説明

デジタル複合機及びそれを用いたネットワークシステム

【課題】省電力モードにおいて電力が供給される記憶部の記憶容量を小さくしながら、デジタル複合機の復帰回数を減らすことができる技術を提供する。
【解決手段】デジタル複合機3は、ネットワークを介してPC1と接続されている。デジタル複合機3は、省電力モードで動作しているとき、PC1によって格納された処理対象データの格納先情報55を、PC1から受信する格納先情報受信部353と、PC1から受信した格納先情報55を記憶する格納先情報記憶部354とを備える。デジタル複合機3は、省電力モードが解除されたとき、格納先情報記憶部354を参照して、格納先情報55に基づいて処理対象データが格納されているネットワーク上のデータ格納部21にアクセスし、処理対象データをネットワーク経由で取得し、取得された処理対象データに対して、所定の処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複合機に関し、さらに詳しくは、ネットワークを介して通信装置と接続され、通信装置からの指示に基づいて、処理対象データに対して所定の処理を実行するデジタル複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005−313489号公報(特許文献1)には、省電力モードから復帰する回数を減らすことができ、省エネルギー効果の高い画像形成装置が記載されている。特許文献1に記載の画像形成装置は、未使用状態である場合、省電力モードに移行するとともに、プリントジョブが発生した時点で、省電力モードのままプリントデータを自機のHDDに蓄積する。そして、特許文献1に記載の画像形成装置は、所定の印刷開始条件を満たした場合、省電力モードから復帰し、自機のHDDに蓄積した画像データを印刷する([0036]、[0040]〜[0042]及び図8等参照)。
【0003】
特願2003−338894号公報(特許文献2)には、受信したデータを一台の画像形成装置に集約し、所定の時刻に一括出力することにより消費電力を節減する画像形成装置が記載されている。特許文献2に記載の画像形成装置は、自機が省電力モードに入るときに、省電力モード中における受信データ(プリントデータ)を送信する他の画像形成装置(受信側の画像形成装置)を決定し、省電力中におけるプリントデータを受信側の画像形成装置に送信する。そして、特許文献2には、受信側の画像形成装置が省電力モードである場合、受信側の画像形成装置内の記憶装置がプリントデータを記憶し、記憶されたプリントデータを所定の時間に一括出力することが記載されている([0009]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−313489号公報
【特許文献2】特願2003−338894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置は、自機が省電力モードである場合、受信したプリントデータを自機のHDDに記憶するので、省電力モードにおいても電力が供給され、かつ、記憶容量の大きい記憶部が必要である。
【0006】
特許文献2には、受信側の画像形成装置が省電力モードである場合、受信側の画像形成装置内の記憶装置にプリントデータを記憶することが記載されている。したがって、特許文献2に記載の受信側の画像形成装置は、省電力モードにおいても電力が供給され、かつ、記憶容量の大きい記憶部が必要である。
【0007】
本発明の目的は、省電力モードにおいて電力が供給される記憶部の記憶容量を小さくしながら、デジタル複合機の復帰回数を減らすことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ネットワークを介して通信装置と接続されるデジタル複合機であって、省電力モードで動作しているとき、通信装置によって格納された処理対象データの格納先情報を、通信装置から受信する格納先情報受信部と、省電力モードで動作しているとき、通信装置から受信した格納先情報を記憶する格納先情報記憶部と、省電力モードが解除されたとき、格納先情報記憶部を参照して、格納先情報に基づいて処理対象データが格納されているネットワーク上のデータ格納部にアクセスし、処理対象データをネットワーク経由で取得するデータ取得部と、データ取得部により取得された処理対象データに対して、所定の処理を実行する処理実行部とを備え、データ取得部及び処理実行部は、省電力モード時において、電力が供給されないことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のデジタル複合機であって、処理対象データは、プリントデータ及び出力先を示す出力先情報を有するファックスデータのうち少なくとも一方を含み、データ取得部は、プリントデータ及びファックスデータのうち少なくとも一方を取得し、処理実行部は、データ取得部がプリントデータを取得した場合、プリントデータのプリント出力処理を実行し、データ取得部がファックスデータを取得した場合、出力先情報に基づいて、ファックスデータのファックス出力処理を実行することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のデジタル複合機であってさらに、データ取得部が複数のファックスデータを取得した場合、複数のファックスデータのうち、同一の出力先情報を有するファックスデータを合成することにより合成ファックスデータを作成するファックスデータ合成部を備え、処理実行部は、同一の出力先情報に基づいて、合成ファックスデータのファックス出力処理を実行することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載のデジタル複合機であってさらに、データ取得部が取得したファックスデータに複数の出力先情報が含まれている場合、複数の出力先情報から単一の出力先情報を抽出し、抽出した出力先情報を有する出力先抽出ファックスデータを作成するファックスデータ編集部を備え、処理実行部は、抽出した出力先情報に基づいて、出力先抽出ファックスデータのファックス出力処理を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載のデジタル複合機であってさらに、データ取得部が複数のファックスデータを取得した場合、複数のファックスデータのうち、抽出した出力先情報と同じ出力先情報を有するファックスデータを、出力先抽出ファックスデータに合成することにより合成ファックスデータを作成するファックスデータ合成部を備え、処理実行部は、抽出した出力先情報に基づいて、合成ファックスデータのファックス出力処理を実行することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項2〜5にいずれか1項に記載のデジタル複合機であって、プリントデータは、プリントデータをプリント出力するための用紙サイズを示す用紙サイズ情報を含み、処理実行部は、データ取得部が複数のプリントデータを取得した場合、プリント出力することができる出力可能用紙サイズを確認し、取得した複数のプリントデータのうち出力可能用紙サイズに対応する用紙サイズ情報を含むプリントデータを選択