説明

データの無相関化

アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する装置(100)であって、データを該データの少なくとも一部に基づいてスクランブルすることによってアナログ形式のデータをデジタル形式のデータに関して無相関化することに適したスクランブル部(101)を備える装置(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータのスクランブルに関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ/デジタルコンバータ(ADC)のデジタル出力からの切り替え動作はアナログ信号経路に結合し、最上位ビットがデジタル信号と高度に相関しているため、突出部または他の符号歪を生じさせる。
【0003】
非特許文献1は、アナログ入力からデジタル出力を無相関化し、結合電力を広帯域ノイズに変換するためにランダム信号を用いたXORスクランブルを紹介している。スクランブル信号はデスクランブルのための別の信号として供給される。それに応じてスクランブルされた16ビットADCを、例えば8ビット幅のベクトルを用いるテストプロセッサを有するアジレントテクノロジーの93000装置等の被試験体(DUT)を試験する試験装置に接続すると、追加的なスクランブルビットが非効率的なサンプルのサイズを生じさせる。
【0004】
XOR論理に従ってデータビットを局所的に処理し、追加的な信号としてランダム化されたデータとともに送信されるランダム信号との、送信済みデジタル信号の上記のような無相関化により、例えばLFSR(線形フィードバックシフトレジスタ)から生じるランダム信号がもたらされる。
【0005】
ランダムスクランブルは改善された突出抑制を有することを可能にする。結合電力は突出部から広帯域ノイズに変換可能である。
【0006】
しかしながら、ランダムスクランブルの手法は、ランダム信号を搬送するための更なるピンを必要とすることがあり、LFSRまたはランダム信号発生部を実現すると、更なるノイズが生じ、信号伝送品質を劣化する可能性がある。
【0007】
【非特許文献1】Robert Jewett、Ken Poulton、Kuo−Chiang Hsieh、Joey Doernberg「A 12 bit 128 MSample/s ADC with 0.05 LSB DNL」、IEEE国際固体素子回路会議、1997年、論文FA8.4、138ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、データの効率的なスクランブルを提供することである。かかる目的は独立請求項によって解決される。更なる実施形態は従属請求項において示す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的な実施形態によれば、アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する装置が提供され、かかる装置は、データを該データの少なくとも一部に基づいてスクランブルすることによりデジタル形式のデータに関してアナログ形式のデータを無相関化することに適したスクランブル部を備える。
【0010】
別の例示的な実施形態によれば、測定装置が提供され、測定装置は、測定装置により実行される測定に関するデータを生成することに適したデータ生成部と、前述の特長を有する、生成データを該生成データの少なくとも一部に基づいてスクランブルするように生成データを処理する装置とを備える。
【0011】
更に別の例示的な実施形態によれば、アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する方法が提供され、かかる方法は、データを該データの少なくとも一部に基づいてスクランブルすることによりデジタル形式のデータに関してアナログ形式のデータを無相関化することを含む。
【0012】
更に別の例示的な実施形態によれば、アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理するコンピュータプログラムを記憶し、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される際に、前述の方法を制御または実行することに適したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0013】
更なる例示的な実施形態によれば、アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適した処理データのプログラム要素が提供され、かかるプログラム要素はプロセッサにより実行される際に、前述の方法を制御または実施することに適する。
【0014】
更なる例示的な実施形態によれば、アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する装置が提供され、かかる装置は、デスクランブル部のデジタル入力でデジタル形式で供給されるデータがアナログ形式のデータに無相関化されるように、データを該データの少なくとも一部に基づいてデスクランブルすることに適したデスクランブル部を備える。
【0015】
更に別の例示的な実施形態によれば、アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する方法が提供され、かかる方法は、デジタル入力でデジタル形式で供給されるデータがアナログ形式のデータに無相関化されるように、データを該データの少なくとも一部に基づいてデスクランブルすることを含む。
【0016】
本発明の実施形態は、任意の種類のデータキャリヤに記憶できる、もしくは任意の種類のデータキャリヤによって供給することができ、適切なデータ処理部の中で、または適切なデータ処理部によって実行される可能性のある1つまたは複数の適切なソフトウェアプログラムによって、部分的または完全に具現化または支援することができる。ソフトウェアプログラムまたはルーチンは、好ましくは信号のスクランブルまたはデスクランブルに適用できる。本発明の実施形態に係るデータをベースにしたスクランブル方式は、コンピュータプログラムによって、つまりソフトウェアによって、または1つまたは複数の特殊な電子最適化回路を使用して、つまりハードウェアの中で、またはハイブリッド形式で、つまりソフトウェア構成要素及びハードウェア構成要素によって、実行可能である。
