説明

データ処理装置及びその制御方法

【課題】 ページ単位で入力されるデータを取り扱うデータ処理装置であって、柔軟なデータ取り扱いが可能なデータ処理装置を提供すること。
【解決手段】 データ処理装置は、複数のページから1つのファイルを生成する際、作成するファイルに、当該ファイルに含まれる各ページの属性情報及びファイルの終了情報を含ませる。
例えば、ファイル生成中に中断指示があった場合(S15005)には、ファイルの生成を中止し、その時点でファイルの終了情報を含ませたファイルを生成、送信する(S15006)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像データから、複数ページで1つのファイルとしたイメージファイルを形成することのできるデータ処理装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、イメージスキャナをコンピュータネットワークに接続し、そのスキャナにより原稿を走査して原稿上の画像を読み取って得た画像データをイメージファイルとしてコンピュータネットワークに送出することが提案されている。
このようなイメージスキャナにおける画像データの送信において、ユーザーは操作部から送信プロトコルや送信する画像の解像度、白黒かカラーか、そしてフォーマットなどや送信先を選択する。
【0003】
送信プロトコルには、Simple Mail Transfer Protocol(以下、SMTPと呼ぶ。)やFile Transfer Protocol(以下、FTPと呼ぶ。)や米ノベル社が開発したNetWareやServer Message Block Protocol(以下、SMBと呼ぶ。)などがある。
【0004】
画像の解像度は、主走査方向と副走査方向とがあり、単位としては、例えばdot per inch(以下、dpiと呼ぶ。)で表現される。すなわち、200dpix100dpiなどと指定すると、主走査方向の解像度が200dpiで、副走査方向の解像度が100dpiであることを表す。
【0005】
画像のフォーマットは、スキャニングにより白黒画像を取得する場合は、例えばSingle Page Tag Image File Format(以下、S−TIFFと呼ぶ。)、Multiple Page Tag Image File Format(以下、M−TIFFと呼ぶ。)または、Adobe社が開発したPortable Document Format(以下、PDFと呼ぶ。)などを指定する。
【0006】
また、スキャニングによりカラー画像を取得する場合、例えばJoint Photographic Experts Group Format(以下、JPEGと呼ぶ。)や、PDFなどを指定する。S−TIFFとJPEGとは、1ページの原稿の画像を一つのファイルとするフォーマットであり、M−TIFFとPDFとは、複数枚の原稿の画像を一つのファイルとするフォーマットである。
【0007】
送信先の表現は、上記送信プロトコル毎に異なる。SMTPの送信先は、e−mailの宛先のことであり、FTPやNetWareやSMBの送信先とは、サーバ名とそのサーバ上のユーザー名とパスワードとディレクトリ名のことである。さらに、送信するファイル名を追加することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−317833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようなデータ処理装置において、読取手段によって読み取った複数の画像データを1つのファイルにし、当該1つのファイルを送信することができなかった。
【0010】
本発明の目的は上述の様な問題点を解消し、読取手段によって読み取った複数の画像データを1つのファイルにし、当該1つのファイルを送信することのできるデータ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的は、原稿を読み取る読取手段と、読取手段によって読み取られた原稿に対応する画像データを複数記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された複数の画像データから、送信する画像データをユーザの操作に従って選択する選択手段と、送信する画像データのファイル形式として、複数のファイル形式のいずれかをユーザの操作に従って指定する指定手段と、選択手段によって選択された画像データを、指定手段によって指定されたファイル形式のファイルに変換する変換手段と、変換手段によって変換されたファイルを送信する送信手段とを有し、指定手段は、選択手段によって選択された画像データがモノクロ画像データである場合と、選択手段によって選択された画像データがカラー画像データである場合とで、異なるファイル形式を指定可能であることを特徴とするデータ処理装置によって達成される。
【0012】
また、上述の目的は、原稿を読み取る読取手段を備えるデータ処理装置の制御方法であって、読取手段によって読み取られた原稿に対応する画像データを、記憶手段に複数記憶する記憶工程と、選択手段が、記憶手段に記憶された複数の画像データから、送信する画像データをユーザの操作に従って選択する選択工程と、送信する画像データのファイル形式として、複数のファイル形式のいずれかを、ユーザの操作に従って指定する指定工程と、変換手段が、選択工程で選択された画像データを指定工程で指定されたファイル形式のファイルに変換する変換工程と、送信手段が、変換工程で変換されたファイルを送信する送信工程とを有し、指定工程では、選択工程で選択された画像データがモノクロ画像データである場合と、選択工程で選択された画像データがカラー画像データである場合とで、異なるファイル形式を指定可能であることを特徴とするデータ処理装置の制御方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、読取手段によって読み取った複数の画像データを1つのファイルにし、当該1つのファイルを送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態にかかる複写機を接続したシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる複写機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる複写機の動作を制御するソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】M−TIFFファイルのフォーマットを示す図である。
【図5】PDFファイルのフォーマットを示す図である。
【図6】第1の実施形態による処理手順を示すフローチャートである。
【図7】操作部2012のタッチパネル部に表示される基本画面例を示す図である。
【図8】操作部2012のタッチパネル部に表示されるSend画面例を示す図である。
【図9】操作部2012のタッチパネル部に表示されるScan Settings画面例を示す図である。
【図10】操作部2012のタッチパネル部に表示されるSend Settings画面例を示す図である。
【図11】操作部2012のタッチパネル部に表示されるSend Settings画面例を示す図である。
【図12】操作部2012のタッチパネル部に表示される宛先入力画面例を示す図である。
【図13】操作部2012のタッチパネル部に表示されるSystem Monitor画面例を示す図である。
【図14】操作部2012のタッチパネル部に表示されるジョブ状況画面例を示す図である。
【図15】第1の実施形態において、原稿上の画像を読み取って得た画像データをM−TIFFに変換し送信する際の処理を説明するフローチャートである。
【図16】第1の実施形態におけるPDFファイルへの変換と送信処理を説明するフローチャートである。
