説明

データ処理システム用の周辺装置

【課題】 データ処理システム(300)で使用するための周辺装置(320)を提供することにある。
【解決手段】 この周辺装置は、対向する複数の表面上に機械的キーボード(330)とタッチスクリーン(335)を担持するパネル(320)を含む。パネルは、キーボードまたはタッチスクリーンのいずれかを使用可能にするように裏返すことができる。このようにして、キーボードは、通常のコンピューティング作業を実行するアプリケーションで作業するときに使用することができ、加えて、タッチスクリーンは、種々のアプリケーションの要求を満たすように構成可能な代替入出力ユニットとして使用することができる。たとえば、タッチスクリーンは、ゲームをするときはカラー・コンソール、インターネット上でサーフィンするときはナビゲーション・ツールバー、音楽を演奏するときはピアノの鍵盤などを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ分野に関し、より具体的にはデータ処理システム用の周辺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周辺装置は、パーソナル・コンピュータ(PC)などのデータ処理システムと対話するために使用するハードウェア・ユニットであり、特に、入力装置はユーザがコンピュータにデータおよび/またはコマンドを入力できるようにし、出力装置はユーザに情報を提供する。
【0003】
キーボードは最も一般的な入力装置の1つである。キーボードは1組の機械的ボタン(キー)からなり、そのボタンはコンピュータに情報を入力するためにユーザによって押される。これらのキーはタイプライタ型キーボードに似るように配置され、コンピュータ・コマンド用のいくつかの余分なキーと数字キーパッドが付いている。
【0004】
当技術分野で既知のキーボードの欠点は、コンピュータ上で実行されているいくつかのアプリケーションの入力要求を満たすには効果的ではない場合が非常に多いことである。実際は、キーの機能および位置はソフトウェアによって構成することができるが、キーの形状およびサイズはキーボードのハードウェア・レイアウトによって強要され、決して変更することができない。
【0005】
この問題を解決するため、この数年の間、特定のアプリケーション向けの代替入力装置が提案されてきた。たとえば、ジョイスティック付きのコンソールは一般にコンピュータ・ゲームに使用され、その上、タッチスクリーンによりユーザは、いくつかのタイプのコンピュータ関連サービス(現金自動預け払い機即ちATMにおけるようなもの)を提供するキオスク内の同じ装置で情報を入力し表示することができる。
【0006】
しかし、それぞれの代替入力装置は一般に特定のアプリケーション向けに設計されている。これにより、多種多様な入力装置の急増が発生し、その上、コンピュータへの各入力装置の接続は極めて複雑になり、時間と空間の浪費を伴う。具体的にタッチスクリーンに関する限り、コンピュータ初心者に無理のないインターフェースを提供するように構成することができるが、いくつかのアプリケーションには不満足なものである。実際は、大抵のユーザは長時間の使用後にタッチスクリーンで腕が疲れることに気付いており、いずれにしても、通常のコンピューティング作業を実行するアプリケーションで作業する場合、標準キーボードの方がはるかに好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、標準キーボードまたは代替入力装置のいずれかとして使用できる周辺装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、種々の入力装置の急増を回避することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、単純に特定のアプリケーション向けに構成できる周辺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記その他の関連目的の遂行は、キーが押されたときにデータ処理システムに情報を入力するための複数のキーを有する機械的キーボードを含むデータ処理システム用の周辺装置によって達成され、その周辺装置は、追加キーが選択されたときにデータ処理システムに情報を入力するための複数の追加キーのビジュアル表示を提供するよう構成可能なユニットをさらに含む。
【0011】
また、本発明は、この周辺装置を含むデータ処理システムと、それに対応してデータ処理システムを操作する方法も提供する。
【0012】
本発明に特有と思われる新規の特徴は特許請求の範囲に示されている。しかし、本発明自体ならびにその上記その他の関連目的および利点は、添付図面に関連して読むべき以下の詳細な説明を参照することにより最も良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
