説明

デマンド制御装置

【課題】デマンド時限内に発電装置の発電量が急激に減少した場合でもデマンド時限あたりの消費電力が目標値を上回ったしまう不都合を効果的に回避する
【解決手段】デマンド制御装置1の予測部30は、デマンド時限の進行中に、電力消費機器で実際に消費された電力量に基づいてデマンド時限の終了時における消費電力量の予測値Ppを修正すると共に、発電装置7で実際に発電された電力量に基づき、デマンド時限の終了時における発電量の予測値Psを、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により修正し、電力制御部31は、予測部30の修正した消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを反映させて、電力消費機器の出力を抑制する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電力及び自然エネルギーを用いて発電する発電手段、及び/又は、蓄電池から電力消費機器に電力を供給するデマンド制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、店舗や施設に設置される電力消費機器の消費電力量は、気温や湿度等の環境によっても大きく変化し、ある時間帯にピークが生じる。一般に、電力会社との契約により電気料金は、基本料金と電力量料金から算出される。この基本料金は、予め定められた単位時間(例えば30分間。以下、「デマンド時限」という。)毎の施設全体の消費電力量の積算値の最大値(最大デマンド)に基づいて決定されるため、当該最大デマンドを最小限に抑制することが求められる。
【0003】
そのため、従来のデマンド制御システムでは、電力ピークが現れるデマンド時限において、電力消費機器の消費電力量を抑制する制御を行うことで、消費電力量のピークの発生を回避(ピークカット)している。
【0004】
一方、上記施設には、太陽光発電装置と、蓄電池とを有する電力システムが設けられている場合がある。この場合、太陽光発電装置で発電される発電量と、蓄電池の充電電力量と、電力消費機器の消費電力量に基づいて、蓄電池の充放電計画を立て、蓄電池の充放電制御を行う。これにより、商用系統から供給される電力の消費量が、ピークカットレベル(目標値)を上回る場合には、蓄電池から放電を行い、極力機器の運転を制御することなく消費電力量のピークカットを実現している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−284586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記制御では、太陽光発電装置で発電される発電量が、予測値から大きな変動を生じないことを前提として行われていたため、デマンド時限内において急激な天候変化により予測発電量が大きく減少してしまうと、商用系統から供給される電力の消費量がピークカットレベルを上回ってしまう問題がある。
【0007】
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、デマンド時限内に発電装置の発電量が急激に減少した場合でもデマンド時限あたりの商用系統から供給される電力の消費量が目標値を上回ってしまう不都合を効果的に回避することができるデマンド制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデマンド制御装置は、商用電力及び自然エネルギーを用いて発電する発電手段から電力消費機器への電力供給を制御するものであって、デマンド時限の開始時に、機器環境条件に基づいて当該デマンド時限の終了時までの電力消費機器による消費電力量の予測値Ppを予測すると共に、発電環境条件に基づいてデマンド時限の終了時までの発電手段による発電量の予測値Psを予測する予測部と、該予測部の予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Ptを上回る場合、電力消費機器の出力を抑制する制御を行う電力制御部とを有し、予測部は、デマンド時限の進行中に、電力消費機器で実際に消費された電力量に基づいてデマンド時限の終了時までの消費電力量の予測値Ppを修正すると共に、発電手段で実際に発電された電力量に基づき、デマンド時限の終了時までの発電量の予測値Psを、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により修正し、電力制御部は、予測部の修正した消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを反映させて電力消費機器の出力を抑制する制御を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項2のデマンド制御装置は、商用電力、蓄電池、及び、自然エネルギーを用いて発電する発電手段から電力消費機器への電力供給を制御するものであって、デマンド時限の開始時に、機器環境条件に基づいて当該デマンド時限の終了時までの電力消費機器による消費電力量の予測値Ppを予測すると共に、発電環境条件に基づいてデマンド時限の終了時までの発電手段による発電量の予測値Psを予測する予測部と、該予測部の予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Ptを上回る場合、蓄電池の出力を制御して当該蓄電池から電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させる電力制御部とを有し、予測部は、デマンド時限の進行中に、電力消費機器で実際に消費された電力量に基づいてデマンド時限の終了時までの消費電力量の予測値Ppを修正すると共に、発電手段で実際に発電された電力量に基づき、デマンド時限の終了時までの発電量の予測値Psを、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により修正し、電力制御部は、予測部の修正した消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを反映させて蓄電池による電力供給を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、上記各発明において、電力制御部は、予測部の予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、前記消費電力量の目標値Ptを上回る以前に、当該目標値Ptに所定の安全係数αを乗じて得られる消費電力量の設定値Pt×αを上回る場合、電力消費機器の出力を抑制する制御を行い、又は、蓄電池の出力を制御して、蓄電池から電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、上記各発明において、寄与率は、0以上1以下の範囲で、デマンド時限の終了時までの残時間が少なくなるほど小さくなる値であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、上記請求項3又は請求項4の発明において、予測部は、デマンド時限の開始時に近い時点ほど安全係数αを小さくすることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、上記請求項2乃至請求項5の各発明において、電力制御部は、蓄電池に充電された電力を使い切る時刻を予測し、予測した時刻が商用電力の単価の下がる時間帯となる場合、蓄電池の出力を制御して電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させ、商用電力の単価の下がる時間帯に商用電力を蓄電池に充電させることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、上記請求項2乃至請求項6の各発明において、電力制御部は、予測部が予測した商用電力の消費予測値Pp−Psが消費電力量の目標値Pt又は消費電力量の設定値Pt×αを上回る場合において、それらの差が蓄電池の充電量を上回るときには、当該差分量の電力分について電力消費機器の出力を抑制する制御を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、上記各発明において、電力消費機器で実際に消費された電力量と、そのときの気温及び湿度データを含む機器環境条件、並びに、時間帯とを対応付けて保存することにより構築された消費電力実績データベースと、発電手段で実際に発電された電力量と、そのときの気象データを含む発電環境条件及び時間帯とを対応付けて保存することにより構築された発電量実績データベースとを備え、予測部は、現在の機器環境条件及び発電環境条件に基づき、消費電力実績データベース及び発電量実績データベースを参照して消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを予測することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、上記発明において、電力消費機器の出力を抑制する制御を行った場合、電力消費機器の出力を抑制しなかったときの当該電力消費機器の消費電力量を推定して消費電力実績データベースを構築することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、上記各発明において、発電手段は、太陽光発電装置、又は、風力発電装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、商用電力及び自然エネルギーを用いて発電する発電手段から電力消費機器への電力供給を制御するデマンド制御装置において、デマンド時限の開始時に、機器環境条件に基づいて当該デマンド時限の終了時までの電力消費機器による消費電力量の予測値Ppを予測すると共に、発電環境条件に基づいてデマンド時限の終了時までの発電手段による発電量の予測値Psを予測する予測部と、該予測部の予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Ptを上回る場合、電力消費機器の出力を抑制する制御を行う電力制御部とを有し、予測部は、デマンド時限の進行中に、電力消費機器で実際に消費された電力量に基づいてデマンド時限の終了時までの消費電力量の予測値Ppを修正すると共に、発電手段で実際に発電された電力に基づき、デマンド時限の終了時までの発電量の予測値Psを、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により修正し、電力制御部は、予測部の修正した消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを反映させて電力消費機器の出力を抑制する制御を行うことにより、突発的な天候の変化により発電量が急激に減少してしまう場合であっても、デマンド時限の終了時に近づくに従って発電量の予測値Psが寄与率によって減少して予測されるため、余裕を持って電力消費機器の出力を抑制する制御を行うことが可能となり、デマンド時限の終了時に商用電力から供給される消費電力量が目標値Ptを上回ってしまうピーク電力の発生を効果的に抑制することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、商用電力、蓄電池、及び、自然エネルギーを用いて発電する発電手段から電力消費機器への電力供給を制御するデマンド制御装置において、デマンド時限の開始時に、機器環境条件に基づいて当該デマンド時限の終了時までの電力消費機器による消費電力量の予測値Ppを予測すると共に、発電環境条件に基づいてデマンド時限の終了時までの発電手段による発電量の予測値Psを予測する予測部と、該予測部の予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Ptを上回る場合、蓄電池の出力を制御して当該蓄電池から電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させる電力制御部とを有し、予測部は、デマンド時限の進行中に、電力消費機器で実際に消費された電力量に基づいてデマンド時限の終了時までの消費電力量の予測値Ppを修正すると共に、発電手段で実際に発電された電力量に基づき、デマンド時限の終了時までの発電量の予測値Psを、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により修正し、電力制御部は、予測部の修正した消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを反映させて蓄電池による電力供給を制御することにより、突発的な天候の変化により発電量が急激に減少してしまう場合であっても、デマンド時限の終了時に近づくに従って発電量の予測値Psが寄与率によって減少して予測されるため、余裕を持って蓄電池による電力供給制御が可能となり、デマンド時限の終了時に商用電力から供給される消費電力量が目標値Ptを上回ってしまうピーク電力の発生を効果的に抑制することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、上記各発明において、電力制御部は、予測部の予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、消費電力量の目標値Ptを上回る以前に当該目標値Ptに所定の安全係数αを乗じて得られる消費電力量の設定値Pt×αを上回る場合、電力消費機器の出力を抑制する制御を行い、又は、蓄電池の出力を制御して、蓄電池から電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させることにより、より確実にピーク電力の発生を回避することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、上記各発明において、寄与率は、0以上1以下の範囲で、デマンド時限の終了時までの残時間が少なくなるほど小さくなる値とすることで、蓄電池からの過剰な電力供給を抑制しつつ、天候を考慮した効果的なピーク電力の抑制を実現することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、上記請求項3又は請求項4の各発明において、予測部は、デマンド時限の開始時に近い時点ほど安全係数αを小さくすることにより、より確実なピーク電力カットを実現することができると共に、電力消費機器の過剰な電力抑制制御、又は、蓄電池からの過剰な電力供給を抑止することが可能となる。
【0023】
請求項6の発明によれば、上記請求項2乃至請求項5の各発明において、電力制御部は、蓄電池に充電された電力を使い切る時刻を予測し、予測した時刻が商用電力の単価の下がる時間帯となる場合、蓄電池の出力を制御して電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させ、商用電力の単価の下がる時間帯に商用電力を蓄電池に充電させるので、消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psと、消費電力量の目標値Pt又は設定値Pt×αとの大小関係にかかわらず、蓄電池に充電された電力を使用し、商用電力の単価の下がる時間帯に蓄電池を充電することで、ピーク電力の抑制のみならず、電力使用量を抑制することができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、上記請求項2乃至請求項6の各発明において、電力制御部は、予測部が予測した商用電力の消費予測値Pp−Psが消費電力量の目標値Pt又は消費電力量の設定値Pt×αを上回る場合において、それらの差が蓄電池の充電量を上回るときには、当該差分量の電力分について電力消費機器の出力を抑制する制御を行うことにより、より確実にピーク電力の発生を回避することができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、上記各発明において、電力消費機器で実際に消費された電力量と、そのときの気温及び湿度データを含む機器環境条件、並びに、時間帯とを対応付けて保存することにより構築された消費電力実績データベースと、発電手段で実際に発電された電力量と、そのときの気象データを含む発電環境条件及び時間帯とを対応付けて保存することにより構築された発電量実績データベースとを備え、予測部は、現在の機器環境条件及び発電環境条件に基づき、消費電力実績データベース及び発電量実績データベースを参照して消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを予測することにより、精度の高い予測に基づいた制御を実現することができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、上記発明において、電力消費機器の出力を抑制する制御を行った場合、電力消費機器の出力を抑制しなかったときの当該電力消費機器の消費電力量を推定して消費電力実績データベースを構築することにより、電力消費機器の出力を抑制する制御を行った場合における電力消費機器で実際に消費された電力量に基づく予測よりも、予測精度を向上させることができる。