【図17】第2の実施形態における、PDFファイルのデータフォーマット概要を説明する図である。
【図18】図17のフォーマットにおける二回目のPages17030の具体的な記述例を示す図である。
【図19】図17のフォーマットにおける二回目のCross Reference17031の具体的な記述例を示す図である。
【図20】図17のフォーマットにおける二回目のTrailer17032の具体的な記述例を示す図である。
【図21】第2の実施形態による複写機1001の操作手順の流れを示すフローチャートである。
【図22】第2の実施形態におけるPDFファイルの生成及び送信処理を説明するフローチャートである。
【図23】第3の実施形態による複写機1001の操作手順の流れを示すフローチャートである。
【図24】操作部2012のタッチパネル部に表示されるStore In Box画面例を示す図である。
【図25】操作部2012のタッチパネル部に表示されるMail Box画面例を示す図である。
【図26】操作部2012のタッチパネル部に表示されるMail Boxの中身の確認画面例を示す図である。
【図27】操作部2012のタッチパネル部に表示されるSending Address Setting画面例を示す図である。
【図28】操作部2012のタッチパネル部に表示されるAddress Book画面例を示す図である。
【図29】操作部2012のタッチパネル部に表示されるAddress Book画面例を示す図である。
【図30】第3の実施形態にかかる複写機のファイル結合、送信処理を説明するフローチャートである。
【図31】第3の実施形態にかかる複写機における、ファイル形式変換処理及び信号処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明をその実施形態に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる複写機を用いたネットワークシステムの構成例を示す図である。
複写機1001は複数枚の原稿を読み取り、その画像を記録紙上にプリントするといった通常の複写を行う機能に加え、読み取った原稿画像をネットワークインターフェイスを介してゼロックス社によって開発されたイーサネット(登録商標)等のローカルエリアネットワーク(以下、LAN)1006に接続された他の機器へ送信する機能を有する。
【0016】
Eメール用のメールサーバ1003と各種ファイルを蓄積するファイルサーバ1004は複写機1001から送られたデータ等を格納するコンピュータである。クライアントコンピュータ1005はメールサーバ1003とファイルサーバ1004に接続し、データを取得したり表示したりするコンピュータである。LAN1006は、複写機1001、メールサーバ1003、ファイルサーバ1004、クライアントコンピュータ1005などが接続されるネットワークである。メールサーバ1003は、所謂SMTPサーバ、POPサーバ、ファイルサーバ1004は、所謂FTPサーバやNetWareサーバやSMBサーバなどに相当する。
【0017】
尚、図1においてはメールサーバ1003、ファイルサーバ1004及びクライアントコンピュータ1005はそれぞれ1台のみ示したが、それぞれ複数台が同一のネットワークに接続されていてもよい。また、メールサーバ1003、ファイルサーバ1004は同一装置で兼用することもできる。
【0018】
図2は、本実施形態におけるシステムブロック図であり、複写機1001に実装されるコントローラユニット(Controller Unit)の構成を示すものである。Controller Unit2000は画像入力デバイスであるスキャナ2070や画像出力デバイスであるプリンタ2095と接続し、一方ではLAN2011や公衆回線(WAN)2051と接続することで、画像情報やデバイス情報の入出力を行なう為のコントローラである。
【0019】
CPU2001はシステム全体を制御するコントローラである。RAM2002はCPU2001が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリとしても使用される。ROM2003はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD2004はハードディスクドライブで、ハードディスクにシステムソフトウェア、画像データ等を格納する。操作部I/F2006はタッチパネルや表示部を有した操作部(UI)2012とのインターフェイス部で、操作部2012に表示する表示用データを操作部2012に対して出力する。また、操作部2012から本システム使用者が入力した情報を、CPU2001に伝える役割をする。Network I/F2010はLAN2011に接続し、情報の入出力を行う。Modem2050は公衆回線2051に接続し、情報の入出力を行う。以上のデバイスがシステムバス2007上に配置される。
【0020】
Image Bus I/F2005はシステムバス2007と画像データを高速で転送する画像バス2008を接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス2008は、例えばPCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス2008上には以下のデバイスが配置される。ラスターイメージプロセッサ(RIP)2060はPDL(ページ記述言語)コードをビットマップイメージに展開する。デバイスI/F部2020は、画像入出力デバイスであるスキャナ2070やプリンタ2095とController Unit2000を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部2080は、スキャナ2070からの入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部2090は、プリンタ2095へ出力されるべきプリント出力画像データに対して、プリンタに応じた補正、解像度変換等を行う。画像回転部2030は画像データの回転を行う。画像圧縮部2040は、多値画像データはJPEG、2値画像データはJBIG方式、MMR符号、MH符号の圧縮伸長処理を行う。
【0021】
スキャナ2070はADF(Auto Document Feeder)から1枚ずつ搬送される原稿もしくはADFを開けて原稿台上に置かれた原稿の画像を光学的に走査して読み取り、電気的な画像データを発生する。プリンタ2095は入力される画像データに基づく画像を記録紙上にプリントする。
【0022】
図3は、本実施形態における送信機能を実現するためのソフトウェア構成を示すブロック図であり、これらのソフトウェアはController Unit2000のROM2003及び/又はHDD2004に格納され、CPU2001によって実行される。
【0023】
操作部コンポーネント3001は、操作部2012の制御に関するコンポーネントであり、データを送信するためのプロトコルや送信する画像のフォーマットや送信先などをユーザによる操作部2012のタッチキー操作の指示を検知することにより取得する。
【0024】