し、選択されたプリントデータのプリント出力処理を実行することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデジタル複合機であってさらに、省電力モードで動作しているとき、省電力モードが解除されるタイミングを通信装置に通知する復帰タイミング通知部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、通信装置と、通信装置とネットワークを介して接続されるデジタル複合機とを備えるネットワークシステムであって、通信装置は、デジタル複合機が省電力モードであるか否かを確認する状態確認部と、状態確認部によりデジタル複合機が省電力モードであることが確認された場合、処理対象データを、ネットワーク上のデータ格納部に送信することにより、前記処理対象データを前記データ格納部に格納するデータ送信部と、処理対象データの格納先情報をデジタル複合機に送信する格納先情報送信部とを含み、デジタル複合機は、省電力モードで動作しているとき、通信装置から格納先情報を受信する格納先情報受信部と、省電力モードで動作しているとき、受信した格納先情報を記憶する格納先情報記憶部と、省電力モードが解除されたとき、格納先情報記憶部を参照して、格納先情報に基づいてデータ格納部にアクセスし、処理対象データをネットワーク経由で取得するデータ取得部と、データ取得部により取得された処理対象データに対して、所定の処理を実行する処理実行部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、デジタル複合機は、省電力モードで動作しているとき、通信装置によって格納された処理対象データの格納先情報を、通信装置から受信し、受信した格納先情報を記憶する。デジタル複合機は、省電力モードが解除されたとき、記憶した格納先情報に基づいて処理対象データが格納されているネットワーク上のデータ格納部にアクセスし、処理対象データをネットワーク経由で取得し、取得した処理対象データに対して、所定の処理を実行する。したがって、デジタル複合機は、省電力モードで動作しているとき、処理対象データの実体を記憶するのではなく、通信装置によって格納された処理対象データの格納先情報を記憶している。格納先情報の容量は、処理対象データの実体の容量と比較すると非常に小さいため、省電力モードにおいて電力が供給される記憶部の記憶容量を小さくすることができる。また、省電力モードが解除されたときに、処理対象データを取得し、取得した処理対象データに対する所定の処理を実行するため、デジタル複合機の復帰回数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係るデジタル複合機を含むネットワークシステムの構成図である。
【図2】図1に示したPC1のプリントデータ送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図1に示したPC1のファックスデータ送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1に示したデジタル複合機の通常モード時における出力処理を示すフローチャートである。
【図5】図1に示したデジタル複合機の省電力モード時における格納先情報受信処理を示すフローチャートである。
【図6】図1に示したデジタル複合機の省電力モード解除時における出力処理を示すフローチャートである。
【図7】図6中のプリント出力処理を示すフローチャートである。
【図8】図6中のファックス出力処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0019】
[本実施の形態の構成]
図1を参照して、本実施の形態のネットワークシステムの構成を説明する。本実施の形態に係るネットワークシステムは、PC(Personal Computer)1,2と、デジタル複合機3と、LAN(Local Area Network)4とを備える。
【0020】
PC1,2は、通信装置である。PC1,2は、LAN4を介してデジタル複合機3に接続されている。デジタル複合機3は、プリンタ機能、ファックス機能、スキャナ機能およびコピー機能などを備えた多機能装置である。ユーザは、PC1を操作して、LAN4経由で処理対象データを送信することにより、デジタル複合機3のプリンタ機能及びファックス機能を利用することができる。処理対象データとは、プリントデータ50及びファックスデータ51のうち少なくとも一方のデータのことである。本実施の形態におけるプリントデータ50及びファックスデータ51とは、イメージデータ及びイメージデータの出力管理情報などを含むジョブデータである。したがって、1つのジョブで複数のページデータをプリント出力あるいはファックス出力する場合、プリントデータ50あるいはファックスデータ51には、複数のページデータが含まれる。
【0021】
PC1は、制御部10、操作部11、モニタ12、状態確認部13、ネットワークインタフェース部14、データ作成部15及び送信部16を備える。
【0022】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、PC1の全体制御を行う。操作部11は、キーボード及びマウスなどで構成される。モニタ12は、液晶ディスプレイなどである。
【0023】
状態確認部13は、デジタル複合機3が省電力モードであるか否かを確認する。具体的には、状態確認部13は、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて、デジタル複合機3の動作状態(通常モード及び省電力モードのどちらであるか)を確認する。通常モード及び省電力モードの詳細については、後述する。
【0024】
ネットワークインタフェース部14は、LAN4に接続されており、LAN4を経由した通信を制御する。ネットワークインタフェース部14は、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に基づいて、通信を制御する。
【0025】
データ作成部15は、プリントデータ作成部151と、ファックスデータ作成部152とを含む。プリントデータ作成部151は、ユーザの操作指示に応じて、プリントデータ50を作成する。プリントデータ50は、自己をプリント出力するための用紙サイズを示す用紙サイズ情報501を有する。例えば、用紙サイズ情報としては、A4及びB4等の用紙の寸法が用いられる。ファックスデータ作成部152は、ユーザの操作指示に応じて、ファックスデータ51を作成する。ファックスデータ51は、自己の出力先を示す出力先情報511を有する。例えば、出力先情報511としては、ファックス番号及びメールアドレス等が用いられる。
【0026】
送信部16は、データ送信部161と、格納先情報送信部162とを含む。データ送信部161は、処理対象データ(プリントデータ50及びファックスデータ51のうち少なくとも一方のデータ)を送信する。具体的には、状態確認部13によりデジタル複合機3が通常モードであることが確認された場合、データ送信部161は、デジタル複合機3に所定の処理を実行させるための処理対象データをデジタル複合機3に送信する。また、状態確認部13によりデジタル複合機3が省電力モードであることが確認された場合、データ送信部161は、デジタル複合機3に所定の処理を実行させるための処理対象データをLAN4上のPC2に送信することにより、PC2内に処理対象データを格納させる。
