説明

データ伝送システム及びデータ伝送方法

【課題】720Pシステムとの信号の形態の互換性を保ちつつ、1本の同軸ケーブルにて輝度色差信号とRGB原色信号の双方の伝送を可能とする伝送システムを提供する。
【解決手段】送信装置(100)は、毎秒24フレームのRGB形式の信号である第1の映像信号を入力し、入力した第1の映像信号から、輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号を生成する生成手段(1)と、第1の映像信号と第2の映像信号を多重化する多重化手段(7)と、多重化した映像信号を毎秒60フレームの映像信号形式で出力する出力手段(11)とを有する。受信装置は、送信装置から入力した映像信号から、第1の映像信号と第2の映像信号を分離し、第1の映像信号を毎秒24フレームのRGB形式の映像信号として出力し、第2の映像信号を毎秒24フレームの輝度信号および色差信号として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号のデータ伝送システム及び方法に関し、特にRGB信号と輝度色差信号とを同時に伝送するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HD(High Definition)放送機器の性能向上により、従来はフィルムを用いていた映画撮影においても、ビデオカメラを使用した撮影が増えてきている。特に、プログレシブ走査方式(以下、「P」と表す)、すわなち、順次走査方式の映像信号は、インターレース走査方式(以下、「i」と表す)と比較して、フィルムの質感に近く、映画撮影に適している。
【0003】
なお、テレビ方式のフィールド周波数が60Hzや50Hzであるのに対して、映画のフレーム周波数は24Hzである。そこで、映画制作を目的としたビデオカメラの撮影においては、「24P」と呼ばれる、フレーム周波数24Hzのプログレシブ走査方式が用いられる事が多い。
【0004】
現在、HD映像方式の規格としては、有効走査線数1080本の方式としてSMPTE 274Mが、有効走査線数720本の方式としてSMPTE 296Mが、それぞれ規格化されており、この双方において、上述の24P方式が含まれている。
【0005】
なお、最近の映画制作では、コンピュータ・グラフィックス(CG)処理や、画像加工がよく行われるので、これらの画像処理に向いた4:4:4形式のRGB信号の信号形態が好まれる事が多い。ここで、4:4:4形式とは、RGB信号における3つの映像信号が等しい信号帯域を持つことを表している。
【0006】
一方、テレビ制作では、信号の形態として輝度信号と二つの色差信号による、いわゆるYPbPr信号が用いられる事が多く、また色差信号の信号帯域を輝度信号の信号帯域の1/2とする4:2:2形式を採る事が多い。
【0007】
ここで、機器と機器をつなぐ信号の伝送方式としては、現在ではディジタル映像信号を1ビットにシリアル変換して一本の同軸ケーブルで接続する、いわゆるシリアル・ディジタル・インターフェイスが一般的となっている。HD映像方式でのシリアル・ディジタル・インターフェイスとしては、まず4:2:2形式の輝度色差信号に対してSMPTE 292Mといった規格化が行われている。
【0008】
次に、4:4:4形式の映像信号に対するシリアル・ディジタル・インターフェイスとしては、1080P方式ではSMPTE 372Mにおいて、同軸ケーブルを2本使用する、いわゆるデュアルリンクの規格が規定されている。
【0009】
720P方式では、4:4:4形式のシリアル・ディジタル・インターフェイスの規格はまだ規定されていないが、上記のSMPTE 372Mの考え方と類似した、同軸ケーブルを2本使用する方法として、例えば特許文献1に示す方法が提案されている。
【0010】
一方、1080信号に720P信号を割り当てる一手法として特許文献2に開示の方法がある。
【0011】
4:2:2形式の輝度色差信号から4:4:4形式のRGB原色信号を演算にて生成することも可能だが、色差信号はその信号帯域を輝度信号の1/2に制限しているため、RGB信号にて4:4:4の信号帯域を有するとは言い難い。また、10ビットといった有限ビット長で伝送するために、マトリクス変換における演算誤差が発生する。
【特許文献1】特開2002−320245号公報
【特許文献2】特開2004−166059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら上記特許文献1のような技術においては、ビットレートが1.485Gbpsのシリアル信号を2本、すなわち通常のHD方式の2倍のデータ伝送が必要となる。これは、SMPTE 372Mに規定されたデュアルリンクと同じく、2本の同軸ケーブルを使用する方法であり、従来の1.485Gbps伝送系が二つ必要となる。
