データ再生装置、データ再生方法、及びデータ記録再生装置
【課題】各再生信号の再生位置の不揃いを解消して信号分離演算処理を良好に行い、再生データの品質向上を図ることのできるデータ再生装置を提供する。
【解決手段】同期信号検出部231によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から検出された同期信号をもとに、再生位置制御処理部235は、各再生信号のトラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる。例えば、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−2によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−2の再生位置のずれ情報とする。このずれ情報をもとに、再生ヘッドR−1の再生信号と再生ヘッドR−2の再生信号のそれぞれの再生位置を合わせる。
【解決手段】同期信号検出部231によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から検出された同期信号をもとに、再生位置制御処理部235は、各再生信号のトラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる。例えば、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−2によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−2の再生位置のずれ情報とする。このずれ情報をもとに、再生ヘッドR−1の再生信号と再生ヘッドR−2の再生信号のそれぞれの再生位置を合わせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを再生するための信号処理の一単位が複数のトラックに分けて記録された記録媒体からデータを再生するデータ再生装置、データ再生方法、及びデータ記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ヘッドにおいては、磁気記録メディアの大容量化を図るために、更なる高密度記録が求められ、トラックのトラック幅を狭くすること(以下、「狭幅化」という。)に適した磁気ヘッドが採用されるようになってきている。一般的には、トラックの狭幅化にはトラック・サーボの精度向上が鍵となる。
【0003】
磁気テープ記録再生装置においては、狭幅化に伴い、サーボが困難になる対策案として、所謂ノントラッキング・システムが提唱され、実用化に至っている(たとえば特許文献1−5など)。このノントラッキング方式は、ヘリカル・スキャンにてダブルアジマス記録を行ったトラックに対し、識別のために、ブロックに分けてデータを記録することによって、目的のトラックを1回のトレースで再生できなくても、データを再構成できるものである。このノントラッキング方式によって、従来のトラック・サーボで必要とされる1トラック以内のトラック制御に対して、4倍以上のマージンが許容されるようになる。
【0004】
また、ノントラッキング技術は、ヘリカル・スキャンに留まらずリニア記録で使用されるための可能性が検討されている(たとえば特許文献6,7など)。
【0005】
ところで、磁気記録メディアの基板に、たとえばポリエステルフィルムのような伸縮性をもった非磁性支持体を使用した場合、ダブルアジマス記録を行ったとしても、許容できる変形量はトラック・サーボを併用して、例えばトラック幅の2倍程度までであり、これ以上の変形が発生する場合は、十分なSN比をもって信号を再生することができなかった。また、ダブルアジマスを持たない記録の場合では、トラックをまたがない所謂ガードバンドの幅を、トラック・サーボを併用した状態でも、エラーレート等の信頼性を劣化させないために、テープの変形量以下に押さえ込む必要があった
【0006】
このような問題は、これまで実現されていた信号再生方式においては、少なくとも1つの再生ヘッドが同時に複数のトラックから信号を読み込むことによって信号品質が著しく劣化することに起因する。それを回避するために、ガードバンドやダブルアジマス記録を行い、また再生ヘッドからは1つのトラックからの信号のみを拾うように工夫されてきた。
【0007】
しかし、さらに高トラック密度化を行う場合においては、先ずガードバンドの設置はその妨げとなる。また、再生時において隣接するトラックからの干渉を少なくすることができるダブルアジマス記録は、狭幅化した場合その効果は減少してしまう。
【0008】
このことは、ノントラッキング方式であっても同じであり、再生ヘッドは複数のトラックに跨って信号を再生するように見えるが、時間分割した場合、再生している信号は常に1つのトラックに対してだけであり、同一時間に複数のトラックを再生するということは行っていなかった。
【0009】
また、ノントラッキング方式で高トラック密度化に対応しようとした際に、対象トラックの隣接するトラックからの信号を拾うことによってノイズが混入するようになるため、トラックの狭幅化対応が限界になってきている。
【0010】
磁気ヘッド装置の背景技術としてこのほか、記録密度を向上させるために、1つのブロックに複数のヘッドを配置し、同一アジマスのブロックで形成する方式として、一度に複数のデータ・フレームを記録する技術がある(たとえば特許文献8及び特許文献9など)。
【0011】
これらの公知技術は、再生ヘッド幅をトラックの幅の半分程度にしなければならなくなるため、再生信号の出力を大きくとることができないという制約が生じ、たとえばSN比の確保の点で不利であり、更なる高密度記録化には必ずしも向いていなかった。
【0012】
MIMO(Multi-Input/Multi-Output)技術は、無線通信に用いられるものとして広く知られている(たとえば特許文献10など)。
【0013】
また、MIMOに関する技術を磁気記録に使用する技術も知られている(たとえば非特許文献1など)。しかし、たとえば記録したトラックよりも広幅の再生ヘッドを使用する場合など、実用化に際して発生する課題が解決されていなかった。
【0014】
本発明においては、MIMOを使用した磁気記録方法としては前項で紹介した論文をもって実現しえなかった、磁気記録再生方法へのMIMO技術の実用化を実現するにあたり、公知技術からは予見しえなかった技術内容を明らかにするものである。
【特許文献1】特許1842057号公報
【特許文献2】特許1842058号公報
【特許文献3】特許1842059号公報
【特許文献4】特開平04−370580号公報
【特許文献5】特開平05−020788号公報
【特許文献6】特開平10−283620号公報
【特許文献7】特開2003−132504号公報
【特許文献8】特開2003−338012号公報
【特許文献9】特開2004−071014号公報
【特許文献10】特許3664993号公報
【非特許文献1】論文IEEE Trans.Mag.Vol.30.No.6 Nov.1994 5100ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように従来の磁気記録再生方式では、記録密度を高めるに磁気記録メディアでのトラック幅を狭くする方法が採用されてきた。しかし、このまま高記録密度を追い求めてトラック幅を狭くしていくと、再生時にトラックを追いきれなくなるという問題が生じる。そこで、トラックに対する再生ヘッドの位置が多少とも外れていても、そのトラックから信号を読み取ることができるノントラッキング方式が提案されている。しかしながら、ノントラッキング方式で適切に再生信号を得るためには、再生ヘッドの設定に厳しい制約が伴う。この面からトラック幅の狭小化による高記録密度化には限界があった。
【0016】
そこで、本発明者らは、磁気記録メディアに記録ヘッドにより、データを再生するための信号処理の一単位である複数のトラックを記録し、磁気記録メディアの複数のトラックに跨って信号を再生することが可能な再生ヘッドにより、複数のトラックに対する信号を、複数のトラックに対して異なる位置関係で複数再生し、これら再生信号を一単位にまとめ、信号処理を行うことで、トラックごとの再生信号を生成するという方式を提案した。これによると、再生ヘッドの幅を決める制約が軽減し、トラック幅の狭小化、高記録密度化が可能である。
【0017】
図29は、上記の磁気記録再生方式を採用した記録装置800の構成を示す図である。
【0018】
同図に示すように、この記録装置800は、マルチトラック化部110、マルチトラック記録符号化部120、マルチトラックプリアンブル付加部130、マルチトラック記録部140、記録ヘッドアレイ150で構成される。
【0019】
マルチトラック化部110は、マルチトラック化のために記録データ1を記録ヘッドアレイ150に設けられた記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)分のデータに振り分けるデータ分配器111で構成される。
【0020】
マルチトラック記録符号化部120は、データ分配器111にてM個に振り分けられた記録データを符号化するM個の記録符号化部121−1,121−2,121−3で構成される。
【0021】
マルチトラックプリアンブル付加部130は、マルチトラック記録符号化部120によって符号化された各記録データに、トラックごとに特定のプリアンブルを付加するM個のプリアンブル付加部131−1,131−2,131−3で構成される。
【0022】
マルチトラック記録部140は、プリアンブルが付加された各トラックの記録符号列を記録媒体に記録する手段であり、より詳細には、プリアンブルが付加された記録符号列に所望のタイミングを与えるM個の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3と、記録補償処理を行うM個の記録補償部144−1,144−2,144−3と、記録補償処理後の記録符号列をもとに個々の記録ヘッドW−1,W−2,W−3を駆動するM個の記録アンプ147−1,147−2,147−3とで構成される。
【0023】
図30は、この記録装置800によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。この記録装置100では、まず、入力された記録データ1がマルチトラック化部110にて、記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)のデータ、すなわちユニットを構成するトラック数分のデータに分配される(ステップS801)。
【0024】
分配された各データは、それぞれマルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3にて、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このときデータの符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS802)。
【0025】
次に、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置に、マルチトラックプリアンブル付加部130のプリアンブル付加部131−1,131−2,131−3にて、ユニット単位のデータを再生する制御のために必要なパターンがプリアンブルとして付加され、記録符号列が得られる(ステップS803)。
【0026】
ここで、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置とは、連続して記録符号列が記録再生されることを考慮して決められた位置である。また、プリアンブルとしては、例えば、再生信号に対するゲイン制御のための学習に用いられるゲイン制御パターン、ビット同期処理などに用いられる同期パターン、及び、複数の再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するために必要な分離パターンなどがある。ここで、1ユニット分の複数のトラックとは、データを再生するための信号処理の一単位を構成する複数のトラックである。同期パターンはトラックごとの分離パターンやデータの開始位置を特定するための情報としても用いられる。これらのパターンは、マルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3で生成される符号列の規則を考慮して作成されたものである。
【0027】
それぞれのトラックごとの記録符号列は、マルチトラック記録部140の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3にて所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144−1,144−2,144−3にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施される。
【0028】
この後、トラックごとの記録符号列は、記録アンプ147−1,147−2,147−3において電圧から電流に変換されて記録ヘッドW−1,W−2,W−3に送られ、記録ヘッドW−1,W−2,W−3によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS804)。
【0029】
次に、上記の磁気記録再生方式を採用した再生装置について説明する。
【0030】
図31は上記の磁気記録再生方式を採用した再生装置900の構成を示す図である。
【0031】
同図に示すように、この再生装置900は、再生ヘッドアレイ210、チャネル再生部220、信号分離部230、マルチトラック復調部240、及び復元部260を備える。
【0032】
再生ヘッドアレイ210は、磁気記録メディア2に記録された各トラックから信号を読み出すN(N=3)個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3を有する。それぞれの再生ヘッドR−1,R−2,R−3は、磁気記録メディア2上で隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なように、そのヘッド幅及び配置が決められている。
【0033】
チャネル再生部220は、再生ヘッドアレイ210に搭載されたN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって再生された信号を増幅するN個の再生アンプ221−1,221−2,221−3と、N個の再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが所定の値になるようにゲインを制御するゲイン調整部224−1,224−2,224−3と、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力を所定のビット幅のディジタル値に量子化するA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3とを備える。
【0034】
なお、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の直前には必要に応じて不要な高域成分を除去するローパス・フィルタが備えられていてもよい。
【0035】
また、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の前段ではなく後段に配置されてもよい。これは、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3のビット幅をより有効に用いたり、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の構成を、プリアンプルに含まれる各パターンの検出を考慮した簡単なものとしたい場合に有効である。
【0036】
信号分離部230は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の出力から同期パターンの検出を行う同期信号検出器231と、同期信号検出器231によって検出された同期信号をもとに分離パターンの開始位置を特定して、その分離パターンを用いてチャネル推定演算および信号分離演算を行うことによって、複数の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によってそれぞれ再生された1ユニット分の再生信号からトラックごとの再生信号を分離する信号分離処理部236とを備える。
【0037】
マルチトラック復調部240は、信号分離処理部236にて分離されたトラックごとの再生信号に対して等化処理を行うM個の等化器241−1,241−2,241−3と、等化器241−1,241−2,241−3の出力からビット同期を行うM個のPLL242−1,242−2,242−3と、PLL242−1,242−2,242−3で生成されたビット同期信号を用いて各トラックごとの再生信号を二値化して符号列を生成する、たとえばビタビ検出器などM個の検出器243−1,243−2,243−3と、検出器243−1,243−2,243−3の出力である2値化された再生信号から符号列上の同期パターンを検出するM個の同期信号検出器244−1,244−2,244−3と、同期信号検出器244−1,244−2,244−3により検出された同期パターンをもとにデータの開始位置を特定して符号列からデータ列を復号するM個の復号器245−1,245−2,245−3とを備える。
【0038】
復元部260は、マルチトラック復調部240内のM個の復号器245−1,245−2,245−3より出力された各トラックのデータを、記録時と逆の動作により連結して再生データ3を復元するデータ結合器261を備える。
【0039】
図32は、この再生装置900のユニット再生の動作の流れを示すフローチャートである。この再生装置900では、まず、それぞれ隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって、磁気記録メディア2の1ユニット分の複数のトラックから信号が再生される(ステップS901)。
【0040】
次に、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3にて、各再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが調整された後、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力はA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3にてディジタル値に変換されて同期信号検出器231に出力される(ステップS902)。
【0041】
同期信号検出器231は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の出力ごとに、プリアンブル内の分離パターンの開始位置などを知るための同期パターンの検出を行う(ステップS903)。
【0042】
次に、信号分離処理部236は、同期信号検出器231によって検出された同期信号をもとに分離パターンの開始位置を特定して、その分離パターンを用いてチャネル推定演算によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3と1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を求めた後(ステップS904)、このチャネル行列をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって再生された1ユニット分の再生信号から、トラックR−1,R−2,R−3ごとの再生信号を分離する(ステップS905)。
【0043】
この後は、トラックごとの再生信号からマルチトラック復調部240にてデータ列の復号が行われ(ステップS906)、復元部260にて各トラックごとのデータが連結されて再生データ3が得られる(ステップS907)。
【0044】
ところで上記の磁気記録再生方式を採用する場合における、より安定した再生信号を得るための技術的課題の一つとしては、例えば、再生時に、各再生ヘッドごとの再生信号の再生位置が不揃いであることによる再生データの品質の低下があった。
【0045】
すなわち、上記の磁気記録再生方式では、再生ヘッドは複数のトラックに跨って信号を再生可能なように、再生ヘッドの再生幅はトラック幅より大きく設定され、この再生ヘッドによって再生された複数の再生信号は、信号分離のための演算処理によって、トラックごとの再生信号に分離される。この信号分離演算においては、入力される各再生信号の再生位置が揃っていることが精度上重要となり、信号分離演算の結果であるトラックごとの再生信号の品質に大きく響くこととなる。
【0046】
しかしながら、複数の再生ヘッドを用いて一斉に1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合、各再生ヘッドの実装精度の問題などにより、信号分離演算部に入力される各再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置が不揃いになるおそれがあり、また、1つの再生ヘッドを用いて複数回に分けて1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合にも同様に、各再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置が不揃いになるおそれがある。また、このような各再生信号の再生位置の不揃いは、再生時の要因のみならず、各トラックの記録信号の記録位置の不揃いによっても発生する。
【0047】
本発明は、かかる事情を鑑み、各再生信号の再生位置の不揃いを解消して信号分離演算処理を良好に行い、再生データの品質向上を図ることのできるデータ再生装置、データ再生方法及びデータ記録再生装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0048】
上記の課題を解決するために、本発明のデータ再生装置は、データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを有し、前記トラックごとに、データと、このデータを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルとが記録された記録媒体から、1トラック以上の再生幅を有する再生ヘッドにより、前記ユニットを構成する複数のトラックに対する複数の再生信号を取得し、信号処理によって前記データを再生する装置であって、前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出する同期信号検出部と、前記同期信号検出部による前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置制御処理部とを具備する。
【0049】
この発明によれば、複数の再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで信号分離演算を良好に行うことが可能となり、再生データの品質を向上させることができる。
【0050】
本発明のデータ再生装置において、前記同期信号検出部は、前記複数の再生信号ごとに、前記プリアンブル内において複数の同期パターンを検出することができるものであってもよい。
【0051】
本発明のデータ再生装置において、前記再生位置制御処理部は、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックの前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることとしてもよい。
【0052】
より具体的には、前記再生位置制御処理部は、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックについて、前記複数の再生信号の前記同期パターンの検出位置同士を比較して、この比較結果を前記複数の再生信号同士の、トラックの進行する方向における位置ずれの情報として、この位置ずれの情報をもとに、複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる。これにより、複数の再生信号の再生位置を正確に合わせることができる。
【0053】
本発明のデータ再生装置において、前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられてもよい。すなわち、複数の再生ヘッドを用いて一斉に1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合において、各再生ヘッドの実装精度の問題などによる、各再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置が不揃いが解消されることで、信号分離演算を良好に行うことができる。
【0054】
また、本発明のデータ再生装置において、前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように、前記トラックの幅方向に移動可能に設けられたものであってもよい。すなわち、1つの再生ヘッドを用いて複数回に分けて1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合にも同様に、各再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで、信号分離演算を良好に行うことができる。
【0055】
さらに、本発明のデータ再生装置において、前記プリアンブルは、前記再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要な分離パターンを有し、前記複数の再生信号から検出された前記分離パターンをもとに、前記複数の再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するチャネル推定演算部と、前記再生位置制御処理部によって再生位置が合わせられた複数の再生信号から、前記チャネル推定演算部によって求められた前記チャネル行列をもとに、前記トラックごとの再生信号を分離する信号分離演算部とをさらに具備するものであってよい。本発明により、複数の再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで信号分離演算部での演算処理を良好に行うことが可能となり、再生データの品質を向上させることができる。
【0056】
本発明の別の観点に基づくデータ再生方法は、データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを有し、前記トラックごとに、データと、このデータを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルとが記録された記録媒体から、1トラック以上の再生幅を有する再生ヘッドにより、前記ユニットを構成する複数のトラックに対する複数の再生信号を取得し、信号処理によって前記データを再生する方法であって、前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出するステップと、前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置合わせステップとを具備する。
【0057】
この発明によれば、複数の再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで信号分離演算を良好に行うことが可能となり、再生データの品質を向上させることができる。
【0058】
本発明のデータ再生方法において、前記同期パターンを検出するステップは、前記複数の再生信号ごとに、前記プリアンブル内において複数の同期パターンを検出することができることとする。
【0059】
本発明のデータ再生方法において、前記再生位置合わせステップは、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックの前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを行う。
【0060】
より具体的には、前記再生位置合わせステップは、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックについて、前記複数の再生信号の前記同期パターンの検出位置同士を比較して、この比較結果を前記複数の再生信号同士の、トラックの進行する方向における位置ずれの情報として、この位置ずれの情報をもとに、複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる。これにより、複数の再生信号の再生位置を正確に合わせることができる。
【0061】
本発明のデータ再生方法において、前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられてもよい。すなわち、複数の再生ヘッドを用いて一斉に1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合において、各再生ヘッドの実装精度の問題などによる、各再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置が不揃いが解消されることで、信号分離演算を良好に行うことができる。
【0062】
本発明のデータ再生方法において、前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられてもよい。すなわち、1つの再生ヘッドを用いて複数回に分けて1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合にも同様に、各再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで、信号分離演算を良好に行うことができる。
【0063】
また、本発明のデータ再生方法において、前記プリアンブルは、前記再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要な分離パターンを有し、前記複数の再生信号から検出された前記分離パターンをもとに、前記複数の再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するステップと、前記再生位置が合わせられた複数の再生信号から、前記チャネル行列をもとに、前記トラックごとの再生信号を分離するステップとをさらに具備するものであってよい。本発明により、複数の再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで信号分離演算部での演算処理を良好に行うことが可能となり、再生データの品質を向上させることができる。
【0064】
本発明の別の観点に基づくデータ記録再生装置は、複数のトラックに跨って信号を再生可能な再生ヘッドを有するデータ再生装置と、このデータ再生装置によってデータ再生が可能となるように、記録媒体に、記録ヘッドにより、データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを記録するデータ記録装置とを有するデータ記録再生装置であって、前記データ記録装置は、前記トラックごとに記録すべきデータを符号化するマルチトラック記録符号化部と、前記マルチトラック記録符号化部により符号化された前記トラックごとの前記データの符号列にそれぞれ、当該データを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルを付加するマルチトラックプリアンブル付加部と、前記複数のトラックの前記プリアンブル及び前記データを、前記データを再生するための信号処理の一単位であるユニットとして配置されるように、前記マルチトラックプリアンブル付加部によって前記プリアンブルが付加された前記トラックごとのデータを記録ヘッドにより前記記録媒体に記録するマルチトラック記録部とを具備し、前記データ再生装置は、前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出する同期信号検出部と、前記同期信号検出部による前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置制御処理部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0065】
本発明のデータ再生装置、データ再生方法及びデータ記録再生装置によれば、各再生信号の再生位置の不揃いを解消して信号分離演算処理を良好に行い、再生データの品質向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0067】
(第1の実施形態)
【0068】
本発明の第1の実施形態として、マルチヘッドを用いた磁気記録再生方式における記録装置及び再生装置について説明する。この実施形態の記録装置は、磁気記録メディアにトラックごとに記録位置を揃えることなく信号を記録する装置であり、再生装置は、その磁気記録メディアからトラックごとに再生位置を揃えることなく信号を再生する装置である。ここで、記録ヘッドの数をM、再生ヘッドの数をNとし、この実施形態では、M=3、N=3とする。
【0069】
図1は、本発明の第1の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置100の構成を示す図である。
【0070】
同図に示すように、この記録装置100は、マルチトラック化部110、マルチトラック記録符号化部120、マルチトラックプリアンブル付加部130、マルチトラック記録部140、記録ヘッドアレイ150で構成される。
【0071】
