デフレーカープレートおよび同プレートに関する方法
【課題】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるためのデフレーカーに使用されるデフレーカープレートを提供する。
【解決手段】
デフレーカープレートは、複数の歯から成る少なくとも一つの円環状リングを備え得る。少なくとも一つの歯は、リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を備える。インパクト発生サイド面は、運転の際にインパクト力を発生するように適応させ得るので、その力は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとに対応する。
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるためのデフレーカーに使用されるデフレーカープレートを提供する。
【解決手段】
デフレーカープレートは、複数の歯から成る少なくとも一つの円環状リングを備え得る。少なくとも一つの歯は、リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を備える。インパクト発生サイド面は、運転の際にインパクト力を発生するように適応させ得るので、その力は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとに対応する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、繊維質材料のフレークを減少する装置と方法に関する。例えば、本発明は、損紙取り扱い装置でフレークを減少する用途を始め、クラフトパルプまたは機械パルプおよびリサイクル繊維に含まれる繊維束を離解する際に特別の適応性を有する。
【背景技術】
【0002】
繊維材(例えば、リグノセルロース材)または紙(例えば、損紙)を個々の繊維に変えることは、懸濁環境で剪断作用の下に繊維マットを個別の繊維に離解することを一般に含む。これは、例えば、機械的リファイナーで2枚のリファイナープレートの間で行うことによって達成し得る。水の存在下で剪断作用を繰り返し加えると、繊維マットは、繊維複合物が破壊され、次第に小さな繊維片になり、遂に個々の繊維レベルにまで破壊される。このポイントで、懸濁物は、完全に「解繊状態」と称し得る。
【0003】
しかし、完全解繊状態を達成するためにパルプ化装置に使用される時間とエネルギーは、通常、そのような主要な製紙装置に必要な生産にとって禁止的といってもいいほど大きい。実際は、パルプ化装置では、完全解繊に至る前のポイントに進むまでで、通常許される。このポイントで、懸濁物に残存している非解繊部分―「フレーク」と称される―は、通常、その後の特殊工程で除去される。この特殊工程は、完全解繊に至るまで、パルプ化工程より速く、より効率的にし得る。
【0004】
この特殊工程―デフレーカーを備える―は、デフレーク工程として知られている。例えば、特許文献1を参照のこと。デフレーク(フレーク破壊)は、デフレーカーの回転エレメントが一個または複数個の固定エレメントに相対して回転することによって水力学的剪断フィールドが形成される工程で行われると説明される。この水力学的剪断によって、パルプ化工程後の懸濁物に含まれるフレークの量を減少し得る。パルプ化作用と同様に、フレークを完全に破壊して、一本一本の繊維にするように、フレークに衝撃を繰り返し加える必要性がある。
【0005】
これらの衝撃は、一般に、デフレーカーのローターとステーターに設けられたいわゆる歯によって生じる。歯は、一般に(a)リファイナープレート(例えば、円板または円錐の形状とし得る)と同様な機械の母面に沿って互いのそばで通過または掃過したり、または(b)機械の母面で形成された面の外側で、より複雑な形で噛み合ったりする。
【0006】
バージョン(a)は、比較的簡単で、リファイナープレートでも蜘蛛の巣デザインでも、または穿孔されたプレートを使用しても行い得る。例えば、―ローターとステーターの間の面の接触に一般的な平行関係を存在させることを除いて―どのような特別な要件も必要ではない。従来、バージョン(b)の複雑な幾何学的形状を得るには、デフレーカープレートの噛み合い域に精密な機械加工が必要であった。これまで、この精密機械加工を行うことによって、これらのプレートに要求される信頼性と使用性が適切に解決されてきた。しかし、プレートを機械加工すると、製造コスト高で、歯の相対する面を特殊に設計する技術に制約が生じる。
【0007】
すなわち、精密機械加工は、デフレーカープレートの設計を本質的に制約する。例えば、機械加工で得られるデフレーカープレートは、円環状リングの形の歯を有するに過ぎない。旋盤は、プレートに同心円の形を切り出しするに過ぎないからである。円を切り出すとき、歯の内側と外側の部分は、同じ円中心を共有する弧度となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ローゼンフェルド(Rosenfeld)の米国特許第3,327,952号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、より効果的な構成のデフレーカープレートに対する技術の必要性が存在し得る。機械加工されないデフレーカープレートに対する技術の必要性も存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
態様の一つでは、本発明は、デフレーカープレート技術のこれらの実在する欠点を克服し得る。例えば、本発明のある種の態様は、デフレーカープレートの生産を鋳造法で行うこと、および/またはデフレーク(フレーク破壊)の改良(例えば、より効率的に)を容易にするために相対向するプレート表面の設計を改良することを含む。
【0011】
態様の一つでは、本発明は、一般に、繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるデフレーカーに使用されるデフレーカープレートに関する。本発明のデフレーカープレートは、複数の歯から成る円環状リングを少なくとも一つ含む。本発明では、少なくとも1本の歯は、リーディング面とトレーリング面とインパクト発生サイド面を備える。このインパクト発生サイド面は、運転に際してデフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二ベクトルに対応するインパクト力を発生するように適応し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレートの概略図である。
【0013】
【図2】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレートの概略図である。
【0014】
【図3】本発明の態様の一つに基づくロータープレートとステータープレートの概略図である。
【0015】
【図4】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0016】
【図5】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0017】
【図6】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0018】
【図7】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0019】
【図8】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0020】
【図9】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0021】
【図10】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0022】
【図11】本発明の態様の一つに基づくロータープレートとステータープレートの概略断面図である。
【0023】
【図12】本発明の態様の一つに基づくロータープレートとステータープレートの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
態様の一つでは、本発明は、プレート回転の軸に非平行(および垂直)の歯表面を有するデフレーカープレートに関する。例えば、本発明のデフレーカープレートは、実質的に正方形でなく、むしろ実質的に台形、または実質的に三角形の形状を有する歯を備え得る。すなわち、歯は、各面が三角形または台形の形状であるリーディング面とトレーリング面とを有し得る。本発明のある種の態様の範囲内にあるこれらの形状は、ローターとステーターの歯が掃過工程の際に生じる水力学的衝撃の大きさと方向に影響を与え得る。
【0025】
ある種の態様では、歯は各々のローターとステーターの周りに1個、2個、3個、またはそれを超える個数(例えば、5個または10個)の円環状リングを形成し得る。一般に、スラリーは、プレート(好ましくは、互いに対して反対方向に回転し、および/または場合によって幾つかの態様では相異なる周波数または速度で回転する)の中央部から外周の方向に、一般に、半径方向の経路をたどって流れる。繊維フロックは、略半径方向の経路に沿って移動するにつれて、相対して回転する歯が発生する衝撃圧によってデフレークされる。