【0013】
また、上記特許文献2のような技術においては、1080方式の信号形態を前提としており、従来の720Pシステムとは互換性がなく、不便である。
【0014】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、従来の720Pシステムとの信号の形態の互換性を保ちつつ、1本の同軸ケーブルにて輝度色差信号とRGB原色信号の双方の伝送を可能とする伝送方法及び伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様において、送信装置と受信装置を含むデータ伝送システムが提供される。送信装置は、毎秒24フレームのRGB形式の信号である第1の映像信号を入力する入力手段と、入力した第1の映像信号から、輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号を生成する生成手段と、第1の映像信号および第2の映像信号を多重化する多重化手段と、多重化した映像信号を毎秒60フレームの映像信号形式で出力する出力手段とを有する。受信装置は、送信装置から映像信号を入力する入力手段と、入力した映像信号から第1の映像信号と第2の映像信号を分離する分離手段と、第1の映像信号を毎秒24フレームのRGB形式の映像信号として出力し、第2の映像信号を毎秒24フレームの輝度信号および色差信号として出力する出力手段とを有する。
【0016】
本発明の第2の態様において、データ送信装置が提供される。データ送信装置は、毎秒24フレームのRGB形式の信号である第1の映像信号を入力する入力手段と、入力した第1の映像信号から、輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号を生成する生成手段と、第1の映像信号および第2の映像信号を多重化する多重化手段と、多重化した映像信号を毎秒60フレームの映像信号形式で出力する出力手段とを有する。
【0017】
本発明の第3の態様において、データ受信装置が提供される。データ受信装置は、送信装置から、毎秒24フレームのRGB形式の信号である第1の映像信号と輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号とが多重化された映像信号を入力する入力手段と、入力した映像信号から第1の映像信号と第2の映像信号を分離する分離手段と、第1の映像信号を毎秒24フレームのRGB形式の映像信号として出力し、第2の映像信号を毎秒24フレームの輝度信号および色差信号として出力する出力手段とを有する。
【0018】
本発明の第4の態様において、データ伝送方法が提供される。データ伝送方法は、毎秒24フレームのRGB形式である第1の映像信号と、輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号とを多重化するステップと、多重化した映像信号を毎秒60フレームの映像信号形式で伝送するステップと、伝送された映像信号を受信するステップと、受信した映像信号から、第1の映像信号と第2の映像信号を分離するステップとを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の720/60Pの信号形態を用いて、1本の同軸ケーブルにて720/24Pフォーマットの輝度色差信号とRGB形式の映像信号とを同時に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を用いて説明する。
【0021】
(実施の形態1)
1.データ送信装置
図1は本発明の実施の形態1におけるデータ送信装置の構成を示すブロック図である。データ送信装置100は、RGB形式の映像信号(以下「RGB原色信号」と呼ぶ。)を輝度色差信号に変換するマトリクス変換回路1と、輝度色差信号の帯域を制限する帯域制限回路2と、色差信号を多重化する多重回路3と、輝度色差信号を格納するメモリ4とを備える。また、データ送信装置100は、入力端子10に接続され、RGB形式の映像信号を格納するメモリ5と、メモリ4およびメモリ5を制御する制御回路6とを備える。さらに、データ送信装置100は、メモリ4とメモリ5のいずれかの出力を選択するセレクタ7と、20ビットの信号を10ビット信号に多重化するワード多重回路8と、パラレル信号をシリアル信号に変換するパラレル・シリアル(P/S)変換回路9とを備える。
【0022】
以上の構成を有するデータ送信装置100の動作を説明する。
データ送信装置100は入力端子10を介して映像信号であるディジタルデータDVIを入力する。ディジタルデータDVIは、RGB4:4:4形式の720Pディジタル信号であり、有効ライン数が720ライン、有効データサンプル数が1280サンプル、そしてフレームレートが24Hzである。なお、各サンプルのビット数は10ビットとする。
