説明

データ再生装置およびデータ再生方法

【課題】基本周期ごとに複数回繰返してシリアルデータ信号を転送することができない。
【解決手段】一実施形態によれば、データ再生装置4は、記録データを保持する不揮発性記憶部16と、CPU19、揮発性記憶部23、入出力バス20を有するパソコン本体4aと、それぞれ揮発性記憶部23より転送される再生データから複数のシリアルデータ信号を生成し各シリアルデータ信号を基本周期ごとに伝送路3を介して信号処理装置2へ送信するシリアル送信カード15とを備え、シリアル送信カード15は、基本周期に予め設定された送信回数を乗じて得られるCPU19の応答処理可能な時間よりも長い期間内に各シリアルデータ信号を生成し、この期間の経過後、この時間よりも長い次の期間内に各シリアルデータ信号を処理周期ごとに一定間隔でシリアル送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態はデータ再生装置およびデータ再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動目標の距離や方向を演算するレーダ装置には信号処理装置が設けられており、この信号処理装置にはDSPカードなどを用いたDSPソフトウェアが実装されている。DSPソフトウェアをデバッグする場合、アンテナ部から出力されるNチャネル分のシリアルデータ信号に対してDSPカードが信号処理演算を行う。デバッグでは、各チャネル分のシリアルデータ信号が決められたタイミングで転送され又は演算処理されているかどうか、あるいは正しい答えが出力されているかどうか、あるいは正しい答えが出力されるまでにデータ制御が行われているかどうかといったことが検証される。データ制御とは、各シリアルデータ信号を例えば50〜100μ秒の範囲の時間値を持つ基本周期内に記憶媒体から読出して出力すること、基本周期毎に各チャネルの信号処理演算が実行されることを指す。
【0003】
レーダ装置はレーダ受信波を検波して大量のデータを出力する。従来、遠隔地のレーダ装置が実測したデータを収集し、実測データを蓄積するデータ収集装置が知られている(特許文献1参照)。実環境においてレーダ装置が出力したデータを実測データとしてデータ収集装置は大容量の外部記憶装置に保存する。この記録データをデータ再生装置が読出してデバッグに用いる。デバッグは、実環境下での記録データを外部記憶装置からデータ再生装置が読出して信号処理装置へ送り、DSPカード上のDSPの出力をモニタすること等を行う。信号処理装置が信号処理演算を行って、その結果が演算式より導かれる結果に一致するかどうかが検証される。
【0004】
デバッグでは更に、信号処理装置に高速レートの記録データが入力されてから演算出力されるまでに、データ制御が正しく行われているかどうかが検証される。高速レートの記録データとは例えば50μ秒を繰返し周期とするパルス信号の列を指す。与えられた実測データが順番に信号処理されていく際、データ処理の進行の過程や、各過程の動作や、動作タイミングの制御等を検証する必要がある。
【0005】
レーダ装置や、あるいはレーダ情報を用いて対象の位置を可視化する画像処理装置にはリアルタイム制御が求められる。レーダ装置や画像処理装置は、処理すべき入力シリアルデータの転送レートが100〜400MBytes/secと高速である特徴を持つ。
【0006】
レーダ装置では、データに対する処理周期が数十μ秒〜数百m秒と短く、さらに処理すべきデータ量が巨大であり、データ速度が100〜400MBytes/secと高速である。このため、試験用データや、実環境下にて保存されたデータを、本器であるDSPカード上の動作の周期と同一の制御タイミングで送信することは重要である。
【0007】
現在、様々なデータ再生装置が市販されている。市販のデータ再生装置はデータ通信の高速性と外部記憶装置(例えばRAID HDD、シリコンDISKなど)の低速性とを吸収した仕組みを有し、この仕組みが各社独自技術により実現されている。
【0008】
収集対象のデータが人間系応答データであってデータ発生周期が長くデータ発生密度が低いデータの再生方法に関しては、従来、航空機等に関するレーダ情報と、管制官等による入力操作に応じた操作データをレーダ画面に一致させて表示する作画データの記録再生出力を可能にしたレーダ情報処理装置が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−199315号公報
【特許文献2】特開2007−193516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、市販品のデータ再生装置の間に共通する点は、データ通信の高速性と外部記憶装置(例えばRAID HDD、シリコンDISKなど)の低速性とを吸収した仕組みを各社独自技術にて実現している点であり、その点が装置の非汎用性、高コスト化を招いている。
【0011】
汎用オペレーティングシステム(OS)を実装したパソコンでは、高速レートのシリアルデータ信号を読出して転送する処理を実行することができない。ホスト装置からデータ読出しの指令を受信してからデータを読出すまでの間、制御がOSに渡されるため、極めて短時間内で膨大な量のデータをパソコンCPUがRAID HDDや、シリコンディスクより読出して通信バス経由でデバッグ対象に転送することができない。レーダ装置が出力するような50〜100μ秒の範囲の送信間隔で1000回連続してシリアルデータ信号を転送することはパソコンCPUにはできない。
【0012】