マルチトラック化部110は、マルチトラック化のために記録データ1を記録ヘッドアレイ150に設けられた記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)分のデータに振り分けるデータ分配器111で構成される。
【0072】
マルチトラック記録符号化部120は、データ分配器111にてM個に振り分けられた記録データを符号化するM個の記録符号化部121−1,121−2,121−3で構成される。
【0073】
マルチトラックプリアンブル付加部130は、マルチトラック記録符号化部120によって符号化された各記録データに、ユニット単位のデータ再生の制御のために必要なプリアンブルを付加するM個の独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3で構成される。これらの独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3は、再生時に再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルが同時に再生されないように、少なくとも隣り合う各トラックの間で互いにトラックの進行する方向においてずれた位置関係でプリアンブルの付加を行う。
【0074】
マルチトラック記録部140は、プリアンブルが付加された各トラックの記録符号列を記録媒体に記録する手段であり、より詳細には、プリアンブルが付加された記録符号列に所望のタイミングを与えるM個の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3と、記録補償処理を行うM個の記録補償部144−1,144−2,144−3と、記録補償処理後の記録符号列をもとに個々の記録ヘッドW−1,W−2,W−3を駆動するM個の記録アンプ147−1,147−2,147−3とで構成される。
【0075】
図2は、この記録装置100によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。この記録装置100では、まず、入力された記録データ1がマルチトラック化部110にて、記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)のデータ、すなわちユニットを構成するトラック数分のデータに分配される(ステップS101)。
【0076】
分配された各データは、それぞれマルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3にて、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このときデータの符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS102)。
【0077】
次に、マルチトラックプリアンブル付加部130の独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3により、記録符号化部121−1,121−2,121−3によって符号化されたそれぞれの記録データに、再生時に再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルが同時に再生されないように、少なくとも隣り合う各トラックの間で互いにトラックの進行する方向においてずれた位置関係で、データ再生の制御のために必要なプリアンブルが付加され、記録符号列が得られる(ステップS103)。
【0078】
ここで、データ再生の制御のために必要なプリアンブルとしては、例えば、再生信号に対するゲイン制御のための学習に用いられるゲイン制御パターン、ビット同期処理などのための同期検出に用いられる同期パターン、及び、複数の再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するために必要な分離パターンなどがある。1ユニット分の複数のトラックとは、データ再生のための信号処理の一単位を構成する複数のトラックである。同期パターンはトラックごとの分離パターンやデータの開始位置を特定するための情報としても用いられる。これらのパターンは、マルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3で生成される符号列の規則を考慮して作成されたものである。
【0079】
それぞれのトラックごとの記録符号列は、マルチトラック記録部140の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3にて所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144−1,144−2,144−3にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施される。
【0080】
この後、トラックごとの記録符号列は、記録アンプ147−1,147−2,147−3において電圧から電流に変換されて記録ヘッドW−1,W−2,W−3に送られ、記録ヘッドW−1,W−2,W−3によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS104)。
【0081】
また、この記録装置100では、1つの再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルを再生できるようなトラック配置となるように磁気記録メディア2への記録が行われる。この実施形態では、各トラックを幅方向に隙間無く記録する方式について例示しているが、各トラック間に、ガードバンドのような、記録符号列ではない領域が与えられる場合であっても、1つの再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルを再生できるようなトラック配置となるように磁気記録メディア2への記録が行われるものとする。
【0082】
次に、本発明の第1の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置について説明する。
【0083】
図3は第1の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置200の構成を示す図である。
【0084】
同図に示すように、再生装置200は、再生ヘッドアレイ210、チャネル再生部220、信号分離処理部230、マルチトラック復調部240、及び復元部260を備える。
【0085】
再生ヘッドアレイ210は、磁気記録メディア2に記録された各トラックから信号を読み出すN(N=3)個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3を有する。それぞれの再生ヘッドR−1,R−2,R−3は、磁気記録メディア2上で隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なように、そのヘッド幅及び配置が決められている。
【0086】
チャネル再生部220は、再生ヘッドアレイ210に搭載されたN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって再生された信号を増幅するN個の再生アンプ221−1,221−2,221−3と、N個の再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが所定の値になるようにゲインを制御するゲイン調整部224−1,224−2,224−3と、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力を所定のビット幅のディジタル値に量子化するA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3とを備える。
【0087】
なお、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の直前には必要に応じて不要な高域成分を除去するローパス・フィルタが備えられていてもよい。
【0088】
また、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の前段ではなく後段に配置されてもよい。これは、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3のビット幅をより有効に用いたり、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の構成を、プリアンプルに含まれる各パターンの検出を考慮した簡単なものとしたい場合に有効である。
【0089】
信号分離処理部230は、同期信号検出部231、再生信号ゲイン制御処理部233、チャネル推定演算部234、再生位置制御処理部235、及び信号分離演算部236を有している。
【0090】
同期信号検出部231は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3より出力された再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からプリアンブル内の同期パターンを検出する。
【0091】
再生信号ゲイン制御処理部233は、同期信号検出部231を通過した各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からプリアンブル内のゲイン制御パターンを検出して、このゲイン制御パターンの信号をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号に対するゲインを演算して、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号のレベルを制御する。
【0092】
チャネル推定演算部234は、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに分離パターンの開始位置を特定して、この分離パターンの再生信号を用いて、チャネル推定演算によってチャネル行列を演算する。
【0093】
再生位置制御処理部235は、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、再生信号ゲイン制御処理部233を通過した各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う。
【0094】
信号分離演算部236は、再生位置制御処理部235により再生位置が揃えられた各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、所定の演算処理によって、トラックごとの再生信号を分離する処理を行う。
【0095】
信号分離演算部236による信号分離処理の演算方法としては、例えば、チャネル行列に対する一般化逆行列を求める方法などが挙げられる。このチャネル行列に対して一般化逆行列を求める方法は、一般に、ゼロ・フォーシング(Zero・Forcing)法と呼ばれる。但し、信号分離処理の方法はこれに限定されるものではなく、例えば、MMSE(Minimum Mean Squared Error)法を用いることもできる。
【0096】
なお、信号分離処理部230は、処理を行うために必要な情報を記憶する図示しない記憶部を持っている。信号分離処理部230は、この記憶部に、例えば、プリアンブルとデータからなる所定のユニット分の情報を記憶して処理を行う。
【0097】
マルチトラック復調部240は、図4に示すように、信号分離演算部236にて分離されたトラックごとの再生信号に対して等化処理を行うM個の等化器241−1,241−2,241−3と、等化器241−1,241−2,241−3の出力からビット同期を行うM個のPLL242−1,242−2,242−3と、PLL242−1,242−2,242−3で生成されたビット同期信号を用いて各トラックごとの再生信号を二値化して符号列を生成する、たとえばビタビ検出器などM個の検出器243−1,243−2,243−3と、検出器243−1,243−2,243−3の出力である2値化された再生信号から符号列上の同期パターンを検出するM個の同期信号検出器244−1,244−2,244−3と、同期信号検出器244−1,244−2,244−3により検出された同期パターンをもとにデータの開始位置を特定して符号列からデータ列を復号するM個の復号器245−1,245−2,245−3とを備える。なお、マルチトラック復調部240は、上記の処理を行うために必要なデータ等の情報を記憶する、図示しない記憶部を有している。
【0098】
図3に戻って、復元部260は、マルチトラック復調部240内のM個の復号器245−1,245−2,245−3より出力された各トラックのデータを、記録時と逆の動作により連結して再生データ3を復元するデータ結合器261を備える。
【0099】
図5は、この再生装置200のユニット再生の動作の流れを示すフローチャートである。この再生装置200では、まず、それぞれ隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって、磁気記録メディア2の1ユニット分の複数のトラックから信号が再生される(ステップS201)。
【0100】
次に、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3にて、各再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが調整された後、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力はA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3にてディジタル値に変換されて同期信号検出器231に出力される(ステップS202)。
【0101】
次に、同期信号検出器231にて、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の出力ごとに、プリアンブル内の分離パターンの開始位置などを知るための同期パターンが検出される(ステップS203)。
【0102】
続いて、再生信号ゲイン制御処理部233にて、同期信号検出器231を通過した各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からプリアンブル内のゲイン制御パターンを検出して、このゲイン制御パターンをもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号に対するゲインを演算して、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号のレベルを個別に制御する(ステップS204)。
【0103】
次に、チャネル推定演算部234にて、同期信号検出器231によって検出された同期パターンをもとに各再生信号に配置されている分離パターンの開始位置を特定し、その分離パターンの再生信号をもとに所定のチャネル推定演算によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3と1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を求める(ステップS205)。
【0104】
次に、再生位置制御処理部235にて、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、再生信号ゲイン制御処理部233を通過した各再生ヘッドR−1,R−2,R−Nごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う(ステップS206)。
【0105】
次に、信号分離演算部236にて、再生位置制御処理部235によって再生信号の再生位置が揃えられた各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、トラックごとの再生信号を分離する処理が行われる(ステップS207)。
【0106】
この後は、トラックごとの再生信号からマルチトラック復調部240にてデータ列の復号が行われ(ステップS208)、復元部260にて各トラックごとのデータが連結されて再生データ3が得られる(ステップS209)。
【0107】
図6は、上記の本実施形態の記録装置100によって記録が行われた磁気記録メディア2上のデータフォーマットの概念図である。
【0108】
トラック#1、トラック#2、トラック#3はそれぞれ、記録装置100のM(M=3)個の記録ヘッドによって磁気記録メディア2に記録されたトラックである。トラック#1、トラック#2、トラック#3にはそれぞれ、プリアンブル21とデータ22が記録されている。プリアンブル21は、前述したように、データ22を再生するために必要な情報として、再生信号に対するゲイン制御のための学習に用いられるゲイン制御パターン、ビット同期処理などに用いられる同期パターン、及び、複数の再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するために必要な分離パターンを含むものである。
【0109】
ここでM個のトラック#1、トラック#2、トラック#3それぞれの、M個のプリアンブル21とM個のデータ22とのまとまりが、データを再生するための信号処理の一単位としてのユニット51である。
【0110】
磁気記録メディア2には、このようなユニット51がS個、互いに平行に配置され、隣接するユニット51間には、ガードバンド52と呼ばれる、何も記録されていない領域が設けられている。このガードバンド52の目的は、隣のユニット51のトラックが再生されないようにすることにある。
【0111】
図7は、図6のデータフォーマットにおけるプリアンブル21の構成を示す図である。
【0112】
同図に示すように、このプリアンブル21は、第1のプリアンブル23と第2のプリアンブル24で構成される。第1のプリアンブル23は、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3と同期パターン26−1,26−2,26−3とで構成され、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3と同期パターン26−1,26−2,26−3とは連続して配置されている。第2のプリアンブル24は分離パターン27−1,27−2,27−3で構成されている。トラック#1上では先頭より、ゲイン制御パターン25−1,同期パターン26−1,分離パターン27−1の順に配置され、トラック#2上では先頭より、ゲイン制御パターン25−2,同期パターン26−2,分離パターン27−2の順に配置され、トラック#3上では先頭より、ゲイン制御パターン25−3,同期パターン26−3,分離パターン27−3の順に配置される。そして、分離パターン27−1,27−2,27−3の後にはデータ22が配置される。データ22は、記録時に図1の記録装置100の記録符号化部121−1,121−2,121−3で作成された記録符号列である。第1のプリアンブル23及び第2のプリアンブル24は、独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3によって記録符号列に対して付加されたものである。
【0113】
そして図7の例では、再生ヘッドR−1,R−2,R−3の幅はトラック幅の1.5倍とする。すなわち、再生ヘッドR−1,R−2,R−3の幅は、記録ヘッドW−1,W−2,W−3のヘッド幅の1.5倍とされ、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3はそれぞれ複数のトラックから信号を再生できるものとする。すなわち、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生する。
【0114】
第1のプリアンブル23において、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3及び同期パターン26−1,26−2,26−3は、それぞれが互いに位置が重ならないように配置されている。すなわち、図7において、トラック#1のゲイン制御パターン25−1及び同期パターン26−1はT1区間に、トラック#2のゲイン制御パターン25−2及び同期パターン26−2はT2区間に、トラック#3のゲイン制御パターン25−3及び同期パターン26−3はT3区間にそれぞれ配置されている。隣り合うトラックのゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3及び同期パターン26−1,26−2,26−3の記録区間の間には、マージンのための隙間28が設けられている。
【0115】
再生時に、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、例えば、図3に示した再生装置200の中のゲイン調整部224−1,224−2,224−3による再生アンプ221−1,221−2,221−3のゲイン制御のための学習信号として使用される。また、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、必要に応じて、同期信号検出器231でのビット同期検出のための学習や、再生信号ゲイン制御処理部233での再生信号のレベル制御にも用いられる。さらに、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、必要に応じて、再生位置制御処理部235において各再生信号の再生位置制御のために使用される。
【0116】
また、再生時に、各トラック#1,#2,#3の同期パターン26−1,26−2,26−3は、例えば、同期信号検出器231によって各トラック#1,#2,#3の分離パターン27−1,27−2,27−3の開始位置及びデータ22の開始位置を知るための情報として使用される。また、同期パターン26−1,26−2,26−3は、再生位置制御処理部235での各再生信号の再生位置制御のために使用される。
【0117】
このデータフォーマットでは、第1のプリアンブル23において、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3及び同期パターン26−1,26−2,26−3のそれぞれが、互いに位置が重ならないように配置されていることから、各トラック#1,#2,#3のチャネルクロック位置が合っていない場合でも、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3が複数のトラックを跨いで信号を再生するとき、各トラックの記録信号による打ち消し合いによる再生信号の出力低下が発生しない。これにより、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3、同期パターン26−1,26−2,26−3を用いた上記の制御を良好に行うことができる。
【0118】
一方、第2のプリアンブル24において、各トラック#1,#2,#3の分離パターン27−1,27−2,27−3は、再生時にチャネル推定演算部234にて、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からトラック#1,#2,#3ごとの再生信号を分離するための演算に必要なチャネル行列をチャネル推定演算部234にて求めるために使用されるパターンである。
【0119】
これらの分離パターン27−1,27−2,27−3においても、それぞれが互いに位置が重ならないように配置されている。すなわち、図7において、トラック#1の分離パターン27−1はT4区間に、トラック#2の分離パターン27−2はT5区間に、トラック#3の分離パターン27−3はT6区間にそれぞれ記録されている。これにより分離パターンの種類はT4区間とT5区間とT6区間となり、トラック数に対応する3種類となる。隣り合うトラックの分離パターン27−1,27−2,27−3の記録区間の間には、マージンのための所定の時間分の隙間29が設けられている。
【0120】
ここで分離パターン27−1,27−2,27−3は、最小記録波長と同等か、あるいはそれ以上の所定の記録波長で記録されたものである。
【0121】
再生時に、チャネル推定演算部234は、この分離パターン27−1,27−2,27−3の再生信号を用いてチャネル推定演算を行い、その結果としてチャネル行列を生成する。このチャネル行列は、1ユニット内の各トラック#1,#2,#3に対する個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3のトラック幅方向での位置情報に相当するもので、言い換えると、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3がそれぞれ、ユニット内のどのトラックとどんな割合で位置的に重なるかを示した情報である。
【0122】
次に、再生信号ゲイン制御処理部233による再生信号のゲイン制御の具体例を説明する。
【0123】
再生信号ゲイン制御処理部233は、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとのゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3の再生信号をもとに、例えば、次のようにして、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号のゲインを演算し、各再生信号のレベルを制御する。
【0124】
例えば、再生信号ゲイン制御処理部233は、図7において、再生ヘッドR−1によってトラック#1とトラック#2よりそれぞれ再生されたゲイン制御パターンの信号を加算する。同様に、再生信号ゲイン制御処理部233は、再生ヘッドR−2によってトラック#1、トラック#2、及びトラック#3から再生されたゲイン制御パターンの信号を加算する。同様に、再生信号ゲイン制御処理部233は、再生ヘッドR−3によってトラック#2とトラック#3より再生されたゲイン制御パターンの信号を加算する。
【0125】
ゲイン制御パターンの再生信号の加算は、例えば、それぞれのトラックにおけるゲイン制御パターンの再生信号のピーク値を検出し、その平均値を求めることなどによって行われる。なお、この演算については、上記の方式に限らず、各再生信号の相関関係が成立つものであれば、別の方式でもかまわない。
【0126】
再生信号ゲイン制御処理部233は、以上のようにして得られた3つの演算結果の中から最大のものを選び出し、これを全ての再生ヘッドR−1,R−2,R−3に対する基準出力とする。そして再生信号ゲイン制御処理部233は、入力された再生ヘッドごとの再生信号の値に1/(基準出力)を掛け合わせた値を制御結果として出力する。
【0127】
なお、この基準出力は、チャネル推定演算部234におけるチャネル推定演算でも用いることができるし、信号分離演算部236においても用いることができる。
【0128】
次に、この第1の実施形態の再生装置200において、再生位置制御処理部235によって各再生信号の再生位置を合わせる制御の詳細を説明する。
【0129】
まず、各再生信号の再生位置に不一致が生じる原理について説明する。
【0130】
図8乃至図11は、図7のデータフォーマットの一部分を取り出してモデル化し、トラック#1の記録時及び再生時のチャネルクロック位置Pを基準に、各トラックごとの記録位置ならびに再生位置が分かるように示した図である。
【0131】
図8は、各トラック#1,#2,#3ごとに記録位置を揃えることなく記録が行われ、チャネルクロック位相は揃っている記録状態の例を示す図である。ここで、トラック#2の記録位置は他のトラックの記録位置に対して1クロック分だけヘッド進行方向13側にずれている。S1は、この記録時のずれ量を示している。
【0132】
図9は、図8の記録状態をもつ磁気記録メディア2を各トラック#1,#2,#3ごとに再生位置を揃えずに再生した場合の、再生信号の再生位置の例を示す図である。再生ヘッドR−1,R−2,R−3のヘッド幅はトラック幅の1.5倍とされ、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生するものとする。なお、図9においての再生信号の表現において、再生信号のトラック幅方向の大きさは出力の大きさに対応するものとする。この例では、再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置は、S2のずれ量だけヘッド進行方向の逆側にずれ、再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置はS3のずれ量だけヘッド進行方向13側にずれている。
【0133】
図10は各トラック#1,#2,#3ごとに記録位置を揃えることなく記録が行われ、加えてチャネルクロック位相も揃っていない記録状態の例を示す図である。トラック#2の記録位置はS4のずれ量だけヘッド進行方向13側にずれ、トラック#3の記録位置はS5のずれ量だけヘッド進行方向13側にずれている。なお、S4,S5の値はチャネルクロックの幅未満の値である。
【0134】
図11は、図10の記録状態をもつ磁気記録メディア2を各トラック#1,#2,#3ごとに再生位置を揃えずに再生した場合の、再生信号の再生位置の例を示す図である。この例では、再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置はS6のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれ、再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置はS7のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれている。
【0135】
図9及び図10に示したように、各トラックごとに記録位置を揃えることなく記録を行い、さらに再生時においても再生位置を揃えることなく再生を行う場合においては、各トラックの同期パターンを検出した結果をもとにするだけでは、必ずしも各再生ヘッドごとの再生信号の再生位置を合わせることができない。すなわち、各トラックごとに記録位置が揃っていない状況において各トラックの同期パターンを検出した結果をもとに各再生信号の再生位置を揃えようとすると、記録位置のずれ分の不整合がそのまま位置合わせの結果に残ってしまう。
【0136】
そこで、この実施形態では、再生位置制御処理部235が、同期信号検出部231によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から検出された同期信号をもとに、次のようにして、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う。
【0137】
図6において、再生ヘッドR−1,R−2,R−3のヘッド幅はトラック幅の1.5倍とされ、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生する。同期信号検出部231における同期信号検出処理は、再生信号ごとに、複数の同期パターンを検出することができるようにしてあり、これより、再生ヘッドR−1は、トラック#1の同期パターンとトラック#2の同期パターンを検出することができる。また、再生ヘッドR−2は、トラック#1の同期パターン、トラック#2の同期パターン、そしてトラック#3の同期パターンを検出することができる。さらに、再生ヘッドR−3は、トラック#2の同期パターンとトラック#3の同期パターンを検出することができる。
【0138】
再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−2によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報とする。同様に、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−3によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報とする。
【0139】
これにより、例えば、図9の例においては、再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報として、「再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対し再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置は、S2のずれ量だけヘッド進行方向の逆側にずれている」が得られ、さらに再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報として、「再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対し再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置は、S3のずれ量だけヘッド進行方向13側にずれている」が得られる。同様に、図11の例においては、再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報として、「再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対し再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置は、S6のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれている」が得られ、さらに再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報として、「再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対し再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置は、S7のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれている」が得られる。
