説明

データ処理装置、データの記録方法及びデータの再生方法

【課題】 本発明は、データ処理装置、データの記録方法及びデータの再生方法に関し、例えばサーバー等のデータをバックアップするテープストリーマに適用して、再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホスト装置に送出することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、繋ぎ書きした境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックを形成し、さらにはエラーの検出された記録トラックに対する繋ぎ書きの識別子の有無によりエラーを無視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データの記録方法及びデータの再生方法に関し、例えばサーバー等のデータをバックアップするテープストリーマに適用することができる。本発明は、繋ぎ書きの境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックを配置することにより、またエラーの検出された記録トラックに対する繋ぎ書きの識別子の有無によりエラーを無視することにより、再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホスト装置に送出することができるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、テープストリーマにおいては、誤り訂正符号を付加して所望のデータを高密度に記録することにより、例えばサーバー等のバックアップに使用されるようになされている。
【0003】
すなわちテープストリーマにおいては、バックアップに供するデータを所定のブロック単位で区切り、積符号形式による誤り訂正符号を生成する。さらにテープストリーマは、これらデータ、誤り訂正符号を所定順序により記録用ヘッドに出力し、磁気テープに順次斜めに記録トラックを形成しながら、これらデータを磁気テープに記録する。このときテープストリーマは、記録用ヘッドの走査軌跡を再生用ヘッドにより走査してリードアフタライトし、正しくデータを再生できない箇所については、いわゆるリトライの処理を実行する。
【0004】
これに対して再生時、テープストリーマは、再生用ヘッドにより磁気テープを走査して再生信号を処理することにより、磁気テープに記録されたデータを順次再生し、記録時に付加した誤り訂正符号により誤り訂正処理する。さらにこのように誤り訂正処理して誤り訂正困難な部分については、リトライの処理を繰り返す。これらによりテープストリーマは、高い信頼性により所望のデータをバックアップできるようになされている。
【特許文献1】特開平1−100774号公報
【特許文献2】特開平4−360073号公報
【特許文献3】国際公開第98/14940号パンフレット
【特許文献4】特開平10−340546号公報
【特許文献5】特開平10−340547号公報
【特許文献6】特開平11−16300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの種のテープストリーマにおいては、複数のブロックを単位にしてエラーを検出してリトライの処理を実行し、これら複数のブロックにおいては、ユーザーデータ以外のデータを記録したものも含まれる。
【0006】
すなわちテープストリーマにおいては、ユーザーデータに代えてダミーデータを記録する場合もあり、このようなダミーデータにあっては、正しく再生できなくても、何らユーザーデータの再生には影響を与えない。このような場合でも、複数のブロックを単位にしてリトライの処理を繰り返すようにすると、無駄にリトライの処理を繰り返すことになり、さらにリトライを失敗した場合には、ユーザーデータについては正しく再生できているにも係わらず、ホストコンピュータに対して再生したユーザーデータの送出を中止することになる。
【0007】
このような現象は、磁気テープ上における記録密度が増大するに従って増大すると考えられ、例えば繋ぎ書きした場合などは、繋ぎ書きした部位で顕著になると考えられる。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホスト装置に送出することができるデータ処理装置、データの記録方法及びデータの再生方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため請求項1又は請求項4の発明においては、データ処理装置又はデータの記録方法に適用して、繋ぎ書きの境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックを配置する。
【0010】
また請求項3又は請求項5の発明においては、データ処理装置又はデータの再生方法に適用して、エラーの検出された記録トラックに対する繋ぎ書きの識別子の有無により、エラーの検出を無視して再生データを処理する。
【0011】
また請求項1又は請求項4の構成によれば、繋ぎ書きの境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックを配置することにより、エラーの発生頻度の高い部位を避けてユーザーデータを記録でき、これによりエラーの発生頻度の高い部位で再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホスト装置に送出することができる。
【0012】
また請求項3又は請求項5の構成によれば、エラーの検出された記録トラックに対する繋ぎ書きの識別子の有無により、エラーの検出を無視して再生データを処理すれば、繋ぎ書きした境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックを形成することを前提として、再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホスト装置に送出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、繋ぎ書きした境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックを形成することにより、さらにはエラーの検出された記録トラックに対する繋ぎ書きの識別子の有無によりエラーを無視することにより、再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホスト装置に送出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
(1)実施の形態の構成
(1−1)全体構成
図1は、本発明の実施の形態に係るバックアップシステムを示す斜視図である。このバックアップシステム1は、大型のコンソール2にテープストリーマ3等を配置して構成される。すなわちこのバックアップシステム1は、正面の下側より順次テープストリーマ3、電源ユニット4、CPUユニット5が配置され、背面側にテープカセットの搬送機構6が配置される。なおこの実施の形態の構成は、本願の参考例の構成である。
【0015】
ここで電源ユニット4は、このバックアップシステム1の各部に電源を供給し、CPUユニット5は、このバックアップシステム1全体の動作を制御する。テープストリーマ3は、搬送機構6により装填されるテープカセットにホストコンピュータからのデータを記録し、またこのテープカセットに記録されたデータを再生してホストコンピュータに出力する。
【0016】
搬送機構6は、棚6Aに複数のテープカセットを収納できるように構成され、CPUユニット5の制御により、この棚6Aに保持されたテープカセットをテープストリーマ3に搬送して装填し、またこれとは逆にテープストリーマ3より排出されたテープカセットを元の棚6Aに搬送する。このため搬送機構6は、このコンソール2の上下方向に可動するエレベータ6Bと、このエレベータ6Bに搭載されて、棚6Aとの間でテープカセットを出し入れし、またテープストリーマ3との間でテープストリーマを出し入れするハンドブロック6Cとが配置されるようになされている。なおこの実施の形態に係るテープストリーマ3に適用されるテープカセットにおいては、背面に非接触型のICタグが配置され、これら棚6A、エレベータ6BにはこのICタグをアクセスするリーダライタが配置されるようになされている。
【0017】
図2は、CPUユニット5を周辺構成と共に示すブロック図である。CPUユニット5において、ホストコンピュータインターフェース(ホストコンピュータIF)5Aは、例えばSCSI(Small Computer System Interface )によりホストコンピュータ8と接続され、ホストコンピュータ8からのコマンド、記録に供するデータを取り込んで内部バスBUSに出力し、またこれとは逆に内部バスBUSに出力されるホストコンピュータ8へのステータスデータ、再生したデータ等をホストコンピュータ8に出力する。
【0018】
ストリーマインターフェース(ストリーマIF)5Bは、例えばSCSIによりテープストリーマ3と接続され、バスBUSに出力される所定の制御コマンド、記録に供するデータをテープストリーマ3に出力し、またこれとは逆にテープストリーマ3より出力されるステータスデータ、再生したデータ等をテープストリーマ3より受信して内部バスBUSに出力する。