特に図1を参照すると、パーソナル・コンピュータ100が示されている。コンピュータ100は、デスク103の上に快適に収まるように設計されたデスクトップ(概してオフィスまたは家庭で使用される)からなる。デスクトップ100は、その動作を制御する電子回路を収容する中央ユニット105によって形成される。モニター115およびマウス120は、従来通り、中央ユニット105に接続されている。
【0014】
周辺装置125は、中央ユニット105のポート(同図には図示せず)にさらに差し込まれている。周辺装置125は機械的キーボード130を含む。キーボード130は1組の機械的ボタン(キー)135からなり、そのボタンはデスクトップ100に情報を入力するためにユーザによって押され、概して、キー135は、英数字キー(英字および数字)、句読点キー(コンマ、ピリオド、セミコロンなど)、特殊キー(ファンクション・キー、コントロール・キー、矢印キー、キャップス・ロックキーなど)として分類される。
【0015】
図2に示すように周辺装置125を裏返すと、ユーザにタッチスクリーン140が提供される。タッチスクリーン140は、人間の接触に感応する表示画面(たとえば、抵抗方式、表面波、または静電容量技術で実現される)からなる。タッチスクリーン140は1組のオブジェクト145(幾何学的図形など)を表示し、それぞれが仮想キーを表す。ユーザが自分の指でキー145に触れると、対応する情報がデスクトップ100に入力され、任意選択で、選択したキーが明滅するかまたは短い合成ビープ音が出力されるかあるいはその両方が発生する。
【0016】
以下に詳述する通り、タッチスクリーンはデスクトップ100の現行入力要求に応じて動的に構成される。たとえば、タッチスクリーンは、ゲームをするときは閃光(fire)や方向キーを含むカラー・コンソール、インターネット上でサーフィンするときはブラウザのツールバー、音楽を演奏するときはピアノの鍵盤、子供または障害を持つ人が使用するときは簡易キーボード(拡大キーの縮小セット付き)などを表示し、その上、(たとえば、対話の過程で)その選択をプロンプトで指示するようにキーを明滅させる。また、タッチスクリーン140は、選択可能コマンドを含むポップアップ・メニューまたは2次操作画面(スプレッドシートが開いているときの計算器など)を表示するために使用することもできる。
【0017】
タッチスクリーン140の一部分は、出力情報を表示するためまたはユーザが入力した情報を複製するためあるいはその両方のためのウィンドウ150を定義し、好ましくは、追加の出力情報は背景に(キー145およびウィンドウ150の下に)表示される。たとえば、Eメール・アプリケーションを始動するとカレンダが開き、ウェブ・サイトにアクセスすると広告バナーが表示される。
【0018】
デスクトップが異なる構造を有するかまたは他のユニットを含む場合、デスクトップが同等のデータ処理システム(ワークステーションなど)に置き換えられた場合、キーボードが異なるレイアウトを有するかまたは異なるタイプのもの(たとえば、キーが透明のプラスチック・シェルで覆われている薄膜キーボードである場合、出力情報が2つまたはそれ以上のウィンドウに表示される場合、いかなる情報も背景に出力されない場合などは、同様の考慮事項が適用される。
【0019】
次に図3を考慮すると、周辺装置125は薄いボックス205(たとえば、プラスチック材料で作られている)によって形成された本体を有する。ボックス205は、2つの対向する主表面210および215を有し、表面210はキーボード(そのキー135を含む)を担持し、表面215はタッチスクリーンを担持する。同図に示す位置(図1に対応する)では、表面215はデスク103の上に乗っており、その結果として、キーボードがユーザにとってアクセス可能であるように、表面210が上向きになっている。2つのウィング225aおよび225bは表面210の横方向エッジに沿って蝶番式に取り付けられており、ウィング225a、225bはボックス205の対応する側壁上に折り畳まれている。
【0020】
図4に移ると、周辺装置125は(図2に示す位置に)反転され、タッチスクリーンがユーザにとってアクセス可能であるように、表面215が上向きになっている。このケースでは、ウィング225a、225bは、(表面210に対して垂直に)下方に突出するまで広げられている。ウィング225a、225bはキー135より高く、その結果として、キー135はその圧力を防止するようにデスク103から間隔を開けて配置される。
【0021】
周辺装置が異なる構造を有する場合、周辺装置が他の支持表面の上に乗っている場合、ウィングが1組の折り畳み式ピン(またはその他の同等の間隔手段)に置き換えられた場合などは、同様の考慮事項が適用される。
【0022】