【0026】
相対して回転するとは、ステーターに対してはローターが回転していることを称するもので、比較的に言えば固定しているローターと回転するローターを含むどのような構成も含み、場合によってはローターと「ステーター」の双方が回転する構成も含む。ある場合には、「ステーター」とローターとを相異なる速度で同じ方向に回転させることも可能とし得る。
【0027】
フロックがデフレークされるとき、水力学的衝撃によって、半径方向移動とは一致しない力が発生し得る。すなわち、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを押し戻す半径方向ベクトルと回転の方向に対してスラリーを押す接線方向ベクトルとを有する力が発生し得る。両ベクトルの結合ベクトルは、本発明の態様に基づく歯の側面に直交し得る。
【0028】
好ましい態様では、本発明のデフレーカーは、4〜5%の濃度(コンシステンシー)のスラリーで運転し得る。もっとも、どのような商業的に実施可能な濃度も使用し得る。すなわち、本発明は、デフレークを必要としてデフレーカーを通過させられるスラリーのタイプや濃度には限定されない。
【0029】
例えば、多様な態様に関して使用に好適な他の繊維スラリーには、(i)ボイラー出口からのホットストック(高温紙料)および(ii)混合プレートの近くの繊維束が含まれる。前者の場合、これらのプレートを使って幾らか残存する未蒸解繊維束の削減が達成され、後者の場合、水力学的衝撃を使って懸濁物が混合されるのである。好適なスラリーの濃度は、デフレーカーに入るスラリーが何処から来るものであるかに依存し1%と10〜15%の間で変わり得る。もっとも、設計自体で、剪断力の発生には、スラリーの流動性が必要である。したがって、流体と同様の特性で形成されるどのようなスラリーも使用し得る。
【0030】
デフレーカープレートは、鉄鋼ベース合金のような好適な材料から製造し得る。好ましい態様では、アンドリッツ(Andritz)ペーパー&パルプミルサービス社販売の合金DC17とXPが、本発明のある態様の一つに基づくデフレーカープレートを鋳造するのに特に好適とされる。原則として、どのような好適な合金、例えばステンレス鋼合金、クロム白鉄、Ni硬化合金などの合金が使用し得る。幾つかの態様では、使用合金は以下の特性、すなわち、30〜60HRC(平均)の硬度および/または80〜350PSI(平均)の4点曲げ試験による曲げ強度を有し得る。
【0031】
図1は、本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート102を示す。図1に関して説明されるとき、また本明細書全体で使用されるとき、用語「デフレーカー」プレートは、ロータープレートまたはステータープレートのいずれについても称し得る。図示のように、デフレーカープレート102には、中央部110と実質的に円環状のリングを備える。円環状リングは、各々、細砕繊維材のスラリーが略半径方向に中央部110からデフレーカープレート102の外周に至るまで通過するときに繊維フロックを離解するための複数の歯を備える。図1は、歯104から成る第一リング、歯106から成る第二リング、および歯108から成る第三リングから構成される3個の円環状リングを示す。歯の各リングは、略平坦な表面112または114で分離されている。分離は、必ずしも平面で行う必要はなく、むしろ相対向するデフレーカープレートを補完、または鏡像化する(例えば、相対向するデフレーカーの歯の先端を鏡像化または補完する)どのような構成も採用し得る。
【0032】
図1に図示されるように、歯の各円環状リングに設けられる歯の数は、多くても少なくてもよく、歯の配置間隔も、広くしたり狭くしたり、規則的にしたり不規則的にしたりし得る。幾つかの態様では、内側リングの歯の数は、本来的に(by default)最も少ない。そこでは半径が最も小さく、繊維材が「詰まる」傾向が最大だからである。したがって、それらの領域では幾つかの単純歯があるだけである。外側のリングは、半径が増加するので、例えば、より広いオープン域があるので、(有意に)より多くの数の歯を備え得る。歯数は、結局、隣接している歯の間のギャップと歯の幅に依存する。
【0033】
デフレーカープレートのバランスを取ることによって回転のブレ動きを最小にすることは、幾つかの態様では重要かも知れないが、すべての態様でデフレーカープレートが回転する必要は必ずしもない(例えば、静止したステーターは、デフレーカーに固定されている)。したがって、ある態様では、不規則状に配置された歯が使用し得る。すなわち、幾つかの態様では、実質的に円環状のリングは、歯の大部分と整合しないオフセット歯を一つまたは複数個備え得る。
【0034】
図2は本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート202を示す。図示のように、デフレーカープレート202は、中央部210と各々複数の歯から成る実質的に円環状のリングを備える。図2は、2個の円環状リング、すなわち、歯204から成る第一リングと歯206から成る第二リングを示す。2個のリングは、略平坦な表面212によって分離されている。
【0035】
図3は、ステーター302とローター320を示す。図示のように、ステーターとローターは、互いに他に対する相補物、または鏡像となっており、各々の歯は、デフレーカー運転に際して、互いに接触しないようになっている。一般に、運転に際して、ロータープレートとステータープレートの間には5mm未満、好ましくは1.5mm未満のギャップがあるようにし得る。ある種の態様では、0.3〜0.4mmまたはまさに0.1mmの大きさのギャップを達成するのも、可能とし得る。一般に、ギャップが小さければ小さいほど、デフレークに際してスラリーが蒙る剪断が大きくなる。すなわち、小さいギャップによって引き起こされる衝撃によって、デフレーク運転の効率が向上し得る。幾つかの態様では、0.1mm未満のギャップが、ロータープレートとステータープレートの間に存在し得る(ギャップ距離の測定では、プレートの間の距離は、プレートが静止している間に測定され得る)。
【0036】
図4は、本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート402に設けられたデフレーカープレート歯404を示す。図示のように、デフレーカープレート歯404は、リーディング面480、トレーリング面482、およびインパクト発生サイド面484を備える。各歯404は、略平坦な表面464によって分離されている。表面464は、デフレーカープレート402の半径に沿って略平面となっている。図示のように、リーディング面480とトレーリング面482は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面464から測定されるとき実質的に同じ高さである。すなわち、頂部表面462は、実質的に略平坦な表面464の面に実質的に平行な面にある。インパクト発生サイド面484は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力とリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方の力を発生させる表面を備える。両力の結合ベクトルは、インパクト発生サイド面484の表面に直交し得る。図示のように、頂部表面462は、台形と同じでないにしても同様な形である。リーディング面とトレーリング面は、各々個別的に実質的に三角形とし得るし、リーディング面とトレーリング面は、必ずしも互いに同じ形とする必要はない。頂部表面462の形は、インパクト発生サイド面484の表面の形に大きく支配される。
【0037】
図5は、デフレーカープレート歯506を示す。図示のように、デフレーカープレート歯506は、リーディング面580、トレーリング面582、およびインパクト発生サイド面584を備える。図示のように、リーディング面580とトレーリング面582は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面464から測定されるとき実質的に同じ高さである。一般に、平坦な表面570は、デフレーカープレート(数字は付せず)の半径に沿って大略平面である。すなわち、頂部表面562は、略平坦な表面570の面に実質的に平行である。インパクト発生サイド面584は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方の力を発生させる鋸歯状表面を有する。この鋸歯状構成を採用すると、各歯でマイクロ衝撃を発生することが容易になる。
【0038】
図6は、デフレーカープレート歯606を示す。図示のように、デフレーカープレート歯606は、リーディング面680、トレーリング面686、およびインパクト発生サイド面684を備える。図示のように、リーディング面680とトレーリング面686は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面670から測定されるとき実質的に同じ高さである。すなわち、頂部表面662は、略平坦な表面670の面に実質的に平行である。インパクト発生サイド面684は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。頂部表面662は、その形は本発明のある種の態様では大部分は無関係であるが、実質的に台形(そしてほぼ三角形である)である。図示のように、インパクト発生サイド面684は、複数の部分から成り得るので、インパクト発生サイド面684は、平坦な面を交差させることによって形成される。