【0019】
コントロールパネル5Dは、コンソール2の正面に配置されてオペレータによる各種操作を受け付け、内部バスBUSを介して、オペレータによる操作をCPU5Cに通知する。ドライバ5Eは、CPU5Cの制御により、エレベータ6B、ハンドブロック6Cを駆動する。
【0020】
CPU5Cは、メモリ5Fにワークエリアを確保して所定の処理手順を実行することにより、ホストコンピュータ8からのコマンドに応動してバックアップシステム1全体の動作を制御する。すなわちホストコンピュータ8よりアクセスコマンドが入力されると、テープストリーマ3にテープカセットの記録再生を指示する。このときホストコンピュータ8からのアクセスコマンドがテープストリーマ3に装填されているテープカセットと異なるテープカセットに対するものの場合、搬送機構6を制御して対応するテープカセットをテープストリーマ3に装填する。またオペレータによりいわゆるバージンテープのフォーマットが指示された場合、同様に搬送機構6の制御によりテープカセットをテープストリーマ3に装填し、テープストリーマ3に初期化の処理を指示する。
(1−2)テープストリーマの構成
図3は、テープストリーマ3を示す正面及び背面を示す平面図である。テープストリーマ3は、正面に、挿入口3Aが形成され(図3(A))、この挿入口3Aよりテープカセットを挿入し、また排出できるようになされている。またテープストリーマ3は、背面に各種接続用のコネクタが配置され、例えばCPUユニット5を省略して直接ホストコンピュータ8と接続することもできるようになされている。
(1−2−1)テープストリーマのフォーマット
図4は、このテープストリーマ3による記録トラックのフォーマットを示す略線図である。テープストリーマ3においては、磁気テープ10の上下に長手トラックがそれぞれ形成され、この長手トラックの間に、斜めトラックが形成される。ここで上下の長手トラックは、1つがコントローラトラック10Aに割り当てられ、トラッキング制御用のコントロール信号が記録されるようになされている。また他方の長手トラックは、IDトラック10Bに割り当てられ、斜めトラックを管理する情報が管理テーブルにより記録されるようになされている。
【0021】
これに対して斜めトラックは、正及び負のアジマス角による1組の記録トラックを順次配置して形成される。各斜めトラックは、ほぼ中央部分により2つに分断されるように形成され、1組の記録トラックのうちの、先行する側の記録トラックは、この中央の分断された部位に、トラッキング制御用のパイロット信号を記録した領域TPが形成されるようになされている。
【0022】
さらに斜めトラックは、2組、4本の記録トラックで1つのトラックセットが形成され、このトラックセットを単位として形成されるようになされている。各トラックセットには、各トラックセットの識別に使用するトラックセットIDが設定され、このトラックセットIDがIDトラック10Bに記録する情報の一部に割り当てられるようになされている。なおトラックセットIDは、全てのトラックセットで単純増加する物理トラックセットIDと、ダミー、EOD等を除いて単純増加する論理トラックセットIDとがそれぞれ設定されるようになされている。なおトラックセットIDは、SMPTEによるタイムコードに変換されてIDトラック10Bに記録されるようになされている。
【0023】
各斜めトラックは、このトラックセットの先行側より、それぞれ記録再生系の各チャンネルに対応するAトラック、Bトラック、Cトラック、Dトラックに割り当てられるようになされている。
【0024】
トラックセットは、ユーザーデータの記録に使用されるユーザートラックセット、ファイルの区切りを示すテープマークに割り当てられるテープマークトラックセット、データの終了端を示すEOD(End Of Data )トラックセット、ダミートラックを形成するダミートラックセット等に区別される。
【0025】
図5は、このようにして形成されるトラックセットと誤り訂正処理単位であるECCブロックとの関係を示す略線図である。テープストリーマ3は、記録に供するユーザーデータ等を所定のブロック単位で区切って誤り訂正符号を付加し、ECCブロックが形成される。テープストリーマ3は、8個のECCブロックのデータが1トラックセットに割り当てられる。このとき数字0〜7により示す各ECCブロックは、アウターパリティーの方向にそれぞれ4等分されて各トラックに割り当てられ、これによりトラック間インターリーブされて記録される。また各トラックに割り当てられるデータにおいては、配列が入れ換えられてワードインターリーブ処理されて記録されるようになされている。
【0026】
図6は、このECCブロックを示す略線図である。1つのECCブロックには、77×190バイトのユーザーデータ等が割り当てられ、77バイトのデータ列に対して27バイトのアウターパリティーか生成され、このアウターパリティーがデータ列に付加される。さらに2×104バイトのブロックIDが付加された後、このアウターパリティーとは直交する方向の、ブロックIDを含む192バイトのデータ列に対して12バイトのインナーパリティが生成され、このインナーパリティがデータ列に付加される。
【0027】
これによりECCブロックは、積符号形式の誤り訂正符号が付加され、4×104バイトの同期パターンSYNCが付加されて形成される。なおここでブロックIDは、ECCブロックの識別用IDであり、同期パターンSYNCは、ECCブロックの開始を示す特定のパターンである。
【0028】
これらによりテープストリーマ3では、77×190バイトのユーザーデータ等が割り当てられて1つのECCブロックが形成され、さらに8個のECCブロックが1つのトラックセットに割り当てられることにより、結果的には、1つのトラックセットに117040バイトのユーザーデータ等を割り当てることができるようになされている。
【0029】
図7は、この1つのユーザートラックセットに割り当てる117040バイトのデータ構成を示す略線図である。1つのトラックセットは、先頭に4バイトによるフォーマットIDが配置される。ここでフォーマットIDは、フォーマット識別用のIDであり、この実施の形態では4トラックによるトラックセットでユーザーデータを記録したことを示す値FFFF0000hの値が記述される。
【0030】
さらに続く136バイトにサブコードが割り当てられ、後述するVSIT、VIT、BST等のテーブル、ユーザーデータトラックセット、テープマークトラックセットの識別データ、論理トラックセットID等が割り当てられてトラックセットの管理用のデータ、論理トラックセットID等が記録される。
【0031】
さらに続く116884バイトからブロック管理テーブルのデータ長を除いたバイト数がユーザーデータ等の記録に割り当てられる。なおこの領域にユーザーデータを割り当てる場合に、ユーザーデータにより満たすことができない場合、ダミーデータが割り当てられる。
【0032】
ブロック管理テーブルは、最大4096バイトに設定される。ここでテープストリーマ3は、トラックセットの集合によるブロックを単位にして記録再生できるように構成され、ブロック管理テーブルは、これらブロックの管理に使用するテーブルが記録される。さらにトラックセットは、続く12バイトが予約に割り当てられ、残り4バイトが1つのトラックセットの終了を示すEOD(End Of Data )に割り当てられるようになされている。
【0033】
テープストリーマ3は、このようにしてトラックセットを基本の単位としてユーザーデータを記録し、また各種管理用のデータを記録する。
【0034】
図8は、磁気テープ10の全体のレイアウトを示す略線図である。磁気テープ10は、リールに接続されるリーダテープを除いた物理的な磁気テープ10の始端PBOT(Physical Beginning Of Tape)より所定距離だけ磁気テープ10を走行させた側に記録開始位置LBOT(Logical Beginning Of Tape )が設定され、また同様の物理的な終端PEOT(Physical End Of Tape)より磁気テープ10の走査開始端側に記録終了位置LEOT(Logical End Of Tape )が設定される。磁気テープ10は、これら記録開始位置LBOT及び記録終了位置LEOT間に種々のデータが記録され、これによりリーダテープ近傍の比較的エラーレートの劣化し易い領域を避けて使用されるようになされている。磁気テープ10は、これら記録開始位置LBOT及び記録終了位置LEOTの間が、1つの物理ボリュームを形成する。
【0035】
磁気テープ10は、記録開始位置LBOTより所定距離だけランアップエリアが形成され、このランアップエリアにて磁気テープ走行系をサーボロックできるようになされている。このため磁気テープ10は、このランアップエリアより順次斜めトラックが形成される。
【0036】
磁気テープ10は、このランアップエリアの続いてVSIT(Volume Set table)が記録され、このVSITを記録する先頭の物理トラックセットIDが0IDに設定される。ここでVSITは、記録開始位置LBOT及び記録終了位置LEOTの間の論理ボリュームを管理する種々のデータが記録される。すなわちVSITは、この磁気テープのボリューム名、磁気テープに記録されたファイル名、各ファイルに割り当てられたVITの物理トラックセットID等が記録され、これによりテープストリーマ3では、このVSITをアクセスして磁気テープ10の判別できるようになされ、さらに磁気テープ10に記録された各ファイル、各ファイルの記録位置等を確認できるようになされている。ここでVSITは、1つが1トラックセット(1ID)により形成され、同一の内容が10回、繰り返し記録されて高い信頼性を確保できるようになされている。