送信管理コンポーネント3000は、操作部コンポーネント3001において取得されたデータを送信するためのプロトコルや送信する画像のフォーマットや送信先などの処理命令に従い、スキャナ管理コンポーネント3004により原稿の読み取りを指示し、宛先管理コンポーネント3002より宛先情報を取得し、読込んだ画像データ、あるいはHDD2004に設けられたBox領域から操作部2012による指定で選択された画像データをプリントコンポーネント3005、ファクシミリ送信コンポーネント3006、ファイルサーバ送信コンポーネント3007、メール送信コンポーネント3008、Boxコンポーネント3009に送信処理命令を発行することにより、それぞれ、プリンタ2095、公衆回線2051に接続されたファクシミリ、LAN1006(2011)に接続されたファイルサーバ/メールサーバ、HDD2004に設けられたBox領域に送信、あるいは蓄積することができる。特にファイルサーバ送信コンポーネント3007とメール送信コンポーネント3008は、FTP、NetWare、SMB及びSMTPの4つのプロトコルを用いて、ファイルサーバ/メールサーバ1004に送信することができる。送信管理コンポーネント3000は、宛先管理コンポーネント3002とスキャナ管理コンポーネント3004および各送信コンポーネント間でジョブ制御を行うジョブ管理コンポーネント3003から構成される。
【0025】
<ファイルフォーマット>
図4は、本実施形態における、M−TIFFフォーマットの概要図であり、このフォーマットはファイルサーバ送信コンポーネント3007内とメール送信コンポーネント3008内の処理で用いられるデータフォーマットである。
【0026】
M−TIFFファイル4000のデータフォーマットの構成は、1枚目の画像データのためのheader4001と1枚目の画像データのdata block4003と2枚目のheader4004と2枚目のdata block4006というように、ヘッダからそのデータブロックが単位となって、その単位が複数並ぶ。例えば、N枚の画像データを構成するフォーマットは、1枚目のdata block4003には、MMR等で圧縮された1枚目の画像が配置され、1枚目のheader4001には、1枚目の画像の解像度や圧縮形式などの属性情報と共に、次のheaderデータの有無を識別するためのオフセット4002が入る。2枚目のdata block4006には、MMR圧縮された2枚目の画像が配置され、2枚目のheader4004には、2枚目の画像の解像度や圧縮形式などの属性情報と共に、次のheaderデータの有無を識別するためのオフセット4005は入る。このようなフォーマットが最後の画像まで続き、最後の画像であるN枚目のheader内の次のheaderへのオフセットには、「0」が入ることによって、最後の画像であり、ここで1つのファイルとして確定されたことが識別される。
【0027】
図5は、本実施形態における、PDFフォーマットの概要図であり、このフォーマットはファイルサーバ送信コンポーネント3007内とメール送信コンポーネント3008内の処理で用いられるデータフォーマットである。
【0028】
PDFファイル5000のデータフォーマットの構成は、header5001と1枚目のdata5002と2枚目のdata5003・・・・N枚目のdata5009と続き、Pages5010とCross Reference5011とTrailer5012とからなる。header5001は固定的に生成されるTrailer5012はCross Reference5011の位置情報等が入る。1枚目のdata5002は、1枚目の画像データとその解像度や圧縮形式などの属性情報から構成される。2枚目のdata5003も同様に、2枚目の画像データとその解像度や圧縮形式などの属性情報から構成される。1枚目のdata5002や2枚目のdata5003などには、object numberというPDF内でデータを一意に特定するための番号が割り当てられる。Pages5010内にそのobject numberが記述される。Cross Reference5011は、PDF5000内で使われている全てのobject numberとそのobject numberが示すPDF内でのオフセット値が記述される。
図4、図5で示されたファイルフォーマットは図15及び図16のフローチャートにおけるファイルの変換に適用される。
【0029】
<ファイルの送信>
次に、図4、図5に示したようなマルチページファイルを送信する場合の複写機1001の動作について説明する。
図6はこのファイル送信の操作手順を示すフローチャートである。
このフローチャートは、ROM2003及び/又はHDD2004に格納されたプログラムに基づきCPU2001によって制御される処理の流れを示す。
【0030】
先ず、S6001において、操作部2012内のタッチパネル部の基本画面(待機時の図面)である図7の表示において[Send]キーA1にタッチして送信のための種々の指定を行うためのSend画面を呼び出す。
【0031】
続いて、S6002で読取モードを設定するためにSend画面中の[Scan Settings]キーA2を押して図9のScan Settings画面を呼び出す。そしてここで原稿画像を白黒画像として読み取らせるか、カラー画像として読み取らせるかを[Color Mode]キーA4で、また画像の読取解像度を[Resolution]キーA3でそれぞれ指定しこれらを読取モードとして設定する。ここで[OK]キーA5を押してSend画面に戻る。この読取モードは必ずしもここで設定する必要はなく読取指示の前であればいつでも行えるものである。
【0032】
そして、S6003でファイルタイプを設定するためにSend画面の[Send settings]キーA6を押して図10のSend Settings画面を呼び出す。そしてここで送信すべき画像データのファイル形式を指定すべく[File Type]キーA7でリストの中から所望のファイル形式(画像フォーマット)を選択する。ここでは白黒画像の場合、S−TIFF、M−TIFFもしくはPDFが選択でき、カラー画像の場合、JPEGかPDFが選択できる。本実施形態では複数枚の原稿を1つのファイルに変換するフォーマットで送信するので、白黒画像の場合はM−TIFF、PDFを選択し、カラー画像の場合は、PDFを選択したものとする。そしてファイル形式の選択が終了したら[Done]キーA8を押してSend画面に戻る。このファイルタイプの設定も必ずしもここで行う必要はなく読取指示の前であればいつでも行えるものである。
【0033】
そして、S6004において、ファイルを送信するための宛先設定を行うが、既にAddress Book、One-touch Buttons1または2に登録されていれば、その中から選択し、登録されていない場合には、[New Recipient]キーA9を押し、図11の表示に切り替えた後、所望の宛先種別を指定(ここではLAN1006上のファイルサーバ1004内の特定のユーザ用フォルダに蓄積させるべく[File]の指定)する。続いて図12の表示に従って、[Protocol]キーA11でファイルを送信するためのプロトコル、[Host Name]キーA12でファイルサーバ1004のコンピュータ名、[File Path]キーA13でファイルの蓄積先フォルダまでのパス(ディレクトリ)、[User]キーA14でユーザー名、[Password]キーA15でパスワード、をそれぞれ入力する。すべての送信先設定のための入力が終了し[OK]キーA16を押すとSend画面に戻る。
【0034】
ここまでで送信のための諸設定が終了し、これらの設置内容は操作部コンポーネント3001でまとめられ、ジョブ管理コンポーネント3003に通知される。ジョブ管理コンポーネント3003は、これらの情報をまとめて1つのジョブとして扱う。また、操作部コンポーネント3001はこの内容を操作部2012に表示させ、複写機1001のユーザが選択的にキャンセル操作を行えるようにする。
【0035】
ジョブ管理コンポーネント3003はスキャナ管理コンポーネント3004に上記設定の内容を伝え、読取のための設定を行う。そしてS6005で複写機1001のADF(Auto Documents Feeder)に複数(N)枚の原稿がセットされるか、ADFを開けて原稿台上に原稿が置かれた後にS6006で操作部2012内のスタートボタンが押されると上記の設定に従って原稿の走査読取が開始される。ADFにセットされた原稿を読み取る場合は原稿は1枚ずつ搬送されて順次読み取られるが、原稿台上に置かれた原稿を読み取る場合はユーザによって1枚ずつ原稿が交換されるので最後の原稿のときはその旨を指示するための操作が操作部2012で行われる。