【0140】
再生位置制御処理部235は、このようにして得られた再生信号の再生位置のずれ情報をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの各再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行う。なお、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置の調整は、同期パターン検出の精度内の所定の範囲内で行われる。
【0141】
これにより、各トラックごとに記録位置を揃えることなく記録を行い、さらに各トラックごとに再生位置を揃えることなく再生を行う場合においても、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を揃えることができ、後段の信号分離処理を良好に行うことができる。
【0142】
なお、この再生位置制御処理部235の制御動作の前に、必要に応じて、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3のそれぞれの再生信号に対して、トラック#2の同期パターンの検出を良好に行えるようにゲイン制御を行うことが望ましい。すなわち、両側の再生ヘッドR−1,R−3によって得られるトラック#2の再生信号の出力レベルは低いので、同期パターンを検出するために十分なレベルに上げることによって、両側の再生ヘッドR−1,R−3の再生信号からも同期パターンを良好に検出することができる。
【0143】
ところで、図7の例では、所定のトラック(例えばトラック#2)の同期パターンが、すべての再生ヘッドにより再生される場合について説明したが、再生位置制御処理部235による再生位置制御はこのような場合でなくても可能である。
【0144】
図12は図7のデータフォーマットと各再生ヘッドとの位置関係の他の例を示す図である。この例は、図7において再生ヘッドアレイ210のトラック幅方向での位置が適正な位置に対して上方へずれてしまい、トラック#2の同期パターンが再生ヘッドR−1によって再生不能となった例である。
【0145】
この例では、まず、トラック#1の同期パターンに着目する。トラック#1の同期パターンは、再生ヘッドR−1,R−2で再生されており(図示していない)、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−1によってトラック#1から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−2によってトラック#1から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報とする。
【0146】
次に、トラック#2の同期パターンに着目する。トラック#2の同期パターンは、再生ヘッドR−2,R−3で再生されているので(図示していない)、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−2によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−3によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報とする。
【0147】
そして再生位置制御処理部235は、上記の2つの再生信号の再生位置のずれ情報をもとに、再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置を基準とする、他の再生ヘッドR−2,R−3それぞれの再生信号の再生位置のずれ情報を作成して、これをもとに各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの各再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行う。
【0148】
図13は図7のデータフォーマットの変形例を示す図である。このデータフォーマットにおいては、ユニットを構成するトラックの数及び再生ヘッドの数は4とされている。トラック#1,#2,#3における第1のプリアンブル23及び第2のプリアンブル24の配置は図7と同様であるが、トラック#4の第1のプリアンブル23のトラックの進行する方向における位置は、トラック#1の第1のプリアンブル23の位置と同じとされている。そして再生ヘッドR−1はトラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3は3本のトラック#2,#3,#4に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−4はトラック#3とトラック#4とに跨って信号を再生できるように、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3,R−4のヘッド幅と配置が決められている。
【0149】
この例では、図7の例で説明したように例えば、再生位置制御処理部235は、まず、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−2によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報とする。同様に、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−3によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報とする。
【0150】
次に、トラック#4の同期パターンに着目する。トラック#4の同期パターンは、再生ヘッドR−3,R−4で再生されているので、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−3によってトラック#4から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−4によってトラック#4から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−4による再生信号の再生位置のずれ情報とする。この場合のR−4による再生信号の再生位置のずれ情報は、R−3に対するものであるから、相対情報となっており、他のずれ情報と合わせることで、所定の位置を基準とするずれ情報を得ることができる。
【0151】
そして再生位置制御処理部235は、以上求めた各再生信号の再生位置のずれ情報をもとに、再生ヘッドR−1の再生位置を基準とする、他の再生ヘッドR−2,R−3,R−4それぞれの再生信号の再生位置のずれ情報を作成して、これをもとに各再生ヘッドR−1,R−2,R−3,R−4ごとの各再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行う。
【0152】
また、本実施形態で説明した再生位置の制御は、トラック数が5以上のデータフォーマットにおいても同様に適用可能である。
【0153】
以上説明したように、この実施形態によれば、複数の再生ヘッド間で共通に再生されるトラックの同期パターンの検出結果をもとに各再生ヘッドごとの再生信号の再生位置を合わせるように制御を行うことができるので、各トラックごとに記録位置を揃えることなく記録を行い、さらに各トラックごとに再生位置を揃えることなく再生を行う場合においても、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を揃えることができ、後段の信号分離処理を良好に行うことができる。したがって、より安定した再生信号処理を行うことができ、高トラック密度化を実現できる。
【0154】
以上は、再生ヘッドの幅をトラック幅の1.5倍とし、個々の再生ヘッドがそれぞれ複数のトラックに跨って再生を行うように各再生ヘッドを配置することを前提に説明したが、個々の再生ヘッドがそれぞれ複数のトラックを跨いで配置されるように、各再生ヘッドのトラック幅方向での位置を制御するようにしてもよい。これにより、再生ヘッドの幅をより狭くしても、個々の再生ヘッドがそれぞれ複数のトラックを跨いだ状態を確保することができる。
【0155】
次に、本実施形態の変形例を示す。
【0156】
各再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要なパターンとして、上記の実施形態では、図7に示したような分離パターンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、トラッキングサーボ情報などを用いることも可能である。この場合には、トラッキングサーボ情報の各記録パターンと各再生ヘッドとの位置関係をユニット単位にまとめたものがチャネル推定情報として生成される。
【0157】
また、分離パターンを用いて上記の位置関係を検出する手段と、トラッキングサーボ情報を用いて位置関係を検出する手段の両方を併用して、チャネル推定演算を行ってもよい。
【0158】
さらに、上記の実施形態では、3行3列や4行4列の行列をチャネル推定情報として算出する場合を説明したが、その他の正方行列であっても、その一般化逆行列を求めることによって信号分離処理を行うことが可能である。さらに、正方行列以外の行列でも、同様にしてその一般化逆行列を求めるようにすればよい。
【0159】
なお、行列の一般化逆行列を求められるようにするために、分離パターンの種類はトラック数に対応させておく必要がある。
【0160】
また、分離パターンは、互いに一次独立なトラック数のパターンとする。例えば、記録ヘッドの数を3、再生ヘッドの数を4とした場合、すなわち、記録トラックの数を3とし、再生信号の数を4とした場合は、分離パターンは、互いに一次独立な3通りのパターンで構成されるものとする。
【0161】
第1のプリアンブルに配置されているゲイン制御パターンを、同期パターンの後方に追加配置することによって、ゲイン制御のための情報量を増やしてもよい。
【0162】
第1のプリアンブルに配置されているゲイン制御パターンと、第2のプリアンブルに配置されている分離パターンとには、同一のパターンを採用してもかまわない。
【0163】
上記の実施形態では、時間軸上で直交する分離パターンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、周波数軸上で直交するような分離パターン、あるいは、直交符号を用いた分離パターンなどを用いてもよい。
【0164】
(第2の実施形態)
【0165】
次に、本発明の第2の実施形態として、マルチヘッドを用いた磁気記録再生方式における別の記録装置及び再生装置について説明する。この実施形態の記録装置は、磁気記録メディアにトラックごとに記録位置を揃えて信号を記録する装置であり、再生装置は、その磁気記録メディアからトラックごとに再生位置を揃えることなく信号を再生する装置である。ここで、記録ヘッドの数をM、再生ヘッドの数をNとし、この実施形態では、M=3、N=3とする。
【0166】
図14は、本発明の第2の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置101の構成を示す図である。
【0167】
同図に示すように、この記録装置101は、マルチトラック化部110、マルチトラック記録符号化部120、マルチトラックプリアンブル付加部130、マルチトラック記録部140、記録ヘッドアレイ150で構成される。
【0168】
マルチトラック化部110は、マルチトラック化のために記録データ1を記録ヘッドアレイ150に設けられた記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)分のデータに振り分けるデータ分配器111で構成される。
【0169】
マルチトラック記録符号化部120は、データ分配器111にてM個に振り分けられた記録データを符号化するM個の記録符号化部121−1,121−2,121−3で構成される。
【0170】
マルチトラックプリアンブル付加部130は、マルチトラック記録符号化部120によって符号化された各記録データに、トラックごとに特定のプリアンブルを付加するM個のプリアンブル付加部132−1,132−2,132−3で構成される。
【0171】
マルチトラック記録部140は、プリアンブルが付加された各トラックの記録符号列を記録媒体に記録する手段であり、より詳細には、プリアンブルが付加された記録符号列に所望のタイミングを与えるM個の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3と、記録補償処理を行うM個の記録補償部144−1,144−2,144−3と、記録補償処理後の記録符号列をもとに個々の記録ヘッドW−1,W−2,W−3を駆動するM個の記録アンプ147−1,147−2,147−3とで構成される。
【0172】
図15は、この記録装置101によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。この記録装置101では、まず、入力された記録データ1がマルチトラック化部110にて、記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)のデータ、すなわちユニットを構成するトラック数分のデータに分配される(ステップS111)。
【0173】
分配された各データは、それぞれマルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3にて、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このときデータの符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS112)。
【0174】
次に、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置に、マルチトラックプリアンブル付加部130のプリアンブル付加部132−1,132−2,132−3にて、ユニット単位のデータを再生する制御のために必要なパターンがプリアンブルとして付加され、記録符号列が得られる(ステップS113)。
【0175】
ここで、データ再生の制御のために必要なプリアンブルとしては、例えば、再生信号に対するゲイン制御のための学習に用いられるゲイン制御パターン、ビット同期処理などのための同期検出に用いられる同期パターン、及び、複数の再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するために必要な分離パターンなどがある。1ユニット分の複数のトラックとは、データ再生のための信号処理の一単位を構成する複数のトラックである。同期パターンはトラックごとの分離パターンやデータの開始位置を特定するための情報としても用いられる。これらのパターンは、マルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3で生成される符号列の規則を考慮して作成されたものである。
【0176】
それぞれのトラックごとの記録符号列は、マルチトラック記録部140の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3にて所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144−1,144−2,144−3にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施される。
【0177】
この後、トラックごとの記録符号列は、記録アンプ147−1,147−2,147−3において電圧から電流に変換されて記録ヘッドW−1,W−2,W−3に送られ、記録ヘッドW−1,W−2,W−3によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS114)。
【0178】
また、この記録装置101では、1つの再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルを再生できるようなトラック配置となるように磁気記録メディア2への記録が行われる。この実施形態では、各トラックを幅方向に隙間無く記録する方式について例示しているが、各トラック間に、ガードバンドのような、記録符号列ではない領域が与えられる場合であっても、1つの再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルを再生できるようなトラック配置となるように磁気記録メディア2への記録が行われるものとする。
【0179】
次に、本発明の第2の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置について説明する。
【0180】
図16は第2の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置201の構成を示す図である。
【0181】
同図に示すように、再生装置201は、再生ヘッドアレイ210、チャネル再生部220、信号分離処理部230、マルチトラック復調部240、及び復元部260を備える。
【0182】
再生ヘッドアレイ210は、磁気記録メディア2に記録された各トラックから信号を読み出すN(N=3)個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3を有する。それぞれの再生ヘッドR−1,R−2,R−3は、磁気記録メディア2上で隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なように、そのヘッド幅及び配置が決められている。
【0183】
チャネル再生部220は、再生ヘッドアレイ210に搭載されたN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって再生された信号を増幅するN個の再生アンプ221−1,221−2,221−3と、N個の再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが所定の値になるようにゲインを制御するゲイン調整部224−1,224−2,224−3と、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力を所定のビット幅のディジタル値に量子化するA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3とを備える。
【0184】
なお、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の直前には必要に応じて不要な高域成分を除去するローパス・フィルタが備えられていてもよい。
【0185】
また、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の前段ではなく後段に配置されてもよい。これは、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3のビット幅をより有効に用いたり、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の構成を、プリアンプルに含まれる各パターンの検出を考慮した簡単なものとしたい場合に有効である。
【0186】
信号分離処理部230は、同期信号検出部231、チャネル推定演算部234、再生位置制御処理部235、及び信号分離演算部236を有している。
【0187】
同期信号検出部231は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3より出力された再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からプリアンブル内の同期パターンを検出する。
【0188】
チャネル推定演算部234は、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに分離パターンの開始位置を特定して、この分離パターンの再生信号を用いて、チャネル推定演算によってチャネル行列を演算する。
【0189】
再生位置制御処理部235は、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う。
【0190】
信号分離演算部236は、再生位置制御処理部235により再生位置が揃えられた各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、所定の演算処理によって、トラックごとの再生信号を分離する処理を行う。
【0191】
信号分離演算部236による信号分離処理の演算方法としては、例えば、チャネル行列に対する一般化逆行列を求める方法などが挙げられる。このチャネル行列に対して一般化逆行列を求める方法は、一般に、ゼロ・フォーシング(Zero・Forcing)法と呼ばれる。但し、信号分離処理の方法はこれに限定されるものではなく、例えば、MMSE(Minimum Mean Squared Error)法を用いることもできる。
【0192】
なお、信号分離処理部230は、処理を行うために必要な情報を記憶する図示しない記憶部を持っている。信号分離処理部230は、この記憶部に、例えば、プリアンブルとデータからなる所定のユニット分の情報を記憶して処理を行う。
【0193】
マルチトラック復調部240は、図4に示すように、信号分離演算部236にて分離されたトラックごとの再生信号に対して等化処理を行うM個の等化器241−1,241−2,241−3と、等化器241−1,241−2,241−3の出力からビット同期を行うM個のPLL242−1,242−2,242−3と、PLL242−1,242−2,242−3で生成されたビット同期信号を用いて各トラックごとの再生信号を二値化して符号列を生成する、たとえばビタビ検出器などM個の検出器243−1,243−2,243−3と、検出器243−1,243−2,243−3の出力である2値化された再生信号から符号列上の同期パターンを検出するM個の同期信号検出器244−1,244−2,244−3と、同期信号検出器244−1,244−2,244−3により検出された同期パターンをもとにデータの開始位置を特定して符号列からデータ列を復号するM個の復号器245−1,245−2,245−3とを備える。なお、マルチトラック復調部240は、上記の処理を行うために必要なデータ等の情報を記憶する、図示しない記憶部を有している。
【0194】
図3に戻って、復元部260は、マルチトラック復調部240内のM個の復号器245−1,245−2,245−3より出力された各トラックのデータを、記録時と逆の動作により連結して再生データ3を復元するデータ結合器261を備える。
【0195】
図17は、この再生装置201のユニット再生の動作の流れを示すフローチャートである。この再生装置201では、まず、それぞれ隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって、磁気記録メディア2の1ユニット分の複数のトラックから信号が再生される(ステップS211)。
【0196】
次に、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3にて、各再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが調整された後、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力はA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3にてディジタル値に変換されて同期信号検出器231に出力される(ステップS212)。
【0197】
次に、同期信号検出器231にて、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の出力ごとに、プリアンブル内の分離パターンの開始位置などを知るための同期パターンが検出される(ステップS213)。
【0198】
続いて、チャネル推定演算部234にて、同期信号検出器231によって検出された同期パターンをもとに各再生信号に配置されている分離パターンの開始位置を特定し、その分離パターンの再生信号をもとに所定のチャネル推定演算によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3と1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を求める(ステップS214)。
【0199】
次に、再生位置制御処理部235にて、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−Nごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う(ステップS215)。
【0200】
次に、信号分離演算部236にて、再生位置制御処理部235によって再生位置が揃えられた各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、トラックごとの再生信号を分離する処理が行われる(ステップS216)。
【0201】
この後は、トラックごとの再生信号からマルチトラック復調部240にてデータ列の復号が行われ(ステップS217)、復元部260にて各トラックのデータが連結されて再生データ3が得られる(ステップS218)。
【0202】
図18は、上記の本実施形態の記録装置101によって記録されたプリアンブル21の構成を示す図である。
【0203】
同図に示すように、プリアンブル21は、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3と同期パターン26−1,26−2,26−3とで構成され、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3と同期パターン26−1,26−2,26−3とは連続して配置されている。第2のプリアンブル24は分離パターン27−1,27−2,27−3で構成されている。トラック#1上では先頭より、ゲイン制御パターン25−1,同期パターン26−1,分離パターン27−1の順に配置され、トラック#2上では先頭より、ゲイン制御パターン25−2,同期パターン26−2,分離パターン27−2の順に配置され、トラック#3上では先頭より、ゲイン制御パターン25−3,同期パターン26−3,分離パターン27−3の順に配置される。そして、分離パターン27−1,27−2,27−3の後にはデータ22が配置される。データ22は、記録時に図14の記録装置101の記録符号化部121−1,121−2,121−3で作成された記録符号列である。第1のプリアンブル23及び第2のプリアンブル24は、プリアンブル付加部132−1,132−2,132−3によって記録符号列に対して付加されたものである。
【0204】
そして図18の例では、再生ヘッドR−1,R−2,R−3の幅はトラック幅の1.5倍とする。すなわち、再生ヘッドR−1,R−2,R−3の幅は、記録ヘッドW−1,W−2,W−3のヘッド幅の1.5倍とされ、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3はそれぞれ複数のトラックから信号を再生できるものとする。すなわち、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生する。
【0205】
第1のプリアンブル23において、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3及び同期パターン26−1,26−2,26−3は、トラックの進行する方向において、同じ位置に配置されている。
【0206】
再生時に、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、例えば、図16に示した再生装置201の中のゲイン調整部224−1,224−2,224−3による再生アンプ221−1,221−2,221−3のゲイン制御のための学習信号として使用される。また、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、必要に応じて、同期信号検出器231でのビット同期検出のための学習にも用いられる。さらに、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、必要に応じて、再生位置制御処理部235において各再生信号の再生位置制御のために使用される。
【0207】
また、再生時に、各トラック#1,#2,#3の同期パターン26−1,26−2,26−3は、例えば、同期信号検出器231によって各トラック#1,#2,#3の分離パターン27−1,27−2,27−3の開始位置及びデータ22の開始位置を知るための情報として使用される。また、同期パターン26−1,26−2,26−3は、再生位置制御処理部235での各再生信号の再生位置制御のために使用される。
【0208】
一方、第2のプリアンブル24において、各トラック#1,#2,#3の分離パターン27−1,27−2,27−3は、再生時にチャネル推定演算部234にて、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からトラック#1,#2,#3ごとの再生信号を分離するための演算に必要なチャネル行列をチャネル推定演算部234にて求めるために使用されるパターンである。
【0209】
これらの分離パターン27−1,27−2,27−3は、トラックの進行する方向における位置が互いに重ならないように配置されている。すなわち、図18において、トラック#1の分離パターン27−1はT4区間に、トラック#2の分離パターン27−2はT5区間に、トラック#3の分離パターン27−3はT6区間にそれぞれ記録されている。これにより分離パターンの種類はT4区間とT5区間とT6区間となり、トラック数に対応する3種類となる。隣り合うトラックの分離パターン27−1,27−2,27−3の記録区間の間には、マージンのための所定の時間分の隙間29が設けられている。
【0210】
ここで分離パターン27−1,27−2,27−3は、最小記録波長と同等か、あるいはそれ以上の所定の記録波長で記録されたものである。
【0211】
再生時に、チャネル推定演算部234は、この分離パターン27−1,27−2,27−3の再生信号を用いてチャネル推定演算を行い、その結果としてチャネル行列を生成する。このチャネル行列は、1ユニット内の各トラック#1,#2,#3に対する個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3のトラック幅方向での位置情報に相当するもので、言い換えると、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3がそれぞれ、ユニット内のどのトラックとどんな割合で位置的に重なるかを示した情報である。
【0212】
なお、第2の実施形態において、プリアンブルの構成は、図18に限定されない。例えば、第1のプリアンブルに配置されているゲイン制御パターンを、同期パターンの後方に追加配置することによって、ゲイン制御のための情報量を増やしてもよい。また、第1のプリアンブルに配置されているゲイン制御パターンと、第2のプリアンブルに配置されている分離パターンとには、同一のパターンを採用してもかまわない。
【0213】
次に、この第2の実施形態の再生装置201において、再生位置制御処理部235によって各再生信号の再生位置を合わせる制御の詳細を説明する。
【0214】
まず、各再生信号の再生位置に不一致が生じる原理について説明する。
【0215】
図19及び20は、図18のデータフォーマットの一部分を取り出してモデル化し、トラック#1の記録時及び再生時のチャネルクロック位置Pを基準に、各トラックごとの記録位置ならびに再生位置が分かるように示した図である。
【0216】
図19は、各トラック#1,#2,#3ごとに記録位置を揃えて記録が行われ、チャネルクロック位相も揃っている記録状態を示す図である。
【0217】
図20は、図19の記録状態をもつ磁気記録メディア2を各トラック#1,#2,#3ごとに再生位置を揃えずに再生した場合の再生信号の位置の例を示す図である。ここで、再生ヘッドR−1,R−2,R−3のヘッド幅はトラック幅の1.5倍とされ、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生するものとする。なお、図20においての再生信号の表現において、再生信号のトラック幅方向の大きさは出力の大きさに対応するものとする。この例では、再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対して再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置はS1のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれ、再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置はS2のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれている。
【0218】
図19及び図20に示したように、各トラックごとに記録位置を揃えて記録が行われ、再生時には再生位置を揃えることなく再生が行われる場合には、再生位置制御処理部235は、各トラックの同期パターンの検出結果をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置のずれ情報を作成する。そして、再生位置制御処理部235は、このずれ情報をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行う。