【0027】
格納先情報送信部162は、データ送信部161が処理対象データをPC2に送信した場合、処理対象データの格納先情報55をデジタル複合機3に送信する。格納先情報55とは、処理対象データの格納先(PC2)のアドレス情報及びディレクトリ情報のことである。具体的には、格納先情報送信部162は、処理対象データの格納先情報55(アドレス情報及びディレクトリ情報)をデータ送信部161から取得する。そして、データ送信部161がプリントデータ50をPC2に送信した場合、格納先情報送信部162は、格納先情報55に、処理対象データがプリントデータ50であることを示す情報を含ませる。また、データ送信部161がファックスデータ51をPC2に送信した場合、格納先情報送信部162は、格納先情報55に、処理対象データがファックスデータ51であることを示す情報を含ませる。つまり、格納先情報送信部162は、処理対象データの種別を特定する情報を含む格納先情報55をデジタル複合機3に送信する。
【0028】
PC2は、LAN4を介して、PC1及びデジタル複合機3に接続される。PC2は、データ格納部21を含む。データ格納部21は、データ送信部161から受信した処理対象データを格納する。
【0029】
次に、デジタル複合機3について説明する。デジタル複合機3は、制御部30、電力制御部31、モニタ32、データ受信部33、データ記憶部34、ネットワークインタフェース部35、データ取得部36、ファックスデータ合成部37、ファックスデータ編集部38及び処理実行部39を備える。なお、図1において、デジタル複合機3が有するスキャナ機能及びコピー機能などに関する処理部の表示を省略している。
【0030】
制御部30は、CPU及びRAMなどを備え、デジタル複合機3の全体制御を行う。電力制御部31は、デジタル複合機3の各構成要素への供給電力を、通常モード及び省電力モードに応じて制御する。モニタ32は、液晶ディスプレイなどである。
【0031】
データ受信部33は、自機が通常モードで動作しているとき、PC1のデータ送信部161から送信された処理対象データを受信する。データ記憶部34は、データ受信部33が受信した処理対象データを記憶する。
【0032】
ネットワークインタフェース部35は、LAN4に接続されており、LAN4を経由した通信を制御する。ネットワークインタフェース部35は、たとえば、TCP/IPに基づいて、通信を制御する。ネットワークインタフェース部35は、状態応答部351と、復帰タイミング通知部352と、格納先情報受信部353と、格納先情報記憶部354とを含む。
【0033】
状態応答部351は、PC1の状態確認部13から受信したSNMP(Simple Network Management Protocol)に対する応答処理を行う。
【0034】
復帰タイミング通知部352は、自機が省電力モードで動作しているとき、省電力モードが解除されるタイミングをPC1に通知する。
【0035】
格納先情報受信部353は、自機が省電力モードで動作しているとき、PC1によって格納された処理対象データの格納先情報55を、PC1の格納先情報送信部162から受信する。格納先情報記憶部354は、自機が省電力モードで動作しているとき、PC1の格納先情報送信部161から受信した格納先情報55を記憶する。
【0036】
データ取得部36は、自機の省電力モードが解除されたとき、格納先情報記憶部354を参照して、格納先情報55が記憶されているか否かを判断する。データ取得部36は、格納先情報記憶部354に格納先情報55が記憶されている場合、格納先情報55に基づいて処理対象データが格納されているPC2のデータ格納部21にアクセスし、処理対象データをLAN4経由で取得する。データ記憶部34は、データ取得部36が取得した処理対象データを記憶する。
【0037】
ファックスデータ合成部37は、データ取得部36が複数のファックスデータ51を取得した場合、複数のファックスデータ51のうち、同一の出力先情報511を有するファックスデータ51を合成することにより合成ファックスデータ515を作成する。
【0038】
ファックスデータ編集部38は、データ取得部36が取得したファックスデータ51に複数の出力先情報511が含まれている場合、複数の出力先情報511から単一の出力先情報511を抽出する。そして、ファックスデータ編集部38は、抽出した出力先情報511を有する出力先抽出ファックスデータ516を作成する。
【0039】
処理実行部39は、データ取得部36により取得された処理対象データ(プリントデータ50及びファックスデータ51)に対して、所定の処理を実行する。処理実行部39は、プリンタ部391と、ファックス部392とを含む。
【0040】
プリンタ部391は、データ取得部36がプリントデータ50を取得した場合、プリントデータ50のプリント出力処理を実行する。具体的には、プリンタ部391は、データ取得部36が複数のプリントデータ50を取得した場合、デジタル複合機3がプリント出力することができる出力可能用紙サイズを確認する。出力可能用紙サイズとは、デジタル複合機3にセットされている用紙のサイズのことである。本例では、デジタル複合機3は、複数サイズの出力可能な用紙がセットされている。デジタル複合機3は、取得した複数のプリントデータ50のうち出力可能用紙サイズに対応する用紙サイズ情報501を含むプリントデータ50を選択する。デジタル複合機3は、選択されたプリントデータ50のプリント出力処理を優先的に実行する。
【0041】
ファックス部392は、データ取得部36がファックスデータ51を取得した場合、ファックスデータ51のファックス出力処理を実行する。具体的には、ファックス部392は、出力先情報511に基づいて、データ取得部36により取得されたファックスデータ51のファックス出力処理を実行する。ファックス部392は、同一の出力先情報511に基づいて、合成ファックスデータ515のファックス出力処理を実行する。ファックス部392は、抽出した出力先情報511に基づいて、出力先抽出ファックスデータ516のファックス出力処理を実行する。
【0042】
{通常モード及び省電力モード}
次に、デジタル複合機3の動作状態について説明する。デジタル複合機3は、ユーザの使用状況に応じて、消費電力がそれぞれ異なる通常モード及び省電力モードのどちらかのモードで動作する。
【0043】
通常モードは、デジタル複合機3全体に電力を供給するモードである。デジタル複合機3は、電力を供給する構成単位として、本体処理部、ネットワークインタフェース部35及び処理実行部39に分けられる。本体処理部は、制御部10及び操作パネル(図示省略)などを含んでいる。通常モードにおいて、電力制御部31は、本体処理部、ネットワークインタフェース部35及び処理実行部39に電力を供給する。
【0044】
省電力モードでは、ネットワークインタフェース部35だけに電力が供給される。本体処理部及び処理実行部39には、電力が供給されない。したがって、省電力モードでは、プリント出力処理及びファックス出力処理などが実行されない。