【0036】
S6006で読取開始が指示されると、ジョブ管理コンポーネント3003は、解像度と白黒読み取りかカラー読み取りかをスキャナ管理コンポーネント3004に指示する。スキャナ管理コンポーネント3004は、デバイスI/F2020を通して、指定された解像度で、指定された白黒読み取り、あるいは、カラー読み取りとして、スキャナ2070を動作させ、複数枚の原稿を順次読込ませ入力画像を得て、スキャナ画像処理部2080で入力画像データを補正、加工、編集する。さらに、画像回転部2030を用いて入力画像を回転し、白黒読み取りの場合は、画像圧縮部2040によってITU−T勧告に従ったtwo-dimensional encoding(以後、MMRと呼ぶ)で圧縮し、複数枚のそれぞれをページ毎のS−TIFFファイルに変換して、HDD2004に格納する。カラー読み取りの場合は、画像圧縮部2040によってJPEG圧縮で圧縮し、複数枚のそれぞれをページ毎のJPEGファイルに変換して、HDD2004に格納する。格納が終了すると、スキャナ管理コンポーネント3004は、ジョブ管理コンポーネント3003に入力された画像のHDD2004内の所在を通知する。
【0037】
次に、ジョブ管理コンポーネント3003は、送信するためのプロトコルがFTPかNetWareかSMBなので、ファイルサーバ送信コンポーネント3007をジョブの処理先として選択し、入力された画像のHDD2004内の所在とフォーマットと送信するためのプロトコルと送信先との情報をファイルサーバ送信コンポーネント3007に通知する。これ以降、S6008でユーザがキャンセルの操作をした場合は、操作部コンポーネント3001が、そのジョブのキャンセルをジョブ管理コンポーネント3003に通知し、ジョブ管理コンポーネント3003が、そのジョブのキャンセルをファイルサーバ送信コンポーネント3007に通知し、S6009で後述のようにキャンセル処理を行う。
【0038】
送信を途中でキャンセルする場合には、図8のSend画面において[System Monitor]キーA18を押して図13のSystem Monitor画面を呼び出す。続いて、ここではSend機能のジョブをキャンセルするので[Send]キーA19を押して、図14のようなSend機能のジョブ状況画面を表示させる。
"Sending"が現在送信処理中で"Waiting"が送信待機中を示す。
【0039】
ここで、今回送信を指示したジョブがA20であるとすると、A20のジョブを押して[Cancel]キーA21を押すことによって送信ジョブA20がキャンセルされる。このとき本当にキャンセルしてもよいかどうかを確認するダイアログを表示し、誤操作を防止するようにしてもよい。
【0040】
ファイルサーバ送信コンポーネント3007は、通知されたプロトコルを読み出し、Network I/F2010を通して用いるプロトコルを決定し、そのプロトコル使って、通知された送信先であるファイルサーバ/メールサーバ1004にアクセスする。通知されたサーバ名とそのサーバ上のユーザ名とパスワードを使って、指定されたファイルサーバ/メールサーバ1004にログインし、送信する画像ファイルを置くディレクトリを指定する。ファイルが生成される日時と指定されたデータフォーマットから送信するファイル名(例えば、日時+データフォーマットに対応した拡張子=20000222.tif)を自動生成し、指定する。
【0041】
ファイルサーバ送信コンポーネント3007は、通知されたフォーマットがM−TIFFだった場合は、HDD2004内に入力された画像はS−TIFFなので、M−TIFFに変換しながら、LAN1006上のファイルサーバ/メールサーバ1004に送信する。これらの処理は送信プロトコルがSMTPの場合、メール送信コンポーネント3008が行う。
【0042】
<ファイルの変換と送信>
次に、上記のようにして原稿上の画像を読み取って得た画像データをM−TIFFに変換し送信する際の処理の流れを図15のフローチャートに基づき説明する。このフローチャートはROM2003及び/又はHDD2004に格納されたプログラムに基づきCPU2001によって制御される処理の流れを示す。
【0043】
図15のステップS15001における、M-TIFFファイルへの変換と送信とが開始されると、まず、S15002において、送信すべき原稿枚数用の変数iを1に初期化する。次に、S15003における原稿の総枚数であるNとiとを比較し、iがNより小さい場合は処理をステップS15004に進める。
【0044】
ステップS15004において、HDD2004内に入力された1枚目の原稿の画像の属性情報を取得し、1枚目のheader4001を作る。次のheaderへのオフセット4002は、1枚目の画像の属性情報内の画像サイズを読み出すことによって算出できる。1枚目のheader4001が生成できた段階で1枚目のheader4001をファイルサーバ/メールサーバ1004に送信する。1枚目のdata block4003とは、HDD2004内に入力された1枚目の画像部のことである。HDD2004内から読み出して、ファイルサーバ/メールサーバ1004に送信し、iに1を加える。次に、S15005における、キャンセルの通知が有るかどうかを調べる。即ち、1枚目のdata blockが全て送信された時に、そのジョブのキャンセル通知がきているかどうかをチェックする。そのジョブのキャンセル通知が来ていない場合は、以下、2枚目以降も同じ操作を繰り返す。M(M<N)枚目のdata blockが全て送信された時にそのジョブのキャンセル通知が来ていた場合は、M枚目のheader内の次のheaderへのオフセットには、M+1枚目のheaderへのオフセット値が入ってしまっている。このため、S6006において、M+1枚目のheader内の次のheaderへのオフセットに「0」を代入して、M+1枚目のheaderを生成し送信して、M+1枚目のdata blockを送信して、そのジョブの送信を終了する。
【0045】
また、ファイルサーバ送信コンポーネント3007は、通知されたフォーマットがPDFだった場合は、HDD2004内に入力された画像はS−TIFFかJPEGなので、PDFに変換しながら、ファイルサーバ/メールサーバ1004に送信する必要がある。図16は、本実施形態におけるPDFファイルへの変換と送信との流れを示すフローチャートである。このフローチャートはROM2003及び/又はHDD2004に格納されたプログラムに基づきCPU2001によって制御される処理の流れを示す。ステップS16001において、PDFファイルへの変換と送信とを開始する。
【0046】
先ず、ステップS16002で、header5001を生成し、ファイルサーバ/メールサーバ1004に送信し、送信すべき原稿枚数用の変数iを1に初期化する。次に、ステップS16003における、原稿の総枚数であるNと原稿枚数をカウントするための変数iとを比較し、iがNより小さい場合は、処理をステップS16004に進める。ステップS16004において、HDD2004内に入力された1枚目の画像と画像の属性情報を読み出し、1枚目のdata5002を作り送信し、原稿枚数をカウントするための変数iに1を加える。
【0047】
次に、処理をステップS16005における、キャンセルの通知があるかどうかを調べる。キャンセルの通知がなければ、以下、2枚目以降も同じ操作を繰り返す。
M(M<N)枚目のdataが送信された時のそのジョブのキャンセル通知が来ていた場合は、S16006における、M枚目までのobject noを記述したPages5010を生成して送信し、PDF5000内で使われている全てのobject noとそのobject noが示すPDF内でのオフセット値を記述したCross Reference5011を生成して送信し、Trailer5012を生成して送信して、そのジョブの送信を終了する。