【0219】
なお、各トラックの記録位置が揃えられている場合には、必ずしも再生ヘッドが複数のトラックを跨ぐように配置される必要はない。また、データフォーマットとしては、図18に示したものに限らず、図7に示したように、各トラックのゲイン制御パターン及び同期パターンをトラックの進行する方向における位置が互いに重ならないように配置したデータフォーマットを採用した場合にも適用可能である。さらに、本実施形態で説明した再生位置の制御は、図13に示したように、トラック数が4以上のデータフォーマットにおいても適用可能である。
【0220】
以上説明したように、この実施形態によれば、各トラックごとに記録位置を揃えて記録された磁気記録メディア2を再生する場合に、再生位置制御処理部235によって、各トラックの同期パターンの検出結果をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行うことができ、高トラック密度化を実現できる。
【0221】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態で述べた変形例の採用が同様に可能である。
【0222】
(第3の実施形態)
【0223】
次に、本発明の第3の実施形態として、シングルヘッドを用いた磁気記録再生方式を説明する。この実施形態の記録装置は、磁気記録メディアにトラックごとに記録位置を揃えることなく信号を記録する装置であり、再生装置は、その磁気記録メディアからトラックごとに再生位置を揃えることなく信号を再生する装置である。
【0224】
図21は第3の実施形態である磁気記録再生方式における記録装置300の構成を示す図である。
【0225】
この記録装置300は、シングルヘッドでユニットの記録を行うものである。ここで、一つの記録ヘッドによってユニットの記録を行う所定の回数をMとし、また一つの再生ヘッドによってユニットの再生を行う所定の回数をNとし、この実施形態では、M=3、N=3とする。
【0226】
同図に示すように、この記録装置300は、マルチトラック化部110、マルチトラック記録符号化部120、マルチトラックプリアンブル付加部130、マルチトラック記録部140、記録ヘッドアレイ150で構成される。
【0227】
マルチトラック記録符号化部120は、データ分配器111にてM個に振り分けられた記録データを符号化するM個の記録符号化部121−1,121−2,121−3で構成される。
【0228】
マルチトラックプリアンブル付加部130は、マルチトラック記録符号化部120によって符号化された各記録データに、ユニット単位のデータ再生の制御のために必要なプリアンブルを付加するM個の独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3で構成される。これらの独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3は、再生時に再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルが同時に再生されないように、少なくとも隣り合う各トラックの間で互いにトラックの進行する方向においてずれた位置関係でプリアンブルの付加を行う。
【0229】
マルチトラック記録部140は、少なくとも1ユニット分の記録データを記憶する記憶部149と、プリアンブルが付加された各トラックの記録符号列に所望のタイミングを与える1個の出力タイミング設定部141と、記録補償処理を行う1個の記録補償部144と、記録補償処理後の記録符号列をもとに記録ヘッドW−1を駆動する1個の記録アンプ147とで構成される。
【0230】
図22は、この記録装置300のユニット記録時の動作の流れを示すフローチャートである。この記録装置300では、まず、入力された記録データ1がマルチトラック化部110にて、M(M=3)個のデータ(トラックごとのデータ)に分配される(ステップS301)。
【0231】
分配された各データは、それぞれマルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3にて、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このとき符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS302)。
【0232】
次に、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置に、マルチトラックプリアンブル付加部130のM個の独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3にて、ユニット単位のデータの再生制御のために必要なパターンがプリアンブルとして付加され、記録符号列が得られる(ステップS303)。このようにしてプリアンブルが付加されたトラックごとの記録符号列は記憶部149に記憶される(ステップS304)。
【0233】
この後、記憶部149から、最初に記録するトラックの記録符号列が読み出され(ステップS305)、このトラックの記録符号列に対して出力タイミング設定部141によって所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施され、記録アンプ147にて電圧から電流に変換されて、記録ヘッドW−1によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS306)。
【0234】
この後、1ユニット分のトラックの記録が終了したかどうかを判定し(ステップS307)、終了していなければ(ステップS307のNO)、記録ヘッドW−1を次の位置に移動させる(ステップS308)。この後、記憶部149から次のトラックの記録符号列を読み出して同様に記録のための処理を繰り返す。以上の動作を、1ユニット分のトラックの記録が終了するまで繰り返す。
【0235】
次に、この第3の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置の変形例を示す。
【0236】
図23は、この第3の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置の変形例である記録装置301の構成を示す図である。
【0237】
同図に示すように、この記録装置301は、所定の単位の記録データ、例えば所定のトラック数分の記録データを記録符号化する記録符号化部121と、トラックごとの符号化された記録データにユニット単位のデータ再生の制御のために必要なプリアンブルを、再生時に再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルが同時に再生されないように、少なくとも隣り合う各トラックの間で互いにトラックの進行する方向においてずれた位置関係で付加する独立プリアンブル付加部131と、記憶部149と、プリアンブルが付加された記録符号列に所望のタイミングを与える出力タイミング設定部141と、記録補償処理を行う記録補償部144と、記録補償処理後の記録符号列をもとに記録ヘッドW−1を駆動する記録アンプ147とで構成されている。すなわち、図21に示す記録装置300の構成から、マルチトラック化部110(データ分配器111)が省かれているとともに、マルチトラック記録符号化部120は一つの記録符号化部121で構成され、マルチトラックプリアンブル付加部130は一つの独立プリアンブル付加部131で構成されている。
【0238】
図24は、この記録装置301のユニット記録の動作の流れを示すフローチャートである。
【0239】
この記録装置301では、まず、記録符号化部121にて、所定の単位の記録データ、例えば所定のトラック数分の記録データが、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このときデータの符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS311)。
【0240】
次に、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置に、独立プリアンブル付加部131にて、ユニット単位のデータを再生する制御のために必要なパターンがプリアンブルとして付加され、記録符号列が得られる(ステップS312)。このようにしてプリアンブル符号が付加されたトラックごとの記録符号列は記憶部149に記憶される(ステップS313)。
【0241】
この後、記憶部149から最初に記録するトラックの記録符号列が読み出され(ステップS314)、このトラックの記録符号列に対して出力タイミング設定部141によって所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施され、記録アンプ147にて電圧から電流に変換されて、記録ヘッドW−1によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS315)。
【0242】
この後、1ユニット分のトラックの記録が終了したかどうかを判定し(ステップS316)、終了していなければ(ステップS316のNO)、記録ヘッドW−1を次の位置に移動させ(ステップS317)、記憶部149から次のトラックの記録符号列を読み出して同様に記録のための処理を繰り返す。以上の動作を、1ユニット分のトラックの記録が終了するまで繰り返す。
【0243】
これにより、磁気記録メディア2に、例えば、図7に示したデータフォーマットで記録が行われる。
【0244】
次に、本発明の第3の実施形態である磁気記録再生方式における再生装置について説明する。
【0245】
図25は本発明の第3の実施形態である磁気記録再生方式における再生装置400の構成を示す図である。
【0246】
同図に示すように、この再生装置400は、再生ヘッドアレイ210、チャネル再生部220、信号分離処理部230、マルチトラック復調部240、及び復元部260を備える。
【0247】
再生ヘッドアレイ210は、磁気記録メディア2に記録された各トラックから信号を読み出す1個の再生ヘッドR−1を有する。
【0248】
チャネル再生部220は、再生ヘッドアレイ210に搭載された再生ヘッドR−1によって再生された信号を増幅する1個の再生アンプ221と、再生アンプ221の出力の振幅レベルが所定の値になるようにゲインを制御する1個のゲイン調整部224と、ゲイン調整部224の出力を所定のビット幅のディジタル値に量子化する1個のA/Dコンバータ225とを備える。
【0249】
信号分離処理部230は、同期信号検出部231、再生信号ゲイン制御処理部233、チャネル推定演算部234、再生位置制御処理部235、信号分離演算部236、及び記憶部237を有している。
【0250】
同期信号検出部231は、A/Dコンバータ225の出力からプリアンブル内の同期パターンを検出する。
【0251】
再生信号ゲイン制御処理部233は、同期信号検出部231を通過した各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号からプリアンブル内のゲイン制御パターンを検出して、このゲイン制御パターンの信号をもとに、各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号に対するゲインを演算して、再生信号のレベルを制御する。
【0252】
チャネル推定演算部234は、同期信号検出部231により検出された同期信号を用いて、各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号のプリアンブル内に含まれる分離パターンの先頭位置を特定して、この分離パターンを用いて、各トレースごとの再生ヘッドR−1と複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するチャネル推定演算を行う。
【0253】
再生位置制御処理部235は、同期信号検出部231により検出された同期信号をもとに、再生信号ゲイン制御処理部233を通過した各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号の再生位置を合わせる処理を行う。
【0254】
信号分離演算部236は、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、再生位置制御処理部235により再生位置が揃えられた1ユニット分の再生信号から、所定の演算処理によって、トラックごとの再生信号を分離する処理を行う。
【0255】
記憶部237は、同期信号検出器231と再生信号ゲイン制御処理部233との間に配置され、少なくとも1ユニット分の再生信号を記憶する。再生信号ゲイン制御処理部233は、この記憶部237から各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号を読み出して各トレースごとの再生信号に対するゲイン制御を行う。
【0256】
マルチトラック復調部240は、図4に示したように、信号分離演算部236にて分離されたトラックごとの再生信号に対して等化処理を行うM個の等化器241−1,241−2,241−3と、等化器241−1,241−2,241−3の出力からビット同期を行うM個のPLL242−1,242−2,242−3と、PLL242−1,242−2,242−3で生成されたビット同期信号を用いて各トラックごとの再生信号を二値化して符号列を生成する、たとえばビタビ検出器などM個の検出器243−1,243−2,243−3と、検出器243−1,243−2,243−3の出力である2値化された再生信号から符号列上の同期パターンを検出するM個の同期信号検出器244−1,244−2,244−3と、同期信号検出器244−1,244−2,244−3により検出された同期パターンをもとにデータの開始位置を特定して符号列からデータ列を復号するM個の復号器245−1,245−2,245−3とを備える。なお、マルチトラック復調部240は、上記の処理を行うために必要なデータ等の情報を記憶する、図示しない記憶部を有している。
【0257】
図25に戻って、復元部260は、マルチトラック復調部240内のM個の復号器245−1,245−2,245−3より出力された各トラックのデータを、記録時と逆の動作により連結して再生データ3を復元するデータ結合器261を備える。
【0258】
なお、シングルヘッドによる再生時のトラックのトレースは、少なくとも1ユニットの記録トラック数の回数だけ繰り返される。すなわち、トラック数以上の回数トレースを繰り返してもよい。その際、1ユニット分の全てのトラックが少なくとも1回はトレースされるようにする。記憶部237には、再生ヘッドR−1が移動した各位置で再生したユニット分の信号、すなわち再生ヘッドR−1が各位置で複数のトラックからそれぞれ再生した信号であり、同期信号検出器231によって分離パターン以降の必要な再生信号が記憶される。
【0259】
図26は、この再生装置400のユニット再生動作を示すフローチャートを示す。
【0260】
この再生装置400では、まず、再生ヘッドR−1によって、最初の位置で複数のトラックから信号が再生される(ステップS401)。次に、ゲイン調整部224にて、再生アンプ221の出力の振幅レベルが調整された後、その出力はA/Dコンバータ225にてディジタル値に変換されて同期信号検出器231に出力される(ステップS402)。
【0261】
同期信号検出器231では、A/Dコンバータ225の出力から分離パターンの開始位置を知るための同期パターンの検出が行われた後(ステップS403)、トラックの再生信号は記憶部237に記憶される(ステップS404)。
【0262】
次に、1ユニット分の再生信号が記憶部237に記憶されたかどうかを判断し(ステップS405)、1ユニット分の再生信号が記憶部237にまだ記憶されていない場合には、再生ヘッドR−1をトラック幅方向の次の位置にずらし(ステップ406)、ステップS401からステップS405までの動作を繰り返す。
【0263】
1ユニット分の再生信号が記憶部237に記憶された場合、再生信号ゲイン制御処理部233は、記憶部237に記憶された1ユニット分の再生信号を読み出し、トレースごとの再生信号に配置されているゲイン制御パターンをもとに、トレースごとの再生信号に対するゲインを演算して、各トレースごとの再生信号のレベルを制御する(ステップS407)。
【0264】
次に、チャネル推定演算部234にて、同期信号検出器231によって検出された同期パターンをもとに各再生信号に配置されている分離パターンの開始位置を特定し、その分離パターンの再生信号をもとに所定のチャネル推定演算によって各トレースごとの再生ヘッドR−1と1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を求める(ステップS408)。
【0265】
次に、再生位置制御処理部235にて、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、再生信号ゲイン制御処理部233を通過した各トレースごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う(ステップS409)。この再生位置制御処理部235による処理は、第1の実施形態または第2の実施形態で説明した処理と同様である。
【0266】
次に、信号分離演算部236にて、再生位置制御処理部235によって再生位置が揃えられた各トレースごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、トラックごとの再生信号を分離する処理が行われる(ステップS410)。
【0267】
この後は、トラックごとに分離された再生信号からマルチトラック復調部240にてデータ列の復号が行われ(ステップS411)、復元部260にて各トラックごとのデータが連結されて再生データ3が得られる(ステップS412)。
【0268】
なお、A/Dコンバータ225の直前には必要に応じて不要な高域成分を除去するローパス・フィルタが備えられていてもよい。また、ゲイン調整部224については、A/Dコンバータ225の後段に接続して量子化後にゲインを制御するようにしてもよい。これは、A/Dコンバータ225のビット幅をより有効に用いたり、ゲイン調整部224の構成を、プリアンプルに含まれる各パターンの検出を考慮した簡単なものとしたい場合に有効である。あるいは、同期信号検出器231において利得目標値との誤差をとった情報を用いてゲイン調整部224においてゲイン調整を行うようにしてもよい。
【0269】
また、マルチトラック復調部240にて、トラックごとの出力タイミングを制御しながら復調処理を行うようにすれば、復元部260でのデータの連結処理は不要となる。したがって、この場合には復元部260は不要である。
【0270】
本発明は、上記で説明したリニア記録方式、ノンアジマス記録方式の磁気記録再生に適用されることに限らず、ヘリカル記録方式、アジマス記録方式にも適用可能である。
【0271】
その具体例を以下に示す。
【0272】
図27は、複数の記録ヘッドW−1,W−2,W−3を用いて、ノンアジマス方式とヘリカル・スキャン方式で磁気記録メディア2に記録されるデータフォーマットの概念図である。ヘリカル・スキャン方式においても、トラック#1,トラック#2,トラック#3で構成されるユニット構成トラック列53の間にはガードバンド52が配置される。トラック#1,トラック#2,トラック#3に記録されるプリアンブル21は、例えば図7、図18に示したものと同様でよい。このようなヘリカル・スキャン方式の磁気記録再生方式においても、本発明は適用可能であり、例えば、第1の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置100及び再生装置200の構成を採用することができる。
【0273】
図28は、複数の記録ヘッドW−1,W−2,W−3,W−4,W−5,W−6を用いて、ダブルアジマス方式とヘリカル・スキャン方式により記録媒体に記録されるデータフォーマットの概念図である。
【0274】
本例では、記録用と再生用のそれぞれに6つの記録ヘッドW−1,W−2,W−3,W−4,W−5,W−6が用いられている。これらの記録ヘッドのうち、連続する3つの記録ヘッドW−1,W−2,W−3と、残る連続する3つの記録ヘッドW−4,W−5,W−6とは、互いにトラックの磁化方向であるアジマス方向が異なるようにしてある。すなわち、トラック#1−#3とトラック#4−#6とはアジマス方向が異なる。これらのトラック#1−#6が、データを再生するための処理の一単位であるユニットを複数含むユニット構成トラック列53となる。なお、このダブルアジマスの場合においては、ガードバンドは不要である。
【0275】
なお、この例では、トラック#1−#6のまとまりを、データを再生するための信号処理の一単位(ユニット)としているが、アジマス方向が同一である3つの連続するトラック(例えばトラック#1−#3、トラック#4−#6)を、それぞれ一つのユニットとして信号処理を行うようにしてもよい。
【0276】
各トラック#1−#6に記録されるプリアンブルは、例えば図7、図18に示したものと同様でよい。このようなダブルアジマス方式とヘリカル・スキャン方式の磁気記録再生方式においても、本発明は適用可能であり、例えば、第1の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置100及び再生装置200の構成を採用することができる。
【0277】
なお、本発明は、上記実施の形態に示す構成のものに限定されるものではなく、請求項に記載した技術的範囲を逸脱しない範囲において種々に変更し変形することは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0278】
【図1】本発明の第1の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置の構成を示す図である。
【図2】図1の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置の構成を示す図である。
【図4】図3の再生装置の中のマルチトラック復調部の構成を示す図である。
【図5】図3の再生装置によるユニット再生の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の記録装置によって記録が行われた磁気記録メディア上のデータフォーマットの概念図である。
【図7】図6のデータフォーマットにおけるプリアンブルの構成を示す図である。
【図8】図7のフォーマットに基づく実際の記録状態の例を示す図である。
【図9】図8の記録状態をもつ磁気記録メディアを各トラックごとに再生位置を揃えずに再生した場合の再生位置の例を示す図である。
【図10】図7のフォーマットに基づく実際の記録状態の他の例を示す図である。
【図11】図10の記録状態をもつ磁気記録メディアを各トラックごとに再生位置を揃えずに再生した場合の再生位置の例を示す図である。
【図12】図7のデータフォーマットと各再生ヘッドとの位置関係の他の例を示す図である。
【図13】図7のデータフォーマットの変形例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置の構成を示す図である。
【図15】図14の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置の構成を示す図である。
【図17】図16の再生装置によるユニット再生の動作を示すフローチャートである。
【図18】図14の記録装置によって磁気記録メディアに記録されたプリアンブルの構成を示す図である。
【図19】図18のフォーマットに基づく実際の記録状態の例を示す図である。
【図20】図19の記録状態をもつ磁気記録メディアを各トラックごとに再生位置を揃えずに再生した場合の再生位置の例を示す図である。
【図21】本発明の第3の実施形態である磁気記録再生方式における記録装置の構成を示す図である。
【図22】図21の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図23】図21の記録装置の変形例の構成を示す図である。
【図24】図23の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第3の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置の構成を示す図である。
【図26】図25の再生装置によるユニット再生の動作を示すフローチャートである。
【図27】複数の記録ヘッドを用いてノンアジマス方式とヘリカル・スキャン方式で磁気記録メディアに記録されるデータフォーマットの概念図である。
【図28】複数の記録ヘッドを用いてダブルアジマス方式とヘリカル・スキャン方式により記録媒体に記録されるデータフォーマットの概念図である
【図29】本発明者らが過去に提案した磁気記録再生方式を採用した記録装置の構成を示す図である。
【図30】図29の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図31】本発明者らが過去に提案した磁気記録再生方式を採用した再生装置の構成を示す図である。
【図32】図31の再生装置のユニット再生の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0279】
1 記録データ
2 磁気記録メディア
3 再生データ
21 プリアンブル
22 データ
25−1,25−2,25−3 ゲイン制御パターン
26−1,26−2,26−3 同期パターン
27−1,27−2,27−3 分離パターン
51 ユニット
100 記録装置
110 マルチトラック化部
111 データ分配器
120 マルチトラック記録符号化部
121−1,121−2,121−3 記録符号化部
130 マルチトラックプリアンブル付加部
131−1,131−2,131−3 独立プリアンブル付加部
132−1,132−2,132−3 プリアンブル付加部
140 マルチトラック記録部
141−1,141−2,141−3 出力タイミング設定部
144−1,144−2,144−3 記録補償部
147−1,147−2,147−3 記録アンプ
149 記憶部
150 記録ヘッドアレイ
200 再生装置
210 再生ヘッドアレイ
220 チャネル再生部
221−1,221−2,221−3 再生アンプ
224−1,224−2,224−3 ゲイン調整部
225−1,225−2,225−3 A/Dコンバータ
230 信号分離処理部
231 同期信号検出器
233 再生信号ゲイン制御処理部
234 チャネル推定演算部
235 再生位置制御処理部
236 信号分離演算部
237 記憶部
240 マルチトラック復調部
241−1,241−2,241−3 等化器
243−1,243−2,243−3 検出器
244−1,244−2,244−3 同期信号検出器
245−1,245−2,245−3 復号器
260 復元部
261 データ結合器
R−1,R−2,R−3 再生ヘッド
W−1,W−2,W−3 記録ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを再生するための信号処理の一単位が複数のトラックに分けて記録された記録媒体からデータを再生するデータ再生装置、データ再生方法、及びデータ記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ヘッドにおいては、磁気記録メディアの大容量化を図るために、更なる高密度記録が求められ、トラックのトラック幅を狭くすること(以下、「狭幅化」という。)に適した磁気ヘッドが採用されるようになってきている。一般的には、トラックの狭幅化にはトラック・サーボの精度向上が鍵となる。
【0003】
磁気テープ記録再生装置においては、狭幅化に伴い、サーボが困難になる対策案として、所謂ノントラッキング・システムが提唱され、実用化に至っている(たとえば特許文献1−5など)。このノントラッキング方式は、ヘリカル・スキャンにてダブルアジマス記録を行ったトラックに対し、識別のために、ブロックに分けてデータを記録することによって、目的のトラックを1回のトレースで再生できなくても、データを再構成できるものである。このノントラッキング方式によって、従来のトラック・サーボで必要とされる1トラック以内のトラック制御に対して、4倍以上のマージンが許容されるようになる。
【0004】
また、ノントラッキング技術は、ヘリカル・スキャンに留まらずリニア記録で使用されるための可能性が検討されている(たとえば特許文献6,7など)。
【0005】
ところで、磁気記録メディアの基板に、たとえばポリエステルフィルムのような伸縮性をもった非磁性支持体を使用した場合、ダブルアジマス記録を行ったとしても、許容できる変形量はトラック・サーボを併用して、例えばトラック幅の2倍程度までであり、これ以上の変形が発生する場合は、十分なSN比をもって信号を再生することができなかった。また、ダブルアジマスを持たない記録の場合では、トラックをまたがない所謂ガードバンドの幅を、トラック・サーボを併用した状態でも、エラーレート等の信頼性を劣化させないために、テープの変形量以下に押さえ込む必要があった
【0006】
このような問題は、これまで実現されていた信号再生方式においては、少なくとも1つの再生ヘッドが同時に複数のトラックから信号を読み込むことによって信号品質が著しく劣化することに起因する。それを回避するために、ガードバンドやダブルアジマス記録を行い、また再生ヘッドからは1つのトラックからの信号のみを拾うように工夫されてきた。
【0007】
しかし、さらに高トラック密度化を行う場合においては、先ずガードバンドの設置はその妨げとなる。また、再生時において隣接するトラックからの干渉を少なくすることができるダブルアジマス記録は、狭幅化した場合その効果は減少してしまう。
【0008】
このことは、ノントラッキング方式であっても同じであり、再生ヘッドは複数のトラックに跨って信号を再生するように見えるが、時間分割した場合、再生している信号は常に1つのトラックに対してだけであり、同一時間に複数のトラックを再生するということは行っていなかった。
【0009】
また、ノントラッキング方式で高トラック密度化に対応しようとした際に、対象トラックの隣接するトラックからの信号を拾うことによってノイズが混入するようになるため、トラックの狭幅化対応が限界になってきている。
【0010】
磁気ヘッド装置の背景技術としてこのほか、記録密度を向上させるために、1つのブロックに複数のヘッドを配置し、同一アジマスのブロックで形成する方式として、一度に複数のデータ・フレームを記録する技術がある(たとえば特許文献8及び特許文献9など)。
【0011】
これらの公知技術は、再生ヘッド幅をトラックの幅の半分程度にしなければならなくなるため、再生信号の出力を大きくとることができないという制約が生じ、たとえばSN比の確保の点で不利であり、更なる高密度記録化には必ずしも向いていなかった。
【0012】
MIMO(Multi-Input/Multi-Output)技術は、無線通信に用いられるものとして広く知られている(たとえば特許文献10など)。
【0013】
また、MIMOに関する技術を磁気記録に使用する技術も知られている(たとえば非特許文献1など)。しかし、たとえば記録したトラックよりも広幅の再生ヘッドを使用する場合など、実用化に際して発生する課題が解決されていなかった。
【0014】
本発明においては、MIMOを使用した磁気記録方法としては前項で紹介した論文をもって実現しえなかった、磁気記録再生方法へのMIMO技術の実用化を実現するにあたり、公知技術からは予見しえなかった技術内容を明らかにするものである。
【特許文献1】特許1842057号公報
【特許文献2】特許1842058号公報
【特許文献3】特許1842059号公報
【特許文献4】特開平04−370580号公報
【特許文献5】特開平05−020788号公報
【特許文献6】特開平10−283620号公報
【特許文献7】特開2003−132504号公報
【特許文献8】特開2003−338012号公報
【特許文献9】特開2004−071014号公報
【特許文献10】特許3664993号公報
【非特許文献1】論文IEEE Trans.Mag.Vol.30.No.6 Nov.1994 5100ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように従来の磁気記録再生方式では、記録密度を高めるに磁気記録メディアでのトラック幅を狭くする方法が採用されてきた。しかし、このまま高記録密度を追い求めてトラック幅を狭くしていくと、再生時にトラックを追いきれなくなるという問題が生じる。そこで、トラックに対する再生ヘッドの位置が多少とも外れていても、そのトラックから信号を読み取ることができるノントラッキング方式が提案されている。しかしながら、ノントラッキング方式で適切に再生信号を得るためには、再生ヘッドの設定に厳しい制約が伴う。この面からトラック幅の狭小化による高記録密度化には限界があった。
【0016】
そこで、本発明者らは、磁気記録メディアに記録ヘッドにより、データを再生するための信号処理の一単位である複数のトラックを記録し、磁気記録メディアの複数のトラックに跨って信号を再生することが可能な再生ヘッドにより、複数のトラックに対する信号を、複数のトラックに対して異なる位置関係で複数再生し、これら再生信号を一単位にまとめ、信号処理を行うことで、トラックごとの再生信号を生成するという方式を提案した。これによると、再生ヘッドの幅を決める制約が軽減し、トラック幅の狭小化、高記録密度化が可能である。
【0017】
図29は、上記の磁気記録再生方式を採用した記録装置800の構成を示す図である。
【0018】
同図に示すように、この記録装置800は、マルチトラック化部110、マルチトラック記録符号化部120、マルチトラックプリアンブル付加部130、マルチトラック記録部140、記録ヘッドアレイ150で構成される。
【0019】
