説明

デトックス組成物

【課題】 体内に蓄積された毒素を従来のものより簡便にかつ効果的に排泄することができる組成物を提供する。また、大量に摂取しても安全な組成物を提供する。
【解決手段】ウロン酸を有効成分とし、体内から毒素を排泄する作用を有することを特徴とするデトックス組成物であり、好ましくは、ウロン酸が、モノガラクツロン酸であり、また好ましくは、体内から排泄される毒素が、重金属類であるものである。前記したいずれかのデトックス組成物を含有してなるデトックス食品及び/又はデトックス医薬品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内から毒素を排泄する作用を有するデトックス組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、合成甘味料や色素などの食品添加物、塩素のような消毒剤、除草剤などの農薬、排気ガス、酸性雨、水道管に使用されている鉛、歯の充填材など人体に有害な物質に接する機会の多い生活環境になっている。特に有害な重金属類は普段の生活の中で知らず知らずのうちに蓄積している。そこで、近年これらの有害物質を体内から排出させる方法が提案されており、一般にデトックス(解毒)と呼ばれている。このデトックスを行えば、健康状態や免疫力が向上し、美容にも効果があるといわれている。
【0003】
デトックスの方法としては、水のみを飲んで数日間の断食を行うもの、ジュースのみを摂取しての断食を行うもの、サプリメントを活用するものと種々のものが提案されている。例えば特許文献1〜7にはそれぞれ活性炭、植物性繊維、アブラナ科植物のイソチオシアネート類、キレート化合物、メラミン類、クロレラ抽出残渣、生薬を摂取して有害物質を吸着又は結合し排出する方法が開示されている。また、特許文献8にはスチームミストを使用するデトックス方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−294529号公報
【特許文献2】特開2004−321128号公報
【特許文献3】特開2005−112788号公報
【特許文献4】特開2005−348626号公報
【特許文献5】特開2006−76946号公報
【特許文献6】特開2006−290776号公報
【特許文献7】特開2007−151549号公報
【特許文献8】特開2007−125270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、断食を伴うものは身体に必要以上の負担を強いるものであり、日常生活の中では実施が困難な場合も多かった。サプリメントを摂取する方法は簡便な点では改善されているが、活性炭や植物性繊維のように物理的に吸着させて排出させる方法は、効果があまりに弱く実用的なものではなかった。また、キレート化合物のように化学的に吸着させて排出させる方法も開示されているが、使用されている物質は食品中に微量含まれているものではあるが、効果を発現せしめるほど大量に摂取した時には安全性が保障されるものではなかった。スチームミストのような装置を使用する方法は、莫大なコストがかかる上、それに相応するだけの効果は望めなかった。
【0006】
このように、デトックスの必要性が言われているが、いまだ満足にその効果を発現させる方法は無い状況であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ウロン酸が効果的に且つ安全に体内に蓄積された重金属類等の毒素を排出させる効果を有することを見出し、これを経口摂取することでデトックス効果が得られることを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、第一にウロン酸を有効成分とし、体内から毒素を排泄する作用を有することを特徴とするデトックス組成物を要旨とするものであり、好ましくは、ウロン酸が、モノガラクツロン酸であり、また好ましくは、体内から排泄される毒素が、重金属類であるものである。
【0009】
また、本発明は、第二に前記したいずれかのデトックス組成物を含有してなるデトックス食品及び/又はデトックス医薬品を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、これまで困難であった体内に蓄積された毒素の排出を、ウロン酸を摂取することにより簡便に効果的にできるものである。また、ウロン酸にはグルクロン酸やガラクツロン酸が含まれ、これらはヒアルロン酸やペクチン等の多糖を構成しており、大量に摂取しても安全なものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で言うデトックスとは、食物や空気等の環境から微量摂取することによって体内に徐々に蓄積される有害物質、毒素を、体外に排出させることをいう。