汎用のパソコン及び汎用の通信バスでは、たとえどんなに性能がよいプロセッサやデータバスを用いたとしても、記録データを外部記憶装置から読出すことができない。それぞれが短い時間間隔を有し一定周期で発生する複数チャネルの記録データを再生することや、これらの記録データを転送することができない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、データ信号に対する処理をこの処理の基本周期ごとに複数回繰返して実行する信号処理装置の動作を検証するための記録データを保持する不揮発性記憶部と、この不揮発性記憶部に内部バスを介してアクセスし前記基本周期よりも長い時間を応答処理可能な時間とするCPU、このCPUが前記記録データを再生して形式変換した再生データを記憶する揮発性記憶部、およびこれらのCPU及び揮発性記憶部とバスプロトコル変換部を介して接続された入出力バスを有するパソコン本体と、それぞれこのパソコン本体の前記入出力バスを介して前記揮発性記憶部より転送される前記再生データから複数のシリアルデータ信号を生成し各シリアルデータ信号を前記基本周期ごとに伝送路を介して前記信号処理装置へ送信するシリアル送信カードと、を備え、このシリアル送信カードは、前記基本周期に予め設定された送信回数を乗じて得られる前記CPUの応答処理可能な時間よりも長い期間内に前記各シリアルデータ信号を生成し、この期間の経過後、前記時間よりも長い次の期間内に前記各シリアルデータ信号を前記処理周期ごとに一定間隔でシリアル送信することを特徴とするデータ再生装置が提供される。
【0014】
また、別の一実施形態によれば、データ信号に対する処理をこの処理の基本周期ごとに複数回繰返して実行する信号処理装置に伝送路を介して接続されたシリアル送信カードを装着し、この信号処理装置の動作検証用の記録データを保持する不揮発性記憶部に接続されたパソコン本体のCPUが、このシリアル送信カードに対して送信開始を指令し、前記基本周期に予め設定された送信回数を乗じて得られる前記CPUの応答処理可能な時間よりも長い第1の期間内に、前記シリアル送信カードは複数のシリアルデータ信号を前記処理周期ごとに一定間隔でシリアル送信するとともに、前記不揮発性記憶部に前記CPUが再生出力した再生データから別の複数のシリアルデータ信号を生成し、前記第1の期間の経過後、前記CPUの応答処理可能な時間よりも長い第2の期間内に、前記シリアル送信カードは前記別の複数のシリアルデータ信号を前記処理周期ごとに一定間隔でシリアル送信することを特徴とするデータ再生方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係るデータ再生装置を含むデータ再生システムの構成図である。
【図2】シリアル送信カードの機能ブロック図である。
【図3】(a)〜(c)はデータ再生装置における送信完了割込み肯定応答を出力するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】信号処理装置内の各部及びデータ再生装置内の各部における処理のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】デバイスドライバによる送信完了割込み処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】外部記憶装置のメモリマップの一例を示す図である。
【図7】CPUによるデータ再生処理を説明するための第1のフローチャートである。
【図8】図7に続く第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、一実施形態に係るデータ再生装置およびデータ再生方法について、図1乃至図8を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0017】
図1は一実施形態に係るデータ再生装置を含むデータ再生システムの構成図である。データ再生システム1は、デバッグ対象であるDSPカード2(信号処理装置)と、このDSPカード2に接続されたN本のデータバス3と、Nチャネル分のシリアルデータ信号を記憶媒体から読出してこれらのシリアルデータ信号を各チャネルのデータバス3に出力するデータ再生装置PC4(データ再生装置)とを備えている。
【0018】
データ再生装置PC4は、予め実環境下にて記録された記録データを保持するパソコン本体4aと、このパソコン本体4aに装着されNチャネル分の同期シリアルデジタルデータを生成して出力する高速シリアル通信カード15(シリアル送信カード)と、パソコン本体4a内のCPU19とを有する。この高速シリアル通信カード15が実行する処理は、一基本周期の処理を予め設定した回数分繰返した後、CPU19への割込みを1回生成する処理である。一基本周期は各シリアルデータ信号の送信周期である。一基本周期は固定値であり、起動時の設定により決められる。
【0019】
本実施形態では、データ再生装置PC4がこの基本周期に予め設定された送信回数を乗じてCPU19の処理応答が可能な時間にまで拡げてやり、このCPU処理応答可能な時間内に次回送信する各シリアルデータ信号をセットし、且つNチャネル分の再生データをデータバス3上でDSPカード2へ送信する。このCPU処理応答可能な時間内で、データ再生装置PC4は、記録データをパソコン本体4aから読出すこと、読出した記録データを再生データに形式変換すること、及びこの再生データを送信バッファにセットする処理を行う。
【0020】
本実施形態に係るデータ再生方法は、データ再生装置PC4内のCPU19が高速シリアル通信カード15に対してシリアルデータ信号の送信回数を例えば1000にセットし、この後、高速シリアル通信カード15に送信開始を指令する。高速シリアル通信カード15は一基本周期の処理を1000回繰返す。高速シリアル通信カード15が1000回の処理の実行が終了した時点で、高速シリアル通信カード15はCPU19へ割込みを発生させる方法である。
【0021】