マルチトラック化部110は、マルチトラック化のために記録データ1を記録ヘッドアレイ150に設けられた記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)分のデータに振り分けるデータ分配器111で構成される。
【0020】
マルチトラック記録符号化部120は、データ分配器111にてM個に振り分けられた記録データを符号化するM個の記録符号化部121−1,121−2,121−3で構成される。
【0021】
マルチトラックプリアンブル付加部130は、マルチトラック記録符号化部120によって符号化された各記録データに、トラックごとに特定のプリアンブルを付加するM個のプリアンブル付加部131−1,131−2,131−3で構成される。
【0022】
マルチトラック記録部140は、プリアンブルが付加された各トラックの記録符号列を記録媒体に記録する手段であり、より詳細には、プリアンブルが付加された記録符号列に所望のタイミングを与えるM個の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3と、記録補償処理を行うM個の記録補償部144−1,144−2,144−3と、記録補償処理後の記録符号列をもとに個々の記録ヘッドW−1,W−2,W−3を駆動するM個の記録アンプ147−1,147−2,147−3とで構成される。
【0023】
図30は、この記録装置800によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。この記録装置100では、まず、入力された記録データ1がマルチトラック化部110にて、記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)のデータ、すなわちユニットを構成するトラック数分のデータに分配される(ステップS801)。
【0024】
分配された各データは、それぞれマルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3にて、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このときデータの符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS802)。
【0025】
次に、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置に、マルチトラックプリアンブル付加部130のプリアンブル付加部131−1,131−2,131−3にて、ユニット単位のデータを再生する制御のために必要なパターンがプリアンブルとして付加され、記録符号列が得られる(ステップS803)。
【0026】
ここで、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置とは、連続して記録符号列が記録再生されることを考慮して決められた位置である。また、プリアンブルとしては、例えば、再生信号に対するゲイン制御のための学習に用いられるゲイン制御パターン、ビット同期処理などに用いられる同期パターン、及び、複数の再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するために必要な分離パターンなどがある。ここで、1ユニット分の複数のトラックとは、データを再生するための信号処理の一単位を構成する複数のトラックである。同期パターンはトラックごとの分離パターンやデータの開始位置を特定するための情報としても用いられる。これらのパターンは、マルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3で生成される符号列の規則を考慮して作成されたものである。
【0027】
それぞれのトラックごとの記録符号列は、マルチトラック記録部140の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3にて所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144−1,144−2,144−3にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施される。
【0028】
この後、トラックごとの記録符号列は、記録アンプ147−1,147−2,147−3において電圧から電流に変換されて記録ヘッドW−1,W−2,W−3に送られ、記録ヘッドW−1,W−2,W−3によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS804)。
【0029】
次に、上記の磁気記録再生方式を採用した再生装置について説明する。
【0030】
図31は上記の磁気記録再生方式を採用した再生装置900の構成を示す図である。
【0031】
同図に示すように、この再生装置900は、再生ヘッドアレイ210、チャネル再生部220、信号分離部230、マルチトラック復調部240、及び復元部260を備える。
【0032】
再生ヘッドアレイ210は、磁気記録メディア2に記録された各トラックから信号を読み出すN(N=3)個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3を有する。それぞれの再生ヘッドR−1,R−2,R−3は、磁気記録メディア2上で隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なように、そのヘッド幅及び配置が決められている。
【0033】
チャネル再生部220は、再生ヘッドアレイ210に搭載されたN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって再生された信号を増幅するN個の再生アンプ221−1,221−2,221−3と、N個の再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが所定の値になるようにゲインを制御するゲイン調整部224−1,224−2,224−3と、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力を所定のビット幅のディジタル値に量子化するA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3とを備える。
【0034】
なお、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の直前には必要に応じて不要な高域成分を除去するローパス・フィルタが備えられていてもよい。
【0035】
また、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の前段ではなく後段に配置されてもよい。これは、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3のビット幅をより有効に用いたり、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の構成を、プリアンプルに含まれる各パターンの検出を考慮した簡単なものとしたい場合に有効である。
【0036】
信号分離部230は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の出力から同期パターンの検出を行う同期信号検出器231と、同期信号検出器231によって検出された同期信号をもとに分離パターンの開始位置を特定して、その分離パターンを用いてチャネル推定演算および信号分離演算を行うことによって、複数の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によってそれぞれ再生された1ユニット分の再生信号からトラックごとの再生信号を分離する信号分離処理部236とを備える。
【0037】
マルチトラック復調部240は、信号分離処理部236にて分離されたトラックごとの再生信号に対して等化処理を行うM個の等化器241−1,241−2,241−3と、等化器241−1,241−2,241−3の出力からビット同期を行うM個のPLL242−1,242−2,242−3と、PLL242−1,242−2,242−3で生成されたビット同期信号を用いて各トラックごとの再生信号を二値化して符号列を生成する、たとえばビタビ検出器などM個の検出器243−1,243−2,243−3と、検出器243−1,243−2,243−3の出力である2値化された再生信号から符号列上の同期パターンを検出するM個の同期信号検出器244−1,244−2,244−3と、同期信号検出器244−1,244−2,244−3により検出された同期パターンをもとにデータの開始位置を特定して符号列からデータ列を復号するM個の復号器245−1,245−2,245−3とを備える。
【0038】
復元部260は、マルチトラック復調部240内のM個の復号器245−1,245−2,245−3より出力された各トラックのデータを、記録時と逆の動作により連結して再生データ3を復元するデータ結合器261を備える。
【0039】
図32は、この再生装置900のユニット再生の動作の流れを示すフローチャートである。この再生装置900では、まず、それぞれ隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって、磁気記録メディア2の1ユニット分の複数のトラックから信号が再生される(ステップS901)。
【0040】
次に、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3にて、各再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが調整された後、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力はA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3にてディジタル値に変換されて同期信号検出器231に出力される(ステップS902)。
【0041】
同期信号検出器231は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の出力ごとに、プリアンブル内の分離パターンの開始位置などを知るための同期パターンの検出を行う(ステップS903)。
【0042】
次に、信号分離処理部236は、同期信号検出器231によって検出された同期信号をもとに分離パターンの開始位置を特定して、その分離パターンを用いてチャネル推定演算によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3と1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を求めた後(ステップS904)、このチャネル行列をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって再生された1ユニット分の再生信号から、トラックR−1,R−2,R−3ごとの再生信号を分離する(ステップS905)。
【0043】
この後は、トラックごとの再生信号からマルチトラック復調部240にてデータ列の復号が行われ(ステップS906)、復元部260にて各トラックごとのデータが連結されて再生データ3が得られる(ステップS907)。
【0044】
ところで上記の磁気記録再生方式を採用する場合における、より安定した再生信号を得るための技術的課題の一つとしては、例えば、再生時に、各再生ヘッドごとの再生信号の再生位置が不揃いであることによる再生データの品質の低下があった。
【0045】
すなわち、上記の磁気記録再生方式では、再生ヘッドは複数のトラックに跨って信号を再生可能なように、再生ヘッドの再生幅はトラック幅より大きく設定され、この再生ヘッドによって再生された複数の再生信号は、信号分離のための演算処理によって、トラックごとの再生信号に分離される。この信号分離演算においては、入力される各再生信号の再生位置が揃っていることが精度上重要となり、信号分離演算の結果であるトラックごとの再生信号の品質に大きく響くこととなる。
【0046】
しかしながら、複数の再生ヘッドを用いて一斉に1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合、各再生ヘッドの実装精度の問題などにより、信号分離演算部に入力される各再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置が不揃いになるおそれがあり、また、1つの再生ヘッドを用いて複数回に分けて1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合にも同様に、各再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置が不揃いになるおそれがある。また、このような各再生信号の再生位置の不揃いは、再生時の要因のみならず、各トラックの記録信号の記録位置の不揃いによっても発生する。
【0047】
本発明は、かかる事情を鑑み、各再生信号の再生位置の不揃いを解消して信号分離演算処理を良好に行い、再生データの品質向上を図ることのできるデータ再生装置、データ再生方法及びデータ記録再生装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0048】
上記の課題を解決するために、本発明のデータ再生装置は、データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを有し、前記トラックごとに、データと、このデータを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルとが記録された記録媒体から、1トラック以上の再生幅を有する再生ヘッドにより、前記ユニットを構成する複数のトラックに対する複数の再生信号を取得し、信号処理によって前記データを再生する装置であって、前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出する同期信号検出部と、前記同期信号検出部による前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置制御処理部とを具備する。
【0049】
この発明によれば、複数の再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで信号分離演算を良好に行うことが可能となり、再生データの品質を向上させることができる。
【0050】
本発明のデータ再生装置において、前記同期信号検出部は、前記複数の再生信号ごとに、前記プリアンブル内において複数の同期パターンを検出することができるものであってもよい。
【0051】
本発明のデータ再生装置において、前記再生位置制御処理部は、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックの前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることとしてもよい。
【0052】
より具体的には、前記再生位置制御処理部は、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックについて、前記複数の再生信号の前記同期パターンの検出位置同士を比較して、この比較結果を前記複数の再生信号同士の、トラックの進行する方向における位置ずれの情報として、この位置ずれの情報をもとに、複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる。これにより、複数の再生信号の再生位置を正確に合わせることができる。
【0053】
本発明のデータ再生装置において、前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられてもよい。すなわち、複数の再生ヘッドを用いて一斉に1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合において、各再生ヘッドの実装精度の問題などによる、各再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置が不揃いが解消されることで、信号分離演算を良好に行うことができる。
【0054】
また、本発明のデータ再生装置において、前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように、前記トラックの幅方向に移動可能に設けられたものであってもよい。すなわち、1つの再生ヘッドを用いて複数回に分けて1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合にも同様に、各再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで、信号分離演算を良好に行うことができる。
【0055】
さらに、本発明のデータ再生装置において、前記プリアンブルは、前記再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要な分離パターンを有し、前記複数の再生信号から検出された前記分離パターンをもとに、前記複数の再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するチャネル推定演算部と、前記再生位置制御処理部によって再生位置が合わせられた複数の再生信号から、前記チャネル推定演算部によって求められた前記チャネル行列をもとに、前記トラックごとの再生信号を分離する信号分離演算部とをさらに具備するものであってよい。本発明により、複数の再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで信号分離演算部での演算処理を良好に行うことが可能となり、再生データの品質を向上させることができる。
【0056】
本発明の別の観点に基づくデータ再生方法は、データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを有し、前記トラックごとに、データと、このデータを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルとが記録された記録媒体から、1トラック以上の再生幅を有する再生ヘッドにより、前記ユニットを構成する複数のトラックに対する複数の再生信号を取得し、信号処理によって前記データを再生する方法であって、前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出するステップと、前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置合わせステップとを具備する。
【0057】
この発明によれば、複数の再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで信号分離演算を良好に行うことが可能となり、再生データの品質を向上させることができる。
【0058】
本発明のデータ再生方法において、前記同期パターンを検出するステップは、前記複数の再生信号ごとに、前記プリアンブル内において複数の同期パターンを検出することができることとする。
【0059】
本発明のデータ再生方法において、前記再生位置合わせステップは、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックの前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを行う。
【0060】
より具体的には、前記再生位置合わせステップは、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックについて、前記複数の再生信号の前記同期パターンの検出位置同士を比較して、この比較結果を前記複数の再生信号同士の、トラックの進行する方向における位置ずれの情報として、この位置ずれの情報をもとに、複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる。これにより、複数の再生信号の再生位置を正確に合わせることができる。
【0061】
本発明のデータ再生方法において、前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられてもよい。すなわち、複数の再生ヘッドを用いて一斉に1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合において、各再生ヘッドの実装精度の問題などによる、各再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置が不揃いが解消されることで、信号分離演算を良好に行うことができる。
【0062】
本発明のデータ再生方法において、前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられてもよい。すなわち、1つの再生ヘッドを用いて複数回に分けて1ユニット分の複数のトラックから信号を再生してデータ再生を行う場合にも同様に、各再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで、信号分離演算を良好に行うことができる。
【0063】
また、本発明のデータ再生方法において、前記プリアンブルは、前記再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要な分離パターンを有し、前記複数の再生信号から検出された前記分離パターンをもとに、前記複数の再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するステップと、前記再生位置が合わせられた複数の再生信号から、前記チャネル行列をもとに、前記トラックごとの再生信号を分離するステップとをさらに具備するものであってよい。本発明により、複数の再生信号の再生位置の不揃いが解消されることで信号分離演算部での演算処理を良好に行うことが可能となり、再生データの品質を向上させることができる。
【0064】
本発明の別の観点に基づくデータ記録再生装置は、複数のトラックに跨って信号を再生可能な再生ヘッドを有するデータ再生装置と、このデータ再生装置によってデータ再生が可能となるように、記録媒体に、記録ヘッドにより、データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを記録するデータ記録装置とを有するデータ記録再生装置であって、前記データ記録装置は、前記トラックごとに記録すべきデータを符号化するマルチトラック記録符号化部と、前記マルチトラック記録符号化部により符号化された前記トラックごとの前記データの符号列にそれぞれ、当該データを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルを付加するマルチトラックプリアンブル付加部と、前記複数のトラックの前記プリアンブル及び前記データを、前記データを再生するための信号処理の一単位であるユニットとして配置されるように、前記マルチトラックプリアンブル付加部によって前記プリアンブルが付加された前記トラックごとのデータを記録ヘッドにより前記記録媒体に記録するマルチトラック記録部とを具備し、前記データ再生装置は、前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出する同期信号検出部と、前記同期信号検出部による前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置制御処理部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0065】
本発明のデータ再生装置、データ再生方法及びデータ記録再生装置によれば、各再生信号の再生位置の不揃いを解消して信号分離演算処理を良好に行い、再生データの品質向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0067】
(第1の実施形態)
【0068】
本発明の第1の実施形態として、マルチヘッドを用いた磁気記録再生方式における記録装置及び再生装置について説明する。この実施形態の記録装置は、磁気記録メディアにトラックごとに記録位置を揃えることなく信号を記録する装置であり、再生装置は、その磁気記録メディアからトラックごとに再生位置を揃えることなく信号を再生する装置である。ここで、記録ヘッドの数をM、再生ヘッドの数をNとし、この実施形態では、M=3、N=3とする。
【0069】
図1は、本発明の第1の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置100の構成を示す図である。
【0070】
同図に示すように、この記録装置100は、マルチトラック化部110、マルチトラック記録符号化部120、マルチトラックプリアンブル付加部130、マルチトラック記録部140、記録ヘッドアレイ150で構成される。
【0071】
マルチトラック化部110は、マルチトラック化のために記録データ1を記録ヘッドアレイ150に設けられた記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)分のデータに振り分けるデータ分配器111で構成される。
【0072】
マルチトラック記録符号化部120は、データ分配器111にてM個に振り分けられた記録データを符号化するM個の記録符号化部121−1,121−2,121−3で構成される。
【0073】
マルチトラックプリアンブル付加部130は、マルチトラック記録符号化部120によって符号化された各記録データに、ユニット単位のデータ再生の制御のために必要なプリアンブルを付加するM個の独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3で構成される。これらの独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3は、再生時に再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルが同時に再生されないように、少なくとも隣り合う各トラックの間で互いにトラックの進行する方向においてずれた位置関係でプリアンブルの付加を行う。
【0074】
マルチトラック記録部140は、プリアンブルが付加された各トラックの記録符号列を記録媒体に記録する手段であり、より詳細には、プリアンブルが付加された記録符号列に所望のタイミングを与えるM個の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3と、記録補償処理を行うM個の記録補償部144−1,144−2,144−3と、記録補償処理後の記録符号列をもとに個々の記録ヘッドW−1,W−2,W−3を駆動するM個の記録アンプ147−1,147−2,147−3とで構成される。
【0075】
図2は、この記録装置100によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。この記録装置100では、まず、入力された記録データ1がマルチトラック化部110にて、記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)のデータ、すなわちユニットを構成するトラック数分のデータに分配される(ステップS101)。
【0076】
分配された各データは、それぞれマルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3にて、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このときデータの符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS102)。
【0077】
次に、マルチトラックプリアンブル付加部130の独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3により、記録符号化部121−1,121−2,121−3によって符号化されたそれぞれの記録データに、再生時に再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルが同時に再生されないように、少なくとも隣り合う各トラックの間で互いにトラックの進行する方向においてずれた位置関係で、データ再生の制御のために必要なプリアンブルが付加され、記録符号列が得られる(ステップS103)。
【0078】
ここで、データ再生の制御のために必要なプリアンブルとしては、例えば、再生信号に対するゲイン制御のための学習に用いられるゲイン制御パターン、ビット同期処理などのための同期検出に用いられる同期パターン、及び、複数の再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するために必要な分離パターンなどがある。1ユニット分の複数のトラックとは、データ再生のための信号処理の一単位を構成する複数のトラックである。同期パターンはトラックごとの分離パターンやデータの開始位置を特定するための情報としても用いられる。これらのパターンは、マルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3で生成される符号列の規則を考慮して作成されたものである。
【0079】
それぞれのトラックごとの記録符号列は、マルチトラック記録部140の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3にて所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144−1,144−2,144−3にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施される。
【0080】
この後、トラックごとの記録符号列は、記録アンプ147−1,147−2,147−3において電圧から電流に変換されて記録ヘッドW−1,W−2,W−3に送られ、記録ヘッドW−1,W−2,W−3によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS104)。
【0081】
また、この記録装置100では、1つの再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルを再生できるようなトラック配置となるように磁気記録メディア2への記録が行われる。この実施形態では、各トラックを幅方向に隙間無く記録する方式について例示しているが、各トラック間に、ガードバンドのような、記録符号列ではない領域が与えられる場合であっても、1つの再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルを再生できるようなトラック配置となるように磁気記録メディア2への記録が行われるものとする。
【0082】
次に、本発明の第1の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置について説明する。
【0083】
図3は第1の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置200の構成を示す図である。
【0084】
同図に示すように、再生装置200は、再生ヘッドアレイ210、チャネル再生部220、信号分離処理部230、マルチトラック復調部240、及び復元部260を備える。
【0085】
再生ヘッドアレイ210は、磁気記録メディア2に記録された各トラックから信号を読み出すN(N=3)個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3を有する。それぞれの再生ヘッドR−1,R−2,R−3は、磁気記録メディア2上で隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なように、そのヘッド幅及び配置が決められている。
【0086】
チャネル再生部220は、再生ヘッドアレイ210に搭載されたN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって再生された信号を増幅するN個の再生アンプ221−1,221−2,221−3と、N個の再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが所定の値になるようにゲインを制御するゲイン調整部224−1,224−2,224−3と、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力を所定のビット幅のディジタル値に量子化するA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3とを備える。
【0087】
なお、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の直前には必要に応じて不要な高域成分を除去するローパス・フィルタが備えられていてもよい。
【0088】
また、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の前段ではなく後段に配置されてもよい。これは、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3のビット幅をより有効に用いたり、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の構成を、プリアンプルに含まれる各パターンの検出を考慮した簡単なものとしたい場合に有効である。
【0089】
信号分離処理部230は、同期信号検出部231、再生信号ゲイン制御処理部233、チャネル推定演算部234、再生位置制御処理部235、及び信号分離演算部236を有している。
【0090】