【0027】
特に、請求項10の発明の如く発電手段を、太陽光発電装置、又は、風力発電装置とした場合、天候による発電量の変化が大きくなるため、本願発明が有効である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用した制御システムの模式図である。
【図2】図1のデマンド制御装置の制御ブロック図である。
【図3】消費電力実績データベースの内部構成の模式図である。
【図4】発電量実績データベースの内部構成を示す図である。
【図5】基本制御のフローチャートである。
【図6】デマンド時限開始時の予測・制御処理のフローチャートである。
【図7】各条件のデマンド時限における制御についてのタイミングチャートである。
【図8】放電・機器の出力抑制制御判定処理のフローチャートである。
【図9】デマンド時限途中時の予測・制御処理のフローチャートである。
【図10】予測制御処理において予測される各電力量の推移を示す図である(開始時)。
【図11】予測制御処理において予測される各電力量の推移を示す図である(途中時。10分経過後)。
【図12】予測制御処理において、発電量が予測を下回った場合の各電力量の推移を示す図である(途中時。20分経過後。寄与率による修正なし)。
【図13】予測制御処理において、発電量が予測を下回った場合の各電力量の推移を示す図である(途中時。20分経過後。寄与率による修正あり)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用する制御システムの模式図である。本実施例のデマンド制御装置1は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店舗等の施設に設置されるものであり、当該施設には、デマンド制御装置1と共に、制御システムを構成するショーケース2と、冷凍機3と、空調機4と、照明5等の電力消費機器と、太陽光発電装置、又は、風力発電装置などの自然エネルギーを用いて発電する発電装置7と、蓄電池8が設けられている。本実施例では、発電装置として太陽光発電装置を例に挙げて説明する。
【0030】
各電力消費機器は、商用電源からの電力供給を行うための商用電力がACライン(商用電力系統)10によりキュービクル11を介して接続されている。このキュービクル11は、電力会社から供給される高圧電力を店舗側で管理し低圧に変換する受変電設備である。
【0031】
太陽光発電装置7は、照射される光の量(日射量)に応じて電力を発電するものである。この太陽光発電装置7にて発電された直流電力は、接続されるパワーコンディショナ12において交流電力に変換される。このパワーコンディショナ12は、ACライン10に接続される。
【0032】
また、ACライン10には、AC/DCコンバータ13及びDC/ACコンバータ14が並列に介設されて蓄電池8が接続されている。
【0033】
これにより、ショーケース2等の各電力消費機器は、キュービクル11を介して取得した商用電力、DC/ACコンバータ14を介して取得した蓄電池8からの電力、及び、パワーコンディショナ12を介して取得した太陽光発電装置7にて発電された電力が供給されて動作可能とされる。また、蓄電池8は、AC/DCコンバータ13を介して取得した商用電力及び太陽光発電装置7にて発電された電力を充電可能とされる。
【0034】
デマンド制御装置1は、汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、通信ライン15を介して、ショーケース2、冷凍機3、空調機4、照明5等の電力消費機器と、パワーコンディショナ12と、AC/DCコンバータ13、DC/ACコンバータ14と接続されている。また、デマンド制御装置1には、当該店舗において各電力消費機器が消費した電力量を検出する電力計20や、電力消費機器が設置される店舗の外気温度を検出するための外気温度センサ21、その湿度を検出するための湿度センサ22が接続されている。更には、デマンド制御装置1には、インターネット等のネットワーク23を介してサーバ24と相互に接続可能とされる。サーバ24は、気象データサービスとして実際に観測された気象を示す実気象データと、気象の予測を示す気象予報データとを提供する。気象データとしては、晴れや、曇り、雨等の天気データなどがある。また、サーバ24は、店舗外に設置されて各機器の遠隔操作を行ってもよい。
【0035】
図2は、本実施例におけるデマンド制御装置1の制御ブロック図を示している。デマンド制御装置1は、予測部30と、電力制御部31と、比較部32、消費電力実績データベース33と、発電量実績データベース34と、電力使用量取得部35と、発電量取得部36と、蓄電池放電量取得部44と、温度取得部37と、湿度取得部38と、気象データ取得部39と、タイマ40と、蓄電池残量取得部41と、蓄電池制御部42及び、機器制御部43を有している。
【0036】
消費電力実績データベース33は、ショーケース2、冷凍機3、空調機4、照明5等の各電力消費機器で実際に消費された電力量が、電力消費機器等が設置される店舗の外気温度等の機器環境条件、及び、その電力消費機器の使用時間帯の少なくとも二つの条件と対応づけられて保存することにより構築されている。機器環境条件は、外気温度に加えて当該電力消費機器等が設置される店舗の絶対湿度を消費電力量に対応づけてもよい。
【0037】
図3は、消費電力実績データベース33の内部構成を模式的に示している。消費電力実績データベース33は、電力消費機器等が設置された店舗の外気温度、その絶対湿度、及び、電力消費機器の使用時間帯の3つのパラメータと、電力消費機器等の各電力消費機器における単位時間あたりの通常時の消費電力量の実績値が対応づけられて格納されている。尚、詳細は後述する如き、電力消費機器の出力を抑制する制御を行った場合には、電力消費機器の出力を抑制しなかったときの当該電力消費機器の消費電力量を推定して、各温度、湿度と対応づけられてデータベースに格納される。図3には、外気温度が+10℃〜+15℃、絶対湿度が0.005〜0.010kg/kg、及び使用時間帯が0時〜0時10分までの各電力消費機器の消費電力量が例示されている。
【0038】
発電量実績データベース34は、太陽光発電装置7にて実際に発電された電力を、そのときの気象データ等の発電環境条件、及び、その時間帯と対応づけて保存することにより構築されている。
【0039】
図4は、発電量実績データベース34の内部構成を示している。発電量実績データベース34は、日時毎に、気象データ(天気データ)と、太陽光発電装置7における単位時間あたりの発電量の実績値が対応づけられて格納されている。
【0040】
前記予測部30は、当該デマンド制御装置において、制御の単位時間として用いられるデマンド時限の開始時に、現在の電力消費機器の機器環境条件に基づき、消費電力実績データベース33を参照してデマンド時限の終了時までの電力消費機器による消費電力量の予測値Ppを予測する。また、デマンド時限の開始時に、現在の太陽光発電装置7の発電環境条件に基づき、発電量実績データベース34を参照してデマンド時限の終了時までの発電装置7による発電量の予測値Psを予測する。
【0041】
ここで、「機器環境条件」とは、各電力消費機器の設置された環境や電力消費機器の使用条件をいい、例えば各外気温度センサ21にて検出される外気温度と、湿度センサ22にて検出される湿度と、使用時間帯である。「発電環境条件」とは、使用日時(月日と時間帯を含む)と、ネットワーク23を介してサーバ24から取得される気象データ(天気データ)である。各温度センサ21にて検出された電力消費機器が設置される店舗の外気温度は、温度取得部37にて取得され、湿度センサ22にて検出された電力消費機器が設置される店舗の絶対湿度は、湿度取得部38にて取得される。また、ネットワーク23を介してサーバ24から送信される気象データ(天気データ)は、気象データ取得部39にて取得される。
【0042】
そのため、予測部30は、温度取得部37、湿度取得部38にて取得された機器環境条件、及び、タイマ40から使用時間帯についての機器環境条件を取得して消費電力実績データベース33を参照する。また、予測部30は、タイマ40から使用日及び使用時間帯についての発電環境条件、及び、気象データ取得部39にて取得された気象データについての発電環境条件を発電量実績データベース34に参照する。尚、予測部30には、何らかの理由で何れかの環境条件が取得できない場合には、その条件に関しては、データベース33、34に格納されている値の平均値を算出して予測値とする。