基本周期を例えば50μ秒に設定し、CPU19が高速シリアル通信カード15に50μ秒の処理を1000回実行させた後、この高速シリアル通信カード15に1回だけ完了割込みをCPU19に出力させることにより、データ再生装置PC4はCPU19への割込みの発生の頻度を、50μ秒に1回の割合から、50m秒に1回の割合に減らすようにしている。高速シリアル通信カード15によって割込み発生回数が間引かれるようになっている。CPU19への割込みの発生間隔を、このCPU19及びCPU周辺回路が処理可能な範囲内の時間オーダにまで拡げてやり、パソコンを用いた高速データの転送と、データ再生とを可能にしている。
【0022】
図1に示すDSPカード2はフラッシュROM5から信号処理演算用のプログラムを読込みし、ディジタルフィルタ処理やFFT処理などの信号処理演算を行う。データバス3にはメタルケーブルや光ケーブルが用いられる。DSPカード2及びデータ再生装置PC4の異なる基板間がシリアル通信路により接続されている。
【0023】
DSPカード2は、それぞれ内部メモリ6及びDMAコントローラ(DMAC)7を持つK個のDSP8と、各DMAコントローラ7に接続される第1のデータバス9と、このデータバス9に接続されたバスプロトコル変換機能部10と、このバスプロトコル変換機能部10に第2のデータバス11を介して接続された外部記憶装置12と、バスプロトコル変換機能部10に第3のデータバス13を介して接続された高速シリアル通信装置14(シリアル送信カード)とを備える。
【0024】
例えば5個のDSP8の各内部メモリ6は小容量の記憶領域を有する。DMAコントローラ7はこの内部メモリ6に記憶されるデータをDMA転送する。フラッシュROM5は、各DSP8の信号処理用のプログラムを保持する。各プログラムはDSPカード2が起動された後、各DMAコントローラ7によりそれぞれの内部メモリ6へ転送されるようにされている。起動後、各DSP8は、内部メモリ6に記憶されたプログラムの計算命令にしたがって割当てられたDSPソフトウェアの演算処理を行うようになっている。
【0025】
バスプロトコル変換機能部10はバス幅やデータ転送単位が異なるデータバス9、11、13の間で、これらのバスのプロトコルに応じてデータをプロトコル変換してから転送する。外部記憶装置12は揮発性の記憶装置であり、ページメモリのような大容量のメモリが用いられている。高速シリアル通信装置14は高い転送レートのシリアルデータ信号を受信する。
【0026】
これにより、DSPカード2をデバッグする場合、高速シリアル通信装置14にはデータ再生装置PC4から、それぞれNチャネル分のシリアルデータ信号が基本周期間隔に送られてこのDSPカード2へ転送される。DSP8のうちのいずれか1つはこれらのシリアルデータ信号をバスプロトコル変換機能部10経由で外部記憶装置12に書込む。K個のDSP8は外部記憶装置12からデータを読出して信号処理演算を行う。例えばprintf文などを用いて出力結果などがモニタされる。
【0027】
また、データ再生装置PC4を構成するパソコン本体4aはスロット部やマザーボードを有する。高速シリアル通信カード15はこのスロット部に装着される。
【0028】
パソコン本体4aは、例えば遠隔地のレーダ装置がレーダ受信波を記録データとして保持してあるハードディスクドライブ16(不揮発性記憶部)と、このハードディスクドライブ16へアクセスされるデータの読み書きを制御するハードディスクドライブ制御カード18と、ホストプロセッサとしてのCPU19と、このCPU19及び高速シリアル通信カード15間をインターフェースするバスプロトコル変換機能部22と、揮発性の外部記憶装置23(揮発性記憶部)とを備えている。
【0029】
ハードディスクドライブ16はDSPカード2へ送信される再生データの元となる記録データを保存した不揮発性の外部記憶装置である。ハードディスクドライブ16は、ウィンドウズ(登録商標)あるいはlinux(登録商標)といったOSと、OS上で動作し、シリアルデータ信号の送信回数の設定、送信指令を行うためのアプリケーション(アプリケーションプログラム)と、外部記憶装置23に読出された記録データを高速シリアル通信カード15へ転送するためのデバイスドライバとを保持する。デバイスドライバはOSカーネルのメモリ空間に組込まれた状態で動作し、アプリケーションからの処理要求をOSカーネル経由で受け付ける。ハードディスクドライブ16は、これらのデバイスドライバやアプリケーションプログラムはブート時にハードディスクドライブ16から外部記憶装置23へロードされCPU19により実行される。ハードディスクドライブ16の機能は、RAID構成のハードディスクドライブや、シリコンディスクによって実現される。
【0030】
ハードディスクドライブ制御カード18はCPU19からの指令を受けると、ハードディスクドライブ16から記録データを読出して外部記憶装置23に書込む。バスプロトコル変換機能部22は、高速シリアル通信カード15側のデータバス20(入出力バス)、CPU19側のデータバス21a、ハードディスクドライブ制御カード18側のデータバス17、及び揮発性の外部記憶装置23側のデータバス21bの間をブリッジする。データバス20はPCI(Peripheral Component InterConnect)エクスプレス等に準拠した入出力バスであり、データバス17、21a、21bはいずれも内部バスである。バスプロトコル変換機能部22は、バス幅やデータ転送単位が異なる4つのデータバス20、17、21a、21bの間で、これらのバスのプロトコルに応じてデータをプロトコル変換してから転送する。外部記憶装置23はDRAMであり、例えばページメモリのような大容量の記憶領域を有する。
【0031】
高速シリアル通信カード15の構造は、バッファ制御機能やDMA(Direct Memory Access)転送機能などを有するFPGA(Field Programmable Gate Array)と、このFPGAを基板面上に配線しその一側端部にエッジ電極が形成された基板と、この基板面上この基板が差し込まれる方向とは反対側の端部に設けられメタルケーブル等に接続されるコネクタとを有する。