【0048】
以上の実施形態では、ユーザの指示によりジョブがキャンセルされた場合について説明したが、装置のエラー等によってユーザが介在せずにキャンセルされた場合も同様である。
【0049】
以上、本実施形態によれば、画像データの送信の中断を送信中に指示した場合、中断の指示を受付け、中断までに送信した画像データを一つの画像データのまとまりとして再変換して、データの送信を完了させることにより、異常ファイルを作りださずに、ユーザにとって使い勝っての良い円滑な画像処理を可能とする。
【0050】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態は複数枚の原稿を各ページ毎に属性情報を有した1つのファイルとして送信させる場合に、途中でキャンセルされても送信できたところまでは受け側で正常なファイルとして扱えるようファイルを確定させるものである。これによって不完全な状態の異常ファイルを送信することによって無駄なメモリ領域を使用してしまうことを防ぐとともに送信をやり直す場合は続きから行えるものであった。
【0051】
以下に示す第2の実施形態は、例えば複写機1001のRAM2002等に設定されたSend機能のためのワークエリアに上限がある場合、PDFでの送信時のCross Reference5011では、送信する画像データとその属性情報等とを格納した場所のオフセット値をそのobject noと共に記載する必要があり、PDFに変換して送信できる画像枚数が制限されてしまう。これを防ぐために、上記のワークエリアの許容範囲でCross Reference5011を作成し送信し、Trailer5012を送信して、一つのPDFファイルとして完結させた後に、headerや続きの画像データ等をそのPDFファイルに追加して書込み、その追加した画像データ等に関するCross ReferenceやTrailerも含めたもう一つのPDFファイルを追加して、この二つのPDFファイルを連結するという表現を加えることによって、一つのPDFファイルとして表現できるようにし、PDFに変換して送信できる画像枚数が制限されないようにしたものである。
【0052】
以下、その処理について詳細に説明する。
システム構成、複写機1001の構成は図1〜図3に示した通りであるので、ここでの説明は省略する。
図17は、本実施形態における、PDFファイルのデータフォーマット概要を説明する図である。本実施形態において、スキャンした画像を1つのPDFファイルに変換できる上限枚数はMとし、図17では送信すべき画像の総数は2Mであった場合のデータフォーマットを示している。
【0053】
スキャンした画像データから図17に示すようなPDFファイルを作成するのはファイルサーバ送信コンポーネント3007(もしくはメール送信コンポーネント3008)である。PDFファイル17000は、header17001と1枚目のdata17002、2枚目のdata17003、...と上限数であるM枚目のdata17009までdataが連続する。そしてM枚目のdata17009の次に一回目のPages17010、一回目のCross Reference17011及び一回目のTrailer17012が連続した後、M+1枚目のdata17022、M+2枚目のdata17023、...、2M枚目のdata17029とdataが連続する。2M枚目のdata17029の後ろには、M枚目のdata17009の後ろと同様、二回目のPages17030、二回目のCross Reference17031及び二回目のTrailer17032が連続する。
【0054】
このうち、header17001は、固定的に生成できる。1枚目のdata17002は、1枚目の原稿画像とその解像度や圧縮形式などの属性情報から構成される。2枚目のdata17003も、2枚目の画像とその解像度や圧縮形式などの属性情報から構成される。同じようにdataが続き、M枚目のdata17009も、M枚目の画像とその解像度や圧縮形式などの属性情報から構成される。1枚目のdata17002や2枚目のdata17003などには、object noというPDFファイル17000内で一意の番号が割り当てられる。
【0055】
一回目のPages17010内にそれらのobject noが記述される。一回目のCross Reference17011は、一回目のCross Reference17011までに現れた全てのobject noとそのobject noが示すPDF内での位置情報が記述される。一回目のTrailer17012には、一回目のCross Reference17011の位置情報が記述される。
【0056】
次に、M+1枚目のdata17022は、M+1枚目の画像とその解像度や圧縮形式などの属性情報から構成される。M+2枚目のdata17023も、M+2枚目の画像とその解像度や圧縮形式などの属性情報から構成される。同じようにdataが続き、2M枚目のdata17029も、2M枚目の画像とその解像度や圧縮形式などの属性情報から構成される。M+1枚目のdata17022やM+2枚目のdata17023などにも、object noというPDFファイル17000内で一位の番号が割り当てられる。
【0057】
二回目のPages17030内には、1枚目の画像のdata17002から2M枚目の画像のdata17029までのobject noが記述される。二回目のCross Reference17031には、一回目のPages17010を二日目のPages17030で更新すること、二回目のPages17030の位置情報、M+1枚目のdata17022のobject no、及び、M+1枚目のdata17022から二枚目のCross Reference17031までに現れた全てのobjectの位置情報の値が順に記述される。
【0058】
二回目のTrailer17032には一回目のCross Reference17011の位置情報と二回目のCross Reference17031の位置情報とが記述される。これによって、このファイルを受けた側では一回のPages、Cross Reference、Trailerが反映されたものがそれぞれ二回目のものに加えられ、一回目のものが削除され、1つのPDFファイルを形成可能となる。ここで、完全なPDFファイルには他の要素も含まれるが、本実施形態とは直接関係ないので図17での図示及びその説明は省略する。
【0059】
図18は、図17における二回目のPages17030の具体的な記述例を示す図である。図18においては、スキャンした画像の変換できる上限数Mは200、スキャンした画像の総数2Mが400である場合を示している。"/Kids"の行18001で、1枚目の画像のdata17002から2M枚目の画像のdata17029までのobject noが記述されている。1枚目の画像のdata17002のobject noは、"1 0 R"であり、2M枚目の画像のdata17029のobject noは、"2394 0 R"である。"/Count 400"は、全ての画像のdataのobject数を示しており、その値は2Mであるから、400となる。
【0060】
図19は、図17における二回目のCross Reference17031の具体的な記述例を示す図である。図18と同様、スキャンした画像の変換できる上限数Mは200とし、スキャンした画像の総数2Mが400である場合を示している。一回目のPages17010を二回目のPages17030で更新することを示す"2 1"が行19001に記述され、次いで二回目のPagesの位置情報が行19002に、M+1行目のdata17022のobject no(1200)が行19003に、M+1枚目のdata17022の位置情報が行19004にそれぞれ記述され、以下、二回目のCross Reference17031までに現れた全てのobjectの位置情報の値が記述される。
