す図である。この第7の実施形態に係るデジタル放送送信装置71は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送送信装置11に低階層エンコーダ131及び時分割多重部180をさらに加えた構成である。デジタル放送送信装置71におけるその他の構成は、デジタル放送送信装置11と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0049】
図15は、本発明の第7の実施形態に係るデジタル放送受信装置72の構成を示す図である。第7の実施形態に係るデジタル放送受信装置72は、上述した第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置12に分離部263及び低階層デコーダ261をさらに加えた構成である。デジタル放送受信装置72におけるその他の構成は、デジタル放送受信装置12と同様であるため、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0050】
低階層エンコーダ131は、放送対象となるコンテンツの映像データだけを、低解像度の品質でエンコードする。この低階層エンコーダ131には、例えばMPEG−4_AVC/H.264の圧縮符号化方式が用いられる。低階層エンコーダ130は、放送対象となるコンテンツの音声データだけを、低レートでエンコードする。時分割多重部180は、高階層エンコーダ110によってエンコードされた高画質コンテンツの信号と、低階層エンコーダ131によってエンコードされた低画質コンテンツの信号とを、時間軸方向に多重する(主信号)。埋め込み部140は、低階層エンコーダ130によってエンコードされた音声コンテンツとTMCC信号とを入力し、TMCC信号の拡張フィールドに音声コンテンツ(副信号)を埋め込む。
【0051】
分離部は、第2の誤り訂正復号化部224が出力する主信号から高画質コンテンツの信号と低画質コンテンツの信号とを分離する。高階層デコーダ230は、分離部で分離された信号をデコードし、高解像度品質によるコンテンツの映像データ及び音声データを取得する。低階層デコーダ261は、分離部で分離された信号をデコードし、低解像度品質によるコンテンツの映像データを取得する。拡張フィールド分離部250は、第2の誤り訂正復号化部243で復号されたTMCC信号から拡張フィールドに埋め込まれている副信号を抽出する。低階層デコーダ260は、拡張フィールド分離部250において拡張フィールドから抽出された副信号をデコードし、低レート品質によるコンテンツの音声データを取得する。選択部214は、高階層デコーダ230が出力するコンテンツと、低階層デコーダ260及び261が出力するコンテンツとを入力し、受信品質モニタ部213からの指示に従ったコンテンツを選択し、表示部やスピーカに出力する。
【0052】
例えば、32APSK(符号化率4/5)でマッピングした高階層信号では所要C/Nが20.8dBとなり、QPSK(符号化率3/4)でマッピングした低階層映像信号では所要C/Nが5.2dBとなり、BPSK(符号化率1/2)でマッピングした低階層音声信号では所要C/Nが−0.8dBとなる。
【0053】
以上のように、本発明の第7の実施形態に係るデジタル放送送信装置71及びデジタル放送受信装置72によれば、高階層信号のペイロードを多少消費するが、降雨減衰等により受信環境が劣化した場合に、高階層映像・音声→低階層映像→低階層音声というアナログテレビ的なグレースフルデグラデーションを実現することができる。なお、この第7の実施形態の構成は一例であり、低階層エンコーダ131を映像データ及び音声データの両方を扱うように構成してもよいし、低階層エンコーダ131自体を省いてもよい(すなわち、低階層エンコーダ130による音声データのみ伝送)。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、デジタル放送システム等に利用可能であり、特に高階層信号の品質を低下させずに付加的な情報を送受信したい場合等に有用である。
【符号の説明】
【0055】
11、21、31、41、51、61、71 デジタル放送送信装置
12、22、32、42、52、62、72 デジタル放送受信装置
110 高階層エンコーダ
120 主信号符号化部
121、123、151、153 誤り訂正符号化部
122、152 エネルギー拡散部
124 インタリーブ部
130、131 低階層エンコーダ
140 埋め込み部
150 TMCC信号符号化部
161 同期パターン発生部
162 パイロット発生部
163、180 時分割多重部
164 マッピング部
165 周波数変換部
170 ザッピングストリーム用エンコーダ
171 文字情報エンコーダ
172 緊急放送制御情報エンコーダ
211 チューナ
212 直交検波部
213 受信品質モニタ部
214 選択部
215 表示多重部
216 非線形歪補償部
220 主信号復号化部
221 デインタリーブ部
222、224、241、243 誤り訂正復号化部
223、242 エネルギー逆拡散部
230 高階層デコーダ
240 TMCC信号復号化部
250 拡張フィールド分離部
260、261 低階層デコーダ
263 分離部
270 ザッピングストリーム用デコーダ
280 文字情報デコーダ
290 緊急放送制御情報デコーダ
300 アップリンク品質監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加的情報である副信号がTMCC信号の拡張フィールドに埋め込まれて、デジタル放送コンテンツである主信号と同時に送信された信号を受信するデジタル放送受信装置であって、
受信信号の前記主信号部分に施された所定の符号化処理を復号する主信号復号化部と、
受信信号の前記TMCC信号部分に施された所定の符号化処理を復号するTMCC信号復号化部と、
前記復号されたTMCC信号の拡張フィールドから前記副信号を抽出する拡張フィールド分離部と、
前記抽出された副信号に対して所定の処理を行う副信号処理部とを備える、デジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記副信号は、前記デジタル放送コンテンツの主信号と同一の内容であり、かつ、主信号よりも品質が低い信号である、請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記副信号は、放送している複数のチャンネルをザッピングするための信号である、請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記副信号は、文字情報の信号である、請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記副信号は、緊急レベル及び対象エリアに応じて多値化された緊急放送制御信号である、請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記副信号は、アップリンク回線情報の信号である、請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
前記副信号は、衛星中継器の非線形歪を補償するための信号である、請求項1に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−134984(P2012−134984A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3040(P2012−3040)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2008−118458(P2008−118458)の分割
【原出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】