【0039】
図7は、デフレーカープレート歯706を示す。図示のように、デフレーカープレート歯706は、リーディング面780、トレーリング面786、およびインパクト発生サイド面784を備える。図示のように、リーディング面780とトレーリング面786は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面770から測定されるとき実質的に同じ高さである。すなわち、頂部表面762は、略平坦な表面770の面に実質的に平行な面である。インパクト発生サイド面784は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。
【0040】
図示のように、インパクト発生サイド面784は、第一曲面部分785、第二曲面部分787、および第三曲面部分789を含む曲面状表面を有する。これらの部分を合わせて、インパクト発生サイド面の特異表面が規定される。幾つかの場合では、これらの表面は実質的にパラボラ状(放物線状)とし得る。
【0041】
デフレーカープレート歯706は、また、実質的に台形、または四角形(および他の態様でも同様に存在し得るが)とし得るベースの部分791を備える。このベース部分は、デフレーカープレート歯の耐久性および/または安定性を向上させ得る。ベース部分は、どのような形(例えば、実質的に長方形)でもよい。
【0042】
プレートが鋳造される場合は、ベースと歯は同じ材料から作られるのが普通である。しかし、歯がベースに接合あるいは溶接される場合は、相異なる材料が様々な態様で可能である。バーの高さは数mmから25mmまたは30mm(または他の態様ではそれ以上)とし得る。最大適用可能歯高は、デフレーカーの設計(調整メカニズム、プレートの全厚)と使用材料の破壊強度とに依存する。当業者なら理解することであるが、歯の寸法に係わるバリエーションの数は、具体的な用途に依存する。
【0043】
図8は、デフレーカープレート歯806を示す。図示のように、デフレーカープレート歯806は、リーディング面880、トレーリング面886、およびインパクト発生サイド面884を備える。図示のように、リーディング面880とトレーリング面886は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面870から測定されるとき実質的に同じ高さである。インパクト発生サイド面884は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力とリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。インパクト発生サイド面884は、リーディング面880に近接した第一部分885、トレーリング面886に近接した第三部分889、および第一と第三部分に近接した第二部分887から成る三つの部分を有する。第一部分と第三部分は、実質的に、リーディング面面880とトレーリング面886の縁に沿って実質的に平坦で、一方、第二部分は、その平坦な表面から切り出された実質的に半柱状の部分を形成している。この態様では、歯806の頂部表面は実質的に平面でなくともよい。もっとも、歯806の部分は、略平坦の表面870に平行である。
【0044】
図9はデフレーカープレート歯906を示す。図示のように、デフレーカープレート歯906は、リーディング面980、トレーリング面986、およびインパクト発生サイド面984を備える。図示のように、リーディング面980とトレーリング面986は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面970から測定されるとき実質的に同じ高さである。インパクト発生サイド面984は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。インパクト発生サイド面984は、図4に示されるインパクト発生サイド面と同様の表面を備え、図9は、デフレーカー歯の2個の円環状リングを示す。図示のように、リーディング面980の表面積は、トレーリング面986の表面積より小さい。すなわち、トレーリング面986はリーディング面980より大きい。
【0045】
図10は、デフレーカープレート歯1006を示す。図示のように、デフレーカープレート歯1006は、リーディング面1080、トレーリング面1086、およびインパクト発生サイド面1084を備える。図示のように、リーディング面1080とトレーリング面1086は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面1070から測定されるとき実質的に同じ高さである。インパクト発生サイド面1084は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。図示のように、リーディング面1080の表面積は、トレーリング面1086の表面積より小さい。すなわち、トレーリング面1086はリーディング面1080より大きい。頂部表面1044の一側面は、曲線(すなわち、インパクト発生サイド面1084と交差することで規定された側面)で、残りの3側面は、実質的に真っ直ぐで、リーディング面1080、トレーリング面1086、および外側の表面(参照数字は付与せず)との交差で規定される。デフレーカープレート歯1006は、デフレーカープレートの最も外側の円環状リングで図示されている。
【0046】
図11は、本発明の態様の一つに基づくステータープレート1120とロータープレート1102の側面図を示す。ロータープレート1102は、歯1160を備え、ステータープレート1120は、歯1180を備える。ギャップ1192(1.5mm未満で、最も好ましくは約0.1mm以下とし得る)が、ローラープレート1102とステータープレート1120の間に存在する。ギャップ1192は、デフレーカーに送られる繊維スラリーを通すためのものである。
【0047】
歯1180は、第一リーディング端部1194(インパクト発生サイド面に接続する)、頂端部1144(歯1180の頂部表面に接続する)、および第二リーディング端1196(別のインパクト発生サイド面に接続する)で規定されたリーディング面を有する。第一角度1130(端部1194と端部1144で規定される)は、90°以上で、第二角度1132(端部1144と端部1196で規定される)も、90°以上である。これらの角度は、好ましくは、100°超、110°超、120°超、130°超、または180°未満の角度である。
【0048】
図12は、本発明の態様の一つに基づくステータープレート1220とローラープレート1202の斜視図を示す。ローラープレート1202は、歯1260を備え、ステータープレート1220は、歯1280を備える。図示のように、ローラープレート1202は、ステータープレート1220に対して矢印1299の方向に動く。
【0049】
態様の一つでは、したがって、本発明のデフレーカープレートは、ステータープレートとローラープレートの相対向する表面を傾斜させることによって、衝撃ベクトルの方向を新規なものとすることが容易に行われる。このことによって、特定の使用目的(例えば、デフレークが必要な繊維フロックのタイプ)に基づいてデフレーク剪断力を調整することが容易に行い得る。
【0050】
掃過工程に際して衝撃の方向を変える能力によって、歯の交差ゾーンで処理されている繊維への衝撃を、現在利用可能な設計とは相異なる乱流レベルまでに導く能力を得ることができる。
【0051】
鋳造技術を適用することによって、デフレーカーの中央部から始まる半径に直角な真っ直ぐの側面が一般に必要な、従来の精密機械加工による設計に較べて、交差ゾーンの長さを延長するのが容易に行い得る。このことによって、歯の安定性が増し、さらに耐久性も増す可能性も生じる。例えば、鋳造された歯は、耐破損性も向上し得る。ある種の態様では、鋳造によって、歯の両側面間のギャップを特定の幅に調整することが(例えば、シム調整を行うことによって)容易に行い得る。このことにより、今度は特定のスラリー組成と濃度に基づいてデフレーク工程を特製または調整する能力を向上し得る。
【0052】
当業者に知られているどのような好適な鋳造法も使用し得る。例えば、好適なインベストメント鋳造法は、以下のステップの一つ以上を含み得る。(1)マスターパターンを形成する。(2)マスターパターンからマスター鋳型を作る(または最初にマスターパターンを形成せずにマスター鋳型を作る)。(3)パターン(例えば、「ワックス」パターン)を作る。(4)「インベストメント」鋳型(例えば、セラミック鋳型)を形成する。残留ワックス、および/または不純物の除去を含む。(5)例えば、重力、真空圧(例えば、負圧)、正圧、遠心力などを使用して鋳型に溶融金属を注入する。(6)鋳型から凝固した金属を取り出し、次いで所望ならば研摩/艶出し加工する。
【0053】