【0045】
たとえば、デジタル複合機1は、ユーザの指示に従って動作した後に一定期間が経過した後、通常モードから省電力モードに移行する。そして、ユーザが省電力モードの解除ボタンを押したとき及びユーザが指定した時刻になっているときなどに、デジタル複合機3は、省電力モードを解除し、通常モードに復帰する。
【0046】
[本実施の形態の動作]
次に、図2〜図8を参照して、本実施の形態におけるネットワークシステムの動作を説明する。
【0047】
まず、図2及び図3を参照して、PC1の動作を説明する。図2は、PC1がプリントデータ50を送信する処理(プリントデータ送信処理)を示すフロー図である。プリントデータ送信処理は、ユーザが操作部11を操作し、デジタル複合機3に対してプリントデータ50の出力処理を指示することにより、開始される。
【0048】
プリントデータ50の送信処理が指示されると、プリントデータ50が作成される(ステップS201)。具体的には、プリントデータ作成部151は、ユーザが作成したドキュメントの設定内容に基づいて、プリントデータ50を出力するための用紙サイズを決定する。プリントデータ作成部151は、決定された用紙サイズを示す用紙サイズ情報501を含むプリントデータ50を作成する。
【0049】
ステップS201の処理の後、状態確認部13が、SNMPを用いてデジタル複合機3の動作状態を確認する(ステップS202)。具体的には、PC1の状態確認部13がデジタル複合機3に動作状態の確認要求を送信する。デジタル複合機3において、ネットワークインタフェース部35は、デジタル複合機3の動作状態を示す動作状態情報を保持している。状態応答部351は、動作状態情報に基づくMIB(Management Information Base)をセットした応答情報を作成し、確認要求に対する応答として応答情報を送信する。
【0050】
ステップS202の処理の後、状態確認部13は、受信した応答情報に基づいてデジタル複合機3が省電力モードで動作しているか否かを判断する(ステップS203)。
【0051】
デジタル複合機3が通常モードで動作している場合(ステップS203でNO)、ステップS201の処理において作成したプリントデータ50をデジタル複合機3のデータ受信部33に送信する(ステップS204)。これより、PC1のプリントデータ送信処理が終了する。
【0052】
デジタル複合機3が省電力モードである場合(ステップS203でYES)、格納先情報送信部162は、ステップS201の処理において作成したプリントデータ50をPC2のデータ格納部21に送信する(ステップS205)。このとき、格納先情報送信部162は、プリントデータ50の格納先情報55(アドレス情報及びディレクトリ情報)をデータ送信部161から取得する。そして、格納先情報送信部162は、取得した格納先情報55に、処理対象データがプリントデータ50であることを示す情報を含ませる。これより、格納先情報送信部162は、処理対象データの種別を特定する情報を含む格納先情報55を作成する。
【0053】
ステップS205の処理の後、格納先情報送信部162は、作成した格納先情報55をデジタル複合機3の格納先情報受信部353に送信する(ステップS206)。これより、PC1のプリントデータ送信処理が終了する。
【0054】
図3は、PC1がファックスデータ51を送信する処理(ファックスデータ送信処理)を示すフロー図である。ファックスデータ送信処理は、ユーザが操作部11を操作し、ファックスデータ51の送信処理を指示することにより、開始される。
【0055】
ファックスデータ51の送信処理が指示されると、ファックスデータ51が作成される(ステップS301)。具体的には、ユーザがファックスデータ51の出力先を決定する。そして、ファックスデータ作成部152は、ユーザによって決定された出力先を示す出力先情報511を含むファックスデータ51を作成する。
【0056】
ステップS301の処理の後、ステップS202〜203の処理と同様にして、状態確認部13は、デジタル複合機3の動作状態を確認する(ステップS302〜303)。
【0057】
デジタル複合機3が通常モードである場合(ステップS303でNO)、ステップS301の処理において作成したファックスデータ51をデジタル複合機3のデータ受信部33に送信する(ステップS304)。これより、ファックスデータ送信処理が終了する。
【0058】
デジタル複合機3が省電力モードである場合(ステップS303でYES)、格納先情報送信部162は、ステップS301の処理において作成したファックスデータ51をPC2のデータ格納部21に送信する(ステップS305)。このとき、格納先情報送信部162は、ファックスデータ51の格納先情報55(アドレス情報及びディレクトリ情報)をデータ送信部161から取得する。そして、格納先情報送信部162は、取得した格納先情報55に、処理対象データがファックスデータ51であることを示す情報を含ませる。これより、格納先情報送信部162は、処理対象データの種別を特定する情報を含む格納先情報55を作成する。
【0059】
ステップS305の処理の後、格納先情報送信部162は、作成した格納先情報55をデジタル複合機3の格納先情報受信部353に送信する(ステップS306)。これより、PC1のファックスデータ送信処理が終了する。
【0060】
次に、図4〜図8を参照して、デジタル複合機3の動作を説明する。デジタル複合機3の動作は、図4に示す通常モード時における出力処理と、図5に示す省電力モード時における格納先情報受信処理と、図6に示す省電力モード解除時における出力処理とに分けられる。
【0061】
図4に示す通常モード時における出力処理を説明する。通常モード時における出力処理は、デジタル複合機3が通常モードであるときに、常に動作している。
【0062】
まず、データ受信部33がプリントデータ50を受信したか否かを判断する(ステップS401)。
【0063】
データ受信部33がプリントデータ50を受信した場合(ステップS401でYES)、プリンタ部391は、受信したプリントデータ50に含まれるサイズ情報501が出力可能用紙サイズ(デジタル複合機3にセットされている用紙のサイズ)に含まれているか否かを判断する(ステップS402)。
【0064】
プリントデータ50に含まれるサイズ情報501が出力可能用紙サイズに含まれていない場合(ステップS402でNO)、デジタル複合機3のモニタ32は、「用紙サイズエラー」を表示する(ステップS403)。これより、ユーザは、プリントデータ50をプリント出力することができないことを確認することができる。そして、ステップS403の処理の後、ステップS402の処理に戻る。
【0065】
プリントデータ50に含まれるサイズ情報501が出力可能用紙サイズに含まれている場合(ステップS402でYES)、プリンタ部391は、デジタル複合機3にセットされている用紙にプリントデータ50をプリント出力する(ステップS404)。これより、通常時における出力処理が終了する。なお、通常時における出力処理が終了しても、デジタル複合機3が通常モードであれば、再びステップS401の処理を実行する。