図5に示す通り、本発明の代替実施形態では、提案された解決策がノートブック300に埋め込まれており、ノートブック300は、極めて軽量で、ブリーフケース内に容易に収まるほどに小さいポータブル・コンピュータからなる。ノートブック300は、その中央ユニットを収容するケース305によって形成され、ディスプレイはパネル310に統合され、そのパネルは(ノートブック300のユーザに面する前部エッジに対向する)その後部エッジでケース305に蝶番式に取り付けられている。
【0023】
ケース305は、上記のものと同様の周辺装置320用のハウジング315(ケース305に折り畳まれたときに表示パネル310によって閉じられる)を含む。周辺装置320は、2つの対向する主表面を有するパネル325によって形成され、その主表面はそれぞれ機械的キーボード330とタッチスクリーン335を担持する。2つのペグ340は、パネル325の内部エッジ付近で横方向に延びている。ペグ340は、ハウジング315の内部側壁上に配置された2つのガイド345(表示パネル310に対して横方向に延びている)に沿ってスライドし、同時に、ペグ340により、パネル325はケース305の周りで旋回することができる。
【0024】
1対の留め具(catch)350fと1対の留め具350rがケース305上に設けられ、留め具350fはガイド345の前端付近に配置され、留め具350rはガイド345の後端付近に配置されている。1対の凹部355kがキーボード330のそばのパネル325内(その外部エッジ付近)に形成され、1対の凹部355tは同様にタッチスクリーン335のそばのパネル325内(その外部エッジ付近)に形成される。以下に詳述する通り、(周辺装置320の位置に応じて)留め具350fが凹部355tと係合するかまたは留め具350rが凹部355kと係合する。同時に、留め具350rがタッチスクリーン335のそばのパネル325内(その内部エッジ付近)に形成された結合溝360tに受け入れられるか、または留め具350fがキーボード330のそばのパネル325内(その内部エッジ付近)に形成された結合溝360kに受け入れられる。
【0025】
同図に示す通り、パネル325の内部エッジはガイド345の後端(ストローク端部として作用する)に向かって押される。次にパネル325はケース305に折り畳まれる。その結果として、パネル325は、(ユーザにとってアクセス可能であるように)キーボード330が上向きになっている状態で所定の位置にラッチされる。
【0026】
次に図6に移ると、ユーザはパネル325をケース305とのラッチ状態から外す、即ちアンラッチする。パネル325は広げられ、その内部エッジはガイド345の前端(他のストローク端部として作用する)に向かって押される。次にパネル325はケース305に折り畳まれ、ユーザにとってアクセス可能であるようにタッチスクリーン335が上向きになっている状態で所定の位置にラッチされる。
【0027】
ノートブックが異なる構造を有するかまたは他のデータ処理システム(パームトップなど)に置き換えられた場合、ガイドが表示パネルに平行に配置されている場合、ペグおよびガイドがパネルをスライドさせ旋回させるためのホイール・メカニズムまたはその他の同等の手段で置き換えられた場合などは、同様の考慮事項が適用される。
【0028】
留め具350f、350rの構造は図7および図8により詳細に示されている(図7は表示パネルに平行で留め具350fを貫通する平面に沿った断面図を含み、図8は表示パネルに平行で留め具350rを貫通する平面に沿った平面図および断面図を含む)。各留め具350f、350rは、外部の頭部まで延びる柄によって形成されたプッシュ・ボタン405f、405rを有し、柄は頭部を受け入れるための平らなシートとともに係合スロー・ホール(mating throw hole)内で水平にスライドする。柄の自由端は、ケース305から上方に突出するフック410f、410rを画成するために上に向けられている。フック410f、410rは、外向きリードイン面と下部ストップ面とを有する歯413f、413rで終わっている。フック410f、410rは対応するハウジング内で横方向にスライドし、引き出し位置までプッシュ・ボタン405f、405rにバイアスをかけるように、スプリング415f、415rがフック410f、410rに作用する。フック410f、410r付近にはコンプレイント・ペグ(complaint peg)420f、420rがさらに設けられ、ペグ420f、420rはケース305から上方に突出し、内向きリードイン面(ガイドの対応する端部に向かって移動するときにパネル325の内部エッジに対向する)で終わっている。
【0029】
各凹部355k、355t(図7を参照)は歯413f、413rと係合する口を有し、その口はパネル325がケース305に折り畳まれたときにフック410f、410rのハウジングと位置合せされる。凹部355k、355tはより大きい内部領域を有し、その領域は歯413f、413rのストップ面用の接合部として作用するアンダーカットを画成するように外向きに延びている。