しかし、本発明は、鋳造法に限定または規定されないことを理解されるべきである。すなわち、本明細書に記載されたデフレーカープレートを製造するには、どのような製造技術も使用し得る。
【0054】
本発明は、現在最も実用的で、好ましい態様であると考えられるものに関して記載されているけれども、本発明は、開示された態様に限定されることなく、むしろ反対に、特許請求の範囲に含まれる種々の修正や均等物も包含するものであると理解される。
【符号の説明】
【0055】
102、202、402…デフレーカープレート
104、106、108、204、206、404、506、606、706、806、906、1006、1160、1180、1260、1280…歯
110、210…中央部
112、114、212、464、570、670、770、870、970、1070…平坦表面
302、1120、1220…ステータープレート
320、1102、1202…ロータープレート
462、562、662、762、1044…頂部表面
480、580、680、780、880、980、1080…リーディング面
482、582、686、786、886、986、1086…トレーリング面
484、584、684、784、884、984、1084…インパクト発生サイド面
785、787、789…各々第一、第二、第三曲面部分
791…ベース部分
885…インパクト発生サイド面の第一部分
887…インパクト発生サイド面の第二部分
889…インパクト発生サイド面の第三部分
1144、1194、1196…各々頂端部、第一リーディング端部、第二リーディング端部
1192…ギャップ
1130、1132…角度
1299…矢印
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、繊維質材料のフレークを減少する装置と方法に関する。例えば、本発明は、損紙取り扱い装置でフレークを減少する用途を始め、クラフトパルプまたは機械パルプおよびリサイクル繊維に含まれる繊維束を離解する際に特別の適応性を有する。
【背景技術】
【0002】
繊維材(例えば、リグノセルロース材)または紙(例えば、損紙)を個々の繊維に変えることは、懸濁環境で剪断作用の下に繊維マットを個別の繊維に離解することを一般に含む。これは、例えば、機械的リファイナーで2枚のリファイナープレートの間で行うことによって達成し得る。水の存在下で剪断作用を繰り返し加えると、繊維マットは、繊維複合物が破壊され、次第に小さな繊維片になり、遂に個々の繊維レベルにまで破壊される。このポイントで、懸濁物は、完全に「解繊状態」と称し得る。
【0003】
しかし、完全解繊状態を達成するためにパルプ化装置に使用される時間とエネルギーは、通常、そのような主要な製紙装置に必要な生産にとって禁止的といってもいいほど大きい。実際は、パルプ化装置では、完全解繊に至る前のポイントに進むまでで、通常許される。このポイントで、懸濁物に残存している非解繊部分―「フレーク」と称される―は、通常、その後の特殊工程で除去される。この特殊工程は、完全解繊に至るまで、パルプ化工程より速く、より効率的にし得る。
【0004】
この特殊工程―デフレーカーを備える―は、デフレーク工程として知られている。例えば、特許文献1を参照のこと。デフレーク(フレーク破壊)は、デフレーカーの回転エレメントが一個または複数個の固定エレメントに相対して回転することによって水力学的剪断フィールドが形成される工程で行われると説明される。この水力学的剪断によって、パルプ化工程後の懸濁物に含まれるフレークの量を減少し得る。パルプ化作用と同様に、フレークを完全に破壊して、一本一本の繊維にするように、フレークに衝撃を繰り返し加える必要性がある。
【0005】
これらの衝撃は、一般に、デフレーカーのローターとステーターに設けられたいわゆる歯によって生じる。歯は、一般に(a)リファイナープレート(例えば、円板または円錐の形状とし得る)と同様な機械の母面に沿って互いのそばで通過または掃過したり、または(b)機械の母面で形成された面の外側で、より複雑な形で噛み合ったりする。
【0006】
バージョン(a)は、比較的簡単で、リファイナープレートでも蜘蛛の巣デザインでも、または穿孔されたプレートを使用しても行い得る。例えば、―ローターとステーターの間の面の接触に一般的な平行関係を存在させることを除いて―どのような特別な要件も必要ではない。従来、バージョン(b)の複雑な幾何学的形状を得るには、デフレーカープレートの噛み合い域に精密な機械加工が必要であった。これまで、この精密機械加工を行うことによって、これらのプレートに要求される信頼性と使用性が適切に解決されてきた。しかし、プレートを機械加工すると、製造コスト高で、歯の相対する面を特殊に設計する技術に制約が生じる。
【0007】
すなわち、精密機械加工は、デフレーカープレートの設計を本質的に制約する。例えば、機械加工で得られるデフレーカープレートは、円環状リングの形の歯を有するに過ぎない。旋盤は、プレートに同心円の形を切り出しするに過ぎないからである。円を切り出すとき、歯の内側と外側の部分は、同じ円中心を共有する弧度となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ローゼンフェルド(Rosenfeld)の米国特許第3,327,952号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、より効果的な構成のデフレーカープレートに対する技術の必要性が存在し得る。機械加工されないデフレーカープレートに対する技術の必要性も存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
態様の一つでは、本発明は、デフレーカープレート技術のこれらの実在する欠点を克服し得る。例えば、本発明のある種の態様は、デフレーカープレートの生産を鋳造法で行うこと、および/またはデフレーク(フレーク破壊)の改良(例えば、より効率的に)を容易にするために相対向するプレート表面の設計を改良することを含む。
【0011】
態様の一つでは、本発明は、一般に、繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるデフレーカーに使用されるデフレーカープレートに関する。本発明のデフレーカープレートは、複数の歯から成る円環状リングを少なくとも一つ含む。本発明では、少なくとも1本の歯は、リーディング面とトレーリング面とインパクト発生サイド面を備える。このインパクト発生サイド面は、運転に際してデフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二ベクトルに対応するインパクト力を発生するように適応し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレートの概略図である。
【0013】
【図2】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレートの概略図である。
【0014】
【図3】本発明の態様の一つに基づくロータープレートとステータープレートの概略図である。
【0015】
【図4】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0016】
【図5】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0017】
【図6】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0018】
【図7】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0019】
【図8】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0020】
【図9】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0021】
【図10】本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート歯の概略図である。
【0022】
【図11】本発明の態様の一つに基づくロータープレートとステータープレートの概略断面図である。
【0023】
【図12】本発明の態様の一つに基づくロータープレートとステータープレートの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
態様の一つでは、本発明は、プレート回転の軸に非平行(および垂直)の歯表面を有するデフレーカープレートに関する。例えば、本発明のデフレーカープレートは、実質的に正方形でなく、むしろ実質的に台形、または実質的に三角形の形状を有する歯を備え得る。すなわち、歯は、各面が三角形または台形の形状であるリーディング面とトレーリング面とを有し得る。本発明のある種の態様の範囲内にあるこれらの形状は、ローターとステーターの歯が掃過工程の際に生じる水力学的衝撃の大きさと方向に影響を与え得る。
【0025】
