説明

デジタル放送送出装置

【課題】従来の放送送出システムにおいては、隣接弱電界利用できず、また、規格の違いを対応できないので、高価な転送路が必要で、視聴時不快感を与えるという課題を有していた。
【解決手段】外国方式信号を所要C/N比と不要輻射と所定マージンの合計を超えるように増幅するアンテナ増幅装置302と、前記増幅された外国方式信号をベースバンド信号に復調するとともに、不要なSI/PSIデータを除去し、STCを該放送送出装置の設定に基づいて修正する復調・不要SI/PSI除去・STC変換装置303と、前記復調され、不要なSI/PSIデータを除去され、STCを該放送送出装置の設定に基づいて修正されたベースバンド信号の暗号化を解除し、かつ、復号するCAS解除・AVCODEC変換装置304と、を備えた放送送出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル放送送出システムに関し、特に、国をまたいだデジタル放送を可能にしたデジタル放送送出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本を始め、アナログ放送停止に向け、先進国で公共放送のデジタルハイビジョン化が終わりつつ、有料放送のハイビジョン化が始まっている。一般大衆向けの公共放送と比べ、有料放送は、限定されたユーザのニーズに応えられる高い専門性が必要である。その中、外国で製作された放送チャンネル(以下、外国放送)は有力である。
【0003】
従来の外国放送用の放送送出システムは、アナログ信号しか処理できず、デジタルハイビジョン放送ができない上、高価な専用通信回線(衛星、海底の光ファイバ)のレンタルを必要とする。
【0004】
また25/29.97/30とフレームレートの違いにより再生のフレーム間の時間間隔は撮影時の間隔とずれたり、不均等になることにより、絵飛び現象が発生し、視聴者に不快感を与えるものもある。ビジネスへの応用現実は厳しいものである。
【0005】
図1および図2は、従来の放送送出システムの課題を示す図である。
【0006】
図1において、A国1は、放送衛星6により、設計受信地域限界5以内で受信可能な放送チャンネルを製作している。一方、B国2は、海底光ファイバ3や通信衛星4により、A国1の放送衛星6による放送チャネルを放送している。
【0007】
図2において、自然界事象は、番組の創作意図として、時間間隔t1で撮影されており、創作意図に沿って再生されることが期待されている。ところが、規格準拠受信端末(PAL・NTSC)のHW(ハードウェア)上の制限により、撮影されたフレームで再生すると、端末規格に準拠した時間間隔t2とフレーム数不足による調整発生時の時間間隔t3でユーザに送出することで、ユーザに不快感を与えることになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−015700号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】NHK受信技術センター著「地上デジタル放送」NHK出版、2003年3月15日(P52−55)
【非特許文献2】ETSI EN300 468 デジタル放送におけるSI情報
【非特許文献3】ISO/IEC 13818 -1, -2, -3 TSによるデジタル放送システム
【非特許文献4】シバソク、HDTVフォーマットコンバータ VC39A
【非特許文献5】ARIB STD B14 ISDB-Tデジタル放送運用Guide
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の放送送出システムにおいては、隣接弱電界利用できず、また、規格の違いを対応できないので、高価の転送路が必要であり、また視聴時不快感を与えるという課題を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、隣接弱電界を利用できるようにすることで高価な転送路が不要になるとともに、タイミング優先でフレームレートの違いを吸収することで視聴時不快感を軽減するデジタル放送送出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明のデジタル放送送出装置は、外国方式信号を所要C/N比と不要輻射と所定マージンの合計を超えるように増幅するアンテナ増幅装置と、前記増幅された外国方式信号をベースバンド信号に復調するとともに、不要なSI/PSIデータを除去し、STCを該放送送出装置の設定に基づいて修正する復調・不要SI/PSI除去・STC変換装置と、前記復調され、不要なSI/PSIデータを除去され、STCを該放送送出装置の設定に基づいて修正されたベースバンド信号の暗号化を解除し、かつ、復号するCAS解除・AVCODEC変換装置と、を備える。
【0013】
また、本発明の放送送出装置は、さらに、前記暗号化が解除され、かつ、復号されたベースバンド信号のフレームレートを該放送送出装置の放送受信装置で再生可能なフレームレートに変換するフレームレート変換装置を備える。
【0014】
本発明のデジタル放送送出システムによれば、隣接弱電界を利用できるようにすることで高価な転送路が不要になるとともに、タイミング優先でフレームレートの違いを吸収することで視聴時不快感を軽減することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のデジタル放送送出システムによれば、隣接弱電界を利用できるようにすることで高価な転送路が不要になるとともに、タイミング優先でフレームレートの違いを吸収することで視聴時不快感を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の放送送出システムの課題を示す図
【図2】従来の放送送出システムの課題を示す図