【0061】
図20は、図17における二回目のTrailer17032の具体的な記述例を示す図である。図20においても、スキャンした画像の変換できる上限数Mは200とし、スキャンした画像の総数2Mが400である場合を示している。二回目のTrailer17032には、直前(一回目)のCross Reference17011の位置情報が行20001に、二回目のCross Reference17031の位置情報が行20002にそれぞれ記述される。
【0062】
以下、本実施形態に係る複写機において、第2の実施形態におる送信処理を実行する際の流れを順に説明する。
図21は第2の実施形態による複写機1001の操作手順の流れを示すフローチャートである。このフローチャートはROM2003及び/又はHDD2004に格納されたプログラムに基づきCPU2001によって制御される処理の流れを示す。
【0063】
S21001〜S21006の処理については前述の図6のS6001〜S6006と同様であるのでここでの詳細な説明は省略する。
ただし、S21003のファイルタイプ設定ではPDFファイルを指定する。またS21005及びS21006ではADFに原稿をセットする場合も原稿台に原稿を置く場合も最後の原稿(ADFの場合は最後の原稿の束)であることを指定するまでは一連の原稿(共通のファイルとされるべき原稿)として扱われる。
【0064】
S21007ではS21001〜S21004で設定された内容に基づき原稿上の画像の読み取りと後述するような手順での送信処理を開始する。そして、S21008で最終原稿と判断されるまで処理を継続する。
S21009で送信終了と判断されたら一連の送信処理を終了する。
【0065】
次に、図17に示すデータ構成及び図22に示すフローチャートを用いて、PDFファイルの生成及び送信にかかる一連の処理を説明する。図22においては、一回で変換できる画像の上限ページ数はMとし、送信されるべき一連の画像の総ページ数はN(N>M)であった場合の例を示す。
【0066】
ファイルサーバ送信コンポーネント3007は、ステップS22001において、PDFファイルの生成、送信処理が開始されると、まずステップS22002において、header17001を生成、送信し、送信した画像数用の変数iを0に初期化する。
次に、ステップS22003において、変換した画像数用の変数jを0に初期化する。
【0067】
次に、ステップS22004において、原稿の総枚数であるNとiとを比較し、iがNより小さければステップS22005に進み、iがN以上、すなわち全部の画像が送信された場合にはステップS22008に進む。
次にステップS22005において、画像を一度に変換できる上限数であるMとjを比較し、jがMより小さければステップS22006に進み、jがM以上、即ち上限に達した場合にはステップS22007に進む。
【0068】
次にステップS22006において、i枚目の原稿画像の属性情報とデータを取得し、dataを生成し、送信し、iとjに1を加えて、ステップS22004に戻る。
M枚目までの送信が終了すると、ステップS22007において、1枚目のdata17002のobject noからi枚目のdata17009までのobject noを一回目のPages17010に書き込み、それらの位置情報を一回目のCross Reference17011に書き込み、一回目のTrailer17012を生成して送信し、ステップS22003に戻る。
【0069】
ステップS22007での処理が一回目の場合は、生成したCross Referenceの位置情報を記憶しておく。n(nは2以上の自然数)回目以降の処理では、n回目のPagesに、1枚目の画像のdataから(n×M)枚目の画像のdataまでのobject noが記述される。そして、n回目のCross Referenceに、(n−1)回目のPagesをn回目のPagesで更新すること、n回目のPagesの位置情報、((n−1)×M+1)枚目のdataのobject no及び、((n−1)×M+1)枚目からi枚目のdataまでに現れた全てのobjectの位置情報の値が順に記述される。そして、n回目のTrailerの生成時に、前回のCross Referenceの位置情報を書き込み、かつ、今回生成したCross Referenceの位置情報を記憶しておく。
【0070】
N枚目までの送信が終了すると、ステップS22008において、1枚目のdataのobject noからN枚目までのdataのobject noをPagesに書き込み、前回のPagesを今回生成したPagesで更新すること、今回生成したPagesの位置情報、(N−j)枚目のdataのobject no及び(N−j)枚目のdataから今回生成したCross Referenceまでに現れた全てのobjectの位置情報をCross Referenceに書き込み、前回のCross Referenceの位置情報と、今回のCross Referenceの位置情報を書き込んだTrailerを生成して送信し、ステップS22009に進む。
【0071】
ステップS22009において、PDFファイルへの変換と送信処理とを終了する。
以上の実施形態では分割の基準として上限ページ数を用いたが、これに限ることなく画像データのデータ量(Mバイト)等としてもよい。
【0072】
上述の実施形態においては、PDF形式のファイルを生成する場合を例にして説明したが、複数の画像データを1ファイルにまとめるデータフォーマットのファイルを生成する場合であって、同様の問題点を有する場合には本発明を適用することが可能である。
この場合も、ファイルが生成できる原稿画像の量に応じた複数のファイルブロックを形成し、各ブロック間の関連を示す情報を付加して送信するとともに、受信側でこの付加情報を元に一連のファイルとして取り扱うように構成すればよい。
【0073】
上述の実施形態においては二番目以降のファイルブロックに直前のファイルブロックを特定可能な情報を付加したが、次に続くファイルブロックを特定可能な情報を付加するように構成することも可能である。
また、上述の第2の実施形態によれば、二回目(最後)のCross Referenceに直前のファイルブロックのPagesの情報を今回のPagesで更新することを表す上表が書き込まれているので、このファイルを受けた側では途中のCross ReferenceやPagesを削除することができ、最終的に形成されるファイルのサイズを小さくかつシンプルにすることができる。
【0074】
また、分割されたファイルのそれぞれがページ単位で区切られCross ReferenceやPagesを有しているので分割されたファイル(それぞれがマルチページで構成されたファイル)は、それら自体がファイルとして確定されているので、受け側のアプリケーションによっては上記のように最後のCross Reference、Pagesには他の分割ファイルの情報を書き込まず、そしてそれぞれのファイルのCross ReferenceやPagesを削除しないようにすれば、それぞれ独立したファイルとして扱えるようにでき、大きなファイルを扱えない環境でもそれぞれのフィルを適切に処理できるようになる。
【0075】
(第3の実施形態)
これまで述べた実施形態はオフセット値やCross Reference、Pages、Trailer等を制御することによって途中で処理を終了したファイルをその時点で確定させたり、大量の画像データを分割して送信するものであった。
以下に述べる第3の実施形態はこのオフセット値等を制御する技術を用いて任意の複数の画像データを選択してそれらを結合し1つのファイルに再変換して送信するものである。
【0076】
以下にその手順について詳細に説明する。