ある種の態様では、歯は各々のローターとステーターの周りに1個、2個、3個、またはそれを超える個数(例えば、5個または10個)の円環状リングを形成し得る。一般に、スラリーは、プレート(好ましくは、互いに対して反対方向に回転し、および/または場合によって幾つかの態様では相異なる周波数または速度で回転する)の中央部から外周の方向に、一般に、半径方向の経路をたどって流れる。繊維フロックは、略半径方向の経路に沿って移動するにつれて、相対して回転する歯が発生する衝撃圧によってデフレークされる。
【0026】
相対して回転するとは、ステーターに対してはローターが回転していることを称するもので、比較的に言えば固定しているローターと回転するローターを含むどのような構成も含み、場合によってはローターと「ステーター」の双方が回転する構成も含む。ある場合には、「ステーター」とローターとを相異なる速度で同じ方向に回転させることも可能とし得る。
【0027】
フロックがデフレークされるとき、水力学的衝撃によって、半径方向移動とは一致しない力が発生し得る。すなわち、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを押し戻す半径方向ベクトルと回転の方向に対してスラリーを押す接線方向ベクトルとを有する力が発生し得る。両ベクトルの結合ベクトルは、本発明の態様に基づく歯の側面に直交し得る。
【0028】
好ましい態様では、本発明のデフレーカーは、4〜5%の濃度(コンシステンシー)のスラリーで運転し得る。もっとも、どのような商業的に実施可能な濃度も使用し得る。すなわち、本発明は、デフレークを必要としてデフレーカーを通過させられるスラリーのタイプや濃度には限定されない。
【0029】
例えば、多様な態様に関して使用に好適な他の繊維スラリーには、(i)ボイラー出口からのホットストック(高温紙料)および(ii)混合プレートの近くの繊維束が含まれる。前者の場合、これらのプレートを使って幾らか残存する未蒸解繊維束の削減が達成され、後者の場合、水力学的衝撃を使って懸濁物が混合されるのである。好適なスラリーの濃度は、デフレーカーに入るスラリーが何処から来るものであるかに依存し1%と10〜15%の間で変わり得る。もっとも、設計自体で、剪断力の発生には、スラリーの流動性が必要である。したがって、流体と同様の特性で形成されるどのようなスラリーも使用し得る。
【0030】
デフレーカープレートは、鉄鋼ベース合金のような好適な材料から製造し得る。好ましい態様では、アンドリッツ(Andritz)ペーパー&パルプミルサービス社販売の合金DC17とXPが、本発明のある態様の一つに基づくデフレーカープレートを鋳造するのに特に好適とされる。原則として、どのような好適な合金、例えばステンレス鋼合金、クロム白鉄、Ni硬化合金などの合金が使用し得る。幾つかの態様では、使用合金は以下の特性、すなわち、30〜60HRC(平均)の硬度および/または80〜350PSI(平均)の4点曲げ試験による曲げ強度を有し得る。
【0031】
図1は、本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート102を示す。図1に関して説明されるとき、また本明細書全体で使用されるとき、用語「デフレーカー」プレートは、ロータープレートまたはステータープレートのいずれについても称し得る。図示のように、デフレーカープレート102には、中央部110と実質的に円環状のリングを備える。円環状リングは、各々、細砕繊維材のスラリーが略半径方向に中央部110からデフレーカープレート102の外周に至るまで通過するときに繊維フロックを離解するための複数の歯を備える。図1は、歯104から成る第一リング、歯106から成る第二リング、および歯108から成る第三リングから構成される3個の円環状リングを示す。歯の各リングは、略平坦な表面112または114で分離されている。分離は、必ずしも平面で行う必要はなく、むしろ相対向するデフレーカープレートを補完、または鏡像化する(例えば、相対向するデフレーカーの歯の先端を鏡像化または補完する)どのような構成も採用し得る。
【0032】
図1に図示されるように、歯の各円環状リングに設けられる歯の数は、多くても少なくてもよく、歯の配置間隔も、広くしたり狭くしたり、規則的にしたり不規則的にしたりし得る。幾つかの態様では、内側リングの歯の数は、本来的に(by default)最も少ない。そこでは半径が最も小さく、繊維材が「詰まる」傾向が最大だからである。したがって、それらの領域では幾つかの単純歯があるだけである。外側のリングは、半径が増加するので、例えば、より広いオープン域があるので、(有意に)より多くの数の歯を備え得る。歯数は、結局、隣接している歯の間のギャップと歯の幅に依存する。
【0033】
デフレーカープレートのバランスを取ることによって回転のブレ動きを最小にすることは、幾つかの態様では重要かも知れないが、すべての態様でデフレーカープレートが回転する必要は必ずしもない(例えば、静止したステーターは、デフレーカーに固定されている)。したがって、ある態様では、不規則状に配置された歯が使用し得る。すなわち、幾つかの態様では、実質的に円環状のリングは、歯の大部分と整合しないオフセット歯を一つまたは複数個備え得る。
【0034】
図2は本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート202を示す。図示のように、デフレーカープレート202は、中央部210と各々複数の歯から成る実質的に円環状のリングを備える。図2は、2個の円環状リング、すなわち、歯204から成る第一リングと歯206から成る第二リングを示す。2個のリングは、略平坦な表面212によって分離されている。
【0035】
図3は、ステーター302とローター320を示す。図示のように、ステーターとローターは、互いに他に対する相補物、または鏡像となっており、各々の歯は、デフレーカー運転に際して、互いに接触しないようになっている。一般に、運転に際して、ロータープレートとステータープレートの間には5mm未満、好ましくは1.5mm未満のギャップがあるようにし得る。ある種の態様では、0.3〜0.4mmまたはまさに0.1mmの大きさのギャップを達成するのも、可能とし得る。一般に、ギャップが小さければ小さいほど、デフレークに際してスラリーが蒙る剪断が大きくなる。すなわち、小さいギャップによって引き起こされる衝撃によって、デフレーク運転の効率が向上し得る。幾つかの態様では、0.1mm未満のギャップが、ロータープレートとステータープレートの間に存在し得る(ギャップ距離の測定では、プレートの間の距離は、プレートが静止している間に測定され得る)。
【0036】
図4は、本発明の態様の一つに基づくデフレーカープレート402に設けられたデフレーカープレート歯404を示す。図示のように、デフレーカープレート歯404は、リーディング面480、トレーリング面482、およびインパクト発生サイド面484を備える。各歯404は、略平坦な表面464によって分離されている。表面464は、デフレーカープレート402の半径に沿って略平面となっている。図示のように、リーディング面480とトレーリング面482は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面464から測定されるとき実質的に同じ高さである。すなわち、頂部表面462は、実質的に略平坦な表面464の面に実質的に平行な面にある。インパクト発生サイド面484は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力とリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方の力を発生させる表面を備える。両力の結合ベクトルは、インパクト発生サイド面484の表面に直交し得る。図示のように、頂部表面462は、台形と同じでないにしても同様な形である。リーディング面とトレーリング面は、各々個別的に実質的に三角形とし得るし、リーディング面とトレーリング面は、必ずしも互いに同じ形とする必要はない。頂部表面462の形は、インパクト発生サイド面484の表面の形に大きく支配される。
【0037】
図5は、デフレーカープレート歯506を示す。図示のように、デフレーカープレート歯506は、リーディング面580、トレーリング面582、およびインパクト発生サイド面584を備える。図示のように、リーディング面580とトレーリング面582は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面464から測定されるとき実質的に同じ高さである。一般に、平坦な表面570は、デフレーカープレート(数字は付せず)の半径に沿って大略平面である。すなわち、頂部表面562は、略平坦な表面570の面に実質的に平行である。インパクト発生サイド面584は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方の力を発生させる鋸歯状表面を有する。この鋸歯状構成を採用すると、各歯でマイクロ衝撃を発生することが容易になる。
【0038】