【0017】
「アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータ」という用語は、特に、アナログ情報を示すための形式であるデータを意味する。これはアナログデータから導出される、または導出することができる情報を伝えるアナログデータまたはデジタルデータを含み得る。特に本発明の実施形態は、例えばアナログデータをデジタルデータに変換する、及び/またはその逆を実行する、アナログデータ及びデジタルデータを扱うシステムで実現可能である。このような想定の元では、データスクランブルは、アナログデータとデジタルデータの間の望ましくないクロストークから生じる符号歪を防止または抑制するために有利となり得る。このようなシステムの例がADC及びDACである。
【0018】
用語「スクランブル」、また更に詳細には「無相関化」は、(線形)XOR関数を適用することを含み得るか、あるいは(スクランブルされたデータが、スクランブルされていないデータに定数を加えることによって取得されるように)加算を含み得る。
【0019】
例示的な実施形態によれば、例えばアナログデータとデジタルデータの変換を実施する等のデータ伝送路における突出抑制は、データ駆動式のスクランブルを使用して実行してもよい。言い換えると、処理または送信されるデータは、データをスクランブルするための信号として少なくとも部分的に直接的に使用される。言い換えると、データをスクランブルするためのランダムスクランブル信号用のソースとして別のランダム信号発生部を設ける代わりに、送信済みのデータがこれらのデータをスクランブルするためのソースとして使用される。従って、内蔵データをベースにしたデータスクランブルアーキテクチャが実現できる。
【0020】
上記のようなシステムであれば、物理的に近いアナログ信号を表すデジタル情報の伝送との関連で実施できる。かかるシステムは、ADC(アナログ/デジタルコンバータ)のデータ出力と、DAC(デジタル/アナログコンバータ)のデータ入力とを含む。このような想定では、デジタル信号の切り替えノイズがアナログ信号の中で結合し得る。デジタルMSB(最上位ビット)は、通常アナログ信号に高度に相関している。従来、その結合電力が突出部として出現する。シールド、レイアウト、差動信号伝達のような結合を削減するための共通の手法の代替または補足のために、本発明の実施形態はデータ信号自体を活用して、このデータ信号をスクランブルする。言い換えると、データ信号と、適切な論理関連方式に基づいたデータ信号の組み合わせが、デジタル及び/またはアナログ信号伝送方式における突出の抑制または排除するために使用できる。
【0021】
データ駆動式スクランブルを使用する上記のような突出抑制部は、特に試験装置で実施できる。電子デバイスを試験するために、特に、デジタル電子出力信号、試験信号または刺激信号を供給する集積電子回路が、被試験体の入力に送ってもよく、被試験体の応答信号は自動試験装置によって、例えば予想データとの比較によって評価できる。かかる自動試験装置は、ある特定の試験機能性、すなわち試験装置が実行できる試験関数またはルーチンを含む。試験機能性は、実行可能ソフトウェアコードの形で試験装置内に実装される。試験信号がかかる電子試験装置中で送信されると、信号がアナログ形式とデジタル形式の間で変換されることもあり得る。そのような変換方式で発生する可能性のある突出を抑制するために、本発明の実施形態は試験信号自体を使用し、突出の抑制に役立つ可能性のある試験信号をスクランブルする。デスクランブル後、試験信号を更に処理または分析してもよい。
【0022】
従って、本発明の実施形態は、テストプロセッサとピン電子回路の間で、あるいは試験装置の内部で実施できる。更に一般的には、データ駆動式スクランブルによる突出抑制は、データをユーザに供給するための(DACまたはADCのような)コンバータを実施する任意の情報伝送路の中で実施できる。切り替えはアナログ信号側での歪みを生じさせ、信号品質を劣化させ得る。また、信号の望ましくないクロスカップリングが発生し得る。デジタル信号で発生する「0」と「1」という論理値の間の切り替えがデジタル信号で発生すると、そのような切り替えアーチファクトは、例えば容量的または誘導的にアナログ信号経路に結合し得る。デジタル信号が伝送路の少なくとも一部に沿ってスクランブルされると、かかるアーチファクトを回避または削減できる。
【0023】
部分的なランダム化は、上記のようなデータ信号をデータ信号でスクランブルすることによって達成できる。データ信号はいずれにせよ送信しなければならず、スクランブル及びデスクランブルのために人工的に発生させた別々のランダム生成信号を送信するために追加的な回線は必要ではない。勿論、信号自体がいずれにせよ送信されるため、信号はスクランブル及びデスクランブルに使用できる。
【0024】
純粋なランダム手法と比較すると、本発明の実施形態は、信号送信のために不足すると想定される追加的な回線は必要ではない。従って、例示的な実施形態によれば効率的な高帯域幅伝送方式を実施できる。更に、スクランブル側とデスクランブル側両方でのランダム信号発生部を設けるための出費を回避することができ、かかる発生部に起因するあらゆる歪も回避できる。
【0025】
特に、信号全体と共通した多すぎる信号特性を有さない最下位ビット(LSB)は、データ信号と相対的に無相関である(擬似乱数状の)スクランブル信号として適切となり得る。従って、かかるビット、送信されたデータの別のビット、データ信号の一部あるいはデータ信号全体が、スクランブル及び/またはデスクランブルに使用できる。例えばXOR論理演算、AND論理演算、OR論理演算、論理NOT演算、または他のブール関数、あるいは様々なブール関数の組み合わせ等のデータ信号のスクランブル信号による論理処理を実行できよう。
【0026】
言い換えると、スクランブルされたデータワードは、入力ワード及び/または先行する入力ワードの関数であってよい。言い換えると、伝送路上で送信される実データまたは履歴データを、信号をスクランブルするために使用してもよい。実データ及び/または履歴(先に送信される)データを実際に/送信中のデータのスクランブルに使用すると、突出を抑制できるため、データ伝送の質を改善できる。このために履歴データを使用する際は、(例えばリングバッファ等の)メモリに記憶してもよい。
【0027】
以下では、本発明の例示的な実施形態の正式な説明を行う。