【0037】
また磁気テープ10は、このVSITの記録領域に続いて、90ID分、VSITのリトライエリアが形成され、これにより必要に応じてこのリトライエリアにVSITを記録し直してリカバーの処理等を実行できるようになされている。
【0038】
さらに磁気テープ10は、続いて位置余裕バンドが所定ID分形成され、これによりVSITを更新した場合でも、続く領域の記録済みのデータに何ら影響を与えないようになされている。磁気テープ10は、この位置余裕バンドから記録終了位置LEOTの間が論理ボリュームのエリアに割り当てられる。
【0039】
図9は、この論理ボリュームエリアに割り当てられる論理ボリュームを示す略線図である。磁気テープ10においては、ファイルのデリミタコードであるテープマークTMを間に挟んで、ファイル単位でデータが記録され(図9(A))、各ファイルは、ブロックにより構成されるようになされている(図9(B)及び(C))。
【0040】
テープストリーマ3では、この1つのファイルにDIT(Directory Information Table )及びEOD(End Of Data )を含む単位が1つの論理ボリュームを構成する。ここでDITは、DITが割り当てられてなる1つの論理ボリュームを管理するテーブルであり、1つの長さが40IDにより形成される。DITは、図9(D)により示すように、この40IDによる同一の内容が繰り返し7回記録され、これにより高い信頼性を確保できるようになされている。
【0041】
なお各DITは、それぞれ図8において上述したランアップエリアが先頭に割り当てられ、これによりサーボ系をロックできるようになされている。また続いて後ろ側に位置余裕バンドが配置され、これによりVISTと同様に、更新した場合でも、続く領域の記録済みのデータに何ら影響を与えないようになされている。
【0042】
DITは、図9(E)に示すように、1IDによるVIT(Volume Information Table)、1IDによるBST(Bad Spot Table)、1IDによるLIDT(Logical ID Table)、20IDによるFIT(File Information Table)、1IDによるUIT(User Information Table)が設定されるようになされている。なおDITは、残り16ID分がリザーブに設定されるようになされている。
【0043】
ここでVITは、その物理トラックセットIDがVSITに記録され、これによりVSITの記録を基準にしてこのVITをアクセスできるようになされ、さらにはDIT全体をアクセスできるようになされている。なおVITは、物理トラックセットIDと一致するように論理トラックセットIDが設定される。VITは、このDITが割り当てられた論理ボリュームのボリュームラベル、ユーザートラックセットの最初の物理トラックセットID、最後の物理トラックセットIDが割り当てられる。
【0044】
BSTは、磁気テープ10における傷等によりテープストリーマ3により使用困難と設定された領域(以下バットスポットと呼ぶ)の位置情報が割り当てられる。すなわちテープストリーマ3においては、記録時におけるリードアフタライト、リトライの処理により、誤り訂正困難なビット誤りが発生した場合には、この領域以降のデータについては、改めて磁気テープに記録し直す。テープストリーマ3においては、このようにして改めて磁気テープに記録し直してなるデータに対して、このデータを本来記録すべき領域をバッドスポットと定義する。BSTは、このようなバッドスポットの開始端の物理トラックセットID、終了端の物理トラックセットIDが記録される。
【0045】
LIDT(Logical ID Table)は、ブロック毎の高速検索に使用され、200論理トラックセットID毎に、ファイル番号、物理トラックセットID、ブロック番号のデータが記録される。これによりテープストリーマ3では、アクセス対象であるブロックの位置を大まかに検出して高速度で頭出しできるようになされている。
【0046】
FITは、テープマークの物理トラックセットIDと各ブロックのブロック番号を記録して形成される。UTは、ボリュームが更新されたか否かを示す情報であり、更新の有無を示すステータスデータが、更新前はFFFFFFFFhとされ、更新後は00000000hとされる。
(1−2−2)テープストリーマの概略構成
図10は、このようなフォーマットに係るテープストリーマ3を示すブロック図である。テープストリーマ3において、SCSIインターフェース(SCSIIF)21は、SCSIインターフェースによりCPUユニット5に接続され、またCPUユニットを使用しない場合には、直接ホストコンピュータに接続される。SCSIインターフェース21は、記録に供するユーザーデータを入力してメモリコントローラ22に出力し、またメモリコントローラ22から出力される再生されたデータをホストコンピュータに向けて出力する。またSCSIインターフェース21は、CPUユニット5、ホストコンピュータ8からのコマンドをメモリコントローラ22を介してメインCPU部23に通知する。またこれとは逆にメインCPUから出力されるステータス等をメモリコントローラ22を介して受け、このステータス等をホストコンピュータ8、CPUユニット5に出力する。
【0047】
メモリコントローラ22は、SCSIインターフェース21を介して入力されるユーザーデータをバッファメモリ24に一時保持し、さらにこのバッファメモリ24に保持したデータを続くECCエンコーダ(ECCENC)25の処理に応じたタイミングにより出力する。なおメモリコントローラ22は、ブロック管理テーブルのデータ、上述したDIT等ついては、メインCPU部23から対応するデータを入力してバッファメモリ24に一時保持し、ECCエンコーダ25に出力する。またこれとは逆に再生時、メモリコントローラ22は、ECCデコーダ26の処理に同期したタイミングにより、これらECCデコーダ(ECCDEC)26より出力されるユーザーデータ等をバッファメモリ24に一時保持し、さらにこの保持したユーザーデータをSCSIインターフェース21に出力する。また上述したDIT等にあっては、ECCデコーダ26より出力されるデータをメインCPU部23に出力する。またユーザーデータと共に入力されるエラー検出結果については、メインCPU部23のアクセスによりこのメインCPU部23に通知する。
【0048】
なおバッファメモリ24は、上述した所定個数のトラックセットに対応する容量を単位としたバンク構造により順次入力されるユーザーデータを処理し、これによりバンクメモリを構成するようになされている。これによりこのテープストリーマ3では、バッファメモリ24に構成される1つのバンクを処理の単位として、記録再生の処理を実行し、さらにはリトライの処理を実行するようになされている。これによりトラックセットにおいては、1つのバンクに満たないデータ量によりユーザーデータを記録する場合には、ユーザーデータに代えてダミーデータが記録されたダミートラックセットが形成されることになる。
【0049】
ECCエンコーダ25は、メモリコントローラ22より出力されるデータに誤り訂正符号を生成して付加することにより、また同期パターン等を付加することにより、図6について上述したECCブロックを構成する。さらにECCエンコーダ25は、このECCブロックによるデータを磁気ヘッドの配置に対応する複数系統により出力する。さらにこのときECCエンコーダ25は、所定順序によりこれらのデータを出力し、これによりトラック間インターリーブ、ワードインターリーブの処理を実行する。
【0050】
イコライザ28は、記録用ヘッドの配列に対応する複数系統によりECCエンコーダ25より出力されるデータをシリアルデータ列に変換し、さらに磁気テープ10の記録に適した方式により変調する。これによりイコライザ28は、記録用ヘッドの駆動に供する駆動信号を生成し、この駆動信号により回転ドラム29に搭載された記録用ヘッドを駆動する。
【0051】
回転ドラム29は、所定系統の記録用ヘッド、この記録用ヘッドの走査軌跡を走査する再生用ヘッドが配置され、サーボ回路31の制御により所定の回転速度により回転する。これによりテープストリーマ3は、所定速度により走行する磁気テープ10に順次斜めトラックを形成し、ユーザーデータ等を記録するようになされ、また再生用ヘッドにより記録結果をモニタできるようになされている。
【0052】
イコライザ30は、記録時、再生時、回転ドラム29に搭載された再生用ヘッドより再生信号を受け、この再生信号を波形等化、復調処理することにより磁気テープ10に記録されたデータを再生する。
【0053】
ECCデコーダ26は、このイコライザ30の出力データを取り込み、記録時に付加した誤り訂正符号により誤り訂正処理する。さらにECCデコーダ26は、このようにして誤り訂正処理して得られるユーザーデータ等を誤り訂正処理結果であるエラー検出結果と共にメモリコントローラ22に出力する。これによりテープストリーマ3では、磁気テープ10に記録されたデータをバッファメモリ24を介してホストコンピュータ8に出力し、また必要に応じてVIST等のデータをメインCPU部23で取得できるようになされている。