【0032】
パソコン本体4aのマザーボードには、マザーボード側コネクタを介してカード型のPCI拡張アダプタがこのマザーボード上に立設した状態で装着されている。このPCI拡張アダプタの面部にはそれぞれ上下等間隔に配置された複数の導電性コンタクト付きのアダプタ側コネクタが取り付けられており、高速シリアル通信カード15がいずれかのアダプタ側コネクタに嵌合されることにより、この高速シリアル通信カード15のエッジ電極と導電性コンタクトとが電気的に接続されるようになっている。高速シリアル通信カード15は本発明者によって内製されたものであり、PCIカードや、LANカード、USBカード、RAIDカード、SCSIカードあるいはグラフィックスカード等のサイズと略同じサイズを有する。
【0033】
高速シリアル通信カード15は、各シリアルデータ信号を基本周期ごとに読出して転送する。各シリアルデータ信号はいずれも同じデータ量を有する。
【0034】
図2は高速シリアル通信カード15の機能ブロック図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。高速シリアル通信カード15は、CPU19からこの高速シリアル通信カード15内の各部へのアクセス要求をインターフェース処理するバスインターフェース(PCIエクスプレスインターフェース)24と、データ再生装置PC4内のデータバス20上のデータをDMA転送するDMAコントローラ(DMAC)25とを備える。更に高速シリアル通信カード15は、それぞれNチャネル分の再生データを記憶するN個の送信バッファ27と、これらの送信バッファ27に記憶されたパラレルデータ形式の再生データをパラレルシリアル変換し、シリアルデータ信号をDSPカード2宛てに出力するN個のシリアルデータ送信部26とを備える。
【0035】
バスインターフェース24はバスプロトコルをインターフェースする。DMAコントローラ25は、フォーマット変換された状態で外部記憶装置23に記憶されている再生データをデータバス20から読出し、読出した再生データをパラレルデータ形式で各送信バッファ27に書込む。各送信バッファ27はDRAMであり、例えばページメモリのような大容量の記憶領域を有する。チャネル番号1〜N用の各送信バッファ27はいずれも第1バンク及び第2バンクを有するダブルバッファ構成を有する。各シリアルデータ送信部26は、各送信バッファ27に記憶された再生データを基本周期ごとに読出す。各シリアルデータ送信部26は、後述する制御機能部29からの制御信号を受けると、パラレルデータをシリアルデータ信号に変換し、N本のシリアルデータ信号をそれぞれデータバス3に出力する。
【0036】
更に高速シリアル通信カード15は、パソコン本体4a及びデータ再生装置PC4間で制御用の情報を受け渡しするためのI/Oレジスタ28と、N個のシリアルデータ送信部26を制御する制御機能部29とを備える。パソコン側のアプリケーションは、ユーザ入力された送信回数1000回などの制御パラメータを、デバイスドライバ経由で高速シリアル通信カード15に制御をかけるようになっており、I/Oレジスタ28はステータス(装置情報)と、複数種類の制御パラメータとを記憶する。I/Oレジスタ28の値はデバイスドライバ及び制御機能部29の双方によって読み書きされる。制御機能部29がライトしたステータス値をデバイスドライバがリードすることにより、アプリケーションは送信中か否かを判定する。デバイスドライバがライトした各種の制御パラメータの値を制御機能部29がリードすることにより、制御機能部29は各シリアルデータ送信部26の送信動作と送信停止とを制御する。パソコン側のアプリケーションは、これらのI/Oレジスタ28及びデバイスドライバを介してハードウェアである各シリアルデータ送信部26を制御する。
【0037】
本実施形態では、CPU19が高速シリアル通信カード15に対して送信指令を通知した後、各シリアルデータ送信部26が各シリアルデータ信号を1000回連続する送信を終えると、高速シリアル通信カード15がCPU19に対して送信完了割込みを1回出力する。
【0038】
図3(a)〜図3(c)はデータ再生装置PC4における送信完了割込み肯定応答を出力するタイミングを説明するためのタイミングチャートである。制御機能部29がI/Oレジスタ28のステータスを書替えし、このステータスをデバイスドライバがリードすることにより、送信完了割込み肯定応答が行われる。CPU19が実行するこのデバイスドライバは、CPU19が実行するアプリケーションに対して送信完了通知を出力する。デバイスドライバを介して高速シリアル通信カード15からアプリケーションへ、1000回分の再生データの送信に対して1回の送信完了が通知されるようになっている。
【0039】
I/Oレジスタ28が記憶するステータスは、高速シリアル通信カード15からDSPカード2へ至る転送区間で再生データが送信中かどうかを表す情報である。I/Oレジスタ28が記憶する制御パラメータは、1000回という送信回数、各送信バッファ27に書込まれた再生データの先頭アドレス、再生データのデータサイズ、Nチャネル分のうちの送信動作を有効とするチャネル数、例えば通信レートなどの通信条件、及び基本周期を変更するための送信周期情報等である。制御機能部29は送信管理用のダウンカウンタを有する。
【0040】
制御パラメータについて具体的に述べると、送信回数は、CPU19が実行するデバイスドライバによって書込まれる。送信回数がI/Oレジスタ28にセットされると制御機能部29がこの送信回数の値をダウンカウンタのカウンタ値にセットする。制御機能部29は基本周期ごとの再生データが送信される度にダウンカウンタをデクリメントする。制御機能部29はカウンタ値が0になると、バスインターフェース24に通知する。バスインターフェース24はCPU19に対して1回だけ割込み信号を出力する。アドレスは制御機能部29によって更新される。制御機能部29はこのアドレスを各シリアルデータ送信部26に渡す。各シリアルデータ送信部26はアドレスからシリアルデータ信号を出力する。