【0043】
電力使用量取得部35は、電力計20から各電力消費機器が実際に消費した電力量を取得する。発電量取得部36は、パワーコンディショナ12から太陽光発電装置7にて実際に発電した電力量を取得する。蓄電池放電量取得部44は、蓄電池8から実際に放電した電力を取得する。比較部32は、詳細は後述するように、予測部30が予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psと、1デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Pt、又は、当該目標値Ptに所定の詳細は後述する安全係数αを乗じて得られる消費電力量の設定値Pt×αとの大小関係を比較する。この際、蓄電池8から放電が行われることが予想される場合には、商用電力の消費予測値は、予測部30が予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psと、蓄電池8の放電量Pdを減算して得られるPp−Ps−Pdを、1デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Pt又は消費電力量の設定値Pt×αとの大小関係を比較する。尚、1デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Pt又は設定値Pt×αは、データベース33に予め格納されており、比較部32は消費電力実績データベース33からその値を読み出して比較する。
【0044】
電力制御部31は、蓄電池制御部42を介して蓄電池8の出力を制御し、蓄電池8から各電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させたり、機器制御部43を介して各電力消費機器を制御する。例えば空調機4の出力を下げて消費電力量を抑制する。
【0045】
以下、予測部30、電力制御部31及び比較部32による各電力消費機器への給電制御について図5乃至図9を参照して詳細に説明する。図5は本実施例におけるデマンド制御装置1の基本処理の流れを説明するフローチャートである。当該フローチャートにおける処理は、デマンド制御装置1が起動した時点で開始する。
【0046】
(1)デマンド制御装置の基本処理
まずデマンド制御装置1は、予測部30によりタイマ40から現在の時刻を取得し(ステップS1)、当該取得した時刻がデマンド制御の判断を行うタイミングであるか否かを判断する(ステップS2)。本実施例において、予測部30は、1デマンド時限である30分間を所定の間隔毎に分割し、各間隔の開始時にデマンド制御の判断を行う。ここで、「所定の間隔」とは、電力制御部31が制御判断を行う基準間隔であり、例えば10分間とする。かかる場合、予測部30は、デマンド時限の開始時に1回、当該デマンド時限の進行中である開始から10分後及び20分後にそれぞれ1回の、合計3回の判断を行う。
【0047】
ステップS2において、タイマ40から取得した時刻が、デマンド制御の判断を行うタイミングである場合には、ステップS3に進み、当該判断タイミングが、デマンド時限の開始時であるか否かを判断する。係る判断タイミングが、デマンド時限の開始時である場合には、ステップS4に進み、「デマンド時限開始時の予測・制御処理」を行う。他方、係る判断タイミングが、デマンド時限の開始時でない場合、即ち、デマンド時限の進行中である開始から10分後又は20分後である場合には、ステップS5に進み、「デマンド時限途中時の予測・制御処理」を行う。尚、各「予測・制御処理」の詳細については後述する。
【0048】
一方、上記ステップS2においてタイマ40から取得した現在時刻がデマンド制御の判断を行うタイミングでない場合、若しくは、ステップS4又はステップS5において各「予測・制御処理」を実行した場合には、ステップS6に進み、予測部30は一定時間待機する。待機時間は例えば1分間であり、待機後上記ステップS1に戻って処理を継続する。
【0049】
(2)デマンド時限開始時の予測・制御処理
次に、上記ステップS4におけるデマンド時限開始時の予測・制御処理について図6のフローチャートを参照して説明する。尚、図7には、各条件のデマンド時限における制御についてのタイミングチャートを示している。デマンド制御装置1は、電力制御部31により前回のデマンド時限における電力消費機器のデマンド制御を初期化する(ステップS11。機器のリセット)。そして、電力制御部31は、ステップS12に進み、蓄電池残量取得部41から現在の蓄電池8の残量Prを取得し、現電池残量Prと定格出力に基づき、蓄電池8に充電された電力を使い切るために要する時間Tdを算出して予測する。
【0050】
次に、電力制御部31は、ステップS13において、タイマ40から取得される現在の時刻が通常電気料金の時間帯で、且つ、ステップS12において予測された時間Td経過後の時刻が商用電力の単価の下がる夜間の時間帯となるか否かを判断する。ステップS13で、現在の時刻が通常電気料金の時間帯でない場合、又は、予測された時間Td経過後の時刻が商用電力の単価が下がる夜間の時間帯とならない場合には、ステップS14に進み、予測部30は、当該デマンド時限の終了時までの各電力消費機器の消費電力量の予測値(予測消費電力量)Ppを予測する。当該予測消費電力量Ppの予測は、上述したように、現在の機器環境条件に基づき、消費電力実績データベース33を参照して行う。
【0051】
次に、ステップS15に進み、予測部30は、当該デマンド時限の終了時までの太陽光発電装置7の発電量の予測値(予測発電量)Psを予測する。当該予測発電量Psの予測は、上述したように、現在の発電環境条件、即ち、ネットワーク23を介してサーバ24から取得される気象予報データ(天気予報データ)に基づき、発電量実績データベース34を参照して行う。
【0052】
そして、ステップS16に進み、予測部30は、予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psを算出する。比較部32は、取得された商用電力の消費予測値Pp−Psが1デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Pt、又は、当該目標値Ptに所定の安全係数αを乗じて得られる消費電力量の設定値Pt×αを上回るか否かを判断する。尚、当該実施例では、消費電力量の設定値Pt×αを採用した場合について示す。
【0053】
ここで、安全係数αは、1デマンド時限あたりの商用電力の消費量が消費電力量の目標値Ptを上回ることを確実に防止するために、蓄電池8の電力を使用するか否かの判断を調整するためのパラメータである。安全係数αは、0以上1以下の範囲でデマンド時限の開始時に近い時点ほど小さくなる値である。例えば、デマンド時限経過時間をt(分)とし、α=0.7+0.01tと設定することで、デマンド時限開始時の安全係数が0.7、終了時の係数が1となり、デマンド時限開始時には蓄電池8から電力を使用しやすい条件を用い、終了時に近づくにつれて目標値Ptに近づく制御を行うことができる。これにより、より確実なピーク電力カットを実現することができると共に、蓄電池8の過剰な電力供給を抑制することが可能となる。尚、当該安全係数αの変更パターンは消費電力実績データベース33に予め格納されており、比較部32は、消費電力実績データベース33を参照して適切な安全係数αを取得する。
【0054】
ステップS16において、得られた商用電力の消費予測値Pp−Psが設定値Pt×αを上回る(Pp−Ps>Pt×α)場合、図7におけるデマンド時限(i)、(iii)、(iv)の場合、ステップS17に進み、電力制御部31は、「放電・機器のデマンド制御判定処理」を行い、係るデマンド時限開始時の予測・制御処理を終了する。尚、当該「放電・機器のデマンド制御判定処理」の詳細については後述する。他方、ステップS16において、得られた商用電力の消費予測値Pp−Psが設定値Pt×α以下(Pp−Ps≦Pt×α)の場合、図7におけるデマンド時限(ii)、(v)の場合、ステップS18に進み、多くとも(Pt×α)−Pp+Psの分だけ商用電力を蓄電池8に充電させ、係るデマンド時限開始時の予測・制御処理を終了する。この場合、電力制御部31は、当該デマンド時限が、商用電力の単価の下がる時間帯、例えば、深夜電力時間帯か否かを判断し、当該時間帯である場合に限り、商用電力を蓄電池8に充電させることとしてもよい。これにより、電気料金の低減を図ることができる。
【0055】