【0054】
またECCデコーダ26は、このようにして得られるエラー検出結果をバッファメモリ24を介してメインCPU部23に通知し、これによりメインCPU部23の制御により必要に応じてリトライ等の処理を実行できるようになされている。なおECCデコーダ26は、ユーザーデータの記録時にあっては、単に誤り検出の処理を実行し、その結果得られるエラー検出結果をユーザーデータ等と共にバッファメモリ24に記録し、これによりリードアフタライトの処理において記録されたデータを正しく再生できたか否か判断できるようにする。なおECCデコーダ26は、このようなエラー検出結果を対応するエラーフラグのセットによりバッファメモリ24に格納する。
【0055】
かくするにつきメインCPU部23は、ランダムアクセスメモリ(RAM)33にワークエリアを確保して、SCSIインターフェース21を介して入力されるコマンドに応動して所定の処理手順を実行する中央処理ユニットを主に構成され、このテープストリーマ3全体の動作を制御し、また必要に応じてホストコンピュータ8にステータスを通知する。またこの処理において、必要に応じてバッファメモリ24をアクセスして磁気テープ10より再生したVSIT、DIT等の情報を取得し、さらにこの情報を基準にして磁気テープ10の駆動系等の動作を制御する。またユーザーデータを記録した後においては、対応するDIT、VSITの書き換えるように、全体の動作を制御する。
【0056】
システムコントローラ(シスコン)34は、デュアルポートRAM(DP−RAM)35を介して実行するメインCPU部23との間のデータ交換により、テープストリーマ3のメカ系の動作を制御する。すなわちテープストリーマ3において、センサ37は、カセット挿入口等に配置され、例えば磁気テープ10をローディング可能か否か等を検出してサーボ回路31に通知する。キャプスタンモータ(M)36は、サーボ回路31の制御により磁気テープ10を走行させる。固定ヘッド38は、磁気テープ10の長手トラック10A及び10Bを形成し、また長手トラック10A及び10Bの再生信号をサーボ回路31に出力する。
【0057】
サーボ回路31は、センサ37によるテープカセットの検出結果に基づいて、所定の駆動系を駆動してテープカセットの装填、排出等の処理を実行し、また磁気テープ10のローディング、アンローディング等の処理を実行する。またサーボ回路31は、回転ドラム29を回転駆動し、この回転ドラム29の回転位相を基準にしたCTLトラック10Aの再生結果の判定により、キャプスタンモータ36の回転速度を制御し、これによりトラッキング制御の処理を実行する。なおサーボ回路31は、再生時にあっては、磁気テープ10の斜めトラックに割り当てられたトラッキング制御用のパイロット信号を基準にしてこれらトラッキング制御の処理を実行する。
【0058】
これに対して磁気テープ10を初期化する場合、サーボ回路31は、磁気テープ10を所定の走行速度で走行させた状態で固定ヘッド38を駆動することにより、磁気テープ10に長手トラック10A及び10Bを形成する。またサーボ回路31は、固定ヘッド38より得られる再生信号を処理して、管理用データを再生し、この管理用データをシステムコントローラ34に出力する。なおこの管理用データに割り当てられたタイムコードについては、タイムコードレコーダ(TCR)40に出力する。
【0059】
タイムコードレコーダ40は、この初期化の処理において、順次タイムコードを生成してサーボ回路31に出力し、サーボ回路31は、このタイムコードにより、またシステムコントローラ34より出力される各種データにより管理用データを生成して固定ヘッド38を駆動する。これに対して記録時、再生時、サーボ回路31より得られるタイムコードをトラックセットIDに変換して出力する。
【0060】
システムコントローラ34は、このサーボ回路31の動作を制御する他に、メインCPU部23を介してタイムコードレコーダ40から出力されるトラックセットIDをECCエンコーダ25等に出力する。
【0061】
インターフェースCPU(IFCPU)41は、DP−RAM42を介してメインCPU部23との間でデータ交換し、これにより棚6A、エレベータ6Bにおいてテープカセットの情報を取得できるようになされ、さらには他のコンピュータシステムとデータ通信できるようになされている。
【0062】
すなわちテープストリーマ3において、棚6A等に配置されたリーダライタは、アンテナ(ANT)44からテープカセット45の背面に配置されたICタグ46に電波を送信し、この電波によりICタグ46から応答が得られると、このICタグとの間でテープカセット45に関する種々の情報を送受する。
【0063】
ディスプレイCPU49は、メモリラベルインターフェース47を介してこのICタグの間で送受するデータをインターフェースCPU41との間で入出力する。またディスプレイCPU49は、インターフェースCPU41を介して入力されるデータに応じて所定の表示画面に種々のデータを表示する。なおこの表示としては、テープストリーマ3に装填されたテープカセットの情報の表示等である。
【0064】
SIO50は、たとえばRS−232C、RS−422等のシリアルインターフェースであり、メンテナンス用の情報を外部機器との間で送受する。イーサIOは、イーサネット(登録商標)のインターフェースであり、所定のネットワークに接続して種々の情報を送受できるようになされている。
(1−2−3)テープストリーマの詳細構成
図11は、メインCPU部23により各トラックセットに設定されるサブコードの一部を示す略線図である。なおこの図11は、説明の簡略化のために、1つのバンクが8トラックセットに割り当てられるものとして記述する。またエラーの発生したトラックセットを塗り潰して示す。
【0065】
メインCPU部23は、各トラックセットにトラックセットの属性を示すトラック識別子を設定する。ここでトラック識別子は、ダミーデータによるトラックセットを示すダミーID(符号Dにより示す)と、ユーザーデータによるトラックセットを示すユーザーデータID(符号Uにより示す)と、テープマークによるトラックセットを示すテープマークID(符号Tにより示す)と、EODによるトラックセットを示すデータエンドID(符号Eにより示す)とに区分される。
【0066】
このうちホストコンピュータ8における処理に必要なデータにおいては、図11(B)により要、不要の項で示すように、ユーザーデータによるトラックセットのデータと、テープマークによるトラックセットのデータとが該当することになる。なおEODによるトラックセットは、繋ぎ書き時、このトラックセットが4つ連続した場合に有効とされ、この4つのトラックセットのうちの1本を残すようにして続いてテープマーク等が記録される。従って第2番目のファイル(FILE2)の途中で発生するデータエンドIDにあっては、このトラックセットが一時EODに設定されてその後繋ぎ書き記録されたことにより発生したものである。
【0067】
メインCPU部23は、テープマークについては、3つのトラックセットにより磁気テープ10に記録し、このうちの先頭及び末尾のトラックセットについては、ダミーデータを記録するように全体の動作を制御する。これらによりメインCPU部23は、データの終了端に続いてデータを記録した部位には、少なくとも1トラックセットは不要なデータを記録するように全体の動作を制御する。
【0068】
またメインCPU部23は、このようにホストコンピュータ8において意味の有るトラックセットの場合には、論理トラックセットID(論理ID)を値1だけインクリメントし、何ら意味を持たないトラックセットについては、直前のトラックセットに割り当てた論理トラックセットIDをそのまま割り当てる。
【0069】
このようにしてメインCPU部23は、サブコードを設定してトラックセットを記録し、再生時、1バンク単位で、図12に示す処理手順を実行することよりバッファメモリ24に取り込んだデータを処理する。
【0070】
すなわちメインCPU部23は、ステップSP1からステップSP2に移り、ここでバッファメモリ24をアクセスしてエラーフラグを判定することにより、エラーが発生したか否か判断する。ここで否定結果が得られると、メインCPU部23は、ステップSP3に移ってこの処理手順を終了する。これによりメインCPU部23は、続くバンクの再生データに処理を切り換える。従って図11(A)において符号(1)により示すように、各バンクでエラーが発生しない場合、メインCPU部23は、ユーザーデータの部分を選択的にホストコンピュータ8に送出することになる。
【0071】
これに対してステップSP2において、肯定結果が得られると、メインCPU部23は、ステップSP4に移る。この場合、このようにエラーが発生したトラックセットについては、論理トラックセットID、トラック識別子も不確かなことにより、メインCPU部23は、このエラーの発生したトラックセットの属性を判定する。メインCPU部23は、この属性の判定を前後の論理トラックセットIDの連続性と隣接トラックセットの属性から実行する。
【0072】