同期信号検出部231は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3より出力された再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からプリアンブル内の同期パターンを検出する。
【0091】
再生信号ゲイン制御処理部233は、同期信号検出部231を通過した各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からプリアンブル内のゲイン制御パターンを検出して、このゲイン制御パターンの信号をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号に対するゲインを演算して、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号のレベルを制御する。
【0092】
チャネル推定演算部234は、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに分離パターンの開始位置を特定して、この分離パターンの再生信号を用いて、チャネル推定演算によってチャネル行列を演算する。
【0093】
再生位置制御処理部235は、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、再生信号ゲイン制御処理部233を通過した各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う。
【0094】
信号分離演算部236は、再生位置制御処理部235により再生位置が揃えられた各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、所定の演算処理によって、トラックごとの再生信号を分離する処理を行う。
【0095】
信号分離演算部236による信号分離処理の演算方法としては、例えば、チャネル行列に対する一般化逆行列を求める方法などが挙げられる。このチャネル行列に対して一般化逆行列を求める方法は、一般に、ゼロ・フォーシング(Zero・Forcing)法と呼ばれる。但し、信号分離処理の方法はこれに限定されるものではなく、例えば、MMSE(Minimum Mean Squared Error)法を用いることもできる。
【0096】
なお、信号分離処理部230は、処理を行うために必要な情報を記憶する図示しない記憶部を持っている。信号分離処理部230は、この記憶部に、例えば、プリアンブルとデータからなる所定のユニット分の情報を記憶して処理を行う。
【0097】
マルチトラック復調部240は、図4に示すように、信号分離演算部236にて分離されたトラックごとの再生信号に対して等化処理を行うM個の等化器241−1,241−2,241−3と、等化器241−1,241−2,241−3の出力からビット同期を行うM個のPLL242−1,242−2,242−3と、PLL242−1,242−2,242−3で生成されたビット同期信号を用いて各トラックごとの再生信号を二値化して符号列を生成する、たとえばビタビ検出器などM個の検出器243−1,243−2,243−3と、検出器243−1,243−2,243−3の出力である2値化された再生信号から符号列上の同期パターンを検出するM個の同期信号検出器244−1,244−2,244−3と、同期信号検出器244−1,244−2,244−3により検出された同期パターンをもとにデータの開始位置を特定して符号列からデータ列を復号するM個の復号器245−1,245−2,245−3とを備える。なお、マルチトラック復調部240は、上記の処理を行うために必要なデータ等の情報を記憶する、図示しない記憶部を有している。
【0098】
図3に戻って、復元部260は、マルチトラック復調部240内のM個の復号器245−1,245−2,245−3より出力された各トラックのデータを、記録時と逆の動作により連結して再生データ3を復元するデータ結合器261を備える。
【0099】
図5は、この再生装置200のユニット再生の動作の流れを示すフローチャートである。この再生装置200では、まず、それぞれ隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって、磁気記録メディア2の1ユニット分の複数のトラックから信号が再生される(ステップS201)。
【0100】
次に、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3にて、各再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが調整された後、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力はA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3にてディジタル値に変換されて同期信号検出器231に出力される(ステップS202)。
【0101】
次に、同期信号検出器231にて、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の出力ごとに、プリアンブル内の分離パターンの開始位置などを知るための同期パターンが検出される(ステップS203)。
【0102】
続いて、再生信号ゲイン制御処理部233にて、同期信号検出器231を通過した各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からプリアンブル内のゲイン制御パターンを検出して、このゲイン制御パターンをもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号に対するゲインを演算して、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号のレベルを個別に制御する(ステップS204)。
【0103】
次に、チャネル推定演算部234にて、同期信号検出器231によって検出された同期パターンをもとに各再生信号に配置されている分離パターンの開始位置を特定し、その分離パターンの再生信号をもとに所定のチャネル推定演算によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3と1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を求める(ステップS205)。
【0104】
次に、再生位置制御処理部235にて、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、再生信号ゲイン制御処理部233を通過した各再生ヘッドR−1,R−2,R−Nごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う(ステップS206)。
【0105】
次に、信号分離演算部236にて、再生位置制御処理部235によって再生信号の再生位置が揃えられた各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、トラックごとの再生信号を分離する処理が行われる(ステップS207)。
【0106】
この後は、トラックごとの再生信号からマルチトラック復調部240にてデータ列の復号が行われ(ステップS208)、復元部260にて各トラックごとのデータが連結されて再生データ3が得られる(ステップS209)。
【0107】
図6は、上記の本実施形態の記録装置100によって記録が行われた磁気記録メディア2上のデータフォーマットの概念図である。
【0108】
トラック#1、トラック#2、トラック#3はそれぞれ、記録装置100のM(M=3)個の記録ヘッドによって磁気記録メディア2に記録されたトラックである。トラック#1、トラック#2、トラック#3にはそれぞれ、プリアンブル21とデータ22が記録されている。プリアンブル21は、前述したように、データ22を再生するために必要な情報として、再生信号に対するゲイン制御のための学習に用いられるゲイン制御パターン、ビット同期処理などに用いられる同期パターン、及び、複数の再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するために必要な分離パターンを含むものである。
【0109】
ここでM個のトラック#1、トラック#2、トラック#3それぞれの、M個のプリアンブル21とM個のデータ22とのまとまりが、データを再生するための信号処理の一単位としてのユニット51である。
【0110】
磁気記録メディア2には、このようなユニット51がS個、互いに平行に配置され、隣接するユニット51間には、ガードバンド52と呼ばれる、何も記録されていない領域が設けられている。このガードバンド52の目的は、隣のユニット51のトラックが再生されないようにすることにある。
【0111】
図7は、図6のデータフォーマットにおけるプリアンブル21の構成を示す図である。
【0112】
同図に示すように、このプリアンブル21は、第1のプリアンブル23と第2のプリアンブル24で構成される。第1のプリアンブル23は、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3と同期パターン26−1,26−2,26−3とで構成され、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3と同期パターン26−1,26−2,26−3とは連続して配置されている。第2のプリアンブル24は分離パターン27−1,27−2,27−3で構成されている。トラック#1上では先頭より、ゲイン制御パターン25−1,同期パターン26−1,分離パターン27−1の順に配置され、トラック#2上では先頭より、ゲイン制御パターン25−2,同期パターン26−2,分離パターン27−2の順に配置され、トラック#3上では先頭より、ゲイン制御パターン25−3,同期パターン26−3,分離パターン27−3の順に配置される。そして、分離パターン27−1,27−2,27−3の後にはデータ22が配置される。データ22は、記録時に図1の記録装置100の記録符号化部121−1,121−2,121−3で作成された記録符号列である。第1のプリアンブル23及び第2のプリアンブル24は、独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3によって記録符号列に対して付加されたものである。
【0113】
そして図7の例では、再生ヘッドR−1,R−2,R−3の幅はトラック幅の1.5倍とする。すなわち、再生ヘッドR−1,R−2,R−3の幅は、記録ヘッドW−1,W−2,W−3のヘッド幅の1.5倍とされ、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3はそれぞれ複数のトラックから信号を再生できるものとする。すなわち、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生する。
【0114】
第1のプリアンブル23において、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3及び同期パターン26−1,26−2,26−3は、それぞれが互いに位置が重ならないように配置されている。すなわち、図7において、トラック#1のゲイン制御パターン25−1及び同期パターン26−1はT1区間に、トラック#2のゲイン制御パターン25−2及び同期パターン26−2はT2区間に、トラック#3のゲイン制御パターン25−3及び同期パターン26−3はT3区間にそれぞれ配置されている。隣り合うトラックのゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3及び同期パターン26−1,26−2,26−3の記録区間の間には、マージンのための隙間28が設けられている。
【0115】
再生時に、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、例えば、図3に示した再生装置200の中のゲイン調整部224−1,224−2,224−3による再生アンプ221−1,221−2,221−3のゲイン制御のための学習信号として使用される。また、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、必要に応じて、同期信号検出器231でのビット同期検出のための学習や、再生信号ゲイン制御処理部233での再生信号のレベル制御にも用いられる。さらに、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、必要に応じて、再生位置制御処理部235において各再生信号の再生位置制御のために使用される。
【0116】
また、再生時に、各トラック#1,#2,#3の同期パターン26−1,26−2,26−3は、例えば、同期信号検出器231によって各トラック#1,#2,#3の分離パターン27−1,27−2,27−3の開始位置及びデータ22の開始位置を知るための情報として使用される。また、同期パターン26−1,26−2,26−3は、再生位置制御処理部235での各再生信号の再生位置制御のために使用される。
【0117】
このデータフォーマットでは、第1のプリアンブル23において、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3及び同期パターン26−1,26−2,26−3のそれぞれが、互いに位置が重ならないように配置されていることから、各トラック#1,#2,#3のチャネルクロック位置が合っていない場合でも、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3が複数のトラックを跨いで信号を再生するとき、各トラックの記録信号による打ち消し合いによる再生信号の出力低下が発生しない。これにより、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3、同期パターン26−1,26−2,26−3を用いた上記の制御を良好に行うことができる。
【0118】
一方、第2のプリアンブル24において、各トラック#1,#2,#3の分離パターン27−1,27−2,27−3は、再生時にチャネル推定演算部234にて、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からトラック#1,#2,#3ごとの再生信号を分離するための演算に必要なチャネル行列をチャネル推定演算部234にて求めるために使用されるパターンである。
【0119】
これらの分離パターン27−1,27−2,27−3においても、それぞれが互いに位置が重ならないように配置されている。すなわち、図7において、トラック#1の分離パターン27−1はT4区間に、トラック#2の分離パターン27−2はT5区間に、トラック#3の分離パターン27−3はT6区間にそれぞれ記録されている。これにより分離パターンの種類はT4区間とT5区間とT6区間となり、トラック数に対応する3種類となる。隣り合うトラックの分離パターン27−1,27−2,27−3の記録区間の間には、マージンのための所定の時間分の隙間29が設けられている。
【0120】
ここで分離パターン27−1,27−2,27−3は、最小記録波長と同等か、あるいはそれ以上の所定の記録波長で記録されたものである。
【0121】
再生時に、チャネル推定演算部234は、この分離パターン27−1,27−2,27−3の再生信号を用いてチャネル推定演算を行い、その結果としてチャネル行列を生成する。このチャネル行列は、1ユニット内の各トラック#1,#2,#3に対する個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3のトラック幅方向での位置情報に相当するもので、言い換えると、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3がそれぞれ、ユニット内のどのトラックとどんな割合で位置的に重なるかを示した情報である。
【0122】
次に、再生信号ゲイン制御処理部233による再生信号のゲイン制御の具体例を説明する。
【0123】
再生信号ゲイン制御処理部233は、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとのゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3の再生信号をもとに、例えば、次のようにして、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号のゲインを演算し、各再生信号のレベルを制御する。
【0124】
例えば、再生信号ゲイン制御処理部233は、図7において、再生ヘッドR−1によってトラック#1とトラック#2よりそれぞれ再生されたゲイン制御パターンの信号を加算する。同様に、再生信号ゲイン制御処理部233は、再生ヘッドR−2によってトラック#1、トラック#2、及びトラック#3から再生されたゲイン制御パターンの信号を加算する。同様に、再生信号ゲイン制御処理部233は、再生ヘッドR−3によってトラック#2とトラック#3より再生されたゲイン制御パターンの信号を加算する。
【0125】
ゲイン制御パターンの再生信号の加算は、例えば、それぞれのトラックにおけるゲイン制御パターンの再生信号のピーク値を検出し、その平均値を求めることなどによって行われる。なお、この演算については、上記の方式に限らず、各再生信号の相関関係が成立つものであれば、別の方式でもかまわない。
【0126】
再生信号ゲイン制御処理部233は、以上のようにして得られた3つの演算結果の中から最大のものを選び出し、これを全ての再生ヘッドR−1,R−2,R−3に対する基準出力とする。そして再生信号ゲイン制御処理部233は、入力された再生ヘッドごとの再生信号の値に1/(基準出力)を掛け合わせた値を制御結果として出力する。
【0127】
なお、この基準出力は、チャネル推定演算部234におけるチャネル推定演算でも用いることができるし、信号分離演算部236においても用いることができる。
【0128】
次に、この第1の実施形態の再生装置200において、再生位置制御処理部235によって各再生信号の再生位置を合わせる制御の詳細を説明する。
【0129】
まず、各再生信号の再生位置に不一致が生じる原理について説明する。
【0130】
図8乃至図11は、図7のデータフォーマットの一部分を取り出してモデル化し、トラック#1の記録時及び再生時のチャネルクロック位置Pを基準に、各トラックごとの記録位置ならびに再生位置が分かるように示した図である。
【0131】
図8は、各トラック#1,#2,#3ごとに記録位置を揃えることなく記録が行われ、チャネルクロック位相は揃っている記録状態の例を示す図である。ここで、トラック#2の記録位置は他のトラックの記録位置に対して1クロック分だけヘッド進行方向13側にずれている。S1は、この記録時のずれ量を示している。
【0132】
図9は、図8の記録状態をもつ磁気記録メディア2を各トラック#1,#2,#3ごとに再生位置を揃えずに再生した場合の、再生信号の再生位置の例を示す図である。再生ヘッドR−1,R−2,R−3のヘッド幅はトラック幅の1.5倍とされ、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生するものとする。なお、図9においての再生信号の表現において、再生信号のトラック幅方向の大きさは出力の大きさに対応するものとする。この例では、再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置は、S2のずれ量だけヘッド進行方向の逆側にずれ、再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置はS3のずれ量だけヘッド進行方向13側にずれている。
【0133】
図10は各トラック#1,#2,#3ごとに記録位置を揃えることなく記録が行われ、加えてチャネルクロック位相も揃っていない記録状態の例を示す図である。トラック#2の記録位置はS4のずれ量だけヘッド進行方向13側にずれ、トラック#3の記録位置はS5のずれ量だけヘッド進行方向13側にずれている。なお、S4,S5の値はチャネルクロックの幅未満の値である。
【0134】
図11は、図10の記録状態をもつ磁気記録メディア2を各トラック#1,#2,#3ごとに再生位置を揃えずに再生した場合の、再生信号の再生位置の例を示す図である。この例では、再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置はS6のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれ、再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置はS7のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれている。
【0135】
図9及び図10に示したように、各トラックごとに記録位置を揃えることなく記録を行い、さらに再生時においても再生位置を揃えることなく再生を行う場合においては、各トラックの同期パターンを検出した結果をもとにするだけでは、必ずしも各再生ヘッドごとの再生信号の再生位置を合わせることができない。すなわち、各トラックごとに記録位置が揃っていない状況において各トラックの同期パターンを検出した結果をもとに各再生信号の再生位置を揃えようとすると、記録位置のずれ分の不整合がそのまま位置合わせの結果に残ってしまう。
【0136】
そこで、この実施形態では、再生位置制御処理部235が、同期信号検出部231によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から検出された同期信号をもとに、次のようにして、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う。
【0137】
図6において、再生ヘッドR−1,R−2,R−3のヘッド幅はトラック幅の1.5倍とされ、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生する。同期信号検出部231における同期信号検出処理は、再生信号ごとに、複数の同期パターンを検出することができるようにしてあり、これより、再生ヘッドR−1は、トラック#1の同期パターンとトラック#2の同期パターンを検出することができる。また、再生ヘッドR−2は、トラック#1の同期パターン、トラック#2の同期パターン、そしてトラック#3の同期パターンを検出することができる。さらに、再生ヘッドR−3は、トラック#2の同期パターンとトラック#3の同期パターンを検出することができる。
【0138】
再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−2によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報とする。同様に、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−3によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報とする。
【0139】
これにより、例えば、図9の例においては、再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報として、「再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対し再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置は、S2のずれ量だけヘッド進行方向の逆側にずれている」が得られ、さらに再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報として、「再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対し再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置は、S3のずれ量だけヘッド進行方向13側にずれている」が得られる。同様に、図11の例においては、再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報として、「再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対し再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置は、S6のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれている」が得られ、さらに再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報として、「再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対し再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置は、S7のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれている」が得られる。
【0140】
再生位置制御処理部235は、このようにして得られた再生信号の再生位置のずれ情報をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの各再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行う。なお、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置の調整は、同期パターン検出の精度内の所定の範囲内で行われる。
【0141】
これにより、各トラックごとに記録位置を揃えることなく記録を行い、さらに各トラックごとに再生位置を揃えることなく再生を行う場合においても、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を揃えることができ、後段の信号分離処理を良好に行うことができる。
【0142】
なお、この再生位置制御処理部235の制御動作の前に、必要に応じて、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3のそれぞれの再生信号に対して、トラック#2の同期パターンの検出を良好に行えるようにゲイン制御を行うことが望ましい。すなわち、両側の再生ヘッドR−1,R−3によって得られるトラック#2の再生信号の出力レベルは低いので、同期パターンを検出するために十分なレベルに上げることによって、両側の再生ヘッドR−1,R−3の再生信号からも同期パターンを良好に検出することができる。
【0143】
ところで、図7の例では、所定のトラック(例えばトラック#2)の同期パターンが、すべての再生ヘッドにより再生される場合について説明したが、再生位置制御処理部235による再生位置制御はこのような場合でなくても可能である。
【0144】
図12は図7のデータフォーマットと各再生ヘッドとの位置関係の他の例を示す図である。この例は、図7において再生ヘッドアレイ210のトラック幅方向での位置が適正な位置に対して上方へずれてしまい、トラック#2の同期パターンが再生ヘッドR−1によって再生不能となった例である。
【0145】
この例では、まず、トラック#1の同期パターンに着目する。トラック#1の同期パターンは、再生ヘッドR−1,R−2で再生されており(図示していない)、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−1によってトラック#1から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−2によってトラック#1から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報とする。
【0146】
次に、トラック#2の同期パターンに着目する。トラック#2の同期パターンは、再生ヘッドR−2,R−3で再生されているので(図示していない)、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−2によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−3によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報とする。
【0147】
そして再生位置制御処理部235は、上記の2つの再生信号の再生位置のずれ情報をもとに、再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置を基準とする、他の再生ヘッドR−2,R−3それぞれの再生信号の再生位置のずれ情報を作成して、これをもとに各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの各再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行う。
【0148】
図13は図7のデータフォーマットの変形例を示す図である。このデータフォーマットにおいては、ユニットを構成するトラックの数及び再生ヘッドの数は4とされている。トラック#1,#2,#3における第1のプリアンブル23及び第2のプリアンブル24の配置は図7と同様であるが、トラック#4の第1のプリアンブル23のトラックの進行する方向における位置は、トラック#1の第1のプリアンブル23の位置と同じとされている。そして再生ヘッドR−1はトラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3は3本のトラック#2,#3,#4に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−4はトラック#3とトラック#4とに跨って信号を再生できるように、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3,R−4のヘッド幅と配置が決められている。
【0149】
この例では、図7の例で説明したように例えば、再生位置制御処理部235は、まず、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−2によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置のずれ情報とする。同様に、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−1によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−3によってトラック#2から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置のずれ情報とする。
【0150】
次に、トラック#4の同期パターンに着目する。トラック#4の同期パターンは、再生ヘッドR−3,R−4で再生されているので、再生位置制御処理部235は、再生ヘッドR−3によってトラック#4から再生された信号からの同期パターンの検出位置を基準に、再生ヘッドR−4によってトラック#4から再生された信号からの同期パターンの検出位置のずれの量と方向を判定し、この判定結果を再生ヘッドR−4による再生信号の再生位置のずれ情報とする。この場合のR−4による再生信号の再生位置のずれ情報は、R−3に対するものであるから、相対情報となっており、他のずれ情報と合わせることで、所定の位置を基準とするずれ情報を得ることができる。
【0151】
そして再生位置制御処理部235は、以上求めた各再生信号の再生位置のずれ情報をもとに、再生ヘッドR−1の再生位置を基準とする、他の再生ヘッドR−2,R−3,R−4それぞれの再生信号の再生位置のずれ情報を作成して、これをもとに各再生ヘッドR−1,R−2,R−3,R−4ごとの各再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行う。
【0152】
また、本実施形態で説明した再生位置の制御は、トラック数が5以上のデータフォーマットにおいても同様に適用可能である。
【0153】
以上説明したように、この実施形態によれば、複数の再生ヘッド間で共通に再生されるトラックの同期パターンの検出結果をもとに各再生ヘッドごとの再生信号の再生位置を合わせるように制御を行うことができるので、各トラックごとに記録位置を揃えることなく記録を行い、さらに各トラックごとに再生位置を揃えることなく再生を行う場合においても、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を揃えることができ、後段の信号分離処理を良好に行うことができる。したがって、より安定した再生信号処理を行うことができ、高トラック密度化を実現できる。
【0154】
以上は、再生ヘッドの幅をトラック幅の1.5倍とし、個々の再生ヘッドがそれぞれ複数のトラックに跨って再生を行うように各再生ヘッドを配置することを前提に説明したが、個々の再生ヘッドがそれぞれ複数のトラックを跨いで配置されるように、各再生ヘッドのトラック幅方向での位置を制御するようにしてもよい。これにより、再生ヘッドの幅をより狭くしても、個々の再生ヘッドがそれぞれ複数のトラックを跨いだ状態を確保することができる。
【0155】
次に、本実施形態の変形例を示す。
【0156】
各再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要なパターンとして、上記の実施形態では、図7に示したような分離パターンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、トラッキングサーボ情報などを用いることも可能である。この場合には、トラッキングサーボ情報の各記録パターンと各再生ヘッドとの位置関係をユニット単位にまとめたものがチャネル推定情報として生成される。