図23は第3の実施形態による複写機1001の操作手順の流れを示すフローチャートである。このフローチャートはROM2003及び/又はHDD2004に格納されたプログラムに基づきCPU2001によって制御される処理の流れを示す。
【0077】
S23001及びS23002では上述のものと同様に読取モードの設定を行う。
そして、S23003でBox指定を行うために、図10のSend Setting画面で[Store In Box]キーA22を押し、図24のようなStore In Box画面を呼び出す。
【0078】
複写機1001ではHDD2004を種々の画像データを蓄積できるように複数に分割しており、分割された個々の蓄積先をBoxと呼び、それらはBox番号で区分されている。ここではBox番号00のA23が選択されたものとする。そして[OK]キーA24が押されると蓄積先が設定され、Send Setting画面に戻る。続いて[Done]キーA8を押してSend画面に戻る。
【0079】
そして、S23004でADFまたは原稿台に原稿があることを確認して、S23005で操作部2012のスタートボタンが押されると設定された内容に基づき原稿上の画像の読み取りを開始し、S23006でBox00に読取画像データが白黒画像ならS−TIFF、カラー画像ならJPEGで蓄積される。このとき読み取りをカラーで行ったか白黒で行ったか、画像サイズ、枚数、蓄積日時も一緒にそれぞれ対応付けて蓄積する。蓄積が終了すると、スキャナ管理コンポーネント3004は蓄積された画像のHDD2004内の所在をジョブ管理コンポーネント3003に通知する。ジョブ管理コンポーネント3003は、HDD2004内の蓄積された画像の所在とBox番号をBoxコンポーネント3009に通知する。Boxコンポーネント3009は、HDD2004内の蓄積された画像の所在とBox番号との関係をHDD2004内に記憶しておく。以上の操作が何回か繰り返されると、Boxコンポーネント3009には、種々の時点で複数の画像データが蓄積された種々の画像データに関する情報が、Box番号とともに多数記憶される。なお、ここで蓄積される画像はスキャナ2070からの画像に限らずネットワークI/F2010やModem2050など、種々の入力源からの画像としてもよい。
ここまでの処理はどの時点に行っても良い。
【0080】
S23006ではBox内の所望の画像データを選択するために図7の基本画面において[Mail Box]キーA25を押し、図25のMail Box画面を呼び出す。ここではBox00に格納されている複数の画像データを選択するものとし、Mail Box画面でBox00の中身を表示させるべくA26を押す。そしてユーザは図26のBox No00の中身の確認画面(操作部コンポーネント3001に問い合わせることにより得た情報に基づき表示される)において、画像サイズや蓄積日付等を参照して結合して送信したい画像データとしてA27、A28、A29の3つをこの順序で選択する。すると操作部コンポーネント3001は選択された画像データをその順番とともに記憶し、この選択した順序が左端に表示される(1〜3)。
【0081】
次にS23008で、送信設定を行うために[Send]キーA30を押し、図27のSending Address Setting画面を呼び出す。そしてここではAddress Bookから予め登録されている宛先に送信するものとして、[Address Book]キーA31を押す。すると図28のAddress Book画面が表示されるのでここではE-mailでmarc@ganon.com、インターネットFAXでmatt@ganon.comに送信することが選択するものとして、ユーザはA32とA33を押す。この選択により、E-mailアドレスの他に送信プロトコル(SMTP)とその送信に必要な情報(SMTPサーバーにアクセスするためのユーザ名、パスワード)が設定される。送信プロトコルとしてFTPが選択された場合は宛先情報にサーバ名とそのサーバ上のユーザ名とパスワードとディレクトリ名とになり、ログイン処理後に蓄積処理が実行される。
【0082】
A32とA33が選択された後、[OK]キーA34が押されるとこれらの宛先が設定され、Sending Address Setting画面に戻り、図29のようにここで設定された宛先が入力された状態となる。
【0083】
そして、S23009で前述のようにファイルタイプの設定が行われ、S23010で操作部2012のスタートボタンが押されると、S23011で後述するような処理手順で先に選択した3つの画像データがその順序で結合され1つのファイルとして送信される。
【0084】
送信時の画像フォーマットとしては、白黒画像の場合、S−TIFFかM−TIFFかPDFかが選択でき、カラー画像あるいは白黒画像とカラー画像の混合の場合は、JPEGかPDFかが選択できる。ただし、上述の画像データを1ファイルにまとめられるデータフォーマットは、白黒画像のみの場合、M−TIFFかPDF、カラー画像のみ、あるいは白黒画像とカラー画像の混合の場合は、PDFとなるので、以下の説明においてはこれら複数枚の原稿の画像を1つのファイルに変換するデータフォーマットが選択されたものとする。
【0085】
なお、送信開始のタイミングは送信プロトコルに応じて切り替えられるべきであり、ファイルの生成と送信とを並行して行える場合には、そのようにし、それが行えない場合にはファイル確定後に送信を開始するようにする。
S23012で送信終了と判断されたら一連の送信処理を終了する。
【0086】
以下、図30、図31のフローチャートではファイルフォーマットとして図4、図5に示したものを参照する。
また、図30、図31のフローチャートはROM2003及び/又はHDD2004に格納されたプログラムに基づきCPU2001が制御する処理の流れを示す。
【0087】
図30は、本実施形態にかかる複写機で実施される、複数の画像データを結合して1ファイルとして送信する処理を示すフローチャートである。図30に示す処理は、画像データの送信先に応じてファイルサーバ送信コンポーネント3007又はメール送信コンポーネント3008によって実行される。以下の説明において、ユーザが選択した送信画像データの数はN(2以上の自然数)とする。
【0088】
ステップS30001において、M−TIFFファイルへの変換と送信とが開始されると、先ずステップS30002において、送信する画像枚数用の変数iを1に初期化する。次にステップS30003において、送信すべき画像の総枚数であるNとiとを比較し、iがNより小さければ、ステップS30004に進み、iがN以上であれば、ステップS30006に進む。
【0089】
ステップS30004において、i枚目の原稿の画像の属性情報を、その画像が蓄積されたBoxから取得し、そのデータサイズから次のheaderへのオフセット値を求め、headerを生成、送信する。同時に、蓄積画像データを読み出し、送信を行う。送信が終了したら変数iに1を加え、ステップS30003に戻る。
【0090】
変数iがNになったら、ステップS30006において、ステップS30004と同様の送信処理を行い、変換、送信処理を終了する。この際、上述したようにN枚目のheader4011に含まれる次の次のheaderへのオフセット値には0を格納する。
【0091】
図31は、本実施形態にかかる複写機で実施される、S−TIFFやJPEGファイルからPDFファイルへの変換及び信号処理を示すフローチャートである。図31に示す処理は、画像データの送信先に応じてファイルサーバ送信コンポーネント3007又はメール送信コンポーネント3008によって実行される。以下の説明において、ユーザが選択した送信画像データの数はN(2以上の自然数)とする。
【0092】
先ず、ステップS31001において、PDFファイルへの変換と送信とが開始されると、ステップS31002において、headerを生成して送信し、送信する画像枚数用の変数iを1に初期化する。