すなわちメインCPU部23は、このステップSP4において、前後のトラックセットIDの増加分は単調増加によるものか否か判断する。この場合に1つのトラックセットだけに単独でエラーが検出された場合、前後のトラックセットIDの増加分が値2の場合に単調増加によるものと判断することができる。また連続した2つのトラックセットでエラーが検出された場合、前後のトラックセットIDの増加分が値3の場合に単調増加によるものと判断することができる。ここでこのように前後のトラックセットIDの増加分が単調増加の場合、図11において符号(3)により示すように、連続するユーザートラックセットでエラーが検出された場合であることにより、エラーの検出されたトラックセットにおいては、ホストコンピュータ8に必要なデータが記録されたトラックセットと判断される。これによりメインCPU部23は、このステップSP4で肯定結果が得られると、ステップSP4からステップSP5に移り、エラーの発生したトラックセットを必要な領域に設定してステップSP5に移る。
【0073】
これに対してステップSP4で否定結果が得られると、メインCPU部23は、ステップSP7に移る。ここでこのように前後のトラックセットIDの増加分が単調増加によるもので無い場合において、例えば1つのトラックセットだけに単独でエラーが検出された場合は、前後のトラックセットIDの増加分は値1となる。この場合、図11において、符号(2)により示すように、エラーの発生したトラックセットに不要なデータが割り当てられている場合と、符号(4)により示すように、エラーの発生したトラックセットには必要なデータが割り当てられており、続くトラックセットに不要なデータが割り当てられている場合との2つの場合が発生する。
【0074】
これによりメインCPU部23は、続くステップSP7において、隣接トラックセットのうちの後ろのトラックセットのトラックセット識別子を基準にして、エラーの発生したトラックセットの属性を判定する。具体的に、この後ろのトラックセットが不要なトラックセットか否か判断し、これによりエラーの発生したトラックセットの属性を判定する。すなわちメインCPU部23は、このステップSP7で肯定結果が得られると、ステップSP5に移り、エラーの発生したトラックセットを必要な領域に設定してステップSP6に移る。
【0075】
これに対してステップSP7で否定結果が得られると、この場合、このエラーの発生したトラックセットは、不必要なデータが割り当てられたトラックセットと判断できることにより、ステップSP8に移る。ここでメインCPU部23は、エラーの発生したトラックセットを不必要な領域に設定してステップSP6に移る。
【0076】
このようにしてメインCPU部23は、エラーの発生したトラックセットの属性を判定すると、ステップSP6において、他のエラーが存在するか否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP3に戻る。これに対して他のエラーが発生していない場合、メインCPU部23は、ステップSP6からステップSP9に移り、リトライが必要か否か判断する。
【0077】
ここでメインCPU部23は、エラーの発生したトラックセットが必要領域に設定されている場合、リトライが必要と判定してステップSP10に移り、リトライの処理を指示した後、ステップSP3に移る。これに対してエラーの発生したトラックセットが全て不必要領域に設定されている場合、メインCPU部23は、この場合エラーの発生を無視する。すなわちメインCPU部23は、ステップSP9から直接ステップSP3に移り、この処理手順を終了する。
【0078】
かくしてメインCPU部23は、リトライの処理を実行する場合には、磁気テープ10を巻き戻した後、対応するバンクについて、磁気テープ10に記録されたデータを再生し、再びこの処理手順を実行する。さらにリトライを繰り返しても、このバンクについて必要なデータを正しく再生できない場合に限り、ホストコンピュータ8にエラーのステータスを送出して処理を中止する。
(2)第1の実施の形態の動作
以上の構成において、このバックアップシステム1では(図1及び図2)、CPUユニット5の管理等により棚6Aに収納されたテープカセットがテープストリーマ3に装填された後、ローディングされ、順次固定ヘッド38により磁気テープ10の長手トラックであるIDトラック10B、CTLトラック10Aが磁気テープ10に記録される(図4及び図10)。これにより1トラックセットを単位としてタイムコードによるトラックセットIDが管理用データの1つとして磁気テープ10に記録される。さらにその後、磁気テープ10が巻き戻された後、リーダーテープより所定距離だけ走行した位置にVSITが記録され(図8)、これによりこのテープカセットのボリューム名等が記録されて初期化の処理が完了する。このようにして初期化されたテープカセットは、CPUユニット5の管理により棚6Aの所定位置に搬送されて収納される。
【0079】
これに対してホストコンピュータ8よりデータのバックアップが指示されると、CPUユニット5の管理により、テープストリーマ3に該当するテープカセットが装填されていない場合、対応するテープカセットが棚6Aより取り出されてテープストリーマ3にセットされる。またそれまでテープストリーマ3に装填されていたテープカセットについては、テープストリーマ3より排出されて棚6Aに収納される。
【0080】
このようにしてテープストリーマ3にテープカセットが装填されると、テープストリーマ3においては、磁気テープをローディングしてVSITを再生し、このVSITよりホストコンピュータ8により指示されたファイルをアクセス可能に磁気テープ10を走行させる。すなわち磁気テープ10に初めてのファイルを記録する場合には、VSITから所定の間隔を開けてDITを記録し、続いてホストコンピュータ8より出力されるデータを順次磁気テープ10に記録する。また以前に記録したファイルに追記する場合、VSITの記録を基準にして対応するファイルのDITを再生し、このDITより最後のブロックの終了端を検出し、この終了端より順次ホストコンピュータ8より入力されるデータを記録する。またホストコンピュータ8よりデータの再生が指示された場合、対応するファイルの位置をVSITより検出してDITをアクセスし、このDITの記録に従って磁気テープ10に記録されたデータを再生する(図9)。
【0081】
すなわち記録時においては、ECCエンコーダ25により順次入力されるユーザーデータに積符号形式による誤り訂正符号を付加した後(図6)、1トラックセットを構成する4本のトラックによりトラック間インターリーブされて(図5)、またワード間のインターリーブにより順次磁気テープ10に記録される。さらにバッファメモリ24に設定されたバンクを単位にして磁気テープ10に記録される。
【0082】
このときテープストリーマ3においては、メインCPU部23の管理により、各トラックセットにトラックセットの属性を示すトラック識別子が設定され、このトラック識別子により、ダミーデータによるトラックセット、ユーザーデータによるトラックセット、テープマークによるトラックセット、EODによるトラックセットを識別可能に各種データが記録される(図11)。
【0083】
またホストコンピュータ8における処理に意味の有るトラックセットについては、論理トラックセットID(論理ID)が順次インクリメントされて記録され、何ら意味を持たないトラックセットについては、直前のトラックセットに割り当てた論理トラックセットIDがそのまま割り当てられて記録される。
【0084】
またファイル間にテープマークが配置され、このテープマークについては、先頭及び末尾のトラックセットについてはダミーデータを記録するように設定される。またデータの終了端に続いてデータを記録した部位には、少なくとも1トラックセットは不要なデータを記録したトラックセットが配置される。
【0085】
これに対して再生時においては、回転ドラム29に搭載された再生用ヘッドより再生信号が得られ、この再生信号がイコライザ回路30により処理されて再生データが得られ、この再生データがECCデコーダ26により誤り訂正処理される。さらに誤り訂正処理されたデータが誤り訂正処理結果であるエラーフラグと共にバッファメモリ24に記録される。
【0086】
テープストリーマ3では、メインCPU部23によりバッファメモリ24に記録されたエラーフラグがアクセスされ、必要なデータにエラーが発生した場合に限り、バンク単位で、リトライの処理が実行され、さらにリトライを繰り返しても必要なデータにエラーが発生する場合に限り、ホストコンピュータ8へのユーザーデータの出力が停止される。
【0087】
すなわちテープストリーマ3では、バッファメモリ24のアクセスによりエラーの有無が判定され、エラーが検出されると、このエラーの発生したトラックセットの前後の論理トラックセットIDの連続性と、エラーの発生したトラックセットに隣接するトラックセットのうちの、後ろ側のトラックセットに記録したデータより、エラーの発生したトラックセットがホストコンピュータ8の処理に必要なデータを記録したトラックセットか否か判定される。
【0088】
すなわち前後の論理トラックセットIDの増加分が単調増加によるもののとき、エラーの発生したトラックセットは、ホストコンピュータ8の処理に必要なデータを記録したトラックセットと判断される。また前後の論理トラックセットIDの増加分が単調増加によるもので無い場合、後ろのトラックセットの属性より、エラーの発生したトラックセットの属性が判断され、これによりエラーの発生したトラックセットは、ホストコンピュータ8の処理に必要なデータを記録したトラックセットか否か判定される。すなわちこの場合、後のトラックセットがダミートラックセット等のホストコンピュータ8の処理に不必要なデータを記録したトラックセットの場合であって、1つのトラックセットだけにエラーが発生した場合、エラーの発生したトラックセットは、ホストコンピュータ8の処理に必要なデータを記録したトラックセットと判断される。