【0041】
ステータス値0は送信が行われていない初期状態を示す。CPU19がI/Oレジスタ28に1を書込むと、制御機能部29はI/Oレジスタ28に付随する回路から呼び出される。制御機能部29は各シリアルデータ送信部26に送信を指令する。シリアルデータ送信部26は各送信バッファ27からのデータを送信し始める。
【0042】
制御機能部29が1000回の再生データの転送を終えると、制御機能部29はステータス値を0から1に書替える。デバイスドライバはステータス値を読込む。ステータス値が1であることによってデバイスドライバは割込みを検出する。即ち、デバイスドライバは割込みをアプリケーションの代理で受ける機能を有する。割込みをデバイスドライバが検出しない間、デバイスドライバは無限ループの中におり、割込みを検出すると、制御機能部29に対する肯定応答を行ってアプリケーションに割込み検出を示す値を返す。
【0043】
つまりデバイスドライバはアプリケーションと、各シリアルデータ送信部26との間を仲立ちしている。デバイスドライバにより、アプリケーションは、ハードウェアである各シリアルデータ送信部26に対して送信開始を命令する。CPU19が仮にハードディスクドライブ16から記録データを各シリアルデータ送信部26にメモリコピーすると時間がかり、50μ秒という短時間で処理を行うことがそもそもできないからである。デバイスドライバを介在させることによりメモリコピーをDMAコントローラ25が実行しているときでも、CPU19が他に発生した仕事を実行することが可能になっている。CPU19が他に発生した仕事を実行している間に、CPU19は1000回の送信が終了したことを示す割込みを拾えるようにしている。
【0044】
制御機能部29による制御は、各シリアルデータ送信部26に対してデータをDSPカード2へ送るよう指令すること、各送信バッファ27の記憶領域を読込むよう指令すること、及びCPU19からの指令を受けてDMAコントローラ25を起動することである。CPU19がI/Oレジスタ28に、必要な制御情報を書込むと、このI/Oレジスタ28に付随する回路は制御機能部29へ書込みがあったことを通知する。
【0045】
(作用)
このような構成のデータ再生装置PC4がDSPカード2に対して、シリアルのデジタルデータを送信するときのこのデータ再生装置PC4の動作について詳述する。
【0046】
(1)全体処理タイミング
図4はDSPカード2内の各部及びデータ再生装置PC4内の各部における処理のタイミングを示すタイミングチャートである。図4(a)〜図4(d)には、DSPカード2がデータ再生装置PC4から各シリアルデータ信号を受信してから、DSPカード2の各DSP8が信号処理演算を開始するまでのDSPカード2側のタイミングが示されている。図4(e)〜図4(i)にはデータ再生装置PC4における3種類の処理タイミングが重畳的に示されている。3種類の処理タイミングとは、送信完了割込み肯定応答のタイミングと、再生データが外部記憶装置23から各送信バッファ27に転送されるタイミングと、記録データがハードディスクドライブ16から読出されて外部記憶装置23に書込まれるタイミングとを指す。
【0047】
図4(c)、図4(d)に示すように、DSPカード2は、チャネル1〜Nの各シリアルデータ信号を受信すると、図4(a)、図4(b)に示すように、K個のDSP8が基本周期(1)を経過した後、各チャネルのシリアル受信データに対して信号処理演算を行う。
【0048】
図4(i)に示す時間内に、高速シリアル通信カード15はハードディスクドライブ16の記録データを読出し、フォーマット変換して記録データにヘッダ情報を付与し、フォーマット変換した再生データを、外部記憶装置23に書込む。高速シリアル通信カード15は、再生データに各送信バッファ27の何番地から送信するか等を示す送信条件の値を付与する。
【0049】
この図4(i)の時間内で生成された再生データを、図4(h)に示す時間内に、各送信バッファ27のダブルバッファの一方のバンクへ高速シリアル通信カード15が転送する。図4(h)の例では、前後2つの再生データD1、D2が示されている。再生データD2は図4(i)で生成され一方のバンクへ転送されたばかりのNチャネル分のデータである。この再生データD2よりも先にNチャネル分の再生データD1が他方のバンクに溜められている。この再生データD1は、図4(g)の時点t1にて送信完了割込肯定応答が入ると、再生データD1を高速シリアル通信カード15は、図4(e)、図4(f)の時点t2にて読出してDSPカード2へシリアル送信を開始する。チャネル2〜N−1の各チャネルのシリアルデータ信号の送信も、図4のチャネル1、Nの例と同じである。
【0050】
チャネル1〜Nの各シリアルデータ送信部26は、CPU19が指定した送信周期、データサイズ、送信回数に基づき、データ送信を実行する。DSPカード2は、図1の(3)、(4)に示すとおりに受信後、次回基本周期にて信号処理を行う。
【0051】
また、DSPカード2における各処理と、データ再生装置PC4におけるシリアルデータ送信部26の処理と、送信割込み肯定応答をデバイスドライバが検知する処理とは、全て基本周期に同期して行われている。データ再生装置PC4の再生データ転送処理、及びハードディスクドライブ16のデータ再生/フォーマット変換処理は、この基本周期とは非同期である。
【0052】
以降、データ再生装置PC4の詳細について、(2)、(3)、(4)、(5)にて説明を行う。
【0053】
(2)高速シリアル通信カード15の動作