【0093】
次にステップS31003において、送信すべき画像の総枚数であるNとiとを比較し、iがNより小さければ、ステップS31004に進み、iがN以上であれば、ステップS31006に進む。ステップS31004において、i枚目の画像データが格納されているBoxから、その属性情報とデータを取得し、dataを生成し送信し、iに1を加え、ステップS31003に戻る。
【0094】
変数iがNになると、ステップS31006において、1枚目からN枚目までのobject noをPages5010に書き込み、それらのオフセット値をCross Reference5011に書き込み、Trailer5012を生成して送信する。
【0095】
上述の実施形態においては、一旦S−TIFFやJPEG等のデータフォーマットで蓄積した画像データを、送信時にM−TIFFやPDF形式に変換する構成のみを示したが、画像を読み取って蓄積する段階で、複数の原稿がある場合には、M−TIFFやPDF形式のファイルに変換しておき、送信の際には変換をしないように構成することもできる。
【0096】
また、クライアントコンピュータ1005に複写機1001の操作部2012をリモート制御する機能を持たせ、複写機1001の操作部2012を用いて選択もしくは入力可能な指示をクライアントコンピュータ1005からユーザが指示するように構成することも可能である。
【0097】
また、画像データの蓄積時に行う符号化形式や、蓄積された画像データの複数を1つのファイルにまとめるデータフォーマットについては、上述の実施形態で挙げたものに限定されず、任意の形式を用いることができる。
【0098】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インターフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0099】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになりそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0100】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0101】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた原稿に対応する画像データを複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の画像データから、送信する画像データをユーザの操作に従って選択する選択手段と、
前記送信する画像データのファイル形式として、複数のファイル形式のいずれかをユーザの操作に従って指定する指定手段と、
前記選択手段によって選択された画像データを、前記指定手段によって指定されたファイル形式のファイルに変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換されたファイルを送信する送信手段とを有し、
前記指定手段は、前記選択手段によって選択された画像データがモノクロ画像データである場合と、前記選択手段によって選択された画像データがカラー画像データである場合とで、異なるファイル形式を指定可能であることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記指定手段は、前記選択手段によって1つの画像データが選択され、選択された1つの画像データがモノクロ画像データである場合と、前記選択手段によって2以上の画像データが選択され、選択された2以上の画像データがモノクロ画像データである場合とで、異なるファイル形式を指定可能であることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記指定手段は、前記選択手段によって1つの画像データが選択され、選択された1つの画像データがカラー画像データである場合と、前記選択手段によって2以上の画像データが選択され、選択された2以上の画像データがカラー画像データである場合とで、異なるファイル形式を指定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記送信する画像データがモノクロ画像データである場合に少なくともTIFF形式を指定可能であり、前記送信する画像データがカラー画像データである場合に少なくともJPEG形式を指定可能であることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記送信する画像データがモノクロ画像データである場合にTIFF形式及びPDF形式を指定可能であり、前記送信する画像データがカラー画像データである場合にJPEG形式及びPDF形式を指定可能であることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記読取手段によって読み取られた原稿に対応する画像データと、前記読取手段による読み取りをカラーで行ったか、モノクロで行ったかを示す情報を記憶することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記選択手段によって選択された画像データを送信する宛先をユーザの操作に従って設定する設定手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記ファイルを前記設定手段によって設定された宛先に送信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
複数の送信プロトコルの中から画像データの送信に用いる送信プロトコルを選択するプロトコル選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記データ処理装置は、ネットワークを介して外部装置と通信可能であり、
前記選択手段は、送信する画像データを、前記外部装置からのユーザ指示に従って選択することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
原稿を読み取る読取手段を備えるデータ処理装置の制御方法であって、
前記読取手段によって読み取られた原稿に対応する画像データを、記憶手段に複数記憶する記憶工程と、
選択手段が、前記記憶手段に記憶された複数の画像データから、送信する画像データをユーザの操作に従って選択する選択工程と、
前記送信する画像データのファイル形式として、複数のファイル形式のいずれかを、ユーザの操作に従って指定する指定工程と、
変換手段が、前記選択工程で選択された画像データを前記指定工程で指定されたファイル形式のファイルに変換する変換工程と、
送信手段が、前記変換工程で変換されたファイルを送信する送信工程とを有し、
前記指定工程では、前記選択工程で選択された画像データがモノクロ画像データである場合と、前記選択工程で選択された画像データがカラー画像データである場合とで、異なるファイル形式を指定可能であることを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載されたデータ処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−130068(P2012−130068A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53671(P2012−53671)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2011−105658(P2011−105658)の分割
【原出願日】平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】