【0157】
また、分離パターンを用いて上記の位置関係を検出する手段と、トラッキングサーボ情報を用いて位置関係を検出する手段の両方を併用して、チャネル推定演算を行ってもよい。
【0158】
さらに、上記の実施形態では、3行3列や4行4列の行列をチャネル推定情報として算出する場合を説明したが、その他の正方行列であっても、その一般化逆行列を求めることによって信号分離処理を行うことが可能である。さらに、正方行列以外の行列でも、同様にしてその一般化逆行列を求めるようにすればよい。
【0159】
なお、行列の一般化逆行列を求められるようにするために、分離パターンの種類はトラック数に対応させておく必要がある。
【0160】
また、分離パターンは、互いに一次独立なトラック数のパターンとする。例えば、記録ヘッドの数を3、再生ヘッドの数を4とした場合、すなわち、記録トラックの数を3とし、再生信号の数を4とした場合は、分離パターンは、互いに一次独立な3通りのパターンで構成されるものとする。
【0161】
第1のプリアンブルに配置されているゲイン制御パターンを、同期パターンの後方に追加配置することによって、ゲイン制御のための情報量を増やしてもよい。
【0162】
第1のプリアンブルに配置されているゲイン制御パターンと、第2のプリアンブルに配置されている分離パターンとには、同一のパターンを採用してもかまわない。
【0163】
上記の実施形態では、時間軸上で直交する分離パターンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、周波数軸上で直交するような分離パターン、あるいは、直交符号を用いた分離パターンなどを用いてもよい。
【0164】
(第2の実施形態)
【0165】
次に、本発明の第2の実施形態として、マルチヘッドを用いた磁気記録再生方式における別の記録装置及び再生装置について説明する。この実施形態の記録装置は、磁気記録メディアにトラックごとに記録位置を揃えて信号を記録する装置であり、再生装置は、その磁気記録メディアからトラックごとに再生位置を揃えることなく信号を再生する装置である。ここで、記録ヘッドの数をM、再生ヘッドの数をNとし、この実施形態では、M=3、N=3とする。
【0166】
図14は、本発明の第2の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置101の構成を示す図である。
【0167】
同図に示すように、この記録装置101は、マルチトラック化部110、マルチトラック記録符号化部120、マルチトラックプリアンブル付加部130、マルチトラック記録部140、記録ヘッドアレイ150で構成される。
【0168】
マルチトラック化部110は、マルチトラック化のために記録データ1を記録ヘッドアレイ150に設けられた記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)分のデータに振り分けるデータ分配器111で構成される。
【0169】
マルチトラック記録符号化部120は、データ分配器111にてM個に振り分けられた記録データを符号化するM個の記録符号化部121−1,121−2,121−3で構成される。
【0170】
マルチトラックプリアンブル付加部130は、マルチトラック記録符号化部120によって符号化された各記録データに、トラックごとに特定のプリアンブルを付加するM個のプリアンブル付加部132−1,132−2,132−3で構成される。
【0171】
マルチトラック記録部140は、プリアンブルが付加された各トラックの記録符号列を記録媒体に記録する手段であり、より詳細には、プリアンブルが付加された記録符号列に所望のタイミングを与えるM個の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3と、記録補償処理を行うM個の記録補償部144−1,144−2,144−3と、記録補償処理後の記録符号列をもとに個々の記録ヘッドW−1,W−2,W−3を駆動するM個の記録アンプ147−1,147−2,147−3とで構成される。
【0172】
図15は、この記録装置101によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。この記録装置101では、まず、入力された記録データ1がマルチトラック化部110にて、記録ヘッドW−1,W−2,W−3の数(M=3)のデータ、すなわちユニットを構成するトラック数分のデータに分配される(ステップS111)。
【0173】
分配された各データは、それぞれマルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3にて、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このときデータの符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS112)。
【0174】
次に、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置に、マルチトラックプリアンブル付加部130のプリアンブル付加部132−1,132−2,132−3にて、ユニット単位のデータを再生する制御のために必要なパターンがプリアンブルとして付加され、記録符号列が得られる(ステップS113)。
【0175】
ここで、データ再生の制御のために必要なプリアンブルとしては、例えば、再生信号に対するゲイン制御のための学習に用いられるゲイン制御パターン、ビット同期処理などのための同期検出に用いられる同期パターン、及び、複数の再生ヘッドと1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するために必要な分離パターンなどがある。1ユニット分の複数のトラックとは、データ再生のための信号処理の一単位を構成する複数のトラックである。同期パターンはトラックごとの分離パターンやデータの開始位置を特定するための情報としても用いられる。これらのパターンは、マルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3で生成される符号列の規則を考慮して作成されたものである。
【0176】
それぞれのトラックごとの記録符号列は、マルチトラック記録部140の出力タイミング設定部141−1,141−2,141−3にて所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144−1,144−2,144−3にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施される。
【0177】
この後、トラックごとの記録符号列は、記録アンプ147−1,147−2,147−3において電圧から電流に変換されて記録ヘッドW−1,W−2,W−3に送られ、記録ヘッドW−1,W−2,W−3によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS114)。
【0178】
また、この記録装置101では、1つの再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルを再生できるようなトラック配置となるように磁気記録メディア2への記録が行われる。この実施形態では、各トラックを幅方向に隙間無く記録する方式について例示しているが、各トラック間に、ガードバンドのような、記録符号列ではない領域が与えられる場合であっても、1つの再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルを再生できるようなトラック配置となるように磁気記録メディア2への記録が行われるものとする。
【0179】
次に、本発明の第2の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置について説明する。
【0180】
図16は第2の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置201の構成を示す図である。
【0181】
同図に示すように、再生装置201は、再生ヘッドアレイ210、チャネル再生部220、信号分離処理部230、マルチトラック復調部240、及び復元部260を備える。
【0182】
再生ヘッドアレイ210は、磁気記録メディア2に記録された各トラックから信号を読み出すN(N=3)個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3を有する。それぞれの再生ヘッドR−1,R−2,R−3は、磁気記録メディア2上で隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なように、そのヘッド幅及び配置が決められている。
【0183】
チャネル再生部220は、再生ヘッドアレイ210に搭載されたN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって再生された信号を増幅するN個の再生アンプ221−1,221−2,221−3と、N個の再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが所定の値になるようにゲインを制御するゲイン調整部224−1,224−2,224−3と、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力を所定のビット幅のディジタル値に量子化するA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3とを備える。
【0184】
なお、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の直前には必要に応じて不要な高域成分を除去するローパス・フィルタが備えられていてもよい。
【0185】
また、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の前段ではなく後段に配置されてもよい。これは、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3のビット幅をより有効に用いたり、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の構成を、プリアンプルに含まれる各パターンの検出を考慮した簡単なものとしたい場合に有効である。
【0186】
信号分離処理部230は、同期信号検出部231、チャネル推定演算部234、再生位置制御処理部235、及び信号分離演算部236を有している。
【0187】
同期信号検出部231は、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3より出力された再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からプリアンブル内の同期パターンを検出する。
【0188】
チャネル推定演算部234は、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに分離パターンの開始位置を特定して、この分離パターンの再生信号を用いて、チャネル推定演算によってチャネル行列を演算する。
【0189】
再生位置制御処理部235は、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う。
【0190】
信号分離演算部236は、再生位置制御処理部235により再生位置が揃えられた各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、所定の演算処理によって、トラックごとの再生信号を分離する処理を行う。
【0191】
信号分離演算部236による信号分離処理の演算方法としては、例えば、チャネル行列に対する一般化逆行列を求める方法などが挙げられる。このチャネル行列に対して一般化逆行列を求める方法は、一般に、ゼロ・フォーシング(Zero・Forcing)法と呼ばれる。但し、信号分離処理の方法はこれに限定されるものではなく、例えば、MMSE(Minimum Mean Squared Error)法を用いることもできる。
【0192】
なお、信号分離処理部230は、処理を行うために必要な情報を記憶する図示しない記憶部を持っている。信号分離処理部230は、この記憶部に、例えば、プリアンブルとデータからなる所定のユニット分の情報を記憶して処理を行う。
【0193】
マルチトラック復調部240は、図4に示すように、信号分離演算部236にて分離されたトラックごとの再生信号に対して等化処理を行うM個の等化器241−1,241−2,241−3と、等化器241−1,241−2,241−3の出力からビット同期を行うM個のPLL242−1,242−2,242−3と、PLL242−1,242−2,242−3で生成されたビット同期信号を用いて各トラックごとの再生信号を二値化して符号列を生成する、たとえばビタビ検出器などM個の検出器243−1,243−2,243−3と、検出器243−1,243−2,243−3の出力である2値化された再生信号から符号列上の同期パターンを検出するM個の同期信号検出器244−1,244−2,244−3と、同期信号検出器244−1,244−2,244−3により検出された同期パターンをもとにデータの開始位置を特定して符号列からデータ列を復号するM個の復号器245−1,245−2,245−3とを備える。なお、マルチトラック復調部240は、上記の処理を行うために必要なデータ等の情報を記憶する、図示しない記憶部を有している。
【0194】
図3に戻って、復元部260は、マルチトラック復調部240内のM個の復号器245−1,245−2,245−3より出力された各トラックのデータを、記録時と逆の動作により連結して再生データ3を復元するデータ結合器261を備える。
【0195】
図17は、この再生装置201のユニット再生の動作の流れを示すフローチャートである。この再生装置201では、まず、それぞれ隣接する1以上のトラックから信号を再生することが可能なN個の再生ヘッドR−1,R−2,R−3によって、磁気記録メディア2の1ユニット分の複数のトラックから信号が再生される(ステップS211)。
【0196】
次に、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3にて、各再生アンプ221−1,221−2,221−3の出力の振幅レベルが調整された後、ゲイン調整部224−1,224−2,224−3の出力はA/Dコンバータ225−1,225−2,225−3にてディジタル値に変換されて同期信号検出器231に出力される(ステップS212)。
【0197】
次に、同期信号検出器231にて、A/Dコンバータ225−1,225−2,225−3の出力ごとに、プリアンブル内の分離パターンの開始位置などを知るための同期パターンが検出される(ステップS213)。
【0198】
続いて、チャネル推定演算部234にて、同期信号検出器231によって検出された同期パターンをもとに各再生信号に配置されている分離パターンの開始位置を特定し、その分離パターンの再生信号をもとに所定のチャネル推定演算によって各再生ヘッドR−1,R−2,R−3と1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を求める(ステップS214)。
【0199】
次に、再生位置制御処理部235にて、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−Nごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う(ステップS215)。
【0200】
次に、信号分離演算部236にて、再生位置制御処理部235によって再生位置が揃えられた各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、トラックごとの再生信号を分離する処理が行われる(ステップS216)。
【0201】
この後は、トラックごとの再生信号からマルチトラック復調部240にてデータ列の復号が行われ(ステップS217)、復元部260にて各トラックのデータが連結されて再生データ3が得られる(ステップS218)。
【0202】
図18は、上記の本実施形態の記録装置101によって記録されたプリアンブル21の構成を示す図である。
【0203】
同図に示すように、プリアンブル21は、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3と同期パターン26−1,26−2,26−3とで構成され、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3と同期パターン26−1,26−2,26−3とは連続して配置されている。第2のプリアンブル24は分離パターン27−1,27−2,27−3で構成されている。トラック#1上では先頭より、ゲイン制御パターン25−1,同期パターン26−1,分離パターン27−1の順に配置され、トラック#2上では先頭より、ゲイン制御パターン25−2,同期パターン26−2,分離パターン27−2の順に配置され、トラック#3上では先頭より、ゲイン制御パターン25−3,同期パターン26−3,分離パターン27−3の順に配置される。そして、分離パターン27−1,27−2,27−3の後にはデータ22が配置される。データ22は、記録時に図14の記録装置101の記録符号化部121−1,121−2,121−3で作成された記録符号列である。第1のプリアンブル23及び第2のプリアンブル24は、プリアンブル付加部132−1,132−2,132−3によって記録符号列に対して付加されたものである。
【0204】
そして図18の例では、再生ヘッドR−1,R−2,R−3の幅はトラック幅の1.5倍とする。すなわち、再生ヘッドR−1,R−2,R−3の幅は、記録ヘッドW−1,W−2,W−3のヘッド幅の1.5倍とされ、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3はそれぞれ複数のトラックから信号を再生できるものとする。すなわち、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生する。
【0205】
第1のプリアンブル23において、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3及び同期パターン26−1,26−2,26−3は、トラックの進行する方向において、同じ位置に配置されている。
【0206】
再生時に、各トラック#1,#2,#3のゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、例えば、図16に示した再生装置201の中のゲイン調整部224−1,224−2,224−3による再生アンプ221−1,221−2,221−3のゲイン制御のための学習信号として使用される。また、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、必要に応じて、同期信号検出器231でのビット同期検出のための学習にも用いられる。さらに、ゲイン制御パターン25−1,25−2,25−3は、必要に応じて、再生位置制御処理部235において各再生信号の再生位置制御のために使用される。
【0207】
また、再生時に、各トラック#1,#2,#3の同期パターン26−1,26−2,26−3は、例えば、同期信号検出器231によって各トラック#1,#2,#3の分離パターン27−1,27−2,27−3の開始位置及びデータ22の開始位置を知るための情報として使用される。また、同期パターン26−1,26−2,26−3は、再生位置制御処理部235での各再生信号の再生位置制御のために使用される。
【0208】
一方、第2のプリアンブル24において、各トラック#1,#2,#3の分離パターン27−1,27−2,27−3は、再生時にチャネル推定演算部234にて、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号からトラック#1,#2,#3ごとの再生信号を分離するための演算に必要なチャネル行列をチャネル推定演算部234にて求めるために使用されるパターンである。
【0209】
これらの分離パターン27−1,27−2,27−3は、トラックの進行する方向における位置が互いに重ならないように配置されている。すなわち、図18において、トラック#1の分離パターン27−1はT4区間に、トラック#2の分離パターン27−2はT5区間に、トラック#3の分離パターン27−3はT6区間にそれぞれ記録されている。これにより分離パターンの種類はT4区間とT5区間とT6区間となり、トラック数に対応する3種類となる。隣り合うトラックの分離パターン27−1,27−2,27−3の記録区間の間には、マージンのための所定の時間分の隙間29が設けられている。
【0210】
ここで分離パターン27−1,27−2,27−3は、最小記録波長と同等か、あるいはそれ以上の所定の記録波長で記録されたものである。
【0211】
再生時に、チャネル推定演算部234は、この分離パターン27−1,27−2,27−3の再生信号を用いてチャネル推定演算を行い、その結果としてチャネル行列を生成する。このチャネル行列は、1ユニット内の各トラック#1,#2,#3に対する個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3のトラック幅方向での位置情報に相当するもので、言い換えると、個々の再生ヘッドR−1,R−2,R−3がそれぞれ、ユニット内のどのトラックとどんな割合で位置的に重なるかを示した情報である。
【0212】
なお、第2の実施形態において、プリアンブルの構成は、図18に限定されない。例えば、第1のプリアンブルに配置されているゲイン制御パターンを、同期パターンの後方に追加配置することによって、ゲイン制御のための情報量を増やしてもよい。また、第1のプリアンブルに配置されているゲイン制御パターンと、第2のプリアンブルに配置されている分離パターンとには、同一のパターンを採用してもかまわない。
【0213】
次に、この第2の実施形態の再生装置201において、再生位置制御処理部235によって各再生信号の再生位置を合わせる制御の詳細を説明する。
【0214】
まず、各再生信号の再生位置に不一致が生じる原理について説明する。
【0215】
図19及び20は、図18のデータフォーマットの一部分を取り出してモデル化し、トラック#1の記録時及び再生時のチャネルクロック位置Pを基準に、各トラックごとの記録位置ならびに再生位置が分かるように示した図である。
【0216】
図19は、各トラック#1,#2,#3ごとに記録位置を揃えて記録が行われ、チャネルクロック位相も揃っている記録状態を示す図である。
【0217】
図20は、図19の記録状態をもつ磁気記録メディア2を各トラック#1,#2,#3ごとに再生位置を揃えずに再生した場合の再生信号の位置の例を示す図である。ここで、再生ヘッドR−1,R−2,R−3のヘッド幅はトラック幅の1.5倍とされ、再生ヘッドR−1は、トラック#1とトラック#2とに跨って信号を再生し、再生ヘッドR−2は、3本のトラック#1,#2,#3に跨って信号を再生し、再生ヘッドR−3はトラック#2とトラック#3とに跨って信号を再生するものとする。なお、図20においての再生信号の表現において、再生信号のトラック幅方向の大きさは出力の大きさに対応するものとする。この例では、再生ヘッドR−1による再生信号の再生位置に対して再生ヘッドR−2による再生信号の再生位置はS1のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれ、再生ヘッドR−3による再生信号の再生位置はS2のずれ量だけヘッド進行方向13側へずれている。
【0218】
図19及び図20に示したように、各トラックごとに記録位置を揃えて記録が行われ、再生時には再生位置を揃えることなく再生が行われる場合には、再生位置制御処理部235は、各トラックの同期パターンの検出結果をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置のずれ情報を作成する。そして、再生位置制御処理部235は、このずれ情報をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行う。
【0219】
なお、各トラックの記録位置が揃えられている場合には、必ずしも再生ヘッドが複数のトラックを跨ぐように配置される必要はない。また、データフォーマットとしては、図18に示したものに限らず、図7に示したように、各トラックのゲイン制御パターン及び同期パターンをトラックの進行する方向における位置が互いに重ならないように配置したデータフォーマットを採用した場合にも適用可能である。さらに、本実施形態で説明した再生位置の制御は、図13に示したように、トラック数が4以上のデータフォーマットにおいても適用可能である。
【0220】
以上説明したように、この実施形態によれば、各トラックごとに記録位置を揃えて記録された磁気記録メディア2を再生する場合に、再生位置制御処理部235によって、各トラックの同期パターンの検出結果をもとに、各再生ヘッドR−1,R−2,R−3ごとの再生信号の再生位置を一致させるように信号処理によって調整を行うことができ、高トラック密度化を実現できる。
【0221】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態で述べた変形例の採用が同様に可能である。
【0222】
(第3の実施形態)
【0223】
次に、本発明の第3の実施形態として、シングルヘッドを用いた磁気記録再生方式を説明する。この実施形態の記録装置は、磁気記録メディアにトラックごとに記録位置を揃えることなく信号を記録する装置であり、再生装置は、その磁気記録メディアからトラックごとに再生位置を揃えることなく信号を再生する装置である。
【0224】
図21は第3の実施形態である磁気記録再生方式における記録装置300の構成を示す図である。
【0225】
この記録装置300は、シングルヘッドでユニットの記録を行うものである。ここで、一つの記録ヘッドによってユニットの記録を行う所定の回数をMとし、また一つの再生ヘッドによってユニットの再生を行う所定の回数をNとし、この実施形態では、M=3、N=3とする。
【0226】
同図に示すように、この記録装置300は、マルチトラック化部110、マルチトラック記録符号化部120、マルチトラックプリアンブル付加部130、マルチトラック記録部140、記録ヘッドアレイ150で構成される。
【0227】
マルチトラック記録符号化部120は、データ分配器111にてM個に振り分けられた記録データを符号化するM個の記録符号化部121−1,121−2,121−3で構成される。
【0228】
マルチトラックプリアンブル付加部130は、マルチトラック記録符号化部120によって符号化された各記録データに、ユニット単位のデータ再生の制御のために必要なプリアンブルを付加するM個の独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3で構成される。これらの独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3は、再生時に再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルが同時に再生されないように、少なくとも隣り合う各トラックの間で互いにトラックの進行する方向においてずれた位置関係でプリアンブルの付加を行う。
【0229】
マルチトラック記録部140は、少なくとも1ユニット分の記録データを記憶する記憶部149と、プリアンブルが付加された各トラックの記録符号列に所望のタイミングを与える1個の出力タイミング設定部141と、記録補償処理を行う1個の記録補償部144と、記録補償処理後の記録符号列をもとに記録ヘッドW−1を駆動する1個の記録アンプ147とで構成される。
【0230】
図22は、この記録装置300のユニット記録時の動作の流れを示すフローチャートである。この記録装置300では、まず、入力された記録データ1がマルチトラック化部110にて、M(M=3)個のデータ(トラックごとのデータ)に分配される(ステップS301)。
【0231】
分配された各データは、それぞれマルチトラック記録符号化部120の記録符号化部121−1,121−2,121−3にて、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このとき符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS302)。
【0232】
次に、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置に、マルチトラックプリアンブル付加部130のM個の独立プリアンブル付加部131−1,131−2,131−3にて、ユニット単位のデータの再生制御のために必要なパターンがプリアンブルとして付加され、記録符号列が得られる(ステップS303)。このようにしてプリアンブルが付加されたトラックごとの記録符号列は記憶部149に記憶される(ステップS304)。
【0233】
この後、記憶部149から、最初に記録するトラックの記録符号列が読み出され(ステップS305)、このトラックの記録符号列に対して出力タイミング設定部141によって所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施され、記録アンプ147にて電圧から電流に変換されて、記録ヘッドW−1によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS306)。
【0234】
この後、1ユニット分のトラックの記録が終了したかどうかを判定し(ステップS307)、終了していなければ(ステップS307のNO)、記録ヘッドW−1を次の位置に移動させる(ステップS308)。この後、記憶部149から次のトラックの記録符号列を読み出して同様に記録のための処理を繰り返す。以上の動作を、1ユニット分のトラックの記録が終了するまで繰り返す。
【0235】
次に、この第3の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置の変形例を示す。
【0236】
図23は、この第3の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置の変形例である記録装置301の構成を示す図である。
【0237】
同図に示すように、この記録装置301は、所定の単位の記録データ、例えば所定のトラック数分の記録データを記録符号化する記録符号化部121と、トラックごとの符号化された記録データにユニット単位のデータ再生の制御のために必要なプリアンブルを、再生時に再生ヘッドによって複数のトラックのプリアンブルが同時に再生されないように、少なくとも隣り合う各トラックの間で互いにトラックの進行する方向においてずれた位置関係で付加する独立プリアンブル付加部131と、記憶部149と、プリアンブルが付加された記録符号列に所望のタイミングを与える出力タイミング設定部141と、記録補償処理を行う記録補償部144と、記録補償処理後の記録符号列をもとに記録ヘッドW−1を駆動する記録アンプ147とで構成されている。すなわち、図21に示す記録装置300の構成から、マルチトラック化部110(データ分配器111)が省かれているとともに、マルチトラック記録符号化部120は一つの記録符号化部121で構成され、マルチトラックプリアンブル付加部130は一つの独立プリアンブル付加部131で構成されている。
【0238】
図24は、この記録装置301のユニット記録の動作の流れを示すフローチャートである。
【0239】
この記録装置301では、まず、記録符号化部121にて、所定の単位の記録データ、例えば所定のトラック数分の記録データが、磁気記録メディア2の記録再生特性を考慮した符号列に符号化される。このときデータの符号列に、復調用同期パターンなどの、データ復調時に必要な情報も付加される(ステップS311)。
【0240】
次に、符号化されたそれぞれの記録データの所定の位置に、独立プリアンブル付加部131にて、ユニット単位のデータを再生する制御のために必要なパターンがプリアンブルとして付加され、記録符号列が得られる(ステップS312)。このようにしてプリアンブル符号が付加されたトラックごとの記録符号列は記憶部149に記憶される(ステップS313)。
【0241】
この後、記憶部149から最初に記録するトラックの記録符号列が読み出され(ステップS314)、このトラックの記録符号列に対して出力タイミング設定部141によって所望のタイミングが与えられた後、記録補償部144にて、磁気記録メディア2への記録に最適化するための記録補償処理が施され、記録アンプ147にて電圧から電流に変換されて、記録ヘッドW−1によって磁気記録メディア2に記録される(ステップS315)。
【0242】
この後、1ユニット分のトラックの記録が終了したかどうかを判定し(ステップS316)、終了していなければ(ステップS316のNO)、記録ヘッドW−1を次の位置に移動させ(ステップS317)、記憶部149から次のトラックの記録符号列を読み出して同様に記録のための処理を繰り返す。以上の動作を、1ユニット分のトラックの記録が終了するまで繰り返す。
【0243】
これにより、磁気記録メディア2に、例えば、図7に示したデータフォーマットで記録が行われる。
【0244】
次に、本発明の第3の実施形態である磁気記録再生方式における再生装置について説明する。
【0245】
図25は本発明の第3の実施形態である磁気記録再生方式における再生装置400の構成を示す図である。
【0246】
同図に示すように、この再生装置400は、再生ヘッドアレイ210、チャネル再生部220、信号分離処理部230、マルチトラック復調部240、及び復元部260を備える。
【0247】