【0030】
各溝360k、360t(図8を参照)は平面図で台形の領域を有する。特に、溝360k、360tの内部端は(パネル325がケース305に折り畳まれたときに)フック410f、410rのハウジングと位置合せされる。溝360k、360tは、プッシュ・ボタン405f、405rが引き出し位置にあるときにその口(パネル325の内部エッジにある)が歯413f、413rを取り巻くように、パネル325の対応する隅に向かって広くなり、傾斜した横表面が溝360k、360tの小さい方の端部を大きい方の端部に接合する。
【0031】
パネル325が(キーボードが上向きになっている状態で)ケース305に折り畳まれると、歯413rは溝360tに受け入れられる(図8に示す通り)。歯413rのリードイン面に対する溝360tの傾斜表面の干渉により、フック410rが内側に押され、スプリング415rが弾力的にたわむ。歯413rが凹部360tの小さい方の端部に到達すると、プッシュ・ボタン405rは完全に引っ込んだ位置になる。その上、パネル325は、その下降を引き起こすようにペグ420fのリードイン面に作用する。
【0032】
同時に、歯413fのリードイン面に対するパネル325の干渉により、フック410fが内側に押される(図7に示す通り)。パネル325がケース305に押し付けられると、歯413fは凹部355tに受け入れられる。歯413fが凹部355tの口から抜け出ると、ただちに凹部355tの大きい方の部分が歯413fをクリアし、(プッシュ・ボタン405fのヘッドが完全に引き出されるまで)スプリング415fによりフック410fが外側に押される。その結果として、歯413fのストップ面が凹部355tのアンダーカットに隣接し、それにより、パネル325とケース305をまとめてラッチする。その上、パネル325は、その下降を引き起こすようにペグ420fのリードイン面に作用する。
【0033】
ユーザが周辺装置を反転する必要がある場合、ユーザはプッシュ・ボタン405fを押す。その結果として、各歯413fのストップ面は、ケース305からパネル325をアンラッチするように、凹部355tのアンダーカットを乗り越える。ペグ420fはパネル325を持ち上げ、ユーザがその外部エッジをつかめるようにする。パネル325が(タッチスクリーンが上向きになっている状態で)ケース305に折り畳まれるまで、反対側についても上記と同じ操作が繰り返される。
【0034】
留め具が異なる構造を有する(たとえば、プッシュ・ボタンの代わりにスライド・コマンド(sliding command)が付いている)場合、フックが他のロック・エレメントで置き換えられた場合、またより一般的にはパネルとケースをまとめてラッチするために同等の手段が使用される場合、パネルを引くために1対のハンドルが設けられる(コンプレイント・ペグの必要性を解消する)場合、(対応するフックが機能しないときに)プッシュ・ボタンとケースを同じ高さに保持するために異なるメカニズムが構想された場合、あるいは現在パネルとケースをまとめてラッチしている留め具を示すために同等の手段が設けられる(たとえば、一連のLEDを使用する)場合は、同様の考慮事項が適用される。
【0035】
次に図9を考慮すると、(デスクトップまたはノートブックのいずれかにおける)上記の周辺装置には、その位置を検出するためのセンサ500が設けられている。センサ500は、比較的高い粘度を有する(しかし、導電性ではない)液体で充填されたバルブ505によって形成される。金属ボール510は重力の力を受けてバルブ505内で下方にスライドする。
【0036】
1対の金属端子515kおよび520kは(周辺装置のキーボードが上向きになっているときに下部位置で)バルブ505のベースを横切り、1対の追加金属端子515tおよび520tは(上部位置で)バルブ505の対向するベースを横切る。端子515kおよび515tは基準端子(またはアース)に接続されている。端子520kは抵抗器Rkの第1の端子に接続され、端子520tは抵抗器Rtの第1の端子に接続されている。抵抗器RkとRtはどちらも、直流電圧電源+Vcc(たとえば、5V)の正端子に接続された第2の端子を有し、その負端子はアース端子に接続されている。
【0037】
端子520kおよび端子520tはそれぞれ比較器525の反転入力(−)および非反転入力(+)にさらに接続されている。比較器525は信号KBを出力する。信号KBは非反転入力の電圧が反転入力の電圧より高いときに(電圧+Vccで)アサートされ、信号KBはそうではない場合に(電圧0Vで)アサート解除される。比較器525は、偽の信号(たとえば、周辺装置の振動による)を濾過するように、ヒステリシス特性を有する。信号KBは反転器530に供給され、その反転器は信号TS=KBを出力する。
【0038】