上記ステップS13において、現在の時刻が通常電気料金の時間帯で、且つ、予測された時間Td経過後の時刻が商用電力の単価が下がる夜間の時間帯となる場合には、ステップS19に進み、電力制御部31は、蓄電池制御部42を介して蓄電池8の出力を制御して電力消費機器に電力を供給し、蓄電池8の電力を完全放電させる。そして、商用電力の単価の下がる時間帯に商用電力を蓄電池8に充電させる。これにより、消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psと、消費電力量の目標値Pt又は設定値Pt×αとの大小関係にかかわらず、蓄電池8に充電された電力を使用し、商用電力の単価の下がる時間帯に蓄電池8を充電することで、ピーク電力の抑制のみならず、電力使用量を抑制することができる。以上で、デマンド時限開始時の予測・制御処理を終了する。
【0056】
(3)放電・機器のデマンド制御判定処理
次に、上記ステップS17における放電・機器のデマンド制御判定処理について図8のフローチャートを参照して説明する。当該制御では、先ずステップS21において、同日中に各電力消費機器による消費電力量のピーク時刻が発生するか否かを判断する。具体的には、予測部30により、当該デマンド時限の開始時に温度センサ21にて検出された電力消費機器の設置される空間の気温と、インターネット等のネットワーク23を介して取得したデマンド時限の開始時以降の気温の予測値とに基づき、各電力消費機器による消費電力量のピーク時刻を、消費電力実績データベース33を参照して予測する。当該予測されたピーク時刻が同日中に発生する場合には、図7におけるデマンド時限(i)、(iii)の場合、ステップS22に進む。
【0057】
ここで、予測部30は、デマンド時限の開始時から当該予測したピーク時刻までの間に存在する、各デマンド時限における電力消費機器による消費電力量の予測値を消費電力実績データベース33を参照して予め予測する。また、予測部30は、デマンド時限の開始時から当該予測したピーク時刻までの間に存在する、各デマンド時限における太陽光発電装置7による発電量の予測値を発電量実績データベース34を参照して予め予測する。この際、予測部30は、深夜の時間帯などピーク電力が明らかに発生する可能性が低い時間帯において、そこから24時間分の消費電力量及び発電量の予測を行うことが望ましい。この時点では環境条件が正確にはわからないため、予測部30は、温度についての予測は、ネットワーク23を介して取得した気象庁の気象予報データなどを参照する。
【0058】
そして、予測部30は、各デマンド時限Nにおける予測消費電力量Pp(N)と、各デマンド時限Nにおける予測発電量Ps(N)を算出し、これらから得られる各デマンド時限Nにおける商用電力の予測消費電力量Pp(N)−Ps(N)と、消費電力量の目標値Ptとの差を、1日分である48デマンド時限分のテーブルとして消費電力実績データベース33にセットする。これにより、最大ピーク電力が発生する可能性のあるデマンド時限と、十分に余裕があると見なせるデマンド時限とを予測しておく。
【0059】
そして、上記ステップS22では、電力制御部31は、蓄電池制御部42を介して予め充電されている現在の蓄電池8の電池残量Prと、今後当日中におけるピーク時刻(最大ピーク電力発生時間帯)までの予測充放電量の和Σ(Pt−Pp(N)+Ps(N))との和と、ピーク時刻(最大ピーク電力発生時間帯)における予測放電量Pp(Nmax)−Ps(Nmax)−Ptとを比較する。即ち、最大ピーク電力発生時間帯において、蓄電池8に十分な充電量が確保されているか否かを判断する。ここで、Nmaxは、最大ピーク電力発生時間帯を含むデマンド時限を表すものとする。
【0060】
上記のPt−Pp(N)+Ps(N)の項は、消費電力量の予測値Pp(N)から発電量の予測値Ps(N)を減算して得られる商用電力の消費予測値Pp(N)−Ps(N)が、1デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Ptを下回り、電力に余裕があるデマンド時限については正の値となる。他方、商用電力の消費予測値Pp(N)−Ps(N)が目標値Ptを上回る可能性があるデマンド時限については、負の値となる。予測部30は、これらをデマンド時限の開始時からピーク時刻までの間に存在するデマンド時限数の分だけ積算することで、複数時限を経た後の蓄電池8の充電残量を把握することができる。
【0061】
ステップS22において、蓄電池8の電池残量が、Pp−Ps−Pt×αよりも少ないと判断した場合、即ち、Pp−Ps−Pt×αが蓄電池8の充電量を上回る場合(図7におけるデマンド時限(iii)の場合)、電力制御部31は、ステップS25に進み、蓄電池8の充電量の不足分Pp−Ps−Pt×α−Pr分(Pp−Ps−Pt×αと蓄電池8の充電量の差分量)だけ、消費電力量が削減されるように、各電力消費機器の出力を抑制する制御を行う。具体的には、空調機3の設定温度を1℃上げるなどにより運転出力を落としたり、照明5を消灯したりすることによって、各電力消費機器の消費電力量を抑制し、より確実にピーク電力の発生を回避する。電力制御部31は、係る各電力消費機器の出力を抑制する制御における削減電力量について、消費電力実績データベース33を参照して過去の電力消費機器運転時の平均消費電力量を取得するか、或いは、定格電力を用いて算出することによって取得する。
【0062】
他方、ステップS21において、ピーク時刻が同日中にない場合、図7におけるデマンド時限(iv)の場合、或いは、ステップS22において、ピーク時刻に蓄電池8の充電残量が十分ある場合、図7におけるデマンド時限(i)の場合、ステップS23に進み、電力制御部31は、デマンド時限終了時までに各電力消費機器に充当できるようにPp−Ps−Pt×α分の電力量を蓄電池8に放電させる。この際、電力制御部31は、デマンド時限が終了する30分をかけて放電するように蓄電池8の出力を制御する。蓄電池8が放電中の場合には、電力制御部31は、蓄電池8の放電量がPp−Ps−Pt×αとなるまで放電量を増加する。
【0063】
蓄電池8の放電中に、Pr≧Pp−Ps−Pt×αではなくなった場合、ステップS25に進み、電力制御部31は、蓄電池8の充電量の不足分、差分量の電力分であるPp−Ps−Pt×α−Prだけ、空調機などの各電力消費機器の出力を抑制する制御を行う。尚、係る電力消費機器の出力を抑制する制御を行った場合には、電力消費機器の出力を抑制しなかったときの当該電力消費機器の消費電力量を推定して消費電力実績データベースを構築するものとする。例えば、冷却機器の設定温度を1℃上げるなどによって、電力消費機器の出力を抑制する制御を行っている場合には、消費電力実績データベースに保持している機器の設定温度に対する消費電力量に基づいて電力消費機器の出力を抑制する制御が行われなかった場合の消費電力量に修正して消費電力実績データベースに登録する。これにより、電力消費機器の出力を抑制する制御を行った場合における電力消費機器で実際に消費された電力量に基づく予測よりも、予測精度を向上させることができる。
【0064】
他方、Pr≧Pp−Pt×αであれば、電力制御部31は特段の処理をせずに、当該放電・機器のデマンド制御判定処理を終了する。
【0065】
(4)デマンド時限途中時の予測・制御処理
次に、上記図5のステップS5におけるデマンド時限途中時の予測・制御処理について図9のフローチャートを参照して説明する。デマンド制御装置1は、デマンド時限の進行中に、例えば、Δt経過時点、本実施例では、デマンド時限の開始から10分後と20分後に、ステップS31において、予測部30により当該デマンド時限の開始時から電力消費機器で実際に消費された電力量の実績値に基づき当該デマンド時限の終了時までの消費電力量の予測値(予測消費電力量)Ppを再計算し、修正する。
【0066】
次に、予測部30は、ステップS32において、当該デマンド時限の開始時から太陽光発電装置7で実際に発電された電力量の実績値に基づき、デマンド時限の終了時までの発電量の予測値(予測発電量)Psを再計算し、修正する。この際、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により発電量の予測値Psを修正する。
【0067】
具体的には、図9に示すように、当該デマンド時限(T)内での実際の発電量P0を発電量実績データベース34に反映させる(P0・T/Δt)。そして、当該デマンド時限の終了時までの残時間に応じて寄与率β(t)を変化させた発電量予測を算出する。この際、β(t)は、0以上1以下の範囲で、デマンド時限の終了時までの残時間が少なくなるほど小さくなる(単調減少する関数)値である。