【0012】
本発明のデトックス組成物によって排出させる毒素は特に限定されないが、水銀、カドミウム、鉛、ヒ素等の重金属類、アルキルフェノール類、ビフェノール化合物、フタル酸エステル類、有機ハロゲン化物、ダイオキシン類、有機リン化合物等の環境ホルモン類などが挙げられ、特に標的となる毒素は重金属類である。ウロン酸のカルボキシル基が上記の物質を化学的に吸着し、便と共に排出させるものと考えられる。
【0013】
本発明で使用するウロン酸は特に限定されず、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸等が好適に使用でき、グルクロン酸誘導体でより安価なグルクロノラクトンも同様に使用できる。これらの中で好ましいのはガラクツロン酸である。ウロン酸は単糖として使用しても良いし、いくつかのウロン酸が結合したオリゴ糖として使用することもできるが、単糖の状態で使用することがより好ましい。ウロン酸はフリー体として使用することもできるし、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどとの塩の形態で使用することもできるが、フリー体として使用することがより好ましい。また、本発明で使用するウロン酸は精製されたものでも良いし、他の物質が含まれた状態のクルードなものでも良い。
【0014】
本発明で使用するウロン酸を得る方法は、特に限定されず、化学合成によっても天然由来の物質から抽出や分解することにより製造してもよい。また、市販品も好適に使用できる。
【0015】
天然由来の物質から得る方法としては、例えば、ウロン酸の1つであるガラクツロン酸は、植物組織の構成物質であるペクチンを構成していることから、リンゴ、柑橘類、ビート等のペクチンを多く含有する植物からペクチンを抽出してから分解することによって多く得ることができる。ガラクツロン酸を得る方法として好ましい一例としては、本発明者らが既に特許出願した、ビートパルプをペクチナーゼにより酵素分解する方法が挙げられる(特願2008−40011号)。
【0016】
本発明のデトックス組成物は、いかなる形態で摂取されるものでも良いが、好ましくは経口摂取されるものである。経口摂取されるために錠剤やトローチなどに加工されたサプリメントでも良いし、ドリンク状になっていても良い。また、食品として加工されていても良いし、医薬品の形態になっていても良い。
【0017】
本発明のデトックス組成物を製造する際には、本発明の効果を損なわない限り、ビタミン類、アミノ酸類等の栄養素、乳化剤、乳糖、デキストリン、ステアリン酸マグネシウムなどの加工を容易にするための添加物等を添加することができる。粉末状、錠剤、ドリンク剤等種々の形態への加工には、例えば、スプレードライヤ、凍結乾燥機、フェザーミル、ジェットミル、打錠機、スーパーミキサー、ホモミキサー等従来公知の装置を使用し、従来公知の方法で加工することができる。
【0018】
本発明のデトックス組成物に含有されるウロン酸の量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、水を除いた固形分に対して10質量%〜100質量%が好ましく、30質量%〜100質量%がより好ましい。この範囲より少なくなると、効果を発現する為に多量を摂取しなければならない問題がある。
【0019】
本発明のデトックス組成物の1日当りの摂取量は、特に限定されないが、高い効果を発現させる為には、ウロン酸として1日当り10mg〜5g、好ましくは50mg〜3g、さらに好ましくは100mg〜1gである。この範囲より少なければ効果が出にくい傾向があり、この範囲より多くてももはや更なる効果を期待できるものではない。また、本発明のデトックス組成物の摂取は毎日継続することが好ましく、摂取は1日数回に分けても良く、好ましくは2〜3回に分けて空腹時に摂取するのが良い。
【0020】
また、本発明のデトックス組成物は、一般食品の形態になっていても良く、ウロン酸又はウロン酸含有組成物を添加して種々の飲食品とすることができる。かかる飲食品は特に限定されず、かかる飲食品の例としては、うどんやパスタ等の加工麺、ハム・ソーセージ等の食肉加工食品、かまぼこ・ちくわ等の水産加工食品、バター・粉乳・醗酵乳等の乳加工品、ゼリー・アイスクリーム等のデザート類、パン類、菓子類、調味料類等の加工食品、および、清涼飲料水、アルコール類、果汁飲料、野菜汁飲料、乳飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料等の飲料が挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
製造例1
〔D−ガラクツロン酸含有組成物の製造〕