【0089】
これによりテープストリーマ3では、ホストコンピュータ8の処理に必要なデータを記録していないトラックセットでエラーが発生した場合には、このエラーを無視してリトライの処理を実行しないようにでき、これにより無駄なリトライの繰り返しによるアクセス速度の低下が有効に回避される。またこのような箇所にエラーが発生した場合でも、ホストコンピュータ8に必要な再生データを送出することができ、これによりユーザーデータを確実にホストコンピュータに送出することが可能となる。
(3)第1の実施の形態の効果
以上の構成によれば、エラーが発生した場合に、エラーの検出されたトラックセットの前後の論理トラックセットIDの連続性と、エラーの検出されたトラックセットに隣接するトラックセットに設定されたトラック識別子とによる判定によりエラーの発生を無視することにより、再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホスト装置であるホストコンピュータに送出することができる。
(4)第2の実施の形態
ところでトラックピッチが密になると、トラック幅に対する書き込みの精度が相対的に低下することになる。このため繋ぎ書きをした場合に、繋ぎ書きした部位で前のトラックセットの一部トラックのトラック幅がオーバーライトにより狭くなり、これによりこのトラックセットについては、正しくデータを再生できなくなる恐れがある。また繋ぎ書きした部位でトラックピッチが変化すると、トラッキングが一時的に乱れ、これにより繋ぎ書きした先頭のトラックセットについては、正しくデータを再生できなくなる恐れがある。
【0090】
これによりこの実施の形態では、このような場合でも、正しくユーザーデータを再生できるようにし、第1の実施の形態について上述したエラーの発生したトラックセットの属性の判定と組み合わせて、ユーザーデータを確実にホストコンピュータに送出することができるようにする。
【0091】
なおこのように繋ぎ書きする場合は、テープストリーマ3の記録系におけるデータ転送速度に比して、ホストコンピュータ8から送出されるユーザーデータのデータ転送速度が低く、これにより磁気テープ10の走行停止を繰り返すような場合である。
【0092】
この実施の形態においては、メインCPU部23によるトラックセットの設定処理等が上述した第1の実施の形態と異なる点を除いて、第1の実施の形態の構成と同一であることにより、この実施の形態では、この異なる構成のみを説明し、重複した説明は省略する。
【0093】
この実施の形態において、メインCPU部は、磁気テープ10の走行を停止する場合には、最後の4つのトラックセットをEODのトラックセットに設定することにより、少なくとも最後のトラックセットについては、不要なデータを割り当てるようにする。すなわち図13の1回目及び3回目に示すように、ファイル1又はファイル3を記録して磁気テープ10の走行を停止する場合、また図13の2回目に示すように、テープマークを記録して磁気テープ10の走行を停止する場合、最後の4つのトラックセットをEODのトラックセットに設定する。なおEODのトラックセットにあっては、4トラックセットにより有効となることにより、メインCPU部は、このことを考慮にいれてバッファメモリ24のバンクを管理することになる。
【0094】
またテープマークについても、ブロックの追加によりデータを追記する可能性があることにより、3つのトラックセットの先頭及び最後のトラックセットは、ダミーのトラックセットに設定することにより、これら先頭及び最後のトラックセットには、不要なデータを割り当てるようにする。
【0095】
これに対して繋ぎ書きする場合、メインCPU部は、繋ぎ書きする境界の前の部分に、少なくとも1つは、不要なデータを割り当てたトラックセットを残すようにする。
【0096】
すなわちEODのトラックセットの部分より繋ぎ書きする場合、メインCPU部は、サーボ系に発行する物理トラックセットIDの設定により、EODのトラックセットについては無効とするようにし、かつEODのトラックセットの少なくとも1つについては、記録したままにするように、続くトラックセットを記録する。具体的に、メインCPU部は、図13において、第1回目の記録から第2回目の記録によるテープイメージを示すように、4つのトラックセットによるEODの先頭のトラックセットだけ残すように、続くトラックセットを記録する。なお図13においては、繋ぎ目を矢印により示す。
【0097】
またテープマークの部分を無効にしてデータを追記する場合、メインCPU部は、このテープマークについては無効とするようにし、かつこのテープマークのトラックセットの少なくとも1つについては、記録したままにするように、続くトラックセットを記録する。具体的に、メインCPU部は、図13において第2回目の記録から第3回目の記録によるテープイメージを示すように、3つのトラックセットによるテープマークの先頭のトラックセットだけ残すように、続くトラックセットを記録する。
【0098】
これに対してファイルを更新する場合、直前のテープマークは有効なままに保持して続くトラックセットを記録する。具体的に、メインCPU部は、図13において第3回目の記録から第4回目の記録によるテープイメージを示すように、3つのトラックセットによるテープマークの最後のトラックセットに続いて続くトラックセットを記録する。
【0099】
またこのように繋ぎ書きする場合、繋ぎ書き開始の先頭トラックセットについては、ダミートラックセットに設定することにより、この先頭トラックセットには不要データを割り当てる。
【0100】
これらにより図13において第1回目から2回目のように、EODの部分より繋ぎ書きする場合、メインCPU部は、EODによるトラックセットの1つである不要データを記録したトラックセットと、テープマークのトラックセットの前に割り当てられたダミーのトラックセットとを繋ぎ目の前後に割り当てる。また同様に、第2回目から3回目のように、ファイル2に追記する場合には、テープマークのトラックセットの先頭トラックセットである不要データを記録したトラックセットと、追記するファイルの先頭トラックセットに割り当てられたダミーによるトラックセットとを繋ぎ目の前後に割り当てる。また同様に、第3回目から4回目のように、ファイル3を書き換える場合、このファイル3の前に配置されたテープマークによる最後の不要データを記録したトラックセットと、ファイル3の先頭トラックセットの不要データを記録したトラックセットとを繋ぎ目の前後に割り当てる。
【0101】
これらによりメインCPU部は、エラーの発生頻度の高い部位である繋ぎ目の前後には、選択的に不必要なデータによるトラックセットを割り当てる。なおメインCPU部は、このような不要なデータによるトラックセットの設定に対応するように、トラック識別子、論理トラックセットIDを設定することになる。
【0102】
メインCPU部は、再生時、第1の実施の形態について上述したメインCPU部23と同様に、前後の論理トラックセットIDの連続性と、隣接するトラックセットの属性との判定によりエラーの発生を無視する。これによりメインCPU部は、エラーの発生した場合でもユーザーデータを確実にホストコンピュータに送出する。
【0103】
すなわち図13の4回目の記録の後の再生時のイメージを図11との対比により図14に示すように、何らエラーが発生しない場合(符号(1)により示す)には、バッファメモリ24に格納されたユーザーデータを選択的にホストコンピュータ8に出力してホストコンピュータ8の処理に必要なデータを供給することができる。
【0104】
また何ら繋ぎ書き記録した境界の前後でないトラックセットでエラーが発生した場合、エラーの発生箇所の前後ではトラック識別子、論理トラックセットIDの関係が図11について上述したと同一に設定されていることにより、この場合もバッファメモリ24に格納されたユーザーデータを選択的にホストコンピュータ8に出力してホストコンピュータ8の処理に必要なデータを供給することができる。
【0105】
これに対して繋ぎ書き記録した部位であっても、前後の論理トラックセットIDの連続性と、隣接トラックセットの属性とからエラーの発生したトラックセットの属性を判定することにより、第1の実施の形態と同様にしてエラーを処理することができる。
【0106】
なおこの実施の形態において、メインCPU部は、前後の論理トラックセットIDの増加分を参考にして後ろのトラックセットの属性より、エラーの発生したトラックセットの属性を判定することになる。すなわち第1の実施の形態のようなトラックセットの配置においては、EODのトラックセットを除いて、不要なデータを記録したトラックセットの前後には、必ず必要なデータを記録したトラックセットが配置されることになる。これに対してこの実施の形態では、繋ぎ書き記録した境界の前後では、例外的に不要なデータを記録したトラックセットが連続する。
【0107】
これにより例えば図14において符号(2)により示すように、1つのトラックセットだけエラーが検出された場合であって、前後の増加分が値1であり、後のトラックセットに必要なデータが割り当てられている場合には、繋ぎ書き記録した近傍とは異なる部位でエラーが発生した場合と同様に、このエラーの発生したトラックセットの属性を判定して正しい判定結果を得ることができる。