【0066】
データ受信部33がプリントデータ50を受信していない場合(ステップS401でNO)、データ受信部33がファックスデータ51を受信したか否かを判断する(ステップS405)。データ受信部33がファックスデータ51を受信していない場合(ステップS405でNO)、ステップS401の処理に戻る。
【0067】
データ受信部33がファックスデータ51を受信している場合(ステップS405でYES)、ファックス部392は、ファックスデータ51をファックス出力する(ステップS406)。具体的には、ファックスデータ51に含まれる出力先情報511で示される出力先へファックスデータ51をファックス出力する。これより、通常時における出力処理が終了する。なお、通常時における出力処理が終了しても、デジタル複合機3が通常モードであれば、再びステップS401の処理を実行する。
【0068】
次に、図5に示す省電力モード時における格納先情報受信処理を説明する。格納先情報受信処理は、デジタル複合機3が省電力モードであるときに、常に動作している。
【0069】
まず、格納先情報受信部353がPC1の格納先情報送信部162から格納先情報55を受信したか否かを判断する(ステップS501)。
【0070】
格納先情報受信部353がPC1の格納先情報送信部162から格納先情報55を受信してない場合(ステップS501でNO)、ステップ501の処理に戻る。
【0071】
格納先情報受信部353がPC1の格納先情報送信部162から格納先情報55を受信した場合(ステップS501でYES)、格納先情報記憶部354は、格納先情報受信部353が受信した格納先情報55を記憶する(ステップS502)。
【0072】
ステップS502の処理の後、復帰タイミング通知部352は、省電力モードが解除され、通常モードに復帰するタイミング(以下、復帰タイミングとする。)をPC1に通知する(ステップS503)。具体的には、復帰タイミング通知部352は、ユーザにより指定された復帰タイミングを保持しており、復帰タイミングをPC1に通知する。これより、省電力モード時における格納先情報受信処理が終了する。なお、省電力モード時における格納先情報受信処理が終了しても、デジタル複合機3が省電力モードであれば、再びステップS501の処理を実行する。
【0073】
上記のステップS503の処理により、PC1のユーザは、デジタル複合機3が省電力モードである場合においても、デジタル複合機3が省電力モードから通常モードに復帰するタイミングを確認することができる。つまり、PC1のユーザは、デジタル複合機3がプリント出力処理及びファックス出力処理を開始するタイミングを確認することができる。
【0074】
なお、上記のステップS503の処理では、復帰タイミング通知部352は、ユーザにより指定されたタイミングを復帰タイミングとしているが、これに限定されない。例えば、省電力モードに移行してから一定時間経過した時刻を復帰タイミングとしてもよい。
【0075】
次に、図6に示す省電力モード解除時における出力処理を説明する。省電力モード解除時における出力処理は、デジタル複合機3が省電力モードであるとき、常に動作している。
【0076】
まず、省電力モードが解除された否かを判断する(ステップS601)。具体的には、ユーザが省電力モードの解除ボタンを押したとき及び省電力モードに移行してから一定時間が経過しているときなどに、デジタル複合機3が省電力モードを解除し、通常モードに復帰する。
【0077】
省電力モードが解除されている場合(ステップS601でYES)、処理対象データがプリントデータ50であることを示す情報を含む格納先情報55が格納先情報記憶部354に記憶されているか否かを判断する(ステップS602)。
【0078】
処理対象データがプリントデータ50であることを示す情報を含む格納先情報55が格納先情報記憶部354に記憶されている場合(ステップS602でYES)、データ取得部36は、データ格納部21に格納されている全てのプリントデータ50を取得する(ステップS603)。具体的には、格納先情報55に基づいて、プリントデータ50が格納されているデータ格納部21にアクセスし、プリントデータ50をLAN4経由で取得する。そして、データ取得部36が取得したプリントデータ50は、データ格納部21から削除される。
【0079】
ステップS603の処理の後、データ取得部36が取得したプリントデータ50をデータ記憶部34に記憶する(ステップS604)。その後、プリント出力処理が実行される(ステップS605)。図7は、プリント出力処理を示すフロー図である。
【0080】
プリンタ部391は、データ記憶部34からプリントデータ50を取得する(ステップS605A)。具体的には、プリンタ部391は、データ記憶部34に記憶されているプリントデータ50のうち、プリント出力の対象となるプリントデータ(以下、出力対象プリントデータとする。)50を決定し、データ記憶部34からその出力対象プリントデータ50を取得する。
【0081】
ステップS605Aの処理の後、プリンタ部391は、出力対象プリントデータ50に含まれるサイズ情報501が出力可能用紙サイズ(デジタル複合機3にセットされている用紙のサイズ)に含まれているか否かを判断する(ステップS605B)。
【0082】
出力対象プリントデータ50に含まれるサイズ情報501が出力可能用紙サイズに含まれている場合(ステップS605BでYES)、プリンタ部391は、出力対象プリントデータ50をプリント出力する(ステップS605C)。このとき、出力対象プリントデータ50がデータ記憶部34から削除される。
【0083】
出力対象プリントデータ50に含まれるサイズ情報501が出力可能用紙サイズに含まれていない場合(ステップS605BでNO)、ステップS605Dの処理に進む。
【0084】
そして、データ記憶部34に記憶されている全てのプリントデータ50が出力対象プリントデータ50になったか否かを判断する(ステップS605D)。
【0085】
データ記憶部34に記憶されている全てのプリントデータ50が出力対象プリントデータ50になっていない場合(ステップS605DでNO)、データ記憶部34に記憶されているプリントデータ50のうち、まだ出力対象プリントデータ50になっていないプリントデータ50が出力対象プリントデータ50になる。そして、その出力対象プリントデータ50がデータ記憶部34から取得され(ステップS605E)、ステップ605Bの処理に戻る。
【0086】
データ記憶部34に記憶されている全てのプリントデータ50が出力対象プリントデータ50になっている場合(ステップS605DでYES)、プリントデータ50がデータ記憶部34に残っているか否かを判断する(ステップS605F)。
【0087】
プリントデータ50がデータ記憶部34に残っている場合(ステップS605FでYES)、デジタル複合機3のモニタ32は、「用紙サイズエラー」を表示する(ステップS605G)。これより、ユーザは、記憶部34に記憶されているプリントデータ50をプリント出力することができないことを確認することができる。そして、ステップS605Gの処理の後、ステップS605Aの処理に戻る。
【0088】