【0028】
専用の真にランダムな信号を使用する代わりに、デジタル信号のLSBの「ランダム性」を利用して、全てのデータビットをランダム化してもよい。このランダム性は、定量の非線形性質から発し、ADCデータの場合には、更に遍在する熱雑音から発すると考えられる。
【0029】
例えば、スクランブルされたビットは、スクランブルされていないデータビットの単純な線形(例えばXOR)関数であって、所望の、または可能な限り多くのLSBを含み得る。
【0030】
絶対的に必要ではないが、一般的には、スクランブルされたビットXはスクランブルされていないビットDの可逆ブールベクトル関数f()である。デスクランブルは、逆ブールベクトル関数g()をXに適用する。
【0031】
【数1】

【0032】
【数2】

【0033】
以下では、線形データ駆動式スクランブルを説明する。
【0034】
これに関連して、「+」は論理EXLUSIVEOR(XOR)(排他的論理和)を意味し、「.」は論理AND(論理積)を意味し、ガロア体GF(2)が適用する。
【0035】
f()は、Dの線形ベクトル関数である時、正則の(可逆)スクランブル行列Fで表すことができる。g()はデスクランブル行列G、逆F行列及びGF(2)で示す。
【0036】
【数3】

【0037】
【数4】

【0038】
更に線形データ駆動式スクランブルを参照すると、第1の例では最下位ビット(LSB)でのスクランブルに関して示してある。この例は、以下の式で数学的に説明できる。
【0039】
【数5】

【0040】
【数6】

【0041】
第2の例として、1つのみ除いた全てのデータビット(偶数B)によるスクランブルを説明する。かかる実施形態は、それが関与するデータビット数を大幅に増加する、または最大限にし、ランダム性を高めるまたは最大限にするために特に有利となり得る。列ごとに1データビットを排除すると、偶数Bに対し、行は線形独立となる(F正則)。このことを以下の式で示す。
【0042】
【数7】

【0043】
【数8】

【0044】
線形データ駆動式スクランブルの第3の例はデータ(奇数B)に関する。
【0045】
奇数Bの場合、第2の例に比較すると、例えばFを正則にするためにF00を1に設定することができる。
【0046】
【数9】

【0047】
【数10】

【0048】
したがって、スクランブルされたビットがスクランブルされていないビットの可逆論理関数(つまり、他の入力パラメータがない)であり、デスクランブルが逆関数である例示的に実施形態に係る方法及び装置が提供される。このシステムは線形XOR関数、正則スクランブル行列、及び逆スクランブル行列であるデスクランブル行列で実施できる。
【0049】
例示的な実施形態によれば、デジタルデータがスクランブルされ、スクランブルされたデータが送信され、送信されたスクランブルデータがデスクランブルされ、デスクランブルデータがDACによってアナログ形式に変換されるシステムが提供される。
【0050】
別の例示的な実施形態によれば、アナログデータがADCによってデジタル形式に変換され、変換されたデータがスクランブルされ、スクランブルされたデータが送信され、送信されたスクランブルデータがデスクランブルされるシステムが提供される。
【0051】
次に本発明の更なる例示的な実施形態を説明する。以下では、データを処理する装置の更なる例示的な実施形態を説明するが、それらの実施形態は、測定装置、データを処理する方法、コンピュータ可読媒体、及びプログラム要素にも適用する。
【0052】
スクランブル部は、処理中のデータを該処理中のデータに基づいてスクランブルすることに適し得る。このように、実際に処理されたデータストリームはデータキャリヤとして、及びスクランブル及び/またはデスクランブルのためのソースとして両方で同時に使用できる。
【0053】
スクランブル部は、先に処理されたデータに基づいて処理中のデータをスクランブルすることに更に適し得る。かかる履歴データは(例えば、レジスタチェーン、つまりFIFOまたはキャッシュ)記憶装置内に記憶してもよく、データをスクランブルするためのソースとして後に使用してもよい。先に処理されたデータと実際に処理されたデータの間の相互関連は、処理中のデータと該処理中のデータ(の一部)との相互関連よりも更に低くなり得るため、スクランブル機能性は更に改善できる。
【0054】
スクランブル部は、処理中のデータ、及び先に処理されたデータに基づいて、処理中のデータをスクランブルするために更に適し得る。先に処理されたデータと処理中のデータの組み合わせは、無相関化を更に強化し、従って突出抑制を向上することができる。
【0055】
スクランブル部は、データの1ビットに基づいてデータをスクランブルすることに適し得る。1ビット、特に最下位ビットのみを採取することにより、データとスクランブル信号間の十分に低い相互関連を保証することができ、スクランブル手順及びデスクランブル手順を低い計算負荷で実行できる。
【0056】
スクランブル部は、データ全体に基づいてデータをスクランブルすることに更に適し得る。大量のデータがスクランブルデータソースとして使用されるため、この処置を講じることにより、データを適切に混合することが可能になる。
【0057】
スクランブル部は、更に、データを該データの少なくとも一部と論理的に結合することによりデータをスクランブルするために適し得る。このような論理結合は、XOR関数、AND関数、OR関数、インバータ関数のような可逆ブール関数、あるいはこれらの論理関数または他の論理関数の任意の論理結合を含んでもよい。可逆であり得る、かかる論理結合は、突出または他のデータ処理アーチファクトを回避するために信号を迅速且つ確実にスクランブルすることを可能にする。
【0058】
スクランブル部は、データを該データの少なくとも一部、更にランダム信号発生部によって供給されるランダム信号に基づいてスクランブルすることに適し得る。ランダムスクランブルとデータをベースにしたスクランブルの優位点を組み合わせることによって、高品質のスクランブル−デスクランブルシステムを提供できる。
【0059】
かかる装置は、データを変換済みデータに変換する、特にアナログデータをデジタルデータに変換する、あるいはその逆を実行する変換部を備えてもよい。従って、変換部はADCまたはDACであり得る。デジタル信号が「高」と「低」の間の遷移を実行する際に発生する切り替え信号を抑制することが可能であり、そのような切り替えのアナログ信号に対する影響を排除または削減することが可能であるため、アナログデータとデジタルデータ間の変換の想定において本発明の例示的な実施形態に係るスクランブル方式を実施すると、変換の質を改善できる。従って、かかる切り替えアーチファクトによる信号の劣化を削減できる。