【0108】
これに対して図14において符号(3)及び(4)により示すように、境界の前後で、1つのトラックセットにエラーが発生した場合に、論理トラックセットIDの増加分が値0となる場合が発生する。しかしながらこの場合、増加分が値0であることにより、前後のトラックセットを含めて3つのトラックセットに連続して不必要なデータが割り当てられている場合と判断でき、これによりメインCPU部は、このような場合には、エラーの検出されたトラックセットの属性を不必要なデータが記録されたトラックセットと判定する。
【0109】
なおこのように繋ぎ書き記録した部位の近傍においても、図14において符号(5)により示すように、1つのトラックセットだけエラーが検出した場合であって、前後の増加分が値1であり、後のトラックセットに不必要なデータが割り当てられている場合には、繋ぎ書き記録した近傍とは異なる部位でエラーが発生した場合と同様に、このエラーの発生したトラックセットの属性を必要なデータが記録されたトラックセットと判定して正しい判定結果を得ることができる。
【0110】
これに対して図14において符号(6)〜(8)により示すように、境界に隣接した部位においては、極めてまれではあるが、連続した2つのトラックセットにエラーが検出される場合も考えられる。この場合も上述したように、メインCPU部は、上述したと同様にして、前後の論理トラックセットIDの連続性と、隣接トラックセットの属性とからエラーの発生したトラックセットの属性を判定することができる。
【0111】
すなわち連続した2つのトラックセットにエラーが発生した場合に、前後の論理トラックセットIDの増加分が値1で、続くトラックセットに必要なデータが割り当てられている場合、又は前後の論理トラックセットIDの増加分が値0の場合、これら2つのトラックセットにあっては、不必要なデータが割り当てられているトラックセットを判断することができる。
【0112】
また2つのトラックセットにエラーが発生した場合に、増加分が値2の場合で、続くトラックセットに必要なデータが割り当てられている場合、これら2つのトラックセットにあっては、不必要なデータが割り当てられているトラックセットと、必要なデータが割り当てられているトラックセットと判断することができる。
【0113】
これらによりこの実施の形態においては、エラーの発生したトラックセットの属性を判定した後、判定結果に基づいて、第1の実施の形態と同様の処理を実行する。
【0114】
この第2の実施の形態のように、繋ぎ目の前後のトラックセットに不要なデータを割り当てるようにすれば、エラーの発生頻度の高い部位を避けてユーザーデータを記録することができ、これによりこのようなエラーの発生頻度の高い部位で、再生したデータにエラーが発生した場合でも、確実にユーザーデータをホストコンピュータに送出することができる。
【0115】
またこのとき論理トラックセットIDの連続性と、隣接トラックセットに記録されたデータとの判定によりエラーの発生を無視することにより、さらに一段と確実にユーザーデータをホストコンピュータに送出することができる。
(5)第3の実施の形態
ところで磁気テープの途中から再生する場合にあっては、上述した手法によってはエラーの発生したトラックセットの属性を判定できない場合もある。このためこの実施の形態では繋ぎ書きよる記録を示す繋ぎ書きフラグをセットする。なおこの実施の形態においては、この繋ぎ書きフラグの設定に関する一連の処理が異なる点を除いて、第1の実施の形態の構成と同一であることにより、この実施の形態では、この異なる構成のみを説明し、重複した説明は省略する。
【0116】
すなわちメインCPU部は、図15に示すように、繋ぎ書き記録する場合、繋ぎ書き記録による境界より後方の所定位置に繋ぎ書き記録を示す繋ぎ書きフラグをセットする。ここでメインCPU部は、繋ぎ書き記録を開始するトラックセットと同一のバンクの処理に係り、かつホストコンピュータの処理に必要なユーザーデータを割り当てた最も繋ぎ書きの境界に近接してなるトラックセットに繋ぎ書きフラグをセットする。具体的に、繋ぎ書きの境界の後の2つ目のトラックセットに繋ぎ書きフラグをセットする。
【0117】
またこの繋ぎ書き記録においては、上述した第2の実施の形態と同様に、繋ぎ目の前後のトラックセットに不要なデータを割り当てるようにトラックセットを設定する。
【0118】
これに対して再生時、メインCPU部は、この繋ぎ書きフラグを基準にした処理により繋ぎ書きした部位についてのみエラーの発生を無視する。すなわち種々に検討したところ、実際上、エラーの発生が原因となってホストコンピュータにユーザーデータを転送できなくなるのは、繋ぎ書きした部位におけるエラーによるものであり、この他の部分についてはエラーの発生したトラックセットの属性を判定しなくても実用上十分な特性を確保できることが判った。
【0119】
これによりこの実施の形態において、メインCPU部は、図16に示す処理手順の実行によりエラー検出結果を処理する。すなわちメインCPU部は、ステップSP11からステップSP12に移り、ここでバッファメモリ24をアクセスしてエラーフラグを判定することにより、エラーが発生したか否か判断する。ここで否定結果が得られると、メインCPU部は、ステップSP13に移ってこの処理手順を終了する。
【0120】
これに対してステップSP12において、肯定結果が得られると、メインCPU部は、ステップSP14に移る。ここでメインCPU部は、このエラーの発生したトラックセットに対して所定位置に繋ぎ書きフラグが設定されているか否か判断する。ここでCPU部は、このエラーの発生したトラックセットから1又は2トラックセット後に繋ぎ書きフラグが設定されている場合、所定位置に繋ぎ書きフラグが設定されていると判断するのに対し、これと異なる位置に繋ぎ書きフラグが設定されている場合、さらには何ら繋ぎ書きフラグが設定されていない場合、所定位置に繋ぎ書きフラグが設定されていないと判断する。
【0121】
ここで否定結果が得られると、メインCPU部は、ステップSP15に移り、このエラー発生箇所を必要領域にセットした後、ステップSP16に移る。これに対してステップSP14で肯定結果が得られると、メインCPU部は、ステップSP17に移る。ここでこのエラー発生を不要領域に設定してステップSP16に移る。
【0122】
メインCPU部は、このステップSP16において、他にエラーが存在するか否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP13に戻る。これに対して他にエラーが発生していない場合、メインCPU部は、ステップSP16からステップSP18に移り、リトライが必要か否か判断する。
【0123】
ここでメインCPU部は、エラーの発生したトラックセットが必要領域に設定されている場合、リトライが必要と判定してステップSP19に移り、リトライの処理を指示した後、ステップSP13に移る。これに対してエラーの発生したトラックセットが全て不必要領域に設定されている場合、メインCPU部は、この場合エラーの発生を無視する。すなわちメインCPU部は、ステップSP18から直接ステップSP13に移り、この処理手順を終了する。
【0124】
これによりメインCPU部は、図15(1)に示すように、繋ぎ目からの再生において、繋ぎ目の後の1トラックセットにエラーが発生した場合、続く繋ぎ書きフラグの設定によりこのエラーを無視して処理することができる。これに対して図15(2)に示すように、同様の繋ぎ目からの再生において、繋ぎ目の後の2トラックセットにエラーが発生した場合、この場合繋ぎ書きフラグを検出できないことにより、必要なデータを記録したトラックセットについては、エラーを無視することなく処理することができる。
【0125】
これに対して図15(3)に示すように、繋ぎ目から1トラックセット後の再生において、図15(1)の場合のようにトラックセットにエラーが発生している場合、この場合は、再生したデータ自体ではエラーを検出し得ず、何ら問題とならない。これに対して図15(4)に示すように、繋ぎ目から1トラックセット後の再生において、図15(2)の場合のようにトラックセットにエラーが発生している場合、繋ぎ書きフラグを検出できないことにより、必要なデータを記録したトラックセットのエラーを無視することなく処理することができる。
【0126】
また図15(5)に示すように、繋ぎ目の1トラックセット前から再生する場合において、繋ぎ目を跨いで2つのトラックセットにエラーが発生した場合、繋ぎ書きフラグによりこの2つのトラックセットについてはエラーを無視して処理することができる。これに対して図15(6)に示すように、繋ぎ目の1トラックセット前から再生する場合において、繋ぎ目を跨く2つのトラックセットと続く1つのトラックセットでエラーが発生した場合、繋ぎ書きフラグを検出できないことにより、必要なデータを記録したトラックセットのエラーを無視することなく処理することができる。
【0127】