図6は、デフレーカープレート歯606を示す。図示のように、デフレーカープレート歯606は、リーディング面680、トレーリング面686、およびインパクト発生サイド面684を備える。図示のように、リーディング面680とトレーリング面686は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面670から測定されるとき実質的に同じ高さである。すなわち、頂部表面662は、略平坦な表面670の面に実質的に平行である。インパクト発生サイド面684は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。頂部表面662は、その形は本発明のある種の態様では大部分は無関係であるが、実質的に台形(そしてほぼ三角形である)である。図示のように、インパクト発生サイド面684は、複数の部分から成り得るので、インパクト発生サイド面684は、平坦な面を交差させることによって形成される。
【0039】
図7は、デフレーカープレート歯706を示す。図示のように、デフレーカープレート歯706は、リーディング面780、トレーリング面786、およびインパクト発生サイド面784を備える。図示のように、リーディング面780とトレーリング面786は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面770から測定されるとき実質的に同じ高さである。すなわち、頂部表面762は、略平坦な表面770の面に実質的に平行な面である。インパクト発生サイド面784は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。
【0040】
図示のように、インパクト発生サイド面784は、第一曲面部分785、第二曲面部分787、および第三曲面部分789を含む曲面状表面を有する。これらの部分を合わせて、インパクト発生サイド面の特異表面が規定される。幾つかの場合では、これらの表面は実質的にパラボラ状(放物線状)とし得る。
【0041】
デフレーカープレート歯706は、また、実質的に台形、または四角形(および他の態様でも同様に存在し得るが)とし得るベースの部分791を備える。このベース部分は、デフレーカープレート歯の耐久性および/または安定性を向上させ得る。ベース部分は、どのような形(例えば、実質的に長方形)でもよい。
【0042】
プレートが鋳造される場合は、ベースと歯は同じ材料から作られるのが普通である。しかし、歯がベースに接合あるいは溶接される場合は、相異なる材料が様々な態様で可能である。バーの高さは数mmから25mmまたは30mm(または他の態様ではそれ以上)とし得る。最大適用可能歯高は、デフレーカーの設計(調整メカニズム、プレートの全厚)と使用材料の破壊強度とに依存する。当業者なら理解することであるが、歯の寸法に係わるバリエーションの数は、具体的な用途に依存する。
【0043】
図8は、デフレーカープレート歯806を示す。図示のように、デフレーカープレート歯806は、リーディング面880、トレーリング面886、およびインパクト発生サイド面884を備える。図示のように、リーディング面880とトレーリング面886は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面870から測定されるとき実質的に同じ高さである。インパクト発生サイド面884は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力とリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。インパクト発生サイド面884は、リーディング面880に近接した第一部分885、トレーリング面886に近接した第三部分889、および第一と第三部分に近接した第二部分887から成る三つの部分を有する。第一部分と第三部分は、実質的に、リーディング面面880とトレーリング面886の縁に沿って実質的に平坦で、一方、第二部分は、その平坦な表面から切り出された実質的に半柱状の部分を形成している。この態様では、歯806の頂部表面は実質的に平面でなくともよい。もっとも、歯806の部分は、略平坦の表面870に平行である。
【0044】
図9はデフレーカープレート歯906を示す。図示のように、デフレーカープレート歯906は、リーディング面980、トレーリング面986、およびインパクト発生サイド面984を備える。図示のように、リーディング面980とトレーリング面986は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面970から測定されるとき実質的に同じ高さである。インパクト発生サイド面984は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。インパクト発生サイド面984は、図4に示されるインパクト発生サイド面と同様の表面を備え、図9は、デフレーカー歯の2個の円環状リングを示す。図示のように、リーディング面980の表面積は、トレーリング面986の表面積より小さい。すなわち、トレーリング面986はリーディング面980より大きい。
【0045】
図10は、デフレーカープレート歯1006を示す。図示のように、デフレーカープレート歯1006は、リーディング面1080、トレーリング面1086、およびインパクト発生サイド面1084を備える。図示のように、リーディング面1080とトレーリング面1086は両方とも実質的に台形で、略平坦な表面1070から測定されるとき実質的に同じ高さである。インパクト発生サイド面1084は、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押し戻す力と歯のリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す力の両方を発生させる表面を有する。図示のように、リーディング面1080の表面積は、トレーリング面1086の表面積より小さい。すなわち、トレーリング面1086はリーディング面1080より大きい。頂部表面1044の一側面は、曲線(すなわち、インパクト発生サイド面1084と交差することで規定された側面)で、残りの3側面は、実質的に真っ直ぐで、リーディング面1080、トレーリング面1086、および外側の表面(参照数字は付与せず)との交差で規定される。デフレーカープレート歯1006は、デフレーカープレートの最も外側の円環状リングで図示されている。
【0046】
図11は、本発明の態様の一つに基づくステータープレート1120とロータープレート1102の側面図を示す。ロータープレート1102は、歯1160を備え、ステータープレート1120は、歯1180を備える。ギャップ1192(1.5mm未満で、最も好ましくは約0.1mm以下とし得る)が、ローラープレート1102とステータープレート1120の間に存在する。ギャップ1192は、デフレーカーに送られる繊維スラリーを通すためのものである。
【0047】
歯1180は、第一リーディング端部1194(インパクト発生サイド面に接続する)、頂端部1144(歯1180の頂部表面に接続する)、および第二リーディング端1196(別のインパクト発生サイド面に接続する)で規定されたリーディング面を有する。第一角度1130(端部1194と端部1144で規定される)は、90°以上で、第二角度1132(端部1144と端部1196で規定される)も、90°以上である。これらの角度は、好ましくは、100°超、110°超、120°超、130°超、または180°未満の角度である。
【0048】
図12は、本発明の態様の一つに基づくステータープレート1220とローラープレート1202の斜視図を示す。ローラープレート1202は、歯1260を備え、ステータープレート1220は、歯1280を備える。図示のように、ローラープレート1202は、ステータープレート1220に対して矢印1299の方向に動く。
【0049】
態様の一つでは、したがって、本発明のデフレーカープレートは、ステータープレートとローラープレートの相対向する表面を傾斜させることによって、衝撃ベクトルの方向を新規なものとすることが容易に行われる。このことによって、特定の使用目的(例えば、デフレークが必要な繊維フロックのタイプ)に基づいてデフレーク剪断力を調整することが容易に行い得る。
【0050】
掃過工程に際して衝撃の方向を変える能力によって、歯の交差ゾーンで処理されている繊維への衝撃を、現在利用可能な設計とは相異なる乱流レベルまでに導く能力を得ることができる。
【0051】
鋳造技術を適用することによって、デフレーカーの中央部から始まる半径に直角な真っ直ぐの側面が一般に必要な、従来の精密機械加工による設計に較べて、交差ゾーンの長さを延長するのが容易に行い得る。このことによって、歯の安定性が増し、さらに耐久性も増す可能性も生じる。例えば、鋳造された歯は、耐破損性も向上し得る。ある種の態様では、鋳造によって、歯の両側面間のギャップを特定の幅に調整することが(例えば、シム調整を行うことによって)容易に行い得る。このことにより、今度は特定のスラリー組成と濃度に基づいてデフレーク工程を特製または調整する能力を向上し得る。
【0052】
当業者に知られているどのような好適な鋳造法も使用し得る。例えば、好適なインベストメント鋳造法は、以下のステップの一つ以上を含み得る。(1)マスターパターンを形成する。(2)マスターパターンからマスター鋳型を作る(または最初にマスターパターンを形成せずにマスター鋳型を作る)。(3)パターン(例えば、「ワックス」パターン)を作る。(4)「インベストメント」鋳型(例えば、セラミック鋳型)を形成する。残留ワックス、および/または不純物の除去を含む。(5)例えば、重力、真空圧(例えば、負圧)、正圧、遠心力などを使用して鋳型に溶融金属を注入する。(6)鋳型から凝固した金属を取り出し、次いで所望ならば研摩/艶出し加工する。