プリントデータ50がデータ記憶部34に残っていない場合(ステップS605FでNO)、プリント出力処理は、終了し、図6のステップS606へ進む。
【0089】
上記のように、プリントデータ50がプリントサイズ情報501を含んでいるので、プリントデータ50が出力可能用紙サイズ(デジタル複合機3にセットされている用紙のサイズ)に含まれているか否かを容易に判断できる。
【0090】
さらに、上記のように、プリンタ部391は、データ記憶部34に記憶されている全てのプリントデータ50のうちプリント出力することができるプリントデータ50を選択し、選択されたプリントデータ50をプリント出力する(ステップS605A〜S605E)。その後、プリント出力することができないプリントデータ50があれば、デジタル複合機3のモニタ32が「用紙サイズエラー」を表示する(ステップS605G)。したがって、プリンタ部391は、プリント出力することができるプリントデータ50を優先的にプリント出力することができる。
【0091】
図6に戻り、ステップS605の後あるいは処理対象データがプリントデータ50であることを示す情報を含む格納先情報55が格納先情報記憶部354に記憶されていない場合(ステップS602でNO)、処理対象データがファックスデータ51であることを示す情報を含む格納先情報55が格納先情報記憶部354に記憶されているか否かを判断する(ステップS606)。
【0092】
処理対象データがファックスデータ51であることを示す情報を含む格納先情報55が格納先情報記憶部354に記憶されていない場合(ステップS606でNO)、省電力モード解除時における出力処理が終了する。
【0093】
処理対象データがファックスデータ51であることを示す情報を含む格納先情報55が格納先情報記憶部354に記憶されている場合(ステップS606でYES)、データ取得部36は、データ格納部21に格納されている全てのファックスデータ51を取得する(ステップS607)。具体的には、データ取得部36は、格納先情報55に基づいて、ファックスデータ51が格納されているデータ格納部21にアクセスし、ファックスデータ51をLAN4経由で取得する。そして、データ取得部36が取得したファックスデータ51は、データ格納部21から削除される。
【0094】
ステップS607の処理の後、データ取得部36が取得したファックスデータ51をデータ記憶部34に記憶する(ステップS608)。その後、ファックス出力処理が実行される(ステップS609)。図8は、ファックス出力処理を示すフロー図である。
【0095】
ファックス部392は、データ記憶部34からファックスデータ51を取得する(ステップS609A)。具体的には、ファックス部392は、データ記憶部34に記憶されているファックスデータ51のうち、ファックス出力の対象となるファックスデータ(以下、出力対象ファックスデータとする。)51を決定する。ファックス部392は、データ記憶部34から決定された出力対象ファックスデータ51を取得する。
【0096】
ステップS609Aの処理の後、ファックスデータ編集部38は、出力対象ファックスデータ51に複数の出力先情報511が含まれているか否かを判断する(ステップS609B)。具体的には、ファックスデータ編集部38は、出力対象ファックスデータ51が複数の出力先へファックス出力されるか否かを判断する。
【0097】
出力対象ファックスデータ51に複数の出力先情報511が含まれていない場合(ステップS609BでNO)、ファックスデータ合成部37は、出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ51が、データ記憶部34に記憶されているか否かを判断する(ステップS609C)。具体的には、ファックスデータ合成部37は、出力対象ファックスデータ51の出力先と同一の出力先に出力されるファックスデータ51が、データ記憶部34に記憶されているか否かを判断する。
【0098】
出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ51が、データ記憶部34に記憶されている場合(ステップS609CでYES)、合成ファックスデータ515が作成される(ステップS609D)。具体的には、ファックスデータ合成部37は、出力対象ファックスデータ51と、出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ(以下、合成対象ファックスデータとする。)51とを合成する。これより、ファックスデータ合成部37は、出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を有する合成ファックスデータ515を作成する。そして、ファックスデータ合成部37は、合成対象ファックスデータ51が含む出力先情報511から、出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511を削除する。このとき、ファックスデータ合成部37は、全ての出力先情報511が削除された合成対象ファックスデータ51を、データ記憶部34から削除する。その後、ステップ609Cの処理に戻り、出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ51がデータ記憶部34に記憶されていなくなるまで、ステップ609C〜609Dの処理を繰り返す。
【0099】
出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ51がデータ記憶部34に記憶されていない場合(ステップS609CでNO)、出力対象ファックスデータ51又は合成ファックスデータ515がファックス出力される(ステップS609H)。具体的には、ファックス部392は、出力対象ファックスデータ51を、出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511で示される出力先へファックス出力する。また、ファックス部392は、ステップS609Dの処理により作成された合成ファックスデータ515を、出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511で示される出力先へファックス出力する。そして、出力対象ファックスデータ51は、データ記憶部34から削除される。その後、ステップS609Iの処理に進む。
【0100】
出力対象ファックスデータ51に複数の出力先情報511が含まれている場合(ステップS609BでYES)、出力先抽出ファックスデータ516が作成される(ステップS609E)。具体的には、ファックスデータ編集部38は、出力対象ファックスデータ51に含まれている複数の出力先情報511のうち、単一の出力先情報511を抽出し、抽出した出力先情報511を有する出力先抽出ファックスデータ516を作成する。そして、ファックスデータ編集部38は、出力対象ファックスデータ51が含む複数の出力先情報511のうち、抽出された出力先情報511を削除し、ファックスデータ51としてデータ記憶部34に記憶する。
【0101】