【0060】
更に、装置は、スクランブルされたデータを該データの少なくとも一部に基づいてデスクランブルすることに適したデスクランブル部を備えてもよい。この処置を講じることにより、データの内容が更なる分析または処理に使用できるように、データをスクランブルデータから回復することができる。
【0061】
以下では、測定装置の更なる例示的な実施形態を説明するが、かかる実施形態はデータを処理する装置、データを処理する方法、プログラム要素、及びコンピュータ可読媒体にも適用する。
【0062】
測定装置は、アナログ/デジタルコンバータ、デジタル/アナログコンバータ、センサ装置、被試験体または物質を試験する試験装置、化学分析、生物学的解析及び/または製剤分析用の装置、流体の化合物を分離することに適した流体分離システム、キャピラリー電気泳動デバイス、液体クロマトグラフィ装置、ガスクロマトグラフィ装置、電子測定装置、質量分析装置の内の少なくとも1つを備え得る。更に一般的には、測定装置は、信号のスクランブル及び/またはデスクランブルが有利である任意の技術分野の測定装置であり得る。従って、測定装置は、例えば生命科学領域における電子工学用途及び測定用途の多くの分野、あるいは突出抑制が問題となる可能性があるアナログエレクトロニクスまたはデジタルエレクトロニクスの分野にも応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
上記以外の本発明の課題及び本発明の実施形態に付随する利点は、以下の更に詳細な実施形態の説明を添付の図面と共に参照することにより、容易に認識でき、更により良く理解できよう。実質的または機能的に同様または類似の特徴については、同一の参照符号により参照する。
【0064】
各図面は概略図である。
【0065】
図1を参照して、本発明の例示的な実施形態に係るデータを処理する装置100を以下に説明する。
【0066】
装置100は、デジタルデータソース104によって供給されるデジタル信号を処理することに適している。デジタルデータソース104によって供給される信号は、データを該データの一部に基づいてスクランブルするスクランブル部101に供給される。言い換えると、データ自体が、図1の信号伝送路内で発生し得る突出を抑制するためにスクランブル部101によって処理され、デジタルデータソース104自体により発せられるデジタルデータは、スクランブル部101のスクランブルを制御または実行するための何らかの種類の制御信号として使用される。
【0067】
スクランブル部101の出力では、スクランブルされたデータが供給され、信号伝送路105に沿って送信される。
【0068】
スクランブルされたデータは、この伝送路105を通った後にデスクランブル部103の入力に供給される。デスクランブル部103は、デジタルデータソース104によって供給されたオリジナルデータを回復するためにスクランブルされたデータをデスクランブルする。このために、スクランブルされたデータは、スクランブルされたデータのデスクランブルを実行するための制御信号として使用される。言い換えると、スクランブルされたデータのデスクランブルは、スクランブルされたデータを使用してデスクランブル部103で実行可能である。
【0069】
デスクランブル部103の出力で回復したデータが供給され、デジタル/アナログコンバータ102の入力に入力される。デジタル/アナログコンバータ102はその入力でデジタル形式であるデータを、デジタル/アナログコンバータ102の出力で供給されるアナログデータに変換する。このデータは更にアナログデータ処理宛先部106にも供給され得る。
【0070】
このデータに基づいてスクランブル及びデスクランブルすることにより、データ生成部104から発せられるデジタルデータの切り替えの影響に起因して発生し得る突出は、装置100の信号処理を大幅に改善できるように効率的に抑制できる。
【0071】
図2は、本発明の別の例示的な実施形態に係るデータを処理する装置200を示す。
【0072】
図2によれば、アナログデータソース202は、アナログデータを発し後者をアナログ/デジタルコンバータ201の入力に供給する。アナログ/デジタルコンバータ201の出力では、デジタルデータが供給される。かかるデータは、スクランブル部101の制御入力で供給される、先に処理されたデータによって、実際に処理されるデータをスクランブルするスクランブル部101に送られる。このために、実際に処理されるデータをスクランブルするために使用される履歴データを遅延するようにADC201とスクランブル部101の制御入力の間に遅延部203を設けることが想定される。
【0073】
伝送路105に沿ってデータを送信した後で、スクランブルデータはデスクランブル部103に入力される。図1とは対照的に、デスクランブルされたデータ103は、先にスクランブルされたデータである制御データを使用してデスクランブルされ、遅延装置204は適切な遅延を実行する。その結果、実際に処理されるスクランブルデータは、デスクランブル部103によってデスクランブルされ、デジタルデータ処理宛先205に供給される。
【0074】
図3を参照して、本発明の例示的な実施形態に係るデータを処理する装置300を以下に説明する。
【0075】
装置300は、スクランブル部101に結合されるランダムスクランブル信号発生部301を更に有する点が、装置100と異なる。また、このランダム信号発生部301と同期した別のスクランブル信号発生部302がデスクランブル部103に結合される。図3の実施形態では、スクランブル及びデスクランブルは両方により実行され、実データとランダムスクランブルデータがランダム信号発生部301、302によって供給される。
【0076】
以下では、ADCデータのスクランブルを更に詳しく説明する。
【0077】
本発明の実施形態は、更なる信号を必要としないステートレスな、純粋なデータ駆動式のスクランブルが、真のランダムスクランブルとほぼ同じ突出抑制を達成することを説明する。
【0078】
全ての関連するデータ駆動式(更にはランダム駆動式)スクランブル方法を扱うことができる簡略なデスクランブルアーキテクチャを、特にテストプロセッサについて以下に説明する。特に、アジレント93000試験装置用のアナログフロントエンドチップは互換性のあるデータスクランブルをサポートできる。