同図に示す位置では(キーボードが上向きになっている)、ボール510は端子515kおよび520kを短絡させる。比較器525の非反転入力の電圧は+Vccに保持され、その反転入力の電圧はアースに導かれ、その結果として、信号KBはアサートされる(信号TSはアサート解除される)。逆に、(タッチスクリーンが上向きになっている状態で)周辺装置が反転された場合、ボール510は端子515tおよび520tを短絡させる。その場合、比較器525の反転入力の電圧は+Vccに保持され、その非反転入力の電圧はアースに導かれ、その結果として、信号KBはアサート解除される(信号TSはアサートされる)。
【0039】
センサが異なる構造を有する(たとえば、半導体チップに統合された微細加工エレメントが付いているかまたは1対の単純なスイッチが付いている)場合、または周辺装置の位置を検出するために同等の手段が設けられる場合は、同様の考慮事項が適用される。
【0040】
次に図10に移動すると、デスクトップ100の概略ブロック図が示されている(同様の考慮事項がノートブックに適用される)。中央ユニット105は、通信バス605に基づくアーキテクチャを有し、その通信バスには中央ユニット105の種々のコンポーネントが並列に接続されている。詳細には、マイクロプロセッサ(μP)610はデスクトップ100の動作を制御し、DRAM615はマイクロプロセッサ605によって作業メモリとして直接使用され、読取り専用メモリ(ROM)620はデスクトップ100のブートストラップ用の基本コードを保管する。中央ユニット105は、磁気ハードディスク622(それぞれのコントローラを埋め込んでいる)と、CD−ROM627を読み取るためのドライバ625と、マウス120用のコントローラ630と、モニター115用のコントローラ635とをさらに含む。
【0041】
周辺装置125は、キーボード130用の内部コントローラ640と、タッチスクリーン140用の内部コントローラ645とを有する。センサ500は、キーボードの内部コントローラ640またはタッチスクリーンの内部コントローラ645を相互排除的に使用可能にし、このため、信号KBはキーボードの内部コントローラ640のイネーブリング・ピンに供給され、信号TSはタッチスクリーンの内部コントローラ645のイネーブリング・ピンに供給される。キーボードの内部コントローラ640は、中央ユニット105内のバス605に接続された対応する外部コントローラ650と直接インターフェースを取り、タッチスクリーンの内部コントローラ645は同様に外部コントローラ655(同じくバス605に接続されている)とのインターフェースを取る。
【0042】
デスクトップ100の動作中に、プログラムおよびデータ(CD−ROM627からハードディスク622上にインストールされているもの)は概して作業メモリ615に(少なくとも部分的に)ロードされる。特に、ドライバ660はキーボード130を制御し、ドライバ665はタッチスクリーン140を制御する。キーボード・ドライバ660およびタッチスクリーン・ドライバ665は1つまたは複数のアプリケーション・プログラム670と通信し、アプリケーション・プログラム670はモニター115用の画面バッファ675とのインターフェースを取る。
【0043】
キーボード130が上向きになっている場合、キーボードの内部コントローラ640は信号KBによって使用可能になる(その間、タッチスクリーンの内部コントローラ645は信号TSによって使用不可になる)。現行アプリケーション・プログラム670がタッチスクリーン140の使用を必要とする場合、アプリケーション・プログラム670は、(モニター115上に表示されるメッセージによって)周辺装置125を反転するようユーザにプロンプトで指示する。タッチスクリーン140が上向きになると、ただちにタッチスクリーンの内部コントローラ645は信号TSによって使用可能になる(その間、キーボードの内部コントローラ640は信号KBによって使用不可になる)。次に、アプリケーション・プログラム670は対応する出力命令によりタッチスクリーン140の構成を制御し、出力命令はタッチスクリーン・ドライバ665に提供され、そのドライバはその命令をタッチスクリーン・コントローラ655、645用の対応するコマンドに変換する。
【0044】
いずれの場合も、ユーザが(キーボード130またはタッチスクリーン140によって)キーを選択すると、使用可能になった内部コントローラ640または645がそれぞれドライバ660または645に対応する走査コードを送信する。ドライバ660、665はその走査コードをアプリケーション・プログラム670用の命令に変換し、そのアプリケーション・プログラムはそれに応じて画面バッファ675を制御する。
【0045】
デスクトップが異なるアーキテクチャを有する場合、キーボードおよびタッチスクリーンのすべてのコントローラが中央ユニットに統合される場合、同等のソフトウェア・モジュールが提供される場合などは、同様の考慮事項が適用される。
【0046】