【0053】
しかし、本発明は、鋳造法に限定または規定されないことを理解されるべきである。すなわち、本明細書に記載されたデフレーカープレートを製造するには、どのような製造技術も使用し得る。
【0054】
本発明は、現在最も実用的で、好ましい態様であると考えられるものに関して記載されているけれども、本発明は、開示された態様に限定されることなく、むしろ反対に、特許請求の範囲に含まれる種々の修正や均等物も包含するものであると理解される。
【符号の説明】
【0055】
102、202、402…デフレーカープレート
104、106、108、204、206、404、506、606、706、806、906、1006、1160、1180、1260、1280…歯
110、210…中央部
112、114、212、464、570、670、770、870、970、1070…平坦表面
302、1120、1220…ステータープレート
320、1102、1202…ロータープレート
462、562、662、762、1044…頂部表面
480、580、680、780、880、980、1080…リーディング面
482、582、686、786、886、986、1086…トレーリング面
484、584、684、784、884、984、1084…インパクト発生サイド面
785、787、789…各々第一、第二、第三曲面部分
791…ベース部分
885…インパクト発生サイド面の第一部分
887…インパクト発生サイド面の第二部分
889…インパクト発生サイド面の第三部分
1144、1194、1196…各々頂端部、第一リーディング端部、第二リーディング端部
1192…ギャップ
1130、1132…角度
1299…矢印
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるためのデフレーカーに使用されるデフレーカープレートにおいて、
多数の歯から構成される少なくとも一つの円環状リングであって、
リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を有する少なくとも一つの歯を含む少なくとも一つの円環状リングを含み、
前記インパクト発生サイド面が、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとを有するインパクト力を発生するように適応されていることを特徴とするデフレーカープレート。
【請求項2】
少なくとも一つの歯の耐久性または安定性を向上させるために、少なくとも一つの歯が、デフレーカープレートの上に少なくとも一つの歯を支持する実質的に立方体のベース部分を備える、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項3】
リーディング面またはトレーリング面が実質的に台形である、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項4】
リーディング面が、第一表面積を有し、トレーリング面が第二表面積を有し、第二表面積が第一表面積より大きい、請求項3に記載のデフレーカープレート。
【請求項5】
リーディング面またはトレーリング面が実質的に三角形である、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項6】
インパクト発生サイド面が、鋸歯状の表面を有する、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項7】
インパクト発生サイド面が、少なくとも一つの曲線部分を含む曲線からなる表面を備える請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項8】
曲線からなる表面が3つの曲線部分を含む、請求項7に記載のデフレーカープレート。
【請求項9】
インパクト発生サイド面が、リーディング面に近接した第一部分、トレーリング面に近接した第三部分、および第一と第三部分に近接した第二部分を含み、第一部分と第三部分が、リーディング面とトレーリング面の縁に沿って実質的に平坦で、第二部分が、第一部分と第三部分で規定された平面から切り出された部分を含む、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項10】
歯の頂部表面が実質的に平坦でない、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項11】
少なくとも一つの歯が、リーディング面とインパクト発生サイド面の交差で規定された第一リーディング端部と、少なくとも一つの歯の頂部面の交差で規定された頂端部を含み、第一角度が、第一リーディング端部と頂端部との交差で規定され、第一角度が90°と同じかまたは90°以上である、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項12】
第一角度が180°未満である、請求項11に記載のデフレーカープレート。
【請求項13】
第一角度が110°超である、請求項12に記載のデフレーカープレート。
【請求項14】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるためのデフレーカーに使用されるデフレーカープレートの相補セットにおいて、
ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートとを含み、ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレート各々が複数の歯から構成される少なくとも一つの円環状リングを含み、
ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートの少なくとも片側に設けられた少なくとも一つの円環状リングが、リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を有する少なくとも一つの歯を含み、
インパクト発生サイド面が、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとを有するインパクト力を発生するように適応されており、
ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートがデフレーカーに取り付けられるとき、ギャップがローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートの間に規定され、
ギャップが5.0mm以下のギャップ距離を有することを特徴とするデフレーカープレートの相補セット。
【請求項15】
ギャップ距離が1.5mm以下である、請求項14に記載のデフレーカープレートの相補セット。
【請求項16】
ギャップ距離が0.4mm以下である、請求項14に記載のデフレーカープレートの相補セット。
【請求項17】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるためのデフレーカーに使用されるデフレーカープレートを製作する方法において、
デフレーカープレートとしての使用に好適な溶融合金を形成するステップと、
デフレーカープレートの形に溶融合金を鋳造するステップとを含み、
鋳造されたデフレーカープレートが、多数の歯から構成される少なくとも一つの円環状リングを含み、少なくとも一つの円環状リングが、リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を含み、前記インパクト発生サイド面が、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとを有するインパクト力を発生するように適応されていることを特徴とするデフレーカープレートの製作法。
【請求項18】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるための方法において、
デフレーカープレートの相補セットを含みデフレーカーにスラリーを供給するステップであって、相補デフレーカープレートがローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートを含み、ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレート各々が複数の歯から構成される少なくとも一つの円環状リングを含み、ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートの少なくとも片側の少なくとも一つの円環状リングが、リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を有する少なくとも一つの歯を含み、インパクト発生サイド面が、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとを有するインパクト力を発生するように適応されており、ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートがデフレーカーに取り付けられるとき、ギャップがローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートの間に規定され、ギャップが0.4mm以下のギャップ距離を有しているステップ、