【0079】
次に、相互関連したノイズからどのようにして突出部が発生するのかを説明する。
【0080】
特に、大きい低速の信号の場合、最上位ビットは変換された信号振幅と高度に相関している。図4の図400の第1の行401は、LSB、MSB、及び振幅が最大測定限界に近い場合に、4096個のサンプルにおける499の期間での単一の正弦波で刺激される16ビットADCからの全16データビットの重ね合わせのスペクトルを示す。従って、第1の行401は、正弦波入力によるデジタルADC出力の電力スペクトル密度を示す。
【0081】
MSBは、他の強力な突出部の波頭に加えて正弦波周波数で強力な−9.9Bの突出部を示す。LSBは、ランダム幅ノイズ信号に似たほぼ平坦な電力スペクトル密度を示す。
【0082】
総干渉をモデル化する全データビットの多重の算術合計は、正弦周波数で非常に強力な−0.7dBの突出部を伝搬する。
【0083】
結合係数が未知であるため、絶対突出レベルは意味を持たず、率のみが関連性を有する。
【0084】
次に、突出による問題を克服または削減する、様々なスクランブル方法を説明する。
【0085】
以下では、多様な簡略ステートレスXORベースのスクランブル方法を説明する。スクランブル信号はランダム信号とデータビットの部分集合を線形(XOR)関数で結合する。
【0086】
スクランブルのための以下の信号、つまりランダム信号のみ(「ランダム」)、ADCのLSBのみ(「LSB」)、全ADCデータビット(「データ」)、及びランダム信号と全ADCデータビット(「ランダム+データ」)を比較する。
【0087】
ランダム信号は、使用される場合、直接的または間接的にスクランブルデータバスを通して送信され、ステートレスデスクランブルを可能にする。これには更なるビットが必要になる。つまり、16ビットのデータバスは15コンバータビットまでしかサポートできない。
【0088】
理論的には、スクランブラ及びデスクランブラが、スクランブル及びデスクランブルのための暗示的なランダムビットシーケンスと一致することが可能である。しかしながら、これには、それ以外の場合には必要ではない更なる(簡単ではない)同期が必要となる。真にランダムな信号を使用しない単純なデータ駆動方スクランブル方法が十分によく機能するため、ラインコーディングまたはランダム性を暗示する方式として知られるような更に複雑なスクランブル方式が理にかなっているとは考えられないが、可能ではあり、本発明の例示的な実施形態に従って同様に実現し得る。
【0089】
以下において、Dはデジタル化されたワードを意味し、sはスカラースクランブル信号であり、XはBビットでスクランブルされたワードであり、dはスカラーデスクランブル信号であり、YはDに等しいデスクランブルされたワードである。ビット番号はゼロでカウントを開始し、MSBはつねにビット位置B−1にある。15/16ビット幅のADCをサポートする16ビット幅のスクランブルデータポートXが説明に使用される。
【0090】
以下では、方法「ランダム」を説明する。
【0091】
かかる方法は、最高15のADCデータビット[15:1]のXOR関数に従ってビット単位で処理されるスクランブル信号sとしてランダムビット信号rを使用する。簡略なデスクランブルの場合、ランダムスクランブル信号sは、スクランブルされたADCビットX[15:1]とともにX、X[0]のLSBとして伝送され、それは第1の(スクランブル)XORを逆にするために第2のXOR演算を適用するために使用される(d)。
【0092】
% Scramble
s=r; % Scramble with random signal
X[0]=s; % Communicate dedicated scrambling signal
X[15:1]=bitxor(D[15:1], s); % Bitwise XOR with s
% Descramble
d=X[0];
Y[15:1]=bitxor(X[15:1], d); % Bitwise XOR with d
Y[0]=0;
【0093】
この方法は、更なる明示的なスクランブル信号を必要とするため、ビット幅データポートXは15ビットのADCまでしかサポートできない。
【0094】
真にランダムなスクランブル信号を使用すると強力なスクランブルが約束されるが、ランダムビットジェネレータとしてLSFRが必要となり、さらなるノイズをもたらすことがある。
【0095】
次に、例示的な実施形態に係る方法「LSB」を説明する。
【0096】
この方法は、Xの部分として専用のスクランブルビットを必要とせずに、16ビット幅のスクランブルポートX上で16ビットのADCデータDを送ることができる。
【0097】
図4の第1の行401のLSBのスペクトルはやや平坦であり、ランダムに見えるため、デジタルワードD[0]のLSBはスクランブル信号sとして使用され、その結果LSBビット自体、D[15:1]を除き全データビットとXOR関数を使用して論理的に処理される。LSBもXOR関数と処理される場合、X[0]は定数ゼロとなろう。デスクランブルの場合、LSBは他の全てのデータビットとともに再びXOR関数に従って論理的に処理され、当初のXOR演算を逆にする。
【0098】
% Scramble
s=D[0]; % Scramble with LSB
X[0]=D[0]; % Keep LSB (scrambling signal) as is
X[15:1]=bitxor(D[15:1], s); % Bitwise XOR with s
% Descramble
d=X[0];
Y[15:1]=bitxor(X[15:1], d); % Bitwise XOR with d
Y[0]=X[0]; % Keep LSB as is
【0099】
LSBを除き、デスクランブル演算は前述した方法「ランダム」と同じである。この実施形態のハードウェアの実現は非常に簡略である。
【0100】
次に、本発明の別の例示的な実施形態による方法「データ」を説明する。
【0101】
単にLSBを使用するだけの前述した「LSB」方法とは異なり、この方法はその後全16データビットとXOR関数で論理的に処理されるスクランブル信号sの中に全てのデータビットD[15:0]を含めることによってランダム性を高めることに努めている。結果的に、i番目のスクランブルビットX[i]は、i番目のビットが2つのXOR項に含まれるため、i番目のビットを除く全てのデータビットD[j]のXORである、j≠I。偶数のビットの場合、同演算がデスクランブルも実行する。