【0068】
そして、ステップS33において、予測部30は、修正した消費電力量の予測値Ppから修正した発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の修正消費予測値Pp−Psを算出する。比較部32は、取得された商用電力の修正消費予測値PpーPsが1デマンド時限あたりの目標値Ptに所定の安全係数αを乗じて得られる消費電力量の設定値Pt×αを上回るか否かを判断する。
【0069】
ステップS33において、得られた商用電力の消費予測値Pp−Psが設定値Pt×αを上回る(Pp−Ps>Pt×α)場合、ステップS34に進み、上記(3)と同様の放電・機器のデマンド制御判定処理を実行する。即ち、次のデマンド時限以降の同日中にピーク電力が発生する場合には、最大ピーク電力発生時間帯において、蓄電池8に十分な充電量が確保されているか否かを判断し、蓄電池8の電池残量が、Pp−Ps−Pt×αよりも少ないと判断した場合、電力制御部31は、蓄電池8の充電量の不足分Pp−Ps−Pt×α−Pr分だけ、消費電力量が削減されるように、各電力消費機器の出力を抑制する制御を行う。
【0070】
他方、ピーク時刻が同日中にない場合、或いは、ピーク時刻に蓄電池8の充電残量が十分ある場合、電力制御部31は、デマンド時限終了時までに各電力消費機器に充当できるようにPp−Ps−Pt×α分の電力を蓄電池8に放電させる。
【0071】
デマンド時限の途中で予測部30が消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを修正した結果、予測部30が修正した商用電力の消費予測値Pp−Psが消費電力量の設定値Pt×αを上回る場合において、それらの差が蓄電池8の充電量Prを上回るとき、即ち、Pr≧Pp−Ps−Pt×αではなくなった場合、電力制御部31は、蓄電池8の充電量の不足分、差分量の電力分であるPp−Ps−Pt×α−Prだけ、空調機などの各電力消費機器の出力を抑制する制御を行う。一方、Pr≧Pp−Ps−Pt×αの間は、蓄電池8の放電処理のみを継続する。
【0072】
一方、上記ステップS33において、得られた商用電力の消費予測値Pp−Psが設定値Pt×α以下(Pp−Ps≦Pt×α)場合、ステップS35に進み、電力制御部31は上記電力消費機器の出力を抑制する制御を実施中の機器がある場合には、当該機器の運転を通常運転に戻す。即ち、電力消費機器の出力を抑制する制御を解除する。
【0073】
そして、ステップS36に進み、蓄電池8が放電中であるか否かを判断し、放電中である場合には、電力制御部31は、蓄電池8の放電を中止する。そして、ステップS37において、多くとも(Pt×α)−Pp+Psの分だけ商用電力を蓄電池8に充電させ、係るデマンド時限途中時の予測・制御処理を終了する。この場合においても、電力制御部31は、当該デマンド時限が、商用電力の単価の下がる時間帯、例えば、深夜電力時間帯か否かを判断し、当該時間帯である場合に限り、商用電力を蓄電池8に充電させることとしてもよい。これにより、電気料金の低減を図ることができる。
【0074】
ここで、図10乃至図13を参照して、本実施例におけるデマンド時限における予測制御処理について、各電力量の予測推移及び実際の電力量の推移を例に挙げて説明する。各図において、上側のグラフの縦軸は、デマンド時限内の各電力の積算量を示し、下側のグラフの縦軸は、太陽光発電装置7の発電量を示している。横軸は、1デマンド時限の時間の経過を示している。
【0075】
図10は、デマンド時限開始時における予測・制御処理での各電力量の予測を示している。1デマンド時限における電力消費機器の予測消費電力量Ppは、図6のステップS14において、デマンド時限開始時点における機器環境条件に基づき、消費電力実績データベース33を参照して予測される。当該デマンド時限の開始時から終了時にかけて均等に消費されるものと推定する。尚、係る予測消費電力量Ppの推定方法はこれに限定されない。
【0076】
1デマンド時限における太陽光発電装置7の予測発電量Psは、図6のステップS15において、デマンド時限開始時点における発電環境条件、即ち、ネットワーク23を介してサーバ24から取得される気象予報データ(天気予報データ)に基づき、発電量実績データベース34を参照して予測される。下側のグラフに示されているように、予測発電量Psは、開始時点からデマンド時限の終了時点まで均一に発電されるものと推定する。尚、係る予測発電量Psの推定方法はこれに限定されない。
【0077】
そのため、当該デマンド時限の終了時までの消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Ps(図中ハッチング部分)を減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Ps(図中ドットの部分)は、消費電力量の設定値Pt×α(終了時には目標値Ptとなる。)を下回っているため、多くとも(Pt×α)−Pp+Psの分だけ商用電力を蓄電池8に充電させる(図6のS18)。そして、次のデマンド制御の判断タイミング(本実施例では、当該デマンド時限の開始から10分後)まで、係る制御を継続する。
【0078】
次に、図11を参照して、デマンド時限途中時(開始から10分後)における予測・制御処理について説明する。図11では、デマンド時限の開始時(0分)から10分経過までの範囲には、実際の電力消費機器の消費電力量、発電装置7の発電量、商用電力量の各積算値(上側のグラフ)と、実際の発電装置7の発電量の推移(下側のグラフ)を示している。
【0079】
この場合、上記図9のステップS32では、当該デマンド時限の現時点(開始から10分経過時点)からデマンド時限の終了時までの太陽光発電装置7の予測発電量Psは、当該デマンド時限の開始時から現時点までにおいて発電装置7で実際に発電された電力量の実績値に基づき、デマンド時限の終了時における発電量の予測値Psを修正する。この際、予測部30は、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率β(t)により発電量の予測値Psを修正する。現時点では、デマンド時限、30分に対し、当該デマンド時限の開始から10分経過後であるため、その寄与率β(t)は、2/3となる。
【0080】
図11の下側のグラフでは、開始から10分の時点から終了時点までのハッチングで示した部分が寄与率による修正を行う前の予測発電量Psの推移を示しており、点線が寄与率による修正を行った場合の予測発電量Psの推移を示している。図11の上側のグラフでは、開始から10分の時点から終了時点までのハッチングで示した部分が寄与率による修正を行う前の現在までの発電実績値に基づいた予測発電量Psの積算値を示しており、ハッチング内における点線より上側の部分が、寄与率による修正を行った場合の予測発電量Psの積算値を示している。
【0081】
この場合、当該デマンド時限の終了時までの消費電力量の予測値Ppから寄与率による修正を行った発電量の予測値Ps(図中ハッチングの点線より上側部分)を減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Ps(図中ドットの部分と、ハッチングの点線より下側の部分)は、設定値Pt×α(終了時には目標値Ptとなる。)を下回っている。そのため、多くとも(Pt×α)−Pp+Psの分だけ商用電力を蓄電池8に充電させる(図6のS18)。そして、次のデマンド制御の判断タイミング(本実施例では、当該デマンド時限の開始から20分後)まで、係る制御を継続する。
【0082】
次に、本実施例における制御の比較として寄与率β(t)により発電量の予測値Psを修正しない場合のデマンド時限途中時(開始から10分後)における予測・制御処理について図12を参照して説明する。図12では、デマンド時限の開始時から終了時まで、実際の電力消費機器の消費電力量、発電装置7の発電量、商用電力量の各積算値(上側のグラフ)と、実際の発電装置7の発電量の推移(下側のグラフ)を示している。
【0083】
この場合、デマンド時限途中時(開始から20分経過時)における予測・制御処理では、デマンド時限の終了時までの太陽光発電装置7の予測発電量Psは、当該デマンド時限の開始から10分の時点から現時点までにおいて発電装置7で実際に発電された電力量の実績値に基づき、デマンド時限の終了時における発電量の予測値Psを修正している(比較のため寄与率による修正を行わない)。
【0084】