【図3】本発明の放送送出装置の概要を示す図
【図4】本発明の放送送出装置の詳細を示す図
【図5】本発明の放送送出装置の詳細を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
放送製作者から放映権取得のもと、図3に示すシステムで、例えば、中国の放送衛星よりデジタル信号を取得し、日本のケーブル事業者の既存設備につなぐだけで、契約したユーザの自宅へ中国放送をデジタルハイビジョンのままで配信できる。
<段階1>
外国方式信号301は、所要C/N比と不要輻射と所定のマージンの合計を超えるようにアンテナ装置302により増幅される。アンテナ装置302で増幅された信号は、復調・不要SI/PSI除去・STC変換装置303により復調されてベースバンド信号(TS)となり、さらに不要なPSI/SIデータを除去され、STC(TOT/TDT、PTS)を局の設定に基づいて修正され、ベースバンド信号(TS)の形でCAS解除・AVCODEC変換装置304に送られる。ケーブル局の受信端末の制限にあわせ、CAS解除・AVCODEC変換装置304にてベースバンド信号(TS)の中の暗号化された映像ストリームは復号され、ベースバンド信号(TS又はES)として、フレームレート変換305に送られる。
<段階2>
フレームレート変換305にて、ベースバンド信号(TS/ES)に含まれた映像信号は一旦取り出され、フレームごとに伸長され、旧フレームレートのフレームシーケンスを作り、その後、ケーブル局の受信端末で再生できるフレームレートに合致したフレームシーケンスを新たに作り出された後、また圧縮され、元のベースバンド信号(TS/ES)に戻し、次に送る。
<段階3>
その後、ベースバンド信号は、多重化装置(以下、MUX)でケーブル局従来の番組とマージされ、暗号化装置(以下、SCR)で暗号化され、変調装置(以下、MOD)でRF信号に変調される。その後、電光変換装置(以下、E/O)で光信号に変換された後、ケーブル会社の光ファイバ網でユーザ自宅または所在ビルに送られ、そこで、光電変換装置(以下、ONU)で電気信号に変換された後、ケーブル局の受信端末に送られ、ユーザは受信端末に接続されているテレビを通じて、ほかの該当ケーブル局の番組と同じく外国方式信号301に含まれる映像信号を鑑賞できる。
【0019】
また、放送製作者から放映権取得のもと、図3に示すシステムでフレームレート変換なしで、中国の放送衛星よりデジタル信号を取得し、日本の衛星放送事業者の既存設備につなぐだけで、契約したユーザの自宅へ中国放送をデジタルハイビジョンのままで配信できる。ユーザは25fps対応のテレビで受信する。
【0020】
以下の場合、E/Oと光ファイバ網とONUの代わりに、建物の配線網は利用される以外は上記と一緒である。
【0021】
本発明のデジタル放送送出システムによれば、隣接弱電界を利用できるようにすることで高価な転送路が不要になるとともに、タイミング優先でフレームレートの違いを吸収することで視聴時不快感を軽減することが可能となる
また、留学生会館や技能研究者受け入れよう集合住宅などの外国人が多く住む建物の共通受信設備の前に該当装置を入れることにより、建物の価値を向上に繋がる。
【0022】
また、観光ホテルなどの観光施設や語学学校の小規模局に相当するヘッドエンドの前に該当装置を入れることにより、ホテルの空室率の改善や教育の品質の向上に繋がる。
【0023】
また、放送局や証券会社や通信社など外国のリアルタイムの情報を必要とする会社が入居する建物に、共同受信設備に該当装置を入れることにより、サービス水準向上による、不動産の価値向上に繋がる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明にかかるデジタル放送システムは、外国放送の商用利用が可能になるので、放送通信分野の局機器等として有用である。
【符号の説明】
【0025】
1 A国
2 B国
3 海底光ファイバ
4 通信衛星
5 設計受信地域の限界
6 放送衛星
301 外国方式信号
302、402 外国方式信号増幅装置
303、405 復調・不要SI/PSI除去・STC変換装置
304、406 CAS解除・AVCODEC変換装置
305 フレームレート変換装置
306 現地の局や建物の送出設備が加工できるベースバンド信号
401 従来の信号増幅装置
403 外国方式信号を増幅する装置の平面図
404 従来の信号増幅装置の平面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外国方式信号を所要C/N比と不要輻射と所定マージンの合計を超えるように増幅するアンテナ増幅装置と、
前記増幅された外国方式信号をベースバンド信号に復調するとともに、不要なSI/PSIデータを除去し、STCを該放送送出装置の設定に基づいて修正する復調・不要SI/PSI除去・STC変換装置と、
前記復調され、不要なSI/PSIデータを除去され、STCを該放送送出装置の設定に基づいて修正されたベースバンド信号の暗号化を解除し、かつ、復号するCAS解除・AVCODEC変換装置と、
を備えた放送送出装置。
【請求項2】
さらに、前記暗号化が解除され、かつ、復号されたベースバンド信号のフレームレートを該放送送出装置の放送受信装置で再生可能なフレームレートに変換するフレームレート変換装置
を備えた前記請求項1の放送送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−175209(P2012−175209A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32796(P2011−32796)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】