【0102】
% Scramble
s=XOR(D[15:0]); % XOR of all 16 data bits
X[15:0]=bitxor(D[15:0], s); % Bitwise XOR of ALL bits with s
% Descramble
d=XOR(X[15:0]); % XOR of all 16 scrambled bits
Y[15:0]=bitxor(X[15:0], d); % Bitwise XOR of ALL bits with d
【0103】
演算はデータビットに関して対称であり、可変数のデータビットにおいて実施を容易にする。
【0104】
同演算を使用するデスクランブルの有効性は、例として4ビット幅のデータのY[0]に着目することによって理解できる。
【0105】
X[0]= +D[1]+D[2]+D[3]
X[1]=D[0] +D[2]+D[3]
X[2]=D[0]+D[1] +D[3]
X[3]=D[0]+D[1]+D[2]
Y[0]= +X[1]+X[2]+X[3]
【0106】
結合されたX[1]、X[2]、及びX[3]では、全てのデータビットが二度含まれ、三度含まれるD[0]を除き、XOR関数を使用して処理される時に無効になる。すなわち、Y[0]=D[0]である。スクランブル及びデスクランブルはデータビットに関して対称であるため、Yの他のビットで崩壊が起こる。
【0107】
上記の条件の無効化は、Xの幅が偶数である時にのみ発生するものであり、関連した制約ではない。
【0108】
以下では、本発明の別の例示的な実施形態に係る方法「ランダム+データ」を説明する。
【0109】
コンバータが15未満のデータビットを有する時、LSBを解放することができ、LSB、D[0]を真にランダムな信号rに結び付けることによって前述の方法「データ」を更に改善または改良できる。そこから、同じスクランブル及びデスクランブルを適用できる。
【0110】
% Scramble
D[0]=r; % Make the LSB truly random, D[15:1] from ADC
s=XOR(D[15:0]); % XOR of random signal and 15 bit data
X[15:0]=bitxor(D[15:0], s); % Bitwise XOR of ALL bits with s
% Descramble
d=XOR(X[15:0]);
Y[15:0]=bitxor(X[15:0], d); % Bitwise XOR of ALL bits with d
【0111】
次に、図4を参照し、更に詳細に、説明した多様な方法の比較を行う。
【0112】
図4は、スクランブルを行わずにスクランブルしたデジタルビットX(第1の行401)、スクランブル方法「ランダム」を行ってスクランブルしたデジタルビットX(第2の行402)、スクランブル方法「LSB」を行ってスクランブルしたデジタルビットX(第3の行403)、スクランブル方法「データ」を行ってスクランブルしたデジタルビットX(第4の行404)、及びスクランブル方法「ランダム+データ」を行ってスクランブルしたデジタルビットX(第5の行405)のスペクトルを示す。
【0113】
最初に、前述の方法の突出抑制を、最大測定限界の99%の振幅及び4096個のサンプルで捕捉された499の周期の単一の正弦波を使用するスクランブルなしの方法と比較する。図4は、LSB(左列406)、MSB(中央列407)及び全ビットの算術的合計(右列408)の詳細な電力スペクトル密度を示す。これは最初にスクランブルなし(第1の行401)、次にすべての説明した方法「ランダム」(第2の行402)、「LSB」(第3の行403)、「データ」(第4の行404)、及び「ランダム+データ」(第5の行405)について示してある。MATLABプログラムリストを以下に示す。
【0114】
ランダム信号が含まれているため、方法「ランダム」及び「ランダム+データ」の突出抑制は約±1dbの間で変化する。
【0115】
表1は、全ビットの合計の突出抑制、16ビット幅インタフェースでの最大数のコンバータデータビット、及びデスクランブル方法に関して全ての方法を比較する。
【0116】
すなわち、表1は説明した全てのスクランブル方法の比較を示す表である。
【0117】
【表1】

【0118】
真にランダムな信号を含む両方の方法が最良の結果、つまり20dBの抑制を示している。LSB方法が最も効果的ではなく、それでも17dB分の突出を抑制するのに対し、全データビットの使用の効果は2dB少ないに過ぎない。全体的には、性能は驚くほど同じような結果であり、他の基準が選択に影響を及ぼすことを可能にする。前述のように、更に複雑なスクランブルは不必要である。
【0119】
方法「データ」は、その簡略性から16ビットADCにとって、また更にビットが少ないADCにとって特に有利であり得る。15ビットまでのADCの場合、「ランダム+データ」を同じデスクランブル方法でサポートできよう。
【0120】
以下では、本発明の例示的な実施形態に係るハードウェアアーキテクチャを説明する。
【0121】
1つの簡略なハードウェアアーキテクチャは、3つ全ての説明した方法、「ランダム」、「データ」、及び「ランダム+データ」をサポートできる。3つ全てのケースで、デスクランブル信号dが、全てのスクランブルビットX[15:0]に適用される、スクランブルビットX[15:0]の加重和として表すことができる。
【0122】
d=XOR(W[0]&X[0], W[1]&X[1], ..., W[15]&X[15])
Y[15:0]=bitxor(X[15:0], d)
【0123】
加重ワードWがプログラム可能である時、全ての関連するケースを単一のアーキテクチャで表すことができる。更に詳細には表2を参照。
【0124】
【表2】

【0125】
図5は、測定装置500、例えば本発明の例示的な実施形態によるスクランブル−デスクランブル方式が実施される被試験体を試験する試験装置を示す。
【0126】
データ生成部501は、データ、例えばテストシーケンスまたは被試験体(DUT)を試験するための試験に関連するデータを生成する。このデータは、該データをアナログ形式からデジタル形式に変換するアナログ/デジタルコンバータ502に送ってもよい。デジタルデータ項目D[i]は、データ項目D[i]をこれらのデータ項目D[i]でスクランブルすることによりスクランブルデータ項目X[i]に変換される。このため、XOR部503が対応する論理関連を実行するために供給される。