そのため、当該デマンド時限の終了時における消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Ps(点線にて示す)は、設定値Pt×α(終了時には目標値Ptとなる。)を下回っているため、多くとも(Pt×α)−Pp+Psの分だけ商用電力を蓄電池8に充電させる制御をデマンド時限の終了時まで継続して行っている。
【0085】
しかしながら、当該デマンド時限の開始から20分経過(前回のデマンド制御の判断タイミング終了)からデマンド時限終了時までの間に、気象の急激な変化が生じ、太陽光発電装置7による発電量が急激に減少した場合であっても、電力制御部31は、前回の判断タイミングにて行われた予測部30の予測に従った制御を継続して実行しているため、電力消費機器による消費電力量の予測値Ppを減少させることも、蓄電池8からの放電量を増加させることもできないため、結果として、デマンド時限の終了時には、商用電力の消費値Pp−Psが目標値Ptを上回ってしまう。
【0086】
これに対し、本実施例におけるデマンド時限途中時(進行中)における予測・制御処理では、図13に示すように、予測部30は、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率β(t)により発電量の予測値Psを修正している。尚、図13では、デマンド時限の開始時(0分)から20分経過までの範囲には、実際の電力消費機器の消費電力量、発電装置7の発電量、商用電力量の各積算値(上側のグラフ)と、実際の発電装置7の発電量の推移(下側のグラフ)を示している。尚、図11と比較すると、デマンド時限開始から10分の時点から20分の時点までの間における太陽光発電装置7の実際の発電量は、増加しているものとする。
【0087】
即ち、上記図9のステップS32では、当該デマンド時限の現時点(開始から20分経過時点)からデマンド時限の終了時までの太陽光発電装置7の予測発電量Psは、当該デマンド時限の開始から10分の時点から現時点までにおいて発電装置7で実際に発電された電力量の実績値に基づき、デマンド時限の終了時における発電量の予測値Psを修正する。この際に、予測部30は、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率β(t)により発電量の予測値Psを修正する。現時点では、デマンド時限、30分に対し、当該デマンド時限の開始から20分経過後であるため、その寄与率β(t)は、1/3となる。
【0088】
図13の下側のグラフでは、開始から20分の時点から終了時点までのハッチングで示した部分が寄与率による修正を行う前の予測発電量Psの推移を示しており、点線が寄与率による修正を行った場合の予測発電量Psの推移を示している。係る図からも図11の場合と比較してデマンド時限の終了時に近づいているため寄与率β(t)が小さくなっていることが分かる。
【0089】
図13の上側のグラフでは、開始から20分の時点から終了時点までのハッチングで示した部分が寄与率による修正を行う前の現在までの発電実績値に基づいた予測発電量Psの積算値を示しており、ハッチング内における点線より上側の部分が、寄与率による修正を行った場合の予測発電量Psの積算値を示している。
【0090】
この場合、当該デマンド時限の終了時における消費電力量の予測値Ppから寄与率による修正を行った発電量の予測値Ps(図中ハッチングの点線より上側部分)を減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Ps(図中ドット部分と、ハッチングの点線より下側の部分)は、設定値Pt×α(終了時には目標値Ptとなる。)を上回っている(Pp−Ps>Pt×α)。そのため、図9のステップS34において、放電・機器のデマンド制御判定処理を行う。
【0091】
即ち、図8の放電・機器のデマンド制御判定処理において、次のデマンド時限以降の同日中にピーク電力が発生する場合には、最大ピーク電力発生時間帯において、蓄電池8に十分な充電量が確保されているか否かを判断し、蓄電池8の電池残量が、Pp−Ps−Pt×αよりも少ないと判断した場合、電力制御部31は、蓄電池8の充電量の不足分Pp−Ps−Pt×α−Pr分だけ、消費電力量が削減されるように、各電力消費機器の出力を抑制する制御を行う。
【0092】
他方、ピーク時刻が同日中にない場合、或いは、ピーク時刻に蓄電池8の充電残量が十分ある場合、電力制御部31は、デマンド時限終了時までに各電力消費機器に充当できるようにPp−Ps−Pt×α分の電力量を蓄電池8に放電させる。
【0093】
これにより、電力制御部31は、予測部30の修正した消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを反映させて蓄電池8による電力供給を制御することにより、突発的な天候の変化により発電量Psが急激に減少してしまう場合であっても、デマンド時限の終了時に近づくに従って発電量の予測値Psが寄与率によって減少して予測されるため、余裕を持って蓄電池8による電力供給制御が可能となり、デマンド時限の終了時に商用電力から供給される消費電力量が目標値Ptを上回ってしまうピーク電力の発生を効果的に抑制することができる。
【0094】
特に、寄与率β(t)は、0以上1以下の範囲で、デマンド時限の終了時までの残時間が少なくなるほど小さくなる値としたので、蓄電池8からの過剰な電力供給を抑制しつつ、天候を考慮した効果的なピーク電力の抑制を実現することができる。
【0095】
特に、本実施例のように、発電装置として太陽光発電装置、又は、風力発電装置とした場合、天候による発電量の変化が大きくなるため、本願発明が有効となる。
【0096】
尚、上記実施例では、デマンド時限の開始から20分経過した時点まで、蓄電池8による放電が行われていないため、商用電力の消費予測値を消費電力量の予測値Pp−発電量の予測値Psとしているが、当該デマンド時限途中時の予測・制御処理において、予測が行われる前に蓄電池8による放電が行われた場合には、すでに蓄電池8によって放電されている電力量Pdも考慮し、商用電力の消費予測値は消費電力量の予測値Pp−発電量の予測値Ps−蓄電池の放電量Pdとする。これにより、当該デマンド時限途中時における予測・制御の精度をより一層向上させることができる。
【0097】
また、上記実施例では、電力消費機器で実際に消費された電力量と、そのときの気温及び湿度データを含む機器環境条件、並びに、時間帯とを対応付けて保存することにより構築された消費電力実績データベース33と、発電装置7で実際に発電された電力量と、そのときの気象データを含む発電環境条件及び時間帯とを対応付けて保存することにより構築された発電量実績データベース34とを備え、予測部30は、現在の機器環境条件及び発電環境条件に基づき、消費電力実績データベース33及び発電量実績データベース34を参照して消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを予測しているが、これに限定されるものではなく、各機器環境条件や発電環境条件、各時間帯とを数値化し、演算式を用いることで、消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを予測してもよい。これによっても、精度の高い予測に基づいた制御を実現することができる。
【0098】
尚、上記実施例は、本出願の請求項2の発明に相当する実施例である。これに対し、以下に他の実施例として本出願の請求項1の発明に相当する実施例について説明する。この場合、上記実施例における蓄電池8を備えていない、若しくは、蓄電池8を使用していない。そのため、「デマンド時限開始時の予測・制御処理」における図6のステップS16及び、「デマンド時限途中時の予測・制御処理」における図9のステップS33において、予測した消費電力量の予測値Ppから発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、1デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Pt、又は、当該目標値Ptに所定の安全係数αを乗じて得られる消費電力量の設定値Pt×αを上回る場合には、ステップS17又はステップS34において「放電・機器のデマンド制御判定処理」に進む。そして、当該「放電・機器のデマンド制御判定処理」では、図8のステップS23において、蓄電池8から放電開始を行う際、蓄電池8がない、若しくは、使用していないため、完全放電した状態とみなされ、ステップS24において、Pr≧Pp−Ps−Pt×αでないと判断されて、ステップS25に進む。そして、当該ステップS25において、電力制御部31は、蓄電池8の充電量Prは0であることから、差分量の電力分であるPp−Ps−Pt×αだけ、空調機などの各電力消費機器の出力を抑制する制御を行う。