ステップ609Eの処理の後、ファックスデータ合成部37は、出力先抽出ファックスデータ516が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ51がデータ記憶部34に記憶されているか否かを判断する(ステップS609F)。具体的には、ファックスデータ合成部37は、出力先抽出ファックスデータ516の出力先と同一の出力先に出力されるファックスデータ51が記憶部34に記憶されているか否かを判断する。
【0102】
出力先抽出ファックスデータ516が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ51がデータ記憶部34に記憶されている場合(ステップS609FでYES)、合成ファックスデータ515が作成される(ステップS609G)。具体的には、ファックスデータ合成部37が、出力先抽出ファックスデータ516と、出力先抽出ファックスデータ516が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ(以下、合成対象ファックスデータとする。)51とを合成する。これより、ファックスデータ合成部37は、出力先抽出ファックスデータ516が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を有する合成ファックスデータ515を作成する。そして、ファックスデータ合成部37は、合成対象ファックスデータ51が含む出力先情報511から、出力先抽出ファックスデータ51が含む出力先情報511を削除する。このとき、ファックスデータ合成部37は、全ての出力先情報511が削除された合成対象ファックスデータ51を、データ記憶部34から削除する。その後、ステップ609Fの処理に戻り、ステップ609F〜609Gの処理を繰り返す。
【0103】
出力先抽出ファックスデータ516が含む出力先情報511と同じ出力先情報511を含むファックスデータ51がデータ記憶部34に記憶されていない場合(ステップS609FでNO)、出力先抽出ファックスデータ516又は合成ファックスデータ515がファックス出力される(ステップS609H)。具体的には、ファックス部392は、出力先抽出ファックスデータ516を、出力先抽出ファックスデータ516が含む出力先情報511で示される出力先へファックス出力する。また、ファックス部392は、ステップS609Gの処理により作成された合成ファックスデータ516を、出力先抽出ファックスデータ516が含む出力先情報511で示される出力先へファックス出力する。そして、出力対象ファックスデータ51は、データ記憶部34から削除される。その後、ステップS609Iの処理に進む。
【0104】
ステップS609Hの処理の後、ファックスデータ51がデータ記憶部34に残っているか否かを判断する(ステップS609I)。
【0105】
ファックスデータ51がデータ記憶部34に残っている場合(ステップS609IでYES)、ファックス部392は、データ記憶部34に記憶されているファックスデータ51のうち、ファックス出力の対象となるファックスデータ(以下、出力対象ファックスデータとする。)51を決定する。ファックス部392は、データ記憶部34から決定された出力対象ファックスデータ51を取得し(ステップS605J)、ステップ609Bの処理に戻る。
【0106】
ファックスデータ51がデータ記憶部34に残っていない場合(ステップS609IでNO)、省電力モード解除時における出力処理が終了する。
【0107】
上記のようにして、出力対象ファックスデータ51がデータ記憶部34から削除される(ステップS609H)。また、合成対象ファックスデータ51が含む出力先情報511から、出力対象ファックスデータ51が含む出力先情報511が削除される(ステップS609D)。また、合成対象ファックスデータ51が含む出力先情報511から、出力先抽出ファックスデータ51が含む出力先情報511が削除される(ステップS609G)。また、全ての出力先情報511が削除されたデータ記憶部34から合成対象ファックスデータがデータ記憶部34から削除される(ステップS609D及びS609G)。したがって、ファックス部392がファックスデータ51を重複してファックス出力することを防ぐことができる。
【0108】
また、本実施の形態では、ファックスデータ51をファックス出力しながら、データ記憶部34からファックスデータ51の出力先と同じであるファックスデータ51を抽出し、その抽出したファックスデータ51を順次ファックス出力するのではなく、ファックスデータ合成部37が、出力先が同じであるファックスデータ51を合成することにより、合成ファックスデータ515を作成する(ステップS609D及びS609G)。その後、ファックスデータ合成部37が、作成された合成ファックスデータ515をファックス出力する(ステップS609H)。したがって、あるファックスデータ51のファックス出力が終了してからそのファックスデータ51の出力先と同じであるファックスデータ51をデータ記憶部34から抽出するまでの待機時間をなくすことができる。
【0109】
また、ファックスデータ合成部37が、出力先抽出ファックスデータ516と、出力先抽出ファックスデータ516と同じ出力先に出力されるファックスデータ51とを合成し、その合成された合成ファックスデータ51をファックス出力する(ステップS609F〜S609H)。したがって、本実施の形態におけるデジタル複合機3は、同じ出力先であるファックスデータ51をまとめてファックス出力することができる。
【0110】
[本実施の形態の効果]
本発明によれば、デジタル複合機3は、省電力モードで動作しているとき、PC1によって格納された処理対象データ(プリントデータ50及びファックスデータ51のうち少なくとも一方のデータ)の格納先情報55を受信し(ステップS501)、受信した格納先情報55を記憶する(ステップS502)。デジタル複合機3は、省電力モードが解除されたとき、記憶した格納先情報55に基づいて処理対象データが格納されているLAN4上のデータ格納部21にアクセスし、処理対象データをネットワーク経由で取得し(ステップS603及びS607)、処理対象データに対して、所定の処理を実行する(ステップS605及びS609)。上記のように、デジタル複合機3は、省電力モードで動作しているとき、処理対象データの実体を記憶するのではなく、PC1によって格納された処理対象データの格納先情報55を記憶している。格納先情報55の容量は、処理対象データの実体の容量と比較すると非常に小さいため、省電力モードにおいて電力が供給される記憶部の記憶容量を小さくすることができる。また、省電力モードが解除されたときに、処理対象データを取得し、処理対象データに対する所定の処理を実行するため、デジタル複合機3の復帰回数を減らすことができる。
【0111】
[他の実施の形態]
本実施の形態では、格納先情報55は、処理対象データの種別を特定する情報を含んでいるが、含んでいなくてもよい。この場合、ステップS602〜S603及びS606〜S607の処理を実行することができなくなるが、データ取得部36がデータ格納部21に格納されている全ての処理対象データ(プリントデータ50及びファックスデータ51のうち少なくとも一方のデータ)を取得してからプリントデータ50及びファックスデータ51のどちらであるかを判断してもよい。