ローターデフレーカープレートをステーターデフレーカープレートに相対向して回転して、インパクト力を発生させるステップ、および
デフレーカーから第二スラリーを取り出すステップであって、第二スラリーがデフレーカーに供給されたスラリーに含まれるよりも少ない繊維フレークを含有するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるためのデフレーカーに使用されるデフレーカープレートにおいて、
多数の歯から構成される少なくとも一つの円環状リングであって、
リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を有する少なくとも一つの歯を含む少なくとも一つの円環状リングを含み、
前記インパクト発生サイド面が、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとを有するインパクト力を発生するように適応されていることを特徴とするデフレーカープレート。
【請求項2】
少なくとも一つの歯の耐久性または安定性を向上させるために、少なくとも一つの歯が、デフレーカープレートの上に少なくとも一つの歯を支持する実質的に立方体のベース部分を備える、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項3】
リーディング面またはトレーリング面が実質的に台形である、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項4】
リーディング面が、第一表面積を有し、トレーリング面が第二表面積を有し、第二表面積が第一表面積より大きい、請求項3に記載のデフレーカープレート。
【請求項5】
リーディング面またはトレーリング面が実質的に三角形である、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項6】
インパクト発生サイド面が、鋸歯状の表面を有する、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項7】
インパクト発生サイド面が、少なくとも一つの曲線部分を含む曲線からなる表面を備える請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項8】
曲線からなる表面が3つの曲線部分を含む、請求項7に記載のデフレーカープレート。
【請求項9】
インパクト発生サイド面が、リーディング面に近接した第一部分、トレーリング面に近接した第三部分、および第一と第三部分に近接した第二部分を含み、第一部分と第三部分が、リーディング面とトレーリング面の縁に沿って実質的に平坦で、第二部分が、第一部分と第三部分で規定された平面から切り出された部分を含む、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項10】
歯の頂部表面が実質的に平坦でない、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項11】
少なくとも一つの歯が、リーディング面とインパクト発生サイド面の交差で規定された第一リーディング端部と、少なくとも一つの歯の頂部面の交差で規定された頂端部を含み、第一角度が、第一リーディング端部と頂端部との交差で規定され、第一角度が90°と同じかまたは90°以上である、請求項1に記載のデフレーカープレート。
【請求項12】
第一角度が180°未満である、請求項11に記載のデフレーカープレート。
【請求項13】
第一角度が110°超である、請求項12に記載のデフレーカープレート。
【請求項14】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるためのデフレーカーに使用されるデフレーカープレートの相補セットにおいて、
ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートとを含み、ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレート各々が複数の歯から構成される少なくとも一つの円環状リングを含み、
ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートの少なくとも片側に設けられた少なくとも一つの円環状リングが、リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を有する少なくとも一つの歯を含み、
インパクト発生サイド面が、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとを有するインパクト力を発生するように適応されており、
ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートがデフレーカーに取り付けられるとき、ギャップがローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートの間に規定され、
ギャップが5.0mm以下のギャップ距離を有することを特徴とするデフレーカープレートの相補セット。
【請求項15】
ギャップ距離が1.5mm以下である、請求項14に記載のデフレーカープレートの相補セット。
【請求項16】
ギャップ距離が0.4mm以下である、請求項14に記載のデフレーカープレートの相補セット。
【請求項17】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるためのデフレーカーに使用されるデフレーカープレートを製作する方法において、
デフレーカープレートとしての使用に好適な溶融合金を形成するステップと、
デフレーカープレートの形に溶融合金を鋳造するステップとを含み、
鋳造されたデフレーカープレートが、多数の歯から構成される少なくとも一つの円環状リングを含み、少なくとも一つの円環状リングが、リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を含み、前記インパクト発生サイド面が、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとを有するインパクト力を発生するように適応されていることを特徴とするデフレーカープレートの製作法。
【請求項18】
繊維スラリー中の繊維フレークを減少させるための方法において、
デフレーカープレートの相補セットを含みデフレーカーにスラリーを供給するステップであって、相補デフレーカープレートがローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートを含み、ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレート各々が複数の歯から構成される少なくとも一つの円環状リングを含み、ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートの少なくとも片側の少なくとも一つの円環状リングが、リーディング面、トレーリング面、およびインパクト発生サイド面を有する少なくとも一つの歯を含み、インパクト発生サイド面が、デフレーカーの中央部に向かってスラリーを半径方向に押す第一力ベクトルとリーディング面に向かってスラリーを接線方向に押す第二力ベクトルとを有するインパクト力を発生するように適応されており、ローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートがデフレーカーに取り付けられるとき、ギャップがローターデフレーカープレートとステーターデフレーカープレートの間に規定され、ギャップが0.4mm以下のギャップ距離を有しているステップ、
ローターデフレーカープレートをステーターデフレーカープレートに相対向して回転して、インパクト力を発生させるステップ、および
デフレーカーから第二スラリーを取り出すステップであって、第二スラリーがデフレーカーに供給されたスラリーに含まれるよりも少ない繊維フレークを含有するステップを含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−255172(P2010−255172A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98794(P2010−98794)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(502278600)アンドリッツ インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(502278600)アンドリッツ インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]