【0023】
図2(a)に、ディジタルデータDVIの構成を示す。同図に示すように、1つのサンプルはRGB各色について10ビットデータからなる。1ラインは1280個の有効サンプルからなっている。720ライン分のサンプルから1フレームのディジタル信号が構成される。
【0024】
図3はデータ送信装置100各部の信号を示した図である。図3(a)はデータ送信装置100の入力端子10に入力されるRGB形式の映像信号を示す。図3(b)はメモリ4に書き込まれる映像信号を示す。図3(c)はメモリ4から出力される映像信号を示す。図3(d)はメモリ5から出力される映像信号を示す。図3(e)はセレクタ7から出力される映像信号を示す。
【0025】
図1に戻り、入力されたRGB4:4:4形式のディジタルデータDVIは、マトリクス変換回路1により、所定の係数にてマトリクス演算が施され、RGB3原色の映像信号から、輝度信号(Y信号)および色差信号(Pb信号、Pr信号)に変換される。このうち、色差信号については、帯域制限回路2により、輝度信号の1/2にその信号帯域を制限される。以下、この帯域制限された色差信号を「Cb信号」、「Cr信号」と呼ぶ。
【0026】
Cb信号、Cr信号は、多重回路3において、そのサンプル数が1/2に間引きされ、さらにCb信号とCr信号を時間的に多重化されて一つのデータ列となる。これを「Cb/Cr信号」と表現する。すなわち、色差信号CbとCrは各々1ラインのサンプルが640個となり、図2(b)に示すようなディジタル信号となる。この多重回路3の出力信号のY信号およびCb/Cr信号は、メモリ4において、制御回路6により必要な時間調整を行われた後、セレクタ7の端子aへと入力される。
【0027】
また、入力されたディジタルデータDVIは、RGB4:4:4形式のまま、メモリ5に入力され、書き込まれる。そして、制御回路6により、チャンネルが選択されて出力される。すなわち、G#0、B#0、R#0の1フレームのディジタル信号が、図3(a)に示すようにメモリ5に書き込まれ、その後、メモリ5から、図3(d)のように2チャンネルずつ読み出される。例えば、フレームf1においては、G#0、B#0のみが出力され、フレームf2において次の1フレームのディジタル信号G#1、B#1、R#1が書き込まれる。さらに、フレームf3において、先ほどの残りのデータR#0と、G#1がメモリ5から出力され、フレームf4において、B#1、R#1がメモリ5から出力される。
【0028】
セレクタ7は、フレームf0、f2では端子aを選択し、フレームf1、f3、f4では端子bを選択する。その結果、セレクタ7の出力信号は図3(e)に示すように、輝度色差信号とRGB原色信号が時間的に多重された信号となる。
【0029】
セレクタ7の出力信号はワード多重回路8に入力される。ワード多重回路8は、20ビットの信号を10ビット信号に多重化する。パラレル・シリアル(P/S)変換回路9は、10ビットのパラレル信号を1ビットのシリアル信号に変換する。1ビットのシリアル信号は出力端子11から出力される。
【0030】
以上のようにして、本実施形態のデータ送信装置100は、RGB原色信号を入力し、この入力した信号から、RGB原色信号と輝度色差信号とを多重化した映像信号を生成し、出力する。
【0031】
なお、本実施形態のデータ送信装置100は、データ受信装置にて映像信号の種類が判別できるようにするために、フレーム毎に、映像信号の種類(すなわち映像信号が輝度色差信号であること)を示すフラグ情報を付与する。このフラグ情報を送る方法としては、例えば特開2003−153054号公報に開示された方法がある。すなわち、タイムコードにおけるユーザーズビットを使用して、有効フレームについてはフラグ値「1」を伝送する。このユーザーズビットの情報は、送信装置において記録するだけではなく、シリアル・ディジタル・インターフェイス信号において映像信号と多重して伝送することも可能である(特開2003−153054号公報の実施の形態5参照)。また、RGB原色信号の分離においては、その信号がRGBのどの信号かを知る必要がある。この場合、例えば、RGB各色の組合せに対応してフラグ値を割り当てればよい。例えば、G/B、R/G、B/Rの各組合せに対して、「2」、「3」、「4」を割り当てればよい。上記フラグ情報は、制御回路6によりワード多重回路8にて付与される。
【0032】
2.データ受信装置
データ送信装置100から映像信号を受信するデータ受信装置について説明する。データ受信装置はデータ送信装置100とともにデータ伝送システムを構成する。
【0033】