図2において、実線はデータの流れを示し、点線は制御の流れを示す。幅広矢印は装置間のインターフェースを示す。図1の(1)、(2)に示すとおり、高速シリアル通信カード15は、ハードディスクドライブ16から読出したデータを受信側の要求に合わせてフォーマット変換した後、チャネル毎に独立して設けられた送信バッファ27に一時保存する。
【0054】
チャネル番号1用の送信バッファ27について述べると、シリアルデータ送信部26が一方のバンクに記憶されているチャネル番号1用のシリアルデータ信号をデータバス3に出力している最中、DMAコントローラ25は他方のバンクに外部記憶装置3より次回送出するデータを書込む。シリアルデータ送信部26は、チャネル番号1用のシリアルデータ信号(設定バイト数のデータサイズを持つシリアルデータ信号)を一基本周期内で1回送信し、これを1000回繰返す。シリアルデータ送信部26が一方のバンクからのデータ送信を1000回繰返している間、DMAコントローラ25は次回送出するデータを他方のバンクに溜める。シリアルデータ送信部26による1000回のデータ送信が完了するまでに、次回送出用のシリアルデータ信号が他方のバンクに揃えられる。
【0055】
シリアルデータ送信部26が一方のバンクからのシリアルデータ信号の送信が完了すると、間髪入れずに、シリアルデータ送信部26は他方のバンクからのシリアルデータ信号の送信を開始する。引き続き、シリアルデータ送信部26が他方のバンクからのデータ送信を1000回繰返している間、DMAコントローラ25は次回送出するデータを一方のバンクに溜めていき、他方のバンクからの1000回のデータ送信が完了するまでに、DMAコントローラ25は次回送出用のシリアルデータ信号を一方のバンクに揃える。ダブルバッファ構成により、現在実行中の1000回分の送信単位の完了と、次に実行される1000回分の送信単位の開始との間のタイムラグがなくなり、リアルタイムにデータ転送可能になる。チャネル番号2〜N用の送信バッファ27もそれぞれ2つのバンクを有する。各2つのバンクはチャネル番号1用の送信バッファ27の例と同様に切替えられる。
【0056】
このように、CPU19が、送信周期、データサイズ、送信回数を指定した後、高速シリアル通信カード15が送信処理を開始し、高速シリアル通信カード15は、送信制御パラメータに従い、送信を全て行った後、送信完了割込みを1回出力する。高速シリアル通信カード15は、PCIexpressなどを介してホストCPU19の一構成品として機能する。
【0057】
(3)送信完了割込み処理
CPU19が実行するデバイスドライバによる処理と、アプリケーションによる処理とについて図5から図8を参照して詳述する。図5はデバイスドライバによる送信完了割込み処理を説明するためのフローチャートである。図6は外部記憶装置23のメモリマップの一例を示す図であり、CPU19側のメモリ構成が示されている。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。
【0058】
図6に示すように、外部記憶装置23へデータが転送される処理よりも上流の処理はデバイスドライバと、再生プログラムであるアプリケーションにより行われている。外部記憶装置23からデータが送信される処理よりも下流の処理はハードウェアにより行われている。
【0059】
図5において、データ再生システム1は電源を投入された後、ステップA1において、CPU19は、OS起動時にデバイスドライバプログラムをハードディスクドライブ16からRAMにロードし、これをデバイスドライバとして組込み、実行する。送信フラグ(フラグ情報)は0にされる。ステップA2、A3において、デバイスドライバは送信完了割込みが発生するまで待機する(ステップA3のNOルート)。送信完了割込みが発生すると、ステップA3のYESルートを通り、ステップA4において、デバイスドライバは、送信完了割込みの肯定応答を行う。ステップA5、A6において、デバイスドライバは送信フラグを1にセットして処理を終える。
【0060】
(4)データ再生処理は、CPU19は、データ再生に先立ち、高速シリアル通信カード15のチャネル1〜Nの各シリアルデータ送信部26に対し、初期設定、及び通信設定処理を行う。
【0061】
CPU19がOS起動時にデバイスドライバを組込みした後、このCPU19によるデータ再生処理は図1の(1)、(2)、及び図4に示すとおり、ハードディスクドライブ16から送信データファイルを読み出し、通信ヘッダの作成など受信側の高速シリアル通信カード14に合わせたフォーマット変換を行う。記録データのフォーマットから再生データのフォーマットにアプリケーションは変換する。
【0062】
フォーマット変換後、高速シリアル通信カード15内の各送信バッファ27へ転送する。データ再生処理は、高速シリアル通信カード15へCPU19が送信開始アドレス、送信周期、データサイズ、送信回数を指定した後、送信処理を開始することにより行われる。高速シリアル通信カード15の全チャネルのうち、送信を有効とされたチャネル数分のチャネルから送信完了割込みが発生するまでCPU19は待つ。
【0063】
次に、送信完了割込み処理は、CPU19が送信完了割込みを受けた後、高速シリアル通信カード15が出力した割込みを1回でCPU19はクリアする。また、デバイスドライバとデータ再生処理との間で共有されるフラグ情報をCPU19は更新する。
【0064】
(5)データ再生処理
CPU19によるデータ再生手順及び送信完了割込み処理の手順を図7、図8を参照して述べる。図7はCPU19によるデータ再生処理を説明するための第1のフローチャートである。図8は図7に続く第2のフローチャートである。
【0065】
再生処理が開始されると、ステップB1において、CPU19は、データ再生用のアプリケーションを、ハードディスクドライブ16からロードしてこのアプリケーションを実行する。