さらに図15(7)に示すように、繋ぎ目の2トラックセット前から再生する場合において、繋ぎ目を跨いで2つのトラックセットにエラーが発生した場合、繋ぎ書きフラグによりこの2つのトラックセットについてはエラーを無視して処理することができる。これに対して図15(8)に示すように、同様のトラックセットからの再生において、繋ぎ目を跨く2つのトラックセットとこれらの前の1つのトラックセットでエラーが発生した場合、繋ぎ書きフラグを検出できないことにより、必要なデータを記録したトラックセットのエラーを無視することなく処理することができる。また図15(9)に示すように、同様のトラックセットからの再生において、繋ぎ目を跨く2つのトラックセットとこれらの前後のトラックセットでエラーが発生した場合、この場合も繋ぎ書きフラグを検出できないことにより、必要なデータを記録したトラックセットのエラーを無視することなく処理することができる。
【0128】
これらにより磁気テープの途中から再生する場合に、再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホストコンピュータに送出することができる。
【0129】
第3の実施の形態によれば、繋ぎ書きした境界の前後には、不必要なデータを記録したトラックセットを配置し、さらに繋ぎ書きした境界の後の所定位置のトラックセットに、繋ぎ書きした境界を示す繋ぎ書きフラグを設定することにより、再生したデータにエラーが発生した場合でも、ユーザーデータを確実にホストコンピュータに送出することができる。
(6)他の実施の形態
なお上述の第1及び第2の実施の形態においては、エラーの発生したトラックセットに隣接するトラックセットのうちの、後ろ側のトラックセットの属性を基準にしてエラーを無視する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、エラーの発生したトラックセットに隣接するトラックセットのうちの、前側のトラックセットの属性であるこのトラックセットに記録したデータを基準にしてエラーを無視するようにしてもよく、またこのような判断基準のトラックセットを1つのバンクにおけるエラー発生箇所等に応じて適宜切り換えて処理するようにしてもよい。
【0130】
また上述の第3の実施の形態においては、繋ぎ目の2トラックセット後に繋ぎ書きフラグをセットする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は繋ぎ目に対して一定の関係を有するように繋ぎ書きフラグを設定すれば良く、必要に応じて種々の場所に設定することができる。
【0131】
また上述の第3の実施の形態においては、繋ぎ書きフラグによる識別子を1種類だけセットする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、繋ぎ書きの境界を特定する識別子を複数種類設定して何れの識別子からも繋ぎ目を特定できるようにしてもよく、この場合、例えば繋ぎ目から順次トラックセット単位でインクリメントするカウント値を識別子として使用することも考えられる。
【0132】
また上述の第3の実施の形態においては、単に繋ぎ書きフラグを基準にしてエラーを無視する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第1の実施の形態に係る判定方法を併せて適用するようにしてもよい。
【0133】
また上述の実施の形態においては、4トラックにより1トラックセットを構成し、このトラックセット単位でエラーを判定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、4トラック以外の複数トラックにより1トラックセットを構成し、このトラックセット単位でエラーを判定する場合、さらにはトラック単位でエラーを判定して処理する場合にも広く適用することができる。
【0134】
また上述の実施の形態においては、搬送機構との組み合わせに係るテープストリーマに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばホストコンピュータに直接接続する構成のテープストリーマにも広く適用することができる。
【0135】
また上述の実施の形態においては、コンピュータのデータを記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばビデオ信号、オーディオ信号を処理する場合にも広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、データ処理装置、データの記録方法及びデータの再生方法に関し、例えばサーバー等のデータをバックアップするテープストリーマに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の実施の形態に係るバックアップシステムを示す斜視図である。
【図2】図1のバックアップシステムを示すブロック図である。
【図3】図1のバックアップシステムのテープストリーマを示す正面図及び背面図である。
【図4】図3のテープストリーマによる記録フォーマットを示す略線図である。
【図5】図3のテープストリーマにおけるトラック間インターリーブの説明に供する略線図である。
【図6】図3のテープストリーマにおけるECCブロックの説明に供する略線図である。
【図7】図3のテープストリーマにおけるトラックセットの説明に供する略線図である。
【図8】図3のテープストリーマにおける磁気テープ全体の物理ボリュームの説明に供する略線図である。
【図9】図3のテープストリーマにおける各ボリュームの説明に供する略線図である。
【図10】図3のテープストリーマを示すブロック図である。
【図11】図3のテープストリーマにおけるエラーの処理の説明に供する略線図である。
【図12】図11の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るテープストリーマにおけるトラックセットの設定の説明に供する略線図である。
【図14】図13のテープストリーマにおけるエラーの処理の説明に供する略線図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係るテープストリーマにおけるエラーの処理の説明に供する略線図である。
【図16】図15の処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0138】
1……バックアップシステム、3……テープストリーマ、5……CPUユニット、6……搬送機構、8……ホストコンピュータ、10……磁気テープ、23……メインCPU部、24……バックアップメモリ、25……ECCエンコーダ、26……ECCデコーダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録トラックを単位にして、磁気テープに所望のデータを記録するデータ処理装置において、
繋ぎ書きの境界の前後には、不要なデータを記録した記録トラックを配置する
データ処理装置。
【請求項2】
前記繋ぎ書きの境界近傍の所定の記録トラックに、前記繋ぎ書きの境界を示す識別子を設定する
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
複数の記録トラックを単位にして、磁気テープに記録されたデータを再生して再生データのエラーを検出し、該エラーの検出結果に基づいて、前記再生データを外部機器に出力するデータ処理装置において、
前記磁気テープは、
繋ぎ書きの境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックが配置され、
前記繋ぎ書きの境界近傍の所定の記録トラックに、前記繋ぎ書きの境界を示す繋ぎ書きの識別子が設定され、
前記データ処理装置は、
前記エラーの検出された記録トラックに対する前記繋ぎ書きの識別子の有無により、前記エラーの検出を無視して前記再生データを処理する
データ処理装置。
【請求項4】
複数の記録トラックを単位にして、磁気テープに所望のデータを記録するデータの記録方法において、
繋ぎ書きの境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックを配置する
データの記録方法。
【請求項5】
複数の記録トラックを単位にして、磁気テープに記録されたデータを再生して再生データのエラーを検出し、該エラーの検出結果に基づいて、前記再生データを外部機器に出力するデータの再生方法において、
前記磁気テープは、
繋ぎ書きの境界の前後には、不必要なデータを記録した記録トラックが配置され、
前記繋ぎ書きの境界近傍の所定の記録トラックに、前記繋ぎ書きの境界を示す繋ぎ書きの識別子が設定され、
前記データの再生方法は、
前記エラーの検出された記録トラックに対する前記繋ぎ書きの識別子の有無により、前記エラーの検出を無視して前記再生データを処理する
データの再生方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−262708(P2008−262708A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203819(P2008−203819)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【分割の表示】特願2000−24766(P2000−24766)の分割
【原出願日】平成12年1月28日(2000.1.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】