図4にデータ受信装置の構成を示す。データ受信装置200は、シリアル信号をパラレル信号に変換するシリアル・パラレル変換回路21と、ディジタル信号を分離するワード分離回路22と、フレーム毎に映像信号の種類を判別するフレーム判別回路23とを備える。さらに、データ受信装置200は、輝度色差信号を格納するメモリ25と、RGB原色信号を格納するメモリ26と、ゲートスイッチ25b、26bと、メモリ25とゲートスイッチ25bを制御する制御回路24と、メモリ26とゲートスイッチ26bを制御する制御回路27とを備える。
【0034】
図5はデータ受信装置の各部における信号を示した図である。図5(a)は入力端子20を介してデータ受信装置200に入力される映像信号を示す。図5(b)はフレーム判別回路23の出力信号波形を示す。図5(c)はメモリ25に対する入力信号を示す。図5(d)はメモリ25からの出力信号(輝度色差信号)を示す。図5(e)はメモリ26に対する入力信号を示す。図5(f)はメモリ26からの出力信号(RGB原色信号)を示す。
【0035】
データ受信装置200は入力端子20を介して、RGB原色信号と輝度色差信号が多重化された映像信号をシリアル信号として受信する。受信した映像信号はシリアル・パラレル(S/P)変換回路21により、まず10ビットのパラレル信号に変換される。その後、10ビットのパラレル信号は、ワード分離回路22によりさらに二つの10ビットのディジタル信号に分離される。
【0036】
フレーム判別回路23は、フレーム毎に、分離されたディジタル信号に含まれるフラグ情報に基づき、分離されたディジタル信号の種類が輝度色差信号及びRGB原色信号のいずれであるかを判別する。フレーム判別回路23は、分離されたディジタル信号の種類が輝度色差信号であるときは、出力信号のレベルを「1」にし、RGB原色信号であるときは「0」にする(図5(b)参照)。フレーム判別回路23の出力信号は制御回路24,27へ送られる。
【0037】
制御回路24は輝度色差信号の抽出に関する制御を行う。図5(b)に示すフレーム判別回路23の出力信号の「1」の期間が、輝度色差信号が存在する期間である。制御回路24はフレーム判別回路23の出力信号に基づき、輝度色差信号だけをメモリ25に書き込むようゲートスイッチ25bを制御する。図5(c)に、メモリ25に書き込まれる輝度色差信号の波形を示す。さらに、制御回路24は、メモリ25から輝度色差信号を読み出し、信号の形態を2:3プルダウンした720/60Pの信号として出力端子30から出力する。すなわち、図5(c)に示すような本来毎秒24フレームの有効フレーム数に対して、図5(d)に示すように同じフレームを2枚、3枚というように毎秒計60フレームにして出力する。このように出力信号を720/60Pの信号形態にすることにより、モニタで見るときにフリッカのない映像となり、また種々の映像機器に対応できる。
【0038】
制御回路27は、RGB原色信号の抽出に関する制御を行う。図5(b)に示すフレーム判別回路23の出力信号の「0」の期間が、RGB原色信号が存在する期間である。制御回路27は、フレーム判別回路23の出力信号に基づき、RGB原色信号だけをメモリ26に書き込むようゲートスイッチ26bを制御する。図5(e)に、メモリ26に書き込まれるRGB原色信号の波形を示す。さらに、制御回路27は、各色のタイミングを合わせてRGBメモリ26からRGB原色信号を読み出し、出力端子31から出力する。図5(f)にメモリ26から出力されるRGB原色信号の波形を示す。同図に示すように24フレームの原色信号の形で出力される。
【0039】
以上のようにして、データ受信装置200は、RGB形式の映像信号と輝度色差信号とを多重化した映像信号を入力し、入力した映像信号から、RGB形式の映像信号と輝度色差信号とを分離し、それぞれ出力する。なお、データ受信装置200から出力されるRGB形式の映像信号は映像編集等の用途に使用され、輝度色差信号はモニタ表示用等の用途に使用される。このように、本実施形態のデータ伝送システムによれば、従来の720Pシステムとの信号の形態の互換性を保ちつつ、1本の同軸ケーブルにて720/24Pフォーマットの輝度色差信号とRGB形式の映像信号の双方の伝送を可能とする。
【0040】
(実施の形態2)
本発明に係る撮像装置の実施の形態について説明する。図6に撮像装置の構成を示す。撮像装置300は、映像を撮像する撮像部50と、映像信号の階調変換を行う階調変換回路12と、RGB原色信号を受け、RGB原色信号と輝度色差信号とを多重化した映像信号を生成して出力するデータ伝送部150とを有する。データ伝送部150の構成、動作は、実施の形態1のデータ送信装置100の構成、動作と同じである。本実施形態の撮像装置300は、映画制作用に好適な撮像装置である。
【0041】