【0066】
ステップB2において、CPU19は送信フラグを0に設定する。
【0067】
ステップB3において、CPU19は有効チャネルと、通信条件とをI/Oレジスタ28に設定する。この設定により、1チャネル分、数チャネル分あるいは全チャネル分のデータ再生処理を高速シリアル通信カード15が行うようこの高速シリアル通信カード15はイネーブルにされる。データ再生装置PC4からDSPカード2までのシリアル通信コネクションが確立して通信が始められる。
【0068】
引き続き、ステップB4において、CPU19は送信繰返し回数を設定する。ステップB5においてCPU19は送信フラグを0にする。
【0069】
続く図8のステップB6において、CPU19は、送信開始アドレス、送信周期、データサイズ、及び送信回数を、I/Oレジスタ28に設定する。この設定では、CPU19が外部記憶装置23において内部変数として予め送信開始アドレス等を作成しておき、この送信開始アドレス等をI/Oレジスタ28に書込む。
【0070】
ステップB7において、送信開始をCPU19は高速シリアル通信カード15へ通知し、高速シリアル通信カード15は送信を始める。
【0071】
ステップB8において、CPU19は、ハードディスクドライブ16から次回送信するための記録データを読出し、外部記憶装置23上でこの記録データのフォーマットを再生データのフォーマットに変換する。
【0072】
ステップB9において、CPU19は、外部記憶装置23から再生データを読出し、この再生データを次回の送信データとして、いずれかの送信バッファ27のダブルバッファのうち、次回送信用のバッファへDMA転送する。
【0073】
ステップB10において、CPU19は送信フラグが1であるかどうかを判定し、送信フラグが1でない間はNOルートを通り、待機する。送信フラグが1であることをCPU19が検出するとYESルートを通る。
【0074】
ステップB11において、CPU19は繰返し変数iをインクリメントする。再度、ステップB4に戻り、CPU19はステップB4〜ステップB11までの処理のループを実行する。繰返し変数iが指定回数に達すると、そのときの処理ループでのステップB11を抜けて、ステップB12において、CPU19はこのCPU19と高速シリアル通信カード15との間の通信を終える処理を行う。CPU19は、高速シリアル通信カード15の状態をディスイネーブル状態にする等の通信終了処理を行う。高速シリアル通信カード15ではシリアルデータ信号の送信が終わる。
【0075】
ハードディスクドライブ16から記録データをリードして外部記憶装置23にライトすること、外部記憶装置23上でフォーマット変換を行うこと、フォーマット変換された再生データを高速シリアル通信カード15の送信バッファ27にライトするといった各処理はパソコンOSによって制御される。これらのリード、ライト、変換等の各処理の速度はOSの処理負荷に応じて50m秒よりも速くなることや50m秒よりも遅くなることがある。つまり制御がパソコンOSに渡されている間の処理速度には揺らぎがある。本実施形態では、あらかじめ処理速度を評価したパソコン本体4aを選定して使うことにより、選定したパソコン本体4aのOSが支配中の処理の処理速度がたとえ揺らいだとしても、記録データのリード、ライト、変換等の各処理に要する時間が50m秒以内に収まるようにしている。これらのパソコンOS支配下の各処理は、送信バッファ27からシリアルデータ信号を高速シリアル通信カード15が送信している最中に実行されるため、リード等の処理の時間変動はシリアルデータ信号の送信のタイミングには影響を与えない。
【0076】
N個の送信バッファ27のバッファサイズと、外部記憶装置23のバッファサイズとは、これらの送信バッファ27や外部記憶装置23からデータを読出して送信や転送することが50m秒の範囲内であるようにして決められる。CPU19がスタートをかけてから送信完了割込み応答が出るまでの時間内に、処理速度の揺らぎの最大値が収まるようにして、大量のシリアルデータ信号を一定周期内に一定間隔で転送する処理を成立させている。このように、データ再生装置PC4の再生データ転送、及びハードディスクドライブ16の再生/フォーマット変換処理は、高速シリアル通信カード15内の送信バッファ及び外部記憶装置23に設けられたバッファの許容範囲を満たすことを条件に、DSPカード2側及びシリアルデータ送信部26の基本周期とは非同期の処理である。
【0077】
レーダ装置ではレーダアンテナが方位方向で360度回転する。レーダアンテナは6〜12秒で1周する。6〜12秒を50μ秒で除して得られるデータの個数は膨大である。デバッグでは、データ再生装置PC4は膨大な量のシリアルデータ信号をDSPカード2へ送る。DSPカード2が同じデータを使い回すことは処理の検証にはならない。周回毎に異なる複数周分の記録データをハードディスクドライブ16は保持している。ハードディスクドライブ16から記録データを毎回読出せる環境が必要である。本実施形態に係るデータ再生装置PC4は、このハードディスクドライブ16からのデータ読出しを、汎用OSの力を借りつつ、所望する50ms内にリード、ライト及び変換等の一連の処理を行うことができるようになった。
【0078】
一実施形態に係るデータ再生装置およびデータ再生方法によれば、シリアル通信を利用したデータ再生装置に対して、低コストと高速/低ゆらぎのデータ再生機能を実現できるようになる。また、汎用PCと汎用OSの組み合わせによりデータを再生することから、コスト低減が可能である。安価な汎用パソコンを用いて、高い転送レート且つ一定間隔で記録データを転送でき、本器であるDSPカード2の処理のタイミングと同じタイミングで記録データをこのDSPカード2へ供給することができるようになる。データ再生用ソフトウェアの組込み、及びハードウェア(高速シリアル通信カード)と、外部記憶装置23より読み出した記録データを用いて、一定の送信時間間隔で繰返し送信する機能を、安価に構築することができるようになる。