より一般的には、本発明はデータ処理システム用の周辺装置を提案する。この周辺装置は機械的キーボードを含み、その機械的キーボードはキーが押されたときにデータ処理システムに情報を入力するための複数のキーを有する。本発明の周辺装置は複数の追加キーのビジュアル表示を表示するための構成可能ユニットをさらに含み、その追加キーは選択されたときにデータ処理システムに情報を入力するために使用される。
【0047】
本発明の解決策は、通常のコンピューティング作業を実行するアプリケーションで作業するときに標準キーボードとして使用できる周辺装置を提供し、同時に、この周辺装置は、種々のアプリケーションの入力要求を満たすように代替入力装置として使用することができる。
【0048】
この結果は種々の入力装置の急増なしに達成され、それにより、時間と空間が節約される。
【0049】
提案された解決策により、この周辺装置は非常に単純に特定のアプリケーション向けに構成することができる。
【0050】
上記の本発明の好ましい実施形態はさらに他の利点をもたらす。
【0051】
たとえば、構成可能ユニットはタッチスクリーンからなる。
【0052】
これにより、ユーザは非常に同じように両方の入力ユニット(キーボードとタッチスクリーン)で作業することができる。
【0053】
有利なことに、キーボードとタッチスクリーンは周辺装置の対向する複数の表面上に配置されている。
【0054】
提案された構造は、タッチスクリーンのために追加の空間を必要としない。
【0055】
好ましくは、周辺装置を支持する表面から間隔を開けてキーを配置するための手段が設けられている。
【0056】
この特徴は、タッチスクリーンを使用しているときにキーの圧力を防止する。
【0057】
別法として、周辺装置は、タブレット(ペンによってキーが選択される)、統合タッチパッド(キーを選択するために画面上のポインタを移動させるために使用する)が付いた標準画面、または同等の構成可能ユニットを含み、キーにはいかなるスペーサも提供されず、あるいはキーボードおよびタッチスクリーンが並んで配置される。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、キーボードまたはタッチスクリーンを相互排除的に使用可能にするためにスイッチが使用される。
【0059】
これは、2つの入力ユニット間の干渉を回避し、周辺装置の電力消費を削減するものである。
【0060】
さらに他の改良点として、センサは周辺装置の位置を検出し、それに応じてキーボードまたはタッチスクリーンを使用可能にする。
【0061】
考案された解決策により、(単純に周辺装置を裏返して)キーボードとタッチスクリーンとを自動的に切り替えることが可能になる。
【0062】
有利なことに、タッチスクリーンは出力情報を表示するためにさらに使用される。
【0063】
この特徴は、ユーザの目にとって必要な(モニターとタッチスクリーンとの間の)焦点変動を低減する。その上、提案された解決策により、非常に効果的にユーザに情報を提供することが可能になる。
【0064】
しかし、本発明による解決策は、キーボードとタッチスクリーンの両方が必ず使用可能になっている状態で実現されるか、キーボードまたはタッチスクリーンを使用可能にするためにユーザが操作しなければならない手動スイッチによって実現されるか、あるいはタッチスクリーン上に出力情報を表示せずに実現される。
【0065】
本発明の周辺装置は、外部ユニット(中央ユニットのポートに差し込まれている)としてまたは内部ユニット(中央ユニットに統合される)として使用することができる。
【0066】
後者の場合、周辺装置をスライドさせ旋回させるために、好ましくはガイド・メカニズムが設けられている。
【0067】
考案された解決策は非常に単純であるが、同時に効果的である。
【0068】
有利なことに、周辺装置はその種々の動作位置にラッチされる。
【0069】
この特徴は、周辺装置の不要な移動を回避する。
【0070】
さらに他の改良点として、周辺装置をアンラッチするために操作すべきボタンを識別するための汎用表示が提供される。
【0071】
提案された特性は、周辺装置を反転するために必要な操作を容易にする。
【0072】
別法として、周辺装置を回転させる(たとえば、ケースに対して垂直な軸の周りで周辺装置を旋回させる)ために他のメカニズムが使用されるか、周辺装置をアンラッチするために操作すべきボタンを識別するための表示がまったく提供されないか、あるいは重力の力を受けた場合のみ周辺装置が所定の位置に保持される。
【0073】
当然のことながら、局所的かつ具体的な要件を満足するために、当業者は上記の解決策に対し、多くの修正および変更を適用することができるが、そのいずれも特許請求の範囲によって定義される本発明の保護の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の周辺装置を使用できるデスクトップの絵画表現である。