図7は、ビデオ撮影とフィルム撮影における階調特性を示した図である。なお、この特性はガンマ特性とも呼ばれる。テレビ制作に用いられるビデオ撮影では、図7(a)に示すような特性を使用することが多い。ここで100%の信号レベルは基準となる白レベルである。放送用に用いられるビデオカメラの飽和レベルは600%程度である。信号の高輝度領域では、その階調が圧縮され、出力信号レベルの最大値は109%に制限される。
【0042】
一方、映画制作時のフィルム撮影では、図7(b)に示すような特性を使用することが多い。これは、カメラが処理可能な入射光量の範囲、すなわちダイナミックレンジをすべて使用するためである。
【0043】
本実施形態の撮像装置300は、映画制作用に好適な撮像装置であるため、撮像部50は、図7(b)に示すようなフィルムライクな特性でRGB原色信号を生成する。この映像信号は直接的にまたは階調変換回路12を介してデータ伝送部150に入力される。
【0044】
階調変換回路12は、入力した映像信号の階調特性を図7(b)に示す特性から図7(a)に示す特性に変換する。階調変換回路12により特性が変換された映像信号はマトリクス変換回路1に入力される。その後の処理は実施の形態1で示したものと同様である。
【0045】
上記の撮像装置により、本来の映像編集に用いるRGB原色信号とモニタ表示用の輝度色差信号において、それらの信号の階調特性を異ならせることができる。このため、本来の用途に必要な映像信号の特性としてはフィルムライクなガンマ特性を確保しつつ、モニタ表示用として適切な映像信号をも得ることができる。
【0046】
なお、映像信号に対して補正を行う補正手段として、本実施の形態では、階調変換回路12の場合を示したが、例えば映像の輪郭を強調する輪郭強調回路を用いてもよい。この場合、輝度色差信号を撮影時のモニタ信号として使用すると、フォーカスを合わせる事が容易になる、という効果が期待できる。
【0047】
なお、上述の実施の形態では、720P信号の例で説明したが、映像信号フォーマットは特に限定されず、例えば1080P信号で実施することも可能である。また、毎秒60フレーム、毎秒24フレームの代わりに、毎秒60/1.001フレーム、毎秒24/1.001フレームであっても構わない。
【0048】
さらに、毎秒24フレームの映像信号を毎秒60フレームの信号形式にて伝送する例で説明したが、例えば、毎秒48フレームの映像信号を毎秒120フレームの信号形式にて伝送することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明にかかるデータ伝送システムおよび方法は、従来の伝送装置を使用してRGB原色信号と輝度色差信号とを併せて伝送するシステムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1におけるデータ送信装置の構成を示すブロック図
【図2】ディジタル映像信号の構成を示す図。
【図3】本発明の実施の形態1におけるデータ送信装置各部の映像信号を示す図
【図4】本発明の実施の形態1におけるデータ受信装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態1におけるデータ受信装置各部の映像信号を示す図
【図6】本発明の実施の形態2における撮像装置の構成を示すブロック図
【図7】ビデオ撮影とフィルム撮影における階調特性を示した図
【符号の説明】
【0051】
1 マトリクス変換回路
2 帯域制限回路
3 多重回路
4、5、25、26 メモリ
6、24、27 制御回路
7 セレクタ
8 ワード多重回路
9 パラレル・シリアル変換回路
10、20 入力端子
11、30、31 出力端子
12 階調変換回路
21 シリアル・パラレル変換回路
22 ワード分離回路
23 フレーム判別回路
50 撮像部
100 データ送信装置
150 データ伝送部
200 データ受信装置
300 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と受信装置を含むデータ伝送システムであって、
(a)前記送信装置は、
毎秒24フレームのRGB形式の信号である第1の映像信号を入力する入力手段と、
前記入力した第1の映像信号から、輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号を生成する生成手段と、
前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を多重化する多重化手段と、
多重化した映像信号を毎秒60フレームの映像信号形式で出力する出力手段とを有し、
(b)前記受信装置は、
前記送信装置から映像信号を入力する入力手段と、
前記入力した映像信号から前記第1の映像信号と前記第2の映像信号を分離する分離手段と、
前記第1の映像信号を毎秒24フレームのRGB形式の映像信号として出力し、前記第2の映像信号を毎秒24フレームの輝度信号および色差信号として出力する出力手段とを有する、