【0112】
本実施の形態におけるネットワークシステムでは、LAN4に1個のPC1が接続されているが、複数のPC1が接続されてもよい。
【0113】
本実施の形態では、プリント出力処理(ステップS602〜S605)を実行してからファックス出力処理(ステップS606〜S609)を実行しているが、ファックス出力処理を実行してからプリント出力処理を実行してもよい。
【0114】
なお、本実施の形態におけるネットワークシステムでは、PC2がデータ格納部21を備えているが、PC1がデータ格納部を備えていてもよい。この場合、デジタル複合機3がPC1のデータ格納部にアクセス可能であればよい。
【0115】
本実施の形態では、デジタル複合機3が格納先情報55を受信した後、復帰タイミングをPC1に通知しているが(ステップS503)、これに限定されない。例えば、デジタル複合機3が、PC1に対して定期的に復帰タイミングを通知してもよい。
【0116】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0117】
1,2 PC
3 デジタル複合機
4 LAN
13 状態確認部
21 データ格納部
36 データ取得部
37 ファックスデータ合成部
38 ファックスデータ編集部
39 処理実行部
55 格納先情報
50 プリントデータ
51 ファックスデータ
161 データ送信部
162 格納先情報送信部
352 復帰タイミング通知部
353 格納先情報受信部
354 格納先情報記憶部
501 用紙サイズ情報
511 出力先情報
515 合成ファックスデータ
516 出力先抽出ファックスデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して通信装置と接続されるデジタル複合機であって、
省電力モードで動作しているとき、前記通信装置によって格納された処理対象データの格納先情報を、前記通信装置から受信する格納先情報受信部と、
省電力モードで動作しているとき、前記通信装置から受信した前記格納先情報を記憶する格納先情報記憶部と、
省電力モードが解除されたとき、前記格納先情報記憶部を参照して、前記格納先情報に基づいて前記処理対象データが格納されているネットワーク上のデータ格納部にアクセスし、前記処理対象データをネットワーク経由で取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得された前記処理対象データに対して、所定の処理を実行する処理実行部とを備え、
前記データ取得部及び前記処理実行部は、省電力モード時において、電力が供給されない、デジタル複合機。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタル複合機であって、
前記処理対象データは、プリントデータ及び出力先を示す出力先情報を有するファックスデータのうち少なくとも一方を含み、
前記データ取得部は、前記プリントデータ及び前記ファックスデータのうち少なくとも一方を取得し、
前記処理実行部は、前記データ取得部が前記プリントデータを取得した場合、前記プリントデータのプリント出力処理を実行し、前記データ取得部が前記ファックスデータを取得した場合、前記出力先情報に基づいて、前記ファックスデータのファックス出力処理を実行する、デジタル複合機。
【請求項3】
請求項2に記載のデジタル複合機であってさらに、
前記データ取得部が複数のファックスデータを取得した場合、前記複数のファックスデータのうち、同一の出力先情報を有するファックスデータを合成することにより合成ファックスデータを作成するファックスデータ合成部を備え、
前記処理実行部は、前記同一の出力先情報に基づいて、前記合成ファックスデータのファックス出力処理を実行する、デジタル複合機。
【請求項4】
請求項2に記載のデジタル複合機であってさらに、
前記データ取得部が取得したファックスデータに複数の出力先情報が含まれている場合、前記複数の出力先情報から単一の出力先情報を抽出し、前記抽出した出力先情報を有する出力先抽出ファックスデータを作成するファックスデータ編集部を備え、
前記処理実行部は、前記抽出した出力先情報に基づいて、前記出力先抽出ファックスデータのファックス出力処理を実行する、デジタル複合機。
【請求項5】
請求項4に記載のデジタル複合機であってさらに、
前記データ取得部が複数のファックスデータを取得した場合、前記複数のファックスデータのうち、前記抽出した出力先情報と同じ出力先情報を有するファックスデータを、前記出力先抽出ファックスデータに合成することにより合成ファックスデータを作成するファックスデータ合成部を備え、
前記処理実行部は、前記抽出した出力先情報に基づいて、前記合成ファックスデータのファックス出力処理を実行する、デジタル複合機。
【請求項6】
請求項2〜5にいずれか1項に記載のデジタル複合機であって、
前記プリントデータは、前記プリントデータをプリント出力するための用紙サイズを示す用紙サイズ情報を有し、
前記処理実行部は、
前記データ取得部が複数のプリントデータを取得した場合、プリント出力することができる出力可能用紙サイズを確認し、取得した複数のプリントデータのうち前記出力可能用紙サイズに対応する用紙サイズ情報を含むプリントデータを選択し、選択されたプリントデータのプリント出力処理を実行する、デジタル複合機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデジタル複合機であってさらに、
省電力モードで動作しているとき、前記省電力モードが解除されるタイミングを前記通信装置に通知する復帰タイミング通知部を備える、デジタル複合機。
【請求項8】
通信装置と、
前記通信装置とネットワークを介して接続されるデジタル複合機とを備えるネットワークシステムであって、
前記通信装置は、
前記デジタル複合機が省電力モードであるか否かを確認する状態確認部と、
前記状態確認部により前記デジタル複合機が省電力モードであることが確認された場合、処理対象データを、ネットワーク上のデータ格納部に送信することにより、前記処理対象データを前記データ格納部に格納するデータ送信部と、
前記処理対象データの格納先情報を前記デジタル複合機に送信する格納先情報送信部とを含み、
前記デジタル複合機は、
省電力モードで動作しているとき、前記通信装置から前記格納先情報を受信する格納先情報受信部と、
省電力モードで動作しているとき、受信した前記格納先情報を記憶する格納先情報記憶部と、
省電力モードが解除されたとき、前記格納先情報記憶部を参照して、前記格納先情報に基づいて前記データ格納部にアクセスし、前記処理対象データをネットワーク経由で取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得された前記処理対象データに対して、所定の処理を実行する処理実行部とを含み、
前記データ取得部及び前記処理実行部は、省電力モード時において、電力が供給されない、ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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