【0079】
レーダ装置を構成する各機材が基本周期ごとに動作しているかどうかを確認するためには、電波を放射しなければならない。試験電波を放射した実環境を再現することは、法令上、手続き上、困難である。そこで、遠隔地でレーダ装置が実測した記録データを使えば、所望する収集条件を満たす実環境下における状況を作り出すことができ、デバッグを行うことができる。信号処理演算の高速なデータ転送を再現することができ、デバッグによる動作確認を正しく行えるようになる。実環境において生じる電波反射物により電波が反射された状況下で本物の実測データを用いたレーダ装置のデバッグが可能になる。
【0080】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0081】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…データ再生システム、2…DSPカード(信号処理装置)、3…データバス(伝送路)、4…データ再生装置PC(データ再生装置)、4a…パソコン本体、5…フラッシュROM、6…内部メモリ、7…DMAコントローラ、8…DSP、9,11,13…データバス、10…バスプロトコル変換機能部、12…外部記憶装置、14…高速シリアル通信装置(シリアル送信カード)、15…高速シリアル通信カード(シリアル送信カード)、16…ハードディスクドライブ(不揮発性記憶部)、17,21a,21b…データバス(内部バス)、18…ハードディスクドライブ制御カード、19…CPU、20…データバス(入出力バス)、22…バスプロトコル変換機能部、23…外部記憶装置(揮発性記憶部)、24…バスインターフェース、25…DMAコントローラ、26…シリアルデータ送信部、27…送信バッファ、28…I/Oレジスタ、29…制御機能部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ信号に対する処理をこの処理の基本周期ごとに複数回繰返して実行する信号処理装置の動作を検証するための記録データを保持する不揮発性記憶部と、
この不揮発性記憶部に内部バスを介してアクセスし前記基本周期よりも長い時間を応答処理可能な時間とするCPU、このCPUが前記記録データを再生して形式変換した再生データを記憶する揮発性記憶部、およびこれらのCPU及び揮発性記憶部とバスプロトコル変換部を介して接続された入出力バスを有するパソコン本体と、
それぞれこのパソコン本体の前記入出力バスを介して前記揮発性記憶部より転送される前記再生データから複数のシリアルデータ信号を生成し各シリアルデータ信号を前記基本周期ごとに伝送路を介して前記信号処理装置へ送信するシリアル送信カードと、を備え、
このシリアル送信カードは、前記基本周期に予め設定された送信回数を乗じて得られる前記CPUの応答処理可能な時間よりも長い期間内に前記各シリアルデータ信号を生成し、この期間の経過後、前記時間よりも長い次の期間内に前記各シリアルデータ信号を前記処理周期ごとに一定間隔でシリアル送信することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
前記シリアル送信カードは、
それぞれ複数のチャネル毎に前記再生データを記憶する複数のバッファと、
これらのバッファに前記再生データを、前記揮発性記憶部から前記入出力バスを介してDMA転送するDMAコントローラと、
このDMAコントローラによってデータをDMA転送された前記各バッファから前記各シリアルデータ信号を互いに前記基本周期に同期させて前記信号処理装置へ送信する複数のシリアルデータ送信部と、
これらのシリアルデータ送信部が各シリアルデータ信号を送信したときに出力する送信完了割込みの回数を計測するカウンタと、
このカウンタの計測値が前記送信回数に達すると、前記送信完了割込みを前記CPUに対して送信する制御機能部と、を備えたことを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項3】
データ信号に対する処理をこの処理の基本周期ごとに複数回繰返して実行する信号処理装置に伝送路を介して接続されたシリアル送信カードを装着し、この信号処理装置の動作検証用の記録データを保持する不揮発性記憶部に接続されたパソコン本体のCPUが、このシリアル送信カードに対して送信開始を指令し、
前記基本周期に予め設定された送信回数を乗じて得られる前記CPUの応答処理可能な時間よりも長い第1の期間内に、前記シリアル送信カードは複数のシリアルデータ信号を前記処理周期ごとに一定間隔でシリアル送信するとともに、前記不揮発性記憶部に前記CPUが再生出力した再生データから別の複数のシリアルデータ信号を生成し、
前記第1の期間の経過後、前記CPUの応答処理可能な時間よりも長い第2の期間内に、前記シリアル送信カードは前記別の複数のシリアルデータ信号を前記処理周期ごとに一定間隔でシリアル送信することを特徴とするデータ再生方法。
【請求項4】
前記第1の期間の経過後、前記シリアル送信カードは、前記各シリアルデータ信号の送信回数を計測し、
計測値が前記送信回数に達すると、前記シリアル送信カードは、前記送信回数分の前記送信完了割込みを前記CPUに対して送信することを特徴とする請求項3記載のデータ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257840(P2011−257840A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129952(P2010−129952)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】