ことを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項2】
前記生成手段は、前記第1の映像信号から、前記第1の映像信号のデータ量の2/3のデータ量を有する第2の映像信号を生成する、ことを特徴とする請求項1記載のデータ伝送システム。
【請求項3】
前記送信装置はさらに前記第1の映像信号に対して所定の補正を行う補正手段を備え、
前記生成手段は、前記補正手段の出力信号から、前記第1の映像信号のデータ量の2/3のデータ量を有する第2の映像信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1記載のデータ伝送システム。
【請求項4】
前記補正手段は階調補正を行うことを特徴とする請求項3記載のデータ伝送システム。
【請求項5】
前記送信装置は、フレーム毎に映像信号の種類を示すフラグ情報を映像信号のタイムコード情報に挿入し、
前記受信装置は、前記フラグ情報に応じて前記第1の映像信号と前記第2の映像信号を分離する、
ことを特徴とする請求項1記載のデータ伝送システム。
【請求項6】
各フレームにおける有効ライン数が720ラインであることを特徴とする請求項1記載のデータ伝送システム。
【請求項7】
前記第1及び第2の映像信号が順次走査方式の映像信号であることを特徴とする請求項1記載のデータ伝送システム。
【請求項8】
毎秒24フレームのRGB形式の信号である第1の映像信号を入力する入力手段と、
前記入力した第1の映像信号から、輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号を生成する生成手段と、
前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を多重化する多重化手段と、
多重化した映像信号を毎秒60フレームの映像信号形式で出力する出力手段と
を有することを特徴とするデータ送信装置。
【請求項9】
送信装置から、毎秒24フレームのRGB形式の信号である第1の映像信号と輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号とが多重化された映像信号を入力する入力手段と、
入力した映像信号から前記第1の映像信号と前記第2の映像信号を分離する分離手段と、
前記第1の映像信号を毎秒24フレームのRGB形式の映像信号として出力し、前記第2の映像信号を毎秒24フレームの輝度信号および色差信号として出力する出力手段と
を有することを特徴とするデータ受信装置。
【請求項10】
毎秒24フレームのRGB形式である第1の映像信号と、輝度信号および色差信号からなる第2の映像信号とを多重化するステップと、
多重化した映像信号を毎秒60フレームの映像信号形式で伝送するステップと、
前記伝送された映像信号を受信するステップと、
前記受信した映像信号から、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号を分離するステップと
を含むことを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項11】
前記第1の映像信号から、前記第1の映像信号のデータ量の2/3のデータ量を有する前記第2の映像信号を生成するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項10記載のデータ伝送方法。
【請求項12】
前記第1の映像信号を階調補正するステップと、
前記第1の映像信号から、前記第1の映像信号のデータ量の2/3のデータ量を有する前記第2の映像信号を生成するステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項10記載のデータ伝送方法。
【請求項13】
フレーム毎に映像信号の種類を示すフラグ情報を映像信号のタイムコード情報に挿入して伝送するステップと、
前記フラグ情報に応じて前記第1の映像信号と前記第2の映像信号を分離するステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項10記載のデータ伝送方法。
【請求項14】
各フレームにおける有効ライン数が720ラインであることを特徴とする請求項10記載のデータ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−10722(P2009−10722A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170506(P2007−170506)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】