【0099】
この際、予測部30は、デマンド時限の進行中、即ち、「デマンド時限途中時の予測・制御処理」において、電力消費機器で実際に消費された電力量に基づいてデマンド時限の終了時までの消費電力量の予測値Ppを修正すると共に、発電装置7で実際に発電された電力量に基づき、デマンド時限の終了時までの発電量の予測値Psを、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により修正し、電力制御部31により、予測部30の修正した消費電力量の予測値Ppから予測部30の寄与率に基づき修正した発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Pt、又は、設定値Pt×αを上回る場合、電力消費機器の出力を抑制する制御を行う。これにより、上記実施例の場合と同様、蓄電池8が設けられていない場合であっても、同様に、突発的な天候の変化により発電量が急激に減少してしまう場合であっても、余裕を持って電力消費機器の出力を抑制する制御を行うことが可能となり、ピーク電力の発生を効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 デマンド制御装置
2 ショーケース(電力消費機器)
3 冷凍機(電力消費機器)
4 空調機(電力消費機器)
5 照明(電力消費機器)
7 発電装置(太陽光発電装置)
8 蓄電池
10 ACライン(商用電力系統)
11 キュービクル
12 パワーコンディショナ
13 AC/DCコンバータ
14 DC/ACコンバータ
15 通信ライン
20 電力計
21 外気温度センサ
22 湿度センサ
23 ネットワーク
24 サーバ
30 予測部
31 電力制御部
32 比較部
33 消費電力実績データベース
34 発電量実績データベース
35 電力使用量取得部
36 発電量取得部
37 外気温度取得部
38 絶対湿度取得部
39 気象データ取得部
40 タイマ
41 蓄電池残量取得部
42 蓄電池制御部
43 機器制御部
44 蓄電池放電量取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力及び自然エネルギーを用いて発電する発電手段から電力消費機器への電力供給を制御するデマンド制御装置であって、
デマンド時限の開始時に、機器環境条件に基づいて当該デマンド時限の終了時までの前記電力消費機器による消費電力量の予測値Ppを予測すると共に、発電環境条件に基づいて前記デマンド時限の終了時までの前記発電手段による発電量の予測値Psを予測する予測部と、
該予測部の予測した前記消費電力量の予測値Ppから前記発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Ptを上回る場合、前記電力消費機器の出力を抑制する制御を行う電力制御部とを有し、
前記予測部は、デマンド時限の進行中に、前記電力消費機器で実際に消費された電力量に基づいてデマンド時限の終了時までの前記消費電力量の予測値Ppを修正すると共に、前記発電手段で実際に発電された電力量に基づき、デマンド時限の終了時までの前記発電量の予測値Psを、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により修正し、
前記電力制御部は、前記予測部の修正した前記消費電力量の予測値Pp及び前記発電量の予測値Psを反映させて前記電力消費機器の出力を抑制する制御を行うことを特徴とするデマンド制御装置。
【請求項2】
商用電力、蓄電池、及び、自然エネルギーを用いて発電する発電手段から電力消費機器への電力供給を制御するデマンド制御装置であって、
デマンド時限の開始時に、機器環境条件に基づいて当該デマンド時限の終了時までの前記電力消費機器による消費電力量の予測値Ppを予測すると共に、発電環境条件に基づいて前記デマンド時限の終了時までの前記発電手段による発電量の予測値Psを予測する予測部と、
該予測部の予測した前記消費電力量の予測値Ppから前記発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、デマンド時限あたりの消費電力量の目標値Ptを上回る場合、前記蓄電池の出力を制御して当該蓄電池から前記電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させる電力制御部とを有し、
前記予測部は、デマンド時限の進行中に、前記電力消費機器で実際に消費された電力量に基づいてデマンド時限の終了時までの前記消費電力量の予測値Ppを修正すると共に、前記発電手段で実際に発電された電力量に基づき、デマンド時限の終了時までの前記発電量の予測値Psを、デマンド時限の終了時に近づくに従って減少する寄与率により修正し、
前記電力制御部は、前記予測部の修正した前記消費電力量の予測値Pp及び前記発電量の予測値Psを反映させて前記蓄電池による電力供給を制御することを特徴とするデマンド制御装置。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記予測部の予測した前記消費電力量の予測値Ppから前記発電量の予測値Psを減算して得られる商用電力の消費予測値Pp−Psが、前記消費電力量の目標値Ptを上回る以前に、当該目標値Ptに所定の安全係数αを乗じて得られる消費電力量の設定値Pt×αを上回る場合、前記電力消費機器の出力を抑制する制御を行い、又は、前記蓄電池の出力を制御して、蓄電池から前記電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデマンド制御装置。
【請求項4】
前記寄与率は、0以上1以下の範囲で、デマンド時限の終了時までの残時間が少なくなるほど小さくなる値であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載のデマンド制御装置。
【請求項5】
前記予測部は、デマンド時限の開始時に近い時点ほど前記安全係数αを小さくすることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のデマンド制御装置。
【請求項6】
前記電力制御部は、前記蓄電池に充電された電力を使い切る時刻を予測し、予測した時刻が商用電力の単価の下がる時間帯となる場合、前記蓄電池の出力を制御して前記電力消費機器への電力の供給を開始又は増加させ、商用電力の単価の下がる時間帯に商用電力を前記蓄電池に充電させることを特徴とする請求項2乃至請求項5のうちの何れかに記載のデマンド制御装置。
【請求項7】
前記電力制御部は、前記予測部が予測した前記商用電力の消費予測値Pp−Psが前記消費電力量の目標値Pt又は前記消費電力量の設定値Pt×αを上回る場合において、それらの差が前記蓄電池の充電量を上回るときには、当該差分量の電力分について前記電力消費機器の出力を抑制する制御を行うことを特徴とする請求項2乃至請求項6のうちの何れかに記載のデマンド制御装置。
【請求項8】
前記電力消費機器で実際に消費された電力量と、そのときの気温及び湿度データを含む前記機器環境条件、並びに、時間帯とを対応付けて保存することにより構築された消費電力実績データベースと、
前記発電手段で実際に発電された電力量と、そのときの気象データを含む前記発電環境条件及び時間帯とを対応付けて保存することにより構築された発電量実績データベースとを備え、
前記予測部は、現在の前記機器環境条件及び発電環境条件に基づき、前記消費電力実績データベース及び発電量実績データベースを参照して前記消費電力量の予測値Pp及び発電量の予測値Psを予測することを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちの何れかに記載のデマンド制御装置。
【請求項9】
前記電力消費機器の出力を抑制する制御を行った場合、前記電力消費機器の出力を抑制しなかったときの当該電力消費機器の消費電力量を推定して前記消費電力実績データベースを構築することを特徴とする請求項8に記載のデマンド制御装置。
【請求項10】
前記発電手段は、太陽光発電装置、又は、風力発電装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のうちの何れかに記載のデマンド制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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