再生ヘッドアレイ210は、磁気記録メディア2に記録された各トラックから信号を読み出す1個の再生ヘッドR−1を有する。
【0248】
チャネル再生部220は、再生ヘッドアレイ210に搭載された再生ヘッドR−1によって再生された信号を増幅する1個の再生アンプ221と、再生アンプ221の出力の振幅レベルが所定の値になるようにゲインを制御する1個のゲイン調整部224と、ゲイン調整部224の出力を所定のビット幅のディジタル値に量子化する1個のA/Dコンバータ225とを備える。
【0249】
信号分離処理部230は、同期信号検出部231、再生信号ゲイン制御処理部233、チャネル推定演算部234、再生位置制御処理部235、信号分離演算部236、及び記憶部237を有している。
【0250】
同期信号検出部231は、A/Dコンバータ225の出力からプリアンブル内の同期パターンを検出する。
【0251】
再生信号ゲイン制御処理部233は、同期信号検出部231を通過した各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号からプリアンブル内のゲイン制御パターンを検出して、このゲイン制御パターンの信号をもとに、各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号に対するゲインを演算して、再生信号のレベルを制御する。
【0252】
チャネル推定演算部234は、同期信号検出部231により検出された同期信号を用いて、各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号のプリアンブル内に含まれる分離パターンの先頭位置を特定して、この分離パターンを用いて、各トレースごとの再生ヘッドR−1と複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するチャネル推定演算を行う。
【0253】
再生位置制御処理部235は、同期信号検出部231により検出された同期信号をもとに、再生信号ゲイン制御処理部233を通過した各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号の再生位置を合わせる処理を行う。
【0254】
信号分離演算部236は、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、再生位置制御処理部235により再生位置が揃えられた1ユニット分の再生信号から、所定の演算処理によって、トラックごとの再生信号を分離する処理を行う。
【0255】
記憶部237は、同期信号検出器231と再生信号ゲイン制御処理部233との間に配置され、少なくとも1ユニット分の再生信号を記憶する。再生信号ゲイン制御処理部233は、この記憶部237から各トレースごとの再生ヘッドR−1の再生信号を読み出して各トレースごとの再生信号に対するゲイン制御を行う。
【0256】
マルチトラック復調部240は、図4に示したように、信号分離演算部236にて分離されたトラックごとの再生信号に対して等化処理を行うM個の等化器241−1,241−2,241−3と、等化器241−1,241−2,241−3の出力からビット同期を行うM個のPLL242−1,242−2,242−3と、PLL242−1,242−2,242−3で生成されたビット同期信号を用いて各トラックごとの再生信号を二値化して符号列を生成する、たとえばビタビ検出器などM個の検出器243−1,243−2,243−3と、検出器243−1,243−2,243−3の出力である2値化された再生信号から符号列上の同期パターンを検出するM個の同期信号検出器244−1,244−2,244−3と、同期信号検出器244−1,244−2,244−3により検出された同期パターンをもとにデータの開始位置を特定して符号列からデータ列を復号するM個の復号器245−1,245−2,245−3とを備える。なお、マルチトラック復調部240は、上記の処理を行うために必要なデータ等の情報を記憶する、図示しない記憶部を有している。
【0257】
図25に戻って、復元部260は、マルチトラック復調部240内のM個の復号器245−1,245−2,245−3より出力された各トラックのデータを、記録時と逆の動作により連結して再生データ3を復元するデータ結合器261を備える。
【0258】
なお、シングルヘッドによる再生時のトラックのトレースは、少なくとも1ユニットの記録トラック数の回数だけ繰り返される。すなわち、トラック数以上の回数トレースを繰り返してもよい。その際、1ユニット分の全てのトラックが少なくとも1回はトレースされるようにする。記憶部237には、再生ヘッドR−1が移動した各位置で再生したユニット分の信号、すなわち再生ヘッドR−1が各位置で複数のトラックからそれぞれ再生した信号であり、同期信号検出器231によって分離パターン以降の必要な再生信号が記憶される。
【0259】
図26は、この再生装置400のユニット再生動作を示すフローチャートを示す。
【0260】
この再生装置400では、まず、再生ヘッドR−1によって、最初の位置で複数のトラックから信号が再生される(ステップS401)。次に、ゲイン調整部224にて、再生アンプ221の出力の振幅レベルが調整された後、その出力はA/Dコンバータ225にてディジタル値に変換されて同期信号検出器231に出力される(ステップS402)。
【0261】
同期信号検出器231では、A/Dコンバータ225の出力から分離パターンの開始位置を知るための同期パターンの検出が行われた後(ステップS403)、トラックの再生信号は記憶部237に記憶される(ステップS404)。
【0262】
次に、1ユニット分の再生信号が記憶部237に記憶されたかどうかを判断し(ステップS405)、1ユニット分の再生信号が記憶部237にまだ記憶されていない場合には、再生ヘッドR−1をトラック幅方向の次の位置にずらし(ステップ406)、ステップS401からステップS405までの動作を繰り返す。
【0263】
1ユニット分の再生信号が記憶部237に記憶された場合、再生信号ゲイン制御処理部233は、記憶部237に記憶された1ユニット分の再生信号を読み出し、トレースごとの再生信号に配置されているゲイン制御パターンをもとに、トレースごとの再生信号に対するゲインを演算して、各トレースごとの再生信号のレベルを制御する(ステップS407)。
【0264】
次に、チャネル推定演算部234にて、同期信号検出器231によって検出された同期パターンをもとに各再生信号に配置されている分離パターンの開始位置を特定し、その分離パターンの再生信号をもとに所定のチャネル推定演算によって各トレースごとの再生ヘッドR−1と1ユニット分の複数のトラックとのトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を求める(ステップS408)。
【0265】
次に、再生位置制御処理部235にて、同期信号検出部231により検出された同期パターンをもとに、再生信号ゲイン制御処理部233を通過した各トレースごとの再生信号の再生位置を合わせる処理を行う(ステップS409)。この再生位置制御処理部235による処理は、第1の実施形態または第2の実施形態で説明した処理と同様である。
【0266】
次に、信号分離演算部236にて、再生位置制御処理部235によって再生位置が揃えられた各トレースごとの再生信号から、チャネル推定演算部234によって求められたチャネル行列を用いて、トラックごとの再生信号を分離する処理が行われる(ステップS410)。
【0267】
この後は、トラックごとに分離された再生信号からマルチトラック復調部240にてデータ列の復号が行われ(ステップS411)、復元部260にて各トラックごとのデータが連結されて再生データ3が得られる(ステップS412)。
【0268】
なお、A/Dコンバータ225の直前には必要に応じて不要な高域成分を除去するローパス・フィルタが備えられていてもよい。また、ゲイン調整部224については、A/Dコンバータ225の後段に接続して量子化後にゲインを制御するようにしてもよい。これは、A/Dコンバータ225のビット幅をより有効に用いたり、ゲイン調整部224の構成を、プリアンプルに含まれる各パターンの検出を考慮した簡単なものとしたい場合に有効である。あるいは、同期信号検出器231において利得目標値との誤差をとった情報を用いてゲイン調整部224においてゲイン調整を行うようにしてもよい。
【0269】
また、マルチトラック復調部240にて、トラックごとの出力タイミングを制御しながら復調処理を行うようにすれば、復元部260でのデータの連結処理は不要となる。したがって、この場合には復元部260は不要である。
【0270】
本発明は、上記で説明したリニア記録方式、ノンアジマス記録方式の磁気記録再生に適用されることに限らず、ヘリカル記録方式、アジマス記録方式にも適用可能である。
【0271】
その具体例を以下に示す。
【0272】
図27は、複数の記録ヘッドW−1,W−2,W−3を用いて、ノンアジマス方式とヘリカル・スキャン方式で磁気記録メディア2に記録されるデータフォーマットの概念図である。ヘリカル・スキャン方式においても、トラック#1,トラック#2,トラック#3で構成されるユニット構成トラック列53の間にはガードバンド52が配置される。トラック#1,トラック#2,トラック#3に記録されるプリアンブル21は、例えば図7、図18に示したものと同様でよい。このようなヘリカル・スキャン方式の磁気記録再生方式においても、本発明は適用可能であり、例えば、第1の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置100及び再生装置200の構成を採用することができる。
【0273】
図28は、複数の記録ヘッドW−1,W−2,W−3,W−4,W−5,W−6を用いて、ダブルアジマス方式とヘリカル・スキャン方式により記録媒体に記録されるデータフォーマットの概念図である。
【0274】
本例では、記録用と再生用のそれぞれに6つの記録ヘッドW−1,W−2,W−3,W−4,W−5,W−6が用いられている。これらの記録ヘッドのうち、連続する3つの記録ヘッドW−1,W−2,W−3と、残る連続する3つの記録ヘッドW−4,W−5,W−6とは、互いにトラックの磁化方向であるアジマス方向が異なるようにしてある。すなわち、トラック#1−#3とトラック#4−#6とはアジマス方向が異なる。これらのトラック#1−#6が、データを再生するための処理の一単位であるユニットを複数含むユニット構成トラック列53となる。なお、このダブルアジマスの場合においては、ガードバンドは不要である。
【0275】
なお、この例では、トラック#1−#6のまとまりを、データを再生するための信号処理の一単位(ユニット)としているが、アジマス方向が同一である3つの連続するトラック(例えばトラック#1−#3、トラック#4−#6)を、それぞれ一つのユニットとして信号処理を行うようにしてもよい。
【0276】
各トラック#1−#6に記録されるプリアンブルは、例えば図7、図18に示したものと同様でよい。このようなダブルアジマス方式とヘリカル・スキャン方式の磁気記録再生方式においても、本発明は適用可能であり、例えば、第1の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置100及び再生装置200の構成を採用することができる。
【0277】
なお、本発明は、上記実施の形態に示す構成のものに限定されるものではなく、請求項に記載した技術的範囲を逸脱しない範囲において種々に変更し変形することは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0278】
【図1】本発明の第1の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置の構成を示す図である。
【図2】図1の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置の構成を示す図である。
【図4】図3の再生装置の中のマルチトラック復調部の構成を示す図である。
【図5】図3の再生装置によるユニット再生の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の記録装置によって記録が行われた磁気記録メディア上のデータフォーマットの概念図である。
【図7】図6のデータフォーマットにおけるプリアンブルの構成を示す図である。
【図8】図7のフォーマットに基づく実際の記録状態の例を示す図である。
【図9】図8の記録状態をもつ磁気記録メディアを各トラックごとに再生位置を揃えずに再生した場合の再生位置の例を示す図である。
【図10】図7のフォーマットに基づく実際の記録状態の他の例を示す図である。
【図11】図10の記録状態をもつ磁気記録メディアを各トラックごとに再生位置を揃えずに再生した場合の再生位置の例を示す図である。
【図12】図7のデータフォーマットと各再生ヘッドとの位置関係の他の例を示す図である。
【図13】図7のデータフォーマットの変形例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の磁気記録再生方式における記録装置の構成を示す図である。
【図15】図14の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置の構成を示す図である。
【図17】図16の再生装置によるユニット再生の動作を示すフローチャートである。
【図18】図14の記録装置によって磁気記録メディアに記録されたプリアンブルの構成を示す図である。
【図19】図18のフォーマットに基づく実際の記録状態の例を示す図である。
【図20】図19の記録状態をもつ磁気記録メディアを各トラックごとに再生位置を揃えずに再生した場合の再生位置の例を示す図である。
【図21】本発明の第3の実施形態である磁気記録再生方式における記録装置の構成を示す図である。
【図22】図21の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図23】図21の記録装置の変形例の構成を示す図である。
【図24】図23の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第3の実施形態の磁気記録再生方式における再生装置の構成を示す図である。
【図26】図25の再生装置によるユニット再生の動作を示すフローチャートである。
【図27】複数の記録ヘッドを用いてノンアジマス方式とヘリカル・スキャン方式で磁気記録メディアに記録されるデータフォーマットの概念図である。
【図28】複数の記録ヘッドを用いてダブルアジマス方式とヘリカル・スキャン方式により記録媒体に記録されるデータフォーマットの概念図である
【図29】本発明者らが過去に提案した磁気記録再生方式を採用した記録装置の構成を示す図である。
【図30】図29の記録装置によるユニット記録の動作を示すフローチャートである。
【図31】本発明者らが過去に提案した磁気記録再生方式を採用した再生装置の構成を示す図である。
【図32】図31の再生装置のユニット再生の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0279】
1 記録データ
2 磁気記録メディア
3 再生データ
21 プリアンブル
22 データ
25−1,25−2,25−3 ゲイン制御パターン
26−1,26−2,26−3 同期パターン
27−1,27−2,27−3 分離パターン
51 ユニット
100 記録装置
110 マルチトラック化部
111 データ分配器
120 マルチトラック記録符号化部
121−1,121−2,121−3 記録符号化部
130 マルチトラックプリアンブル付加部
131−1,131−2,131−3 独立プリアンブル付加部
132−1,132−2,132−3 プリアンブル付加部
140 マルチトラック記録部
141−1,141−2,141−3 出力タイミング設定部
144−1,144−2,144−3 記録補償部
147−1,147−2,147−3 記録アンプ
149 記憶部
150 記録ヘッドアレイ
200 再生装置
210 再生ヘッドアレイ
220 チャネル再生部
221−1,221−2,221−3 再生アンプ
224−1,224−2,224−3 ゲイン調整部
225−1,225−2,225−3 A/Dコンバータ
230 信号分離処理部
231 同期信号検出器
233 再生信号ゲイン制御処理部
234 チャネル推定演算部
235 再生位置制御処理部
236 信号分離演算部
237 記憶部
240 マルチトラック復調部
241−1,241−2,241−3 等化器
243−1,243−2,243−3 検出器
244−1,244−2,244−3 同期信号検出器
245−1,245−2,245−3 復号器
260 復元部
261 データ結合器
R−1,R−2,R−3 再生ヘッド
W−1,W−2,W−3 記録ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを有し、前記トラックごとに、データと、このデータを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルとが記録された記録媒体から、1トラック以上の再生幅を有する再生ヘッドにより、前記ユニットを構成する複数のトラックに対する複数の再生信号を取得し、信号処理によって前記データを再生する装置であって、
前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出する同期信号検出部と、
前記同期信号検出部による前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置制御処理部と
を具備することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記同期信号検出部は、前記複数の再生信号ごとに、前記プリアンブル内において複数の同期パターンを検出することができることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記再生位置制御処理部は、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックの前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記再生位置制御処理部は、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックについて、前記複数の再生信号の前記同期パターンの検出位置同士を比較して、この比較結果を前記複数の再生信号同士の、トラックの進行する方向における位置ずれの情報として、この位置ずれの情報をもとに、複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられていることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項6】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように、前記トラックの幅方向に移動可能に設けられていることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項7】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記プリアンブルは、前記再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要な分離パターンを有し、
前記複数の再生信号から検出された前記分離パターンをもとに、前記複数の再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するチャネル推定演算部と、
前記再生位置制御処理部によって再生位置が合わせられた複数の再生信号から、前記チャネル推定演算部によって求められた前記チャネル行列をもとに、前記トラックごとの再生信号を分離する信号分離演算部と
をさらに具備することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項8】
データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを有し、前記トラックごとに、データと、このデータを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルとが記録された記録媒体から、1トラック以上の再生幅を有する再生ヘッドにより、前記ユニットを構成する複数のトラックに対する複数の再生信号を取得し、信号処理によって前記データを再生する方法であって、
前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出するステップと、
前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置合わせステップと
を具備することを特徴とするデータ再生方法。
【請求項9】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記同期パターンを検出するステップは、前記複数の再生信号ごとに、前記プリアンブル内において複数の同期パターンを検出することができることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項10】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記再生位置合わせステップは、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックの前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項11】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記再生位置合わせステップは、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックについて、前記複数の再生信号の前記同期パターンの検出位置同士を比較して、この比較結果を前記複数の再生信号同士の、トラックの進行する方向における位置ずれの情報として、この位置ずれの情報をもとに、複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項12】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられていることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項13】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように、前記トラックの幅方向に移動可能に設けられていることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項14】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記プリアンブルは、前記再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要な分離パターンを有し、
前記複数の再生信号から検出された前記分離パターンをもとに、前記複数の再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するステップと、
前記再生位置合わせステップによって再生位置が合わせられた複数の再生信号から、前記チャネル行列をもとに、前記トラックごとの再生信号を分離するステップと
をさらに具備することを特徴とするデータ再生方法。
【請求項15】
複数のトラックに跨って信号を再生可能な再生ヘッドを有するデータ再生装置と、このデータ再生装置によってデータ再生が可能となるように、記録媒体に、記録ヘッドにより、データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを記録するデータ記録装置とを有するデータ記録再生装置であって、
前記データ記録装置は、
前記トラックごとに記録すべきデータを符号化するマルチトラック記録符号化部と、
前記マルチトラック記録符号化部により符号化された前記トラックごとの前記データの符号列にそれぞれ、当該データを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルを付加するマルチトラックプリアンブル付加部と、
前記複数のトラックの前記プリアンブル及び前記データを、前記データを再生するための信号処理の一単位であるユニットとして配置されるように、前記マルチトラックプリアンブル付加部によって前記プリアンブルが付加された前記トラックごとのデータを記録ヘッドにより前記記録媒体に記録するマルチトラック記録部と
を具備し、
前記データ再生装置は、
前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出する同期信号検出部と、
前記同期信号検出部による前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置制御処理部とを具備することを特徴とするデータ記録再生装置。
【請求項1】
データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを有し、前記トラックごとに、データと、このデータを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルとが記録された記録媒体から、1トラック以上の再生幅を有する再生ヘッドにより、前記ユニットを構成する複数のトラックに対する複数の再生信号を取得し、信号処理によって前記データを再生する装置であって、
前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出する同期信号検出部と、
前記同期信号検出部による前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置制御処理部と
を具備することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記同期信号検出部は、前記複数の再生信号ごとに、前記プリアンブル内において複数の同期パターンを検出することができることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記再生位置制御処理部は、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックの前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記再生位置制御処理部は、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックについて、前記複数の再生信号の前記同期パターンの検出位置同士を比較して、この比較結果を前記複数の再生信号同士の、トラックの進行する方向における位置ずれの情報として、この位置ずれの情報をもとに、複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられていることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項6】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように、前記トラックの幅方向に移動可能に設けられていることを特徴とするデータ再生装置。
【請求項7】
請求項1に記載のデータ再生装置であって、
前記プリアンブルは、前記再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要な分離パターンを有し、
前記複数の再生信号から検出された前記分離パターンをもとに、前記複数の再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するチャネル推定演算部と、
前記再生位置制御処理部によって再生位置が合わせられた複数の再生信号から、前記チャネル推定演算部によって求められた前記チャネル行列をもとに、前記トラックごとの再生信号を分離する信号分離演算部と
をさらに具備することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項8】
データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを有し、前記トラックごとに、データと、このデータを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルとが記録された記録媒体から、1トラック以上の再生幅を有する再生ヘッドにより、前記ユニットを構成する複数のトラックに対する複数の再生信号を取得し、信号処理によって前記データを再生する方法であって、
前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出するステップと、
前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置合わせステップと
を具備することを特徴とするデータ再生方法。
【請求項9】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記同期パターンを検出するステップは、前記複数の再生信号ごとに、前記プリアンブル内において複数の同期パターンを検出することができることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項10】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記再生位置合わせステップは、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックの前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項11】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記再生位置合わせステップは、前記再生ヘッドの複数の再生信号に共通に含まれる同一のトラックについて、前記複数の再生信号の前記同期パターンの検出位置同士を比較して、この比較結果を前記複数の再生信号同士の、トラックの進行する方向における位置ずれの情報として、この位置ずれの情報をもとに、複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項12】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように複数設けられていることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項13】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記再生ヘッドは、前記ユニットに対して前記トラックの幅方向にて異なる位置関係で前記複数のトラックから信号を再生するように、前記トラックの幅方向に移動可能に設けられていることを特徴とするデータ再生方法。
【請求項14】
請求項8に記載のデータ再生方法であって、
前記プリアンブルは、前記再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係を検出するために必要な分離パターンを有し、
前記複数の再生信号から検出された前記分離パターンをもとに、前記複数の再生ヘッドと前記複数のトラックとの再生時のトラック幅方向の位置関係に相当するチャネル行列を演算するステップと、
前記再生位置合わせステップによって再生位置が合わせられた複数の再生信号から、前記チャネル行列をもとに、前記トラックごとの再生信号を分離するステップと
をさらに具備することを特徴とするデータ再生方法。
【請求項15】
複数のトラックに跨って信号を再生可能な再生ヘッドを有するデータ再生装置と、このデータ再生装置によってデータ再生が可能となるように、記録媒体に、記録ヘッドにより、データ再生のための信号処理の一単位であるユニットを構成する複数のトラックを記録するデータ記録装置とを有するデータ記録再生装置であって、
前記データ記録装置は、
前記トラックごとに記録すべきデータを符号化するマルチトラック記録符号化部と、
前記マルチトラック記録符号化部により符号化された前記トラックごとの前記データの符号列にそれぞれ、当該データを再生する制御のために必要な、同期パターンを含むプリアンブルを付加するマルチトラックプリアンブル付加部と、
前記複数のトラックの前記プリアンブル及び前記データを、前記データを再生するための信号処理の一単位であるユニットとして配置されるように、前記マルチトラックプリアンブル付加部によって前記プリアンブルが付加された前記トラックごとのデータを記録ヘッドにより前記記録媒体に記録するマルチトラック記録部と
を具備し、
前記データ再生装置は、
前記再生ヘッドの前記複数の再生信号からそれぞれ前記同期パターンを検出する同期信号検出部と、
前記同期信号検出部による前記同期パターンの検出結果をもとに、前記再生ヘッドの複数の再生信号の、トラックの進行する方向における再生位置を信号処理によって合わせる再生位置制御処理部とを具備することを特徴とするデータ記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2009−20984(P2009−20984A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185049(P2007−185049)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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