ビートパルプ(北海道糖業(株)製)1.8kgに酵素セルロシンPE60(エイチビイアイ(株)製 ペクチナーゼ)27mLおよび水12Lを加え、50℃で16時間反応させた。反応物を圧搾し固形分濃度5.8%の圧搾液8.4Lを得た。この溶液中のD−ガラクツロン酸濃度は11.2g/Lであった。
【0023】
圧搾液8.4Lを分画分子量6000の限外ろ過膜で処理して高分子成分を除き、透過液についてはBrix10.2に濃縮し、カチオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、強酸性イオン交換樹脂PK216、H型、ベッドボリューム300mL)、アニオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、弱酸性イオン交換樹脂WA30、OH型、ベッドボリューム1.2L)に通液した。使用後のアニオン交換樹脂カラムを純水でカラムアウト液のBrixが0.1以下となるまで洗浄したのち、0.1Mの水酸化ナトリウムを通液してアニオン交換樹脂に保持された成分を溶出させた。D−ガラクツロン酸が含まれる画分を回収し、Brix41.4まで濃縮を行って448gの濃縮液を得た。この濃縮液のガラクツロン酸濃度は1.50M、固形分中のD−ガラクツロン酸含量は49.9%であった。
【0024】
〔D−ガラクツロン酸の製造〕
得られたD−ガラクツロン酸含有組成物を純水でBrix20に希釈したもの1200gに塩化カルシウム2水和物80gを加えて室温で18時間撹拌し、D−ガラクツロン酸カルシウムおよびD−ガラクツロン酸ナトリウムを含む沈澱を析出させた。沈澱を吸引ろ過により回収し、回収した沈澱ケーキは水リンスの後、40℃で一晩減圧乾燥を行なった。沈澱乾燥物60.7gが得られ、このD−ガラクツロン酸含量は69.1%であった。
【0025】
沈澱乾燥物56gに対し、水3.5Lを加えて室温で1時間撹拌し、とけ残りを吸引ろ過により除いた。ろ液をH型に調製したカチオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、強酸性イオン交換樹脂SK1B、H型、ベッドボリューム200mL)カラムに通液して陽イオンを除いた。
【0026】
カラム処理で得られた溶液をBrix48に濃縮し、15℃で16時間撹拌して晶析を行なった。析出物を吸引ろ過により回収、水リンスを行なった後40℃で一晩減圧乾燥を実施した。30.9gの乾燥物が得られ、このD−ガラクツロン酸含量を確認した結果、純度99.8%のD−ガラクツロン酸1水和物であった。
【0027】
実施例1,2、比較例1,2〔デトックス効果の評価〕
6週齢のBalb/cマウス36匹を体重の平均がほぼ同じになるようにA〜Eの6群に分け、通常飼料としてラボMRストック(日本農産(株)製)を与え1週間の馴化飼育を行った。次に、A〜E群にそれぞれ以下のような水溶液1mlを1日1回3日間胃ゾンデで経口投与し、重金属の添加をしない以外は以下と同じ水溶液をその後3日間経口投与した。水溶液を与え始めて4日目から6日目までの糞便を全量回収し、50%硝酸に溶解しICP分析を行うことにより各群の糞便中の重金属濃度を測定した。
A群(実施例1):重金属溶液20%、D−ガラクツロン酸10%
B群(実施例2):重金属溶液20%、D−グルクロン酸10%
C群(比較例1):重金属溶液20%、活性炭粒状白鷺10%
D群(比較例2):重金属溶液20%、メチルスルフォニルメタン1%
E群(対照) :重金属溶液20%
なお、重金属溶液は、水銀、鉛、クロム、アルミニウム、カドミウム各100ppm(和光純薬工業製標準水溶液)を含む溶液である。
【0028】
得られた結果を表1に示す。ウロン酸を摂取させたA群、B群のマウスは重金属の体内への蓄積が抑えられ糞便中に効果的に排出されていることがわかった。なお、重金属溶液を与えない場合の糞便中の重金属濃度をFの欄に示している。
【0029】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウロン酸を有効成分とし、体内から毒素を排泄する作用を有することを特徴とするデトックス組成物。
【請求項2】
ウロン酸が、モノガラクツロン酸である請求項1記載のデトックス組成物。
【請求項3】
体内から排泄される毒素が、重金属類である請求項1又は2記載のデトックス組成物。
【請求項4】
請求項1〜3に記載されたいずれかのデトックス組成物を含有してなるデトックス食品及び/又はデトックス医薬品。


【公開番号】特開2010−163381(P2010−163381A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5737(P2009−5737)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】