【0127】
次に、処理された信号が元のデータ信号を回復する部に送信される。信号X[i]は、信号X[i]を制御信号W[i]に論理的に結合し、ユーザによって定義された方法で、所望のスクランブル方式(例えば「LSB」または「データ」)を選択できるようにする(オプションの)AND部504内で論理的に結び付けられる。次に、AND部504の出力でのこれらの信号は、追加的なXORブロック503を使用して信号X[i]と組み合わせて処理される信号をその出力で供給する追加的なXOR部503に送られる。更にXORブロック503の出力では、DUTを試験するための根拠としてテストプロセッサ505に送る処理済みの信号Y[i]が供給される。
【0128】
図5の第1ブロック506は、データ駆動式スクランブルを用いるアナログフロントエンドであり、第2ブロック507はテストプロセッサでのデスクランブル部分として示す。図5の第2ブロック507はテストプロセッサ用のデスクランブルアーキテクチャを示し、第1ブロック506はアナログフロントエンドでのスクランブル方法データを示す。従って、図5はフロントエンドでのデータ駆動式スクランブルとともに示すテストプロセッサのためのデスクランブルアーキテクチャを示す図である。
【0129】
図5のデスクランブルアーキテクチャを方法「ランダム」に適用すると、ランダムビットX(0)はそれ自体とXOR関数に従って論理的に処理されるため、Y[0]は所望のように定数ゼロになる。
【0130】
結論としては、追加的なスクランブル信号を必要とせず、真にランダムなスクランブルと同程度に効果的に突出を抑制し、従って多くのケースに対して適切である単純なデータ駆動式スクランブルを提供できる。
【0131】
単純な一般デスクランブルハードウェアアーキテクチャが、最高16ビット以上のADCのデータ駆動式スクランブル、及び最高15ビット以上のADCのランダムスクランブルをサポートする試験プロセスのために開示される。スクランブルされたワードの幅は偶数でなければならない。
【0132】
例えば、アジレント93000テストプロセッサ用のアナログフロントエンドは、互換性を有し、効果的なスクランブル方法をサポートする必要がある。
【0133】
DACデータのスクランブルは、(スクランブルされた)サンプルメモリを充填する前処理ソフトウェアで発生し得る。
【0134】
用語「備える」は、他の要素や特性を排除するものではなく、また、「一つの」は複数を排除するものではないことに注意されたい。別々の実施形態に関連して記載される要素は組み合わせてもよい。また、請求項中の参照符号は請求の範囲を制限するものと解釈すべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の例示的な実施形態に係るデータを処理する装置を示す図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態に係るデータを処理する装置を示す図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態に係るデータを処理する装置を示す図である。
【図4】本発明の別の例示的な実施形態に係る、処理される信号を示す図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態に係る試験装置用にデータを処理する装置を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
100 装置
101 スクランブル部
102 デジタル/アナログコンバータ
103 デスクランブル部
104 デジタルデータソース
105 伝送路
106 アナログデータ処理宛先部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する装置(100)であって、
前記データを、前記データの少なくとも一部に基づいてスクランブルすることによりアナログ形式の前記データをデジタル形式の前記データに関して無相関化することに適したスクランブル部(101)を備えること、
を特徴とする装置(100)。
【請求項2】
前記スクランブル部(101)が、処理中のデータを前記処理中のデータに基づいてスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記スクランブル部(101)が、先に処理されたデータに基づいて処理中のデータをスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記スクランブル部(101)が、処理中のデータを前記処理中のデータ及び先に処理されたデータに基づいてスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記スクランブル部(101)が、前記データを、前記データの正確な1ビットに基づいてスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記スクランブル部(101)が、前記データを前記データの最下位ビットに基づいてスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記スクランブル部(101)が、前記データを前記データ全体に基づいてスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記スクランブル部(101)が、前記データを前記データの少なくとも一部と論理的に結合することにより前記データをスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1または上記のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記スクランブル部(101)が、可逆ブール関数を使用して前記データを前記データの少なくとも一部と論理的に結合することによって前記データをスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1または上記のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記可逆ブール関数が、XOR(排他的論理和)関数と、AND(論理積)関数と、OR(論理和)関数と、インバータ関数と、XOR関数、AND関数、OR関数、及びインバータ関数の任意の論理的な組み合わせとから成るグループの内の1つであること、