【図2】本発明の周辺装置を使用できるデスクトップの絵画表現である。
【図3】種々の位置にある周辺装置を示す図である。
【図4】種々の位置にある周辺装置を示す図である。
【図5】周辺装置の他の実施形態を含むノートブックの部分的に切り取られた側面図である。
【図6】周辺装置の他の実施形態を含むノートブックの部分的に切り取られた側面図である。
【図7】ノートブックの種々の拡大細部を示す図である。
【図8】ノートブックの種々の拡大細部を示す図である。
【図9】周辺装置に含まれるセンサの回路図である。
【図10】デスクトップの概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
125 周辺装置
130 機械的キーボード
135 キー
140 ユニット
145 追加キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーが押されたときにデータ処理システムに情報を入力するための複数のキーを有する機械的キーボードを含む、データ処理システム用の周辺装置において、
前記周辺装置が、追加キーが選択されたときに前記データ処理システムに情報を入力するための追加キーのビジュアル表示を提供するよう構成可能なユニットをさらに含むことを特徴とする、周辺装置。
【請求項2】
前記ユニットがタッチスクリーンを含み、触れたときに前記追加キーが選択される、請求項1に記載の周辺装置。
【請求項3】
第1の表面と、前記第1の表面に対向する第2の表面とを有する本体をさらに含み、前記第1の表面が前記機械的キーボードを担持し、前記第2の表面が前記ユニットを担持し、前記第1の表面が上向きになっている状態で前記周辺装置が第1の動作位置にあるときに前記機械的キーボードが前記データ処理システムのユーザにとってアクセス可能であり、前記第2の表面が上向きになっている状態で前記周辺装置が第2の動作位置にあるときに前記ユニットが前記ユーザにとってアクセス可能である、請求項1または2に記載の周辺装置。
【請求項4】
前記第2の動作位置にある前記周辺装置を支持する表面から間隔を開けて前記キーを配置するための手段をさらに含む、請求項3に記載の周辺装置。
【請求項5】
前記機械的キーボードまたは前記ユニットを二者択一的に使用可能にするためのスイッチ手段をさらに含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の周辺装置。
【請求項6】
前記スイッチ手段が前記周辺装置の位置を検出するためのセンサを含み、前記周辺装置が前記第1の動作位置にあるときに前記機械的キーボードが使用可能になり、前記周辺装置が前記第2の動作位置にあるときに前記ユニットが使用可能になる、請求項5に記載の周辺装置。
【請求項7】
前記ユニット上に出力情報を表示するための手段をさらに含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の周辺装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の前記周辺装置を含む、データ処理システム。
【請求項9】
中央ユニットと、前記中央ユニットの周りで前記周辺装置を旋回させ、第1のストローク端部と第2のストローク端部との間で前記中央ユニットに沿って前記周辺装置の内部エッジをスライドさせるための手段とをさらに含み、前記内部エッジがそれぞれ前記第1のストローク端部または前記第2のストローク端部にあるときに前記周辺装置が前記第1の動作位置または前記第2の動作位置で前記中央ユニットに折り畳まれる、請求項8に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記第1の動作位置または前記第2の動作位置で前記周辺装置をラッチするためのラッチ手段をさらに含む、請求項9に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記ラッチ手段が、前記第1の動作位置にあるときに前記周辺装置をアンラッチするための第1のコマンド手段と、前記第2の動作位置にあるときに前記周辺装置をアンラッチするための第2のコマンド手段と、前記周辺装置がそれぞれ前記第1の動作位置または前記第2の動作位置にあるときに前記第1のコマンド手段または前記第2のコマンド手段を識別する表示を提供するための手段とを含む、請求項10に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
周辺装置に含まれる機械的キーボードの複数のキーを押すことによりデータ処理システムに情報を入力するステップと、
前記周辺装置に含まれるユニット上で複数の追加キーのビジュアル表示を提供するステップと、
前記追加キーを選択することにより前記データ処理システムに情報を入力するステップと、
を含む、データ処理システムを操作する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーが押されたときにデータ処理システムに情報を入力するための複数のキー(135)を有する機械的キーボード(130)を含むデータ処理システム(100)の中央演算処理装置とメイン・ディスプレイ(310)とに接続可能な周辺装置(125)において、
前記周辺装置が、第1の表面(210)と、前記第1の表面に対向する第2の表面(215)とを有し、前記第1の表面が前記機械的キーボード(130)を担持し、前記第2の表面が追加キーが選択されたときに前記データ処理システムに情報を入力するための複数の追加キー(145)のビジュアル表示を提供するよう構成可能なユニット(140)を担持し、前記構成可能ユニットが前記メイン・ディスプレイ(310)から分離しており、前記第1の表面(210)が上向きになっている状態で前記周辺装置が第1の動作位置にあるときに前記機械的キーボード(130)が前記データ処理システムのユーザにとってアクセス可能であり、前記第2の表面(215)が上向きになっている状態で前記周辺装置が第2の動作位置にあるときに前記構成可能ユニット(140)が前記ユーザにとってアクセス可能であることを特徴とする、周辺装置。
【請求項2】
前記構成可能ユニットがタッチスクリーン(140)を含み、触れたときに前記追加キーが選択される、請求項1に記載の周辺装置(125)。
【請求項3】
前記第2の動作位置にある前記周辺装置を支持する表面(103)から間隔を開けて前記キー(135)を配置するための手段(225a、225b)をさらに含む、請求項1ないし2のいずれかに記載の周辺装置(125)。
【請求項4】
前記機械的キーボード(130)または前記構成可能ユニット(140)を二者択一的に使用可能にするためのスイッチ手段(500)をさらに含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の周辺装置(125)。
【請求項5】
前記スイッチ手段が前記周辺装置の位置を検出するためのセンサ(500)を含み、前記周辺装置が前記第1の動作位置にあるときに前記機械的キーボード(130)が使用可能になり、前記周辺装置が前記第2の動作位置にあるときに前記構成可能ユニット(140)が使用可能になる、請求項に記載の周辺装置(125)。
【請求項6】
前記構成可能ユニット(140)上に出力情報を表示するための手段(150)をさらに含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の周辺装置(125)。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の前記周辺装置(125;320)を含む、データ処理システム(100;300)。
【請求項8】
中央ユニット(305)と、前記中央ユニットの周りで前記周辺装置(320)を旋回させ、第1のストローク端部と第2のストローク端部との間で前記中央ユニットに沿って前記周辺装置の内部エッジをスライドさせるための手段(340、345)とをさらに含み、前記内部エッジがそれぞれ前記第1のストローク端部または前記第2のストローク端部にあるときに前記周辺装置が前記第1の動作位置または前記第2の動作位置で前記中央ユニットに折り畳まれる、請求項に記載のデータ処理システム(300)。
【請求項9】
前記第1の動作位置または前記第2の動作位置で前記周辺装置(320)をラッチするためのラッチ手段(350f、355t;350r、355k)をさらに含む、請求項に記載のデータ処理システム(300)。
【請求項10】
前記ラッチ手段(350f、355t;350r、355k)が、前記第1の動作位置にあるときに前記周辺装置(320)をアンラッチするための第1のコマンド手段(405f)と、前記第2の動作位置にあるときに前記周辺装置をアンラッチするための第2のコマンド手段(405r)と、前記周辺装置がそれぞれ前記第1の動作位置または前記第2の動作位置にあるときに前記第1のコマンド手段または前記第2のコマンド手段を識別する表示を提供するための手段(360t、360k)とを含む、請求項に記載のデータ処理システム(300)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−505026(P2006−505026A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−520668(P2004−520668)
【出願日】平成15年7月10日(2003.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2003/008477
【国際公開番号】WO2004/008301
【国際公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】