を特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記スクランブル部(101)が、前記データを前記データの少なくとも一部、及びランダム信号発生部(301)により供給されるランダム信号に基づいてスクランブルすることに適していること、
を特徴とする請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(300)。
【請求項12】
前記データを変換済みデータに変換することに適した変換部(102)を備えること、
を特徴とする請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記変換部(102)がアナログデータとデジタルデータの間での変換に適していること、
を特徴とする請求項12に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記変換部(102)が、前記データとしてのデジタルデータを前記変換済みのデータとしてのアナログデータに変換することに適していること、
を特徴とする請求項12または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記変換部(201)が、前記データとしてのアナログデータを前記変換済みデータとしてのデジタルデータに変換することに適していること、
を特徴とする請求項12または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(200)。
【請求項16】
前記データの少なくとも一部に基づいて前記スクランブルされたデータをデスクランブルすることに適したデスクランブル部(103)を備えること、
を特徴とする請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項17】
測定装置(500)であって、
前記測定装置(500)によって実行される測定に関するデータの生成に適したデータ生成部(501)と、
前記生成されたデータを前記生成されたデータの少なくとも一部に基づいてスクランブルするように前記生成されたデータを処理する請求項1または上記の請求項のいずれか一項に記載の装置(100)と、を備えること、
を特徴とする測定装置(500)。
【請求項18】
アナログ/デジタルコンバータ(502)と、デジタル/アナログコンバータと、センサ装置と、被試験体または物質を試験する試験装置と、化学分析、生物学的解析及び/または製剤分析用の装置、流体の化合物を分離することに適した流体分離システム、キャピラリー電気泳動デバイス、液体クロマトグラフィ装置、ガスクロマトグラフィ装置、電子測定装置、質量分析装置の内の少なくとも1つを備えること、
を特徴とする請求項17に記載の測定装置(500)。
【請求項19】
アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する方法であって、
前記データを前記データの少なくとも一部に基づいてスクランブルすることによって前記アナログ形式の前記データを前記デジタル形式の前記データに関して無相関化すること、とを含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項20】
アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理するコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサ(100)によって実行されると、
前記データを前記データの少なくとも一部に基づいてスクランブルすることによってアナログ形式の前記データをデジタル形式の前記データに関して無相関化する方法を制御または実行することに適していること、
を特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理するプログラム要素であって、プロセッサ(100)によって実行される際に、
前記データを前記データの少なくとも一部に基づいてスクランブルすることによってアナログ形式の前記データをデジタル形式の前記データに関して無相関化する方法を制御または実行することに適していること、
を特徴とするプログラム要素。
【請求項22】
アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する装置(100)であって、
デスクランブル部(103)のデジタル入力で、前記デジタル形式で供給される前記データが前記アナログ形式のデータに無相関化されるように前記データを前記データの少なくとも一部に基づいてデスクランブルすることに適した前記デスクランブル部(103)と、を備えること、
を特徴とする装置(100)。
【請求項23】
アナログ形式とデジタル形式の間での変換に適したデータを処理する方法であって、
デジタル入力で前記デジタル形式で供給される前記データが前記アナログ形式のデータに無相関化されるように前記データを前記データの少なくとも一部に基づいてデスクランブルすること、を含むこと、
を特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−529268(P2009−529268A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557649(P2008−557649)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001873
【国際公開番号】WO2007/101645
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(506347045)ヴェリジー(シンガポール) プライベート リミテッド (64)
【氏名又は名称原語表記】Verigy(Singapore)Pte.Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.1 Yishun Ave. 7, Lot 1937C, 1935X, 1975P, Singapore 768923
【Fターム(参考)】